説明

タンパク質キナーゼ阻害剤としての[4,5’]ビピリミジニル−6,4’−ジアミン誘導体

本発明は、新規のクラスの式I:
【化1】


[式中、記号は本明細書および請求項に記載した意味を有する。]
の化合物、該化合物を含む医薬組成物、異常なまたは脱制御されたキナーゼ活性に関連する疾患または障害、特にFGFR3キナーゼの異常な活性化を伴う疾患または障害を処置するまたは予防するための該化合物の使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の背景
本発明の分野
本発明は、新規のクラスの化合物、該化合物を含む医薬組成物、および該化合物を異常なまたは脱制御されたキナーゼ活性と関連する疾患または障害、特にFGFR3キナーゼの異常な活性化を伴う疾患または障害を処置するまたは予防するための該化合物の使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
背景
タンパク質キナーゼは、広範囲の細胞過程の制御および細胞機能の制御の維持に中心的な役割を果たすタンパク質の大きなファミリーを代表する。これらのキナーゼの部分的非制限的リストは、受容体チロシンキナーゼ、例えば血管内皮増殖因子受容体2キナーゼ(VEGF-R2=KDR)、血小板由来増殖因子受容体キナーゼ(PDGF-R)、神経成長因子受容体、trkB、Met、および線維芽細胞増殖因子受容体、FGFR3;非受容体チロシンキナーゼ、例えばAblおよび融合キナーゼBCR-Abl、Lck、Csk、Fes、Bmxおよびc-src;およびセリン/トレオニン・キナーゼ、例えばb-RAF、c-RAF、sgk、MAPキナーゼ(例えばMKK4、MKK6など)およびSAPK2α、SAPK2βおよびSAPK3を含む。良性および悪性増殖疾患を含む多くの疾病状態ならびに免疫系および神経系の不適切な活性化に起因する疾患において、異常なキナーゼ活性が観察されている。
【0003】
本発明の新規化合物は、1種以上のタンパク質キナーゼの活性を阻害し、従って、キナーゼ関連疾患の処置に有用であると期待される。
【発明の概要】
【0004】
本発明の概要
一つの態様において、本発明は、式I:
【化1】

[式中、
YがNであってZがCHであるか、またはZがNであってYがCHであるかの何れかであり;
は、C1−4アルコキシであり;
は、シアノ、C1−4アルコキシ、−C(O)NR、−NRC(O)R、−NRS(O)、−S(O)NR、−NR、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)NROR、および、C、O、NおよびSから選択される5から7員の環員を含む飽和、不飽和または部分的に飽和の単環式環から選択され;ここで、Rは、水素およびC1−4アルキルから選択され;Rは、水素、C1−4アルキルおよびC3−12シクロアルキルから選択されるか、あるいは、非置換であるか、またはC−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキルおよび(ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノまたは4−C−C−アルキルピペラジノ)−C−C−アルキルから選択される1個以上の置換基によって置換されているフェニルであり;
あるいは、
YがNであってZがCHであるとき、RおよびRは独立してHであり;
は、水素、ハロ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから選択され;
4aは、ハロおよびC1−4アルキルから選択され;
4bは、水素およびC1−4アルキルから選択され;
は、水素およびC1−4アルキルであり;
は、水素、−X、−C(O)NR10およびXNR1011から選択され;ここで、それぞれのXは、結合およびC1−4アルキレンから独立して選択され;Rは、C6−10アリール、C、O、NおよびSから選択される5から7員の環員を含む単環式環、および、C、O、NおよびSから選択される8から14員の環員を含む架橋または縮合二環式環系から選択され;ここで、Rの単環式環および架橋または縮合二環式環は、飽和、不飽和または部分的に不飽和であってもよく;R10およびR11は、水素およびC1−4アルキルから独立して選択され;
ここで、Rのアリール、単環式環または二環式環は、所望によりC1−4アルキル、−X12、および−OXNR1314から選択される1個の基で置換されていてもよく;ここで、それぞれのXは、結合およびC1−4アルキレンから独立して選択され;R13およびR14は、水素およびC1−4アルキルから独立して選択され;R12は、所望によりC1−4アルキル、−XC(O)NR1516、−XOR16、−XC(O)XOR15、−XC(O)R15および−XNR1516から選択される3個までの基で置換されているC、O、NおよびSから選択される5から7員の環員を含む単環式環から選択され;ここで、R12の単環式環は、飽和、不飽和または部分的に不飽和であってもよく;ここで、それぞれのXは、結合およびC1−4アルキレンから独立して選択され;R15およびR16は、それぞれ、水素およびC1−4アルキルから独立して選択され;
ここで、Rの全てのアルキル置換基は、所望により3個までのヒドロキシル基で置換されていてもよい。]
の化合物;そのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、保護誘導体、個々の異性体および異性体混合物;および/またはそれらの薬学的に許容される塩(例えば水和物)を提供する。
【0005】
第2の態様において、本発明は、1種以上の適当な(薬学的に許容される)賦形剤と混合した、式Iの化合物、そのN−オキシド誘導体、個々の異性体、異性体混合物;および/またはそれらの薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0006】
第3の態様において、本発明は、動物において、キナーゼ活性、特にFGFR3活性の阻害が、疾患の病状および/または症候を予防、阻害または寛解し得る疾患を処置する方法であって、該動物に、治療有効量の式Iの化合物、そのN−オキシド誘導体、個々の異性体、異性体混合物および/またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。
【0007】
第4の態様において、本発明は、動物において、キナーゼ活性、特にFGFR3活性が、疾患の病状および/または症候に寄与する疾患を処置する医薬の製造における、式Iの化合物、そのN−オキシド誘導体、個々の異性体、異性体混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩の使用を提供する。
【0008】
第5の態様において、本発明は、式Iの化合物、そのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、保護誘導体、個々の異性体、異性体混合物および/またはそれらの薬学的に許容される塩の製造方法を提供する。
【0009】
第8の態様において、本発明は、動物(ヒトを含む)の処置に使用するための、特にキナーゼ活性、特にFGFR3活性の阻害が疾患の病状および/または症候を予防、阻害または寛解する疾患を処置するための、あるいは、該疾患の処置に有用な医薬組成物の製造に使用するための、式Iの化合物、そのN−オキシド誘導体、個々の異性体、異性体混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
【0010】
本発明の詳細な説明
定義
1つの基としての、および他の基(例えばハロ置換アルキルおよびアルコキシ)の構成要素としての“アルキル”は、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。C1−4−アルコキシは、メトキシ、エトキシなどを含む。ハロ置換アルキルは、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどを含む。
【0011】
“アリール”は、6から10個の環炭素原子を含む単環式または縮合二環式芳香環系を意味する。例えば、アリールは、フェニルであってもナフチルであってもよく、好ましくはフェニルである。“アリーレン”は、アリール基から誘導される二価の基を意味する。
【0012】
“C、O、NおよびSから選択される5から7員の環員を含む飽和、不飽和または部分的に飽和の単環式環”は、例えば、ピリジル、インドリル、イミダゾリル、ピリミジニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、チエニル、モルホリノ、ピロリジニル、ピロリジニル−2−オン、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニルオン、などを含む。
【0013】
用語“C、O、NおよびSから選択される8から14員の環員を含む架橋または縮合二環式環系”(飽和、不飽和または部分的に飽和であってもよい)は、例えば、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオ−ピラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、ベンゾイミダゾリル、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカ−8−イルなどを含む。
【0014】
“シクロアルキル”は、示された数の環原子を含む飽和または部分的に不飽和の、単環式、縮合二環式または架橋多環式環系を意味する。例えば、C3−10シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む。
【0015】
“ハロゲン”(またはハロ)は、好ましくはクロロまたはフルオロを表すが、ブロモまたはヨードであってもよい。
【0016】
“キナーゼ・パネル”は、Abl(ヒト)、Abl(T315I)、JAK2、JAK3、ALK、JNK1α1、ALK4、KDR、Aurora-A、Lck、Blk、MAPK1、Bmx、MAPKAP-K2、B-Raf、BRK、MEK1、CaMKII(ラット)、Met、CDK1/サイクリンB、p70S6K、CHK2、PAK2、CK1、PDGFRα、CK2、PDK1、c-kit、Pim-2、c-RAF、PKA(h)、CSK、PKBα、cSrc、PKCα、DYRK2、Plk3、EGFR、ROCK-I、Fes、Ron、FGFR3、Ros、Flt3、SAPK2α、Fms、SGK、Fyn、SIK、GSK3β、Syk、IGF-1R、Tie-2、IKKβ、TrKB、IR、WNK3、IRAK4、ZAP-70、ITK、AMPK(ラット)、LIMK1、Rsk2、Axl、LKB1、SAPK2β、BrSK2、Lyn (h)、SAPK3、BTK、MAPKAP-K3、SAPK4、CaMKIV、MARK1、Snk、CDK2/サイクリンA、MINK、SRPK1、CDK3/サイクリンE、MKK4(m)、TAK1、CDK5/p25、MKK6(h)、TBK1、CDK6/サイクリンD3、MLCK、TrkA、CDK7/サイクリンH/MAT1、MRCKβ、TSSK1、CHK1、MSK1、Yes、CK1d、MST2、ZIPK、c-Kit (D816V)、MuSK、DAPK2、NEK2、DDR2、NEK6、DMPK、PAK4、DRAK1、PAR-1Bα、EphA1、PDGFRβ、EphA2、Pim-1、EphA5、PKBβ、EphB2、PKCβI、EphB4、PKCδ、FGFR1、PKCη、FGFR2、PKCθ、FGFR4、PKD2、Fgr、PKG1β、Flt1、PRK2、Hck、PYK2、HIPK2、Ret、IKKα、RIPK2、IRR、ROCK-II(ヒト)、JNK2α2、Rse、JNK3、Rsk1(h)、PI3 Kγ、PI3 KδおよびPI3-Kβを含むキナーゼのリストである。本発明の化合物は、キナーゼ・パネル(野生型および/またはその変異体)についてスクリーニングされ、該パネルのメンバーの少なくとも1つの活性を阻害する。
【0017】
“BCR-Abl変異体”は、野生型の配列からの1個または多数のアミノ酸変化を意味する。BCR-ABLの変異は、タンパク質と阻害剤(例えばGleevecなど)の不可欠な接触点を乱すことによって、より多くの場合には、不活性な状態から活性状態、すなわちBCR-ABLとGleevecが結合できないコンホメーションへの変化を誘発することによって作用する。臨床サンプルの分析により、耐性表現型に関係して見出される変異のレパートリーは、時間の経過と共に、ゆっくりと、しかし確実に増大している。変異は、4個の主要な領域に集中して起こるようである。変異の1つのグループ(G250E、Q252R、Y253F/H、E255K/V)は、ATPのためのホスフェート結合ループ(P−ループとしても知られている)を形成するアミノ酸を含む。第2のグループ(V289A、F311L、T315I、F317L)は、Gleevec結合部位で見出され、水素結合またはVan der Waals相互作用を介して、阻害剤と直接相互作用する。変異の第3のグループ(M351T、E355G)は、触媒ドメイン近くで集中して起こる。変異の第4のグループ(H396R/P)は、活性化ループに位置し、そのコンホメーションはキナーゼの活性化/不活性化を制御する分子スイッチである。CMLおよびALL患者で検出されるGleevec耐性に関係するBCR-ABL点変異は、M224V、L248V、G250E、G250R、Q252R、Q252H、Y253H、Y253F、E255K、E255V、D276G、T277A、V289A、F311L、T315I、T315N、F317L、M343T、M315T、E355G、F359V、F359A、V379I、F382L、L387M、L387F、H396P、H396R、A397P、S417Y、E459K、およびF486Sを含む(1文字表記によって示されるアミノ酸の位置は、GenBank配列受付番号AAB60394のものであり、ABL型1aに対応する; Martinelli et al., Haematologica/The Hematology Journal, 2005, April; 90-4)。本発明について特記しない限り、Bcr-Ablは、該酵素の野生型および該酵素の変異体を言う。
【0018】
“処置する”、“処置すること”および“処置”は、疾患および/またはそれに付随する症候を軽減するまたは寛解する方法を言う。
【0019】
好ましい態様の説明
本発明は、キナーゼ関連疾患、特にFGFR3キナーゼ関連疾患を処置するための化合物、組成物および方法を提供する。例えば、膀胱癌、多発性骨髄腫、およびFRFR3過剰発現または変異と関連する他の癌は、FGFR3の阻害によって処置され得る。
【0020】
一つの態様において、式Iの化合物に関して、YがNであってZがCHであるか、またはZがNであってYがCHであるかの何れかであり、これらの態様の何れもが独立して本発明の好ましい態様である。
【0021】
別の態様において、RはC1−4アルコキシであり;Rは、シアノ、C1−4アルコキシ、−C(O)NR、−NRC(O)R、−NRS(O)、−NR、−C(O)OR、−C(O)NROR、および、C、O、NおよびSから選択される5から7員の環員を含む飽和、不飽和または部分的に飽和の単環式環から選択されるか、または、YがNであってZがCHであるときRおよびRが独立してHであり;ここで、Rは、水素およびC1−4アルキルから選択され;Rは、水素、C1−4アルキルおよびC3−12シクロアルキルから選択される。
【0022】
別の態様において、Rは、水素、ハロおよびC1−4アルキルから選択され;R4aは、ハロおよびC1−4アルキルから選択され;R4bは、水素およびC1−4アルキルから選択され;Rは水素である。
【0023】
別の態様において、Rは、水素、−X、−C(O)NR10およびXNR1011から選択され;ここで、それぞれのXは、結合およびC1−4アルキレンから独立して選択され;Rは、C6−10アリール、C、O、NおよびSから選択される5から7員の環員を含む単環式環、および、C、O、NおよびSから選択される8から14員の環員を含む架橋または縮合二環式環系から選択され;ここで、Rの単環式環および架橋または縮合二環式環は、飽和、不飽和または部分的に不飽和であってもよく;R10およびR11は、水素およびC1−4アルキルから独立して選択され;ここで、Rの単環式環および架橋または縮合二環式環は、所望によりC1−4アルキル、−X12および−OXNR1314から選択される1個の基で置換されていてもよく;ここで、それぞれのXは、結合およびC1−4アルキレンから独立して選択され;R13およびR14は、水素およびC1−4アルキルから独立して選択され;R12は、所望によりC1−4アルキル、−XC(O)NR1516、−XOR16、−XC(O)XOR15、−XC(O)R15および−XNR1516から選択される3個までの基で置換されているC、O、NおよびSから選択される5から7員の環員を含む単環式環から選択され;ここで、R12の単環式環および架橋または縮合二環式環は、飽和、不飽和または部分的に不飽和であってもよく;ここで、それぞれのXは、結合およびC1−4アルキレンから独立して選択され;それぞれのR15およびR16は、水素およびC1−4アルキルから独立して選択され;ここで、Rの全てのアルキル置換基は、所望により3個までのヒドロキシル基で置換されていてもよい。
【0024】
別の態様において、Rはメトキシであり;Rは、シアノ、メトキシ、エチル−アミノ−カルボニル、シクロプロピル−アミノ−カルボニル、シクロプロピル−カルボニル−アミノ、メチル−カルボニル−アミノ、メチル−スルホニル−アミノ、アミノ、メトキシ−カルボニル、エトキシ−アミノ−カルボニルおよびアミノ−カルボニルから選択され;
あるいは、YがNであってZがCHであるとき、RおよびRは独立してHである。
【0025】
別の態様において、Rは、水素、クロロ、フルオロ、ブロモおよびメチルから選択され;R4aは、クロロ、フルオロ、メチルおよびオキサゾールから選択され;R4bは、水素およびメチルから選択され;Rは水素である。
【0026】
別の態様において、Rは、水素;モルホリノ−エチル;モルホリノ−エチル−アミノカルボニル;ジメチル−アミノ−ブチル;メチル−ピペラジニル−エチル;メチル−ピペラジニル−エチル−アミノカルボニル;1−ヒドロキシエチル、または特にモルホリノ−メチル、アミノ−カルボニル−ピペラジニル−メチル、メチル−カルボニル−ピペラジニル−メチル、モルホリノ−エチル、ピペリジニル−メチル、ピロリジニル−メチル、ジメチルアミノ−カルボニル−ピペラジニル−メチル、メチルアミノ−カルボニル−ピペラジニル−メチル、メチル−ピペラジニル−メチル、エチル−ピペラジニル−メチル、ヒドロキシ−エチル−ピペラジニル−メチル、エチル−ピペラジニル、メチル−ピペラジニル−エチル、ヒドロキシ−メチル−カルボニル−ピペラジニル、ジエチル−アミノ−メチルおよびジメチル−アミノ−メチルから選択される1個の基で置換されているピリジニル;および、エチル−ピペラジニル、1−ヒドロキシ−エチル、モルホリノ−メチル、ジエチルアミノ−エトキシおよびモルホリノから選択される1個の基で置換されているフェニルから選択されるか、あるいは、ピペラジニル−C−C−アルキル(非置換であるか、またはC−C−アルキルで置換されている)で置換されているフェニルである。
【0027】
別の態様において、Rは−C(O)NRORであり、ここで、Rは水素またはC−C−アルキルであり、Rは、(ハロ−C−C−アルキル)−フェニル(例えば3−トリフルオロメチル)、または4−[4−(C−C−アルキル)−ピペラジン−1−イル−C−C−アルキル]−3−(ハロ−C−C−アルキル)−フェニル(例えば4−(4−エチルピペラジン−1−イル−メチル)−3−トリフルオロメチル)から選択される。
【0028】
別の態様において、次に示すものから選択される式Iの化合物である:
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−ピロリジン−1−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(4−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−ジメチルアミノメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
【0029】
1−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イル]−3−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−ウレア、
1−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イル]−3−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−ウレア、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(3−モルホリン−4−イル−プロピル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(4−ジメチルアミノ−ブチル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
4−{6−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−カルボン酸アミド、
1−(4−{6−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[4−(2−ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
4−{6−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−カルボン酸 ジメチルアミド、
4−{6−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−カルボン酸 メチルアミド、
【0030】
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−3−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−ピペリジン−1−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
3−(6−アミノ−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ)−2,4−ジクロロ−5−メトキシ−安息香酸メチルエステル、
2,4−ジクロロ−N−エチル−5−メトキシ−3−[6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ]−ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−N−エトキシ−5−メトキシ−3−[6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ]−ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−5−メトキシ−3−[6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ]−ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−5−メトキシ−3−[6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ]−安息香酸メチルエステル、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−ジエチルアミノメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
1−{3−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−フェニル}−エタノール、
2,4−ジクロロ−N−エチル−5−メトキシ−3−{6−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イルアミノ]−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ}−ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−3−[6−(5−ジメチルアミノメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ]−N−エチル−5−メトキシ−ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−N−エチル−5−メトキシ−3−{6−[5−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−ピリジン−2−イルアミノ]−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ}−ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−N−エチル−5−メトキシ−3−[6−(4−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ]−ベンズアミド、
【0031】
2,4−ジクロロ−N−エチル−5−メトキシ−3−{6−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イルアミノ]−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ}−ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−N−エチル−5−メトキシ−3−[6−(5−ピロリジン−1−イルメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ]−ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−N−エチル−3−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ}−5−メトキシ−ベンズアミド、
N4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
2,4−ジクロロ−3−{6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イルアミノ]−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ}−5−メトキシ−安息香酸メチルエステル、
2,4−ジクロロ−N−エチル−3−{6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イルアミノ]−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ}−5−メトキシ−ベンズアミド、
【0032】
N4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(4−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−ブロモ−6−クロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−ブロモ−6−クロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−ブロモ−6−クロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−ブロモ−6−クロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(4−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−N6−(4−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
【0033】
2,4−ジクロロ−N−シクロプロピル−3−{6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イルアミノ]−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ}−5−メトキシ−ベンズアミド、
N4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[4−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
2,4−ジクロロ−N−シクロプロピル−5−メトキシ−3−[6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ]−ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−N−シクロプロピル−3−{6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イルアミノ]−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ}−5−メトキシ−ベンズアミド、
N4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(4−ピロリジン−1−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
1−(4−{6−[4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノン、
N4'−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(4−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
【0034】
1−(4−{6−[4'−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノン、
3−{6−[5−(4−アセチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イルアミノ]−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ}−2,4−ジクロロ−N−シクロプロピル−5−メトキシ−ベンズアミド、
N4'−(2−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イル]−N4'−(2−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
2−(4−{6−[4'−(2−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノール、
N4'−(2−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(4−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イル]−N4'−(2−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
2−(4−{6−[4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノール、
2−(4−{6−[4'−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノール、
2−(4−{6−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノール、
2−(4−{6−[4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノール、
【0035】
1−{3−[4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−フェニル}−エタノール、
1−{3−[4'−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−フェニル}−エタノール、
1−{6−[4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イル}−エタノール、
1−{6−[4'−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イル}−エタノール、
1−{6−[4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イル}−エタノール、
1−{6−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イル}−エタノール、
1−{6−[4'−(2−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イル}−エタノール、
N4'−(2−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−N6−[5−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
1−(4−{6−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−2−ヒドロキシ−エタノン、
1−(4−{6−[4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−2−ヒドロキシ−エタノン、および
N4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−2'−メチル−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン。
【0036】
本発明のさらに好ましい化合物は、次のグループから選択される:
2,4−ジクロロ−5−メトキシ−3−(6−(5−(モルホリノメチル)ピリジン−2−イルアミノ)−4,5'−ビピリミジン−4'−イルアミノ)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−N−(4−((4−エチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−メトキシ−3−(6−(5−(モルホリノメチル)ピリジン−2−イルアミノ)−4,5'−ビピリミジン−4'−イルアミノ)ベンズアミド、
{6−[3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−フルオロフェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(4−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−フルオロフェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(4−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(4−[2−(モルホリン−4−イル)−エチル]−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−フルオロフェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(4−[2−(モルホリン−4−イル)−エチル]−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(5−[1−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン−4−イル]−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(5−[1−(2−ヒドロキシ−1−オキソ−エチル)−ピペラジン−4−イル]−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(5−[1−ヒドロキシエチル]−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2,6−ジフルオロ−3−メトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−アミン、
{6−[3−(2,6−ジフルオロ−3−メトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−N−(5−(モルホリン−4−イルメチル)−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2,6−ジフルオロ−3−メトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(4−(モルホリン−4−イルメチル)−ピリジン−2−イル)−アミン、
6−(3−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)ピラジン−2−イル)ピリミジン−4−アミン、
6−(3−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)ピラジン−2−イル)−N−(5−(モルホリノメチル)ピリジン−2−イル)ピリミジン−4−アミン、
6−(3−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)ピラジン−2−イル)−N−(5−(2−モルホリノエチル)ピリジン−2−イル)ピリミジン−4−アミン、
6−(3−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)ピラジン−2−イル)−N−(4−(4−エチルピペラジン−1−イル)フェニル)ピリミジン−4−アミン、および
6−(3−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)ピラジン−2−イル)−N−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)ピリミジン−4−アミン。
【0037】
さらに好ましい本発明の化合物は、下記の実施例、表Iおよび表IIに詳述している。
【0038】
式Iの化合物または本発明の化合物(およびその前駆体)は、一般的にまたは具体的に記載されるとき、それぞれ、そのN−オキシド誘導体、個々の異性体、異性体混合物;および/またはそれらの薬学的に許容される塩(溶媒和物(例えば水和物)を含む)を含むことを意図している。複数表現(例えば複数の化合物、複数の塩、複数の異性体などにおいて)が用いられるときは、また、対応する単数表現(例えば、1個の化合物、1個の塩、1個の異性体など)を含む。純粋な式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩は、本発明の態様全てで特に好ましい。
【0039】
薬理および有用性
本発明の化合物は、キナーゼの活性を調節し、それ自体、キナーゼが疾患の病状および/または症候に寄与する疾患または障害の処置に有用である。本明細書中で記載される化合物および組成物によって阻害される、および本明細書中で記載された方法が有用であるキナーゼの例は、FGFR3、Fms、c-RAF、KDRおよびTie2、さらにB-Raf、LCKおよび(特にBcr-)Ablを含み、これらに限定されない。
【0040】
Ras-Raf-MEK-ERKシグナル伝達経路は、増殖シグナルに対する細胞応答を仲介する。Rasは、ヒトの癌の約15%において発癌形態に変異している。Rafファミリーは、セリン/トレオニン・タンパク質キナーゼに属し、それは3個のメンバー、すなわちA-Raf、B-Rafおよびc-Raf (またはRaf-1)を含む。医薬標的であるRafへの焦点は、Rasの下流エフェクターとしてのRafの関係に絞られている。しかし、B-Rafは、活性化Ras対立遺伝子を必要とせずに、ある種の腫瘍の形成に顕著な役割を有し得る(Nature 417:949-954 (2002))。特に、B-Raf変異は、大部分の悪性黒色腫で検出されている。現存する黒色腫の医学的処置は、特に後期黒色腫でそれらの効果が限定されている。本発明の化合物はまた、b-Rafキナーゼが関与する細胞過程を阻害し、ヒトの癌、例えば黒色腫の処置における新規の治療の機会を提供する。
【0041】
ある異常増殖状態は、Raf発現と関連すると考えられており、従って、Raf発現の阻害に応答性であると考えられている。異常に高いレベルのRafタンパク質発現はまた、形質転換および異常細胞増殖に関係している。これらの異常増殖状態もまた、Raf発現の阻害に応答性であると考えられている。例えば、全肺癌細胞株の60%で異常に高レベルのc-Raf mRNAとタンパク質が発現していると報告されているため、c-Rafタンパク質発現は、異常細胞増殖に役割を果たすと考えられている。異常増殖状態のさらなる例は、過剰増殖障害、例えば癌、腫瘍、過形成、肺線維症、血管新生、乾癬、アテローム動脈硬化症、血管中の平滑筋細胞増殖、例えば狭窄または血管形成術後の再狭窄である。Rafがその一部である細胞シグナル伝達経路はまた、T細胞増殖(T細胞活性化および増殖)によって特徴付けられる炎症性障害、例えば組織移植拒絶反応、内毒素ショック、および糸球体腎炎などに関係している。
【0042】
本発明の化合物はまた、c-Rafキナーゼが関与する細胞過程を阻害し得る。c-Rafは、Ras発癌遺伝子によって活性化され、これは多くのヒトの癌において変異している。従って、c-Rafのキナーゼ活性の阻害は、Ras介在腫瘍増殖を妨げる方法を提供し得る [Campbell, S. L., Oncogene, 17, 1395 (1998)]。
【0043】
線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)は、FGF受容体チロシンキナーゼファミリーのメンバーである。FGFR3の活性化された変異体は、74%の表在型膀胱癌(全膀胱癌の38〜46%)、5%の子宮頚癌および約10%の多発性骨髄腫の患者において、t(4;14)(p16.3;q32.3) 染色体転座で見出される。約15%の多発性骨髄腫の患者が有する該t(4;14) 染色体転座は、形質細胞中のFGFR3の発現を増加させる。造血細胞中で発現されるとき、活性化変異体および野生型FGFR3は、腫瘍原性である。従って、FGFR3の阻害剤、例えば本発明の化合物は、膀胱癌およびその他の、例えばt(4;14)多発性骨髄腫のための新規の、かつ有効な治療的処置を提供し得る。
【0044】
FGFR3はまた、骨成長に対する負の制御効果および軟骨細胞増殖の阻害を行うことが示された。致死性骨異形成症は、線維芽細胞増殖因子受容体3の異なる変異によって引き起こされ、1つの変異TDII FGFR3は、構成的チロシンキナーゼ活性を有し、これは転写因子Stat1を活性化して、細胞周期阻害因子の発現、増殖停止および異常骨成長をもたらす (Su et al., Nature, 1997, 386, 288-292)。FGFR3はまた、しばしば、多発性骨髄腫型癌において発現される。FGFR3活性の阻害剤は、リウマチ性関節炎(RA)、コラーゲンII型関節炎、多発性硬化症(MS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、乾癬、若年発症糖尿病、シェーグレン病、甲状腺疾患、サルコイドーシス、自己免疫性ブドウ膜炎、炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎)、セリアック病および重症筋無力症を含む(これらに制限されない)、T細胞介在炎症性または自己免疫性疾患の処置に有用である。
【0045】
アベルソン・チロシンキナーゼ(すなわちAbl、c-Abl)は、細胞周期の制御、遺伝毒性ストレスに対する細胞応答、およびインテグリン・シグナル伝達を介した細胞環境についての情報伝達に関与する。Ablタンパク質は、種々の細胞外および細胞内供給源からのシグナルを統合する、および細胞周期およびアポトーシスに関する決定に影響を与える細胞モジュールとしての複雑な役割を果たすようである。アベルソン・チロシンキナーゼは、サブタイプ誘導体、例えば脱制御されたチロシンキナーゼ活性を有するキメラ融合物(腫瘍性タンパク質)BCR-Ablまたはv-Ablを含む。BCR-Ablは、慢性骨髄性白血病(CML)の95%、および急性リンパ性白血病の10%の病因として重要である。
【0046】
本発明の化合物は、Ablキナーゼ、例えば、v-Ablキナーゼを阻害し得る。本発明の化合物はまた、野生型Bcr-AblキナーゼおよびBcr-Ablキナーゼ変異体を阻害し得るので、Bcr-Abl-ポジティブの癌および腫瘍疾患、例えば白血病(例えば慢性骨髄性白血病および急性リンパ芽球性白血病)および他のBcr-Ablに関連する増殖性障害の処置に適切であり得る。本発明の化合物はまた、白血病幹細胞に対しても有効であり得て、おそらく該細胞の除去(例えば骨髄除去)後にこれらの細胞をin vitroで精製し、癌細胞を除去した後、細胞を再移植する(例えば精製骨髄細胞の再移植)のに有用である可能性がある。
【0047】
キナーゼのSrcファミリーは、癌、免疫系機能不全および骨再構築疾患に関与している。Srcファミリーのメンバーは、哺乳動物において、下記の8種のキナーゼを含む:Src、Fyn、Yes、Fgr、Lyn、Hck、Lck、およびBlk。全般的なレビューについては、Thomas and Brugge, Annu. Rev. Cell Dev. Biol. (1997) 13, 513; Lawrence and Niu, Pharmacol. Ther. (1998) 77, 81; Tatosyan and Mizenina, Biochemistry (Moscow) (2000) 65, 49; Boschelli et al., Drugs of the Future 2000, 25(7), 717を参照のこと。
【0048】
Lckは、T細胞シグナル伝達に役割を果たす。Lck遺伝子欠損マウスは、胸腺細胞を発育させる能力が低い。T細胞シグナル伝達の正のアクチベーターとしてのLckの機能は、Lck阻害剤が自己免疫性疾患(例えばリウマチ性関節炎)を処置するのに有用であり得ることを示唆している (Molina et al., Nature, 357, 161 (1992))。Hck、FgrおよびLynは、骨髄性白血病においてインテグリン・シグナル伝達の重要なメディエーターとして認識されている (Lowell et al., J. Leukoc. Diol., 65, 313 (1999))。従って、これらのキナーゼ・メディエーターの阻害は、炎症を処置するのに有用であり得る (Boschelli et al., Drugs of the Future 2000, 25(7), 717)。
【0049】
Lynは、Srcファミリーのメンバーであり、B細胞免疫応答の制御に役割を果たしている。Lyn欠損マウスは、B細胞機能が破壊され、自己免疫および欠損肥満細胞脱顆粒を起こす。研究により、また、Lynは、種々の細胞系のアポトーシスのネガティブ・レギュレーターであることが示唆されている。白血病細胞において、Lynは、構成的に活性化されており、Lyn発現の阻害は増殖を逆転させる。さらに、Lynは、大腸およびPC細胞中で発現されることが示されており、また、化学耐性誘発大腸癌細胞株中で、顕著に活性なLynが過剰発現することが示されている (Goldenberg-Furmanov et al., Cancer Res. 64:1058-1066 (2004))。
【0050】
キナーゼc-Srcは、多くの受容体の発癌シグナルを伝達する。例えば、腫瘍におけるEGFRまたはHER2/neuの過剰発現は、c-Srcの構成的な活性化をもたらし、このことは悪性細胞に特徴的であって、正常細胞ではみられない。他方、c-Src発現欠損マウスは、大理石骨病の表現型を示し、このことは、破骨細胞機能におけるc-Srcの重要な関与、および関連障害への関わりの可能性を示す。c-Srcチロシンキナーゼ(CSK)は、癌細胞、特に大腸癌の転移の可能性に影響を与える。
【0051】
c-Kitは、PDGF受容体およびCSF−1受容体(c-Fms)と実質的に相同性を有する。種々の赤血球細胞株および骨髄細胞株の研究により、分化の初期においてc-Kit遺伝子の発現が示された (Andre et al., Oncogene 4 (1989), 1047-1049)。特定の腫瘍、例えば神経膠芽腫細胞はまた、c-Kit遺伝子の著しい発現を示す。
【0052】
キナーゼ挿入ドメイン含有受容体(以下“KDR”と記載)[WO 92/14748; Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88: 9026 (1991)]; Biochem. Biophys. Res. Comm., 187: 1579 (1992); WO 94/11499)、およびFms様チロシンキナーゼ(以下“Flt1”と記載)[Oncogene, 5: 519 (1990); Science, 255: 989 (1992)]は、受容体型チロシンキナーゼファミリーに属する。VEGFは、20pMおよび75pMのKd値でFlt-1およびKDRに特異的に結合すること、またFlt1およびKDRは特異的な方法で血管内皮細胞中で発現されることが報告されている [Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 7533 (1993); Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 8915 (1993)]。種々の疾患におけるFlt-1に関して、正常組織中の血管内皮細胞と比較して、Flt-1 mRNAの発現が、ヒトの神経膠芽腫組織の腫瘍血管内皮細胞[Nature, 359: 845 (1992)]およびヒトの消化器の癌組織の腫瘍血管内皮細胞[Cancer Research, 53: 4727 (1993)]で増大していることが報告されている。さらに、Flt-1 mRNAの発現が、リウマチ性関節炎を有する患者の関節の血管内皮細胞で、in situ ハイブリダイゼーションによって観察されることが報告されている [J. Experimental Medicine, 180: 341 (1994)]。また、研究により、Flt-1が腫瘍の血管新生に重要な役割を果たすことが示唆されている。
【0053】
Flt3は、タイプIII受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーのメンバーである。Flt3 (Fms様チロシンキナーゼ)はまた、Flk-2 (胎児肝臓キナーゼ 2)としても知られている。Flt3遺伝子の異常発現は、急性骨髄性白血病(AML)、3血球系骨髄形成異常を伴うAML(AML/TMDS)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)および骨髄異形成症候群(MDS)を含む成人および小児白血病の双方で報告されている。AMLの約25%において、白血病細胞は、細胞表面に構成的に活性な形態の自己リン酸化(p)FLT3チロシンキナーゼを発現する。p-FLT3の活性は、白血球細胞に増殖および生存率の改善をもたらす。p-FLT3キナーゼ活性の阻害は、白血病細胞のアポトーシス(プログラムされた細胞死)を誘発する。
【0054】
乳癌キナーゼ(Brk)は、大部分の乳癌において過剰発現され、また正常皮膚および腸上皮中にも存在するが、正常胸部上皮細胞では過剰発現されない可溶性タンパク質キナーゼである (Zhang et al., J Biol. Chem. 280:1982-1991 (2005))。
【0055】
Janusキナーゼ(JAK)は、JAK1、JAK2、JAK3およびTYK2からなるチロシンキナーゼのファミリーである。JAKは、サイトカインシグナル伝達に重要な役割を果たす。JAKファミリーのキナーゼの下流の基質は、シグナル伝達性転写因子(STAT)タンパク質を含む。JAK/STATシグナルは、多くの異常な免疫応答、例えばアレルギー、喘息、自己免疫疾患、例えば移植拒絶反応、リウマチ性関節炎、筋萎縮性側索硬化症および多発性硬化症、ならびに固体悪性腫瘍および血液悪性腫瘍(例えば白血病およびリンパ腫)の仲介に関与している。
【0056】
腫瘍血管新生における重要な因子は、血管内皮増殖因子(VEGF)である。VEGFは、腫瘍の血管系の確立の促進および維持が可能であり、また、腫瘍増殖を直接促進することも可能である。VEGFは、血管内皮細胞(VEC)および腫瘍細胞(TC)の有糸分裂誘発および走化性を誘発し得る。ほぼ全てのタイプのTCおよび腫瘍VECはVEGFを分泌し得るが、正常組織におけるVEGFの発現は、非常に低い。4種のVEGF受容体において、KDRは、VEGF機能をもたらす主要な受容体である。KDRは、TCおよび腫瘍VECで高発現である一方、正常組織で低発現である (Ren et al., World J. Gastroentrol. 8:596-601 (2002))。
【0057】
マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)は、転写因子、翻訳因子および種々の細胞外シグナルに応答する他の標的分子を活性化する保存されたシグナル伝達経路のメンバーである。MAPKは、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ・キナーゼ(MKK)による、配列Thr-X-Tyrを有する二重リン酸化モチーフでのリン酸化によって活性化される。より高等な真核生物では、MAPKシグナル伝達の生理学的役割は、細胞の事象、例えば増殖、発癌、発育および分化と相関している。従って、これらの経路を介して(特にMKK4およびMKK6を介して)、シグナル伝達を制御する能力は、MAPKシグナル伝達と関連するヒトの疾患、例えば炎症性疾患、自己免疫性疾患および癌のための処置および予防的治療の発展をもたらすであろう。
【0058】
多くの形態のp38 MAPK (α、β、γ、δ)は、それぞれ別個の遺伝子によってコードされ、浸透圧ストレス、UV光およびサイトカイン介在事象を含む種々の刺激に対する細胞の応答に関与する、キナーゼカスケードの一部を形成している。p38のこれらの4種のアイソフォームは、細胞内シグナル伝達の異なる状態を制御すると考えられている。その活性化は、TNFαのような炎症促進性サイトカインの合成および産生をもたらすシグナル伝達事象のカスケードの一部である。P38は、他のキナーゼおよび転写因子を含む下流の基質をリン酸化することによって機能する。p38キナーゼを阻害する薬物は、TNFα、IL−6、IL−8およびIL−1βを含む(これらに限定されない)サイトカインの産生をブロックすることが示されている。末梢血単球(PBMC)は、リポ多糖(LPS)でin vitroで刺激した際に炎症促進性サイトカインを発現し分泌することが示されている。P38阻害剤は、LPSで刺激する前にPBMCが該化合物で前処理されたとき、有効にこの効果をブロックする。P38阻害剤は、炎症性疾患の動物モデルで効果がある。多くの疾病状態の破壊的な結果は、炎症促進性サイトカインの過剰産生によって引き起こされる。p38阻害剤は、この過剰発現を制御できることから、疾患修飾剤として有用である。
【0059】
p38の機能をブロックする分子は、骨再吸収、炎症、および、他の免疫および炎症をベースとする病状に有効であることが示されている。従って、安全で有効なp38阻害剤は、p38シグナル伝達の調節などによって制御され得る衰弱性疾患を処置するための手段を提供するであろう。従って、p38活性を阻害する本発明の化合物は、炎症、骨関節炎、リウマチ性関節炎、癌、自己免疫疾患の処置、および他のサイトカイン介在疾患の処置に有用である。
【0060】
PDGF(血小板由来増殖因子)は、一般的に存在する増殖因子であり、これは、正常な増殖、ならびに例えば発癌および血管の平滑筋細胞の疾患(例えばアテローム性動脈硬化症および血栓症)で見られる病理学的細胞増殖の両方で重要な役割を果たす。本発明の化合物は、PDGF受容体(PDGFR)活性を阻害でき、従って、腫瘍疾患、例えば神経膠腫、肉腫、前立腺腫瘍、ならびに結腸、乳房および卵巣の腫瘍の処置に適切である。
【0061】
本発明の化合物は、例えば小細胞肺癌における腫瘍阻害物質としてのみではなく、非悪性増殖性障害、例えばアテローム性動脈硬化症、血栓症、乾癬、強皮症および線維症を処置する薬物としても用いられ得る。本発明の化合物はまた、幹細胞の保護のために、例えば化学療法薬(例えば5−フルオロウラシル)の血液毒性効果と戦う薬物としても、また喘息においても用いられ得る。本発明の化合物は、特に、PDGF受容体キナーゼの阻害に応答する疾患の処置に使用され得る。
【0062】
本発明の化合物は、移植、例えば同種移植の結果として生じる障害、特に組織拒絶反応、例えば閉塞性細気管支炎(OB)、すなわち同種肺移植の慢性拒絶反応の処置に有用な効果を示す。OBを有しない患者と比較して、OBを有する患者は、しばしば、気管支肺胞洗浄液中のPDGF濃度の上昇を示す。
【0063】
本発明の化合物はまた、血管平滑筋細胞遊走および増殖と関連する疾患(PDGFおよびPDGFRがしばしば役割を果たしているもの)、例えば再狭窄およびアテローム性動脈硬化症に有効であり得る。in vitro および in vivo での血管平滑筋細胞の増殖または遊走におけるこれらの効果およびその結果は、本発明の化合物の投与によって、および in vivo での物理的外傷後の血管内膜肥厚化に対するその効果を調べることによって証明され得る。
【0064】
タンパク質キナーゼC(PKC)は、発癌、腫瘍細胞転移およびアポトーシスに関連するプロセスにおいて機能する。PKCαは、癌の異なる範囲に関連し、4種の抗エストロゲン剤耐性乳癌細胞株のうち3種で過剰発現することが、以前に示されている (Frankel et al., Breast Cancer Res Treat. 2006 Oct. 24 (ePub))。
【0065】
ストレス活性化タンパク質キナーゼ(SAPK)は、c-Jun転写因子の活性化およびc-Junによって制御される遺伝子の発現をもたらすシグナル伝達経路の最後から2番目の段階を代表するタンパク質キナーゼのファミリーである。特に、c-Junは、遺伝子毒性傷害により損傷したDNAの修復に関与するタンパク質をコードする遺伝子の転写に関与している。従って、細胞中のSAPK活性化を阻害する薬物はDNAの修復を妨げ、かつ、DNA損傷を誘発するかまたはDNA合成を阻害して細胞のアポトーシスを誘発する薬物または細胞増殖を阻害する薬物に対して細胞を感受性とする。
【0066】
SNF1LK箇所を含む領域(SIKとしても知られている)は、ダウン症候群を有する患者においてしばしば観察される先天的な心臓欠陥に関与している。Snf1lkはまた、9.5 dpcで体節の始まりの骨格筋前駆細胞において発現され、このことは、筋肉増殖および/または分化の初期段階における、snf1lkのより一般的な役割を示唆している (Genomics 83:1105-15 (2004))。
【0067】
Sykは、肥満細胞脱顆粒および好酸球活性化に重要な役割を果たすチロシンキナーゼである。それゆえに、Sykキナーゼは、種々のアレルギー状態、特に喘息に関与している。Sykが、FcεR1受容体のリン酸化されたγ鎖に、N−末端SHドメインを介して結合していること、およびそれが下流のシグナル伝達に重要であることが示されている。
【0068】
腫瘍増殖および血管新生の阻害、および、アデノウイルス感染時またはTie-2(Tek)の細胞外ドメイン注射時の肺転移の減少が、乳癌腫瘍および黒色腫の異種移植片モデルで示される [Lin et al., J. Clin. Invest. 100, 8: 2072-2078 (1997) および P. Lin, PNAS 95, 8829-8834, (1998)]。Tie2阻害剤は、血管新生が不適切に起こる状況 (すなわち、糖尿病性網膜症、慢性炎症、乾癬、カポジ肉腫、慢性血管新生(黄斑変性症、リウマチ性関節炎、小児血管腫および癌による)において)で用いられ得る。
【0069】
c-FMS、c-KIT、FLT3、血小板誘発増殖因子受容体α(PDGFRα)およびβ(PDGFRβ)を含むクラス III 受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、増大する悪性腫瘍の病原に関連することが報告されている (Blume-Jensen et al., Nature 411:355-565 (2001); Scheijin et al., Oncogene 21:3314-3333 (2002))。
【0070】
前記によって、本発明は、さらに、処置の必要な対象において、上記の疾患または障害の何れかを予防するまたは処置する方法であって、該対象に、治療有効量(以下の“投与および医薬組成物”を参照のこと)の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。上記の使用の何れにおいても、必要な投与量は、投与方法、処置されるべき特定の状態および望ましい効果に依存して変化する。
【0071】
投与および医薬組成物
一般的に、本発明の化合物は、当業界で既知の何れかの有用かつ許容される方法を介して、単独でまたは1種以上の治療薬と組み合わせて、治療有効量で投与される。治療有効量は、疾患の重症度、対象の年齢および相対的健康状態、用いられる化合物の力価、および他の因子に依存して、広く変化し得る。一般的に、全身に、約0.03から2.5mg/kg体重の1日用量で、満足のいく結果が得られることが示されている。より大きな哺乳動物(例えばヒト)において適応される1日用量は、約0.5mgから約100mgの範囲であり、便宜的には、例えば1日4回までの分割投与で、または徐放形態で投与される。経口投与のための適切な単位投与形は、約1から50mgの活性成分を含む。
【0072】
本発明の化合物は、何れかの簡便な経路で、特に経腸で、例えば、錠剤またはカプセル剤などの形態で、経口で;または、例えば注射用溶液または懸濁液の形態で、非経腸で;例えばローション、ゲル、軟膏またはクリームの形態で、局所で;または鼻腔内で;または坐剤の形態で、医薬組成物として投与され得る。少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤と組み合わせて、遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物を含む医薬組成物は、慣用の方法で、混合、顆粒化、またはコーティング法によって製造され得る。例えば、経口の組成物は、a)希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)滑沢剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムもしくはカルシウム塩、および/またはポリエチレングリコール;錠剤のためには、さらにc)結合剤、例えばケイ酸マグネシウムアルミニウム、澱粉ペースト、ゼラチン、トラガカント・ゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース ナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン;所望によりd)崩壊剤、例えば澱粉、寒天、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、または発泡性混合物;および/またはe)吸収剤、着色料、風味剤および甘味料と共に、活性成分を含む錠剤またはゼラチンカプセルであり得る。注射用組成物は、水性等張性溶液または懸濁液であり得る。そして坐剤は、脂肪性エマルジョンまたは懸濁液から製造され得る。該組成物は、滅菌されてもよく、そして/またはアジュバント、例えば保存料、安定剤、湿化剤、または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調節のための塩および/または緩衝剤を含む。さらに、それらはまた、他の治療的に有益な物質を含んでもよい。経皮適用に適切な製剤は、担体と共に有効量の本発明の化合物を含む。担体は、宿主の皮膚を通過するのを助けるための吸収可能な薬理学的に許容される溶媒を含み得る。例えば、経皮デバイスは、裏打ち材(backing member)、所望により担体と共に本化合物を含むリザーバー、所望により制御されたおよび予め決められた速度で長時間に亘って本化合物を宿主の皮膚に送達する速度制御障壁、ならびに皮膚へデバイスを固定するための手段を含む包帯の形態である。マトリックス経皮用製剤もまた用いられ得る。例えば皮膚および眼への局所適用に適当な製剤は、好ましくは当業界で周知の水溶液、軟膏、クリームまたはゲルである。これらは、溶解剤、安定剤、張性増加剤(tonicity enhancing agent)、緩衝剤および保存料を含んでもよい。
【0073】
本発明の化合物は、1種以上の治療薬(医薬組成物)と組み合わせて、治療有効量で投与され得る。例えば、免疫調節物質または抗炎症物質と、例えばシクロスポリン、ラパマイシンまたはアスコマイシン、またはその免疫抑制アナログ(例えばシクロスポリンA(CsA)、シクロスポリンG(CsG)、FK-506、ラパマイシン)、または匹敵する化合物、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、ブレキナール(brequinar)、レフルノミド、ミゾリビン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、15−デオキシスパガリン(15-deoxyspergualin)、免疫抑制抗体、特に白血球受容体のためのモノクローナル抗体、例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD25、CD28、B7、CD45、CD58またはそのリガンド、または他の免疫調節化合物、例えばCTLA41gと組み合わせて用いた場合に、相乗効果が起こり得る。本発明の化合物が他の治療と併用投与される場合、併用投与される化合物の投与量は、用いられる併用薬のタイプ、用いられる特定の薬物、処置される状態などに依存して、当然に変化する。
【0074】
本発明はまた、薬学的組み合わせのための、例えば、a)本明細書中で開示した遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物である第1薬物、およびb)少なくとも1種の併用薬を含むキットを提供する。該キットは、それの投与のための指示書を含み得る。
【0075】
用語“併用投与”または“組み合わせ投与”などは、本明細書中で用いられるとき、一人の患者への選択された複数の治療薬の投与を含むことを意味し、該薬物が必ずしも同じ投与経路によってまたは同時に投与されるのではない処置レジメを含むことを意図している。
【0076】
用語“薬学的組み合わせ”は、本明細書中で用いるとき、1種以上の活性成分の混合または組み合わせにより得られる製剤を意味し、活性成分の固定化されたおよび固定化されていない組み合わせの両方を含む。用語“固定化された組み合わせ”は、活性成分、例えば式Iの化合物および併用薬が、両方とも患者に同時に1個のものまたは投与形で投与されることを意味する。用語“固定化されていない組み合わせ”は、活性成分、例えば式Iの化合物および併用薬が、同時に(simultaneously)、一緒に(concurrently)、または特に時間の制限なく連続的に、別のものとして両方とも患者に投与される。ここで、このような投与は、患者の体内で治療有効量の2つの化合物を提供する。後者はまた、カクテル療法、例えば3個以上の活性成分の投与に適用される。
【0077】
本発明の化合物の製造方法
本発明はまた、本発明の化合物の製造方法を含む。記載された反応において、反応性官能基(例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基)が最終生成物において望ましいとき、望ましくない反応に関係することを避けるために、これらを保護する必要があり得る。慣用の保護基が用いられ得る。その導入および除去は、標準的な手順に従って行われ得る。例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts in “Protective Groups in Organic Chemistry”, John Wiley and Sons, 1991 を参照のこと。
【0078】
YがCHであってZがNである式Iの化合物は、下記の反応スキームIのように進めることによって製造され得る。
【0079】
反応スキームI:
【化2】

ここで、R、R、R、R4a、R4b、RおよびRは、本発明の概要または好ましい態様で定義した通りである。
【0080】
式2の化合物は、式1の化合物を、NaSMeと、適当な溶媒(例えばTHF)の存在下で反応させることによって製造され得る。式3の化合物は、式2の化合物とマロン酸ジメチルとを、溶媒(例えばDMSO、DMFなど)の存在下、適切な塩基(例えば水素化ナトリウム(NaH))を用いて、反応させることによって製造され得る。
【0081】
式4の化合物は、式3の化合物を、触媒量の塩基(例えばNaOMe)で、適当な溶媒(例えばMeOH)中、脱カルボキシル化することによって製造され得る。反応完了には最大4時間かかる。式4の化合物は、適切なエナミン形成反応剤(例えばN,N−ジメチルホルムアミド ジメチル アセタール)で、式5の化合物に変換され、反応完了には最大24時間かかる。得られたエナミン5を適切なアミジンと反応させ、式6の化合物を得る。式7の化合物は、式6の化合物を適切な塩素化反応剤(例えばPOClなど)と、塩基(例えばトリエチルアミン)の存在下で反応させることによって製造され得る。該反応は、適切な溶媒(例えばCHCN)中で行われ、反応完了には最大24時間必要である。式8の化合物は、式7の化合物を、適切なアニリン(例えば2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシアニリン)と、2つの方法によって反応させることによって製造され得る。立体障害があって反応性が低いアニリンにおいては、該反応は、適当な触媒(例えばPd(II)塩など)、適当なリガンド(例えばDPEphosなど)および適当な溶媒(例えば1,4−ジオキサンなど)の存在下、約80から約150℃の範囲の温度で行われ、反応完了には約20時間かかる。より反応性の、または立体障害の少ないアニリン類との式7の縮合化合物においては、これらは、酸(例えばTsOH、HOAc、HClなど)と共にまたはなしで、適当な溶媒(例えばアルコール、DMSO、DMFなど)中で行われる。式8の化合物を適当な酸化剤(例えばm−クロロ過安息香酸(mCPBA)など)でさらに酸化して、式9の化合物を得ることもでき、反応完了には最大6時間かかる。式10の化合物は、式9の化合物を適切なアミンまたはアニリンと反応させることによって製造され得る。該反応は、100〜150℃の温度範囲で行い、反応完了には最大10時間かかる。アルキルアミン置換のための反応条件は、式9の化合物を、5〜10当量のアミンと共に、適当な溶媒(例えばDMSO、DMFなど)中で加熱することを含む。式11の化合物は、式9の化合物を、NHと、適切な溶媒(例えばイソプロパノールなど)中、100〜150℃の温度範囲でアミノ化することによって製造され得る、反応完了には最大20時間かかる。式12の化合物は、式11の化合物を適切な臭化物(例えば4−(6−ブロモ−ピリド−3−イルメチル)−モルホリン)と反応させることによって製造され得る。反応は、適当な触媒(例えばPd(II)塩など)、適当なリガンド(例えばDPEphos、Xantphosなど)および適当な溶媒(例えば1,4−ジオキサンなど)の存在下、約80から約150℃の温度範囲で行い、反応完了には最大約20時間かかる。
【0082】
式13の化合物は、式11の化合物を、適当な溶媒(例えばTHFなど)、適当な反応性化学中間体(例えばクロロ蟻酸フェニルなど)および適当な塩基(例えばピリジンなど)の存在下で反応させることによって合成され得る。反応は、約0℃から約40℃の温度範囲で行い、反応完了には最大約2時間かかる。得られたカルバメートを、さらに、適切なアミン(例えば、4−(2−アミノエチル)モルホリン)と、約0℃から約40℃の温度範囲で反応させ、反応完了には最大約24時間かかる。
【0083】
ZがCHであり、YがNである式Iの化合物は、下記の反応スキームIIの通り進めることによって製造され得る。
【0084】
スキームII:
【化3】

ここで、R、R、R、R4a、R4bおよびRは、本発明の概要または式Iの化合物の好ましい態様で定義した通りである。
【0085】
化合物33から化合物34への反応は、スキームI中の化合物1および2について記載された通りに製造され得る。式35の化合物は、ヨウ化水素酸(または適切な前駆体)の存在下、適切な溶媒(例えばハロゲン化炭化水素(例えばジクロロメタン))中、適切な温度で、例えば0から40℃で製造され得る。式35の化合物は、グリニャール試薬(例えばイソプロピル−MgCl錯体)の存在下で、続いてトリアルキル化Sn−置換基(例えばハロゲン化 トリアルキル化錫(例えばSnBuCl)を導入するために適切な反応剤の存在下で、例えば適切な溶媒(例えばTHF)中、化合物36に変換され得る。ここで、該反応は、好ましくは低温(例えば−90から0℃)で行われる。式36の化合物は、Stilleカップリング条件下で、適切な触媒(例えば酢酸パラジウム(II)の存在下でのトリフェニルホスフィン)で、適切な溶媒(例えばエーテル類(例えばジオキサン))中、例えば高温で、50から140℃の範囲でカップリングさせ、式37の化合物に変換され得る。式38の化合物は、式37の化合物を、置換基R、R、RおよびR4bを有するアニリンと、式Iの化合物から導き出せる位置で、化合物7から化合物8への変換について上で記載した条件と同様の条件下で、カップリングさせることによって得られる。式39の化合物は、式38の化合物から、化合物8の酸化について上で記載した方法と同様の方法で酸化させることによって得られる。式39の化合物は、相補的なアミンまたはアニリンRNHと反応させることによって式41の化合物に直接変換され得るか、例えば化合物9から10への変換について上で記載したように、始めにアンモニアで、適切な溶媒(例えばアルコール(例えばプロパノール))中で、式40のアミノ化合物とし、例えば化合物11から12への変換について上で記載した条件下で変換するか、または化合物11から化合物13への変換について上で記載したアシル化によって式41の化合物に変換され得る。
【0086】
式Iの化合物は、特記しない限り、実施例および出発物質に記載した方法と同様の方法で得られる。出発物質は市販されているか、当技術分野で既知の方法に従って得られるか、かつ/または実施例に記載した方法によってまたはそれと同様の方法で得られる。
【0087】
式Iの化合物の合成の詳細な例は、下記の実施例で見出される。
【0088】
本発明の化合物のさらなる製造方法
本発明の化合物は、遊離塩基形の本化合物を薬学的に許容される無機酸または有機酸と反応させることによって、薬学的に許容される酸付加塩として製造され得る。あるいは、本発明の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩は、遊離酸形の本化合物を薬学的に許容される無機塩基または有機塩基と反応させることによって製造され得る。
【0089】
あるいは、塩形の本発明の化合物は、出発物質または中間体の塩を用いて製造され得る。
【0090】
遊離酸形または遊離塩基形の本発明の化合物は、それぞれ、対応する塩基付加塩または酸付加塩から製造され得る。例えば、本発明の化合物の酸付加塩は、適切な塩基(例えば水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)で処理することによって、対応する遊離塩基に変換され得る。本発明の塩基付加塩は、適切な酸(例えば塩酸など)で処理することによって対応する遊離酸に変換され得る。
【0091】
非酸化形の本発明の化合物は、本発明の化合物のN−オキシドを、還元剤(例えば硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、三臭化リンなど)で、適切な不活性有機溶媒(例えばアセトニトリル、エタノール、水性ジオキサンなど)中、0から80℃で処理することによって、製造され得る。
【0092】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体は、当業者に既知の方法によって製造され得る(例えばさらなる詳細については、Saulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985を参照のこと)。例えば、適切なプロドラッグは、非誘導体化された本発明の化合物を、適切なカルバミル化反応剤(例えば1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリデート、p−ニトロフェニル カーボネートなど)と反応させることによって製造され得る。
【0093】
本発明の化合物の保護誘導体は、当業者に既知の手段によって製造され得る。保護基の作成およびその除去に適用可能な方法の詳細な説明は、T. W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999 で見出され得る。
【0094】
本発明の化合物は、本発明の方法の間に、溶媒和物(例えば水和物)として、簡便に製造され得るかまたは形成され得る。本発明の化合物の水和物は、水性/有機溶媒混合物から再結晶することによって簡便に製造され得る。ここで、有機溶媒は、例えばジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールを用い得る。
【0095】
本発明の化合物は、本化合物のラセミ混合物を光学活性な分割剤と反応させ、1対のジアステレオアイソマー混合物を形成し、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することによって、個々の立体異性体として製造され得る。エナンチオマーの分割は、本発明の化合物の共役なジアステレオマー誘導体を用いて行い得るが、分離可能な複合体(例えば結晶性ジアステレオマー塩)が好ましい。ジアステレオマーは、別個の物理的性質(例えば融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、これらの相違点を利用することによって容易に分離され得る。ジアステレオマーは、クロマトグラフィーによって分離され得るか、あるいは、好ましくは、溶解度の違いに基づく分離/分割法によって分離され得る。次いで、分割剤に応じて、ラセミ化を起こさない何れかの実用的な手段によって、光学的に純粋なエナンチオマーを回収する。化合物の立体異性体の分離に適用可能な方法のより詳細な説明は、Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley And Sons, Inc., 1981 で見出され得る。
【0096】
要約すると、式Iの化合物は次に示すプロセスを含むプロセスによって合成され得る:
(a) 反応スキームIのプロセス;および
(b) 所望により本発明の化合物を薬学的に許容される塩に変換すること;
(c) 所望により塩形の本発明の化合物を非塩形に変換すること;
(d) 所望により非酸化形態の本発明の化合物を薬学的に許容されるN−オキシドに変換すること;
(e) 所望により本発明の化合物のN−オキシドをその非酸化形態に変換すること;
(f) 所望により本発明の化合物の個々の異性体を異性体混合物から分離すること;
(g) 所望により非誘導体化された本発明の化合物を薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体に変換すること;および
(h) 所望により本発明の化合物のプロドラッグ誘導体をその非誘導体化形態に変換すること。
【0097】
出発物質の製造が特記されない限り、該化合物は既知であるか、当技術分野で既知の方法と同様の方法で製造され得るか、または、以下の実施例で開示された方法と同様の方法で製造され得る。
【0098】
当業者は、上記の変換が、本発明の化合物の製造方法の単なる代表例であって、他の周知の方法を同様に用い得ることを認識するであろう。
【実施例】
【0099】
本発明は、さらに、本発明の式Iの化合物の製造を説明する、下記の実施例で例示されるが、これらによって限定されない。
【0100】
実施例において、ならびに以下の明細書において、下記の略号を用いる。
【表1】

【0101】
実施例1
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミンの合成
スキーム1
【化4】

【化5】

THF(100ml)中の、4,6−ジクロロ−ピリミジン(1)(20.93g, 140mmol)、ナトリウム チオメトキシド(10.34g, 147mmol)の混合物を、室温で終夜撹拌する。該反応混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルと塩水の層間に分配する。有機層を分離し、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥する。粗生成物をヘキサン(60ml)から再結晶することによって精製し、4−クロロ−6−メチルスルファニル−ピリミジンを得る。母液を濃縮し、残渣を、ヘキサン中0%から10%の酢酸エチルで溶出するシリカゲル・フラッシュ・クロマトグラフィーによって精製し、少量の副生成物4,6−ビスメチルチオ−ピリミジン(次の段階で簡単に除去される)を含む4−クロロ−6−メチルスルファニル−ピリミジンを得る。
1H NMR 400 MHz (CDCl3) δ 8.72 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 2.58 (s, 3H).
【0102】
【化6】

DMSO(20ml)中のNaH(1.98g, 50mmol, 油中60%)の懸濁液に、マロン酸ジメチル(5.67ml, 50mmol)を、23℃(必要であれば氷水によって冷却)で加える。水素の発生が止んだ後、4−クロロ−6−メチルスルファニル−ピリミジン()(3.22g, 20mmol)を加える。該反応物を80℃でさらに5時間加熱する。次いで該反応混合物を室温まで冷却し、飽和NHCl溶液(50ml)でクエンチする。該有機物を、酢酸エチル(3×60ml)で抽出する。合わせた有機層を塩水(2×)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。50mlのヘキサンを残渣に加え、60℃で半時間加熱し、次いで室温まで冷却する。該固体を濾過し、ヘキサンで洗浄し、2−(6−メチルスルファニル−ピリミジン−4−イル)−マロン酸ジメチルエステルを得る(必要であれば、ヘキサン洗浄液を濃縮し、ヘキサン中0%から40%の酢酸エチルで溶出するシリカゲル・フラッシュ・クロマトグラフィーによって精製し、さらなる生成物を得る)。
1H NMR 400 MHz (DMSO-d6) 化合物A δ 8.92 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 5.20 (s, 1H) 3.70 (s, 6H), 2.56 (s, 3H); 化合物B (Aの互変異性体, 構造は仮に割り当てされている) 8.37 (s, 1H), 7.34 (s, 1H), 3.66 (s, 6H), 2.48 (s, 3H).
【0103】
【化7】

MeOH(100ml)中の、2−(6−メチルスルファニル−ピリミジン−4−イル)−マロン酸ジメチルエステル()(3.35g, 13mmol)およびナトリウム メトキシド(0.300ml, 25%(w/v)溶液, 1.30mmol, 0.1当量)の混合物を、60℃で3時間加熱する。該反応混合物を室温まで冷却し、1N HCl溶液(1.30ml)で中性にし、濃縮する。残渣を酢酸エチルで抽出する。有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。粗生成物を、ヘキサン中0%から50%の酢酸エチルで溶出するシリカゲル・フラッシュ・クロマトグラフィーによって精製し、(6−メチルスルファニル−ピリミジン−4−イル)−酢酸メチルエステルを黄色の油状物として得る。
1H NMR 400 MHz (CDCl3) δ 8.86 (s, 1H), 7.18 (s, 1H), 3.73 (s, 3H), 3.70 (s, 2H), 2.55 (s, 3H).
【0104】
【化8】

(6−メチルスルファニル−ピリミジン−4−イル)−酢酸メチルエステル()(4.83g, 24mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド ジメチルアセタール(35ml, 263mmol)の混合物を、110℃で終夜加熱する。該反応混合物を室温まで冷却し、濃縮し、さらに精製することなく次の反応に用いる。
【0105】
【化9】

2−メトキシエタノール(20ml)中の、粗製の物質()(1.36g)および酢酸ホルムアミジン(2.79g, 26.8mmol, 5.0当量)の混合物を、110℃で、密封管中で、24時間加熱する。該反応混合物を室温まで冷却し、濃縮し、該固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥し、6−メチルスルファニル−[4,5']ビピリミジニル−4'−オールを褐色の固体として得る。
1H NMR 400 MHz (DMSO-d6) δ 8.98 (s, 1H), 8.96 (s, 1H), 8.48 (s, 1H), 8.39 (s, 1H), 2.57 (s, 3H).
【0106】
【化10】

POCl(1.51ml, 16.2mmol, 3.0当量)を、アセトニトリル(30ml)中の6−メチルスルファニル−[4,5']ビピリミジニル−4'−オール()(1.20g, 5.44mmol)およびトリエチルアミン(0.76ml, 5.44mmol, 1.0当量)の懸濁液に、ゆっくりと加える。85℃で2時間加熱した後、該反応混合物を室温まで冷却し、氷水に注ぎ、飽和NaHCO溶液によって中性にし、次いで酢酸エチルで抽出する。有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮する。粗生成物を、ヘキサン中0%から40%の酢酸エチルで溶出するシリカゲル・フラッシュ・クロマトグラフィーによって精製し、4'−クロロ−6−メチルスルファニル−[4,5']ビピリミジニルを白色の固体として得る。
1H NMR 400 MHz (DMSO-d6) δ 9.19 (s, 1H), 9.12 (d, 1H, J = 1.2 Hz), 9.07 (s, 1H), 7.91 (d, 1H, J = 1.6 Hz), 2.62 (s, 3H).
【0107】
【化11】

ジオキサン(150ml)中のクロロピリミドピリミジン()((10.00g, 41.9mmol)、2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシアニリン(10.70g, 48.2mmol)、DPEphos(4.52g, 8.39mmol)、酢酸パラジウム(II)(940mg, 4.19mmol)および炭酸セシウム(27.36, 84.0mmol)の懸濁液を、圧力管中で脱気し、密封する。150℃で1.5時間撹拌した後、該反応混合物を冷却し、5%ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム塩溶液(200ml)および水(100ml)でクエンチする。室温で30分間撹拌した後、褐色の固体を濾過によって集め、水で洗浄する。粗生成物を熱または冷メタノール(3×100ml)中で連続して撹拌/濾過することによって磨砕し、過剰のアニリンを除去し、CHCl(100ml)中で、リガンドを除去する。該生成物を褐色の固体として得る。さらなる生成物は、磨砕からの濾液をさらにクロマトグラフィーによって精製することによって得られる。
1H NMR 400 MHz (DMSO-d6) δ 11.22 (s, 1H), 9.17 (s, 1H), 9.06 (s, 1H), 8.53 (s, 1H), 8.18 (s, 1H), 6.94 (s, 1H), 3.96 (s, 6H), 2.64 (s, 3H);
MS m/z 424.0 (M+1).
【0108】
【化12】

CHCl(250ml)中の該スルフィド()(3.346g, 7.88mmol)の懸濁液に、mCPBA(1.766g, 7.88mmol)を、3分かけて、0℃で少しずつ加える。0℃で1.5時間撹拌した後、さらにmCPBA(0.34g, 1.5mmol)を加え、さらに3.5時間撹拌する。さらにmCPBA(0.17g, 0.76mmol)を加え、さらに1時間撹拌する。次いで、該反応物を、5%Na(60ml)および飽和NaHCO(40ml)でクエンチする。水相を分離し、EtOAc(2×100ml)で抽出する。該有機物を塩水(40ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発させ、黄色の固体を得る。該固体をEtOAc(約30ml)中で30分間撹拌し、濾過によって集める。
MS m/z 440.0 (M+1).
【0109】
【化13】

該スルホキシド()(3.01g, 7.27mmol)を、密封管中で、アンモニア/2−プロパノール溶液(2M, 30ml)中に懸濁する。100℃で終夜撹拌した後、該反応物を室温まで冷却する。明褐色の固体を濾過によって集め、エーテルで洗浄し、乾燥する。粗製の物質を、EtOAc(30ml)中で、30分間撹拌し、濾過し、明褐色の固体を得る。
1H NMR 400 MHz (DMSO-d6) δ 11.60 (s, 1H), 8.82 (s, 1H), 8.51 (s, 1H), 8.48 (s, 1H), 7.21 (s, 2H), 7.05 (s, 1H), 6.93 (s, 1H), 3.96 (s, 6H);
MS m/z 393.1 (M+1).
【0110】
【化14】

ジオキサン(30ml)中の、アミノピリミドピリミジン(10)(2.50g, 6.36mmol)、4−(6−ブロモ−ピリジン−3−イルメチル)−モルホリン(13)(2.45g, 9.54mmol)、Xantphos (736mg, 1.27mmol)、酢酸パラジウム(II)(142mg, 0.64mmol)および炭酸セシウム(4.14, 12.72mmol)の懸濁液を、圧力管中で、脱気し、密封する。150℃で1.5時間撹拌した後、該反応物を冷却し、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム塩の溶液(30ml)および水(30ml)でクエンチする。褐色の固体を濾過によって集め、水で洗浄し、乾燥する。粗生成物を、エーテル(300ml)およびCHCl中で連続して撹拌/濾過することによって磨砕する。明褐色の固体を集め、フラッシュクロマトグラフィーによって精製(SiO, 1%NH−CHOH/EtOAc, 0から10%)することによって、褐色の物質を除去し、白色の粉末を得る。
1H NMR 400 MHz (DMSO-d6) δ 11.30 (s, 1H), 10.47 (s, 1H), 8.87 (s, 2H), 8.53 (s, 1H), 8.43 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 7.72 (s, 2H), 6.95 (s, 1H), 3.97 (s, 6H), 3.59 (m, 4H), 3.46 (s, 2H), 2.37 (s, 4H);
MS m/z 569.1 (M+1).
【0111】
スキーム2
【化15】

CCl(40ml)中の、2−ブロモ−5−メチル−ピリジン(11)(5.00g, 29mmol)およびNBS(5.162g, 29mmol)の懸濁液に、AIBN(0.477g, 2.9mmol)を加える。該反応物を75℃で5時間撹拌し、濾過する。該フィルターケーキをCClで洗浄し、濾液を蒸発させ、明黄色の残渣を得る。
【0112】
粗製の物質を無水THF(40ml)に溶解する。DIEA(5.03ml, 29mmol)を加え、続いてモルホリン(3.0ml, 34.3mmol)を添加する。室温で1時間撹拌した後、該反応物を、飽和NaHCO(30ml)とEtOAc(100ml)の層間に分配し、層を分離する。EtOAcを塩水(30ml)で洗浄し、乾燥し、蒸発させた。残渣を、フラッシュ・カラム・クロマトグラフィーによって精製(SiO, 1%NH−CHOH/CHCl, 0から10%)し、明黄褐色の固体を得る。
1H NMR 400 MHz (DMSO-d6) δ 8.31 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.69 (dd, J = 2.4, 8.4 Hz, 1H), 7.62 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 3.57 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 3.48 (s, 2H), 2.35 (t, J = 4.4 Hz, 4H);
MS m/z 257.1 (M+1).
【0113】
スキーム3
【化16】

【0114】
N−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミド()
【化17】

トルエン(100ml)中の、3,5−ジメトキシ−フェニルアミン(22.0g, 143.6mmol)の溶液に、AcO(14ml)を、室温でゆっくりと加える。30分撹拌した後、ヘキサン(50ml)を、室温で撹拌しながら加える。得られた固体を濾過し、ヘキサン(50ml)で洗浄し、白色の固体として生成物(14)を得る。
【0115】
N−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミド
【化18】

MeCN(150ml)中の、N−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミド(14)(10.0g, 51.22mmol)の、0℃に冷却した懸濁液に、塩化スルフリル(8.23ml, 101.53mmol)をゆっくりと加える。30分間撹拌した後、該溶液を室温まで温め、終夜撹拌する。溶媒(MeCN)を真空で除去した後、NaHCO(飽和, 200ml)および酢酸エチル(250ml)を加え、30分間撹拌する。上記の混合物を濾過することによって白色の固体を得て、水で洗浄し、乾燥し、生成物(15)を得る(Rf=0.3:ヘキサン/酢酸エチル, 1:1)。
MS m/z 264.00 (M + 1).
残った3つの副生成物は、溶液相に存在する。
【0116】
2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミン(16)
【化19】

EtOH(80ml)および水(30ml)の混合物中の、N−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミド(15)(6.50g, 24.61mmol)の懸濁液に、KOH(20g)を加え、80℃で2日間撹拌する。溶媒(EtOH)を真空で除去した後、水(〜15ml)を加え、白色の固体を濾過によって集め、水で洗浄し、乾燥し、最終生成物(16)を得る。
1H NMR 600 MHz (CDCl3) δ 6.03 (s, 1H), 4.55 (s, 2H), 3.88 (s, 6H);
MS m/z 222.00 (M + 1).
【0117】
スキーム4
【化20】

【0118】
クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミン(22)の製造
段階A: 70mlのアセトニトリル中の3,5−ジメトキシ安息香酸メチル(17)(27.6g, 0.14mol)の溶液を、0℃に冷却する。窒素雰囲気下、1.3Lのアセトニトリル中のSelectfluor(75.0g, 0.21mol)の懸濁液を、温度を0℃付近に保ちながら加える。該反応物を室温まで温め、終夜撹拌する。該溶媒を蒸発させ、200mlの飽和炭酸ナトリウム溶液を加える。それをEtOAcで3回抽出する。該有機層を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮する。粗製の混合物を、ヘキサンからヘキサン/エーテルの濃度勾配(30/1; 10/1; 7/1; 4/1)で溶出するシリカゲル・カラム・クロマトグラフィーによって分離し、2−フルオロ−3,5−ジメトキシ−安息香酸メチルエステル(18)および2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−安息香酸メチルエステル(19)を得る。
2−フルオロ−3,5−ジメトキシ−安息香酸メチルエステル(18)
1H NMR 400 MHz (CDCl3) δ 6.91-6.89 (m, 1H), 6.71-6.68 (m, 1H), 3.93 (s, 3H), 3.87 (s, 3H), 3.81 (s, 3H);
MS m/z 215.0(M + 1)
2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−安息香酸メチルエステル(19)
1H NMR 400 MHz (CDCl3) δ 6.73 (t, 1H), 3.96 (s, 3H), 3.89 (s, 6H);
MS m/z 233.0 (M + 1).
【0119】
段階B: 330mlのアセトニトリル中の、2−フルオロ−3,5−ジメトキシ−安息香酸メチルエステル(8.3g, 38.7mmol)の溶液を、0℃まで冷却する。窒素雰囲気下、SOCl(5.2g, 38.7mmol)を滴下する。該反応混合物を室温までゆっくりと温める。1時間後、反応が完了する。該反応物を飽和重炭酸ナトリウムでクエンチし、EtOAcで3回抽出する。有機層を塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濃縮する。粗製の混合物を、ヘキサン/エーテルの濃度勾配(20:1から10:1および5:1)で溶出するシリカゲル・カラム・クロマトグラフィーによって分離し、2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−安息香酸メチルエステル(20)を得る。
1H NMR 400MHz (CDCl3) δ 6.64 (d, 1H), 3.97 (s, 3H), 3.91 (s, 3H), 3.89 (s, 3H);
MS m/z 249.0 (M + 1).
【0120】
段階C: 96mlの無水エタノール中の、2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−安息香酸メチルエステル(7.9g, 31.9mmol)および水酸化ナトリウム(3.2g, 79.6mmol)の懸濁液を、24時間還流する。該エタノールを真空で濃縮し、固体残渣を水に溶解し、エーテルで2回抽出する。水層を濃塩酸で酸性にし、白色の沈殿物を濾過し、冷水で洗浄し、真空で乾燥し、2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−安息香酸(21)を得る。
1H NMR 400 MHz (CDCl3) δ 6.61 (d, 1H), 3.87 (s, 3H), 3.84 (s, 3H);
MS m/z 235.0 (M + 1).
【0121】
段階D: 60mlのtert−ブタノール中の、2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−安息香酸(2.5g, 10.7mmol)およびトリエチルアミン(1.29g, 12.8mmol)の懸濁液を、5分間撹拌する。該反応混合物に、アジ化ジフェニルホスホリル(3.52g, 12.8mmol)を加える。該反応物を82℃まで加熱し、終夜この温度を維持する。該反応溶液を真空で濃縮し、残渣をCHCl(25ml)に溶解する。TFA(5ml)を上記の溶液に0℃で加え、室温で2時間撹拌する。溶媒を真空で除去する。次いで、酢酸エチル(40ml)を加え、得られた溶液を、飽和炭酸カリウム溶液で2回洗浄し、乾燥し、濾過し、蒸発させる。粗生成物を、ヘキサンからヘキサン/エーテルの濃度勾配(100から65/35)で溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製し、固体として生成物(22)を得る。
1H NMR 400 MHz (CDCl3) δ 6.03 (d, 1H), 4.15 (bs, 2H), 3.88 (s, 3H), 3.85 (s, 3H);
MS m/z 206.0 (M + 1).
【0122】
スキーム5
【化21】

【0123】
2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミン(24)の製造:
段階A: 化合物(19)(1.35g, 5.82mmol)を出発物質として、段階C(スキーム4)と同じ手順を用いて、2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−安息香酸(23)を固体として得る(1.21g, 95.3%)。
【0124】
段階B: 化合物(23)(0.6g, 2.75mmol)を出発物質として、段階D(スキーム4)と同一の手順を用いて、2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミン(24)を固体として得る。
【0125】
スキーム6
【化22】

【0126】
N4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミンの製造:
段階A: 250mlの酢酸エチル中の、2−ホルミル−3,5−ジメトキシ−安息香酸メチルエステル(25)(10.0g, 44.6mol)の溶液を、Pd/C(4.5g, 10%)の存在下、バルーン下で水素化する。該混合物を終夜撹拌した後、触媒を濾過して除く。溶媒を除去し、粗生成物(26)を得る。
【0127】
段階B: 60mlのアセトニトリル中の、粗製の2−ホルミル−3,5−ジメトキシ−安息香酸メチルエステル(26)(6.0g, 28.54mmol)の溶液に、スキーム4の段階Bと同じ反応を行う。該反応混合物をシリカゲル・カラム・クロマトグラフィーによって分離し、2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−安息香酸メチルエステル(27)を得る。
【0128】
段階C: 2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−安息香酸メチルエステル(27)(3.6g, 17.75mmol)に、スキーム4の段階Cと同じ反応を行い、2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−安息香酸(28)を得る。
【0129】
段階D: 2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−安息香酸(28)(3.1g, 13.47mmol)に、スキーム4の段階Dと同じ反応を行い、2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニルアミン(29)を得る。
【0130】
段階E: 2−プロパノール(proponal)(250ml)中の、クロロピリミドピリミジン()(2.38g, 9.92mmol)および2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニルアミン(29)(2.0g, 9.92mmol)の溶液を、85℃で14時間加熱する。該混合物を室温まで冷却した後、該塩を濾過によって集める。該固体を酢酸エチル中に懸濁し、飽和NaHCOで中性にし、(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−(6−メチルスルファニル−[4,5']ビピリミジニル−4'−イル)−アミン(30)を純粋な生成物として得る。
【0131】
段階F: 化合物(30)(0.8g, 1.98mmol)に、化合物()についてのスキーム1と同じ反応を行い、(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−(6−メタンスルフィニル−[4,5']ビピリミジニル−4'−イル)−アミン(31)を得る。
【0132】
段階G: 化合物(31)(0.6g, 1.43mmol)に、化合物()についてのスキーム1と同じ反応を行い、N4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン(32)を得る。
【0133】
段階H: 化合物(32)に、化合物(10)についてのスキーム1と同じ反応を行い、N4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミンを最終生成物として得る。
【0134】
適切な出発物質を用いて、上記の例で記載した手順を繰り返すことによって、表1に示した下記の式Iの化合物が得られる。
【表2】

【0135】
【表3】

【0136】
【表4】

【0137】
【表5】

【0138】
【表6】

【0139】
【表7】

【0140】
【表8】

【0141】
【表9】

【0142】
【表10】

【0143】
【表11】

【0144】
【表12】

【0145】
【表13】

【0146】
【表14】

【0147】
【表15】

【0148】
【表16】

【0149】
【表17】

【0150】
【表18】

【0151】
【表19】

【0152】
【表20】

【0153】
実施例94
{6−[3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−アミンの合成
該合成は、スキーム7およびそれに続く記載の通りに行われる:
スキーム7
【化23】

下記の詳細な記載において、化合物の数はスキーム7に示したものに対応する。
【0154】
4−クロロ−6−メチルスルファニル−ピリミジン(スキーム7中の34)
THF(100ml)中の、4,6−ジクロロ−ピリミジン()(20.93g, 140mmol)およびナトリウム チオメトキシド(10.34g, 147mmol)の混合物を、室温で撹拌する。終夜反応させた後、該反応混合物を濃縮する。残渣を酢酸エチルと塩水の層間に分配する。有機層を分離し、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥する。粗生成物をヘキサン(60ml)から再結晶することによって精製し、4−クロロ−6−メチルスルファニル−ピリミジンを得る。母液を濃縮し、残渣を、ヘキサン中0%から10%酢酸エチルで溶出するシリカゲル・フラッシュ・クロマトグラフィーによって精製し、少量の4,6−ビス−メチルチオ−ピリミジン(これは次の段階で簡単に除去され得る)を含む4−クロロ−6−メチルスルファニル−ピリミジンを得る。
1H NMR 400 MHz (CDCl3) δ 8.72 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 2.58 (s, 3H).
【0155】
4−ヨード−6−メチルスルファニル−ピリミジン(35)
4−クロロ−6−メチルスルファニル−ピリミジン(34)(0.54g, 3.36mmol)およびDCM(3ml)中57%ヨウ化水素酸溶液(2.50ml, 18.95mmol)の混合物を、室温で撹拌する。5時間後、該固体を濾過によって集め、DCMで洗浄する。ケーキを水(10ml)に溶解し、飽和NaHCO溶液で、pH=8まで塩基性にする。水層をDCM(2×50ml)で抽出する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮し、望ましい生成物4−ヨード−6−メチルスルファニル−ピリミジン(35)を得る。
【0156】
4−メチルスルファニル−6−トリブチルスタンナニル(stannanyl)−ピリミジン(36)
PrMgClの溶液(2MのTHF溶液, 5ml, 10mmol)を、THF(50ml)中の4−ヨード−6−メチルスルファニル−ピリミジン(35)(2.53g, 10mol)の溶液に、−78℃でゆっくりと加える。10分後、BuSnCl(2.75ml, 10mmol)を加える。終夜反応させた後、該反応混合物を濃縮する。粗生成物を、ヘキサン中0%から10%酢酸エチルで溶出するシリカゲル・フラッシュ・クロマトグラフィーによって精製し、4−メチルスルファニル−6−トリブチルスタンナニル−ピリミジン(36)を得る。
【0157】
4−(3−クロロ−ピラジン−2−イル)−6−メチルスルファニル−ピリミジン(37)
ジオキサン(15ml)中の、4−メチルスルファニル−6−トリブチルスタンナニル−ピリミジン()(1.80g, 4.33mmol)、2,3−ジクロロ−ピラジン(1.94g, 13mmol)、PPh(0.907g, 3.46mmol)および酢酸パラジウム(II)(194mg, 0.866mmol)の混合物を、圧力管中で脱気し、密封する。120℃で16時間撹拌した後、該反応混合物を蒸発させ、ヘキサン中10%から30%酢酸エチルで溶出するシリカゲル・フラッシュ・クロマトグラフィーによって精製し、望ましい生成物4−(3−クロロ−ピラジン−2−イル)−6−メチルスルファニル−ピリミジン(37)を得る。
【0158】
(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−[3−(6−メチルスルファニル−ピリミジン−4−イル)−ピラジン−2−イル]−アミン(38)
ジオキサン(8ml)中の、4−(3−クロロ−ピラジン−2−イル)−6−メチルスルファニル−ピリミジン(37)(200mg, 0.838mmol)、2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシアニリン(280mg, 1.26mmol)、DPEphos(90mg, 0.167mmol)、酢酸パラジウム(II)(19mg, 0.085mmol)および炭酸セシウム(546mg, 1.68mmol)の懸濁液を脱気する。Arでパージした後、バイアルをキャップで密封し、Smith Synthesizer中で150℃で30分間照射する。該反応混合物を蒸発させ、ヘキサン中10%から30%酢酸エチルで溶出するシリカゲル・フラッシュ・クロマトグラフィーによって精製し、望ましい生成物(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−[3−(6−メチルスルファニル−ピリミジン−4−イル)−ピラジン−2−イル]−アミン(38)を得る。
【0159】
(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−[3−(6−メタンスルフィニル−ピリミジン−4−イル)−ピラジン−2−イル]−アミン(39)
CHCl(20ml)中の、(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−[3−(6−メチルスルファニル−ピリミジン−4−イル)−ピラジン−2−イル]−アミン()(308mg, 0.725mmol)の懸濁液に、mCPBA(250mg, 1.02mmol)を、0℃で3分間で少しずつ加える。0℃で1.5時間撹拌した後、次いで反応物を5%Na(10ml)および飽和NaHCO(5ml)でクエンチする。水相を分離し、EtOAc(2×40ml)で抽出する。該有機物を塩水(40ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、蒸発させ、黄色の固体を得る。この粗製の物質(39)をさらに精製することなく次の反応に用いる。
【0160】
6−[3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イルアミン(40)
(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−[3−(6−メタンスルフィニル−ピリミジン−4−イル)−ピラジン−2−イル]−アミン()(200mg, 0.414mmol)を、密封管中で、アンモニア/2−プロパノール溶液(2M, 3ml, 6mmol)に懸濁する。100℃で終夜撹拌した後、反応物を室温まで冷却する。明黄色の固体を濾過によって集め、水で、そして2−プロパノールで洗浄し、乾燥し、望ましい生成物(6−[3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イルアミン(40)を得る。濾液をさらに精製し、さらなる生成物が得られる。
【0161】
{6−[3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−アミン(41)
ジオキサン(1.5ml)中の、(6−[3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イルアミン(41)(30g, 0.076mmol)、4−(6−ブロモ−ピリジン−3−イルメチル)−モルホリン(12)(29mg, 0.114mmol)、Xantphos(10mg, 0.0178mmol)、酢酸パラジウム(II)(2mg, 0.0089mmol)および炭酸セシウム(50mg, 0.152mmol)の懸濁液を脱気する。Arでパージした後、バイアルをキャップで密封し、Smith Synthesizer中で、150℃で20分間照射する。該反応混合物を、4mlの5%ジチオカルバミル酸ジエチル ナトリウム塩の溶液で処理する。固体を濾過によって集め、水で洗浄し、次いで乾燥する。粗生成物を、1%NH−CHOH/EtOAc(0から10%)で溶出するシリカゲル・フラッシュ・クロマトグラフィーによって精製し、望ましい生成物{6−[3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−アミン(41)(実施例94)を得る。
【0162】
式Iの化合物の合成に有用な具体的な中間体を下記の通り製造し得る:
出発物質c(スキーム8):
【化24】

4−(6−ブロモ−ピリジン−3−イルメチル)−モルホリン(c)
CCl(40ml)中の、2−ブロモ−5−メチル−ピリジン(a)(5.00g, 29mmol)およびNBS(5.162g, 29mmol)の懸濁液に、AIBN(0.477g, 2.9mmol)を加える。反応物を75℃で5時間撹拌し、濾過する。フィルターケーキをCClで洗浄し、濾液を蒸発させ、明黄色の残渣を得る。粗製の物質を無水THF(40ml)に溶解する。DIEA(5.03ml, 29mmol)を加え、続いてモルホリン(3.0ml, 34.3mmol)を添加する。室温で1時間撹拌した後、該反応物を飽和NaHCO(30ml)とEtOAc(100ml)の層間に分配し、分離する。得られたEtOAc抽出物を塩水(30ml)で洗浄し、乾燥し、蒸発させる。粗製の物質をフラッシュ・カラム・クロマトグラフィーによって精製し(SiO, 1%NH−CHOH/CHCl, 0から10%)、(c)を明黄褐色の固体として得る。
1H NMR 400 MHz (DMSO-d6) δ 8.31 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.69 (dd, J = 2.4, 8.4 Hz, 1H), 7.62 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 3.57 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 3.48 (s, 2H), 2.35 (t, J = 4.4 Hz, 4H);
MS m/z 257.1 (M+1).
【0163】
【化25】

【0164】
N−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミド(e)
トルエン(100ml)中の3,5−ジメトキシ−フェニルアミン(d)(22.0g, 143.6mmol)の溶液に、AcO(14ml)を室温でゆっくりと加える。30分撹拌した後、ヘキサン(50ml)を室温で撹拌しながら加える。得られた固体を濾過し、ヘキサン(50ml)で洗浄し、表題生成物(e)を白色の固体として得る。
【0165】
N−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミド(f)
MeCN(150ml)中のN−(3,5−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミド(e)(10.0g, 51.22mmol)の0℃に冷却した懸濁液に、塩化スルフリル(8.23ml, 101.53mmol)をゆっくりと加える。半時間撹拌した後、溶液を室温まで温め、終夜撹拌する。溶媒(MeCN)を真空下で除去した後、NaHCO(飽和, 200ml)および酢酸エチル(250ml)を加え、半時間撹拌する。得られた混合物を濾過し、水で洗浄し、乾燥することによって白色の固体を得て、表題生成物(f)を得る:ヘキサン/酢酸エチル, 1:1)。
MS m/z 264.00(M+1).
残りの3つの副生成物が溶液相中に残っている。
【0166】
2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミン(g)
EtOH(80ml)および水(30ml)の混合物中の、N−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−アセトアミド(f)(6.50g, 24.61mmol)の懸濁液に、KOH(20g)を加え、該混合物を2日間80℃で撹拌する。溶媒(EtOH)を真空下で除去した後、水(〜15ml)を加える。白色の固体を濾過によって集め、水で洗浄し、乾燥し、最終生成物gを得る。
1H NMR 600 MHz (CDCl3) δ 6.03 (s, 1H), 4.55 (s, 2H), 3.88 (s, 6H);
MS m/z 222.00 (M+1).
【0167】
下記の生成物は、実施例94と同様に得られる。
【表21】

【0168】
【表22】

【0169】
【表23】

【0170】
【表24】

【0171】
【表25】

【0172】
アッセイ
本発明の化合物を、FGFR3依存性Ba/F3細胞増殖を選択的に阻害する能力を測定するためにアッセイする。さらに、化合物を、キナーゼのパネルを阻害する能力を測定するためにアッセイする。
【0173】
FGFR3 (酵素アッセイ)
精製FGFR3(Upstate)でのキナーゼ活性アッセイは、最終容積10μLでキナーゼ緩衝液(30mM Tris−HCl(pH7.5)、15mM MgCl、4.5mM MnCl、15μM NaVOおよび50μg/ml BSA)中の0.25μg/mlの酵素および基質(5μg/ml ビオチン−ポリ−EY(Glu, Tyr)(CIS-US, Inc.)および3μM ATP)中で行われる。2つの溶液を調製する:キナーゼ緩衝液中のFGFR3酵素を含む5μlの第1溶液を始めに384フォーマット ProxiPlate(登録商標)(Perkin-Elmer)に入れ、続いてDMSOに溶解した50nLの化合物を添加し、次いでキナーゼ緩衝液中の基質(ポリ−EY)およびATPを含む5μlの第2溶液を、それぞれのウェルに加えた。該反応物を室温で1時間インキュベートし、10μLのHTRF検出混合物(30mM Tris−HCl(pH7.5)、0.5M KF、50mM ETDA、0.2mg/ml BSA、15μg/ml ストレプトアビジン−XL665 (CIS-US, Inc.)および150ng/ml クリプテート結合抗ホスホチロシン抗体(CIS-US, Inc.)を含む)を添加することによって、反応を停止させた。室温で1時間インキュベートしてストレプトアビジン−ビオチン相互作用をさせた後、時間分解蛍光シグナルを、Analyst GT (Molecular Devices Corp.)で測定する。それぞれの化合物の12種の濃度(50μMから0.28nMの1:3希釈)での%阻害の線形回帰分析によって、IC50値を計算する。このアッセイにおいて、本発明の化合物は、10nMから2μMの範囲のIC50を有する。
【0174】
FGFR3 (細胞アッセイ)
本発明の化合物について、FGFR3細胞キナーゼ活性に依存する形質変換Ba/F3-TEL-FGFR3細胞増殖を阻害する能力を試験する。Ba/F3-TEL-FGFR3を、培養培地として10%ウシ胎児血清を加えたRPMI 1640と共に、懸濁液中で、800,000細胞/mlまで培養する。細胞を、384ウェル・フォーマット・プレートに、50μlの培養培地中、5000細胞/ウェルで入れる。本発明の化合物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、希釈する。12種の1:3連続希釈液をDMSOで調製し、典型的には10mMから0.05μMの範囲の濃度勾配を作る。50nLの希釈した化合物と共に細胞を細胞培養インキュベーターに加え、48時間インキュベートする。細胞増殖によって生じる還元環境をモニターするために用いられ得るAlamarBlue(登録商標)(TREK Diagnostic Systems)を、10%の最終濃度で細胞に加える。37℃の細胞培養インキュベーター中でさらに4時間インキュベートした後、還元AlamarBlue(登録商標)(励起530nm, 放出580nm)に由来する蛍光シグナルを、Analyst GT (Molecular Devices Corp.)で定量する。12種の濃度でそれぞれの化合物の%阻害を線形回帰分析することによってIC50値を計算する。
【0175】
B-Raf (酵素アッセイ)
本発明の化合物は、そのb-Rafの活性を阻害する能力について試験され得る。該アッセイは、黒色壁および透明底を有する384ウェル MaxiSorp plates (NUNC)中で行われる。基質IκBαをDPBS(1:750)で希釈し、15μlをそれぞれのウェルに加える。プレートを4℃で終夜インキュベートし、TBST(25mM Tris(pH8.0)、150mM NaClおよび0.05% Tween-20)で、EMBLAプレート洗浄機を用いて3回洗浄する。プレートを、Superblock (15μl/ウェル)によって室温で3時間ブロックし、TBSTで3回洗浄し、軽打して乾かす(pat-dried)。20μM ATP(10μl)を含むアッセイ緩衝液をそれぞれのウェルに加え、続いて100nlまたは500nlの化合物を加える。B-Rafをアッセイ緩衝液で希釈し(1μlを25μlに)、10μlの希釈b-Rafをそれぞれのウェルに加える(0.4μg/ウェル)。プレートを室温で2.5時間インキュベートする。プレートをTBSTで6回洗浄することによって、キナーゼ反応を停止させる。ホスホ−IκBα(Ser32/36)抗体を、Superblock (1:10,000)で希釈し、15μlをそれぞれのウェルに加える。プレートを4℃で終夜インキュベートし、TBSTで6回洗浄する。AP結合ヤギ抗マウスIgGを、Superblock (1:1,500)で希釈し、15μlをそれぞれのウェルに加える。プレートを室温で1時間インキュベートし、TBSTで6回洗浄する。15μlの蛍光 Attophos AP 基質(Promega)を、それぞれのウェルに加え、プレートを室温で15分間インキュベートする。AcquestまたはAnalyst GTで、Fluorescence Intensity Program (励起455nm, 放出580nm)を用いてプレートを測定する。
【0176】
B-Raf (細胞アッセイ)
本発明の化合物を、A375細胞中で、そのMEKのリン酸化を阻害する能力について試験する。A375細胞株(ATCC)をヒトの黒色腫患者から得る。これは、B-Raf遺伝子上のV599E変異を有する。リン酸化MEKのレベルは、B-Rafの変異により上昇する。サブ・コンフルエントからコンフルエントのA375細胞を、化合物と共に、37℃で2時間、血清非含有培地中でインキュベートする。次いで細胞を冷PBSで1回洗浄し、1% Triton X100を含む溶解緩衝液で溶解させる。遠心分離後、上清をSDS−PAGEにかけ、次いでニトロセルロース膜に移す。次いで膜を抗−ホスホ−MEK抗体(ser217/221)(Cell Signaling)でウェスタン・ブロットにかける。リン酸化MEKの量をニトロセルロース膜上のホスホ−MEKバンドの密度によってモニターする。
【0177】
細胞のBcr-Abl依存性増殖の阻害(高スループット法)
マウス細胞株32D造血前駆細胞株を、Bcr-Abl cDNA (32D p210)で形質転換させ得る。これらの細胞を、ペニシリン 50μg/ml、ストレプトマイシン 50μg/mlおよびL−グルタミン 200mMを加えたRPMI/10%ウシ胎児血清(RPMI/FCS)中で維持する。非形質転換32D細胞を、15%のWEHI馴化培地をIL3のソースとして加えて同様に維持する。
【0178】
50μlの32Dまたは32D-p210細胞懸濁液を、Greiner 384ウェル・マイクロプレート(黒色)に、ウェル当たり5000細胞の密度で入れる。50nlの試験化合物(DMSOストック溶液中1mM)をそれぞれのウェルに加える(STI571をポジティブ・コントロールとして含む)。細胞を、37℃、5%COで72時間インキュベートする。10μlの60% AlamarBlue溶液(Tek diagnostics)をそれぞれのウェルに加え、細胞をさらに24時間インキュベートする。蛍光強度(励起 530nm, 放出 580nm)を、Acquest(商標) システム (Molecular Devices)を用いて定量する。
【0179】
Bcr-Abl依存性細胞増殖の阻害
32D-p210細胞を、96ウェルTCプレートに、ウェル当たり15,000細胞の密度で播種する。50μLの試験化合物の2倍連続希釈液(Cmaxは40μMである)をそれぞれのウェルに加える (STI571がポジティブ・コントロールとして含まれる)。細胞を37℃、5%COで48時間インキュベートした後、15μLのMTT(Promega)をそれぞれのウェルに加え、細胞をさらに5時間インキュベートする。570nmでの光学密度を分光光学的に定量し、IC50値、すなわち50%阻害に必要な化合物濃度を用量応答曲線から決定する。
【0180】
細胞周期分布に対する効果
32D細胞および32D-p210細胞を、6ウェルTCプレートに、5mlの培地中、ウェル当たり2.5×10細胞で播種し、試験化合物を1または10μMで加える (STI571がコントロールとして含まれる)。次いで細胞を37℃、5%COで24または48時間インキュベートする。2mlの細胞懸濁液をPBSで洗浄し、70%EtOH中1時間で固定化し、PBS/EDTA/RNAアーゼ Aで30分間処理する。ヨウ化プロピジウム(Cf=10μg/ml)を加え、蛍光強度を、フローサイトメトリーによって、FACScalibur(商標) システム(BD Biosciences)で定量する。幾つかの態様において、本発明の試験化合物は、32D-p210細胞に対してアポトーシス効果があること、32D親細胞ではアポトーシスを誘発しないことが実証され得る。
【0181】
細胞のBcr-Abl自己リン酸化に対する効果
Bcr-Abl自己リン酸化を、捕獲Elisaで、c-Abl特異的捕獲抗体および抗ホスホチロシン抗体を用いて定量する。32D-p210細胞を、96ウェルTCプレートに、50μLの培地中、ウェル当たり2×10細胞で、播種する。50μlの試験化合物の2倍連続希釈液(Cmaxは10μMである)をそれぞれのウェルに加える(STI571をポジティブ・コントロールとして含む)。該細胞を、90分間37℃で5% CO中でインキュベートする。次いで、該細胞を、プロテアーゼ阻害剤およびホスファターゼ阻害剤を含む150μLの溶解緩衝液(50mM Tris−HCl(pH 7.4)、150mM NaCl、5mM EDTA、1mM EGTAおよび1% NP−40)で、氷上で1時間処理する。50μlの細胞ライセートを、抗Abl特異的抗体で予めコートしてブロックした96ウェル光学プレートに加える。プレートを4℃で4時間インキュベートする。TBS−Tween 20緩衝液で洗浄した後、50μlのアルカリホスファターゼ結合抗ホスホチロシン抗体を加え、プレートをさらに4℃で終夜インキュベートする。TBS−Tween 20緩衝液で洗浄した後、90μlの発光基質を加え、Acquest(商標) システム (Molecular Devices)を用いて、発光を定量する。幾つかの態様において、本発明の試験化合物は、Bcr-Abl発現細胞の増殖を阻害し、また、細胞のBcr-Abl自己リン酸化を用量依存的に阻害し得る。
【0182】
Bcr-Abl変異体を発現した細胞増殖に対する効果
本発明の化合物を、Bcr-Ablの野生型またはSTI571に耐容性が確認されたか、またはSTI571への感受性が減少した変異体 (G250E、E255V、T315I、F317L、M351T)の何れかを発現するBa/F3細胞に対するその抗増殖効果について試験し得る。変異体Bcr-Abl発現細胞および非形質転換細胞に対するこれらの化合物の抗増殖効果は、上記の10、3.3、1.1および0.37μMで試験され得る(IL3欠損培地中)。非形質転換細胞に対して毒性がない化合物のIC50値は、上記の通りに得られた用量応答曲線から決定される。
【0183】
FLT3およびPDGFRβ
FLT3およびPDGFRβの細胞活性に対する本発明の化合物の効果を、FGFR3細胞活性について上で記載した方法と同一の方法に従って、Ba/F3-FLT3-ITDおよびBa/F3-Tel-PDGFRβを用いて行い得る。
【0184】
本発明の化合物を、FLT3またはPDGFRβ細胞キナーゼ活性に依存する、形質転換したBa/F3-FLT3-ITDまたはBa/F3-Tel-PDGFRβ細胞増殖を阻害する能力について試験し得る。Ba/F3-FLT3-ITDまたはBa/F3-Tel-PDGFRβを、10%ウシ胎児血清を加えたRPMI 1640を培養培地として含む懸濁液中で、800,000細胞/mlまで培養する。384ウェル・フォーマット・プレートに、50μlの培養培地中5000細胞/ウェルで、細胞を移す。本発明の化合物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、希釈する。12種の1:3連続希釈液をDMSOで調製し、典型的に10mMから0.05μMの範囲の濃度勾配を作成する。細胞を50nlの希釈された化合物と共に加え、細胞培養インキュベーター中で、48時間インキュベートする。AlamarBlue(登録商標)(TREK Diagnostic Systems)(これを用いて増殖した細胞によって生じる還元環境をモニターし得る)を、細胞に、10%の最終濃度で加える。37℃細胞培養インキュベーター中でさらに4時間インキュベートした後、還元AlamarBlue(登録商標)に由来する蛍光シグナル(励起 530nm, 放出 580nm)を、Analyst GT (Molecular Devices Corp.)で定量する。12種の濃度で、それぞれの化合物の%阻害を、線形回帰分析によって、IC50値を計算する。
【0185】
FLT3、PDGFRβ、KDR、ALK、EphA/B、InsR、JAK2、c-Kit、Lck、Lyn、c-Met、Ret、Ron、Ros、Src、Syk、Tie-2、TrkB、TYK2およびZap-70 (細胞アッセイ)
本発明の化合物の、FLT3、PDGFRβ、KDR、ALK、EphA/B、InsR、JAK2、c-Kit、Lck、Lyn、c-Met、Ret、Ron、Ros、Src、Syk、Tie-2、TrkB、TYK2およびZap-70の細胞活性に対する効果を、それぞれBa/F3-TEL-FGFR3、Ba/F3-TEL-FLT3、Ba/F3-TEL-PDGFRβ、Ba/F3-TEL-KDR、Ba/F3-TEL-ALK、Ba/F3-TEL-EphA/B、Ba/F3-TEL-InsR、Ba/F3-TEL-JAK2、Ba/F3-TEL-c-Kit、Ba/F3-TEL-Lck、Ba/F3-TEL-Lyn、Ba/F3-TEL-c-Met、Ba/F3-TEL-Ret、Ba/F3-TEL-Ron、Ba/F3-TEL-Ros、Ba/F3-TEL-Src、Ba/F3-TEL-Syk、Ba/F3-TEL-Tie-2、Ba/F3-TEL-TrkB、Ba/F3-TEL-TYK2およびBa/F3-TEL-Zap-70を代わりに用いる以外、FGFR3細胞活性について上で記載した方法と同一の方法を用いて行う。
【0186】
Upstate Kinase Profiler(商標)−放射性酵素フィルター結合アッセイ
本発明の化合物を、そのキナーゼ・パネルの個々のメンバーを阻害する能力について評価する。本化合物を、デュプリケートで、最終濃度10μMで、この一般的なプロトコルに従って試験する。キナーゼ緩衝液の組成および基質は、“Upstate KinaseProfiler(商標)”パネルに含まれる異なるキナーゼについて変化することに留意する。キナーゼ緩衝液(2.5μl, 10×, 必要な場合はMnCl含有)、活性なキナーゼ(0.001〜0.01ユニット;2.5μl)、キナーゼ緩衝液中の特異的なペプチドまたはポリ(Glu4-Tyr)ペプチド(5〜500μMまたは .01mg/ml)、およびキナーゼ緩衝液(50μM;5μl)を、氷上のエッペンドルフ中で混合する。Mg/ATPミックス(10μl;67.5(または33.75)mM MgCl、450(または225)μM ATPおよび1μCi/μl [γ−32P]−ATP(3000Ci/mmol))を加え、該反応物を約30℃で約10分間インキュベートする。反応混合物を、2cm×2cm P81 (ホスホセルロース, 正に荷電したペプチド基質)またはWhatman No. 1 (ポリ(Glu4-Tyr)ペプチド基質)ペーパー・スクエア上にスポットする(20μl)。アッセイ・スクエアを0.75% リン酸で4回、それぞれ5分間洗浄し、そしてアセトンで5分間、1回洗浄する。アッセイ・スクエアを、シンチレーション・バイアルに移し、5mlのシンチレーション・カクテルを加え、ペプチド基質に対する32P取り込み(cpm)を、Beckman シンチレーション・カウンターで定量する。%阻害をそれぞれの反応について計算する。
【0187】
遊離形または薬学的に許容される塩形の式Iの化合物は、例えば本明細書で記載したin vitro試験によって示された有益な薬理学的性質を示す。式Iの化合物は、FGFR3に対して選択性であり(例えばそれぞれの化合物は、FGFR3についてKDRに対して10から>1000倍選択性である)、好ましくは、FGFR3細胞アッセイにおいて、500nM未満、好ましくは400nM未満、300nM未満、200nM未満、100nM未満および50nM未満の範囲のIC50を示す。
【0188】
例えば、表3は、FGFR3細胞アッセイにおける表1の化合物の活性を示している。ここで、“*”、“**”および“***”は、それぞれ、250〜500nM、100〜250nMおよび<0〜100nMの活性を示す。
【0189】
表3
【表26】

【表27】

【0190】
本明細書に記載された例および態様は、例示の目的のためのみであり、それに照らした種々の修飾または変更は当業者に示唆されており、またこの明細書および請求の範囲の精神および範囲に含まれるべきである。本明細書で引用された全ての文献、特許および特許明細書は、全ての目的について、言及することによって本明細書に組み込まれているが、先行技術として本発明の特許性に影響を与えることはないとみなされるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
YがNであってZがCHであるか、またはZがNであってYがCHであるかの何れかであり;
は、C1−4アルコキシであり;
は、シアノ、C1−4アルコキシ、−C(O)NR、−NRC(O)R、−NRS(O)、−S(O)NR、−NR、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)NROR、および、C、O、NおよびSから選択される5から7員の環員を含む飽和、不飽和または部分的に飽和の単環式環から選択され;ここで、Rは、水素およびC1−4アルキルから選択され;Rは、水素、C1−4アルキルおよびC3−12シクロアルキルから選択されるか、あるいは、非置換であるか、またはC−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキルおよび(ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノまたは4−C−C−アルキルピペラジノ)−C−C−アルキルから選択される1個以上の置換基によって置換されているフェニルであり;
あるいは、
YがNであってZがCHであるとき、RおよびRは独立してHであり;
は、水素、ハロ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから選択され;
4aは、ハロおよびC1−4アルキルから選択され;
4bは、水素およびC1−4アルキルから選択され;
は、水素およびC1−4アルキルであり;
は、水素、−XおよびXNR1011から選択され;ここで、それぞれのXは、結合およびC1−4アルキレンから独立して選択され;Rは、C6−10アリール、C、O、NおよびSから選択される5から7員の環員を含む単環式環、および、C、O、NおよびSから選択される8から14員の環員を含む架橋または縮合二環式環系から選択され;ここで、Rの単環式環および架橋または縮合二環式環は、飽和、不飽和または部分的に不飽和であってもよく;R10およびR11は、水素およびC1−4アルキルから独立して選択され;
ここで、Rのアリール、単環式環または二環式環は、所望によりC1−4アルキル、−X12、および−OXNR1314から選択される1個の基で置換されていてもよく;ここで、それぞれのXは、結合およびC1−4アルキレンから独立して選択され;R13およびR14は、水素およびC1−4アルキルから独立して選択され;R12は、所望によりC1−4アルキル、−XC(O)NR1516、−XOR16、−XC(O)XOR15、−XC(O)R15および−XNR1516から選択される3個までの基で置換されているC、O、NおよびSから選択される5から7員の環員を含む単環式環から選択され;ここで、R12の単環式環は、飽和、不飽和または部分的に不飽和であってもよく;ここで、それぞれのXは、結合およびC1−4アルキレンから独立して選択され;R15およびR16は、それぞれ、水素およびC1−4アルキルから独立して選択され;
ここで、Rの全てのアルキル置換基は、所望により3個までのヒドロキシル基で置換されていてもよい。]
の化合物;そのN−オキシド誘導体、個々の異性体および異性体混合物;および/またはそれらの薬学的に許容される塩(それぞれ溶媒和物を含む)。
【請求項2】
が、シアノ、C1−4アルコキシ、−C(O)NR、−NRC(O)R、−NRS(O)、−S(O)NR、−NR、−C(O)OR、−OC(O)R、−C(O)NROR、および、C、O、NおよびSから選択される5から7員の環員を含む飽和、不飽和または部分的に飽和の単環式環から選択され;ここで、Rが、水素およびC1−4アルキルから選択され;Rが、水素、C1−4アルキルおよびC3−12シクロアルキルから選択される、請求項1に記載した化合物。
【請求項3】
が、非置換であるか、C−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキル、および、(ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノもしくは4−C−C−アルキルピペラジノ)−C−C−アルキルから選択される、1個以上の置換基によって置換されているフェニルから選択される、請求項1に記載した化合物。
【請求項4】
ZがNであり、YがCHであり、R、R、R、R4a、R4b、RおよびRが請求項1で定義した通りである、請求項1に記載した化合物。
【請求項5】
YがNであり、ZがCHであり、R、R、R、R4a、R4b、RおよびRが請求項1で定義した通りである、請求項1に記載した化合物。
【請求項6】
が、C1−4アルコキシであり;
が、シアノ、C1−4アルコキシ、−C(O)NR、−NRC(O)R、−NRS(O)、−NR、−C(O)OR、−C(O)NROR、および、C、O、NおよびSから選択される5から7員の環員を含む飽和、不飽和または部分的に飽和の単環式環から選択され;ここで、Rが、水素およびC1−4アルキルから選択され;Rが、水素、C1−4アルキルおよびC3−12シクロアルキルから選択され;
が、水素、ハロおよびC1−4アルキルから選択され;
4aが、ハロおよびC1−4アルキルから選択され;
4bが、水素およびC1−4アルキルから選択され;
が、水素であり;
が、水素、−XおよびXNR1011から選択され;ここで、それぞれのXが、結合およびC1−4アルキレンから独立して選択され;Rが、C6−10アリール、C、O、NおよびSから選択される5から7員の環員を含む単環式環、および、C、O、NおよびSから選択される8から14員の環員を含む架橋または縮合二環式環系から選択され;ここで、Rの単環式環および架橋または縮合二環式環が、飽和、不飽和または部分的に不飽和であってもよく;R10およびR11が、水素およびC1−4アルキルから独立して選択され;ここで、Rの単環式環および架橋または縮合二環式環が、所望によりC1−4アルキル、−X12および−OXNR1314から選択される1個の基で置換されていてもよく;ここで、それぞれのXが、結合およびC1−4アルキレンから独立して選択され;R13およびR14が、水素およびC1−4アルキルから独立して選択され;R12が、所望によりC1−4アルキル、−XC(O)NR1516、−XOR16、−XC(O)XOR15、−XC(O)R15および−XNR1516から選択される3個までの基で置換されているC、O、NおよびSから選択される5から7員の環員を含む単環式環から選択され;ここで、R12の単環式環および架橋または縮合二環式環が、飽和、不飽和または部分的に不飽和であってもよく;ここで、それぞれのXが、結合およびC1−4アルキレンから独立して選択され;それぞれのR15およびR16が、水素およびC1−4アルキルから独立して選択され;ここで、Rの全てのアルキル置換基が、所望により3個までのヒドロキシル基で置換されてもよい、
請求項4に記載した化合物。
【請求項7】
が、HまたはC1−4アルコキシであり;
が、H、シアノ、C1−4アルコキシ、−C(O)NR、−NRC(O)R、−NRS(O)、−NR、−C(O)OR、−C(O)NROR、および、C、O、NおよびSから選択される5から7員の環員を含む飽和、不飽和または部分的に飽和の単環式環から選択され;ここで、Rが、水素およびC1−4アルキルから選択され;Rが、水素、C1−4アルキルおよびC3−12シクロアルキルから選択され;
が、水素、ハロおよびC1−4アルキルから選択され;
4aが、ハロおよびC1−4アルキルから選択され;
4bが、水素およびC1−4アルキルから選択され;
が、水素であり;
が、水素、−XおよびXNR1011から選択され;ここで、それぞれのXが、結合およびC1−4アルキレンから独立して選択され;Rが、C6−10アリール、C、O、NおよびSから選択される5から7員の環員を含む単環式環、および、C、O、NおよびSから選択される8から14員の環員を含む架橋または縮合二環式環系から選択され;ここで、Rの単環式環および架橋または縮合二環式環が、飽和、不飽和または部分的に不飽和であってもよく;R10およびR11が、水素およびC1−4アルキルから独立して選択され;
ここで、Rの単環式環および架橋または縮合二環式環が、所望によりC1−4アルキル、−X12、および−OXNR1314から選択される1個の基で置換されていてもよく;ここで、それぞれのXが、結合およびC1−4アルキレンから独立して選択され;R13およびR14が、水素およびC1−4アルキルから独立して選択され;R12が、所望によりC1−4アルキル、−XC(O)NR1516、−XOR16、−XC(O)XOR15、−XC(O)R15および−XNR1516から選択される3個までの基で置換されているC、O、NおよびSから選択される5から7員の環員を含む単環式環から選択され;ここで、R12の単環式環および架橋または縮合二環式環が、飽和、不飽和または部分的に不飽和であってもよく;ここで、それぞれのXが、結合およびC1−4アルキレンから独立して選択され;それぞれのR15およびR16が、水素およびC1−4アルキルから独立して選択され;
ここで、Rの全てのアルキル置換基は、所望により3個までのヒドロキシル基で置換されていてもよい、
請求項5に記載した化合物。
【請求項8】
が、メトキシであり;
が、シアノ、メトキシ、エチル−アミノ−カルボニル、シクロプロピル−アミノ−カルボニル、シクロプロピル−カルボニル−アミノ、メチル−カルボニル−アミノ、メチル−スルホニル−アミノ、アミノ、メトキシ−カルボニル、エトキシ−アミノ−カルボニルおよびアミノ−カルボニルから選択される、
請求項6に記載した化合物。
【請求項9】
が、Hまたはメトキシであり;
が、H、シアノ、メトキシ、エチル−アミノ−カルボニル、シクロプロピル−アミノ−カルボニル、シクロプロピル−カルボニル−アミノ、メチル−カルボニル−アミノ、メチル−スルホニル−アミノ、アミノ、メトキシ−カルボニル、エトキシ−アミノ−カルボニルおよびアミノ−カルボニルから選択される、
請求項7に記載した化合物。
【請求項10】
が、水素、クロロ、フルオロ、ブロモおよびメチルから選択され;
4aが、クロロ、フルオロ、メチルおよびオキサゾールから選択され;
4bが、水素およびメチルから選択され;
が、水素である、
請求項8に記載した化合物。
【請求項11】
が、水素、クロロ、フルオロ、ブロモおよびメチルから選択され;
4aが、クロロ、フルオロ、メチルおよびオキサゾールから選択され;
4bが、水素およびメチルから選択され;
が、水素である、
請求項9に記載した化合物。
【請求項12】
が、水素;モルホリノ−エチル;ジメチル−アミノ−ブチル;メチル−ピペラジニル−エチル;モルホリノ−メチル、アミノ−カルボニル−ピペラジニル−メチル、メチル−カルボニル−ピペラジニル−メチル、モルホリノ−エチル、ピペリジニル−メチル、ピロリジニル−メチル、ジメチルアミノ−カルボニル−ピペラジニル−メチル、メチルアミノ−カルボニル−ピペラジニル−メチル、メチル−ピペラジニル−メチル、エチル−ピペラジニル−メチル、ヒドロキシ−エチル−ピペラジニル−メチル、エチル−ピペラジニル、メチル−ピペラジニル−エチル、ヒドロキシ−メチル−カルボニル−ピペラジニル、ジエチル−アミノ−メチルおよびジメチル−アミノ−メチルから選択される1個の基で置換されているピリジニル;およびエチル−ピペラジニル、1−ヒドロキシ−エチル、モルホリノ−メチル、ジエチルアミノ−エトキシおよびモルホリノから選択される1個の基で置換されているフェニルから選択される、請求項10に記載した化合物。
【請求項13】
が、水素;モルホリノ−エチル;ジメチル−アミノ−ブチル;メチル−ピペラジニル−エチル;モルホリノ−メチル、アミノ−カルボニル−ピペラジニル−メチル、メチル−カルボニル−ピペラジニル−メチル、モルホリノ−エチル、ピペリジニル−メチル、ピロリジニル−メチル、ジメチルアミノ−カルボニル−ピペラジニル−メチル、メチルアミノ−カルボニル−ピペラジニル−メチル、メチル−ピペラジニル−メチル、エチル−ピペラジニル−メチル、ヒドロキシ−エチル−ピペラジニル−メチル、エチル−ピペラジニル、メチル−ピペラジニル−エチル、ヒドロキシ−メチル−カルボニル−ピペラジニル、ジエチル−アミノ−メチルおよびジメチル−アミノ−メチルから選択される1個の基で置換されているピリジニル;およびエチル−ピペラジニル、1−ヒドロキシ−エチル、モルホリノ−メチル、ジエチルアミノ−エトキシおよびモルホリノから選択される1個の基で置換されているフェニルから選択される、請求項11に記載した化合物。
【請求項14】
が、−C(O)NRORであり、ここで、Rが水素またはC−C−アルキルであり、Rが、非置換であるか、C−C−アルキル、ハロ−C−C−アルキル、および(ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノもしくは4−C−C−アルキルピペラジノ)−C−C−アルキルから選択される1個以上の置換基によって置換されているフェニルであるか;または5−(モルホリノメチル)ピリジン−2−イルアミノまたは6−(5−(2−モルホリノエチル)ピリジン−2−イルアミノである、
請求項1に記載した化合物、そのN−オキシド誘導体、個々の異性体、異性体混合物;および/またはそれらの薬学的に許容される塩(それぞれ溶媒和物を含む)。
【請求項15】
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−ピロリジン−1−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(4−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−ジメチルアミノメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
1−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イル]−3−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−ウレア、
1−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イル]−3−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−ウレア、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(3−モルホリン−4−イル−プロピル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(4−ジメチルアミノ−ブチル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
4−{6−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−カルボン酸アミド、
1−(4−{6−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[4−(2−ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
4−{6−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−カルボン酸 ジメチルアミド、
4−{6−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−カルボン酸メチルアミド、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−3−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−ピペリジン−1−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
3−(6−アミノ−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ)−2,4−ジクロロ−5−メトキシ−安息香酸メチルエステル、
2,4−ジクロロ−N−エチル−5−メトキシ−3−[6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ]−ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−N−エトキシ−5−メトキシ−3−[6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ]−ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−5−メトキシ−3−[6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ]−ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−5−メトキシ−3−[6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ]−安息香酸メチルエステル、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−ジエチルアミノメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
1−{3−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−フェニル}−エタノール、
2,4−ジクロロ−N−エチル−5−メトキシ−3−{6−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イルアミノ]−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ}−ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−3−[6−(5−ジメチルアミノメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ]−N−エチル−5−メトキシ−ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−N−エチル−5−メトキシ−3−{6−[5−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−ピリジン−2−イルアミノ]−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ}−ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−N−エチル−5−メトキシ−3−[6−(4−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ]−ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−N−エチル−5−メトキシ−3−{6−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イルアミノ]−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ}−ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−N−エチル−5−メトキシ−3−[6−(5−ピロリジン−1−イルメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ]−ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−N−エチル−3−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ}−5−メトキシ−ベンズアミド、
N4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
2,4−ジクロロ−3−{6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イルアミノ]−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ}−5−メトキシ−安息香酸メチルエステル、
2,4−ジクロロ−N−エチル−3−{6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イルアミノ]−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ}−5−メトキシ−ベンズアミド、
N4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(4−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−ブロモ−6−クロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−ブロモ−6−クロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−ブロモ−6−クロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−ブロモ−6−クロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(4−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−N6−(4−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
2,4−ジクロロ−N−シクロプロピル−3−{6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イルアミノ]−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ}−5−メトキシ−ベンズアミド、
N4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[4−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
2,4−ジクロロ−N−シクロプロピル−5−メトキシ−3−[6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ]−ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−N−シクロプロピル−3−{6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イルアミノ]−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ}−5−メトキシ−ベンズアミド、
N4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(4−ピロリジン−1−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
1−(4−{6−[4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノン、
N4'−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(4−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
1−(4−{6−[4'−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノン、
3−{6−[5−(4−アセチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イルアミノ]−[4,5']ビピリミジニル−4'−イルアミノ}−2,4−ジクロロ−N−シクロプロピル−5−メトキシ−ベンズアミド、
N4'−(2−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−ピリジン−2−イル]−N4'−(2−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
2−(4−{6−[4'−(2−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノール、
N4'−(2−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−(4−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N6−[5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−ピリジン−2−イル]−N4'−(2−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
2−(4−{6−[4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノール、
2−(4−{6−[4'−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノール、
2−(4−{6−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノール、
2−(4−{6−[4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−エタノール、
1−{3−[4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−フェニル}−エタノール、
1−{3−[4'−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−フェニル}−エタノール、
1−{6−[4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イル}−エタノール、
1−{6−[4'−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イル}−エタノール、
1−{6−[4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イル}−エタノール、
1−{6−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イル}−エタノール、
1−{6−[4'−(2−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イル}−エタノール、
N4'−(2−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−N6−[5−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
N4'−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−メチル−フェニル)−N6−[5−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−ピリジン−2−イル]−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
1−(4−{6−[4'−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−2−ヒドロキシ−エタノン、
1−(4−{6−[4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−[4,5']ビピリミジニル−6−イルアミノ]−ピリジン−3−イルメチル}−ピペラジン−1−イル)−2−ヒドロキシ−エタノン、および
N4'−(2−クロロ−6−フルオロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−2'−メチル−N6−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−[4,5']ビピリミジニル−6,4'−ジアミン、
そのN−オキシド誘導体、個々の異性体、異性体混合物;および/またはそれらの薬学的に許容される塩(それぞれ溶媒和物を含む)
から選択される、請求項1に記載した化合物。
【請求項16】
2,4−ジクロロ−5−メトキシ−3−(6−(5−(モルホリノメチル)ピリジン−2−イルアミノ)−4,5'−ビピリミジン−4'−イルアミノ)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ベンズアミド、
2,4−ジクロロ−N−(4−((4−エチルピペラジン−1−イル)メチル)−3−(トリフルオロメチル)フェニル)−5−メトキシ−3−(6−(5−(モルホリノメチル)ピリジン−2−イルアミノ)−4,5'−ビピリミジン−4'−イルアミノ)ベンズアミド、
{6−[3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−フルオロフェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(5−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(4−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−フルオロフェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(4−モルホリン−4−イルメチル−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(4−[2−(モルホリン−4−イル)−エチル]−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2−クロロ−3,5−ジメトキシ−6−フルオロフェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(4−[2−(モルホリン−4−イル)−エチル]−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(5−[1−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン−4−イル]−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(5−[1−(2−ヒドロキシ−1−オキソ−エチル)−ピペラジン−4−イル]−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(5−[1−ヒドロキシエチル]−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2,6−ジフルオロ−3−メトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−アミン、
{6−[3−(2,6−ジフルオロ−3−メトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−N−(5−(モルホリン−4−イルメチル)−ピリジン−2−イル)−アミン、
{6−[3−(2,6−ジフルオロ−3−メトキシ−フェニルアミノ)−ピラジン−2−イル]−ピリミジン−4−イル}−(4−(モルホリン−4−イルメチル)−ピリジン−2−イル)−アミン、
6−(3−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)ピラジン−2−イル)ピリミジン−4−アミン、
6−(3−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)ピラジン−2−イル)−N−(5−(モルホリノメチル)ピリジン−2−イル)ピリミジン−4−アミン、
6−(3−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)ピラジン−2−イル)−N−(5−(2−モルホリノエチル)ピリジン−2−イル)ピリミジン−4−アミン、
6−(3−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)ピラジン−2−イル)−N−(4−(4−エチルピペラジン−1−イル)フェニル)ピリミジン−4−アミン、および
6−(3−(2,6−ジクロロフェニルアミノ)ピラジン−2−イル)−N−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)ピリミジン−4−アミン、または
そのN−オキシド、個々の異性体、異性体混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩(それぞれ溶媒和物を含む)
からなる群から選択される、請求項1に記載した式Iの化合物。
【請求項17】
薬学的に許容される賦形剤と組み合わせた、治療有効量の請求項1に記載した化合物を含む医薬組成物。
【請求項18】
動物において、キナーゼ活性の阻害が疾患の病状および/または症候を阻害または寛解し得る疾患を処置する方法であって、該動物に、治療有効量の請求項1に記載した化合物、そのN−オキシド誘導体、個々の異性体、異性体混合物;および/またはそれらの薬学的に許容される塩(それぞれ溶媒和物を含む)を投与することを含む方法。
【請求項19】
キナーゼが受容体チロシンキナーゼである、請求項18に記載した方法。
【請求項20】
該受容体チロシンキナーゼがFGFR3である、請求項19に記載した方法。
【請求項21】
該疾患が、膀胱癌、子宮頚癌および多発性骨髄腫から選択される、請求項20に記載した方法。
【請求項22】
動物において、FGFR3のキナーゼ活性が、疾患の病状および/または症候に寄与する疾患を処置する医薬の製造における、請求項1に記載した化合物、そのN−オキシド誘導体、個々の異性体、異性体混合物;および/またはそれらの薬学的に許容される塩(それぞれ溶媒和物を含む)の使用。

【公表番号】特表2009−543798(P2009−543798A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519623(P2009−519623)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/073111
【国際公開番号】WO2008/008747
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】