説明

チマーゼ阻害剤

チマーゼを伴う種々の疾患及び病態を治療するのに有用な小分子阻害剤が開示される。
【化1】


(I)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チマーゼを伴う種々の疾患及び病態を治療するのに有用な小分子阻害剤に関する。
【背景技術】
【0002】
心筋症患者の心臓組織では形質転換成長因子-β(TGF-β)が増加し(Li et al., Circulation, 1997, 96, 874)、これは動物モデルにおける心臓線維症を刺激することが説明されている(Kuwahara, et al. Circulation, 2002, 106, 130)。心筋線維症部位では、肥満細胞が総計で増加し、心筋症を有する患者の心臓組織における線維芽細胞増殖の進行に寄与し得ることが知られている(Patella et al., Circulation, 1998, 97, 971)。チマーゼは、肥満細胞の分泌顆粒に含有されるキモトリプシン様セリンプロテアーゼである。チマーゼの正確な生理学的役割は完全には明らかにされていないが、チマーゼがアンギオテンシンIをアンギオテンシンIIに形質転換し、TGF-β、マトリックスプロテアーゼ、及びサイトカインの活性に寄与し得ることが知られている(Taipale et al., J. Biol. Chem., 1995, 270, 4689; Takai et al., Life Sci., 1996, 58, 591; Takai et al., Circulation, 1999, 100, 654)。
【0003】
即効性且つ選択性チマーゼ阻害剤は、心臓におけるアンギオテンシンIIの局所製造を阻害することによって慢性心不全、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、及び心筋梗塞の治療剤としての潜在的有用性を有し、心臓改築の2種の独立した媒介物であるTGF-βを放出し得る。阻害剤は、肥満細胞に媒介される疾患、例えば皮膚炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、及び肺炎症の治療のための潜在的使用も有し、これはチマーゼが微小血管漏出、好中球蓄積、粘液分泌の刺激、及びサイトカインの変調に関係するためである(He et al., Eur. J. Pharmacol., 1998, 352, 91)。
数種の小分子チマーゼ阻害剤が、心不全の心筋症ハムスターモデル(Takai et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. 2003, 305, 17)、犬におけるバルーンカテーテルによる頚動脈損傷(Takai et al. J. Pharmacol.Exp. Ther, 2003, 304, 841)、及び心不全のハムスター左前下行枝冠状動脈結紮モデル(WO 03/018061) に有効であることが報告されている。さらに、チマーゼ阻害剤は、ヒツジ喘息モデルに有効であることが示されている(WO 2005/073214)。しかし、チマーゼ阻害剤の薬剤としての市販化された例は存在しない。
【発明の開示】
【0004】
従って、本発明の目的は、ここで定義される小分子のチマーゼ阻害剤、及びその医薬組成物を提供することである。
本発明の目的は、前記チマーゼ阻害剤を用いて、それに関連する種々の疾患及び病態を治療する方法を提供することでもある。
本発明のさらなる目的は、前記チマーゼ阻害剤を調製する方法を提供することである。
【0005】
(発明の詳細な説明)
本発明の一つの一般的な特徴では、式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩が提供される。
【化1】

(I)
式中、R1及びR2は独立して、水素、ハロゲン、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、-CORd、-COORd、-CON(Rc)Rd、-N(Rc)Rd、-N(Rc)CORdであり、各Rdは独立して、水素、C1-6直鎖又は分枝アルキル又はシクロアルキル、C1-6直鎖又は分枝アルケニル又はヘテロシクリルであるか、又はR1及びR2は一緒になって-O-CH2-O、-O-CH2-CH2-O-又は-CH2-CH2-CH2-を表し、
各基は独立して、ハロゲンで置換されていてもよいC1-4アシル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、カルボキシ、カルボキサミド、ハロゲン、ヒドロキシル及びフェニルから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
Aは、1個以上の-O-、-S-、-SO-、-SO2-及び-NRa-で中継されていてもよく、それらがハロゲン、C1-6直鎖又は分枝アルキル、C1-6直鎖又は分枝アルコキシ、C1-6直鎖又は分枝アルキルチオ、C1-6直鎖又は分枝アルキルスルホニル、フェニル及びオキソから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-C7直鎖、分枝又は環状アルキル基であり;
Eは、-COORe、-SO3Re、-CONHRe、-SO2NHRe、-NHSO2Re、-CONHSO2Re、-SO2NH-CO(Rf)、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであり、各Reは独立して、水素、C1-4アルキル又はアリールであり、及びRfはC1-4アルキル又はアリールであり;
Gは、-O-、-S-、-SO2又は-NRa-の1個以上で中継されていてもよいC1-6直鎖又は分枝アルキルであり、該アルキル基は、ヒドロキシル、シアノ、C1-6直鎖又は分枝アルキル又はC1-6直鎖又は分枝アルコキシで置換されていてもよく;
Mは、メチレン基、酸素、-N(Rb)-、又は-S(O)m-であり、mは0-2の整数であり;及び、前記メチレン基は、ヒドロキシル、シアノ、C1-6直鎖又は分枝アルキル、C1-6直鎖又は分枝アルコキシ、トリハロメチル、トリハロメトキシ、フェニル及びオキソから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく;
Jは、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個以上のヘテロ原子をその環に含有する4-10個の炭素原子の単又は多置換されていてもよい芳香族炭素環又はヘテロ芳香族基であり;前記芳香族又はヘテロ芳香族基における各置換基は、1個以上のハロゲンで置換されていてもよいハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1-6直鎖又は分枝アルキル、C1-6直鎖又は分枝アルコキシ、C1-6直鎖又は分枝アルキルチオ、C1-6直鎖又は分枝アルキルスルホニル、フェニルスルホニル、C1-6直鎖又は分枝アシル、C1-6直鎖又は分枝アシルアミノ、トリハロメチル、トリハロメトキシ、フェニル、オキソ、-COORa、-CON(Rc)Ra、SO2N(Rc)Ra、-N(Rc)Ra及びフェノキシから選択され;
Ra、Rb及びRcはそれぞれ独立してC1-3アルキル又は水素である。
【0006】
別の実施態様では、上記実施態様の化合物が提供され、及び
式中:
R1及びR2は以下のように結合しており:及び
【化2】

独立して、水素、Cl、Br、F、I、トリハロアルキル、トリハロアルコキシシアノ、ヒドロキシル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、-CORd、-COORd、-CON(Rc)Rd、-N(Rc)Rd、-N(Rc)CORdであり、各Rdは独立して、水素、C1-6直鎖又は分枝アルキル又はシクロアルキル、C1-6直鎖又は分枝アルケニル又はピロール、ピロリジニル、ピラゾール、イミダゾール、フラン、テトラヒドロフラン、オキサゾール、チオフェン、テトラヒドロチオフェン及びチアゾールから選択されるヘテロシクリルであり、各環は硫黄ヘテロ原子を有しており、該硫黄は-S-、-S(O)-又は-S(O)2-であるか、又はR1及びR2は一緒になって-O-CH2-O、-O-CH2-CH2-O-又は-CH2-CH2-CH2-を表し、
各基は、C1-4アシル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、カルボキシ、カルボキサミド、Cl、Br、F、I、ヒドロキシル及び1〜3個のCl、Br、F、Iで置換されていてもよいフェニルから選択される1〜3個の置換基で独立して置換されていてもよく;
Aは、アミノ、シアノ、カルボキシ、カルボキサミド、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、フェニル、C1-6直鎖又は分枝アルキル及びC1-6直鎖又は分枝アルコキシから選択される1〜3個の置換基で独立して置換されていてもよいC1-C7直鎖、分枝であり;
Eは、-COORe、-SO3Re、-CONHRe、-CONHSO2Re、-SO2NH-CO(Rf)、テトラゾール-5-イル、5-オキソ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、5-オキソ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル、5-チオキソ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、5-チオキソ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル、3-オキソ-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル、N3,5-ジオキソ-5-オキサジアゾリジノ、2-オキソ1,3,4-オキサジアゾール-2-イル、3-オキソ1,2,4-トリアゾール-5-イル又は2,ジオキソ-ベンゾチアジアジン-6-イルであり、各Reは独立して、水素、C1-4アルキル又はフェニルであり、及びRfはC1-4アルキル又はアリールであり;
Gは、ヒドロキシル、シアノ、C1-6直鎖又は分枝アルキル及びC1-6直鎖又は分枝アルコキシから選択される置換基で置換されていてもよいC1-4直鎖又は分枝アルキルであり;
Mはメチレン基、酸素、-N(Rb)-、又は-S(O)m-であり、mは0-2の整数であり;
Jは、一又は二置換されていてもよいフェニル、ナフチル、ベンゾチエニル、ベンゾピロリル、ベンズイミダゾリル、インドリルであり;前記芳香族又はヘテロ芳香族基における各置換基は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1-4直鎖又は分枝アルキル、C1-4直鎖又は分枝アルコキシ、C1-6直鎖又は分枝アルキルチオ、C1-6直鎖又は分枝アルキルスルホニル、フェニルスルホニル、C1-6直鎖又は分枝アシル、C1-6直鎖又は分枝アシルアミノ、トリハロメチル、トリハロメトキシ、フェニル、オキソ、-COORa、-CON(Rc)Ra、-SO2N(Rc)Ra、N(Rc)Ra及び1個以上のハロゲンで置換されていてもよいフェノキシから選択される。
【0007】
別の実施態様では、上記実施態様の化合物が提供され、及び
式中:
R1及びR2は独立して水素、Cl、F、トリハロメチル、トリハロメトキシ、シアノ、ヒドロキシル、C1-2アルキル、C1-4アルコキシ、-CORd、-CON(Rc)Rd、-N(Rc)Rd、-N(Rc)CORdであり、各Rdは独立して、水素又はC1-6直鎖又は分枝アルキル、C1-6直鎖又は分枝アルケニル、フラン、テトラヒドロフラン、チオフェン及びテトラヒドロチオフェンであり、各環は硫黄ヘテロ原子を有しており、該硫黄は-S-、-S(O)-又は-S(O)2-であるか、又はR1及びR2は一緒になって-O-CH2-CH2-O-を表し、各基は、C1-4アルキル、C1-4アルコキシアミノ、シアノ、カルボキシ、カルボキサミド、Cl、Br、F、I及びヒドロキシルから選択される1〜3個の置換基で独立して置換されていてもよく;
Aは、フェニル及びC1-3アルキルから選択される1個の置換基で置換されていてもよい-(CH2)3-基であり;
Eは-COOReであり、Reは水素又はメチルであり;
GはC1-2アルキルであり;
Mはメチレン基、酸素、-NH-、-N(CH3)-又は硫黄であり;
Jは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ及びC1-6直鎖又は分枝アルキルから選択される1〜3個の基でそれぞれ置換されていてもよいナフチル、ベンゾチエニル、ベンゾピロリル、ベンズイミダゾリル、インドリルである。
【0008】
本発明の別の一般的な特徴では、式(II)の化合物又はその医薬的に許容される塩が提供される。
【化3】

(II)
式(II)の式中、以下の成分は、
【化4】

以下の表IのA1-A8から選択され、以下の表IのB1-B19から選択されるいずれかの以下の成分、
【化5】

表IのC1-C8から選択されるいずれかの以下の成分、
【化6】

と組み合わされる。
【0009】
表I





【0010】
本発明の別の一般的な特徴では、式(III)の化合物又はその医薬的に許容される塩が提供される。
【化7】

(III)
式(III)中、以下の成分は、
【化8】

以下の表IのA1-A15から選択され、表IIのB1-B19から選択されるいずれかの以下の成分、
【化9】

と組み合わされる。
【0011】
表II








【0012】
本発明の別の実施態様では、以下の化合物又はその医薬的に許容される塩が表IIIに提供され、これらは一般的な合成手順及び以下の実施例に従って製造することができる。
表III






【0013】
本発明の別の実施態様では、以下の好ましい化合物又はその医薬的に許容される塩が表IVに提供され、これらは一般的な合成手順及び以下の実施例に従って製造することができる。
表IV


【0014】
本願明細書の上記に開示されている全ての化合物は、命名法と構造が矛盾する場合、該化合物は構造によって定義されると理解する。
本発明は、ラセミ化合物及びラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物、及び個別のジアステレオマーとして生じ得る1個以上の不斉炭素原子を含有する上記の任意の化合物の使用を含む。これらの化合物の全てのそのような異性体形態は、明らかに本発明に含まれる。各立体配置炭素は、R又はS配置又は該配置の組み合わせでよい。
式(I)、(II)又は(III)の化合物の一部は、1個以上の互変異性形態で存在し得る。本発明は、全てのそのような互変異性体を用いる方法を含む。
本願明細書で用いられている全ての用語は、明記しない限り、当技術分野で公知の通常の意味であると理解される。例えば、C1-4アルコキシは、末端に酸素を有する有機基C1-4アルキル、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシを含む。
【0015】
全ての有機基:アルキル、アルケニル及びアルキニル基、又はアシル及びアルコキシなどの他の基に組み込まれているような基は、構造的に可能で特に明記しない限りは分枝又は非分枝であると理解され、部分的又は全体的にハロゲン化されていてもよい。
有機基又は化合物のそれぞれに関連して本願明細書に記載されている"低級"という用語は、7個以下、好ましくは4個以下、及び有利には1個又は2個の炭素原子の分枝又は非分枝を定義する。
環状基は、炭素環、複素環又はヘテロアリールを意味すると理解され、それぞれ部分的又は全体的にハロゲン化されていてもよい。
アシル基は-C(O)-Rとして定義される基であり、式中、Rは有機基又は環状基である。アシルは、例えば、炭素環状又は複素環状アロイル、シクロアルキルカルボニル、(オキサ又はチア)-シクロアルキルカルボニル、低級アルカノイル(低級アルコキシ、ヒドロキシ又はアシルオキシ)、低級アルカノイル(単又は二炭素環状又は複素環状)-(低級アルカノイル又は低級アルコキシ-、ヒドロキシ-又はアシルオキシ-置換低級アルカノイル)、又は二アロイルを表す。
【0016】
炭素環は、3〜14個の炭素原子を含有する炭化水素環を含む。これらの炭素環は、芳香族又は非芳香族環系のいずれでもよい。非芳香族環系は、単又は多不飽和、単環状、二環状又は三環状でよく、架橋されていてもよい。好ましい炭素環は、限定はしないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプタニル、シクロヘプテニル、フェニル、ベンジル、インダニル、インデニル、ベンゾシクロブタニル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、ナフチル、デカヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプタニル、アダマンチル、ノルボニル、フルオレン、及びベンゾシクロヘプテニルを含む。シクロアルキルのための数種の用語、例えばシクロブタニル及びシクロブチルは交換して用いられる。
【0017】
“複素環”という用語は、飽和又は不飽和でよい安定な非芳香族4-8員(好ましくは5又は6員)の単環状、又は非芳香族8-11員の二環状複素環基を意味する。各複素環は、炭素原子、及び窒素、酸素及び硫黄から選択される1個以上、好ましくは1〜4個のヘテロ原子からなる。該複素環は該環の任意の原子と結合していてもよく、これによって安定な構造が生成される。特に明記しない限り、複素環は、限定はしないが、例えばピロリジニル、ピロリニル、モルホリニル, チオモルホリニル, チオモルホリニルスルホキシド、チオモルホリニルスルホン、ジオキサラニル、ピペリジニル、ピペラジニル, テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1,3-ジオキソラノン、1,3-ジオキサノン、1,4-ジオキサニル、ピペリジノニル、テトラヒドロピリミドニル、ペンタメチレンスルフィド、ペンタメチレンスルホキシド、ペンタメチレンスルホン、テトラメチレンスルフィド、テトラメチレンスルホキシド及びテトラメチレンスルホンを含む。
【0018】
“ヘテロアリール”という用語は、N、O及びSなどの1-4個のヘテロ原子を含有する芳香族5-8員単環状又は8-11員二環状環を意味すると理解する。特に明記しない限り、そのようなヘテロアリールは、アジリジニル、チエニル、フラニル、イソキサゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾピロリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、インダゾリル、トリアゾリル、ピラゾロ[3,4-b]ピリミジニル、プリニル、ピロロ[2,3-b]ピリジニル、ピラゾロ[3,4-b]ピリジニル、ツベルシジニル、オキサゾ[4,5-b]ピリジンイル、テトラゾル-5-イル、5-オキソ-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル、5-オキソ-1,2,4-チアジアゾル-3-イル、5-チオキソ-1,2,4-オキサジアゾル-3-イル、5-チオキソ-1,2,4-チアジアゾル-3-イル、3-オキソ-1,2,4-オキサジアゾル-5-イル、N3,5-ジオキソ-5-オキサジアゾリジノ、2-オキソ1,3,4-オキサジアゾル-2-イル、3-オキソ1,2,4-トリアゾル-5-イル、2,ジオキソ-ベンゾチアジアジン-6-イル、1,2-ジオキソ-3-ヒドロキシ-3-シクロブテン-4-イル、及びイミダゾ[4,5-b]ピリジンイルを含む。
【0019】
ここで用いられている"ヘテロ原子"という用語は、炭素以外の原子、例えば酸素、窒素、硫黄及びリンを意味すると理解される。
ここで用いられているように、"窒素"及び"硫黄"は、窒素及び硫黄の任意の酸化形態及び任意の塩基性窒素の第四級形態を含む。開鎖又は環状基における全てのヘテロ原子は、全ての酸化形態を含む。
全てのアルキル基又は炭素鎖では、1個以上の炭素原子がヘテロ原子:O、S又はNで置換されていてもよく、Nが置換されていない場合はNHであると理解され、該ヘテロ原子が分枝又は非分枝炭素鎖内の末端炭素原子又は内部炭素原子のいずれかを置換し得るとも理解される。そのような基は上記のようにオキソのような基で置換することができ、限定はしないが:アルコキシカルボニル、アシル、アミド及びチオキソのような定義となる。
【0020】
ここで用いられている"アリール"という用語は、ここに記載されているように芳香族炭素環又はヘテロアリールを意味すると理解される。各アリール又はヘテロアリールは特に明記しない限り、その部分的又は全体的に水素化されている誘導体を含み、及び/又は部分的又は全体的にハロゲン化されている。例えば、キノリニルはデカヒドロキノリニル及びテトラヒドロキノリニルを含み、ナフチルはその水素化された誘導体、例えばテトラヒドラナフチルを含み得る。ここに記載されているアリール及びヘテロアリール化合物の他の部分的又は全体的に水素化された誘導体は、当業者に明らかである。
本願明細書で用いられている"ハロゲン"という用語は、臭素、塩素、フッ素又はヨウ素、好ましくはフッ素を意味すると理解される。"部分的又は全体的にハロゲン化されている";"部分的又は全体的にフッ素化されている";"1個以上のハロゲン原子で置換されている"という定義は、例えば、1個以上の炭素原子上におけるモノ、ジ又はトリハロ誘導体を含む。アルキルでは、非限定例は-CH2CHF2、-CF3などである。
本発明の化合物は、当業者から"化学的に安定"であると考えられるもののみである。例えば、"ダングリング原子価"、又は"カルバニオン"を有する化合物は、本発明の方法で考えられる化合物ではない。
【0021】
本発明は、式(I)、(II)又は(III)の化合物の医薬的に許容される誘導体を含む。"医薬的に許容される誘導体"は、患者に投与されると本発明に有用な化合物、又はその薬理学的に活性な代謝体又は薬理学的に活性な残渣を(直接的又は間接的に)提供することのできる任意の医薬的に許容される塩又はエステル、又は任意の他の化合物を意味する。薬理学的に活性な代謝体は、酵素的又は化学的に代謝され得る本発明の任意の化合物を意味すると理解される。これは、例えば、式(I)、(II)又は(III)の水酸化又は酸化誘導体化合物を含む。
医薬的に許容される塩は、医薬的に許容される無機及び有機の酸及び塩基から誘導されるものを含む。好適な酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、蟻酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-硫酸及びベンゼンスルホン酸を含む。それ自体は医薬的に許容されない他の酸、例えばシュウ酸は、該化合物及びそれらの医薬的に許容される酸添加塩を得るときに中間体として有用な塩の調製に用いられ得る。適切な塩基から誘導される塩は、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウム及びN-(C1-C4アルキル)4+塩を含む。
【0022】
さらに、本発明の範囲内に、式(I)の化合物のプロドラッグの使用である。プロドラッグは、簡単な化学的変形によって改良されて本発明の化合物を製造するような化合物を含む。簡単な化学的変形は、加水分解、酸化及び還元を含む。特に、プロドラッグが患者に投与されると、該プロドラッグは上記の化合物に変形され、それによって所望の薬理学的効果を与え得る。
ここに記載されている化合物は、市場で入手可能であるか、又は当業者に既知の方法及び任意の必要な中間体によって製造することができる。
本発明のより十分な理解のために、以下の実施例を説明する。これらの実施例は本発明の好ましい実施態様を説明するためのものであり、本発明の範囲を多少なりとも限定するものと解釈すべきでない。
以下の実施例は実例であり、当業者に認識される通り、特定の試薬又は条件が個々の化合物に必要であるとしてさらなる実験無しに改良され得る。以下のスキームで用いられる出発材料は市場で入手可能であるか、又は市場で入手可能な材料から当業者によって容易に調製される。
【0023】
一般的な合成方法
本発明は、式(I)、(II)及び(III)の化合物を製造するための方法も提供する。全てのスキームでは、特に明記しない限り、以下の式中のR1、R2、A、E、G、M及びJが、上記本発明の式(I)、(II)及び(III)におけるR1、R2、A、E、G、M及びJの意味を有する。
最適な反応条件及び反応回数は、用いられる特定の反応物に依存して変化し得る。特に明記しない限り、溶媒、温度、圧力、及び他の反応条件は当業者が容易に選択し得る。詳細な手順は合成実験部分にて提供される。典型的には、反応進行は薄層クロマトグラフィー(TLC)で記録されるのが望ましく、中間体及び生成物はシリカゲル上のクロマトグラフィー及び/又は再結晶で精製され得る。
本発明の化合物の調製に用いられる適切に置換された出発材料及び中間体は、市場で入手可能であるか当業者に公知の方法で容易に調製され、以下の合成実施例で説明される。
【0024】
式(I)、(II)及び(III)の化合物は、スキーム1に示されている方法によって合成され得る。
スキーム1
【化10】



【0025】
置換されていてもよい2-アミノピリジンとエチルブロモアセテートの好適な溶媒における反応は、式(IV)のイミノピリジンイル化合物を与える。好適な溶媒中で加熱することによるイミノピリジンイル化合物の環化は、式(V)の中間体イミダゾピリジノンを提供する。式(V)の中間体とアルデヒドJ-CHOの反応とそれに続く好適な還元剤による還元は、式(VI)のアルキル化中間体を提供し、式中、G=CH2である。あるいは、中間体(V)の好適なアルキル化剤J-G-Brによるアルキル化は、式(VI)の中間体を提供する。式(VI)の中間体と好適な試薬、例えばローソン試薬との好適な溶媒における反応は、式(VII)のチオンを提供する。式(VII)の中間体チオンとBr-A-Eとの好適な溶媒における反応は、式(I)、(II)又は(III)の化合物を提供する。
当技術分野で公知であり以下の実施例で説明されている方法による式(I)又は(II)の最初の生成物のさらなる改良を用いて、本発明のさらなる化合物を調製してよい。
【0026】
実施例1:4-(3-ナフタレン-1-イルメチル-2,3-ジヒドロ-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イルスルファニル)-酪酸の合成
イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-オン臭化水素酸塩の合成
【化11】

(2-イミノ-2H-ピリジン-1-イル)-酢酸エチルエステル臭化水素酸塩
39mL(0.35mol)のエチルブロモアセテートに、9.4g(0.1mol)の2-アミノピリジンを部分的に0℃で加えた。得られた混合物を室温まで温め、この温度で30分間攪拌した。沈殿物を回収し、ヘキサンで洗浄して、淡褐色の固形物として所望の化合物を得た。
【0027】
イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-オン臭化水素酸塩
9g(34.4mmol)の(2-イミノ-2H-ピリジン-1-イル)-酢酸エチルエステル臭化水素酸塩の200mLエタノール溶液を、還流で18時間加熱した。該反応混合物を続いて室温まで冷却させ、沈殿物を回収した。単離した固体をエタノールで洗浄し、所望の化合物を得た。
【化12】

【0028】
3-[1-ナフタレン-1-イル-メト-イルイデン]-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-オン
1g(4.7mmol)のイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-オン臭化水素酸塩及び726mg(4.7mmol)の1-ナフトアルデヒドの20mLエタノールにおける混合物を還流で1時間加熱し、続いて室温まで冷却した。沈殿物を回収した。単離した固体を40mLの2M炭酸カリウム溶液に懸濁し、得られた混合物を48時間室温で攪拌した。沈殿した固体を回収して水で洗浄し、所望の化合物を得た。
【0029】
3-ナフタレン-1-イルメチル-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-オン
137mg(3.7mmol)のホウ化水素ナトリウムの15mLエタノール懸濁液に、500mg(1.8mmol)の3-[1-ナフタレン-1-イル-メチルイデン]-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-オンの50mLメタノール溶液を-78℃で滴下した。-78℃で10分間攪拌した後、反応混合物を-78℃の飽和塩化アンモニウム水溶液で急冷した。生成物をジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、及び真空下で濃縮し、所望の化合物を得た。
【0030】
3-ナフタレン-1-イルメチル-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-チオン
200mg(0.73mmol)の3-ナフタレン-1-イルメチル-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-オン及び250mg(0.62mmol)の2,4-ビス-(4-メトキシフェニル)-1,3-ジチア-2,4-ジホスフェタン2,4-ジスルフィド(ローソン試薬)の20mLトルエン懸濁液を、160℃で1時間マイクロ波条件下にて加熱した。得られた混合物をメタノールに溶解し、シリカゲル上で吸収した。懸濁液を減圧下で乾燥させ、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製した。化合物を5〜10%のメタノールのジクロロメタン溶液で溶出し、所望の化合物を得た。
【0031】
4-(3-ナフタレン-1-イルメチル-2,3-ジヒドロ-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イルスルファニル)-酪酸メチルエステル
75mg(0.26mmol)の3-ナフタレン-1-イルメチル-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-チオン及び70mg(0.39mmol)のメチル4-ブロモブチレート及び72mg(0.52mmol)の炭酸カリウムのジクロロメタンにおける3mL50%アセトン溶液の混合物を、室温下で18時間攪拌した。混合物を真空下で濃縮し、残渣をヘキサン中50〜75%の酢酸エチルで溶出したシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製し、所望の化合物を得た。
【0032】
4-(3-ナフタレン-1-イルメチル-2,3-ジヒドロ-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イルスルファニル)-酪酸
50mg(0.13mmol)の4-(3-ナフタレン-1-イルメチル-2,3-ジヒドロ-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イルスルファニル)-酪酸メチルエステルの2mLTHF溶液を、11mg(0.26mmol)の水酸化リチウム一水和物の1mL水溶液で室温にて処理した。得られた混合物を40℃まで加熱し、この温度で3時間攪拌した。続いて、反応混合物を室温まで冷却し、真空下で濃縮した。残渣を水で希釈し、1NのHCl溶液で中和した。生成物を酢酸エチルで抽出し、有機層を分離した。該有機層を水及び塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、及び真空下で濃縮した。残渣を3〜10%のメタノールのジクロロメタン溶液で溶出したフラッシュクロマトグラフィーで精製し、標的化合物を得た。LCMS (ESMS): m/z 377 (M+H+)
【0033】
実施例2:4-[3-(4-Mエチル-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イルスルファニル]-酪酸の合成
【化13】

【0034】
3-(4-Mエチル-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチレン)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-オン
1.6g(7.4mmol)のイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-オンの臭化水素酸塩及び1.2g(6.7mmol)の4-メチル-ベンゾ[b]チオフェン-3-カルボアルデヒドの40mLエタノール混合物を、還流温度まで1時間加熱し、続いて室温まで冷却した。沈殿物を回収した。単離した固体を40mLの2M炭酸カリウム溶液に懸濁させ、得られた混合物を48時間室温下で攪拌した。固体を回収し、水で洗浄して所望の化合物を得た。
【0035】
3-(4-Mエチル-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-オン
121mg(3.2mmol)のホウ化水素ナトリウムの50mLエタノール懸濁液に、624mg(2.1mmol)の3-(4-メチル-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチレン)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-オンの50mLメタノール溶液を-78℃で滴下した。15分間-78℃で攪拌した後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液で-78℃に急冷した。生成物をジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、及び真空下で濃縮して所望の化合物を得た。
【0036】
3-(4-Mエチル-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-チオン
475mg(1.6mmol)の3-(4-メチル-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-オン及び525mg(1.3mmol)の2,4-ビス-(4-メトキシフェニル)-1,3-ジチア-2,4-ジホスフェタン2,4-ジスルフィドの20mLトルエン懸濁液を、170℃まで90分間マイクロ波条件下で加熱した。沈殿した固体を回収し、所望の化合物を得た。
【0037】
4-[3-(4-Mエチル-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イルスルファニル]-酪酸 メチル エステル
472mg(1.5mmol)の3-(4-メチル-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-チオン及び407mg(2.3mmol)のメチル4-ブロモブチレート及び415mg(3.0mmol)の炭酸カリウムの5mLDMF混合物を、室温下で18時間攪拌した。混合物を水で希釈し、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、及び真空下で濃縮した。残渣を1〜5%のメタノールのジクロロメタン溶液で溶出したシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製し、所望の化合物を得た。
【0038】
4-[3-(4-Mエチル-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イルスルファニル]-酪酸
100mg(0.24mmol)の4-[3-(4-メチル-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イルスルファニル]-酪酸メチルエステルの2mLTHF溶液を、20mg(0.48mmol)の水酸化リチウム一水和物の水溶液で室温下にて処理した。得られた混合物を40℃まで加熱し、この温度で3時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、真空下で濃縮した。残渣を水で希釈し、1NのHCl溶液で中和した。生成物を酢酸エチルで抽出し、有機層を分離した。該有機層を水及び塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、及び真空下で濃縮した。残渣を3〜10%のメタノールのジクロロメタン溶液で溶出したフラッシュクロマトグラフィーで精製し、標的化合物を得た。LCMS (ESMS): m/z 397 (M+H+)
【0039】
実施例3:4-[3-(5-クロロ-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イルスルファニル]-酪酸の合成
【化14】

【0040】
3-(5-クロロ-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-オン
100mg(0.47mmol)のイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-オン臭化水素酸塩及び122mg(0.47mmol)の3-ブロモメチル-5-クロロ-ベンゾ[b]チオフェンの5mLTHF混合物を、1mL(1.0mmol)の1Mリチウムビス(トリメチルシリル)アミドTHF溶液で-78℃にて処理した。得られた混合物をこの温度で1時間攪拌し、該混合物を飽和塩化アンモニウム溶液で急冷した。該生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、及び真空下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、所望の化合物を得た。
【0041】
3-(5-クロロ-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-チオン
172mg(0.55mmol)の3-(5-クロロ-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-オン及び110mg(0.27mmol)の2,4-ビス-(4-メトキシフェニル)-1,3-ジチア-2,4-ジホスフェタン2,4-ジスルフィドの20mLトルエン懸濁液を、160℃にて90分間マイクロ波条件下で加熱した。得られた混合物を真空下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィーで精製して所望の化合物を得た。
【0042】
4-[3-(5-クロロ-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イルスルファニル]-酪酸メチルエステル
60mg(0.18mmol)の3-(5-クロロ-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-チオン及び38mg(0.21mmol)のメチル4-ブロモブチレート及び58mg(0.42mmol)の炭酸カリウムの2mLDMF混合物を、室温下で18時間攪拌した。混合物を水で希釈し、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、及び真空下で濃縮した。残渣を1〜5%のメタノールのジクロロメタン溶液で溶出したシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製し、所望の化合物を得た。
【0043】
4-[3-(5-クロロ-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イルスルファニル]-酪酸
15mg(0.04mmol)の4-[3-(5-クロロ-ベンゾ[b]チオフェン-3-イルメチル)-イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イルスルファニル]-酪酸メチルエステルの2mLのTHF溶液を、10mg(0.24mmol)のリチウムヒドロキシド一水和物の1mLの水溶液で室温にて処理した。得られた混合物を50℃まで加熱し、この温度で2時間攪拌した。反応混合物を続いて室温まで冷却し、真空下で濃縮した。残渣をシリカゲル上の分取TLCで精製し、標的化合物を得た。LCMS (ESMS): m/z 417 (M+H+).
【0044】
使用方法
本発明では、本願明細書に記載されている化合物及びそれらの医薬的に許容される誘導体を用いる方法が提供される。本発明で用いられる化合物は、チマーゼを阻害する。チマーゼはアンギオテンシンIをアンギオテンシンIIに変形させ、TGF-β、マトリックスプロテアーゼ及びサイトカインの活性に寄与し得ることが知られているために、チマーゼの阻害は種々の疾患又は病態を予防及び治療するための魅力的な手段である。例として、慢性心不全(非虚血性)、心筋梗塞後の心不全(虚血性)、急性心筋梗塞、再潅流傷害左質不全機能障害、心臓線維症、拡張性心不全及び肥大性心筋症を含む心不全、肺高血圧、収縮期高血圧及び抵抗性抗血圧を含む高血圧を含み、冠状動脈疾患、末梢動脈閉塞性疾患、動脈瘤、安定/不安定アンギナ、再狭窄、糖尿病性ネフロパシー、心房細動/心室性不整脈、弁膜心疾患、心膜疾患、腎不全(慢性腎臓疾患、末期腎不全)、脳梗塞を含む。本発明の化合物は、以下の手技:冠状動脈バイパス接合、経皮冠動脈インターベンション及びステントグラフト留置術に有用でもある。
【0045】
本発明の範囲内の他疾患は、アレルギー性鼻炎、皮膚炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、及び肺炎症、喘息、変形性関節症、骨吸収疾患、多発性硬化症、ギラン-バレー症候群、クローン疾患、潰瘍性大腸炎、乾癬、対宿主性移植片疾患、全身性エリテマトーデス、リウマチ様関節炎、毒性ショック症候群、アルツハイマー疾患、炎症性腸疾患、急性及び慢性疼痛並びに炎症症状、熱損傷、成人性急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、外傷後の多臓器損傷、急性糸球体腎炎、急性炎症成分を有する皮膚炎、急性化膿性髄膜炎又は他の中枢神経系障害、血液透析関連の症候群、白血病、顆粒球輸血関連の症候群、及び壊死性腸炎、外傷性関節炎、及び敗血症を含む。これに関する引例は、米国特許第5,948,785号;第6,271,238号;第5,691,335号;第5,814,631号;第6,300,337号明細書;欧州特許第1,099,690号明細書;米国特許第6,323,219号;第2005-0245536 A1号明細書;Fukami, et al., Current Pharmaceutical Design 1998, vol. 4, pp. 439-453であり得る。
【0046】
本発明の背景技術項で開示されているように、本発明の化合物はサイトカインの活性に寄与するため、それらは腫瘍性疾患を治療するのに有用となる。これに関する引例は米国特許第2005-0245536 A1である。これらの疾患は、限定はしないが、固形癌、例えば胸部、呼吸器管、脳、生殖器官、消化管、尿管、目、肝臓、皮膚、頭部及び首、甲状腺、副甲状腺及びそれらの遠隔転移の癌を含む。それらの障害は、リンパ腫、肉腫、及び白血病も含む。
乳癌の例は、限定はしないが、浸潤性腺管癌、浸潤性小葉癌、非浸潤性乳管癌、及び上皮内小葉癌を含む。
呼吸器管の癌の例は、限定はしないが、小細胞及び非小細胞肺癌、並びに気管支腺腫及び胸膜肺芽腫及び中皮腫を含む。
脳腫瘍の例は、限定はしないが、脳幹、視神経及び下垂体腺腫、大脳及び小脳星細胞腫、髄芽細胞腫、上衣細胞腫、並びに下垂体、神経管外胚葉及び松果体腫瘍を含む。
末梢神経系腫瘍の例は、限定はしないが、神経芽細胞腫、神経節芽細胞腫、及び末梢髄鞘腫瘍を含む。
内分泌及び外分泌系の腫瘍の例は、限定はしないが、甲状腺癌、副腎皮質癌、褐色細胞腫、及びカルチノイド腫瘍を含む。
男性生殖器官の腫瘍は、限定はしないが、前立腺癌及び睾丸癌を含む。
女性生殖器官の腫瘍は、限定はしないが、子宮内膜癌、頚部癌、卵巣癌及び膣癌を含む。
これらの障害はヒトに特徴的であるが、他の哺乳類にも同様の病因が存在し、本発明の医薬組成物で治療することができる。
【0047】
治療使用のために、該化合物が、任意の従来の投与形態の任意の従来の様式で投与され得る。投与ルートは、限定はしないが、静脈内、筋内、皮下、滑液嚢内、点滴、舌下、経皮、経口、局所又は吸入を含む。投与の好ましい様式は、経口及び静脈内である。
ここに記載されている化合物は、単独で投与され得るか、又は該阻害剤の安定性を強化する、いくつかの実施態様でそれらを含有する医薬組成物の投与を容易にする、増加した溶解又は分散を提供する、阻害活性を増加させる、付加治療を提供するなどの補助剤で他の活性成分を含むものと組み合わされて投与され得る。有利には、そのような組み合わせ治療は、より低用量の従来の治療剤を用い、それによってそれらの薬剤が単独治療剤として用いられるときに起こり得る毒性及び被る副作用を回避する。本発明の化合物は、従来の治療剤又は他の補助剤と物理的に組み合わされて単独の医薬組成物となり得る。他の治療剤との組み合わせは、限定はしないが:アンギオテンシンII受容体部ロッカー、アンギオテンシン転化酵素阻害剤、CETP阻害剤/apoA1類似物、アデノシン二リン酸塩(P2Y12)阻害剤、直接トロンビン阻害剤、アルドステロン拮抗薬、Xa因子阻害剤、ナトリウム利尿ペプチド(ANP/BNP)、レニン阻害剤、抗不整脈剤、チマーゼ阻害剤、HMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン系)、Rhoキナーゼ阻害剤、ベータ-ブロッカー、リポ蛋白質関連ホスホリパーゼA2阻害剤、心臓グリコシド、カルシウムチャネルブロッカー、利尿剤、フィブリン酸、エンドセリン受容体拮抗薬、GPIIb/IIIa阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、ヘパリン、ニコチン酸誘導体、バソペプチダーゼ阻害剤、亜硝酸化合物及び硝酸塩、脂肪酸酸化阻害剤、経口抗凝血剤、アシル-CoA:コレステロールアシル転移酵素阻害剤、血栓溶解剤、ミクロソームトリグリセリド転移蛋白質阻害剤、チアゾリジンジオン、アデノシン受容体変調剤、コレステロール吸収阻害剤、糖化最終産物/受容体(AGE/RAGE)相互作用変調剤/ブロッカー、アセチルサリチル酸、ジピリダモール、遺伝子治療剤及び細胞治療剤を含む。
【0048】
有利には、そのような組み合わせ治療はより低用量の従来の治療剤を用い、それによってそれらの試薬を単独治療財として用いたときに起こり得る毒性及び被る副作用を回避する。本発明の化合物は、従来の治療剤又は他の補助剤と物理的に組み合わされて単独の医薬組成物となり得る。有利には、該化合物は続いて単独の投与形態で一緒に投与され得る。一部の実施態様では、そのような化合物の組み合わせを含む医薬組成物が、その化合物又は組み合わせの少なくとも約5%(w/w)、さらに好ましくは少なくとも約20%を含有する。本発明の化合物の最適な割合(w/w)は変化し、当業者の範囲内である。あるいは、該化合物は別々に(連続的に又は同時に)投与され得る。別々の投与は投与規則をより柔軟にする。
【0049】
上記のように、上記化合物の投与形態は、当業者に公知の医薬的に許容されるキャリア及び補助剤を含む。これらのキャリア及び補助剤は、例えば、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清蛋白質、緩衝物質、水、塩又は電解質及びセルロース系物質を含む。好ましい投与形態は、錠剤、カプセル、カプレット、液体、溶液、懸濁液、エマルジョン、トローチ剤、シロップ、再構成粉末、顆粒、座薬及び経皮パッチを含む。そのような投与形態を調製するための方法は公知である(例えば、H.C. Ansel and N.G. Popovish, Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 5th ed., Lea and Febiger (1990)を参照)。投与濃度及び要求は当技術分野でよく認識されており、当業者によって利用可能な方法及び特定の患者に好適な技術から選択され得る。一部の実施態様では、投与濃度は70kgの患者で約1-1000mg/投与である。1日に1回の投与で十分となり得るが、1日に5投与以下で与えられ得る。経口投与では、2000mg/日以下が必要となり得る。当業者に理解されるように、より少ない又は多い用量が特定の因子に依存して必要となり得る。例えば、特定の用量及び治療規則は、患者の一般的な健康プロフィール、患者の障害又はその性質の重症度及び経過、及び治療する医師の判断などの因子に依存する。
“患者”という用語は、ヒト及びヒト以外の哺乳類の両方を含む。
“有効量”という用語は、それが投与又は使用される場合において、所望の効果又は結果を達成するのに十分な本発明の化合物の量を意味する。状況によって、有効量という用語は、医薬的有効量又は診断上有効量を含むか又は同義語である。
【0050】
“医薬的有効量”又は“治療上有効量”という用語は、それを必要としている患者に投与されるときに該化合物が効能を有する疾患-病態、条件、又は障害のための治療を行うのに十分である本発明の化合物の量を意味する。そのような量は、研究者又は臨床医学者によって探求される組織、系、又は患者の生物学的又は医学的応答を誘発するのに十分である。治療上有効量を構成する本発明の化合物の量は、該化合物及びその生物学的活性、投与に用いられる組成物、投与時間、投与ルート、該化合物の排出速度、治療の持続時間、治療される疾患-病態又は障害の種類及びその重症度、本発明の化合物と組み合わせか又は同時に用いられる薬剤、及び年齢、体重、一般的な健康、性別、及び患者の食生活などの因子に依存して変化する。そのような治療上有効量は、自身の知識、先行技術、及びこの開示に認識のある当業者によって容易に決定され得る。
【0051】
“診断的有効量”という用語は、診断方法、装置、又は評価に用いられるときに、所望の診断効果又は診断方法、装置、又は評価に必要な所望の生物学的活性を達成するのに十分である本発明の化合物の量を意味する。そのような量は、診断方法、装置、又は評価において生物学的又は医学的応答を導くのに十分であり、これは患者内又は生体外又は生体内の組織又は系における生物学的又は医学的応答を含み、研究者又は臨床者に探求される。診断的有効量を構成する本発明の化合物の量は、該化合物及びその生物学的活性、用いられる診断方法、装置、又は評価、投与に用いられる組成物、投与時間、投与ルート、該化合物の排出速度、治療の持続時間、治療される疾患-病態又は障害の種類及びその重症度、本発明の化合物と組み合わせか又は同時に用いられる薬剤及び他の化合物、及び患者が診断投与の対象となる場合は、年齢、体重、一般的な健康、性別、及び患者の食生活などの因子に依存して変化する。そのような治療上有効量は、自身の知識、先行技術、及びこの開示に認識のある当業者によって容易に決定され得る。
【0052】
“治療する”又は“治療”という用語は、患者における疾患-病態の治療を意味し、以下を含む:
(i)該患者に疾患-病態が発生することを予防する、特に、そのような患者が遺伝学的かそれ以外の要因で該疾患-病態に罹りやすいが、それを有するとは診断されていないときに予防する;
(ii)患者における該疾患-病態を阻害又は改善させる、すなわち、その進行を止める又は遅らせる;又は
(iii)患者における該疾患-病態を除去する、すなわち、該疾患-病態の回復又は治癒を引き起こす。
【0053】
チマーゼ阻害のための試験管内評価
チマーゼ評価を、15μLの全容積で非結合性表面を有するCorning black opaque 384-ウェルのマイクロタイタープレート(Corning, NY)において行った。検定緩衝液は、20mMのトリスHClのpH8.0、50mMのNaCl、0.01%のCHAPSを含んだ。試験化合物は、清潔なDMSOで10mMのDMSOストックからの96-ウェルのポリプロピレンプレートにおいて連続して3倍に希釈し、10点の投与応答曲線を得た。3μLの得られたDMSO溶液を384-ウェルのポリプロピレンプレートに二通りで移し、37μLの検定緩衝液を加えた。チマーゼを3μLの検定緩衝液における検定プレートに加え、続いて2μLの適切な化合物希釈液をPlateMate Plus(Matrix Technologies Corp., Hudson, NH)を用いて加えた。反応は、10μLのローダミン110、ビス-(サクシノイル-L-アラニル-L-アラニル-L-プロリル-L-フェニルアラニルアミド)(American Peptides, Sunnyvale, CA)を、150μMのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP, Pierce Chemical, Rockford, IL)を含有する検定緩衝液に、マルチドロップ(Thermo Electron Corp., Waltham, MA)を用いて加えることによって開始した。最終的な検定濃度は、500pMのチマーゼ、100nMの基質、100μMのTCEP、及び1%のDMSOとした。プレートは28℃及び80%の湿度で1時間培養し、そのときに蛍光発光をViewlux 1430 Microplate Imager(Perkin Elmer Life Sciences, Boston, MA)で485nmの励起状態、530nmの放出状態、及びフルオレセイン二色性ミラーで読んだ。対照値の割合は、チマーゼを差し引いた完全反応を含有する検定ブランク、及び化合物の代わりに1%のDMSOを有する検定緩衝液を含有する100%の対照と比較して計算した。IC50値は、XLFit4(IDBS Software)を用いてデータを合わせることによって得た。
本発明の好ましい化合物は、1μM以下の活性を有する。
本願明細書に引用されている全ての特許引例及び文献引例を、それらの全体を参照としてここに組み込む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【化1】

(I)
式中、
R1及びR2は独立して、水素、ハロゲン、トリハロアルキル、トリハロアルコキシ、シアノ、ヒドロキシル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、-CORd、-COORd、-CON(Rc)Rd、-N(Rc)Rd、-N(Rc)CORdであり、各Rdは独立して、水素、C1-6直鎖又は分枝アルキル又はシクロアルキル、C1-6直鎖又は分枝アルケニル又はヘテロシクリルであるか、又はR1及びR2は一緒になって-O-CH2-O、-O-CH2-CH2-O-又は-CH2-CH2-CH2-を表し、
各基は独立して、ハロゲンで置換されていてもよいC1-4アシル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、カルボキシ、カルボキサミド、ハロゲン、ヒドロキシル及びフェニルから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
Aは、1個以上の-O-、-S-、-SO-、-SO2-及び-NRa-で中継されていてもよく、それらがハロゲン、C1-6直鎖又は分枝アルキル、C1-6直鎖又は分枝アルコキシ、C1-6直鎖又は分枝アルキルチオ、C1-6直鎖又は分枝アルキルスルホニル、フェニル及びオキソから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよいC1-C7直鎖、分枝又は環状アルキル基であり;
Eは、-COORe、-SO3Re、-CONHRe、-SO2NHRe、-NHSO2Re、-CONHSO2Re、-SO2NH-CO(Rf)、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであり、各Reは独立して、水素、C1-4アルキル又はアリールであり、及びRfはC1-4アルキル又はアリールであり;
Gは、-O-、-S-、-SO2又は-NRa-の1個以上で中継されていてもよいC1-6直鎖又は分枝アルキルであり、該アルキル基は、ヒドロキシル、シアノ、C1-6直鎖又は分枝アルキル又はC1-6直鎖又は分枝アルコキシで置換されていてもよく;
Mは、メチレン基、酸素、-N(Rb)-、又は-S(O)m-であり、mは0-2の整数であり;及び、前記メチレン基は、ヒドロキシル、シアノ、C1-6直鎖又は分枝アルキル、C1-6直鎖又は分枝アルコキシ、トリハロメチル、トリハロメトキシ、フェニル及びオキソから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく;
Jは、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子からなる群から選択される1個以上のヘテロ原子をその環に含有する4-10個の炭素原子の単又は多置換されていてもよい芳香族炭素環又はヘテロ芳香族基であり;前記芳香族又はヘテロ芳香族基における各置換基は、1個以上のハロゲンで置換されていてもよいハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1-6直鎖又は分枝アルキル、C1-6直鎖又は分枝アルコキシ、C1-6直鎖又は分枝アルキルチオ、C1-6直鎖又は分枝アルキルスルホニル、フェニルスルホニル、C1-6直鎖又は分枝アシル、C1-6直鎖又は分枝アシルアミノ、トリハロメチル、トリハロメトキシ、フェニル、オキソ、-COORa、-CON(Rc)Ra、SO2N(Rc)Ra、-N(Rc)Ra及びフェノキシから選択され;
Ra、Rb及びRcはそれぞれ独立してC1-3アルキル又は水素である。
【請求項2】
請求項1記載の化合物。
式中:
R1及びR2は以下のように結合しており:及び
【化2】

独立して、水素、Cl、Br、F、I、トリハロアルキル、トリハロアルコキシシアノ、ヒドロキシル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、-CORd、-COORd、-CON(Rc)Rd、-N(Rc)Rd、-N(Rc)CORdであり、各Rdは独立して、水素、C1-6直鎖又は分枝アルキル又はシクロアルキル、C1-6直鎖又は分枝アルケニル又はピロール、ピロリジニル、ピラゾール、イミダゾール、フラン、テトラヒドロフラン、オキサゾール、チオフェン、テトラヒドロチオフェン及びチアゾールから選択されるヘテロシクリルであり、各環は硫黄ヘテロ原子を有しており、該硫黄は-S-、-S(O)-又は-S(O)2-であるか、又はR1及びR2は一緒になって-O-CH2-O、-O-CH2-CH2-O-又は-CH2-CH2-CH2-を表し、
各基は、C1-4アシル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、アミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、カルボキシ、カルボキサミド、Cl、Br、F、I、ヒドロキシル及び1〜3個のCl、Br、F、Iで置換されていてもよいフェニルから選択される1〜3個の置換基で独立して置換されていてもよく;
Aは、アミノ、シアノ、カルボキシ、カルボキサミド、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、フェニル、C1-6直鎖又は分枝アルキル及びC1-6直鎖又は分枝アルコキシから選択される1〜3個の置換基で独立して置換されていてもよいC1-C7直鎖、分枝であり;
Eは、-COORe、-SO3Re、-CONHRe、-CONHSO2Re、-SO2NH-CO(Rf)、テトラゾール-5-イル、5-オキソ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、5-オキソ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル、5-チオキソ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、5-チオキソ-1,2,4-チアジアゾール-3-イル、3-オキソ-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル、N3,5-ジオキソ-5-オキサジアゾリジノ、2-オキソ1,3,4-オキサジアゾール-2-イル、3-オキソ1,2,4-トリアゾール-5-イル又は2,ジオキソ-ベンゾチアジアジン-6-イルであり、各Reは独立して、水素、C1-4アルキル又はフェニルであり、及びRfはC1-4アルキル又はアリールであり;
Gは、ヒドロキシル、シアノ、C1-6直鎖又は分枝アルキル及びC1-6直鎖又は分枝アルコキシから選択される置換基で置換されていてもよいC1-4直鎖又は分枝アルキルであり;
Mはメチレン基、酸素、-N(Rb)-、又は-S(O)m-であり、mは0-2の整数であり;
Jは、一又は二置換されていてもよいフェニル、ナフチル、ベンゾチエニル、ベンゾピロリル、ベンズイミダゾリル、インドリルであり;前記芳香族又はヘテロ芳香族基における各置換基は、1個以上のハロゲンで置換されていてもよいハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1-4直鎖又は分枝アルキル、C1-4直鎖又は分枝アルコキシ、C1-6直鎖又は分枝アルキルチオ、C1-6直鎖又は分枝アルキルスルホニル、フェニルスルホニル、C1-6直鎖又は分枝アシル、C1-6直鎖又は分枝アシルアミノ、トリハロメチル、トリハロメトキシ、フェニル、オキソ、-COORa、-CON(Rc)Ra、-SO2N(Rc)Ra、N(Rc)Ra及びフェノキシから選択される。
【請求項3】
請求項2記載の化合物。
式中:
R1及びR2は独立して水素、Cl、F、トリハロメチル、トリハロメトキシ、シアノ、ヒドロキシル、C1-2アルキル、C1-4アルコキシ、-CORd、-CON(Rc)Rd、-N(Rc)Rd、-N(Rc)CORdであり、各Rdは独立して、水素又はC1-6直鎖又は分枝アルキル、C1-6直鎖又は分枝アルケニル、フラン、テトラヒドロフラン、チオフェン及びテトラヒドロチオフェンであり、各環は硫黄ヘテロ原子を有しており、該硫黄は-S-、-S(O)-又は-S(O)2-であるか、又はR1及びR2は一緒になって-O-CH2-CH2-O-を表し、各基は、C1-4アルキル、C1-4アルコキシアミノ、シアノ、カルボキシ、カルボキサミド、Cl、Br、F、I及びヒドロキシルから選択される1〜3個の置換基で独立して置換されていてもよく;
Aは、フェニル及びC1-3アルキルから選択される1個の置換基で置換されていてもよい-(CH2)3-基であり;
Eは-COOReであり、Reは水素又はメチルであり;
GはC1-2アルキルであり;
Mはメチレン基、酸素、-NH-、-N(CH3)-又は硫黄であり;
Jは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ及びC1-6直鎖又は分枝アルキルから選択される1〜3個の基でそれぞれ置換されていてもよいナフチル、ベンゾチエニル、ベンゾピロリル、ベンズイミダゾリル、インドリルである。
【請求項4】
式(II)の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【化3】

(II)
式(II)の式中、以下の成分は、
【化4】

以下の表IのA1-A8から選択され、以下の表IのB1-B19から選択されるいずれかの以下の成分、
【化5】

表IのC1-C8から選択されるいずれかの以下の成分、
【化6】

と組み合わされる。
表I





【請求項5】
式(III)の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【化7】

(III)
式(III)中、以下の成分は、
【化8】

以下の表IのA1-A15から選択され、表IIのB1-B19から選択されるいずれかの以下の成分、
【化9】

と組み合わされる。
表II







【請求項6】
以下の表から選択される化合物又はその医薬的に許容される塩。
表III





【請求項7】
以下の表から選択される化合物又はその医薬的に許容される塩。
表IV

【請求項8】
治療上有効量の請求項1記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項9】
患者に医薬的有効量の請求項1記載の化合物を投与する工程を含む、慢性心不全(非虚血性)、心筋梗塞後の心不全(虚血性)、急性心筋梗塞、再潅流傷害左質不全機能障害、心臓線維症、拡張性心不全及び肥大性心筋症を含む心不全、肺高血圧、収縮期高血圧及び抵抗性抗血圧を含む高血圧を含み、冠状動脈疾患、末梢動脈閉塞性疾患、動脈瘤、安定/不安定アンギナ、再狭窄、糖尿病性ネフロパシー、心房細動/心室性不整脈、弁膜心疾患、心膜疾患、慢性腎臓疾患、末期腎不全及び脳梗塞から選択される疾患又は病態を治療する方法。
【請求項10】
冠状動脈バイパス接合、経皮冠動脈インターベンション及びステントグラフト留置術から選択される医療手技を必要とする疾患又は病態を治療する方法であって、患者に医薬的有効量の請求項1記載の化合物を投与する工程をさらに含む、方法。

【公表番号】特表2010−505863(P2010−505863A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531533(P2009−531533)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/079660
【国際公開番号】WO2008/045688
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】