説明

タービンエンジンにおける局部冷却強化を容易にするシステム及びタービンエンジン

【課題】ガスタービンエンジンの局部冷却強化を容易にするシステムを提供する。
【解決手段】タービンノズルセグメントは、内側バンドと後方フランジおよび半径方向内側表面を包含する外側バンドとの間に延在するエアフォイル翼形部を包含する。タービンノズルセグメントから下流にタービンシュラウドセグメントを結合し、タービンシュラウドセグメントは、前縁および半径方向内側表面を包含する。冷却流体供給源をタービンノズルセグメントに流体連通させて結合し、タービンノズル外側バンド後方フランジに対して流路指定される冷却流体がタービンシュラウドセグメントの前縁に向かって傾斜吐出角度で案内され、大きい総計横断面積を有する冷却開口の第1グループおよび小さい総計横断面積を有する冷却開口の第2グループを介して冷却流体を流路指定し、タービンシュラウドの優先冷却を容易にすることを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ねガスタービンエンジンに関し、より詳細には、一体的なタービンノズルおよびシュラウドアセンブリを冷却する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンの効率を高める1つの既知のアプローチは、タービン作動温度を上昇させることを要求する。しかし、作動温度が高くなれば、所定のエンジンコンポーネントの熱限界が超過され得ることになり、結果として運転寿命の減少および/または重大な故障を引き起こす。更に、各コンポーネントの増大する熱膨張および熱収縮は、コンポーネントのクリアランスおよび/またはコンポーネントの相互嵌合い関係に悪影響を与え得る。従って、そのようなコンポーネントの冷却を容易にして、高い作動温度に曝されるときの潜在的に有害な結果を回避するために、ガスタービンエンジンには従来的な冷却システムが組み込まれていた。
【0003】
主要な空気流から、すなわち圧縮機からの空気を冷却目的のために抽出することは周知である。エンジン作動の効率を維持することを容易にするために、抽出される冷却空気量は、典型的には、全体の主要空気流の僅かなパーセントに限定されている。それ故、これは、冷却空気が安全限度の範囲内で各コンポーネントの温度を維持することを容易にするために最大の効率で利用されることを要求する。
【0004】
例えば、高温に曝される1つのコンポーネントは、燃焼器から延在する高圧タービンノズルの直下流に位置するシュラウドアセンブリである。シュラウドアセンブリは、高圧タービンのロータの回りに周方向に延在し、その結果、高圧タービンを貫通して流れる主要なガス流の外側境界線(流路)の一部を形成する。ガスタービンエンジンの効率は、タービンブレードの半径方向外側表面とシュラウドアセンブリの半径方向内側表面の間において計測されるタービンブレードの先端クリアランスの変動によって悪影響を受け得る。過渡的なエンジン作動中、タービンブレードの先端クリアランスは、タービンロータブレードとシュラウドアセンブリの半径方向変位における差の関数である。タービンロータは、典型的には静止的なシュラウドシステムより大きい質量を有するものであり、結果として、タービン作動中、タービンロータは、典型的にはシュラウドアセンブリより遅い熱応答性を有する。ロータブレードの半径方向変位とシュラウドアセンブリの半径方向変位における差が余りに大きいとき、ブレードの先端クリアランスは、増大して、エンジン効率を低下させる結果を生じ得る。
【0005】
更にまた、エンジン作動中には、ギャップが、高圧タービンノズル外側バンドの後縁と隣接シュラウドセグメントの前縁の間に形成され得る。ノズル漏出および/またはパージ流をも包含するが、これに限定されるものでない冷却空気は、そのギャップに進入し、高圧タービンを貫通して流路指定される主要なガス流の中に流入する。冷却空気は、概ね、シュラウド前縁前方圧力面に向かって案内される外側バンド後縁の中に位置決めされる1列の軸方向整列冷却孔によって提供され、端面の冷却およびギャップのパージを容易にする。既知のノズル外側バンド後縁およびシュラウド前縁が単純な90°の角度を有するので、ギャップは、主要なガス流の中に直接に開口する。エンジン作動中、主要なガス流がノズル翼形部を貫通して流れるので、周方向ガス圧の変動が翼形部後縁の下流に形成され得る。この周方向ガス圧の変動は、外側バンドとシュラウドセグメントの間におけるギャップの中に局所的な高温ガスの吸込みを引き起こすかもしれない。結果として、ギャップを介して流れる冷却空気は、下流のシュラウドセグメントを効果的には冷却しないこともあり得る。
【特許文献1】米国特許第6,984,100号
【特許文献2】米国特許第6,779,597号
【特許文献3】米国特許第6,485,255号
【特許文献4】米国特許第6,431,832号
【特許文献5】米国特許第6,431,820号
【特許文献6】米国特許第4,398,488号
【特許文献7】米国特許第6,354,795号
【特許文献8】米国特許第6,340,285号
【特許文献9】米国特許第5,511,945号
【特許文献10】米国特許第5,217,348号
【特許文献11】米国特許第4,949,545号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を解決することを目的の一つとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
1つの態様では、エンジンアセンブリを提供する。エンジンアセンブリは、内側バンドと後方フランジおよび半径方向内側表面を包含する外側バンドとを包含するノズルアセンブリを包含する。後方フランジは、より大きい総計横断面積を有する冷却開口の第1グループと、より小さい総計横断面積を有する冷却開口の第2グループとを包含する。冷却開口は、そこからの冷却流体を傾斜吐出角度で案内すべく構成される。当該アセンブリは、内側バンドと外側バンドの間に延在する少なくとも1つのエアフォイル翼形部をも包含する。
【0008】
もう1つの態様では、ガスタービンエンジンが開示される。ガスタービンエンジンは、内側バンドと、外側バンドと、内側バンドと外側バンドの間に延在する少なくとも1つのエアフォイル翼形部とを包含するノズルアセンブリを包含する。外側バンドは、後方フランジおよび半径方向内側表面を包含する。後方フランジは、より大きい総計横断面積を有する冷却開口の第1グループと、より小さい総計横断面積を有する冷却開口の第2グループとを包含する。冷却開口は、そこからの冷却流体を傾斜吐出角度で案内すべく構成される。
【0009】
またここでは、ガスタービンエンジンを組み立てる方法を開示する。この方法は、少なくとも1つのタービンノズルセグメントをガスタービンエンジンの中に結合させることを包含する。少なくとも1つのタービンノズルセグメントは、内側バンドと後方フランジおよび半径方向内側表面を包含する外側バンドとの間に延在する少なくとも1つのエアフォイル翼形部を包含する。更に、当該方法は、少なくとも1つのタービンノズルセグメントから下流の少なくとも1つのタービンシュラウドセグメントを結合することを包含し、少なくとも1つのタービンシュラウドセグメントは、前縁および半径方向内側表面を包含する。当該方法は、冷却流体供給源を少なくとも1つのタービンノズルセグメントに流体連通させて結合し、各々のタービンノズル外側バンド後方フランジに対して流路指定される冷却流体が少なくとも1つのタービンシュラウドセグメントの前縁に向かって傾斜吐出角度で案内されることを包含し、より大きい総計横断面積を有する冷却開口の少なくとも1つの第1グループおよびより小さい総計横断面積を有する冷却開口の第2グループを介して冷却流体を流路指定し、タービンシュラウドの優先冷却を容易にすることをも包含する。
【0010】
本発明は、高圧タービンノズルの後縁と隣接シュラウドセグメントの前縁との間に形成されるギャップの中に対する高温ガスの吸込みを最小限にするタービンシュラウド冷却システムを提供する。このタービンシュラウド冷却システムは、高圧タービンを貫通して流れる高温ガス流路と、タービンノズルおよびシュラウドセグメントの間に形成されるギャップを介して流れる冷却空気との間に障壁を形成することを容易にする。
【0011】
本発明は航空機ガスタービンのシュラウドアセンブリを冷却することに関連するその用途を参照して以下に説明されるが、本文における教示内容によって案内されるように適切な修正を加えれば、本発明の冷却システムまたはアセンブリは、それに限定されることなく、ノズルおよび/または翼形部のセクションのようなその他のタービンエンジンのコンポーネントを冷却することを容易にするためにも適当であり得ることが当業者にとっては明白であろう。
【0012】
図1は、シュラウドアセンブリを貫通する高圧冷却空気流を概略的に示す例示的なシュラウドアセンブリの側面図である。図2は、シュラウドアセンブリを貫通する高圧冷却空気流を概略的に示す代替的なシュラウドアセンブリの側面図である。過渡的なエンジン作動中におけるシュラウドアセンブリの熱応答性および/またはシュラウドアセンブリの変位を制御することを容易にするために、例示的な実施例では、タービンエンジン冷却アセンブリ108は、ガスタービンエンジンの高圧タービンセクション112および低圧タービンセクション114のためのものとして、参照番号110で概略的に示されるシュラウドアセンブリを包含する。タービンエンジン冷却アセンブリ108は、それに限定されることなく、ノズルセクションおよび/または翼形部セクションのようなガスタービンエンジンのその他のセクションを冷却することを容易にするためにも適当であり得ることが当業者にとっては明白であろう。
【0013】
シュラウドアセンブリ110は、シュラウドセグメント130の形態をとるタービンエンジン冷却コンポーネントを包含する。各々のシュラウドセグメント130は、シュラウドセグメント130の周方向前縁133における前方装着フック132を包含する。シュラウドセグメント130は、更に、中央セクション装着フック134と、シュラウドセグメント130の周方向後縁137に隣接する後方装着フック136とを包含する。
【0014】
複数のシュラウドセグメント130は、概ね既知の様式で周方向に配置され、環状セグメント式シュラウドを形成する。シュラウドセグメント130は、高圧タービンブレード(図示せず)とシュラウドセグメント130の高圧タービンセクションの半径方向内側表面138との間において、且つ低圧タービンブレード(図示せず)とシュラウドセグメント130の低圧タービンセクションの半径方向内側表面140との間において環状クリアランスを形成する。複数のセグメント式シュラウドのサポート144は、シュラウドセグメント130を相互接続する。各々のシュラウドサポート144は、周方向にまたがって、隣接シュラウドセグメント130を支持する。代替的な実施例では、シュラウドサポート144は、2つのシュラウドセグメント130より少ないかまたはそれより多いシュラウドセグメント130の任意の適当な個数を支持すべく修正される。例示的な実施例では、シュラウドアセンブリ110は、26個のシュラウドセグメント130と、13個のシュラウドサポート144とを包含するが、代替的な実施例では、シュラウドセグメント130および/またはシュラウドサポート144の任意の適当な個数が利用されても良い。
【0015】
各々のシュラウドサポート144は、それぞれの前方突出ハンガー152,154および156を形成する前方セクション146、中央セクション148および後方セクション150を包含する。装着フック132,134および136は、それぞれに、溝内舌状部またはハンガー内フックの相互接続において協働ハンガー152,154および156によって受容され、シュラウドサポート144がそれぞれのシュラウドセグメント130を支持する。
【0016】
シュラウドアセンブリ110は、シュラウドサポート144を支持する環状シュラウドリング構造158を包含する。1つの実施例では、シュラウドリング構造158は、単片式の連続的な環状シュラウドリング構造である。各々のシュラウドサポート144の半径方向位置は、各々のシュラウドセグメント130のものと同様に、シュラウドリング構造158上に形成される2つのみの環状位置制御リング162および164によって厳密に制御される。従来のシュラウドリング構造とは対照的に、シュラウドアセンブリ110の重量を削減し或いは制限することを容易にするために、シュラウドリング構造158は、2つのみの位置制御リング162および164を包含する。中央セクション位置制御リング162は、サポート構造中央セクション148によって形成される後方突出装着フック167を第1の周方向の溝内舌状部またはハンガー内フックの相互接続において受容しおよび/またはそれと協働する軸方向前方突出装着ハンガー166を包含する。後方位置制御リング164は、サポート構造後方セクション150の後方突出装着フック169を第2の周方向の溝内舌状部またはハンガー内フックの相互接続において受容しおよび/またはそれと共に協働する軸方向前方突出装着ハンガー168を包含する。
【0017】
例示的な実施例では、ハンガー166および/または168は、それぞれのハンガー154およびハンガー156に対して真直に軸方向に整列していて、すなわち同じ半径方向平面に概ね整列配置されていて、シュラウドサポート144に対して提供され、結果として対応するシュラウドセグメント130に対しても提供される半径方向サポートおよび/または半径方向位置制御を最大化することを容易にする。この整列方向付けは、シュラウドサポートアセンブリ全体の剛性を高めることを容易にする。代替的な実施例では、図2に示すように、ハンガー166および/またはハンガー168は、それぞれのハンガー154およびハンガー156に対してオフセットして軸方向に整列していて、すなわち同じ半径方向平面の中には概ね整列配置されていない。例示的な実施例では、シュラウドリング構造158は、シュラウドリング構造158の後方端部において燃焼器ケース(図示せず)に対してボルト留めされる。シュラウドリング構造158は、燃焼器ケースのインターフェースにおいて前縁133から離して片持ちにされる。それ故、中央セクション位置制御リング162は、燃焼器後方フランジ(図示せず)から数インチ離して位置決めされ、結果として、燃焼器ケース内の半径方向の撓みにおける如何なる不均一な周方向の変動からも隔離される。
【0018】
例示的な実施例では、高圧冷却空気170は、シュラウドアセンブリ110の上流に位置決めされる圧縮機(図示せず)から抽出される。圧縮機から抽出される高圧冷却空気170の第1部分171は、高圧タービンセクション112を冷却することを容易にする。圧縮機から抽出される高圧冷却空気170の第2部分172は、低圧タービンセクション114を冷却することを容易にする。更に図1を参照すれば、第1部分171および第2部分172に対応する方向矢印は、高圧タービンセクション活性対流冷却ゾーン173を貫通する高圧冷却空気170の第1部分171の流路の少なくとも一部と、低圧タービン活性対流冷却ゾーン186(以下に説明する)を貫通する高圧冷却空気170の第2部分172とをそれぞれに示している。
【0019】
この実施例では、高圧冷却空気170の第1部分171は、第1の活性対流冷却ゾーンまたは高圧タービンセクションの活性対流冷却ゾーン173の中に流量調節される。より詳細には、高圧冷却空気170の第1部分171は、シュラウドサポート144の中に形成される少なくとも1つの高圧タービンセクション(HPTS)供給孔174を介して流量調節される。高圧冷却空気170の第1部分171は、高圧タービンセクション活性対流冷却ゾーン173の中に位置決めされる受け皿形状のHPTS衝突バッフル175に衝突する。バッフル175は、シュラウドサポート144に結合し、その結果として、上側HPTS空洞またはプレナム176を少なくとも部分的に形成する。高圧冷却空気170の第1部分171は、その後、シュラウドセグメント130の中に形成される下側HPTS空洞またはプレナム178の中への冷却空気として、衝突バッフル175の中に形成される複数の穿孔177を介して流量調節され、その冷却空気は、シュラウドセグメント130の裏面179に衝突する。消費された衝突冷却空気180のような高圧冷却空気の一部は、高圧タービンノズル外側バンド183とシュラウドセグメント前縁133の間に形成されるギャップ182をパージすることを容易にすべく構成されるシュラウドセグメント前縁133において或いはその近傍において形成される複数の前方方向付け冷却開口181を介してプレナム178から出て行く。高圧冷却空気の一部184は、シュラウドセグメント130の中に形成される複数の後方方向付け冷却開口185を介して流量調節され、内側表面138および/または140をフィルム冷却することを容易にする。冷却開口181から出て行く高圧冷却空気の消費された衝突冷却空気180は、前縁133におけるシュラウドアセンブリ110の中への高温ガスの噴射または再循環を防止し或いは制限することを容易にする。
【0020】
圧縮機から抽出される高圧冷却空気170の第2部分172は、低圧タービンセクション114を冷却することを容易にする。この実施例では、高圧冷却空気170の第2部分172は、第2の活性対流冷却ゾーンまたは低圧タービンセクションの活性対流冷却ゾーン186の中に流量調節される。より詳細には、高圧冷却空気170の第2部分172は、シュラウドサポート144の中に形成される少なくとも1つの低圧タービン供給孔187を介して流量調節される。高圧冷却空気170の第2部分172は、低圧タービンセクション活性対流冷却ゾーン186の中に位置決めされる受け皿形状の低圧タービンセクション衝突バッフル188に衝突する。バッフル188は、シュラウドサポート144に結合し、その結果として、上側LPTS空洞またはプレナム189を少なくとも部分的に形成する。高圧冷却空気170の第2部分172は、その後、衝突バッフル188の中に形成される穿孔190を介して且つ下側LPTS空洞またはプレナム191の中に流量調節され、その高圧冷却空気は、シュラウドセグメント130の裏面192に衝突する。冷却空気193は、シュラウドセグメント130を貫通して形成される複数の後方方向付け冷却開口194を介してプレナム191から出て行き、シュラウドセグメント130下流の後縁137の半径方向内側表面140をフィルム冷却することを容易にする。
【0021】
図1に示すように、高圧冷却空気170は、先ず初めに、高圧タービンノズル外側バンド183と中央セクション位置制御リング162を形成するシュラウドリング構造158の部分との間に少なくとも部分的に形成されるダクト204の中に案内される。高圧冷却空気170は、高圧冷却空気170がダクト204を介して案内されるとき、ダクト204の中において第1部分171および第2部分172に分離される。高圧冷却空気170の第1部分171は、HPTS供給孔174を介して活性対流冷却ゾーン173およびプレナム178の中に流量調節され、高圧タービンセクション112における衝突冷却を容易にする。消費された衝突冷却空気180は、シュラウドセグメント130から、シュラウドセグメント前縁冷却開口181を介して出て行き、高圧タービンノズル外側バンド183とシュラウドセグメント130の間に形成されるギャップ182をパージすることを容易にし、および/または、高圧タービンセクション112の後端205に形成される冷却開口185を介して出て行き、シュラウドセグメント130の内側表面138および/または140をフィルム冷却することを容易にする。
【0022】
高圧冷却空気170の第2部分172は、シュラウドサポート144とシュラウドセグメント130の間において且つ中央セクション位置制御リング162と後方位置制御リング164の間において少なくとも部分的に形成される第2活性対流冷却ゾーン186の中に案内される。高圧冷却空気170の第2部分172は、低圧タービンセクション114を冷却することを容易にする。1つの実施例では、高圧冷却空気170の第2部分172は、シュラウドサポート144の中に形成される複数の低圧タービン供給孔187を介して流量調節される。より詳細には、高圧冷却空気170の第2部分172は、活性対流冷却ゾーン186の中へ直接に流量調節され、低圧タービンセクション114の中におけるシュラウドセグメント衝突冷却を容易にし、冷却空気は、シュラウドサポート144とシュラウドリング構造158の間において且つ中央セクション位置制御リング162と後方位置制御リング164の間において不活性対流冷却ゾーン211を形成する第3領域210を迂回する。消費された衝突冷却空気は、シュラウドセグメント130の後縁137において或いはその近傍において形成される冷却開口194を介して、シュラウドセグメント130から出て行く。
【0023】
図1に示された流路の中において、高圧タービンセクション活性対流冷却ゾーン173および/または低圧タービンセクション活性対流冷却ゾーン186は、直接且つ積極的に冷却される。低圧タービンセクション不活性対流冷却ゾーン211は、不活性であり、すなわち、高圧冷却空気は、不活性対流冷却ゾーン211を貫通しては全く流れない。その結果、過渡的なエンジン作動中に形成される周囲条件に対する不活性対流冷却ゾーン211の中における熱応答性は、低下しおよび/または遅延する。結果として、中央セクション位置制御リング162および/または後方位置制御リング164の過渡的な変位もまた、低下しおよび/または遅延する。
【0024】
図2に示すように、高圧冷却空気170は、高圧タービンノズル外側バンド183と中央セクション位置制御リング162を形成するシュラウドリング構造158との間において少なくとも部分的に形成される204ダクトの中に案内される。高圧冷却空気170は、第1部分171および第2部分172に分割される。高圧冷却空気170の第1部分171は、HPTS供給孔(各供給孔)174を介して、プレナム176およびプレナム178を少なくとも部分的に形成する高圧タービンセクション活性対流冷却ゾーン173の中において流量調節され、高圧タービンセクション112の中におけるシュラウドセグメント衝突冷却を容易にする。消費された衝突冷却空気180は、シュラウドセグメント130から、シュラウドセグメント前縁冷却開口181を介して出て行き、高圧タービンノズル外側バンド183とシュラウドセグメント130の間におけるギャップ182をパージすることを容易にし、および/または高圧タービンセクション112の後端205に形成される冷却開口185を介して出て行き、内側表面138および/または140をフィルム冷却することを容易にする。
【0025】
高圧冷却空気170の第2部分172は、シュラウドサポート144とシュラウドセグメント130の間において且つ中央セクション位置制御リング162と後方位置制御リング164の間において少なくとも部分的に形成される低圧タービンセクション第2活性対流冷却ゾーン186の中に案内され、低圧タービンセクション114を冷却することを容易にする。1つの実施例では、高圧冷却空気170の第2部分172は、シュラウドサポート144を貫通して形成される複数の低圧タービン供給孔187を介して流量調節される。高圧冷却空気170の第2部分172は、プレナム189およびプレナム191を少なくとも部分的に形成する低圧タービンセクション活性対流冷却ゾーン186の中に直接に流量調節され、低圧タービンセクション114におけるシュラウドセグメント衝突冷却を容易にする。消費された衝突冷却空気193は、シュラウドセグメント130の後縁137において或いはその近傍において形成される冷却開口194を介してシュラウドセグメント130から出て行く。
【0026】
図1および図2に示すように、シュラウド冷却アセンブリは、高圧冷却空気を、高圧タービンセクション活性対流冷却ゾーン173の中へ直接に、および/または、それぞれの供給孔(各供給孔)174および供給孔(各供給孔)187を介して、低圧タービンセクション対流冷却ゾーン186の中へ案内する。
【0027】
図1および図2に示すように、シュラウド冷却アセンブリでは、高圧冷却空気は、低圧タービンセクション不活性対流冷却ゾーン211を介しては流量調節されず、案内もされない。その結果、低圧タービンセクション不活性対流冷却ゾーン211を形成するコンポーネントは、従来的なシュラウド冷却アセンブリの中における活性対流冷却ゾーンを形成するコンポーネントよりも、過渡的なエンジン作動中における熱の状況および/または環境に対して比較的遅く反応する。この熱の状況および/または環境に対するより遅い反応は、中央セクション位置制御リング162および/または後方位置制御リング164の比較的遅い過渡的な変位を容易にする。
【0028】
その結果、低圧タービンセクションシュラウドリング構造をバイパスすることによって、図1および図2に示された高圧冷却空気流路は、過渡的なエンジン作動中における過渡的な熱応答性および/またはシュラウドセグメントの変位を削減しおよび/または遅延させることを容易にする。より遅い反応は、更に、改善されたブレード先端クリアランスおよびタービンエンジン効率をも容易にする。
【0029】
図3は、タービンノズルバンド183、ギャップ182およびシュラウドセグメント前縁133の拡大した概略的横断面図である。タービンノズル外側バンド183は、タービンノズルセグメント520の一部として包含される。タービンノズルセグメント520は、概ね、図4に示されるように複数の周方向離間エアフォイル翼形部510を包含する。翼形部510は、半径方向外側バンド183と半径方向内側バンド(図示せず)の間に延在する。例示的な実施例では、外側バンド183は、半径方向内側表面522及び後方フランジ504を包含する。後方フランジ504は、上流圧力面506、後縁500、および圧力面506から後縁500まで延在する複数の冷却開口508を包含する。冷却開口508は、冷却空気526をシュラウドセグメント前縁133に向かって流路指定することを容易にし、且つギャップ182の中に移動した移動性高温ガスをギャップ182からパージすることを容易にすべく方向付けされる。
【0030】
図4は、タービンノズル外側バンド183、外側バンド後方フランジ504、ギャップ182およびシュラウドアセンブリ前縁133の概略的平面図である。より詳細には、図4に示すように、後方フランジ冷却開口508は後方フランジ504を貫通して斜めに延在し、シュラウドセグメント前縁開口181はシュラウドセグメント前縁133を貫通して斜めに延在する。例示的な実施例では、各々のノズルセグメント520は、第1側壁512および第2側壁514を包含する少なくとも1つのエアフォイル翼形部510を包含する。例示的な実施例では、第1側壁512は、凸状であって、各々のエアフォイル翼形部510の吸込み側を形成し、第2側壁514は、凹状であって、各々のエアフォイル翼形部510の圧力側を形成する。側壁512および514は、前縁516において且つ各々のエアフォイル翼形部510の軸方向離間後縁518において互いに接合される。各々のエアフォイル後縁518は、各々のそれぞれのエアフォイル前縁516から翼弦方向且つ下流方向に離間される。第1および第2の側壁512および514は、それぞれ、半径方向内側バンド(図示せず)から半径方向外側バンド183までの範囲において、長手方向或いは半径方向外向きに延在する。
【0031】
各々の翼形部510は、前縁516から後縁518に向かうエアフォイル輪郭(図示せず)を有する。高温燃焼ガスがエアフォイル翼形部510の回りを流れると、側壁512に沿ったガスは加速してより低い静圧を形成し、側壁514に沿ったガスは減速してより高い静圧を形成する。エンジン作動中、高温燃焼ガスは、翼形部510とバンド183の間に流路指定され、側壁514から内側バンド(図示せず)および外側バンド183の表面上の側壁512に向かう1対の流路渦を形成する。その流路渦は、中間範囲のコア流からのより高温の燃焼ガスを内側バンド(図示せず)および外側バンド183に向かって導く。タービンノズル外側バンド後縁500には、周方向に沿った周期的な圧力変動が存在する。シュラウド前縁133における流路渦と周方向圧力変動の組合せは、シュラウド内側表面138上に展開する周方向の周期的且つ局所的な高温スポット550を結果として生じる。時間経過と共に、そのような高温スポット550は、エンジンアセンブリの全体的な性能を低下させ、および/またはエンジンの耐久性を低下させ得る。
【0032】
冷却開口508は、後縁500に対して外側バンド後方フランジ504において斜めに方向付けされ、開口508から吐出される冷却流は、概ね矢印Aによって示される回転の方向において吐出角度αで吐出される。例示的な実施例では、吐出角度αは、斜めであり、それ故、タービン112および114を貫通する燃焼器ガスの流れに対して平行ではない。より詳細には、全ての冷却開口508が、同じ吐出角度αで斜めに方向付けされる。代替的には、開口508の幾つかが、冷却開口508が本文において説明したように機能することを可能にする任意の吐出角度αで一様に斜めに方向付けされても良い。例示的な実施例では、各開口508が、外側バンド後縁500の全体にわたって周方向において等距離に離間される。更にまた、例示的な実施例では、開口508は、全てが同じ大きさに形成され且つ同様に斜めに方向付けされる。例示的な実施例に示された冷却開口508は、同じ大きさに形成されて、タービンノズル外側バンド183の後縁500の全体にわたって一様に離間されるが、代替的な実施例では、冷却開口508は、冷却開口508が本文において説明したように機能することを可能にする任意のサイズ、形状或いは方向付けを有しても良いと理解されるべきである。
【0033】
例示的な実施例では、冷却開口181は、シュラウドアセンブリ前縁133を貫通して延在し、ギャップ182の中心線555に対して計測される吐出角度βで冷却流体を吐出させるべく斜めに方向付けされる。例示的な実施例では、吐出角度βは斜めであり、それ故、開口181から吐出される流れはタービン112および114を貫通する燃焼ガスの流れに対して平行ではない。より詳細には、例示的な実施例では、冷却開口181は、矢印Aの方向において吐出角度βで一様に斜めに方向付けされる。代替的には、開口181の幾つかが、冷却開口181が本文において説明したように機能することを可能にする任意の吐出角度βで一様に斜めに方向付けされても良い。例示的な実施例では、各開口181が、シュラウドアセンブリ前縁133の全体にわたって周方向において等距離に離間される。更にまた、例示的な実施例では、開口181は、全てが同じ大きさに形成され且つ同様に方向付けされる。例示的な実施例に示された冷却開口181は、同じ大きさに形成されて、シュラウドアセンブリ110の前縁133の全体にわたって一様に離間されるが、代替的な実施例では、冷却開口181は、冷却開口181が本文において説明したように機能することを可能にする任意のサイズ、形状或いは方向付けを有しても良いと理解されるべきである。
【0034】
例示的な実施例では、冷却開口508は、それぞれ、ギャップ182を横断して位置する冷却開口181のそれぞれに対して実質的に整列配置される。冷却開口508は、例示的な実施例では、それぞれの冷却開口181に対して実質的に整列配置されるが、その他の実施例では、冷却開口508は、それぞれの冷却開口181に対して整列するようには要求されず、その代わりに、冷却開口508および181が本文において説明したように機能することを可能にするそれぞれの冷却開口181から任意の距離だけオフセットしていても良いと理解されるべきである。それに加えて、例示的な実施例では、吐出角度αおよびβが同じ大きさを有している。角度αおよびβは、例示的な実施例では同じ大きさを有するものとして説明されるが、その他の実施例では、冷却開口508および181がそれぞれの異なった角度αおよびβで方向付けされても良いと理解されるべきである。
【0035】
作動中、冷却開口508および181の傾斜方向付けは、冷却開口508および181を介して流路指定される空気に対して時計回り方向或いは接線方向の速度成分を付与する。その結果、冷却流のエネルギーは、整列していない冷却開口を介して冷却空気を迂回させる際に僅かなエネルギーしか失われないので、増強されることが容易になる。空気の時計回り方向の運動量は、ギャップ182内の圧力配分をバランスさせることを容易にし、ギャップ182の中への高温ガスの吸込みを低下させる。
【0036】
更にまた、タービンノズルアセンブリ520の回りにおける冷却開口508および181の傾斜方向付けおよび位置は、ギャップ182の中への高温ガスの吸込みを削減することを容易にし、前縁133から下流のシュラウド内側表面138の全体にわたるフィルム冷却を改善することをも容易にする。冷却開口508および181の方向付けおよび位置は、冷却開口508および181の長さを増大させることを容易にし、結果として、各々の外側バンド183およびシュラウドアセンブリ110の中における開口508および181の対流冷却能力を増大させる。
【0037】
図5は、冷却開口181および508の代替的な実施例を示している、タービンノズル外側バンド183、外側後方フランジ504、ギャップ182およびシュラウドアセンブリ前縁133の概略的な平面図である。図6は、冷却開口181および508のもう1つの代替的な実施例を示している、タービンノズル外側バンド183、外側後方フランジ504、ギャップ182およびシュラウドアセンブリ前縁133の概略的な平面図である。図7は、冷却開口181および508の更にもう1つの代替的な実施例を示している、タービンノズル外側バンド183、外側後方フランジ504、ギャップ182およびシュラウドアセンブリ前縁133の概略的な平面図である。図5、図6および図7に示されるエンジンアセンブリは、以下で更に詳細に説明する少数のコンポーネントの変更を除いて、図4に示されたものと同じエンジンアセンブリである。それ故、図4に示されたコンポーネントと同一である図5、図6および図7に示されたコンポーネントは、図5、図6および図7においても、図4で使用されたものと同じ参照番号を使用して認識される。
【0038】
図5を参照すると、冷却開口508は外側バンド後方フランジ504を貫通して斜めに延在し、冷却開口181の2つの異なったグループ528および530はシュラウドアセンブリ前縁133を貫通して斜めに延在する。作動中に、強化される局所的な冷却を必要とし得る高温スポット550が、シュラウド内側表面138上に展開し得る。従って、この代替的な実施例では、より大きい直径の冷却開口181の少なくとも1つのグループ528が、各々の対応する高温スポット550から上流に位置決めされる。グループ528内の開口181は、冷却流体を各々の対応する高温スポット550に向かって流路指定することによって、優先冷却を容易にする。高温スポット550の位置は、エンジンの間において変化し得るものであり、それに従ってグループ528の位置もまた変化すると理解されるべきである。例示的な実施例では、小さい直径の冷却開口181のグループ530が、より大きい直径の冷却開口181の周方向離間グループ528の間に位置する。より詳細には、グループ530の相対的位置は、前縁133から下流にあり、且つ高温スポット550に比較して相対的に低い作動温度に曝されるシュラウド内側表面138の領域に対応する。結果として、図5の例示的な実施例では、冷却開口グループ528および530は、内側表面138のより低温の領域に供給される冷却流体の流量を最小化しつつ、内側表面138のより高温の領域に供給される冷却流体の流量を増大させるべく位置決めされ得るものであり、それによって、シュラウド内側表面138における高温スポットの展開を削減することを容易にする。本文において使用される用語「流体」は、ガス、空気および液体を包含するがそれらに限定されることなく、本文において説明するように流れる任意の冷却材料または冷却媒体を包含すると理解されるべきである。
【0039】
図6に示される実施例を参照すると、より大きい直径の冷却開口508の少なくとも1つのグループ532が、各々の対応する高温スポット550から上流に位置決めされ、各々の対応する高温スポット550の優先冷却を容易にする。この実施例では、シュラウドアセンブリ前縁133は、冷却開口181を包含するものではないと理解されるべきである。更に、高温スポット550の位置もまた、エンジンの間において変化し得るものであり、それ故、それに従ってグループ532の位置もまた変化すると理解されるべきである。例示的な実施例では、小さい直径の冷却開口508のグループ534が、より大きい直径の冷却開口508の周方向離間グループ532の間に位置する。より詳細には、グループ534の相対的位置は、前縁133から下流にあり、且つ高温スポット550に比較して相対的に低い作動温度に曝されるシュラウド内側表面138の領域に対応する。結果として、図6の例示的な実施例では、冷却開口グループ532および534は、内側表面138のより低温の領域に供給される冷却流体の流量を最小化しつつ、内側表面138のより高温の領域に供給される冷却流体の流量を増大させるべく位置決めされ得るものであり、それによって、シュラウド内側表面138における高温スポットの展開を削減することを容易にする。
【0040】
図7に示される実施例を参照すると、図5および図6に示された冷却開口パターンが、本質的に結合されている。より詳細には、より大きい直径の冷却開口181および508のそれぞれのグループ528および532が、各々の対応する高温スポット550から上流に位置決めされ、冷却流体を各々の対応する高温スポット550に向かって流路指定することによって優先冷却を容易にする。グループ528および532は、ギャップ182の対向する側面を横断して互いに協働するように位置決めされる。同様にして、グループ530および534もまた、ギャップ182の対向する側面を横断して協働するように位置決めされる。高温スポット550の位置は、エンジンの間において変化し得るものであり、それに従ってグループ528および532の位置もまた変化すると理解されるべきである。例示的な実施例では、小さい直径の冷却開口181および508のそれぞれのグループ530および534が、より大きい直径の冷却開口181および508のそれぞれの周方向離間グループ528および532の間に位置する。更にまた、グループ530および534の相対的位置は、前縁133から下流にあり、且つ高温スポット550に比較して相対的に低い温度に曝されるシュラウド内側表面138の領域に対応する。結果として、図7の例示的な実施例では、グループ528,530,532および534は、内側表面138のより低温の領域に供給される冷却流体の流量を最小化しつつ、内側表面138のより高温の領域に供給される冷却流体の流量を増大させるべく位置決めされ得るものであり、それによって、シュラウド内側表面138における高温スポットの展開を削減することを容易にする。
【0041】
グループ528および532のそれぞれのより大きい直径の冷却開口181および508は、グループ528および532が本文において説明したように機能することを可能にする任意の直径であっても良いと理解されるべきである。更にまた、グループ530および534のそれぞれの小さい直径の冷却開口181および508もまた、グループ530および534が機能することを可能にする任意の直径であっても良いと理解されるべきである。
【0042】
前述の例示的な実施例は、グループ528および530並びに532および534のそれぞれの中における冷却開口181および508のパターンを説明しているが、その他の実施例が、それぞれのグループ528および530並びに532および534の中において冷却開口181および508の様々なパターンを使用しても良いと理解されるべきである。より詳細には、その他の実施例が、各々のグループ528,530,532および534の中において高温スポット550に向かって冷却流体を流路指定するために利用可能である総計横断面積を任意の様式で調節することによって、高温スポット550の優先冷却を容易にしても良い。例えば、その他の実施例は、それぞれのグループ528および530並びに532および534の中における冷却開口181および508のために同じ直径を使用し、それと同時に、それぞれのグループ528および530並びに532および534の中における冷却開口181および508の密度を増減させても良い。従って、グループ528,530,532および534の何れかを介する冷却流を増大させるためには、それぞれの冷却開口181および508の密度が増大される。グループ528,530,532および534の何れか1つを介する冷却流を減少させるためには、それぞれの冷却開口181および508の密度が減少される。その結果、それぞれのグループ528および530並びに532および534の中における冷却開口181および508の密度を調節することによって、総計横断面積もまた調節され、高温スポット550の優先冷却が容易になる。
【0043】
冷却流体を流路指定するために提供される総計横断面積を調節するもう1つの具体例では、グループ528および532はそれぞれ、グループ528および532が本文において説明したように機能することを可能にする任意の冷却開口間隔において、大きい直径のそれぞれの冷却開口181および508の任意の個数を包含しても良い。同様にして、グループ530および534は、グループ530および534がそれぞれ、本文において説明したように機能することを可能にする任意の冷却開口間隔において、小さい直径の冷却開口181および508の任意の個数を包含しても良い。
【0044】
冷却流体を流路指定するために提供される総計横断面積を調節する更にもう1つの具体例では、グループ528および532は、グループ528および532が本文において説明したように機能することを可能にする大きい直径のそれぞれの冷却孔181および508の増大した密度を包含しても良い。同様にして、冷却流体を流路指定するために提供される総計横断面領域、グループ530および534は、グループ528および532が本文において説明したように機能することを可能にする小さい直径のそれぞれの冷却孔181および508の減少した密度を包含しても良い。
【0045】
例示的な実施例は、冷却開口181および508を円形の横断面を有するものとして説明しているが、その他の実施例は、それぞれのグループ528および530並びに532および534が本文において説明したように機能することを可能にする冷却開口181および508のための任意の横断面領域を使用しても良いと理解されるべきである。そのような横断面領域は、卵形、正方形および長方形を包含するが、それらに限定されるものではない。それぞれのグループ528および532の冷却開口181および508は、高温スポット550から上流に位置決めされると理解されるべきである。しかし、翼形部510から出て行く傾斜ガス流の故に、開口181および508は、必ずしもエンジン内において軸方向に整列配置されるというわけではない。
【0046】
上述のタービンノズルセグメントおよびシュラウドセグメントは、タービンノズル外側バンドの後方フランジに沿って延在し、タービンシュラウドアセンブリの前縁に沿っても延在する複数の傾斜方向付け冷却開口を包含する。より詳細には、冷却開口は、外側バンドの後方フランジを貫通して延在し、タービンシュラウドアセンブリの前縁をも貫通して延在し、より大きい総計横断面積を有する冷却開口のグループは、局所的な高温スポットから上流に位置決めされ、より小さい総計横断面積を有する冷却開口のグループは、より大きい総計横断面積を有するグループの間に位置する。その結果、冷却流体は、後方フランジと前縁の間に形成されるギャップの中に案内され、ギャップの中への高温ガスの吸込みを削減することを容易にし、更には、冷却流体をシュラウド内側表面上の高温スポットに配分することによって強化された局所的な冷却をも容易にする。従って、タービンノズルセグメントおよびシュラウドセグメントは、低下した作動温度において機能可能であり、結果として、タービンノズルセグメントおよびシュラウドセグメントの耐久性および有効寿命を増大させることを容易にし、エンジンの運転コストを削減する。
【0047】
タービンノズルセグメントおよびシュラウドセグメントに関する例示的な実施例が、以上に詳細に説明されている。それらのセグメントは、本文において説明した特定の実施例に対して限定されるものではなく、むしろ、各々のセグメントのコンポーネントは、本文において説明したその他のコンポーネントから独立して且つ分離して利用されても良い。
【0048】
本発明は、様々な特定の実施例に関連して説明されてきたが、当業者は、本発明が各請求項の精神および範囲内の修正を加えて実行され得るものであると認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】シュラウドアセンブリを貫通する高圧冷却空気流を概略的に示す例示的なシュラウドアセンブリの側面図である。
【図2】シュラウドアセンブリを貫通する高圧冷却空気流を概略的に示す代替的なシュラウドアセンブリの側面図である。
【図3】タービンノズルと図1または図2に示されたシュラウドアセンブリとの間に形成されるギャップの拡大した概略的横断面図である。
【図4】例示的な冷却孔パターンを示している、図3に示されたタービンノズルおよびシュラウドアセンブリの平面図である。
【図5】代替的な例示的冷却孔パターンを示している、図3に示されたタービンノズルおよびシュラウドアセンブリの平面図である。
【図6】もう1つの代替的な例示的冷却孔パターンを示している、図3に示されたタービンノズルおよびシュラウドアセンブリの平面図である。
【図7】更にもう1つの代替的な例示的冷却孔パターンを示している、図3に示されたタービンノズルおよびシュラウドアセンブリの平面図である。
【符号の説明】
【0050】
108 タービンエンジン冷却アセンブリ
110 シュラウドアセンブリ
112 タービン
112 高圧タービンセクション
114 低圧タービンセクション
130 各シュラウドセグメント
132 装着フック
133 前縁
137 後縁
138 シュラウド内側表面
144 シュラウドサポート
146 前方セクション
148 中央セクション
150 後方セクション
152 各協働ハンガー
152 各突出ハンガー
156 ハンガー
158 シュラウドリング構造
162 制御リング
164 後方位置制御リング
166 軸方向前方突出ハンガー
167 後方突出装着フック
168 軸方向前方突出ハンガー
169 後方突出装着フック
170 高圧冷却空気
171 第1部分
172 第2部分
173 活性対流冷却ゾーン
174 供給孔
175 バッフル
176 プレナム
176 空洞またはプレナム
177 複数の穿孔
179 裏面
180 消費された衝突冷却空気
181 各冷却開口
182 ギャップ
183 タービンノズル外側バンド
185 各冷却開口
186 対流冷却ゾーン
187 各タービン供給孔
188 バッフル
189 プレナム
190 各穿孔
191 プレナム
193 冷却空気
194 各冷却開口
204 ダクト
205 後端
211 不活性対流冷却ゾーン
500 後縁
504 後方フランジ
506 圧力面
508 各開口
510 各エアフォイル翼形部
510 各々のエアフォイル翼形部
512 第1および第2の側壁
516 前縁
518 後縁
520 ノズルセグメント
522 半径方向内側表面
528 グループ
550 各高温スポット
555 中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルアセンブリ(520)を含むエンジンアセンブリ(108)であって、
前記ノズルアセンブリが:
内側バンドと;
後方フランジ(504)および半径方向内側表面(522)を含む外側バンド(183)であって、前記後方フランジが、より大きい総計横断面積を有する冷却開口(194)の第1グループおよびより小さい総計横断面積を有する冷却開口の第2グループを含み、冷却開口が、そこからの冷却流体を所定の傾斜吐出角度で案内するように構成される、前記外側バンドと;
前記内側バンドと前記外側バンドの間に延在する少なくとも1つのエアフォイル翼形部(510)と
を含む、エンジンアセンブリ(108)。
【請求項2】
シュラウドアセンブリ(110)を更に含み、
前記シュラウドアセンブリが、シュラウド内側表面(138)およびシュラウドアセンブリ前縁(133)を含み、
前記シュラウドアセンブリ前縁が、より大きい総計横断面積を有する冷却開口(181)の第1シュラウドグループおよびより小さい総計横断面積を有する冷却開口の第2シュラウドグループを含み、
前記冷却開口が、そこからの冷却流体を前記外側バンド後方フランジ(504)と前記シュラウドアセンブリ前縁の間に形成されるギャップ(182)の中心線に対する所定の傾斜角度で吐出するように構成される、
請求項1記載のエンジンアセンブリ(108)。
【請求項3】
冷却開口(181)の前記第1グループおよび冷却開口の前記第1シュラウドグループが、大きい直径の複数の冷却開口を包含する、
請求項2記載のエンジンアセンブリ(108)。
【請求項4】
冷却開口(185)の前記第2グループおよび冷却開口の前記第2シュラウドグループが、小さい直径の複数の冷却開口を包含する、
請求項2記載のエンジンアセンブリ(108)。
【請求項5】
開口(181)の前記第1グループおよび開口の前記第1シュラウドグループが、より高密度に方向付けされる複数の冷却孔を包含する、
請求項2記載のエンジンアセンブリ(108)。
【請求項6】
開口(185)の前記第2グループおよび開口の前記第2シュラウドグループが、より低密度に方向付けされる複数の冷却孔を包含する、
請求項2記載のエンジンアセンブリ(108)。
【請求項7】
冷却開口(181)の前記第1グループおよび冷却開口(185)の前記第2グループが、前記外側バンド後方フランジと前記シュラウドアセンブリ前縁(133)の間に形成されるギャップの中への高温ガスの吸込みを削減することを容易にする、
請求項2記載のエンジンアセンブリ(108)。
【請求項8】
冷却開口(181)の前記第1グループおよび冷却開口の前記第1シュラウドグループが、前記シュラウド内側表面(138)のフィルム冷却を容易にする、
請求項2記載のエンジンアセンブリ(108)。
【請求項9】
ノズルアセンブリ(520)を含むガスタービンエンジン(112)であって、
前記ノズルアセンブリ(520)が、内側バンドと、外側バンド(183)と、前記内側バンドと前記外側バンドの間に延在する少なくとも1つのエアフォイル翼形部(510)とを含み、前記外側バンドが、後方フランジ(504)および半径方向内側表面(522)を含み、前記後方フランジが、より大きい総計横断面積を有する冷却開口(181)の第1グループおよびより小さい総計横断面積を有する冷却開口(185)の第2グループを含み、前記冷却開口が、そこからの冷却流体を所定の傾斜吐出角度で案内するように構成される、
ガスタービンエンジン(112)。
【請求項10】
シュラウドアセンブリ(110)を更に含み、
前記シュラウドアセンブリが、シュラウド内側表面(138)およびシュラウドアセンブリ前縁(133)を含み、
前記シュラウドアセンブリ前縁が、より大きい総計横断面積を有する冷却開口(181)の第1シュラウドグループおよびより小さい総計横断面積を有する冷却開口(185)の第2シュラウドグループを含み、
前記冷却開口が、そこからの冷却流体を前記外側バンド後方フランジ(504)と前記シュラウドアセンブリ前縁の間に形成されるギャップ(182)の中心線に対する所定の傾斜角度で吐出するように構成される、
請求項9記載のガスタービンエンジン(112)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−138664(P2008−138664A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255044(P2007−255044)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】