説明

タンパク質及びペプチドの制御的投与のための局所投与用組成物

本発明の態様は、生理活性物質、とりわけペプチドおよび核酸の安定化、保存、及び送達のための組成物及び方法に関する。特に好ましい実施態様は、例えば、5アミノ酸欠損 HGFバリアントであるdHGFのような天然型ヒト肝細胞増殖因子(HGF)の組換え体と、体温で結晶形を保持する少なくとも1種のモノグリセリドとを含有する組成物を含む。所望により、ヒドロキシエチルセルロースのような増粘剤及び/又は抗病原菌化合物(例えば、ブピバカイン)を組成物に加えることができる。皮膚疾患を好転、改善または治療させるためのこれら組成物の使用方法もまた本発明の実施態様である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、タンパク質及びペプチド(具体的には、肝細胞増殖因子(HGF)及びそのバリアント(変異体))の安定化、保存及び送達のための組成物及び方法、並びに、例えば皮膚潰瘍及び皮膚癌又は皮膚の前癌症状などのヒトの病気を抑制、改善又は治療するための、安定化された前記組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質/ペプチドをベースとする薬物は、薬物送達において特有の課題を提示する。タンパク質/ペプチドは消化管で変性しやすいことから、経口投与に好ましくない。このため、タンパク質/ペプチドをベースとする薬物は一般に無菌注射剤の形で全身的に投与される。タンパク質/ペプチドは、血中での薬物動態学的半減期が非常に短く、すぐに代謝されて消失するため、非経口投与も効率が悪い。従って、多くの研究者が、タンパク質/ペプチドをベースとする治療剤を安定化し、保存し、かつ送達するための代替法を開発するため模索している。
【0003】
例えば、術後又は皮膚潰瘍を治療するための従来の創傷治療において、無菌のタンパク質/ペプチド含有溶液が、創傷部位へ注入される。このような適用法では、低粘性の溶液は投与することが難しく、溶解したタンパク質/ペプチドは、特に保存中に簡単に分解される。活性成分が固体粉末の形状で存在し、液体に接触すると半固形製剤を形成する、タンパク質/ペプチドをベースとする治療剤の製造物が記載されている(特許文献1参照、参照により本明細書に組み込まれることを明示する)。しかしながら、不安定なタンパク質/ペプチドを含む現在の再構成型製品は、特に室温で保存される場合、一般的に安定性に乏しい。
【0004】
この分野の研究者が直面している別の問題は、臨床における開放創へのこれらの製品の適用に関係がある。すなわち、皮膚潰瘍、すり傷、しみ(cosmetic blemishes)、または裂傷を含む多くの開放創が、さまざまな病原体(例えば、細菌、菌類もしくは他の病原菌又は微生物)を含み、その一部は従来の治療法(例えば、抗生物質療法)に耐性を示す。病原菌種は、大抵「患者由来」であり、全身性感染症を引き起こすことはないが、病原菌の存在は創傷治癒を妨げるのに十分である。これらの病原体の一部は、例えば治療剤中のタンパク質/ペプチドを分解するプロテアーゼを産生する。
【0005】
タンパク質/ペプチドをベースとする製品の安定性の低さは、製剤中の脂質と界面活性剤の存在と関係づけることができる。これらはタンパク質またはペプチドと相互作用して分子構造を変化させ、その機能を低下させる又は阻害する。少量の脂質や界面活性剤でも、タンパク質又はペプチドの3次元構造を変化させて製品の効能を低下させる可能性がある。例えば、乳児用調合ミルク乳剤中のモノグリセリドの存在は、製品の熱安定性を低下させることが示されている(非特許文献1参照)。
【0006】
タンパク質/ペプチドをベースとする製品の安定性が低いことから、治療上効果のある用量を正確に提供することは極めて困難である。すなわち、タンパク質又はペプチド(活性成分)の分解又は不安定化の速度は、患者によって異なる可能性があるので、安全で有効なタンパク質/ペプチドをベースとする製品を処方するのは困難である。しばしば、これらの問題により、活性成分の量を増やして使用することになるが、この方法は、活性成分の濃度が高い場合に低濃度とは異なる薬理活性を示す製剤においては、特に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
このようなことは、現行の肝細胞増殖因子(HGF)を含む製品にもあてはまる。HGFは正常な上皮細胞の増殖を促進し、かつ細胞の運動性を改善することが知られている(例えば1994年8月30日に登録された特許文献2参照)。HGFを含む創傷治癒製品はおよそ20年間検討されてきているが、このような製品の開発は、HGF分子の安定性の低さやその特有の生物学的な特性によって妨げられてきた。HGFは、わずか約10分の血中半減期を持つ比較的不安定な分子である(2007年7月24日に登録された特許文献3参照)。HGFの刺激活性は、濃度依存的であると考えられるが、最大細胞増殖は2.5および5ng/mlで見られ、より高濃度では効果がないことが報告されている(非特許文献2参照)。このようなことから、HGFタンパク質のための特異的で有効な投与方法、有効な投薬方法などがまだ見つかっていないと結論づける人もいる(2007年7月24日に登録された特許文献3参照)。
【特許文献1】米国特許第5,192,743号
【特許文献2】米国特許第5,342,831号
【特許文献3】米国特許第7,247,620号
【非特許文献1】McSweeneyら, Food Hydrocolloids, 第22巻5号, 2008年7月、 888-898頁
【非特許文献2】Bussolinoら、J. of Cell Biol 、第119巻、3号、629-641頁(1992)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、安定したタンパク質/ペプチドをベースとする治療剤の新しい製剤、特にHGFを含む安定した製剤の開発が明らか(manifest)である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
タンパク質/ペプチドをベースとする治療剤(特にHGF-含有製剤)中のタンパク質/ペプチド(「活性成分」)は、有効量の結晶モノグリセリド(例えばα又はβ−結晶モノグリセリド)を含ませることにより安定化させることができることが発見された。結晶モノグリセリドは、炭素数10、11、12、13、14、15、16、17又は18の炭素鎖長、望ましくは炭素数10〜16の間(例えば、炭素数12、13、14、15又は16)の炭素鎖長、好ましくは炭素数12、13又は14、最も好ましくは炭素数12又は14である炭素鎖長を有してもよい。従って、ここで記載される発明の態様は、タンパク質又はペプチド(例えば、全長型HGFやdHGF(天然の5アミノ酸欠損型HGF)などのHGF分子、もしくは天然に存在する他のHGF分子、又はそれらのバリアント(異性体)(例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4またはdNK4))と、1種又は2種以上を混合したモノグリセリド(例えば、α及び/又はβ−結晶モノグリセリド)とを含む組成物に関する。モノグリセリドは、15℃以上、望ましくは20℃以上、好ましくは23℃以上の温度で結晶形を保つモノグリセリド(例えば、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃又は42℃以上の温度で、例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%以上の結晶化率で、実質的に結晶形を保つα及び/又はβ−結晶モノグリセリド)である。換言すると、ここに示された組成物と方法は、タンパク質/ペプチドをベースとする製剤(例えば、天然全長型の組換えHGFもしくは天然型の組換えdHGF又はそれらの天然型バリアントの組換え体(例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4 又は dNK4)などのHGFタンパク質を含む製剤)、及び1種又は2種以上を混合したモノグリセリド(例えば、炭素数10、11、12、13、14、15、16、17又は18の炭素鎖長、好ましくは炭素数12又は14を有するα及び/又はβ−結晶モノグリセリド)を利用する。モノグリセリドは、42℃、41℃、40℃、39℃、38℃、37℃、36℃、35℃、34℃、33℃、32℃、31℃、30℃、29℃、28℃、27℃、26℃、25℃、24℃、23℃、22℃、21℃、20℃、19℃、18℃、17℃、16℃、又は15℃以下の温度、好ましくは皮膚温で結晶形を保つ。また、前記組成物の製造方法及び使用方法(例えば、創傷又は皮膚癌もしくは皮膚の前癌症状を好転させ、改善させ、又は治癒を促進させる方法)も考えられる。
【0010】
いくつかの実施態様は、結晶モノグリセリドと共に、抗菌効果を高めるために、さらに局所麻酔薬(例えば、ブピバカイン)を含む。すなわち、いくつかの製剤において、結晶モノグリセリド(例えば、炭素数10、11、12、13、14、15、16、17、又は18の炭素鎖長、望ましくは炭素数10乃至16の間(例えば、炭素数12、13、14、15、又は16)の炭素鎖長、好ましくは炭素数12、13、又は14、最も好ましくは炭素数12又は14である炭素鎖長を有してもよいα又はβ−結晶モノグリセリド)を含むタンパク質/ペプチド含有製品への局所麻酔薬(例えば、ブピバカイン)の添加は、より安定化されたタンパク質/ペプチドを提供するだけでなく、増強的又は相乗的な抗菌効果をもたらすと考えられる。好ましくは局所麻酔に必要な量より少ない量の局所麻酔剤が含まれる。換言すれば、いくつかの実施態様において、ここで開示された組成物及び方法は、タンパク質/ペプチドをベースとする製剤(例えば、天然全長型の組換えHGFもしくは天然型の組換えdHGF又はそれらの天然型バリアントの組換え体(例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4もしくはdNK4)などのHGFタンパク質を含む製剤)と、1種又は2種以上を混合したモノグリセリド(例えば、炭素数10、11、12、13、14、15、16、17又は18、好ましくは、炭素数12又は14の炭素鎖長を持つα及び/又はβ−結晶モノグリセリド)を使用し、さらに治療有効量の局所麻酔薬(例えば、ブピバカイン)を含む。モノグリセリドは、42℃、41℃、40℃、39℃、38℃、37℃、36℃、35℃、34℃、33℃、32℃、31℃、30℃、29℃、28℃、27℃、26℃、25℃、24℃、23℃、22℃、21℃、20℃、19℃、18℃、17℃、16℃又は15℃以下の温度で、好ましくは皮膚温で、結晶形を保つ。局所麻酔薬は局所麻酔としての必要量以下の濃度で存在してもよい。
【0011】
他の実施態様は、少なくとも1種の結晶モノグリセリドを含み、さらに少なくとも1種の抗病原菌化合物を、局所麻酔薬(例えば、ブピバカイン)に加えて、又はその代わりに含む。本発明のいくつかの態様では、ブピバカインはそれ自体抗病原菌化合物であり、他の抗菌剤は提供されない。また、他の製剤では、ブピバカイン以外の他の抗病原菌化合物が提供される。いくつかの実施態様では、上記組成物は、ブピバカインの代わりかブピバカインに加えてアミド型局所麻酔薬、カルバミド、イミダゾール誘導体、ニトロイミダゾール誘導体、炭素数3〜6のジオール、抗生物質及び抗真菌組成物からなるグループから選択される抗病原菌化合物を含む。すなわち、本発明の態様は、タンパク質/ペプチド含有製品に加えてアミド型局所麻酔薬、カルバミド、イミダゾール誘導体、ニトロイミダゾール誘導体、炭素数3〜6を有するジオール、抗生物質及び抗真菌組成物からなるグループから選択される抗病原菌化合物を含み、所望により例えばブピバカインなどの局所麻酔薬を含んでもよい。タンパク質/ペプチド含有製品は、結晶モノグリセリド(例えば、炭素数10、11、12、13、14、15、16、17、又は18の炭素鎖長、望ましくは、炭素数10〜16の間(例えば、炭素数12、13、14、15又は16)の炭素鎖長、好ましくは、炭素数12、13、又は14、最も好ましくは、炭素数12又は14である炭素鎖長を有してもよいα又はβ−結晶モノグリセリド)を含む。
【0012】
換言すると、いくつかの実施態様では、ここで開示される組成物及び方法は、タンパク質/ペプチドをベースとする製剤(例えば、天然全長型の組換えHGFもしくは天然型の組換えdHGF又はそれらの天然型バリアントの組換え体(例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4もしくは dNK4)などのHGFタンパク質を含む製剤)と、1種又は2種以上を混合したモノグリセリド(例えば、炭素数12、13、14、15、16、17又は18の炭素鎖長を持つα及び/又はβ−結晶モノグリセリド)を使用し、局所麻酔薬(例えば、ブピバカイン)の代わりか局所麻酔薬に加えて抗病原菌化合物をさらに含む。モノグリセリドは、42℃、 41℃、 40℃、 39℃、38℃、37℃、36℃、35℃、34℃、33℃、32℃、31℃、 30℃、29℃、 28℃、27℃、26℃、25℃、24℃、23℃、22℃、21℃、 20℃、19℃、18℃、17℃、16℃又は15℃以下の温度で、 好ましくは皮膚温で結晶形を保つ。抗病原菌化合物は、アミド型局所麻酔薬、カルバミド、イミダゾール誘導体、ニトロイミダゾール誘導体、炭素数3〜6のジオール、抗生物質及び抗真菌組成物からなるグループから選択される。
【0013】
いくつかの実施態様は、さらに1以上の増粘剤を含む。好ましい増粘剤としては、以下に限定されないが、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E464)、及びヒドロキシエチルメチルセルロースからなるグループから選択されるセルロース誘導体が挙げられる。つまり、いくつかの実施態様は、結晶モノグリセリド(例えば、炭素数10、11、12、13、14、15、16、17、又は18の炭素鎖長、望ましくは炭素数10〜16の間(例えば、炭素数12、13、14、15又は16)の炭素鎖長、好ましくは炭素数12、13、又は14、最も好ましくは炭素数12又は14である炭素鎖長を有してもよいα又はβ−結晶モノグリセリド)を含むタンパク質/ペプチド含有製品に加えて、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E464)、及びヒドロキシエチルメチルセルロースからなるグループから選択されるセルロース誘導体などの増粘剤を含有する。そして、所望により例えばブピバカインなどの局所麻酔薬、及び/又は、アミド型局所麻酔薬、カルバミド、イミダゾール誘導体、ニトロイミダゾール誘導体、炭素数3〜6を有するジオール、抗生物質及び抗真菌組成物からなるグループから選択される抗病原菌化合物を含有してもよい。換言すれば、いくつかの実施態様において、ここで開示された組成物と方法は、タンパク質/ペプチドをベースとする製剤(例えば、天然全長型の組換えHGFもしくは天然型の組換えdHGF、又はそれらの天然型バリアントの組換え体(例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4 又はdNK4)などのHGFタンパク質を含む製剤)と、1種又は2種以上を混合したモノグリセリド(例えば、炭素数10、11、12、13、14、15、16、17又は18、好ましくは炭素数12又は14の炭素鎖長を有するα及び/又はβ−結晶モノグリセリド)を使用し、さらに、例えばセルロース誘導体などの増粘剤を含み、所望により抗病原菌化合物、及び/又は、例えばブピバカインなどの局所麻酔薬を含んでもよい。モノグリセリドは、42℃、41℃、40℃、39℃、38℃、37℃、36℃、35℃、34℃、33℃、32℃、31℃、30℃、29℃、28℃、27℃、26℃、25℃、24℃、23℃、2 2℃、21℃、20℃、19℃、18℃、17℃、16℃、又は15℃以下の温度で、 好ましくは皮膚温で結晶形を保つ。セルロース誘導体は、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E464)、及びヒドロキシエチルメチルセルロースからなるグループから選択される。抗病原菌化合物は、アミド型局所麻酔薬、カルバミド、イミダゾール誘導体、ニトロイミダゾール誘導体、炭素数3〜6を有するジオール、抗生物質及び抗真菌組成物からなるグループから選択される。
【0014】
多くの実施態様において、本発明の組成物は、乾燥粉末であり、他の実施態様において、その組成物は再構成ゲル又はクリームである。いくつかの実施態様において、再構成ゲル又はクリームは、少なくとも1種の結晶モノグリセリド(例えば、炭素数10、11、12、13、14、15、16、17又は18の炭素鎖長、望ましくは炭素数10〜16の間(例えば、炭素数12、13、14、15又は 16)の炭素鎖長、好ましくは炭素数12、13、又は14、最も好ましくは炭素数12又は14である炭素鎖長を持ち、42℃、41℃、40℃、39℃、38℃、37℃、36℃、35℃、34℃、33℃、32℃、31℃、30℃、29℃、28℃、27℃、26℃、25℃、24℃、23℃、22℃、21℃、20℃、19℃、18℃、17℃、16℃、又は15℃以下の温度で、 好ましくは皮膚温で結晶形を保つα及び/又はβ−結晶モノグリセリド)及び増粘剤を含む乾燥粉末と、タンパク質/ペプチド、好ましくはHGFタンパク質を含む液体を混合することにより得られる。HGFタンパク質としては、例えば天然全長型の組換えHGFもしくは天然型の組換えdHGF(5アミノ酸欠損型HGF)又はそれらの天然型バリアントの組換え体(例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4又はdNK4)が挙げられる。
【0015】
他の実施態様では、その再構成は多重コンパートメント装置の内部で行なわれる。そこでは、周囲との接触を防ぎながら(例えば、密閉/無菌システムを維持しながら)、必要な時に(例えば、圧搾、反転、又はシールの破損によって)異なるコンパートメントに入った内容物同士が接触するように構成されたパッケージング装置によって、組成物の乾燥部分と組成物の液体部分とが接触する。熟考された装置の一つは、2つのコンパートメントを内部に備えた小容器(sachet)であって、圧力により仕切りが破損すると各コンパートメントの内容物が混合されて再構成反応が起こるように構成されている。
【0016】
また、本発明の態様は、前述の組成物の製造方法および使用方法を含む。ある方法によると、ここに記載された組成物は、タンパク質又はペプチド(例えば、全長型HGFもしくはdHGF(5アミノ酸欠損型 HGF)又はそれらのバリアント(例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4 又はdNK4)などのHGFタンパク質)と、体温以下で結晶形を保つ少なくとも1種のモノグリセリド(例えば、炭素数10、11、12、13、14、15、16、17又は18、好ましくは、炭素数12又は14の炭素鎖長を持つα及び/又はβ−結晶モノグリセリド)とを含む溶液を提供し、この溶液を乾燥して乾燥顆粒を形成することにより製造される。モノグリセリドは、42℃、41℃、40℃、39℃、38℃、37℃、36℃、35℃、34℃、33℃、32℃、31℃、30℃、29℃、28℃、27℃、26℃、25℃、24℃、23℃、22℃、21℃、20℃、19℃、18℃、17℃、16℃、又は15℃以下の温度で、 好ましくは皮膚温で結晶形を保つ。乾燥工程は、モノグリセリドの結晶構造を保持する。いろいろな乾燥方法が、ここに記載された1以上の製剤を製造するために使用できる。好ましくは、乾燥中の温度はモノグリセリド結晶の融点を超えない。いくつかのアプローチにおいて、その方法で使用される溶液は、さらに、例えばセルロース誘導体などの増粘剤を含む。セルロース誘導体は、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E464)、及びヒドロキシエチルメチルセルロースからなるグループから選択される。具体化された方法のうちのいくつかは、さらに少なくとも1種の抗病原菌化合物を、単独で又は前記少なくとも1種の結晶モノグリセリドと共に含む溶液を用いる。好ましい方法においては、抗病原菌化合物はブピバカインであるが、抗病原菌化合物は、アミド型局所麻酔薬、カルバミド、イミダゾール誘導体、ニトロイミダゾール誘導体、及び炭素数3〜6を有するジオールからなるグループから選択できる。
【0017】
他の合成法によれば、体温以下の温度で結晶形を保持する少なくとも1種のモノグリセリド(例えば、炭素数10、11、12、13、14、15、16、17、又は18の炭素鎖長、望ましくは、炭素数10〜16の間(例えば、炭素数12、13、14、15又は 16)の炭素鎖長、好ましくは、炭素数12、13、又は14、最も好ましくは、炭素数12又は14である炭素鎖長を有してもよいα又はβ−結晶モノグリセリド)を含む溶液を、増粘剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E464)、又はヒドロキシエチルメチルセルロース)と組み合わせる。そしてこの混合物を、モノグリセリドのβ−結晶構造を保持する方法で乾燥して乾燥顆粒を形成する。ついで、タンパク質又はペプチド(例えば、全長型HGFもしくはdHGF(5アミノ酸欠損型HGF)又はそれらのバリアント(例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4又はdNK4)などのHGFタンパク質)を含む液体を提供する。そして、タンパク質又はペプチドを含む前記液体を、前記少なくとも1種のモノグリセリド及び増粘剤を含む乾燥顆粒と、前記少なくとも1種のモノグリセリドの結晶構造を保持する条件下で組み合わせる。いくつかのアプローチによると、この方法は、セルロース誘導体である増粘剤を使用する。セルロース誘導体は、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E464)、及びヒドロキシエチルメチルセルロースからなるグループから選択される。これらの方法に用いられる溶液は、所望により、さらに少なくとも1種の抗病原菌化合物を、単独で又は前記少なくとも1種の結晶モノグリセリドと共に含んでもよい。好ましくは、抗病原菌化合物は、ブピバカインであるが、抗病原菌化合物は、アミド型局所麻酔薬、カルバミド、イミダゾール誘導体、ニトロイミダゾール誘導体、及び炭素数3〜6を有するジオールからなるグループから選択できる。
【0018】
ここに記載された組成物は、皮膚疾患を好転又は改善させる方法に、あるいは対象の若々しさを回復させる方法に使用できる。あるアプローチによれば、皮膚疾患を好転又は改善、あるいは若々しさを回復させる薬剤を必要とする対象を識別し、この対象に前述の組成物のうちいずれか一つ又は二つ以上を提供する。皮膚疾患を好転又は改善させる薬剤、又は若々しさを増進させる薬剤を必要とする対象は、その分野において通常に行われる臨床評価、診断テスト又は診察により識別できる。いくつかの実施態様において、ここに記載された組成物は、皮膚疾患を治療、予防、好転又は改善させるために使用される。皮膚疾患としては、例えば、慢性の糖尿病性皮膚潰瘍、裂傷、創傷、褥瘡、褥瘡性潰瘍、圧迫壊疽あるいはしみ(cosmetic blemish)が挙げられる。さらに多くの実施態様において、ここで記載された組成物は、対象の若々しさを増進させるかあるいは対象のしわを改善させるために使用される。また、皮膚疾患の好転又は改善、あるいは若々しさの回復の程度を、1以上の具体的に示された組成物の適用後に、皮膚疾患の好転又は改善、あるいは若々しさの慣用の診断的又は臨床的な評価や観察によって測定してもよい。
【0019】
従って、本発明のいくつかの態様において、皮膚疾患の好転、改善もしくは治療のための薬剤、又は若々しさを回復させるため薬剤を調製するために、タンパク質又はペプチド(例えば、全長型HGFもしくはdHGF(5アミノ酸欠損型HGF)又はそれらのバリアント(例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4又はdNK4)などのHGFタンパク質)と、結晶モノグリセリド(例えば、炭素数10、11、12、13、14、15、16、17、又は18の炭素鎖長、望ましくは、炭素数10〜16の間(例えば、炭素数12、13、14、15又は 16)の炭素鎖長、好ましくは、炭素数12、13又は14、最も好ましくは炭素数12又は14である炭素鎖長を有してもよいα又はβ−結晶モノグリセリド)とを含む混合物の使用が検討され、所望により増粘剤の使用、及びアミド型局所麻酔薬、カルバミド、イミダゾール誘導体、ニトロイミダゾール誘導体、又は炭素数3〜6を有するジオール(例えば、ブピバカイン)の使用を検討してもよい。増粘剤としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E464)、又はヒドロキシエチルメチルセルロースが挙げられる。皮膚疾患としては、例えば、潰瘍、糖尿病性潰瘍、裂傷、刺し傷、擦り傷、表面剥離(cosmetic abrasions)、褥瘡、褥瘡性潰瘍、圧迫壊疽、やけど、術後の傷、美容的再建(cosmetic reconstructions)、乾癬、育毛、しわ取り、皮膚のツッパリ感、皮膚癌、皮膚基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、メラノーマ、又は、例えば光線性角化症などの皮膚の前癌性疾患が挙げられる。
【0020】
従って、ここで記載されるいくつかの実施態様は、生物活性を有するタンパク質又はペプチドと、20℃以上の融点を有する少なくとも1種のモノグリセリドとを含む安定化させたタンパク質製剤を包含する。いくつかの実施態様において、タンパク質は天然型の組換え肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor;HGF)であり、また、いくつかの実施態様において、天然型の組換えHGFは、5アミノ酸欠損型HGF(dHGF)又は、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4もしくはdNK4からなるグループから選択される天然に存在するHGFである。いくつかの上記組成物において、モノグリセリドは、25℃以上、30℃以上、又は35℃以上の融点を有する。上記したいくつかの実施態様において、組成物は、前記少なくとも1種のモノグリセリドに加えて、さらに抗病原菌剤を含む。いくつかの実施態様において、該抗病原菌剤は、アミド型局所麻酔薬、カルバミド、イミダゾール誘導体、ニトロイミダゾール誘導体、及び炭素数3〜6を有するジオールからなるグループから選択され、いくつかの実施態様では、抗病原菌剤は、ブピバカインである。上記の組成物は、さらに、例えばセルロース誘導体などの増粘剤を含んでいてもよい。セルロース誘導体は、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E464)、及びヒドロキシエチルメチルセルロースからなるグループから選択される。そして、いくつかの実施態様において、前記少なくとも1種のモノグリセリドは炭素数10、11、12、13、14、15、又は16、好ましくは炭素数12又は14の炭素鎖長を有する。
【0021】
ここに記載される多くの実施態様は、炭素数10、11、12、13、14、15又は16、好ましくは炭素数12又は14の炭素鎖長を有するβ−結晶モノグリセリドと共に製剤化されたdHGFタンパク質を含む安定化させたタンパク質組成物に関する。安定化させたタンパク質組成物における前記dHGFの濃度は、50ng/ml以下である。いくつかのこれら実施態様において、製剤は、1−グリセロールモノラウレートもしくは1−グリセロールモノミリステート、又はその両方を含む。製剤は、また増粘剤及び/又は抗菌剤を含んでいても良い。いくつかの実施態様において、増粘剤は、ヒドロキシエチルセルロースであり、抗菌剤はブピバカインである。ここに記載のいくつかの実施態様において、安定化させたタンパク質組成物におけるdHGFの濃度は10ng/ml以下である。
【0022】
さらに本発明の態様は、1−グリセロールモノラウレート及び1−グリセロールモノミリステートと共に製剤化されたHGF又はHGFバリアントタンパク質を含む安定化させたタンパク質組成物に関する。いくつかの実施態様において、組成物はさらに増粘剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)を含み、いくつかの上記組成物は、また抗病原菌剤(例えば、ブピバカイン)を含む。いくつかのこれら組成物において、HGF又はHGFバリアントタンパク質は、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4又はdNK4、あるいは、前記HGF又はHGFバリアントタンパク質と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%(又は、85%〜99%内のいずれの数値でもよい)の配列同一性又は相同性を有するタンパク質からなるグループから選択される。ただし、前記同一性又は相同性を有するタンパク質は、前記HGF又はHGFバリアントタンパク質に起因する機能を保有するものとする。該機能としては、例えば、cMet受容体との結合、上皮細胞増殖促進、細胞分散(cell scattering)、細胞増殖の誘導、上皮細胞増殖の抑制、細胞分散の抑制、又は細胞増殖の抑制が挙げられる。
【0023】
さらに、本発明の態様は、1−グリセロールモノラウレート及び1−グリセロールモノミリステートと共に製剤化されたdHGF タンパク質を含む安定化されたタンパク質組成物に関する。いくつかの実施態様において、これら組成物は、さらに、増粘剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)を含み、いくつかの上記組成物はまた抗病原菌剤(例えば、ブピバカイン)を含む。さらなる実施態様は、1−グリセロールモノラウレート及び1−グリセロールモノミリステートと共に製剤化されたHGF、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4又はdNK4を含む安定化されたタンパク質組成物を包含する。そしてこれら組成物は、増粘剤(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)を含んでいてもよく、いくつかの上記組成物はまた抗病原菌剤(例えば、ブピバカイン)を含む。
【0024】
本発明の態様はまた、上記した組成物を製造する方法を含む。前記方法は、dHGFタンパク質と、30℃より高い融点をもつ少なくとも1種のモノグリセリドとを含む溶液を提供し、この溶液を乾燥して乾燥顆粒を形成することにより実施される。乾燥工程は、モノグリセリドのβ−結晶構造を保持する。いくつかの方法において、溶液はさらに増粘剤を含む。いくつかの方法において、増粘剤は、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E464)、及びヒドロキシエチルメチルセルロースからなるグループから選択されるセルロース誘導体である。また、いくつかの方法において、少なくとも1種のモノグリセリドは、炭素数10、11、12、13、14、15又は16、好ましくは、炭素数12又は14の炭素鎖長を有する。いくつかの方法において、溶液はさらに少なくとも1種の抗病原菌化合物を、単独で又は前記少なくとも1種のモノグリセリドと共に含み、いくつかの方法において、抗病原菌化合物はブピバカインである。いくつかの方法において、抗病原菌化合物は、アミド型局所麻酔薬、カルバミド、イミダゾール誘導体、ニトロイミダゾール誘導体、及び炭素数3〜6を有するジオールからなるグループから選択される。
【0025】
本発明の態様は、また、30℃より高い融点をもつ少なくとも1種の結晶モノグリセリドと、増粘剤とを含む溶液を提供すること;前記溶液を凍結噴霧乾燥して乾燥顆粒を形成すること(凍結乾燥の工程は、モノグリセリドのβ−結晶構造を保持する);天然型の組換えHGFタンパク質を含む液体を提供すること;及び、前記HGFタンパク質を含む前記液体を、前記少なくとも1種のモノグリセリド及び増粘剤を含む前記乾燥顆粒と、前記少なくとも1種のモノグリセリドの結晶構造を保持する条件下で混合することを含む、上記組成物の製造方法を包含する。いくつかの方法において、天然型の組換えHGFタンパク質は、dHGFであり、いくつかの方法において、増粘剤は、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E464)、及びヒドロキシエチルメチルセルロースからなるグループから選択されるセルロース誘導体である。いくつかの方法において、少なくとも1種のモノグリセリドは、炭素数10、11、12、13、14、15、又は16、好ましくは、炭素数12又は14の炭素鎖長を有し、いくつかの方法において、溶液は、さらに少なくとも1種の抗病原菌化合物を、単独で又は前記少なくとも1種のモノグリセリドと共に含む。いくつかの方法において、抗病原菌化合物は、ブピバカインであり、いくつかの方法において、抗病原菌化合物は、アミド型局所麻酔薬、カルバミド、イミダゾール誘導体、ニトロイミダゾール誘導体、及び炭素数3〜6を有するジオールからなるグループから選択される。
【0026】
また本発明の態様は、皮膚疾患を好転又は改善させる薬剤を必要としている対象を識別すること;及び前記対象にここに記載された組成物を提供することを含む、対象の皮膚疾患を好転させ又は改善させるための上記組成物の使用方法を包含する。いくつかの方法において、皮膚疾患は、慢性の糖尿病性皮膚潰瘍、裂傷、創傷、しみ(cosmetic blemish)、皮膚癌、又は皮膚基底細胞癌である。上記方法は、さらに皮膚疾患の好転又は改善の程度を測定することを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、クリームAaLL07001の融解曲線と、1つの乾燥粉末(AaLL07005C)及び2つの再構成粉末(AaLL07005A及びAaLL07005F)の典型的なカーブを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ここに記載の多くの実施態様は、安定化された送達薬(delivered agent)(例えば、タンパク質もしくはそのフラグメント、及び/又は、例えば、DNAやRNAなどの核酸)を含む局所組成物に関する。好ましい実施態様において、組成物は、例えば、42℃、41℃、40℃、39℃、38℃、37℃、36℃、35℃、34℃、33℃、32℃、31℃、30℃、29℃、28℃、27℃、26℃、25℃、24℃、23℃、22℃、21℃、20℃、19℃、18℃、17℃、16℃、又は15℃以下の温度、好ましくは、皮膚温以下の温度で結晶構造を保持するモノグリセリドなどの結晶モノグリセリドを少なくとも1種含む。より好ましい実施態様において、モノグリセリドはβ−結晶状態にある。その「結晶状態」は、すべて三次元で繰り返される構造である。とはいえ、繰り返される機能は、すべての3方向で同じである必要はない。β−結晶モノグリセリドは、固体モノグリセリドの硬いラメラ構造を含む。炭素鎖は融解状ではなく、固形状である。
【0029】
他の好ましい実施態様において、組成物はさらに少なくとも1種の抗病原菌化合物 (例えば、抗菌化合物、抗真菌剤、殺菌剤、静菌剤、又は抗生物質)を単独で又は結晶モノグリセリドと共に含み、また、所望により賦形剤を含む。特に好ましい実施態様において、組成物は、さらに懸濁化剤又は増粘剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(例えば、ナトロソール(Natrosol;登録商標))、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体)を含む。
【0030】
いくつかの実施態様において、局所組成物は、液体を吸収する能力がある乾燥粉末として製造される。前記粉末は液体(例えば、水、油あるいはエマルジョン)に接触すると、半固形の製剤を生成する。この再生成された半固形の製品は、送達薬(delivered agent)(例えば、タンパク質もしくはそのフラグメント、核酸(例えば、DNA又はRNA)又はそれらの組合せ)を表皮内、真皮内もしくは皮内に、又は経皮的に送達するために局所的に適用できる。いくつかの実施態様において、活性成分は、液体状態(例えば適切なバッファー中に)で存在し、活性成分を含む水溶液を、ゲル化剤又は増粘剤を含む乾燥粉末に添加して、安定化された製品の最終製剤とする。活性成分を含む水溶液と、ゲル化剤を含む乾燥粉末との混合は、活性成分を必要とするものとして識別された対象に、安定化された組成物を提供する少し前に行うことができる。
【0031】
このような安定化された送達薬(delivered agent)の製剤は、対象(例えば、動物、家畜、爬虫類、鳥又はイヌ、ネコ、ウマ、ブタもしくはヒトなどの哺乳動物)の健康や福祉に利益をもたらすために使用できる。いくつかの製剤は、対象の皮膚疾患の治療、好転又は改善(例えば、皮膚の潰瘍、創傷又は腫瘍の治癒を増進又は促進)に有用である。いくつかの実施態様は、例えば、美容上の症状を治療、好転又は改善させるため、又は動物の健康と幸せを増進させるために処方される。いくつかの実施態様は、動物、好ましくは例えば、ヒトなどの哺乳動物における、潰瘍、糖尿病性潰瘍、褥瘡、褥瘡性潰瘍、圧迫壊疽、裂傷、刺し傷、擦り傷、表面剥離(cosmetic abrasions)、やけど、術後の傷、皮膚癌、皮膚基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、メラノーマ、光線性角化症、美容的再建(cosmetic reconstructions)、乾癬、育毛、しわ取り、皮膚のツッパリ感、及び/又は若々しさを、治療、好転、改善させるために使用できる。
【0032】
いくつかの実施態様は、活性成分もしくは送達薬(delivered agent)を含む、活性成分もしくは送達薬からなる、又は本質的に活性成分もしくは送達薬からなる局所組成物に関する。活性成分又は送達薬は、タンパク質、タンパク質をコードする核酸、タンパク質のフラグメント又はタンパク質のフラグメントをコードする核酸である。ここに記載される製剤又は製品に含まれる送達薬(delivered agent)として使用できる典型的なタンパク質としては、これらに限定されないが、ヒト成長ホルモン(hGH)、肝細胞増殖因子又はスキャッター因子(HGF)、及びデス−N−メチオニルヒト成長ホルモンを含む成長ホルモン;上皮小体ホルモン(parathyroid hormone); 甲状腺刺激ホルモン;チロキシン;リポタンパク質;α1−抗トリプシン;インスリンα−鎖;インスリンβ−鎖;プロインスリン;例えば、第VIIIC因子、第IX因子、組織因子、及びフォンウィルブランド因子(von Willebrands factor)などの凝固因子;例えば、プロテインCなどの抗凝固因子;心房性ナトリウム利尿ペプチド;肺サーファクタント;例えば、ウロキナーゼもしくはヒト尿プラスミノゲンアクチベーター又は組織型プラスミノゲンアクチベーター(t-PA)などのプラスミノゲン・アクチベーター;ボンベシン;トロンビン;造血成長因子;腫瘍壊死因子(TNF)α及びβ;エンケファリンナーゼ;例えば、ヒト血清アルブミンなどの血清アルブミン;ミュラー管抑制物質;レラキシンA−鎖;レラキシンB−鎖; プロレラキシン;デオキシリボヌクレアーゼ(DNase);インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;ホルモン又は成長因子の受容体;インテグリン;トロンボポエチン;プロテインA又はD;リウマチ因子;例えば、骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン−3、−4、−5、もしくは−6(NT-3、NT-4、NT-5、又はNT-6)、又は神経成長因子(例えば、NGF-β)などの神経栄養因子; 血小板由来増殖因子(PDGF);例えば、aFGF及びbFGFなどの線維芽細胞増殖因子;上皮細胞増殖因子(EGF);例えばTGF-α及び、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4を含むTGF-β、又はTGF-γなどの形質転換成長因子(TGF);インスリン様成長因子−I及び−II(IGF-I及びIGF-II);インスリン様成長因子結合タンパク質;例えばCD-3、CD-4、CD-8、及びCD-19などのCDタンパク質;エリスロポエチン;骨誘導因子;骨形成タンパク質(BMP);ソマトトロピン;IFN-α、IFN-β、及びIFN-γなどのインターフェロン(IFN);例えば、M-CSF、GM-CSF、及びG-CSFなどのコロニー刺激因子(CSFs);例えば、IL-1〜IL-10などのインターロイキン(ILs);スーパーオキシドジスムターゼ;T細胞受容体;表面膜タンパク質;分解促進因子;ホーミング受容体;アドレシン;調節タンパク質;又は抗体が挙げられる。
【0033】
ここに記載された1以上の組成物に配合される特に好ましい活性成分としては、組換え技術によって産生、単離された天然HGFタンパク質(例えば、全長型HGFもしくはdHGF(天然5アミノ酸欠損型HGF)又はそれらの天然バリアント(例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4又はdNK4))及び結晶モノグリセリドが挙げられる(結晶モノグリセリドとしては、例えば、炭素数10、11、12、13、14、15、16、17又は18、好ましくは炭素数12又は14の炭素鎖長を持つα及び/又はβ−結晶モノグリセリドであって、42℃、41℃、40℃、39℃、38℃、37℃、36℃、35℃、34℃、33℃、32℃、31℃、30℃、29℃、28℃、27℃、26℃、25℃、24℃、23℃、22℃、21℃、20℃、19℃、18℃、17℃、16℃、又は15℃以下の温度で、 好ましくは皮膚温で結晶形を保つものが挙げられる)。本発明の態様は、また核酸(例えば、DNA、RNA(例えば、RNAiのような抑制RNAsを含む))を含む、本質的に核酸からなる、又は核酸からなる送達薬(delivered agent)を含む製剤を包含する。核酸は、上記したポリペプチド又はそれらの突然変異体のうちいずれかをコード及び/又は干渉する。多くの実施態様は、上記したポリペプチドのフラグメント、及び前記フラグメントをコード及び/又は干渉する核酸(例えば、DNA、RNA(例えば、RNAiのような抑制RNAsを含む))を含む。
【0034】
いくつかの実施態様で用いられる送達薬(delivered agent)又は活性成分は、例えば、皮膚のような組織に局所的に適用したときに治療的、改善的、好転的効果をもたらすタンパク質、又は、該タンパク質をコードする核酸を含む。前記タンパク質としては、例えば、HGF(肝細胞増殖因子、スキャッター因子)、hGH、TGF-α、TGF-β、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子 (FGF)、インスリン様成長因子−1及び2(IGF-1及び/又はIGF-2)、t-PA、第VIII因子、レラキシン、インスリン、IFN-γ、及び/又はTGF-γが挙げられる。いくつかの実施態様は、上記したタンパク質のフラグメントもしくは突然変異体を含んでも良く、又は前記フラグメントもしくは突然変異体をコードする核酸を含んでも良い。
【0035】
いくつかの実施態様において、1以上のタンパク質又はそれらのフラグメントをコードする核酸が、例えば、タンパク質又はタンパク質フラグメントに加えて、あるいは前記タンパク質又はタンパク質フラグメントの代わりに、製剤に含まれる。いくつかの実施態様において、例えば、HGF、HGFのフラグメント、突然変異型HGF又は突然変異型HGFフラグメント(例えば、全長型HGFもしくはdHGF (5アミノ酸欠損型HGF)又はそれらのバリアント(例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4又はdNK4))をコードする核酸と、β−結晶モノグリセリド(例えば、炭素数10、11、12、13、14、15、16、17、又は18の炭素鎖長、望ましくは炭素数10〜16の間(例えば、炭素数12、13、14、15又は 16)の炭素鎖長、好ましくは炭素数12、13又は14、最も好ましくは炭素数12又は14である炭素鎖長を有してよいα又はβ−結晶モノグリセリド)が、ここに記載された教示に従って局所用製剤に製剤化される。そして、前記製剤は、HGFタンパク質、HGFタンパク質のフラグメント、又は突然変異体HGFタンパク質もしくはそのフラグメント(例えば、全長型HGF、もしくはdHGF(5アミノ酸欠損型HGF)又はそれらのバリアント (例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4又はdNK4))を含んでもよい。すなわち、いくつかの実施態様において、タンパク質(例えば、HGFタンパク質、突然変異体HGFタンパク質又はそれらのフラグメント)をコードするDNAは、HGFタンパク質、突然変異体HGFタンパク質又はそれらのフラグメントと共に又は伴わずに、ここに記載された組成物に製剤化され得る。これら核酸は、特定の対象に適している発現プラスミド(例えば、ヒト、ネコ、イヌ、ウマ、ブタ、またはニワトリにおける直接発現に特に適しているプラスミド)に組み込むことができる。さらに、DNA送達薬(delivered agent)は、コドンを最適化して、特定の対象(例えば、ヒト、ネコ、イヌ、ウマ、ブタ、またはニワトリ)におけるペプチド産生量を向上させることもできる。例えば、コドンが最適化されたHGFもしくは突然変異体HGF(例えば、全長型HGFもしくはdHGF(5アミノ酸欠損型HGF)又はそれらのバリアント(例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4又はdNK4))のDNAは、ここで教示されている局所用ゲル剤に製剤化できる。前記コドンが最適化されたHGF又は突然変異体HGFのDNA(例えば、全長型HGFもしくはdHGF(5アミノ酸欠損型HGF)又はそれらのバリアント(例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4又はdNK4)をコードする核酸)は、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、又はヒトでの発現のために最適化できる。
【0036】
ここに記載された製剤に使用できるタンパク質/ペプチドは、天然源から得られたものでも、化学的に合成されたものでも、あるいは組換え技術の手法を用いて生成されたものでもよく、すべての天然及び合成タンパク質/ペプチドが含まれる。いくつかの実施態様において、タンパク質/ペプチドは、糖タンパク質、リンタンパク質、ヨードタンパク質、スルホタンパク質(sulphoproteins)、メチル化タンパク質、未修飾タンパク質/ペプチド又はこれら以外の修飾を含むタンパク質/ペプチドであってよい。ここに記載された組成物は、個々のタンパク質/ペプチドの治療効果に適した量に応じて広い濃度範囲のタンパク質を含むように又は送達するように製剤化され、製品に含まれる又は製品によって送達されるタンパク質/ペプチドの濃度が、10mg/ml、5mg/ml、2mg/ml、1mg/ml、0.5mg/ml、0.2mg/ml、0.1mg/ml、50μg/ml、25μg/ml、10μg/ml、5μg/ml、2μg/ml、1μg/ml、0.5μg/ml、0.2μg/ml、0.1μg/ml、50ng/ml、25ng/ml、10ng/ml、5ng/ml、2ng/ml、又は1ng/ml以下になるように、製剤化されることが好ましい。換言すると、ここに記載された組成物又は方法において、治療目的を達成するのに十分な濃度のタンパク質又はペプチドが含まれるもしくは使用される、又は送達される。前記濃度は、タンパク質/ペプチド又は目的とする治療にもよるが、9-10mg/ml、8-9mg/ml、7-8mg/ml、6-7mg/ml、5-6mg/ml、4-5mg/ml、3-4mg/ml、2-3mg/ml、1-2mg/ml、0.5-1mg/ml、0.25-0.5mg/ml、0.1-0.25mg/ml、0.05-0.1mg/ml、0.02-0.05mg/ml、10-20μg/ml、9-10 μg/ml、8-9μg/ml、7-8μg/ml、6-7μg/ml、5-6μg/ml、4-5μg/ml、3-4μg/ml、2-3μg/ml、1-2μg/ml、0.5-1μg/ml、0.3-0.5μg/ml、0.1-0.3μg/ml、0.05-0.1μg/ml、0.02-0.05μg/ml、10-20ng/ml、9-10 ng/ml、8-9ng/ml、7-8ng/ml、6-7ng/ml、5-6ng/ml、4-5ng/ml、3-4ng/ml、2-3ng/ml、又は1-2ng/mlの範囲未満、範囲の上下限値、又は範囲内でありうる。
【0037】
例えば、創傷、潰瘍及び皮膚癌のような皮膚疾患を好転、改善、又は治療するための多くの局所組成物に関して、製剤中の活性成分(例えば、全長型HGFもしくはdHGF(5アミノ酸欠損型HGF)又はそれらのバリアント(例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4又はdNK4))は、5μg/ml、4μg/ml、3μg/ml、2μg/ml、 1μg/ml、0.5μg/ml、0.2μg/ml、100ng/ml、95ng/ml、90ng/ml、85ng/ml、80ng/ml、75ng/ml、70ng/ml、65ng/ml、60ng/ml、55ng/ml、50ng/ml、45ng/ml、40ng/ml、35ng/ml、30ng/ml、25ng/ml、20ng/ml、20ng/ml、19ng/ml、18ng/ml、17ng/ml、16ng/ml、15ng/ml、14ng/ml、13ng/ml、12ng/ml、11ng/ml、10ng/ml、9ng/ml、8ng/ml、7ng/ml、6ng/ml、5ng/ml、4ng/ml、3ng/ml、2ng/ml、又は1ng/ml以下の任意の数値の濃度で、製品に含まれるか、あるいは製品によって送達されることが好ましい。
【0038】
好ましい実施態様において、タンパク質/ペプチドは、局所投与のために、ゲル形成化合物を含む製剤の一部として製剤化される。任意の懸濁剤又は増粘剤が製剤に使用でき、アカシアゴム、カンテン、アルギン酸、モノステアリン酸アルミニウム、ベントナイト、精製ベントナイト、マグマ・ベントナイト、カルボマー934p、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム 12、カラギーナン、微結晶性セルロースとカルボキシメチルセルロース ナトリウム セルロース、デキストリン、ゼラチン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース(例えば、ナトロソール(Natrosol;登録商標))、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、メチルセルロース、ペクチン、ポリエチレン・オキシド、ポリビニル・アルコール、ポビドン、アルギン酸プロピレングリコール、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、アルギン酸ナトリウム、トラガント、又はキサンタンガムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましい実施態様において、ゲル形成化合物としてセルロース誘導体を使用することができ、例としては、ヒドロキシエチルセルロース(例えば、ナトロソール(Natrosol;登録商標))、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E464)、又はヒドロキシエチルメチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない。ゲル形成化合物は、半固形製品を提供する量であることが好ましい。ゲル形成化合物の例としては、例えば、上記のようなセルロース誘導体が挙げられる。
【0039】
好ましい実施態様において、ここに想定される製剤は、皮膚温より低い温度で固体の結晶状態にある脂質を含む。好ましい実施態様に使用される脂質は、42℃未満の貯蔵温度で、固体状態を保つことができる脂質鎖の融点を有する。すなわち、ここで記載された組成物や方法で使用できる結晶モノグリセリドは、42℃、41℃、40℃、39℃、38℃、37℃、36℃、35℃、34℃、33℃、32℃、31℃、30℃、29℃、28℃、27℃、26℃、25℃、24℃、23℃、22℃、21℃、20℃、19℃、18℃、17℃、16℃、又は15℃以下である融点を有する。脂質組成物は、約90%〜約1%、好ましくは約85%〜約5%、より好ましくは約80%〜約10%、さらに好ましくは約75%〜約15%、なおさら好ましくは、約70%〜約20%、その上さらに好ましくは約65%〜約25%、最も好ましくは約60%〜約40%の量で乾燥製品の一部として存在する。ここに使用される好ましい脂質の例として、脂肪酸の結晶モノグリセリドが挙げられる。脂肪酸は、以下に限定されないが、最も好ましくは炭素数12又は14、好ましくは炭素数10〜16、望ましくは炭素数10〜18(炭素数が、少なくともこの上下限値と同じか又はその間の数、すなわち10、11、12、13、14、15、16、17、又は18)を有する飽和脂肪酸を含む。好ましい組成物は炭素数10、11、12、13、14、15、又は16の炭素鎖長を有する結晶モノグリセリドを含み、該結晶モノグリセリドとしては、1−グリセロールモノラウレート、1−グリセロールモノミリステート、1−グリセロールモノパルミテート、又は1−グリセロールモノステアレートが挙げられる。最も好ましくは、組成物は、炭素数12又は14のβ−結晶モノグリセリドを含む。結晶モノグリセリドは、市販品と同様に、同種又は異種混合状態で存在してもよい。ここに記載された組成物及び方法に使用される好ましいモノグリセリドとしては、グリセロールモノラウレート及び/又は1−グリセロールモノミリステートが挙げられる。
【0040】
結晶モノグリセリドの混合物もいくつかの製剤に使用できる。従って、いくつかの実施態様は、1種以上の結晶モノグリセリド(例えば、α又はβ−結晶モノグリセリド)の混合物を含む。結晶モノグリセリドは、炭素数10、11、12、13、14、15、16、17、又は18の炭素鎖長、望ましくは炭素数10〜16の間(例えば、炭素数12、13、14、15、又は 16)の炭素鎖長、好ましくは炭素数12、13又は14、最も好ましくは炭素数12又は14である炭素鎖長を有してもよい。典型的な組成比としては、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、もしくは1:20、又はそれ以上が挙げられる。好ましい組成物は、1:9又は9:1の比率の1−グリセロールモノラウレートと1−グリセロールモノミリステートの混合物を含む。
【0041】
製品は半固形であるので、タンパク質/ペプチドの送達速度を調節することができる。ゲル形成化合物の量と脂質の量の調節でこれを実行できる。望ましい送達速度は、使用するタンパク質/ペプチドによって決まり、組成も各タンパク質/ペプチドによって調整される。α又はβ−結晶モノグリセリドの結晶化率も、特定の製剤にとっては重要となる場合があるが、商業的供給源、純度、不均質性によって異なっている。従って、いくつかの実施態様は、特定量のα又はβ−結晶モノグリセリドを含み、該α又はβ−結晶モノグリセリドは、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%以上、又はこれらの間の数値の割合で結晶モノグリセリド分子を含む。本発明のいくつかの態様において、結晶モノグリセリドという用語は、特定の温度で、非結晶状態よりも結晶状態で存在するモノグリセリドの比率が高いモノグリセリドのことを言う。例えば、結晶モノグリセリドは、42℃、41℃、40℃、39℃、38℃、37℃、36℃、35℃、34℃、33℃、32℃、31℃、30℃、29℃、28℃、27℃、26℃、25℃、24℃、23℃、22℃、21℃、20℃、19℃、18℃、17℃、16℃、又は15℃以下で非結晶状態よりも結晶状態にある分子が高比率で存在する、α又はβ−結晶モノグリセリドであり得る。個々のα又はβ−結晶モノグリセリドの結晶化率は、示差走査熱量測定(DSC)分析によって決定できる。
【0042】
さらなる実施態様は、症状の治療、改善又は好転の目的で、ここに記載された1以上の再構成ゲル又はクリーム製剤を、必要としている対象(例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、又はヒト)に提供する方法に関する。前記症状は、例えば、潰瘍、糖尿病性潰瘍、褥瘡、褥瘡性潰瘍、圧迫壊疽、裂傷、刺し傷、擦り傷、表面剥離(cosmetic abrasions)、やけど、術後の傷、皮膚癌、皮膚基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、メラノーマ、美容的再建(cosmetic reconstructions)、乾癬、育毛、しわ取り、皮膚のツッパリ感、及び/又は、若々しさである。そのような方法において、前記対象は、潰瘍、糖尿病性潰瘍、褥瘡、褥瘡性潰瘍、圧迫壊疽、 裂傷、刺し傷、擦り傷、表面剥離(cosmetic abrasions)、やけど、術後の傷、皮膚癌、皮膚基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、メラノーマ、光線性角化症、美容的再建(cosmetic reconstructions)、乾癬、育毛、しわ取り、皮膚のツッパリ感、及び/又は若々しさのうち1以上の症状を治療し、改善させ、又は好転させる組成物を必要としている対象として好ましく識別される。識別は、その分野において周知の臨床評価又は、診断的評価により達成できる。前記評価は、医師、外科医もしくはその他の医療従事者による診察、又は、診断検査もしくは生検を行うことを含む。そのような対象は、創傷部位での上皮細胞及び/又は肉芽組織の増殖を誘導する薬剤、又は癌細胞の増殖もしくは分散を抑制する薬剤を必要としている対象として、任意選択又は二者択一的に、識別されてもよい。さらに、そのような識別は、その分野において周知の臨床評価又は、診断的評価により達成でき、評価は医師、外科医もしくはその他の医療従事者による診察、診断検査及び/又は生検を含む。
【0043】
一旦対象が識別されると、ここに記載された1以上の組成物が対象に提供されるか投与される。その方法は、好ましくは、製品に含まれる、又は製品により送達されるタンパク質/ペプチドの濃度が、10mg/ml、5mg/ml、2mg/ml、1mg/ml、0.5mg/ml、0.2mg/ml、0.1mg/ml、50μg/ml、25μg/ml、10μg/ml、5μg/ml、2μg/ml、1μg/ml、0.5μg/ml、0.2μg/ml、0.1μg/ml、50ng/ml、25ng/ml、10ng/ml、5ng/ml、2ng/ml、又は1ng/ml以下になるように製剤化された組成物を提供することにより実施される。換言すれば、一旦対象が、特定の治療剤を必要とする患者であるとして識別されると、ここに記載された1以上の組成物が対象に提供されるか投与される。タンパク質/ペプチド及び治療目的によって異なるが、この組成物が含むもしくは使用する、又は送達するタンパク質/ペプチドは、治療目的を達成するのに十分な濃度である。前記タンパク質又はペプチドの濃度は、例えば、タンパク質/ペプチド、及び/又は目的とする治療にもよるが、9-10mg/ml、8-9mg/ml、7-8mg/ml、6-7mg/ml、5-6mg/ml、4-5mg/ml、3-4mg/ml、2-3mg/ml、1-2mg/ml、0.5-1mg/ml、0.25-0.5mg/ml、0.1-0.25mg/ml、0.05-0.1mg/ml、0.02-0.05mg/ml、10-20μg/ml、9-10 μg/ml、8-9μg/ml、7-8μg/ml、6-7μg/ml、5-6μg/ml、4-5μg/ml、3-4μg/ml、2-3μg/ml、1-2μg/ml、0.5-1μg/ml、0.3-0.5μg/ml、0.1-0.3μg/ml、0.05-0.1μg/ml、0.02-0.05μg/ml、10-20ng/ml、9-10ng/ml、8-9ng/ml、7-8ng/ml、6-7ng/ml、5-6ng/ml、4-5ng/ml、3-4ng/ml、2-3ng/ml、又は1-2ng/mlの範囲未満、範囲の上下限値、又は範囲内である。
【0044】
HGFをベースとする製剤が提供されるいくつかの好ましい方法において、例えば、全長型HGFもしくはdHGF(5アミノ酸欠損型HGF)又はそれらのバリアント(例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4又はdNK4)を含む組成物は、上記活性成分が5μg/ml、4μg/ml、3μg/ml、2μg/ml、1μg/ml、0.5μg/ml、0.2μg/ml、100ng/ml、95ng/ml、90ng/ml、85ng/ml、80ng/ml、75ng/ml、70ng/ml、65ng/ml、60ng/ml、55ng/ml、50ng/ml、45ng/ml、40ng/ml、35ng/ml、30ng/ml、25ng/ml、20ng/ml、20ng/ml、19ng/ml、18ng/ml、17ng/ml、16ng/ml、15ng/ml、14ng/ml、13ng/ml、12ng/ml、11ng/ml、10ng/ml、9ng/ml、8ng/ml、7ng/ml、6ng/ml、5ng/ml、4ng/ml、3ng/ml、2ng/ml、又は1ng/ml以下の任意の濃度で製品に含まれる又は製品によって送達されるように製剤化される。
【0045】
投与方式、投与頻度、及び送達の時間は、医師又は他の医療従事者によって、所望の適用方法や患者又は対象の詳細な症状を考慮して決定される。いくつかの実施態様において、ここに記載された1以上の組成物は、二日ごとに提供され、それに応じて患者の改善の程度が、モニタリング、及び/又は測定される。すなわち、対象の回復度、又はそのマーカーである血管新生、肉芽形成、治療された組織の外観、創部滲出、健常組織への回復、腫瘍性病変又は角化症の消失などを、当該分野で知られている臨床的及び診断的評価により、測定又はモニタリングできる。
【0046】
多くの創傷又は美容上の皮膚疾患は、病原体によって、感染しているか、感染の危険にさらされている。創傷に存在する種々の病原体は、しばしば「患者起源」であるので、これら微生物の存在は、必ずしも全身感染をもたらすわけではない。しかし、多くの病原体は、一部のタンパク質の構造と機能を崩壊させる可能性のあるプロテアーゼを産生できる。いくつかの実施態様において、対象に存在する病原体を抑制、減少又は処置するために、抗病原菌化合物(例えば、抗菌化合物、抗真菌剤、殺菌剤、静菌剤又は抗生物質)が単独で又は、結晶モノグリセリドとタンパク質/ペプチド活性成分(例えば、全長型HGFもしくはdHGF(5アミノ酸欠損型HGF)又はそれらのバリアント(例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4又はdNK4))と共に製剤に添加される。
【0047】
結晶モノグリセリド(好ましくは、β−結晶モノグリセリド)を含む製剤に抗病原菌化合物を含ませることにより、相乗的に病原体を抑制、減少又は処置できる。すなわち、いくつかの実施態様において、抗病原菌化合物を結晶モノグリセリド(好ましくは、β−結晶モノグリセリド)と共に適用すると、相乗的に、病原体(例えば、細菌又は菌類)の増殖を抑制することが期待される。また、いくつかの実施態様で、抗病原菌剤、結晶モノグリセリド(好ましくは、β−結晶モノグリセリド)、及びタンパク質(例えば、全長型HGFもしくはdHGF(5アミノ酸欠損型HGF)又はそれらのバリアント(例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4又はdNK4))を含む製剤は、タンパク質/ペプチドを単独で含む製剤、又はタンパク質/ペプチドを結晶モノグリセリド(好ましくは、β−結晶モノグリセリド)と共に、もしくは抗菌化合物と共に含む製剤よりも、症状(例えば、皮膚潰瘍のような皮膚疾患)をより改善させ、好転させ、又は治療することが期待される。ここに述べられるように、特定の結晶モノグリセリド(好ましくは、β−結晶モノグリセリド)と、ある特定の化学物質群の組み合わせは抗菌性に関して相乗効果をもたらす(米国特許番号:5,550,145号参照、参照によりすべてが本明細書に組み込まれる)。以下に限定されないが、ラウリン酸、ミリスチン酸又はこれらのモノグリセリドの混合物を含む結晶モノグリセリド(好ましくは、β−結晶モノグリセリド)と、
i)アミド型局所麻酔薬、
ii)カルバミド、
iii)抗菌物質、抗細菌物質もしくは抗真菌物質、イミダゾール誘導体又はニトロイミダゾール誘導体、及び
iv)炭素数3〜6を有するジオール、
から選択される少なくとも1種の化学物質とを抗菌効果のある量で組み合わせることは、抗菌性を付与する上で有効である。
【0048】
ここに記載された製剤又は方法に使用できる特に好ましいアミド型局所麻酔薬は、以下に限定されないが、リドカイン、プリロカイン、メピバカイン、シンコカイン、ブピバカイン、プロカイン、ジブカイン、テトラカイン、オキシブプロカイン、オキセサゼイン及びエチドカインを含む。ブピバカインは、ここに記載された製剤及び方法で使用する前記局所麻酔薬の中で特に好ましい物質である。
【0049】
局所麻酔薬に加えて、又は局所麻酔薬に代えて、カルバミド化合物、スルファグアニジン、スルファニリル尿素、尿素誘導体、フシジン酸、セファロスポリンPも、ここに記載された1以上の製剤又は方法に使用できる。硝酸エコナゾール、硝酸ミコナゾール、ビホナゾール及びクロトリマゾールを含むイミダゾール誘導体もまた、ここに記載された1以上の製剤又は方法に使用できる。チニダゾールやメトロニダゾールを含むニトロイミダゾール化合物のような抗病原菌物質もまた、ここに記載された1以上の製剤又は方法に使用できる。炭素数3〜6のジオール化合物は、以下に限定されないが、例えば、プロパンジオール(例えば、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3プロパンジオール)、ブタンジオール(例えば. 1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール(ブチレングリコール)1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール)、ペンタンジオール(例えば、1,2−ペンタンジオール(ペンチレングリコール)、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール)及びヘキサンジオール(例えば、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、及び2,5−ヘキサンジオール、ヘキサメチレンジオール、1 ,2−シクロヘキサンジオール、1 ,4−シクロヘキサンジオール)を含み、これらもここに記載された1以上の製剤又は方法に使用できる。
【0050】
いくつかの実施態様において、製造方法は、液体吸収能を有する、活性成分又は送達薬(例えば、全長型HGFもしくはdHGF(5アミノ酸欠損型HGF)又はそれらのバリアント(例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4又はdNK4))を含む乾燥粉末を製造するように設計されている。この乾燥粉末は、水又は適切な緩衝液に接触すると半固形になる能力を有する。前記製造方法は、成分の溶解又は分散を行う最初の工程と、その後の再構成に適した粒子の形成を伴う乾燥(液体の除去)の工程を含む。前記製造方法において、脂質の結晶構造が変わらない温度で脂質を保持することが重要である。例えば、製造中の温度は脂質の融点より低く、例えば、42℃を超えない。
【0051】
他の実施態様において、製造方法は、ゲル化剤(例えば、ナトロソール(登録商標);Natrosol)とモノグリセリドのみを含む乾燥粉末を製造するために実施され、この乾燥粉末を、活性成分又は送達薬(例えば、全長型HGFもしくはdHGF(5アミノ酸欠損型HGF)又はそれらのバリアント(例えば、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4又はdNK4))を含む水溶液(例えば、適切な緩衝液)によって再構成する。上記のように、前記製造方法は、結晶モノグリセリド(好ましくは、β−結晶モノグリセリド)とゲル化剤の溶解又は分散を行う最初の工程、及びその後の再構成に適した粒子の形成を伴う乾燥(液体の除去)の工程を含む。好ましくは、脂質の結晶構造が変化しないよう、35℃より低い温度が維持される。ゲル化剤と結晶モノグリセリド(好ましくは、β−結晶モノグリセリド)とを含む粉末の再構成を、これを必要とする対象に製品を提供する前に行ってもよく、再構成された物質を使用するまで、好ましくは室温未満の温度で保存してもよい。本発明の態様の実施例が以下に提供されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0052】
ここに記載された、いくつかの実施態様は、以下の配列を有する組換えヒト肝細胞増殖因子(rhHGF)を含む。
1 mwvtkllpal llqhvllhll llpiaipyae gqrkrrntih efkksakttl ikidpalkik
61 tkkvntadqc anrctrnkgl pftckafvfd karkqclwfp fnsmssgvkk efghefdlye
121 nkdyirncii gkgrsykgtv sitksgikcq pwssmipheh sflpssyrgk dlqenycrnp
181 rgeeggpwcf tsnpevryev cdipqcseve cmtcngesyr glmdhtesgk icqrwdhqtp
241 hrhkflpery pdkgfddnyc rnpdgqprpw cytldphtrw eycaiktcad ntmndtdvpl
301 etteciqgqg egyrgtvnti wngipcqrwd sqyphehdmt penfkckdlr enycrnpdgs
361 espwcfttdp nirvgycsqi pncdmshgqd cyrgngknym gnlsqtrsgl tcsmwdknme
421 dlhrhifwep dasklnenyc rnpdddahgp wcytgnplip wdycpisrce gdttptivnl
481 dhpviscakt kqlrvvngip trtnigwmvs lryrnkhicg gslikeswvl tarqcfpsrd
541 lkdyeawlgi hdvhgrgdek ckqvlnvsql vygpegsdlv lmklarpavl ddfvstidlp
601 nygctipekt scsvygwgyt glinydgllr vahlyimgne kcsqhhrgkv tlneseicag
661 aekigsgpce gdyggplvce qhkmrmvlgv ivpgrgcaip nrpgifvrva yyakwihkii
721 ltykvpqs (配列番号1)
【0053】
ここに記載された、多くの実施態様は、以下の配列を有するdHGFを含む。
1 mwvtkllpal llqhvllhll llpiaipyae gqrkrrntih efkksakttl ikidpalkik
61 tkkvntadqc anrctrnkgl pftckafvfd karkqclwfp fnsmssgvkk efghefdlye
121 nkdyirncii gkgrsykgtv sitksgikcq pwssmipheh syrgkdlqen ycrnprgeeg
181 gpwcftsnpe vryevcdipq csevecmtcn gesyrglmdh tesgkicqrw dhqtphrhkf
241 lperypdkgf ddnycrnpdg qprpwcytld phtrweycai ktcadntmnd tdvplettec
301 iqgqgegyrg tvntiwngip cqrwdsqyph ehdmtpenfk ckdlrenycr npdgsespwc
361 fttdpnirvg ycsqipncdm shgqdcyrgn gknymgnlsq trsgltcsmw dknmedlhrh
421 ifwepdaskl nenycrnpdd dahgpwcytg nplipwdycp isrcegdttp tivnldhpvi
481 scaktkqlrv vngiptrtni gwmvslryrn khicggslik eswvltarqc fpsrdlkdye
541 awlgihdvhg rgdekckqvl nvsqlvygpe gsdlvlmkla rpavlddfvs tidlpnygct
601 ipektscsvy gwgytgliny dgllrvahly imgnekcsqh hrgkvtlnes eicagaekig
661 sgpcegdygg plvceqhkmr mvlgvivpgr gcaipnrpgi fvrvayyakw ihkiiltykv
721 pqs (配列番号2)
【実施例2】
【0054】
dHGFを含む吸水性のある乾燥粉末を製造した。製造した組成物は、乾燥前、約2.5μgのdHGF、37.8 gのβ−結晶モノグリセリドである1−グリセロールモノラウレート、12.6 g のβ−結晶モノグリセリドである1−グリセロールモノミリステート、48gのヒドロキシエチルセルロース(例えば、ナトロソール(登録商標);Natrosol)、及び組成物を1200 mLにする水を含有していた。モノグリセリド(1−グリセロールモノラウレートと1−グリセロールモノミリステート)を、200gの水と混合し、70〜75℃に加熱して脂質混合物の水溶液を調製した。70〜75℃ で15分間混合した後、この脂質溶液を、β−結晶モノグリセリドを生成させるために、20℃〜30℃までゆっくり冷却した。残りの水分画は、ゲル形成化合物(ヒドロキシエチルセルロース(例えば、ナトロソール(登録商標);Natrosol))を溶解し、dHGFを分散させるために使用した。3つの混合物又は溶液を混合し、最終含水量が5%未満になるまで噴霧乾燥(例えば、底部に液体窒素の層がある容器中で冷凍)した。生成物の凍結粒子を集めて、水分が5%未満になるまで凍結乾燥した。
【実施例3】
【0055】
他の実施態様において、ゲル化剤とモノグリセリドのみを有する乾燥粉末を製造し、この乾燥粉末を、dHGFを含む溶液(例えば、適切な緩衝液)により再構成する。製造した組成物は、乾燥前、約37.8gの1−グリセロールモノラウレート、12.6gの1−グリセロールモノミリステート、48gのヒドロキシエチルセルロース(例えば、ナトロソール(登録商標);Natrosol)、及び組成物を1200 mLにする水を含む。
モノグリセリド(1−グリセロールモノラウレート と1−グリセロールモノミリステート)を、200gの水と混合し、70〜75℃に加熱して脂質混合物を調製する。70〜75 ℃で15分間混合した後、この脂質溶液を、β−結晶モノグリセリドを生成させるために、20℃〜30℃までゆっくり冷却する。残りの水分画は、ヒドロキシエチルセルロース(例えば、ナトロソール(登録商標);Natrosol)を溶解するために使用する。次いで、二つの混合物又は溶液(例えば、モノグリセリドの混合物と、ヒドロキシエチルセルロースの混合物)を混合し、最終含水量が5%未満になるまで噴霧乾燥(例えば、底部に液体窒素の層がある容器中で冷凍)する。生成物の凍結粒子を集めて、水分が5%未満になるまで凍結乾燥する。凍結乾燥した粉末は、次にdHGFを含む溶液(例えば、約 2.5 μgのdHGFを含む適切な緩衝液)によって再構成できる。再構成された製品は、創傷のための即時使用可能な局所適用ゲルを形成する。
【実施例4】
【0056】
この実験において、様々なモノグリセリド製剤の結晶化度を、示差走査熱量測定(DSC)を使用して製剤を加熱する際のエネルギー必要量を分析することによって測定した。β−結晶モノグリセリドと水を含むクリーム(AaLL07001(表1参照))の結晶化度を、実施例2に記載の通りに製造してDSC分析前に再構成した粉末(AaLL07005A及びAaLL07005F(表2参照))と比較した。AaLL07005C粉末は、再構成せずコントロールとした。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
AaLL07001クリームを緩衝液を用いて製造した。製造容器に水を加え、塩酸ブピバカインと塩化ナトリウムを添加してpHを約5に調整した。水相を、機械的に攪拌しながら75℃まで加熱した後、脂質を添加した。この混合物を15分間、75℃に保った後、攪拌しながら、温度を比較的速く35℃まで低下させた。この製剤を、その後、結晶化が起こる間(クリームが、光沢と高い粘性をもつまで)、約15分間この温度で維持した。その後ゆっくり攪拌しながら温度を室温まで低下させた。
【0060】
クリームの形状になった結晶モノグリセリドと、アルギン酸塩の乾燥粒子を攪拌によって混合した。凍結乾燥に供する混合物は液体であることが必要なため、追加の水を加えた。この混合物を、その後、液体窒素中で噴霧凍結した。噴霧ガスとして、二酸化炭素ガスを使用した。窒素は−34℃で、3時間蒸発させた。合計21時間かけて、混合物を凍結乾燥した。
【0061】
その後、その生成物と原材料の融解挙動を下記プログラム:
5分間で−35℃まで冷却
−35℃から80℃ まで、1分間に10℃(10℃/min)の速度で加熱
を使用して、DSC(パーキン・エルマーDSC 7)で分析した。
【0062】
再構成した粉末(AaLL07005A及びAaLL07005F)と、クリーム(AaLL07001)の融点は、約35 ℃で、エネルギー必要量のピークに達した。これは良く知られている水中でのβ−結晶モノグリセリドの融点と一致する(図1参照)。再構成していない粉末の融点は、50℃を超え、乾燥モノグリセリドの融点と一致する。これらのデータは、クリームの製造中に形成されたβ−結晶の結晶が乾燥過程に耐え、水との接触により再形成されたことを示す。
【実施例5】
【0063】
実施例2で記載した方法に従って調製されたdHGF粉末製剤を、希釈緩衝液で5倍に希釈して、dHGFの有無及び/又は回収率を、市販のキットを使用してELISA分析によって調べた。その結果、この調製方法により、加えたdHGFの回収率が90%を超えることが示された。
【実施例6】
【0064】
その後、dHGF製剤の安定性に対する様々なモノグリセリドの効果を分析した。この実験において、dHGFとβ−結晶モノグリセリドとを含む組成物の安定性を、dHGFとα−結晶モノグリセリドとを含む組成物、及びdHGFと非結晶の材料とを含む組成物の安定性と比較した。
【0065】
以下の組成物を製造した:
製剤 6 A *
1−グリセロールモノラウレート 12.6 g
1−グリセロールモノミリステート 38.4
水 149 g
*この組成物は、DSC分析によれば、約80%のβ−結晶を含む。
【0066】
製剤 6 B**
1−グリセロールモノステアレート 40 g
ポリエチレンステアレート(Myrj 62) 4 g
水 156 g
**この組成物は、約70%のα結晶を含む。
【0067】
製剤 6 C***
1−グリセロールモノラウレート 40 g
水 160 g
***この組成物は、非結晶である。
【0068】
各製剤を75℃まで加熱して15分間攪拌した後、モノグリセリド結晶を形成するために、20分間に亘ってゆっくり、室温(20℃)まで冷却した。製剤 6A及び 6Bは、オフホワイト色のクリームであった。一方、製剤6Cは、半透明で上澄水を含んでいた。結晶構造は、顕微鏡による評価により確認した。
【0069】
次いで、約10.0gの製剤6A、6B及び6Cをそれぞれ、dHGFを含む緩衝液で1:3に希釈し、10mlの試験管に入れて2〜8℃及び室温(約20℃)で保存した。製造後及び保存7日後にサンプルを一部抜き取って凍結した。dHGFの安定性は酵素免疫吸着測定法(Elisa;Bブリッジ)によって評価した。その結果を表3に示す。
【0070】
【表3】

【0071】
これらの結果は、結晶モノグリセリド(特に、β−結晶モノグリセリド)が、タンパク質やペプチド含有製剤(特に、dHGF含有製剤)の安定性と保存性を大幅に改善し、その結果、局所適用に対して選択的に標的部位へ特定量のタンパク質を投薬及び/又は送達する能力を向上させる、という強い証拠を提供した。上皮細胞の増殖及び分散など、タンパク質に対して起こる多くの生体反応は、タンパク質の局在量によって厳密に調節されているので、この発見は、HGF及びそのバリアント(例えば、dHGF)のような分子にとっては特に重要である。
【実施例7】
【0072】
実験的に創傷を誘発させたゲッティンゲンSPF(特定病原体フリー)ミニブタを用いた前臨床研究で、2つの異なる局所用HGF 製剤を評価した。各製剤を、人工的な創傷を受けた4匹の雌ゲッティンゲンSPFミニブタに適用し、各創傷の治癒の程度を経時的にモニタリング/測定して評価した。
【0073】
馴化期間後、動物の体重は約31.1−37.7kgであった。到着時に、全ての動物に、エンテリゾール(登録商標)・イリアイティス・ベト(Enterisol Ileitis vet;ベーリンガー・インゲルハイム)を経口投与(2.0ml/動物)して、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)に対するワクチン接種を施した。3週間の治療前期間(5日間の馴化期間を含む)が設けられ、その間、健康状態の悪い動物を除外するために、動物を毎日観察した。Nayeriの米国特許出願番号10/398,304に記載の通りに調製された第1のdHGF製剤(「標準組成物」)は、20.9ng/mlのdHGF、アルブミン、ヘパリン、及び希釈緩衝液を含む(以下を参照)。
【0074】
標準dHGF組成物:
処置1: dHGF 20.9 ng/ml
処置2: dHGF プラセボ(コントロール)
実施例2に記載の通りに調製された、本発明に関する安定化された製剤は、10ng/mlのdHGFを含む(以下を参照)。
【0075】
安定化されたdHGF組成物
処置3: dHGF 10ng/ml
処置4: dHGF プラセボ(コントロール)
dHGF製品を適用する前に、周囲の皮膚を滅菌水で洗浄し、また、必要ならば、剃毛した。さらに前日に投与した被験物質が残存している場合は、滅菌ガーゼと、必要ならば滅菌水を用いて、やさしく除去した。
【0076】
標準dHGF組成物の試験に関して、20.9 ng/mlの標準組成物を、ミニブタの円形全層創傷(直径20mm)に、創傷直後と、その後14日間毎日、局所的に塗布した。この処置後、コントロール処置した創傷(プラセボ)と比較したが、創傷治癒過程に対する副作用は観察されなかった。創傷治癒においてわずかな改善が観察された(表4を参照)。
【0077】
安定化したdHGF製剤に関して、劇的な結果が得られた(表4を参照)。dHGF 10ng/ml 製剤で治療した全ての創傷において、治癒過程が促進された(全ての創傷における、良好に組織化された肉芽組織の存在(全ての創傷で広範囲と評価)によって特徴づけられる)。再上皮化は、低用量(10ng/ml)群で創傷の14/24において広範囲と評価され、プラセボ群(コントロール群の3/24)より、有意に高かった。
【0078】
【表4】

【0079】
従って、この実験は、標準HGF製剤と異なり、安定化させたdHGF製剤が、再上皮化においてプラセボより有意に効果的であることを示した。さらに、その結果は、安定化されたdHGF製剤が創傷閉鎖においてプラセボや標準製剤以上の改善効果を有することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物活性を有するタンパク質又はペプチド;及び、
20℃以上の融点を有する少なくとも1種のモノグリセリドを含有する安定化されたタンパク質組成物。
【請求項2】
前記タンパク質が天然型の肝細胞増殖因子(HGF)の組換え体である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記天然型HGFの組換え体が、5アミノ酸欠損HGF(5dHGF)である、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記天然型HGFの組換え体が、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4又はdNK4からなるグループから選択される、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
前記モノグリセリドが25℃以上の融点を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記モノグリセリドが30℃以上の融点を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記モノグリセリドが35℃以上の融点を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種のモノグリセリドに加えて抗病原菌剤をさらに含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記抗病原菌化合物がアミド型局所麻酔薬、カルバミド、イミダゾール誘導体、ニトロイミダゾール誘導体、及び炭素数3〜6のジオールからなるグループから選択される、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記抗病原菌剤がブピバカインである、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
さらに増粘剤を含有する、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記増粘剤がヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E464)、及びヒドロキシエチルメチルセルロースからなるグループから選択されるセルロース誘導体である、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1種のモノグリセリドが炭素数10、11、12、13、14、15、又は16の炭素鎖長を有する、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
炭素数10、11、12、13、14、15、又は16の炭素鎖長を有するβ−結晶モノグリセリドと共に製剤化されたdHGFを含み、前記dHGFの濃度が、50ng/ml以下である、安定化されたタンパク質組成物。
【請求項15】
前記製剤が、1−グリセロールモノラウレートもしくは1−グリセロールモノミリステート又はその両方を含む、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
さらに増粘剤を含有する、請求項14〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
さらに抗菌剤を含有する、請求項14〜16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
増粘剤がヒドロキシエチルセルロースであり、抗菌剤がブピバカインである、請求項17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
前記dHGFの濃度が、10ng/ml以下である、請求項14〜18のいずれかに記載の組成物。
【請求項20】
以下の工程を含む、請求項1〜19のいずれかに記載の組成物を製造する方法:
dHGFタンパク質と30℃を超える融点を有する少なくとも1種のモノグリセリドとを含む溶液を準備する工程;及び
モノグリセリドのβ−結晶構造を保持しながら前記溶液を乾燥して、乾燥顆粒を形成する工程。
【請求項21】
前記溶液がさらに増粘剤を含有する、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記増粘剤がヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E464)、及びヒドロキシエチルメチルセルロースからなるグループから選択されるセルロース誘導体である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1種のモノグリセリドが炭素数10、11、12、13、14、15、又は16の炭素鎖長を有する、請求項20〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記溶液が、さらに少なくとも1種の抗病原菌化合物を単独で又は前記少なくとも1種のモノグリセリドと共に含有する、請求項20〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記抗病原菌化合物がブピバカインである、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記抗病原菌化合物がアミド型局所麻酔薬、カルバミド、イミダゾール誘導体、ニトロイミダゾール誘導体、及び炭素数3〜6のジオールからなるグループから選択される、請求項24記載の方法。
【請求項27】
以下の工程を含む、請求項1〜19のいずれかに記載の組成物を製造する方法:
30℃を超える融点を有する少なくとも1種の結晶モノグリセリドと増粘剤とを含む溶液を準備する工程;
モノグリセリドのβ−結晶構造を保持しながら前記溶液を凍結噴霧乾燥して、乾燥顆粒を形成する工程;
天然型HGFタンパク質の組換え体を含有する液体を準備する工程;及び
前記少なくとも1種のモノグリセリドの結晶構造を保持する条件下で、前記少なくとも1種のモノグリセリド及び増粘剤を含む前記乾燥顆粒と、前記HGFタンパク質を含有する前記液体を混合する工程。
【請求項28】
前記天然型HGFタンパク質の組換え体がdHGFである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記増粘剤がヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(E464)、及びヒドロキシエチルメチルセルロースからなるグループから選択されるセルロース誘導体である、請求項27又は28記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1種のモノグリセリドが炭素数10、11、12、13、14、15、又は16の炭素鎖長を有する、請求項27〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記溶液が、さらに少なくとも1種の抗病原菌化合物を単独で又は前記少なくとも1種のモノグリセリドと共に含む、請求項27〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記抗病原菌化合物がブピバカインである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記抗病原菌化合物がアミド型局所麻酔薬、カルバミド、イミダゾール誘導体、ニトロイミダゾール誘導体、及び炭素数3〜6のジオールからなるグループから選択される、請求項31記載の方法。
【請求項34】
以下の工程を含む、患者の皮膚疾患を好転又は改善させるために請求項1〜19のいずれかに記載の組成物を使用する方法:
皮膚疾患を好転又は改善させる薬剤を必要とする患者を識別する工程;及び
前記患者に請求項1〜19のいずれかに記載の組成物を提供する工程。
【請求項35】
前記皮膚疾患が慢性糖尿病性皮膚潰瘍である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記皮膚疾患が裂傷である、請求項34記載の方法。
【請求項37】
前記皮膚疾患が創傷である、請求項34記載の方法。
【請求項38】
前記皮膚疾患がしみ(cosmetic blemishes)である、請求項34記載の方法。
【請求項39】
前記皮膚疾患が皮膚癌である、請求項34記載の方法。
【請求項40】
前記皮膚疾患が基底細胞癌である、請求項34記載の方法。
【請求項41】
さらに、皮膚疾患の好転又は改善の程度を測定することを含む、請求項34〜40のいずれか1項に記載の方法
【請求項42】
1−グリセロールモノラウレート及び1−グリセロールモノミリステートとともに製剤化されたHGF又はHGFバリアントタンパク質を含有する、安定化されたタンパク質。
【請求項43】
さらに増粘剤を含有する、請求項42記載の組成物。
【請求項44】
さらに抗病原菌剤を含有する、請求項43記載の組成物。
【請求項45】
増粘剤がヒドロキシエチルセルロースである、請求項43記載の組成物。
【請求項46】
抗病原菌剤がブピバカインである、請求項44記載の組成物。
【請求項47】
HGF又はHGFバリアントタンパク質がNK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4もしくはdNK4又は、前記HGFもしくはHGFバリアントタンパク質に対して、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性又は相同性を有するタンパク質からなるグループから選択される、請求項42〜46のいずれかに記載の組成物。
ただし、前記配列同一性又は相同性を有するタンパク質は前記HGF又はHGFバリアントタンパク質に起因する機能、例えば、cMet受容体との結合、上皮細胞増殖、細胞分散、細胞増殖誘導、上皮細胞増殖抑制、細胞分散抑制、又は細胞増殖抑制を有するものとする。
【請求項48】
1−グリセロールモノラウレート及び1−グリセロールモノミリステートとともに製剤化されたdHGFタンパク質を含有する安定化されたタンパク質。
【請求項49】
さらに増粘剤を含有する、請求項48記載の組成物。
【請求項50】
増粘剤がヒドロキシエチルセルロースである、請求項48記載の組成物。
【請求項51】
さらに抗病原菌剤を含有する、請求項48記載の組成物。
【請求項52】
抗病原菌剤がブピバカインである、請求項48記載の組成物。
【請求項53】
1−グリセロールモノラウレート及び1−グリセロールモノミリステートとともに製剤化されたHGF、NK1、dNK1、NK2、dNK2、NK3、dNK3、NK4又はdNK4を含有する安定化されたタンパク質。
【請求項54】
さらに増粘剤を含有する、請求項51記載の組成物。
【請求項55】
増粘剤がヒドロキシエチルセルロースである、請求項53記載の組成物。
【請求項56】
さらに抗病原菌剤を含有する、請求項53記載の組成物。
【請求項57】
抗病原菌剤がブピバカインである、請求項48記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2011−508770(P2011−508770A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541114(P2010−541114)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/IB2008/003954
【国際公開番号】WO2009/087485
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(502068908)クリングルファーマ株式会社 (16)
【Fターム(参考)】