説明

ダンパ及びこのダンパを具備した車両用シート

【課題】衝撃の小さい場合には、柔らかに衝撃を吸収し、衝撃の大きい場合には、硬くなって衝撃被吸収体、例えば頭部を確実に保持できるダンパを提供することにある。
【解決手段】ダンパ1は、容器2と、容器2内の空間を収容室4及び5に区画すると共に容器2と共に回転する一方、容器2に対して可動な区画部材6と、回転入力により区画部材6に移動力を当該回転入力の回転速度に応じた移動速度となるように与える移動力付与手段7と、区画部材6を弾性的に付勢する弾性手段8と、収容室4及び5を相互に連通するように区画部材6に形成された連通孔9と、区画部材6の移動に基づく収容室4に収容された粘性流体3の一定値を超える内圧の発生では連通孔9を介する収容室4の粘性流体3の収容室5への流動を制限する流動制限手段10とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃を緩衝するダンパ、特に、車両において追突された時等に後方からの衝撃を受けて慣性により着座者が後方に移動する際に前方移動して着座者の頭部を支持するヘッドレストを有した車両用シートに好適なダンパ及び斯かるダンパを具備した車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平10−181403号公報
【特許文献2】特開平10−119619号公報
【特許文献3】特開平11−268566号公報
【特許文献4】特開2003−81044号公報
【特許文献5】特開2003−176844号公報
【特許文献6】特開2005−225334号公報
【特許文献7】特開2006−82772号公報
【特許文献8】特開2006−88875号公報
【0003】
車両において、追突された時等に着座者の頭部を拘束するためにヘッドレストを前方に移動させるようにした車両用シートが提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、斯かる車両用シートに使用される衝撃を和らげるダンパには、低速時の追突では、衝撃を与えないようにして頭部を支持するべく柔らかに追突による衝撃を緩衝し、高速時の追突では、頭部を確実に支持するべく硬くなって追突による衝撃を緩衝するように、追突時における衝撃の大きさに応じた硬さをもって衝撃を緩衝することが要求される。
【0005】
本発明は上記諸点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、衝撃の小さい場合には、柔らかに衝撃を吸収し、衝撃の大きい場合には、硬くなって衝撃被吸収体、例えば頭部を確実に保持できるダンパを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的とするところは、追突された時等とそうでない時とを的確に識別して追突された時等のみにヘッドレストを前方に確実に移動させることができ、しかも、背凭れ等にコンパクトに設置できる車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のダンパは、容器と、容器内を当該容器の軸心方向において粘性流体を収容する二つの収容室に区画すると共に容器の軸心の周りの方向に容器と共に回転する一方、容器の軸心方向に容器に対して可動な区画部材と、容器に対して容器の軸心の周りの方向における相対的な一方の方向の回転入力により区画部材に軸心方向における一方の方向への移動力を当該回転入力の回転速度に応じた移動速度となるように与える移動力付与手段と、容器に対して区画部材を軸心方向の他方の方向に弾性的に付勢する弾性手段と、容器内の二つの収容室を相互に連通するように区画部材に形成された少なくとも一つの連通孔と、軸心方向における一方の方向への区画部材の移動に基づく軸心方向における一方の方向の収容室に収容された粘性流体の一定値を超える内圧の発生では連通孔を介する軸心方向における一方の方向の収容室の粘性流体の軸心方向の他方の方向の収容室への流動を制限する流動制限手段とを具備しており、流動制限手段は、軸心方向における一方の方向の端面で軸心方向における一方の方向の収容室に開口している貫通孔を有していると共に区画部材の一方の方向の端面と協働して一方では貫通孔に連通する一方、他方では連通孔に連通する断面可変通路を形成するように軸心方向の他方の方向の端面で区画部材の軸心方向における一方の方向の端面に対面して軸心方向に可動に区画部材に装着された可変通路形成部材と、可変通路形成部材の軸心方向の他方の方向の端面及び区画部材の軸心方向における一方の方向の端面間に配されたプラスチックばねとを具備している。
【0008】
斯かるダンパによれば、一定値を越えない低速な回転入力の場合には、区画部材は、一定値を越えない低速で軸心方向における一方の方向に移動されて、容器の軸心方向における一方の方向の収容室に収容された粘性流体の内圧が一定値を越えないために、可変通路形成部材の軸心方向の他方の方向の端面と区画部材の軸心方向における一方の方向の端面との間に配されたプラスチックばねが大きく縮められないで断面可変通路の大きな通路断面積が維持され、而して、軸心方向における一方の方向の収容室に収容された粘性流体は、それ程の抵抗なしに貫通孔、断面可変通路及び連通孔を介して他方の方向における収容室に流動される結果、生じる減衰力、換言すれば、回転入力に対する反力は、粘性流体が貫通孔、断面可変通路及び連通孔を流動する場合の流動抵抗に基づく比較的小さな値となり、一定値を超える高速な回転入力の場合には、区画部材は、一定値を超える高速で軸心方向における一方の方向に移動されようとして、容器の軸心方向における一方の方向の収容室に収容された粘性流体の内圧は、一定値を超えるために、可変通路形成部材の軸心方向の他方の方向の端面と区画部材の軸心方向における一方の方向の端面との間に配されたプラスチックばねが大きく縮められて、可変通路形成部材の軸心方向の他方の方向の端面と区画部材の軸心方向における一方の方向の端面との間の軸心方向の距離が小さくなって断面可変通路の通路断面積が小さくなり、而して、容器の軸心方向における一方の方向の収容室に収容された粘性流体の貫通孔、断面可変通路及び連通孔を介する容器の軸心方向における他方の方向の収容室への流動は、大きな抵抗をもって行われる結果、生じる減衰力、換言すれば、回転入力に対する反力は、軸心方向における一方の方向の収容室における粘性流体の圧縮抵抗及び小さくなった通路断面積をもった断面可変通路を介する粘性流体の流動抵抗に基づく大きさとなり、而して、衝撃の小さい場合となる一定値を越えない低速の回転入力の場合には、柔らかに衝撃を吸収し、衝撃の大きい場合となる一定値を超える高速の回転入力の場合には、硬くなって被吸収体を確実に保持できる。
【0009】
移動力付与手段は、好ましい例では、容器内に容器の軸心の周りの方向に回転自在に配された回転自在部材と、この回転自在部材の軸心方向における一方の方向の端面及び当該一方の方向の端面に対面する区画部材の軸心方向の他方の方向の端面間に形成されていると共に軸心方向に対して傾斜した傾斜面を有した傾斜面手段とを具備しており、斯かる移動力付与手段では、傾斜面手段は、回転自在部材の一方の方向の端面に一体的に軸心方向における一方の方向に突出して形成されていると共に軸心の周りの方向に配列された複数の回転自在部材突起と、区画部材の他方の方向の端面に一体的に軸心方向の他方の方向に突出して形成されていると共に回転自在部材突起と噛合うように軸心の周りの方向に配列された複数の区画部材突起とを具備していてもよく、斯かる傾斜面手段の場合には、傾斜面は、互いに滑り接触するように回転自在部材突起及び区画部材突起の夫々に形成されている。
【0010】
連通孔は一つでもよいが、これに代えて、複数の連通孔が区画部材に形成されていてもよく、この場合、可変通路形成部材は、貫通孔を有した板状部と、この板状部に一体的に形成されていると共に複数の連通孔の夫々に装着された脚部と、連通孔から突出した脚部の端部に一体的に形成されていると共に脚部の連通孔からの抜け出しを防止する鈎部とを具備しているとよい。
【0011】
好ましい例では、区画部材は、軸心方向における一方の方向の端面に截頭円錐面を有しており、可変通路形成部材は、区画部材の截頭円錐面に相補的であって当該截頭円錐面に対面する截頭円錐面を有しており、断面可変通路は、区画部材の截頭円錐面と可変通路形成部材の截頭円錐面とで形成された截頭円錐状通路を有しており、斯かる例の場合、区画部材の截頭円錐面は、截頭円錐凹面及び截頭円錐凸面のうちの一方を、可変通路形成部材の截頭円錐面は、截頭円錐凹面及び截頭円錐凸面のうちの他方を夫々具備しているとよい。
【0012】
プラスチックばねは、好ましい例では、弾性係数が高温では小さくなる(柔らかくなる)一方、低温では大きくなる(硬くなる)ようなナイロン樹脂、ポリオキシメチレン樹脂等のポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂又はポリカーボネート樹脂等の合成樹脂製のばね、好ましくは、螺旋ばねからなり、斯かる合成樹脂製のばねは、高温では大きく弾性的に縮む一方、低温では小さく弾性的に縮む結果、高温では流動性が増す一方、低温では流動性が低下する流動性に関して正の温度特性を有している粘性流体との相乗作用により、プラスチックばねの弾性的な縮みにより決定される通路断面積をもった断面可変通路を流動する粘性流体の流動抵抗の温度依存性を低減でき、而して、例えば、高温において衝撃の大きい場合となる一定値を超える高速の回転入力の場合のダンパの軸方向の硬さと、低温において衝撃の大きい場合となる一定値を越える高速の回転入力の場合のダンパの軸方向の硬さとの相違を低減でき、軸方向に関して高温でも低温でもそれほど異ならない硬さをもって被吸収体を確実に保持できるようになる。
【0013】
本発明に用いる粘性流体としては、100から1000cstのシリコン油が好適であるが、これに限定されない。
【0014】
本発明の車両用シートは、車両の背凭れと、この背凭れに車両の前方に移動自在に支持されたヘッドレストと、このヘッドレストを前方に移動付勢する移動付勢手段と、ヘッドレストの前方への移動を禁止する禁止機構と、この禁止機構によるヘッドレストの前方への移動禁止を背凭れに加わる車両の後方への一定値を越える移動速度で解除させる解除手段とを具備しており、解除手段は、背凭れの背受部に加わる荷重を回転力に変換する荷重−回転変換機構と、背凭れに加わる車両の後方への一定値を越える移動速度に基づく力を禁止機構に伝達する伝達機構とを有しており、伝達機構は、上記のいずれかの態様のダンパを有しており、ダンパの容器及び移動力付与手段のうちの一方は、荷重−回転変換機構からの回転力を回転入力として受けるべく荷重−回転変換機構に連結されており、ダンパの容器及び移動力付与手段のうちの他方は、背凭れに加わる車両の後方への一定値を越える移動速度に基づく力を禁止機構に伝達するべく、当該禁止機構に連結されている。
【0015】
本発明の車両用シートによれば、禁止機構によるヘッドレストの前方への移動禁止を背凭れに加わる車両の後方への一定値を越える速度で解除させる解除手段が背凭れに加わる車両の後方への一定値を越える速度に基づく力を禁止機構に伝達する伝達機構を有しており、しかも、伝達機構が上記のいずれかの態様のダンパを有しているので、追突された時等とそうでない時とを的確に識別して追突された時等のみにヘッドレストを確実に前方に移動させることができる上に、しかも、背凭れ等にコンパクトに設置できる。
【0016】
本発明の車両用シートにおいては、荷重−回転変換機構は、背凭れのフレームに回動自在に支持されていると共に背凭れの背受部に配された荷重受板を具備していてもよい。
【0017】
ヘッドレストは、背凭れに前方に回動又は直動自在に支持されており、移動付勢手段は、ヘッドレストを前方に回動又は直動付勢するようになっており、禁止機構は、ヘッドレストの前方への回動又は直動を禁止するようになっていてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、衝撃の小さい場合には、柔らかに衝撃を吸収し、衝撃の大きい場合には、硬くなって衝撃被吸収体、例えば頭部を確実に保持できるダンパを提供することができ、また、追突された時等とそうでない時とを的確に識別して追突された時等のみにヘッドレストを前方に確実に移動させることができ、しかも、背凭れ等にコンパクトに設置できる車両用シートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明及びその実施の形態を、図に示す好ましい実施例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に何等限定されないのである。
【0020】
図1から図5において、本例のダンパ1は、容器2と、容器2内の空間を当該容器2の軸心方向であるA1及びA2方向において粘性流体3を収容する二つの収容室4及び5に区画すると共に容器2の軸心Oの周りの方向であるR1及びR2方向に容器2と共に回転する一方、容器2の軸心方向であるA1及びA2方向に容器2に対して可動な区画部材6と、容器2に対して相対的なR1及びR2方向における一方の方向であるR2方向の回転入力により区画部材6にA1及びA2方向における一方の方向であるA1方向への移動力を当該回転入力の回転速度に応じた移動速度となるように与える移動力付与手段7と、区画部材6をA1及びA2方向における他方の方向であるA2方向に弾性的に付勢する弾性手段8と、容器2内の二つの収容室4及び5を相互に連通するように区画部材6に形成された二つの連通孔9と、A1方向への区画部材6の移動に基づくA1方向の収容室4に収容された粘性流体3の一定値を超える内圧の発生では連通孔9を介するA1方向における収容室4の粘性流体3のA2方向の収容室5への流動を制限する流動制限手段10とを具備している。
【0021】
容器2は、A2方向の一端に内径側鍔部21を、A1方向の一端に外径側鍔部22を夫々一体的に有する円筒部23と、円筒部23の外径側鍔部22がリベット又はねじ24により固着されていると共にA2方向の端面25にA2方向に突出した複数の突起、本例ではR1及びR2方向において等角度間隔をもって配列されている三個の半円筒状の突起26を夫々一体的に有するアーム部27付の閉鎖部材28とを具備している。
【0022】
内径側鍔部21の円筒状の内周面29のA1方向の端部には、Oリングからなるシールリング30を収容する環状切欠き31が形成されており、外径側鍔部22のA1方向の端面32には、端面25に弾性的に接触するOリングからなるシールリング33を収容する環状溝34が形成されている。
【0023】
区画部材6は、図7から図10に特に詳細に示すように、円筒部23の円筒状の内周面41にA1及びA2方向に移動自在に接触する円筒状の外周面42を有する円板状本体43と、円板状本体43のA1方向の端面44の径方向外縁から一体的にA1方向に突出していると共に三個の突起26にR1及びR2方向において隙間なく噛合うようにR1及びR2方向において等角度間隔をもって配列されている複数、本例では三個の半円筒状の突起45と、円板状本体43のA1方向の端面44から一体的にA1方向に突出している大径の円板状部46と、円板状部46のA1方向の端面47から一体的にA1方向に突出している小径の円板状部48と、円板状部48のA1方向の端面49から一体的にA1方向に突出していると共に截頭円錐面50を有した截頭円錐部51と、截頭円錐部51のA1方向の突出端から一体的にA1方向に突出している円柱突起部52とを具備しており、このように区画部材6のA1方向の端面54は、端面44、端面47、端面49及び截頭円錐面50を有している。
【0024】
円板状本体43は、内周面41に弾性的に接触するOリングからなるシールリング55が装着される環状溝56を外周面42に、収容室5に開口する円柱状の凹所57をA2方向の端面58に夫々有しており、径方向において対峙されて区画部材6の円板状本体43、円板状部46及び円板状部48に形成された連通孔9の夫々は、A1方向の一端では円板状部48の端面49で開口していると共にA2方向の一端では凹所57の底面を規定する円板状本体43の陥没端面59で開口して凹所57を介して収容室5に連通している。
【0025】
区画部材6は、突起45の突起26への噛合いにより容器2に対してA1方向及びA2方向に可動である一方、容器2に対してR1及びR2方向において不動に、言い換えると、容器2に対してR1及びR2方向に回転しないで容器2のR1及びR2方向の回転と共に同方向に回転するようにして容器2内に配されており、容器2の閉鎖部材28と協同して容器2内の空間でA1方向の収容室4を区画している。
【0026】
移動力付与手段7は、図7、図9及び図10から図13に特に詳細に示すように、容器2内の空間に容器2に対してR1及びR2方向に回転自在に配された回転自在部材61と、回転自在部材61のA1方向の端面62及び当該端面62に対面する区画部材6のA2方向の端面58間に形成されていると共にA1及びA2方向に対して傾斜した複数、本例では夫々三個の傾斜面63及び64を有した傾斜面手段65とを具備している。
【0027】
回転自在部材61は、図11から図13に特に詳細に示すように、円筒部23の円筒状の内周面41にR1及びR2方向に回転自在に接触する円筒状の外周面71を有する大径の円板状本体72と、円板状本体72のA2方向の端面73の中央部から一体的にA2方向に突出していると共に内径側鍔部21の内周面29にR1及びR2方向に回転自在に接触する円筒状の外周面74を有する小径の円環状部75とを具備しており、回転自在部材61は、区画部材6と協同して容器2内の収容室5を区画している共に端面73で内径側鍔部21にR1及びR2方向に回転自在に接触してA2方向に移動されないようになっており、シールリング30は、円環状部75の外周面74と円板状本体72の端面73とに弾性的に接触している。
【0028】
円板状本体72及び円環状部75は、その中央部に六角形の有底溝76を有しており、有底溝76には断面六角形の回転軸77が嵌着されるようになっており、容器2に対する相対的なR1及びR2方向の回転入力は、回転軸77により回転自在部材61に付加されるようになっている。
【0029】
傾斜面手段65は、図7及び図9から図12に特に詳細に示すように、回転自在部材61の円板状本体72の端面62に一体的にA1方向に突出して形成されていると共にR1及びR2方向に等角度間隔で配列された複数、本例では三個の回転自在部材突起81と、区画部材6の円板状本体43の端面58に一体的にA2方向に突出して形成されていると共に回転自在部材突起81と噛合うようにR1及びR2方向に等角度間隔で配列された複数、本例では三個の区画部材突起82とを具備している。
【0030】
各回転自在部材突起81は、A1及びA2方向に対して直交すると共に端面62に面一である底面85と、底面85から角度θ1をもってR1方向(図12において時計周りの方向)に伸びた傾斜面63とを有しており、各区画部材突起82は、A1及びA2方向に対して直交すると共に底面85に接触する頂面86と、頂面86から角度θ2をもってR1方向(図9において時計周りの方向)に伸びていると共に対応の傾斜面63に接触する傾斜面64とを有しており、こうして、傾斜面63及び64は、互いにR1及びR2方向に滑り接触するように回転自在部材突起81及び区画部材突起82の夫々に形成されている。
【0031】
移動力付与手段7は、回転軸77からのR2方向の回転入力で回転自在部材61が同じくR2方向に回転されると、図16に示すように、R2方向に回転する各傾斜面63で各傾斜面64に滑りながら各傾斜面64をA1方向に押し付けて区画部材6を弾性手段8からの弾性力に抗してA1方向に移動させる一方、回転軸77からのR2方向の回転入力が解除されると、区画部材6を介する弾性手段8からの弾性力により各傾斜面64が各傾斜面63にA2方向に押し付けられ、これにより各傾斜面63が各傾斜面64に滑りながらR1方向に回転する結果、各頂面86が底面85に接触して、図2に示すように、区画部材6がもとの移動位置に、回転自在部材61がもとの回転位置に復帰され、こうして、容器2に対して相対的なR2方向の回転入力により区画部材6にA1方向への移動力を回転入力のR2方向の回転速度に応じた移動速度となるように与えるようになっている。
【0032】
弾性手段8は、閉鎖部材28の端面25と円板状本体43の端面44との間に、各端部でこれらに接触して圧縮して、しかも、円板状部46及び円板状部48を囲繞して配されたコイルばね88を有しており、コイルばね88の弾性力により円板状本体43をA2方向に付勢して移動力付与手段7の回転自在部材61にR1方向の回転復帰力を与えている。
【0033】
流動制限手段10は、図6及び図14に特に詳細に示すように、A1方向の端面91でA1方向における収容室4に開口している貫通孔92を有していると共に区画部材6のA1方向の端面54のうちの端面47、端面49及び截頭円錐面50と協働して一方では貫通孔92に連通する一方、他方では連通孔9に連通する断面可変通路93を形成するようにA2方向の端面94で区画部材6のA1方向の端面54のうちの端面47、端面49及び截頭円錐面50に対面してA1及びA2方向に可動に区画部材6に装着された可変通路形成部材95と、断面可変通路93を囲繞すると共に可変通路形成部材95のA2方向の端面94及び区画部材6のA1方向の端面54のうちの端面47間に配されたプラスチックばねとしての合成樹脂製の螺旋ばね96とを具備している。
【0034】
可変通路形成部材95は、円柱突起部52が配された貫通孔92を有した円形の板状部97と、板状部97にA2方向に伸びて一体的に形成されていると共に連通孔9の夫々に装着された一対の脚部98と、連通孔9から突出した脚部98の夫々の端部に一体的に形成されていると共に図15に示すように陥没端面59に係合して脚部98の連通孔9からのA1方向の抜け出しを防止する鈎部99とを有している。
【0035】
端面94は、脚部98が一体的に形成されていると共に脚部98の径方向外方で螺旋ばね96の一端に接触する円環状の平坦面100と、平坦面100に囲繞されていると共に区画部材6の截頭円錐面50に相補的であって当該截頭円錐面50に対面する截頭円錐面101とを有している。
【0036】
断面可変通路93は、区画部材6の截頭円錐面50と可変通路形成部材95の截頭円錐面101とで形成された截頭円錐状通路105、截頭円錐状通路105に連通していると共に区画部材6の端面49と平坦面100とで形成された内側円環状通路106及び内側円環状通路106に連通する共に区画部材6の端面47と平坦面100とで形成された外側円環状通路107を有しており、截頭円錐状通路105は、貫通孔92に配された円柱突起部52と当該貫通孔92における板状部97との間の円環状隙間を介して収容室4に連通しており、内側円環状通路106は、連通孔9に連通しており、外側円環状通路107は、螺旋ばね96の各巻き間の隙間を介して径方向外縁で収容室4に連通する。
【0037】
プラスチックばねとしての螺旋ばね96は、高温では小さくなる(柔らかくなる)一方、低温では大きくなる(硬くなる)弾性係数を有した合成樹脂からなっている。
【0038】
流動制限手段10は、収容室5の粘性流体3の内圧に対して収容室4の粘性流体3の内圧がそれ程大きくならない区画部材6のA1方向の緩慢な低速の移動、すなわち、回転軸77からの相対的なR2方向の低速な回転入力では、図16に示すように、収容室4の粘性流体3の内圧により螺旋ばね96が軸方向に関して大きく弾性的に縮まない程度に平坦面100を、他端部が端面47に接触する螺旋ばね96に軸方向に関して押圧させて、軸方向の長さにおいて弾性的に大きく縮まない螺旋ばね96の軸方向の長さにより決定された通路断面積をもった截頭円錐状通路105、内側円環状通路106及び外側円環状通路107並びに円柱突起部52と貫通孔92における板状部97との間の円環状隙間、連通孔9及び凹所57を介して収容室4を収容室5に連通させ、斯かる連通により粘性流体3の収容室4から収容室5への流動を許容して区画部材6のA1方向の緩慢な移動には小さな抵抗力を発生させる。
【0039】
収容室5の粘性流体3の内圧に対して収容室4の粘性流体3の内圧が極めて大きくなる区画部材6のA1方向の高速移動、すなわち、回転軸77からの相対的なR2方向の高速な回転入力では、流動制限手段10は、収容室4の大きな内圧により可変通路形成部材95の板状部97を、螺旋ばね96を軸方向の長さにおいて弾性的に大きく縮めるように螺旋ばねに押圧させて截頭円錐状通路105、内側円環状通路106及び外側円環状通路107を狭めてその通路断面積を小さくし、この小さくされた通路断面積をもった截頭円錐状通路105、内側円環状通路106及び外側円環状通路107を介して収容室4を収容室5に連通させ、斯かる連通により粘性流体3の収容室4から収容室5への流動を大きな抵抗をもって行わせて区画部材6のA1方向の高速な移動には大きな抵抗力を発生させ、更に、回転軸77からの相対的なR2方向の更により高速な回転入力による回転自在部材61のR2方向の回転では、可変通路形成部材95の板状部97の螺旋ばね96への弾性的な押圧により螺旋ばね96を軸方向において更に大きく弾性的に縮め変形させ、截頭円錐状通路105、内側円環状通路106及び外側円環状通路107の通路断面積を軸方向において大きく縮められた螺旋ばね96の軸方向の長さで決定される極めて小さな値にして収容室4の粘性流体3の収容室5への流動を実質的に極めて小さくし、斯かる高速回転を区画部材6を介して実質的に阻止し、而して、回転軸77を高速に回転させようとする衝撃被吸収体の回転を阻止して衝撃被吸収体を確実に保持する。
【0040】
図16に示すように区画部材6がA1方向に移動された後に、回転軸77からの相対的なR2方向の回転入力が消失すると、流動制限手段10では、コイルばね88の弾性力により区画部材6が逆にA2方向に移動され始め、この移動において図15に示すように区画部材6に対して可変通路形成部材95がA1方向に相対的に移動される結果、截頭円錐状通路105、内側円環状通路106及び外側円環状通路107と収容室4との連通が元に回復されて元の大きさの通路断面積をもった截頭円錐状通路105、内側円環状通路106及び外側円環状通路107が形成されて、粘性流体3の収容室5から収容室4への流動が小さな抵抗をもって行われて、斯かる小さな抵抗力をもって区画部材6がA2方向に迅速に移動されて、各頂面86が対応の各底面85に接触する初期位置に回転自在部材61が元に戻される。
【0041】
高温では小さくなる一方、低温では大きくなる弾性係数を有した螺旋ばね96は、板状部97からの押圧において、高温では大きく弾性変形される一方、低温では小さく弾性変形されるので、高温では流動性が増す一方、低温では流動性が低下する流動性に関して正の温度特性を有している粘性流体3との相乗作用により、軸方向の縮みに基づく螺旋ばね96の軸方向の長さにより決定される通路断面積をもった截頭円錐状通路105、内側円環状通路106及び外側円環状通路107からなる断面可変通路93を流動する粘性流体3の流動抵抗の温度依存性を低減でき、而して、例えば、高温において衝撃の大きい場合となる一定値を超える高速の回転入力の場合のダンパ1のA2方向の硬さと、低温において衝撃の大きい場合となる一定値を越える高速の回転入力の場合の同じくダンパ1のA2方向の硬さとの相違を低減することができ、A2方向に関して高温でも低温でもそれほど異ならない硬さをもって被吸収体を確実に保持できるようになる。
【0042】
以上のダンパ1を例えば図17及び図18に示すように車両用シート201に用いてもよい。すなわち、本例の車両用シート201は、車両の床202に前後位置及び傾動位置調整自在に取付けられる座席シート203と、座席シート203に傾動位置調整自在に取付けられた車両の背凭れ204と、背凭れ204に前方に移動自在、本例では前方のR3方向に回動自在に支持されたヘッドレスト205と、ヘッドレスト205を前方のR3方向に回動付勢する回動付勢手段206と、ヘッドレスト205のR3方向への回動を禁止する禁止機構207と、禁止機構207によるヘッドレスト205のR3方向への移動禁止を背凭れ204に加わる車両の後方への一定値を越える移動速度で解除させる解除手段208とを具備している。
【0043】
座席シート203を床202に前後位置及び傾動位置調整自在に取付ける取付機構及び背凭れ204を座席シート203に傾動位置調整自在に取付ける取付機構は、公知であるので詳細な説明を省く。
【0044】
ヘッドレスト205は、ヘッドレスト本体211と、ヘッドレスト本体211に固着されていると共に背凭れ204のフレーム(図示しない)に軸212を介してR3方向に回動自在に支持されている支持部材213とを具備しており、支持部材213は、背凭れ204のフレームに固着されたストッパ214によりR3方向と反対の方向に回動しないようになっている。
【0045】
移動付勢手段としての回動付勢手段206は、一端が背凭れ204のフレームに固着されていると共に他端が支持部材213に固着されたコイルばね215を具備しており、コイルばね215の弾性力によりヘッドレスト205を常時R3方向に回動付勢している。
【0046】
禁止機構207は、背凭れ204のフレームに軸216を介してR4方向に回動自在に支持されていると共に支持部材213の先端に当接、係合して支持部材213のR3方向の回動を禁止する鉤部材217と、鉤部材217を支持部材213の先端への当接、係合位置に設定するストッパ218及びコイルばね219とを具備している。
【0047】
解除手段208は、座席シート203に着座した乗員から背凭れ204の背受部221に加わる荷重により変位される荷重−回転変換機構222と、背凭れ204の背受部221に加わる車両の後方への一定値を越える速度に基づく力を禁止機構207に伝達する一方、背凭れ204の背受部221に加わる一定値以下の速度に基づく力の禁止機構207への伝達を行わない伝達機構223とを有している。
【0048】
荷重−回転変換機構222は、背凭れ204のフレームに回転自在に支持された回転軸77と、回転軸77に固着されていると共に背凭れ204の背受部221に配された荷重受板225とを具備しており、背凭れ204のフレームに回転軸77を介して回動自在に支持されている荷重受板225は、背凭れ204の背受部221におけるクッション内に埋め込まれている。
【0049】
伝達機構223は、背凭れ204のフレームに支持された支持軸226と、支持軸226に容器2の閉鎖部材28でR1及びR2方向に回転自在に支持されたダンパ1と、一端ではダンパ1のアーム部27に連結されていると共に他端では鉤部材217に連結されているワイヤー227とを具備している。
【0050】
本例のダンパ1では、支持軸226の一端を受容する凹所が閉鎖部材28の他方の端面228に形成されており、斯かる支持軸226及び凹所を介してダンパ1の容器2は、背凭れ204のフレームに支持軸226を中心としてR1及びR2方向に回転自在に支持されており、断面六角形の回転軸77は、円板状本体72及び円環状部75の中央部の六角形の有底溝76に嵌合されており、こうして、ダンパ1の容器2は、R2方向の回転に関してワイヤー227及び鉤部材217を介するコイルばね219の弾性力により半固定されている。
【0051】
以上の車両用シート201では、座席シート203への乗員の着座で背凭れ204に車両の後方への乗員の通常の荷重が付加される場合又は座席シート203に着座した乗員への車両の通常の加速による背凭れ204への車両の後方への乗員の荷重の追加の場合においては、背凭れ204へのこれらの荷重は一定値以下の速度をもって緩慢になされる結果、乗員の斯かる荷重を受ける荷重受板225は、コイルばね219の弾性力によってR2方向の回転に関して半固定された容器2にR2方向の回転を生起させないで、回転軸77を中心としてR2方向において緩慢に回動される。荷重受板225のこの緩慢な回動は、大きく弾性的に縮まない螺旋ばね96の軸方向の長さにより決定された通路断面積をもった截頭円錐状通路105、内側円環状通路106及び外側円環状通路107並びに円柱突起部52と貫通孔92における板状部97との間の円環状隙間、連通孔9及び凹所57を介しての粘性流体3の収容室4から収容室5へのゆっくりとした流動を生じさせる結果、荷重受板225、延いては背凭れ204は適度な緩衝を受けることになる一方、荷重受板225の斯かる緩慢な回動では、傾斜面手段65により回転自在部材61が区画部材6に対してR2方向に空転されることになって回転自在部材61と容器2とがR2方向の回転に関して非連結状態とされる結果、支持部材213の先端への当接、係合を解除するような鉤部材217のR4方向の回動を生じさせる引張力が容器2を介してワイヤー227に生じなく、禁止機構207はヘッドレスト205の前方のR3方向の回動を禁止し、ヘッドレスト205は通常の位置に維持される。
【0052】
また車両用シート201では、追突されて座席シート203に着座した乗員に後方への一定値を越える大きな速度が生じて、荷重受板225が急激に回転軸77を中心としてR2方向に回動されると、R2方向の回転軸77のこの一定値を越える速度の回転は、軸方向に関して大きく弾性的に縮められた螺旋ばね96の軸方向の長さにより決定された通路断面積をもった截頭円錐状通路105、内側円環状通路106及び外側円環状通路107からなる断面可変通路93により粘性流体3の収容室4から収容室5への流動を制限させる結果、回転自在部材61と容器2とは区画部材6を介してR2方向の回転に関して連結状態とされる結果、斯かるR2方向の回転軸77の一定値を越える速度の回転は、コイルばね219の弾性力に打ち勝って回転自在部材61及び区画部材6を介して容器2に支持軸226を中心としたR2方向の回転を生じさせ、而して、支持部材213の先端への当接、係合を解除するような鉤部材217の回動を生じさせる引張力がワイヤー227に生じ、禁止機構207の鉤部材217は、支持部材213の先端への当接、係合を解除するように軸216を中心としてR4方向に回動され、ヘッドレスト205は、コイルばね215に付勢されて乗員の頭部を保持するようにR3方向に回動される。
【0053】
このように車両用シート201では、背凭れ204に加わる車両の後方への一定値を越える速度に基づく力を禁止機構207に伝達して禁止機構207によるヘッドレスト205の前方のR3方向への回動禁止を解除する一方、背凭れ204に加わる一定値以下の速度に基づく力の禁止機構207への伝達を行わないで禁止機構207によるヘッドレスト205の前方のR3方向への回動禁止を維持する切替機構としてのダンパ1を具備した伝達機構223を有しているので、追突された時等とそうでない時とを的確に識別して追突された時等のみに確実にヘッドレスト205を前方のR3方向に移動させることができる。
【0054】
上記の車両用シート201の例では、ヘッドレスト205の前方のR3方向への移動後、ヘッドレスト205を強制的にR3方向と逆の方向に回動させ、支持部材213の先端を鉤部材217の傾斜面に摺動させて鉤部材217を逆転させることにより、支持部材213の先端の鉤部材217への当接、係合を復帰させることができる。なお、前記の例では、ワイヤー227を用いたが、これに代えて、歯車機構、ラック−ピニオン機構等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明による実施の形態の好ましい例の側面説明図である。
【図2】図1に示す例の側面断面説明図である。
【図3】図1に示す例の分解説明図である。
【図4】図1に示す例の容器の一部の拡大説明図である。
【図5】図4に示す容器の一部の右側面説明図である。
【図6】図2に示す可変通路形成部材の拡大説明図である。
【図7】図2に示す区画部材等の拡大説明図である。
【図8】図7に示す区画部材等の左側面説明図である。
【図9】図7に示す区画部材等の右側面説明図である。
【図10】図2に示す区画部材等の拡大断面説明図である。
【図11】図2に示す移動力付与手段等の一部の拡大説明図である。
【図12】図11に示す移動力付与手段等の左側面説明図である。
【図13】図11に示す移動力付与手段等の右側面説明図である。
【図14】図2に示す区画部材及び可変通路形成部材等の拡大断面説明図である。
【図15】図1に示す例の動作説明図である。
【図16】図1に示す例の動作説明図である。
【図17】図1に示す例を車両用シートに用いた例の側面説明図である。
【図18】図16に示す例の正面説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1 ダンパ
2 容器
3 粘性流体
4、5 収容室
6 区画部材
7 移動力付与手段
8 弾性手段
9 連通孔
10 流動制限手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、容器内を当該容器の軸心方向において粘性流体を収容する二つの収容室に区画すると共に容器の軸心の周りの方向に容器と共に回転する一方、容器の軸心方向に容器に対して可動な区画部材と、容器に対して容器の軸心の周りの方向における相対的な一方の方向の回転入力により区画部材に軸心方向における一方の方向への移動力を当該回転入力の回転速度に応じた移動速度となるように与える移動力付与手段と、容器に対して区画部材を軸心方向の他方の方向に弾性的に付勢する弾性手段と、容器内の二つの収容室を相互に連通するように区画部材に形成された少なくとも一つの連通孔と、軸心方向における一方の方向への区画部材の移動に基づく軸心方向における一方の方向の収容室に収容された粘性流体の一定値を超える内圧の発生では連通孔を介する軸心方向における一方の方向の収容室の粘性流体の軸心方向の他方の方向の収容室への流動を制限する流動制限手段とを具備しており、流動制限手段は、軸心方向における一方の方向の端面で軸心方向における一方の方向の収容室に開口している貫通孔を有していると共に区画部材の一方の方向の端面と協働して一方では貫通孔に連通する一方、他方では連通孔に連通する断面可変通路を形成するように軸心方向の他方の方向の端面で区画部材の軸心方向における一方の方向の端面に対面して軸心方向に可動に区画部材に装着された可変通路形成部材と、可変通路形成部材の軸心方向の他方の方向の端面及び区画部材の軸心方向における一方の方向の端面間に配されたプラスチックばねとを具備しているダンパ。
【請求項2】
移動力付与手段は、容器内に容器の軸心の周りの方向に回転自在に配された回転自在部材と、この回転自在部材の軸心方向における一方の方向の端面及び当該一方の方向の端面に対面する区画部材の軸心方向の他方の方向の端面間に形成されていると共に軸心方向に対して傾斜した傾斜面を有した傾斜面手段とを具備している請求項1に記載のダンパ。
【請求項3】
傾斜面手段は、回転自在部材の一方の方向の端面に一体的に軸心方向における一方の方向に突出して形成されていると共に軸心の周りの方向に配列された複数の回転自在部材突起と、区画部材の他方の方向の端面に一体的に軸心方向の他方の方向に突出して形成されていると共に回転自在部材突起と噛合うように軸心の周りの方向に配列された複数の区画部材突起とを具備しており、傾斜面は、互いに滑り接触するように回転自在部材突起及び区画部材突起の夫々に形成されている請求項2に記載のダンパ。
【請求項4】
区画部材には、複数の連通孔が形成されており、可変通路形成部材は、貫通孔を有した板状部と、この板状部に一体的に形成されていると共に複数の連通孔の夫々に装着された脚部と、連通孔から突出した脚部の端部に一体的に形成されていると共に脚部の連通孔からの抜け出しを防止する鈎部とを具備している請求項1から3のいずれか一項に記載のダンパ。
【請求項5】
区画部材は、軸心方向における一方の方向の端面に截頭円錐面を有しており、可変通路形成部材は、区画部材の截頭円錐面に相補的であって当該截頭円錐面に対面する截頭円錐面を有しており、断面可変通路は、区画部材の截頭円錐面と可変通路形成部材の截頭円錐面とで形成された截頭円錐状通路を有している請求項1から4のいずれか一項に記載のダンパ。
【請求項6】
プラスチックばねは、弾性係数が高温では小さくなる一方、低温では大きくなる合成樹脂製の螺旋ばねからなる請求項1から5のいずれか一項に記載のダンパ。
【請求項7】
車両の背凭れと、この背凭れに車両の前方に移動自在に支持されたヘッドレストと、このヘッドレストを前方に移動付勢する移動付勢手段と、ヘッドレストの前方への移動を禁止する禁止機構と、この禁止機構によるヘッドレストの前方への移動禁止を背凭れに加わる車両の後方への一定値を越える移動速度で解除させる解除手段とを具備しており、解除手段は、背凭れの背受部に加わる荷重を回転力に変換する荷重−回転変換機構と、背凭れに加わる車両の後方への一定値を越える移動速度に基づく力を禁止機構に伝達する伝達機構とを有しており、伝達機構は、請求項1から6のいずれか一項に記載のダンパを有しており、ダンパの容器及び移動力付与手段のうちの一方は、荷重−回転変換機構からの回転力を回転入力として受けるべく荷重−回転変換機構に連結されており、ダンパの容器及び移動力付与手段のうちの他方は、背凭れに加わる車両の後方への一定値を越える移動速度に基づく力を禁止機構に伝達するべく、当該禁止機構に連結されている車両用シート。
【請求項8】
荷重−回転変換機構は、背凭れのフレームに回動自在に支持されていると共に背凭れの背受部に配された荷重受板を具備している請求項7に記載の車両用シート。
【請求項9】
ヘッドレストは、背凭れに前方に回動又は直動自在に支持されており、移動付勢手段は、ヘッドレストを前方に回動又は直動付勢するようになっており、禁止機構は、ヘッドレストの前方への回動又は直動を禁止するようになっている請求項7又は8に記載の車両用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−268517(P2009−268517A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119110(P2008−119110)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】