ダイレクトイメージングシステムおよび方法
【課題】音響光学変調器で変調される1または複数の光源アレイによるダイレクトイメージングシステムを提供する。
【解決手段】ダイレクトイメージングシステムは、複数本のビームを放射するように構成される複数の光源を有する照明ユニット100と、複数本のビームを整形して位置または角度をそろえる光学系60と、位置または角度の一方がそろった複数本のビームを受けるとともに、音響波が音響方向に伝搬する際に、複数本のビームの異なる部分を連続して回折させるように位置決めされる音響光学変調器70と、音響光学変調器で変調された複数本のビームを用いて、ある走査速度で露光面を走査するように構成される走査素子80とを備え、走査速度は、複数本のビームの上記異なる部分を非コヒーレントに一体化して単一の露光スポットを得るように選択される。
【解決手段】ダイレクトイメージングシステムは、複数本のビームを放射するように構成される複数の光源を有する照明ユニット100と、複数本のビームを整形して位置または角度をそろえる光学系60と、位置または角度の一方がそろった複数本のビームを受けるとともに、音響波が音響方向に伝搬する際に、複数本のビームの異なる部分を連続して回折させるように位置決めされる音響光学変調器70と、音響光学変調器で変調された複数本のビームを用いて、ある走査速度で露光面を走査するように構成される走査素子80とを備え、走査速度は、複数本のビームの上記異なる部分を非コヒーレントに一体化して単一の露光スポットを得るように選択される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その実施形態において、音響変調(acoustic modulation)を用いるダイレクトイメージング(直接的像形成、直接画像形成または直接結像)(DI:Direct Imaging)に関し、特に、半導体レーザーダイオード(LD:Laser Diode)を用いたダイレクトイメージングに関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
ダイレクトイメージング(DI)システムにおいては、走査ビーム(scanning beam)を用いて像(イメージ、画像)(image)を直接書込む(描画する)(write)。すなわち、フォトレジスト等の露光面(exposure surface)上に一度に1または複数の画素を書く(描画する)。このような像は、ブラッグセル(Bragg cell)とも呼ばれ音響光学変調器(装置)(AOM:Acoustic Optical Modulator)で走査ビームを変調することにより得ることができる。AOMは、記憶したイメージデータに基づいて、音響光学効果により(通常は無線周波数(radio frequency)の)音波を用いて光の回折および偏向を行う。変調後は、露光面(または走査ビーム)が走査方向に進む際(とき)、変調ビーム(変調されたビーム:modulated beam)がマルチファセット回転ポリゴンで反射されることによって、通常はラスターパターンの走査が行われる。
【0003】
既知のシステムにおいては、a)変調器中の音響波の有限速度、およびb)レーザー発光体の連続性、によって引き起こされる生成パターンの空間的ボケを最小限に抑えるため、Scophony走査効果(scanning effect)が用いられる。Scophony走査効果を用いる場合には、AOMと露光面との間の光学系の倍率だけ増加したAOM中の音波の音響速度(acoustic velocity)が露光面上の書込みスポットの走査速度と同等(ただし、方向は反対)である必要がある。このScophony走査効果によれば、露光面上の所定の位置に「持続的(standing)」なデータ情報がもたらされる。
【0004】
「ファセット追跡技術と音響パルスイメージング技術を用いたレーザー走査」という名称の米国特許第4,205,348号の開示内容を本明細書中に参考として援用するが、この特許は、マルチファセット回転ポリゴンを走査装置として用いることによりレーザー走査システムの効率および分解能を改善する方法および装置を記載している。この方法では、音響光学ブラッグセル(acousto-optic Bragg cell)を能動光学素子として用いることにより入射レーザービームを変調するとともに屈折させ、変調ビームが全体走査中にスキャナの1つのファセット(facet)を追跡するとともに、隣接ファセットに移行して後続の走査を行うようにする。音響搬送周波数は、ファセット追跡を可能とするため、記録媒体の表面の走査動作と時間同期して変化する必要がある。また、Scophony走査効果を用いて、レーザー記録または書込みビームと同じ相対速度(ただし、方向は反対)で音響パルスの像を記録媒体の表面で移動させることにより、入力電気信号の像を記録媒体表面上でボケずに形成できることも記載されている。
【0005】
「音響変調器を備えたレーザーマーキング装置」という名称の米国特許第5,309,178号の開示内容を本明細書中に参考として援用するが、この特許は、少なくとも1つのレーザービーム源と、少なくとも一部が重複する変調領域を複数規定する多チャンネル音響変調器と、この少なくとも一部が重複する変調領域のうちの少なくとも2つを横切って各レーザービームがのびるように多チャンネル音響変調器を介して上記少なくとも1つのレーザービーム源からの少なくとも1本のレーザービームを案内する装置と、変調器からの光をレーザーマーキング像面に案内するイメージング装置とを備えたレーザーマーキング装置を記載している。
【0006】
上記レーザービーム源は連続波モードで動作する。また、レーザーダイオード(LD)をレーザービーム源として用いて高感光性材料の記録媒体を走査することも記載されている。選択肢として、レーザービーム源としては、それぞれが対応するドライバを備えた一対のLD、リターデーションプレートおよびコリメーションレンズが考えられる。一対のLDを用いる場合は、偏光子ビームスプリッタによるエネルギー損失なしに合成できるように、リターデーションプレートがLDの偏光ベクトルを回転する。
【0007】
「直接パターン描画器(Direct pattern writer)」という名称の米国特許第6,770,866号の開示内容を本明細書中に参考として援用するが、この特許は、表面を横切ってビームを走査する装置において、表面を横切ってパルスレーザービームを走査するスキャナと、表面を横切る複数の位置でパルスレーザービームから入力を受け付け、当該表面に沿ったパルスレーザービームの位置を示す位置指示を出力する位置指示器とを備える装置を記載している。この位置指示は、たとえば電気回路パターンの(フォトレジスト)感光面への露光等、表面にパターンを露光する装置においてデータを変調するために使用する。このような装置の使用例としては、電気回路の製造が挙げられる。また、Scophony走査効果を用いることによって縁部を固定できることも記載されている。
【0008】
「スキャナシステム」という名称の米国特許第7,046,266号の開示内容を本明細書中に参考として援用するが、この特許は、パターンを表面に描画する(書く)ための走査方法を記載している。この方法は、独立に指定可能な複数のサブビームで構成される走査ビームを提供し(ここで当該走査ビームの非変調エネルギーは標準ガウスプロファイルを有する)、上記走査ビームにより表面を複数回走査し(ここで上記サブビームが走査直交方向に表面を並行走査するとともに各サブビームが変調を受けて描画すべき情報を反映する)、表面の全描画領域が少なくとも2回の走査で描画されるように連続する走査のビームを走査直交方向に重複させるものである。変調は、音響光学変調器(ブラッグセル)によって行われる。また、Scophony効果を用いることによって、フライングスポットスキャナの走査方向における生成縁部のボケが抑制または除去される。
【0009】
また、2つの異なるスペクトル線にエネルギーを有するデータ変調ビームを用いた走査装置と、ビームを受けて表面上にフォーカスする光学系であって、少なくとも1本のビームにより表面上にパターンが描画されるとともに両スペクトル線のエネルギーが表面上の同じ位置にフォーカスされるようにした光学系とが記載されている。同じ位置へのフォーカシングは、入出力面における(異なる波長の)2本のビームの屈折差が両ビームのブラッグ角の差と全く同等で正反対となるようにAOMの入射面および出射面を設計することによって可能となる。このように、同時に入射した2本のビームは、同時に出射する。
【0010】
「照明システムおよび露光装置」という名称の米国特許公開第2007/0058149号の開示内容を本明細書中に参考として援用するが、この特許は、2次元配列の半導体LDを用いて記録媒体を照らす方法及び装置を記載している。この2次元配列のLDは、低効率の水銀ランプまたはエキシマレーザーに取って代わるものである。2次元配列のLDから出力された拡散ビームは、2種類のシリンドリカルレンズによって広がり角が円周方向に均一化された高指向性ビームに変換される。また、ビーム中心とのずれに起因する個々のビームの光学軸の傾きは、2次元配列の楔状ガラスによって補正される。ビームは、マスクまたはデジタルミラーデバイス(DMD:Digital Mirror Device)等の2次元光変調器で変調することにより、マスクレス露光を行う。
【発明の開示】
【0011】
本発明の実施形態に係る一態様によれば、音響光学変調器(装置)(AOM)で変調される1または複数の光源アレイによるダイレクトイメージング(DI)システムおよび方法が提供される。本発明の実施形態によれば、このDIシステムおよび方法は、Scophonyの原理を用いて、1または複数の光源アレイからのビームを非コヒーレント(インコヒーレント)(incoherently)に合成(combine)することにより単一の露光スポット(single exposure spot)を得る。選択肢として、この1または複数の光源アレイは、LD等の低電力光源アレイである。また、選択肢として、異なるアレイからのビームを合成することにより、ビームの出力が増大される。さらに、選択肢として、光源アレイは、複数の波長を有する光源のアレイである。
【0012】
本発明の実施形態に係る一態様によれば、複数本のビームを放射するように構成される複数の光源を有する照明ユニットと、上記複数本のビームを形成して位置または角度をそろえる(一致させる)(align)光学系と、位置または角度の一方がそろった(を一致させた)上記複数本のビームを受けるとともに、音響波が音響方向に伝搬するときに、当該複数本のビームの異なる部分を連続して回折させるために設けられる音響光学変調器と、音響光学変調器で変調される複数本のビームを用いて、ある走査速度で露光面を走査するように構成される走査素子であって、当該走査速度が、当該複数本のビームの上記異なる部分を非コヒーレントに一体化して(incoherently unite)単一の露光スポットを得るように選択される走査素子とを備えるダイレクトイメージングシステムが提供される。
【0013】
選択肢として、上記複数の光源は、複数の半導体レーザーダイオードである。
【0014】
選択肢として、上記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源は、当該複数の光源のうちの少なくとも1つの別の光源と波長が異なる光を放射するように構成される。
【0015】
選択肢として、上記複数の光源は、370〜410nmの範囲の光を放射する。
【0016】
選択肢として、上記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源は、当該複数の光源のうちの少なくとも1つの別の光源と異なる偏光を有するように構成される。
【0017】
選択肢として、上記複数の光源は1または複数のアレイ上に配置され、各アレイがこのダイレクトイメージングシステムの走査方向と一致している。
【0018】
選択肢として、各アレイは、2〜100個の光源を含む。
【0019】
選択肢として、一度に上記光源の一部のみが動作する。
【0020】
選択肢として、上記走査素子は複数のファセット(facet)を含む回転ポリゴンであり、動作する光源の部分が当該複数ファセットのうちの1つのファセットの角度に応じて走査中に選択される。
【0021】
選択肢として、上記複数の各光源には専用レンズが組合わされており、当該専用レンズは、光源から放射されたビームを整形する(shape)ように構成される。
【0022】
選択肢として、上記専用レンズは、上記ビームを走査方向と垂直な方向に長くなるように整形するように構成される。
【0023】
選択肢として、上記専用レンズは、上記ビームを走査直交方向(cross-scan direction)と垂直な方向に長くなるように整形するように構成される。
【0024】
選択肢として、上記音響光学変調器には上記複数本のビームを受け入れる開口が設けられており、上記専用レンズおよび光学系は、走査方向と垂直な方向および走査直交方向と垂直な方向の少なくとも一方向に当該開口を満たす(占める)(fill)ように上記ビームを整形するように構成される。
【0025】
選択肢として、上記光学系は、上記複数の光源から音響光学変調器に向かうビームをコリメートするように構成される素子を含む。
【0026】
選択肢として、上記光学系は、上記音響光学変調器の開口に上記複数本のビームを案内するように構成されるテレセントリック光学系(telecentric optical system)を含む。
【0027】
選択肢として、上記複数本のビームの異なる各部分は、上記音響光学変調器から受けた当該複数本の各ビームの一部を含む。
【0028】
選択肢として、上記複数本のビームの異なる各部分は、当該複数本のビームのうちの1または複数本のビームを含む。
【0029】
選択肢として、上記走査速度は、上記音響光学変調器の音響速度にこのシステムの倍率を乗じた値に一致するが、方向は反対となるように規定される。
【0030】
選択肢として、上記音響光学変調器は、多チャンネル音響光学変調器である。
【0031】
選択肢として、このシステムは、少なくとも2つの上記照明ユニットと、この少なくとも2つの照明ユニットからの対応するビームを合成する(combine)少なくとも1つの光学素子とをさらに備える。
【0032】
選択肢として、上記2つ以上の照明ユニットからの対応するビームの波長および偏光の少なくとも一方が異なる。
【0033】
本発明の実施形態に係る一態様によれば、複数本のビームを放射するように構成される複数の光源を有する照明ユニットを提供し、上記複数本のビームの位置または角度の一方がそろう(一致する)(align)ように当該複数本のビームを音響光学変調器に案内し(direct)、音響波が音響方向に伝搬する間、上記複数本のビームの異なる部分を連続して回折させ、上記音響光学変調器からの出力により露光面を走査方向に走査するダイレクトイメージング方法が提供される。ここで、当該走査は、上記複数本のビームの異なる部分を非コヒーレントに一体化して(incoherently unite)単一の露光スポットを得るように選択される走査速度で行われる。
【0034】
選択肢として、上記複数の光源は複数の半導体レーザーダイオードを含む。
【0035】
選択肢として、上記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源は、当該複数の光源のうちの少なくとも1つの別の光源と波長が異なる光を放射するように構成される。
【0036】
選択肢として、上記光源アレイは、370〜410nmの範囲の光を放射する。
【0037】
選択肢として、上記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源は、当該複数の光源のうちの少なくとも1つの別の光源と異なる偏光を有するように構成される。
【0038】
選択肢として、上記複数の光源は1または複数のアレイ上に配置され、各アレイは、上記走査の方向と一致している。
【0039】
選択肢として、各アレイは、2〜100個の光源を含む。
【0040】
選択肢として、この方法は、一度に上記光源の一部のみを動作させる(operate)ことをさらに含む。
【0041】
選択肢として、上記光源のうちの動作させる光源は、上記走査に用いるファセットの角度に応じて選択される。
【0042】
選択肢として、この方法は、上記複数本の各ビームを上記走査の走査方向と垂直な方向に長くなるように整形することをさらに含む。
【0043】
選択肢として、この方法は、上記複数本の各ビームを上記走査の走査直交方向と垂直な方向に長くなるように整形することを含む。
【0044】
選択肢として、この方法は、上記走査の走査方向と垂直な方向および当該走査の走査直交方向と垂直な方向の少なくとも一方向に上記音響光学変調器の開口を満たす(占める)ように上記複数本の各ビームを整形することを含む。
【0045】
選択肢として、上記複数本のビームの異なる各部分が、上記音響光学変調器から受けた当該複数本の各ビームの一部を含む。
【0046】
選択肢として、上記複数本のビームの異なる各部分は、当該複数本のビームのうちの1または複数本のビームを含む。
【0047】
選択肢として、この方法は、上記複数の光源から音響光学変調器に向かうビームをコリメートすることをさらに含む。
【0048】
選択肢として、この方法は、上記音響光学変調器の音響速度にシステムの倍率を乗じた値に一致させるが方向は反対となるように規定することをさらに含む。
【0049】
選択肢として、この方法は、複数の照明ユニットを提供するとともに、当該複数の照明ユニットからの対応するビームを合成することをさらに含む。
【0050】
選択肢として、上記複数の照明ユニットからの対応するビームの波長および偏光の少なくとも一方は異なる。
【0051】
本発明の実施形態に係る一態様によれば、ダイレクトイメージングシステムにおけるファセット追跡(facet tracking)方法において、ビームアレイを放射するように構成される光源アレイを提供し(ここで当該光源のアレイは当該ダイレクトイメージングシステムの走査方向とそろっている(一致している))、上記複数の光源が走査に用いる回転ポリゴンの単一ファセットの長さよりも長い長さに沿って光を投射するように、当該光源アレイからのビームを音響光学変調器に案内し、上記音響光学変調器からの出力により露光面を走査方向に走査し、上記ポリゴンの回転に協調して上記光源の異なるサブセットを選択的に動作させる(ここで当該光源の選択されたサブセットが、走査に用いるファセットにその光が当る(impinge)光源である)方法が提供される。
【0052】
選択肢として、この方法は、上記複数の動作ビームが走査に用いる上記ファセットの長さに沿って当るように、上記アレイの各光源が上記音響光学変調器に対して異なる入射角を有するように調整することをさらに含む。
【0053】
選択肢として、この方法は、上記ポリゴンの回転に協調して、上記複数の光源のうち、走査に用いる上記ファセットの縁部近傍に当りまたは周囲を通過するビームを放射する光源をオフすることをさらに含む。
【0054】
選択肢として、この方法は、上記複数本の動作ビームを非コヒーレントに一体化して単一の露光スポットを得ることをさらに含む。
【0055】
別段の規定がない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および/または科学用語は、本発明の技術分野の当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。本発明の実施形態の実施または試験においては、本明細書に記載のものと類似または均等の方法および材料を使用可能であるが、以下では例示的な方法および/または材料を説明する。矛盾が生じた場合は、定義を含めて本特許明細書を優先するものとする。また、材料、方法、および実施例はほんの一例に過ぎず、必ずしも限定的に捉えるべきものではない。
【0056】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態を一例として説明する。ここで、図面を詳細に参照するに当たり、図示の具体的事項はほんの一例であって、本発明の実施形態を具体的に説明することを目的としたものである。この点で、以下の図面に付随する説明によれば、本発明の実施形態の実施方法が当業者には明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態に係る、例示的なDI走査システムの簡易ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る、例示的な光源アレイの簡易模式図である。
【図3A】本発明の実施形態に係る、アレイの個々のビームをAOMの開口内に配置する例示的な光学設計の模式図である。
【図3B】本発明の実施形態に係る、個々のビームを走査方向および走査直交方向に整形する例示的な光学設計の模式図である。
【図3C】本発明の実施形態に係る、AOMおよび瞳面上に像形成された(imaged)ビームの簡易模式図である。
【図4A】本発明の実施形態に係る、アレイの個々のビームをAOMの開口内に配置する別の例示的な光学設計の模式図である。
【図4B】本発明の実施形態に係る、個々のビームを走査方向および走査直交方向に整形する別の例示的な光学設計の模式図である。
【図4C】本発明の実施形態に係る、別の例示的な光学設計においてAOMおよび瞳面上に像形成されたビームの簡易模式図である。
【図5】本発明の実施形態に係る、DIシステムのビーム形成光学系の例示的な光路を示した図である。
【図6】本発明の実施形態に係る、多チャンネルAOMに配置された例示的な光ビームアレイの模式図である。
【図7】本発明の実施形態に係る、3つの異なる時間フレームにわたってScophony走査効果を用いた光ビーム変調の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の実施形態に係る、書込みビームに形成された例示的な光源マトリクスの簡易模式図である。
【図9A】本発明の実施形態に係る、AOM面および対応する瞳面上への像形成に際して複数のアレイに配置されたビームマトリクスの一例を示す模式図である。
【図9B】本発明の実施形態に係る、AOM面および対応する瞳面上への像形成に際して複数のアレイに配置されたビームマトリクスの一例を示す模式図である。
【図9C】本発明の実施形態に係る、AOM面および対応する瞳面上への像形成に際して複数のアレイに配置されたビームマトリクスの一例を示す模式図である。
【図9D】本発明の実施形態に係る、AOM面および対応する瞳面上への像形成に際して複数のアレイに配置されたビームマトリクスの一例を示す模式図である。
【図10A】本発明の実施形態に係る、ファセット追跡方法を示す簡易模式図である。
【図10B】本発明の実施形態に係る、ファセット追跡方法を示す簡易模式図である。
【図10C】本発明の実施形態に係る、ファセット追跡方法を示す簡易模式図である。
【図10D】本発明の実施形態に係る、ファセット追跡方法を示す簡易模式図である。
【図11】本発明の実施形態に係る、2つの光源アレイおよびこの2つのアレイからのビームを合成する光学系を含む例示的な照明ユニットの簡易模式図である。
【図12】本発明の実施形態に係る、異なるアレイからのビームを合成する例示的な光学設計の模式図である。
【図13】本発明の実施形態に係る、DIシステムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明は、その実施形態(実施例)において、音響変調(acoustic modulation)を用いたDIに関し、特に、半導体LDを用いたダイレクトイメージングに関するが、これに限定されるものではない。
【0059】
本発明の実施形態によれば、AOMで変調される1または複数の光源アレイ(光源の1または複数のアレイ)(array of light sources)を用いて記録媒体を走査する書込みビーム(描画ビーム)(writing beam)を形成するDIシステムが提供される。例示的実施形態において、上記光源アレイは、たとえば50個の光源または2〜100個の光源を含む、書込みビームを形成するように成形された高密度アレイである。また、例示的実施形態においては、50×10個の光源を含む複数の光源アレイおよび/または光源マトリクスにより書込みビームが形成される。選択肢として、このアレイは、たとえば370〜410nmの範囲の異なる波長および/または異なる偏光を有する光源等、スペクトル特性が異なる光源を具備する。通常、このアレイの光源は、連続波モードで動作する。例示的実施形態において、このアレイは、半導体LDアレイである。
【0060】
通常、このシステムは、AOMの面(plane)を記録媒体(たとえば、所望の倍率で露光されるパネル等)上にイメージング(像形成)する走査光学系を具備する。本発明の実施形態によれば、この走査光学系は、光源アレイの波長範囲に渡ってアクロマート(achromatic)である。通常は、ポリゴンミラーによりビームを偏向させることによって、ラスター走査が可能となる。
【0061】
本発明の実施形態によれば、DI方法では、DIシステムの単一の走査掃引(single scanning sweep)中にアレイの異なる光源で記録媒体上にスポットを繰り返し露光(expose)する。また、本発明の実施形態によれば、この単一掃引時の繰り返し露光は、Scophony走査効果を適用することによって可能となる。
【0062】
本発明の実施形態によれば、上記1または複数の各アレイの光源は、音響波が伝搬しているときに各アレイにおいて個々のビームを連続的に切り替えるように、音響方向(acoustic direction)に沿ってAOM内で横方向に配置されている。例示的実施形態においては、音響波が伝搬しているときに上記1または複数のアレイに含まれるすべてのビームの部分を連続的に切り替えるように、ビームがAOMの音響方向に及ぶように整形される。本発明の実施形態によれば、アレイ中の切り替えられた各ビームが記録媒体の同じスポットに当る(impinge)ように、Scophony走査効果を用いて、音響波の速度および走査光学系による倍率を走査速度(scanning velocity)に協調(整合)させる。
【0063】
例示的実施形態において、AOMはたとえば24チャンネルまたは4〜1000チャンネル等の多チャンネルAOMであり、走査時には複数の画素(またはスポット)が同時に書かれる(描画される)。これらの各画素は、本明細書に記載の通りScophony走査効果を適用することによって、単一掃引時に繰り返し露光が可能である。例示的実施形態において、上記1または複数のアレイの個々の光源からのビームは、走査直交方向(cross-scan direction)に長くなるように整形され、多チャンネルAOMのチャンネルは、各チャンネルが各細長ビームの異なる部分を変調するように走査直交方向に沿って配置されている。別の例示的実施形態において、アレイの個々の光源からの各ビームは、AOMの開口の全領域を満たす(占める)(fill)ように整形される。
【0064】
本発明者らは、本明細書に記載の通りScophony走査効果を用いて複数の半導体LDにより繰り返し露光を行うことで複数の利点が得られることを発見した。選択肢として、これら利点の一部では、たとえば5〜50Wのレーザー光源または0.1〜2Wの半導体LD等、低電力で動作する半導体LD等の低コストの光源アレイにより通常のDI用のレーザーユニットを置き換えることによって、DIシステムの材料費が低減される。具体的には、従来システムの固体パルスレーザーと比較して、半導体LDはコストが低く、相対的に修理が不要で寿命が長い。例示的実施形態において、本明細書に記載のDIシステムおよび方法による低電力光源を用いた繰り返し露光(repeated exposure)によれば、低感光性材料の走査が可能となる。本発明では、複数の低電力LDを用いて同じスポットを繰り返し露光することにより、低感光性材料への書込み(描画)に必要なエネルギーが蓄積されることが明らかとなっている。例示的実施形態においては、複数の光源により繰り返し露光を行うことによって、通常は低コストの光源に特徴的な高い耐性(tolerance)を有する光源の使用が可能となる。これは、得られる空間プロファイルおよびスペクトルが光源の平均特性によって規定可能なためである。また、本発明では、複数の光源を用いて繰り返し露光を行うことにより平滑効果(smoothing effect)が得られ、露光の全体的な品質が改善されることも明らかとなっている。例示的実施形態において、上記光源アレイは、アレイ中の別の光源が故障した場合に動作可能な1または複数の補助光源を具備する。本発明では、アレイが補助光源を具備することにより、光源ユニットの寿命および/または信頼性の妥協をすることなく、通常は信頼性が低い低コストの光源を使用可能であることも明らかとなっている。選択肢として、照明ユニットは、補助光源による冗長性のため、一部の光源が機能しなくなっても動作を継続可能である。また、選択肢としては、複数の光源を組み合わせることによって、所望のスペクトルが成形される。LDのその他の利点としては、たとえば既知のガスレーザーおよびダイオード励起固体(DPSS:Diode-Pumped Solid State)レーザーと比較した場合の高い電力光変換効率が挙げられる。
【0065】
本発明の実施形態によれば、本明細書に記載のDIシステムおよび方法は、既知のDIシステムの汎用性を向上させる。例示的実施形態において、上記光源アレイは、スペクトル特性が異なる光源を具備する。選択肢としては、上記アレイは波長が異なる光源を具備する。通常は、短波長を用いて記録媒体の表面に精密性(rigidity)を提供し、長波長を用いて記録媒体を通過(penetrate)させる。例示的実施形態においては、異なる波長により、露光パネル上の同じスポットが露光される。選択肢として、特定の用途および/または特定の掃引の場合は、アレイ中の特定の光源(および所要の波長)が選択され、これらの光源のみが動作する(operate)。また、選択肢としては、2つ以上の光源アレイを用いることにより、照明ユニットが提供可能な出力が増大される。さらに、選択肢としては、異なるアレイの光源からのビームを組み合わせることにより、1本のビームが形成される。
【0066】
本発明の実施形態によれば、光源の一部のみを用いて露光面上の各画素またはスポットを書く(描画する)とともに、走査に用いるアクティブ(動作)ファセット(active facet)の方位(orientation)に同期して用いる光源の部分を変更することによってファセット追跡(facet tracking)が可能となる。ファセット追跡に当たっては、各ビームまたはビームの少なくとも一部が異なる位置でポリゴンに当る(impinge)ように構成される。
【0067】
当然のことながら、本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前提として、本発明は必ずしも、以下の説明および/または図面に示す構成の詳細、構成要素の配置、および/または方法に適用を限定するものではない。本発明は、その他の実施形態としても具現化可能であるし、種々態様で実施または実行可能である。
【0068】
次に図面を参照して、図1は、本発明の実施形態(実施例)に依る例示的なDI走査システムの簡易ブロック図である。本発明の実施形態によれば、照明ユニット100は、AOM70の開口(aperture)71に適合するようにビーム形成光学系(beam forming optical system)60で整形される複数本のビーム65を提供する光源501、502、・・・50Nのアレイ50を備えている。通常、光源はLDである。本発明の実施形態によれば、これら複数本のビーム65は、AOM70の開口71を通る音響方向(acoustic direction)に沿って横方向に配置され、1次元のアレイにコリメートされている。これに代えて、これら複数本の各ビーム65は、たとえば開口71のサイズに及ぶ大きなビーム径を有し、AOMの1箇所で重なり合っている。通常、AOM70は、データ制御ユニット700から受信したイメージデータに基づいて入射ビーム65を変調する。また、走査光学系90は、ビームが回転ポリゴン80から偏向されるときに、変調されたデータを含むAOMの面を露光面95上に像形成(image)する。
【0069】
本発明の実施形態によれば、AOM70が有する開口71は、選択肢としてたとえば矩形状で、コリメートされたビームのアレイ65を受けるのに(音響方向75に沿って)十分な広さを有する大開口である。また、選択肢として、開口71は、10〜40mmの幅を有する。例示的実施形態において、AOM70は多チャンネルAOMであり、開口71は、音響方向75と垂直な方向に沿って、AOM70の全チャンネルに及ぶ十分な広さを有する。選択肢として、AOM70は、24〜48のチャンネルを含む。例示的実施形態において、AOM70は、低い音響曲率(low acoustic curvature factor)を示す音響光学材料で構成されている。選択肢として、AOM70は水晶(quartz crystal)で構成されている。また、選択肢として、AOMはTeO2結晶で構成されている。
【0070】
本発明の実施形態によれば、アレイ50は、1次元のLDアレイである。選択肢として、アレイは、多数の光源からの光がビーム形成光学系60の方向に向うことができるように、三日月状に配置された高密度の光源アレイである。例示的実施形態において、アレイ中の各LDには、LD55からのビーム65をビーム形成光学系60に焦点をあわせかつ(一直線に)そろえる(一致させる)(フォーカス/アラインする)(focus and align)レンズアレイ55の専用レンズ55n(n=1、2、・・・N)が付随している。通常、レンズアレイ55は照明ユニット100に含まれ、共通のハウジングに収容されている。
【0071】
本発明の実施形態によれば、アレイ50は、異なる波長のLDを含み、その範囲は選択肢として370〜410nmである。選択肢として、アレイ50は波長が同じ2つ以上のLDを含む。例示的実施形態において、アレイ50は、走査方向と平行または垂直な偏光をもつLDを含む。また、例示的実施形態において、LDは連続波モードで動作する。通常、光源ユニットは2〜100個のLD(たとえば、50個のLD)を含む。例示的実施形態において、アレイ50はある程度の冗長性を有し、アレイ50内のLDの一部のみが一度に動作する。
【0072】
本発明の実施形態によれば、ビーム形成光学系により、個々のビームが整形されるとともにAOM70の開口71内に個々のLDビームが配列(arrange)される。例示的実施形態において、ビーム形成光学系60はAOM70の音響方向75に沿う1つの平面にビームをコリメートする単一の結合光学系(coupling optics)を具備する。
【0073】
例示的実施形態において、ポリゴン80は、援用した米国特許第6,770,866号に記載のポリゴンと類似しており、たとえば援用した米国特許第4,205,348号に記載のビームファセット追跡機能(beam facet tracking capability)を有する。選択肢としては、以下に詳述するように、各露光の間アレイのサブセットのみを動作させ(operate)、この動作するサブセットをファセットが回転しているときに連続的に移動させることによってファセット追跡が実現される。例示的実施形態において、ポリゴン80は、動作中1000〜4000RPM(たとえば、3000RPM)の速度で回転する。本発明の実施形態によれば、走査光学系90は、LDの波長範囲に渡ってアクロマート(achromatic)である。
【0074】
本発明の実施形態によれば、以下に詳述するように、音響波(acoustic wave)は、音響方向75に伝搬する際に、各ビーム65をポリゴン80側へ回折させることによって連続的かつ順々に切り替え、露光面95上への像の形成を行う。選択肢として、音響波は、それが音響方向75に伝搬する際、一度に2本以上のビーム65を回折させる。通常、回折を受けなかったビームは、光ストッパ(optical stop)10に向う。これに代えて、その反対に、AOM70からの非回折光による像を記録媒体上に形成し、回折光をストッパに衝突させてもよい。
【0075】
次に図2を参照して、この図は、本発明の実施形態に依る例示的な光源アレイの簡易模式図である。本発明の実施形態によれば、照明ユニット100は、プラットフォーム57上に搭載された光源501、502、・・・50Nの高密度アレイを含む。選択肢として、このアレイは、2〜100個のLD(たとえば、50個のLD)を含む。通常、照明ユニット100は、プラットフォーム57上に搭載された各LDに対して、各ビームをフォーカス/アラインさせる専用レンズ55を具備する。選択肢として、LDは、プラットフォーム57上に三日月状に搭載されている。また、選択肢としては、2つ以上の光源アレイ(たとえば、2つのアレイ)が用いられる。
【0076】
次に図3Aを参照して、この図は、本発明の実施形態に係るアレイの個々のビームをAOMの開口内に配置する例示的な光学設計の模式図である。本発明の実施形態によれば、ビーム形成光学系は、三日月状アレイ50の個々のLDからのビーム65を音響方向75に沿ってコリメートするシリンドリカルレンズ61を備えている。通常、音響方向75は走査方向に平行である。本発明の実施形態によれば、この光学設計はさらに、音響方向75に沿ってAOM70の開口71へとビームを中継するテレセントリック望遠鏡レンズ系(telecentric telescope lens system)62を備えており、すべてのビームはそれらのブラッグ角(Bragg angle)でAOMに入射する。通常、テレセントリック望遠鏡レンズは、ビームが開口71に適合するとともに平行ビームアレイとして入射するようにビーム整形する機能がある。選択肢としては、ビーム調整レンズ63間の距離を調整することによって、ビームを走査直交(横断)(cross-scan)方向に可変的に拡大可能である。本発明の実施形態によれば、シリンドリカルレンズ83は、ビームが瞳面(pupil plane)の同じスポットに異なる角度から当るように、AOMから回折した個々のビームを曲げる。本発明の実施形態によれば、以下の詳述するように、個々のビームは、音響波が音響方向75に伝搬する際にAOMで連続して回折を受けるが、Scophonyの原理によって、露光面上の同じスポットに露光される。
【0077】
次に図3Bを参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、個々のビームをそれぞれ走査方向および走査直交方向に整形する例示的な光学設計の模式図である。また、図3Cを参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、AOMと瞳面上に像形成された(imaged)ビームの簡易模式図である。図示の通り、実線651nは、走査方向85に一致した速軸(fast axis)における個々のビーム65nの光線を表しており、点線652nは、通常は走査直交方向86に一致した遅軸(slow axis)におけるビーム65の光線を表している。本発明の実施形態によれば、AOM面および/または物体面73(たとえば、露光面(exposure plane))において、各LDビーム651、652、653、・・・65n、・・・65Nは、走査方向85に沿って狭隘な(狭い)ビームウェストを有するように構成されるとともに、走査直交方向86に沿って長く構成されている。選択肢として、ビームは、速軸に沿って近似ガウスビームプロファイル(たとえば、M2〜1.5)を有し、遅軸に沿ってより高次のビームプロファイル(たとえば、M2〜7)を有する。例示的実施形態においては、コリメートレンズ61がビームウェストを走査方向に所望の幅となるように調整する。通常、露光面におけるビームはAOM面のビームの像であるが、瞳面は、AOM面と露光面の両者の共役面(conjugated plane)である。
【0078】
本発明の実施形態によれば、瞳面89(図3C)において、LD501、502、503、・・・50Nからのすべてのビーム651、652、653、・・・65Nは、同じスポットに異なる角度から当る(impinge)。本発明の実施形態によれば、各ビーム651、652、653、・・・65Nは、(走査瞳面87における)走査方向85沿って幅広なビームウェストを有するように構成されるとともに、(走査直交瞳面84における)走査直交方向86に沿って狭隘なビームウェストを有するように構成されている。通常、瞳面89(図3C)は、通常はポリゴン80のファセット面に一致する物理的な走査瞳面と、通常はAOM70とポリゴン80のファセット面との間に位置する走査直交瞳面(図3B)とで構成される仮想面である。
【0079】
次に図4Aを参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、アレイの個々のビームをAOMの開口内に配置する別の例示的な光学設計の模式図である。本発明の実施形態によれば、ビーム形成光学系は、走査方向および走査直交方向の両者において大きなビーム径を有するようにビームを整形する。通常、ビームアレイ65の各ビームは、開口71が満たされるように整形される。また、通常は、シリンドリカルレンズ61がアレイ50の個々のLDからのビームを音響方向75に沿ってコリメートし、個々のビームがAOM70の1箇所で重なり合うように、レンズ系72がAOM70の開口71へとビームを中継する。ただし、個々のビームは重なり合うが、各ビームは異なる角度(たとえば、通常はブラッグ角に近い、わずかに異なる角度)でAOM結晶に当る。
【0080】
本発明のこれら種々実施形態によれば、AOMから回折した個々のビームは、瞳面の異なるスポットに同じ角度から当り、露光面95(図1)の同じスポットに異なる角度から当る。これらの実施形態において、すべての大径ビームの一部(たとえば、アクティブ(作動)ビーム)(active beam)は、同時に回折する。以下に詳述するように、すべての大径ビームの後続の部分は、音響波が音響方向75に伝搬する際に連続して回折を受けるが、Scophonyの原理によって、露光面上の同じスポットに露光される。
【0081】
次に図4Bを参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、個々のビームを走査方向および走査直交方向に整形する別の例示的な光学設計の模式図である。また、図4Cを参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、別の例示的な光学設計においてAOMおよび瞳面上に像形成された(imaged)ビームの簡易模式図である。図示の通り、実線651nは、走査方向85に一致した速軸における個々のビーム65nの光線を表しており、点線652nは、通常は走査直交方向86に一致した遅軸におけるビーム65nの光線を表している。本発明の実施形態によれば、AOM面および/または物体面73において、各LDビーム651、652、653、・・・65n、・・・65Nは、走査方向85および走査直交方向86の両方向に幅広なビームウェストを有するように構成され、両方向に開口71内を占める(満たす)(fill)ようになっている。選択肢として、ビームは、速軸に沿って近似ガウスビームプロファイル(たとえば、M2〜1.5)を有し、ビームの遅軸に沿ってより高次のビームプロファイル(たとえば、M2〜7)を有する。例示的実施形態においては、コリメートレンズ61がビームウェストを走査方向に所望の幅となるように調整する。選択肢としては、ビーム調整レンズ(簡素化のため図示せず)間の距離を調整することによって、ビームを走査直交方向に可変的に拡大可能となる。
【0082】
本発明の実施形態によれば、瞳面89において、LD501、502、503、・・・50Nからのすべてのビーム651、652、653、・・・65Nは、異なるスポットに同じ角度から当る。本発明の実施形態によれば、各ビーム651、652、653、・・・65Nは、(走査瞳面87における)走査方向85および(走査直交瞳面84における)走査直交方向86の両方向に沿って狭隘なビームウェストを有するように構成されている。通常、瞳面89(図4C)は、通常はポリゴン80のファセット面に一致する物理的な走査瞳面87と、通常はAOM70とポリゴン80のファセット面との間に設けられた走査直交瞳面(図4B)とで構成される仮想面である。
【0083】
次に図5を参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、DIシステムのビーム形成光学系の例示的な光路を示す図である。本発明の実施形態によれば、LDの高密度アレイ50からの光は、コリメートレンズ61でコリメートされ、複数の反射面66を介してAOM70に案内されてビーム変調が行われる。通常、アレイ中の各LDには、たとえばビームをコリメートレンズ61にフォーカスさせるレンズアレイ55中の専用レンズが付随している。選択肢として、アレイ中のLDは、波長および/または偏光が異なるLDを含む。例示的実施形態においては、アレイ50中のLDの一部のみが走査中に動作する。また、例示的実施形態においては、アレイからの各ビームがレンズ63により走査直交方向に整形され、一対の望遠鏡レンズ62によりAOM上に中継される。選択肢として、走査直交方向のビームの広がりは、レンズ63間の距離を調整することによって調整可能である。
【0084】
次に図6を参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、多チャンネルAOMに配置された例示的な光線アレイの模式図である。本発明の実施形態によれば、コリメートされ、走査方向85および/または音響方向75に沿って配列された光ビーム65のアレイは、AOM70の開口71に入射する。選択肢としては、2〜100本の光ビームが音響方向75に沿って配列される。通常、各ビーム65は、音響方向と垂直な方向に沿って長くなるように整形される。また、通常、各ビームは、電極アレイ79により複数の音響チャンネルにわたって変調される。さらに、通常、電極アレイ79は、選択肢として走査直交方向86と一致した音響方向75と垂直な軸に沿って配列されている。通常は、複数のチャンネルによって、一度に2つ以上の画素の書込みが可能となる。
【0085】
動作中は、電極79の位置から音響方向75への音響波(acoustic sound wave)の伝搬を開始する変調パターンに基づいて、RF信号が電極79に送信される。本発明の実施形態によれば、音響波は、音響チャンネルに沿って伝搬する際、当該起動された音響チャンネルに関連するアレイの各ビーム65の部分を連続的に回折させる。本発明の実施形態によれば、同一チャンネルのすべてのビームは同じ信号で変調されるため、当該チャンネルのすべてのビームは同じように変調される。例示的実施形態においては、音響波パケットがアレイの複数本のビーム65を一度に変調する。
【0086】
次に図7を参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、音響波パケット伝搬の3つの異なる時間フレーム(t1、t2、t3で示す)にわたるAOMウィンドウの像(image)の一例を示す模式図である。通常、AOM70の像88は、回転するポリゴン80(図1)により、走査方向85に速度vscanで露光面95を横切って移動する。像全体は走査方向85に移動するが、音響波パケットの位置と一致する像88の部分110だけは露光面95に向って回折される。音響波パケットの位置と一致する像88の部分110は、音響波パケットの速度と走査光学系90の倍率によって決まる速度で音響方向75(走査方向85の反対)に移動する。
【0087】
本発明の実施形態によれば、走査速度vscanは音響速度vacoustと大きさは同じで方向が反対となるように調整されるので(vscan=−vacoust)、移動するAOMウィンドウ88内の前進音響波パケットは常に、像88の部分110を露光パネル95上の同じスポット951に向けて回折させる。したがって、このスポット951は、記録媒体の露光面内で静止し、すべてのレーザーダイオードビームで連続的に照らすことができる。このようにビームは非コヒーレント(incoherently)に合成(combine)される。選択肢として、走査線は、滑らかなエネルギープロファイルとなるように、走査直交方向に重なり合っている。
【0088】
次に図8を参照して、この図は、本発明の実施形態に係る書込み(描画)ビームを形成する例示的な光源マトリクスの簡易模式図である。本発明の実施形態によれば、照明ユニット101は、光源5011、5012、・・・5021、5022、・・・50NMのマトリクス555および/または専用レンズ(たとえば、レンズ55(図1)に類似)で整形された複数本のビーム665を提供する2つ以上の光源アレイ、ならびにAOM70の開口71に適合させるビーム形成光学系666を備えている。本発明の実施形態によれば、マトリクス555は、多数の光源からの光がビーム形成光学系666に向うことができるように、凹形状面上に配置されている。例示的実施形態において、マトリクスの各LDには、LD555からのビーム665をビーム形成光学系666にフォーカス/アラインさせる専用レンズ(簡素化のため図示せず)が組合わされている。本発明の実施形態によれば、マトリクス555は、2〜100個の光源で構成された1〜20個のアレイを含む。
【0089】
本発明の実施形態によれば、システムに導入可能なビーム665の本数は、走査光学系90の許容角度範囲および開口71のサイズによって制限される。通常、許容角度範囲は、走査方向85と走査直交方向86とでは異なり、像面95における走査光学系90の開口数およびAOM70と像面95との間のシステムの倍率によって決まる。本発明の実施形態によれば、所与の許容角度範囲に対して、AOM70の開口71における単一LDからのビームのサイズが計算可能である(たとえば、最も小さなビームサイズが計算可能である)。通常、最も小さなビームは、所与のスポットサイズについてのビームの角度発散の尺度であるLDのビームパラメータ積(M2)によって決まる。本発明の実施形態によれば、開口71における単一ビームのサイズが計算されると、それぞれが走査光学系90の許容角度範囲に適合する角度発散を有し、開口71に適合するLDビームの数は開口71のサイズによって規定される。通常、マトリクス555の行と列の数は、開口71の寸法によって決まる。また、通常、AOM70は、データ制御ユニット700から受信するイメージデータに基づいて入射ビーム665を変調する。また、走査光学系90は、ビームが回転ポリゴン80から偏向するときに、変調されたデータを含むAOMの面を露光面95上に像形成する(image)。
【0090】
次に図9A、図9B、図9C、および図9Dを参照して、これらの図は、本発明の実施形態に係る、AOM面および対応する瞳面上に像が形成されるときの複数のアレイに配置されたビームの一例を示す模式図である。図には、一例として、走査直交方向86に沿って5個、そして走査方向85に沿って12個のLDを含むマトリクス555からのビームのビーム形成を示している。通常、瞳面の開口は、開口角(angular aperture)である。また、通常、照明ユニット101のマトリクス555は、光学系666により開口71に適合するように構成された50×10個のLDを含む。本発明の実施形態によれば、マトリクス555のビームは、書込み(描画)ビームを形成する複数の異なる構成に形成することができる。
【0091】
ここで図9Aを参照して、例示的実施形態においては、走査直交方向および走査方向の両方向に狭隘となるようにビーム665が形成され、AOM面において互い違いのマトリクス形式(staggered matrix formation)に配置されることにより、像(イメージ:image)701が形成される。例示的実施形態において、像701においては、各ビーム665が同じ角度からAOM面733の異なる位置に当る(impinge)。これらの実施形態において、各ビームは対応する瞳面899の同じ位置に当り、開口全体を占める。
【0092】
ここで図9Bを参照して、例示的実施形態においては、走査直交方向86に幅広で走査方向85に狭隘となるようにビーム665が形成され、AOM面において互い違いの列アレイ(staggered column array)に配置されることにより、像702が形成される。本発明の実施形態によれば、各列の異なる各行(たとえば、5つの行)からのビーム665は、AOM面733の同じ位置に異なる角度から当るように構成される。一方、異なる各列からのビーム665は、AOM面733の異なる位置に同じ角度から当るように構成される。これらの実施形態において、AOM面733に得られる像702は通常、走査方向85に沿って互い違いの列の数(たとえば、12個の列)に対応する数の幅広スポットを含む単一のアレイである。本発明の実施形態によれば、対応する瞳面899において、得られる像802は、行の数(たとえば、5つの行)に対応する走査直交方向に互い違いの幅広スポットの単一アレイを含む。通常、これらの実施形態において、瞳面899においては、同じ行の異なる列からのビーム665が同じスポットに当る。
【0093】
ここで図9Cを参照して、例示的実施形態においては、走査方向85に幅広で走査直交方向86に狭隘となるようにビーム665が形成され、像703が形成される。これらの実施形態において、各行の異なる各列(たとえば、12個の列)からのビーム665は、AOM面733の同じ位置に異なる角度から当るように構成される。一方、異なる各行からのビーム665は、AOM面733の異なる位置に同じ角度から当るように構成される。通常、AOM面733に得られる像703は、走査直交方向86に沿って互い違いの行の数(たとえば、5つの行)に対応する数の幅広スポットを含む単一のアレイである。これらの実施形態において、対応する瞳面899においては、走査方向85に沿って互い違いの列の数(たとえば、12個の列)に対応する数の幅広スポットを含む単一のアレイの像803がビーム665によって形成される。通常、瞳面899の像803においては、同じ列の異なる行からのビーム665が同じスポットに当る。
【0094】
ここで図9Dを参照して、例示的実施形態においては、光学系666により、走査方向85および走査直交方向86の両方向に同じ位置に異なる角度から当るとともに開口71が満たされるようにビーム665が形成されて、像704が形成される。本発明の実施形態によれば、対応する瞳面899においては、像804の走査方向および走査直交方向の両方向に各ビーム665が異なる位置でマトリクス形式にて当る。これらの実施形態において、瞳面899における各ビーム665は通常、走査方向85および走査直交方向86の両方向に狭隘である。
【0095】
本発明の実施形態によれば、連続する走査線が走査直交方向に重なり合うことで開口71における平均走査直交ビームプロファイルが滑らかとなるようにビーム665が形成される。通常、像702の走査直交方向のプロファイルは、像703よりも滑らかである。選択肢としては、像701におけるビーム665の互い違いのマトリクス形式によって走査直交方向86に重ね合わせることにより、プロファイルの滑らかさを改善可能である。
【0096】
次に図10A〜図10Dを参照して、これらの図は、本発明の実施形態に係る、ファセット追跡方法(facet tracking method)を示す簡易模式図である。本発明の実施形態によれば、ポリゴン80の回転および/または走査に用いるポリゴン80のファセット(たとえば、ファセット81)の角度に協調(整合)してアレイ50の異なるLDを順々にオン、オフすることによってファセット追跡が可能となる。
【0097】
本発明の実施形態によれば、ファセット81の長さLに沿った異なる位置でファセット81に当るビームをアレイ50の各光源が投射するように、光源50の配置および/またはそれぞれのビームの形成が行われる。選択肢としては、アレイの各光源がAOM70に対して異なる入射角を有するように調整することによって、ファセット81の長さ方向に沿って当るビームの分布(distribution)が達成される。また、選択肢として、ファセット81の長さ方向に沿う所望の分布は、シリンドリカルレンズ83によって達成される。例示的実施形態において、アレイ50の光源からのビームは、単一ファセットの長さLよりも大きな長さに沿って光を投射するように配置および/または形成される。
【0098】
本発明の実施形態によれば、ポリゴン80が回転すると、ファセット81に当るビームが異なる光源セットにより提供される。一方、ファセット81の縁部近傍に当る、または周囲を通り過ぎるビームを放射するその他の光源は、オフとされるか、および/または書込み(描画)に用いられない。通常、各スポットまたは画素の書込みには、異なる光源セットが用いられる。これに代えて、書込まれるスポットまたは画素の1つおきに、および/または複数のスポットの書込み後に、使用する光源セットが変更される。
【0099】
一例として、図10Aには、走査の最初にLD504、505、506および507が動作する(operate)一方、ファセット81の縁部近傍に当るまたは周囲を通り過ぎる光を投射するLD501、502および503は未使用の第1の段階を示している。選択肢として、このシステムは、露光パネル上の各スポットおよび/または画素を書く(描画する)光源の半分を動作させるように構成されている。ここで図10Bを参照して、ポリゴン80が回転すると、ファセット81に向かうビームのみが作用するように、LD502、503、504、505および506が動作して、LD501および507はオフとなる。図10Cを参照して、ポリゴン80がさらに回転すると、LD501、502、503および504が動作して、LD505、LD506および507はオフとなる。図10Dにおいては、光源の最初の部分LD504、505、506および507が動作する状態に戻ることにより、ファセット82に対する別の走査が開始される。このように、AOM70を単一のRF周波数で動作しつつ、ファセット追跡を実現してもよい。通常、一度に動作するのが光源の一部のみである場合、得られる出力は妥協したものとなる(compromised)。選択肢として、出力の増大には、より大きなアレイおよび/または2つ以上のアレイを用いてもよい。
【0100】
次に図11を参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、2つの高密度光源アレイおよびこの2つのアレイからのビームを合成する(combine)光学系を含む例示的な照明ユニットの簡易模式図である。通常、AOMの開口に適合可能な個々のビームの数は制限されている。本発明の実施形態によれば、出力は、2つ以上の光源からのビームを合成して1本のビームとすることにより、さらに増大可能である。本発明の実施形態によれば、2つ以上のアレイ(たとえば、アレイ51および52)を含む照明ユニット101を用いるとともに、これら異なるアレイからのビームを合成することによって、照明の拡張性(scalability)が改善される。通常は、各アレイからのビームが低出力損失および/または出力損失なしで合成可能となるように、アレイ51はアレイ52と異なる対応波長および/または偏光を有する。本発明の実施形態によれば、ビームアレイ6501および6502は、偏光スプリッタ94および/または波長選択素子(wavelength selective element)92を用いて、1本のビームアレイ67に合成される。選択肢として、各アレイ51および52は、合成により単一スケールのビームマトリクスを形成するLDマトリクスで置き換えることができる。
【0101】
次に図12を参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、異なるアレイからのビームを合成する例示的な光学設計の模式図である。本発明の実施形態によれば、4つの異なるアレイのLDを組み合わせて1つのアレイを構成する。本発明の実施形態によれば、波長選択素子92が波長の異なるビームを合成し、偏光スプリッタ94が偏光の異なるビームを合成する。たとえば、2つの異なるアレイのLD511および512は波長が同じで偏光が異なり、LD511および521は波長が異なり偏光が同じである。同様に、LD512および522は、波長が異なり偏光が同じである。選択肢として、511、512、521および522からの各ビームは、波長および偏光の少なくとも一方が異なるため、全ビームを組み合わせ可能である。
【0102】
次に図13を参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、DIシステムの一例を示した図である。本発明の実施形態によれば、DIシステム100において、LDアレイ50からの光は、コリメート光学レンズ61によってコリメートされ、AOM70に案内されて変調される。AOM70からの変調ビーム(変調されたビーム)は、回転ポリゴン80に案内され、走査方向85への走査に際して記録媒体95上で走査が行われる。通常、回転ポリゴン80により方向転換された光は、記録媒体95の露光前に走査光学系90によって拡大される。本発明の実施形態によれば、走査速度は、AOM70の音響速度(acoustic velocity rate)に走査光学系90による倍率を乗じたものと等しくなるように調整することにより、Scophony走査効果を用いて、アレイ50の複数のLDによるスポットおよび/または画素の繰り返し露光が可能となる。例示的実施形態において、ポリゴンは、3000RPMの速度で回転する。
【0103】
「備えている」「備える」「具備する」「含む」「有する」という用語およびこれらの同源語は、「・・・を含むが、これに限定されるものではない」ということを意味する。
【0104】
「からなる」とう用語は、「・・・を含み、これに限定される」ということを意味する。
【0105】
「本質的に・・・からなる」という用語は、当該組成、方法または構造に付加的な成分、ステップおよび/または部品が含まれていてもよいが、これら付加的な成分、ステップおよび/または部品が、請求された組成、方法または構造の基本的かつ新規な特性を物質的に変更しない場合に限る。
【0106】
当然のことながら、本発明の特徴は、明瞭化のため別個の実施形態の文脈において説明したが、単一の実施形態として組み合わせてもよい。これに対して、本発明の種々特徴は、簡素化のため単一の実施形態の文脈において説明したが、別個に実施してもよいし、任意適当なサブコンビネーションとして実施してもよいし、本発明の上記その他任意の実施形態に適したものとして実施してもよい。種々実施形態の文脈において説明した一部の特徴は、それぞれの要素なしで実施不能となることがなければ、これら実施形態に不可欠な特徴と考えるべきではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、その実施形態において、音響変調(acoustic modulation)を用いるダイレクトイメージング(直接的像形成、直接画像形成または直接結像)(DI:Direct Imaging)に関し、特に、半導体レーザーダイオード(LD:Laser Diode)を用いたダイレクトイメージングに関するが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
ダイレクトイメージング(DI)システムにおいては、走査ビーム(scanning beam)を用いて像(イメージ、画像)(image)を直接書込む(描画する)(write)。すなわち、フォトレジスト等の露光面(exposure surface)上に一度に1または複数の画素を書く(描画する)。このような像は、ブラッグセル(Bragg cell)とも呼ばれ音響光学変調器(装置)(AOM:Acoustic Optical Modulator)で走査ビームを変調することにより得ることができる。AOMは、記憶したイメージデータに基づいて、音響光学効果により(通常は無線周波数(radio frequency)の)音波を用いて光の回折および偏向を行う。変調後は、露光面(または走査ビーム)が走査方向に進む際(とき)、変調ビーム(変調されたビーム:modulated beam)がマルチファセット回転ポリゴンで反射されることによって、通常はラスターパターンの走査が行われる。
【0003】
既知のシステムにおいては、a)変調器中の音響波の有限速度、およびb)レーザー発光体の連続性、によって引き起こされる生成パターンの空間的ボケを最小限に抑えるため、Scophony走査効果(scanning effect)が用いられる。Scophony走査効果を用いる場合には、AOMと露光面との間の光学系の倍率だけ増加したAOM中の音波の音響速度(acoustic velocity)が露光面上の書込みスポットの走査速度と同等(ただし、方向は反対)である必要がある。このScophony走査効果によれば、露光面上の所定の位置に「持続的(standing)」なデータ情報がもたらされる。
【0004】
「ファセット追跡技術と音響パルスイメージング技術を用いたレーザー走査」という名称の米国特許第4,205,348号の開示内容を本明細書中に参考として援用するが、この特許は、マルチファセット回転ポリゴンを走査装置として用いることによりレーザー走査システムの効率および分解能を改善する方法および装置を記載している。この方法では、音響光学ブラッグセル(acousto-optic Bragg cell)を能動光学素子として用いることにより入射レーザービームを変調するとともに屈折させ、変調ビームが全体走査中にスキャナの1つのファセット(facet)を追跡するとともに、隣接ファセットに移行して後続の走査を行うようにする。音響搬送周波数は、ファセット追跡を可能とするため、記録媒体の表面の走査動作と時間同期して変化する必要がある。また、Scophony走査効果を用いて、レーザー記録または書込みビームと同じ相対速度(ただし、方向は反対)で音響パルスの像を記録媒体の表面で移動させることにより、入力電気信号の像を記録媒体表面上でボケずに形成できることも記載されている。
【0005】
「音響変調器を備えたレーザーマーキング装置」という名称の米国特許第5,309,178号の開示内容を本明細書中に参考として援用するが、この特許は、少なくとも1つのレーザービーム源と、少なくとも一部が重複する変調領域を複数規定する多チャンネル音響変調器と、この少なくとも一部が重複する変調領域のうちの少なくとも2つを横切って各レーザービームがのびるように多チャンネル音響変調器を介して上記少なくとも1つのレーザービーム源からの少なくとも1本のレーザービームを案内する装置と、変調器からの光をレーザーマーキング像面に案内するイメージング装置とを備えたレーザーマーキング装置を記載している。
【0006】
上記レーザービーム源は連続波モードで動作する。また、レーザーダイオード(LD)をレーザービーム源として用いて高感光性材料の記録媒体を走査することも記載されている。選択肢として、レーザービーム源としては、それぞれが対応するドライバを備えた一対のLD、リターデーションプレートおよびコリメーションレンズが考えられる。一対のLDを用いる場合は、偏光子ビームスプリッタによるエネルギー損失なしに合成できるように、リターデーションプレートがLDの偏光ベクトルを回転する。
【0007】
「直接パターン描画器(Direct pattern writer)」という名称の米国特許第6,770,866号の開示内容を本明細書中に参考として援用するが、この特許は、表面を横切ってビームを走査する装置において、表面を横切ってパルスレーザービームを走査するスキャナと、表面を横切る複数の位置でパルスレーザービームから入力を受け付け、当該表面に沿ったパルスレーザービームの位置を示す位置指示を出力する位置指示器とを備える装置を記載している。この位置指示は、たとえば電気回路パターンの(フォトレジスト)感光面への露光等、表面にパターンを露光する装置においてデータを変調するために使用する。このような装置の使用例としては、電気回路の製造が挙げられる。また、Scophony走査効果を用いることによって縁部を固定できることも記載されている。
【0008】
「スキャナシステム」という名称の米国特許第7,046,266号の開示内容を本明細書中に参考として援用するが、この特許は、パターンを表面に描画する(書く)ための走査方法を記載している。この方法は、独立に指定可能な複数のサブビームで構成される走査ビームを提供し(ここで当該走査ビームの非変調エネルギーは標準ガウスプロファイルを有する)、上記走査ビームにより表面を複数回走査し(ここで上記サブビームが走査直交方向に表面を並行走査するとともに各サブビームが変調を受けて描画すべき情報を反映する)、表面の全描画領域が少なくとも2回の走査で描画されるように連続する走査のビームを走査直交方向に重複させるものである。変調は、音響光学変調器(ブラッグセル)によって行われる。また、Scophony効果を用いることによって、フライングスポットスキャナの走査方向における生成縁部のボケが抑制または除去される。
【0009】
また、2つの異なるスペクトル線にエネルギーを有するデータ変調ビームを用いた走査装置と、ビームを受けて表面上にフォーカスする光学系であって、少なくとも1本のビームにより表面上にパターンが描画されるとともに両スペクトル線のエネルギーが表面上の同じ位置にフォーカスされるようにした光学系とが記載されている。同じ位置へのフォーカシングは、入出力面における(異なる波長の)2本のビームの屈折差が両ビームのブラッグ角の差と全く同等で正反対となるようにAOMの入射面および出射面を設計することによって可能となる。このように、同時に入射した2本のビームは、同時に出射する。
【0010】
「照明システムおよび露光装置」という名称の米国特許公開第2007/0058149号の開示内容を本明細書中に参考として援用するが、この特許は、2次元配列の半導体LDを用いて記録媒体を照らす方法及び装置を記載している。この2次元配列のLDは、低効率の水銀ランプまたはエキシマレーザーに取って代わるものである。2次元配列のLDから出力された拡散ビームは、2種類のシリンドリカルレンズによって広がり角が円周方向に均一化された高指向性ビームに変換される。また、ビーム中心とのずれに起因する個々のビームの光学軸の傾きは、2次元配列の楔状ガラスによって補正される。ビームは、マスクまたはデジタルミラーデバイス(DMD:Digital Mirror Device)等の2次元光変調器で変調することにより、マスクレス露光を行う。
【発明の開示】
【0011】
本発明の実施形態に係る一態様によれば、音響光学変調器(装置)(AOM)で変調される1または複数の光源アレイによるダイレクトイメージング(DI)システムおよび方法が提供される。本発明の実施形態によれば、このDIシステムおよび方法は、Scophonyの原理を用いて、1または複数の光源アレイからのビームを非コヒーレント(インコヒーレント)(incoherently)に合成(combine)することにより単一の露光スポット(single exposure spot)を得る。選択肢として、この1または複数の光源アレイは、LD等の低電力光源アレイである。また、選択肢として、異なるアレイからのビームを合成することにより、ビームの出力が増大される。さらに、選択肢として、光源アレイは、複数の波長を有する光源のアレイである。
【0012】
本発明の実施形態に係る一態様によれば、複数本のビームを放射するように構成される複数の光源を有する照明ユニットと、上記複数本のビームを形成して位置または角度をそろえる(一致させる)(align)光学系と、位置または角度の一方がそろった(を一致させた)上記複数本のビームを受けるとともに、音響波が音響方向に伝搬するときに、当該複数本のビームの異なる部分を連続して回折させるために設けられる音響光学変調器と、音響光学変調器で変調される複数本のビームを用いて、ある走査速度で露光面を走査するように構成される走査素子であって、当該走査速度が、当該複数本のビームの上記異なる部分を非コヒーレントに一体化して(incoherently unite)単一の露光スポットを得るように選択される走査素子とを備えるダイレクトイメージングシステムが提供される。
【0013】
選択肢として、上記複数の光源は、複数の半導体レーザーダイオードである。
【0014】
選択肢として、上記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源は、当該複数の光源のうちの少なくとも1つの別の光源と波長が異なる光を放射するように構成される。
【0015】
選択肢として、上記複数の光源は、370〜410nmの範囲の光を放射する。
【0016】
選択肢として、上記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源は、当該複数の光源のうちの少なくとも1つの別の光源と異なる偏光を有するように構成される。
【0017】
選択肢として、上記複数の光源は1または複数のアレイ上に配置され、各アレイがこのダイレクトイメージングシステムの走査方向と一致している。
【0018】
選択肢として、各アレイは、2〜100個の光源を含む。
【0019】
選択肢として、一度に上記光源の一部のみが動作する。
【0020】
選択肢として、上記走査素子は複数のファセット(facet)を含む回転ポリゴンであり、動作する光源の部分が当該複数ファセットのうちの1つのファセットの角度に応じて走査中に選択される。
【0021】
選択肢として、上記複数の各光源には専用レンズが組合わされており、当該専用レンズは、光源から放射されたビームを整形する(shape)ように構成される。
【0022】
選択肢として、上記専用レンズは、上記ビームを走査方向と垂直な方向に長くなるように整形するように構成される。
【0023】
選択肢として、上記専用レンズは、上記ビームを走査直交方向(cross-scan direction)と垂直な方向に長くなるように整形するように構成される。
【0024】
選択肢として、上記音響光学変調器には上記複数本のビームを受け入れる開口が設けられており、上記専用レンズおよび光学系は、走査方向と垂直な方向および走査直交方向と垂直な方向の少なくとも一方向に当該開口を満たす(占める)(fill)ように上記ビームを整形するように構成される。
【0025】
選択肢として、上記光学系は、上記複数の光源から音響光学変調器に向かうビームをコリメートするように構成される素子を含む。
【0026】
選択肢として、上記光学系は、上記音響光学変調器の開口に上記複数本のビームを案内するように構成されるテレセントリック光学系(telecentric optical system)を含む。
【0027】
選択肢として、上記複数本のビームの異なる各部分は、上記音響光学変調器から受けた当該複数本の各ビームの一部を含む。
【0028】
選択肢として、上記複数本のビームの異なる各部分は、当該複数本のビームのうちの1または複数本のビームを含む。
【0029】
選択肢として、上記走査速度は、上記音響光学変調器の音響速度にこのシステムの倍率を乗じた値に一致するが、方向は反対となるように規定される。
【0030】
選択肢として、上記音響光学変調器は、多チャンネル音響光学変調器である。
【0031】
選択肢として、このシステムは、少なくとも2つの上記照明ユニットと、この少なくとも2つの照明ユニットからの対応するビームを合成する(combine)少なくとも1つの光学素子とをさらに備える。
【0032】
選択肢として、上記2つ以上の照明ユニットからの対応するビームの波長および偏光の少なくとも一方が異なる。
【0033】
本発明の実施形態に係る一態様によれば、複数本のビームを放射するように構成される複数の光源を有する照明ユニットを提供し、上記複数本のビームの位置または角度の一方がそろう(一致する)(align)ように当該複数本のビームを音響光学変調器に案内し(direct)、音響波が音響方向に伝搬する間、上記複数本のビームの異なる部分を連続して回折させ、上記音響光学変調器からの出力により露光面を走査方向に走査するダイレクトイメージング方法が提供される。ここで、当該走査は、上記複数本のビームの異なる部分を非コヒーレントに一体化して(incoherently unite)単一の露光スポットを得るように選択される走査速度で行われる。
【0034】
選択肢として、上記複数の光源は複数の半導体レーザーダイオードを含む。
【0035】
選択肢として、上記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源は、当該複数の光源のうちの少なくとも1つの別の光源と波長が異なる光を放射するように構成される。
【0036】
選択肢として、上記光源アレイは、370〜410nmの範囲の光を放射する。
【0037】
選択肢として、上記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源は、当該複数の光源のうちの少なくとも1つの別の光源と異なる偏光を有するように構成される。
【0038】
選択肢として、上記複数の光源は1または複数のアレイ上に配置され、各アレイは、上記走査の方向と一致している。
【0039】
選択肢として、各アレイは、2〜100個の光源を含む。
【0040】
選択肢として、この方法は、一度に上記光源の一部のみを動作させる(operate)ことをさらに含む。
【0041】
選択肢として、上記光源のうちの動作させる光源は、上記走査に用いるファセットの角度に応じて選択される。
【0042】
選択肢として、この方法は、上記複数本の各ビームを上記走査の走査方向と垂直な方向に長くなるように整形することをさらに含む。
【0043】
選択肢として、この方法は、上記複数本の各ビームを上記走査の走査直交方向と垂直な方向に長くなるように整形することを含む。
【0044】
選択肢として、この方法は、上記走査の走査方向と垂直な方向および当該走査の走査直交方向と垂直な方向の少なくとも一方向に上記音響光学変調器の開口を満たす(占める)ように上記複数本の各ビームを整形することを含む。
【0045】
選択肢として、上記複数本のビームの異なる各部分が、上記音響光学変調器から受けた当該複数本の各ビームの一部を含む。
【0046】
選択肢として、上記複数本のビームの異なる各部分は、当該複数本のビームのうちの1または複数本のビームを含む。
【0047】
選択肢として、この方法は、上記複数の光源から音響光学変調器に向かうビームをコリメートすることをさらに含む。
【0048】
選択肢として、この方法は、上記音響光学変調器の音響速度にシステムの倍率を乗じた値に一致させるが方向は反対となるように規定することをさらに含む。
【0049】
選択肢として、この方法は、複数の照明ユニットを提供するとともに、当該複数の照明ユニットからの対応するビームを合成することをさらに含む。
【0050】
選択肢として、上記複数の照明ユニットからの対応するビームの波長および偏光の少なくとも一方は異なる。
【0051】
本発明の実施形態に係る一態様によれば、ダイレクトイメージングシステムにおけるファセット追跡(facet tracking)方法において、ビームアレイを放射するように構成される光源アレイを提供し(ここで当該光源のアレイは当該ダイレクトイメージングシステムの走査方向とそろっている(一致している))、上記複数の光源が走査に用いる回転ポリゴンの単一ファセットの長さよりも長い長さに沿って光を投射するように、当該光源アレイからのビームを音響光学変調器に案内し、上記音響光学変調器からの出力により露光面を走査方向に走査し、上記ポリゴンの回転に協調して上記光源の異なるサブセットを選択的に動作させる(ここで当該光源の選択されたサブセットが、走査に用いるファセットにその光が当る(impinge)光源である)方法が提供される。
【0052】
選択肢として、この方法は、上記複数の動作ビームが走査に用いる上記ファセットの長さに沿って当るように、上記アレイの各光源が上記音響光学変調器に対して異なる入射角を有するように調整することをさらに含む。
【0053】
選択肢として、この方法は、上記ポリゴンの回転に協調して、上記複数の光源のうち、走査に用いる上記ファセットの縁部近傍に当りまたは周囲を通過するビームを放射する光源をオフすることをさらに含む。
【0054】
選択肢として、この方法は、上記複数本の動作ビームを非コヒーレントに一体化して単一の露光スポットを得ることをさらに含む。
【0055】
別段の規定がない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および/または科学用語は、本発明の技術分野の当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。本発明の実施形態の実施または試験においては、本明細書に記載のものと類似または均等の方法および材料を使用可能であるが、以下では例示的な方法および/または材料を説明する。矛盾が生じた場合は、定義を含めて本特許明細書を優先するものとする。また、材料、方法、および実施例はほんの一例に過ぎず、必ずしも限定的に捉えるべきものではない。
【0056】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態を一例として説明する。ここで、図面を詳細に参照するに当たり、図示の具体的事項はほんの一例であって、本発明の実施形態を具体的に説明することを目的としたものである。この点で、以下の図面に付随する説明によれば、本発明の実施形態の実施方法が当業者には明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態に係る、例示的なDI走査システムの簡易ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る、例示的な光源アレイの簡易模式図である。
【図3A】本発明の実施形態に係る、アレイの個々のビームをAOMの開口内に配置する例示的な光学設計の模式図である。
【図3B】本発明の実施形態に係る、個々のビームを走査方向および走査直交方向に整形する例示的な光学設計の模式図である。
【図3C】本発明の実施形態に係る、AOMおよび瞳面上に像形成された(imaged)ビームの簡易模式図である。
【図4A】本発明の実施形態に係る、アレイの個々のビームをAOMの開口内に配置する別の例示的な光学設計の模式図である。
【図4B】本発明の実施形態に係る、個々のビームを走査方向および走査直交方向に整形する別の例示的な光学設計の模式図である。
【図4C】本発明の実施形態に係る、別の例示的な光学設計においてAOMおよび瞳面上に像形成されたビームの簡易模式図である。
【図5】本発明の実施形態に係る、DIシステムのビーム形成光学系の例示的な光路を示した図である。
【図6】本発明の実施形態に係る、多チャンネルAOMに配置された例示的な光ビームアレイの模式図である。
【図7】本発明の実施形態に係る、3つの異なる時間フレームにわたってScophony走査効果を用いた光ビーム変調の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の実施形態に係る、書込みビームに形成された例示的な光源マトリクスの簡易模式図である。
【図9A】本発明の実施形態に係る、AOM面および対応する瞳面上への像形成に際して複数のアレイに配置されたビームマトリクスの一例を示す模式図である。
【図9B】本発明の実施形態に係る、AOM面および対応する瞳面上への像形成に際して複数のアレイに配置されたビームマトリクスの一例を示す模式図である。
【図9C】本発明の実施形態に係る、AOM面および対応する瞳面上への像形成に際して複数のアレイに配置されたビームマトリクスの一例を示す模式図である。
【図9D】本発明の実施形態に係る、AOM面および対応する瞳面上への像形成に際して複数のアレイに配置されたビームマトリクスの一例を示す模式図である。
【図10A】本発明の実施形態に係る、ファセット追跡方法を示す簡易模式図である。
【図10B】本発明の実施形態に係る、ファセット追跡方法を示す簡易模式図である。
【図10C】本発明の実施形態に係る、ファセット追跡方法を示す簡易模式図である。
【図10D】本発明の実施形態に係る、ファセット追跡方法を示す簡易模式図である。
【図11】本発明の実施形態に係る、2つの光源アレイおよびこの2つのアレイからのビームを合成する光学系を含む例示的な照明ユニットの簡易模式図である。
【図12】本発明の実施形態に係る、異なるアレイからのビームを合成する例示的な光学設計の模式図である。
【図13】本発明の実施形態に係る、DIシステムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本発明は、その実施形態(実施例)において、音響変調(acoustic modulation)を用いたDIに関し、特に、半導体LDを用いたダイレクトイメージングに関するが、これに限定されるものではない。
【0059】
本発明の実施形態によれば、AOMで変調される1または複数の光源アレイ(光源の1または複数のアレイ)(array of light sources)を用いて記録媒体を走査する書込みビーム(描画ビーム)(writing beam)を形成するDIシステムが提供される。例示的実施形態において、上記光源アレイは、たとえば50個の光源または2〜100個の光源を含む、書込みビームを形成するように成形された高密度アレイである。また、例示的実施形態においては、50×10個の光源を含む複数の光源アレイおよび/または光源マトリクスにより書込みビームが形成される。選択肢として、このアレイは、たとえば370〜410nmの範囲の異なる波長および/または異なる偏光を有する光源等、スペクトル特性が異なる光源を具備する。通常、このアレイの光源は、連続波モードで動作する。例示的実施形態において、このアレイは、半導体LDアレイである。
【0060】
通常、このシステムは、AOMの面(plane)を記録媒体(たとえば、所望の倍率で露光されるパネル等)上にイメージング(像形成)する走査光学系を具備する。本発明の実施形態によれば、この走査光学系は、光源アレイの波長範囲に渡ってアクロマート(achromatic)である。通常は、ポリゴンミラーによりビームを偏向させることによって、ラスター走査が可能となる。
【0061】
本発明の実施形態によれば、DI方法では、DIシステムの単一の走査掃引(single scanning sweep)中にアレイの異なる光源で記録媒体上にスポットを繰り返し露光(expose)する。また、本発明の実施形態によれば、この単一掃引時の繰り返し露光は、Scophony走査効果を適用することによって可能となる。
【0062】
本発明の実施形態によれば、上記1または複数の各アレイの光源は、音響波が伝搬しているときに各アレイにおいて個々のビームを連続的に切り替えるように、音響方向(acoustic direction)に沿ってAOM内で横方向に配置されている。例示的実施形態においては、音響波が伝搬しているときに上記1または複数のアレイに含まれるすべてのビームの部分を連続的に切り替えるように、ビームがAOMの音響方向に及ぶように整形される。本発明の実施形態によれば、アレイ中の切り替えられた各ビームが記録媒体の同じスポットに当る(impinge)ように、Scophony走査効果を用いて、音響波の速度および走査光学系による倍率を走査速度(scanning velocity)に協調(整合)させる。
【0063】
例示的実施形態において、AOMはたとえば24チャンネルまたは4〜1000チャンネル等の多チャンネルAOMであり、走査時には複数の画素(またはスポット)が同時に書かれる(描画される)。これらの各画素は、本明細書に記載の通りScophony走査効果を適用することによって、単一掃引時に繰り返し露光が可能である。例示的実施形態において、上記1または複数のアレイの個々の光源からのビームは、走査直交方向(cross-scan direction)に長くなるように整形され、多チャンネルAOMのチャンネルは、各チャンネルが各細長ビームの異なる部分を変調するように走査直交方向に沿って配置されている。別の例示的実施形態において、アレイの個々の光源からの各ビームは、AOMの開口の全領域を満たす(占める)(fill)ように整形される。
【0064】
本発明者らは、本明細書に記載の通りScophony走査効果を用いて複数の半導体LDにより繰り返し露光を行うことで複数の利点が得られることを発見した。選択肢として、これら利点の一部では、たとえば5〜50Wのレーザー光源または0.1〜2Wの半導体LD等、低電力で動作する半導体LD等の低コストの光源アレイにより通常のDI用のレーザーユニットを置き換えることによって、DIシステムの材料費が低減される。具体的には、従来システムの固体パルスレーザーと比較して、半導体LDはコストが低く、相対的に修理が不要で寿命が長い。例示的実施形態において、本明細書に記載のDIシステムおよび方法による低電力光源を用いた繰り返し露光(repeated exposure)によれば、低感光性材料の走査が可能となる。本発明では、複数の低電力LDを用いて同じスポットを繰り返し露光することにより、低感光性材料への書込み(描画)に必要なエネルギーが蓄積されることが明らかとなっている。例示的実施形態においては、複数の光源により繰り返し露光を行うことによって、通常は低コストの光源に特徴的な高い耐性(tolerance)を有する光源の使用が可能となる。これは、得られる空間プロファイルおよびスペクトルが光源の平均特性によって規定可能なためである。また、本発明では、複数の光源を用いて繰り返し露光を行うことにより平滑効果(smoothing effect)が得られ、露光の全体的な品質が改善されることも明らかとなっている。例示的実施形態において、上記光源アレイは、アレイ中の別の光源が故障した場合に動作可能な1または複数の補助光源を具備する。本発明では、アレイが補助光源を具備することにより、光源ユニットの寿命および/または信頼性の妥協をすることなく、通常は信頼性が低い低コストの光源を使用可能であることも明らかとなっている。選択肢として、照明ユニットは、補助光源による冗長性のため、一部の光源が機能しなくなっても動作を継続可能である。また、選択肢としては、複数の光源を組み合わせることによって、所望のスペクトルが成形される。LDのその他の利点としては、たとえば既知のガスレーザーおよびダイオード励起固体(DPSS:Diode-Pumped Solid State)レーザーと比較した場合の高い電力光変換効率が挙げられる。
【0065】
本発明の実施形態によれば、本明細書に記載のDIシステムおよび方法は、既知のDIシステムの汎用性を向上させる。例示的実施形態において、上記光源アレイは、スペクトル特性が異なる光源を具備する。選択肢としては、上記アレイは波長が異なる光源を具備する。通常は、短波長を用いて記録媒体の表面に精密性(rigidity)を提供し、長波長を用いて記録媒体を通過(penetrate)させる。例示的実施形態においては、異なる波長により、露光パネル上の同じスポットが露光される。選択肢として、特定の用途および/または特定の掃引の場合は、アレイ中の特定の光源(および所要の波長)が選択され、これらの光源のみが動作する(operate)。また、選択肢としては、2つ以上の光源アレイを用いることにより、照明ユニットが提供可能な出力が増大される。さらに、選択肢としては、異なるアレイの光源からのビームを組み合わせることにより、1本のビームが形成される。
【0066】
本発明の実施形態によれば、光源の一部のみを用いて露光面上の各画素またはスポットを書く(描画する)とともに、走査に用いるアクティブ(動作)ファセット(active facet)の方位(orientation)に同期して用いる光源の部分を変更することによってファセット追跡(facet tracking)が可能となる。ファセット追跡に当たっては、各ビームまたはビームの少なくとも一部が異なる位置でポリゴンに当る(impinge)ように構成される。
【0067】
当然のことながら、本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前提として、本発明は必ずしも、以下の説明および/または図面に示す構成の詳細、構成要素の配置、および/または方法に適用を限定するものではない。本発明は、その他の実施形態としても具現化可能であるし、種々態様で実施または実行可能である。
【0068】
次に図面を参照して、図1は、本発明の実施形態(実施例)に依る例示的なDI走査システムの簡易ブロック図である。本発明の実施形態によれば、照明ユニット100は、AOM70の開口(aperture)71に適合するようにビーム形成光学系(beam forming optical system)60で整形される複数本のビーム65を提供する光源501、502、・・・50Nのアレイ50を備えている。通常、光源はLDである。本発明の実施形態によれば、これら複数本のビーム65は、AOM70の開口71を通る音響方向(acoustic direction)に沿って横方向に配置され、1次元のアレイにコリメートされている。これに代えて、これら複数本の各ビーム65は、たとえば開口71のサイズに及ぶ大きなビーム径を有し、AOMの1箇所で重なり合っている。通常、AOM70は、データ制御ユニット700から受信したイメージデータに基づいて入射ビーム65を変調する。また、走査光学系90は、ビームが回転ポリゴン80から偏向されるときに、変調されたデータを含むAOMの面を露光面95上に像形成(image)する。
【0069】
本発明の実施形態によれば、AOM70が有する開口71は、選択肢としてたとえば矩形状で、コリメートされたビームのアレイ65を受けるのに(音響方向75に沿って)十分な広さを有する大開口である。また、選択肢として、開口71は、10〜40mmの幅を有する。例示的実施形態において、AOM70は多チャンネルAOMであり、開口71は、音響方向75と垂直な方向に沿って、AOM70の全チャンネルに及ぶ十分な広さを有する。選択肢として、AOM70は、24〜48のチャンネルを含む。例示的実施形態において、AOM70は、低い音響曲率(low acoustic curvature factor)を示す音響光学材料で構成されている。選択肢として、AOM70は水晶(quartz crystal)で構成されている。また、選択肢として、AOMはTeO2結晶で構成されている。
【0070】
本発明の実施形態によれば、アレイ50は、1次元のLDアレイである。選択肢として、アレイは、多数の光源からの光がビーム形成光学系60の方向に向うことができるように、三日月状に配置された高密度の光源アレイである。例示的実施形態において、アレイ中の各LDには、LD55からのビーム65をビーム形成光学系60に焦点をあわせかつ(一直線に)そろえる(一致させる)(フォーカス/アラインする)(focus and align)レンズアレイ55の専用レンズ55n(n=1、2、・・・N)が付随している。通常、レンズアレイ55は照明ユニット100に含まれ、共通のハウジングに収容されている。
【0071】
本発明の実施形態によれば、アレイ50は、異なる波長のLDを含み、その範囲は選択肢として370〜410nmである。選択肢として、アレイ50は波長が同じ2つ以上のLDを含む。例示的実施形態において、アレイ50は、走査方向と平行または垂直な偏光をもつLDを含む。また、例示的実施形態において、LDは連続波モードで動作する。通常、光源ユニットは2〜100個のLD(たとえば、50個のLD)を含む。例示的実施形態において、アレイ50はある程度の冗長性を有し、アレイ50内のLDの一部のみが一度に動作する。
【0072】
本発明の実施形態によれば、ビーム形成光学系により、個々のビームが整形されるとともにAOM70の開口71内に個々のLDビームが配列(arrange)される。例示的実施形態において、ビーム形成光学系60はAOM70の音響方向75に沿う1つの平面にビームをコリメートする単一の結合光学系(coupling optics)を具備する。
【0073】
例示的実施形態において、ポリゴン80は、援用した米国特許第6,770,866号に記載のポリゴンと類似しており、たとえば援用した米国特許第4,205,348号に記載のビームファセット追跡機能(beam facet tracking capability)を有する。選択肢としては、以下に詳述するように、各露光の間アレイのサブセットのみを動作させ(operate)、この動作するサブセットをファセットが回転しているときに連続的に移動させることによってファセット追跡が実現される。例示的実施形態において、ポリゴン80は、動作中1000〜4000RPM(たとえば、3000RPM)の速度で回転する。本発明の実施形態によれば、走査光学系90は、LDの波長範囲に渡ってアクロマート(achromatic)である。
【0074】
本発明の実施形態によれば、以下に詳述するように、音響波(acoustic wave)は、音響方向75に伝搬する際に、各ビーム65をポリゴン80側へ回折させることによって連続的かつ順々に切り替え、露光面95上への像の形成を行う。選択肢として、音響波は、それが音響方向75に伝搬する際、一度に2本以上のビーム65を回折させる。通常、回折を受けなかったビームは、光ストッパ(optical stop)10に向う。これに代えて、その反対に、AOM70からの非回折光による像を記録媒体上に形成し、回折光をストッパに衝突させてもよい。
【0075】
次に図2を参照して、この図は、本発明の実施形態に依る例示的な光源アレイの簡易模式図である。本発明の実施形態によれば、照明ユニット100は、プラットフォーム57上に搭載された光源501、502、・・・50Nの高密度アレイを含む。選択肢として、このアレイは、2〜100個のLD(たとえば、50個のLD)を含む。通常、照明ユニット100は、プラットフォーム57上に搭載された各LDに対して、各ビームをフォーカス/アラインさせる専用レンズ55を具備する。選択肢として、LDは、プラットフォーム57上に三日月状に搭載されている。また、選択肢としては、2つ以上の光源アレイ(たとえば、2つのアレイ)が用いられる。
【0076】
次に図3Aを参照して、この図は、本発明の実施形態に係るアレイの個々のビームをAOMの開口内に配置する例示的な光学設計の模式図である。本発明の実施形態によれば、ビーム形成光学系は、三日月状アレイ50の個々のLDからのビーム65を音響方向75に沿ってコリメートするシリンドリカルレンズ61を備えている。通常、音響方向75は走査方向に平行である。本発明の実施形態によれば、この光学設計はさらに、音響方向75に沿ってAOM70の開口71へとビームを中継するテレセントリック望遠鏡レンズ系(telecentric telescope lens system)62を備えており、すべてのビームはそれらのブラッグ角(Bragg angle)でAOMに入射する。通常、テレセントリック望遠鏡レンズは、ビームが開口71に適合するとともに平行ビームアレイとして入射するようにビーム整形する機能がある。選択肢としては、ビーム調整レンズ63間の距離を調整することによって、ビームを走査直交(横断)(cross-scan)方向に可変的に拡大可能である。本発明の実施形態によれば、シリンドリカルレンズ83は、ビームが瞳面(pupil plane)の同じスポットに異なる角度から当るように、AOMから回折した個々のビームを曲げる。本発明の実施形態によれば、以下の詳述するように、個々のビームは、音響波が音響方向75に伝搬する際にAOMで連続して回折を受けるが、Scophonyの原理によって、露光面上の同じスポットに露光される。
【0077】
次に図3Bを参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、個々のビームをそれぞれ走査方向および走査直交方向に整形する例示的な光学設計の模式図である。また、図3Cを参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、AOMと瞳面上に像形成された(imaged)ビームの簡易模式図である。図示の通り、実線651nは、走査方向85に一致した速軸(fast axis)における個々のビーム65nの光線を表しており、点線652nは、通常は走査直交方向86に一致した遅軸(slow axis)におけるビーム65の光線を表している。本発明の実施形態によれば、AOM面および/または物体面73(たとえば、露光面(exposure plane))において、各LDビーム651、652、653、・・・65n、・・・65Nは、走査方向85に沿って狭隘な(狭い)ビームウェストを有するように構成されるとともに、走査直交方向86に沿って長く構成されている。選択肢として、ビームは、速軸に沿って近似ガウスビームプロファイル(たとえば、M2〜1.5)を有し、遅軸に沿ってより高次のビームプロファイル(たとえば、M2〜7)を有する。例示的実施形態においては、コリメートレンズ61がビームウェストを走査方向に所望の幅となるように調整する。通常、露光面におけるビームはAOM面のビームの像であるが、瞳面は、AOM面と露光面の両者の共役面(conjugated plane)である。
【0078】
本発明の実施形態によれば、瞳面89(図3C)において、LD501、502、503、・・・50Nからのすべてのビーム651、652、653、・・・65Nは、同じスポットに異なる角度から当る(impinge)。本発明の実施形態によれば、各ビーム651、652、653、・・・65Nは、(走査瞳面87における)走査方向85沿って幅広なビームウェストを有するように構成されるとともに、(走査直交瞳面84における)走査直交方向86に沿って狭隘なビームウェストを有するように構成されている。通常、瞳面89(図3C)は、通常はポリゴン80のファセット面に一致する物理的な走査瞳面と、通常はAOM70とポリゴン80のファセット面との間に位置する走査直交瞳面(図3B)とで構成される仮想面である。
【0079】
次に図4Aを参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、アレイの個々のビームをAOMの開口内に配置する別の例示的な光学設計の模式図である。本発明の実施形態によれば、ビーム形成光学系は、走査方向および走査直交方向の両者において大きなビーム径を有するようにビームを整形する。通常、ビームアレイ65の各ビームは、開口71が満たされるように整形される。また、通常は、シリンドリカルレンズ61がアレイ50の個々のLDからのビームを音響方向75に沿ってコリメートし、個々のビームがAOM70の1箇所で重なり合うように、レンズ系72がAOM70の開口71へとビームを中継する。ただし、個々のビームは重なり合うが、各ビームは異なる角度(たとえば、通常はブラッグ角に近い、わずかに異なる角度)でAOM結晶に当る。
【0080】
本発明のこれら種々実施形態によれば、AOMから回折した個々のビームは、瞳面の異なるスポットに同じ角度から当り、露光面95(図1)の同じスポットに異なる角度から当る。これらの実施形態において、すべての大径ビームの一部(たとえば、アクティブ(作動)ビーム)(active beam)は、同時に回折する。以下に詳述するように、すべての大径ビームの後続の部分は、音響波が音響方向75に伝搬する際に連続して回折を受けるが、Scophonyの原理によって、露光面上の同じスポットに露光される。
【0081】
次に図4Bを参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、個々のビームを走査方向および走査直交方向に整形する別の例示的な光学設計の模式図である。また、図4Cを参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、別の例示的な光学設計においてAOMおよび瞳面上に像形成された(imaged)ビームの簡易模式図である。図示の通り、実線651nは、走査方向85に一致した速軸における個々のビーム65nの光線を表しており、点線652nは、通常は走査直交方向86に一致した遅軸におけるビーム65nの光線を表している。本発明の実施形態によれば、AOM面および/または物体面73において、各LDビーム651、652、653、・・・65n、・・・65Nは、走査方向85および走査直交方向86の両方向に幅広なビームウェストを有するように構成され、両方向に開口71内を占める(満たす)(fill)ようになっている。選択肢として、ビームは、速軸に沿って近似ガウスビームプロファイル(たとえば、M2〜1.5)を有し、ビームの遅軸に沿ってより高次のビームプロファイル(たとえば、M2〜7)を有する。例示的実施形態においては、コリメートレンズ61がビームウェストを走査方向に所望の幅となるように調整する。選択肢としては、ビーム調整レンズ(簡素化のため図示せず)間の距離を調整することによって、ビームを走査直交方向に可変的に拡大可能となる。
【0082】
本発明の実施形態によれば、瞳面89において、LD501、502、503、・・・50Nからのすべてのビーム651、652、653、・・・65Nは、異なるスポットに同じ角度から当る。本発明の実施形態によれば、各ビーム651、652、653、・・・65Nは、(走査瞳面87における)走査方向85および(走査直交瞳面84における)走査直交方向86の両方向に沿って狭隘なビームウェストを有するように構成されている。通常、瞳面89(図4C)は、通常はポリゴン80のファセット面に一致する物理的な走査瞳面87と、通常はAOM70とポリゴン80のファセット面との間に設けられた走査直交瞳面(図4B)とで構成される仮想面である。
【0083】
次に図5を参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、DIシステムのビーム形成光学系の例示的な光路を示す図である。本発明の実施形態によれば、LDの高密度アレイ50からの光は、コリメートレンズ61でコリメートされ、複数の反射面66を介してAOM70に案内されてビーム変調が行われる。通常、アレイ中の各LDには、たとえばビームをコリメートレンズ61にフォーカスさせるレンズアレイ55中の専用レンズが付随している。選択肢として、アレイ中のLDは、波長および/または偏光が異なるLDを含む。例示的実施形態においては、アレイ50中のLDの一部のみが走査中に動作する。また、例示的実施形態においては、アレイからの各ビームがレンズ63により走査直交方向に整形され、一対の望遠鏡レンズ62によりAOM上に中継される。選択肢として、走査直交方向のビームの広がりは、レンズ63間の距離を調整することによって調整可能である。
【0084】
次に図6を参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、多チャンネルAOMに配置された例示的な光線アレイの模式図である。本発明の実施形態によれば、コリメートされ、走査方向85および/または音響方向75に沿って配列された光ビーム65のアレイは、AOM70の開口71に入射する。選択肢としては、2〜100本の光ビームが音響方向75に沿って配列される。通常、各ビーム65は、音響方向と垂直な方向に沿って長くなるように整形される。また、通常、各ビームは、電極アレイ79により複数の音響チャンネルにわたって変調される。さらに、通常、電極アレイ79は、選択肢として走査直交方向86と一致した音響方向75と垂直な軸に沿って配列されている。通常は、複数のチャンネルによって、一度に2つ以上の画素の書込みが可能となる。
【0085】
動作中は、電極79の位置から音響方向75への音響波(acoustic sound wave)の伝搬を開始する変調パターンに基づいて、RF信号が電極79に送信される。本発明の実施形態によれば、音響波は、音響チャンネルに沿って伝搬する際、当該起動された音響チャンネルに関連するアレイの各ビーム65の部分を連続的に回折させる。本発明の実施形態によれば、同一チャンネルのすべてのビームは同じ信号で変調されるため、当該チャンネルのすべてのビームは同じように変調される。例示的実施形態においては、音響波パケットがアレイの複数本のビーム65を一度に変調する。
【0086】
次に図7を参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、音響波パケット伝搬の3つの異なる時間フレーム(t1、t2、t3で示す)にわたるAOMウィンドウの像(image)の一例を示す模式図である。通常、AOM70の像88は、回転するポリゴン80(図1)により、走査方向85に速度vscanで露光面95を横切って移動する。像全体は走査方向85に移動するが、音響波パケットの位置と一致する像88の部分110だけは露光面95に向って回折される。音響波パケットの位置と一致する像88の部分110は、音響波パケットの速度と走査光学系90の倍率によって決まる速度で音響方向75(走査方向85の反対)に移動する。
【0087】
本発明の実施形態によれば、走査速度vscanは音響速度vacoustと大きさは同じで方向が反対となるように調整されるので(vscan=−vacoust)、移動するAOMウィンドウ88内の前進音響波パケットは常に、像88の部分110を露光パネル95上の同じスポット951に向けて回折させる。したがって、このスポット951は、記録媒体の露光面内で静止し、すべてのレーザーダイオードビームで連続的に照らすことができる。このようにビームは非コヒーレント(incoherently)に合成(combine)される。選択肢として、走査線は、滑らかなエネルギープロファイルとなるように、走査直交方向に重なり合っている。
【0088】
次に図8を参照して、この図は、本発明の実施形態に係る書込み(描画)ビームを形成する例示的な光源マトリクスの簡易模式図である。本発明の実施形態によれば、照明ユニット101は、光源5011、5012、・・・5021、5022、・・・50NMのマトリクス555および/または専用レンズ(たとえば、レンズ55(図1)に類似)で整形された複数本のビーム665を提供する2つ以上の光源アレイ、ならびにAOM70の開口71に適合させるビーム形成光学系666を備えている。本発明の実施形態によれば、マトリクス555は、多数の光源からの光がビーム形成光学系666に向うことができるように、凹形状面上に配置されている。例示的実施形態において、マトリクスの各LDには、LD555からのビーム665をビーム形成光学系666にフォーカス/アラインさせる専用レンズ(簡素化のため図示せず)が組合わされている。本発明の実施形態によれば、マトリクス555は、2〜100個の光源で構成された1〜20個のアレイを含む。
【0089】
本発明の実施形態によれば、システムに導入可能なビーム665の本数は、走査光学系90の許容角度範囲および開口71のサイズによって制限される。通常、許容角度範囲は、走査方向85と走査直交方向86とでは異なり、像面95における走査光学系90の開口数およびAOM70と像面95との間のシステムの倍率によって決まる。本発明の実施形態によれば、所与の許容角度範囲に対して、AOM70の開口71における単一LDからのビームのサイズが計算可能である(たとえば、最も小さなビームサイズが計算可能である)。通常、最も小さなビームは、所与のスポットサイズについてのビームの角度発散の尺度であるLDのビームパラメータ積(M2)によって決まる。本発明の実施形態によれば、開口71における単一ビームのサイズが計算されると、それぞれが走査光学系90の許容角度範囲に適合する角度発散を有し、開口71に適合するLDビームの数は開口71のサイズによって規定される。通常、マトリクス555の行と列の数は、開口71の寸法によって決まる。また、通常、AOM70は、データ制御ユニット700から受信するイメージデータに基づいて入射ビーム665を変調する。また、走査光学系90は、ビームが回転ポリゴン80から偏向するときに、変調されたデータを含むAOMの面を露光面95上に像形成する(image)。
【0090】
次に図9A、図9B、図9C、および図9Dを参照して、これらの図は、本発明の実施形態に係る、AOM面および対応する瞳面上に像が形成されるときの複数のアレイに配置されたビームの一例を示す模式図である。図には、一例として、走査直交方向86に沿って5個、そして走査方向85に沿って12個のLDを含むマトリクス555からのビームのビーム形成を示している。通常、瞳面の開口は、開口角(angular aperture)である。また、通常、照明ユニット101のマトリクス555は、光学系666により開口71に適合するように構成された50×10個のLDを含む。本発明の実施形態によれば、マトリクス555のビームは、書込み(描画)ビームを形成する複数の異なる構成に形成することができる。
【0091】
ここで図9Aを参照して、例示的実施形態においては、走査直交方向および走査方向の両方向に狭隘となるようにビーム665が形成され、AOM面において互い違いのマトリクス形式(staggered matrix formation)に配置されることにより、像(イメージ:image)701が形成される。例示的実施形態において、像701においては、各ビーム665が同じ角度からAOM面733の異なる位置に当る(impinge)。これらの実施形態において、各ビームは対応する瞳面899の同じ位置に当り、開口全体を占める。
【0092】
ここで図9Bを参照して、例示的実施形態においては、走査直交方向86に幅広で走査方向85に狭隘となるようにビーム665が形成され、AOM面において互い違いの列アレイ(staggered column array)に配置されることにより、像702が形成される。本発明の実施形態によれば、各列の異なる各行(たとえば、5つの行)からのビーム665は、AOM面733の同じ位置に異なる角度から当るように構成される。一方、異なる各列からのビーム665は、AOM面733の異なる位置に同じ角度から当るように構成される。これらの実施形態において、AOM面733に得られる像702は通常、走査方向85に沿って互い違いの列の数(たとえば、12個の列)に対応する数の幅広スポットを含む単一のアレイである。本発明の実施形態によれば、対応する瞳面899において、得られる像802は、行の数(たとえば、5つの行)に対応する走査直交方向に互い違いの幅広スポットの単一アレイを含む。通常、これらの実施形態において、瞳面899においては、同じ行の異なる列からのビーム665が同じスポットに当る。
【0093】
ここで図9Cを参照して、例示的実施形態においては、走査方向85に幅広で走査直交方向86に狭隘となるようにビーム665が形成され、像703が形成される。これらの実施形態において、各行の異なる各列(たとえば、12個の列)からのビーム665は、AOM面733の同じ位置に異なる角度から当るように構成される。一方、異なる各行からのビーム665は、AOM面733の異なる位置に同じ角度から当るように構成される。通常、AOM面733に得られる像703は、走査直交方向86に沿って互い違いの行の数(たとえば、5つの行)に対応する数の幅広スポットを含む単一のアレイである。これらの実施形態において、対応する瞳面899においては、走査方向85に沿って互い違いの列の数(たとえば、12個の列)に対応する数の幅広スポットを含む単一のアレイの像803がビーム665によって形成される。通常、瞳面899の像803においては、同じ列の異なる行からのビーム665が同じスポットに当る。
【0094】
ここで図9Dを参照して、例示的実施形態においては、光学系666により、走査方向85および走査直交方向86の両方向に同じ位置に異なる角度から当るとともに開口71が満たされるようにビーム665が形成されて、像704が形成される。本発明の実施形態によれば、対応する瞳面899においては、像804の走査方向および走査直交方向の両方向に各ビーム665が異なる位置でマトリクス形式にて当る。これらの実施形態において、瞳面899における各ビーム665は通常、走査方向85および走査直交方向86の両方向に狭隘である。
【0095】
本発明の実施形態によれば、連続する走査線が走査直交方向に重なり合うことで開口71における平均走査直交ビームプロファイルが滑らかとなるようにビーム665が形成される。通常、像702の走査直交方向のプロファイルは、像703よりも滑らかである。選択肢としては、像701におけるビーム665の互い違いのマトリクス形式によって走査直交方向86に重ね合わせることにより、プロファイルの滑らかさを改善可能である。
【0096】
次に図10A〜図10Dを参照して、これらの図は、本発明の実施形態に係る、ファセット追跡方法(facet tracking method)を示す簡易模式図である。本発明の実施形態によれば、ポリゴン80の回転および/または走査に用いるポリゴン80のファセット(たとえば、ファセット81)の角度に協調(整合)してアレイ50の異なるLDを順々にオン、オフすることによってファセット追跡が可能となる。
【0097】
本発明の実施形態によれば、ファセット81の長さLに沿った異なる位置でファセット81に当るビームをアレイ50の各光源が投射するように、光源50の配置および/またはそれぞれのビームの形成が行われる。選択肢としては、アレイの各光源がAOM70に対して異なる入射角を有するように調整することによって、ファセット81の長さ方向に沿って当るビームの分布(distribution)が達成される。また、選択肢として、ファセット81の長さ方向に沿う所望の分布は、シリンドリカルレンズ83によって達成される。例示的実施形態において、アレイ50の光源からのビームは、単一ファセットの長さLよりも大きな長さに沿って光を投射するように配置および/または形成される。
【0098】
本発明の実施形態によれば、ポリゴン80が回転すると、ファセット81に当るビームが異なる光源セットにより提供される。一方、ファセット81の縁部近傍に当る、または周囲を通り過ぎるビームを放射するその他の光源は、オフとされるか、および/または書込み(描画)に用いられない。通常、各スポットまたは画素の書込みには、異なる光源セットが用いられる。これに代えて、書込まれるスポットまたは画素の1つおきに、および/または複数のスポットの書込み後に、使用する光源セットが変更される。
【0099】
一例として、図10Aには、走査の最初にLD504、505、506および507が動作する(operate)一方、ファセット81の縁部近傍に当るまたは周囲を通り過ぎる光を投射するLD501、502および503は未使用の第1の段階を示している。選択肢として、このシステムは、露光パネル上の各スポットおよび/または画素を書く(描画する)光源の半分を動作させるように構成されている。ここで図10Bを参照して、ポリゴン80が回転すると、ファセット81に向かうビームのみが作用するように、LD502、503、504、505および506が動作して、LD501および507はオフとなる。図10Cを参照して、ポリゴン80がさらに回転すると、LD501、502、503および504が動作して、LD505、LD506および507はオフとなる。図10Dにおいては、光源の最初の部分LD504、505、506および507が動作する状態に戻ることにより、ファセット82に対する別の走査が開始される。このように、AOM70を単一のRF周波数で動作しつつ、ファセット追跡を実現してもよい。通常、一度に動作するのが光源の一部のみである場合、得られる出力は妥協したものとなる(compromised)。選択肢として、出力の増大には、より大きなアレイおよび/または2つ以上のアレイを用いてもよい。
【0100】
次に図11を参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、2つの高密度光源アレイおよびこの2つのアレイからのビームを合成する(combine)光学系を含む例示的な照明ユニットの簡易模式図である。通常、AOMの開口に適合可能な個々のビームの数は制限されている。本発明の実施形態によれば、出力は、2つ以上の光源からのビームを合成して1本のビームとすることにより、さらに増大可能である。本発明の実施形態によれば、2つ以上のアレイ(たとえば、アレイ51および52)を含む照明ユニット101を用いるとともに、これら異なるアレイからのビームを合成することによって、照明の拡張性(scalability)が改善される。通常は、各アレイからのビームが低出力損失および/または出力損失なしで合成可能となるように、アレイ51はアレイ52と異なる対応波長および/または偏光を有する。本発明の実施形態によれば、ビームアレイ6501および6502は、偏光スプリッタ94および/または波長選択素子(wavelength selective element)92を用いて、1本のビームアレイ67に合成される。選択肢として、各アレイ51および52は、合成により単一スケールのビームマトリクスを形成するLDマトリクスで置き換えることができる。
【0101】
次に図12を参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、異なるアレイからのビームを合成する例示的な光学設計の模式図である。本発明の実施形態によれば、4つの異なるアレイのLDを組み合わせて1つのアレイを構成する。本発明の実施形態によれば、波長選択素子92が波長の異なるビームを合成し、偏光スプリッタ94が偏光の異なるビームを合成する。たとえば、2つの異なるアレイのLD511および512は波長が同じで偏光が異なり、LD511および521は波長が異なり偏光が同じである。同様に、LD512および522は、波長が異なり偏光が同じである。選択肢として、511、512、521および522からの各ビームは、波長および偏光の少なくとも一方が異なるため、全ビームを組み合わせ可能である。
【0102】
次に図13を参照して、この図は、本発明の実施形態に係る、DIシステムの一例を示した図である。本発明の実施形態によれば、DIシステム100において、LDアレイ50からの光は、コリメート光学レンズ61によってコリメートされ、AOM70に案内されて変調される。AOM70からの変調ビーム(変調されたビーム)は、回転ポリゴン80に案内され、走査方向85への走査に際して記録媒体95上で走査が行われる。通常、回転ポリゴン80により方向転換された光は、記録媒体95の露光前に走査光学系90によって拡大される。本発明の実施形態によれば、走査速度は、AOM70の音響速度(acoustic velocity rate)に走査光学系90による倍率を乗じたものと等しくなるように調整することにより、Scophony走査効果を用いて、アレイ50の複数のLDによるスポットおよび/または画素の繰り返し露光が可能となる。例示的実施形態において、ポリゴンは、3000RPMの速度で回転する。
【0103】
「備えている」「備える」「具備する」「含む」「有する」という用語およびこれらの同源語は、「・・・を含むが、これに限定されるものではない」ということを意味する。
【0104】
「からなる」とう用語は、「・・・を含み、これに限定される」ということを意味する。
【0105】
「本質的に・・・からなる」という用語は、当該組成、方法または構造に付加的な成分、ステップおよび/または部品が含まれていてもよいが、これら付加的な成分、ステップおよび/または部品が、請求された組成、方法または構造の基本的かつ新規な特性を物質的に変更しない場合に限る。
【0106】
当然のことながら、本発明の特徴は、明瞭化のため別個の実施形態の文脈において説明したが、単一の実施形態として組み合わせてもよい。これに対して、本発明の種々特徴は、簡素化のため単一の実施形態の文脈において説明したが、別個に実施してもよいし、任意適当なサブコンビネーションとして実施してもよいし、本発明の上記その他任意の実施形態に適したものとして実施してもよい。種々実施形態の文脈において説明した一部の特徴は、それぞれの要素なしで実施不能となることがなければ、これら実施形態に不可欠な特徴と考えるべきではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本のビームを放射するように構成される複数の光源を有する照明ユニットと、
前記複数本のビームを形成して位置または角度をそろえる光学系と、
位置または角度の一方がそろった前記複数本のビームを受けるとともに、音響波が音響方向に伝搬する際に、当該複数本のビームの異なる部分を連続して回折させるように位置決めされる音響光学変調器と、
前記音響光学変調器で変調される複数本のビームを用いて、ある走査速度で露光面を走査するように構成される走査素子であって、当該走査速度が、当該複数本のビームの前記異なる部分を非コヒーレントに一体化して単一の露光スポットを得るように選択される走査素子とを備える、ダイレクトイメージングシステム。
【請求項2】
前記複数の光源が複数の半導体レーザーダイオードである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源が、当該複数の光源のうちの少なくとも1つの別の光源と波長が異なる光を放射するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の光源が370〜410nmの範囲の光を放射する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源が、当該複数の光源のうちの少なくとも1つの別の光源と異なる偏光を有するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の光源が1または複数のアレイに配置され、各アレイが当該ダイレクトイメージングシステムの走査方向と一致している、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
各アレイが2〜100個の光源を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
一度に前記光源の一部のみが動作する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記走査素子が複数のファセットを含む回転ポリゴンであり、動作する光源の部分が当該複数ファセットのうちの1つのファセットの角度に応じて走査中に選択される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の各光源には専用レンズが付随しており、当該専用レンズが光源から放射されるビームを整形するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記専用レンズが、前記ビームを走査方向と垂直な方向に長くなるように整形するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記専用レンズが、前記ビームを走査直交方向と垂直な方向に長くなるように整形するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記音響光学変調器には前記複数本のビームを受ける開口が付随しており、前記専用レンズおよび前記光学系が、走査方向と垂直な方向および走査直交方向と垂直な方向の少なくとも一方向に当該開口を占めるように前記ビームを整形するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記光学系が、前記複数の光源から前記音響光学変調器に向かうビームをコリメートするように構成される素子を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記光学系が、前記音響光学変調器の開口に前記複数本のビームを案内するように構成されるテレセントリック光学系を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数本のビームの異なる各部分が、前記音響光学変調器からの当該複数本の各ビームの一部を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数本のビームの異なる各部分が、当該複数本のビームのうちの1または複数本のビームを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記走査速度が、前記音響光学変調器の音響速度に当該システムの倍率を乗じた値に一致するが方向は反対となるように規定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記音響光学変調器が多チャンネル音響光学変調器である、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
少なくとも2つの前記照明ユニットと、
前記少なくとも2つの照明ユニットからの対応するビームを合成する少なくとも1つの光学素子とを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記2つ以上の照明ユニットからの対応するビームの波長および偏光の少なくとも一方が異なる、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
複数本のビームを放射するように構成される複数の光源を有する照明ユニットを提供し、
前記複数本のビームの位置または角度の一方がそろうように当該複数本のビームを音響光学変調器に案内し、
音響波が音響方向に伝搬する間、前記複数本のビームの異なる部分を連続して回折させ、
前記音響光学変調器からの出力により露光面を走査方向に走査する、ここで当該走査が、前記複数本のビームの異なる部分を非コヒーレントに一体化して単一の露光スポットを得るように選択される走査速度で行われる、ダイレクトイメージング方法。
【請求項23】
前記複数の光源が複数の半導体レーザーダイオードを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源が、当該複数の光源のうちの少なくとも1つの別の光源と波長が異なる光を放射するように構成される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記光源アレイが370〜410nmの範囲の光を放射する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源が、当該複数の光源のうちの少なくとも1つの別の光源と異なる偏光を有するように構成される、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記複数の光源が1または複数のアレイに配置され、各アレイが前記走査の方向と一致している、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
各アレイが2〜100個の光源を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
一度に前記光源の一部のみを動作させることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記光源のうちの動作させる光源が前記走査に用いるファセットの角度に応じて選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記複数本の各ビームを前記走査の走査方向と垂直な方向に長くなるように整形することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記複数本の各ビームを前記走査の走査直交方向と垂直な方向に長くなるように整形することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記走査の走査方向と垂直な方向および当該走査の走査直交方向と垂直な方向の少なくとも一方向に前記音響光学変調器の開口が満たされるように前記複数本の各ビームを整形することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
前記複数本のビームの異なる各部分が、前記音響光学変調器からの当該複数本の各ビームの一部を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項35】
前記複数本のビームの異なる各部分が、当該複数本のビームのうちの1または複数本のビームを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項36】
前記複数の光源から前記音響光学変調器に向かうビームをコリメートすることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項37】
前記音響光学変調器の音響速度にシステムの倍率を乗じた値に一致させるが方向は反対となるように規定することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項38】
複数の照明ユニットを提供するとともに、当該複数の照明ユニットからの対応するビームを合成することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項39】
前記複数の照明ユニットからの対応するビームの波長および偏光の少なくとも一方が異なる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ダイレクトイメージングシステムにおけるファセット追跡方法において、
ビームアレイを放射するように構成される光源アレイを提供し、ここで当該光源のアレイは当該ダイレクトイメージングシステムの走査方向とそろっている、
前記複数の光源が走査に用いる回転ポリゴンの単一ファセットの長さよりも長い長さに沿って光を投射するように、当該光源アレイからのビームを音響光学変調器に案内し、
前記音響光学変調器からの出力により露光面を走査方向に走査し、
前記ポリゴンの回転に協調して前記光源の異なるサブセットを選択的に動作させる、ここで当該光源の選択されたサブセットが、走査に用いるファセットにその光が当る光源である、
ダイレクトイメージング方法。
【請求項41】
前記複数の動作ビームが走査に用いる前記ファセットの長さに沿って当るように、前記アレイの各光源が前記音響光学変調器に対して異なる入射角を有するように調整することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記ポリゴンの回転に協調して、前記複数の光源のうち、走査に用いる前記ファセットの縁部近傍に当り、または周囲を通過するビームを放射する光源をオフすることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記複数本の動作ビームを非コヒーレントに一体化して単一の露光スポットを得ることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項1】
複数本のビームを放射するように構成される複数の光源を有する照明ユニットと、
前記複数本のビームを形成して位置または角度をそろえる光学系と、
位置または角度の一方がそろった前記複数本のビームを受けるとともに、音響波が音響方向に伝搬する際に、当該複数本のビームの異なる部分を連続して回折させるように位置決めされる音響光学変調器と、
前記音響光学変調器で変調される複数本のビームを用いて、ある走査速度で露光面を走査するように構成される走査素子であって、当該走査速度が、当該複数本のビームの前記異なる部分を非コヒーレントに一体化して単一の露光スポットを得るように選択される走査素子とを備える、ダイレクトイメージングシステム。
【請求項2】
前記複数の光源が複数の半導体レーザーダイオードである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源が、当該複数の光源のうちの少なくとも1つの別の光源と波長が異なる光を放射するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の光源が370〜410nmの範囲の光を放射する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源が、当該複数の光源のうちの少なくとも1つの別の光源と異なる偏光を有するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の光源が1または複数のアレイに配置され、各アレイが当該ダイレクトイメージングシステムの走査方向と一致している、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
各アレイが2〜100個の光源を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
一度に前記光源の一部のみが動作する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記走査素子が複数のファセットを含む回転ポリゴンであり、動作する光源の部分が当該複数ファセットのうちの1つのファセットの角度に応じて走査中に選択される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の各光源には専用レンズが付随しており、当該専用レンズが光源から放射されるビームを整形するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記専用レンズが、前記ビームを走査方向と垂直な方向に長くなるように整形するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記専用レンズが、前記ビームを走査直交方向と垂直な方向に長くなるように整形するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記音響光学変調器には前記複数本のビームを受ける開口が付随しており、前記専用レンズおよび前記光学系が、走査方向と垂直な方向および走査直交方向と垂直な方向の少なくとも一方向に当該開口を占めるように前記ビームを整形するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記光学系が、前記複数の光源から前記音響光学変調器に向かうビームをコリメートするように構成される素子を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記光学系が、前記音響光学変調器の開口に前記複数本のビームを案内するように構成されるテレセントリック光学系を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数本のビームの異なる各部分が、前記音響光学変調器からの当該複数本の各ビームの一部を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数本のビームの異なる各部分が、当該複数本のビームのうちの1または複数本のビームを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記走査速度が、前記音響光学変調器の音響速度に当該システムの倍率を乗じた値に一致するが方向は反対となるように規定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記音響光学変調器が多チャンネル音響光学変調器である、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
少なくとも2つの前記照明ユニットと、
前記少なくとも2つの照明ユニットからの対応するビームを合成する少なくとも1つの光学素子とを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記2つ以上の照明ユニットからの対応するビームの波長および偏光の少なくとも一方が異なる、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
複数本のビームを放射するように構成される複数の光源を有する照明ユニットを提供し、
前記複数本のビームの位置または角度の一方がそろうように当該複数本のビームを音響光学変調器に案内し、
音響波が音響方向に伝搬する間、前記複数本のビームの異なる部分を連続して回折させ、
前記音響光学変調器からの出力により露光面を走査方向に走査する、ここで当該走査が、前記複数本のビームの異なる部分を非コヒーレントに一体化して単一の露光スポットを得るように選択される走査速度で行われる、ダイレクトイメージング方法。
【請求項23】
前記複数の光源が複数の半導体レーザーダイオードを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源が、当該複数の光源のうちの少なくとも1つの別の光源と波長が異なる光を放射するように構成される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記光源アレイが370〜410nmの範囲の光を放射する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源が、当該複数の光源のうちの少なくとも1つの別の光源と異なる偏光を有するように構成される、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記複数の光源が1または複数のアレイに配置され、各アレイが前記走査の方向と一致している、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
各アレイが2〜100個の光源を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
一度に前記光源の一部のみを動作させることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記光源のうちの動作させる光源が前記走査に用いるファセットの角度に応じて選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記複数本の各ビームを前記走査の走査方向と垂直な方向に長くなるように整形することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記複数本の各ビームを前記走査の走査直交方向と垂直な方向に長くなるように整形することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記走査の走査方向と垂直な方向および当該走査の走査直交方向と垂直な方向の少なくとも一方向に前記音響光学変調器の開口が満たされるように前記複数本の各ビームを整形することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
前記複数本のビームの異なる各部分が、前記音響光学変調器からの当該複数本の各ビームの一部を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項35】
前記複数本のビームの異なる各部分が、当該複数本のビームのうちの1または複数本のビームを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項36】
前記複数の光源から前記音響光学変調器に向かうビームをコリメートすることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項37】
前記音響光学変調器の音響速度にシステムの倍率を乗じた値に一致させるが方向は反対となるように規定することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項38】
複数の照明ユニットを提供するとともに、当該複数の照明ユニットからの対応するビームを合成することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項39】
前記複数の照明ユニットからの対応するビームの波長および偏光の少なくとも一方が異なる、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ダイレクトイメージングシステムにおけるファセット追跡方法において、
ビームアレイを放射するように構成される光源アレイを提供し、ここで当該光源のアレイは当該ダイレクトイメージングシステムの走査方向とそろっている、
前記複数の光源が走査に用いる回転ポリゴンの単一ファセットの長さよりも長い長さに沿って光を投射するように、当該光源アレイからのビームを音響光学変調器に案内し、
前記音響光学変調器からの出力により露光面を走査方向に走査し、
前記ポリゴンの回転に協調して前記光源の異なるサブセットを選択的に動作させる、ここで当該光源の選択されたサブセットが、走査に用いるファセットにその光が当る光源である、
ダイレクトイメージング方法。
【請求項41】
前記複数の動作ビームが走査に用いる前記ファセットの長さに沿って当るように、前記アレイの各光源が前記音響光学変調器に対して異なる入射角を有するように調整することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記ポリゴンの回転に協調して、前記複数の光源のうち、走査に用いる前記ファセットの縁部近傍に当り、または周囲を通過するビームを放射する光源をオフすることを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記複数本の動作ビームを非コヒーレントに一体化して単一の露光スポットを得ることを含む、請求項40に記載の方法。
【図1】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【公開番号】特開2013−45110(P2013−45110A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−181064(P2012−181064)
【出願日】平成24年8月17日(2012.8.17)
【出願人】(501005438)オルボテック リミテッド (14)
【出願人】(501001500)レーザー・イメージング・システムズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (5)
【氏名又は名称原語表記】LASER IMAGING SYSTEMS GMBH & CO. KG
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月17日(2012.8.17)
【出願人】(501005438)オルボテック リミテッド (14)
【出願人】(501001500)レーザー・イメージング・システムズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (5)
【氏名又は名称原語表記】LASER IMAGING SYSTEMS GMBH & CO. KG
【Fターム(参考)】
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