説明

チオフェンまたはセレノフェン化合物の重合方法

【課題】高い局部規則性、高分子量、高純度および高収率を有するチオフェンポリマーの改良された製造法の提供。
【解決手段】ヘテロ環式芳香族化合物を、アリール−アリールC−Cカップリングの形成の下に重合させる方法であって、ここで、前記化合物は、少なくとも1個のハロゲン化物官能基および少なくとも1個のボロン官能基を有し、ここで重合は、a)パラジウム触媒および有機ホスフィンもしくはホスホニウム化合物を含む、触媒/リガンド系、b)塩基、c)溶媒もしくは溶媒の混合物、の存在下で行われ、ハロゲン化物官能基およびボロン官能基は、チオフェンもしくはセレノフェン環に結合しており、かつ前記有機ホスフィンもしくはホスホニウム化合物は、任意に置換されたアルキルおよびアリール基から選択される置換基を有する、三置換ホスフィンもしくはホスホニウム塩であることを特徴とする、前記方法により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チオフェンまたはセレノフェン誘導体のカップリング方法、特に、高分子量および高い局部規則性(regioregularity)を有する共役チオフェンまたはセレノフェンポリマーの製造方法、ならびに、この方法により製造された新規ポリマーに関する。さらに本発明は、前記新規ポリマーの、電界効果トランジスタ(FET)、薄膜トランジスタ(TFT)、電子発光、光電池およびセンサー装置を含む光学、電子光学または電子装置における、半導体または電荷輸送材料としての使用に関する。本発明はさらに、前記新規ポリマーを含む、FETおよび他の半導体部品もしくは材料に関する。
【背景技術】
【0002】
有機材料は、有機ベースの薄膜トランジスタおよび有機電界効果トランジスタ(OFET)における活性層として将来性を示してきた。かかるデバイスは、スマートカード、セキュリティタグおよびフラットパネルディスプレイのスイッチング素子において潜在的な用途を有する。有機材料は、もし溶液から蒸着できれば、高速で大面積の製造ルートが可能となるため、そのシリコン類似体に対して大きなコスト的利点を有することが予想されている。
【0003】
デバイスの性能は、基本的に、半導体材料の電荷キャリア移動度および電流オン/オフ比に基づくため、理想的な半導体は、高い電荷キャリア移動度(>1×10−3cm−1−1)と組み合わせて、オフ状態において低い導電率を有する必要がある。さらに、半導体材料は、酸化がデバイスの性能の低下を引き起こすため、酸化に対して比較的安定であること、すなわち、高いイオン化ポテンシャルを有することが重要である。
【0004】
従来技術から知られている好適な半導体材料は、ポリ−(3−ヘキシルチオフェン)などの局部規則性頭−尾(HT)ポリ−(3−アルキルチオフェン)(P3AT)である。これは、高い電荷キャリア移動度、有機溶媒中での良好な溶解性を示し、大面積フィルムを製造するための溶液加工が可能である。
【0005】
局部規則性ポリチオフェンの合成は、グリニャールメタセシス(非特許文献1)、リーク(Rieke)カップリング(非特許文献2)、スチル(Stille)カップリング(非特許文献3)、およびスズキカップリング(非特許文献4)を含む種々の方法により文献中でよく報告されている。他の方法、すなわちヤマモトカップリング(非特許文献5)および酸化重合(非特許文献6)は、使用するモノマーが対称である場合にのみ局部規則性ポリチオフェンを得るのに用いることができる。しかしながら、これらの方法は、現在いくつかの欠点を有しており、特に、少なくとも2種のチオフェンベースモノマーを含むコポリマーの合成において欠点を有する。
【0006】
グリニャールメタセシス、リークカップリング、ヤマモトカップリングおよび酸化重合法は全て、単一モノマーユニットに基づく局部規則性ホモポリマーの合成にのみ適用可能である。したがって、これらの合成アプローチは、交互コポリマーの製造には適用することができない。さらに、グリニャールメタセシスは、これまでのところP3ATの合成のみに有用であることが証明されている。
一方で、スチルカップリング法およびスズキカップリング法は、局部規則性ホモポリマーおよび交互コポリマーの両方の製造に使用できるが、それでもいずれも大きな障害を抱えている。
【0007】
スチルカップリングの場合は、主たる障害は有機スズ化合物の毒性である。一般的に、トリブチルスタンニルもしくはトリメチルスタンニルチオフェン誘導体は、いずれも重合に使用される。これらのモノマーは、トリアルキルスズハロゲン化物、特に、極めて有毒なトリメチルスズハロゲン化物、から製造される。トリアルキルスズハロゲン化物はまた、重合中に再生される。この毒性の問題は、特に、この経路を介したポリチオフェンの大規模製造における欠点である。
【0008】
スズキカップリングについては、現在の障害は、得られるポリチオフェンが低分子量であること(非特許文献7)および/または低い収率(非特許文献4、7)である。これは、反応中に生じるチオフェンボロネートエステル/酸の著しい脱ホウ素化のためであり、一般的にこれにより得られる分子量が制限される。
【0009】
ポリチオフェンの分子量は、その薄膜の形態に直接的な影響を及ぼし、P3HTについて観察されるように(非特許文献8)、結果的にその電界効果に影響を及ぼす。さらに、(バルクヘテロ接合)太陽電池のパフォーマンスは、装置に用いられるP3HTの分子量に依存することが報告された(非特許文献9)。したがって、ポリチオフェンがFETおよび太陽電池などの電子装置における用途に対する魅力的な候補となるためには、高分子量ポリチオフェンを合成できることが重要である。
【0010】
先行技術(特許文献1、2、3)はまた、例えば9,9−ジアルキルフルオレンベースのコポリマーといった高分子量ポリマー(M>100,000Da)を良好な収率で生成するスズキカップリング法を開示している。しかしながら、これらの方法は、高分子量を有するポリチオフェンを高収率で生成するものではない。
【特許文献1】WO 99/20675 A1
【特許文献2】WO 00/53656 A1
【特許文献3】WO 03/035713 A1
【非特許文献1】R. S. Loewe, P. C. Ewbank, J. Liu, L. Zhai, R. D. McCullough, Macromolecules, 2001, 34, 4324.
【非特許文献2】T.-A. Chen, R. D. Rieke, J. Am. Chem. Soc., 1992, 114, 10087.
【非特許文献3】A. Iraqi, G. W. Barker, J. Mater. Chem., 1998, 8, 25.
【非特許文献4】S. Guillerez, G. Bidan, Synth. Met., 1998, 93, 123.
【非特許文献5】T. Yamamoto, A. Morita, Y. Miyazaki, T. Maruyama, H. Wakayama, Z. Zhou, Y. Nakamura, T. Kanbara, S. Sasaki, K. Kubota, K. Macromolecules, 1992, 25, 1214.
【非特許文献6】M. C. Gallazzi, C. Bertarelli, E. Montoneri, Synth. Met., 2002, 128, 91.
【非特許文献7】M. Jayakannan, J. L. J. van Dongen, R. A. J. Janssen, Macromolecules, 2001, 34, 5386.
【非特許文献8】J. R. Kline, M. D. McGehee, E. N. Kadnikova, J. Liu, J. M. J. Frechet, M. F. Toney, Macromolecules, 2005, 38, 3312
【非特許文献9】P. Schillinsky, U. Asawapirom, U. Scherf, M. Biele, C. J. Brabec, Chem. Mater., 2005, 17, 2175
【発明の開示】
【0011】
したがって、特に工業的大規模生産に適した経済的、効果的、かつ環境的に有益な様式で、高い局部規則性、高分子量、高純度および高収率を有するチオフェンポリマーの改良された製造法に対する必要性が未だに存在している。
本発明の目的は、これらの利点を有するが上記先行技術の方法の欠点を有さない、チオフェンポリマーの改良された製造方法を提供することである。本発明の他の目的は、下記の詳細な説明から当業者に直ちに明らかである。
【0012】
これらの目的は、本発明において特許請求の範囲に記載された通りの方法により達成できることが見出された。この方法は、チオフェンおよびセレノフェン化合物のカップリングを可能にし、そして特に、高分子量および高い局部規則性を有するチオフェンまたはセレノフェン共役ポリマーを合成するのに好適である。この方法により得られるポリマーは、特にFETおよびTFTの製造における半導体部品として有用である。
【0013】
発明の概要
本発明は、ヘテロ環式芳香族化合物を、アリール−アリールC−Cカップリングの形成の下に重合させる方法であって、ここで、前記化合物は、少なくとも1個のハロゲン化物官能基および少なくとも1個のボロン官能基を有している前記方法、または、
少なくとも1種の第1のヘテロ環式芳香族化合物と少なくとも1種の第2のヘテロ環式芳香族化合物とを、アリール−アリールC−Cカップリングの形成の下に共重合させる方法であって、ここで、前記第1の化合物は、少なくとも2個のハロゲン化物官能基を有し、前記第2の化合物は、少なくとも2個のボロン官能基を有している前記方法であって、
ここで重合は、
a)パラジウム触媒および有機ホスフィンもしくはホスホニウム化合物を含む、触媒/リガンド系、
b)塩基、
c)溶媒もしくは溶媒の混合物、
の存在下で行われ、
ハロゲン化物官能基およびボロン官能基は、チオフェンもしくはセレノフェン環に結合しており、前記チオフェンもしくはセレノフェン環は、任意に置換されており、および任意に他の環と縮合しており、かつ
前記有機ホスフィンもしくはホスホニウム化合物は、任意に置換されたアルキルおよびアリール基から選択される置換基を有する、三置換ホスフィンもしくはホスホニウム塩であることを特徴とする、前記方法に関する。
【0014】
本発明はさらに、本明細書に記載の方法により得ることが可能なもしくは得られる新規共役ポリマーおよびコポリマーに関する。
さらに本発明は、本明細書に記載の1種または2種以上のポリマーを含む、半導体または電荷輸送材料、部品もしくは装置に関する。
【0015】
本発明はさらに、本発明による材料、ポリマー、部品または装置の、光学、電気光学、電子半導体または電子発光(EL)部品もしくは装置、有機電界効果トランジスタ(OFET)、集積回路(IC)、薄膜トランジスタ(TFT)、フラットパネルディスプレイ、無線IC(RFID)タグ、電子発光もしくは光輝性装置または部品、有機発光ダイオード(OLED)、ディスプレイのバックライト、光電池またはセンサー装置、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、静電防止フィルム、導電基質またはパターン、バッテリー中の電極材料、光伝導体、電子写真用途、電子写真記録、有機記憶装置、配向層、化粧品または医薬組成物、バイオセンサー、バイオチップ、セキュリティマーク、重合可能な液晶材料、液晶ポリマー、電荷輸送特性を有する異方性ポリマーフィルム、あるいはDNA配列を検出および識別するための方法もしくは装置における、電荷輸送、半導体、電気伝導、光伝導または発光材料としての使用に関する。
【0016】
本発明はさらに、本発明による材料、ポリマー、部品または装置を含む、光学、電子光学もしくは電子装置、OFET、IC、TFT、フラットパネルディスプレイ用のTFTアレイ、RFIDタグ、OLED、ELディスプレイ、バックライトまたは配向層に関する。
【0017】
発明の詳細な説明
本明細書において、用語「官能基」は、アリール−アリールC−C結合を生成する他の基を有するスズキカップリング反応において反応することができる基をいう。官能基は、例えばハロゲン化物基などの第1のタイプA、および、例えばボロン基などの第2のタイプBから選択される。芳香族コアに結合した(タイプAまたはBの)このような官能基1個を有する化合物はまた、「単官能基化合物」としても言及される。芳香族コアに結合した(タイプAおよび/またはBの)このような官能基2個または3個以上を有する化合物はまた、「二官能基または多官能基化合物」としても言及される。二官能基または多官能基化合物は、同一のまたは異なるタイプの官能基を含むことができ、したがって、「AA−、BB−、AB−タイプ化合物」として言及される。
【0018】
用語「ハロゲン化物官能基」は、好ましくはハロゲンまたはスルホニルオキシ基から選択される基を意味する。極めて好ましくは、ハロゲン化物基は、Cl、Br、Iまたは式−OSO、ここでRは、任意にフッ素化されたアルキルもしくはアリールであって、好ましくは、例えばメチル、トリフルオロメチルもしくは4−メチルフェニルオキシなどの1〜12個のC原子を有するので、メシレート、トリフレートまたはトシレートで表される、スルホニルオキシ基である。特に好ましくは、BrまたはIである。
【0019】
用語「ボロン官能基」は、ボロン酸、ボロン酸エステル(ボロネート)またはボラン基を意味する。ボロン基は好ましくは、式−B(OR’)(OR”)、ここで、R’およびR”は、互いに独立にHもしくは1〜12個のC原子を有するアルキルであるか、または、R’およびR”は、一緒に任意に置換された環状脂肪族基または芳香族基、特に2〜20個のC原子を有するアルキレンもしくはアリーレン基を形成する、で表される。特に好ましい基は、ボロン酸、単官能基C〜Cアルコールのボロン酸エステル、または、エタンジオール、ピナコール、プロパンジオールもしくは、1,2−ジヒドロキシベンゼンなどのオルト芳香族ジオールなどの二官能アルコールのボロン酸エステルから選択される。ボラン基は、好ましくは式−BR’R”、式中R’およびR”は上記で定義された通りである、で表される。
【0020】
極めて好ましいのは、下記基
【化1】

【化2】

である。
【0021】
本発明による方法においてモノマーとして用いられるチオフェンまたはセレノフェン化合物は、式I
−(Ar−(Ar−(Ar−X
式中、
ArおよびArは、複数存在する場合互いに独立して、同一のもしくは異なるアリーレンまたはヘテロアリーレン基であり、これらは任意に1個または2個以上のRにより置換され、任意に縮合環を含み、そしてXおよび/またはXに結合するチオフェン環もしくはセレノフェン環をそれぞれ含み、
Arは、複数存在する場合互いに独立して、アリーレンまたはヘテロアリーレン基であり、これらは任意に1個または2個以上のRにより置換され、そして任意に縮合環を含み、aおよびcは、互いに独立して、1、2または3であり、bが0の場合には、aおよびcのいずれかが0であってもよく、
bは、0、1、2、3または4であり、
【0022】
およびXは、互いに独立して、ハロゲン化物官能基またはボロン官能基であり、
Rは、複数存在する場合互いに独立して、
の意味の1つを有するか、
あるいは、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシまたはヘテロアリールオキシであり、ここでこれらは任意に1個もしくは2個以上の基Lにより置換されており、または、1〜20個のC原子を有する直鎖、分枝もしくは環状アルキルであり、これらは任意にF、Cl、BrもしくはIにより単置換もしくは多置換されており、ここで1個または2個以上の隣接していないCH基は、各々の場合に互いに独立して、任意に−O−、−S−、−NR−、−SiR00−、−CY=CY−または−C≡C−により、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置換されており、
あるいは、F、Cl、CN、NO、NR00、−SiR00000、−C≡C−SiR00000またはスルホニルから選択され、
Lは、F、Cl、Br、I、CN、NO、NR00、−SiR00000、−C≡C−SiR00000、スルホニル、あるいは、1〜20個のC原子を有する直鎖、分枝もしくは環状アルキルであり、これらは任意に、非置換であるか、F、Cl、Br、I、−CNまたは−OHにより単置換もしくは多置換されており、ここで1個または2個以上の隣接していないCH基は、各々の場合に互いに独立して、任意に−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、OCO−、−OCO−O、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−により、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置換されており、
およびYは、互いに独立して、H、FまたはClであり、
、R00およびR000は、互いに独立して、H、1〜12個のC原子を有するアルキルまたはアリールである、
から好ましくは選択される。
【0023】
1種の化合物が重合される方法においては、その化合物は好ましくはXがハロゲン化物基(AB−タイプ)である式Iから選択される。
第1の化合物と第2の化合物とが共重合される方法においては、第1の化合物は好ましくはXおよびXがハロゲン化物基(AA−タイプ)である式Iから選択され、第2の化合物は好ましくはXおよびXがボロン基(BB−タイプ)である式Iから選択される。
【0024】
式I中のArおよびArは、好ましくは、
a)Rにより3位および/または4位が任意に置換されている、チオフェン−2,5−ジイル(A1)、セレノフェン−2,5−ジイル(A2)またはチエノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル(A3)、
【化3】

b)Rにより3位および/または6位が任意に置換されているチエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル(A4)、
【化4】

c)Rにより3位、4位、7位もしくは8位が任意に置換されているベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−2,6−ジイル(A5)
【化5】

から選択される。
【0025】
式I中のArは、好ましくは25個までのC原子を有する単環式、二環式、もしくは三環式芳香族またはヘテロ環式芳香族基であり、ここで、環は縮合していてもよく、ヘテロ環式芳香族基は、好ましくはN、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む。これは、1個または2個以上の基Lにより任意に置換されており、Lは、F、Cl、Br、I、CN、および、1〜20個のC原子を有する直鎖、分枝もしくは環状アルキル、これは任意に、非置換であるか、F、Cl、Br、I、−CNまたは−OHにより単置換もしくは多置換されており、ここで1個または2個以上の隣接していないCH基は、各々の場合に互いに独立して、任意に−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、OCO−、−OCO−O、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−により、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置換されている、から選択される。
【0026】
好ましいアリーレンまたはヘテロアリーレン基Arは、加えて、1個または2個以上のCH基がNにより置換されていてもよいフェニレン、あるいはナフタレン、アルキルフルオレン、オキサゾール、チオフェン、セレノフェン、ジチエノチオフェン、ここでこれら全ての基は任意に上記の通り定義されたLにより単置換または多置換されている、から選択される。さらに好ましいアリーレンまたはヘテロアリーレン基Arは、1,4−フェニレン−1,4−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイルまたはセレノフェン−2,5−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、2,2’−ジチオフェン−5,5’−ジイル、チエノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−2,6−ジイル、チアゾール−2,5−ジイル、チアジアゾール−2,5−ジイル、チエノ[2,3−d]チアゾール−4,6−ジイル、チエノ[2,3−d]チアゾール−6,4−ジイル、オキサゾール−2,5−ジイルおよびオキサジアゾール−2,5−ジイルであり、ここでこれらの全ては、未置換であり、あるいは、任意に、フッ素化されているか、アルキル化されているか、または上記の通り定義されたLにより単置換もしくは多置換されている。
【0027】
特に好ましいのは、式Iの下記化合物
−bが0であり、
−a+cが1、2または3であり、ArおよびArが、3位および/または4位が任意に置換されているチオフェン−2,5−ジイルから選択され、
−a+cが1、2または3であり、ArおよびArが、3位および/または4位が任意に置換されているセレノフェン−2,5−ジイルから選択され、
−a+cが1であり、ArまたはArが、それぞれ3位および/または4位が任意に置換されているチエノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイルであり、
−a+cが1であり、ArまたはArが、それぞれ3位および/または6位が任意に置換されているチエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイルであり、
−a+cが1であり、ArまたはArが、それぞれ3位、4位、7位または8位が任意に置換されているベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−2,6−ジイルであり、
−Xおよび/またはXがハロゲンである場合には、これらはBrおよびIから選択され、
−Rは、1〜20個のC原子を有し、1個もしくは2個以上のフッ素原子により任意に置換されている、直鎖、分枝もしくは環状アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、オキサアルキル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、チオアルキル、アルキルシリルまたはジアルキルアミノ、あるいはアリールまたはヘテロアリールである、
である。
【0028】
AA−タイプの化合物は、好ましくは式I1a〜I1nから選択される。
【化6】

【0029】
【化7】

【0030】
【化8】

【0031】
BB−タイプの化合物は、好ましくは式I2a〜I2iから選択される。
【化9】

【0032】
【化10】

【0033】
式中、
Arは、Arの意味の1つを有し、
Xは、本明細書において定義された通りのハロゲン化物基であり、
は、本明細書において定義された通りのボロン基であり、
R1〜4は、互いに独立して、式IにおけるRの意味の1つを有する。
【0034】
AB−タイプ化合物は、好ましくは下記式
【化11】

式中、
Xは、本明細書において定義された通りのハロゲン化物基であり、
は、本明細書において定義された通りのボロン基であり、
R1およびR2は、互いに独立して、式IにおけるRの意味の1つを有する、
から選択される。
【0035】
式Iおよび好ましい付属式で表される化合物において、R、R1およびR2は、好ましくは、1〜20個のC原子を有し、1個もしくは2個以上のフッ素原子により任意に置換されている、直鎖、分枝もしくは環状アルキル、アルケニル、アルキニル、オキサアルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、チオアルキル、アルキルシリルまたはジアルキルアミノ、あるいはアリールまたはヘテロアリールから選択される同一のまたは異なる基である。
【0036】
R、R1またはR2がアリールまたはヘテロアリールである場合には、これは好ましくは、任意に縮合環を含み、かつ上記に定義された通りの1個または2個以上の基Lにより任意に置換されている、25個までのC原子を有する単環式、二環式もしくは三環式芳香族またはヘテロ環式芳香族基である。
【0037】
R、R1またはR2がアルキルである場合には、これは直鎖であっても分枝であってもよい。好ましくはこれは直鎖であって、かつ1〜16個のC原子を有し、したがって好ましくは例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、またはヘキサデシルである。
【0038】
R、R1またはR2が、1個または2個以上のCH基が−CH=CH−により置換されているアルキルである場合には、これは直鎖であってもよく、分枝であってもよい。これは好ましくは、直鎖であって2〜10個のC原子を有し、したがって好ましくは、ビニル、プロプ−1−もしくはプロプ−2−エニル、ブト−1−、2−もしくはブト−3−エニル、ペント−1−、2−、3−もしくはペント−4−エニル、ヘキサ−1−、2−、3−、4−もしくはヘキサ−5−エニル、ヘプト−1−、2−、3−、4−、5−もしくはヘプト−6−エニル、オクト−1−、2−、3−、4−、5−、6−もしくはオクト−7−エニル、ノン−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくはノン−8−エニル、デカ−1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−もしくはデカ−9−エニルである。
【0039】
R、R1またはR2はまた、例えば2−ブチル(=1−メチルプロピル)、2−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、4−メチルヘキシル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ノニル、2−デシル、2−ドデシル、1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル、1,1,1−トリフルオロ−2−ヘキシルなどのキラル基であってもよく、または、例えばイソプロピル、イソブチル(=メチルプロピル)もしくはイソペンチル(=3−メチルブチル)などのアキラル分枝基であってもよい。
【0040】
R、R1またはR2が、末端のCH基(すなわち芳香族環に結合しているCH基)が−O−により置換されているアルコキシである場合には、これは直鎖であってもよく、分枝であってもよい。これは好ましくは、直鎖であって2〜16個のC原子を有し、したがって好ましくは、例えばエトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプトオキシ、またはオクトオキシ、さらにノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシ、テトラデコキシ、ペンタデコキシまたはヘキサデコキシである。
【0041】
R、R1またはR2が、1個のCH基が−O−により置換されているオキサアルキルである場合には、好ましくは2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−オキサブチル(=エトキシメチル)もしくは3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、3−、もしくは4−オキサペンチル、2−、3−、4−、もしくは5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−、もしくは6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−もしくは7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−もしくは8−オキサノニル、または2−、3−、4−、5−、6−,7−、8−もしくは9−オキサデシルである。
他の態様において、R、R1またはR2が、2個または3個以上の隣接していないCH基が−O−により置換されているオキサアルキルである場合には、例えば1,4−ジオキサヘキシル、3,6−ジオキサオクチル、5,8−ジオキサデシルまたは7,10−ジオキサドデシルである。
【0042】
R、R1またはR2が、1個のCH基が−S−により置換されているチオアルキルである場合には、好ましくは直鎖チオメチル(−SCH)、1−チオエチル(−SCHCH)、1−チオプロピル(=−SCHCHCH)、1−(チオブチル)、1−(チオペンチル)、1−(チオヘキシル)、1−(チオヘプチル)、1−(チオオクチル)、1−(チオノニル)、1−(チオデシル)、1−(チオウンデシル)または1−(チオドデシル)であり、ここで、好ましくはsp混成ビニル炭素原子に隣接するCH基が置換されている。
R、R1またはR2がフルオロアルキルである場合には、これは好ましくは、iが1〜15の整数である直鎖パーフルオロアルキルC2i+1であり、特にCF、C、C、C、C11、C13、C15またはC17、特に好ましくはC13である。
【0043】
−CY=CY−は、好ましくは−CH=CH−、−CF=CF−または−CH=C(CN)−である。
好ましいアリールおよびヘテロアリール基は、加えて、1個または2個以上のCH基がNにより任意に置換されているフェニル、ベンジル、ビフェニル、ナフタレン、チオフェン、セレノフェン、チエノチオフェン、ジチエノチオフェン、フルオレン、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン、チアゾールおよびオキサゾールであり、ここでこれら全ての基は、未置換であるか、上記の通り定義されたLにより単置換または多置換されていてもよい。
【0044】
特に好ましいアリールおよびヘテロアリール基は、フェニル、ピリジン、ピリミジン、ナフタレン、チオフェン、セレノフェン、チエノチオフェン、フルオレン、チアゾールおよびオキサゾール、ここでこれら全ての基は、未置換であるか、上記の通り定義されたLにより単置換または多置換されている、から選択される。
Lは好ましくは、F、Cl、Br、I、1〜20個のC原子を有し、1個または2個以上のH原子が任意にFもしくはClにより任意に置換されている、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはチオアルキルから選択される。
【0045】
本発明による方法は、特に、チオフェンおよびセレノフェンが高収率で高分子量(M>20,000Da)の共役ポリマーまたはコポリマーを生成する重合方法として好適である。これはパラジウムに触媒されるスズキカップリングに基づき、パラジウム(0)またはパラジウム(II)触媒、およびトリアルキルホスフィンまたはトリアルキルホスホニウム塩、あるいはアルキルおよびアリール基により置換された混合された三置換ホスフィンもしくはホスホニウム塩を用いて、高活性の触媒/リガンド系を使用する。高活性の触媒/リガンド系は、顕著な脱ホウ素化が生じる前に高分子量ポリマーを形成することを可能にする。
【0046】
前に言及したように、現在のスズキ方法論の問題は、脱ホウ素化のために高分子量ポリチオフェンを得ることができないことである。チオフェンボロネートエステル/酸は特に脱ホウ素化に対して感受性である。これに対し、本発明において特許請求の範囲に記載したように、より高い活性、すなわちより高いカップリング率を有する触媒/リガンド系を用いることにより、顕著な脱ホウ素化(副反応)が起こる前に多くのアリール−アリールカップリングが生じ、高分子量ポリチオフェンを得ることが可能となる。
【0047】
トリアルキルホスフィンは、その高い電子の豊富さと立体構造のためにトリアリールホスフィンよりもより活性の高いリガンドである(M. R. Netherton, G. C. Fu, Org. Lett., 2001, 3, 4295)。しかしながら、これらは空気中で安定でなく、ホスフィンオキシド生成物に容易に酸化しやすい。さらに、トリ−tert−ブチルホスフィンなどといったこれらのうちのいくつかは自燃性である。しかしながら、本発明はこれらの取り扱いと安定性の問題の解決策、すなわち、それから活性ホスフィンが塩基の添加によりそのままで(in situ)生成する、極めて空気中で安定なトリアルキルホスホニウム塩または混合されたアルキル/アリールホスホニウム塩の使用を記載する(M. R. Netherton, G. C. Fu, Org. Lett., 2001, 3, 4295)。
【0048】
スズキカップリングにおけるトリアルキルホスホニウム塩の製造およびその使用はFu et al(M. R. Netherton, G. C. Fu, Org. Lett., 2001, 3, 4295)により以前に報告されている。トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレートなどのいくつかのトリアルキルホスホニウム塩またはアルキル/アリールホスホニウム塩が現在は市販されている。
トリアルキルホスフィンまたはトリアルキルホスホニウム塩と組み合わせて、あるいは、混合されたアルキル/アリール置換ホスフィンまたはホスホニウム塩と組み合わせて、ホスフィンフリーのパラジウム(0)触媒(例えばPd(dba))を使用することにより、広範囲のポリチオフェンがスズキ方法論によりアクセス可能になる(スキーム1参照)。
【0049】
【化12】

ここで、X=ハロゲン化物;X’=ボロン基;R1、R2=アルキルまたはH;x、y=1、2、3、4、5
さらに、三置換ホスフィンもしくはホスホニウム塩のいずれかと組み合わせたホスフィンフリーのパラジウム(II)触媒(例えばPd(OAc))、またはパラジウム(II)三置換ホスフィン複合体(例えばPdCl(PCy)を使用することも可能である。そしてパラジウム(II)種はそのままで(in situ)活性パラジウム(0)種に還元される。
【0050】
先行技術(WO 03/048225 A2)はまた、トリフェニルホスフィンを除く種々のリガンドを用いて、パラジウム(0)またはパラジウム(II)触媒によるスズキカップリングを使用してアリール−アリール化合物を製造する方法を開示する。しかしながら、トリアルキルホスフィンまたはアルキル/アリール置換ホスフィンが特に好適であること、あるいは、その対応するホスホニウム塩が使用できること、あるいは、その方法が高分子量を有するポリチオフェンまたはポリセレノフェンの製造に好適であることは、開示も示唆もなされていない。
【0051】
本発明による方法を用いることにより、例えば、同じコアを有するAA−タイプの化合物やBB−タイプの化合物を共重合すること、またはAB−タイプの化合物を重合することが可能である。それにより局部規則性ホモポリマーを形成することができる。
例えば、またAA−タイプの化合物1種と異なるコアを有するBB−タイプの化合物1種とを共重合することも可能である。それにより交互コポリマーを形成することができる。
【0052】
また例えば、異なるコアを有する2種または3種以上のAA−タイプの化合物および/または異なるコアを有する2種または3種以上のBB−タイプの化合物の混合物を共重合すること、あるいは、異なるコアを有する2種または3種以上のAB−タイプの化合物の混合物を共重合することも可能である。それにより統計的またはランダムなコポリマーを形成することができる。
【0053】
異なるステップで重合を行うことも可能である。例えば、AA−タイプの化合物を既定のコアを有するBB−タイプの化合物と第1の重合ステップにおいて反応させ、AA−タイプの化合物および/または異なるコアを有するBB−タイプの化合物を第2の重合ステップの間に添加することができる。また、第1の重合ステップで第1のAB−タイプ化合物を反応させ、第2の重合ステップの間に異なるコアを有する第2のAB−タイプ化合物を添加することができる。それによりブロックコポリマーを形成することができる。
【0054】
例えば、2個以上の官能基を有する多官能基化合物を重合することも可能である。それにより架橋ポリマーを形成することができる。好適な多官能基化合物は、例えばXの意味を有する1個または2個以上の基RによりArが置換されている式Iで表される化合物である。
また、重合の程度およびポリマーの分子量を制御しもしくは制限するため、ならびに、ハロゲン化物もしくはボロネートなどのポリマー中の残留しているあらゆる官能末端基と反応させるため、反応混合物に「末端封鎖剤(エンドキャッパー(endcapper))」としても知られている単官能基化合物(A−タイプまたはB−タイプ)を加えることもできる。
【0055】
触媒/リガンド系(成分a)はパラジウム触媒および有機三置換ホスフィンまたはホスホニウム塩を含む。
パラジウム触媒は、好ましくはPd(0)またはPd(II)化合物あるいは金属Pdである。好適な好ましいPd化合物は、例えばPd(II)塩または有機Pd(0)化合物もしくは複合体である。極めて好ましくはPd(II)ハロゲン化物、Pd(II)カルボキシレートおよびPd(II)β−ジケトネートである。好ましい触媒の例は、下記化合物
Pd(dba) [トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)]、Pd(dba) [ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)]、Pd(PR’ [ビス(トリアルキルホスフィン)パラジウム(0)、式中、R’は直鎖、分枝または環状アルキルであって、好ましくは1〜12個のC原子を有するアルキルであるか、あるいは、任意に置換されている4〜20個のC原子を有するアリールであり、好ましくはアルキルであり、例えばビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)など]、
Pd(OAc) [パラジウム(II)アセテート]、
PdCl(PR’ [ジクロロビス(トリアルキルホスフィン)パラジウム(II)、式中、R’は上記で定義した通りのアルキルまたはアリールであり、好ましくはアルキルであり、例えばジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)など]、
PdCl(PhCN) [ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、
PdCl(CHCN) [ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)]、または
PdCl(cod) [ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)]
を含む。
【0056】
最も好ましいのは、Pd(dba)、Pd(dba)、Pd(OAc)またはPd(PR’である。
ホスフィン化合物は、Pd原子を配位することができる有機三置換ホスフィンリガンドである。ホスフィンリガンドは、塩基の添加により工程中に対応するホスホニウム塩からそのままで(in situ)形成される。また、ホスフィンリガンドは工程において直接用いられる。
【0057】
好ましいホスフィンリガンドは、式

式中、
Pは、リンを表し、
、RおよびRは、同一のまたは異なる、1〜12個の炭素原子を有する任意にフッ素化された直鎖、分枝もしくは環状アルキル基、または、4〜20個の炭素原子を有する任意に置換されたアリール基であり、
x、yおよびzは、0、1、2または3であり、x+y+z=3である、
から選択される。
好ましくは、有機ホスフィンまたはホスホニウム塩は、上記で定義された通りのアルキル基である少なくとも1個の置換基R、R、Rを含む。
【0058】
特に好ましいのは、全ての基Rが同一である式RPで表されるリガンドである。さらに好ましいのは、RおよびRが異なる式RPまたはRPで表されるリガンドである。さらに好ましいのは、RおよびRが、上記で定義された通りのアルキルであるリガンド、および、Rが上記で定義された通りのアルキル基であり、かつ、Rが上記で定義された通りのアリール基であるリガンドである。好ましいアルキルおよびアリール基は、Rについて上記で定義した通りのものである。
【0059】
好ましいリガンドの例は、トリエチルホスフィン、トリ−イソ−プロピル−ホスフィン、トリ−シクロヘキシルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン(t−Bu)、ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)メタンおよび 2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニルである。
好ましいホスホニウム塩は、式[RPH]
式中、Ra〜cならびにx、y、およびzは、上記で定義された通りであり、Zは、例えばBF、PFまたはSbFなどの好適なアニオンである、
から選択される。
特に好ましいのは、上記の好ましいホスフィンリガンドである対応するホスホニウム塩、例えばホスホニウムテトラフルオロボレートである。
最も好ましいのは、t−BuPおよび[t−BuPH]BFである。
【0060】
パラジウム触媒は、反応混合物中に触媒量で存在する。本明細書中で使用されるように用語「触媒量」は、使用されるヘテロ環式芳香族化合物の当量に基づいて、明らかに、ヘテロ環式芳香族化合物の1当量未満、好ましくは0.01〜5mol%、最も好ましくは0.01〜1mol%である量をいう。
反応混合物中のホスフィンまたはホスホニウム塩の量は、使用されるヘテロ環式芳香族化合物の当量に基づいて、好ましくは0.02〜10mol%、最も好ましくは0.02〜2mol%である。Pd:ホスフィンの好ましい比は1:2である。
【0061】
塩基(成分b)は全ての水性および非水性塩基から選択され得る。反応混合物中にボロン官能基あたり前記塩基が少なくとも1.5当量存在することが好ましい。好適な好ましい塩基は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、リン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属水酸化物、カルボン酸塩、炭酸塩、フッ化物およびリン酸塩、あるいはまた金属アルコラートであり、好ましくは対応するリン酸塩または炭酸塩である。塩基の混合物を使用することもまた可能である。最も好ましいのは水性KCOまたは水性NaCOである
【0062】
溶媒(成分c)は、例えばトルエン、キシレン、アニソール、THF、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロベンゼン、フルオロベンゼンまたは、例えばTHF/トルエンなどのこれらの溶媒の1種もしくは2種以上の混合物から選択される。最も好ましいのはTHFまたはTHF/トルエンである。
単一の溶媒または溶媒混合物中で行われる重合については、一度重合が開始した時点でおよび一定の時間後に第2または第3の共溶媒を添加することも可能である。この共溶媒を添加する目的は、重合工程中に溶液中でポリマー鎖を成長させ続けることである。これはまた、反応終了時における反応混合物からのポリマー回収を助けるものであり、したがってポリマーの単離回収率を改善する。
【0063】
本発明による方法により得られたポリマーは、好ましくは少なくとも20、より好ましくは少なくとも50、最も好ましくは少なくとも100の重合度を有する。好ましい分子量は、少なくとも10,000gmol−1、より好ましくは少なくとも25,000gmol−1、最も好ましくは少なくとも50,000gmol−1である。
重合後は、ポリマーは好ましくは例えば慣用の操作により反応混合物から回収され、精製される。これは、専門家に知られておりそして文献に記載されている標準的方法により行われ得る。
【0064】
任意に、重合中または重合後に、ポリマーの末端基は化学的に修飾(「エンドキャッピング」)される。
エンドキャッピングは、例えば式Iの単官能基化合物を加えること、または、例えばブロモベンゼン、フェニルボロン酸/ボロネート、2−ブロモチオフェンおよびチオフェン2−ボロン酸/ボロネートなどの市販の単官能基化合物を加えることにより、行うことができる。単一の市販の単官能基化合物が典型的には使用されるが、式Iの単官能基誘導体もまた使用することができる。
【0065】
エンドキャッピングは、反応終了時に「エンドキャッパー」(すなわち、式Iの単官能基化合物または市販の単官能基化合物)を添加することにより行うことができる。または、エンドキャッピングは、反応開始時に少量の「エンドキャッパー」を反応混合物に添加することによりそのままで(in situ)行うことができる。得られる分子量が使用されるエンドキャッパーのモル量に依存する場合には、「in situ」エンドキャッパーの取り込みはまた、得られるポリマーの分子量を制御する。
【0066】
重合反応混合物からポリマーを回収する前に、沈殿した全てのポリマーを溶解させるため、例えばトルエンまたはクロロベンゼンなどの共溶媒を反応混合物に添加することが好ましい場合もある。この目的は、反応混合物からのポリマー回収を助けるものであり、したがってポリマーの単離回収率を改善する。
本発明の方法により製造された化合物およびポリマーは、高い電荷移動度、良好な加工性および酸化安定性を有する半導体として使用することができる。
【0067】
本発明の化合物およびポリマーは、光学、電子および半導体材料として、特に電界効果トランジスタ(TFT)における電荷輸送材料として、例えば、半導体、IDタグまたはTFT用途の部品として有用である。また、これらは、電子発光ディスプレイ用途における有機発光ダイオード(OLED)において、または例えば液晶ディスプレイなどのバックライトとして、光電池もしくはセンサー材料として、電子写真記録に、および他の半導体用途に使用することができる。
【0068】
本発明によるポリマーは、これらの化合物の溶液を用いた製造方法を可能にする特に有利な溶解性を示す。したがって、層およびコーティングを含むフィルムは、スピンコーティングなどの低コストの生産技術により製造することができる。好適な溶媒または溶媒混合物は、アルカンおよび/または芳香族化合物、特にそのフッ素化されたまたは塩素化された誘導体である。
【0069】
本発明のポリマーは、FETにおける電荷輸送材料として特に有用である。有機半導体材料がゲート誘電体およびドレインおよびソース電極の間のフィルムとして配向されている、そのようなFETは、例えばUS 5,892,244、WO 00/79617、US 5,998,804から、ならびに背景、従来技術の見出しおよび下記において引用されている参考文献から一般的に知られている。本発明による化合物の溶解特性およびそれによる大面積の加工性を用いた低コスト生産などの利点のために、これらFETの好ましい用途は、集積回路、TFT−ディスプレイおよびセキュリティ用途などである。
【0070】
セキュリティ用途においては、トランジスタまたはダイオードなどの、電界効果トランジスタおよび半導体材料を有する他の装置は、紙幣などの有価証券、クレジットカードまたはIDカード、国家ID書類、ライセンス、または、切手、チケット、株式、小切手などの金銭価値を有するあらゆる製品の認証および偽造の防止のためのIDタグまたはセキュリティマークに使用することができる。
【0071】
また、本発明のポリマーは、有機発光装置またはダイオード(OLED)において、例えばディスプレイ用途において、または例えば液晶ディスプレイのバックライトとして使用することができる。一般的なOLEDは多層構造を用いて実現されている。発光層は一般的に、1個または2個以上の電子輸送層および/またはホール輸送層の間にはさまれている。電圧をかけることにより、電荷キャリアーとしての電子およびホールは発光層の方へ移動し、発光層ではそれらの再結合により励起が起こり、したがって発光層に含まれるルモホア(lumophor)ユニットの発光を引き起こす。
【0072】
本発明の化合物、材料およびフィルムは、対応するその電気特性および/または光学特性に対応して、1つまたは2つ以上の電荷輸送層においておよび/または発光層において使用することができる。さらに発光層内でのこれらの使用は、本発明のポリマーがそれ自体で電子発光特性を示すかまたは電子発光基もしくは化合物を含む場合には、特に有利である。OLEDにおける使用のための好適なモノマー、オリゴマーおよびポリマー化合物もしくは材料の選択、特徴付けおよび加工は、一般的に当業者に知られており、例えばMeerholz, Synthetic Materials, 111-112, 2000, 31-34, Alcala, J. Appl. Phys., 88, 2000, 7124-7128およびこれらの中で引用されている文献を参照のこと。
【0073】
他の用途によれば、本発明のポリマー、特に光輝性を示す本発明のポリマーは、例えばEP 0 889 350 A1またはC. Weder et al., Science, 279, 1998, 835-837に記載されているディスプレイ装置などの光源の材料として用いることができる。
本発明の他の側面は、本発明のポリマーの酸化および還元型の両方に関する。電子の喪失または獲得のいずれも、高伝導性である高度に非局在化されたイオン形態の形成をもたらす。これは一般的なドーパントへの暴露において生じ得る。好適なドーパントおよびドーピング方法は、例えばEP 0 528 662、US 5,198,153またはWO 96/21659から当業者に知られている。
【0074】
ドーピング方法は、典型的には、半導体材料を、適用されたドーパントに由来する対応する対イオンと一緒に、材料中の非局在化イオン中心を形成する酸化還元反応において酸化もしくは還元剤と処理することを含む。好適なドーピング方法は、例えば大気圧または減圧でのドーピング蒸気への暴露、ドーパントを含む溶液中での電気化学的ドーピング、ドーパントを半導体材料と接触させて熱的に拡散させること、および半導体材料へのドーパントのイオン転移を含む。
【0075】
電子がキャリアーとして使用される場合には、好適なドーパントは、例えばハロゲン(例えば、I、Cl、Br、ICl、ICl、IBrおよびIF)、ルイス酸(例えば、PF、AsF、SbF、BF、BCl、SbCl、BBrおよびSO)、プロトン酸、有機酸、またはアミノ酸(例えば、HF、HCl、HNO、HSO、HClO、FSOHおよびClSOH)、遷移金属化合物(例えば、FeCl、FeOCl、Fe(ClO、Fe(4−CHSO、TiCl、ZrCl、HfCl、NbF、NbCl、TaCl、MoF、MoCl、WF、WCl、UFおよびLnCl(式中、Lnはランタノイドである)、アニオン(例えば、Cl、Br、I、I、HSO、SO2−、NO、ClO、BF、PF、AsF、SbF、FeCl、Fe(CN)3−、およびアリール−SOなどの種々のスルホン酸アニオン)である。ホールがキャリアーとして使用される場合には、ドーパントの例は、カチオン(例えば、H、Li、Na、K、RbおよびCs)、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K、Rb、およびCs)、アルカリ土類金属(例えば、Ca、Sr、およびBa)、O、XeOF、(NO)(SbF)、(NO)(SbCl)、(NO)(BF)、AgClO、HIrCl、La(NO・6HO、FSOOOSOF、Eu、アセチルコリン、R(Rはアルキル基)、R(Rはアルキル基)、RAs(Rはアルキル基)、およびR(Rはアルキル基)である。
【0076】
導電性形態の本発明のポリマーは、例えば、限定されないが、有機発光ダイオード用途における電荷注入層およびITO平坦化層、パネルディスプレイおよびタッチスクリーン用のフィルム、静電防止フィルム、プリント回路板およびコンデンサーなどの電子用途におけるプリント導電基板、パターンまたはトラクトなどの用途において有機「金属」として使用することができる。
【0077】
他の用途によれば、本発明によるポリマー、特にこれらの水溶性誘導体(例えば極性またはイオン性側基を有するもの)またはイオン的にドープされた形態は、DNA配列の検出および識別のための化学センサーまたは材料として使用することができる。かかる用途は、例えばL. Chen, D. W. McBranch, H. Wang, R. Helgeson, F. Wudl and D. G. Whitten, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1999, 96, 12287;D. Wang, X. Gong, P. S. Heeger, F. Rininsland, G. C. Bazan and A. J. Heeger, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 2002, 99, 49;N. DiCesare, M. R. Pinot, K. S. Schanze and J. R. Lakowicz, Langmuir 2002, 18, 7785;D. T. McQuade, A. E. Pullen, T. M. Swager, Chem. Rev. 2000, 100, 2537に記載されている。
【0078】
本発明による化合物および材料はまた、例えばEP 1 498 112 A2に開示されているように毛髪の処置のための化粧用組成物などの化粧用組成物または医薬組成物において使用することができる。
以下の例は、本発明を限定することなく説明するためのものである。本明細書において他に記載がなければ、全ての温度は摂氏度で表され、全てのパーセンテージは重量によるものである。
【0079】
官能基化合物の製造
2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チエノ[2,3−b]チオフェンの製造:
窒素雰囲気下においてチエノ[2,3−b]チオフェン(2.20g、15.69mmol)を三つ首(3-necked)RBFに入れる。無水THF(20mL)を加える。攪拌した溶液を−78℃まで冷却する。ヘキサン(14mL、35.00mmol)中の2.5M n−BuLi溶液を加える。18時間攪拌しながら反応混合物を室温まで温める。反応混合物を−78℃まで冷却し、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(6.42g、34.52mmol)を加える。8時間攪拌しながら反応混合物を室温まで温める。反応混合物を飽和NHCl水溶液(100mL)に注ぎ、EtOAc中で抽出する(2×100mL)。合わせた抽出物を水(100mL)およびブライン(brine)(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮する。粗生成物をDCM中に溶解し、シリカのプラグによりろ過し、ろ液を真空中で濃縮する。アセトニトリルからの再結晶により白色平板状結晶として生成物が得られる(2.80g、45%)。:1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ7.73 (s, 2H), 1.36 (s, 24H) 13C NMR (75 MHz, CDCl3) 150.5, 150.3, 129.6, 84.2, 24.7
【0080】
2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェンの製造:
窒素雰囲気下においてチエノ[3,2−b]チオフェン(2.20g、15.69mmol)を三つ首RBFに入れる。無水THF(20mL)を加える。攪拌した溶液を−50℃まで冷却する。ヘキサン(14mL、35.00mmol)中の2.5M n−BuLi溶液を加える。反応混合物を−50℃で1時間攪拌する。1時間攪拌しながら反応混合物を室温まで温める。反応混合物を−50℃まで冷却し、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(6.42g、34.52mmol)を加える。反応混合物を18時間攪拌して室温まで温める。反応混合物を飽和NHCl水溶液(100mL)に注ぎDCM中で抽出する(2×100mL)。合わせた抽出物を水(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮する。粗生成物をDCMに溶解し、シリカのプラグによりろ過し、ろ液を真空中で濃縮する。アセトンからの再結晶により白色針状結晶として生成物が得られる(1.55g、25%): 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.76 (s, 2H), 1.36 (s, 24H) 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ146.6, 128.9, 84.4, 24.8
【0081】
2−ブロモ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3−ヘキシルチオフェンの製造:
窒素雰囲気下において2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン(2.00g、6.13mmol)を三つ首RBFに入れる。無水THF(50mL)を加える。攪拌した溶液を−78℃まで冷却する。ヘキサン(2.5mL、6.25mmol)中の2.5M n−BuLi溶液を加える。反応混合物を−78℃で0.5時間攪拌する。2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(1.20g、6.45mmol)を加える。反応混合物を18時間攪拌しながら室温まで温める。反応混合物を飽和NHCl水溶液(100mL)に注ぎ、EtOAc中で抽出する(3×50mL)。合わせた抽出物を水(100 mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮する。カラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル40〜60:EtOAc、10:1〜4:1)により淡黄色オイルとして生成物を得る(1.22g、53%): 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.30 (s, 1H), 2.55 (t, 2H, 3J = 8 Hz), 1.59 (m, 2H), 1.31 (m, 18H), 0.88 (t, 3H, 3J = 7 Hz)
13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 143.4, 138.0, 116.4, 84.1, 31.6, 29.6, 29.3, 28.9, 24.7, 22.5, 13.9.
【0082】
ポリマーの製造
例1
下記ポリマー、ポリ(2,5−ビス(3−デシルチオフェン−2−イル)チエノ[2,3−b]チオフェン)、を製造する:
【化13】

【0083】
窒素雰囲気下において、三つ首RBFに、5,5’−ジブロモ−4,4’ジデシルチオフェン(1.200g、1.985mmol)、2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チエノ[2,3−b]チオフェン(0.778g、1.985mmol)、トリス(ジベンジリデン)ジパラジウム(0)(36mg、0.040mmol、2mol%)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(46mg、0.160mmol、8mol%)およびTHF(30mL)を入れる。2M KCO溶液(3mL、6.0mmol)を反応混合物に加える。反応混合物を加熱環流させ、48時間攪拌する。クロロベンゼンを加えて反応混合物をメタノールから沈殿させる。ポリマーをろ別し、メタノールで洗浄して真空下で乾燥させる。アセトン、ガソリン40〜60およびメタノールを用いてソックスレー抽出によりポリマーを洗浄し、その後真空下で乾燥させる。ポリマーを温クロロベンゼン中に溶解し、メタノールから再沈殿させる。ポリマーをろ別し、メタノールで洗浄して、真空下で乾燥させ、オレンジ色固体として生成物を得る(0.61g、53%):M=41,400gmol−1;M=216,000gmol−1(60℃でPhCl)。
【0084】
例2
下記ポリマー、ポリ(2,5−ビス(3−ドデシルチオフェン−2−イル)チエノ[2,3−b]チオフェン)、を製造する:
【化14】

【0085】
窒素雰囲気下において、三つ首RBFに5,5’−ジブロモ−4,4’ジドデシルチオフェン(0.661g、1.000mmol)、2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チエノ[2,3−b]チオフェン(0.392g、1.000mmol)、トリス(ジベンジリデン)ジパラジウム(0)(18mg、0.020mmol、2mol%)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(23mg、0.080mmol、8mol%)およびTHF(25mL)を入れる。2M KCO溶液(1.5mL、3.0mmol)を反応混合物に加える。反応混合物を加熱環流して、24時間攪拌する。クロロベンゼンを加え、反応混合物をメタノールから沈殿させる。ポリマーをろ別し、メタノールで洗浄して、真空下で乾燥させる。アセトン、ガソリン40〜60およびメタノールを用いてソックスレー抽出によりポリマーを洗浄し、その後真空下で乾燥させる。ポリマーを温クロロベンゼン中に溶解し、メタノールから再沈殿させる。ポリマーをろ別し、メタノールで洗浄して、真空下で乾燥させ、オレンジ色固体として生成物を得る(0.49g、76%):M=28,400gmol−1;M=120,900gmol−1(60℃でPhCl)。
【0086】
例3
下記ポリマー、ポリ(2,5−ビス(3−デシルチオフェン−2−イル)チエノ[2,3−b]チオフェン)、を製造する:
【化15】

【0087】
窒素雰囲気下において、三つ首RBFに5,5’−ジブロモ−4,4’ジデシルチオフェン(0.605g、1.000mmol)、2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チエノ[2,3−b]チオフェン(0.391g、1.000mmol)、トリス(ジベンジリデン)ジパラジウム(0)(18mg、0.020mmol、2mol%)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(23mg、0.080mmol、8mol%)およびTHF(15mL)を入れる。2M KCO溶液(1.5mL、3.0mmol)を反応混合物に加える。反応混合物を加熱環流させる。30分後、トルエン(15mL)を加え、反応混合物をさらに24時間攪拌する。反応混合物をメタノールから沈殿させる。ポリマーをろ別し、メタノールで洗浄して、真空下で乾燥させる。アセトンを用いてソックスレー抽出によりポリマーを洗浄し、真空下で乾燥させる。ポリマーを温クロロベンゼンに溶解し、メタノールから再沈殿させる。ポリマーをろ別し、メタノールで洗浄して、真空下で乾燥させ、オレンジ色固体として生成物を得る(0.54g、93%):M=30,200gmol−1;M=63,000gmol−1(60℃でPhCl)。
【0088】
例4
下記ポリマー、ポリ(2,5−ビス(3−デシルチオフェン−2−イル)チオフェン)、を製造する:
【化16】

【0089】
窒素雰囲気下において、三つ首RBFに5,5’−ジブロモ−4,4’ジデシルチオフェン(0.273g、0.452mmol)、2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チオフェン(0.152g、0.452mmol)、トリス(ジベンジリデン)ジパラジウム(0)(8mg、0.009mmol、2mol%)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(10mg、0.036mmol、8mol%)およびTHF(15mL)を入れる。2M KCO溶液(0.7mL、1.4mmol)を反応混合物に加える。反応混合物を加熱環流させ、24時間攪拌する。クロロベンゼンを加え、反応混合物をメタノールから沈殿させる。ポリマーをろ別し、メタノールで洗浄して真空下で乾燥させる。アセトン、ガソリン40〜60およびメタノールを用いてソックスレー抽出によりポリマーを洗浄し、その後真空下で乾燥させる。ポリマーを温クロロベンゼン中に溶解し、メタノールから再沈殿させる。ポリマーをろ別し、メタノールで洗浄して、真空下で乾燥させ、紫色固体として生成物を得る(0.12g、52%):M=36,500gmol−1;M=271,000gmol−1(60℃でPhCl)。
【0090】
例5
下記ポリマー、ポリ(2,5−ビス(3−ドデシルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン)、を製造する:
【化17】

【0091】
窒素雰囲気下において、三つ首RBFに5,5’−ジブロモ−4,4’ジドデシルチオフェン(0.661g、1.000mmol)、2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン(0.392g、1.000mmol)、トリス(ジベンジリデン)ジパラジウム(0)(18mg、0.020mmol、2mol%)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(23mg、0.080mmol、8mol%)およびTHF(15mL)を入れる。2M KCO溶液(1.5mL、3.0mmol)を反応混合物に加える。反応混合物を加熱環流させ、24時間攪拌する。クロロベンゼンを加え、反応混合物をメタノールから沈殿させる。ポリマーをろ別し、メタノールで洗浄して、真空下で乾燥させる。アセトンを用いてソックスレー抽出によりポリマーを洗浄し、その後真空下で乾燥させる。ポリマーを温クロロベンゼン中に溶解し、メタノールから再沈殿させる。ポリマーをろ別し、メタノールで洗浄して、真空下で乾燥させ、紫色固体として生成物を得る(0.52g、81%):M=29,400gmol−1;M=48,100gmol−1(60℃でPhCl)。
【0092】
例6
下記ポリマー、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、を製造する:
【化18】

【0093】
窒素雰囲気下において、三つ首RBFに2−ブロモ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3−ヘキシルチオフェン(1.040g、2.731mmol)、トリス(ジベンジリデン)ジパラジウム(0)(26mg、0.028mmol、1mol%)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(32mg、0.110mmol、4mol%)およびTHF(20mL)を入れる。2M KCO溶液(5.6mL、11.2mmol)を反応混合物に加える。反応混合物を加熱環流させ、18時間攪拌する。反応混合物をメタノールから沈殿させる。ポリマーをろ別し、メタノールで洗浄して、真空下で乾燥させる。イソヘキサンを用いてソックスレー抽出によりポリマーを洗浄し、真空下で乾燥させる。ポリマーを温クロロホルム中に溶解し、メタノールから再沈殿させる。ポリマーをろ別し、メタノールで洗浄して、真空下で乾燥させ、紫色固体としてH−NMRにより94%の頭尾(HT)局部規則性を有する生成物を得る(0.30g、64%)。局部規則性は、2.8ppm付近でのメチレンプロトンの積分により決定される(T.A. Chen, X. Wu, R.D. Rieke J. Am. Chem. Soc., 1995, 117, p233参照):1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 6.98 (s, 1H), 2.80 (t, 2H, 3J = 7.5 Hz), 1.71 (m, 2H), 1.36 (m, 6H), 0.91 (t, 3H, 3J = 7 Hz);M=25,000gmol−1;M=56,000gmol−1(60℃でPhCl)。
【0094】
例7
下記ポリマー、ポリ(2,5−ビス(3−デシルチオフェン−2−イル)チエノ[2,3−b]チオフェン)、を製造する:
【化19】

【0095】
窒素雰囲気下において、三つ首RBFに5,5’−ジブロモ−4,4’ジデシルチオフェン(0.605g、1.000mmol)、2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チエノ[2,3−b]チオフェン(0.392g、1.000mmol)、トリス(ジベンジリデン)ジパラジウム(0)(18mg、0.020mmol、2mol%)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(33mg、0.080mmol、8mol%)およびTHF(15mL)を入れる。2M KCO溶液(1.5mL、3.0mmol)を反応混合物に加える。反応混合物を加熱環流させ、24時間攪拌する。反応混合物をメタノールから沈殿させる。ポリマーをろ別し、メタノール、水で洗浄して、その後もう一度メタノールで洗浄し、真空下で乾燥させて、オレンジ色固体として生成物を得る(0.55g、94%):M=11,100gmol−1;M=30,300gmol−1(60℃でPhCl)。
【0096】
例8
下記ポリマー、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、を製造する:
【化20】

【0097】
アルゴン雰囲気下において、無水KPO(3.4g、16.1mmol)、Pd(OAc)(0.024g、0.107mmol)、2−ブロモ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−3−ヘキシルチオフェン(2.00g、5.36mmol)および2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(0.044g、0.107mmol)を火炎乾燥されたシュレンク(Schlenk)フラスコに入れる。無水THF(50mL)を加えて、反応混合物を室温で16時間攪拌する。次いでさらに3時間環流させ、室温まで冷却して、MeOH(200mL)に注ぐ。形成された沈殿物をソックスレーシンブルによりろ過し、上記の通りの操作を行う。連続してMeOH、アセトン、ヘキサン、CHClおよびTHFにより沈殿物にソックスレー抽出を行う。ヘキサン、CHClおよびTHFフラクションを別々に少量になるまで蒸発させ、メタノール中で沈殿させ、ろ過し、真空下で乾燥させる。収率:CHCl:0.174g、(19.5%);THF:0.173g、(19.4%)。
CHClフラクション:93.6%HT局部規則性、GPC(40℃でTHF中)M=11400、M=10000、PD=1.14
THFフラクション:97%HT局部規則性、 GPC(40℃でTHF中)M=16900、M=15200、PD=1.105
【0098】
例9
下記ポリマー、ポリ(3,6−ジドデシルチエノ[3,2−b]チオフェン−alt−2,5−チオフェン)、を製造する:
【化21】

窒素雰囲気下において、三つ首RBFに2,5−ジブロモ−3,6−ジドデシルチエノ[3,2−b]チオフェン(0.166g、0.261mmol)、2,5−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)チオフェン(0.088g、0.261mmol)、トリス(ジベンジリデン)ジパラジウム(0)(5mg、0.005mmol、2mol%)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(6mg、0.021mmol、8mol%)およびTHF(10mL)を入れる。2M KCO溶液(0.8 mL、1.6 mmol)を反応混合物に加える。反応混合物を加熱環流させ、24時間攪拌する。クロロベンゼンを加え、反応混合物をメタノールから沈殿させる。ポリマーをろ別し、メタノールで洗浄して、真空下で乾燥させる。アセトンを用いてソックスレー抽出によりポリマーを洗浄し、その後真空下で乾燥させる。ポリマーを温クロロベンゼン中に溶解し、メタノールから再沈殿させる。ポリマーをろ別し、メタノールで洗浄して、真空下で乾燥させ、暗赤色固体として生成物を得る(0.10g、68%):M=6,800gmol−1;M=15,600gmol−1(60℃でPhCl)。
【0099】
例10
下記ポリマー、ポリ(3,6−ジヘキサデシルチエノ[3,2−b]チオフェン−alt−5,5’−ビチオフェン)、を製造する:
【化22】

【0100】
窒素雰囲気下において、三つ首RBFに2,5−ジブロモ−3,6−ジヘキサデシルチエノ[3,2−b]チオフェン(0.373g、0.500mmol)、5,5’−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ビチオフェン(0.209g、0.500mmol)、トリス(ジベンジリデン)ジパラジウム(0)(9mg、0.010mmol、2mol%)、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(12mg、0.040mmol、8mol%)およびTHF(20mL)を入れる。2M KCO溶液(0.75mL、1.5mmol)を反応混合物に加える。反応混合物を加熱環流させ、24時間攪拌する。クロロベンゼンを加え、反応混合物をメタノールから沈殿させる。ポリマーをろ別し、メタノールで洗浄して、真空下で乾燥させる。アセトンを用いてソックスレー抽出によりポリマーを洗浄し、その後真空下で乾燥させる。ポリマーを温クロロベンゼン中に溶解し、メタノールから再沈殿させる。ポリマーをろ別し、メタノールで洗浄して、真空下で乾燥させ、暗赤色固体として生成物を得る(0.275g、73%):M=8,000gmol−1;M=17,500gmol−1(60℃でPhCl)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘテロ環式芳香族化合物を、アリール−アリールC−Cカップリングの形成の下に重合させる方法であって、ここで、前記化合物は、少なくとも1個のハロゲン化物官能基および少なくとも1個のボロン官能基を有している前記方法、または、
少なくとも1種の第1のヘテロ環式芳香族化合物と少なくとも1種の第2のヘテロ環式芳香族化合物とを、アリール−アリールC−Cカップリングの形成の下に共重合させる方法であって、ここで、前記第1の化合物は、少なくとも2個のハロゲン化物官能基を有し、前記第2の化合物は、少なくとも2個のボロン官能基を有している前記方法であって、
ここで重合は、
a)パラジウム触媒および有機ホスフィンもしくはホスホニウム化合物を含む、触媒/リガンド系、
b)塩基、
c)溶媒もしくは溶媒の混合物、
の存在下で行われ、
ハロゲン化物官能基およびボロン官能基は、チオフェンもしくはセレノフェン環に結合しており、前記チオフェンもしくはセレノフェン環は、任意に置換されており、および任意に他の環と縮合しており、かつ
前記有機ホスフィンもしくはホスホニウム化合物は、任意に置換されたアルキルおよびアリール基から選択される置換基を有する、三置換ホスフィンもしくはホスホニウム塩であることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
ハロゲン化物基が、ハロゲンまたは−OSO、ここでRは、1〜12個のC原子を有する任意にフッ素化されたアルキルもしくはアリールである、から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ハロゲン化物基が、Br、I、メシレート、トリフレートまたはトシレートから選択されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ボロン基が、ボロン酸、ボロン酸エステル(ボロネート)またはボラン基から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ボロン基が、式−B(OR’)(OR”)またはBR’R”、ここで、R’およびR”は、互いに独立にHもしくは1〜12個のC原子を有するアルキルであるか、または、R’およびR”は、一緒に2〜20個のC原子を有するアルキレンもしくはアリーレン基を形成する、で表される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ボロン基が、下記式
【化1】

から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ヘテロ環式芳香族化合物が、式I
−(Ar−(Ar−(Ar−X
式中、
ArおよびArは、複数存在する場合互いに独立して、同一もしくは異なるアリーレンまたはヘテロアリーレン基であり、これらは任意に1個または2個以上のRにより置換され、任意に縮合環を含み、そしてXおよび/またはXに結合するチオフェン環もしくはセレノフェン環をそれぞれ含み、
Arは、複数存在する場合互いに独立して、アリーレンまたはヘテロアリーレン基であり、これらは任意に1個または2個以上のRにより置換され、そして任意に縮合環を含み、aおよびcは、互いに独立して、1、2または3であり、bが0の場合には、aおよびcのいずれかが0であってもよく、
bは、0、1、2、3または4であり、
およびXは、互いに独立して、ハロゲン化物官能基またはボロン官能基であり、
Rは、複数存在する場合互いに独立して、
の意味の1つを有するか、
あるいは、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシまたはヘテロアリールオキシであり、ここでこれらは任意に1個もしくは2個以上の基Lにより置換されており、または、1〜20個のC原子を有する直鎖、分枝もしくは環状アルキルであり、これらは任意にF、Cl、BrもしくはIにより単置換もしくは多置換されており、ここで1個または2個以上の隣接していないCH基は、各々の場合に互いに独立して、任意に−O−、−S−、−NR−、−SiR00−、−CY=CY−または−C≡C−により、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置換されており、
あるいは、F、Cl、CN、NO、NR00、−SiR00000、−C≡C−SiR00000またはスルホニルから選択され、
あるいは、Hであり、
Lは、F、Cl、Br、I、CN、NO、NR00、−SiR00000、−C≡C−SiR00000、スルホニル、あるいは、1〜20個のC原子を有する直鎖、分枝もしくは環状アルキルであり、これらは任意に、非置換であるか、F、Cl、Br、I、−CNまたは−OHにより単置換もしくは多置換されており、ここで1個または2個以上の隣接していないCH基は、各々の場合に互いに独立して、任意に−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、OCO−、−OCO−O、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−または−C≡C−により、Oおよび/またはS原子が互いに直接結合しないように置換されており、
およびYは、互いに独立して、H、FまたはClであり、
、R00およびR000は、互いに独立して、H、1〜12個のC原子を有するアルキルまたはアリールである、
で表される、
から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ArおよびArが、Rにより3位および/または4位が任意に置換されている、チオフェン−2,5−ジイル、セレノフェン−2,5−ジイルまたはチエノ[2,3−b]チオフェン−2,5−ジイル、Rにより3位および/または6位が任意に置換されているチエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、あるいは、Rにより3−、4−、7−もしくは8−位が任意に置換されているベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−2,6−ジイルから選択されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ヘテロ環式芳香族化合物が、下記式
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

式中、
Arは、上記請求項においてArについて規定された意味の1つを有し、
Xは、上記請求項において定義された通りのハロゲン化物基であり、
は、上記請求項において定義された通りのボロン基であり、
R1〜4は、互いに独立して、式IにおけるRの意味の1つを有する、
から選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
パラジウム触媒が、Pd(II)ハロゲン化物、Pd(II)カルボキシレート、Pd(II)β−ジケトネート、Pd(dba)、Pd(dba)、Pd(PR、Pd(OAc)、PdCl(PR’、PdCl(PhCN)、PdCl(CHCN)またはPdCl(cod)、ここでR’はアルキルもしくはアリールである、から選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
三置換ホスフィンが、式R
式中、
Pは、リンを表し、
、RおよびRは、同一のまたは異なる、1〜12個の炭素原子を有する任意にフッ素化された直鎖、分枝もしくは環状アルキル基、または、4〜20個の炭素原子を有する任意に置換されたアリール基であり、
x、yおよびzは、0、1、2または3であり、x+y+z=3である、
で表されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
三置換ホスフィンが、全ての基Rが同一である式RP、あるいは、RおよびRが異なる式RPまたはRPで表されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
およびRが、請求項11に定義された通りのアルキルであるか、または、Rが請求項11に定義された通りのアルキル基であり、かつ、Rが請求項11に定義された通りのアリール基であることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
三置換ホスフィンが、トリエチルホスフィン、トリ−イソ−プロピル−ホスフィン、トリ−シクロヘキシルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン(t−Bu)、ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)メタンおよび 2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニルから選択されることを特徴とする、請求項11〜13に記載の方法。
【請求項15】
三置換ホスホニウム塩が、式[RPH]
式中、Ra〜cならびにx、y、およびzは、請求項11において定義された通りであり、Zは、好適なアニオンであることを特徴とする、請求項11〜14に記載の方法。
【請求項16】
が、BF、PFまたはSbFであることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
塩基が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物、カルボン酸塩、炭酸塩、フッ化物およびリン酸塩から選択されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
塩基が、水性KCOまたはNaCOであることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ボロン官能基あたり少なくとも1.5当量の塩基が反応混合物中に存在することを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
溶媒が、トルエン、キシレン、アニソール、THF、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロベンゼン、フルオロベンゼンまたはこれらの溶媒の1種もしくは2種以上の混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれかに記載の方法により得られる、共役ポリマーまたはコポリマー。
【請求項22】
請求項21に記載の1種または2種以上のポリマーを含む、半導体または電荷輸送材料、部品もしくは装置。
【請求項23】
請求項21または22に記載のポリマー、材料、部品または装置の、光学、電気光学、電子半導体または電子発光(EL)部品もしくは装置、有機電界効果トランジスタ(OFET)、集積回路(IC)、薄膜トランジスタ(TFT)、フラットパネルディスプレイ、無線IC(RFID)タグ、電子発光または光輝性装置もしくは部品、有機発光ダイオード(OLED)、ディスプレイのバックライト、光電池またはセンサー装置、電荷注入層、ショットキーダイオード、平坦化層、静電防止フィルム、導電基質またはパターン、バッテリー中の電極材料、光伝導体、電子写真用途、電子写真記録、有機記憶装置、配向層、化粧用または医薬組成物、バイオセンサー、バイオチップ、セキュリティマーク、重合可能な液晶材料、液晶ポリマー、電荷輸送特性を有する異方性ポリマーフィルム、あるいはDNA配列を検出および識別するための方法もしくは装置における、電荷輸送、半導体、電気伝導、光伝導または発光材料としての使用。
【請求項24】
請求項21または22に記載のポリマー、材料、部品または装置を含む、光学、電子光学もしくは電子装置、OFET、IC、TFT、フラットパネルディスプレイ用のTFTアレイ、RFIDタグ、OLED、ELディスプレイ、バックライトまたは配向層。
【請求項25】
酸化的または還元的にドープされて導電性イオン種を形成する、請求項21または22に記載のポリマーまたは材料。
【請求項26】
請求項25に記載のドープされたポリマーまたは材料を含む、電荷注入層、平坦化層、静電フィルム、または電子用途のための導電基質もしくはパターン、またはフラットパネルディスプレイ。

【公開番号】特開2007−51289(P2007−51289A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221386(P2006−221386)
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】