説明

タンクの液面検出装置

【課題】簡単な装置で精度よく耐久性にもすぐれた液面検出装置を提供する。
【解決手段】液面検出装置10は、長手方向に伸びるフロート11と、フロートケース15とを有する。フロート11は一方の先端は、突出したフロート先端部12を形成し、フロートケース15の一方の先端部に当接する。フロート11の他方の先端は、ばね部材14が当接するフロート底部13を形成し、ばね部材14によりフロート先端部12をフロートケース15の一方の先端に常に当接するようにフロートケース15の一方の先端方向に付勢する。フロート先端部12が当接するフロートケース15の先端部には、フロート先端部12の押圧力を計測する感圧部材16が取付けられ、感圧部材16からのデータを測定して液面の位置を計測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の燃料タンク等の液体を収納するタンクの内部の液面測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用の燃料タンク等の液体を収納するタンクの内部の液面測定装置の構造としては、図5に示すように、燃料タンク101の燃料油の液面102の上下につれてフロート111が上下して、フロート111を先端に取付けたアーム112が軸113を中心に回転する。そうするとアーム112の他方の先端に取付けられた可動片114が可変抵抗器115の表面を摺動して、アーム112の角度を抵抗値の変化の信号として取り出すことができる(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0003】
この場合には、フロート111がアーム112により軸113を中心に回転することが必要であり、フロート111とアーム112が移動するスペースが必要となるが、タンクの形状によってはそのスペースをとることが難しい部分もあり、液面測定装置の取付部分の選択に制限を受けることが多かった。
【0004】
また、可動片114が可変抵抗器115の表面部分を摺動するため、可変抵抗器115の表面部分に塵埃等が付着したり、燃料により表面部分が腐食したり、摺道部分が摩耗したりして、抵抗値を正確に検出することができなくなる恐れがあった。また、燃料タンク101の液面の揺れによりフロート111が振動して測定値が細かく変動したりしてしまうことがある。
【0005】
また、図6に示すように、タンク201内にフロート211を設け、フロート211の先端をフロート指示棒212にピン213等により取付けて、フロート指示棒212の下面に歪ゲージ216を取付ける。そして、フロート211の浮力Fをフロート指示棒212に伝達し、フロート指示棒212の受けた応力を歪ゲージ216で測定し、歪ゲージ216からのデータをリード線217で歪観測装置218に送り、タンク201内の液面202の位置を測定するものがある(例えば、特許文献3参照。)
【0006】
しかしながら、この場合には、フロート211を取付けるフロート指示棒212は、フロート211を保持するとともに、フロート211の応力を測定するため、フロート211を確実に保持しようとすると、フロート指示棒212の剛性を大きくする必要があり、フロート211の応力の測定精度を向上させようとすると、フロート指示棒212を撓みやすく、その剛性を小さくする必要があり、充分な精度と耐久性を持つ液面測定装置を得ることができなかった。
また、タンク201の振動等による液面202の振動によるフロート211の振動を防止することもできなかった。
【0007】
【特許文献1】特開2009−42131号公報
【特許文献2】特開2004−108263号公報
【特許文献3】特開平10−122938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、簡単な装置で精度よく耐久性にもすぐれた液面測定装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、タンク内に収容されタンク内の液体の液面を検出する液面測定装置において、
液面測定装置は、タンク内の液体がその最大容量まで収納された液面と最小容量が収納された液面との間に位置して長手方向に伸びるフロートと、フロートを内部に収納するフロートケースとを有し、フロートケースは、タンク内の液体と空気が出入りする開口を設け、
フロートは一方の先端は、突出したフロート先端部を形成し、フロートケースの一方の先端部に当接し、フロートの他方の先端は、ばね部材が当接するフロート底部を形成し、ばね部材によりフロート先端部をフロートケースの一方の先端に常に当接するようにフロートケースの一方の先端方向に付勢し、
フロート先端部が当接するフロートケースの先端部には、フロート先端部の押圧力を計測する感圧部材が取付けられ、感圧部材からのデータを測定して液面の位置を計測することを特徴とする液面測定装置である。
【0010】
請求項1の本発明では、液面測定装置は、タンク内の液体がその最大容量まで収納された液面と最小容量が収納された液面との間に位置して長手方向に伸びるフロートと、フロートを内部に収納するフロートケースとを有している。このため、タンク内の液体の液面の変化に応じて長手方向に伸びるフロートは、浮力の変化が大きく、タンク内の液体の液面の最大値と最小値の全範囲に亘り変化を的確に測定することができる。フロートケースがフロートを内部に収納するため、フロートケースでタンク内の液体の振動による短時間の変動を防止することができる。
フロートケースは、タンク内の液体と空気が出入りする開口を設けたため、タンク内の液体の変化をフロートケース内の液面の変化と同一として確実にフロートの浮力の変化として伝えることができる。
【0011】
フロートは一方の先端は、突出したフロート先端部を形成し、フロートケースの一方の先端部に当接している。このため、突出したフロート先端部にフロートの浮力による応力を集中させることができ、浮力の変化を確実にフロートケースの一方の先端部に設けた感圧部材に伝えることができる。
【0012】
フロートの他方の先端は、ばね部材が当接するフロート底部を形成し、ばね部材によりフロート先端部をフロートケースの一方の先端に常に当接するようにフロートケースの一方の先端方向に付勢している。このため、自動車の振動等によりタンク内の液体が変動するが、この短時間の液面の変動によるフロートの変動を防止することができる。
【0013】
フロート先端部が当接するフロートケースの先端部には、フロート先端部の押圧力を計測する感圧部材が取付けられ、感圧部材からのデータを測定して液面の位置を計測する。このため、フロートの浮力の変化をフロート先端部からフロートケースの先端部を通して感圧部材に確実に伝達することができ、感圧部材のデータを計測装置に送り、液面の位置の変化を確実に測定することができる。
【0014】
請求項2の本発明は、フロートケースとフロートは、タンク内の液体の液面に対して垂直に設置された液面測定装置である。
【0015】
請求項2の本発明では、フロートケースとフロートは、タンク内の液体の液面に対して垂直に設置されたため、タンク内の液体の液面の位置の変化がフロートの浮力の変化として確実に対応して、測定することができる。
【0016】
請求項3の本発明は、フロートケースは、合成樹脂で形成され、フロート先端部が当接するフロートケースの先端部は、帯状に形成され、帯状の部分に感圧部材が取付けられ、帯状に形成された部分以外は開口部として形成された液面測定装置である。
【0017】
請求項3の本発明では、フロートケースは、合成樹脂で形成されているため、タンク内の液体による劣化を防止する材料を選択することが容易である。また、フロートに合わせた形状に形成することも容易である。
フロート先端部が当接するフロートケースの先端部は、帯状に形成され、帯状の部分に感圧部材が取付けられている。このため、帯状に形成されたフロートケースの先端部は、フロートの浮力の変化に応じて撓みやすく、帯状の部分に取付けられた感圧部材により確実に浮力の変化を感知することができる。
フロートケースの先端部は、帯状に形成された部分以外は開口部として形成されたため、タンク内の液体が容易に出入りすることができ、フロートケース内の液面とタンク内の液面を一致させることができる。
【0018】
請求項4の本発明は、フロートケースは、フロート底部を収納する側の部分が、タンク内に収納された液体がその最大容量まで収納された液面よりも上方に位置し、フロート先端部の当接する部分がタンク内に収納された液体の最小容量が収納された液面付近に位置する液面測定装置である。
【0019】
請求項4の本発明では、フロートケースは、フロート底部を収納する側部分が、タンク内に収納された液体がその最大容量まで収納された液面よりも上方に位置し、フロート先端部の当接する部分がタンクの底壁付近に位置する。このため、タンク内に収納された液体がその最大容量まで収納された液面から、もっとも低くなる液面までその全範囲に亘り確実に測定することができる。
ばね部材をタンク内の上部に位置させることができ、ばね部材の劣化を防止することができる。
【0020】
請求項5の本発明は、フロートケースは、フロート先端部の当接する部分が、タンク内に収納された液体がその最大容量まで収納された液面よりも上方に位置し、フロート底部を収納する側の部分が、タンクの内に収納された液体の最小容量が収納された液面付近に位置する液面測定装置である。
【0021】
請求項5の本発明では、フロートケースは、フロート先端部の当接する部分が、タンク内に収納された液体がその最大容量まで収納された液面よりも上方に位置し、フロート底部を収納する側の部分が、タンクの内に収納された液体の最小容量が収納された液面付近に位置する。このため、タンク内に収納された液体がその最大容量まで収納された液面から、もっとも低くなる液面までその全範囲に亘り確実に測定することができる。
感圧部材をタンク内の上部の液体がないところに位置させることができ、タンク内の液体による感圧部材の劣化を防止することができる。
【0022】
請求項6の本発明は、フロートは、合成樹脂の円筒状又は多角筒状に中空体として形成された液面測定装置である。
【0023】
請求項6の本発明では、フロートは、合成樹脂の円筒状又は多角筒状に中空体として形成されたため、タンク内の液体による劣化を防止する材料を選択することが容易である。また、円筒状又は多角筒状に中空体として軽く形成するとともに、スムースにフロートケース内を上下することも容易である。
【0024】
請求項7の本発明は、フロート先端部は、円錐状に先端が尖って形成され、円錐状の先端が、感圧部材が取付けられたフロートケースの部分に当接する液面測定装置である
【0025】
請求項7の本発明では、フロート先端部は、円錐状に先端が尖って形成され、円錐状の先端が、感圧部材が取付けられたフロートケースの部分に当接するこのため、フロートにかかる力をフロートの中心軸に集中させることができ、バランスがよく、安定して確実に浮力の変化を感圧部材に伝達することができる。
【0026】
請求項8の本発明は、フロート底部には、ばね部材を収納するフロート底部凹部が形成された液面測定装置である。
【0027】
請求項8の本発明では、フロート底部には、ばね部材を収納するフロート底部凹部が形成されたため、ばね部材を確実に保持することができ、安定してフロート先端部をフロートケースの先端部に当接させ続けることができる。
【0028】
請求項9の本発明は、ばね部材は、コイルスプリングである液面測定装置である。
【0029】
請求項9の本発明では、ばね部材は、コイルスプリングであるため、フロートを所定の力で安定して確実に付勢し、フロート先端部をフロートケースに当接することを維持できる。
【0030】
請求項10の本発明は、感圧部材は歪ゲージである液面測定装置である。
【0031】
請求項10の本発明では、感圧部材は歪ゲージであるため、簡単な構造の小さい部材で確実に長期間に亘りフロートの浮力の変化を感知することができる。
【0032】
請求項11の本発明は、タンクは、自動車用燃料タンクである液面測定装置である。
【0033】
請求項11の本発明では、タンクは、自動車用燃料タンクであるため、自動車の走行時の振動においても確実に燃料タンクの液面の位置の変化を測定することができる。
【発明の効果】
【0034】
ばね部材によりフロート先端部をフロートケースの一方の先端に常に当接するようにフロートケースの一方の先端方向に付勢しているため、タンク内の液面の変動によるフロートの変動を防止することができる。
フロート先端部が当接するフロートケースの先端部には、フロート先端部の押圧力を計測する感圧部材が取付けられるため、フロートの浮力の変化をフロート先端部からフロートケースの先端部を通して感圧部材に確実に伝達することができ、感圧部材のデータを計測装置に送り、液面の位置の変化を確実に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施の態様を示すもので、燃料タンクの部分断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の態様を示すもので、燃料タンクの液面測定装置の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の態様を示すもので、燃料タンクの液面測定装置の先端部分の斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の態様を示すもので、燃料タンクの液面測定装置の断面図である。
【図5】従来の燃料タンクの液面測定装置部分の断面図である。
【図6】従来の他のタンクの液面測定装置部分の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明の実施の形態を図1〜図4に基づき説明する。
本発明は広く、液体を収納するタンクにおいて、タンク内部の液面の位置の変化を測定する装置に使用することができるが、本発明の実施の形態について自動車用燃料タンクを例にとり説明する。
図1〜3は本発明の第1の実施の形態を示す図であり、図4は本発明の第2の実施の形態を示す図である。
【0037】
まず、第1の実施の形態について図1〜3に基づき説明する。
図1に示すように、燃料タンク1は、分割して成形されたアッパーシェル部1aとロアシェル部1bから構成される。アッパーシェル部1aとロアシェル部1bは、それぞれ、プレス成形で形成される。燃料タンク1の分割はアッパーシェル部1aとロアシェル部1bの2個ばかりでなく3個以上に分割することも可能である。
また、樹脂の種類によりブロー成形や射出成型で形成することもできる。
【0038】
燃料タンク1は、ブロー成形でアッパーシェル部1aとロアシェル部1bを同時に一体的に形成することもできる。
燃料タンク1は、ブロー成形で形成される場合は、タンク外壁は一体に形成されている。タンク外壁は、熱可塑性合成樹脂の1層で形成することもできるし、熱可塑性合成樹脂の複数の層を有するように形成することもできる。
複数の層で形成された場合は、剛性を有する層と、燃料透過性の低い層を組み合わせて形成することができる。
【0039】
複数の層で形成された場合は、例えば、中央の層がエチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)又はナイロンで形成された燃料透過を防止するバリヤー層と、そのバリヤー層の上下に変性ポリエチレンから形成される接着剤層と、その接着剤層のそれぞれの外面に高密度ポリエチレン(HDPE)から形成される外層から構成される。
【0040】
図1に示すように、アッパーシェル部1aの上面には、燃料ポンプユニット取付孔7が形成される。燃料ポンプユニット取付孔7は、ポンプユニット取付蓋5で塞がれて、ポンプユニット取付蓋5はロックプレート6で燃料ポンプユニット取付孔7に周囲を螺着される。燃料ポンプユニット取付孔7とポンプユニット取付蓋5の間にはシールリング6aが取付けられて、燃料ポンプユニット取付孔7とポンプユニット取付蓋5の間がシールされる。
【0041】
そして、ロアシェル部1bの内部に設けられたサブタンク3内に燃料ポンプユニット4が取付けられている。サブタンク3は、車両が傾いたり振動したりしたときに、燃料タンク1内の燃料を燃料ポンプユニット4が確実にエンジンに送り出すことができるように設けられている。燃料ポンプユニット4は、アッパーシェル部1aとロアシェル部1bを接合する前に取付けられるか、あるいは接合後に燃料ポンプユニット取付孔7から燃料ポンプユニット4を取付けることができる。
【0042】
燃料ポンプユニット4はポンプユニット取付蓋5に取付けられて、修理やメンテナンスが行われる。燃料ポンプユニット4からパイプが延びて、アッパーシェル部1aの上部のポンプユニット取付蓋5に形成されたフューエルメインポート取付部8に接続している。フューエルメインポート取付部8にはエンジンに燃料を送る燃料パイプ(図示せず)が取付けられている。また、ポンプユニット取付蓋5には、燃料を燃料タンク1に返すフューエルリターンポート取付部9が形成されている。フューエルリターンポート取付部9にはリターンホース(図示せず)が取付けられている。
【0043】
アッパーシェル部1aの上部には、ブリーザポート取付部(図示せず)も形成されている。ブリーザポート取付部(図示せず)は、燃料給油時に燃料タンク1内のガスをタンク外に逃がすためブリーザホース(図示せず)を取付けるものである。また、燃料タンク1から車輌転倒時の燃料漏れを防ぐカットオフバルブ(図示せず)も取付けられている。
なお、アッパーシェル部1aの上面には、燃料移送用ホース等の各種のホースを保持するホースクランプを設けてもよい。
【0044】
サブタンク3内には、燃料ポンプユニット4と隣接して、液面測定装置10が取付けられている。液面測定装置10は、上下方向に垂直に取付けられて、下端はサブタンク3の底壁に隣接して取付けられ、上端は燃料タンク液面2から上方に出て取付けられている。液面測定装置10の上端は、ポンプユニット取付蓋5の下面から下方に延出された取付リブ5aに固着されている。サブタンク3内に液面測定装置10が取付けられているため、車両の振動等による液面の変動を減少させることができる。
【0045】
図2に示すように、液面測定装置10は、燃料タンク1内のガソリン等の燃料油の液面である燃料タンク液面2に対して、燃料タンク1内の液体がその最大容量まで収納された液面と最小容量が収納された液面との間に位置して長手方向に伸びるフロート11と、フロート11を内部に収納するフロートケース15とを有している。フロートケース15とフロート11は、燃料タンク液面2に対して垂直に設置されている。このため、燃料タンク液面2の位置の変化がフロート11の浮力の変化として確実に対応して、測定することができる。フロート11は上述のとおり燃料タンク1内の燃料油の深さ方向に全長に亘り位置することができる。
【0046】
また、燃料タンク1内の燃料油の液面の位置の変化に応じて、長手方向に伸びるフロート11は、燃料油中に位置する部分が大きく、浮力の変化が大きく、燃料タンク1内の液体の液面の変化を的確に測定することができる。フロートケース15がフロート11を振動しないように一方側に付勢して常に当接させるために、自動車の振動等で燃料タンク1内の燃料油が変動しても、その変動による燃料タンク液面2の短時間の変動を防止することができる。
【0047】
フロート11は、合成樹脂の円筒状又は中空状の四角柱や5角柱である多角筒状に中空体として形成されることが好ましい。合成樹脂で形成すると、燃料タンク1内の燃料油による劣化を防止する材料を選択することが容易であり、成形も容易である。また、円筒状又は多角筒状に中空体として、フロートケース15内に収納され、軽く充分な浮力を有するように形成することも容易である。フロート11を形成する合成樹脂は、耐燃料油性のものが使用される。例えば、ポリオキシメチレン(POM)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイドのうち少なくとも1種類の材料を使用することができる。
【0048】
フロート11は下方の先端は、突出したフロート先端部12を形成し、フロートケース15の下方の先端部に当接している。このため、突出したフロート先端部12にフロート11にかかる応力を集中させることができ、浮力に変化によるフロート11にかかる力の変化を確実にフロートケース15の一方の先端部に設けた後述する感圧部材である歪ゲージ16に伝えることができる。
【0049】
フロート先端部12は、円錐状に先端が尖って形成することが好ましい。この場合には、円錐状に形成されたフロート11の中心軸にあるフロート先端部12が、感圧部材である歪ゲージ16が取付けられたフロートケース15の先端部分に当接する。このため、バランス良くフロートケース15にかかる力をフロート11の中心軸に集中させることができ、確実に安定して浮力の変化を感圧部材に伝達することができる。
【0050】
フロート先端部12の反対側のフロート底部13には、ばね部材であるスプリング14を収納するフロート底部凹部13aが形成される。このため、スプリング14をフロート底部凹部13aに確実に保持することができ、スプリング14でフロート11を常に押圧して、安定してフロート先端部12をフロートケース15の先端部に当接させ続けることができる。
ばね部材であるスプリング14は、コイルスプリングであることが好ましい。この場合には、フロート11を所定の力で確実に付勢し、フロート先端部12をフロートケース15に当接することを維持できる。
【0051】
フロートケース15は、上記フロート11をその内部に収納するように中空状に形成され、フロート11がその内部で浮力の変化を後述する歪ゲージ16に伝えることができるように、フロート11とフロートケース15の内面との間には隙間が形成されている。フロートケース15の断面形状は、フロート11の断面形状と同様の形状であり、フロート11が円筒状であれば、フロートケース15も円筒状であり、フロート11が多角筒状であれば、フロートケース15も多角筒状である。
【0052】
フロートケース15は、フロート11と同様に、合成樹脂で形成することが好ましい。この場合には、燃料油等による劣化を防止する材料を選択することが容易である。また、フロート11に合わせた中空形状に成形することも容易である。例えば、ポリオキシメチレン(POM)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイドのうち少なくとも1種類の材料を使用することができる。
【0053】
図3に示すように、フロート先端部12が当接するフロートケース15の先端部は、帯状に形成され、変形部18を形成する。帯状の変形部18に感圧部材である歪ゲージ16が取付けられている。帯状に形成された変形部18は、フロート11の浮力の変化に応じて撓みやすく、変形部18に取付けられた歪ゲージ16により確実に浮力の変化を感知することができる。
【0054】
フロートケース15の先端部は、帯状に形成された変形部18以外はケース開口部19として形成されている。このため、燃料タンク1内の燃料油がケース開口部19を容易に出入りすることができ、フロートケース15内の液面と燃料タンク液面2を一致させることができる。
なお、フロートケース15には、先端のケース開口部19以外にも燃料タンク1内の燃料油と空気が出入りするケース開口部19が設けられている。このため、燃料タンク液面2の位置の変化を確実にフロート11に伝えることができる。
【0055】
歪ゲージ16にはリード線17が接続されており、図1に示すように、リード線17はポンプユニット取付蓋5に取付けられた液面計コネクタ22に接続されている。液面計コネクタ22から更にリード線17により歪測定機20に接続され、歪ゲージ16のデータを処理して燃料タンク1の燃料タンク液面2の位置が測定される。そして、歪測定機20のデータは操縦席の液面表示計21に表示される。
【0056】
図2に示すように、フロートケース15は、フロート底部13を収納する側部分である上端が、燃料タンク1内に収納された燃料油がその最大容量まで収納された液面よりも上方或いはその液面付近に位置し、フロート先端部12の当接する部分が最小容量が収納された液面である燃料タンク1のサブタンク3の底壁付近に位置する。このため、燃料タンク1内に収納された燃料油がその最大容量まで収納された液面から、もっとも低くなる液面までその液面の変化を全範囲に亘り確実に測定することができる。
【0057】
次に、フロート11による燃料タンク液面2の測定について説明する。
図2に示すように、フロート11の一方の先端(図2においては、上端)であるフロート底部凹部13aは、スプリング14が設けられている。スプリング14により、図2におけるF1の力で下方にフロート11を付勢している。また、フロート11の自重による力F2によっても下方に付勢されている。
【0058】
このため、フロート先端部12は常にフロートケース15の下方の先端である変形部18に当接するように押圧されている。
このため、自動車の振動等により燃料タンク1内の燃料油が変動するが、この短時間の燃料タンク液面2の変動によるフロート11の変動を防止して、安定した燃料タンク液面2の測定をすることができる。
【0059】
一方、フロート11は、浮力により図2に示すF3の力で上方に浮きあがろうとする。このため、歪ゲージ16に加わる力F4は、F1プラスF2マイナスF3となる。F1プラスF2は常にF3よりも大きくなるようにスプリング14を選択するため、フロート先端部12は常に変形部18に当接するが、フロート11の浮力F3は、燃料タンク液面2により変動する。即ち、燃料タンク液面2が上方であればF3は大きくなり、変形部18に加わる力F4は、小さくなる。また、燃料タンク液面2が下がれば、それにつれてフロート11の浮力F3は小さくなり、F4は大きくなる。このF4の力の変化を歪ゲージ16で測定することにより、燃料タンク液面2の位置を測定する。
【0060】
フロート先端部12が当接するフロートケース15の変形部18には、フロート先端部12の押圧力を計測する感圧部材である歪ゲージ16が取付けられ、歪ゲージ16からのデータを測定して液面の位置を計測する。このため、フロート11の浮力の変化をフロート先端部12からフロートケース15の変形部18を通して歪ゲージ16に確実に伝達することができ、歪ゲージ16のデータを歪測定機20に送り、燃料タンク液面2の位置の変化を確実に測定することができる。また、液面測定装置10は、歪ゲージ16で測定するため、接点、接触、摺動部分がないため、耐久性に優れている。
【0061】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図4に基づき説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態とは液面測定装置10の取付方法が異なり、他の部分は同様であるため、異なる部分について説明し、同様な部分の説明は省略する。
【0062】
液面測定装置10は、第1の実施の形態とは上下逆に取付られている。
液面測定装置10は、フロートケース15の変形部18が上端に形成され、変形部18には歪ゲージ16が取付けられている。歪ゲージ16からリード線17が取付けられて、リード線17は歪測定機20と接続されている。
【0063】
フロートケース15の内部のフロート11は、フロート先端部12が上方に位置し、フロート先端部12が変形部18に当接している。フロート11のフロート底部13は、フロートケース15の底部に位置し、フロート底部凹部13aにはスプリング14が嵌め込まれている。このため、フロート11は常に上方に付勢されている。
【0064】
次に、第2の実施の形態における、フロート11による燃料タンク液面2の測定について説明する。
図4に示すように、フロート11の一方の先端(図4においては、下端)であるフロート底部凹部13aに嵌め込まれたスプリング14により、図4におけるF6の力で上方にフロート11を付勢している。このため、フロート先端部12は常にフロートケース15の上方の先端である変形部18に当接するように押圧されている。
このため、自動車の振動等により燃料タンク1内の燃料油が変動するが、この短時間の燃料タンク液面2の変動によるフロート11の変動を防止して、安定した燃料タンク液面2の測定をすることができる。
【0065】
一方、フロート11は、自重により図4に示すF5の力で下方に沈もうとするとともに、浮力により図4に示すF7の力で上方に浮きあがろうとする。このため、歪ゲージ16に加わる力F8は、F6プラスF7マイナスF5となる。F6は常にF5よりも大きくなるようにスプリング14を選択するため、フロート先端部12は常に変形部18に当接するが、フロート11の浮力F7は、燃料タンク液面2により変動する。即ち、燃料タンク液面2が上方であればF7は大きくなり、変形部18に加わる力F8は、大きくなる。また、燃料タンク液面2が下がれば、それにつれてフロート11の浮力F7は小さくなり、F8は小さくなる。このF8の力の変化を歪ゲージ16で測定することにより、燃料タンク液面2の位置を測定する。
【0066】
このようにして、フロート先端部12が当接するフロートケース15の変形部18の押圧力を計測する感圧部材である歪ゲージ16からのデータを測定して液面の位置を計測する。このため、フロート11の浮力の変化をフロート先端部12からフロートケース15の変形部18を通して歪ゲージ16に確実に伝達することができ、歪ゲージ16のデータを歪測定機20に送り、燃料タンク液面2の位置の変化を確実に測定することができる。
なお、第1の実施の形態と比べて、歪ゲージ16は燃料タンク液面2よりも上方に位置するため、歪ゲージ16の劣化を少なくすることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 燃料タンク
2 燃料タンク液面
10 液面測定装置
11 フロート
12 フロート先端部
13 フロート底部
14 スプリング(ばね部材)
15 フロートケース
16 歪ゲージ(感圧部材)
18 変形部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク内に収容されタンク内の液体の液面を検出する液面検出装置において、
該液面検出装置は、タンク内の液体がその最大容量まで収納された液面と最小容量が収納された液面との間に位置して長手方向に伸びるフロートと、該フロートを内部に収納するフロートケースとを有し、該フロートケースは、上記タンク内の液体と空気が出入りする開口を設け、
上記フロートは一方の先端は、突出したフロート先端部を形成し、上記フロートケースの一方の先端部に当接し、上記フロートの他方の先端は、ばね部材が当接するフロート底部を形成し、上記ばね部材により上記フロート先端部を上記フロートケースの一方の先端に常に当接するように上記フロートケースの一方の先端方向に付勢し、
上記フロート先端部が当接する上記フロートケースの先端部には、上記フロート先端部の押圧力を計測する感圧部材が取付けられ、該感圧部材からのデータを測定して液面の位置を計測することを特徴とする液面検出装置。
【請求項2】
上記フロートケースとフロートは、タンク内の液体の液面に対して垂直に設置された請求項1に記載の液面検出装置。
【請求項3】
上記フロートケースは、合成樹脂で形成され、上記フロート先端部が当接する上記フロートケースの先端部は、帯状に形成され、帯状の部分に上記感圧部材が取付けられ、帯状に形成された部分以外は開口部として形成された請求項1又は請求項2に記載の液面検出装置。
【請求項4】
上記フロートケースは、上記フロート底部を収納する側の部分が、タンク内に収納された液体がその最大容量まで収納された液面よりも上方に位置し、上記フロート先端部の当接する部分が上記タンク内に収納された液体の最小容量が収納された液面付近に位置する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液面検出装置。
【請求項5】
上記フロートケースは、上記フロート先端部の当接する部分が、タンク内に収納された液体がその最大容量まで収納された液面よりも上方に位置し、上記フロート底部を収納する側の部分が、上記タンク内に収納された液体の最小容量が収納された液面付近に位置する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液面検出装置。
【請求項6】
上記フロートは、合成樹脂の円筒状又は多角筒状に中空体として形成された請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の液面検出装置。
【請求項7】
上記フロート先端部は、円錐状に先端が尖って形成され、円錐状の先端が上記感圧部材が取付けられた上記フロートケースの部分に当接する請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の液面検出装置。
【請求項8】
上記フロート底部には、上記ばね部材を収納するフロート底部凹部が形成された請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の液面検出装置。
【請求項9】
上記ばね部材は、コイルスプリングである請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の液面検出装置。
【請求項10】
上記感圧部材は歪ゲージである請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の液面検出装置。
【請求項11】
上記タンクは、自動車用燃料タンクである請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の液面検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−220421(P2012−220421A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88491(P2011−88491)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(308039414)株式会社FTS (60)
【Fターム(参考)】