説明

タッチ・ディスプレイ装置及び製造方法

【課題】タッチパネルとディスプレイモジュール間の貼合を強くする。
【解決手段】タッチ・ディスプレイ装置とその製造方法を提供する。タッチ・ディスプレイ装置は、タッチパネル、ディスプレイモジュール、紫外線硬化液体接着剤により形成され、タッチパネルとディスプレイモジュールを貼合する第1の接着層を有する。該タッチ・ディスプレイ装置は、さらに、レンズと第2の接着層を有し、該第2の接着層は、レンズとタッチ基板を貼合する。本発明にかかる技術は、ディスプレイモジュール、タッチ基板、レンズの貼合順を調整することにより、第1の接着層と第2の接着層の硬化による遮光影響を克服し、タッチパネルとディスプレイモジュール間の貼合を強くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ技術、より具体的には、タッチ・ディスプレイ装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のタッチ・ディスプレイ装置は、通常、タッチパネルとディスプレイモジュールを備える。タッチパネルは、主に、タッチ基板と、レンズと、タッチ基板の表面に設けられたタッチ感知層を有する。標準の製造プロセスでは、通常、まず、レンズとタッチ基板の貼り合わせ(laminat)によりタッチパネルが形成される。そして、タッチパネルとディスプレイモジュールの貼り合わせが施される。タッチパネルとディスプレイモジュールの貼り合わせに際して、光硬化液体接着剤が使用される。タッチ・ディスプレイ装置のレンズの辺縁部において、不透光性の印刷インク層がある。光硬化液体接着剤は、一部分が印刷インク層により遮光されるため、不完全な硬化が生じてしまう。光の遮蔽は、液体接着剤とレンズ間の接着を影響し、タッチパネルとディスプレイモジュール間の貼合を弱くしてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−32938号公報
【特許文献2】中国特許出願公開第101204496号明細書
【特許文献3】韓国公開特許第10−2009−0128165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の1つの目的は、タッチ・ディスプレイ装置及びその製造方法を提供する。以下において、ディスプレイモジュール、タッチ基板、レンズの貼り合わせの順序を変更し、光硬化液体接着剤の完全硬化を図り、タッチパネルとディスプレイモジュール間の貼合を強くする工夫に関連する開示をさらに行う。
【課題を解決するための手段】
【0005】
タッチ・ディスプレイ装置の製造方法は、第1の液体接着剤によりディスプレイモジュールをタッチ基板の1つの表面に貼り合わせるステップ(a)と、第2の液体接着剤によりレンズをタッチ基板の別の表面に貼り合わせるステップ(b)を有する。
【0006】
一つの態様では、第1の液体接着剤と第2の光硬化液体接着剤は、共に光硬化液体接着剤である。光硬化液体接着剤は、例えば、紫外線硬化液体接着剤や、熱誘発紫外線硬化液体接着剤や、水分誘発紫外線硬化液体接着剤などとすることができる。
【0007】
一つの態様では、第1の液体接着剤は、ディスプレイモジュールとタッチ基板の間の全域ではなく、所定の部分領域に適用される。同様に、第2の液体接着剤も、ディスプレイモジュールとタッチ基板の間の全域ではなく、所定の部分領域に適用される。
【0008】
一つの態様では、タッチ・ディスプレイ装置の製造方法は、さらに、ステップ(a)とステップ(b)の間に、第1の液体接着剤を光硬化させて第1の接着層を形成するステップ(c)を有する。
【0009】
タッチ・ディスプレイ装置の製造方法は、さらに、ステップ(b)の後に、第2の液体接着剤を光硬化させて第2の接着層を形成するステップ(d)を有してもよい。
【0010】
一つの態様では、第1の液体接着剤と第2の液体接着剤が熱誘発紫外線硬化液体接着剤である場合に、上記光硬化処理は、さらに、紫外線光により熱誘発紫外線硬化液体接着剤を光硬化させる処理と、加熱工程により熱誘発紫外線硬化液体接着剤の硬化を強化する処理を含む。
【0011】
別の態様では、第1の液体接着剤と第2の液体接着剤が水分誘発紫外線硬化液体接着剤である場合に、記光硬化処理は、さらに、紫外線光により水分誘発紫外線硬化液体接着剤を光硬化させる処理と、水分により水分誘発紫外線硬化液体接着剤の硬化を強化する処理を含む。
【0012】
タッチ・ディスプレイ装置の製造方法は、さらに、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Print Circuit Board)をタッチ基板に貼り合わせるステップを有してもよい。
【0013】
本発明にかかるタッチ・ディスプレイ装置は、タッチ基板と、ディスプレイモジュールと、タッチ基板とディスプレイモジュールを貼り合わせる第1の接着層とを有する。
【0014】
第1の接着層は、紫外線硬化液体接着剤により形成される。
【0015】
タッチ・ディスプレイ装置は、レンズと第2の接着層を有し、該第2の接着層は、タッチ基板とレンズの接着をし、レンズの回りに不透光層が形成されている。
【0016】
タッチ基板上にタッチ感知層と周辺回路層が形成されており、周辺回路層は、タッチ感知層と電気的に接続されている。
【0017】
上述した方法によれば、ディスプレイモジュールとディスプレイモジュール間の貼合が強いタッチ・ディスプレイ装置の製造が可能である。該タッチ・ディスプレイ装置は、タッチ基板がほぼ透明であり、レンズの辺縁部の不透光層により作り出される影が無いため、紫外線光は、通過可能であり、完全に液体接着剤に当てられ、紫外線硬化液体接着剤を完全に光硬化させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる技術によれば、ディスプレイモジュールとディスプレイモジュール間の貼合を強くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】一実施の形態にかかるタッチ・ディスプレイ装置の構成図である。
【図2】一実施の形態にかかるタッチ・ディスプレイ装置の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して実施の形態を説明することにより本発明の技術的特徴及び効果を説明する。特別な説明が無い限り、各実施の形態のエレメント、構成要素、特徴などの組合せが可能であることは、理解されたい。
【0021】
図1を参照する。本実施の形態にかかるタッチ・ディスプレイ装置100は、タッチパネル110、ディスプレイモジュール120、タッチパネル110とディスプレイモジュール120を貼合する第1の接着層130を有する。第1の接着層130は、紫外線硬化液体接着剤、熱誘発紫外線硬化液体接着剤、水分誘発紫外線硬化液体接着剤のいずれか1つまたは複数を硬化させることにより形成することができる。好ましくは、紫外線硬化液体接着剤により第1の接着層130を形成する。紫外線硬化液体接着剤は、適切な波長を有する紫外線光の照射により固体に硬化できる液体接着剤であり、例えばアクリルまたはシリコンベースの製品である。
【0022】
タッチパネル110は、タッチ基板112、レンズ114、タッチ基板112とレンズ114を貼合する第2の接着層118を備える。レンズ114の回りに、被覆印刷インク(covering printing ink)により不透光領域(図示せず)が形成されている。また、タッチ基板112の表面に、タッチ感知層(図示せず)が形成されている。タッチパネル110は、さらに、タッチ基板112上に貼合されたフレキシブルプリント基板116を備える。さらに、タッチ基板112には、周辺回路層(図示せず)が設けられてもよい。タッチ感知層は、周辺回路層と電気的に接続されており、周辺回路層は、フレキシブルプリント基板116と電気的に接続されている。
【0023】
レンズ114は、ガラスや、プラスチック、または他の任意の材料により製造され、タッチ・ディスプレイ装置100の保護と強化のために設けられる。タッチ基板112は、タッチ技術を実現するために設けられ、例えば、薄膜技術を実行することにより、透明なITO(Indium Tin Oxide)のガラスまたはフィルムで製造できる。タッチ基板112は、抵抗性(resistive)のタッチ基板または容量性(capacitive)タッチ基板である。フレキシブルプリント基板116は、タッチ基板112とタッチシステムを接続するブリッジであり、通常、IC(集積回路)と他のエレメントを備え、収集されたタッチ情報の計算が可能である。第2の接着層118は、紫外線硬化液体接着剤、熱誘発紫外線硬化液体接着剤、水分誘発紫外線硬化液体接着剤のいずれか1つまたは複数を硬化させることにより形成することができる。好ましくは、熱誘発紫外線硬化液体接着剤または水分誘発紫外線硬化液体接着剤により第2の接着層118を形成する。
【0024】
熱誘発紫外線硬化液体接着剤は、適切な波長を有する紫外線光の照射により固体に硬化される液体接着剤であり、紫外線により照射されていない部分がその後に熱により硬化できる。水分誘発紫外線硬化液体接着剤は、適切な波長を有する紫外線光の照射により固体に硬化される液体接着剤であり、紫外線により照射されていない部分がその後に水分により硬化できる。熱誘発紫外線硬化液体接着剤と水分誘発紫外線硬化液体接着剤は、例えばアクリルベースまたはシリコンベースの製品である。
【0025】
ディスプレイモジュール120は、ディスプレイパネル122と、ディスプレイパネル122に貼合された少なくとも1つのディフューザー(diffuesr)124を備える。第1の接着層130は、ディフューザー124とタッチ基板112の間に設けられている。ディスプレイパネル122は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)、干渉変調ディスプレイ(IMOD)、ブラウン管ディスプレイ、電子新聞ディスプレイ(E−Papaer display)のいずれかとすることができる。
【0026】
図2は、タッチ・ディスプレイ装置100の製造方法を示すフローチャートである。本実施の形態において、該方法は、ステップ(a)〜ステップ(d)を有する。
【0027】
ステップ(a)は、第1の液体接着剤によりディスプレイモジュール120をタッチ基板112の表面に貼合する工程である。
【0028】
ステップ(b)は、第2の液体接着剤によりレンズ114をタッチ基板112の別の表面に貼合する工程である。
【0029】
ステップ(c)は、第1の液体接着剤を光硬化させ、第1の接着層130を形成する工程である。
【0030】
ステップ(d)は、第2の液体接着剤を光硬化させ、第2の接着層118を形成する工程である。
【0031】
第1の液体接着剤と第2の液体接着剤は、光硬化液体接着剤であり、紫外線硬化液体接着剤、熱誘発紫外線硬化液体接着剤、水分誘発紫外線硬化液体接着剤に限定されることがない。
【0032】
1つの態様において、熱誘発紫外線硬化液体接着剤が用いられた場合、本実施の形態の方法における光硬化処理は、紫外線光により該熱誘発紫外線硬化液体接着剤を光硬化させる工程と、加熱工程により該熱誘発紫外線硬化液体接着剤の硬化を強化する工程を含む。該加熱工程としては、従来知られている加熱メカリズムを適用することができる。
【0033】
もう1つの態様において、水分誘発紫外線硬化液体接着剤が用いられた場合、本実施の形態の方法における光硬化処理は、紫外線光により該水分誘発紫外線硬化液体接着剤を光硬化させる工程と、水分により該水分誘発紫外線硬化液体接着剤の硬化を強化する工程を含む。
【0034】
図2のステップ(a)において、まず、フレキシブルプリント基板116をタッチ基板112に貼合し、そして、フレキシブルプリント基板116と共にタッチ基板112をディスプレイモジュール120に貼合するようにしてもよい。
【0035】
従来の方法によりタッチパネルとディスプレイモジュールを貼合する場合に、紫外線光が、印刷インクによりレンズ上に形成された不透光層を通過することができないため、レンズの印刷インクの下の光硬化液体接着剤の光硬化が完全にできない。本実施の形態の方法によれば、タッチ基板とフレキシブルプリント基板がほぼ透明であるため、紫外線の照射により接着層を形成する紫外線硬化液体接着剤の完全硬化が可能である。さらに、レンズ上の印刷インクの影響も無いことも、紫外線硬化液体接着剤の完全硬化に貢献する。
【0036】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、上述実施の形態に対して、さまざまな変更、増減を加えてもよい。これらの変更、増減が加えられた変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。また、本発明は、図示の構成に限定されることもない。
【符号の説明】
【0037】
100 タッチ・ディスプレイ装置
110 タッチパネル
112 タッチ基板
114 レンズ
116 フレキシブルプリント基板
118 第2の接着層
120 ディスプレイモジュール
122 ディスプレイパネル
124 ディフューザー
130 第1の接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の接着剤により、ディスプレイモジュールをタッチ基板に貼合するステップ(a)と、
第2の接着剤により、レンズを前記ディスプレイモジュールの表面に貼合するステップ(b)とを有する、
タッチ・ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1の接着剤及び/または前記第2の接着剤は、光硬化液体接着剤である、
請求項1に記載のタッチ・ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項3】
前記光硬化液体接着剤は、紫外線硬化液体接着剤と、熱誘発紫外線硬化液体接着剤と、水分誘発紫外線硬化液体接着剤と、これらの組合せから選択されたものである、
請求項2に記載のタッチ・ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項4】
前記ステップ(a)と前記ステップ(b)の間に、前記第1の接着剤に対して光硬化処理を施し、第1の接着層を形成するステップ(c)をさらに有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のタッチ・ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(b)の後に、前記第2の接着剤に対して光硬化処理を施し、第2の接着層を形成するステップ(d)をさらに有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のタッチ・ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1の接着剤と前記第2の接着剤が熱誘発紫外線硬化液体接着剤であり、
前記光硬化処理は、さらに、
紫外線光により前記熱誘発紫外線硬化液体接着剤の光硬化を施し、
加熱工程により、前記熱誘発紫外線硬化液体接着剤の硬化を強化する処理を含む、
請求項4または5に記載のタッチ・ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1の接着剤と前記第2の接着剤が水分誘発紫外線硬化液体接着剤であり、
前記光硬化処理は、さらに、
紫外線光により前記水分誘発紫外線硬化液体接着剤の光硬化を施し、
水分により、前記水分誘発紫外線硬化液体接着剤の硬化を強化する処理を含む、
請求項4または5に記載のタッチ・ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項8】
フレキシブルプリント基板を前記タッチ基板に貼合するステップをさらに有する、
請求項1から7のいずれか1項に記載のタッチ・ディスプレイ装置の製造方法。
【請求項9】
タッチ基板と、
第1の接着層により前記タッチ基板に貼合されたディスプレイモジュールと、
第2の接着層により前記タッチ基板の表面に貼合されたレンズとを備える、
タッチ・ディスプレイ装置。
【請求項10】
前記第1の接着層と前記第2の接着層は、紫外線硬化液体接着剤と、熱誘発紫外線硬化液体接着剤と、水分誘発紫外線硬化液体接着剤と、これらの組合せから選択されたものにより形成されている、
請求項9に記載のタッチ・ディスプレイ装置。
【請求項11】
前記第1の接着層及び/または前記第2の接着層は、アクリルまたはシリコンベースの製品である、
請求項10に記載のタッチ・ディスプレイ装置。
【請求項12】
前記レンズの回りに、不透光層が形成されている、
請求項9から11のいずれか1項に記載のタッチ・ディスプレイ装置。
【請求項13】
前記タッチ基板上に、
タッチ感知層と、
前記タッチ感知層と電気的に接続された周辺回路層とが形成されている、
請求項9から12のいずれか1項に記載のタッチ・ディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−65009(P2013−65009A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−192809(P2012−192809)
【出願日】平成24年9月3日(2012.9.3)
【出願人】(509205375)宸鴻科技(廈門)有限公司 (17)
【Fターム(参考)】