説明

チップ乾燥装置

【課題】植物性のチップを効果的に乾燥できる小型のチップ乾燥装置を提供すること。
【解決手段】チップ乾燥装置1は、正面視において矩形かつ側面視において縦長の五角形のケーシング2内に、対向する2つの内側面21a,21aが互いに逆方向に傾斜した末広がりの略箱状に形成された収容乾燥室21と、搬送前室23を有する。収容乾燥室21内に、この収容乾燥室21に加熱気体を供給する給気体3が配置されている。給気体3は、収容乾燥室21内を幅方向に横断して配置され、収容乾燥室21の2つの内側面21a,21aと略平行の2つの網体31,31が表面に設けられている。給気体3の網体31,31は、互いに逆方向に傾斜しており、横断面において末広がりに配置されている。ケーシング2の側面には接続された加熱配管を通して、加熱気体が給気体3内に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば燃料に用いられる植物性のチップを乾燥させるチップ乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、大気中の二酸化炭素濃度の上昇や、化石燃料の価格上昇等の問題に対応するため、植物性バイオマス燃料が注目されている。
【0003】
植物性バイオマス燃料は、燃焼により発生する二酸化炭素の量が、材料である植物が成長過程で吸収した二酸化炭素の量と実質的に同じと考えられるため、カーボンニュートラルであるとされている。このため、二酸化炭素の排出量規制に有効に対応でき、また、排出量取引において有利となる。
【0004】
植物性バイオマス燃料としては、従来は産業廃棄物として廃棄されている建築廃材や間伐材等を材料とする木質チップが、製造価格が比較的低廉な点で注目されている。木質チップは、間伐材等の生材が材料である場合、含水率が50%前後と比較的高いため、燃料として使用する前に、含水率を10%程度に低減させる必要がある。従来、木質チップの乾燥処理を行う装置として、ロータリーキルンを用いたものがある。この種のロータリーキルンとしては、一端から木質チップが投入され、投入された木質チップを回転動作によって攪拌しながら他端に送る回転炉と、油を燃料として回転炉中に火炎を放射するバーナを備えたものがある(例えば、特許文献1;特開2002−088373号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−088373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、木質チップの乾燥にロータリーキルンを用いると、ロータリーキルンは回転動作により木質チップの攪拌と送り動作をする回転炉を有して大型であり、乾燥装置が大型化するという問題がある。乾燥装置が大型であると、木質チップを燃料とするボイラと組み合わせてボイラ装置を構成した場合、ボイラ装置が大型化するという問題がある。
【0007】
また、ロータリーキルンは、バーナの火炎を熱源とするので回転炉内が高温となりやすく、木質チップを含水量に応じた適切な乾燥度合いに調整することが困難であるという問題がある。特に、建築廃材を材料とする低含水量の木質チップを乾燥する場合、回転炉内が高温であるため炭化しやすく、木質チップの乾燥には不向きである。
【0008】
また、木質チップの乾燥にロータリーキルンを用いると、ロータリーキルンは材料の乾燥用の熱源にバーナを用いるので、植物性バイオマス燃料を製造するために化石燃料を使用することとなり、植物性バイオマス燃料のカーボンニュートラルとしての効果が減殺される問題がある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、植物性のチップを効果的に乾燥できる小型のチップ乾燥装置を提供することにある。また、チップの含水量に応じて乾燥度合いを適切に調整できるチップ乾燥装置を提供することにある。また、製造過程において二酸化炭素の排出を防止でき、カーボンニュートラルとしての効果を減殺することなく植物性のチップ燃料を製造できるチップ乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明のチップ乾燥装置は、下部の断面積が上部の断面積よりも大きく形成された収容乾燥室と、
収容乾燥室の上部に設けられたチップ投入口と、
収容乾燥室内に配置され、上部の断面積が下部の断面積よりも小さく形成され、下部で内側に供給された加熱気体を、上方に導くと共に、表面に設けられた吹出口から収容乾燥室内に吹き出す加熱気体分配部と、
収容乾燥室からチップを排出する排出部と、
排出部によって排出されたチップを搬送する搬送部と
を備えることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、植物性のチップが、チップ投入口から収容乾燥室内に投入される。収容乾燥室内に投入されたチップは、加熱気体分配部の表面の吹出口から吹き出される加熱気体によって乾燥する。乾燥したチップは、排出部によって収容乾燥室から排出され、排出されたチップが搬送部によって例えばボイラ等に搬送されて、ボイラ等の燃料として利用される。
【0012】
このチップ乾燥装置は、収容乾燥室に上部の投入口から投入されたチップを、収容乾燥室の下部の排出部から排出するまでの間に、加熱気体分配部から吹き出した加熱気体で乾燥させるので、ロータリーキルンのように、バーナの火炎が内部に放射される状態でチップを攪拌しながら送り動作をする回転炉を備えるよりも、小型化を行うことができる。したがって、このチップ乾燥装置を、チップを燃料とする例えばボイラと組み合わせてボイラ装置を構成する場合、ボイラ装置を効果的に小型化できる。
【0013】
また、このチップ乾燥装置は、収容乾燥室内のチップを加熱気体分配部から吹き出した加熱気体で乾燥させるので、乾燥能力を、排出部によるチップの排出速度や、加熱気体分配部からの加熱気体の温度や流量を調節することによって容易に調節できる。したがって、チップの含水量にあわせて乾燥能力を容易に調節できるので、例えば含水量の少ない建築廃材や、含水量の多い間伐材等の異なる含水量の材料から形成された植物性バイオマスチップを、安定して所定の含水量に乾燥させることができる。
【0014】
また、このチップ乾燥装置は、収容乾燥室が、下部の断面積が上部の断面積よりも大きく形成されているので、内部のチップを円滑に下方に移動させることができ、チップの詰まりやブリッジが生じることを効果的に防止できる。特に、植物性のチップが木質チップである場合、形状が角の多い不定形であり、ブリッジが比較的生じ易いにもかかわらず、上記収容乾燥室によってブリッジの発生が防止されるので、円滑にチップの乾燥と排出を行うことができる。
【0015】
一実施形態のチップ乾燥装置は、上記収容乾燥室は、対向する2つの内側面が互いに逆方向に傾斜した末広がりの略箱状に形成され、
上記加熱気体分配部は、上記収容乾燥室の上記2つの内側面と概ね平行に配置され、互いに逆方向に傾斜した2つの網体を表面に有し、
上記排出部は、上記加熱気体分配部の2つの網体の下端縁の近傍に夫々配置され、これら網体の下端縁と平行の回転軸周りに回転駆動される2つの回転羽根で形成され、
上記搬送部は、上記排出部の2つの回転羽根の間の下方に回転羽根と略平行に配置されたスクリューコンベヤを有する。
【0016】
上記実施形態によれば、収容乾燥室が、対向する2つの内側面が互いに逆方向に傾斜した末広がりの略箱状に形成され、この収容乾燥室内の加熱気体分配部が、上記収容乾燥室の上記2つの内側面と概ね平行に配置され、互いに逆方向に傾斜した2つの網体を表面に有するので、薄型でありながら、詰まりやブリッジを防止しつつチップを乾燥できるチップ乾燥装置が得られる。
【0017】
また、2つの回転羽根を、加熱気体分配部の互いに逆方向に傾斜した2つの網体の下端縁の近傍に夫々配置することにより、収容乾燥室の下側の奥行きが比較的広いスペースを有効利用して、全体の奥行きを拡大することなく排出部を配置することができる。したがって、薄型でありながら、チップの排出量を排出部で効果的に調節でき、すなわち、チップの収容乾燥室内の滞在時間を効果的に調節できて、チップの乾燥度合いを柔軟に調節できるチップ乾燥装置が得られる。
【0018】
一実施形態のチップ乾燥装置は、上記加熱気体分配部は、網体の間に加熱気体を供給する給気部と、給気部から供給された加熱気体を網体の幅方向に分配する整流板とを備える。
【0019】
上記実施形態によれば、加熱気体分配部が、給気部によって網体の間に供給した加熱気体を、整流版によって網体の幅方向に分配するので、網体から幅方向に均一に加熱気体を収容乾燥室に吹き出すことができ、したがって、薄型でありながら、収容乾燥室内のチップを偏り無く乾燥させることができる。
【0020】
一実施形態のチップ乾燥装置は、上記搬送部のスクリューコンベヤは、スクリューが、チップの搬出方向に進むほどピッチが大きい不等ピッチに形成されている。
【0021】
上記実施形態によれば、収容乾燥室の幅方向に対応するスクリューコンベヤの延在方向において、チップの搬出方向に進むほどスクリューのピッチが大きく形成されているので、このスクリューは、チップを搬送するに従ってチップの搬送量を増大することができ、したがって、収容乾燥室から排出部によって排出されるチップを幅方向において均一に搬送することができる。その結果、全体の幅方向が奥行き方向よりも長く形成された薄型でありながら、幅広の収容乾燥室から幅方向において均一にチップを排出することができ、したがって、収容乾燥室のチップを偏りなく乾燥させることができる。
【0022】
一実施形態のチップ乾燥装置は、上記収容乾燥室は円錐台形状に形成され、
上記加熱気体分配部は、上記円錐台形状の収容乾燥室と同軸に配置された円錐台側面形状の網体を表面に有し、
上記排出部は、上記円錐台形状の収容乾燥室の底部に放射状に配置されて、この収容乾燥室の円形の底面の中心軸周りに回転駆動される回転羽根で形成され、
上記搬送部は、上記排出部の回転羽根の下方に配置され、平面視において上記回転羽根の先端が描く円弧の接線方向に延びるスクリューコンベヤを有する。
【0023】
上記実施形態によれば、収容乾燥室が円錐台形状に形成され、この収容乾燥室内の加熱気体分配部が、上記円錐台形状の収容乾燥室と同軸に配置された円錐台側面形状の網体を表面に有するので、縦長で小型でありながら、詰まりやブリッジを防止しつつチップを乾燥できるチップ乾燥装置が得られる。
【0024】
また、回転羽根を、円錐台形状の収容乾燥室の底部に放射状に配置することにより、収容乾燥室の円形を有する底部の比較的広いスペースを有効利用して、全体の径を拡大することなく排出部を配置することができる。したがって、縦長で小型でありながら、チップの排出量を排出部で効果的に調節でき、すなわち、チップの収容乾燥室内の滞在時間を効果的に調節できて、チップの乾燥度合いを柔軟に調節できるチップ乾燥装置が得られる。
【0025】
また、搬送部が、排出部の回転羽根の下方に配置され、平面視において上記回転羽根の先端が描く円弧の接線方向に延びるスクリューコンベヤを有するので、全体の径を拡大することなく、搬送部を配置することができる。
【0026】
一実施形態のチップ乾燥装置は、上記収容乾燥室の底部に円盤部材を備え、
上記円盤部材の表面に上記加熱気体分配部と回転羽根とが固定されており、
上記円盤部材が回転駆動されるに伴い、上記加熱気体分配部と回転羽根とが同心軸周りに回転するように形成されている。
【0027】
上記実施形態によれば、円盤部材を回転駆動することにより、加熱気体分配部と回転羽根とを回転駆動して、加熱気体分配部からチップに偏りなく加熱気体を供給してチップを偏りなく乾燥させることができると共に、回転羽根でチップを周方向に偏りなくスクリューコンベヤに向けて排出することができる。
【0028】
一実施形態のチップ乾燥装置は、上記排出部から排出されたチップを、搬送部によって搬送される前に一旦貯留する搬送前室と、
上記搬送前室内のチップの量を検出するチップ量センサと、
上記チップ量センサの検出信号に基づいて排出部の動作を制御する排出制御部と
を備える。
【0029】
上記実施形態によれば、収容乾燥室から排出部によって排出されたチップが、搬送前室に一旦貯留され、この搬送前室に貯留されたチップが搬送部によって搬送される。チップ量センサで検出された搬送前室内のチップの量に基づいて、排出制御部によって排出部の動作が制御される。例えば、搬送前室内のチップの量が少ない場合は、排出部による搬送前室へのチップの排出量が増大するように制御される。一方、搬送前室内のチップの量が多い場合は、排出部による搬送前室へのチップの排出量が減少または停止するように制御される。これにより、搬送前室のチップの貯留量が安定するので、搬送部によるチップの搬送量を安定にできる。したがって、搬送部から、例えばボイラのバーナへ燃料としてチップを搬送する場合、バーナへ燃料を安定して定量供給できる。
【0030】
一実施形態のチップ乾燥装置は、上記収容乾燥室内のチップの含水量を検出する水分センサと、
上記水分センサの検出信号に基づいて排出部の動作を制御する乾燥制御部と
を備える。
【0031】
上記実施形態によれば、水分センサにより収容乾燥室内のチップの含水量が検出され、この水分センサの検出信号に基づいて乾燥制御部で排出部の動作が制御される。例えば、収容乾燥室内のチップの含水量が少ない場合は、排出部による排出量が増大するように制御される。一方、搬送前室内のチップの含水量が多い場合は、排出部によるチップの排出量が減少または停止するように制御される。このように、チップの含水量に応じて収容乾燥室内におけるチップの滞在時間を適切に調節することができるので、チップに加熱気体を晒す時間を適切に調節できる。その結果、異なる含水量のチップが収容乾燥室に投入されても、チップの含水量に応じて柔軟に乾燥能力を調節でき、チップ安定して所定の含水量に乾燥させることができる。
【0032】
一実施形態のチップ乾燥装置は、上記加熱気体は、搬送部から搬送されたチップを燃料とするバーナの燃焼ガスである。
【0033】
上記実施形態によれば、このチップ乾燥装置で乾燥したチップを燃料とするバーナの燃焼ガスを用いてチップを乾燥させるので、化石燃料で生成された熱を用いてチップを乾燥させる場合と比較して、植物性バイオマス燃料のカーボンニュートラルとしての効果を減殺することがなく、したがって、このチップ乾燥装置で乾燥されたチップは、二酸化炭素排出量を実質的に零にできる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、上部にチップ投入口を有する収容乾燥室内に加熱気体分配部が配置され、上記収容乾燥室の下部の断面積が上部の断面積よりも大きく形成され、上記加熱気体分配部の上部の断面積が下部の断面積よりも小さく形成され、かつ、上記加熱気体分配部が、下部で内側に供給された加熱気体を、上方に導くと共に、表面に設けられた吹出口から収容乾燥室内に吹き出すので、小型のチップ乾燥装置が得られる。また、収容乾燥室からチップを排出する排出部の排出速度や、加熱気体分配部からの加熱気体の温度又は流量を調節することによって、乾燥能力を容易に調節できるので、チップの含水量に応じて乾燥能力を調節することにより、チップを安定して所定の含水量に乾燥させることができる。さらに、収容乾燥室が、下部の断面積が上部の断面積よりも大きく形成されているので、内部のチップを円滑に下方に移動させることができ、チップの詰まりやブリッジが生じることを効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1実施形態のチップ乾燥装置を示す縦断面図である。
【図2】第1実施形態のチップ乾燥装置の横断面図である。
【図3】第2実施形態のチップ乾燥装置を示す縦断面図である。
【図4】第2実施形態のチップ乾燥装置の平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明のチップ乾燥装置の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0037】
図1は、本発明の第1実施形態のチップ乾燥装置を示す縦断面図であり、図2は、このチップ乾燥装置の横断面図である。
【0038】
第1実施形態のチップ乾燥装置は、植物性チップとしての木質チップを乾燥するものである。このチップ乾燥装置は、乾燥した木質チップを燃料とするボイラと組み合わされて、このボイラに近接する位置に設置される。
【0039】
このチップ乾燥装置1は、正面視において矩形かつ側面視において縦長の五角形のケーシング2内に、収容乾燥室21と、搬送前室23を有する。ケーシング2の上端には、収容乾燥室21に連通するチップ投入口2aが設けられている。
【0040】
収容乾燥室21は、ケーシング2内の上側の過半に形成されており、対向する2つの内側面21a,21aが互いに逆方向に傾斜した末広がりの略箱状に形成されている。これにより、下部の断面積が上部の断面積よりも大きく形成されている。チップ投入口2aには、チップTを収容乾燥室21に供給するチップ供給管22の先端部が挿入されている。
【0041】
収容乾燥室21内には、この収容乾燥室21に加熱気体を供給する加熱気体分配部としての給気体3が配置されている。給気体3は、収容乾燥室21内を幅方向に横断して配置され、収容乾燥室21の2つの内側面21a,21aと略平行の2つの網体31,31が表面に設けられている。給気体3の網体31,31は、互いに逆方向に傾斜しており、横断面において末広がりに配置されている。2つの網体31,31の上端は、ケーシング2の投入口2aに挿入されたチップ供給管22の先端部の下方に位置し、緩やかに傾斜した切妻型の上端網体32で互いに接続されている。切妻型の上端網体32により、チップ供給管22の先端から吐出されたチップTが、2つの網体31の両側に分配されるようになっている。上端網体32と2つの網体31,31の内側に、加熱気体の通路が形成されている。
【0042】
ケーシング2の側面には加熱配管4が接続されており、この加熱配管4を通して加熱気体が給気体3内に供給されるように形成されている。加熱配管4のケーシング2との接続部の内側には、複数のダンパ5,5,・・・が設けられている。ダンパ5の配設位置から給気体3の内側に向かって、複数の整流板6,6,・・・が設けられている。ダンパ5の開閉により、各整流板6,6,・・・の間に流れる加熱気体の流量を調節するように形成されている。整流板6,6,・・・は、ダンパ5の配設位置から水平方向に延在して給気体3の内部に達する水平部6a,6a,・・・と、この水平部6a,6a,・・・に対して屈曲して鉛直上方に延在する鉛直部6b,6b,・・・を有する。整流板6,6,・・・の鉛直部6b,6b,・・・は、給気体3内の幅方向に等間隔に配置されており、これにより、加熱配管4からの加熱気体を給気体3の幅方向に均一に分配するように形成されている。
【0043】
給気体3の2つの網体31,31の下方には、網体31の下端縁に沿って延在する2つの排出部としての円筒状の回転羽根7,7が配置されている。回転羽根7は、網体31の下端縁と、収容乾燥室21の底面を定義する区画板24との間の隙間に配置されている。回転羽根7は、矢印A,Aで示すように、収容乾燥室21の内側に向かって互いに逆方向に回転駆動され、これにより、収容乾燥室21内のチップTを網体31の下端縁と回転羽根7との間から搬送前室23へ排出するように形成されている。
【0044】
搬送前室23は、横断面において概ね逆三角形状を有し、下端の頂点部分に、回転羽根7と平行に延在するスクリューコンベヤ8が形成されている。搬送前室23は、正面視において収容乾燥室21と同じ幅を有して収容乾燥室21の下方に配置されている。スクリューコンベヤ8は、搬送前室23の全幅にわたって延在すると共に、搬送前室23の幅方向の一端から延在方向に突出している。スクリューコンベヤ8の突出部の下側面に、チップの排出口81が設けられている。スクリューコンベヤ8は、図示しないモータから回転力を受ける回転軸82と、この回転軸82の周りに固定された螺旋羽根83を有する。螺旋羽根83は、チップTの搬送方向に向かってピッチが拡大する不等ピッチに形成されている。これにより、排出口81に近づくにつれて、より多くのチップTを搬送して、搬送前室23の幅方向において均一にチップTを搬送するように形成されている。
【0045】
スクリューコンベヤ8の排出口81は、図示しないボイラの燃料コンベヤに接続されており、排出口81から排出されたチップTを、燃料コンベヤを通してボイラのバーナに供給するように形成されている。このボイラのバーナの燃焼ガスの一部が、図示しないガス配管を通して、矢印Gで示すように加熱配管4に供給されるように形成されている。このように、チップ乾燥装置1は、チップTを乾燥して燃料としてボイラへ供給すると共に、ボイラでチップTを燃焼して得た燃焼ガスの一部を加熱気体として利用するようになっている。
【0046】
収容乾燥室21から搬送前室23へチップTを排出する排出部としての回転羽根7,7は、図示しない制御部によって動作が制御される。制御部は、収容乾燥室21に設置された水分センサS1からの検出信号と、搬送前室23に設置されたチップ量センサS2からの検出信号に基づいて回転羽根7,7の動作を制御するように形成されており、排出制御部及び乾燥制御部として機能する。また、制御部は、チップ量センサS2からの検出信号に基づいてスクリューコンベヤ8の動作を制御するように形成されている。
【0047】
水分センサS1は、収容乾燥室21の内壁面に設けられており、近赤外光を出射すると共に反射光を受け、水分による近赤外光の所定波長の吸収を検出することにより水分量を測定する光学式の水分センサである。この水分センサS1により、収容乾燥室21内に収容されたチップTの含水量を検出するようになっている。なお、水分センサS1は、近赤外光を利用するもの以外に、チップTの誘電率を測定するものや、チップTの電気伝導度を測定するものであってもよい。
【0048】
チップ量センサS2は、搬送前室23の内壁面の上部に設けられた赤外線出射部と、この赤外線出射部が設けられた内壁面と対向する内壁面に設けられた赤外線受光部を有する。搬送前室23内に貯留されるチップTの量が、赤外線出射部の高さを越え、赤外線受光部の受光量が減少することにより、搬送前室23に所定量のチップTが存在するか否かを検出するように形成されている。なお、チップ量センサ2は、複数の赤外線をチップ表面に出射してなる反射光の位相差を検出し、チップ表面の高さを測定するものであってもよい。また、赤外線以外に、超音波を利用してチップ量を測定するものであってもよい。
【0049】
第1実施形態のチップ乾燥装置1は、以下のように動作する。
【0050】
まず、チップ供給管22により収容乾燥室21にチップTが供給されると共に、ダンパ5,5,・・・が開いて、ボイラから加熱気体としての燃焼ガスが加熱配管4に供給される。
【0051】
チップ供給管22から吐出されたチップTは、給気体3の上端網体32で2つの網体31の両側に分配され、給気体3の網体31と収容乾燥室21の内側面21a,21aの間に収容される。
【0052】
加熱配管4に供給された加熱気体は、整流板6,6,・・・によって整流され、給気体3内に幅方向に均一に分配される。給気体3内の加熱気体が、網体31,31を通して給気体3の両側のチップTに流れ、チップTが加熱されて水分が蒸発する。チップTを加熱した加熱気体は、チップTから蒸発した水分を含んで、チップ投入口2aから外部へ排出される。
【0053】
チップTが乾燥し、水分センサS1によってチップTの含水量が所定の基準値を下回ったことが検出されると、制御部の制御により回転羽根7,7が起動され、収容乾燥室21のチップが搬送前室23に排出される。チップ量センサS2によって搬送前室23内のチップTの量が所定量を超えたことが検出されると、制御部の制御によりスクリューコンベヤ8が起動され、チップTが搬送前室23内から搬送されて、排出口81から図示しないボイラの燃料コンベヤへチップTが受け渡される。
【0054】
収容乾燥室21内のチップTが排出され、チップ供給管22から新たにチップTが吐出され、チップTの含水量が基準値を超えると、制御部の制御により回転羽根7,7の回転速度が低減又は停止される。これにより、収容乾燥室21内の滞在時間が長くなり、或いは、チップTが収容乾燥室21内に滞留し、加熱気体により十分に加熱されて乾燥が促進される。チップTが乾燥し、水分センサS1によって含水量が所定の基準値を下回ったことが検出されると、制御部の制御により回転羽根7,7の回転速度が増大され、又は停止していた回転羽根7,7が起動され、チップTが収容乾燥室21から搬送前室23に排出される。このように、制御部により、収容乾燥室21内のチップTの含水量に応じて回転羽根7,7の動作が制御される。したがって、例えば含水量の少ない建築廃材から形成されたチップや、含水量の多い間伐材から形成されたチップのように、異なる含水量のチップTが供給されても、チップTの含水量に応じて乾燥時間を調節でき、安定して所定の含水量のチップを得ることができる。
【0055】
スクリューコンベヤ8の動作中に、チップ量センサS2によって搬送前室23内のチップの量が所定量を下回ったことが検出されると、制御部の制御により回転羽根7,7の回転速度が増大される。また、回転羽根7,7が停止していた場合は、制御部の制御により回転羽根7,7が起動される。これにより、収容乾燥室21から搬送前室23へのチップTの排出量が増大し、搬送前室23内のチップTの量が増大し、搬送前室23のチップTの貯留量が安定する。したがって、スクリューコンベヤ8によるチップTの搬送量を安定にでき、ボイラのバーナへ燃料を安定供給できる。
【0056】
本実施形態のチップ乾燥装置1は、収容乾燥室21に投入口2aからチップ供給管22を通して投入されたチップを、収容乾燥室21から回転羽根7,7で排出するまでの間に、給気体3から吹き出した加熱気体で乾燥させるので、回転炉を備えたロータリーキルンよりも小型化を行うことができる。したがって、このチップ乾燥装置1は、チップTを燃料とするボイラと組み合わせてボイラ装置を構成しても、ボイラ装置を効果的に小型化できる。
【0057】
また、このチップ乾燥装置1は、収容乾燥室21内のチップTを給気体3から吹き出した加熱気体で乾燥させるので、収容乾燥室21へのチップTの滞在時間を調整することにより、チップTの乾燥能力を容易に調節できる。したがって、チップTの含水量にあわせて乾燥能力を容易に調節できるので、含水量の少ない建築廃材や、含水量の多い間伐材等の異なる含水量の材料を用いて、所定の含水量の植物性バイオマスチップを安定して容易に製造することができる。なお、給気体3からの加熱気体の温度や流量を調節することにより、チップ乾燥装置1の乾燥能力を調節してもよい。
【0058】
また、このチップ乾燥装置1は、収容乾燥室21が、下部の断面積が上部の断面積よりも大きく形成されているので、内部のチップTを円滑に下方に移動させることができる。したがって、木質チップは形状が角の多い不定形であり、ブリッジが比較的生じ易いにもかかわらず、収容乾燥室21によってブリッジの発生を防止できるので、円滑にチップTの乾燥と排出を行うことができる。
【0059】
また、このチップ乾燥装置1は、収容乾燥室21が、対向する2つの内側面21a,21aが互いに逆方向に傾斜した末広がりの略箱状に形成され、この収容乾燥室21内の給気体3の2つの網体31,31が、上記収容乾燥室21の2つの内側面21a,21aと概ね平行に配置され、互いに逆方向に傾斜しているので、薄型でありながら、詰まりやブリッジを防止しつつチップTを乾燥できる。
【0060】
また、2つの回転羽根7,7を、給気体3の互いに逆方向に傾斜した2つの網体31,31の下端縁の近傍に夫々配置したので、収容乾燥室21の下側の奥行きが比較的広いスペースを有効利用して、全体の奥行きを拡大することなく回転羽根7,7を配置することができる。したがって、このチップ乾燥装置1は、薄型でありながら、チップTの排出量を回転羽根7,7で効果的に調節でき、すなわち、チップTの収容乾燥室21内の滞在時間を効果的に調節できて、チップTの乾燥度合いを柔軟に調節できる。
【0061】
図3は、本発明の第2実施形態のチップ乾燥装置を示す縦断面図であり、図4は、このチップ乾燥装置の平断面図である。
【0062】
このチップ乾燥装置101は、略円錐台形のケーシング102内に収容乾燥室121を有し、ケーシング102の上端に、収容乾燥室121に連通するチップ投入口102aが設けられている。
【0063】
収容乾燥室121は、ケーシング102内の上側の過半に形成されており、内側面121aが逆円錐台の側面形状に形成されている。これにより、下部の断面積が上部の断面積よりも大きく形成されている。チップ投入口102aには、チップTを収容乾燥室121に供給するチップ供給管122の先端部が挿入されている。
【0064】
収容乾燥室121内には、加熱気体分配部としての給気塔103が配置されている。給気塔103は、ケーシング102と同軸の略円錐台形状を有し、側部網体131と、側部網体131の上端に連なる上端網体132を有する。側部網体131は、円錐台の側面形状を有し、これにより、給気塔103は下部の断面積が上部の断面積よりも大きく形成されている。上端網体132は、側部網体131よりも傾斜が緩やかな円錐の側面形状を有している。円錐の側面形状の上端網体132により、チップ供給管122の先端から吐出されたチップTが、側部網体131の周りに均一に分配されるようになっている。上端網体132と側部網体131の内側に、加熱気体の通路が形成されている。
【0065】
収容乾燥室121の底部には、収容乾燥室121の底面よりも径が多少小さい円盤部材110を有し、この円盤部材110の上側面に給気塔103が同軸に固定されている。円盤部材110の上側面には、排出部としての回転羽根107が放射状に配置されている。
【0066】
ケーシング102の下端には円筒形状の風箱111が設けられており、この風箱111の側面に加熱配管104が接続されている。この加熱配管104を通して、加熱気体が風箱111内に供給されるように形成されている。風箱内111には、円盤部材110の下側面に円盤部材110と同心に固定された接続筒112が収容されている。接続筒112は、円盤部材110の中央に形成された貫通穴110aを介して給気塔103に連通している。接続筒112の側面には複数の連通開口112a,112a,・・・が形成されている。風箱111内の加熱気体が、連通開口112a,112a,・・・を通して接続筒112内に流入し、接続筒112と、円盤部材110の貫通穴110aを通して給気塔103に供給されるように形成されている。
【0067】
接続筒112の下端面には、図示しないモータに接続された回転軸113が固定されており、モータにより回転軸113へ回転力を入力して、この接続筒112に固定された円盤部材110と、この円盤部材110に固定された給気塔103と回転羽根107を回転駆動するように形成されている。
【0068】
収容乾燥室121の底部の下方には、円盤部材110の下方に配置され、平面視において円盤部材110の周縁が描く円の接線方向に延びる排出部としてのスクリューコンベヤ108が設けられている。スクリューコンベヤ108は、収容乾燥室121の底部の周縁部の一部に連通している。この連通部を通して、円盤部材110と共に回転する回転羽根107の作用により、チップTが収容乾燥室121からスクリューコンベヤ108に送られる。
【0069】
スクリューコンベヤ108の一端部の下側面には、チップTの排出口181が設けられている。スクリューコンベヤ108は、図示しないモータから回転力を受ける回転軸182と、この回転軸182の周りに固定された螺旋羽根183を有する。
【0070】
スクリューコンベヤ108の排出口181は、図示しないボイラの燃料コンベヤに接続されており、排出口181から排出されたチップTを、燃料コンベヤを通してボイラのバーナに供給するように形成されている。このボイラのバーナの燃焼ガスの一部が、図示しないガス配管を通して、矢印Gで示すように加熱配管104に供給されるように形成されている。
【0071】
収容乾燥室121からスクリューコンベヤ108へチップTを排出する排出部としての回転羽根107は、図示しない制御部によって動作が制御される。制御部は、収容乾燥室121に設置された水分センサS1からの検出信号に基づいて回転羽根107の動作、すなわち、回転軸113及び接続筒112を介した円盤部材110の回転を制御するように形成されている。このように、制御部は乾燥制御部として機能する。水分センサS1は、収容乾燥室21の内壁面に設けられている。
【0072】
第2実施形態のチップ乾燥装置101は、以下のように動作する。
【0073】
まず、チップ供給管122により収容乾燥室121にチップTが供給されると共に、ボイラから加熱気体としての燃焼ガスが加熱配管104に供給される。
【0074】
チップ供給管122から吐出されたチップTは、給気塔103の上端網体132で側部網体131の周囲に分配され、給気塔103の側部網体131と、収容乾燥室121の内側面121aとの間に収容される。
【0075】
加熱配管104に供給された加熱気体は、風箱111と接続筒112と円盤部材110の貫通穴110aを通して給気塔103に導かれ、側部網体131を通して給気塔103の周囲のチップTに供給される。この加熱気体により、チップTが加熱されて水分が蒸発する。チップTを加熱した加熱気体は、チップTから蒸発した水分を含んで、チップ投入口102aから外部へ排出される。
【0076】
チップTが乾燥し、水分センサS1によってチップTの含水量が所定の基準値を下回ったことが検出されると、制御部の制御により回転軸113が回転され、円盤部材110と給気塔103と回転羽根107が回転駆動され、回転羽根107によって収容乾燥室121のチップがスクリューコンベヤ108に排出される。また、制御部の制御によりスクリューコンベヤ108が起動され、チップTが搬送されて、排出口181から図示しないボイラの燃料コンベヤへチップTが受け渡される。
【0077】
収容乾燥室121内のチップTが排出され、チップ供給管122から新たにチップTが吐出され、チップTの含水量が基準値を超えると、制御部の制御により回転羽根107の回転速度が低減又は停止される。これにより、チップTの収容乾燥室121内の滞在時間が長くなり、或いは、チップTが収容乾燥室121内に滞留し、加熱気体により十分に加熱されて乾燥が促進される。チップTが乾燥し、水分センサS1によって含水量が所定の基準値を下回ったことが検出されると、制御部の制御により回転羽根107の回転速度が増大され、又は停止していた回転羽根107が起動され、チップTが収容乾燥室121からスクリューコンベヤ108に排出される。このように、制御部により、収容乾燥室121内のチップTの含水量に応じて回転羽根107の動作が制御される。したがって、例えば含水量の少ない建築廃材から形成されたチップや、含水量の多い間伐材から形成されたチップのように、異なる含水量のチップTが供給されても、チップTの含水量に応じて乾燥時間を調節でき、安定して所定の含水量のチップを得ることができる。
【0078】
本実施形態のチップ乾燥装置101は、収容乾燥室121に投入口102aからチップ供給管122を通して投入されたチップを、収容乾燥室121の回転羽根107で排出するまでの間に、給気塔103から吹き出した加熱気体で乾燥させるので、回転炉を備えたロータリーキルンよりも小型化を行うことができる。したがって、このチップ乾燥装置101は、チップTを燃料とするボイラと組み合わせてボイラ装置を構成しても、ボイラ装置を効果的に小型化できる。
【0079】
また、このチップ乾燥装置101は、収容乾燥室121内のチップTを給気塔103から吹き出した加熱気体で乾燥させるので、収容乾燥室121へのチップTの滞在時間を調整することにより、チップTの乾燥能力を容易に調節できる。したがって、チップTの含水量にあわせて乾燥能力を容易に調節できるので、含水量の少ない建築廃材や、含水量の多い間伐材等の異なる含水量の材料を用いて、所定の含水量の植物性バイオマスチップを安定して容易に製造することができる。なお、給気塔103からの加熱気体の温度や流量を調節することにより、チップ乾燥装置101の乾燥能力を調節してもよい。
【0080】
また、このチップ乾燥装置101は、収容乾燥室121が、下部の断面積が上部の断面積よりも大きく形成されているので、内部のチップTを円滑に下方に移動させることができる。したがって、木質チップは形状が角の多い不定形であり、ブリッジが比較的生じ易いにもかかわらず、収容乾燥室121によってブリッジの発生を防止できるので、円滑にチップTの乾燥と排出を行うことができる。
【0081】
また、回転羽根107が設置された円盤部材110を、円錐台形状の収容乾燥室121の底部に配置したので、収容乾燥室121の円形を有する底部の比較的広いスペースを有効利用して、全体の径を拡大することなく回転羽根107を配置することができる。したがって、このチップ乾燥装置101は、縦長で小型でありながら、チップTの排出量を効果的に調節でき、すなわち、チップTの収容乾燥室内の滞在時間を効果的に調節できて、チップの乾燥度合いを柔軟に調節できる。
【0082】
上記各実施形態において、チップTの含水量を検出する水分センサS1を設けたが、水分センサS1は無くてもよい。
【0083】
また、上記各チップ乾燥装置1,101は、乾燥した木質チップを燃料とするボイラと組み合わされて設置されたが、ボイラ以外の装置に設置されてもよく、例えば、木質チップの製造装置に設置されてもよい。
【0084】
また、上記各チップ乾燥装置1,101は、加熱気体としてボイラの燃焼ガスを利用したが、ヒータで加熱された空気等の他の加熱気体を用いてもよい。
【0085】
また、上記各チップ乾燥装置1,101は、木質チップに限られず、穀物殻、籾殻及び竹等の種々の植物性バイオマスのチップの乾燥に適用できる。
【符号の説明】
【0086】
1 チップ乾燥装置
2 ケーシング
2a チップ投入口
3 給気体
4 加熱配管
6 整流板
7 回転羽根
21 収容乾燥室
23 搬送前室
31 給気体の網体
S1 水分センサ
S2 チップ量センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物性のチップを乾燥させるチップ乾燥装置であって、
下部の断面積が上部の断面積よりも大きく形成された収容乾燥室と、
収容乾燥室の上部に設けられたチップ投入口と、
収容乾燥室内に配置され、上部の断面積が下部の断面積よりも小さく形成され、下部で内側に供給された加熱気体を、上方に導くと共に、表面に設けられた吹出口から収容乾燥室内に吹き出す加熱気体分配部と、
収容乾燥室からチップを排出する排出部と、
排出部によって排出されたチップを搬送する搬送部と
を備えることを特徴とするチップ乾燥装置。
【請求項2】
請求項1に記載のチップ乾燥装置において、
上記収容乾燥室は、対向する2つの内側面が互いに逆方向に傾斜した末広がりの略箱状に形成され、
上記加熱気体分配部は、上記収容乾燥室の上記2つの内側面と概ね平行に配置され、互いに逆方向に傾斜した2つの網体を表面に有し、
上記排出部は、上記加熱気体分配部の2つの網体の下端縁の近傍に夫々配置され、これら網体の下端縁と平行の回転軸周りに回転駆動される2つの回転羽根で形成され、
上記搬送部は、上記排出部の2つの回転羽根の間の下方に回転羽根と略平行に配置されたスクリューコンベヤを有することを特徴とするチップ乾燥装置。
【請求項3】
請求項2に記載のチップ乾燥装置において、
上記加熱気体分配部は、網体の間に加熱気体を供給する給気部と、給気部から供給された加熱気体を網体の幅方向に分配する整流板とを備えることを特徴とするチップ乾燥装置。
【請求項4】
請求項2に記載のチップ乾燥装置において、
上記搬送部のスクリューコンベヤは、スクリューが、チップの搬出方向に進むほどピッチが大きい不等ピッチに形成されていることを特徴とするチップ乾燥装置。
【請求項5】
請求項1に記載のチップ乾燥装置において、
上記収容乾燥室は円錐台形状に形成され、
上記加熱気体分配部は、上記円錐台形状の収容乾燥室と同軸に配置された円錐台側面形状の網体を表面に有し、
上記排出部は、上記円錐台形状の収容乾燥室の底部に放射状に配置されて、この収容乾燥室の円形の底面の中心軸周りに回転駆動される回転羽根で形成され、
上記搬送部は、上記排出部の回転羽根の下方に配置され、平面視において上記回転羽根の先端が描く円弧の接線方向に延びるスクリューコンベヤを有することを特徴とするチップ乾燥装置。
【請求項6】
請求項5に記載のチップ乾燥装置において、
上記収容乾燥室の底部に円盤部材を備え、
上記円盤部材の表面に上記加熱気体分配部と回転羽根とが固定されており、
上記円盤部材が回転駆動されるに伴い、上記加熱気体分配部と回転羽根とが同心軸周りに回転するように形成されていることを特徴とするチップ乾燥装置。
【請求項7】
請求項1に記載のチップ乾燥装置において、
上記排出部から排出されたチップを、搬送部によって搬送される前に一旦貯留する搬送前室と、
上記搬送前室内のチップの量を検出するチップ量センサと、
上記チップ量センサの検出信号に基づいて排出部の動作を制御する排出制御部と
を備えることを特徴とするチップ乾燥装置。
【請求項8】
請求項1に記載のチップ乾燥装置において、
上記収容乾燥室内のチップの含水量を検出する水分センサと、
上記水分センサの検出信号に基づいて排出部の動作を制御する乾燥制御部と
を備えることを特徴とするチップ乾燥装置。
【請求項9】
請求項1に記載のチップ乾燥装置において、
上記加熱気体は、搬送部から搬送されたチップを燃料とするバーナの燃焼ガスであることを特徴とするチップ乾燥装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−159943(P2010−159943A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4104(P2009−4104)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(591119624)株式会社御池鐵工所 (86)
【Fターム(参考)】