説明

タップ及びコンセント

【課題】 比較的簡素な小型の構造で待機電源の維持を要する機器と、待機電源の維持を要しない機器を、異なる回路に接続することが可能であり、且つ待機電源の維持を要しない機器への電力供給を一括遮断することができるタップ及びコンセントの提供。
【解決手段】 複数のソケット1を備える単相二線式電源系統のタップであって、単相二線式電源系統のソケット1に接続する電源プラグを備え、前記電源プラグを介して接続する二線のうちの一本に繋がる共用回路2aを備え、前記電源プラグを介して接続する二線のうちの他の一本から二つに分岐した二つの選択回路2b,2cを備え、各ソケット1に、共用回路2aに接続した単一の共用端子4aと、各選択回路2b,2cに各々接続した二つの選択端子4b,4cを備え、各ソケット1の端子は、共用端子4aを中央に配置し、その左右両側に選択端子4b,4cを配置し、各端子の間隔を、電源プラグが備える一対の接続刃の間隔に等しく設定したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内における単相二線式電源系統において、主電源を切断すべき電気機器への電力の供給を一括して遮断し、待機電力を維持すべき機器への電力の供給を維持する機能を持ったタップ及びコンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭における電化製品において、内部時計機能等を維持すべく待機電力を必要とする機器がある一方で、携帯電話充電器等のACアダプターや電気ストーブやトースターの様に、使用していない場合には省エネの観点からプラグをコンセントから抜き、電源の供給を遮断すべき電気機器がある。
例えば、パーソナルコンピュータ(以下PCと記す)周りの延長コード延長タップにあっては、ディスプレイ、プリンタ、スキャナ、アンプ付スピーカやノートパソコンなど、使用時以外は電源を切断して構わないものと、インターネット回線機器、デスクトップPC本体、電話ファクシミリ等の様に、電源を常時接続すべきものが混在する形で、電源プラグが常時ソケットに接続されている。
【0003】
今日、ソケット毎に節電スイッチがついたものも提供されているが、ソケット毎に電源の切断及び接続を行なうのではその煩に耐えない。
下記特許文献の様に、新築時において、何れかの線を二線に分岐して都合三線を引き出し、分岐した二線の一方を一括して遮断することによって、その煩を解消する手法も紹介されている。即ち、従来の手法は、分電盤からの配線に三線コードを使用し、末端コンセント、又は端末コンセントへ接続延長タップ等に、待機電源維持が可能な通常のソケットと、スイッチで適宜切断し得る省エネ様のソケットを個別に取り付け、二種のソケットを選択的に使用するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−20488号公報
【特許文献2】特開2003−52112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この様な手法では、コンセント又はタップの限られた筐体の大きさに対して、備え得るソケットの個数が半分近くと少なくなり、今日でも深刻な問題となっている電源ソケット不足が、更に悪化することとなる(特許文献1参照)。また、家庭内配線が、上記の如く三線を引き出されていない場合にあっても、同様の要求を満足することができる手段の要請が強かった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、比較的簡素な小型の構造で待機電源の維持を要する機器と、待機電源の維持を要しない機器を、その性格に応じて機器毎に異なる回路に接続することが可能であり、且つ待機電源の維持を要しない機器への電力供給を一括遮断することができる構成を有しつつ、更に、ソケット不足を回避できるタップ及びコンセントの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為になされた本発明によるタップは、複数のソケットを備える単相二線式電源系統のタップである。
このタップは、単相二線式電源系統のソケットに接続する電源プラグを備え、必要に応じて延長ケーブルを備える。
【0008】
タップの筐体内には、前記電源プラグを介して接続する単相二線のうちの一本に繋がる共用回路を備えると共に、前記電源プラグを介して接続する単相二線のうちの他の一本から二つに分岐した二つの選択回路を備える。
各ソケットは、共用回路に接続した単一の共用端子と、各選択回路に各々接続した二つの選択端子を備え、各ソケットの端子は、共用端子を中央に配置し、その左右両側に選択端子を配置し、各端子の間隔を、電源プラグが備える一対の接続刃の間隔に等しく設定したことを特徴とする。
【0009】
何れか一方の選択端子に供給する電源を一括して遮断するスイッチを備えるタップとして構成しても良いし、電源プラグとタップ本体の間に延長ケーブルを接続した延長タップとして構成しても良い。
【0010】
上記課題を解決する為になされた本発明によるコンセントは、複数のソケットを備える単相二線式電源系統のコンセントである。
このコンセントは、タップの筐体内に、単相二線のうちの一本に繋がる共用回路を備えると共に、他の一本を二線に分岐した二つの選択回路を備える。
各ソケットは、共用回路に接続した単一の共用端子と、各選択回路に各々接続した二つの選択端子を備え、各ソケットの端子は、共用端子を中央に配置し、その左右両側に選択端子を配置し、各端子の間隔を、電源プラグが備える一対の接続刃の間隔に等しく設定したことを特徴とする。
【0011】
筐体内の共用回路及び選択回路に、単相二線を各々接続する引込端子を備える構成としても良い。
また、何れか一方の選択端子に供給する電源を一括して遮断するスイッチを備えるコンセントとしても良い。
【0012】
更に、筐体の選択端子に通じる端子孔を選択的に封じる蓋を、漏電防止や指し間違え防止対策として付設する場合もある。
また、蓋の替わりに、例えば、前記タップやソケットのいずれかの共用端子及び二つの選択端子と各々連結する共用刃及び選択刃を備えると共に、前記共用刃及びいずれか一方の選択刃と各々接続する二つの端子を有する電源プラグ接続用のソケットを備えた中継タップを用いる場合もある。
この中継タップは、筐体の表面に、ソケットの端子に連結する選択刃の所在(位置や向き)を示す印を備えるべきである。
【0013】
上記タップやコンセントが備えるソケットである二系統三線式回路のソケット(前記共用回路に接続した単一の共用端子と、各選択回路に各々接続した二つの選択端子を備えるソケット)に接続する共用刃及び二つの選択刃を備えるものであって、共用刃に繋がる共用回路、及び二つの選択刃に各々繋がる二つの選択回路を備えると共に、当該二つの選択回路の間を電気的に導通又は遮断し得るスイッチを備え、並びにそれらを支持する筐体を備える中継スイッチによれば、上記選択回路の遮断された一方を、他方の回路と適宜導通させることができる。
尚、この中継スイッチは、前記筐体内の共用回路、及び二つの選択回路のいずれか一方に、各々接続する単相二線式の端子を有する単数又は複数のソケットを備える構造とすることもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるタップ及びコンセントは、筐体内に共用回路と選択回路を備え、且つ各ソケットの端子として、共用端子を中央に配置し、その左右両側に選択端子を配置し、各端子の間隔を、電源プラグが備える一対の接続刃の間隔に等しく設定したことにより、共用端子と二つの選択端子のうちのいずれか一方の端子を対として構成した二組の系統に繋がる端子対を単一のソケットで構成することができる。
その結果、大きな筐体を要する事無く、数多くの機器について、待機電源の維持を要する機器と、待機電源の維持を要しない機器を、その性格に応じて分別して二つの系統にまとめることができ、そのうちの一系統に属する端子対について電源の供給及び遮断を一括して行なうスイッチを付設すれば、スイッチを付設した系統を待機電源遮断用系統とし、スイッチを付設しない系統を待機電源維持用系統として一括管理することができる。
また、単相二線を引き入れる電源プラグや、単相二線を接続する引込端子を備えることによって、新築時において、何れかの線を二線に分岐して都合三線を引き出さなくとも、コンセントを付設する際の接続工事、又はタップの接続によって、比較的容易に、上記の如く一括管理することができる。
【0015】
本発明による中継タップを使用すれば、共用刃と二つの選択刃を備える電源プラグをソケットに接続することによって、使用しない端子孔が封じられ、その端子孔に異物が入り込む等による短絡事故や漏電事故を防止することができ、更に、二つの選択刃の一方が開放状態にある回路構成とし、いずれが開放状態にある選択刃であるかを示す印を備えることによって、所望の系統に選択する際の挿し間違えも防止できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明によるコンセントの一例を示す斜視図である。
【図2】本発明によるコンセント及びタップに内蔵される電気回路の例を示す回路図である。
【図3】本発明によるタップの一例を示す(A):表面から見た斜視図、(B):裏面から見た斜視図、(C):内部の回路図である。
【図4】本発明によるコンセントの一例を示す正面図である。
【図5】本発明によるタップの一例を示す正面図である。
【図6】本発明による中継スイッチの一例を示す電気回路図である。
【図7】本発明による(A):中継スイッチ及び(B):タップの一例を示す説明図である。
【図8】本発明によるタップ及びコンセントを用いた実施態様図である。
【図9】本発明によるタップ及びコンセントを用いた家庭内配線の実施態様図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明によるタップ及びコンセント(以下コンセント等と記す)並びにそれを利用した配線の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1及び図4に示す実施の形態は、複数のソケット1を備える単相二線式電源系統のコンセントであり、図5に示す実施の形態は、複数のソケット1を備える単相二線式電源系統タップである。
【0018】
図1及び図4に示す実施の形態は、電気回路2と、それを支持し絶縁保護する筐体3とで構成される。
本実施の形態の電気回路2は、コンセント等の外の屋内配線、又はコンセント等の内部に引き込んだ単相二線式系統から、共用回路2aと選択回路2b,2cを形作ったものである(以下この操作を二系統三線化とし形作られた回路を二系統三線式回路と記す)。即ち、単相二線式系統を構成する一本を共用回路2aとし、他の一本を二本の支分線に分岐し、各々を二つの選択回路2b,2cとする(図2(A)参照)。
【0019】
共用回路2aは、複数の共用端子4aを備え、両選択回路2b,2cは、各々共用回路2aと同数の選択端子4b,4cを備える。各ソケット1は、一つの共用端子4aと二つの選択端子4b,4cを一組として備え、各ソケット1について、共用端子4aを中央に配置し、その左右両側に選択端子4b,4cを配置し、各端子4a,4b,4cの間隔を、家電製品の電源プラグが備える一対の接続刃の間隔に等しく設定する(二系統三線式回路のソケット)。
【0020】
その結果、共用回路2aに接続した単一の共用端子4aと、各選択回路2b,2cに各々繋がる二つの選択端子4b,4cを有するソケット1に接続される複数の電気機器は、単一の共用回路2aと、いずれかの選択回路2b又は2cを組とする二組の単相二線系統のうちのいずれかに並列に接続されることとなる。
【0021】
上記何れか一方の選択回路2b又は2cに、その選択端子4b又は4cに供給する電源を一括して遮断するスイッチ5を備えれば、当該選択回路2b又は2cに接続した電気機器の電源供給を一括して遮断することができる。
【0022】
〔コンセントについて〕
コンセント内部の電気回路2において単相二線式系統を二系統三線化する場合には、電気回路2に、単相二線式系統を電気回路2に引き込む引込端子2dを一対設け、当該引込端子2dから延出する電極を二股に分岐させ二つの選択回路2b,2cを構成すると共に、引込端子2dから延出する共有回路2a及び選択回路2b,2cを筐体3に固定する。
スイッチ5は、例えば、コンセントの筐体3に固定し、一方の選択回路2b又は2cの、分岐点2eと、当該分岐点2eに最も近い選択端子4b又は4cとの間の領域に挿入接続することによって、当該選択回路2b,2cに対する電源の接続及び遮断の効果を全域にわたって及ぼすことができる。
【0023】
コンセント外の屋内配線において単相二線式系統を二系統三線化する場合には(図2(B)及び図9参照)、電気回路に、単相二線式系統の一本である共用線路6aと、他の一本を分岐させた選択線路6b,6cを引き込む引込端子2d,2d,2dを設け、当該引込端子2d,2d,2dから延出する一本の共有回路4a及び二本の選択回路2b,2cを筐体3に固定する。
スイッチ5は、例えば、コンセントの筐体3に固定するか、或いは、屋内の壁面に固定し、一方の選択線路6b又は6cを引き込んだ引込端子2dと、当該引込端子2dに最も近い選択端子4b又は4cとの間の領域に挿入接続することによって、コンセント内の選択回路2b又は2cに対する電源の接続及び遮断の効果を全域にわたって及ぼすことができる。
【0024】
本実施の形態の筐体3は、箱状のフロントボックスをリアボックスで封じる構造を有する。
フロントボックスは、複数のソケット1を構成する端子孔7と、操作孔8を備え、必要に応じて一方の選択回路4b又は4cに挿入接続されたスイッチ5の固定孔(図示省略)を備える。
【0025】
端子孔7は、共用端子4aに向き合う共用孔7aを中央に配置し、その左右両側に選択端子4b,4cに向き合う選択孔7b,7cを配置したものであって、且つ各孔7a,7b,7cの間隔を、電気機器の電源プラグが備える一対の接続刃の間隔に等しく設定したものである。
【0026】
尚、必要に応じて、共用孔7aと選択孔7b,7cのサイズに大小の差を設けても良いし、各ソケット1が有する二つの選択孔7b,7cを選択的に閉鎖すべく左右に摺動するスライド蓋9を付設しても良い(図1参照)。
【0027】
スライド蓋9は、例えば、共用孔7aと一方の選択孔7b又は7cを開放し得る長さと幅の窓9aを有し、且つその際、他方の選択孔7c又は7bを閉じ得る長さと幅の閉鎖板9bを有し、操作孔8の裏面上下の縁に付設した移動ガイド(図示省略)に装着する。移動ガイドは、スライド蓋9の摺動軌道を挟む様に存在し、スライド蓋9の進退は、その移動ガイド及びその始終端に有するストッパ(図示省略)で規制される。
【0028】
操作孔8は、スライド蓋9を開閉操作するための摘み10が移動するガイドとなる長孔である。
スライド蓋9を操作するための摘み10は、スライド蓋9の表面から突出し、操作孔8を通過して、筐体3の表面側へ操作に便宜な高さだけ突出する。
【0029】
リアボックスは、複数のソケット1を構成する共用端子4aと選択端子4b,4cを含む共用回路2a及び選択回路2b,2cからなる電気回路(電極を含む導体金属、回路基板、又は電線の何れであっても良い。)2を支持するものである。
【0030】
〔タップについて〕
タップとして構成する場合は、電気回路2及びそれを支持し絶縁保護する筐体3に加え、コンセント又はタップが備えるソケット1、即ち、単相二線式電源系統のソケット(二線ソケット)、又は単相二線式電源系統を上記の如く二系統三線化して引き出したソケット(二系統三線式ソケット)に接続する電源プラグを備えて構成される。
【0031】
電気回路2及び筐体3は、上記コンセントと同様であり、筐体3は、移設可能なタップであることを考慮して、上記コンセントの筐体3よりも密閉性及びフロントパネルとリアパネルと組立強度が高められている。
電源プラグは、筐体3と一体的に取り付けても良いし、延長ケーブル11を介して別体として備えても良い。電源プラグの共用刃14a,及び選択刃14b,14cから引き出された延長ケーブル11は、前記引込端子2dを経て共用回路2a及び選択回路2b,2cに接続する(図2(C)参照)。
【0032】
上記実施の形態の筐体3は、その表面に、待機電源遮断用系統と、待機電源維持用系統との選択を容易にすべく、エコ表示が印22として施されている。当該表示の真下に位置する端子孔7へ電源プラグを差し込むことによって、待機電源遮断用系統にその電気機器を接続することとなり、その際、電源プラグを差し込む側とは逆の方向へ摘み10を移動させることによって、電源プラグが差し込まれない端子孔7をスライド蓋9で封じることができる。尚、ここで、待機電源遮断用系統とは、スイッチで遮断できる選択回路2b又は2cと共用回路2aとの組み合わせによる系統であり、待機電源維持用系統とは、スイッチで遮断できない選択回路2c又は2bと共用回路2aとの組み合わせによる系統である。
【0033】
〔中継タップについて〕
コンセント等に端子孔7を封じる蓋を設けない場合には、家電製品の電源プラグとソケットの間に、端子孔7,7,7の全てを封じ、且つ待機電源維持系統と待機電源遮断系統を挿し分ける際の方向性を明確に表示した中継タップを介在させることによって、短絡事故や漏電事故及び挿し間違えを防止することができる(図3参照)。
【0034】
その中継タップとは、上記タップ又はコンセントのソケット1に接続する中継タップであって、筐体13と電気回路12とからなる(図3(C)参照)。
筐体13は、その底板に、上記タップ又はコンセントの共用端子4a及び二つの選択端子4b,4cと連結する共用刃14a及び選択刃14b,14cを備え、その側板に電源プラグ17を接続すべく、前記共用刃及びいずれか一方の選択刃14b又は14cと接続する二つの電源端子15,15を有するソケット18を備える。
【0035】
共用刃14a及び選択刃14b,14cは、筐体13の長手方向に沿って一列に並べて配置し、共用刃14aを中央に配置し、その左右両側に選択刃14b,14cを配置し、共用刃14a,及び選択刃14b,14cの各接続刃の間隔を、電源プラグが備える一対の接続刃の間隔に等しく設定する。
【0036】
筐体13の表板には、中継タップを接続するソケット1の端子4a,4b又は4cに連結する選択刃(有効選択刃)14b又は14cの所在を示す印22を表示する。即ち、裏板における有効選択刃14b又は14cの存在領域の表側に印22を表示するものであって、本実施の形態では矢印を表示する。尚、筐体13における、共用刃14a及び選択刃14b,14c、並びに電源プラグを設ける面の選択は、使用態様に応じて適宜変更可能である。
【0037】
〔中継スイッチについて〕
電源供給を一括遮断し得るスイッチのついていないタップを使用する場合にあっては、その接続元となるコンセント等との間に中継スイッチを介在することによって、屋内配線に手を加えることなくスイッチを付設することができる(図5及び図6参照)。
【0038】
中継スイッチは、スイッチ5を固定した筐体16,19,13とその内部に支持する電気回路2とで構成する。
第一の実施の形態は、三線を引き入れて三線を引き出すものであり(図6(A)参照)、第二の実施の形態は、単相二線を引き入れて三線を引き出すものであり(図6(B)参照)、第三の実施の形態は、前記中継タップの選択刃14b又は14cの一方と、二つの端子15,15の一方の間にスイッチ5を介在したものである(図5及び図6(C)参照)。
【0039】
第一の実施の形態の筐体16は、その底板に、上記コンセント等の共用端子4a及び二つの選択端子4b,4cと連結する共用刃14a及び選択刃14b,14cを、筐体16と一体化した電源プラグとして備え、その側板に、前記共用刃14a及び選択刃14b,14cと共有回路2a及び選択回路2b,2cを介して接続する共用端子4a及び選択端子4b,4cを有する電源プラグ接続用のソケット18を備える。
電源プラグの共用刃14a及び選択刃14b,14cは、筐体16の長手方向に沿って一列に並べて配置し、それらに接続するソケット18の共用端子4a及び選択端子4b,4cは、筐体16の幅方向に沿って一列に並べて配置する。共用刃14a及び選択刃14b,14cの配置は、共用刃14aを中央に配置し、その左右両側に選択刃14b,14cを配置するものとし、共用刃14a,及び選択刃14b,14cの各接続刃の間隔を、電源プラグが備える一対の接続刃の間隔に等しく設定する。
【0040】
第二の実施の形態の筐体19は、その底板に、単相二線系統のコンセント等のソケットの端子と連結する二つの接続刃20,20を備え、その側板に、前記二つの接続刃20,20の一方から引き出した共用回路2a、及び二つの接続刃20,20の他方から二本引き出した二つの選択回路2b,2cと接続する共用端子4a及び選択端子4b,4cを有する電源プラグ接続用のソケット21を備える。
二つの接続刃20,20は、筐体19の長手方向に沿って一列に並べて配置し、それらに接続するソケット21の共用端子4a及び選択端子4b,4cは、筐体19の幅方向に沿って一列に並べて配置する。二つの接続刃20,20の配置は、二つの接続刃20,20の間隔を、電源プラグが備える一対の接続刃の間隔に等しく設定する。
【0041】
第一の実施の形態及び第二の実施の形態の筐体の表板には、ともにスイッチ5をその操作部を露出する態様で固定する。スイッチ5により開閉する接点は、ともに選択回路2b又は2cのいずれかに挿入接続し、操作部によって当該選択回路2b又は2cの開閉を行なう。尚、共用端子4a及び選択端子4b,4cの配置は、共用端子4aを中央に配置し、その左右両側に選択端子4b,4cを配置するものとし、各共用端子4a及び二つの選択端子4b,4cの間隔を、電源プラグが備える一対の接続刃の間隔に等しく設定する。筐体16又は19における、共用刃14a及び選択刃14b,14c、若しくは接続刃20,20、及びにソケット18又は21を設ける面の選択は、使用態様に応じて適宜変更可能である。
【0042】
以上の如く構成された中継スイッチによれば、既存のタップ又はコンセントと、上記タップ又はコンセントの間に、待機電源遮断系統への電源の供給又は遮断を行なうスイッチ5を大掛りな改造を行なうことなく介在させることができる。
【0043】
一方、オフィスなど複数の従業員が電源を共有する場(以下オフィス等と記す)では、電源を一括遮断することが必ずしも要請されない場合も考えられる。
即ち、上記発明を利用すれば、オフィス等では、電力需要ピーク時に、特に常時電源を供給する必要のない電気製品を予め系統を別にしたコンセントで使用し、ピーク時の節電が必要な際に一括して切断することもできる。
例えば、上記手動のスイッチ5に替えて、自動制御用のリレースイッチ等を用い、タイマ等の計時ユニット等を備えるコントローラで、自動的に一定時間節電する様に、待機電源遮断系統への電源の供給又は遮断を司るスイッチを制御する手法を採ることができる。
【0044】
しかし、その様にオフィス電源の遮断を含む自動制御が為されると、節電時間中における業務に支障が生じるという問題がある。
上記本発明によるコンセント及びタップ並びに二系統三線式の屋内配線を用いた自動制御の利用による上記問題に鑑み、接続する機器の内部バッテリーの稼働能力の相異や、オフィスの環境及び業務の相異に対応して、待機電源遮断系統への電源供給の遮断を無効とできる、二系統再統合用のスイッチ又はタップを併用することが好ましい。
【0045】
図7及び図8に示す例は、二系統再統合用の中継スイッチ及びタップの一例を示したものである。
これらの例は、共用回路2a、及び選択回路2b,2cにつながる共用端子4a、及び選択端子4b,4cに接続するための、共用刃25a、及び選択刃25b,25cを備え、両選択刃25b,25cの間にスイッチ23の接点を備えたものである。これらの中継スイッチ又はタップをソケット1に差し込みスイッチ23の接点24,24が閉じられることで、上記二系統三線式回路の選択回路2b,2cが相互に導通し(再統合)、選択端子4b,4cのいずれを選択した系統であろうとも、電源供給の遮断操作を無効とできる。
【0046】
上記構成をスイッチ23による統合機能を有する中継スイッチとしての共通の構成として、筐体内の共用回路26aと、選択回路26b又は26cから単相二線式のソケットの端子27,27に接続すれば、スイッチ23による統合機能を有する中継タップの機能も持つこととなる(図7(B)参照)。
【0047】
その他、中継スイッチ筐体内の共用回路26aと、選択回路26b、26cから、二系統三線式回路のケーブル28を引き出して、複数の単相二線式のソケットを備えた他の筐体内の二系統三線式回路に接続し、各ソケットの端子を、当該二系統三線式回路の共用回路及び選択回路のいずれか一方を組とした二つの系統に適宜並列に接続すれば、単相二線式のソケット複数具備する図7(A)及び図8に示す様な延長タップの機能も持つこととなる。尚、中継スイッチ筐体内の共用回路26aと、選択回路26b又は26cから引き出すケーブルは、単相二線式のケーブルでも良く、スイッチは、手動スイッチに限らず、制御装置により接点の開閉を制御するスイッチでも良い。
【符号の説明】
【0048】
1 ソケット,
2 電気回路,
2a 共用回路,2b 選択回路,2c 選択回路,2d 引込端子,2e 分岐点,
3 筐体,
4a 共用端子,4b 選択端子,4c 選択端子,
5 スイッチ,
6a 共用線路,6b 選択線路,6c 選択線路,
7 端子孔,7a 共用孔,7b 選択孔,7c 選択孔,
8 操作孔,
9 スライド蓋,9a 窓,9b 閉鎖板,
10 摘み,11 延長ケーブル,
12 電気回路,13 筐体,
14a 共用刃,14b 選択刃,14c 選択刃,
15 電源端子,
16 筐体,17 電源プラグ,18 ソケット,
19 筐体,20 接続刃,21 ソケット,
22 印,
23 スイッチ、24 接点,
25a 共用刃,25b 選択刃,25c 選択刃,
26a 共用回路,26b 選択回路,26c 選択回路,
27 端子,28 ケーブル,


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のソケットを備える単相二線式電源系統のタップであって、
単相二線式電源系統のソケットに接続する電源プラグを備え、
前記電源プラグを介して接続する二線のうちの一本に繋がる共用回路を備え、
前記電源プラグを介して接続する二線のうちの他の一本から二つに分岐した二つの選択回路を備え、
各ソケットに、共用回路に接続した単一の共用端子と、各選択回路に各々接続した二つの選択端子を備え、
各ソケットの端子は、共用端子を中央に配置し、その左右両側に選択端子を配置し、各端子の間隔を、電源プラグが備える一対の接続刃の間隔に等しく設定したことを特徴とするタップ。
【請求項2】
何れか一方の選択端子に供給する電源を一括して遮断するスイッチを備えることを特徴とする前記請求項1に記載のタップ。
【請求項3】
複数のソケットを備える単相二線式電源系統のコンセントであって、
単相二線のうちの一本に繋がる共用回路を備え、
他の一本を更に二線に分岐した二つの選択回路を備え、
何れか一方の選択回路に、その選択端子に供給する電源を一括して遮断するスイッチを備え、
各ソケットに、共用回路に接続した単一の共用端子と、各選択回路に各々接続した二つの選択端子を備え、
各ソケットの端子は、共用端子を中央に配置し、その左右両側に選択端子を配置し、各端子の間隔を、電源プラグが備える一対の刃の間隔に等しく設定したことを特徴とするコンセント。
【請求項4】
筐体内の共用回路及び選択回路に、単相二線を接続する引込端子を備えることを特徴とする前記請求項3に記載のコンセント。
【請求項5】
何れか一方の選択端子に供給する電源を一括して遮断するスイッチを備えることを特徴とする前記請求項3又は請求項4のいずれかに記載のコンセント。
【請求項6】
前記請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のタップ又はコンセントのソケットに接続する中継タップであって、
前記ソケットの共用端子及び二つの選択端子と各々連結する共用刃及び選択刃を備え、
前記共用刃及びいずれか一方の選択刃と各々接続する二つの端子を有する電源プラグ接続用のソケットを備え、
筐体の表面に、ソケットの端子に連結する選択刃の所在を示す印を備えることを特徴とする中継タップ。
【請求項7】
二系統三線式回路のソケットに接続する共用刃及び二つの選択刃、それらに各々繋がる共用回路及び二つの選択回路、当該二つの選択回路の間を電気的に導通又は遮断し得るスイッチ、並びにそれらを支持する筐体を備える中継スイッチ。
【請求項8】
前記筐体内の共用回路、及び二つの選択回路のいずれか一方に各々接続する単相二線式の端子を有する単数又は複数のソケットを備えることを特徴とする前記請求項7に記載の中継スイッチ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−234460(P2011−234460A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101010(P2010−101010)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(592152266)株式会社KEC (9)
【Fターム(参考)】