説明

ダイヤルクリック機構

【課題】 ばねの耐久性を良くできて安定性を良くでき、ベースの縦溝に出入りする際のクリック感を良くでき、ばねの伸縮荷重の選定範囲を広くすることができる。
【解決手段】 ベース1に円状のバックホルダー2が回転可能に配置され、バックホルダーには外縁近傍箇所に円状溝3が形成され、外縁壁4にばね5が入り込む開設部4aが設けられ、バックホルダーの内側の円状溝にばねを係止する突出部6が形成され、ベースの円形の内側壁面1aに複数の縦溝1bが形成され、バックホルダーの開設部に略へ字形のばねが配置され、ばねの両端が両側の突出部に係止され、ばねの頂部がベースの縦溝に外向きに入り込み、バックホルダーの回転でばねの頂部がクリック感をもって縦溝に入り込み、ばねの頂部と両端部にコイルばね部5a、5b、5cが設けられ、バックホルダーの回転でばねの頂部のコイルばね部がベースの縦溝にクリック感をもって入り込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースに円状のバックホルダーが回転可能に配置され、バックホルダーには外縁近傍箇所に円状溝が形成され、その外縁壁にばねが入り込む開設部が設けられると共にバックホルダーの内側に円状溝の一部の両側にばねを係止するための突出部が形成され、ベースの円形の内側壁面に複数の縦溝が形成されており、バックホルダーの開設部に外向きに付勢された略へ字形のばねが配置され、ばねの両端が両側の突出部に係止されてへ字形のばねの頂部がベースの縦溝に外向きに付勢されて入り込んでおり、バックホルダーの回転によってばねの頂部がクリック感をもって次の縦溝に入り込むようにしたダイヤルクリック機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のダイヤルクリック機構は、例えば、図3に示すように、ベース101に円状のバックホルダー102が回転可能に配置され、バックホルダー102には外縁近傍箇所に円状溝103が形成されている。さらに、外縁壁104に板ばね105が入り込む開設部106が設けられると共にバックホルダー102の内側に円状溝103の両側に板ばね105を係止するための突出部107、107が形成されている。更に、ベース101の円形の内側壁面に複数の縦溝108が形成されている。更に、バックホルダー102の開設部107に外向きに付勢された略へ字形の板ばね105が配置され、板ばね105の両端109、109が両側の突出部107、107に係止されて板ばね105のU字形の頂部110がベース101の縦溝108に外向きに付勢されて入り込んでいる。そして、バックホルダー102の回転によって板ばね105の頂部110がクリック感をもって次の縦溝108に入り込むように構成されている。
【0003】
ところが、この従来のダイヤルクリック機構においては、板ばね105を使用していたために、耐久性が良くなく、ばね力が弱くなってクリック感が出なくなり、また、板ばねの荷重を変えることができないために、クリック感の度合いを調整し難いという問題があった。
【0004】
第1の従来技術を図4、図5に示す。この従来のビデオカメラは、図4、図5に示すように、カメラモードのプログラムを指定するプログラムノブを具備し、プログラムノブの回転により電源のオン/オフモードとVCRモードとを実行するモード変換手段と、プログラムノブの回転によりレンズ部を開閉するレンズカバーを駆動させるレンズカバー開閉手段とを含んで構成され、プログラムノブは、ダイアル216と、ダイアル216の下部に結合されて上面に安着溝224が形成されたインナーケース214と、インナーケース214の安着溝224に挿入されてダイヤル216をインナーケース214で弾力的に支持するプレートスプリング215とを含み、インナーケース214の安着溝224は、インナーケース214の上面に内外側壁222、223が形成されて、外側壁223は相互対向する一対の開口225により分離されて、プレートスプリング215の両端部には屈曲部215aが形成されて外外壁223の両側開口225、225を通してプレートスプリング215の屈曲部が突出される状態で安着溝224に安着される。(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところが、これにおいては、プレートスプリング215が板ばねで形成されているために、耐久性が良くなく、ばね力が弱くなるという問題があった。
【特許文献1】特開平10−126660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、ばねの耐久性を良くすることができて安定性を良くすることができ、ベースの縦溝に出入りする際のクリック感を良くすることができ、しかも、ばねの伸縮荷重の選定範囲を広くすることができるダイヤルクリック機構を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、請求項1に記載の発明は、ベースに円状のバックホルダーが回転可能に配置され、前記バックホルダーには外縁近傍箇所に円状溝が形成され、その外縁壁にばねが入り込む開設部が設けられると共に前記バックホルダーの内側の前記円状溝の一部の両側に前記ばねを係止するための突出部が形成され、前記ベースの円形の内側壁面に複数の縦溝が形成されており、前記バックホルダーの開設部に外向きに付勢された略へ字形のばねが配置され、前記ばねの両端が前記両側の突出部に係止されて前記へ字形のばねの頂部が前記ベースの縦溝に外向きに付勢されて入り込んでおり、前記バックホルダーの回転によって前記ばねの頂部がクリック感をもって次の縦溝に入り込むようにしたダイヤルクリック機構において、前記ばねの頂部と両端部にコイルばね部が設けられていて、前記バックホルダーの回転によって前記ばねの頂部のコイルばね部が前記ベースの縦溝にクリック感をもって入り込むように構成したことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、ベースに円状のバックホルダーが回転可能に配置され、前記バックホルダーには外縁近傍箇所に円状溝が形成され、その外縁壁にばねが入り込む開設部が設けられると共に前記バックホルダーの内側の前記円状溝の一部の両側に前記ばねを係止するための突出部が形成され、前記ベースの円形の内側壁面に複数の縦溝が形成されており、前記バックホルダーの開設部に外向きに付勢された略へ字形のばねが配置され、前記ばねの両端が前記両側の突出部に係止されて前記へ字形のばねの頂部が前記ベースの縦溝に外向きに付勢されて入り込んでおり、前記バックホルダーの回転によって前記ばねの頂部がクリック感をもって次の縦溝に入り込むようにしたダイヤルクリック機構において、前記ばねの頂部にコイルばね部が設けられていると共に、前記ばねの両端に前記バックホルダーの突出部に係止する係止部が設けられていて、前記バックホルダーの回転によって前記ばねの頂部のコイルばね部が前記ベースの縦溝にクリック感をもって入り込むように構成したことを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記ばねの両端は、内側に屈曲された略へ字状の係止部に形成されていて、この略へ字状の係止部が前記バックホルダーの突出部に係止されているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、ベースの円形の内側壁面の縦溝に入り込む略へ字形のばねとして頂部と両端にコイルばね部が設けられたものを使用しているから、ばね力が弱くなることがなく、耐久性を良くすることができ、しかも、頂部のコイルばね部がベースの縦溝に出入りする際のクリック感を良くすることができる。また、コイルばね部の巻数を変えることによって、ばねの伸縮荷重の設定範囲を広くすることができる。更に、ばねの両端にコイルばね部を設けているから、この両端のコイルばね部が円状のバックホルダーの両端の突出部に係止されていることにより、ばねの伸縮を十分に吸収することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、ベースの円形の内側壁面の縦溝に入り込む略へ字形のばねとして頂部にコイルばね部が設けられたものを使用しているから、ばね力が弱くなることがなく、耐久性を良くすることができ、しかも、頂部のコイルばね部がベースの縦溝に出入りする際のクリック感を良くすることができる。また、コイルばね部の巻数を変えることによって、ばねの伸縮荷重の設定範囲を広くすることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、略へ字形のばねの両端が、内側に屈曲された略へ字形の係止部に形成されているから、この両端の係止部をバックホルダーの突出部に確実に係止することができ、しかも両端の係止部の形状を簡単化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係るダイヤルクリック機構の実施の形態について、図を参照しつつ説明する。
【0014】
図1は本発明の第1実施形態のダイヤルクリック機構を示す斜視図である。
【0015】
この第1実施形態のダイヤルクリック機構は、図1に示すように、ベース1に円状のバックホルダー2が回転可能に配置されている。バックホルダー2の外縁近傍箇所に円状溝3が形成され、バックホルダー2の外縁壁4にばね5が入り込む開設部4aが設けられる共にバックホルダー2の内側の円状溝3の一部の両側にばね5の両端を係止するための突出部6、6が形成されている。また、ベース1の円形の内側壁面1aに複数の縦溝1bが形成されている。ばね5は略へ字形に形成され、その頂部と両端部にコイルばね部5a、5b、5cが設けられている。ばね5の頂部のコイルばね部5aがベース1の縦溝1bに入り込み、両端のコイルばね部5b、5cがバックホルダー2の突出部6、6の両側に係止されている。バックホルダー2が回転するとばね5の頂部のコイルばね部5aがベース1の縦溝1bにクリック感をもって入り込むように構成されている。
【0016】
従って、この第1実施形態によれば、ベース1の円形の内側壁面1aの縦溝1bに入り込む略へ字形のばね5として頂部と両端にコイルばね部5a、5b、5cが設けられたものを使用しているから、ばね力が弱くなることがなく、耐久性を良くすることができ、しかも、頂部のコイルばね部5aがベース1の縦溝1bに出入りする際のクリック感を良くすることができる。また、コイルばね部5a、5b、5cの巻数を変えることによって、ばね5の伸縮荷重の設定範囲を広くすることができる。更に、ばね5の両端にコイルばね部5b、5cを設けているから、この両端のコイルばね部5b、5cが円状のバックホルダー2の両端の突出部6、6に係止されていることにより、ばねの伸縮を十分に吸収することができる。
【0017】
図2は第2実施形態のダイヤルクリック機構を示す斜視図である。尚、上記した第1実施形態と同一部材、同一箇所には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0018】
この第2実施形態のダイヤルクリック機構は、略へ字形のばね5Aの頂部にコイルばね部5aが設けられ、その両端に内側に屈曲された略へ字形の係止部5d、5eに形成されていて、この略へ字形の係止部5d、5eがバックホルダー2の突出部6、6に係止されている。
【0019】
従って、この第2実施形態によれば、略へ字形のばね5Aの両端が、内側に屈曲された略へ字形の係止部5d、5eに形成されているから、この両端の係止部5d、5eをバックホルダー2の突出部6、6に確実に係止することができ、しかも両端の係止部5d、5eの形状を簡単化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態のダイヤルクリック機構を示す斜視図である。
【図2】第2実施形態のダイヤルクリック機構を示す斜視図である。
【図3】従来のダイヤルクリック機構の斜視図である。
【図4】従来のビデオカメラのプログラムノブを分解した状態の分解斜視図である。
【図5】図4におけるプログラムノブの結合状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ベース
1a 内側壁面
1b 縦溝
2 バックホルダー
3 円状溝
4 外縁壁
4a 開設部
5 ばね
5A ばね
5a コイルばね部
5b コイルばね部
5c コイルばね部
5d 略へ字形の係止部
5e 略へ字形の係止部
6 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースに円状のバックホルダーが回転可能に配置され、前記バックホルダーには外縁近傍箇所に円状溝が形成され、その外縁壁にばねが入り込む開設部が設けられると共に前記バックホルダーの内側の前記円状溝の一部の両側に前記ばねを係止するための突出部が形成され、前記ベースの円形の内側壁面に複数の縦溝が形成されており、前記バックホルダーの開設部に外向きに付勢された略へ字形のばねが配置され、前記ばねの両端が前記両側の突出部に係止されて前記へ字形のばねの頂部が前記ベースの縦溝に外向きに付勢されて入り込んでおり、前記バックホルダーの回転によって前記ばねの頂部がクリック感をもって次の縦溝に入り込むようにしたダイヤルクリック機構において、前記ばねの頂部と両端部にコイルばね部が設けられていて、前記バックホルダーの回転によって前記ばねの頂部のコイルばね部が前記ベースの縦溝にクリック感をもって入り込むように構成したことを特徴とするダイヤルクリック機構。
【請求項2】
ベースに円状のバックホルダーが回転可能に配置され、前記バックホルダーには外縁近傍箇所に円状溝が形成され、その外縁壁にばねが入り込む開設部が設けられると共に前記バックホルダーの内側の前記円状溝の一部の両側に前記ばねを係止するための突出部が形成され、前記ベースの円形の内側壁面に複数の縦溝が形成されており、前記バックホルダーの開設部に外向きに付勢された略へ字形のばねが配置され、前記ばねの両端が前記両側の突出部に係止されて前記へ字形のばねの頂部が前記ベースの縦溝に外向きに付勢されて入り込んでおり、前記バックホルダーの回転によって前記ばねの頂部がクリック感をもって次の縦溝に入り込むようにしたダイヤルクリック機構において、前記ばねの頂部にコイルばね部が設けられていると共に、前記ばねの両端に前記バックホルダーの突出部に係止する係止部が設けられていて、前記バックホルダーの回転によって前記ばねの頂部のコイルばね部が前記ベースの縦溝にクリック感をもって入り込むように構成したことを特徴とするダイヤルクリック機構。
【請求項3】
前記ばねの両端は、内側に屈曲された略へ字状の係止部に形成されていて、この略へ字状の係止部が前記バックホルダーの突出部に係止されている請求項2に記載のダイヤルクリック機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−171046(P2008−171046A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−929(P2007−929)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】