説明

チキソ性反応性組成物

本発明は、イソシアネート、エポキシド、アルコキシシラン、及びそれらの混合基を含む群から選択される少なくとも2つの反応性基を含む少なくとも1種の化合物Aと、(メタ)アクリレートB1の単独重合もしくは(メタ)アクリレートB1と少なくとも1種の追加の(メタ)アクリレートとの共重合によって製造される少なくとも1種のポリマー型チキソ性付与剤Bとを含む反応性組成物に関し、前記(メタ)アクリレート混合物は2.5〜4.5の平均(メタ)アクリレート官能性fを有する。前記(メタ)アクリレートB1は3つ又は4つの(メタ)アクリレート基をもつ。本発明はさらに、チキソ性付与剤としての化合物Bの使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性組成物、特に接着剤及びシーラントにチキソ性を付与することの分野に関連する。
【背景技術】
【0002】
接着剤又はシーラントの適用のためには、チキソ性(揺変性)は重要な特性である。接着剤及びシーラントは、一般的には、カートリッジ、ペール缶、ドラム缶中に貯蔵される。適用するためには、それらはこの貯蔵容器からポンプによって又はカートリッジガンもしくは伴板(follower plate)を用いて絞り出すことによって取り出され、典型的にはノズルによって、適当な場合にはスタティックミキサーによって、結合もしくはシールされる基材に適用される。運搬効率を最大化し、力の損失を最小化するためには、接着剤又はシーラントを非常に低粘度にすることが有利である。他方、適用された接着剤又はシーラントは、適用された形状で留まらなくてはならず、適用後に流れ落ちてはならない。このことは、特に、厚い層の場合、又は垂直もしくは頭上での適用の場合にきわめて重要である。形状保持性を最大化するためには、非常に高い粘度が有利である。
【0003】
これらの運搬することと形状保持の必要性は、全く矛盾する。しかし、当業者はチキソトロピーの現象を知っている。この効果を用いると、物質はそれを撹拌してすぐに低粘性になり、撹拌を再び停止すると再び固化する。したがって、この効果は多くの市販の接着剤及びシーラントに利用されている。接着剤、もしくは適度な粘性のバインダーは、通常、添加剤と混合される。そのようなチキソ性付与剤の例は、例えばベントナイトもしくは焼成シリカなどの無機物質、あるいはひまし油誘導体、特にポリアミドもしくはポリウレアなどの有機物質である。
【0004】
したがって、例えば、ドイツ国特許第2360019号は、ポリウレアチキソ性付与剤を記載しており、これは一級及び/又は二級ポリアミン類、一官能アルコール類及び/又はアミン類と、ジイソシアネート化合物との反応で得られる。
【0005】
非拡散性担体物質中のウレア誘導体に基づく、ポリウレタン組成物用のチキソ性付与剤が、例えば欧州特許出願公開第1152019A1号公報に記載されている。
【0006】
2より多い官能性を有する(メタ)アクリレート類は、主に高速架橋性且つ非常に耐久性のコーティング材料のために使用されている。米国特許第3663467号明細書は、トリメチロールプロパントリメタクリレートに基づく多孔質ポリマーを記載しており、これはヘキサンからフェノールを吸収するために用いられている。欧州特許出願公開第0732348A1号公報は、モノ(メタ)アクリレートと2つ以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するモノマーとのコポリマーの微細粒子を含む湿気硬化性ポリマー組成物を記載しており、後者の割合はコポリマーの10モル%以下であり、伸びと衝撃強度の増加をもたらすと述べられている。
【特許文献1】ドイツ国特許第2360019号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1152019A1号公報
【特許文献3】米国特許第3663467号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第0732348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、新しい形態のチキソ性の反応性組成物を発見することであった。驚くべきことに、これは、特許請求の範囲に記載したチキソ性組成物によって達成されうることを発見した。特に、反応性組成物中で、広い範囲での使用のためのチキソ性付与剤として、化合物Bが適していることを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、イソシアネート、エポキシド、アルコキシシラン、及びそれらの混合基を含む群から選択される少なくとも2つの反応性基を有する少なくとも1種の化合物Aと、(メタ)アクリレートB1を単独重合することにより、もしくは(メタ)アクリレートB1を少なくとも1種のさらなる(メタ)アクリレートと共重合することによって調製した少なくとも1種のポリマー型チキソ性付与剤Bとを含む、チキソ性組成物に関する。前記(メタ)アクリレート混合物は、2.5〜4.5の平均(メタ)アクリレート官能性fを有する。
【0009】
本明細書全体を通して、「(メタ)アクリレート」により、アクリル酸もしくはメタクリル酸のエステルが意味され、したがってこの用語はメタクリレート類とアクリレート類の両方を含んでいる。
【0010】
本明細書全体を通して、「アルコキシシラン」により、C−Si結合を介して少なくとも1つの有機基がケイ素原子に結合され、且つO−Si結合を介してケイ素原子基に結合されている少なくとも1つのさらなる有機基を有する有機ケイ素化合物が意味される。
【0011】
本明細書全体を通して、「エポキシ」により、1つのオキシラン基(式I)が意味され、このうちグリシジル基(式II)は好ましい変形を表す。
【化1】

【0012】
本明細書において、「ポリオール」、「ポリアミン」、「ポリメルカプタン」及び「ポリイソシアネート」中の「ポリ」によって、それぞれの官能基を形式上2つ以上含む分子を意味する。
【0013】
本明細書において、「ポリウレタン」の語は、ジイソシアネートの重付加法によって調製される全てのポリマー類を包含する。これは、ウレタン基を実質上もしくは完全に含まないポリマーさえも含み、例えば、ポリエーテルポリウレタン類、ポリエステルポリウレタン類、ポリエーテルポリウレア類、ポリウレア類、ポリエステルポリウレア類、ポリイソシアヌレート類、ポリカルボジイミド類などである。
【0014】
「(メタ)アクリレート官能性」によって、1分子当たりの(メタ)アクリレート基の数が意味され、したがって、「一官能性」、「二官能性」、「三官能性」、「四官能性」及び「五官能性」(メタ)アクリレートという。
【0015】
「平均(メタ)アクリレート官能性 f」(fは数式中では上にバーを付しているが同じ意味である。)は以下の式:
【数1】

によって掲載される。この式中、nは(メタ)アクリレート混合物中のそれぞれの(メタ)アクリレートのモル数であり、fはその(メタ)アクリレート官能性である。明確性の欠如を避けるために、さらに、fは少なくとも1つの(メタ)アクリレート官能性を有する物質のみを考慮に入れて決定されることを述べておく;言い換えれば、共重合時にこの混合物中に存在しうる任意の他の物質、例えば、溶媒、可塑剤、成分A、もしくはAの反応剤などは、考慮に入れない。
【0016】
本発明の組成物は少なくとも1種の化合物Aを含む。この化合物Aは少なくとも2つの反応性基を有する。これらの反応性基は、イソシアネート基、エポキシド基、又はアルコキシシラン基である。化合物Aはまた、これらの基の混合を含んでもよい。したがって、例えば、化合物Aは、同時にアルコキシシランとイソシアネート基を含んでもよく、又は同時にアルコキシシランとエポキシ基、もしくはエポキシ基とイソシアネート基を含んでもよい。化合物Aが同時にアルコキシシラン基、エポキシ基、及びイソシアネート基を含むことでさえ可能である。しかし、本化合物は少なくとも2つの同一基を含むことが好ましい。
【0017】
化合物Aは特にポリマー又はオリゴマーである。
【0018】
1つの実施態様では、化合物Aは、少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーである化合物A3である。このポリウレタンプレポリマーは、少なくとも1種のポリオールと少なくとも1種のポリイソシアネートから調製可能である。
【0019】
この反応は、ポリオールとポリイソシアネートを常法、例えば50℃〜100℃などの温度で、適切な触媒を用いるか又は用いずに反応させることによって行うことができ、添加したポリイソシアネートの量は、ポリオールの水酸基に対して化学量論的に過剰にイソシアネート基が存在するような量である。ポリイソシアネートの過剰度は、得られるポリウレタンプレポリマーA3の残存フリーイソシアネート基含量が、ポリオールの全てのヒドロキシル基との反応後に、全ポリウレタンプレポリマーA3を基準にして0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜5重量%であるように選択される。好適な場合は、ポリウレタンプレポリマーA3は可塑剤を用いて調製することもでき、用いる可塑剤はいかなるイソシアネート反応性基も含まない。
【0020】
ポリウレタンプレポリマーA3を調製するためのポリオールとしては、例えば、以下の市販の通常のポリオール又はそれらの任意の所望する混合物を用いることができる:
- ポリオキシアルキレンポリオール(ポリエーテルポリオールとも称される)。これはエチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,2−もしくは2,3−ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、又はそれらの混合物の重合生成物であり、任意選択で2つ以上の活性水素原子を有する開始剤分子、例えば、水、アンモニア、もしくは2つ以上のOHもしくはNH基を有する化合物(例えば、1,2−エタンジオール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールの異性体類、ブタンジオールの異性体類、ペンタンジオール類、ヘキサンジオール類、ヘプタンジオール類、オクタンジオール類、ノナンジオール類、デカンジオール類、ウンデカンジオール類、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン、並びに上述した化合物の混合物)などを用いて重合される。低不飽和度をもつポリオキシアルキレンポリオール類を用いることも可能であり(不飽和度はASTM D−2849−69に準拠して測定され、ポリオール1グラム当たりの不飽和のミリ当量で表される(meq/g))、これは例えば、いわゆるダブルメタルサイアナイド錯体触媒(double metal cyanide complex catalyst (DMC触媒))を用いて調製される。しかしまた、NaOH、KOH、もしくはアルカリ金属アルコキシドなどのアニオン触媒を用いて調製した、より高不飽和度を有するポリオキシアルキレンポリオール類を用いることもできる。
【0021】
ポリオキシアルキレンジオール類又はポリオキシアルキレントリオール類、とりわけ、ポリオキシプロピレンジオール類又はポリオキシプロピレントリオール類が特に適している。
【0022】
0.02meq/g未満の不飽和度を有し、1000〜30000g/molの範囲の分子量をもつポリオキシアルキレンジオール類又はポリオキシアルキレントリオール類、並びに400〜8000g/molの分子量を有するポリオキシプロピレンジオール類及びトリオール類が、特に適している。本明細書中の「分子量」もしくは「モル質量」は常に平均分子量Mをいう。
【0023】
同様に、特に適しているものは、「EOキャップした」(エチレンオキシド末端キャップした)ポリオキシプロピレンジオール類もしくはトリオール類である。後者は、例えば、ポリプロポキシル化の終了後に、エチレンオキシドでポリオキシプロピレンポリオール類をアルコキシル化することによって得られる特別なポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオール類であり、これは結果として一級水酸基を含む。
【0024】
- ヒドロキシ官能性ポリブタジエン類。
【0025】
- ポリエステルポリオール類。これは例えば二価から三価アルコール、例えば、1,2−エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1−トリメチロールプロパン、もしくは前記アルコール類の混合物と、有機ジカルボン酸類もしくはそれらの酸無水物もしくはエステル類、たとえば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びヘキサヒドロフタル酸、または前記酸類の混合物から調製される。さらにはラクトン類、例えばε−カプロラクトンなどのポリエスエルポリオール類。
【0026】
- 例えば上述したアルコール類(ポリエステルポリオール類を合成するために用いたもの)をジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、又はホスゲンと反応させることによって得ることができる種類のポリカーボネートポリオール類。
【0027】
- ポリアクリレート及びポリメタクリレートポリオール類
【0028】
これらの提示したポリオール類は250〜30000g/molの平均分子量と、1.6〜3の範囲の平均OH官能性を有する。
【0029】
これらの提示したポリオール類に加えて、低分子量の二価もしくは多価アルコール類、例えば、1,2−エタンジオール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールの異性体類、ブタンジオール異性体類、ペンタンジオール類、ヘキサンジオール類、ヘプタンジオール類、オクタンジオール類、ノナンジオール類、デカンジオール類、ウンデカンジオール類、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、二量化脂肪アルコール類、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、糖アルコール類、及びその他の多価アルコール類、前記二価及び多価アルコール類の低分子量アルコキシル化生成物、ならびに前記アルコール類の混合物を、ポリウレタンプレポリマーA3を調製する場合に用いることができる。
【0030】
ポリウレタンプレポリマーA3は、市販の通常のポリイソシアネート類を用いて調製することができる。挙げることができる例には、以下のポリイソシアネートが含まれ、これらはポリウレタン化学において周知である。
トリレン2,4−及び2,6−ジイソシアネート(TDI)、及びこれらの異性体の任意の所望する混合物、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタンジイソシアネートの位置異性体類、フェニレン1,3−及び1,4−ジイソシアネート、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−ジイソシアナトベンゼン、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(TMDI)、ドデカメチレン1,12−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,3−及び1,4−ジイソシアネート及びそれらの異性体の任意の所望する混合物、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(すなわち、イソホロンジイソシアネート又はIPDI)、パーヒドロジフェニルメタン2,4’−及び4,4’−ジイソシアネート(HMDI)、1,4−ジイソシアナト−2,2,6−トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、キシレンm−及びp−ジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレン1,3−及び1,4−ジイソシアネート(TMXDI)、1,3−及び1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、及び前記イソシアネート類のオリゴマー類又はポリマー類、ならびに前記イソシアネート類の任意の所望する混合物。特に好ましいものはジイソシアネート類、特にMDI、TDI、HDI、及びIPDIである。
【0031】
さらなる態様においては、化合物Aは化合物A1であり、これはビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールA/Fのジグリシジルエーテル、これらの混合物又はオリゴマーである。「A/F」の表示はこことの関連ではアセトンとホルムアルデヒドの混合物を意味し、これはその合成における反応剤として用いられる。ジグリシジルエーテル類のなかでも、この化合物は液状樹脂であることが好ましい。これらの樹脂のための調製方法によれば、より高分子量の成分も液状樹脂中に存在することは明らかである。この種の液状樹脂は、例えば、Araldite(登録商標)GY 250、Araldite(登録商標)PY304、Araldite(登録商標)GY282(以前のVantico社、現在のHuntsman社)又はD.E.R.(登録商標)331(Dow社)として入手可能である。
【0032】
加えて、樹脂又は反応性希釈剤として当業者に公知のさらなるグリシジルエーテル類を、本組成物中に存在させることが可能である。特に適した反応性希釈剤は、アルキル基、アルキレン基、及びフェノール類のグリシジルエーテル類、例えば、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、フェニルグリジシルエーテル、又はクレゾールグリシジルエーテルである。
【0033】
さらなる態様においては、化合物Aは化合物A2であり、これは少なくとも2つのアルコキシシラン基を有するポリマーを表す。化合物A2は一方では化合物A2−1を表し、さらに他方では化合物A2は化合物A2−2を表す。
【0034】
化合物A2−1は少なくとも2つのアルコキシシラン基を有するポリウレタンプレポリマーである。A2−2は、A3と同一且つその調製に対応したイソシアネート基含有プレポリマーと、少なくとも1つのアルコキシ基及びそれらの有機基、NCOと反応性の基を有する少なくとも1種の化合物、特にメルカプトアルコキシシランもしくはアミノアルコキシシランとから調製することができる。特にそれらは以下を含む群から選択される:3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルジメトキシメチルシラン、3−アミノ−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルジメトキシメチルシラン、4−アミノ−3−メチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルメトキシジメチルシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、7−アミノ−4−オキサヘプチルジメトキシメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、及びメトキシ基に代えてエトキシ基もしくはイソプロポキシ基を有するそれらの類似体。1つの態様においては、アミノアルコキシシランは、マレイン酸エステルもしくはフマル酸エステルと、上記特定したアミノアルコキシシラン類の1種との付加体であり、例えば、米国特許第5,364,955号明細書に記載されているとおりである。
【0035】
化合物A2−2は、少なくとも2つのアルコキシシラン基を有するポリエーテルであり、当業者にはMSポリマーの名称で周知であり、例えば米国特許第6,207,766号明細書の第4欄第27行から54行目、及び米国特許第3,971,751号明細書に記載されている。
【0036】
化合物A2−2は、少なくとも2つのC=C二重結合を有するポリエーテル、特にアリル末端封止されたポリオキシアルキレンポリマー類と、化合物HSi(R(OR3−aとから、ヒドロシリル化反応によって調製できる。ここでR及びRは、互いに独立して、C〜Cアルキル基、特にメチル又はエチルであり、aは値0又は1、特に値0を表す。ヒドロシリル化反応のためには触媒が用いられ、通常は白金触媒である。化合物A2−2の利点の1つは、それらはイソシアネートを使用することなく調製することができることであり、別の利点は、これらの化合物が特に低粘度であって、1成分形湿気硬化性組成物における使用に非常に適していることである。
【0037】
化合物A2については、アルコキシシラン基がトリメトキシ基又はトリエトキシ基、特にトリメトキシ基である場合が好ましい。
【0038】
化合物Aはまた、少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーA3と、少なくとも1種の化合物AXとの反応によって得ることができる。化合物AXはNCO反応性基、特に一級もしくは二級アミン基、又はSH基、又はOH基と、さらに1つ以上のエポキシド基もしくはアルコキシシラン基とを有する。この目的に適したポリウレタンプレポリマーA3とそれらの調製は、本明細書の前の方に既に記載した。化合物AXとしては、例えば、アミノシラン類、メルカプトシラン類、もしくはヒドロキシエポキシド類を用いることが可能である。1つの特に好ましい態様においては、化合物AXは、アミノアルキルシラン類とマレイン酸ジエステルもしくはフマル酸ジエステルとのマイケル付加体であり、例えば欧州特許第0403921号明細書に記載されているとおりである。
【0039】
特に適したアミノシラン類は、以下を含む群から選択されるアミノシラン類である:3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3−アミノ−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルジメトキシメチルシラン、4−アミノ−3−メチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルジメトキシメチルシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルジメトキシメチルシラン、アミノメチルメトキシジメチルシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、7−アミノ−4−オキサヘプチルジメトキシメチルシラン、及びメトキシ基に代えてエトキシ基もしくはイソプロポキシ基をもつそれらの類似体。3−アミノプロピルトリメトキシシラン及び3−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。
【0040】
特に適したメルカプトシラン類は、以下を含む群から選択されるメルカプトシラン類である:3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、及びメトキシ基に代えてエトキシ基もしくはイソプロポキシ基をもつそれらの類似体。3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及び3−メルカプトプロピルトリエトキシシランが好ましい。
【0041】
ヒドロキシエポキシド類は、ポリオール類とエピクロルヒドリンとの不完全な反応で調製できる。それらはまた、通常入手可能なポリオール類のグリシジルエーテル中に副生物として常に存在し、通常の分離操作によって単離可能である。そのようなヒドロキシエポキシド類の例は、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル(トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル中に混合物として存在する)、グリセロールジグリシジルエーテル(グリセロールトリグリシジルエーテル中に混合物として存在する)、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル(ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル中に混合物として存在する)である。トリメチロールプロパンジグリシジルエーテルを用いることが好ましく、これは、通常どおり調製されたトリメチロールプロパンジグリシジルエーテル中にかなり高い割合で生じる。しかし、その他の類似するヒドロキシエポキシド類、特に、グリシドール、3−グリシジルオキシベンジルアルコール、又はヒドロキシメチルシクロヘキセンオキシドを用いることも可能である。ビスフェノールA(R=CH)とエピクロルヒドリンとから調製された市販の一般的な液状エポキシ樹脂中に約15%で存在する式(III)のβ−ヒドロキシエーテル、及びビスフェノールF(R=H)もしくはビスフェノールAとビスフェノールFとの混合物をエピクロルヒドリンと反応させた場合に形成される対応するβ−ヒドロキシエーテル類が、さらに好ましい。
【0042】
【化2】

【0043】
化合物Aはまた、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有するポリマーA3−1と少なくとも1種の化合物AYとの反応によっても得られる。この化合物AYは、NCO基とさらに1つ以上のアルコキシシラン基とを有する。このポリマーA3−1は、例えばポリオール、ポリメルカプタン、又はポリアミンであることができる。さらに、同時に2つ以上の異なるNCO反応性基を有するポリマーももちろん本目的に適している。この関係で特に適したポリオールには、ポリウレタンプレポリマーA3の調製について既に説明したポリオール類が含まれる。特に適したポリメルカプタン類には、メルカプト末端のポリアルキレン類およびチオコール(Thiocol)(登録商標)が含まれる。
【0044】
化合物A3−1についてのさらなる可能性は、ポリオール類、ポリメルカプタン類、ポリオール類と、ポリイソシアネート類、特に不足量のイソシアネートとの反応による生成物である。用いるイソシアネート類の不足量は、この場合、ポリイソシアネート、ポリオール、ポリアミン、又はポリメルカプタンの官能性とさらにその分子量に合わせて、高すぎない粘度をもつ化合物A3−1を製造するように調整する。さらなる可能性は、化学量論的過剰量のジアミン類、ジオール類、もしくはジメルカプタン類との、ポリウレタンプレポリマーA3の付加体又は鎖延長物としてA3−1を調製することである。
【0045】
化合物AYはイソシアネートシラン、特に以下の群から選択されるイソシアネートシランである:(3−イソシアナトプロピル)トリメトキシシラン、(イソシアナトメチル)メチルジメトキシシラン、(イソシアナトメチル)トリメトキシシラン、及びメトキシ基に代えてエトキシもしくはイソプロポキシ基を有するそれらの類似体。
【0046】
本発明の組成物は、少なくとも1種のポリマー型チキソ性付与剤Bをさらに含む。このチキソ性付与剤は一方では3つ以上の(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレートB1の単独重合反応によって得ることができる。このチキソ性付与剤は、他方では、(メタ)アクリレートB1と少なくとも1種のさらなる(メタ)アクリレートとの共重合反応によって得られ、特に(メタ)アクリレート混合物は2.5〜4.5の平均(メタ)アクリレート官能性fを有する。
【0047】
ポリマー型チキソ性付与剤Bの割合は、組成物の重量に基づいて0.1〜10重量%、特に0.5〜5重量%であることが好ましい。
【0048】
ここで、チキソ性付与剤Bは、NCO基、エポキシド基、又はアルコキシシラン基と反応する官能基の実質的部分を含んではならず、そうでないと組成物が貯蔵安定性を欠くからである。もちろんこの部分はゼロもしくは実質的にゼロであることが好ましい。3つ以上の(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレートB1は、トリオール類及びさら多価ポリオール類のエステル化によって得ることができる。用いる全ての(メタ)アクリレート類は、低分子量又は高分子量の化合物であってよい。85〜400g/eq、特に85〜150g/eq、好ましくは95〜125g/eq(1分子当たりの(メタ)アクリレート基の数で割った分子量に対応する)の(メタ)アクリレート当量重量をもつ(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。(メタ)アクリレートB1は、官能基として(メタ)アクリレートのみを含むことが好ましく、以下を含む群から選択されることが好ましい:グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グルコースペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びそれらのエトキシル化もしくはプロポキシル化類似体。
【0049】
1分子当たり、3つ、4つ、又は5つの(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレートが特に適する。三官能(メタ)アクリレート類が特に好ましい。
【0050】
(メタ)アクリレートB1が、さらなるモノマーである(メタ)アクリレートと共重合する場合は、(メタ)アクリレート混合物は2.5〜3.5、特に好ましくは2.8〜3.2の平均(メタ)アクリレート官能性fを有することが好ましい。
【0051】
一官能又は二官能(メタ)アクリレートが特に好ましく、これらは四官能、五官能、又は六官能(メタ)アクリレート類と共重合できる。
【0052】
特に適した一官能(メタ)アクリレート類は、以下を含む群から選択されるモノマー類である:メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びイソブチル(メタ)アクリレート。
【0053】
特に適した二官能(メタ)アクリレート類は、以下を含む群から選択される(メタ)アクリレート類である:C〜C−アルキレンジ(メタ)アクリレート、特にヘキサンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びエポキシジ(メタ)アクリレート類。
【0054】
エポキシジ(メタ)アクリレート類とは、ビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物に限らず、ビスフェノールAもしくはアルコキシル化ビスフェノールAと(メタ)アクリル酸とのエステル類をも意味し、特に450〜1000g/molの分子量をもつものである。
【0055】
なかでも、特有の臭気を有しないか、もしくはわずかな特有の臭気しか有しない上記(メタ)アクリレート類が好ましい。このことは特に室内で適用するために重要であり、室内ではそのような特有の臭気は破滅的である。
【0056】
上記(メタ)アクリレート類の重合は、フリーラジカルによって行われる。これらのフリーラジカルは、当業者に公知の方法によって、特に光もしくは熱によって、フリーラジカル供与剤から発生できる。フリーラジカル類は、有機過酸化物から発生させるのが好ましい。
【0057】
有利に用いられる有機過酸化物は、100℃〜50℃、特に70〜95℃の分解温度T1/2(1h)をもつものである。提示した分解温度は、当業者には特別な用語「1時間(1h)半減期温度」で知られている。特に好ましいことが実証されている有機過酸化物は、脂肪酸のペルオキシド、特にジラウロイルペルオキシドである。
【0058】
重合で用いたフリーラジカル供与剤に基づいて、本発明の組成物は、(メタ)アクリレート類のフリーラジカル重合に用いた有機フリーラジカル供与剤もしくはそれから誘導される反応生成物の少なくともわずかな量を、通常は含んでいる。
【0059】
本組成物は1成分形又は2成分形であることができる。2成分形組成物の場合、少なくとも1種の化合物Aと少なくとも1種のポリマー型チキソ性付与剤Bとを含む第一成分は、硬化剤として知られる第二成分によって硬化される。この第二成分は、化合物Aと反応するか又は自己架橋を引き起こす化合物Hを含有する。これら化合物Hの典型例は、例えば、一級ポリアミン類、ポリメルカプタン類、ポリオール類、又は水である。
【0060】
1成分形組成物の場合は、化合物Aが熱もしくは大気中の湿気の影響で硬化することによって硬化する。加熱硬化を起こす場合は、本組成物はブロック硬化剤もしくは熱反応性硬化剤H’を含み、これは室温では化合物Aと実質的にいかなる反応も起こさないが、高温、典型的には80℃より高い温度で脱ブロックされて化合物Hを放出するか又はそれ自身が反応する。ブロック又は熱反応性硬化剤H’の例は、エポキシ基をもつ化合物Aに対してはジシアンジアミド又はカルボン酸無水物であり、エポキシ基もしくはイソシアネート基をもつ化合物Aに対しては酸ブロックアミン(酸でブロックしたアミン)である。
【0061】
本組成物は1成分形であることが好ましい。化合物Aがアルコキシシラン基及び/又はイソシアネート基を有する場合、本組成物は1成分形かつ湿気硬化性(特に、空気に由来する湿気で硬化する)であることが好ましい。
【0062】
少なくとも1種の化合物Aと少なくとも1種のポリマー型チキソ性付与剤Bに加えて、本発明の組成物は、ポリウレタン、シラン、又はエポキシドの当業者に公知の少なくとも1種の成分、例えば、フィラー、可塑剤、溶剤、接着促進剤、チキソ性付与剤、安定化剤(特にUVもしくは熱安定化剤)、又は触媒、をさらに含んでもよい。
【0063】
2成分形組成物の場合は、上述した成分は、各場合に、両方の成分中に、又は1つの成分中のみに存在させることができる。
【0064】
フィラーとしては、カーボンブラックが特に好ましい。フィラーの割合は、特に接着剤又はシーラントについては、全組成物に対し、組成物の重量を基準にして典型的には25重量%〜50重量%、特に25重量%〜45重量%、好ましくは30重量%〜40重量%である。
【0065】
本発明の1つの態様においては、本組成物はカーボンブラックを含まない。したがって、淡色の組成物又は着色組成物、特に白色組成物、さらに特に白色ポリウレタン接着剤、をつくることが可能である。
【0066】
特に適した接着促進剤は、トリアルコキシシラン類、特にトリメトキシシラン類である。これらは好ましくは、メタクリロイルオキシ−、エポキシ−、メルカプト−、又はビニル−シラン類、特に、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、又はビニルトリエトキシシランである。さらに好ましくは、接着促進剤は、一級アミノ基をもつトリアルコキシシラン類(特に3−アミノプロピルトリメトキシシラン又は3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン)と、メルカプトシラン類もしくはエポキシシラン類(特に3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)との間の付加体を含むことができる。
【0067】
特に適した可塑剤は、フタレート類又はアジペート類、特に、ジアルキルフタレート類、好ましくはジイソデシルフタレート、又はジアルキルアジペート類、好ましくはジオクチルアジペート、である。
【0068】
本発明の1つの態様においては、本組成物は、5重量%未満、特に1重量%未満の溶剤含有量と、5重量%未満、特に1重量%未満の可塑剤含有量しか有しない。好ましくは、本組成物は溶剤を含まず、特に、溶剤を含まず且つ可塑剤を含まない。
【0069】
ポリマー型チキソ性付与剤Bが、可塑剤を含まない組成物成分であることが特に好ましい。
【0070】
本組成物は、VOC(揮発性有機化合物)であると考えられる物質を1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満しか含まず、特に0重量%であることが有利である。
【0071】
本組成物を調製する2つの好ましい方法がある。第一の方法は、化合物Aが湿気硬化性である場合は湿分の不存在下で、手始めに化合物Aを調製する。この目的のためには、フリーラジカル供与剤によって開始される、(メタ)アクリレート又は関連する(メタ)アクリレート類からの別の工程で重合し、適切な場合にはさらなる後処理をした形態に調製したポリマー型チキソ性付与剤Bを、有利には激しい撹拌下で添加する。添加の前には、このチキソ性付与剤は、特に粉末、好ましくはスプレードライした粉末の形態、又は溶液もしくは分散液、特にアジペートもしくはフタレート可塑剤中の溶液もしくは分散液の形態である。
【0072】
このチキソ性付与剤は、化合物Aの調製のために一般に選択した種類の温度、特に50〜80℃で添加することが有利である。
【0073】
続いて、さらなる成分がある場合は、通常、それを混合する。特に、可塑剤、溶剤、触媒、又は安定化剤は、これらが存在する場合は、少なくとも一部は、化合物A又はその出発生成物に、チキソ性付与剤を添加する前に混合してもよい。
【0074】
第二の方法では、チキソ性付与剤Bをその場で重合する。この調製方法は、有利には以下のように行う。第一のステップにおいては化合物Aを調製し、湿気反応性化合物Aの場合は湿気の不存在下で化合物Aを調製する。この早い時点で化合物Aが溶剤又は可塑剤を含有することが有利でありえる。次に、(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリレート類を、一緒もしくは順次に化合物Aに添加する。次に、通常は、重合触媒を、これを用いる場合は添加し、次にフリーラジカル供与剤を添加する。しかし、特定の状況下では、(メタ)アクリレートを化合物Aに添加する前に、いずれかの重合触媒とフリーラジカル供与剤をすでに添加しておくことが有利でありうる。チキソ性付与剤Bのその場での単独重合又は共重合を、通常80〜95℃の温度で撹拌しながら行う。次に、通常は、さらなる成分を、それがある場合は混合する。
【0075】
化合物Aが湿気反応性化合物である場合は、本組成物の調製時の各段階で、一方では反応剤だけでなく上記成分が可能なかぎり少ない水しか含まないことと、他方では湿気を厳格に排除して、特に不活性ガス下で、全ての調製及び処理ステップを行うことを確実にすることが必要である。
【0076】
製造に続いて、貯蔵、輸送、及び適用のために適した包装容器中に分配する。この包装容器には、特に、カートリッジ、ペール缶、天板オープンタイプの小型ドラム缶(hobbock)、パウチ、又はUnipack(商標)包装が含まれる。包装材料の選択においては、包装が不浸透性であり且つ充分な湿気防御を提供し、少なくとも6ヶ月、特に少なくとも9ヶ月の貯蔵寿命を、硬化又実質的な増粘なしに確実にできることが必要である。
【0077】
2成分形組成物として適用する場合は、例えば混合ガン又は混合機(ミキサー)を使用して第一及び第二成分を互いに充分に混合し、混合物を任意の所望する基材の表面と少なくとも部分的に直ちに接触させる。反応、特に付加反応の結果、反応性化合物Aが化合物Hと反応し、硬化した組成物と摩擦接触している物品が製造される。
【0078】
1成分形組成物として適用する場合は、化合物Aのイソシアネート基及び/又はアルコキシシラン基が湿気と接触し、この結果すぐにそれらは水と反応して架橋する。これが組成物を硬化させる。あるいは、硬化に必要な水は、空気から来る(大気中の水蒸気)ことができるか、又は、例えば、平滑剤を用いて広げてコーティングすることにより、例えば、スプレーすることにより、又は浸漬プロセスにより、本組成物を水含有部材と接触させることができるか、又は、本組成物はそれに添加する水含有成分、例えば水性ペーストの形態、を有することができ、これは例えばスタティックミキサーを用いて混合される。
【0079】
説明した本組成物は、接着剤、シーラント、コーティング剤、又は被覆剤として使用できる。その好ましい使用は、接着剤又はシーラントである。シーラント用途では、特に、建築構造物の建設のジョイント及び工業製品のジョイントが、本組成物で充填されシールされる。
【0080】
接着剤用途では、本組成物は、特に異なる基材を結合するために、例えば自動車、鉄道車両、船舶、又はその他の工業製品において構成要素を結合するために、さらには異なる物品及び/又は様々な基剤のためのコーティング剤又は被覆剤として用いられる。好ましいコーティングは、保護塗料、シール、保護コーティング、及びプライマーである。この被覆剤のなかでは、特にフロア被覆が好ましいものとして挙げられる。そのような被覆は通常は基材上に組成物を注ぎ、それを平らにすることによって作り出され、それが硬化してフロア被覆を形成する。この種のフロア被覆は、例えば、オフィス、リビング、病院、学校、倉庫、多層階駐車場、及びその他の個人的もしくは工業的用途に使用される。
【0081】
化合物Aがエポキシ基をもつ化合物である場合は、第二の硬化成分を用いて、特にポリアミン類によって硬化され、本組成物は、建築構造物、例えば、ビルディング、橋、及びトンネルの建設に非常に有利に用いることができる。これらの目的のためには、用いる接着剤が、コンクリート、無機基材、及び鉄鋼に対する非常に良好な接着性を示すこと、並びに、さらに大きな固有の強度をもつことが必要である。
【0082】
本組成物は、少なくとも部分的に任意の所望する基材の表面と接触される。シーラント又は接着剤、コーティング剤又は被覆剤の形態で、接着結合又はシールの形態での接続が必要な使用領域において、あるいはその基材が被覆されるべき領域において、均一に接触していることが好ましい。密着される基材又は物品が、密着される前に物理的及び/又は化学的前処理を受けなければならないことが必要であってもよく、これらは、例えば、サンディング(sanding)、サンドブラスト、ブラシがけ等によって、例えば、又は洗浄用製品、溶剤、接着促進剤、接着促進剤溶液もしくはプライマーによる処理によって、あるいはタイコート(tie coat)もしくはシーラーを適用することによる。密着は、湿気反応性組成物の場合、既に説明したとおり、水の影響下での硬化によって次に生じる。
【0083】
最終的に、硬化した組成物と摩擦接触している物品が製造される。
【0084】
本発明の組成物はチキソ性である。このことは、改善された耐流れ特性を含む特質において明らかである。さらに、本発明の組成物は、6を超える、特に10を超える、好ましくは20を超えるチキソ性指数(TI)を有することが好ましく、これは20℃の温度で測定して、1s−1の剪断速度での粘度と100s−1の剪断速度での粘度の比の値である:
【数2】

【0085】
これらの組成物はまた、大きく低下した光沢によっても区別されることがさらに明らかになっている。大きすぎる光沢は、接着剤及びシーラントにとっては不利でありうるが、それは高い光沢値をもつものは光を反射し、それによりいっそう目立つ傾向がありうるからである。したがって、主として美観上、低い光沢度が好ましい。本発明の組成物が、チキソ性付与剤なしのそれらの対応物と比較して、非常に低下した光沢を示すことを実証することが可能である。したがって、ポリマー型チキソ性付与剤Bはまた、接着剤、シーラント、及び被覆剤のための高分子つや消し剤としても使用することができる。
【0086】
ポリマー型チキソ性付与剤Bが微小粒子を含有し、この粒子は操作条件(操作パラメータ)に応じて若干異なることをさらに発見した。特に適していることが発見された粒子径は、5マイクロメートル未満、特に0.5マイクロメートル未満の粒子径である。過度に大きな粒子は粒子沈降をもたらし、それゆえ貯蔵安定性の問題と、さらにチキソ性付与特性の低下をもたらす。
【0087】
〔実施例〕
[チキソ性付与剤Bを含む組成物の製造]
1)イソシアネート基を有する組成物
ポリウレタンプレポリマー Prep 1の調製
Acclaim(登録商標)4200Nポリオール(Bayer社)2155gと、Caradol(登録商標)MD34-02ポリオール(Shell社)4310gと、メチレンジフェニル4,4’−ジイソシアネート(MDI;Desmodur(登録商標)44 MC L, Bayer社)とを、公知の方法によって80℃で反応させてNCO末端プレポリマーを得た。この反応生成物は、滴定法で測定したフリーイソシアネート基含有量2.36重量%を有していた。Prep 1は化合物A3の一例である。
【0088】
5重量%の組成物を調製するために、470gのPrep 1を、25gの(メタ)アクリレートB、もしくは(メタ)アクリレートBとさらなる(メタ)アクリレートとの混合物と混ぜ、その混合物を窒素で覆い、撹拌しながら90℃に加熱した。これに、ジラウロイルペルオキシド1.5gとジイソデシルフタレート3.5gとからなる混合物を混ぜた。ゲルの形成を待つ間、一緒にした混合物を撹拌し、約10分後にゲルの形成が起こった。続いて、この混合物をさらに90℃で約30分間撹拌し、次に室温まで冷却した。
【0089】
10重量%組成物を調製するために、445gのPrep 1と、50gの(メタ)アクリレートBもしくは(メタ)アクリレートBとさらなる(メタ)アクリレートとの混合物を用いて、同様の手順にしたがった。
【0090】
[チキソ性付与剤の適性]
チキソ性付与剤としての適性を評価するために、それぞれの組成物をアルミニウムカートリッジに分配し、水平な表面に三角形のビードとして適用した;7日後、そのビードを切り開き、三角形からの変動を、組成物の重量を基準にしたBの重量%に関して、以下の評価基準にしたがって評価した:
1 5重量%でいかなる実質的な変動もない
2 5重量%ではわずかな変動があるが、10重量%ではいかなる変動もない
3 5重量%では強い変動があるが、10重量%ではわずかな変動である
4 10重量%で非常に強い変動がある
チキソ性付与剤としての化合物Bの適性と、調製したチキソ性付与剤は以下のとおりである。
【0091】
【表1】

【0092】
[エポキシ樹脂系組成物]
トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)100gを、液状ビスフェノールAジグリシジルエーテル樹脂(BADGE)(Araldite(登録商標)GY 250)1000g中に、90℃で撹拌して溶かした。反応容器を3回脱気し、窒素で満たした。反応を窒素下で行った。約30分後、ジラウロイルペルオキシド3gを添加し、混合物を激しく撹拌した。これにより、高粘度のガラス状の塊が生じた。このペースト(以下でEP-Paste 1と称する)のエポキシ含量は4.6eq/kgだった。このEP-Paste 1は、9.1重量%のB含有量をもっていた。
【0093】
[接着剤の製造]
1.ポリウレタン接着剤
表2に示した組成の1成分形湿気硬化性ポリウレタン接着剤を製造した。5kgのバッチサイズに対して、表2の量に従って、最初にPrep 1及び可塑剤に(メタ)アクリレートを添加し、混合物を窒素で覆い、撹拌しながら90℃に加熱した。90℃でペルオキシドを添加した。続いて混合物をさらに10分間撹拌し、次に50℃に冷却した。この時点で乾燥剤とさらにカーボンブラックとカオリンを混ぜ、混合を減圧下で15分間行った。これにより、均一な黒色ペーストが得られた。最後に触媒を添加し、さらに10分間の撹拌を行い、混合物をアルミニウムカートリッジに分配した。
【0094】
【表2】

【0095】
2.エポキシ樹脂接着剤
2.1 1成分形熱硬化性エポキシ樹脂接着剤
EP-Paste 1を、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エポキシ反応性希釈剤、ジシアンジアミド、及びフィラーとともに、薄板金属缶中に秤量し、50℃、減圧下で1時間、ホモジナイズした。次に、接着剤から接着剤のシートを作り、180℃で30分間硬化させた。打ち抜いてダンベル試験体を作り、次に引張強度、破断伸び、及び弾性率を試験した(ダンベル、長さ:75mm、幅:4mm、厚さ:2mm;試験速度:2mm/分(DIN 53504)(表7参照)。
【0096】
【表3】

【0097】
2.2 2成分形エポキシ樹脂接着剤
EP-Paste 1を、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、反応性希釈剤、及びフィラーとともに、薄板金属缶中に秤量し、40℃で、減圧下で1時間、ホモジナイズした。次に、アミン類と促進剤との混合物をその薄板金属缶中に添加し、減圧下でさらに5分間撹拌した。接着剤をカートリッジに移し、すぐに試料成形型中に流し出した。試料を標準状態で7日間貯蔵し、次に型から取りだし、3点曲げ試験の評価を行った:ダンベル、長さ:150mm、幅:10mm、厚さ:10mm;試験速度:2mm/分(ISO 178に準拠)(表8参照)。
【0098】
【表4】

【0099】
3.アルコキシシラン接着剤
[Prep 2の調製]
Prep 2は、イソシアネート末端プレポリマー[Acclaim(登録商標)12200 (Bayer社)とIPDI、NCO/OH比=2、から従来の調製方法によって調製した]と、米国特許第5,364,955号明細書の実施例5からのアミノシランとの反応生成物である。この反応は従来どおりに行う。Prep 2は、滴定で測定したフリーイソシアネート基含有量0.00重量%を有する。
【0100】
[KS1の製造]
市販の通常の1kg混合機中で、270g(100部)のアルコキシシラン官能基含有ポリウレタンプレポリマーPrep 2を、100g(37部)のDIDP可塑剤と5分間混合した。この混合物に20g(7部)のトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA、Fluka Chemie社)と2.4g(0.9部)のジラウロイルペルオキシド(Fluka Chemie社)を添加し、この混合物を90℃に加熱した。これを次に、高粘度で耐流れ性の塊が形成されるまで、90℃で減圧下、30分間撹拌した。次に、54g(20部)の二酸化チタンと325g(120部)のコーティングされた石灰を、60℃で15分間混ぜ込んだ。続いて、8g(3部)のジアミノシラン(Silquest(登録商標)A-1120)、2.7g(1部)のUV安定化剤(Tinuvin(登録商標)5060、Ciba Specialities社)及び5.4g(2.1部)のビニルシラン(Silquest(登録商標)A-171)を添加し、加熱することなく、減圧下で10分間、撹拌した。最後に、さらに1.18g(0.5部)のジブチルスズジラウレート(DBTL)と10g(4部)のDIDP可塑剤を添加し、減圧下で10分間混合した。
【0101】
同様の手順を、表5に示した実施例に対して適用した。実施例KMS1及びKMS-Ref.1において、アルコキシシラン官能性ポリウレタンプレポリマーPrep 2(化合物A2−1の例として)に代えて、市販のMSポリマー(MS-S303H、Kaneka Corp.から市販)を用いた(化合物A2−2の例として)。参照接着剤KS-Ref.1及びKMS-Ref.1の場合には、TMPTMA又はペルオキシドは用いておらず、したがって、90℃に加熱するステップも省略した。
【0102】
【表5】

【0103】
〔結果〕
以下の特性をこれらの接着剤について測定し、表6〜9にまとめた。
- 垂下性(sagging):ガラス板に三角形のビード(高さ22mm、底辺8mm)を適用した。続いてガラス板をすぐに垂直に立てた(2)、そして、室温及び50%相対湿度で硬化させた。接着剤の垂下性を測定することによって、耐流れ性の評価を行った。図式的に示すと以下のとおりである。
【0104】
【化3】

【0105】
- 粘度:粘度は粘度計(Rheomat)で測定した(5s−1、20℃、プレートΦ=25mm、スロット厚さ1mm)。
【0106】
- ガラスへの接着性:ガラス表面(フロートガラス、Rocholl社、Schoenbrunn、ドイツ国、から市販されている)を、Sika(登録商標)Activator(Sika Schweiz AGから市販されている)で前処理した。30分間の乾燥(フラッシュオフ)時間後、接着剤を適用し、室温及び50%相対湿度で7日間硬化させた。続いて、試料を、室温で7日間、水中に貯蔵し、次に、乾燥棚で80℃に1日間、最後に高温湿潤条件下(70℃及び100%相対湿度)で7日間貯蔵した。各貯蔵期間後に、ビード試験を用いて接着性を評価した。この試験では、接着領域のちょうど端に切り込みを入れる。切り込みを入れたビード端を先のまるいピンセットでつかみ、基材から引っ張る。これはピンセットの先端上にビードを注意深く巻き付けながら、且つビードを引っ張る方向に垂直に、はだかの基材まで至るように切れ目を入れながら行う。引っ張ることでビードを除去する速度は、約3秒ごとに切れ目を作る必要があるように選択すべきである。試験の長さは少なくとも8cmでなければならない。評価は、ビードを引っ張って取り除いた後に、基材上に残っている接着剤(凝集破壊)で行う。密着特性は、接着領域の凝集部分を概算することによって評価する。
1=>95%凝集破壊
2=75〜95%凝集破壊
3=25〜75%凝集破壊
4=<25%凝集破壊
5=接着破壊
- 引張剪断強度:DIN EN 1465(20mm/min)
- 引張強度:DIN 53504(200mm/min)
- 破断伸び:DIN 53504(200mm/min)
- 弾性率:DIN 53404(200mm/min)
- 耐引裂性 DIN53515(500mm/min)
- チキソ性指数(TI):20℃の温度で測定した、1s−1の剪断速度での粘度と100s−1の剪断速度での粘度の比
【0107】
【数3】

【0108】
- 押出力(EF):押出力を測定するために、接着剤を充填したカートリッジを23℃で12時間、状態調整(コンディショニング)を行い、次に開封し、5mmのねじ込みノズルをつけた。そして、Zwick 1120押出装置を使用して、60mm/minの速度で接着剤を押し出すために必要な力を測定した。報告した数値は85mlの押出後の平均値である。
【0109】
【表6】

【0110】
【表7】

【0111】
【表8】

【0112】
【表9】

【0113】
表6〜9は、非常に少量のポリマー型チキソ性付与剤Bでも、それらを用いて配合した組成物が耐流れ性をもち、接着剤として有用である結果をもたらすことを示している。特に、ポリマー型チキソ性付与剤Bの添加が、機械特性にいかなる欠陥又は実質的な欠陥ももたらさないことが明らかである。
【0114】
[つや消し剤としての適性]
木製のすきま(スロット)を用いてガラス板上に平坦にひいた2mm厚さの層の上の光反射によって、光沢値を測定した。測定は、24時間の乾燥後に光沢計(Erichsen Pico Glossmaster 500−20°/60°)を使用して、三重測定として行った。
【0115】
【表10】

【0116】
表10から、化合物Bが艶消し剤として作用することが明らかである。低濃度のこの化合物でさえ、本組成物によって、光沢の実質的喪失がもたらされている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート、エポキシド、アルコキシシラン、及びそれらの混合基を含む群から選択される少なくとも2つの反応性基を有する化合物Aの少なくとも1種と、
(メタ)アクリレートB1の単独重合によるか、又は(メタ)アクリレートB1と少なくとも1種のさらなる(メタ)アクリレートとの共重合によって調製されるポリマー型チキソ性付与剤Bの少なくとも1種[ここで、前記(メタ)アクリレート混合物は2.5〜4.5の平均(メタ)アクリレート官能性fを有し、前記(メタ)アクリレートB1は3つ以上の(メタ)アクリレート基を有する]とを含む組成物。
【請求項2】
前記化合物Aが、
少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーA3と、
NCO反応性基、特に一級もしくは二級アミノ基又はSH又はOHと、さらに1以上のエポキシド基もしくはアルコキシシラン基とを有する少なくとも1種の化合物AXとの反応によって得られることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記化合物Aが、
少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有するポリマーA3−1と、
NCO基とさらに1以上のアルコキシシラン基とを有する少なくとも1種の化合物AYとの反応によって得られることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記化合物Aが、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールA/Fのジグリシジルエーテル、これらの混合物又はオリゴマー、好ましくはビスフェノールAジグリシジルエーテル、である化合物A1であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記化合物Aが、少なくとも2つのアルコキシシラン基を有するポリウレタンプレポリマーである化合物A2−1であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記化合物Aが、少なくとも2つのアルコキシシラン基を有するポリエーテルである化合物A2−2であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記化合物A2−2が、少なくとも2つのC=C二重結合を有するポリエーテル、特にアリル末端ポリオキシアルキレンポリマー類と、化合物HSi(R(OR3−a(式中、R及びRは互いに独立して、C〜Cアルキル基、特に、メチル又はエチルを表し、aは値0又は1、特に値0を表す。)とからのヒドロシリル化反応によって得られることを特徴とする、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
前記アルコキシシラン基が、トリメトキシシラン基又はトリエトキシシラン基、特にトリメトキシシラン基であることを特徴とする、請求項5又は6又は7に記載の組成物。
【請求項9】
前記化合物Aが、少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーである化合物A3であることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
イソシアネート基を有する前記ポリウレタンプレポリマーA3又はイソシアネート反応性基を有する前記ポリウレタンプレポリマーA3−1が、少なくとも1種のポリオールと、少なくとも1種のポリイソシアネート、特に少なくとも1種のジイソシアネート、との反応により調製されることを特徴とする、請求項2又は9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリオールが、ポリオキシアルキレンポリオール、特にポリオキシアルキレンジオールもしくはトリオール、特にポリオキシプロピレンジオールもしくはトリオール又はEOキャップされたポリオキシプロピレンジオールもしくはトリオールであることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリオールが0.02meq/g未満の不飽和度と、1000〜30000g/molの分子量Mとを有するポリオキシアルキレンポリオールであることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記(メタ)アクリレートB1が、3つ、4つ、又は5つの(メタ)アクリレート基を有し、特に、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グルコースペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びそれらのエトキシル化もしくはプロポキシル化類似体を含む群から特に選択され、好ましくはトリメチロールプロパントリメタクリレートであることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリマー型チキソ性付与剤Bが、2.5〜3.5、特に2.8〜3.2の平均(メタ)アクリレート官能性fを有する(メタ)アクリレート混合物から調製されるコポリマーであることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記(メタ)アクリレート類のフリーラジカル重合に用いた有機フリーラジカル供与剤、特に有機ペルオキシド、又はそれらから誘導された反応生成物を少なくとも微量含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記有機ペルオキシドが100℃〜50℃の分解温度T1/2(1h)を有することを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記有機ペルオキシドが、脂肪酸のペルオキシド、特にジラウロイルペルオキシドであることを特徴とする、請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
ポリマー型チキソ性付与剤Bの量が、組成物の重量を基準にして0.1重量%〜10重量%、特に0.5重量%〜5重量%であることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
少なくとも1種の可塑剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記可塑剤が、フタレート又はアジペート、特にジアルキルフタレート又はジアルキルアジペート、好ましくはジイソデシルフタレート又はジオクチルアジペートであることを特徴とする、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
少なくとも1種のフィラー、特にカーボンブラックをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
フィラーの量が、組成物の重量を基準にして25重量%〜50重量%、特に25重量%〜45重量%、好ましくは30重量%〜40重量%であることを特徴とする、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記ポリマー型チキソ性付与剤Bが化合物Aに添加されることを特徴とする、請求項1〜22のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【請求項24】
前記ポリマー型チキソ性付与剤Bが前記化合物A中で(メタ)アクリレート類から重合されることを特徴とする、請求項1〜22のいずれか一項に記載の組成物の製造方法。
【請求項25】
チキソ性付与剤Bの前記重合が、80〜100℃、特に80〜90℃の温度で行われることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
チキソ性付与剤Bの前記重合が、100℃〜50℃の分解温度T1/2(1h)を有する有機ペルオキシド、特にジラウロイルペルオキシドによって行われることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
(メタ)アクリレートB1の単独重合によるか、又は
(メタ)アクリレートB1と、少なくとも1種のさらなる(メタ)アクリレートとの共重合[前記メタクリレート混合物は2.5〜4.5、特に2.5〜3.5、好ましくは2.8〜3.2の平均(メタ)アクリレート官能性fを有し、前記(メタ)アクリレートB1は3以上の(メタ)アクリレート基を有する。]により調製される化合物Bのチキソ性付与剤としての使用。
【請求項28】
前記(メタ)アクリレートB1が、3つ、4つ、又は5つの(メタ)アクリレート基を有し、特に、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グルコースペンタ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びそれらのエトキシル化又はプロポキシル化類似体を含む群から選択され、好ましくはトリメチロールプロパントリメタクリレートであることを特徴とする、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の組成物の、接着剤、シーラント、コーティング剤、又は被覆剤としての、特に接着剤又はシーラントとしての使用。
【請求項30】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の組成物と接触していることを特徴とする物品。
【請求項31】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の組成物の湿気硬化されたものと、摩擦接触していることを特徴とする物品。

【公表番号】特表2007−522278(P2007−522278A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550173(P2006−550173)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2005/050262
【国際公開番号】WO2005/071034
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】