説明

タービンシールプレートアセンブリ

【課題】タービンエンジン(10)のロータホイールアセンブリ(110)で使用するためのシールプレートアセンブリ(100)を提供する。
【解決手段】本シールプレートアセンブリ(100)は、ロータホイール(170)のリム(175)の周りに配置されたシールプレート(190)を含むことができる。シールプレート(190)は、複数のシールプレートセグメント(280)と、該複数のシールプレートセグメント(280)を貫通しかつロータホイール(170)のリム(175)内に延びる複数のロックピン(220)とを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、総括的にはガスタービンエンジンに関し、より具体的には、高温ガス通路からタービン構成要素を遮蔽しかつバケット保持を保証するために使用するタービンシールプレートアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
公知のガスタービンエンジンのタービンホイールアセンブリは一般的に、固定タービンベーンなどの列によって分離されたタービンブレードの幾つかの軸方向に間隔を置いて配置された列を含む。ガスタービンエンジン効率及び部品寿命は、タービンホイールのリム領域及びその他の要素を有効に遮蔽する能力に一部関連する可能性がある。シールプレートを使用して、高温燃焼ガスに対するタービンホイールの露出を最少にしかつタービンブレードを冷却するために使用する空気の漏洩もまた最少にすることができる。しかしながら、その中にシールプレートが配置された過酷な高温環境のために、該シールプレートは、座屈及びその他のタイプの変形を受けやすくなるおそれがある。さらに、公知のシールプレートは、その据付け及び/又は交換が困難でありかつ/或いは時間がかかるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7500832号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、シールプレートアセンブリ設計及びそれを据付ける方法の改良に対する願望が存在する。シールプレートアセンブリは、高温ガス通路からの有効な遮蔽及び密封(シール)を可能にすると同時にその据付け及び交換が容易なものとなるのが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本出願は、タービンエンジンのロータホイールアセンブリで使用するためのシールプレートアセンブリを提供する。本シールプレートアセンブリは、ロータホイールのリムの周りに配置されたシールプレートを含むことができる。シールプレートは、複数のシールプレートセグメントと、該複数のシールプレートセグメントを貫通しかつロータホイールのリム内に延びる複数のロックピンとを含むことができる。
【0006】
本出願はさらに、高温燃焼ガスからロータホイールアセンブリをシールする方法を提供する。本方法は、ロータホイールのリムの周りに複数のシールプレートセグメントを配置するステップと、シールプレートセグメントを貫通してかつロータホイールのリム内に複数のロックピンを配置するステップと、ロータホイールのリムの1以上の軸方向突出部内にロックピンを回転させて入れることによって該ロータホイールのリムの周りの所定の箇所にシールプレートセグメントを固定するステップとを含むことができる。
【0007】
本出願はさらに、タービンエンジンで使用するためのロータホイールアセンブリを提供する。本ロータホイールアセンブリは、タービンブレードと、タービンベーンと、タービンブレードの周りでロータホイールのリムに固定されたシールプレートアセンブリとを含むことができる。シールプレートアセンブリは、タービンベーンに向けて延びる1以上のウィングシールを含むことができる。
【0008】
本出願のこれらの及びその他の特徴及び改良は、幾つかの図面及び特許請求の範囲と関連させてなした以下の詳細な説明を精査することにより、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ガスタービンエンジンの概略図。
【図2】本明細書に説明したようなシールプレートアセンブリを備えたロータホイールアセンブリの一部分の側面図。
【図3】図2のシールプレートアセンブリのシールプレートの前面斜視図。
【図4】図2のシールプレートアセンブリのシールプレートの後面斜視図。
【図5】本明細書で使用することができるようなラグを備えたバケットの側面図。
【図6】本明細書で使用することができるような幾つかのバケット及びロータホイールの側面図。
【図7】本明細書に説明したようなシールプレートアセンブリの別の実施形態を備えたロータホイールアセンブリの一部分の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、幾つかの図全体を通して同様な要素を同じ参照符号で表している図面を参照すると、図1は、ガスタービンエンジン10の概略図を示している。公知なように、ガスタービンエンジン10は、流入空気流れを加圧する圧縮機20を含むことができる。圧縮機20は、加圧空気の流れを燃焼器30に送給する。燃焼器30は、加圧空気の流れを加圧燃料の流れと混合しかつその混合気を点火燃焼させる。単一の燃焼器30のみを示しているが、ガスタービンエンジン10は、幾つかの燃焼器30を含むことができる。次に、高温燃焼ガスが、タービン40に送給される。高温燃焼ガスは、タービン40を駆動して、機械的仕事を産生するようにする。タービン40によって産生された機械的仕事は、圧縮機20を駆動しかつ外部発電機などのような外部負荷を駆動する。
【0011】
ガスタービンエンジン10は、天然ガス、様々なタイプの合成ガス及びその他のタイプの燃料を使用することができる。ガスタービンエンジン10は、ニューヨーク州スケネクタディ所在のGeneral Electric Companyにより提供されている高出力ガスタービンモデルとすることができる。ガスタービンエンジン10は、その他の構成を有することができ、またその他のタイプの構成要素を使用することができる。本明細書では、その他のタイプのガスタービンエンジン10を使用することができる。本明細書では、複数のガスタービンエンジン、その他のタイプのタービン及びその他のタイプの発電装置を共に使用することができる。本出願はまた、蒸気タービン、航空機及びその他のタイプの回転装置に適用可能とすることができる。
【0012】
図2は、本明細書で説明することができるようなシールプレートアセンブリ100を示している。シールプレートアセンブリ100は、ロータホイールアセンブリ110内に配置することができる。ロータホイールアセンブリ110は、複数のタービンブレード120及びタービンベーン130(各々の1つのみを図示している)を含む。各タービンブレード120は、翼形部140、シャンク150、ダブテール160などを含むことができる。タービンブレード120は、ダブテール160を介してロータホイール170の周りに配置することができる。タービンベーン130は、タービンシェル(図示せず)の周りに配置しかつ別の方法で固定することができる。タービンベーン130は、ラビリンスシール180又はその他に向けて延びることができる。
【0013】
図3及び図4は、シールプレートアセンブリ100の実施例を示している。シールプレートアセンブリ100は、図示するようにシールプレート190を含む。シールプレート190は、湾曲本体195を含むことができる。湾曲本体195は、その大半がロータホイール170のリム175に一致している。本明細書では、その他の形状も使用することができる。例えば、直線状本体を使用することができるが、重量がより重くなる可能性がある。湾曲本体195の内側には複数の装填(ローディング)パッド200を含むことができる。ローディングパッド200は、ロータホイール170のリム175に適合することができる。本明細書では、その他の形状も使用することができる。
【0014】
シールプレート190は、複数のポンチ止め(ステーキング)スロット210を含むことができる。ステーキングスロット210は、シールプレート190の本体195を貫通して延びる。シールプレートアセンブリ100は、ステーキングスロットで使用するための複数の固定(ロック)ピン220を含むことができる。各ロックピン220は、本体195を貫通して延びるロッド230とフランジ240とを含むことができる。フランジ240は、ロータホイール170の周りに配置された軸方向突出部又はラグ250内に嵌合してシールプレート190を所定の箇所に保持するようにする。軸方向突出部250はまた、ロータホイール170の有効リムの下方で軸方向表面の周りに配置することができる。ロックピン220は、ロータホイール170上への据付けのために反対方向に回転させ、ロック固定位置に回転させかつ所定の箇所にステーキングさせることができる。ピンは、スクリュドライバ等により据付け及び取外しすることができる。
【0015】
シールプレート190はまた、複数のシールウィングを含むことができる。このケースでは、上部シールウィング260及び下部シールウィング270を含むことができる。上部シールウィング260は、タービンベーン130に向けて延びることができ、一方、下部シールウィング270は、ラビリンスシール180に向けてかつその下方に延びることができる。シールウィング260、270は、高温ガス通路からリム空洞を隔離するのを助ける。本明細書では、その他のタイプのシール及びその他のタイプの構成も使用することができる。ワイヤシールもまた、シールウィング260、270等の周りで使用することができる。本明細書では、その他のタイプのシールも使用することができる。
【0016】
再び図3を参照すると、シールプレート190は、複数のセグメント280の形態のものとすることができる。この実施例では、第1のセグメント290及び第2のセグメント295を示しているが、あらゆる数のセグメント280を使用することができる。セグメント280の使用により、その据付け及び取外しが容易になる。セグメント290はまた、それを通しての漏洩を減少させるためにオーバーラップさせることができる。シールプレート190は、ニッケル合金及び同様なもので製作することができる。本明細書では、その他のタイプの材料も使用することができる。
【0017】
図5及び図6に示すように、ロータホイールアセンブリ110上のラグ250は、外径(「OD」)及び内径(「ID」)を含む。ラグ250の内側は、ピン220よりも大きい半径位置にありかつ段部Sを形成する。より大きい半径を使用することにより、主としてピン220の回転が停止される。ピン220は、互いの鏡像である。一旦回転させかつ所定の箇所にステーキングさせると、ピン220はシールプレート190がホイール170の周りで円周方向に摺動するのを防止する。同様に、ピン220による剪断により、バケットが軸方向に保持される。
【0018】
使用中に、シールプレートアセンブリ100のシールプレート190の各セグメント280は、ロータホイール170の周りに配置される。各セグメント280は、ステーキングスロット210の周りでかつ軸方向突出部250内に配置されたロックピン220により軸方向に取付けられる。上記のように、ロックピン220は、ロータホイール170上で反対方向に回転させ、ロック固定位置に回転させかつ所定の箇所にステーキングさせることができる。従って、ロックピン220は、シールプレート190を所定の箇所に保持し、バケットに軸方向保持を与えかつロータホイール170の周りでのシールプレート190の円周方向移動を防止する。従って、シールプレートアセンブリ100全体は、高温ガス通路より発散した高温燃焼ガスからシャンク150及びロータホイール170を遮蔽する。シールプレートアセンブリ100はまた、ロータホイール170内にタービンブレード120を軸方向に保持する。
【0019】
従って、シールプレートアセンブリ100は、バケット/タービンホイール接合部からの冷却空気漏洩の量を減少させることによって、全体ガスタービン効率を向上させることができる。さらに、上部及び下部シールウィング160、170は、高温ガスの吸込みからリム空洞をシールし、かつ必要なホイール空間パージ流量も減少させることができる。ロックピン220を使用することは、据付けを容易にし、従って保全を容易にすることを可能にする。
【0020】
図7は、別のシールプレートアセンブリ300を示している。シールプレートアセンブリ300は、別のロータホイールアセンブリ310及び別のホイール320で使用することができる。このケースではラグ330は、ホイール320内に配置することができる。同様に、シールプレートアセンブリ300は、湾曲本体340を含む。湾曲本体340は、下部フランジ350内に延びる。下部フランジ350は、ラグ330内に嵌合してホイール320に対してシールプレートアセンブリ300を直接取付けるようにすることができる。本明細書では、その他の構成も使用することができる。この実施形態では、ローディングパッド200、下部シール27又は同様のタイプの構造体を使用することも或いは使用しないこともできる。
【0021】
上記の説明は本出願の一部の実施形態のみに関するものであること並びに本明細書において当業者は特許請求の範囲及びその均等物によって定まる本発明の一般的技術思想及び技術的範囲から逸脱せずに多くの変更及び修正を加えることができることを理解されたい。
【符号の説明】
【0022】
10 ガスタービンエンジン
20 圧縮機
30 燃焼器
40 タービン
50 負荷
100 シールプレートアセンブリ
110 ロータホイールアセンブリ
120 タービンブレード
130 タービンベーン
140 翼形部
150 シャンク
160 ダブテール
170 ロータホイール
175 リム
180 ラビリンスシール
190 シールプレート
195 湾曲本体
200 ローディングパッド
210 ステーキングスロット
220 ロックピン
230 ロッド
240 フランジ
250 軸方向突出部
260 上部シールウィング
270 下部シールウィング
280 セグメント
290 第1のセグメント
295 第2のセグメント
300 シールプレートアセンブリ
310 ロータホイールアセンブリ
320 ホイール
330 ラグ
340 湾曲本体
350 下部フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータホイールアセンブリ(110)で使用するためのシールプレートアセンブリ(100)であって、
ロータホイール(170)のリム(175)の周りに配置されかつ複数のシールプレートセグメント(280)で構成されたシールプレート(190)と、
前記複数のシールプレートセグメント(280)を貫通しかつ前記ロータホイール(170)のリム(175)内に延びる複数のロックピン(220)と
を備えるシールプレートアセンブリ(100)。
【請求項2】
前記シールプレート(190)が湾曲本体(195)を含む、請求項1記載のシールプレートアセンブリ(100)。
【請求項3】
前記シールプレート(190)が、前記ロータホイール(170)のリム(175)の周りに配置される複数のローディングパッドを含む、請求項1記載のシールプレートアセンブリ(100)。
【請求項4】
前記複数のシールプレートセグメント(280)の各々が、それを貫通するステーキングスロット(210)を含み、前記複数のロックピン(220)の1つが、前記ステーキングスロット(210)内に配置される、請求項1記載のシールプレートアセンブリ(100)。
【請求項5】
前記リム(175)が軸方向突出部(250)を含み、前記複数のロックピン(220)の1つが、前記軸方向突出部(250)内に配置される、請求項1記載のシールプレートアセンブリ(100)。
【請求項6】
前記複数のロックピン(220)の各々が、ロッド(230)及びフランジ(240)を含む、請求項1記載のシールプレートアセンブリ(100)。
【請求項7】
前記シールプレート(190)が、そこから延びる1以上のシールウィング(260、270)を含む、請求項1記載のシールプレートアセンブリ(100)。
【請求項8】
前記1以上のシールウィング(260、270)が、上部シールウィング(260)及び下部シールウィング(270)を含む、請求項1記載のシールプレートアセンブリ(100)。
【請求項9】
前記シールプレート(190)がニッケル合金からなる、請求項1記載のシールプレートアセンブリ(100)。
【請求項10】
高温燃焼ガスからロータホイールアセンブリ(110)をシールする方法であって、
ロータホイール(170)のリム(175)の周りに複数のシールプレートセグメント(280)を配置するステップと、
前記複数のシールプレートセグメント(280)を貫通してかつ前記ロータホイール(170)のリム(175)内に複数のロックピン(220)を配置するステップと、
前記ロータホイール(170)のリム(175)の1以上の軸方向突出部(250)内に前記複数のロックピン(220)を回転させて入れることによって、該ロータホイール(170)のリム(175)の周りの所定の箇所に前記複数のシールプレートセグメント(280)を固定するステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記複数のロックピン(220)を所定の位置にステーキングするステップをさらに含む、請求項10記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−140944(P2011−140944A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−285236(P2010−285236)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】