説明

ダイオードの製造方法およびダイオード

【課題】漏れ電流を抑えることができるダイオードの製造方法およびダイオードを提供する。
【解決手段】第1の面S1と、単結晶炭化珪素から作られた第2の面S2とを有する半導体基板10が準備される。第2の面S2上に、複数の開口部OPを有し、酸化珪素から作られたマスク層11が形成される。複数の開口部OPのそれぞれは、第2の面S2に含まれる複数の領域ERを露出する。複数の領域ERのそれぞれの上におけるエピタキシャル成長により複数のダイヤモンド部12が形成される。エピタキシャル成長は複数のダイヤモンド部12が互いに接触する前に停止される。複数のダイヤモンド部12の各々の上にショットキー電極13が形成される。第1の面S1上にオーミック電極16が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダイオードおよびその製造方法に関し、特に、ショットキー電極を有するダイオードおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力用半導体としてのダイオードとして、従来から、シリコン(Si)を用いたpnダイオードが用いられている。このダイオードの耐圧は数十V程度であり比較的低い。そこで、より高い耐圧を有するダイオードとして、炭化珪素(SiC)または窒化ガリウム(GaN)を用いたショットキーバリアダイオードの検討がなされている。これらのダイオードは、1000Vを超える耐圧を有するものの、漏れ電流が比較的大きい。そこでショットキーバリアダイオードの半導体材料にダイヤモンドを使用することが検討されている。ダイヤモンドが使用される場合、漏れ電流を抑制する方法が提案されている。たとえば、特開2007−095975号公報(特許文献1)によれば、予めダイヤモンド薄膜の異常成長粒子や成長丘などの結晶欠陥が検査され、この欠陥を避けてショットキー電極用パターンが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−095975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報に記載の技術は、欠陥の検査結果に応じたパターン形成を要するため、量産において適用することは困難であった。このため漏れ電流を抑制することができる他の方法が求められていた。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、漏れ電流を抑えることができるダイオードの製造方法およびダイオードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のダイオードの製造方法は、次の工程を有する。第1の面と、第1の面と反対に位置し単結晶炭化珪素から作られた第2の面とを有し、かつ一の導電型を有する半導体基板が準備される。第2の面の上に、複数の開口部を有し、酸化珪素から作られたマスク層が形成される。複数の開口部のそれぞれは、第2の面に含まれる複数の領域を露出する。複数の領域のそれぞれの上におけるエピタキシャル成長により、一の導電型を有し単結晶構造を有する複数のダイヤモンド部が形成される。エピタキシャル成長は複数のダイヤモンド部が互いに接触する前に停止される。複数のダイヤモンド部の各々の上にショットキー電極が形成される。第1の面上にオーミック電極が形成される。
【0007】
上記の製造方法によれば、半導体基板上においてダイオードを構成する複数のダイヤモンド部が互いに接触しないように成長される。これにより、ダイオードの電流密度を規定する断面積を確保しつつ、単一のダイヤモンド部が成長される場合に比して、結晶欠陥に起因した漏れ電流を抑えることができる。
【0008】
上記の製造方法において好ましくは、ショットキー電極は、複数のダイヤモンド部のそれぞれの上に位置しかつ互いに分離した複数の電極部を有する。これにより、各ダイヤモンド部において最適な場所に選択的にショットキー電極を設けることができる。
【0009】
上記の製造方法において好ましくは、複数の電極部を互いに電気的に接続する配線が形成される。これにより複数の電極部の電流を一の配線の電流にまとめることができる。
【0010】
上記の製造方法において好ましくは、複数のダイヤモンド部を形成する工程は、複数のダイヤモンド部の各々のうちショットキー電極に接する部分の不純物濃度が、複数のダイヤモンド部の各々のうち半導体基板に接する部分の不純物濃度に比して小さくなるように行われる。これによりダイヤモンド部全体に起因するオン抵抗を抑制しつつ、オフ状態において空乏層をより進展させることで耐圧を大きくすることができる。
【0011】
上記の製造方法において好ましくは、複数のダイヤモンド部を形成する工程は、複数のダイヤモンド部の各々が第2の面と平行な表面を有するように行われる。ショットキー電極を形成する工程においてショットキー電極が表面上に形成される。これにより第2の面と平行なショットキー電極を形成することができる。
【0012】
上記の製造方法において好ましくは、複数のダイヤモンド部を形成する工程は、ダイヤモンド部の少なくとも一部が形成された時点でダイヤモンド部を平坦化する工程を含む。これにより、複数のダイヤモンド部の各々に第2の面と平行な表面を形成することができる。よってこの表面の上にショットキー電極を形成することで、ショットキー電極を第2の面と平行にすることができる。
【0013】
本発明のダイオードは、半導体基板と、マスク層と、複数のダイヤモンド部と、ショットキー電極と、オーミック電極とを有する。半導体基板は、第1の面と、第1の面と反対に位置し単結晶炭化珪素から作られた第2の面とを有し、かつ一の導電型を有する。マスク層は、第2の面の上に設けられ、複数の開口部を有し、酸化珪素から作られている。複数の開口部のそれぞれは、第2の面に含まれる複数の領域を露出している。複数のダイヤモンド部は、複数の領域のそれぞれの上に設けられ、一の導電型を有し、単結晶構造を有し、互いに分離されている。ショットキー電極は複数のダイヤモンド部の各々の上に設けられている。オーミック電極は第1の面上に設けられている。
【0014】
上記のダイオードによれば、互いに接触していない複数のダイヤモンド部が設けられる。このような複数のダイヤモンド部を用いることにより、この複数のダイヤモンド部の総面積に対応する面積を有する単一のダイヤモンド部が用いられる場合に比して、結晶欠陥を容易に抑制することができる。これにより、ダイオードの電流密度を規定する断面積を確保しつつ、結晶欠陥に起因した漏れ電流を抑えることができる。
【0015】
上記のダイオードにおいて好ましくは、ショットキー電極は、複数のダイヤモンド部のそれぞれの上に位置しかつ互いに分離した複数の電極部を有する。これにより、各ダイヤモンド部において最適な場所に選択的にショットキー電極を設けることができる。
【0016】
上記のダイオードにおいて好ましくは、ダイオードは、複数の電極部を互いに電気的に接続する配線を有する。これにより複数の電極部の電流を一の配線の電流にまとめることができる。
【0017】
上記のダイオードにおいて好ましくは、複数のダイヤモンド部の各々のうちショットキー電極に接する部分の不純物濃度が、複数のダイヤモンド部の各々のうち半導体基板に接する部分の不純物濃度に比して小さい。これによりダイヤモンド部全体に起因するオン抵抗を抑制しつつ、オフ状態において空乏層をより進展させることで耐圧を大きくすることができる。
【0018】
上記のダイオードにおいて好ましくは、複数のダイヤモンド部の各々は第2の面と平行な表面を有する。ショットキー電極は表面上に設けられている。これにより第2の面と平行なショットキー電極を形成することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ダイオードの漏れ電流を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態におけるダイオードの構成を概略的に示す図であり、図1(B)の線IA−IAに対応する部分断面図(A)、および図1(A)のダイオードの内部構成を概略的に示す部分平面図(B)である。
【図2】本発明の一実施の形態におけるダイオードの製造方法を概略的に示すフロー図(A)、および図2(A)のフロー図のうち複数のダイヤモンド部を形成する工程をより詳細に示すフロー図(B)である。
【図3】本発明の一実施の形態におけるダイオードの製造方法の第1工程を概略的に示す図であり、図3(B)の線IIIA−IIIAに対応する部分断面図(A)、および部分平面図(B)である。
【図4】本発明の一実施の形態におけるダイオードの製造方法の第2工程を概略的に示す図であり、図4(B)の線IVA−IVAに対応する部分断面図(A)、および部分平面図(B)である。
【図5】本発明の一実施の形態におけるダイオードの製造方法の第3工程を概略的に示す図であり、図5(B)の線VA−VAに対応する部分断面図(A)、および部分平面図(B)である。
【図6】本発明の一実施の形態におけるダイオードの製造方法の第4工程を概略的に示す図であり、図6(B)の線VIA−VIAに対応する部分断面図(A)、および部分平面図(B)である。
【図7】本発明の一実施の形態におけるダイオードの製造方法の第5工程を概略的に示す図であり、図3(B)の線VIIA−VIIAに対応する部分断面図(A)、および部分平面図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1(A)および(B)に示すように、本実施の形態のダイオード100は、炭化珪素基板10(半導体基板)と、マスク層11と、複数のダイヤモンド部12と、ショットキー電極13と、層間絶縁膜14と、配線15と、オーミック電極16とを有する。
【0022】
炭化珪素基板10は、裏面S1(第1の面)と、裏面S1と反対に位置する上面S2(第2の面)とを有する。また炭化珪素基板10は単結晶炭化珪素(SiC)から作られている。よって上面S2も単結晶炭化珪素から作られている。炭化珪素の結晶構造は好ましくは立方晶(3C型)を有し、この場合、上面S2の面方位は好ましくは(100)面である。また炭化珪素基板10はp型(一の導電型)を有する。p型を付与するための不純物は、たとえばアルミニウム(Al)またはホウ素(B)である。
【0023】
マスク層11は上面S2の上に設けられている。マスク層11は酸化珪素(SiO2)から作られている。マスク層11は複数の開口部OPを有する。複数の開口部OPのそれぞれは、炭化珪素基板10の上面S2に含まれる複数の領域ERを露出している。各開口部OPは、たとえば円形形状を有する。各開口部OPの直径は、たとえば数μm〜数十μmである。好ましくは、開口部OPは、第1の方向(たとえば図1における横方向)に一定周期で配置されており、より好ましくは一の方向に交差する第2の方向(たとえば図1における縦方向)にも一定周期で配置されている。好ましくは第1および第2の方向は互いに直交している。周期は、たとえば10〜100μm程度である。
【0024】
複数のダイヤモンド部12は、複数の領域ERのそれぞれの上に設けられている。複数の領域ERは互いに分離されている。各ダイヤモンド部12は、半導体基板の導電型と同じ導電型を有し、本実施の形態においてはp型を有する。各ダイヤモンド部は単結晶構造を有する。p型を付与するための不純物は、たとえばホウ素(B)である。
【0025】
具体的には各ダイヤモンド部12はp+部12aおよびp-部12bを有する。p+部12aは、マスク層11が設けられた炭化珪素基板10上に位置している。p-部12bはp+部12a上に位置している。p-部12bの不純物濃度はp+部12aの不純物濃度に比して小さい。各ダイヤモンド部12のp-部12bは、上面S2と平行な表面Fbを有する。
【0026】
ショットキー電極13は複数のダイヤモンド部12の各々の上に設けられている。具体的には、ショットキー電極13は、互いに分離した複数の電極部13pを有し、それぞれが複数のダイヤモンド部12上に位置している。本実施の形態においては各電極部13pは炭化珪素基板10の表面Fb上に設けられている。よって各電極部13pはp+部12aおよびp-部12bのうち後者に接しており、これにより、複数のダイヤモンド部12の各々のうちショットキー電極13に接する部分の不純物濃度が、複数のダイヤモンド部12の各々のうち炭化珪素基板10に接する部分の不純物濃度に比して小さい。ショットキー電極13の材料は、たとえば、白金(Pt)、金(Au)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、またはルテニウム(Ru)である。
【0027】
配線15は、複数の電極部13pを互いに電気的に接続している。層間絶縁膜は配線15とダイヤモンド部12との間を絶縁している。オーミック電極16は炭化珪素基板10の裏面S1上に設けられている。オーミック電極16の材料は、たとえばチタン(Ti)である。
【0028】
次にダイオード100の製造方法について説明する。
まず図3(A)および(B)に示すように、まず炭化珪素基板10が準備される(図2(A):ステップS10)。次に、炭化珪素基板10の上面S2の上に、複数の開口部OPを有し、酸化珪素から作られたマスク層11が形成される(図2(A):ステップS20)。複数の開口部OPのそれぞれは、炭化珪素基板10の上面S2に含まれる複数の領域ERを露出する。
【0029】
次に複数のダイヤモンド部12(図1(A)および(B))を形成するステップS30(図2(A))が、以下に説明するステップS31〜S33(図2(B))により行われる。
【0030】
図4(A)および(B)に示すように、複数の領域ERのそれぞれの上におけるエピタキシャル成長により、p+部12aの不純物濃度に対応する高い不純物濃度を有し、単結晶構造を有する複数のダイヤモンド部12pが形成される(図2(B)ステップS31)。この成長は、たとえば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により行い得る。またこの成長は、複数のダイヤモンド部12pが互いに接触する前に停止される。この結果、まず開口部OPを埋めるような成長が生じ、その後、平面視において開口部OPから横方向(図4(B)における面内方向)に拡がるような成長が生じる。この結果、マスク層11上においてダイヤモンド部12pは四角錘の形状を有する。
【0031】
CVD法の条件を例示すると、成長温度は800〜950℃程度、プロセスガスは原料ガスとしてのメタンガス(CH4)とドーピングガスとしてのジボラン(B26)とキャリアガスとしての水素(H2)ガスとの混合ガス、プロセスガス中のメタンガス濃度は0.2〜8体積%、圧力は13kPa程度である。この成長において、炭素(C)原子は、酸化珪素から作られたマスク層11上には実質的に堆積せず、炭化珪素基板10から作られた領域ER上に選択的に堆積する。
【0032】
次に、各ダイヤモンド部12pが研磨により平坦化される(図2(B):ステップS32)。これにより、図5(A)および(B)に示すように、各々が表面Faを有する複数のp+部12aが形成される。各表面Faは炭化珪素基板10の上面S2と平行である。
【0033】
次に図6(A)および(B)に示すように、複数のp+部12aのそれぞれの上において、上記エピタキシャル成長に比して不純物濃度がより低いエピタキシャル成長が行われる。これにより複数のp-部12bが形成される(図2(B):ステップS33)。この成長において炭素(C)原子は、酸化珪素から作られたマスク層11上には実質的に堆積せず、ダイヤモンドから作られたp+部12a上に選択的に堆積する。この結果、p+部12aを選択的に被覆するようにp-部12bが形成される。また各p+部12aの表面Fa上に、p-部12bからなる表面Fbが形成される。表面Fbは、表面Faと同様、炭化珪素基板10の上面S2と平行である。エピタキシャル成長は複数のp-部12bが互いに接触する前に停止される。言い換えると、エピタキシャル成長は複数のダイヤモンド部12が互いに接触する前に停止される。
【0034】
以上のように、複数のダイヤモンド部12を形成するステップS30(図2(A))が行われる。
【0035】
次に図7(A)および(B)に示すように、ショットキー電極13が形成される(図2(A):ステップS40)。すなわち、複数のダイヤモンド部12の各々の上に、ショットキー電極13として、互いに分離された複数の電極部13pが形成される。具体的には、ショットキー電極13となる薄膜の成膜と、フォトリソグラフィを用いたパターニングとが行われる。このパターニングは、各電極部13pが、ダイヤモンド部12のp-部12bの表面Fb上に選択的に位置するように行われる。
【0036】
次に図1(A)および(B)に示すように、層間絶縁膜14および配線15が形成される(図2(A):ステップS50)。具体的には、層間絶縁膜14となる薄膜の成膜と、複数の電極部13pの各々を露出するコンタクトホールの形成と、このコンタクトホールを介して複数の電極部13pを互いに電気的に接続する配線15の形成とが行われる。また裏面S1上にオーミック電極16が形成される(図2(A):ステップS60)。この後、必要に応じて、炭化珪素基板10のダイシングが行われることで、ダイオード100が得られる。
【0037】
本実施の形態によれば、炭化珪素基板10上においてダイオード100を構成する複数のダイヤモンド部12が互いに接触しないように成長される。これにより、ダイオード100の電流密度を規定する断面積を確保しつつ、単一のダイヤモンド部12が成長される場合に比して、結晶欠陥に起因した漏れ電流を抑えることができる。
【0038】
言い換えると、ダイオード100に、互いに接触していない複数のダイヤモンド部12が設けられる。このような複数のダイヤモンド部12を用いることにより、この複数のダイヤモンド部12の総面積に対応する面積を有する単一のダイヤモンド部12が用いられる場合に比して、結晶欠陥を容易に抑制することができる。これにより、ダイオード100の電流密度を規定する断面積を確保しつつ、結晶欠陥に起因した漏れ電流を抑えることができる。
【0039】
なお仮に複数のダイヤモンド部12が互いに接触するまでダイヤモンド部12の成長が継続されると、この接触が生じた位置を基点として結晶欠陥が伸展し、その結果、ダイオードの漏れ電流が増大してしまう。また仮にマスク層11が省略されたとすると、大きな面積を有する一のダイヤモンド部の成長が行われることになり、このような大面積でのダイヤモンド成長においては結晶欠陥が生じやすい。
【0040】
また本実施の形態によれば、ショットキー電極13は複数の電極部13pを有し、複数の電極部13pは、複数のダイヤモンド部12のそれぞれの上に位置しかつ互いに分離している。これにより、各ダイヤモンド部12において最適な場所に選択的にショットキー電極13を設けることができる。
【0041】
またダイオード100は、複数の電極部13pを互いに電気的に接続する配線を有する。これにより複数の電極部13pの電流を一の配線15の電流にまとめることができる。
【0042】
また複数のダイヤモンド部12の各々のうちショットキー電極13に接する部分の不純物濃度が、複数のダイヤモンド部12の各々のうち炭化珪素基板10に接する部分の不純物濃度に比して小さい。これによりダイヤモンド部12全体に起因するオン抵抗を抑制しつつ、オフ状態において空乏層をより進展させることで耐圧を大きくすることができる。
【0043】
また複数のダイヤモンド部12を形成する工程は、複数のダイヤモンド部12の各々が、炭化珪素基板10の上面S2と平行な表面Fb(図6(A)および(B))を有するように行われる。そしてこの表面Fb上にショットキー電極13が形成される。これにより、炭化珪素基板10の上面S2と平行なショットキー電極13を形成することができる。
【0044】
またダイヤモンド部12p(図4(A)および(B))が平坦化されることで表面Fa(図5(A)および(B)が形成されることにより、表面Fa上に、炭化珪素基板10の上面S2に平行な表面Fbを有するp-部12b(図6(a)および(b))を形成することができる。よってこの表面の上にショットキー電極13を形成することで、ショットキー電極13を上面S2と平行にすることができる。
【0045】
また複数のダイヤモンド部12の各々は上面S2と平行な表面Fbを有し、表面Fb上にショットキー電極13が設けられている。これにより炭化珪素基板10の上面S2と平行なショットキー電極13を形成することができる。
【0046】
またp-部12bは、図6(A)に示すように、表面Faおよび表面Fbの間において厚さがほぼ一定の部分を含む。この部分の上にショットキー電極13が形成されることで、ダイオード100のオン抵抗および耐圧が安定化される。
【0047】
なお半導体基板は、炭化珪素基板10(図1(A))に限定されるものではなく、単結晶炭化珪素から作られた上面を有するものであれば用いることができる。たとえばシリコン基板上に単結晶炭化珪素層が形成されたものが用いられてもよい。
【0048】
また各ダイヤモンド部は、不純物濃度が高いp+部12aと不純物濃度が低いp-部12bとを有するダイヤモンド部12(図1(A))の構成に限定されるものではなく、均一の不純物濃度からなる一の領域から構成されたり、連続的に変化している不純物濃度を有する領域から構成されたりしてもよい。
【0049】
また各ダイヤモンド部は半導体基板の上面に平行な表面Fb(図1(A))を有するものに限定されるものではなく、たとえば、ショットキー電極に接する部分が四角錘の形状を有してもよい。
【0050】
また半導体基板およびダイヤモンド部の導電型はp型に限定されるものではなく、n型であってもよい。
【0051】
またダイヤモンド部のエピタキシャル成長の条件を調整することにより、四角錘の形状を有するダイヤモンド部12p(図4(A)および(B))の代わりに、表面Faを有するp+部12a(図5(A)および(B))と同様の形状を有するダイヤモンド部を、研磨を経ることなく直接成長させることもできる。この調整は、たとえばメタンガスを用いたCVD法におけるメタンガス濃度の調整により行い得る。
【0052】
またオーミック電極16を形成するステップS60(図2(A))は、必ずしも配線15を形成するステップS50の後に行われる必要はなく、任意のタイミングで行われ得る。
【0053】
また開口部OPの平面形状は円形形状(図1(B))に限定されるものではない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
10 炭化珪素基板(半導体基板)、11 マスク層、12,12p ダイヤモンド部、12a p+部、12b p-部、13 ショットキー電極、13p 電極部、14 層間絶縁膜、15 配線、16 オーミック電極、100 ダイオード、OP 開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と、前記第1の面と反対に位置し単結晶炭化珪素から作られた第2の面とを有し、かつ一の導電型を有する半導体基板を準備する工程と、
前記第2の面の上に、複数の開口部を有し、酸化珪素から作られたマスク層を形成する工程とを備え、前記複数の開口部のそれぞれは、前記第2の面に含まれる複数の領域を露出し、さらに
前記複数の領域のそれぞれの上におけるエピタキシャル成長により、前記一の導電型を有し単結晶構造を有する複数のダイヤモンド部を形成する工程を備え、前記エピタキシャル成長は前記複数のダイヤモンド部が互いに接触する前に停止され、さらに
前記複数のダイヤモンド部の各々の上にショットキー電極を形成する工程と、
前記第1の面上にオーミック電極を形成する工程とを備える、ダイオードの製造方法。
【請求項2】
前記ショットキー電極は、前記複数のダイヤモンド部のそれぞれの上に位置しかつ互いに分離した複数の電極部を有する、請求項1に記載のダイオードの製造方法。
【請求項3】
前記複数の電極部を互いに電気的に接続する配線を形成する工程をさらに備える、請求項2に記載のダイオードの製造方法。
【請求項4】
前記複数のダイヤモンド部を形成する工程は、前記複数のダイヤモンド部の各々のうち前記ショットキー電極に接する部分の不純物濃度が、前記複数のダイヤモンド部の各々のうち前記半導体基板に接する部分の不純物濃度に比して小さくなるように行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイオードの製造方法。
【請求項5】
前記複数のダイヤモンド部を形成する工程は、前記複数のダイヤモンド部の各々が前記第2の面と平行な表面を有するように行われ、
前記ショットキー電極を形成する工程において前記ショットキー電極が前記表面上に形成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のダイオードの製造方法。
【請求項6】
前記複数のダイヤモンド部を形成する工程は、前記ダイヤモンド部の少なくとも一部が形成された時点で前記ダイヤモンド部を平坦化する工程を含む、請求項5に記載のダイオードの製造方法。
【請求項7】
第1の面と、前記第1の面と反対に位置し単結晶炭化珪素から作られた第2の面とを有し、かつ一の導電型を有する半導体基板と、
前記第2の面の上に設けられ、複数の開口部を有し、酸化珪素から作られたマスク層とを備え、前記複数の開口部のそれぞれは、前記第2の面に含まれる複数の領域を露出し、さらに
前記複数の領域のそれぞれの上に設けられ、前記一の導電型を有し、単結晶構造を有し、互いに分離された複数のダイヤモンド部と、
前記複数のダイヤモンド部の各々の上に設けられたショットキー電極と、
前記第1の面上に設けられたオーミック電極とを備える、ダイオード。
【請求項8】
前記ショットキー電極は、前記複数のダイヤモンド部のそれぞれの上に位置しかつ互いに分離した複数の電極部を有する、請求項7に記載のダイオード。
【請求項9】
前記複数の電極部を互いに電気的に接続する配線をさらに備える、請求項8に記載のダイオード。
【請求項10】
前記複数のダイヤモンド部の各々のうち前記ショットキー電極に接する部分の不純物濃度が、前記複数のダイヤモンド部の各々のうち前記半導体基板に接する部分の不純物濃度に比して小さい、請求項7〜9のいずれか1項に記載のダイオード。
【請求項11】
前記複数のダイヤモンド部の各々は前記第2の面と平行な表面を有し、
前記ショットキー電極は前記表面上に設けられている、請求項7〜10のいずれか1項に記載のダイオード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−21241(P2013−21241A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155286(P2011−155286)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】