説明

ダイヤフラムポンプ

【課題】 ダイヤフラムポンプにおいて、部品点数の削減を図り、かつモータの取付作業時における自動組立の導入を容易にする。
【解決手段】 マウンター15の底部15aに、円筒状に形成されたモータ保持部16が一体に設けられている。モータ2の外周面には、永久磁石6をヨーク3の所定の位置に取り付けるための突当部3aを押し込み加工により形成するときに同時に形成される複数個の凹部7が設けられている。モータ2をモータ保持部16内に嵌入させ、天井部3bを底部15aの下面15dに突き当てると、凹部7がモータ保持部16の内周面に突設した突起16aに係合し、モータ2がマウンター15に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧計や家電製品等に流体を加圧または減圧するためのダイヤフラムポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のダイヤフラムポンプとしては、マウンターの底部に取り付けられたモータと、このモータのマウンター内に臨む出力軸に軸着されたクランクと、このクランクの出力軸から偏位した部位に傾斜した状態で一端部が固定された駆動軸と、この駆動軸の他端部に中央部が枢支され駆動軸の回転にともなって揺動する駆動子を有する駆動体と、この駆動体の駆動子に取り付けられポンプ室を形成するダイヤフラム部を有するダイヤフラムとを備え、モータの駆動によってクランクが回転し、駆動軸が傾斜方向を変えながら回転することにより、駆動子が揺動動作してポンプ室が拡縮動作することでポンプ作用を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4230761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来のダイヤフラムポンプにおいては、モータをマウンターの底部にねじによって固定する構造であるため、固定するためのねじが必要になり部品点数を削減することができないという問題があった。また、ねじ止めによってモータをマウンターに取り付けるため、取付作業の自動化を導入することが難しいといった問題もある。
【0005】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、部品点数の削減を図り、かつモータの取付作業時における自動組立の導入を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、駆動源としてのモータと、このモータの出力軸と一体的に回転するクランクと、このクランクの回転にともなって往復動する駆動子を有する駆動体と、この駆動体の駆動子の往復動によって拡縮するポンプ室を形成するダイヤフラムと、前記ポンプ室に流体を吸入するための吸入通路と、前記ポンプ室内の流体を吐出するための吐出通路と、前記吸入通路に設けられ前記ポンプ室から吸入通路への流体の逆流を規制する吸入用弁体と、前記吐出通路に設けられ吐出通路から前記ポンプ室への流体の逆流を規制する吐出弁体とを備えたダイヤフラムポンプにおいて、前記モータが取り付けられる弾性変形可能な筒状のマウンターを備え、このマウンターに、前記モータが嵌入されることにより当該モータの外周部に形成された凹部と係合する突起を設けたものである。
【0007】
本発明は、前記発明において、前記マウンターに、前記マウンターの突起に前記モータの凹部が係合するときに前記モータの天井部が突き当たる突当面を設けたものである。
【0008】
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記モータは、筒状のヨークと、このヨークの内面に取り付けられた永久磁石と、この永久磁石に囲まれ前記出力軸に軸着されたロータとを備え、前記凹部は、前記ヨークに前記永久磁石を圧入するとき、当該永久磁石を所定の位置に係止する突当部を設けるために形成される凹部であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、モータをマウンター内に嵌入させ、マウンターを弾性変形させながら凹部に突起を係合させることにより、モータをマウンターに取り付けることができるため、モータをマウンターに取り付けるためのねじが不要になる。また、モータをマウンター内に嵌入させた状態で、モータをマウンターの軸線方向に沿って略直線状に移動させることにより、モータをマウンターに取り付けることができるため、モータの取付作業時における自動組立の導入が容易になる。
【0010】
前記発明のうちの一つの発明によれば、モータをマウンター内に嵌入させ、モータの天井部が突当面に突き当てられると凹部に突起が係合するので、モータの取付けが確実かつ容易になるとともに、モータの取付作業時における自動組立の導入が容易になる。
【0011】
前記発明のうちの一つの発明によれば、ヨークに永久磁石を取り付けるときに当該永久磁石を係止する突当部を形成するのと同時に形成される凹部を利用するため、新たにモータに凹部を形成するための作業が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るダイヤフラムポンプの断面図である。
【図2】本発明に係るダイヤフラムポンプにおけるモータの断面図である。
【図3】本発明に係るダイヤフラムポンプにおけるマウンターを示し、同図(A)は底面側から視た斜視図、同図(B)は底面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示すダイヤフラムポンプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。なお、明細書中において方向を説明するために使用した「上、下」は、説明の便宜上図中における方向をいうものであって、本発明に係るダイヤフラムポンプを実際に使用する際の上・下とは必ずしも一致するものではない。
〔実施の形態1〕
【0014】
先ず、図1ないし図3を用いて、本発明の第1の実施の形態について説明する。図1に全体を符号1で示すダイヤフラムポンプは、平面視が円形を呈する駆動源としてのモータ2を備えている。モータ2は、図2に示すように下方が開口したキャップ状のヨーク3と、ヨーク3の開口を閉塞する底板4とによって形成されたモータハウジング5を備えている。ヨーク3の筒部の上部の外周面には、押し込み加工によってヨーク3の内側に向かって突当部3aを突設するとき、同時に形成される凹部7が円周方向に複数個設けられている。これら複数個の凹部7は矢印A方向の位置(図中高さ方向の位置)が互いに同一の位置に位置付けられている。6はヨーク3の内周面に取り付けられた永久磁石であって、ヨーク3に下方から圧入され上端面6aが突当部3aに係止されることによりヨーク3の所定の位置に取り付けられる。
【0015】
8は出力軸であって、ヨーク3の天井部の中央部に設けた開口に固定された軸受9と、底板4の中央部に固定された軸受10とによって回転自在に支持されている。底板4の中央部には、軸受10の軸受孔を閉塞し出力軸8の非駆動端8aを係止するスラスト受け4aが設けられており、出力軸8の駆動端部8bが軸受9から上方に向かって突出している。出力軸8の中央部には、永久磁石6に対して一定の間隔をおいて対向するロータ12が軸着されており、ロータ12の下方には整流子13が軸着されている。
【0016】
図1において、15は樹脂によって上方が開口し、底部15aと筒部15bとによって略有底円筒状に形成されたマウンターであって、底部15aの中央部に軸孔15cが設けられている。マウンター15は、図3(A)に示すように底部15aを挟んで反対側に延設され、筒部15bと同じ径に形成された円筒状のモータ保持部16が一体に設けられている。
【0017】
このモータ保持部16の内径は、モータ2の外径よりもわずかに大きく形成されている。このモータ保持部16の内周面には、上述したモータ2の凹部7が係合する突起16aがモータ保持部16の中心方向(半径方向)に向かって複数突設されている。このモータ保持部16は、後述するようにモータ2を嵌入させる際に、突起16aに凹部7が係合するときに弾性変形する。
【0018】
この突起16aと底部15aの突当面としての下面15dとの間隔D(図3(A)参照)は、モータ2のヨーク3の天井部3bと凹部7との間隔D(図2参照)と同じ長さに設定されている。したがって、後述するように、モータ2をモータ保持部16内に嵌入させた際、モータ2の天井部3bがマウンター15の底部15aの下面15d(モータ保持部16の天井面)に突き当たると、モータ保持部16の突起16aにモータ2の凹部7が係合する。
【0019】
マウンター15の筒部15bには、図3に示すように円周方向に等角度(120°)をおいて上下方向に延在する三本の溝17がモータ保持部16にまで延設されている。これら三本の溝17によって、モータ保持部16は円周方向に三つに分割されるため、突起16aに凹部7が係合するときに、モータ保持部16が弾性変形し易くなる。
【0020】
図1において、20は略円柱状に形成されたクランクであって、中央部にモータ2の出力軸8の駆動端部8bが固定され、出力軸8と一体的に回転する。21は駆動軸であって、下端部がクランク20の駆動端部8bが取り付けられた部位から偏心した部位に傾斜した状態で取り付けられている。
【0021】
23は中央部に非貫通穴23aが設けられた駆動体であって、上端部に平面視における円周方向に互いに等角度(120°)をおいて、非貫通穴23aと直交する方向に突設された三つの駆動子23b(二つの駆動子23bは図示せず)が一体に設けられている。これら駆動子23bは揺動端部側に向かっていずれも同じ角度だけ下方にわずかに傾斜するように形成され、各揺動端部にはダイヤフラム部取付孔23cが設けられている。
【0022】
この駆動体23は、非貫通穴23aに駆動軸21の上部が嵌挿されることにより、この駆動軸21に回転自在に枢支されており、モータ2を駆動させることによりクランク20を回転させると、駆動軸21が傾斜方向を変えながら回転し、この駆動軸21を介して三つの駆動子23bの揺動端部が順次上下方向に揺動する。
【0023】
25は逆有底円筒状に形成されたダイヤフラムホルダーであって、天井部に円筒状に形成された三つの保持筒25aが円周方向に互いに等角度(120°)をおいて一体に設けられている。
【0024】
26はゴム等の柔軟性を有する材料によって略円板状に形成されたダイヤフラムであって、薄肉状に形成された三つのダイヤフラム部26aが円周方向に互いに等角度(120°)をおいて設けられている。このダイヤフラム部26aの下部にはピストン部26bが一体に設けられ、ピストン部26bの下端には細径部26cが一体に設けられている。
【0025】
27は略円板状に形成されたバルブホルダーであって、外周縁に円筒部27aが一体に立設され、この円筒部27aの内周縁には、吸入通路としての三組の吸入孔27b(二組の吸入孔27bは図示せず)が円周方向に互いに等角度(120°)をおいて形成されている。また、このバルブホルダー27の中央部には、係合凸部27cが一体に立設されており、この係合凸部27cの周りには、吐出通路としての三組の吐出孔27d(二組の吐出孔27dは図示せず)が円周方向に互いに等角度(120°)をおいて設けられているとともに、仕切壁27eが円筒部27aと同心円上に一体に立設されている。
【0026】
図1において、28は吸入孔27bを開閉するアンブレラ状に形成された吸入用弁体であって、後述するポンプ室32から吸入孔27bへの流体の逆流を規制する。29は係合凸部27cに取り付けられ吐出孔27dを開閉するハット状に形成された吐出用弁体であって、後述する吐出口30cからポンプ室32への流体の逆流を規制する。
【0027】
30は逆有底円筒状に形成された蓋体であって、外周縁に円筒部30aが下方に向かって一体に突設され、中央部に円筒部30aと同心円上の平面視リング状の仕切壁30bが下方に向かって一体に突設されている。この蓋体30の天井部の中央部には、吐出口30cが形成された吐出用筒部30dが一体に立設されており、天井部の周縁の一部には、吸入口30eが形成された吸入用筒部30fが一体に立設されている。
【0028】
次に、このように構成されたダイヤフラムポンプの組立方法について説明する。図1において、予め、バルブホルダー27に吸入用弁体28を取り付けるとともに、係合凸部27cに吐出用弁体29を取り付け、このバルブホルダー27に蓋体30を重ねて溶着等により密閉し、バルブホルダー組立体33を形成する。この状態で、互いの円筒部27a,30aが対向するとともに、互いの仕切壁27e,30bが対接し、吸入孔27bと吸入口30eとが連通され、吐出孔27dと吐出口30cとが連通される。
【0029】
次いで、マウンター15のモータ保持部16内にモータ2を嵌入させ、モータ2をマウンター15の軸線方向(矢印A方向)に向かって移動させるように圧入させながら押し込む。モータ保持部16を弾性変形させながら、モータ2の駆動端部8b側の端面である天井部3bをマウンター15の底部15aの下面15d(モータ保持部16の天井面)に突き当てると、モータ保持部16の突起16aにモータ2の凹部7が係合する。この係合によって、出力軸8の駆動端部8bが軸孔15cからマウンター15内に臨むようにして、モータ2がマウンター15の底部15aに取り付けられる。次いで、駆動軸21の下端部をクランク20に固定し、このクランク20を出力軸8の駆動端部8bに軸着する。
【0030】
このように、モータ2をマウンター15の底部15aに取り付けるのに、従来必要としていたねじが不要になる。また、モータ2をマウンター15のモータ保持部16内に嵌入させた状態で、モータ2をマウンター15の軸線方向に沿って略直線状に移動させることにより、モータ2をマウンター15に取り付けることができるため、モータ2の取付作業時における自動組立の導入が容易になる。また、永久磁石6をヨーク3に圧入する際に永久磁石6を所定の位置に係止するための突当部3aを形成する凹部7を利用するため、新たにモータ2に凹部7を形成するための作業が不要になる。
【0031】
また、モータ2をモータ保持部16に取り付ける際、モータ2の天井部3bをマウンター15の底部15aの下面15dに突き当てると、モータ2の凹部7にモータ保持部16の突起16aが係合する。このため、モータ2の凹部7にモータ保持部16の突起16aを確実かつ容易に係合させることができるため作業性が向上し、かつモータ2の取付作業時における自動組立の導入が容易になる。
【0032】
次いで、ダイヤフラム26のダイヤフラム部26aのそれぞれをダイヤフラムホルダー25の各保持筒25a内に挿入して、ダイヤフラム26をダイヤフラムホルダー25上に載置する。この状態で、各ピストン部26bの細径部26cを駆動体23の各駆動子23bの取付孔23cに取り付けることにより、駆動体23とダイヤフラム26がダイヤフラムホルダー25に組み付けられ、ダイヤフラムホルダー組立体34が形成される。
【0033】
このダイヤフラムホルダー組立体34にバルブホルダー組立体33を重ね、ポンプ組立体35を形成する。この状態で、バルブホルダー27とダイヤフラム26の各ダイヤフラム部26aとによって、三つのポンプ室32(二つのポンプ室32は図示せず)が形成され、各ポンプ室32にバルブホルダー27の三組の吐出孔27dおよび吸入孔27bのそれぞれが対応する。次いで、このポンプ組立体35をマウンター15の上方から降下させ、駆動体23の非貫通穴23aに駆動軸21の上部を嵌挿させながら、マウンター15上にポンプ組立体35を載置する。
【0034】
この状態で、マウンター15の溝17内を挿通させたばね(図示せず)により、ポンプ組立体35とマウンター15とを一体化することにより、マウンター15、ダイヤフラムホルダー25、ダイヤフラム26、バルブホルダー27および蓋体30が積層状態に一体化されてダイヤフラムポンプ1が形成される。
【0035】
次に、このように構成されたダイヤフラムポンプ1におけるポンプ作用について説明する。モータ2を駆動し、出力軸8を介してクランク20を回転させると、駆動体23の三つの駆動子23bのそれぞれの揺動端部が順次上下方向に揺動する。一つ目の駆動子23bの揺動端部が下方に移動すると、ピストン部26bを介して一つ目のポンプ室32が拡張するので、そのポンプ室32内のエアーが負圧状態になる。
【0036】
したがって、吸入用弁体28による吸入孔27bの閉塞が解除され吸入孔27bが開放される。この状態で、外部の大気から蓋体30の吸入口30eを通って吸入されたエアーは、一つ目のポンプ室32内に流入する。
【0037】
次に、拡張した一つ目のポンプ室32の駆動子23bの揺動端部が上方に移動すると、一つ目のポンプ室32は収縮するから、一つ目のポンプ室32内のエアーの圧力が高くなり、吐出用弁体29による吐出孔27dの閉塞が解除され吐出孔27dが開放されるから、一つ目のポンプ室32内のエアーは吐出孔27dから吐出口30cを通って、エアーチューブ等に接続された加圧対象物(いずれも図示せず)に供給される。
【0038】
さらに、出力軸8を介してクランク20が回転し、二つ目の駆動子23bの揺動端部が下方に移動することにより二つ目のポンプ室32が拡張するので、そのポンプ室32内のエアーが負圧状態になる。したがって、外部の大気から蓋体30の吸入口30eを通って吸入されたエアーは、拡張した二つ目のポンプ室32内に流入する。
【0039】
次に、拡張した二つ目のポンプ室32の駆動子23bの揺動端部が上方に移動すると、ポンプ室32は収縮するから、ポンプ室32内のエアーの圧力が高くなり、吐出用弁体29による吐出孔27dの閉塞が解除され吐出孔27dが開放されるから、二つ目のポンプ室32内のエアーは吐出孔27dから吐出口30cを通って、エアーチューブ等に接続された加圧対象物に供給される。
【0040】
さらに、出力軸8を介してクランク20が回転し、三つ目の駆動子23bの揺動端部が下方に移動することにより三つ目のポンプ室32が拡張するので、そのポンプ室32内のエアーが負圧状態になる。したがって、外部の大気から蓋体30の吸入口30eを通って吸入されたエアーは、拡張した三つ目のポンプ室32内に流入する。
【0041】
次に、拡張した三つ目のポンプ室32の駆動子23bの揺動端部が上方に移動すると、ポンプ室32は収縮するから、ポンプ室32内のエアーの圧力が高くなり、吐出用弁体29による吐出孔27dの閉塞が解除され吐出孔27dが開放されるから、三つ目のポンプ室32内のエアーは吐出孔27dから吐出口30cを通って、エアーチューブ等に接続された加圧対象物に供給される。このように、三つ目のポンプ室32が順次拡縮動作をするので、吐出口30cから加圧対象物に対して脈動流の少ないエアーが連続的に供給される。
〔実施の形態2〕
【0042】
次に、図4を用いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態が上述した第1の実施の形態と異なる点は、マウンター15に底部15aが設けられてなく、マウンター15は上下が共に開放された円筒状に形成されている点にある。このような構成において、モータ2をマウンター15に取り付けるには、上述した第1の実施の形態と同様に、モータ2をマウンター15の下方側からマウンター15内に嵌入させる。
【0043】
次いで、モータ2を矢印A方向へ移動させながら圧入することにより、マウンター15が弾性変形しながらモータ2の凹部7がマウンター15の突起16aに係合され、モータ2がマウンター15に取り付けられる。この第2の実施の形態においても、上述した第1の実施の形態と同様に、モータ2をマウンター15に取り付けるためのねじが不要になるとともに、モータ2を矢印A方向に略直線状に移動させるだけでマウンター15に取り付けることができるため、モータ2の取付作業時における自動組立の導入が容易になる。
【0044】
なお、本実施の形態においては、ポンプ室32を三つ備えた、いわゆる三気筒の例を挙げたが、二気筒以下または四気筒以上のダイヤフラムポンプに適用できることは勿論である。また、吸入用弁体28および吐出用弁体29をダイヤフラム26と別体に設けた例を説明したが、ダイヤフラム26に一体に形成されたものでもよい。また、モータ保持部16およびマウンター15を円筒状に形成したが、モータ2の平面視における形状に対応させて楕円筒状としたり、角筒状としてもよく、要はモータ2がモータ保持部16またはマウンター15内に嵌入する形状であればよい。また、本実施の形態においては、マウンター15の突起16aに係合する凹部7を、ヨーク3に永久磁石6を取り付けるとき、当該永久磁石6を係止する突当部3aを設けるために形成される凹部を利用したが、これに限定されずヨーク3に形成される他の凹部を利用してもよいことは勿論である。さらに、本実施の形態においては、駆動軸21の一端部がクランク20に固定され、他端部が駆動体23の非貫通穴23aに枢支された構造としているが、駆動軸の一端部をクランクに枢支し、他端部を駆動体に固定した構造としてもいいし、駆動軸の中央部を駆動体に固定し、上下端をダイヤフラムホルダーとクランクとのそれぞれに枢支する構造としてもいいし、駆動軸自体を駆動体と一体形成したものでもよく、種々の設計変更が可能であり、要はクランクの回転にともなって往復動する駆動子を有する駆動体と、駆動子の往復動によって拡縮するポンプ室を形成するダイヤフラムとが備えられていればよい。
【符号の説明】
【0045】
1…ダイヤフラムポンプ、2…モータ、3…ヨーク、3a…突当部、3b…天井部、6…永久磁石、7…凹部、8…出力軸、12…ロータ、15…マウンター、15a…底部、15d…下面(突当面)、16…モータ保持部、16a…突起、20…クランク、21…駆動軸、23…駆動体、23b…駆動子、25…ダイヤフラムホルダー、26…ダイヤフラム、26a…ダイヤフラム部、27…バルブホルダー、28…吸入用弁体、29…吐出用弁体、30…蓋体、32…ポンプ室、33…バルブホルダー組立体、34…ダイヤフラムホルダー組立体、35…ポンプ組立体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源としてのモータと、このモータの出力軸と一体的に回転するクランクと、このクランクの回転にともなって往復動する駆動子を有する駆動体と、この駆動体の駆動子の往復動によって拡縮するポンプ室を形成するダイヤフラムと、前記ポンプ室に流体を吸入するための吸入通路と、前記ポンプ室内の流体を吐出するための吐出通路と、前記吸入通路に設けられ前記ポンプ室から吸入通路への流体の逆流を規制する吸入用弁体と、前記吐出通路に設けられ吐出通路から前記ポンプ室への流体の逆流を規制する吐出弁体とを備えたダイヤフラムポンプにおいて、
前記モータが取り付けられる弾性変形可能な筒状のマウンターを備え、このマウンターに、前記モータが嵌入されることにより当該モータの外周部に形成された凹部と係合する突起を設けたことを特徴とするダイヤフラムポンプ。
【請求項2】
前記マウンターに、前記マウンターの突起に前記モータの凹部が係合するときに前記モータの天井部が突き当たる突当面を設けたことを特徴とする請求項1記載のダイヤフラムポンプ。
【請求項3】
前記モータは、筒状のヨークと、このヨークの内面に取り付けられた永久磁石と、この永久磁石に囲まれ前記出力軸に軸着されたロータとを備え、
前記凹部は、前記ヨークに前記永久磁石を圧入するとき、当該永久磁石を所定の位置に係止する突当部を設けるために形成される凹部であることを特徴とする請求項1または2記載のダイヤフラムポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−36349(P2013−36349A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170730(P2011−170730)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000121833)応研精工株式会社 (31)
【Fターム(参考)】