説明

チップパッケージとその製造方法

【課題】チップパッケージとその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の実施例は、チップパッケージの製造方法を提供する。複数のスクライブラインにより隔てられる複数のデバイス領域を有する半導体ウェハを提供する工程と、パッケージ基板を半導体ウェハに接合し、スペーサ層をパッケージ基板と半導体ウェハの間に設置して、スペーサ層は、それぞれデバイス領域を露出する複数のキャビティを区画し、半導体ウェハの外縁に隣接する複数の貫通孔を有する工程と、貫通孔中に、接着材料を充填し、スペーサ層は粘性を有し、材料は接着材料と異なる工程と、スクライブラインに沿って半導体ウェハ、パッケージ基板とスペーサ層をダイスして、互いに分離した複数のチップパッケージを形成する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップパッケージに関するものであって、特に、ウェハスケールのパッケージプロセスにより形成されるチップパッケージとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チップパッケージは、パッケージされるチップの保護に用いられ、チップと外部電子素子間の導電経路を提供する。現在のウェハスケールのパッケージ工程中、ウェハ外周に位置するチップパッケージは、接合度が悪いおよび/または水分が浸入しやすいという問題が起こり、パッケージするチップの操作に影響する。
よって、チップパッケージの信頼度を改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、チップパッケージとその製造方法を提供し、チップパッケージの信頼度を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施例はチップパッケージの製造方法を提供し、複数のスクライブラインにより分割される複数のデバイス領域を有する半導体ウェハを提供する工程と、パッケージ基板を半導体ウェハに接合し、スペーサ層をパッケージ基板と半導体ウェハの間に設置し、スペーサ層は、それぞれデバイス領域を露出する複数のキャビティを区画し、且つ半導体ウェハの外縁に隣接する複数の貫通孔を有する工程と、貫通孔中に接着材料を充填し、スペーサ層は粘性を有し、材料は接着材料と異なる工程と、スクライブラインに沿って、半導体ウェハ、パッケージ基板とスペーサ層をダイスし、互いに分離した複数のチップパッケージを形成する工程と、を含む。
【0005】
本発明の別の実施例はチップパッケージを提供し、デバイス領域を有する半導体基板と、半導体基板上に設置されるパッケージ基板と、半導体基板とパッケージ基板の間に設置され、デバイス領域を露出するキャビティを定義するスペーサ層と、スペーサ層中に埋め込まれると共にキャビティ外に位置する互いに独立した複数の接着材料構造と、を含み、スペーサ層の材料は、接着材料構造の材料と異なる。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、スペーサ層と半導体ウェハおよび/またはパッケージ基板の外縁間の接着性を効果的に改善し、後続の加工工程中で、積層構造が層間剥離現象を生じるのを防止し、チップパッケージ工程の製造工程の歩留まりを向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】本発明の実施例によるチップパッケージの製造工程の断面図である。
【図1B】本発明の実施例によるチップパッケージの製造工程の断面図である。
【図1C】本発明の実施例によるチップパッケージの製造工程の断面図である。
【図2】図1Bの平面図である。
【図3A】本発明の実施例によるチップパッケージの製造工程の断面図である。
【図3B】本発明の実施例によるチップパッケージの製造工程の断面図である。
【図4】図3Bのチップパッケージの斜視図である。
【図5】図3Aの平面図である。
【図6】図5の実施例の変化例を示す図である。
【図7A】本発明の実施例によるチップパッケージの製造工程の断面図である。
【図7B】本発明の実施例によるチップパッケージの製造工程の断面図である。
【図8】図7の平面図である。
【図9A】本発明の実施例によるチップパッケージの製造工程の断面図である。
【図9B】本発明の実施例によるチップパッケージの製造工程の断面図である。
【図10】図9Bのチップパッケージの立体図である。
【図11】図9Aの平面図である。
【図12A】本発明の実施例によるチップパッケージの製造工程の断面図である。
【図12B】本発明の実施例によるチップパッケージの製造工程の断面図である。
【図13】図12Bのチップパッケージの斜視図である。
【図14】図12の平面図である。
【図15】本発明の実施例によるチップパッケージの製造工程の断面図である。
【図16】本発明の実施例によるチップパッケージの製造工程の断面図である。
【図17】本発明の実施例によるチップパッケージの製造工程の断面図である。
【図18】本発明の実施例によるチップパッケージの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下で本発明の実施例による製造および使用方式を説明する。注意すべきことは、本発明はさらに多くの応用可能な発明概念を提供し、それらは多種の特定方式で実施する。明細書中で説明する特定の実施例は本発明を製造および使用する特定方式を説明するためのものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。このほか、異なる実施例中で、重複した参照符号または表記を使用している。これらの重複は本発明を簡単にはっきりと説明するためのものであり、説明する異なる実施例および/または構造間の関連性を示すものではない。また、第一材料層が第二材料層上にあるというのは、第一材料層と第二材料層が直接接触しているかまたは一つ以上のその他の材料により隔てられている状況を含む。図式中、実施例の形状または厚さは拡大可能で、表示を簡潔にまたは分かりやすくしている。さらに、図示されないまたは描写されない素子は、当業者に理解されている形式で存在する。
【0009】
本発明の実施例によるチップパッケージは、光センサー装置または発光装置のパッケージに用いられる。本発明はこれに限るものではない。例えば、本発明のチップパッケージの実施例中、能動素子または受動素子 (Active or Passive Elements)、デジタル回路またはアナログ回路 (Digital or Analog Circuits)等の集積回路を含む電子素子(Electronic Components)、例えば、光電子デバイス(Optoelectronic Devices)、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical System; MEMS)、マイクロ流体システム(micro Fluidic Systems)、熱、光線および圧力を検出する物理センサー(Physical Sensor)に応用することができる。特に、ウェハスケールのパッケージ(Wafer scale package; WSP)工程を、イメージセンサー素子、発光ダイオード(Light-Emitting Diodes; LEDs)、太陽電池(Solar Cells)、RF回路(RF Circuits)、加速器(Accelerators)、ジャイロスコープ(Gyroscopes)、マイクロアクチュエータ(Micro Actuators)、表面音響波デバイス(Surface Acoustic Wave Devices)、圧力センサー(Pressure Sensors)またはインクプリンターヘッド(Ink Printer Heads)等の半導体チップに実行する。
【0010】
上述のウェハスケールのパッケージ工程は、主に、ウェハ段階で、パッケージ工程を完成後、チップを有するウェハを独立したパッケージ体に分断するものである。しかし、特定の実施例中、例えば、既に分離した半導体チップを搭載ウェハ上に再分布して、パッケージ工程を実行することも、ウェハスケールのパッケージ工程と称する。また、上述のウェハスケールのパッケージ工程は、スタック(Stack)方式により、集積回路を有する複数のウェハを設置して、マルチレイヤ集積回路(Multi-layer Integrated Circuit Devices)のチップパッケージを形成するのにも適用する。
【0011】
本発明は、半導体ウェハとパッケージ基板間のスペーサ層に、半導体ウェハの外縁に隣接する複数の貫通孔を形成すると共に、これらの貫通孔中に、接着材料を充填して、スペーサ層と半導体ウェハおよび/またはパッケージ基板の間の接着性を増加させる。
図1A〜図1Cは、本発明の実施形態によるチップパッケージの製造工程の断面図で、図2は、図1Bの平面図である。図1Bは、図2中のI-I’線に沿った断面図で、簡潔にするため、図2では、パッケージ基板を省略している。
【0012】
まず、図1Aを参照すると、半導体ウェハ110とパッケージ基板120を提供し、半導体ウェハ110は、複数のスクライブラインSにより隔てられた複数のデバイス領域112を有する。
【0013】
図1Bと図2からわかるように、次にパッケージ基板120を半導体ウェハ110に接合し、パッケージ基板120と半導体ウェハ110の間にスペーサ層130を設ける。スペーサ層130は、それぞれ、デバイス領域112を露出させる複数のキャビティCを区画する。スペーサ層130は、半導体ウェハ110の外縁部Pに隣接する複数の貫通孔Tを有する。
【0014】
本実施形態では、スペーサ層130は、外環部132とスペーサ部分134を含み、外環部132は、半導体ウェハ110の外縁部Pに隣接し、スペーサ部分134は、デバイス領域112間のスクライブラインS上に位置し、貫通孔Tは外環部132内に位置する。また、貫通孔T中に、接着材料140を充填してもよく、接着材料140の充填方法は、例えば、スクリーン印刷である。
【0015】
接着材料140は貫通孔T内に完全にまたは部分的に充填されればよい。接着材料140を貫通孔T内に完全に充填すると、半導体ウェハ110、パッケージ基板120とスペーサ層130の接着性が改善される。接着材料140が貫通孔T内を部分的に充填していても、スペーサ層130と半導体ウェハ110またはパッケージ基板120のどちらか一つとの接着性を改善し、パッケージ工程の歩留まりを向上させることができる。
【0016】
スペーサ層130は粘性を有し、その材料は接着材料140と異なる。例えば、スペーサ層130の材料は、感光材料(例えば、フォトレジスト)またはエポキシ樹脂(Epoxy)で、接着材料140の材料は、その他の種類の高分子材料(例えば、ポリイミド(Polyimide))である。本実施形態ではこのような材料が接着材料140とスペーサ層に用いられるので、接着材料140の接着力がスペーサ層130の接着力より大きく、且つ、接着材料140の硬度がスペーサ層130の硬度より小さい。これにより、パッケージ基板120と半導体ウェハ110の接合時、スペーサ層130は十分なサポート力を提供し、接着材料140はスペーサ層130よりさらに大きい接著力を提供することができる。
【0017】
詳細には、図1Aに示されるように、本実施例では、パッケージ基板120を半導体ウェハ110に接合する方法は、まず、スペーサ層130をパッケージ基板120上に形成する工程と、貫通孔T中に接着材料140を充填する工程と、その後、パッケージ基板120を、粘性を有するスペーサ層130と接着材料140により、半導体ウェハ110に接合する工程と、を含む。
【0018】
このほか、その他の実施例では、パッケージ基板120を半導体ウェハ110に接合する方法は、まず、スペーサ層130を半導体ウェハ110上に形成する工程と、貫通孔T中に接着材料140を充填する工程と、その後、半導体ウェハ110を、粘性を有するスペーサ層130と接着材料140により、パッケージ基板120に接合する工程と、を含む。
【0019】
また、図2に示されるように、スペーサ層130は、さらに、スペーサ部分134中に、複数の空洞貫通孔Hを有し、接着材料140は空洞貫通孔H中に充填されていない場合がある。
【0020】
当然わかることであるが、本実施例では、外環部132の貫通孔T中に接着材料140を充填するので、接着材料140は、外環部132と半導体ウェハ110および/またはパッケージ基板120間の接着性を改善することができ、後続の加工工程(例えば、化学気相蒸着等の熱工程)中で、スペーサ層130、半導体ウェハ110およびパッケージ基板120から構成される積層構造が層間剥離現象(Delamination)をおこすのを防止して、ウェハダイス工程の信頼度を改善し、チップパッケージ工程の歩留まりを増大させる。
【0021】
その後、選択的に、スペーサ層130と接着材料140に対し、硬化工程を実行して、スペーサ層130と接着材料140とを同時または異なる時に硬化させる。この硬化工程は、例えば、加熱硬化工程、光硬化工程、またはその他の適当な硬化工程である。
【0022】
図1Bと図1Cからわかるように、次にスクライブラインSに沿って、半導体ウェハ110、パッケージ基板120とスペーサ層130をダイスして、互いに分離した複数のチップパッケージ100を形成する。チップパッケージ100は、(ダイス後の)半導体基板110a、(ダイス後の)パッケージ基板120aおよび(ダイス後の)スペーサ層130aを含み、半導体基板110aはデバイス領域112を有する。パッケージ基板120aは半導体基板110a上に設けられ、スペーサ層130aはパッケージ基板120aと半導体基板110aの間に設けられ、キャビティCが区画される。
【0023】
チップパッケージ100が感光素子または発光素子である時、パッケージ基板120の材料は、透明材料、例えば、ガラス、石英、プラスチック、または、オパール(Opal)を含むものでよい。
【0024】
図3Aおよび図3Bは、本発明の別の実施例によるチップパッケージの製造工程の断面図である。
当然わかることであるが、本実施例のチップパッケージの製造工程は、図1A〜図1Cの製造工程に類似し、両者の差異は、本実施形態では、貫通孔Tと接着材料140とが、さらにスペーサ部分134内にも設けられていることである。
【0025】
図5は、図3Aの平面図、図3Aは、図5中のI−I’線に沿った断面図であり、簡潔にするため、図5では、パッケージ基板を省略している。詳細には、図3Aを参照すると、貫通孔Tはスペーサ部分134内に位置する。例えば、図5に示されるように、半導体ウェハ110は、中心領域114と中心領域114を囲繞する周辺領域116を有し、貫通孔Tは、周辺領域116中のスペーサ部分134内で、且つ、スクライブラインS上に位置する。接着材料140は、周辺領域116中の貫通孔T中に充填されている。さらに、本実施形態では、スペーサ層130の空洞貫通孔Hは、分布於中心領域114内のスペーサ部分134内に位置する。
【0026】
本実施形態では、スペーサ部分134を貫通する接着材料140が周辺領域116中で中心領域114を取り囲むように配列されているので、周辺領域116中のスペーサ部分134の部分と半導体ウェハ110および/またはパッケージ基板120間の接着性が改善される。この接着性の改善により、後続の加工工程中に積層構造中で層間剥離現象がおきることが防止される。そのため、本実施形態中のスペーサ層130は、接着材料140を充填する外環部132を有していなくてもよい。
【0027】
図6は、図5の実施形態の変形例である。別の実施形態では、図6に示されるように、貫通孔Tは、スペーサ部分134全体中に設けられ(即ち、半導体ウェハ110の中心領域と周辺領域中に位置する)、接着材料140をこれらの貫通孔T中に充填し、この時、スペーサ部分134は空洞貫通孔を有さない。
【0028】
当然わかることであるが、本実施形態では、スペーサ部分134の貫通孔T中に、接着材料140を充填するので、接着材料140は、スペーサ部分134と半導体ウェハ110および/またはパッケージ基板120の間の接着性を増大させ、チップパッケージ工程の歩留まりを向上させる。
【0029】
図3Aと図3Bからわかるように、次にスクライブラインSに沿って、半導体ウェハ110、パッケージ基板120、スペーサ層130および貫通孔T中に位置する接着材料140をダイスして、互いに分離した複数のチップパッケージ300を形成する。
【0030】
図4は、図3Bのチップパッケージの斜視図である。簡潔にするため、図4では、パッケージ基板を省略している。図3Bと図4からわかるように、チップパッケージ300は、(ダイス後の)半導体基板110a、(ダイス後の)パッケージ基板120a、(ダイス後の)スペーサ層130aおよび互いに独立した複数の接着材料構造140aを含み、半導体基板110aはデバイス領域112を有する。
【0031】
パッケージ基板120aが半導体基板110a上に設置される。スペーサ層130aが半導体基板110aとパッケージ基板120aの間に設置され、キャビティCを区画し、キャビティCはデバイス領域112を露出させる。複数の接着構造140aはスペーサ層130a中に埋め込まれ、キャビティC外に位置し、スペーサ層130aの一部分がこれらの接着材料構造140aの間を隔てている。スペーサ層130aの材料は、接着構造140aの材料と異なる。
【0032】
注意すべきことは、ここで、『複数の接着構造140aがスペーサ層130a中に埋め込まれる』というのは、接着構造140aがスペーサ層130a中に位置し、且つ、スペーサ層130aが接着構造140aの一部表面を露出させることを意味するということである。例えば、スペーサ層130aは、キャビティCから離れた面に側壁138を有し、接着構造140aは側壁138上に埋め込まれる。詳細には、側壁138は、半導体基板110aからパッケージ基板120aに延伸する複数の凹部Rを有し、接着構造140aが凹部R中に充填されている。接着構造140aはスペーサ層130a中に埋め込まれるので、両者間の接着性はよい。
【0033】
本実施形態では、複数の接着構造140aは、キャビティCと反対側の面に側壁Fを有し、側壁Fと側壁138は面一である。本実施形態では、スペーサ層130aは、直接、半導体基板110aとパッケージ基板120aに接触し、かつ、各接着構造140aは、半導体基板110aからパッケージ基板120aにまで延設されている。
【0034】
図4では、複数の接着材料構造140aが凹部Rを完全に充填している状態を示しているが、その他の実施例では、複数の接着材料構造140aは凹部Rを部分的に充填している。例えば、複数の接着材料構造140aは、凹部Rの半導体基板110aに隣接する一端にだけ位置し、半導体基板110aとスペーサ層130aを連接する。また、その代わりに、複数の接着構造140aは、凹部Rのパッケージ基板120aに隣接する一端だけに位置し、パッケージ基板120aとスペーサ層130aを連接させることもできる。
【0035】
図7A〜図7Bは、本発明のまた別の実施例によるチップパッケージの製造工程の断面図である。
注意すべきことは、本実施例のチップパッケージの製造工程は、図3A〜図3Bの製造工程に類似し、両者の差異は、本実施形態のスペーサ層130は複数の内環構造136を有することである。
【0036】
図8は図7Aの平面図、図7Aは、図8中のI−I’線に沿った断面図である。簡潔にするため、図8はパッケージ基板を省略している。詳細には、図7Aと図8からわかるように、内環構造136はキャビティC中に位置するとともに、デバイス領域112を環繞し、且つ、貫通孔Tは内環構造13を貫通する。接着材料140は貫通孔Tを充填する。
【0037】
当然わかることであるが、図8は、周辺領域116中に設けられる内環構造136が、貫通孔Tにより貫通され、かつ、貫通孔T中に接着材料140が充填され、中心領域114中に位置する内環構造136が空洞貫通孔Hにより貫通されることを示している。もちろん、その他の実施形態では、すべての内環構造136が、接着材料140が充填されている貫通孔Tにより貫通されている。
【0038】
続いて、図7Aと図7Bからわかるように、スクライブラインSに沿って、半導体ウェハ110、パッケージ基板120、スペーサ層130および貫通孔T中に位置する接着材料140をダイスし、互いに分離した複数のチップパッケージ700が形成されている。
【0039】
本実施形態のチップパッケージ700は、図3Bのチップパッケージ300に類似し、両者の差異は、チップパッケージ700のスペーサ層130aがさらに内環構造136を有することである。内環構造136はキャビティC中に位置して、複数の貫通孔Tを有し、且つ、互いに独立した複数の接着材料構造140aが、それぞれ、貫通孔T中に充填される。
【0040】
図9A〜図9Bは、本発明のさらに別の実施形態によるチップパッケージの製造工程の断面図である。
注意すべきことは、本実施形態のチップパッケージの製造工程は、図3A〜図3Bの製造工程に類似し、両者の差異は、貫通孔Tの配列方式が異なることである。
【0041】
図11は図9Aの平面図、図9Aは、図11中のI−I’線に沿った断面図で、簡潔にするため、図11ではパッケージ基板を省略している。詳細には、図9Aと図11を同時に参照すると、各スクライブラインSに対して、複数の貫通孔Tが、互いに平行な二列の貫通孔Tとなって、スクライブラインSの両側に配置されている。その他の実施形態では、貫通孔Tは、さらに多くの偶数列の貫通孔T(例えば、4、6、8列)を含み、且つ、それぞれ、これら偶数列の貫通孔TはスクライブラインSの両側に配置されている。
【0042】
続いて、図9Aと図9Bからわかるように、スクライブラインSに沿って、半導体ウェハ110、パッケージ基板120と二列の貫通孔T間に位置するスペーサ層130の一部をダイスして、互いに分離した複数のチップパッケージ900が形成されている。
【0043】
図10は、図9Bのチップパッケージの斜視図で、簡潔にするため、図10では、パッケージ基板を省略している。図9Bと図10からわかるように、本実施形態のチップパッケージ900は、図3Bのチップパッケージ300に類似し、両者の差異は、チップパッケージ900のスペーサ層130bは複数の貫通孔Tを有し、且つ、接着材料構造140aは、それぞれ、貫通孔T中に充填されていることである。
【0044】
図12A〜図12Bは、本発明の実施形態によるチップパッケージの製造工程の断面図である。
当然わかることであるが、本実施例のチップパッケージの製造工程は、図9A〜図9Bの製造工程に類似し、両者の差異は、貫通孔Tの配列方式が異なることである。
【0045】
図14は図12の平面図、図12は、図14中のI−I’線に沿った断面図で、簡潔にするため、図14では、パッケージ基板を省略している。詳細には、図12と図14を同時に参照すると、各スクライブラインSにとって、複数の貫通孔Tは互いに平行な三列の貫通孔Tとなっており、且つ、この三列の貫通孔Tのうちの一列の貫通孔TがスクライブラインS上に位置し(以下で中間列と称する)、他の二列の貫通孔Tが、それぞれ、スクライブラインSの両側に配置されている。
【0046】
続いて、図12Aと図12Bとからわかるように、スクライブラインSに沿って、半導体ウェハ110、パッケージ基板120、二列の貫通孔Tの間に位置するスペーサ130の一部および貫通孔Tの中間列中の接着材料140をダイスして、互いに分離した複数のチップパッケージ1200が形成されている。
【0047】
図13は、図12Bのチップパッケージの斜視図で、簡潔にするため、図13では、パッケージ基板を省略している。図12Bと図13からわかるように、本実施形態のチップパッケージ1200は、図3Bのチップパッケージ300と図9Bのチップパッケージ900に類似し、その差異は、チップパッケージ1200のスペーサ層130cが、図3Bのチップパッケージ300の凹部Rと図9Bのチップパッケージ900の貫通孔Tを同時に有し、且つ、接着材料構造140aが、それぞれ、貫通孔Tと凹部R中に充填されることである。
【0048】
図15〜16は、本発明の実施例によるチップパッケージの製造工程の断面図で、簡潔にするため、図16では、パッケージ基板を省略している。当然わかることであるが、本実施形態のチップパッケージの製造工程は、図12A〜図12Bと図14の製造工程に類似していることで、図15に示されるように、両者の差異は、本実施例では、スペーサ層130を貫通する連続トレンチAにより、スクライブラインS上に位置する複数の貫通孔Tを代替していることである(図14を参照)。詳細には、本実施例では、各スクライブラインSにとって、貫通孔Tは、選択的に、互いに平行な二列の貫通孔Tを含み、且つ、トレンチA(またはスクライブラインS)は、この互いに平行な二列の貫通孔Tの間を隔てている。
【0049】
このほか、本実施形態では、選択的に、スペーサ層130の外環部132上に、環状の外環トレンチBを形成し、外環トレンチBは外環部132を貫通する。一実施形態では、貫通孔Tは、さらに選択的に、外環部132内に位置する二列の貫通孔Tを含んでもよく、且つ、この二列の貫通孔Tは、それぞれ、外環トレンチBの両側に位置する。
【0050】
当然わかることであるが、本実施形態は、二列の貫通孔Tを一例として記載しているが、貫通孔TとトレンチA(或は外環トレンチB)の相対的な位置はこれに限定されるものではない。すなわち、その他の実施形態では、必要に応じて、貫通孔TとトレンチA(または外環トレンチB)の相対位置を調整する。
【0051】
半導体ウェハ110上にスペーサ層130を形成後、接着材料140をトレンチA、外環トレンチBおよび貫通孔T中に充填する。その後、スクライブラインSに沿って、半導体ウェハ110、パッケージ基板、およびトレンチA中に位置する接着材料140をダイスし、互いに分離した複数のチップパッケージ1600(図16に示される)を形成する。
【0052】
図16を参照すると、チップパッケージ1600は、図13のチップパッケージに類似し、その差異は、チップパッケージ1600のスペーサ層130dが凹部を有さず、連続した環状接着材料構造140bがスペーサ層130dの側壁を囲みかつ被覆し、キャビティC外に配置されている。このほか、接着材料構造140aのすべてが、それぞれ、貫通孔T中に充填される。
【0053】
図17〜18は、本発明の実施形態によるチップパッケージの製造工程の概略図で、簡潔にするため、図18では、パッケージ基板を省略している。当然わかることであるが、本実施形態のチップパッケージの製造工程は、図12A〜図12Bと図14の製造工程に類似し、両者の差異は、本実施形態は、スペーサ層130を貫通する複数の環状トレンチDにより、スクライブラインS外に位置する複数の貫通孔Tを代替していることである(図14を参照する)。詳細には、図17を参照すると、各環状トレンチDは、対応するキャビティC(またはデバイス領域112)を囲繞し、貫通孔Tは二個の隣接する環状トレンチDの間に位置する。
【0054】
当然わかることであるが、本実施形態は、二個の隣接する環状トレンチDの間に複数の貫通孔Tがあるものを例として説明しているが、貫通孔Tと環状トレンチDの相対的な位置を限定するものではない。つまり、その他の実施形態では、必要に応じて、貫通孔Tと環状トレンチDの相対的な位置を調整する。
【0055】
半導体ウェハ110上にスペーサ層130を形成後、接着材料140を環状トレンチDと貫通孔T中に充填する。その後、スクライブラインSに沿って、半導体ウェハ110、パッケージ基板、二個の隣接する環状トレンチDの間のスペーサ層130の一部および貫通孔T中に位置する接着材料140をダイスして、互いに分離した複数のチップパッケージ1800を形成する(図18に示される)。
【0056】
図18を参照すると、チップパッケージ1800は、図13のチップパッケージに類似し、その差異は、チップパッケージ1800のスペーサ層130eが連続した環状トレンチDを有し、貫通孔Tを有さないことである。環状トレンチDはスペーサ層130eを貫通し、且つ、キャビティC(またはデバイス領域)を環繞し、且つ、連続した環状接着材料構造140cが環状トレンチD中に充填される。さらに、接着材料構造140aは、それぞれ、凹部R中に充填される。
【0057】
上述のように、本発明は、接着材料が、半導体ウェハの外縁に隣接するスペーサ層を貫通するので、スペーサ層と半導体ウェハおよび/またはパッケージ基板の外縁間の接着性を効果的に改善し、後続の加工工程(例えば、熱工程)中で、積層構造が層間剥離現象を生じるのを防止し、チップパッケージ工程の製造工程の歩留まりを向上させる。
【0058】
このほか、本発明は、接着材料をスペーサ層のスペーサ部分に貫通させて、スペーサ部分と半導体ウェハおよび/またはパッケージ基板の間の接着性を改善し、チップパッケージ工程の歩留まりを増大させることができる。
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0059】
100、300、700、900、1200、1600、1800 チップパッケージ
110 半導体ウェハ
110a (ダイス後の)半導体基板
112 デバイス領域
114 中心領域
116 周辺領域
120 パッケージ基板
120a (ダイス後の)パッケージ基板
130 スペーサ層
130a、130b、130c、130d、130e (ダイス後の)スペーサ層
132 外環部
134 スペーサ部分
136 内環構造
138 側壁
140 接着材料
140a 接着材料構造
140b、140c 環状接着材料構造
A トレンチ
B 外環トレンチ
C キャビティ
D 環状トレンチ
H 空洞貫通孔
P 外縁
R 凹部
S スクライブライン
T 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップパッケージであって、
デバイス領域を有する半導体基板と、
前記半導体基板上に設置されるパッケージ基板と、
前記半導体基板と前記パッケージ基板の間に設置され、かつ、前記デバイス領域を露出させるキャビティを区画するスペーサ層と、
前記スペーサ層中に埋め込まれるとともに、前記キャビティ外に位置する互いに独立した複数の接着材料構造と、を含み、
前記スペーサ層の材料は前記複数の接着材料構造の材料と異なることを特徴とするチップパッケージ。
【請求項2】
前記スペーサ層は、前記キャビティから離れた面に側壁を有し、前記側壁は、前記半導体基板から前記パッケージ基板にまで延伸する複数の凹部を有し、かつ、前記複数の接着材料構造は、それぞれ、前記複数の凹部中を充填することを特徴とする請求項1に記載のチップパッケージ。
【請求項3】
前記複数の接着材料構造のそれぞれは、前記キャビティから離れた面に第二側壁を有し、前記第二側壁は前記スペーサ層の前記側壁と同一面となっていることを特徴とする請求項2に記載のチップパッケージ。
【請求項4】
前記スペーサ層は複数の貫通孔を有し、前記複数の接着材料構造のそれぞれは、前記複数の貫通孔を充填することを特徴とする請求項1に記載のチップパッケージ。
【請求項5】
前記スペーサ層は、さらに、前記キャビティ中に内環構造を有し、前記内環構造は複数の貫通孔を有し、
前記チップパッケージは、さらに、それぞれ、前記貫通孔中に充填される互いに独立した複数の第二接着材料構造を有し、前記スペーサ層の材料は、前記第二接着材料構造の材料と異なることを特徴とする請求項1に記載のチップパッケージ。
【請求項6】
前記スペーサ層は、前記半導体基板と前記パッケージ基板とに物理的に接触しており、前記接着材料構造のそれぞれは、前記半導体基板から前記パッケージ基板にまで延出していることを特徴とする請求項1に記載のチップパッケージ。
【請求項7】
さらに、前記スペーサ層の前記側壁を囲みかつ被覆し、かつ、前記キャビティ外に位置する連続した環状接着材料構造を含むことを特徴とする請求項1に記載のチップパッケージ。
【請求項8】
前記スペーサ層は、前記スペーサ層を貫通し、かつ、前記キャビティを環繞する環状トレンチを有し、
前記チップパッケージは、さらに、前記環状トレンチ中に充填される連続した環状接着材料構造を含むことを特徴とする請求項1に記載のチップパッケージ。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−222366(P2012−222366A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−92264(P2012−92264)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【出願人】(509144683)精材科技股▲ふん▼有限公司 (7)
【Fターム(参考)】