説明

チューブの箱詰め装置、箱詰め方法及びチューブの箱詰め装置用作業ハンド

【課題】ロボット等でチューブの箱詰め動作を自動化するにあたり、不用意なチューブの抜き出しを確実に発見できる技術を提供する。
【解決手段】箱詰め装置は、ロボットにより作業ハンド16を移動させてチューブTを箱詰めする。チューブTは予め物品列TAの状態で整列されており、作業ハンド16は各フィンガ18にチューブTを引っ掛けた状態で物品列TAを保持し、収容箱14内に箱詰めする。両側のフィンガ18にはそれぞれ内部にフォトセンサ24が収容されており、その間のフィンガ18には径方向に貫通孔が形成されている。フォトセンサ24の検出光Lは貫通孔を通って一方から投光され、他方で受光される。箱詰め後に作業ハンド16を退出させてフォトセンサ24による検出を行い、チューブTが残存しているか否かを自動的に検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物が充填される前のチューブを千鳥状に積み上げながら箱詰めするチューブの箱詰め装置、箱詰め方法及びチューブの箱詰め装置用作業ハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の箱詰め装置に関して従来、複数本の歯を有するフォークを用いて未充填のチューブを1列ずつ保持し、この状態でフォークを上下、左右、前後に往復移動させながらケース(収容箱)内に積み上げていく先行技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この先行技術は、それまで手作業で行っていた動作をフォーク装置によって自動化したものであり、特に、フォーク装置がチューブ貯留位置と箱詰め位置とを繰り返し往復移動することでチューブの連続的な箱詰め動作を実現している。
【0003】
すなわち上記の先行技術では、予めチューブ貯留位置で未充填のチューブを寝かせた状態(横倒し)でその径方向に1列で並べておき、この状態でフォーク装置が個々のチューブ内にフォークの歯を挿入し、そのままフォークを持ち上げることで、複数本のチューブをフォークの歯に引っ掛けた状態で保持する。またケースは、予め前面側を開放させた状態(横倒し)で設置されており、その前面側の開口を通じて内部にフォークごとチューブを受け入れることができる。そしてフォーク装置は、チューブの列を保持した状態のフォークをケース内(箱詰め位置)に移動させた後、そのままフォークを下降させてチューブを積み上げる。このときフォーク装置は、それまでのチューブの積み込み状況(積み上げ段数)に応じてフォークのストロークを制御する。またフォーク装置は、最端部の歯を回転させる機構を有しており、フォークの歯を1本だけ回転させた状態では、貯留位置から取り出すチューブの数を1本だけ減らすことができる。そしてフォーク装置は、1段おきにチューブの本数を増減しつつ、順に左右方向へフォーク全体を半ピッチだけずらしながら箱詰め動作をさせることで、ケースの底部から千鳥状にチューブを積み上げていき、最終的に最大本数のチューブをケース内に詰め込むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−162418号公報(第1−2頁、第4図、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した先行技術では、ケース内でチューブを積み上げる際に上下動シリンダを用いてフォーク全体を下降させており、このときのストロークは、上記のようにそれまでの積み込み状況に応じて制御されている。さらに先行技術では、チューブの積み上げ完了後にフォークを引き抜く際、チューブ内でのフォークの位置(高さ)を調整し、チューブに歯を接触させないための工夫もなされている。
【0006】
しかしながら、積み上げたチューブの列(段)に対してフォークの位置は、構造上の制約から全体として調整することしかできず、積み上げ後に個々のチューブの位置(高さ)がばらついていると、たとえフォークの位置を全体で調整しても、その中でいずれかの歯がチューブに接触してしまうことがある。
【0007】
すなわち、チューブ自身はある程度の可撓性を有するため、これを寝かせた姿勢で何段にも積み上げていくと、下段(下層)のチューブほど次々と重みがかかって弾性変形が生じていく。このとき、各段内のチューブは全て一様(均等)に変形するわけではなく、その位置によって受ける重みも異なることから、個々にチューブの変形量(歪み)は不均一となる。また、1段あたりの本数が多い段では、その両端に位置するチューブが側方への落下をケース側壁によって支えられた状態にあるが、例えばケース側壁が外側へ湾曲する等により、両端のチューブからケース側壁までの距離が段によって異なっていると、ある高さの段では、他の段に比べて両端のチューブが極端に落ち込んだ位置で止まってしまうことがある。その結果、チューブを積み上げていくうちに各段内のチューブの高さには相当のばらつきが生じてくることから、たとえフォークを引き抜く際にその全体の位置(高さ)を一律に調整したとしても、各段内のどこかでチューブに歯が接触したままになっていることがある。この状態でフォークを引き抜くと、接触している歯がチューブを引っ掛け、一度積み込んだはずのチューブをそのままケース内から抜き出してしまうという問題がある。そうかといって、フォークの引き抜き時にチューブが抜き出されていないかどうかを人員によって一々監視しておくことは極めて非効率であり、何らかの対策が望まれるところである。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑み、チューブの箱詰め動作を自動化するにあたり、不用意なチューブの抜き出しを確実に発見できる技術の提供を課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、軸線方向の少なくとも一端が開口した未充填のチューブを寝かせた状態で径方向に所定本数ずつ並べて物品列を形成し、この物品列を前面が開放する姿勢で設置された収容箱の底部から順に千鳥状に積み上げて箱詰めするチューブの箱詰め装置である。
【0010】
また本発明の箱詰め装置は、上記の物品列を一括して保持するフィンガを有した作業ハンドとともに、この作業ハンドを用いて物品列の箱詰め動作を実行させる動作機構を備えている。特に作業ハンドには検出ユニットが設けられており、この検出ユニットは、物品列の積み上げ動作後に作業ハンドが収容箱から退出された状態で、全てのフィンガにチューブが残存していない場合にのみ検出信号を出力するものである。
【0011】
上記の作業ハンドは、物品列をなす所定本数のチューブに対応してフォーク状に配列された所定本数のフィンガを有しており、これらフィンガをそれぞれチューブの一端開口から内部に挿入し、かつ、個々のチューブをその内周面にてフィンガに引っ掛けた状態で物品列を一括して保持することができる。また動作機構は、物品列を一括して保持した状態の作業ハンドを収容箱の前面側から内部に進入させ、その底部又は先に積載済みの物品列に対して上方から下降させることで保持した状態の物品列を収容箱内に積載した後、作業ハンドを収容箱から退出させるまでの動作を実行させる。
【0012】
その上で本発明では、作業ハンドが収容箱から退出された状態で、全てのフィンガにチューブが残存していなければ、上記の検出ユニットから検出信号が出力される。したがって、検出信号が出力された場合は箱詰め動作が正常に行われたことを意味するので、そのまま問題なく次の動作に移行することができる。逆に検出ユニットは、いずれかのフィンガに1本でもチューブが残存していれば、検出信号を出力しない。これにより、作業ハンドが収容箱から退出されたタイミングで検出ユニットによる検出信号の出力の有無を確認すれば、チューブの箱詰め動作に不具合があったか否かを確実に判断することができる。
【0013】
上記の検出ユニットは、一対の透過型センサ及びその検出光を通過させる光通過路を含むことができる。一対の透過型センサは、例えば投光部と受光部とを対にしたものであり、このうち投光部から発(投光)した検出光を受光部が受光することでセンシングを行う。このような一対の透過型センサは、作業ハンドが有する所定本数のフィンガのうち、フォーク状をなす配列の両端に位置する一対のフィンガにそれぞれ取り付けられている。具体的には、配列の一端に位置するフィンガに投光部が取り付けられ、他端に位置するフィンガに受光部が取り付けられることになる。この状態で一対の透過型センサは、フィンガの配列方向に検出光を投光及び受光する。
【0014】
このとき、配列の両端以外に位置する個々のフィンガには光通過路が形成されているので、上記のように全てのフィンガにチューブが残存していなければ、そのまま問題なく一対の透過型センサによる検出光の投光及び受光が行われる。そしてこの場合、検出ユニットから検出信号が出力されることで、今回(物品列の1段分)の箱詰め動作に不具合がなかったことを確認することができる。逆に、配列内でいずれかのフィンガに1本でもチューブが残存していれば、その残存したチューブが光通過路に干渉して検出光が遮られ、一対の透過型センサ(特に受光部)による検出光の受光が行われない。この場合、検出ユニットからは検出信号が出力されないので、それによって今回の箱詰め動作に不具合が発生したことを確実に発見することができる。
【0015】
より好ましくは、上記の配列の両端に位置する一対のフィンガは、その内部に形成されて一対の透過型センサをそれぞれ収容する収容部と、この収容部内に一対の透過型センサがそれぞれ収容された状態で、フィンガの内外に検出光を通過させる開口部とを有するものである。
【0016】
上記の態様であれば、一対の透過型センサが各フィンガの外側に露出しないため、作業ハンドにより物品列を保持する際、各フィンガをチューブ内に挿入した状態で各透過型センサとチューブとの干渉を避けることができる。また、作業ハンドを収容箱内から退出させる際、不用意に各透過型センサがチューブを引っ掛けてしまうのを防止することができる。
【0017】
また光通過路は、上記の配列の両端以外に位置する個々のフィンガをその配列方向に貫通して形成された貫通孔であり、これら貫通孔が検出光の光軸上に並んで配置されていることが好ましい。
【0018】
この場合、配列の両端に位置する一対のフィンガ間では、その他のフィンガの内部を通過して検出光が投光及び受光されることになる。このため例えば、光通過路を形成するために配列の両端以外に位置するフィンガの全長を短くする必要がなく、配列中で全てのフィンガの全長を同一にすることができる。
【0019】
あるいは本発明において、配列の両端に位置する一対のフィンガは、中空の棒状をなす本体と、この本体の内部に形成されて透過型センサを収容する収容部と、本体の先端に形成されて収容部を本体の先端方向に開放する開口部とを有しており、作業ハンドは、一対の透過型センサをそれぞれ本体の長手方向に往復移動させることで、開口部を通じて収容部内と本体の外部との間で出入りさせる往復機構をさらに有する構成であってもよい。この場合、光通過路は、駆動機構により一対の透過型センサが本体の外部に露出された状態で、配列の両端以外に位置する個々のフィンガの先端面よりも外側の領域に形成される。
【0020】
上記の構成であれば、一対の透過型センサを各フィンガの本体(収容部)に収容した状態で物品列の保持を行い、その箱詰め動作後に作業ハンドが収容箱から退出したタイミングで一対の透過型センサを各フィンガの本体から露出させると、その他のフィンガの先端面をかすめるようにして検出光を投光及び受光させることができる。そして、このとき全てのフィンガについてチューブが残存していなければ、一対の透過型センサによるセンシングに基づき、検出ユニットから検出信号が出力されるので、それによって箱詰め動作に不具合がなかったことを確認することができる。
【0021】
また本発明は、軸線方向の少なくとも一端が開口した未充填のチューブを寝かせた状態で径方向に所定本数ずつ並べて物品列を形成し、この物品列を前面が開放する姿勢で設置された収容箱の底部から順に千鳥状に積み上げて箱詰めするチューブの箱詰め方法を提供する。特に本発明の箱詰め方法は、以下の工程を有するものである。
【0022】
(1)保持工程
この工程では、上記の物品列をなす個々のチューブに対応してフォーク状に配列された所定本数のフィンガを有する作業ハンドを使用する。具体的には、個々のチューブに対してその一端開口を通じて作業ハンドのフィンガをその内部に挿入することにより、個々のチューブをその内周面にてフィンガに引っ掛けた状態にして物品列を一括して保持する。
【0023】
(2)進入工程
この工程では、上記(1)の保持工程を経て、物品列を一括して保持した状態の作業ハンドを収容箱の前面側から内部に進入させる。
【0024】
(3)積載工程
この工程では、上記(2)の進入工程で収容箱の内部に進入させた作業ハンドを収容箱の底部又は先に積載済みの物品列に対して上方から下降させることで、保持した状態の物品列を収容箱内にて積載する。なお、このとき収容箱に未だ物品列が積載されていなければ、収容箱の底部(設置した状態での底面)に最初(1段目)の物品列が積載されることになる。あるいは、先に物品列が積載されていれば、その上に次の段の物品列が積載される。
【0025】
(4)退出工程
この工程では、上記(3)の積載工程で物品列を積載した後、作業ハンドを収容箱から退出させる。これにより、通常は各チューブ内からフィンガが抜き取られるので、積載済みの物品列だけが収容箱内に残った状態となる。
【0026】
(5)検出工程
この工程では、上記(4)の退出工程を経て収容箱から作業ハンドを退出させた状態で、全てのフィンガについてチューブが残存していない場合にのみ検出信号を出力する。逆に、いずれかのフィンガに1本でもチューブが残存していれば、検出信号を出力しない。
【0027】
本発明の箱詰め方法によれば、上記(5)の検出工程において、全てのフィンガにチューブが残存していなければ、その旨を表す検出信号が出力される。したがって、検出信号が出力された場合は上記(1)〜(4)の各工程を通じてチューブ(物品列)の箱詰め動作が正常に行われたことを意味するので、そのまま問題なく次の動作に移行することができる。逆に上記(5)の検出工程において、いずれかのフィンガに1本でもチューブが残存していれば、ここでは検出信号が出力されない。したがって、検出工程において検出信号の出力の有無を確認すれば、一連のチューブの箱詰め動作に不具合があったか否かを確実に判断することができる。
【0028】
本発明のチューブの箱詰め方法において、上記(5)の検出工程で検出信号の出力がなされた場合、次に改めて(1)保持工程を実行して新たに別の物品列を保持した後、(2)の進入工程、(3)の積載工程及び(4)の退出工程を経て、さらに(5)の検出工程を実行する。一方、上記(5)の検出工程で検出信号の出力がなされない場合、(1)の保持工程を実行することなくアラームを出力することができる。
【0029】
上記の手順を採用すれば、(1)〜(5)の各工程の作業を全て自動化している場合であっても、その間の箱詰め動作に不具合があれば、それ以上の自動作業を停止してアラームが出力される。このため例えば、不具合が発生した場合の人員による確認や復旧作業を速やかに促し、その復旧後は改めて(1)の保持工程から自動作業を再開させることができる。これにより、不具合によって箱詰め作業が中断する時間を短縮し、その作業効率の向上に寄与することができる。
【0030】
また本発明は、軸線方向の少なくとも一端が開口した未充填のチューブを寝かせた状態で径方向に所定本数ずつ並べて形成した物品列を、前面が開放する姿勢で設置された収容箱の底部から順に千鳥状に積み上げて箱詰めするチューブの箱詰め装置用作業ハンドとして構成することもできる。
【0031】
すなわち、本発明の箱詰め装置用作業ハンドは、箱詰め対象となる物品列をなした所定本数のチューブに対応してフォーク状に配列された所定本数のフィンガを備える。これらフィンガは、各チューブの一端開口を通じてその内部に挿入されることで個々のチューブをその内周面にて引っ掛けた状態にして物品列を一括して保持可能である一方、この保持状態にて物品列を収容箱の内部でその底部又は先に積載済みの物品列に対して上方から下降させた後に各チューブの内部から抜き出されることで収容箱内にて物品列を積載可能である。
【0032】
また箱詰め装置用作業ハンドは、所定本数のフィンガとともに検出領域及び検出器の構成をも備える。このうち検出領域は、フィンガの配列方向に形成されており、物品列の保持状態でチューブ内に挿入される各フィンガの部位を通過して延びている。そして検出器は、いずれかのフィンガに設けられており、各チューブの内部からフィンガが抜き出された状態で、検出領域を通じて全てのフィンガについてチューブが残存していないことを検出可能である。
【0033】
本発明を上記のような箱詰め装置用作業ハンドとして構成すれば、これを例えば産業用ロボット等の汎用機械に対するアタッチメント(箱詰め作業用治具)として利用することができる。この場合、産業用ロボット等の汎用機械を上記の駆動機構とすることで、上述したチューブの箱詰め装置を実現することができる。すなわち、汎用機械に取り付けた箱詰め装置用作業ハンドを用いてチューブの物品列を保持するとともに、この状態で汎用機械により作業ハンドを収容箱内に進入させ、さらにこれを下降させて物品列を収容箱内にて積載する。そして、汎用機械により作業ハンドを収容箱から退出させることで、各チューブ内からフィンガを抜け出させて1段分の箱詰め動作を完了する。このとき、作業ハンドに設けられた検出器により検出領域を通じて検出を行った結果、全てについてチューブが残存していなければ、それによって今回の箱詰め動作が正常に完了したことを知ることができる。逆に、検出器により全てのフィンガについてチューブが残存していないことが検出できなかった場合、いずれかのフィンガにチューブが残存していることを意味するため、それによって今回の箱詰め動作に不具合があったことを確実に知ることができる。
【0034】
上記の検出器は、所定本数のフィンガのうち、フォーク状をなす配列の両端に位置する一対のフィンガにそれぞれ取り付けられて配列方向に検出光を投光及び受光する一対の透過型センサで構成することができる。また検出領域は、配列の両端以外に位置する個々のフィンガに形成されて検出光を通過させる光通過路を含むものである。
【0035】
この場合、上述した箱詰め装置と同様の検出動作を実現することができるので、一回ごとの箱詰め動作に不具合がなかったか否かを確実に知ることができる。また、箱詰装置と同様に一対の透過型センサや光通過路を作業ハンドが有することにより、上述した箱詰め装置の各種構成である「収容部」、「開口部」、「貫通孔」、「中空の棒状をなす本体」、「開口部」、「往復機構」等を有することもできる。
【発明の効果】
【0036】
以上のように本発明によれば、作業ハンドを用いた物品列の保持と収容箱内への積載、そして積載後に収容箱からの作業ハンドの抜き出しといった箱詰め動作のサイクルを自動化しつつ、毎回の箱詰め動作において所定本数分のチューブが正しく収容箱内に積載されたかどうかを検出信号の有無によって確認することができる。これにより、収容箱内に収容可能な最大の段数に至るまで特に不具合なく一連の箱詰め動作が完了すれば、それによって収容箱内に決められた本数(員数)のチューブが正確に箱詰めされたことを保証することができる。
【0037】
この点、従来は作業ハンドによる箱詰め動作そのものは自動化できても、その箱詰め動作に不具合がなかったかどうかを確実に検出する手段がなかったため、員数の保証は困難であった。また、収容箱内に箱詰めが完了した後の荷姿からは、決められた本数のチューブが抜けなく収容されているかどうかを目視で確認することは極めて困難であったため、員数の保証には多大な労力を要していたが、本発明は一連の箱詰め動作に加えて、その員数の管理までを含めて自動化することができ、単なる「作業の自動化」に終始しない点で多大な有用性を発揮している。
【0038】
さらに本発明では、作業ハンドの抜き出し後、その全体としてチューブが残存していないかどうかを検出信号の出力の有無で表しているため、複数あるフィンガの1本1本にセンサを設置する必要がない。したがって、センサ等の設置コストを最小に抑えつつ、最小限の構成で正確に必要な情報を得ることができる。
【0039】
また本発明は、箱詰め装置用作業ハンドとしての構成だけでも成立するため、産業用ロボット等の汎用機械を保有した既存設備への適用が容易であり、それだけ少ないコストで容易に高性能なチューブの箱詰め装置を導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】一実施形態の箱詰め装置及び箱詰め方法の概要を示す流れ図である。
【図2】箱詰め装置を構成する設備の配置例を示した平面図である。
【図3】箱詰め装置を構成する設備の配置例を示した側面図である。
【図4】作業ハンドの構成を示す平面図である。
【図5】フィンガ及びその他の側面図(図4中、V−V線に沿う断面を一部に含む)である。
【図6】配列の両端に位置するフィンガの内部構造をより詳細に示す縦断面図である。
【図7】配列の両端及びそれ以外に位置する各フィンガの先端部分の構造を詳細に示す拡大図である。
【図8】作業ハンドによる物品列の一連の箱詰め動作を連続的に示した平面図(1/2)である。
【図9】作業ハンドによる物品列の一連の箱詰め動作を連続的に示した平面図(2/2)である。
【図10】箱詰め装置の制御に関する構成を概略的に示すブロック図である。
【図11】1箱分の箱詰め動作に関する制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】別形態の作業ハンドの構造を部分的に示す図である。
【図13】別形態の作業ハンドの構造を部分的に示す図である。
【図14】別形態の作業ハンドによる検出動作の概要を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0042】
〔箱詰め装置及び方法の概要〕
図1は、一実施形態の箱詰め装置及び箱詰め方法の概要を示す流れ図である。ここでは先ず、箱詰め装置を構成する設備とこれを用いて実行される箱詰め方法の概要について説明する。
【0043】
〔未充填チューブ〕
本実施形態の箱詰め装置及び箱詰め方法は、未充填のチューブTを自動で箱詰めするものである。すなわち、この段階でチューブTは、内容物が充填されていない空の状態(未充填)であり、このためチューブTは、その軸線方向の一端(キャップと反対側の一端)が全て開口している。特に図示していないが、チューブTには軸線方向でみて一端の開口と反対側の端部にネックが形成されており、このネックにはキャップ(参照符号なし)が被せられている。またチューブTの外周面には、例えば印刷やシュリンクフィルムによる外装(製品説明、意匠等)が施されている。
【0044】
チューブT(キャップを含む。以下同じ。)は合成樹脂製(例えばPET,PE等)の成型品である。このようなチューブTは、その内部にペースト状やクリーム状、ゲル状等の内容物(例えば食品、医薬品、化粧品、化学品等)が充填された後、その開口端を封止(ヒートシール)されることで各種のチューブ製品となる。なお未充填のチューブTは、その内部が空洞であることに加え、上記のように軸線方向の一端が開口しているため、それだけ径方向に弾性変形が生じやすい状態にある。
【0045】
〔物品列〕
箱詰め装置は、その設備として例えば整列コンベア10を備えている。チューブTは、例えば図示しないチューブ製造装置により製造された後、図中に白抜きの矢印で示される方向に送出されて整列コンベア10上に供給される。整列コンベア10は、例えば水平方向に延びる搬送面を有しており、この搬送面上でチューブTは、横倒しの姿勢で搬送される。このとき搬送面上には、その終端から所定本数(例えば11本)のチューブTを略隙間なく径方向に並べた状態で物品列TAが形成される。
【0046】
搬送面上で物品列TAを正しく形成するため、整列コンベア10の搬送面上には、例えば個々のチューブTを搬送面上にて位置決めするためのガイド部材となる桟(図示していない)が等間隔で配置されている。桟は、チューブTの軸線方向と並行に搬送面を横断する方向に延びており、かつ、搬送面からある程度の高さ(例えば十数mm程度)まで突出している。このような桟をチューブTの整列間隔(外径に略等しい間隔)で搬送面上に設置することにより、隣り合う桟の間にて個々のチューブTを位置決めし、正しく物品列TAを形成した状態で待機位置へ搬送することができる。なお上記は、例えば平ベルトの搬送面上に複数の桟を等間隔で配置した整列コンベア10の形態を挙げたものであるが、その他の形態として、例えば図示しないチェーンコンベアに複数のV字溝型のアタッチメント(山形鋼等)を等間隔で配列したものでもよい。この場合、個々のチューブTはアタッチメントのV字溝内に填り込んだ状態で保持されるため、同じく物品列TAを正しく形成した状態で待機させておくことができる。
【0047】
また箱詰め装置は、上記の整列コンベア10の他に、その設備として例えば箱搬送装置12を備えている。この箱搬送装置12もまた水平方向に延びる搬送面を有しており、この搬送面は整列コンベア10の搬送面と平行にして延びている。箱搬送装置12は、その搬送面上に収容箱14を縦置きの姿勢で設置するとともに、図示しない保持具によって収容箱14を保持している。また箱搬送装置12は、その搬送面上に複数の収容箱14(図1には1つだけ示す)を保持しており、この状態で搬送面を移動させることにより、その移動方向に収容箱14を搬送することができる。
【0048】
〔収容箱〕
収容箱14は、例えば段ボール製や合成樹脂製の箱体であり、全体として半ケース状(蓋なしの状態)に形成されている。収容箱14は箱搬送装置12に保持された状態で、整列コンベア10(チューブTの物品列TA)に対向する前面を全体的に開放している。この状態で収容箱14には、その前面の開口を通じて上記の物品列TAが積み込まれるものとなっている。このとき物品列TAは、収容箱14内でその底部から順に千鳥状に積み上げられる。なお収容箱14は、組み立て式(コンテナ式)の箱体でもよい。この場合、そのフラップ部分を側面に折り畳んだ状態で前面を開放することができる。
【0049】
なお本実施形態では、各段の物品列TAが全て同じ本数(例えば11本)のチューブT(図1では一部にのみ符号を付す)で構成されており、収容箱14への積み込み時、1段ごとに列方向へ半ピッチ(チューブTの外径の半分)ずつ物品列TAの積載位置を交互にずらすことで、収容箱14内で物品列TA(チューブT)が全体として千鳥状に積み上げられるものとなっている。
【0050】
〔作業ハンド〕
箱詰め装置は、その他の設備として作業ハンド16を備えている。この作業ハンド16は、上記の物品列TAを一括して保持するとともに、この状態で収容箱14への箱詰め動作を行う。具体的には、作業ハンド16は複数本のフィンガ18(図1中、全てに符号は付していない)を有しており、これらフィンガ18は全体としてフォーク状に配列されている。図1に示されているように、作業ハンド16は複数本のフィンガ18をそれぞれチューブTの内部に挿入した状態で、物品列TAを一括して保持することができる。このときフィンガ18は、それぞれ対応するチューブTをその内面にて引っ掛けるようにして保持する。このためフィンガ18は、チューブTの軸線方向でみた全長に対して充分な長さ(全長の2分の1より長い)を有している。なお、作業ハンド16の構成についてはさらに詳しく後述する。
【0051】
〔動作機構〕
また箱詰め装置は、その設備として産業用のロボット20(図1中、2点鎖線で一部分のみ示す)を備えている。このロボット20は、その動作に伴い作業ハンド16を移動させて物品列TAの保持や箱詰めの動作を行う。このとき一連の動作の概略的な流れは、例えば以下の通りとなる。
【0052】
(1)物品列の保持(保持工程)
例えば、ロボット20は作業ハンド16を整列コンベア10の一側方から横断方向に移動させ、搬送面上の終端領域で整列されている物品列TAに対し、個々のチューブT内にその開口を通じて各フィンガ18を挿入させる。このときロボット20は、フィンガ18の先端がチューブT内でそのネック部分に干渉しないところで作業ハンド16の移動を停止させる。
【0053】
次にロボット20は、図1中に白抜きの矢印で示されるように、作業ハンド16を鉛直上方へ移動させる。これにより、物品列TAの全体が作業ハンド16によって持ち上げられた状態となる。なお、高さ方向でみて作業ハンド16が停止する位置は、これまでに積み上げられた物品列TAの段数に応じて予め調整(ティーチング)されている。このとき上記のように、物品列TAを構成する個々のチューブTは、いずれも対応するフィンガ18に引っ掛けられた状態で保持されている。
【0054】
(2)作業ハンドの進入(進入工程)
物品列TAを持ち上げると、次にロボット20は、図1中に白抜きの矢印で示されるように、作業ハンド16を収容箱14に向けて移動(前進)させる。なお、この前に予備動作として、ロボット20は作業ハンド16を収容箱14に対して真正面に位置決めしてもよい。作業ハンド16の移動(前進)に伴い、保持されている物品列TAが収容箱14内に進入した状態となる。
【0055】
(3)作業ハンドの下降(積載工程)
物品列TAを収容箱14内に進入させると、次にロボット20は、図1中の白抜き矢印で示されるように、作業ハンド16を収容箱14内で下降させる。この下降に伴い、作業ハンド16に保持されている物品列TAが新たに収容箱14内に積載される。図1に示されるように、このとき既に1段以上の物品列TAが積載されていれば、今回の物品列TAはその上の段へ千鳥状に積み上げられる。一方、未だ物品列TAが積載されていなければ、今回の物品列TAは1段目として収容箱14の底部(設置状態で底面上)に積載されることになる。したがって、ここでも作業ハンド16を下降させる位置は、それまでに積み上げられた物品列TAの段数に応じて適切に調整されている。
【0056】
(4)作業ハンドの退出(退出工程)
物品列TAを積載すると、次にロボット20は作業ハンド16を収容箱14から退出(後退)させる(この動作に関して矢印は図示されていない)。この動作に伴い、個々のチューブT内からフィンガ18が抜き取られ、収容箱14内には物品列TAだけが積み上げられた状態となる。
【0057】
ロボット20の動作は図示しないロボットコントローラにより制御されており、ここまでに挙げた(1)物品列の保持、(2)作業ハンドの進入、(3)作業ハンドの下降、そして(4)作業ハンドの退出、までの動作は、ロボット20による箱詰め作業のルーチンワークとして予めコントローラに教示(ティーチング)されている。これら(1)〜(4)の動作を複数回(例えば15〜16回程度)まで繰り返すと、予め決められた本数(員数)分のチューブTが収容箱14に箱詰めされた状態となる。このときの「員数」は、物品列TAに含まれるチューブTの本数×積み上げ段数となる。
【0058】
(5)残存チューブの検出(検出工程)
加えて本実施形態では、毎回のルーチンワークにおいて、上記(4)の動作によりロボット20が収容箱14から作業ハンド16を退出させると、このタイミングで全てのフィンガ18上にチューブTが残存していないことを検出している。そして、このときチューブTが残存しないことを検出できた場合、ロボット20は次の段のルーチンワークに移行するか、もしくは最上段のルーチンワークを完了して次の収容箱14に対する最初のルーチンワークを開始する。
【0059】
図2及び図3は、箱詰め装置を構成する設備の配置例を示した平面図及び側面図である。なお図3には、水平方向でみたロボット20と整列コンベア10、箱搬送装置12(収容箱14)の配置関係を理解しやすくするため概念的に示しており、図面上の配置間隔は図2と異なっている。
【0060】
上記の整列コンベア10や箱搬送装置12、ロボット20等は作業ベース22上に設置されており、この配置例では、作業ベース22上で整列コンベア10の終端位置の近傍にロボット20のベース部20aが設置されている。
【0061】
また上記のロボット20は、例えばベース部20aの他に旋回体20b、基部スイングアーム20c、水平リンク部20d、先端スイングアーム20e及び回転コネクタ20f等(各部の名称は一例)を備えており、これら部位を多自由度に稼働させて上記(1)〜(4)の作業を適宜の速度とテンポで実行する。作業ハンド16は、上記の回転コネクタ20fを介してロボット20に支持された状態で物品列TAの保持や積載を行う。なお、ロボット20については公知の製品を適用することができるため、ここではその詳細についての説明を省略する。
【0062】
図4は、作業ハンド16の構成を示す平面図である。また図5は、作業ハンド16の一側端に位置するフィンガ18とその基部について一部の断面(図4中、V−V線に沿う断面)を示した図である。以下、作業ハンド16の構成について具体的に説明する。
【0063】
上記のように作業ハンド16は複数本のフィンガ18を有している。図4に示されているように、これらフィンガ18はフォーク状に等間隔をおいて互いに平行に配列されている。また作業ハンド16はベースプレート16aを有しており、このベースプレート16aはフィンガ18の配列方向に延びている。ベースプレート16aの全長はフィンガ18の配列の全長より長く、このためベースプレート16aの両端はフィンガ18の配列よりも僅かに張り出している。
【0064】
各フィンガ18はベースプレート16aに対し、その厚み方向に基端部を貫通させた(差し込んだ)状態で取り付けられている。各フィンガ18の基端部はベースプレート16aの片面(回転コネクタ20fに対向する面)にて突出しておらず、このため各フィンガ18の後端面とベースプレート16aの片面とは同一面内に位置している(いわゆる面一の状態)。また図5に示されているように、ベースプレート16aの内部には、その下端面から上方に向けてボルト16cがねじ込まれている。このボルト16cは、全てのフィンガ18の取付位置に対応して複数箇所に設けられており、この状態で各ボルト16cは、ベースプレート16a内で対応するフィンガ18の基端部を締め付けている。これにより、ベースプレート16aからのフィンガ18の脱落や軸線周りへの位置ずれ等が防止されている。
【0065】
またベースプレート16aの片面には、その長手方向の中央位置に別の基部プレート16bが宛われるようにして取り付けられている。作業ハンド16の全体は、この基部プレート16bを介して上記の回転コネクタ20fに連結されている。なお基部プレート16bに対し、ベースプレート16aは別のボルト16cを用いて固定されている。またボルト16cは、ベースプレート16aを厚み方向に貫通した状態で、その先端部分を基部プレート16b内にねじ込まれている。
【0066】
個々のフィンガ18は、例えば円筒状の本体18aを有しており、その先端には円錐台形状のフェルール18bが取り付けられている。本体18aは例えば金属材料又は硬質の合成樹脂材料で成形されており、本体18aは、上記のように基端部をベースプレート16aに支持された状態で、その基端から先端までの間にほとんど撓みを生じることなくフィンガ18を略水平な姿勢に保持できるだけの充分な剛性を有している。フェルール18bは、例えば合成樹脂製の成型品であり、このフェルール18bは本体18aの先端面とチューブTの内面との引っ掛かりを防止している。またフェルール18bは、そのテーパー状の外形により、各フィンガ18がチューブTの内部に進入するのを容易にしている。
【0067】
〔収容部〕
また複数あるフィンガ18の中でも、その配列の両端に位置する一対のフィンガ18は、それぞれ本体18aとフェルール18bとの間に挟まれた位置にセンサ収容部18cを有している。ただし、これら一対のフィンガ18とその他の配列中に位置するフィンガ18とは全長が同じであるため、一対のフィンガ18については、センサ収容部18cの長さ分だけ本体18aが短縮されている。センサ収容部18cもまた、本体18aと同様に円筒形状をなしており、その内径は本体18aと略同じである。
【0068】
〔透過型センサ〕
図6は、配列の両端に位置するフィンガ18の内部構造をより詳細に示す縦断面図である。配列の両端に位置する一対のフィンガ18については、いずれもセンサ収容部18cの内部にフォトセンサ24が収容されている。これらフォトセンサ24は検出光を用いた透過型センサであり、配列の両端で2つのフォトセンサ24が一対をなしている。すなわち、いずれか一方のフォトセンサ24が透過型センサの投光部であり、他方のフォトセンサ24が受光部である。各フォトセンサ24には光ファイバケーブル24aが接続されており、この光ファイバケーブル24aは収容部18cから本体18aの内部を通じてフィンガ18に敷設され、さら基端部の開口から作業ハンド16の外部へ延びている。なお光ファイバケーブル24aは、例えば箱詰め装置の制御盤(図示していない)に接続されている。
【0069】
〔開口部〕
各フォトセンサ24を用いて検出光を投光及び受光するため、各センサ収容部18cには開口部18dが形成されている。開口部18dは、各センサ収容部18cの側壁を厚み方向に貫通して形成されており、その開口面積は、フォトセンサ24の側方への投影面積より大きい。このためフォトセンサ24は、それぞれ開口部18dを通じて充分に検出光を投光及び受光することができる。
【0070】
〔光通過路〕
一方、配列の両端以外に位置するフィンガ18については、本体18aの先端部にそれぞれ2つの貫通孔18eが形成されている(図4参照)。これら貫通孔18eは、本体18aの側壁を径方向に貫通するようにして形成されており、2つの貫通孔18eは本体18aに対し、その軸線に関してして対称に位置している。このため配列の両端以外に位置する個々のフィンガ18は、いずれも貫通孔18eを通じて径方向に貫通路が形成された状態にある。
【0071】
そして図4に示されているように、配列の両端以外に位置する全てのフィンガ18については、全ての貫通孔18eがフィンガ18の配列方向でみた同一の直線上に位置している。この仮想的な直線は、上記のフォトセンサ24の光軸と略一致しており、このため配列の両端で一対をなすフォトセンサ24は、その間に位置する全てのフィンガ18の貫通孔18eを通じて検出光を投光及び受光することができる。このように、フォトセンサ24の光軸が通過する仮想的な直線により、作業ハンド16にはフィンガ18の配列方向に延びる検出領域が形成されている。
【0072】
図7は、配列の両端及びそれ以外に位置する各フィンガ18の先端部分の構造を詳細に示す拡大図である。以下、それぞれについて説明する。
【0073】
図7中(A):配列の両端に位置するフィンガ18については、本体18aの先端部に取付孔18fが形成されており、この取付孔18fにはタッピング加工がされている。フォトセンサ24は、取付孔18f内にコネクタ部分をねじ込んだ状態で、さらにセンサ収容部18c内からコネクタ部分にナットを締め付けることで本体18aに取り付けられている。このときフォトセンサ24のレンズ(投光用又は受光用)は、上記の開口部18dに向けて位置決めされている。
【0074】
図7中(B):配列の両端に位置するフィンガ18については、上記のように本体18aの側壁に対向する一対の貫通孔18eが形成されており、これら貫通孔18eを通じて本体18aに径方向への貫通路が形成されている。なおこの例では、貫通孔18eの形状や開口面積が配列の両端に位置するフィンガ18の開口部18dと共通化されている。
【0075】
〔フォトセンサを用いた検出〕
次に図8及び図9は、作業ハンド16による物品列TAの一連の箱詰め動作を連続的に示した平面図である。なお図8及び図9中、収容箱14は横断面にて示されている。本実施形態では、上記のフォトセンサ24を用いて全てのフィンガ18についてチューブTが残存していないかの検出を実行することができる。以下、フォトセンサ24を用いた検出手法について説明する。
【0076】
〔物品列の保持→作業ハンドの上昇〕
図8中(A):箱詰め作業(ロボット20によるルーチンワーク)の開始に伴い、上述のとおり作業ハンド16により物品列TAが保持される。そして作業ハンド16が上昇し、それに伴い物品列TAが一括して持ち上げられる。
【0077】
〔作業ハンドの進入→下降〕
図8中(B):次に、上述のとおり作業ハンド16が収容箱14に向けて移動(前進)する。これにより、物品列TAが各チューブTのキャップを先頭にした状態で、収容箱14内に一括して挿入される。なお、このとき既に積載済みの物品列TAがある場合、今回の物品列TAはそれよりも上方で挿入されることになる。また、上記のように今回の物品列TAは、1段前(前回)の物品列TAに対して半ピッチ(チューブTの半径)分だけ列方向に位置がずれている。続いて作業ハンド16が下降し、今回の物品列TAは1段前の物品列TAに対して千鳥状に積み上げられる。
【0078】
〔作業ハンドの退出→正常時の検出〕
図9中(C):そして、上記のとおり作業ハンド16が収容箱14から退出し、1段分の箱詰め動作が完了する。このタイミングで、一対のフォトセンサ24を用いた検出が行われる。このとき、図9中(C)に示されるように、全てのフィンガ18についてチューブTが一本も残存していなければ、フォトセンサ24の検出光(参照符号L)が開口部18d及び全ての貫通孔18e(図9では符号を省略)を通じて投光及び受光される。この場合、フォトセンサ24からは検出信号(受光時のON信号)が出力されるので、それによって今回の箱詰め動作に不具合がなかったことを知ることができる。
【0079】
〔作業ハンドの退出→異常時の検出〕
図9中(D):これに対し、作業ハンド16が収容箱14から退出したタイミングで、いずれかのフィンガ18に1本でもチューブTが残存している場合、そのチューブTによってフォトセンサ24の検出光が遮られるため、フォトセンサ24(受光部)は検出光を受光することができない。この場合、フォトセンサ24からは検出信号(受光時のON信号)が出力されないので、それによって今回の箱詰め動作に不具合があったことを知ることができる。なお、ここでは配列の両端以外に位置するフィンガ18にチューブTが残存する例を挙げているが、配列の両端に位置するいずれかのフィンガ18にチューブTが残存した場合であっても、同様にそのチューブTによって検出光が遮られることになる。
【0080】
〔制御手法〕
次に、上述した箱詰め装置による箱詰め方法を実現するための制御手法の例について説明する。
【0081】
図10は、箱詰め装置の制御に関する構成を概略的に示すブロック図である。箱詰め装置はメイン制御部30を備えており、このメイン制御部30は箱詰め装置の動作を全体的に統括する。なおメイン制御部30は、例えば上述した制御盤(図示していない)に内蔵されているコンピュータハードウェアであり、メイン制御部30は図示しないCPU(中央処理装置)をはじめ、記憶部30a(例えばROM、RAM等)や外部インタフェース30bを有するほか、図示しない各種の周辺回路等を有している。
【0082】
メイン制御部30には、上記の光ファイバケーブル24aを通じてフォトセンサ24が接続されている。このため外部インタフェース30bは、電子信号の他に光信号に対応した光コネクタ、アダプタ等を含んでいる。この他に、メイン制御部30には整列検出用センサ32が接続されており、この整列検出用センサ32は、上述した整列コンベア10に設置されている。整列コンベア10の搬送面上に所定本数(例えば11本)分のチューブTが整列すると、整列検出用センサ32から整列完了信号が出力される。これによりメイン制御部30は、整列コンベア10の搬送面上に正しく物品列TAが形成されたことを知ることができる。
【0083】
またメイン制御部30には、外部ステータス信号として1箱分動作開始信号が入力されるものとなっている。箱詰め装置は、上記の箱搬送装置12に対応して別の箱搬送制御盤(図示していない)を備えており、この箱搬送制御盤は、箱搬送装置12による新たな(空の)収容箱14の設置(箱詰め位置での保持)が完了したタイミングで1箱分動作開始信号を出力する。これによりメイン制御部30は、新たな収容箱14への箱詰め動作を開始できる状態になったことを知ることができる。
【0084】
メイン制御部30にはロボットコントローラ34が接続されており、このロボットコントローラ34は、ロボット20の動作を具体的に制御している。メイン制御部30は、制御ステータス上で箱詰め動作が開始可能になると、ロボットコントローラ34に対して動作開始信号を送信するとともに、その後の動作フェーズ信号を順に送信する。ロボットコントローラ34は、メイン制御部30から送信される各種の信号を受うけてロボット20の動作を細かく制御し、上述した一連のルーチンワークを実行させる。なおロボットコントローラ34からは、ロボット20の動作に関する情報がメイン制御部30にフィードバックされている。
【0085】
この他に、メイン制御部30にはアラーム装置36が接続されている。このアラーム装置36は、例えば音響出力回路やスピーカ、警報ランプ等(いずれも図示していない)を備えており、アラーム装置36はスピーカを駆動して警報音を発したり、警報ランプを点灯又は点滅させたりすることができる。メイン制御部30は上記の検出信号に基づき、作業ハンド16による箱詰め動作に不具合が発生したことを知ると、アラーム装置36に作動信号を出力する。これを受けてアラーム装置36が作動し、上記の警報動作を行うものとなっている。
【0086】
〔制御フローの例〕
図11は、1箱分の箱詰め動作に関する制御処理の流れを示すフローチャートである。メイン制御部30は、箱搬送制御盤から上記の1箱分動作開始信号を受信すると、1箱分の箱詰め動作に関する制御処理を開始する。以下、フローチャートに示す手順(ステップ)に沿って1箱分の箱詰め動作に関する制御処理の流れについて説明する。
【0087】
ステップS100:制御処理の開始に伴い、メイン制御部30は待機モードに移行する。具体的には、メイン制御部30はロボットコントローラ34に対して待機(一時停止)信号を送信する。これを受けてロボットコントローラ34は、ロボット20を作動させて作業ハンド16を待機位置に移動させ、そのまま待機させる。なお待機位置は、例えば整列コンベア10の一側方(チューブTの開口に対向する方向)に予め設定(ティーチング)されている。
【0088】
ステップS102:待機モード中にメイン制御部30は、チューブTの整列(物品列TAの形成)が完了したか否かの確認を行う。この確認は、上記の整列検出用センサ32から出力される整列完了信号の有無によって行うことができる。未だ整列完了信号が出力されていなければ(No)、メイン制御部30はステップS100に戻って待機モードを継続する。
【0089】
この後、実際に整列コンベア10の搬送面上に所定本数(11本)分のチューブTの整列が完了し、整列検出用センサ32から整列完了信号が出力されたことを確認すると(Yes)、メイン制御部30は次のステップS104に進む。
【0090】
〔チューブ保持動作(保持工程)〕
ステップS104:メイン制御部30は、ロボットコントローラ34に対してハンド下降コマンドを送信する。これを受けてロボットコントローラ34はロボット20を作動させ、作業ハンド16を待機位置から下降させる。このとき作業ハンド16を下降させる位置は、上下方向でみて物品列TAと略同じ高さに設定(ティーチング)されている。
【0091】
ステップS106:続いてメイン制御部30は、ロボットコントローラ34に対してハンド前進コマンドを送信する。これを受けてロボットコントローラ34は、引き続きロボット20を作動させて作業ハンド16を前進させる。これに伴い、物品列TAを形成する個々のチューブT内にそれぞれ作業ハンド16のフィンガ18が挿入された状態となる。なお、この段階でフィンガ18はチューブTの内周面に接していなくてもよい。
【0092】
ステップS108:そしてメイン制御部30は、ロボットコントローラ34に対してハンド上昇コマンドを送信する。これを受けてロボットコントローラ34は、さらにロボット20を作動させて作業ハンド16を上昇させる。作業ハンド16の上昇に伴い、個々のチューブTがその内周面にてフィンガ18に引っ掛けられ、物品列TAが一括して作業ハンド16に保持された状態となる(例えば図1、図8中(A)等を参照。)。このときロボット20が作業ハンド16を上昇させる高さは、それまでの箱詰め状況(積載済みの段数)に応じて予め設定(ティーチング)されている。
【0093】
〔チューブ箱詰め動作開始〕
ステップS110:チューブTの保持動作が完了すると、次にメイン制御部30は、制御ステータスを「チューブ箱詰め動作開始」に移行させる。なお、この処理は制御上の内部ステータスを変化させるだけのものであり、信号の入出力や内部演算等は特に行われない。
【0094】
〔作業ハンド前進(進入工程)〕
ステップS112:チューブ箱詰め動作開始に伴い、メイン制御部30はロボットコントローラ34に対してハンド前進コマンドを送信する。これを受けてロボットコントローラ34はロボット20を作動させ、作業ハンド16を収容箱14に向けて前進させる。これにより、物品列TAが収容箱14内に挿入された状態となる(例えば図8中(B)を参照。)。なお、このときロボット20が作業ハンド16を前進させる距離もまた、整列コンベア10と箱搬送装置12との位置関係に応じて予め設定(ティーチング)されている。
【0095】
〔作業ハンド下降(積載工程)〕
ステップS114:続いてメイン制御部30は、ロボットコントローラ34に対してハンド下降コマンドを送信する。これを受けてロボットコントローラ34は、ロボット20を作動させて作業ハンド16を下降させる。これにより、今回の物品列TAが収容箱14の底部又は先に積載済みの物品列TAに向けて下降し、その上に積載された状態となる。このときロボット20が作業ハンド16を下降させる距離もまた、それまでの箱詰め状況(積載済みの段数)に応じて予め設定(ティーチング)されている。
【0096】
〔作業ハンド後退(退出工程)〕
ステップS116:そしてメイン制御部30は、ロボットコントローラ34に対してハンド後退コマンドを送信する。これを受けてロボットコントローラ34は、ロボット20を作動させて作業ハンド16を後退させる。作業ハンド16の後退に伴い、個々のフィンガ18が対応するチューブT内から抜け出し、今回の物品列TAが収容箱14内に箱詰めされた状態となる(例えば、図9中(C)を参照。)。
【0097】
〔チューブ箱詰め動作終了〕
ステップS118:チューブT(物品列TA)の箱詰め動作が完了すると、次にメイン制御部30は、制御ステータスを「チューブ箱詰め動作終了」に移行させる。この処理もまた制御上の内部ステータスを変化させるだけのものであり、信号の入出力や内部演算等は特に行われない。
【0098】
〔チューブ残存検出(検出工程)〕
ステップS120:チューブ箱詰め動作終了に伴い、メイン制御部30はチューブTの残存を未検出であるかを確認する。この判断は、上記のようにフォトセンサ24からの検出信号の有無に基づいて行うことができる。すなわち、作業ハンド16の全てのフィンガ18についてチューブTが1本も残存していなければ、フォトセンサ24による検出光の投光及び受光が行われて検出信号(受光時のON信号)が出力される(図9中(C)を参照。)。この検出信号は、作業ハンド16にチューブTが1本も残存していない状態であることを意味することから、メイン制御部30は、フォトセンサ24から検出信号が出力された場合、チューブTの残存を未検出であると判断する(Yes)。またこの場合、今回の物品列TAの箱詰め動作が問題なく完了したことを意味するので、メイン制御部30は次にステップS122を実行する。
【0099】
〔チューブ残存未検出時(セーフ時)〕
ステップS122:メイン制御部30は、ここまでの処理を経て1箱分の箱詰め動作が完了したか否かを確認する。例えば、メイン制御部30は上記の記憶部30a内に段数カウンタの値(初期値=0)をセットし、1回分の箱詰め動作を完了するごとに段数カウンタの値をインクリメント(+1)する。その結果、現在までのカウンタの値が最大値(例えば16)に達していなければ、メイン制御部30は未だ1箱分の箱詰め動作は完了していないと判断する(No)。この場合、メイン制御部30は最初のステップS100に戻り、待機モードに移行する。そしてメイン制御部30は、上述したステップS102〜ステップS118の手順を経て、改めてステップS120でチューブTの残存を検出する。
【0100】
毎回の箱詰め動作が問題なく完了し、ステップS122で1箱分の箱詰め動作が完了したことを確認すると(ステップS122:Yes)、メイン制御部30はここでひとまず制御処理を終了する。この場合、収容箱14内には予め決められた本数(員数)分のチューブTが確実に箱詰めされた状態にあることから、特にオペレータ等による目視検査を行うことなく、そのまま収容箱14を封止して出荷工程に引き継ぐことができる。箱詰めが完了した収容箱14は、上記の箱搬送装置12により搬送されて次の出荷ライン(図示していない)に移送される。
【0101】
そしてこの後、箱搬送装置12により次の新たな収容箱14が搬送されて箱詰め位置に保持されると、上記の箱搬送制御盤から次の1箱分動作開始信号が送信される。これを受けてメイン制御部30は制御処理を開始し、上記のステップS100〜ステップS122を繰り返す。
【0102】
以上は1箱分の箱詰め動作を通して不具合が発生しなかった場合の流れであるが、場合によっては以下の事情により箱詰め動作に不具合が発生することもある。
【0103】
例えば、収容箱14内で物品列TAの積み上げ段数が次第に増えていくと、下段ほど大きな重みが掛かり、チューブTには径方向の弾性変形が生じてくる。このときの変形量は各段で一様ではなく、列方向の位置によって不均一である。また、例えば収容箱14の両側壁が幅方向に拡がっていると、それだけ物品列TAの側方に隙間ができるため、それによって物品列TAの両端に位置するチューブTは本来の段からある程度ずり落ちた状態となる。その結果、段を積み上げていくうちにチューブTの高さ方向の位置は各段で不均一となる。
【0104】
一方、作業ハンド16のフィンガ18は全て同じ高さにあるため、今回箱詰めされた物品列TAの中に他のチューブTよりも極端に落ち込みが大きいチューブTがあると、作業ハンド16の退出時に当該チューブTが引っ掛かったままとなり、作業ハンド16と一緒に収容箱14から抜き出されてしまうことがある(例えば、図9中(D)を参照。)。このように箱詰め動作に不具合が発生した場合、メイン制御部30は以下の処理を実行する。
【0105】
〔チューブ残存検出時(フェール時)〕
箱詰め動作に不具合が発生した場合、フォトセンサ24から検出信号(受光時のON信号)は出力されない。この場合、フォトセンサ24の出力状態はローレベル(未受光時OFF信号)であり、これは、いずれかのフィンガ18にチューブT(1本以上)が残存した状態であることを意味する。したがってメイン制御部30は、フォトセンサ24から検出信号が出力されなかった場合、先のステップS120でチューブTの残存を検出したと判断する(No)。この場合、メイン制御部30は次にステップS124を実行する。
【0106】
〔アラーム発生処理〕
ステップS124:メイン制御部30は、ここでアラーム発生処理を実行する。この処理では、メイン制御部30は上記のアラーム装置36に対して作動信号を出力する。これを受けてアラーム装置36が作動し、警報音や発光による警報を発生させる。またメイン制御部30は、ロボットコントローラ34に対して一時停止コマンドを送信する。これを受けてロボットコントローラ34は、ロボット20の動作を一時的に停止させる。
【0107】
この後、例えば作業ハンド16に残存しているチューブTをオペレータが取り除き、破損や外観不良等が発生していないことを確認する。特に問題がなければ、オペレータによりチューブTは収容箱14内の正しい積載位置に戻される。また適宜、収容箱14内の箱詰め状況についてオペレータによる目視確認が行われる。その後、例えばオペレータが制御盤や操作端末(図示していない)を通じて復旧完了の入力操作を行うと、これを受けてメイン制御部30はアラーム発生処理から復帰する。
【0108】
ステップS126:アラーム発生処理からの復帰に伴い、メイン制御部30は復旧操作が正しくなされたことを確認する。これにより、制御ステータス上では最終的に今回の箱詰め動作が全て正常に行われたものとして処理される。そして、メイン制御部30は上記のステップS122に進み、ここまでで1箱分のチューブTの箱詰め動作が完了したか否かを確認する。これ以降の処理は既に述べたとおりである。
【0109】
上記の制御処理を実行することにより、毎回(各段)の箱詰め動作で作業ハンド16の退出後にチューブTが1本も残存していないことを確実に検出することができる。チューブTが1本も残存していなければ、今回の箱詰め動作が正常に行われたことをメイン制御部30において確実に知ることができる。その結果、最終的に全ての段について箱詰め動作が正常に行われたことを確認できれば、それによって収容箱14内に正規な本数(員数)分のチューブTが箱詰めされたことを保証することができる。
【0110】
〔作業ハンドの別形態〕
本実施形態において、作業ハンド16は以下の別形態により実施することもできる。作業ハンド16の別形態では、フォトセンサ24をフィンガ18の先端から突出させたり、内部に引っ込めたりする機構を有している。以下、作業ハンド16の別形態について具体的に説明する。
【0111】
図12及び図13は、別形態の作業ハンド16の構造を部分的に示す図である。このうち図12には、図6に相当するフィンガ18の縦断面が合わせて示されている。また図13には、作業ハンド16の背面における構造が部分的に示されている。
【0112】
図12に示されているように、別形態の作業ハンド16においても、配列の両端に位置する一対のフィンガ18の内部にそれぞれフォトセンサ24が設置されている。ただしフィンガ18は、円筒形状の本体18aに直接フェルール18bを取り付けた構造である。
【0113】
別形態で用いられるフェルール18bはドーム状の外形をなしており、その内部には貫通路18gが形成されている。貫通路18gはフェルール18bの内部を軸線方向に貫通して延びており、このためフィンガ18は、その先端面がフェルール18bの貫通路18gによって開口されている。また貫通路18gは、フェルール18bの内端部で段付き形状に拡張されている。
【0114】
本体18aの内部には、上記のフォトセンサ24とともにスライダ24bが収容されている。スライダ24bは、例えば本体18aの内径より僅かに小さい外径を有した円柱形状の部材であり、その外周面は滑らかに仕上げられている。このためスライダ24bは、本体18aの内周面に沿って軸線方向へ容易にスライドすることができる。
【0115】
またスライダ24bには、その内部に取付孔24cが形成されており、この取付孔24cもまた、軸線方向で段付き形状に形成されている。このうち、取付孔24cの小径部分にはタッピング加工が施されており、この小径部分にフォトセンサ24のコネクタ部分がねじ込まれている。この状態で、さらに小径部分の外側からコネクタ部分にナット24dを締め付けることにより、フォトセンサ24がスライダ24bに対して取り付けられている。このときフィンガ18の配列の両端位置では、それぞれフォトセンサ24のレンズ(投光用又は受光用)が配列方向で互いに向き合った状態で位置決めされている。
【0116】
一方、本体18aの内部には、その内径よりも小径のスリーブ管24eが挿入されている。このスリーブ管24eは、その一端がスライダ24bに取り付けられた状態で本体18a内を軸線方向に延び、さらにフィンガ18の基端から外側へ突出している。フォトセンサ24の光ファイバケーブル24は、このスリーブ管24eの内部を通じて敷設されている。
【0117】
スリーブ管24eは、その一端からある程度の長さ(深さ)にわたって内部にタッピング加工が施されている。このねじ溝(めねじ)を利用して、スリーブ管24eの一端部はフォトセンサ24のコネクタ部に対して外側からねじ込まれている。このねじ込みにより、スリーブ管24eの一端部はスライダ24bに対し、その取付孔24の大径部分の内側に挿入された状態となっている。なお、スリーブ管24eの一端とスライダ24bとの間には、例えば金属ワッシャ24fが挟み込まれている。
【0118】
上記のように、フォトセンサ24のコネクタ部分に対して、スライダ24b及びスリーブ管24eがいずれもねじ込まれた状態で固定されていることから、フォトセンサ24とともにスライダ24b、スリーブ管24eはいずれも本体18a内で一緒に軸線方向へ移動するものとなっている。
【0119】
一方で、上記のようにスリーブ管24eの他端部は本体18aから外側へ大きく突き出ており、この他端部を通じてスリーブ管24eを軸線方向に往復移動させることで、本体18a内でフォトセンサ24を軸線方向に往復移動させることができる。別形態の作業ハンド16では、このときの往復移動を利用してフォトセンサ24をフィンガ18の先端から外側へ突出させたり、逆に本体18a内に引っ込めたりすることができる。以下に、このようなフォトセンサ24の往復機構についてより具体的に説明する。
【0120】
別形態の作業ハンド16には、上記の往復機構としてエアシリンダ40が設置されている。エアシリンダ40は、配列の両端に位置する一対のフィンガ18にそれぞれ対応して設置されており、各エアシリンダ40は、ブラケット16dを介してベースプレート16aに固定されている。ブラケット16dは、ベースプレート16aの背面から突出するようにして取り付けられており、このブラケット16dの片面に宛われるようにしてエアシリンダ40が取り付けられている。
【0121】
各エアシリンダ40は、そのピストンロッド40aを横向きにした姿勢で取り付けられている。また図13に示されているように、各エアシリンダ40は配列の両端に位置するフィンガ18の略直上に位置しており、ピストンロッド40aの軸線とフィンガ18の軸線とは互いに平行に延びている。上述したスリーブ管24eの他端部は、クリップ部材40bを介してピストンロッド40aに連結されている。クリップ部材40bは、その基端部がピストンロッド40aに固定される一方、他端部にはすり割り溝が形成されており、クリップ部材40bは、このすり割り溝を用いてスリーブ管24eの他端部を挟み込んだ状態に締め付けている。
【0122】
エアシリンダ40には、例えば空気管路を通じてコンプレッサ又はアキュムレータ(いずれも図示していない)から圧搾空気が供給されている。エアシリンダ40は、圧搾空気の供給又は排出に伴い、ピストンロッド40aを収縮又は伸長させることができる。このように、エアシリンダ40がピストンロッド40aを伸縮させることで、クリップ部材40bを介してスリーブ管24eが軸線方向に往復移動する。その結果、上記のようにフォトセンサ24を本体18aの先端から外側へ突出させたり、その内部に引っ込めたりすることができる。
【0123】
〔検出動作〕
図14は、別形態の作業ハンド16による検出動作の概要を示す平面図である。なお図14には主に、フィンガ18の先端から中程までの部位を示しており、中程から基端までの部位やベースプレート16a、エアシリンダ40等については図示を省略している。また図14では、配列の両端以外に位置するフィンガ18の大部分の図示を省略し、1箇所に纏めて簡略化している。
【0124】
上記のように、エアシリンダ40がピストンロッド40aを伸長させた状態(初期状態)では、スリーブ管24eが各フィンガ18の基端から外方向へ引き寄せられた状態にある。この場合、フォトセンサ24は本体18aの内部に引き込まれた状態となる(図14中の破線)。
【0125】
一方、エアシリンダ40がピストンロッド40aを収縮させると、今度はスリーブ管24eが各フィンガ18の先端に向かって内部に押し込まれた状態となる。この場合、スリーブ管24eを介してフォトセンサ24が先端方向へ押され、その大部分は貫通路18gを通じてフィンガ18の先端から外側へ露出した状態となる(図14中の2点鎖線)。このとき配列の両端に位置する一対のフィンガ18間では、それぞれのフォトセンサ24が投光部と受光部とを正しく向かい合わせにした状態で位置付けられる。また、このとき配列の両端以外に位置するフィンガ18の先端面に沿ってその外側に検出光(図中参照符号L)の通路(光通過路)が形成される。
【0126】
〔別形態の制御手法〕
箱詰め装置及び箱詰め方法に別形態の作業ハンド16を用いる場合、その制御手法は以下のものとなる。
【0127】
先ず制御上の構成として、エアシリンダ40の空気制御弁が追加される。空気制御弁は、例えばスプール式の電磁弁であり、この空気制御弁は、メイン制御部30からの動作信号に基づいて圧搾空気の流通経路を切り替えることができる。この切り替えに伴い、エアシリンダ40に圧搾空気を供給したり、その排出を行ったりする動作をメイン制御部30によって制御することができる。
【0128】
また図11に示される制御処理において、例えばステップS100の前後でメイン制御部30はエアシリンダ40の空気制御弁を排出位置に切り替える。これにより、待機モードの開始時からエアシリンダ40はピストンロッド40aを伸長させた状態に維持されるため、フォトセンサ24はフィンガ18の本体18a内に収容されたままの状態となる。
【0129】
別形態の作業ハンド16を用いた場合においても、チューブTの保持動作や箱詰め動作はこれまでと同様に行われる(図11中のステップS104〜S116)。ただし、箱詰め動作が完了したタイミングで、例えばステップS116の次にメイン制御部30は空気制御弁を供給位置に切り替える。これにより、エアシリンダ40に圧搾空気が供給されてピストンロッド40aが収縮し、フィンガ18の配列の両端で一対のフォトセンサ24を先端から露出させる(図14中の2点鎖線)。そして、次にメイン制御部30はフォトセンサ24からの検出信号の有無を確認し、上記と同様にステップS120の判断を行う。
【0130】
このように、別形態の作業ハンド16を用いた場合であっても、物品列TAの1段分の箱詰め動作が終了したタイミングで、チューブTが残存しているか否かを確実に検出することができ、それによって箱詰め動作が正常におこなれたか否かを確認することができる。その結果、毎回の箱詰め動作が正常に行われたことを確認しつつ、1箱分の箱詰め動作が完了した場合、収容箱14内に予め決められた本数(員数)分のチューブTが正しく箱詰めされたことを確実に保証することができる。なお、途中の箱詰め動作に不具合があった場合、上記のアラーム発生処理(ステップS124)を同様に実行することで、その後の復旧操作を迅速に促すことができる。
【0131】
以上のように、本実施形態の箱詰め装置及びこれを用いて実現される箱詰め方法によれば、チューブTの箱詰め作業をロボット20により自動化しつつ、その途中で不具合が発生したか否かを確実に自動で検出することができる。また、箱詰め動作と検出動作とを合わせて自動化したことにより、最終的に1箱分の箱詰め動作が完了した時点でチューブTの員数を保証することができる。このため、箱詰め作業後に検査工程を経ることなく、そのまま収容箱14を出荷工程に移送することができ、それだけ全体としての作業効率を向上することができる。
【0132】
また本実施形態の箱詰め装置に用いた作業用ハンド16は、例えばフィンガ18にフォトセンサ24を内蔵した状態で、これを汎用のロボット20に対するアタッチメント(作業用治具)として製品化することができる。このため、例えば既存の整列コンベア10や箱搬送装置12、ロボット20等を備えた設備があれば、そこに本実施形態で挙げた作業ハンド16を新たに適用し、合わせてメイン制御部30等の制御系の設備を追加することで、箱詰め装置を容易に実現することができる。
【0133】
本発明は上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。例えば、一実施形態ではチューブTの縦断面を円形としているが、縦断面が楕円形状のチューブを箱詰めの対象としてもよい。
【0134】
一実施形態で挙げた設備の配置はあくまで一例であり、その具体的な配置は作業スペースに合わせて適宜に変更することができる。また、一実施形態ではロボット20を用いて作業ハンド16を移動させる例を挙げているが、作業ハンド16は例えば3次元(X−Y−Z軸)に組み合わせた直動機構を用いて移動させることもできる。
【0135】
さらに作業ハンド16について、フィンガ18の本数や長さ、配置間隔等は対象とするチューブTの大きさや収容箱14の間口に合わせて適宜に変更することができる。また収容箱14は、横長にした状態で箱詰め位置に設置されるものでもよい。
【0136】
また一実施形態では、全体として配列の両端にそれぞれ位置する2本のフィンガ18にフォトセンサ24を配置した例を挙げているが、フィンガ18の本数がある程度多くなる場合、配列を複数の区画に分割し、各区画の両端にそれぞれ位置するフィンガ18にフォトセンサ24を配置することもできる。例えば、作業ハンド16上でフィンガ18の本数が20本程度になる場合、配列を10本ずつの区画に2分割し、各区画の両端にそれぞれ位置するフィンガ18(合計4本)にフォトセンサ24を配置すればよい。こうすることで、フォトセンサ24の出力(駆動電力)を最小限に抑えるとともに、その光軸に対する貫通孔18eの位置合わせ精度を向上し、より正確な検出性能を維持することができる。
【0137】
その他、一実施形態で挙げた各種部品の構成や配置はいずれも好ましい例示であり、本発明の実施に際して各種部品の構成や配置を適宜に変更してもよい。
【符号の説明】
【0138】
10 整列コンベア
12 箱搬送装置
14 収容箱
16 作業ハンド
16a ベースプレート
18 フィンガ
18a 本体
18c センサ収容部
18d 開口部
18e 貫通孔
18g 貫通路
20 ロボット
24 フォトセンサ(検出器)
24b スライダ
24e スリーブ管
30 メイン制御部
32 整列検出用センサ
34 ロボットコントローラ
36 アラーム装置
40 エアシリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向の少なくとも一端が開口した未充填のチューブを寝かせた状態で径方向に所定本数ずつ並べて物品列を形成し、この物品列を前面が開放する姿勢で設置された収容箱の底部から順に千鳥状に積み上げて箱詰めするチューブの箱詰め装置であって、
前記物品列をなす所定本数のチューブに対応してフォーク状に配列された所定本数のフィンガを有し、これらフィンガをそれぞれチューブの一端開口から内部に挿入し、かつ、個々のチューブをその内周面にて前記フィンガに引っ掛けた状態で前記物品列を一括して保持可能な作業ハンドと、
前記物品列を一括して保持した状態の前記作業ハンドを前記収容箱の前面側から内部に進入させ、その底部又は先に積載済みの前記物品列に対して上方から下降させることで前記保持した状態の前記物品列を前記収容箱内に積載した後、前記作業ハンドを前記収容箱から退出させるまでの動作を実行させる動作機構と、
前記作業ハンドに設けられ、前記動作機構により前記収容箱から前記作業ハンドが退出された状態で、全ての前記フィンガについてチューブが残存していない場合にのみ検出信号を出力する検出ユニットと
を備えたチューブの箱詰め装置。
【請求項2】
請求項1に記載のチューブの箱詰め装置において、
前記検出ユニットは、
所定本数の前記フィンガのうち、フォーク状をなす配列の両端に位置する一対の前記フィンガにそれぞれ取り付けられて配列方向に検出光を投光及び受光する一対の透過型センサと、
前記配列の両端以外に位置する個々の前記フィンガに形成されて前記検出光を通過させる光通過路と
を含むことを特徴とするチューブの箱詰め装置。
【請求項3】
請求項2に記載のチューブの箱詰め装置において、
前記配列の両端に位置する一対の前記フィンガは、
内部に形成されて一対の前記透過型センサをそれぞれ収容する収容部と、
前記収容部内に一対の前記透過型センサがそれぞれ収容された状態で、前記フィンガの内外に前記検出光を通過させる開口部とを有することを特徴とするチューブの箱詰め装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のチューブの箱詰め装置において、
前記光通過路は、
前記配列の両端以外に位置する個々の前記フィンガをその配列方向に貫通して形成された貫通孔であり、これら貫通孔が前記検出光の光軸上に並んで配置されていることを特徴とするチューブの箱詰め装置。
【請求項5】
請求項2に記載のチューブの箱詰め装置において、
前記配列の両端に位置する一対の前記フィンガは、
中空の棒状をなす本体と、
前記本体の内部に形成されて前記透過型センサを収容する収容部と、
前記本体の先端に形成されて前記収容部を前記本体の先端方向に開放する開口部とを有し、
前記作業ハンドは、
一対の前記透過型センサをそれぞれ前記本体の長手方向に往復移動させることで、前記開口部を通じて前記収容部内と前記本体の外部との間で出入りさせる往復機構をさらに有しており、
前記光通過路は、
前記駆動機構により一対の前記透過型センサが前記本体の外部に露出された状態で、前記配列の両端以外に位置する個々の前記フィンガの先端面よりも外側の領域に形成されることを特徴とするチューブの箱詰め装置。
【請求項6】
軸線方向の少なくとも一端が開口した未充填のチューブを寝かせた状態で径方向に所定本数ずつ並べて物品列を形成し、この物品列を前面が開放する姿勢で設置された収容箱の底部から順に千鳥状に積み上げて箱詰めするチューブの箱詰め方法であって、
前記物品列をなす個々のチューブに対応してフォーク状に配列された所定本数のフィンガを有する作業ハンドを使用し、個々のチューブに対してその一端開口を通じて前記フィンガを内部に挿入することにより、個々のチューブをその内周面にて前記フィンガに引っ掛けた状態にして前記物品列を一括して保持する保持工程と、
前記物品列を一括して保持した状態の前記作業ハンドを前記収容箱の前面側から内部に進入させる進入工程と、
前記収容箱の内部に進入させた前記作業ハンドを前記収容箱の底部又は先に積載済みの前記物品列に対して上方から下降させることで、前記保持した状態の前記物品列を前記収容箱内にて積載する積載工程と、
前記物品列を積載した後、前記作業ハンドを前記収容箱から退出させる退出工程と、
前記収容箱から前記作業ハンドを退出させた状態で、全ての前記フィンガについてチューブが残存していない場合にのみ検出信号を出力する検出工程と
を有するチューブの箱詰め方法。
【請求項7】
請求項6に記載のチューブの箱詰め方法において、
前記検出工程で前記検出信号の出力がなされた場合、次に前記保持工程を実行して新たに別の前記物品列を保持した後、前記進入工程、前記積載工程及び前記退出工程を経てさらに前記検出工程を実行する一方、前記検出工程で前記検出信号の出力がなされない場合、前記保持工程を実行することなくアラームを出力することを特徴とするチューブの箱詰め方法。
【請求項8】
軸線方向の少なくとも一端が開口した未充填のチューブを寝かせた状態で径方向に所定本数ずつ並べて形成した物品列を、前面が開放する姿勢で設置された収容箱の底部から順に千鳥状に積み上げて箱詰めするチューブの箱詰め装置用作業ハンドであって、
前記物品列をなす所定本数のチューブに対応してフォーク状に配列され、各チューブの一端開口を通じてその内部に挿入されることで個々のチューブをその内周面にて引っ掛けた状態にして前記物品列を一括して保持可能である一方、この保持状態にて前記物品列を前記収容箱の内部でその底部又は先に積載済みの前記物品列に対して上方から下降させた後に各チューブの内部から抜き出されることで前記収容箱内にて前記物品列を積載可能な所定本数のフィンガと、
前記フィンガの配列方向に形成され、前記物品列の保持状態でチューブ内に挿入される各前記フィンガの部位を通過して延びる検出領域と、
いずれかの前記フィンガに設けられ、各チューブの内部から前記フィンガが抜き出された状態で、前記検出領域を通じて全ての前記フィンガについてチューブが残存していないことを検出可能な検出器と
を備えたチューブの箱詰め装置用作業ハンド。
【請求項9】
請求項8に記載のチューブの箱詰め装置用作業ハンドにおいて、
前記検出器は、
所定本数の前記フィンガのうち、フォーク状をなす配列の両端に位置する一対の前記フィンガにそれぞれ取り付けられて配列方向に検出光を投光及び受光する一対の透過型センサであり、
前記検出領域は、
前記配列の両端以外に位置する個々の前記フィンガに形成されて前記検出光を通過させる光通過路を含むことを特徴とするチューブの箱詰め装置用作業ハンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−57367(P2011−57367A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208544(P2009−208544)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】