説明

タッチ感知回路

【課題】隣接した駆動電極のカップリングキャパシタンスの変化の差を検出し、タッチスクリーンパネルに対するタッチ有無を感知することでディスプレイノイズを除去することができるタッチ感知回路の提供。
【解決手段】第1駆動電極に印加された駆動信号と第1駆動電極に隣接した第2駆動電極に印加された駆動信号の入力をそれぞれ受け、微分して第1微分信号及び第2微分信号を生成する微分器と、第1微分信号及び第2微分信号の入力を受け、増幅して増幅信号(out_amp)を出力する増幅器、及び、差動増幅信号の入力を受け、直流信号に変換された検出信号を出力する検出器を具備し、第1駆動電極と第1受信電極、及び、第2駆動電極と第2受信電極が交差するノードに形成された第1カップリングキャパシタンス、及び、第2カップリングキャパシタンスの変化の差をセンシングし、タッチスクリーンパネルのタッチ可否を感知するタッチ感知回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ感知回路に関するものであり、より詳細には、タッチスクリーンパネルに指を接触した時お互いに隣接した駆動電極のカップリングキャパシタンスの変化の差を検出してタッチスクリーンパネルに対するタッチ可否を感知することができるタッチ感知回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化によって入力装置としてタッチスクリーンパネル(Touch Screen Panel:以下、「TSP」と称する。)をたくさん使用するようになるが、TSPの後面にディスプレイ装置が具備されて、これから出射された映像などがTSPを透過して利用者に見られて、利用者がその映像を見ながらTSPを接触して命令を印加すれば、利用者の命令を電子機器が遂行するようになる。
【0003】
このようなTSPは、静電容量方式によってTSP上の入力位置を検出できるようにする技術が成り行き化されているが、静電容量方式とは、人がTSPの電極上に形成された誘電体膜を指で接触するようになれば、静電容量(capacitance)を通じて微細な瞬間的な電流の変化が生じてこれから接触位置を検出できるようにする方式を言う。
【0004】
一方、このような静電容量方式のタッチスクリーンパネルによれば、使用者がTSPを使用する時いくつかの指を通じていくつかのポイントを同時にタッチする多重タッチ(multi-touch)が発生する場合にも色々なタッチポイントを同時に認識することが可能である。
【0005】
図1は、従来の静電容量方式のタッチ感知装置を示す図面である。
【0006】
図1を参考すれば、静電容量方式のタッチ感知装置100は列(row)方向に延長されて、複数個の感知チャンネル112a〜112nに連結された複数個の駆動電極111a〜111nと、行(column)方向に延長されて、複数個の感知チャンネル114a〜114nに連結された複数個の受信電極113a〜113nを具備したタッチスクリーンパネル110と検出手段120を含む。
【0007】
複数個の駆動電極111a〜111nと複数個の受信電極113a〜113nは、お互いに異なる平面上に配列されているし、寄生抵抗(Rp)や寄生キャパシタンス(Cp)のような寄生インピーダンス(Zp)を含んでいる。また、複数個の駆動電極111a〜111nと複数個の受信電極113a〜113nが交差するノードではそれぞれカップリングキャパシタンス(Cc)が形成される。したがって、複数個の駆動電極111a〜111nとカップリングキャパシタンス(Cc)及び複数個の受信電極113a〜113nは、カップリングキャパシタンスの変化が検出される検出経路を形成するようになる。
【0008】
この時、使用者によって複数個の駆動電極111a〜111nのうちいずれか一つの駆動電極がタッチされた場合、タッチがなされた駆動電極と、これと交差する受信電極との間でカップリングキャパシタンス(Cc)の変化が起きるようになって、検出手段120を通じてこれを感知してタッチスクリーンパネル110に対するタッチ有無を判断する。
【0009】
図2は、タッチスクリーンパネルの構造を示す図面である。
【0010】
一般に、タッチスクリーンパネル(TSP)はディスプレイパネルに設置される形態によってアドオンタイプ(Add-On Type)とオンセルタイプ(On-Cell Type)で分類される。
【0011】
図2の(a)は、アドオンタイプ(Add-On Type)のタッチスクリーンパネルを示す図面であり、図2の(b)は、オンセルタイプ(On-Cell Type)のタッチスクリーンパネルを示す図面である。
【0012】
図2の(a)に示されたところのようにアドオンタイプ(Add-On Type)のタッチスクリーンパネル(TSP)は、TFT基板11、カラーフィルター基板12、離隔層13、タッチスクリーン基板14及び強化硝子基板15が順次に形成された構造を有する。
【0013】
一方、図2の(b)に示されたところのようにオンセルタイプ(On-Cell Type)のタッチスクリーンパネル(TSP)は、カラーフィルター基板12の上部に離隔層がなしにすぐタッチスクリーン基板14が形成された構造を有する。
【0014】
オン−セルタイプ(on-Cell Type)のタッチスクリーンパネル(TSP)構造は、パネルの全体的な厚さを減少させることができるという点で長所がある。しかし、アド−オンタイプ(add-On Type)のタッチスクリーンパネル(TSP)に比べて、ディスプレイ駆動回路が形成されているTFT基板11とタッチスクリーン基板14の間の距離が近くなってディスプレイノイズ(Display noise)及びピークノイズ(Peak noise)に脆弱な問題がある。
【0015】
図2の(c)に示されたところのようにタッチスクリーン基板14の駆動電極とTFT基板11のソースライン、ゲートライン及び中間電圧ラインの間では多くの形態の寄生キャパシタンス(CS、CG、CCOM)が発生される。しかし、オン−セルタイプ(on-Cell Type)のタッチスクリーンパネル(TSP)ではタッチスクリーン基板14とTFT基板11との間が近くなることによって前記した多くの形態の寄生キャパシタンス(CS、CG、CCOM)がさらに増加する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明が達成しようとする技術的課題は、オン−セルタイプのタッチスクリーンパネル構造で差動増幅器を使用してお互いに隣接した駆動電極のカップリングキャパシタンスの変化の差を検出して、タッチスクリーンパネルに対するタッチ有無を感知することで、ディスプレイノイズを除去することができるタッチ感知回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記技術的課題を達成するための本発明によるタッチ感知回路は、複数個の駆動電極と、複数個の受信電極を具備して前記駆動電極と前記受信電極が交差するノードにカップリングキャパシタンスが形成されるタッチスクリーンパネルに対してタッチによって変化されたカップリングキャパシタンス値をセンシングして、タッチスクリーンパネルに対するタッチ可否を感知するタッチ感知回路において、前記第1駆動電極に印加された駆動信号と、前記第1駆動電極に隣接した前記第2駆動電極に印加された駆動信号の入力をそれぞれ受けて、これを微分して第1微分信号及び第2微分信号を生成する微分器と、前記第1微分信号及び前記第2微分信号の入力を受けて、これを増幅して増幅信号(out_amp)を出力する増幅器及び前記差動増幅信号の入力を受けて、直流信号に変換された検出信号を出力する検出器を具備して、前記第1駆動電極と第1受信電極が交差するノードに形成された第1カップリングキャパシタンス及び前記第2駆動電極と第2受信電極が交差するノードに形成された第2カップリングキャパシタンスの変化の差をセンシングして、タッチスクリーンパネルのタッチ可否を感知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるタッチ感知回路によれば、カップリングキャパシタンスの変化を感知することにおいて、共通モードが除去された差動増幅器を使用することでディスプレイのノイズを効果的に除去することができる長所がある。
【0019】
また、必要によって差動増幅器以外に利得増幅器を追加的に使用して、高速で動作する差動増幅器の利得を償ってくれることで、大型パネルで高速の多重タッチが可能になる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】従来の静電容量方式のタッチ感知装置を示す図面である。
【図2】一般なタッチスクリーンパネルの構造を示す図面である。
【図3】本発明によるタッチ感知回路の全体構成を示すブロック図である。
【図4】本発明によるタッチ感知回路の微分器と増幅器の詳細構成を示す図面である。
【図5】本発明によるタッチ感知回路で隣接した二つのラインのカップリングキャパシタンス値を読み出す動作を概念的に説明するための図面である。
【図6】本発明によるタッチ感知回路の増幅器の他の実施例を示す図面である。
【図7】本発明によるタッチ感知回路の検出器の詳細構成を示す図面である。
【図8】本発明によるタッチ感知回路の検出器の他の実施例を示す図面である。
【図9】本発明によるタッチ感知回路のサンプルホールド増幅器の構成を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例をより詳しく説明するようにする。
【0022】
図3は、本発明によるタッチ感知回路の全体構成を示すブロック図であり、図4は、本発明によるタッチ感知回路の微分器と増幅器の詳細構成を示す図面である。
【0023】
図3ないし図4に示されたところのように本発明によるタッチ感知回路300は、タッチスクリーンパネル200に対するタッチ可否を感知することで、微分器310、増幅器320、検出器330及びサンプルホールド増幅器340を具備する。
【0024】
一般なタッチスクリーンパネルは、図1に示されたところのように列方向に配列された複数個の駆動電極及び行方向に配列された複数個の受信電極が形成されているし、前記駆動電極と前記受信電極はお互いに異なる平面上に配列されている。しかし、本発明を説明する図3及び図4では、図面の単純化及び説明の便宜のために複数の駆動電極及び複数の受信電極のうちで第1駆動電極210と第2駆動電極230及び第1受信電極220と第2受信電極240のみを示した。
【0025】
図4に示されたところのように、第1駆動電極210は第1及び第2寄生抵抗(Rp1、Rp2)と第1寄生キャパシタンス(Cp1)のような寄生インピーダンスを含んでいるし、第1受信電極220は第3及び第4寄生抵抗(Rp3、Rp4)と第2寄生キャパシタンス(Cp2)のような寄生インピーダンスを含んでいる。また、第1駆動電極210と第1受信電極220が交差するノードには第1カップリングキャパシタンス(Cc1)が形成される。
【0026】
第2駆動電極230は、第5及び第6寄生抵抗(Rp5、Rp6)と第3寄生キャパシタンス(Cp3)のような寄生インピーダンスを含んでいるし、第2受信電極240は第7及び第8寄生抵抗(Rp7、Rp8)と第4寄生キャパシタンス(Cp4)のような寄生インピーダンスを含んでいる。また、第2駆動電極230と第2受信電極240が交差するノードには第2カップリングキャパシタンス(Cc2)が形成される。
【0027】
これによって外部から前記第1駆動電極210及び第2駆動電極230にタッチがなされた場合、第1駆動電極210と第1カップリングキャパシタンス(Cc1)及び第1受信電極220に沿ってカップリングキャパシタンスの変化が検出される第1検出経路が形成されて、第2駆動電極230と第2カップリングキャパシタンス(Cc2)及び第2受信電極240に沿ってカップリングキャパシタンスの変化が検出される第2検出経路が形成される。
【0028】
一方、第1駆動信号(in_n)及び第2駆動信号(in_n+1)は、電源電圧(VCC)の大きさを有する交流信号(AC-signal)で第1駆動電極210及び第2駆動電極230に印加されて、矩形波(Rectangle pulse)またはランプ波(Ramped pulse)などが使用されることができる。また、第1駆動信号(in_n)及び第2駆動信号(in_n+1)は同一な信号であることができる。
【0029】
微分器310は、第1駆動電極210に印加された第1駆動信号(in_n)と、第1駆動電極210に隣接した第2駆動電極230に印加された第2駆動信号(in_n+1)を微分して、第1微分信号(Vin+)及び第2微分信号(Vin−)を生成する。
【0030】
前記微分器310は、第1カップリングキャパシタンス(Cc1)と第1微分抵抗(Rx1)で形成される第1微分器と、第2カップリングキャパシタンス(Cc2)と第2微分抵抗(Rx2)に形成される第2微分器で構成されることができる。
【0031】
第1カップリングキャパシタンス(Cc1)は、タッチスクリーンパネル200の第1駆動電極210と第1受信電極220が交差されるノードに形成されて、第1端子が前記第1駆動電極210に連結されて、第2端子が前記第1受信電極220に連結される。
【0032】
第1微分抵抗(Rx1)は、第1端子が前記第1カップリングキャパシタンス(Cc1)の第2端子に連結された第1受信電極220及び前記増幅器320の非反転入力端(+)に共通で連結されて、第2端子が第2微分抵抗(Rx2)の第2端子に連結される。また、第1微分抵抗(Rx1)の第2端子及び第2微分抵抗(Rx2)の第2端子が共通で連結されたノードには基準電圧(HVCC)が印加される。
【0033】
第2カップリングキャパシタンス(Cc2)は、第2駆動電極230と第2受信電極240が交差されるノードに形成されて、第1端子が前記第2駆動電極230に連結されて、第2端子が前記第2受信電極240に連結される。
【0034】
第2微分抵抗(Rx2)は、第1端子が前記第2カップリングキャパシタンス(Cc2)の第2端子に連結された第2受信電極240及び前記増幅器320の反転入力端(−)に共通で連結されて、第2端子が第1微分抵抗(Rx1)の第2端子に連結される。
【0035】
式(1)及び式(2)は、第1微分信号(Vin+)及び第2微分信号(Vin−)の大きさを示す式である。
【数1】

【数2】

【0036】
交流信号(AC signal)である駆動信号(in_n、in_n+1)が入力されれば、寄生キャパシタンス(Cp1〜Cp4)と、カップリングキャパシタンス(Cc1、Cc2)及び寄生抵抗(Rp1〜Rp8)のインピーダンスが変わるようになる。このようにインピーダンスが変わる寄生キャパシタンス(Cp1〜Cp4)とカップリングキャパシタンス(Cc1、Cc2)及び寄生抵抗(Rp1〜Rp8)によって分配された信号を、第1微分抵抗(Rx1)と第2微分抵抗(Rx2)とを通じて信号の大きさを変更して第1微分信号(Vin+)及び第2微分信号(Vin−)の大きさを調節する。
【0037】
一般に、タッチスクリーンパネル(TSP)の材質的な特性や大きさまたはタッチスクリーン基板とディスプレイ基板の構成やその材質によって寄生抵抗と寄生キャパシタンスは固有の値を有する。したがって、寄生抵抗または寄生キャパシタンスの値を変更して、第1微分信号(Vin+)及び第2微分信号(Vin−)の大きさを調節することはとても難しい。
【0038】
これに本発明では、第1微分抵抗(Rx1)と、第2微分抵抗(Rx2)及び基準電圧(HVCC)の値を調整して、増幅器320の入力信号である第1微分信号(Vin+)及び第2微分信号(Vin−)の大きさを調節するようにした。
【0039】
式(1)を参考すれば、第1微分抵抗(Rx1)値を変更することによって電源電圧(VCC)及び基準電圧(HVCC)に対する電圧分配比が変更されて第1微分信号(Vin+)の大きさを調節することができる。
【0040】
また、式(2)を参考すれば、第2微分抵抗(Rx2)値を変更することによって電源電圧(VCC)及び基準電圧(HVCC)に対する電圧分配比が変更されて、第2微分信号(Vin−)の大きさを調節することができる。
【0041】
一方、第1微分抵抗(Rx1)の第2端子及び第2微分抵抗(Rx2)の第2端子の共通ノードに基準電圧(HVCC)以下の電圧が印加される場合、式(1)及び式(2)で基準電圧(HVCC)による電圧成分の値が変わるようになって、所望の大きさの第1微分信号(Vin+)及び第2微分信号(Vin−)を得るためには第1微分抵抗(Rx1)と第2微分抵抗(Rx2)の変動幅を大きくしなければならない。
【0042】
本発明で第1微分抵抗(Rx1)と第2微分抵抗(Rx2)で表示した素子は、固定された値ではなく可変的にすることができる。可変抵抗はよく半導体製造過程で使用される拡散層、またはポリシリコン層で製造されることができるし、抵抗値は各抵抗らの物理的な幅と長さなどを決めておいた後、適切な長さで金属線をコンタクト(contact)する方法に変化させることができる。
【0043】
一方、トランジスターを利用する場合にも本発明の可変抵抗を作ることができる。トランジスターを利用する抵抗値の変化は、ゲート物質の幅と広さの比(ratio)だけでなく、トランジスターのゲート電圧及びしきい電圧、移動度、ゲート酸化膜の厚さなどの変数でもあるので、これらを適切に変えてくれればトランジスターを利用して抵抗値の変化を導き出すことができる。以下、本発明で便宜上抵抗で表記されたすべての素子らは、このように可変抵抗になることができることを留意しなければならない。
【0044】
また、式(1)及び式(2)で見るように基準電圧(HVCC)は、電源電圧(VCC)の1/2値を有することが望ましいが、場合によって電源電圧(VCC)と接地との間のどのようなDC電圧であっても、本発明の意図を達成することができることは当然である。
【0045】
このように本発明では、第1微分抵抗(Rx1)と第2微分抵抗(Rx2)及び基準電圧(HVCC)端子をお互いに連結させて、第1微分抵抗(Rx1)及び第2微分抵抗(Rx2)の共通ノードに基準電圧(HVCC)を印加することで、第1微分抵抗(Rx1)及び第2微分抵抗(Rx2)の小さな変化にも第1微分信号(Vin+)及び第2微分信号(Vin−)を所望の大きさで調節できるようにした。
【0046】
また、これを通じてタッチスクリーンパネルの構成またはタッチスクリーン基板とディスプレイ基板の構成が変更される場合にも、第1カップリングキャパシタンス(Cc1)と第2カップリングキャパシタンス(Cc2)の変化された値を通じてタッチスクリーンパネル200に対するタッチ可否を効果的に感知できるようにした。
【0047】
前記増幅器320は、前記第1微分信号(Vin+)を、非反転入力端(+)に入力を受けて前記第2微分信号(Vin−)を反転入力端(−)に入力を受けて、これを増幅して増幅信号(out_amp)を出力する差動増幅器で具現することが望ましい。
【0048】
増幅器320の出力信号である増幅信号(out_amp)の大きさは下の式と一緒に第1微分信号(Vin+)と第2微分信号(Vin−)の大きさの差によって求められる。
【数3】

ここで、Avは増幅器320の電圧利得を意味する。
【0049】
本発明は、一つのタッチラインのカップリングキャパシタンスの変化を比べてタッチスクリーンパネルへのタッチ可否を感知する従来の技術と異なり隣接した二つのタッチラインのカップリングキャパシタンスの相対的な変化を比べてタッチ可否を感知することであるという点に特徴がある。
【0050】
すなわち、タッチスクリーンパネルに指をタッチした場合、タッチが発生されたラインとタッチが発生されない隣接したラインのカップリングキャパシタンス値を比べてタッチによって変化されたカップリングキャパシタンス値を読み出して、これをアナログデジタル変換器及びプロセッサで処理することでタッチスクリーンパネルのタッチされた座標を読み出す。
【0051】
一方、隣接した二つのラインがすべて接触されたが、一つのラインは接触がたくさんされて、カップリングキャパシタンス値の変化が大きくて、他の一つのラインは接触が相対的に少なくなってカップリングキャパシタンス値の変化が小さな場合二つのライン間の変化されたカップリングキャパシタンス値を読み出して、これを処理してタッチされたタッチスクリーンパネルの座標を得る。
【0052】
図5は、本発明によるタッチ感知回路で隣接した二つのラインのカップリングキャパシタンス値を読み出す動作を概念的に説明するための図面である。図5では単純化及び説明の便宜のために寄生抵抗及び寄生キャパシタンスは略した。
【0053】
図5に示された差動増幅器の入力電圧である第1微分信号(Vin+)、第2微分信号(Vin−)及び差動増幅器の出力電圧である増幅信号(out_amp)は式(4−1)ないし式(4−3)によって求められる。
【数4】

【数5】

【数6】

【0054】
したがって、差動増幅器を利用して隣接した二つのライン間のカップリングキャパシタンスの変化の差(ΔC)を読み出して、これを利用してタッチスクリーンパネルに対するタッチ可否を感知することができる。増幅信号(out_amp)の極性は、第1カップリングキャパシタンス(Cc1)と第2カップリングキャパシタンス(Cc2)のうちどのカップリングキャパシタンスがタッチされたかを示す。
【0055】
一般に、増幅器は利得(Gain)を上げればバンド幅(Bandwidth)が小さくなって、利得(Gain)を低めればバンド幅(Bandwidth)が広くなる特性を有する。最近になってパネルの大きさが大型化されることによって高速の多重タッチ(multi-touch)が可能なシステムを駆動するためには早いスピードで動作することができる差動増幅器が要求される。
【0056】
このように早いスピードで動作する差動増幅器が使用される場合には、差動増幅器の利得を大きく上げることができないし、制限された差動増幅器の利得を償うために利得増幅器が追加的に使用されることができる。
【0057】
図6は、本発明によるタッチ感知回路の増幅器の他の実施例を示す図面である。
【0058】
図6を参考すれば本発明によるタッチ感知回路の増幅器320は、差動増幅器321と利得増幅器322を含んで構成されることができる。
【0059】
前記差動増幅器321は、第1微分信号(Vin+)を非反転入力端(+)に入力を受けて、前記第2微分信号(Vin−)を反転入力端(−)に入力を受けて、これを増幅して差動出力信号(out_diff)を出力する。利得増幅器322は前記差動増幅器321の出力である差動出力信号(out_diff)の入力を受けて、利得を調節して利得が調節された信号である前記増幅信号(out_amp)を出力する。
【0060】
利得増幅器322は、利得演算増幅器322−1、第1利得抵抗(Rg1)及び第2利得抵抗(Rg2)で構成される。
【0061】
利得演算増幅器322−1は、非反転入力端(+)に基準電圧(HVCC)が印加されて、反転入力端(−)には差動出力信号(out_diff)が第1利得抵抗(Rg1)を通じて入力される。
【0062】
第1利得抵抗(Rg1)は、第1端子が前記差動増幅器321の出力端に連結されて、第2端子が前記利得演算増幅器322−1の反転入力端(−)に連結される。
【0063】
第2利得抵抗(Rg2)は、第1端子が前記利得演算増幅器322−1の出力端に連結されて、第2端子が前記第1利得抵抗(Rg1)の第2端子及び前記利得演算増幅器322−1の反転入力端(−)に共通で連結される。
【0064】
利得増幅器322は、第1利得抵抗(Rg1)と第2利得抵抗(Rg2)の比によって差動増幅器321の出力である差動出力信号(out_diff)を増幅する回路であって、利得増幅器322の出力である増幅信号(out_amp)の大きさは、次の式によって求められる。
【数7】

【0065】
一方、本発明による利得増幅器322は、差動増幅器321の構成及び検出器330の構成によって差動入力(Differential input)が可能な構造に変更使用されることができる。
【0066】
図7は、本発明によるタッチ感知回路の検出器の詳細構成を示す図面である。
【0067】
検出器330は、交流信号(AC-signal)である増幅信号(out_amp)の入力を受けて、これを直流信号(DC-signal)に変換して検出信号(out_int)を出力する。
【0068】
前記検出器330は、積分増幅器331と、積分抵抗(Ri)と、積分キャパシタンス(Ci)及び積分スイッチ(SWi)を含む積分器で具現されることができる。
【0069】
前記積分増幅器331は、非反転入力端(+)に基準電圧(HVCC)が入力されて、反転入力端(−)に増幅器320の出力である増幅信号(out_amp)が積分抵抗(Ri)を通じて入力される。
【0070】
積分抵抗(Ri)は、第1端子が前記増幅器320の出力端に連結されて、第2端子が前記積分増幅器331の反転入力端(−)に連結される。積分キャパシタンス(Ci)は、第1端子が前記積分増幅器331の出力端に連結されて、第2端子が前記積分増幅器331の反転入力端(−)に連結される。積分スイッチ(SWi)は積分キャパシタンス(Ci)と並列で連結されて、前記積分キャパシタンス(Ci)をリセットさせる。
【0071】
積分器で具現された前記検出器330の出力である検出信号(out_int)は、下の式によって求められることができる。
【数8】

【0072】
積分器で具現された前記検出器330は、増幅器320の構成及びサンプルホールド増幅器340の構成によって差動入力(Differential input)が可能な構造に変更使用されることができる。
【0073】
図8は、本発明によるタッチ感知回路の検出器の他の実施例を示す図面である。
【0074】
図8に示されたところのように本発明によるタッチ感知回路の検出器330は、受動型ピークデテクター330aまたは能動型ピークデテクター330bで具現されることができる。
【0075】
図8の(a)に示された受動型ピークデテクター330aは、第1端子が前記増幅器320の出力端に連結された第1ピークダイオード(Dpk1)と、第1端子が前記第1ピークダイオード(Dpk1)の第2端子に連結されて、第2端子が接地されている第1ピークキャパシタンス(Cpk1)を含んで構成される。
【0076】
一方、図8の(b)に示された能動型ピークデテクター330bは、非反転入力端(+)に前記増幅信号(out_amp)が印加されるピーク増幅器330b−1と、第1端子が前記ピーク増幅器330b−1の出力端に連結された第2ピークダイオード(Dpk2)と、第1端子が前記第2ピークダイオード(Dpk2)の第2端子及び前記ピーク増幅器330b−1の反転入力端(−)に共通で連結されて、第2端子が接地されている第2ピークキャパシタンス(Cpk2)を含んで構成される。
【0077】
図9は、本発明によるタッチ感知回路のサンプルホールド増幅器の構成を示す図面である。
【0078】
図9に示されたところのようにサンプルホールド増幅器340は、第1入力端に基準電圧(HVCC)が入力されて、第2入力端に検出器の出力である検出信号(out_int)が入力される。
【0079】
前記サンプルホールド増幅器340は、制御信号(図示せず)に回答してオンオフされるサンプルホールドスイッチ(SWsh1〜SWsh5)と、サンプルホールドコンデンサ(Csh1〜Csh4)及びサンプルホールド演算増幅器341の動作によって基準電圧(HVCC)及び検出信号(out_int)を増幅してホルディングして、サンプルホールド信号(out_n、out_n+1)を生成した後、アナログデジタル変換器(ADC)に伝達する。
【0080】
一方、前記サンプルホールド増幅器は、本発明によるタッチ感知回路300ではない外部のアナログデジタル変換器(ADC)内に具現されることもできる。
【0081】
以上のように本発明によるタッチ感知回路は、カップリングキャパシタンスの変化を感知するのにおいて、共通モードが除去された差動増幅器を使用することで、ディスプレイによる共通モードノイズを除去することができて、オン−セルタイプのタッチスクリーンパネル構造でも高速のマルチタッチが可能な長所がある。
【0082】
以上で本発明に対する技術思想を添付図面と共に敍述したが、これは本発明の望ましい実施例を例示的に説明したものであって、本発明を限定するものではない。また、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者なら誰も本発明の技術的思想の範疇を離脱しない範囲内で多様な変形及び模倣が可能であることは明白な事実である。
【符号の説明】
【0083】
200 タッチスクリーンパネル
210 第1駆動電極
220 第1受信電極
230 第2駆動電極
240 第2受信電極
300 タッチ感知回路
310 微分器
320 増幅器
330 検出器
340 サンプルホールド増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の駆動電極と、複数個の受信電極を具備して、前記駆動電極と前記受信電極が交差するノードにカップリングキャパシタンスが形成されるタッチスクリーンパネルに対してタッチによって変化されたカップリングキャパシタンス値をセンシングして、タッチスクリーンパネルに対するタッチ可否を感知するタッチ感知回路において、
第1駆動電極に印加された駆動信号と、前記第1駆動電極に隣接した第2駆動電極に印加された駆動信号の入力をそれぞれ受けて、第1微分信号及び第2微分信号を生成する微分器と、
前記第1微分信号及び前記第2微分信号の入力を受けて、増幅信号(out_amp)を出力する増幅器と、及び
前記差動増幅信号の入力を受けて、検出信号を出力する検出器を具備して、
前記第1駆動電極と第1受信電極が交差するノードに形成された第1カップリングキャパシタンス及び前記第2駆動電極と第2受信電極が交差するノードに形成された第2カップリングキャパシタンスの変化の差をセンシングして、タッチスクリーンパネルのタッチ可否を感知することを特徴とするタッチ感知回路。
【請求項2】
前記微分器は、
前記第1カップリングキャパシタンス(Cc1)と、第1端子が前記第1受信電極を通じて前記第1カップリングキャパシタンス(Cc1)の一端子に連結された第1微分抵抗(Rx1)を具備して、第1微分信号(Vin+)を生成する第1微分器及び
前記第2カップリングキャパシタンス(Cc2)と、第1端子が前記第2受信電極を通じて前記第2カップリングキャパシタンス(Cc2)の一端子に連結された第2微分抵抗(Rx2)を具備して、第2微分信号(Vin−)を生成する第2微分器と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のタッチ感知回路。
【請求項3】
前記微分器は、
前記第1微分抵抗(Rx1)及び前記第2微分抵抗(Rx2)の大きさを変更することで、前記第1微分信号(Vin+)及び前記第2微分信号(Vin−)の大きさを調節することができることを特徴とする請求項2に記載のタッチ感知回路。
【請求項4】
前記第1微分抵抗(Rx1)の第2端子及び前記第2微分抵抗(Rx2)の第2端子はお互いに連結されているし、
前記第1微分抵抗(Rx1)の第2端子及び前記第2微分抵抗(Rx2)の第2端子の連結ノードに基準電圧(HVCC)が印加されることを特徴とする請求項2に記載のタッチ感知回路。
【請求項5】
前記増幅器は、
前記第1微分信号を非反転入力端に入力を受けて、前記第2微分信号を反転入力端に入力を受けて、差動出力である前記増幅信号(out_amp)を出力する差動増幅器でなされたことを特徴とする請求項1に記載のタッチ感知回路。
【請求項6】
前記増幅器は、
前記第1微分信号を非反転入力端に入力を受けて、前記第2微分信号を反転入力端に入力を受けて、これを増幅して差動出力信号(out_diff)を出力する差動増幅器及び
前記差動出力信号の入力を受けて、利得を調節して前記増幅信号(out_amp)を出力する利得増幅器と、を含んでなされることを特徴とする請求項1に記載のタッチ感知回路。
【請求項7】
前記利得増幅器は、
非反転入力端に基準電圧(HVCC)が印加される利得演算増幅器と、
第1端子が前記差動増幅器の出力端子に連結されて、第2端子が前記利得演算増幅器の反転入力端に連結された第1利得抵抗(Rg1);及び
第1端子が前記利得演算増幅器の出力端に連結されて、第2端子が前記第1利得抵抗(Rg1)の第2端子及び前記利得演算増幅器の反転入力端に共通で連結された第2利得抵抗(Rg2);を具備することを特徴とする請求項6に記載のタッチ感知回路。
【請求項8】
前記検出器は、
非反転入力端に基準電圧が入力される積分増幅器と、第1端子が前記増幅器の出力端に連結されて、第2端子が前記積分増幅器の反転入力端に連結される積分抵抗(Ri)と、第1端子が前記積分増幅器の出力端に連結されて、第2端子が前記積分抵抗(Ri)の第2端子及び前記積分増幅器の反転入力端に共通で連結される積分キャパシタンス(Ci)と、前記積分キャパシタンス(Ci)と並列で連結された積分スイッチ(SWi)を含む積分器でなされることを特徴とする請求項5または6に記載のタッチ感知回路。
【請求項9】
前記検出器は、
第1端子が前記増幅器の出力端に連結された第1ピークダイオード(Dpk1)と、第1端子が前記第1ピークダイオード(Dpk1)の第2端子に連結されて、第2端子が接地されている第1ピークキャパシタンス(Cpk1)を含む受動ピークデテクターでなされることを特徴とする請求項5または6に記載のタッチ感知回路。
【請求項10】
前記検出器は、
非反転入力端に前記増幅信号が印加されるピーク増幅器と、第1端子が前記ピーク増幅器の出力端に連結された第2ピークダイオード(Dpk2)と、第1端子が前記第2ピークダイオード(Dpk2)の第2端子及び前記ピーク増幅器の反転入力端に共通で連結されて、第2端子が接地されている第2ピークキャパシタンス(Cpk2)を含む能動ピークデテクターでなされることを特徴とする請求項5または6に記載のタッチ感知回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−227906(P2012−227906A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247654(P2011−247654)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(508038091)シリコン・ワークス・カンパニー・リミテッド (46)
【氏名又は名称原語表記】Silicon Works Co., LTD.
【Fターム(参考)】