説明

ターボチャージャの試験装置

【課題】容易にコンプレッサの出口圧力を所定値に調整して、試験することを可能にするターボチャージャの試験装置を提供する。
【解決手段】ターボチャージャ12の試験装置は、燃焼ガスを生成し、該生成された燃焼ガスをタービン14に供給する燃焼器24と、該記燃焼器24に送られる燃焼用の空気の流量を制御する燃焼空気流量制御弁30と、コンプレッサ16から吐出される空気の流量を制御するコンプレッサ吐出流量制御弁34と、コンプレッサ16の出口圧力を検出する圧力検出手段50と、燃焼空気流量制御弁30の開度が所定開度に固定された状態で、圧力検出手段50により検出されるコンプレッサ16の出口圧力が所定値に一致するように、コンプレッサ吐出流量制御弁34の開度をフィードバック制御する流量制御弁制御手段40と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボチャージャの試験装置に係り、特にターボチャージャのコンプレッサ出口圧力を一定にしてデータをとることができるターボチャージャの試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボチャージャの性能、機能を調べるべく、ターボチャージャの試験装置が従来から用いられている。例えば、従来のターボチャージャの試験装置は、燃料と空気とが供給され、燃焼ガスを生成する燃焼器と、この燃焼器とターボチャージャのタービンとをつなぐ高温燃焼ガス流路内に設けられた流量調整バルブと、前記高温燃焼ガス流路の途中につながっているバイパス通路内に設けられたバイパスバルブとを備えている。そして、その装置では、これら流量調整バルブおよびバイパスバルブはアクチュエータにより開度調整され、タービンに送られる燃焼ガスの流量が制御されるようになっている。
【0003】
しかしながら、この装置では、燃焼ガスの流量を調節するために、流量調節バルブとバイパスバルブとを同時調整する必要があり、それらの調節に複雑な機構が必要であった。この問題を解消するために、燃焼ガスの流量調節を一つのバルブの操作で行うようにした装置が特許文献1にて提案されている。その装置は、その中の燃焼器に燃料と該燃料の噴霧用の補助空気とが供給されるように構成されていて、さらにその燃焼器に燃焼用の空気を送る空気流路と、この空気流路を流れる空気の流量調整用の流量調節バルブとを備えて構成されている。そして、この流量調節バルブのみを調節することで、その燃焼器で生成され、タービンロータへと送られる燃焼ガスの流量調整が行われるようにされている。
【0004】
【特許文献1】実開昭63−62746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ターボチャージャの試験では、コンプレッサの出口圧力を所定値に一致させて、種々のデータをとる場合がある。それ故、ターボチャージャのコンプレッサの出口圧力を所定値に容易に一致させる機構が望まれる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の装置は、タービンに供給される燃焼ガスの流量を調節するための機構を有しているが、特許文献1にはコンプレッサの出口圧力を所定値に一致させる機構は示されていない。
【0007】
そこで、本発明は、容易にコンプレッサの出口圧力を所定値に調整して、試験することを可能にするターボチャージャの試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明によるターボチャージャの試験装置は、タービンとコンプレッサとが同軸に連結されたターボチャージャの試験装置において、燃焼ガスを生成し、該生成された燃焼ガスを前記タービンに供給する燃焼器と、前記燃焼器に送られる燃焼用の空気の流量を制御する燃焼空気流量制御弁と、前記コンプレッサから吐出される空気の流量を制御するコンプレッサ吐出流量制御弁と、前記コンプレッサの出口圧力を検出する圧力検出手段と、前記燃焼空気流量制御弁の開度が所定開度に固定された状態で、前記圧力検出手段により検出される前記コンプレッサの出口圧力が所定値に一致するように、前記コンプレッサ吐出流量制御弁の開度をフィードバック制御する流量制御弁制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、燃焼空気流量制御弁の開度が所定開度に固定された状態で、圧力検出手段により検出されるコンプレッサの出口圧力が所定値に一致するように、コンプレッサ吐出流量制御弁の開度がフィードバック制御されるので、コンプレッサ吐出流量制御弁を自動制御して、容易に、コンプレッサの出口圧力を所定値に調整することが可能になる。
【0010】
加えて、上記ターボチャージャの試験装置は、前記燃焼器に供給される燃料の量を調節する燃料制御弁と、前記タービンに供給される燃焼ガスの温度を検出する温度検出手段と、前記燃焼空気流量制御弁の開度が所定開度に固定された状態で、前記温度検出手段により検出される前記燃焼ガスの温度が所定値に一致するように、前記燃料制御弁の開度をフィードバック制御する燃料制御弁制御手段と、を更に備えると良い。これにより、燃焼ガスの温度が所定値に容易に調整されることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて具体的に説明する。図1は本発明の一実施形態に係るターボチャージャの試験装置(以下、試験装置)10を示している。
【0012】
試験装置10での試験に供される、供試体としてのターボチャージャ12は、タービン14と、コンプレッサ16とを備えている。タービン14のホイール18は、軸受で支持されたシャフト20を介して、コンプレッサ16のインペラ22と同軸に連結されている。なお、図示しないが、シャフト20にオイルを供給するオイル供給ユニットが設けられている。
【0013】
試験装置10は、タービン14に燃焼ガスを供給するべく、燃焼器24を有している。燃焼器24は、燃焼ガス供給通路GSの上流端に設けられている。燃焼器24の上流側には、空気供給通路ASと、燃料供給通路FSとが接続されている。空気供給通路ASには、空気源26から大気中の空気が導入される(図1中の矢印a1)。本実施形態では、空気源26はコンプレッサであり、空気源26から空気は概ね所定圧で供給される。燃焼器24に空気源26から送られる燃焼用の空気の流量は第1制御弁30により調整制御される。この第1制御弁30は、本実施形態では手動式であり、本発明の燃焼空気流量制御弁に対応する。他方、燃料供給通路FSには、燃料タンクおよび燃料を所定圧で供給するポンプからなっている燃料供給ユニット28から燃料が導入される。燃料供給ユニット28から燃焼器24に供給される燃料(図中の矢印a2)の量は、第2制御弁32により調節される。第2制御弁32は本発明の燃料制御弁に対応する。なお、本実施形態において用いられる燃料は液体燃料であるが、他の種類の燃料であっても良い。
【0014】
燃焼器24が備える着火手段は、空気供給通路ASを介して供給された空気と、燃料供給通路FSを介して供給された燃料とからなる混合気を着火する。燃焼器24で生成した燃焼ガスは、その全量が、燃焼ガス供給通路GSを介してタービン14に供給される(図中の矢印a3)。すなわち、燃焼器24は、燃焼ガスを生成し、生成された燃焼ガスをタービン14に供給する。タービン14のホイール18に回転駆動力を与えた燃焼ガスは、燃焼ガス排気通路GEを介して、大気へ放出される(図中の矢印a4)。
【0015】
他方、タービン14のホイール18が回転すると、同軸連結されたコンプレッサ16のインペラ22は回転する。コンプレッサ16は、ホイール18の回転駆動力に基づき、空気を外部から取り込み、導入された空気を吐出する。タービン14に連結されたコンプレッサ16には、空気導入通路AIを介して、空気が導入される(吸い込まれる)(図中の矢印a5)。そして、圧縮された空気は、コンプレッサ16の下流側に接続された空気送出通路ADを介して送出される(吐出される)(図中の矢印a6)。コンプレッサ16から吐出される空気の流量を調節するべく、空気送出通路ADには第3制御弁34が設けられている。なお、第3制御弁34は本発明のコンプレッサ吐出流量制御弁に対応している。
【0016】
なお、第2制御弁32および第3制御弁34の各々は、独立に制御可能である。第2制御弁32および第3制御弁34の各々は、手動でも、自動でも制御され得る。第2制御弁32および第3制御弁34はジョグダイヤル機構を有し、手動操作と自動操作とのどちら側への切換もスムーズに移行可能である。本実施形態では、例えば、それらの弁32、34が自動操作されているときに、それらの弁32、34のいずれかが操作者により操作されると、自動制御が解除され、操作者の手動操作(手動制御)に円滑に切り替えられる。第2制御弁32および第3制御弁34の各々は、その開度を調節するためのアクチュエータ、およびその開度を検出するためのポジションセンサを一体に備えている。
【0017】
試験装置10は、上記第2、第3制御弁32、34などを制御するべく、制御装置40を備えている。制御装置40は、CPU、ROM、RAM、A/D変換器、入力インタフェース、出力インタフェース等を含むコンピュータを含んで構成されている。入力インタフェースには、第2制御弁32の開度を検出するためのポジションセンサ、第3制御弁34の開度を検出するためのポジションセンサ、空気供給通路ASの第1制御弁30よりも下流側の部分に設けられていて空気流量ひいては燃焼ガスの流量を検出するための流量計42、燃焼ガス供給通路GSに設けられていて燃焼ガスの温度を検出するための温度センサ44、ターボチャージャ12に設けられていてターボチャージャ12の回転数を検出するための回転数センサ46、空気導入通路AIに設けられていてコンプレッサ16の空気流量を検出するための流量計48、およびコンプレッサ16から吐出される空気の圧力、すなわち出口圧力を検出するための圧力センサ50などが電気的に接続されている。これらの各種センサ類などからの出力信号(検出信号)に基づき、予め設定されたプログラムにしたがって第2制御弁32および第3制御弁34に、制御装置40は出力インタフェースから電気的に信号を出力して、燃焼ガスの温度およびコンプレッサ16の出口圧力を調節する。ただし、第2制御弁32および第3制御弁34の開度は、その各々に一体化され、制御装置40からの出力信号により作動制御される各アクチュエータにより調整される。なお、本実施形態では、流量計42、48はオリフィス流量計である。
【0018】
なお、制御装置40は、外部からの指示により作動する。具体的には、電源がONにされた状態で、不図示のスイッチが操作者等によりONにされることで、制御装置40は第2制御弁32および第3制御弁34を制御する。
【0019】
図2に線L1で示すように、タービン14に供給される燃焼ガスの温度が一定の場合、タービン14に供給される燃焼ガスの流量(図2中のタービンガス量)と、コンプレッサ16の駆動力(図2中のコンプレッサ駆動力)とは対応関係にある。それ故、タービンガス量を増やして(あるいは減らして)、コンプレッサ駆動力を大きくする(あるいは小さくする)ことができる。なお、燃焼ガスの流量は第1制御弁30の開度を調節することで調整される。
【0020】
また、過給圧、すなわちコンプレッサ16の出口圧力(吐出圧力)を一定としたときの、コンプレッサ16を流れる空気流量(図3中のコンプレッサ空気流量)と、コンプレッサ負荷との関係の一例を図3に線L2で示す。ターボチャージャ12が線L2上の作動点αでの状態にあるとき、単にタービンガス量を増やしてコンプレッサ駆動力を増加させると、例えば線L2上から逸脱した作動点βでの状態に移行することになる。タービンガス量を増加させる場合、コンプレッサ16の出口圧力を一定に保つには、コンプレッサ空気流量も増加させることが必要である。例えば、作動点αでの状態でコンプレッサ駆動力だけを増加させて、作動点βでの状態に移行させた後、コンプレッサ空気流量をその増加分に対応した分、増量させると、ターボチャージャ12は線L2上の作動点γでの状態に移行する。タービンガス量は第1制御弁30により調節され、コンプレッサ空気流量は第3制御弁34により調節されるので、第1制御弁30の開度を変えることに対応して、第3制御弁34の開度を調節制御することで、コンプレッサ16の出口圧力を一定にすることができる。
【0021】
これらを考慮して、本実施形態では、コンプレッサ16の出口圧力を所望の圧力値(所定値)にしたいとき、手動で第1制御弁30の開度をその所望の圧力値に見合った開度に調節して固定し、その後、第3制御弁34を自動で制御するようにしている。また、試験装置10による試験で得られるデータを、より正確なものとするため、タービン14に供給される燃焼ガスの温度を所定値に保つようにしている。なお、燃焼ガス温度は、本実施形態では、600℃一定に制御される。
【0022】
この制御について、以下に説明する。図4に第1から第3制御弁30、32、34の操作手順を概念的に示す。
【0023】
まず、操作者は、コンプレッサ16の出口圧力の目標値を決める。その目標値に、コンプレッサ16の出口圧力が近づくように、操作者は第1から第3制御弁30、32、34を手動操作(手動制御)する。概ねコンプレッサ16の出口圧力が目標値に近い値になったら、その状態で、操作者は制御装置40にその目標値を入力し、自動操作(自動制御)のスイッチをいれる(スイッチ:ON)。ただし、自動操作のスイッチが入れられてからは、原則として、操作者は第1制御弁30に触れることはない。すなわち、自動操作が開始された後は、データ取得が終了するまで、操作者は第1から第3制御弁30、32、34には触れず、第1制御弁30の開度はそのときの開度、すなわち所定開度に固定される(ステップS401)。なお、このとき第1制御弁30の開度が固定される所定開度は、コンプレッサ16の出口圧力の目標値に基づいて、操作者が適宜決める開度である。
【0024】
そのように第1制御弁30の開度がコンプレッサ16の出口圧力の目標値に概ね対応する開度に固定された状態で、制御装置40は第3制御弁34を制御する。自動操作が開始されると、制御装置40は、圧力センサ50からの出力信号に基づいて検出されるコンプレッサ16の出口圧力が所定値、すなわち上記目標値に一致するように、第3制御弁34の開度を制御する(ステップS403)。この制御は、フィードバック制御により行われる。制御装置40は、検出されるコンプレッサ16の出口圧力と、上記目標値との間の差、例えば乖離度に基づき、その出口圧力が目標値に一致するように、第3制御弁34の開度を増減させる。
【0025】
コンプレッサ16の出口圧力が目標値に一致されると、第2制御弁32が制御される。制御装置40は、温度センサ44からの出力信号に基づいて検出される燃焼ガスの温度が、本実施形態では600℃である所定値に一致するように、第2制御弁32の開度を制御する(ステップS405)。この制御は、上記第3制御弁34の制御と同じく、フィードバック制御により行われる。これにより、燃焼ガスの温度は600℃に一致することになる。
【0026】
図4に示すように、ステップS401からステップS405が繰り返し行なわれ、制御装置40は第2制御弁32および第3制御弁34を制御する。このとき、上記の如く、第1制御弁30は制御されず、第1制御弁30の開度は固定されている。それ故、図4の手順に従うことで、第2制御弁32および第3制御弁34が繰り返し、フィードバック制御されることになる。
【0027】
なお、第2制御弁32の制御と、第3制御弁34の制御を、それぞれ同時に行うことも可能であるが、本実施形態では、第3制御弁34の制御を行った後、第2制御弁の制御を行い、その後、それらの制御をさらに交互に繰り返すように、プログラムが組まれている。したがって、その時々では、第2制御弁32および第3制御弁34のいずれか一方のみが調節されるので、その調節がより容易に且つ迅速に行われることになる。なお、第3制御弁34の制御と、第2制御弁32の制御は、それぞれ一度ずつであっても良い。
【0028】
なお、上記の如く、第2制御弁32および第3制御弁34が自動操作されているときに、それらの内の少なくともいずれかが手動操作されると、自動制御が解除され、操作者の手動制御に切り替えられるように、制御装置40のプログラムは設定されている(スイッチ:OFF)。他には、上記自動制御がされているときに、例えば、コンプレッサ16の出口圧力が所定値に収束せず、コンプレッサ16の出口圧力が所定値から遠ざかる方向に変化したときには、手動制御に切り替えられるように制御装置40のプログラムは設定されている。コンプレッサ16の出口圧力が所定値から遠ざかる方向に変化するときは、例えば、操作者等により第1制御弁30が操作されたときである。
【0029】
以上、実施形態に基づいて説明したように、第1制御弁30の開度が固定された状態で、第3制御弁34および第2制御弁32の各開度がそれぞれ別途、自動制御により調整され、コンプレッサ16の出口圧力および燃焼ガスの温度がそれぞれ所定値に設定される。したがって、コンプレッサ16の出口圧力および燃焼ガスの温度の設定は容易である。
【0030】
上記の如く第1から第3制御弁30、32、34を調節し、コンプレッサ16の出口圧力を所定値、すなわち目標値に容易に一致させることで、コンプレッサ16の出口圧力を一定にして、各種のデータ(燃焼ガスの流量、コンプレッサ16の空気流量、ターボチャージャ12の回転数など)を迅速に且つ容易に得ることが可能である。
【0031】
ここで、上記試験装置10での、データの取得の一例について概説する。コンプレッサ16の出口圧力を所定値に一致させるに際して、積極的に、コンプレッサ空気流量を種々の流量にして、データをとることが可能である。まず、操作者は、コンプレッサ16の目標となる出口圧力に加えて、それの目標となる空気流量を決める。そして、この決められたコンプレッサ16の出口圧力および空気流量の両目標値に、それらの値が近づくように、操作者は第1から第3制御弁30、32、34を手動操作する。概ねそれら出口圧力および空気流量が目標値に近い値になったら、操作者は制御装置40にコンプレッサ16の出口圧力の目標値を入力し、自動制御のスイッチをいれる。その結果、コンプレッサ16の出口圧力が、上記の如く、その目標値に一致させられる。このとき、コンプレッサ16の出口圧力を調節すべく第3制御弁34が自動制御されるので、コンプレッサ16の空気流量はその目標値近傍で変動し得る。コンプレッサ16の空気流量の、その目標値からのずれは、各種データの取り扱い、特に各種グラフを作成する上で、問題にならない程度である。この手動制御および自動制御は、コンプレッサ空気流量を様々な目標値近傍に合わせつつ、コンプレッサ16の出口圧力を目標値に一致させるべく、行われる。したがって、コンプレッサ16の出口圧力を所定値に一定にしつつ、その空気流量を種々異ならせて、種々のデータを得ることが可能になる。
【0032】
上記の如く、コンプレッサ16の出口圧力を目標値に一致させて試験を行い各種のデータを得ることで、例えば、タービンガス量とコンプレッサ空気流量との対応関係を表すグラフを作成することが可能である。コンプレッサ16の出口圧力を一定にして上記各種センサからの出力信号に基づいて各種データを得ることで、エンジン実装時をシミュレートしての種々の運転状態での過給特性を知ることが可能になる。例えば、コンプレッサ16の出口圧力および/またはコンプレッサ16の空気流量に対して、コンプレッサ効率、タービン効率、あるいはターボ総合効率を表した曲線を含む、それらの関係を表すグラフを作成することが可能になる。なお、上記したグラフを作成するなどターボチャージャ12の種々の性能、機能を調べるため、制御装置10には、上記した以外にも、各種センサが設けられ得る。
【0033】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。上記実施形態では、コンプレッサ16の出口圧力ばかりでなく、燃焼ガスの温度も制御することにした。しかしながら、第1および第2制御弁30、32の開度を固定しておいて、コンプレッサ16の出口圧力が所定値に一致するように、第3制御弁のみを自動制御するようにしても良い。なお、この場合、第2制御弁32は単なる手動式バルブであっても良い。
【0034】
また、上記実施形態では、第1制御弁30は単に手動式であるとしたが、第2制御弁32および第3制御弁34の如く、手動でも、自動でも制御され得るように第1制御弁30は構成されても良い。そして、コンプレッサ16の出口圧力の目標値に概ね対応した開度に、第1制御弁30の開度がなるように制御するのを、自動制御により行うようにしても良い。
【0035】
なお、上記燃焼器24は、供給される燃料と空気とからなる混合気を燃焼させる機能を有していればどのように構成されても良い。燃焼器はバーナであり得る。空気源26は空気を燃焼器24に供給可能であれば如何なる構成であっても良い。同様に、燃料供給ユニット28は燃焼器24に燃料を供給可能であれば如何なる構成であっても良い。また、流量計42、48は、オリフィス流量計であることに限定されず、他の如何なる流量計であっても良い。
【0036】
なお、上記実施形態では、本発明をある程度の具体性をもって説明したが、本発明については、特許請求の範囲に記載された発明の精神や範囲から離れることなしに、さまざまな改変や変更が可能であることは理解されなければならない。すなわち、本発明は特許請求の範囲およびその等価物の範囲および趣旨に含まれる修正および変更を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係るターボチャージャの試験装置の概念的な系統図である。
【図2】タービンガス量と、コンプレッサ駆動力との関係の一例を概念的に表したグラフである。
【図3】コンプレッサ空気流量と、コンプレッサ負荷との関係の一例を概念的に表したグラフである。
【図4】第1から第3制御弁の操作手順の一例を概念的に示した図である。
【符号の説明】
【0038】
10 試験装置
12 ターボチャージャ
14 タービン
16 コンプレッサ
24 燃焼器
26 空気源
28 燃料供給ユニット
30 第1制御弁
32 第2制御弁
34 第3制御弁
40 制御装置
42、48 オリフィス流量計
44 温度センサ
46 回転数センサ
50 圧力センサ
GS 燃焼ガス供給通路
AS 空気供給通路
FS 燃料供給通路
GE 燃焼ガス排気通路
AI 空気導入通路
AD 空気送出通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンとコンプレッサとが同軸に連結されたターボチャージャの試験装置において、
燃焼ガスを生成し、該生成された燃焼ガスを前記タービンに供給する燃焼器と、
前記燃焼器に送られる燃焼用の空気の流量を制御する燃焼空気流量制御弁と、
前記コンプレッサから吐出される空気の流量を制御するコンプレッサ吐出流量制御弁と、
前記コンプレッサの出口圧力を検出する圧力検出手段と、
前記燃焼空気流量制御弁の開度が所定開度に固定された状態で、前記圧力検出手段により検出される前記コンプレッサの出口圧力が所定値に一致するように、前記コンプレッサ吐出流量制御弁の開度をフィードバック制御する流量制御弁制御手段と、
を備えたことを特徴とするターボチャージャの試験装置。
【請求項2】
前記燃焼器に供給される燃料の量を調節する燃料制御弁と、
前記タービンに供給される燃焼ガスの温度を検出する温度検出手段と、
前記燃焼空気流量制御弁の開度が所定開度に固定された状態で、前記温度検出手段により検出される前記燃焼ガスの温度が所定値に一致するように、前記燃料制御弁の開度をフィードバック制御する燃料制御弁制御手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のターボチャージャの試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−82960(P2008−82960A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−265366(P2006−265366)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】