説明

チャンバの扉開閉機構及びそれを備える真空装置

【課題】扉を開閉するために必要なスペースを別途設けることなく設置することができ、また、扉を作業用の足場として用いることにより作業性を向上させることができるチャンバの扉開閉機構を提供することを目的とする。
【解決手段】チャンバ1の側面に設けられた開口7を開閉する扉2と、扉2を駆動する駆動装置60と、を備え、駆動装置60は、上端部が開口7に沿って移動しながら下端部が開口7に対し離隔及び当接して扉2が開口7を開放及び閉鎖するように該扉2を駆動する、チャンバの扉開閉機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャンバの扉開閉機構及びそれを備える真空装置に関する。
【背景技術】
【0002】
真空成膜装置は、チャンバ内に基材及び膜材料が供給された後に、チャンバ内を真空雰囲気にまで減圧し、供給された基材を膜材料で成膜する装置である。このような真空成膜装置のチャンバには、基板等を出し入れするための扉が設けられている。
【0003】
このような扉を開閉する装置として、扉往復動機構によりチャンバの開口部に沿って扉を上下にスライドさせることにより、扉の開閉を行う扉開閉機構が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−303277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている扉開閉機構では、チャンバの開口部を開放するときに扉を下方にスライドさせるためのスペースを設けるために、真空成膜装置が設置される床を掘り下げる工事が必要となり、未だ改善の余地があった。また、上述の扉開閉機構ではチャンバ内の上部を清掃する等、チャンバ内の作業を行うためには、作業用の足場が必要となるので、その作業が煩雑となっていた。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、真空装置が設置される場所に扉を開閉するために必要なスペースを別途設けることなく設置することができ、また、扉を作業用の足場として用いることにより作業性を向上させることができるチャンバの扉開閉機構及びそれを備える真空装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明に係るチャンバの扉開閉機構は、チャンバの側面に設けられた開口を開閉する扉と、前記扉を駆動する駆動装置と、を備え、前記駆動装置は、上端部が前記開口に沿って移動しながら下端部が前記開口に対し離隔及び当接して前記扉が前記開口を開放及び閉鎖するように該扉を駆動する
これにより、扉を作業用の足場として用いることができ、作業性を向上させることが可能となる。
【0007】
前記駆動装置は、上端部を前記開口に沿って移動可能なように案内するガイド機構と、前記扉の下端部を前記開口に対し離隔及び当接するよう駆動する駆動機構と、を備えていてもよい。
【0008】
前記ガイド機構は、前記扉の上端部に配設された係合部材と、前記チャンバの側面に前記開口に沿って延びるように配設され、前記係合部材と係合してこれをその延在方向に案内するガイド部材と、を備えていてもよい。
【0009】
前記駆動機構は、前記扉の下端部を水平方向に駆動して該下端部を前記開口に対し離隔及び当接させるように構成されてもよい。
【0010】
前記駆動装置は、前記扉の下端部を任意の位置で停止させるように構成されていてもよい。
【0011】
前記扉を、水平な姿勢に維持しながら昇降させる昇降装置を備えていてもよい。
【0012】
また、本発明に係る真空装置は、上記いずれかのチャンバの扉開閉機構と、
前記扉開閉機構の扉によって開閉される開口をその側面に有し、内部を減圧可能なチャンバと、を備える真空装置。
【0013】
これにより、扉を上下動させないで扉の開閉を行うので、扉を開閉するために必要なスペースを別途設けることなく設置することが可能となり、また、真空装置の設置スペースが狭くても、真空装置を設置することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の扉開閉機構及び真空成膜装置によれば、扉を開閉するために必要なスペースを別途設けることなく設置することができる。また、扉を作業用の足場として用いることにより作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る真空装置100の構成の概略を示す斜視図である。図2は、図1の真空装置100の扉を作業用の足場として使用している状態を示す模式図である。図3は、図1の真空装置100の駆動機構3の一部を拡大した模式図である。図3(a)は、駆動機構3の一部を拡大した模式図であり、図3(b)は、脚部材を拡大した模式図であり、図3(c)は、図3(b)のA−A断面図であり、図3(d)は、図3(b)のB−B断面図である。
【0016】
まず、本実施の形態1に係る真空装置の構成について、図1乃至図3を参照しながら説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態1に係る真空装置100は、チャンバ1と、扉2と、駆動機構3と、ガイド機構4と、密閉機構6と、を有している。駆動機構3とガイド機構4から駆動装置60が構成され、扉2と駆動装置60から扉開閉機構5が構成される。
【0018】
チャンバ1は、高さを調整するための架台24の上に設けられており、直方体状に形成された筐体で構成されている。架台24の側面は、チャンバ1の側面と実質的に一致する形状を有している。
【0019】
チャンバ1の内部空間には、基材(図示せず)等が設けられており、この基材等を出し入れするための開口7がチャンバ1の一の側面に設けられている(以下、この開口7が設けられている面を前面として説明する。なお、真空装置100における左右方向の概念を、チャンバ1の前面方向に向いたときの左側を左方向とし、右側を右方向としている。以下、図2及び図5においても同様である。)。この開口7を開閉するための扉2が、チャンバ1の前面に設けられている。また、チャンバ1の上端面の外壁には、密閉機構6が設けられている。一方、チャンバ1の側面の外壁には、ガイド機構4が設けられており、その下方には、駆動機構3が設けられている。なお、ここでは、チャンバ1の形状を直方体状としたが、これに限られず、側面に開口7を有すれば、円筒状等であってもよい。開口7は、水平方向に対して垂直となるように設けているが、これに限られず、水平方向に対して斜めに設けてもよい。また、チャンバ1には、図示されない真空ポンプが適宜な配管によって接続されており、この真空ポンプにより真空引きされ、チャンバ1の内部空間は成膜作業が可能なレベルの真空度にまで速やかに減圧される。
【0020】
チャンバ1の両側面の下方には、一対のボールネジ8が扉2を挟んで前後方向に延びるように設けられている。ボールネジ8の後端は、減速器9aを介して、モータ9に接続されている。モータ9は、適宜な手段によってチャンバ1に接続されている。これにより、モータ9の回転が、減速器9aで減速されてボールネジ8に伝達される。
【0021】
各ボールネジ8には、可動体10が螺合されている。右側の可動体10の左側面の前端部及び後端部には左方に突出するように一対の板状の当接片11A、11Bが設けられており(図5参照)、左側の可動体10(図示せず)の右側面の前端部及び後端部には右方に突出するように一対の板状の当接片11A、11B(図示せず)が設けられている。これにより、モータ9が正転及び逆転するとボールネジ8が回転して可動体10及び当接片11A、11Bが一体となって前方向及び後方向に移動する。なお、ここでは、モータ9をボールネジ8の後端部に設けているが、先端部に設けてもよい。
【0022】
一方、扉2の左右の側面の下端部には一対のL字状の脚部材13、13が配設されている。各脚部材13は水平方向に伸びる第一部分13aと、該第一部分13aの先端から該第一部分13aに垂直な方向に延びる第二部分13bと、該第二部分13bの先端に形成された嵌合部13cとを有している。嵌合部13cは下面が開放された直方体形状の箱状に形成され、その上面の中央部に第二部分13bの先端が接続されている。嵌合部13cの内部には、回転軸51が第一部分13aに平行に配設されている。回転軸51には、ローラ14が回動自在に取り付けられている。回転軸51は、ローラ14の下部が嵌合部13cの下端から露出するような位置に配設されている(図3参照)。右側の脚部材13においては、第一部分13aが扉2の右側面の下端部に右方に突出するように回動自在に配設されている。左側の脚部材13(図示せず)においては、第一部分13a(図示せず)が扉2の左側面の下端部に左方に突出するように回動自在に設けられている。左右の脚部材13、13の第一部分13a、13aは、その回動軸が互いに一致するように配設されている。
【0023】
そして、左右の可動体10の一対の当接片11A、11Bの間に、左右の脚部材13の嵌合部13cが、それぞれ、若干の隙間を有して嵌挿されている。
【0024】
これにより、各脚部材13のローラ14は床上に位置し、各脚部材13は、可動体10の一対の当接片11A、11Bに規制されて、略直立する(第二部分13bが略鉛直になる)。そして、扉2は、一対の脚部材13、13によって、傾動自在に床上に支持される。また、可動体10の前後方向への移動に伴って扉2の下端が前後方向に移動する。
【0025】
ガイド機構4は、真空装置100の右側部と左側部とにそれぞれ設けられている。このガイド機構4は、チャンバ1の中心面に対し互いに対称に設けられている。
【0026】
扉2の左右の側面の上端部には、一対の係合部材18、18が配設されている。係合部材18は、L字状のガイドアーム15、ローラ16及び回転軸17を有している。各ガイドアーム15は水平方向に伸びる第一部分15aと、該第一部分15aの先端から該第一部分15aに垂直な方向に延びる第二部分15bとを有している。第二部分15bの先端部には、回転軸17が第一部分15aの先端から基端に向かう方向に延びるように配設されている。回転軸17には、ローラ16が回動自在に取り付けられている。右側のガイドアーム15においては、第一部分15aが、扉2の右側面の上端部に右方に突出するように、かつ、第二部分15bが後方で、かつ、斜め上方を向くように固設されている。左側のガイドアーム15(図示せず)においては、第一部分15a(図示せず)が、扉2の左側面の上端部に左方に突出するように、かつ、第二部分15bが後方で、かつ、斜め上方を向くように固設されている。左右のガイドアーム15、15に配設された回転軸17、17は、中心軸が互いに一致しかつそれぞれチャンバ1の左右の側面に接触するように配設されている。これにより、扉2の上端部がチャンバ1の左右方向において位置決めされる。
【0027】
一方、チャンバ1の左右の側面には、それぞれ、一対の板状のローラガイド(ガイド部材)19、20が各々の側面に垂直に配設されている。各々の一対のローラガイド19、20はローラ16を挟み、かつ、互いに平行に上下方向に延びるように配設されている。ローラガイド19とローラガイド20とはローラ16の直径より若干大きい間隔を有して配設されている。ここで、扉2の下端部が全閉位置から前方に移動すると、ローラ16はローラガイド19に沿って下降し、それに連れて、扉2の上端部がローラ16の回転軸17の中心軸を中心にチャンバ1の前面に接近するように回動する。そこで、ローラガイド19は、扉2の上端部がチャンバ1の前面と干渉しないで回動可能な前後方向における位置に配置されている。一方、このようにローラガイド19が配置され、かつ、これと所定の間隔を有してローラガイド20が配置された状態で、扉2の下端部が前方から全閉位置に復帰すると、ローラ16はローラガイド20に沿って上昇し、それに連れて、扉2の上端部がローラ16の回転軸17の中心軸を中心にチャンバ1の前面から離隔するように回動する。そして、この回動が完了した時点では、扉2の上端部とチャンバ1の前面とが離隔した状態となる。そこで、ローラガイド20では、扉2の下端部が全閉位置に復帰した状態で、扉2の上端部がチャンバ1の前面に接触するように、その上端部20aが後方に傾斜していて、ローラ16を後方に逃がしている。
【0028】
また、ローラガイド19の下部には、複数の貫通孔21が鉛直方向に並ぶように設けられており、ローラガイド20の下部にも、上下方向及び左右方向においてローラガイド19の貫通孔21と同じ位置に貫通孔22が設けられている。この貫通孔21、22には、作業者によってストッパ23が嵌挿される。
【0029】
密閉機構6は、コ字状の可動体6aと駆動部6bを有している。可動体6aの基端部は、駆動部6bと接続されている。そして、駆動部6bにより、可動体6aは、この接続されている棒状部分を中心にして回動され、また、前後方向に進退される。これにより、可動体6aの先端部が、扉2の表面と離隔及び当接することができる。駆動部6bは、例えば、エアシリンダと、このエアシリンダのピストンロッドをその進退に伴って回転させる回転駆動機構と、で構成することができる。
【0030】
なお、真空装置100は、装置全体の動作を制御する制御装置(図示せず)を備えている。
【0031】
次に、本実施の形態1に係る真空装置100の扉の開閉動作について、図1乃至図3を参照しながら説明する。この動作は、図示されない制御装置の制御によって実現される。
【0032】
扉2は、図1に示すようにチャンバ1の開口7を閉鎖している状態(全閉状態)にあるとする。このとき、ローラ16は傾斜部20aに位置している。
【0033】
まず、密閉機構6の駆動部6bが作動し、可動体6aを前方に移動させて可動体6aの先端部を扉2の表面から離隔させる。そして、駆動部6bは、扉2が傾動しても可動体6aと干渉しないように可動体6aを回動させる。
【0034】
次に、モータ9を正転させることにより、ボールネジ8を回転させる。これにより、可動体10がボールネジ8の案内に従って前方に移動する。すると、可動体10の当接片11A、11Bの間に嵌挿されている脚部材13が前方に移動し、脚部材13が取り付けられている扉2の下部は前方に移動する。このとき、ローラ14が床上を転がって、脚部材13が移動する。すると、扉2に引っ張られてローラ16がローラガイド19、20に当接してこれに沿って下降する。
【0035】
このようにして、扉2の下部はボールネジ8に沿って前方に、上部はローラガイド19、20に沿って下方向に移動し、扉2全体としては傾動しながらチャンバ1の開口7を開放する。そして、モータ9の回転駆動を停止させると、扉2の下端部は任意の位置で停止し、扉2の傾動は任意の位置で停止する。これにより、傾斜した扉2の表面を作業用の足場として使用をすることができる。このとき、扉2を所定位置で停止し、ストッパ23を貫通孔21、22に嵌挿すると、ストッパ23がローラ16を係止するので、扉2の傾斜角度の位置決めが容易となり、また、扉2が停止した状態をより安定に保つことができる。
【0036】
一方、チャンバ1の開口7を扉2で閉鎖するには、モータ9を逆転させる。すると、扉2が上述の開放動作と逆に動作して、チャンバ1の開口7を閉鎖する。この状態では、扉2は、下部が可動体10でチャンバ1に押圧された状態になる。その後、密閉機構6の駆動部6bが作動して、可動体6aの先端部が扉2に当接するように可動体6aを回転させる。次に、駆動部6bは、可動体6aを後方に移動させて、可動体6aの先端部を扉2に当接させ、扉2の裏面とチャンバ1の前面とが密閉されるように可動体6aで扉2の上部を押圧させる。これにより、扉2の下部が可動体10により押圧されるとともに、扉2の上部が可動体6aで押圧されて、扉2とチャンバ1とが密閉される。これにより、チャンバ1内の気密状態を保つことができる。
【0037】
このような構成することにより、扉を上下動させないで扉の開閉を行うので、扉を開閉するために必要なスペースを別途設けなくても設置することが可能となり、また、真空装置の設置スペースが狭くても、真空装置を設置することが可能となる。また、扉が傾斜した状態を安定して維持することができるので、チャンバ内の清掃や基材ホルダに基材を取り付けるなどのチャンバ内の作業を行うときの作業用の足場として扉の表面を使用することができ、作業性を向上させることが可能となる。
【0038】
次に、本実施の形態の変形例について説明する。
【0039】
[変形例]
図4は、本実施の形態に係る真空装置100の変形例の概略を示す側面図である。なお、以下の説明では、図1と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
図4に示すように、本変形例の真空装置100aでは、モータ6に代えて流体シリンダ25を、ボールネジ8に代えてピストンロッド26を用いて可動体10を移動させる構成としている。流体シリンダ25は、ピストンロッド26を有していて、ピストンロッド26の先端に可動体10が接続されている。流体シリンダ25及びピストンロッド26は、チャンバ1の側面の下方に設けられており、ピストンロッド26の先端が開口方向に延びるように配設されている。なお、ピストンロッド26の先端がチャンバ1の前面の後方に延びるように流体シリンダ25及びピストンロッド26を配設してもよい。
【0041】
これにより、流体シリンダ25が作動するとピストンロッド26が前後方向に移動して、これに伴って可動体10が前後方向に移動する。この可動体の移動により、扉2の下部がピストンロッド26に沿って前後方向に移動し、また、扉2の上部がローラガイド19、20に沿って鉛直方向に移動する。このようにして、扉2全体が傾動して、チャンバ1の開口7の開閉を行うことが可能となる。
【0042】
なお、本変形例では、シリンダとピストンロッドを用いて可動体10を移動させる構成としたが、これに限られず、ローラネジやクランク機構を用いて可動体10を移動させるような構成としてもよい。
【0043】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る真空装置100bの構成の概略を示す斜視図である。
【0044】
図5に示すように、本実施の形態では、扉2の開放動作を行った後に、扉2の裏面をリフタ(昇降装置)27、28によって扉2を昇降させるように構成されている。
【0045】
リフタ27、28は、平面視において扉2を挟むように設けられている。扉2の下方には、板部材29が、リフタ27のテーブル部27aの上面とリフタ28のテーブル部28aの上面とに架け渡すように設けられている。
【0046】
まず、モータ9を回転させて扉2を傾動させる。やがて、扉2が水平より若干傾斜した位置になるとモータ9を停止させる。この扉の位置が、その全開位置である。この扉の全開位置は、図示されない制御装置に予め設定されている。あるいは、位置センサで、可動体10又はガイドアーム15の全開位置における位置を検出して扉2を停止させるように構成してもよい。次に、リフタ27、28を作動させて、テーブル部27a、28aを同時に上昇させると、脚部材13の嵌合部13cは、当接片11A、11Bから脱離する。さらに、リフタ27、28を作動させると、板部材29の上面が扉2の裏面と当接して、扉2を上昇させる。このとき、ローラガイド19、20がローラ16をガイドして、扉2を水平な姿勢を保った状態で安定して上方に移動させる。そして、リフタ27、28を停止させることにより、扉2を任意の位置でその移動を停止させることができる。一方、チャンバ1の開口7を扉2で閉鎖するには、扉開閉装置5に上述の動作と逆の動作を行わせる。
【0047】
これにより、扉2は板部材29を介してリフタ27、28によって、より安定に固定されるので、扉2を作業用の足場としてより安全に使用することが可能となる。また、扉2の裏面の清掃が容易となる。
【0048】
なお、本実施の形態では、モータ6とボールネジ8を使用することにより、可動体10を前後方向に移動させる構成としたが、これに限られず、実施の形態1の変形例のようにシリンダとピストンロッドを用いる構成としてもよい。また、ローラネジやクランク機構を用いる構成としてもよい。
【0049】
なお、本発明の実施の形態では、可動体を前後方向に移動させる構成として説明したが、これに限られず、可動体を鉛直方向に移動させるような構成としてもよい。この場合、駆動装置は、上端部を開口に沿って移動可能なように駆動する駆動機構と、前記扉の下端部を前記開口に対し離隔及び当接するよう案内するガイド機構と、を備えており、駆動機構は、チャンバの側面に設けられ、ガイド機構は、チャンバの側面の下方に設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係るチャンバの扉開閉機構は、扉を作業用の足場として用いることにより作業性を向上させることができるので有用である。また、本発明に係る真空装置は、扉を作業用の足場として用いることにより作業性を向上させることができ、また、扉を開閉するために必要なスペースを別途設けることなく設置することができる成膜装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態1に係る真空装置の構成の概略を示す斜視図である。
【図2】図1の真空装置100の扉を作業台として使用している状態の概略を示す模式図である。
【図3】図1の真空装置100の駆動機構3の一部を拡大した模式図であり、(a)は、駆動機構3の一部を拡大した模式図であり、(b)は、脚部材を拡大した模式図であり、(c)は、(b)のA−A断面図であり、(d)は、(b)のB−B断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る真空装置の変形例の概略を示す側面図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る真空装置の構成の概略を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1 チャンバ
2 扉
3 駆動機構
4 ガイド機構
5 扉開閉機構
6 密閉機構
6a 可動体
6b 駆動部
7 開口
8 ボールネジ
9 モータ
10 可動体
11A 当接片
11B 当接片
13 脚部材
13a 第一部分
13b 第二部分
13c 嵌合部
14 ローラ
15 ガイドアーム
15a 第一部分
15b 第二部分
16 ローラ
17 回転軸
18 係合部材
19 ローラガイド
20 ローラガイド
20a 傾斜部
21 貫通孔
22 貫通孔
23 ストッパ
24 架台
25 流体シリンダ
26 ピストンロッド
27 リフタ
27a テーブル
28 リフタ
28a テーブル
29 板部材
51 回転軸
60 駆動装置
100 真空装置
100a 真空装置
100b 真空装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバの側面に設けられた開口を開閉する扉と、
前記扉を駆動する駆動装置と、を備え、
前記駆動装置は、上端部が前記開口に沿って移動しながら下端部が前記開口に対し離隔及び当接して前記扉が前記開口を開放及び閉鎖するように該扉を駆動する、チャンバの扉開閉機構。
【請求項2】
前記駆動装置は、上端部を前記開口に沿って移動可能なように案内するガイド機構と、前記扉の下端部を前記開口に対し離隔及び当接するよう駆動する駆動機構と、を備える、請求項1に記載のチャンバの扉開閉機構。
【請求項3】
前記ガイド機構は、前記扉の上端部に配設された係合部材と、前記チャンバの側面に前記開口に沿って延びるように配設され、前記係合部材と係合してこれをその延在方向に案内するガイド部材と、を備える、請求項2に記載のチャンバの扉開閉機構。
【請求項4】
前記駆動機構は、前記扉の下端部を水平方向に駆動して該下端部を前記開口に対し離隔及び当接させる、請求項3に記載のチャンバの扉開閉機構。
【請求項5】
前記駆動装置は、前記扉の下端部を任意の位置で停止させる、請求項1に記載のチャンバの扉開閉機構。
【請求項6】
前記扉を、水平な姿勢に維持しながら昇降させる昇降装置を備える、請求項1に記載のチャンバの扉開閉機構。
【請求項7】
請求項1に記載のチャンバの扉開閉機構と、
前記扉開閉機構の扉によって開閉される開口をその側面に有し、内部を減圧可能なチャンバと、
を備える真空装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−238242(P2007−238242A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−61532(P2006−61532)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】