テトラヒドロビオプテリンプロドラッグ
本明細書に開示するのは、テトラヒドロビオプテリンの類似体、該類似体を含む組成物、及び該類似体の投与によって、テトラヒドロビオプテリンに反応性の状態に苦しむ個人を治療する方法である。これらの類似体は、テトラヒドロビオプテリンがどこで現在使用されていても、テトラヒドロビオプテリン療法に反応性の状態を治療するための使用を意図する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
2007年1月12日に出願された米国仮特許出願番号60/884,727の特許法§119(e)の下の利益を請求する。
【0002】
(本発明の背景)
(開示の分野)
本開示は、該して、テトラヒドロビオプテリンの類似体、該類似体を含む組成物、及び該類似体の投与によってテトラヒドロビオプテリンに応答する状態を患っている個人を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の簡単な説明)
テトラヒドロビオプテリン(本明細書において「BH4」とも称される)は、天然に存在する化学化合物であり、かつプテリンファミリーの生物活性アミンである。1つの立体異性体(サプロプテリン)は、以下の式IIで示される:
【化1】
【0004】
天然に存在するにもかかわらず、テトラヒドロビオプテリンも様々な方法により合成されることができ、そのいくつかは、例えば、米国特許第2,601,215;3,505,329;4,540,783;4,550,109;4,587,340;4,595,752;4,649,197;4,665,182;4,701,455;4,713,454;4,937,342;5,037,981;5,198,547;5,350,851;5,401,844;5,698,408;及び5,698,408号において、並びにカナダ特許出願番号第2,420,374号において開示されている。
【0005】
プテリンは、カルボニル酸素及びアミノ基を有するピラジン環並びにピリミジン環を含む二環式化合物である。プテリンは、酵素の触媒作用の補因子として機能する。テトラヒドロビオプテリンは、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)、チロシン3-ヒドロキシラーゼ、トリプトファン5-ヒドロキシラーゼなどの様々な酵素のための補因子として機能し、一酸化窒素シンターゼ(NOS)の全3形態を形成する。テトラヒドロビオプテリンはクリチジア・ファシキュラタ(Crithidia fasciculata)のための成長因子でもあり、造血性細胞の増殖活性を有し、かつ一酸化窒素毒性のための自己保護因子として作用する。テトラヒドロビオプテリンのこれらの並びに他の補因子及び細胞機能に加え、テトラヒドロビオプテリン欠乏に関する障害が、Thonyらの文献(2000)Biochem. J. 347:1-16において開示されている。テトラヒドロビオプテリン欠乏に関する障害も、Blauらの文献、「遺伝性疾患の代謝的及び分子的基盤」1275-776における「テトラヒドロビオプテリン及び関連生体アミン障害」(第8編、McGraw-Hill Publishing社、ニューヨーク、NY、2001)に全般的に記載されている。
【0006】
テトラヒドロビオプテリンは、血液‐脳関門を横断するのと同様に、膜を横断するのが困難である親水性化合物である。血液‐脳関門は、一般に、血液から中枢神経系(CNS)に物質の通過を制御する膜である。それは局所血管とCNSの大半との間に物的障壁として機能し、特定の(及び多くの)化合物がCNSに達するのを防止する。身体の毛細管を定めている壁は、小ギャップによって分断されている内皮細胞から成る。これらのギャップによって、組織内において可溶性化学物質が血流に通り、このようにして該化学物質が身体の全体にわたって運搬されることができ、その後様々な組織に血液が出て行くことができる。脳において、これらの血管内皮細胞はよりきつく包装され、従って、ギャップはさらにより小さい。これらのより小さいギャップは、脂溶性のため細胞膜を横断するもの(例えば、酸素、二酸化炭素、エタノール)及び特定の輸送系により通るもの(例えば、糖、選択されたアミノ酸)を除いて全ての分子の通過を遮断する。多くの薬剤は、治療法を提供するのに有効な量で血液‐脳関門を横断しない。物的障壁をCNSに提供することに加えて、脳の内皮細胞も特定の分子(薬剤)を代謝し、それらがCNSに決して達しないようにさせることができる。
【0007】
テトラヒドロビオプテリンに応答する障害及び状態に有効な治療法を提供するための、身体並びにCNSの両方に対するテトラヒドロビオプテリンのより効率的な送達の必要性が残っている。
【発明の概要】
【0008】
(本発明の要旨)
本明細書に開示するのは、テトラヒドロビオプテリンの類似体、該類似体を含む組成物、及び一つ以上の該類似体の投与により、テトラヒドロビオプテリン治療に応答する状態に苦しむ個人を治療する方法である。
【0009】
本明細書中に開示される化合物は類似体であり、それぞれ、インビボで、テトラヒドロビオプテリン若しくはその誘導体を生成できるテトラヒドロビオプテリン又はテトラヒドロビオプテリン誘導体のプロドラッグであり得る。テトラヒドロビオプテリンは天然に存在する化学物質であり、それは当業者に知られている化学合成によっても得られる。
【0010】
経口投与テトラヒドロビオプテリンが低い生体利用効率を有するということが発見されている。この低い生体利用効率は、通常、胃腸(GI)管からの劣った吸収、GI管及び/又は血流の酸化、吸収前の分解又は代謝、並びに吸収の後の分解又は代謝の少なくとも一つに起因していると考えられている。さらにまた、テトラヒドロビオプテリンが劣った(脂質)溶解性、胃及び血流における潜在的化学的不安定性、及びGI管の壁を透過することができないことを呈すると考えられる。
【0011】
本開示の一態様は、治療上有効量のテトラヒドロビオプテリンの類似体及び/又はプロドラッグをその必要のある個人に投与することによる、個人におけるテトラヒドロビオプテリンの生体利用効率を向上させることを志向し、そこで該類似体がBH4のプロドラッグである場合、内因性の酵素は、それぞれ、インビボで活性なテトラヒドロビオプテリン又はテトラヒドロビオプテリン誘導体を放出できる。この化合物(テトラヒドロビオプテリン)は少なくとも6つの異なる酵素(例えば、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、チロシンヒドロキシラーゼ、トリプトファンヒドロキシラーゼ、内皮一酸化窒素シンターゼ、ニューロン一酸化窒素シンターゼ、及び誘導可能な一酸化窒素シンターゼ)と相互作用するので、プロドラッグアプローチは特に、テトラヒドロビオプテリンの場合に有効である。加えて、テトラヒドロビオプテリンは、2つの他の酵素を必要とするヒドロキシル化反応に参加した後に、再資源化される。従って、特に適切に再利用されない場合、これらの6つの酵素と適切に相互作用せず、かつ2つのさらなる酵素によって再利用されないテトラヒドロビオプテリンの類似体は、補因子としてよく機能することができず、化学量論的に用いられることができない。これらの理由により、天然テトラヒドロビオプテリン化合物を生成する類似体は、より良好な生体利用効率を有するが、テトラヒドロビオプテリンの全ての細胞標的と適切に相互作用できるというわけではない化合物より、はるかに優れている。
【0012】
したがって、本発明の一態様は、テトラヒドロビオプテリンの類似体に関する。
テトラヒドロビオプテリンの類似体は、式I(1つの特定の立体異性体として以下に示される)又はその医薬として許容し得る塩の化合物である:
【化2】
【0013】
BH4の他の7つの可能的立体異性体も意図される。実施態様の1つのクラスにおいて、BH4の類似体は、生物学的条件下でBH4を遊離できるプロドラッグである。
【0014】
式Iの化合物の好ましい実施態様によると、R3、R4、R5、R6及びR7は全てが水素であり、かつR1及びR2は共に-C(Rc)Rd-であって5員環を形成するか、又はR1及びR2は独立に、
水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O) C1-40アルキル、C(O)1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O) C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O) C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、C(O)SRa、又はアミノ酸誘導体であり、但しR1及びR2は両方ともが水素、C(O)H、グルコシル、アミノグルコシル又は同じC(O)C1-10アルキルでないことを条件とする。この実施態様において、より好ましいR1及びR2はアミノ酸誘導体、及びよりさらに好ましくはR基が水素で誘導体化された非アミノ酸から独立に選択される。例えば、R1はアミノ酸誘導体から選択され、かつR2は水素であるか、又はR2はアミノ酸誘導体から選択され、かつR1は水素であり、好ましくは後者である。上述のいずれかにおいて、例えばR1又はR2におけるアミノ酸誘導体は好ましくはバリルアミノ酸部分を含む。
【0015】
式Iの化合物の別の好ましい実施態様によると、R1、R2、R5、R6及びR7は全て水素であり;かつR3及びR4は独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C2-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、又はC(O)SRaであり、但しR3が水素である場合にR4が水素又はリボースでないこと、及びR4が水素である場合にR3が水素、C(O)H、アセタート、ヒドロキシメチル、又はアミノアルキルでないことを条件とする。
【0016】
式Iの化合物のさらに別の好ましい実施態様によると、R1、R2、R3、R4及びR5は全て水素であり;かつR6及びR7は独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、又はC(O)SRaであり、但しR6が水素である場合にR7が水素、メチル、CH2(CH2)4CO2H、又はCH2CH2-アリールでなく、及びR7が水素である場合にR6が水素でないことを条件とする。
【0017】
式Iの化合物のさらに別の好ましい実施態様によると、R1、R2、R3、R4、R6及びR7は全て水素であり;かつR5はC3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、又はC(O)SRaである。
【0018】
式Iの化合物の他の意図されたタイプの実施態様において、R3、R4、R5、R6及びR7は全ての水素であり、かつR1及びR2はそれぞれ独立に水素及びアミノ酸誘導体から選択され、ここでR1及びR2は両方が水素であることができない。そのようなタイプの実施態様において、アミノ酸誘導体は、エステル結合を介する式Iの化合物の一部である。具体的実施態様において、アミノ酸誘導体は単一のアミノ酸である一方、他の実施態様では、アミノ酸誘導体は、アミド結合若しくはエステル結合又はその両方を介して共に共有結合した2、3、4又はそれより多いアミノ酸である。特定の意図された実施態様において、例えば、R1は水素であり、R2はアラニン、バリン、又はグルタミン酸及びアラニンを含むジペプチドを含む。他の具体的実施態様において、R1及びR2は、両方ともバリンを含む。
【0019】
式Iの化合物の他の意図されたタイプの実施態様において、R1、R2、R4、R5、R6及びR7は全ての水素であり、かつR3はアミノ酸誘導体である。そのようなタイプの実施態様において、アミノ酸誘導体は単一のアミノ酸である一方、他の実施態様では、アミノ酸誘導体は、アミド結合若しくはエステル結合又はその両方を介して共に共有結合した2、3、4又はそれより多いアミノ酸である。
【0020】
式Iの化合物の上述の好ましい実施態様のそれぞれにおいて、Ra及びRbは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、ポリエチレングリコール、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールである。
【0021】
また、式Iの化合物の上述の好ましい実施態様のそれぞれにおいて、Rc及びRdは共にオキソであるか、又はRc及びRdは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールである。
【0022】
本発明は、テトラヒドロビオプテリン療法に応答する状態を患っている個人を治療するための組成物を提供することも関する。組成物は、通常、式Iの化合物の上記の好ましい実施態様のいずれか1つ、及び任意に、医薬として許容し得る賦形剤、例えばそのための希釈剤又は担体を含むことができる。
【0023】
本発明の更に別の態様は、上述した組成物のいずれか一つの投与によって、BH4に反応する状態を患っている個人を治療する方法を提供することである。該方法は、式Iの化合物の治療上有効量を個人に投与することを含む。BH4に反応する状態は一般に、BH4又はその誘導体に影響されるものを含む。BH4に反応する状態は、一般的血管機能の障害(異常な脈管コンプライアンス、内皮機能不全及び高血圧症);不応性高血圧症;インスリン感応性/グルコース制御障害;異常な末梢潅流(間欠跛行、減少した末梢潅流、減少した皮膚血流及び不完全な創傷治癒);心臓病(うっ血心不全、うっ血性心不全の有無にかかわらない肺高血圧、運動関連性狭心症、冠状動脈疾患、関連したアテローム性動脈硬化症);眼の疾患(視神経萎縮、糖尿病性網膜疾患);及び、腎疾患(糖尿病性腎疾患、腎不全、減少した糸球体濾過率におけるミクロアルブミン尿症);を含むがこれらに限定されない糖尿病関連の血管合併症を含む。
【0024】
BH4-反応状態は、肺血管疾患、溶血性貧血、脳卒中及び関連した虚血性血管疾患(例えば脳卒中、心臓若しくは冠状動脈疾患、動脈硬化、又は末梢血管疾患)、血栓症、移植に関連した内皮機能不全、及び心臓若しくは冠状動脈疾患からなる群から選択される糖尿病には関連しない血管疾患も含む。一実施態様において、肺血管疾患は、鎌状赤血球貧血及び他のヘモグロビン異常症における肺緊張、特発性肺高血圧、新生児の持続性肺高血圧症(PPHN)を含むが、これに限定されるものではない。さらなる態様において、溶血性貧血は、遺伝性溶血性貧血及び後天性溶血性貧血を含む。遺伝性溶血性貧血は、鎌状赤血球貧血症、サラセミア、G6PD欠乏による又は溶血に関連した溶血性貧血、ピルビン酸キナーゼ欠乏、遺伝性楕円赤血球症、遺伝性球状赤血球症、遺伝口唇状赤血球症、遺伝性卵形赤血球症、発作性夜間ヘモグロビン尿症、及びヘモグロビンSC病を含むが、これに限定されるものではない。後天性溶血性貧血は、細血管障害性溶血性貧血、特発性自己免疫溶血性貧血、化学的若しくは物理的薬剤又は装置(左室補助装置)により生じる非免疫性溶血性貧血、機械の心臓弁及びバイパス装置)、及び第2の免疫溶血性貧血を含むが、これに限定されるものではない。
【0025】
別の実施態様において、脳卒中及び関連した虚血性血管疾患は、脳卒中後脳血管攣縮などの血管痙攣を含むが、これに限定されるものではない。血栓症は、血栓形成、血栓症、凝血(clotting)、及び凝固(coagulation)を含むが、これらに限定されるものではない。さらなる態様において、移植に関連する内皮機能不全は、固体臓器移植及びシクロスポリンA誘導性の内皮機能不全後の脈管機能不全を含むが、これに限定されるものではない。さらに別の実施形態では、心臓又は冠状動脈疾患は、うっ血性心不全、高コレステロール血症と関連する脈管機能不全及び狭心症、並びに喫煙と関連する脈管機能不全及び狭心症を含むが、これらに限定されるものではない、
【0026】
本発明の付加的な特徴は、以下の詳細な説明の再調査からそれらの当業者にとって明らかになることができ、添付の請求の範囲に関連して解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、ビオプテリンの測定のための流れ図を示す。
【0028】
【図2】図2は、体液及び組織のビオプテリンを測定するアッセイの検証からの結果の概要を示す。
【0029】
【図3】図3は、60分間に渡る、ヒト血漿における実施例2、3、4、及び20の化合物の安定性を示す。
【0030】
【図4】図4は、60分間に渡る、ラット血漿における実施例2、3、4、及び20の化合物の安定性を示す。
【0031】
【図5】図5は、60分間に渡ってシミュレーションされた胃液における実施例2、3、4、及び20の化合物の安定性を示す。
【0032】
【図6】図6は、BH4と比較して、絶食されたサルへのさまざまなBH4プロドラッグの経口投与後25時間に渡るBH4血漿レベルを示す。
【0033】
【図7】図7は、BH4並びに様々な濃度の実施例5、7及び9の化合物を用いた5時間の処理後における亜硝酸塩+硝酸塩の増加の割合を示す。
【0034】
【図8】図8は、BH4並びに様々な濃度の実施例5、7及び9の化合物を用いた17時間の処理後における亜硝酸塩+硝酸塩の増加の割合を示す。
【0035】
【図9】図9は、BH4並びに様々な濃度の実施例5、7及び9の化合物を用いた22時間の処理後における亜硝酸塩+硝酸塩の増加の割合を示す。
【0036】
【図10】図10は、BH4並びに様々な濃度の実施例5及び6の化合物を用いた5時間の処理後における亜硝酸塩+硝酸塩の増加の割合を示す(μM濃度で示す)。
【0037】
【図11】図11は、BH4並びに様々な濃度の実施例5及び6の化合物を用いた20時間の処理後における亜硝酸塩+硝酸塩の増加の割合を示す(μM濃度で示す)。
【0038】
【図12】図12は、実施例5の化合物の投与後2時間における、カニクイザルの血漿からのBH4クロマトグラムを示す(2%のMeOH移動層)。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
しばしば血流に入っている薬剤の量が有効な治療に至らないか、又は有意な臨床的利益を達成するためにより多くの用量の化合物の投与を必要とするという点で、経口投与テトラヒドロビオプテリンは劣った生体利用効率を呈する。さらに、血液‐脳関門は通常、小分子を透過し得ると同時に、例えば、テトラヒドロビオプテリンの取り込みに対する自然の障害である。本発明は、経口投与テトラヒドロビオプテリンの劣った生体利用効率、及びテトラヒドロビオプテリンを身体及びCNSの両方にテトラヒドロビオプテリンに応答する状態についての治療法を提供するのに有効な量で提供することの困難に対処する。
【0040】
本発明は、一般に、テトラヒドロビオプテリンの類似体、該類似体を含む医薬組成物、及び該類似体の投与によってテトラヒドロビオプテリンに応答する状態を患っている個人を治療する方法に関し、これらの全ては以下で更に詳細に記載する。
【0041】
BH4は、生体利用効率特性を改善させるのに必要なだけでなく、複数の細胞目標に機能する能力も保持しなければならない類似体を生産することが困難である複数の作用を有する天然物であるので、プロドラッグが特に有用であり得る。類似体の抑制性又は予想外の毒作用の両方を回避することは、胃腸管から血流への流入を成し遂げた後に、天然化合物に変換するプロドラッグによって取り除かれることができる。
【0042】
(用語法)
本明細書で用いられる用語「生体利用効率」とは、投与された薬剤の用量の体循環に入っている割合をいう。薬剤が静注で投与される場合、その生体利用効率は理論的に100%であるだろう。しかしながら、薬剤が他のルート(例えば、経口)を介して投与される場合、その生体利用効率は、例えば吸収及び/又は肝初回通過効果の前にGI管、分解又は代謝における不完全な吸収の結果として典型的には100%未満であろう。
【0043】
本明細書で用いられる用語「アルキル」とは、直鎖及び分岐炭化水素基をいい、その非限定的例は、メチル、エチル、並びに直鎖及び分岐プロピル及びブチル基を含む。用語「アルキル」は、「架橋されたアルキル」、すなわち二環式であるか多環式の炭化水素基、例えば、ノルボルニル、アダマンチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、又はデカハイドロナフチルを含む。アルキル基は、例えば、ヒドロキシ(OH)、ハロ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、及びアミノで任意に置換できる。本明細書に記載されている全ての好ましいサブセットを含む、式Iに従って本明細書に記載されている類似体において、アルキル基は、1〜40の炭素原子、好ましくは1〜25の炭素原子、好ましくは1〜15の炭素原子、好ましくは1〜12の炭素原子、好ましくは1〜10の炭素原子、好ましくは1〜8の炭素原子、及び好ましくは1〜6の炭素原子から成ることが特に意図される
【0044】
本明細書で用いられる用語「シクロアルキル」とは、環状炭化水素基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル及びシクロペンチルをいう。「ヘテロシクロアルキル」は、環が、酸素、窒素及び硫黄からなる群から独立に選択される1〜3の異種原子を含むことを除き、シクロアルキルと同様に定義される。ヘテロシクロアルキル基の非限定的な例には、ピペルジニル(piperdinyl)、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロフラニルなどを含む。シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、例えば、アルキル、アルキレンOH、C(O)NH2、NH2、オキソ(=O)、アリール、ハロアルキル、ハロ及びOHからなる群から独立して選択される1〜3個の基で任意に置換された飽和又は部分不飽和環系であり得る。ヘテロシクロアルキル基は、任意にアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキレンアリール又はアルキレンヘテロアリールで更にN置換できる。
【0045】
本明細書で用いられる用語「アルケニル」は、該基が、少なくとも一つの炭素-炭素二重結合を含むことを除いて「アルキル」と同じく定義される。
【0046】
本明細書で用いられる用語「アルキレン」とは、置換基を有するアルキル基をいう。例えば、用語「アルキレンヘテロシクロアルキル」とは、ヘテロシクロアルキル基により置換されるアルキル基をいう。アルキレン基は、先に任意的アルキル置換基として収載された一つ以上の置換基によって任意に置換される。
【0047】
本明細書で用いられる用語「アルケニレン」は、該基が少なくとも一つの炭素-炭素二重結合を含むことを除き、「アルキレン」と同一に定義される。
【0048】
本明細書で用いられる用語「アリール」とは、単環式又は多環式芳香族基、好ましくは単環又は二環芳香族基、例えばフェニル又はナフチルをいう。特に明記しない限り、アリール基は、非置換であり得るか、又は例えば、ハロ、アルキル、アルケニル、OCF3、NO2、CN、NC、OH、アルコキシ、アミノ、CO2H、CO2アルキル、アリール、及びヘテロアリールから独立に選択される1つ以上及び特に1〜4つの基で置換できる。典型的なアリール基は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、クロロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ニトロフェニル、2,4-メトキシクロロフェニルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0049】
本明細書で用いられる用語「ヘテロアリール」とは、1つ若しくは2つの芳香環を含み、かつ芳香環に少なくとも一つの窒素、酸素若しくは硫黄原子を含んでいる単環式又は二環式の環系をいう。特に明記しない限り、ヘテロアリール基は、非置換であり得るか、又は例えば、ハロ、アルキル、アルケニル、OCF3、NO2、CN、NC、OH、アルコキシ、アミノ、CO2H、CO2アルキル、アリール及びヘテロアリールから選択される1つ以上、特に1〜4つの置換基で置換できる。ヘテロアリール基の例には、チエニル、フリル、ピリジル、オキサゾリル、キノリル、チオフェニル、イソキノリル、インドリル、トリアジニル、トリアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、チアゾリル及びチアジアゾリルを含むが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書で用いられる用語「アミノ酸誘導体」とは、NH2、NHR又はNR2としてのアミン官能基、及びカルボン酸官能基の両方を有する部分をいう。アミノ酸は、α-アミノ酸、β-アミノ酸又はγ-アミノ酸であり得る。特に明記しない限り、本明細書にいうアミノ酸構造は、あらゆる可能的な立体異性体、例えば、D又はL鏡像異性体であり得る。アミノ酸は、グリシン、アラニン、β-アラニン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、リジン、プロリン、セリン、スレオニン又はバリンのL鏡像異性体などの天然存在型アミノ酸であり得る。他のアミノ酸には、グリシン、アラニン、β-アラニン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、リジン、プロリン、セリン、スレオニン若しくはバリンのD鏡像異性体など、又はオルニチン、置換フェニルアラニン(例えば、4-メトキシフェニルアラニン(4-methoxyphenylaline))、ピリジイルアラニン(pyridiyl alanines)及びその他など他のアミノ酸を使用できる。アミノ酸は、周知の技術に従って合成できるか、又は供給元、例えばSigma-Aldrich(ミルウォーキー、WI)又はChem-lmpex International社(ウッドデール、IL)から購入できる。好ましい実施態様のクラスにおいて、アミノ酸誘導体は、好ましくは、バリン、アラニン、ロイシン、又はイソロイシンである。例えば、あるクラスの実施態様はアミノ酸誘導体を意図し、式中、例えば以下の式Iの化合物に示されるように2つ以上のアミノ酸を有することができ、ここで、R2はγ-D-グルタミン酸-D-アラニン誘導体である:
【化3】
【0051】
本明細書で用いられる用語「ポリエチレングリコール」とは、式RO(CH2CH2)nO-の化学基をいい、式中、Rがアルキル基であり、かつnが1〜1000の整数でありかつ10〜500、20〜300、25〜250又は30〜200であり得る
【0052】
本明細書で用いられる用語「保護基」とは、以下の特徴を呈する化学基をいう:(1)選択的に所望の官能性と反応し、保護が要求される計画された反応に安定である被保護基質を好収率で与える;(2)所望の官能性を産生するために、被保護基質から選択的に着脱可能である;及び、(3)この種の保護反応において生成する他の官能基と互換性を持つ試薬剤によって、好収率で着脱可能である。保護基の例は、Greeneらの文献、「有機合成における保護基」、第2版(John Wiley & Sons, lnc , New York, 1991)に見い出され得る。
【0053】
(テトラヒドロビオプテリンのプロドラッグ)
本発明の一態様は、テトラヒドロビオプテリンのプロドラッグに関する。テトラヒドロビオプテリンのプロドラッグは、式I(以下に示される)の化合物、又は様々な条件下で、代謝又は変換されてテトラヒドロビオプテリンを提供し得るその医薬として許容し得る塩であり得る:
【化4】
【0054】
式Iの好ましい実施態様において、化合物はC-1'及びC-2'位の1つのみにて又はその両方で修飾される。そのような実施態様において、R3、R4、R5、R6及びR7はすべてが水素であり、かつR1及びR2は共に-C(Rc)Rd-であって5員環を形成するか、又はR1及びR2は独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、又はC(O)SRaであり、但しR1及びR2は両方ともが水素、C(O)H、グルコシル、アミノグルコシル、又は同じC(O)C1-10アルキルでないことを条件とする。
【0055】
Ra及びRbは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、ポリエチレングリコール、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールである。
【0056】
Rc及びRdは共にオキソであるか、又はRc及びRdは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールである。
【0057】
BH4のエステル及びジエステルは、本明細書に開示されるように、類似体として意図され、かつプロドラッグであり得る。第一級及び第二級アルコールは、様々な化学試薬剤、例えば、酸クロリド(例えば、塩化アセチル)及び酸無水物などによって容易にエステルに変わる。酸クロリド(例えば、塩化アセチル)は、酸掃去剤(例えば、トリエチルアミン)の存在下でアルコール部分と反応し、対応するエステル及び塩酸を形成できる。同様に、酸無水物(例えば、無水酢酸)は、アルコール部分と反応し、対応するエステル及び酢酸を形成することができる。副産物は、鉱酸(例えば、塩化アセチルについての塩酸)とは対照的に、対応する有機酸(例えば、無水酢酸についての酢酸)であるにつれて、酸無水物との反応は一般により軽度である。例えばHardenらの文献(1989) J. Med. Chem. 32:1738-43を参照されたい。テトラヒドロビオプテリン(ジオール)も、これらの化学試薬剤によって変換できることがと意図される。テトラヒドロビオプテリン上のアミン部分が望ましくなく修正されないように、これらの反応はアミンよりもアルコールに選択的であるべきである。
【0058】
C-1'及びC-2'位の一方又は両方の修飾は、様々な方法で達成できる。例えば、テトラヒドロビオプテリン(また、以下「BH4」とも称される)は、塩基捕捉溶媒、例えばピリジン又はトリエチルアミンに溶解できる。溶解したBH4は、モル過剰の無水物と反応してBH4のモノエステルを形成することができ、該反応が完了まで続き、このようにしてC-1' 位及びC-2'位の両方のヒドロキシルがジエステルプロドラッグに変換する。下で示される反応スキーム(I)は、C-1' 位及びC-2'位の一方又は両方を修飾することに適している合成の代表的な描写である:
【化5】
【0059】
代替的合成は、C-2位、N-3位、N-5位、及びN-8位で潜在的に反応性アミンを保護するために保護基を使用することを含むことができる。
【0060】
開示される類似体として意図されるBH4のエステル及びジエステルはアミノ酸から誘導でき、例えば、BH4の1',2'-ジオールもアミノ酸エステルに変換することができる。アシクロビルのアルコールはL-バリンアミノ酸エステルに変換され、生体利用効率の顕著な増加を生じ、ヒト腸のペプチド輸送されたhPEPT1を介する腸を通る能動輸送に起因する。他のアミノ酸は、同様に働くことができる。副産物は、生物学的に良性である。アミノ酸(AA)誘導体の例は、反応スキーム(IA)、(IA')及び(IB')で概説されるように調製できる。反応スキーム(IA)はBH4のアミノ酸類似体を調製する方法を示し、該アミノ酸はC1'、C2'又は両方の位置にある。反応スキーム(IA')は、4N HCI/ジオキサンを使用する、終末産物へのジ-bocイミンの直接の脱保護を含む代替例の特定の実施例を示す。反応スキーム(IB)はBH4のペプチジル誘導体を調製する方法を示し、C1'、C2'又は両方が、ジペプチド、トリペプチド又はテトラペプチド部分で修飾される。より長いペプチド修飾は、類似の合成方法を使用してなされることもできる。様々に保護されたアミノ酸誘導体は、周知の合成技術を介して、又は商業的供給元、例えばSigma-Aldrich (Milwaukee, WI)又はChem Impex (Wood Dale, IL)を介して入手できる。
【化6】
【化7】
【化8】
【0061】
環式のケタール及びアセタールは、それぞれ、ジオールをケトン及びアルデヒドと反応させることにより形成できる。例えばHardenらの文献(1989) J. Med. Chem. 32:1738-43;Songらの文献(2005) J. Med. Chem. 48:1274-77を参照されたい。環式のケタール及びアセタールは、インビボで加水分解的に又は酵素的に代謝され、ジオールへと戻り得る。R1及びR2が共に-C(Rc)Rd-であって五員環を形成し、BH4のアセタール類似体を形成する修飾は、反応スキーム(II)に記載し、以下に示すように、BH4の1',2'-ジオールを2,2-ジメトキシプロパン及びp-トルエンスルホン酸一水和物(pTSA)と共にアルデヒド(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF))と反応してBH4のアセタール類似体を形成することにより達成することができる:
【化9】
【0062】
R1及びR2が共に-C(Rc)Rd-であって五員環を形成し、BH4のケタール類似体を形成する修飾は、反応スキーム(III)に記載し、以下に記載するように、触媒の存在下で、BH4の1',2'-ジオールをケトンと反応させることによって達成できる:
【化10】
【0063】
(N-5及び/又はN-8位での修飾)
式Iの化合物の別の好ましい実施態様において、該化合物は、N-5位及びN-8位の一方のみ又は両方で修飾される。そのような実施態様において、R1、R2、R5、R6、及びR7は全てが水素であり;R3及びR4は独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C2-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、又はC(O)SRaであり、但し、R3が水素である場合にR4は水素又はリボースではなく、及びR4が水素である場合にR3は水素、C(O)H、アセタート、ヒドロキシメチル、又はアミノアルキルでないことを条件とする。1つのクラスの実施態様において、R3+はアミノ酸誘導体である。
【0064】
N-5位及びN-8位の一方又は両方での修飾は、様々な方法で達成できる。例えば、BH4のアミド(又はジアミド)類似体は、BH4を、反応性ジオール位を保護するモル過剰の適切なアルコール保護基、例えば塩化t-ブチルジメチルシリル(TBDMSCI)とイミダゾール存在下で処理することによって得ることができる。その後、被保護BH4を塩基と反応させた後に酸クロリドと反応させることによって、被保護N-5及び/又はN-8中間体を生成できる。これらの反応の後、該中間体上のジオール位は、該中間体を適切な脱保護剤、例えば、TBDMSCIの場合にはテトラ-n-ブチルフッ化アンモニウム(TBAF)で処理することにより脱保護され、BH4のアミド類似体を生成する。合成は一般的に、以下に示される反応スキーム(IV)に続く:
【化11】
【0065】
別の実施態様において、BH4のカルバモイル(又はジカルバモイル)類似体は、イミダゾール存在下で、BH4をモル過剰のTBDMSCIなどのアルコール保護基で処理し、反応性ジオール位を保護することにより得ることができる。その後、被保護BH4は、塩基と反応させ、それに続きクロロギ酸塩(例えば、ブチリルクロロギ酸塩)と反応させることができる。これらの反応の後、中間体上のジオール位は、例えば、該中間体をTBAFと反応させることによって脱保護化され、BH4のジアミド類似体を生産する。合成は一般的に、以下に示す反応スキーム(V)に続く:
【化12】
【0066】
実施態様のさらに別のクラスにおいて、式Iの化合物は、アミノ酸又はペプチジル部分を有するN-5位で修飾される。この種の誘導体は、以下の反応スキーム(VI)に従って調製できる。
【化13】
【0067】
(C-2位での修飾)
式Iの化合物のさらに別の好ましい実施態様において、化合物はC-2位でのみ修飾される。そのような実施態様において、R1、R2、R3、R4及びR5は全てが水素であり;かつ、R6、及びR7は独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa 、又はC(O)SRaであり、但し、R6が水素である場合にR7は水素、メチル、CH2(CH2)4CO2H、又はCH2CH2-アリールではなく、及びR7が水素である場合にR6は水素ではないことを条件とする。
【0068】
C-2での修飾は、周知の反応、例えばアミンからアミドへの転換、アミンのアルキル化、アミンのアリール化などを使用する、C-2でのNH2基の修飾前におけるBH4のジオール部分の保護基操作を含む、多くの典型的有機化学技術を介して生じることができる。被保護ジオール部をそれから、C-2位でのみ修飾されたBH4の類似体を提供するために任意に脱保護化できる。
【0069】
(N-3位での修飾)
式Iのさらに好ましい別の実施態様において、化合物はN-3位でのみ修飾される。そのような実施態様において、R1、R2、R3、R4、R6及びR7は全てが水素であり;かつ、R5は、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa又はC(O)SRaである。
【0070】
式Iの化合物の先に記載した好ましい実施態様のそれぞれにおいて、Ra及びRbは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、ポリエチレングリコール、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールである。
【0071】
N-3位での修飾は、周知の反応、例えばアミンからアミドへの転換、アミンのアルキル化、アミンのアリール化などを使用する、アミンの修飾前におけるBH4のジオール部分の保護基操作を含む、多くの典型的有機化学技術を介して生じることができる。
【0072】
(BH4のアシル誘導体)
また、トリアシル誘導体を提供するC1'、C2'及びN5でのBH4の修飾も意図される。この種の化合物を、以下の反応スキーム(VII)で概説されるように調製できる。
【化14】
【0073】
(テトラヒドロビオプテリンの類似体を評価する方法)
本明細書に開示されるテトラヒドロビオプテリンの類似体は、様々な方法で評価できる。例えば、これらの類似体は、代謝安定性について評価できる。薬剤物代謝は、肝臓での2つの主要酵素反応を介して達成される。第I相酵素は、滑面小胞体に局在する、シトクロム450(CYP)ファミリーの酵素を含む。第I相反応は、酸化、還元及び/又は加水分解を含み、それらの多くはCYP酵素により媒介され、かつ補因子としてNADPHを必要とする。第II相反応は、原形質及び小胞体に位置し、例えばグルクロン酸、グルタチオン、硫酸及びグルタミンとの抱合を含む。第II相反応は、薬剤を不活化し、及び/又は薬剤分子が身体によってよりよく除去されることを可能にする。薬剤は、第I相又は第II相反応のいずれかにより、又は両方によって、代謝できる。テスト化合物の代謝安定性は、化合物の能力を評価すること、第I相代謝の間における潜在的に毒性であるか薬理的に不活性な代謝物を生成すること、又は不十分な代謝分解のために蓄積することを決定する。肝ミクロソームは、多くの薬剤代謝酵素を含む細胞小器官画分(小胞体)であり、CYPを含む。肝ミクロソームは、試験化合物の代謝経路を評価するためのインビトロモデル系として一般に使用される。代謝安定性の他の態様は、テトラヒドロビオプテリン又は誘導体の酸化に関することができる。テトラヒドロビオプテリンは、温度及び還元電位に関する哺乳類の身体の状態での代謝を介して、又は物理作用を介して発生することがあり得る酸化に感応性である。加えて、類似体は、該類似体を切断することができ、かつ組織並びに血流において見出し得るエステラーゼ及び他の酵素を介するその代謝について試験できる。
【0074】
これらの類似体も、水溶解度並びに脂肪親和性について評価できる。水溶解度は、候補薬剤の生体利用効率及び有用性の重要な決定要素である。比濁分析(光散乱)は、多数のリード化合物の見かけ上の溶解度を迅速に決定するために認められた技術である。脂肪親和性は、膜のモデルとして、オクタノール:水分配係数を使用して決定できる。オクタノール:水分配係数は、コンピュータ算出フラグメント法を使用して推定することもできる。約2の分配係数(log P)のログは、膜浸透のための最適なlog Pを表すと考えられる。例えば、特定のアルコールのバリンエステルを加水分解するビフェニルヒドロキシラーゼ様タンパク質は、ヒトの腸に由来するCaCO-2細胞から同定された。(Amidonらの文献, J. Biol. Chem. 2003, 273, 25348-25356)
【0075】
さらにまた、これらの類似体は、膜透過性について評価できる。CaCO-2細胞は、膜透過性、及びそれゆえ、潜在的経口生体利用効率を評価するために一般に使用される。CaCO-2細胞は典型的には、ヒト結腸癌細胞系に由来し、拡散チャンバに取り付けられるコンフルエントな単層又は多孔性メンブランフィルタにおいて成長する。膜透過性は、受領者区画のテスト化合物の見かけの速度に基づいて測定される。単層の頂端(ドナー)表面は微小絨毛から成り、それ故、腸の刷子縁の特徴を保持する。加えて、細胞は、機能的な輸送タンパク質及び代謝性酵素を発現することもできる(Inuiらの文献, J. Pharmacol. Exp. Ther. 261:195-201 (1992);Luらの文献, Pharm. Res. 11:S-258 (1994);Jorgeらの文献, Pharm. Res. 8:1441〜1443 (1991))。CaCO-2細胞を使用するインビトロ評価は、ヒトの胃腸吸収を予示すると考えられる(Stewartらの文献, Pharm. Res. 12:693-699 (1995))。ヒトの腸由来のCaco-2細胞が、腸の膜全体の通過の間、プロドラッグから親薬剤を放出できる様々なエステラーゼを発現するとも測定された。(Imai et al., Drug Metabolism and Disposition 2005, 33, 1185-1190;Miyazakiらの文献, Antimicrobial Agents and Chemotherapy 2004, 48, 2604-2609)。
【0076】
またさらに、これらの類似体は、腸の透過性について評価できる。経口投与を意図する化合物の腸の透過性の評価は、商業的な薬剤開発の候補を選択することにおいて重要な役割を果たす。吸収可能性の順に一連のリード化合物にランクを付けることは、化合物の選択及び最適化を促進する。一連中の化合物の吸収可能性の調査のために現在認められた方法は、CaCO-2又はMDCK単層培養物を通る見かけの透過性の比較によるものである(Artusson及びBorchardtの文献, Pharm. Res. 1997, 14, 1655- 1657)。これらの吸収モデルは、活性な輸送機構に関与するものを含む、開発において更に開発される化合物に関連するいかなる吸収問題を理解することにも有用である。
【0077】
ラット又はイヌなどの動物モデルを使用して、それらの生体利用効率及びBH4への転換のための類似体を更に評価できる。こうした状況において、経口投与薬剤は静脈内投与にて提供されたものと比較され、かつ両方の経路の薬物動態が薬剤濃度について分析される。肝臓、心臓、脈管系及び脳などの問題となる組織を、テトラヒドロビオプテリンの組織レベルについて分析し、類似体及び天然の形態の両方の投与の後に達成される濃度と比較できる。
【0078】
(式Iの化合物を含む組成物)
本発明の更なる態様は、希釈剤又は担体などの医薬として許容し得る賦形剤と共に本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。本発明の使用に適している化合物及び医薬組成物は、該化合物がその意図された目的を達成するための有効量で投与できるものを含む。化合物の投与は以下で更に詳細に記載した。
【0079】
適切な医薬組成物は、投与及び所望の投与量の経路に応じて、当業者により決定できる。例えば、「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」, 1435-712 (第18版, Mack Publishing Co, Easton, Pennsylvania, 1990)を参照されたい。剤形は、物理状態、安定性、インビボ放出速度、及び投与された薬剤のインビボでのクリアランス速度に影響し得る。投与の経路に応じて、適切な用量は、体重、体表面積又は器官サイズに従って算出できる。適当な処理用量を決定するのに必要な算出の更なる改良は、特に本明細書に開示される投与量情報及びアッセイ、並びに動物又はヒトの臨床試験を通じて入手できる薬物動態的データに照らし、過度の実験なく当業者によって日常的になされる。
【0080】
「医薬として許容し得る」又は「薬理的に許容し得る」という句は、動物若しくはヒトに投与した場合に、有害反応、アレルギー反応、又は他の厄介な反応をもたらさない分子的実体及び組成物をいう。本明細書で用いられる「医薬として許容し得る担体」には、任意の及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質のためのこの種の賦形剤の使用は、当業界において公知である。任意の従来の媒体又は薬剤が該治療組成物と不適合である限りを除き、治療組成物におけるその使用が意図される。補助活性成分も、組成物に組み込むことができる。例示的実施形態において、製剤は、コーンシロップ固形物、高オレイン酸サフラワー油、ヤシ油、ダイズ油、L-ロイシン、三塩基性リン酸カルシウム、L-チロシン、L-プロリン、L-リジン酢酸塩、DATEM(乳化剤)、L-グルタミン、L-バリン、二塩基リン酸カリウム、L-イソロイシン、L-アルギニン、L-アラニン、グリシン、L-アスパラギン一水和物、L-セリン、クエン酸カリウム、L-スレオニン、クエン酸ナトリウム、塩化マグネシウム、L-ヒスチジン、L-メチオニン、アスコルビン酸、炭酸カルシウム、L-グルタミン酸、L-シスチン二塩酸塩、L-トリプトファン、L-アスパラギン酸、塩化コリン、タウリン、m-イノシトール、硫酸第一鉄、アスコルビン酸パルミテート、硫酸亜鉛、L-カルニチン、α-酢酸トコフェロール、塩化ナトリウム、ナイアシンアミド、混合トコフェロール、パントテン酸カルシウム、硫酸第二銅、塩酸チアミンクロライド、ビタミンAパルミチン酸塩、硫酸マンガン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、葉酸、βカロテン、ヨウ化カリウム、フィロキノン、ビオチン、セレン酸ナトリウム、塩化クロム、モリブデン酸ナトリウム、ビタミンD3及びシアノコバラミンを含んでよい。追加のアミノ酸、ミネラル及びビタミンは、成分の各々の推奨された1日用量を提供する量で提供すべきである。
【0081】
本明細書で用いられる「医薬として許容し得る担体」は、任意の及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。医薬剤活性物質のためのこの種の賦形剤の使用は、当業者に公知である。任意の従来の媒体又は薬剤が該治療組成物と不適合である限りを除き、治療組成物におけるその使用が意図される。補助活性成分も、組成物に組み込むことができる。
【0082】
本明細書で用いられる「医薬として許容し得る塩」は、例えば、塩基付加塩及び酸付加塩を含む。
【0083】
医薬として許容し得る塩基付加塩は、アルカリ及びアルカリ土類金属若しくは有機アミンなどの金属又はアミンで形成できる。化合物の医薬として許容し得る塩は、医薬として許容し得るカチオンでも調製できる。適切な医薬として許容し得るカチオンは、当業者に周知で、かつアルカリカチオン、アルカリ土類カチオン、アンモニウムカチオン及び四級アンモニウムカチオンを含む。炭酸塩又は炭酸水素塩も可能である。カチオンとして使用する金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム、カルシウム、又は第二鉄などである。適切なアミンの例には、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン及びプロカインを含む。
【0084】
医薬として許容し得る酸付加塩は、無機酸塩又は有機酸塩を含む。適切な酸塩の例は、塩酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、サリチル酸塩、硝酸塩、リン酸塩を含む。他の適切な医薬として許容し得る塩は当業者に周知であり、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、又はマンデル酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸若しくはリン酸を;有機カルボン酸、スルホン酸、スルホ酸又はホスホ酸又はN-置換スルファミン酸、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、エンボニン酸(embonic acid)、ニコチン酸又はイソニコチン酸と共に;及び、天然のタンパク質の合成に関与する20種のαアミノ酸などのアミノ酸、例えばグルタミン酸又はアスパラギン酸、並びに、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2‐ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン1,2-二スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-メチルベンゼンスルホン酸、ナフタレン2-スルホン酸、ナフタレン1,5-二スルホン酸、2-若しくは3-ホスホグリセリン酸、グルコース6-リン酸、N-シクロヘキシルスルファミン酸(シクラマートの形成に伴う)と共に、又はアスコルビン酸などの他の酸性の有機化合物と共に;含む。
【0085】
無機酸又は有機酸との類似体塩が好ましい。代替的な類似体塩形態の非限定的な例には、酢酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、フマル酸及びマンデル酸の類似体塩を含む。しかしながら、さらに好ましくは、本明細書に記載されている組成において使用する類似体は、二塩酸塩として製剤される。
【0086】
本発明の類似体を含む医薬組成物は、従来の様式で、例えば、従来の混合により、溶解、粒状化、糖衣製造、すりつぶし、乳状化、カプセル化、捕捉化、又は凍結乾燥により製造できる。適切な剤形は、選択される投与の経路に依る。本発明の類似体の治療上有効量が経口で投与される場合、組成物は、典型的には固体(例えば、錠剤、カプセル、ピル、粉末又はトローチ)又は液状剤形(例えば、水性懸濁液、溶液、エリキシル又はシロップ)の形態である。
【0087】
錠剤形態で投与される場合、組成物は、機能性固体及び/又は固体担体、例えばゼラチン又はアジュバントをさらに含むことができる。錠剤、カプセル及び粉剤は、本発明の約1〜約95%の類似体、及び好ましくは本発明の約25〜約90%の類似体を含有できる。
【0088】
液体又は懸濁液形態で投与される場合、機能的な液体及び/又は液体担体、例えば動物若しくは植物起源の水、石油又は油を加えることが可能である。組成物の液体形態は、生理的食塩水、糖アルコール溶液、ブドウ糖若しくはその他の糖溶液、又はグリコールを更に含むことができる。糖アルコール溶液が好ましい。液体又は懸濁液形態で投与される場合、組成物は、本発明の類似体の約0.5〜約90重量%及び好ましくは本発明の類似体の約1〜約50%を含むことができる。意図される一実施態様において、液体担体は、非水性又は実質的に非水性である。液体形態での投与のために、組成物は、投与直前の溶解又は懸濁のために急速溶解性製剤として供給できる。
【0089】
本発明の類似体の治療上有効量が、静脈内注射、皮膚注射、又は皮下注射により投与される場合、組成物は、発熱物質を含まない非経口的に受け入れられる水溶液の形態である。pH、等張性、安定性などに十分な考慮を有するこの種の非経口的に受け入れられる溶液の調製は、当業界における技術の範囲内である。静脈内注射、皮膚注射、又は皮下注射のための好ましい組成物は、典型的には、本発明の化合物に加えて、等張性ビヒクルを含む。この種の類似体組成物は、ヒドロキシプロピルセルロースなど界面活性剤と適切に混合された遊離塩基又は薬理的に許容し得る塩の溶液としての投与のために調製できる。分散剤も、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの混合物において、並びに油において調製できる。通常の貯蔵状態及び使用条件下で、これらの調製物は、微生物の成長を防止するために防腐剤を任意に含むことができる。
【0090】
注射可能な類似体組成物は、滅菌水溶液、懸濁液、又は分散剤、及び無菌の注射可能な溶液、懸濁液又は分散剤の即時調製用の無菌の粉末を含むことができる。全ての場合において、形態は、無菌でなければならず、かつ容易に注射できる程度に流動的でなければならない。形態は、製造及び貯蔵条件下で安定でなければならず、かつ防腐剤の任意の包含によって細菌及び菌類などの微生物の汚染作用に抵抗しなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)、適切なそれらの混合物及び植物油を含む溶媒又は分散媒であり得る。意図される一実施態様において、担体は、非水性又は実質的に非水性である。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散剤の場合には類似体の要求される粒度の維持により、及び界面活性剤の使用により維持できる。微生物の作用の防止は、様々な抗細菌剤及び抗菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによりもたらされ得る。多くの場合に、等張剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射可能組成物の長期にわたる吸収は、吸収遅延剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物における使用によってもたらされ得る。
【0091】
無菌の注射可能溶液は、適切な溶媒中の必要量の活性化合物を、先に列挙した様々な他の成分と共に取り込ませ、必要に応じて、その後にフィルタ処理殺菌により調製される。通常、分散剤は、様々な殺菌された活性成分を、基本的な分散媒及び先に列挙したものからの必要な他の成分を含む無菌ビヒクルに組み込むことにより調製される。無菌の注射可能溶液の調製のための無菌粉末の場合、好ましい調製法は、真空乾燥及び凍結乾燥技術であり、これらは活性成分の粉末、及び前もって無菌濾過したその溶液からの任意のさらなる所望の成分を生じる。
【0092】
経口投与のために、適切な組成物は、本発明の類似体を、当業界において公知の担体などの医薬として許容し得る賦形剤と組み合わせることによって容易に調製できる。この種の賦形剤及び担体は、本化合物が、治療すべき患者による経口摂取用に、錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤化されることを可能にする。経口的使用のための医薬製剤は、式Iの化合物を固体の賦形剤に加え、任意に挽いて混合物を生じさせ、適切な助剤を加えた後に顆粒の混合物を処理することにより得ることが可能であり、必要に応じて、錠剤又は糖衣錠コアを得ることができる。適切な賦形剤は、例えば、充填剤及びセルロース調製物を含む。必要に応じて、崩壊剤を加えることが可能である。医薬として許容し得る成分は、様々なタイプの製剤について周知であり、例えば、様々な製剤タイプのための結合剤(例えば、天然又は合成ポリマー)、潤滑剤、界面活性剤、甘味料及び香料、被覆物質、防腐剤、色素、増粘剤、アジュバント、抗微生物剤、抗酸化剤及び担体でもよい。
【0093】
本明細書に記載されている組成物に有用な結合剤の非限定的な例には、トラガカントゴム、アカシア、デンプン、ゼラチン及び生体分解性ポリマー、例えば、ジカルボン酸、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール及び/又は脂肪族ヒドロキシルカルボン酸のホモ又はコポリエステル;ジカルボン酸、アルキレンジアミン及び/又は脂肪族アミノカルボン酸のホモ又はコポリアミド;対応するポリエステル-ポリアミド-コポリマー、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン及びポリカーボネート;を含む。生体分解性ポリマーは、直鎖状、分岐状、又は架橋されていてよい。具体例は、ポリグリコール酸、ポリ乳酸及びポリ-d,l-ラクチド/グリコリドである。ポリマーのための他の実施態様は、水溶性ポリマー、例えば、ポリオキサアルキレン(ポリオキサエチレン、ポリオキサプロピレン及びその混合ポリマー、ポリアクリルアミド及びヒドロキシルアルキル化されたポリアクリルアミド、ポリマレイン酸及びそのエステル又はアミド、ポリアクリル酸及びそのエステル又はアミド、ポリビニルアルコール及びそのエステル又はエーテル、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピロリドン、並びにキトサンのような天然ポリマーである。
【0094】
本明細書に記載されている組成物に有用な賦形剤を錠剤化することの非限定的な例には、リン酸二カルシウムなどのリン酸塩を含む。
【0095】
本明細書に記載されている組成物における使用のための界面活性剤は、アニオン性であり得るか、カチオン性であり得るか、両性であり得るか、又は中性であり得る。本明細書に記載されている組成物に有用な界面活性剤の非限定的な例には、レシチン、リン脂質、オクチル硫酸塩、デシル硫酸塩、ドデシル硫酸塩、テトラデシル硫酸塩、ヘキサデシル硫酸塩及びオクタデシル硫酸塩、オレイン酸ナトリウム又はカプリン酸ナトリウム、1-アシルアミノエタン-2-スルホン酸、例えば、1-オクタノイルアミノエタン-2-スルホン酸、1-デカノイルアミノエタン-2-スルホン酸、1-ドデカノイルアミノエタン-2-スルホン酸、1-テトラデカノイルアミノエタン-2-スルホン酸、1-ヘキサデカノイルアミノエタン-2-スルホン酸、及び1-オクタデカノイルアミノエタン-2-スルホン酸、並びにタウロコール酸及びタウロデオキシコール酸、胆汁酸及びそれらの塩、例えば、コール酸、デオキシコール酸及びグリココール酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム又はラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、硫酸化されたヒマシ油及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、コカミドプロピルベタイン及びラウリルベタイン、脂肪族アルコール、コレステロール、モノ又はジステアリン酸グリセロール、モノ又はジオレイン酸グリセロール及びモノ又はジパルミチン酸グリセロール、並びにステアリン酸ポリオキシエチレンを含む。
【0096】
本明細書に記載されている組成物に有用な甘味料の非限定的な例には、糖アルコール、例えば、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、グリセロール、エリトリトール、アラビトール、イソモルト、マルチトール及びラクチトール、並びにサッカリン、スクラロース及びアスパルテームを含む。糖アルコール、アスパルテーム及びスクラロースが好ましく、糖は好ましくは回避される。本明細書に記載されている組成物における使用のための香料の非限定的な例には、ペパーミント、ウィンターグリーン油、又はチェリー香料及びオレンジ香料などのフルーツ香料を含む。
【0097】
本明細書に記載されている組成物に有用な被覆物質の非限定的な例には、タルク、トウモロコシ澱粉、二酸化ケイ素、ラウリル硫酸ナトリウム、ゼラチン、ワックス、セラック、糖、生体分解性ポリマー及び金属ステアリン酸塩、好ましくはタルク、トウモロコシ澱粉、二酸化ケイ素、ラウリル硫酸ナトリウム、ゼラチン、ワックス、生体分解性ポリマー及び金属ステアリン酸塩を含む。被覆物質は、約0.2重量%から約15重量%まで、好ましくは0.5重量%から約5重量%までの量で組成物に存在してもよい。
【0098】
組成物に使用できる潤滑剤は、天然又は合成油、脂肪、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、水素化された綿実油(Sterotex)、タルク及びワックスを含むがこれらに限定されるものではなく、蜜蝋、カルヌバ(carnuba)ワックス、セチルアルコール、ステアリン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、水素化された植物油、及びステアリルアルコールを含むがこれらに限定されるものではない。潤滑剤は、約0.2重量%〜約20重量%、好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の量で存在してもよい。
【0099】
本明細書に記載されている組成物に有用な防腐剤の非限定的な例には、ソルビン酸、クロロブタノール、チメロサール、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、フェノール、m-クレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、安息香酸、フェノキシエタノール、メチルパラベン、及びプロピルパラベン並びに上記のいずれかの組合せを含む。
【0100】
本明細書に記載されている組成物に有用なアジュバントの非限定的な例には、アルミニウム水酸化物、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸ベリリウム、シリカ、カオリン、炭素、油中水型乳剤、水中油型乳剤、ムラミルジペプチド、細菌内毒素、脂質X、コリネバクテリウム・パルバム(Corynebacterium parvum)(プロピオノバクテリウム・アクネス(Propionobacterium acnes))、百日咳菌、ポリリボヌクレオチド、アルギン酸ナトリウム、ラノリン、リゾレシチン、ビタミンA、サポニン、リポソーム、レバミゾール、DEAE-デキストラン、ブロックコポリマー又は他の合成アジュバントを含む。この種のアジュバントは、様々な供給源、例えば、Merck Adjuvant 65 (Merck and Company, Inc., Rahway, N.J.)又はフロイント不完全アジュバント及び完全アジュバント(Difco Laboratories, Detroit, Michigan)から商業的に入手可能である。典型的には、Amphigen(水中油)、Alhydrogel(アルミニウム水酸化物)、又はAmphigenとAlhydrogelとの混合物などのアジュバントが使われる。
【0101】
本明細書に記載されている組成物に有用な抗微生物剤の非限定的な例には、トリクロサン、フェノキシイソプロパノール、フェノキシエタノール、PCMX、天然精油及びそれらの主成分、並びにそれらの混合物を含む。
【0102】
本明細書に記載されている組成物に有用な抗酸化剤の非限定的な例には、アスコルビン酸(ビタミンC)、αトコフェロール(ビタミンE)、ビタミンA、セレン、βカロテン、カロテノイド、フラボン、フラボノイド、葉酸塩、フラバノン、イソフラボン、カテキン、アントシアニジン、カルコン及びそれらの組み合わせを含む。
【0103】
また、遅延放出又は徐放性製剤は、GI管において体液と接触する活性化合物の徐放を達成するために、及び血漿中の活性化合物の実質的に一定かつ有効なレベルを提供するために、本明細書に記載されている類似体から調製することができる。例えば、放出は、溶解、拡散、及びイオン交換の一つ以上により制御できる。加えて、遅延放出方法は、GI管内において飽和性であるか又は限定された経路を介して吸収を強化できる。例えば、類似体は、生体分解性ポリマー、水溶性ポリマー又は両方の混合物のポリマーマトリックス、並びに任意に適切な界面活性剤に、この目的のために埋め込むことが可能である。埋め込みは、この文脈において、ポリマーのマトリクスにおける微小粒子の組み込みを意味できる。徐放製剤は、周知の拡散又はエマルジョン被覆物質技術を介して、分散微粒子又は乳状微液滴のカプセル化からも得られる。
【0104】
吸入による投与について、本発明の化合物は、適切な推進体を使用して、加圧パック又は噴霧器からエアゾールスプレープレゼンテーションの形態で都合よく送達される。加圧エアゾールの場合、用量単位は、測られた量を送達するための弁を提供することにより決定できる。吸入器(inhaler)又は吸入器(insufflator)における使用のための例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジは、本化合物及びラクトース又はデンプンなどの適切な粉基剤の粉末混合物を含めて製剤化できる。
【0105】
類似体は、注入によって、例えば、ボーラス注射又は持続性点滴によって、非経口投与のために製剤化できる。注入用製剤は、単位用量形態、例えばアンプル又は複用量容器で、追加的な防腐剤と共に提供できる。組成物は、油性又は水性溶媒における懸濁液、溶液又はエマルジョンなどの形態をとることができ、かつ懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの製剤化剤を含むことができる。
【0106】
非経口投与用医薬製剤は、水溶性形態での類似体の水溶液を含む。加えて、類似体の懸濁液は、適切な油性注入懸濁液として調製できる。適切な親油性溶媒又はビヒクルは、脂肪油又は合成脂肪酸エステルを含む。水性注入懸濁液は、該懸濁液の粘度を上昇させる物質を含むことができる。任意に、懸濁液は、化合物の溶解性を増加させ、かつ高度に濃縮された溶液の調製を可能にする適切な安定剤又は薬剤を含み得る。別法として、本組成物は、使用前における適切なビヒクル、例えば無菌の発熱物質不含水での構成用に粉末形態であり得る。
【0107】
本発明の類似体は、例えば従来の座薬基剤を含有している坐薬又は保持浣腸などの直腸組成物で製剤化することもできる。先に記載されている製剤に加えて、類似体は、時効性製剤としても製剤化できる。そのような長時間作用性製剤は、移植(例えば、皮下又は筋肉内)によって、又は、筋肉注射により投与できる。従って、例えば、化合物は、適切なポリマー性材料若しくは疎水性材料(例えば、許容可能な油中エマルジョンとして)又はイオン交換樹脂で、あるいはやや難溶性の誘導体として、例えばやや難溶性の塩として製剤化できる。
【0108】
特に、本発明の類似体は、デンプン又はラクトースなどの賦形剤を含む錠剤の形態で、又はカプセル又は胚珠(ovule)で、単独で若しくは賦形剤との混合物のいずれかで、又は香料若しくは着色料を含むエリキシル又は懸濁液の形態で、経口投与、頬投与、又は舌下投与できる。そのような液体調製物を懸濁剤などの医薬として許容し得る添加剤と共に調製できる。類似体は、非経口注入、例えば静脈内注入、筋肉内注入、皮下注入又は、冠内注入することもできる。非経口投与について、類似体は、他の物質、例えば塩、又は糖アルコール、例えばマンニトール、若しくはグルコースなどを含み、血液に等張の溶液を作成し得る滅菌水溶液の形態で最も用いられる。
【0109】
獣医学使用について、本発明の類似体又はその無毒性塩は、通常の獣医学実行に従って適切に受け入れられる製剤として投与される。獣医師は、特定の動物に最も好ましい投与計画及び投与経路を容易に決定できる。
【0110】
本発明の特定の態様において、BH4の類似体を単独で若しくは別の薬剤との併用で使用する疾患の治療のため、又は伝統的にそのような疾患の治療のために使用される介入のための全ての必要な成分をキットに梱包できる。具体的には、本発明は、BH4の類似体又はその誘導体、並びに前記薬剤の配達可能形態を調製するためのバッファ及び他の成分、及び/又はこの種の薬剤を送達する装置、及び/又はBH4に基づく薬剤との併用療法において使用される全ての薬剤、及び/又は該薬剤と共に梱包される疾患の治療のための説明書を含む、疾患の治療的介入における使用のためのキットを提供する。説明書は、任意の有形媒体、例えば印刷紙、又はコンピュータ読み取り可能な磁気若しくは光学媒体、又はインターネットを介してアクセス可能なワールドワイドウェブページなどのリモートコンピュータデータソースを参照するための指示書で用意できる。
【0111】
(式Iの化合物を利用する治療方法)
上記のように、本発明の態様は、テトラヒドロビオプテリンの類似体を含む組成物を含む。本発明の更なる態様は、上述した組成物のいずれか一つの投与によって、BH4反応性状態を患っている個人を治療する方法を含む。該方法は、式Iの化合物の治療上有効量を個人に投与することを含む。BH4反応性状態は一般的に、BH4又はその誘導体に感受性の状態を含む。BH4反応性状態は、タイプI糖尿病、タイプII糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病ネフロパシ、血管疾患、溶血性貧血(例えば、溶血関連性)、鎌状赤血球貧血、神経精神医学的障害、BH4欠乏に伴う神経精神医学的障害、チロシンヒドロキシラーゼ機能低下又はトリプトファンヒドロキシラーゼ機能低下に関連した神経精神医学的障害、代謝異常、例えばメタボリックシンドローム、高血圧症、末梢動脈性疾患、間欠跛行、重症虚血肢、心不全、アテローム性動脈硬化症、内皮機能不全、及び高フェニルアラニン血症(hyperphenylalanemia)を含む。これらの状態は、以下に更に詳細に記載されている。
【0112】
「治療上有効量」は、治療される対象の治療若しくは進行の阻止、又は既存の症状を軽減するのに有効な量を意味する。特にここに提供されている詳細な開示に照らし、有効量の測定は十分当業者能力の範囲内である。通常、「治療的に有効な用量」は、所期の効果の達成をもたらす類似体のその量をいう。例えば、好ましい一実施態様において、本明細書に開示したBH4の類似体の治療上有効量は、流量媒介型拡張研究での5分の虚血などの一般的シグナルに応答して、50若しくは100%以上、血管拡張の程度を増加させる。別の好ましい実施態様において、本明細書に開示したBH4の類似体の治療上有効量は、5mmHg若しくは10mmHg、又は患者によっては15mmHg以上、収縮期血圧を減少させる。さらに別の好ましい実施例において、本明細書に開示したBH4の類似体の治療上有効量は、流量媒介型拡張又は他の態様、例えば細胞接着分子の発現、過剰な酸化性種生成又は凝固又は血栓症を促進する傾向によって測定される内皮機能不全を減らす。さらに別の好ましい実施例において、本明細書に開示したBH4の類似体の治療上有効量は、BH4に反応する患者に対し、L-Dopa又はセロトニンの神経伝達物質レベルを少なくとも10%上昇させる。
【0113】
類似体の毒性及び治療有効性は、細胞培養又は実験動物の標準的薬学手順により、例えば、LD50(集団の50%に致死的な用量)及びED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するために測定できる。毒性効果及び治療効果の間の用量比は治療指数であり、これはLD50とED50との間の比として発現される。高い治療指数を呈する化合物が好ましい。得られたデータは、ヒトにおける用量範囲を策定する際に使うことができる。この種の化合物の適用量は、ほとんど又は全く毒性を有しないED50を含む循環濃度の範囲内にある。該用量は、使用される剤形及び利用される投与経路によって、この範囲の中で変更できる。
【0114】
正確な剤形、投与経路及び投与量は、治療されている特定の疾患及び患者の状態を考慮して個々の医師によって選択できる。投与量及び間隔を個別的に調整し、治療効果を維持するのに十分であるBH4類似体、BH4又はそれらの組み合わせの血漿レベルを提供することができる。
【0115】
投与される類似体の量は、対象の年齢、健康、性別及び重量、併用治療の種類(もしあれば)、苦痛の厳しさ、要求される効果の性質、治療の様式及び頻度、並びに処方する医師の判断に基づき、対象によって決まり得る。また、投与頻度は、動脈酸素圧に対する薬剤力学的効果によって決まり得る。しかしながら、最も好ましい投与量は、当業者によく理解され、かつ決定できるように、過度の実験なく、個々の対象に合わせて調整できる。これは、典型的には、標準用量の調整(例えば、患者が低体重を有する場合の用量の減少)を含む。
【0116】
個々のニーズは変化するが、類似体の有効量の最適範囲の決定は、当業者の範囲内である。本明細書中に確認される状態及び障害の治療又は予防治療におけるヒトに対する投与のために、例えば、本発明の類似体の典型的用量は、日当たりの体重キログラム当たりの活性成分(mg/kg)の約0.1ミリグラム〜約40mg/kgであり得、例えば少なくとも0.2mg/kg、少なくとも0.3mg/kg、少なくとも0.4mg/kg、又は少なくとも0.5mg/kg、及び好ましくは30mg/kg以下又は20mg/kg以下、例えば約2.5mg/日(0.5mg/kg×5kg)〜約2000mg/日(20mg/kg×100kg)そうすることができる)であり得る。この種の用量は、単回投与で投与してよく、又はそれを複数回投与に分割してもよい。例示的実施形態において、1日用量は、0.5mg/kg 、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg若しくは20mg/kg、又はそのいかなる分率でもよい。
【0117】
適切な投与量は、関連した用量反応データに関連してフェニルアラニン(Phe)の血中濃度を測定するための確立したアッセイを使用することにより確認できる。最終的な投与計画は主治医により決定され、薬剤の作用を修飾する要因、例えば、薬剤の比活性、損傷の厳しさ及び患者の反応性、年齢、状態、体重、性別及び患者の食事、全ての感染の重篤性、投与時間、並びに他の臨床要因が考慮される。研究が行われるにつれて、適切な投与量レベル並びに特定の疾患及び状態の治療期間に関するさらなる情報が現れる。
【0118】
本発明の医薬組成物及び治療方法がヒト医学及び獣医学の分野に有用であり得ることは理解される。従って、治療される個人(又は対象)は、哺乳類、好ましくはヒト又は他の動物でよい。獣医学目的について、対象は、例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ及びヤギを含む家畜、イヌ及びネコなどの伴侶動物、外来性及び/又は動物園動物、マウスラット、ウサギ、モルモット及びハムスターなどの実験動物;及び、ニワトリ、シチメンチョウカモ及びガチョウなどの家禽を含む。
【0119】
継続的な毎日投与が意図されるが、特定の臨床指標が特定の閾値レベルを上回って改善される場合には、治療法を中止することが望ましい。もちろん、治療法は、臨床的改善指標が悪化する事象において再び開始できる。実際には、医師は、個々の患者に最も適している実際の投与計画を決定し、投与量を特定の患者の年齢、重量及び反応により変更する。上記の用量範囲は、平均的場合の典型であるが、より高いか又は低い投与量が利点の個別的場合があり得、そのような場合も本発明の範囲内である。
【0120】
本発明の類似体は、単独で、又は、該疾患を対象にするか又はその他の症状を対象にする他の治療薬と併せて投与できる。類似体は一般的に、意図された投与経路及び標準的薬剤実務に関して選択される医薬として許容し得る担体との混合物で投与される。本発明に従う使用のための医薬組成物は、このように、調製物への類似体の加工を容易にし、薬学的に使用できる賦形剤及び助剤を含む、一以上の生理的に受け入れられる担体を使用して従来の様式で製剤化できる。
【0121】
(BH4反応性状態)
先に開示したように、BH4反応性状態には、タイプI糖尿病、タイプII糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病ネフロパシ、血管疾患、溶血性貧血、鎌状赤血球貧血、神経精神医学的障害、BH4欠乏に伴う神経精神医学的障害、チロシンヒドロキシラーゼ機能低下又はトリプトファンヒドロキシラーゼ機能低下に伴う神経精神医学的障害、メタボリックシンドロームなどの代謝異常、高血圧症、末梢動脈性疾患、間欠跛行、重症虚血肢、心不全、アテローム性動脈硬化症、内皮機能不全、及び高フェニルアラニン血症を含む。
【0122】
タイプI糖尿病、タイプII糖尿病、糖尿病性網膜症及び糖尿病ネフロパシは、BH4反応性状態の一つである。真正糖尿病及び他の心血管疾患状態は、内皮において血管拡張神経と血管収縮神経とのバランスの変更を生じ、かつ内皮機能不全の一因となる一酸化窒素(NO)生理活性の損失によって特徴づけられる。内皮機能不全は、高血圧症を生じる血管収縮の増加、流量又は他のシグナルに対する不適切な拡張反応、血栓形成及び血小板凝集の増加、セレクチンなどの細胞表面細胞接着因子の増加、凝固因子の増加、並びに活性酸素種(ROS)、例えばスーパーオキサイド分子などの過剰なフリーラジカル産生に起因する加速性アテローム性動脈硬化症(accelerated atherosclerosis)の基礎をなす。NOは脈管ホメオスタシスを維持することにおいて中心的役割を果たすので、NO生理活性の損失は血管疾患発病の一因となり、かつ該疾患の有害転帰の標識である。加えて、適切なテトラヒドロビオプテリンの非存在下における反応酸化性種の産生も、加速性アテローム性動脈硬化症の一因となる。
【0123】
酸化ストレスにさらされた動脈におけるBH4の生合成及び異化の促進は、糖尿病を患っている患者の動脈の中に存在することが公知の内皮機能不全の発病に寄与し得る。加えて、グルコース上昇は、GTPシクロヒドロラーゼと呼ばれているBH4を生じる経路における第1の生合成酵素の抑制に起因して、BH4の細胞レベルの増加を防止し得る。非共役内皮一酸化窒素シンターゼを介する過剰な酸化性種の産生はテトラヒドロビオプテリンの更なる分解を導き、eNOSに対するBH4レベルの有効性の減少にも寄与する。eNOSによる酸化性種の産生はBH4の限定欠失により強化され、これらの酸化性種(例えば、パーオキシナイトライトをもたらすスーパーオキサイド)は更にBH4を破壊し、自律的下方螺旋をもたらす。幸いにも、動物及びヒトにおいて、BH4の実験的補給は、内皮機能に有益な効果を示した。本明細書に開示されるBH4の類似体は、天然のBH4より実質的に低用量であるが類似の有益な効果を示すことができると考えられる。糖尿病又はアテローム性動脈硬化症を有する動物からの血管環、及び哺乳動物における糖尿病患者からの胸動脈環を使用する高濃度BH4補給研究は、BH4が潜在的に、内皮機能不全を潜在的に改善し、酸化ストレスを減らし、かつ血管機能を復元することができるというアイデアを支持する。本明細書に開示されるBH4の類似体は同様に、内皮機能不全を改善することができ、かつ血管機能を復元できると考えられる。心血管及び糖尿病の対象上のBH4における陽性影響のいくつかの例は、以下を含む:BH4投与は、糖尿病又は高コレステロール血症を有する患者の前腕血流におけるNO媒介型効果を増補するが、正常被験者では増補しないようである(Heitzerらの文献、Diabetologia,43(11):1435-8(2000))。急性のBH4は、冠状動脈バイパス移植手術を受けている糖尿病対象において、静脈移植片及び動脈の血管機能を修復する(Guzikらの文献、Circulation 105(14):1656- 1662(2002))。BH4は、対照被験者と比較して、II型糖尿病及び虚血性心疾患患者のインスリン感応性を増加させる(Nystromらの文献、Am J Physiol Endocrinol Metab. 2004 Nov;287(5):E919-25. Epub (2004))。生合成経路のBH4前駆体の補給は、増加したBH4レベルを細胞内的に援助し、インビボでNO合成を改善して、内皮機能を高めることも示した。
【0124】
別のBH4反応性状態は、血管疾患である。好ましくは、血管疾患は、末梢血管疾患、間欠跛行、冠状動脈疾患、高コレステロール血症と関連した血管疾患、喫煙と関連した血管疾患、高血圧症、不応性又は非制御性高血圧症、肺動脈高血圧、特発性肺高血圧、新生児の肺高血圧(PPHN)、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、脳卒中後血管痙攣、心筋梗塞、虚血-再灌流損傷、うっ血性心不全、移植後虚血-再灌流損傷、移植後脈管損傷、血管痙攣、血栓形成、血栓症、凝血及び凝固からなる群から選択される疾患である。
【0125】
通常、血管疾患の治療をホメオスタシスを維持することにあて、補助療法及び特異的療法を提供し、臨床関連したエンドポイントを改善させる。これらの効果は、通常のシグナルに応答しての血管拡張の改善、血管への酸化傷害の減少、並びにアテローム性動脈硬化症又は血管系の閉塞若しくは血栓の傾向のある他の状態の全般的減少及び潜在的逆転を通じて媒介され得る。これらの臨床エンドポイントは、心筋梗塞、狭心症による入院、心血管疾患による死、四肢の損失の原因となる劣った末梢潅流、皮膚潰瘍の発病率の減少を含むことができる。血管機能の改善は5分の虚血に応答しての腕動脈の拡張を評価している流れ媒介型拡張を使用して測定できるか、又は、末梢潅流については、腓腹の痛みを被ることなく歩く能力、又は痛みに至る歩行時間の量を評価する段階的なトレッドミル試験を使用して測定できる。患者は、狭心症の発症、又は心臓潅流若しくは活動の減少の徴候に関する運動試験でも調査され得る。加えて、心エコーを、駆出分画、心拍出量、心臓拡張機能、心臓サイズ、三尖弁逆流速度、及び心臓又は脈管疾患の他の徴候を評価するために行うことができる。冠血管は、アセチルコリンに応答する心臓の潅流を評価するためにアンジオグラフィを介して検討されるであろう。ホメオスタシスは、損傷フリーラジカル(例えば、パーオキシナイトライトに至るスーパーオキシドラジカル)を生成しない低レベルのBH4及び不十分なNO産生を含む、脈管機能不全をもたらす補正要因によって典型的に維持される。補助療法は、典型的には、初期療法の効果を増加させる薬剤又は介入を投与することを含む。特異的療法は、通常の臨床関連したエンドポイントを維持することにあてる。
【0126】
本明細書に開示されるBH4の類似体を使用して、様々な形態の血管疾患を有する対象を含む患者集団を治療することができると考えられ、該疾患にはこれらに限定されないが、糖尿病の存在及び不在における、不応性又は非制御性高血圧症、間欠跛行、冠状動脈機能、心不全、肺動脈高血圧及び溶血性貧血を含み、鎌状赤血球病を含む。本明細書に開示されるBH4のこの種の類似体は、単独で、又は、血管障害の治療のために一般に使用される他の全ての治療薬剤及び/又は介入と組み合わせても投与できる。糖尿病を治療するために使用する薬剤は、PPARγリガンド(チアゾリジンドン、グリタゾン、トログリタゾン、ロシグリタゾン(アバンディア)、ピオグリタゾン)などのインスリン感応性を改善する薬剤、スルホニルウレア(グリキドン、トルブタミド、グリメプリド、クロルプロパミド、グリピジド、グリブリド、アセトヘキサミド)及びメグリチニド(メグリチニド、レパグリニド、ナテグリニド)などのインスリン分泌の刺激因子、並びにメトホルミンなどのグルコースの肝臓生産を減らす薬剤を含むが、これらに限定されるものではない。血管疾患を治療するために使用する薬剤は、高血圧症治療及び他の内皮機能不全関連の障害のために共通に使用されるエンドセリン受容体アンタゴニスト、例えばボセンタン、ダルセンタン、エンラセンタン、テゾセンタン、アトラセンタン、アンブリセンタン シタクスセンタン;平滑筋弛緩物質、例えばPDE5阻害剤(間接作用)及びミノキシジル(直接作用);アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えばカプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、フォシノプリル、ペリンドプリル、キナプリル、トランドラプリル、ベナゼプリル、ラミプリル;アンギオテンシンII受容体遮断薬、例えばイルベサルタン、ロサルタン、バルサルタン、エプロサルタン、オルメサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン;β受容体遮断薬、例えばアテノロール、メトプロロール、ナドロール、ビソプロロール、ピンドロール、アセブトロール、ベタキソロール、プロプラノロール;利尿剤、例えばヒドロクロロチアジド、フロセミド、トルセミド、メトラゾン);カルシウムチャネル遮断薬、例えばアムロジピン、フェロジピン、ニソルジピン、ニフェジピン、ベラパミル、ジルチアゼム;α受容体遮断薬ドキサゾシン、テラゾシン、アルフゾシン、タムスロシン;及び、中枢αアゴニスト、例えばクロニジン;を含むが、これらに限定されるものではない。高脂血症を治療するために使用する薬剤は、スタチン(アトバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンカルシウム、シンバスタチン)及びニコチン酸などのLDLを低減させる薬剤、フィブラートなどのPPARαを刺激する薬剤、ゲムフィブロジル、フェノフィブレート、ベザフィブラート、シプロフィブラート、胆汁酸の再吸着を拘束及び防止して、コレステロールレベルを減らす薬剤、例えば胆汁酸捕捉剤、コレスチラミン及びコレスチポール、並びにコレステロール吸収阻害剤を含むが、これらに限定されるものではない。
【0127】
上記のように、本発明の実施態様は、BH4の類似体を単独で、又は従来の脈管治療と組み合わせて含む組成物を対象に投与することによる血管疾患の治療に関し、ここで、該投与は、BH4類似体単独の不在下、又は従来の脈管治療と組み合わせたBH4の類似体の不在下での濃度と比較して、前記対象の臨床的に関連したエンドポイントを改善するのに効果的である。本発明の一実施態様は、値を正常化するのに有効な量において異常なエンドポイントをもつ個人にBH4の類似体を投与することを含むことができる。好ましい実施態様において、個人は、特異的血管疾患と診断される。本発明は、本明細書中に記載したBH4の類似体を、特異的症状によって特徴づけられる特異的血管疾患、及び/又は正常レベルまでエンドポイントを改善するのに有効な量で特異的血管疾患を診断するために使用する一般の試験で診断される患者に投与することを意図する。
【0128】
また、溶血性貧血及び鎌状赤血球貧血は、BH4反応性状態の一つである。内皮機能不全が溶血性貧血を有する患者に起こることを示すいくつかのデータが存在し、NOの欠如はこの問題の基礎をなす。BH4欠乏は、BH4プールの酸化分解、又はBH4プールレベルを生合成して維持する能力の減少をもたらす内皮への損傷によって引き起こされるようである。動物試験は、NOが鎌状赤血球症に付随する慢性脈管損傷に応答して補償的役割を演ずることを示唆する。循環血漿ヘモグロビン及びスーパーオキサイドの併用効果は、NOの滅失に結果としてなる(Reiterらの文献、Current Opinions in Hematology 10:99-107 (2003))。NOの生体利用効率を増加させるか又は酸化ストレスに反対に作用する新規な治療方法及び鎌状赤血球症に伴う制御されていないフリーラジカル拡散を考慮している。アルギニンのヒドロキシウレアとの同時投与は、NOの生産を増やすことができ、かつ定常状態でSCDを有する患者のアルギニンの使用を改善できる。Morrisらの文献(2003) J. Pediatric Hematology 25:629-34を参照されたい。ヒドロキシウレア及びアルギニンに加えて、他の治療法は、例えばNOレベルを上昇させるNO吸入、NO滅失を減らすアロプリノール、並びにNO反応を増幅するスタチン及びシルデナフィルを考慮している。Mackらの文献, (2005、近刊) Intl. J. Biochem.Cell Biol.を参照されたい。米国特許出願公開第2003/0078231号は、鎌状赤血球貧血を含む、酸化ストレス及び制御されていないフリーラジカル拡散から生じているいくつかの疾患を治療する抗酸化剤特性を有する栄養又は食品補助食品としてのオルト分子スルホ-アデノシルメチオニン誘導体の使用を開示する。米国特許出願公開公報2005/0239807 A1は、鎌状赤血球貧血などの酸化ストレスと関連した疾患を治療するためにNOドナー生理活性(例えばアロプリノール)を提供している群を含む、反応性酸素生成酵素の阻害剤の使用を記載する。
【0129】
鎌状赤血球症において、NOは、接着分子の内皮発現を減少させ、その結果赤血球及び白血球の接着を減少させ、これにより血管閉塞危機の進展を防ぐ。Spaceらの文献(2000) Am. J. Hematology 63:200-04を参照されたい。細胞関連性NADPHオキシダーゼは、スーパーオキサイドの出所であることを示した。Woodらの文献(2005) FASEB J. 19:989-91を参照されたい。鎌状赤血球症に関連したスーパーオキシドラジカルの迅速な生成は、BH4を酸化させることが公知であるOH及びONOOなどの第2の反応性酸素及び窒素代謝物の生産を誘発でき、それによって、BH4の不足を引き起こす。ある研究において、鎌型赤血球トランスジェニック(βs)マウスに対するセピアプテリン(BH4の前駆体)の投与は、血液細胞接着のアテニュエーションを伴った。Woodらの文献(2006) J. Free Radical Biology & Medicine 40:1443-53を参照されたい。本発明と一致するにもかかわらず、著者は、特にセピアプテリンが外来性BH4の抗-及び自己-酸化特性を欠いていることを示し、その使用は本発明において意図される。更に、トランスジェニック鎌型赤血球マウスモデルは、ヒトにおいて観測される、NOS、NO及びBH4のレベルを制御する複雑な恒常性機構を正確に反映することができない。Reiterらの文献(2003) Current Opinion in Hematology 10:99-107を参照されたい。本明細書に開示されるBH4の類似体をBH4と同様に使用して、溶血性貧血及び鎌型赤血球のような状態を治療することが可能であると考えられる。
【0130】
BH4反応性状態は、神経精神医学的障害、BH4欠乏に伴う神経精神医学的障害、及びチロシンヒドロキシラーゼ機能の減少又はトリプトファンヒドロキシラーゼ機能の減少に関連した神経精神医学的障害も含む。好ましくは、該神経精神医学的障害は、パーキンソン病、注意欠陥多動障害、双極疾患、自閉症、うつ病及びジストニアからなる群から選択される障害である。
【0131】
通常、多くの神経精神医学的障害の障害は、神経伝達物質のレベルの減少又は不適切さに関連がある。うつ病において、セロトニンの不適切なレベルがうつ病の根底にあるようであり、それ故、セロトニン再摂取阻害剤の使用は神経終板でのセロトニンレベルを増加させる。BH4はセロトニン生合成のために要求される補因子であり、不十分な状態で、BH4の添加は、PKU患者の血小板のセロトニンレベルを研究しているある研究で観察されるセロトニンの産生を刺激できる。精神分裂症の患者が、低いカテコールアミンレベル及び低いビオプテリンレベルを有し得ることも観測されており、したがって、BH4の添加は、カテコールアミンへの経路におけるチロシンのヒドロキシル化の生合成におけるBH4の役割に起因して、カテコールアミン神経伝達物質の産生を強化できる。加えて、ある調査は、BH4が、神経終板で受容体を結合でき、これが制御神経伝達におけるBH4のためのさらに別の役割であり得る神経伝達物質の放出を変えることを示唆した。BH4は、ADD/ADHD又は児童の活動亢進症候群のための治療法としても提案された。これらの患者において、刺激薬剤の使用は、活性レベルの増加を抑制するのを助け、より良好な濃度を可能にする。BH4は刺激性神経伝達物質の生産又は放出を増加させるか又は改善することができ、そうして活動亢進の抑制を増大させる。本明細書に開示されるBH4の類似体をBH4のように同様に使用して、神経精神医学的障害、BH4欠乏に伴う神経精神医学的障害、及びチロシンヒドロキシラーゼ機能の減少又はトリプトファンヒドロキシラーゼ機能の減少と関連した神経精神医学的障害を治療することができると考えられる。
【0132】
本明細書に開示されるBH4のプロドラッグの治療上有効量は、チロシンヒドロキシラーゼ機能又はトリプトファンヒドロキシラーゼ機能を増加させ得ると考えられる。
【0133】
別のBH4反応性状態は、メタボリックシンドロームである。通常、メタボリックシンドローム患者は、血圧の増加、インスリン耐性、高脂血症、肥満度指数の増加、及びアテローム性動脈硬化の増加を示す。メタボリックシンドロームの正確な根本病因は非常に討議されているが、高脂肪高/炭水化物食物及び行動の減少が肥満につながることは明白である。BH4レベルは、この状態において低くてよく、この症候群の原因及び進行の一部であり得る。インスリン耐性に至っているフラクトース食餌ラットモデルにおいて、BH4レベルは低く、かつBH4の交換はインスリン耐性状態の血管効果を高める。本明細書に開示されるBH4の類似体をBH4のように同様に使用して、メタボリックシンドロームを治療することができると考えられる。
【0134】
また、高フェニルアラニン血症は、BH4反応性状態の一つである。好ましくは、高フェニルアラニン血症は、軽度のフェニルケトン尿症、古典的なフェニルケトン尿症、及び重度のフェニルケトン尿症(PKU)、更に、BH4の生合成又は再資源化の遺伝子の欠損と関連した非定型又は悪性の高フェニルアラニン血症、肝臓疾患に伴う高フェニルアラニン血症、及びマラリアに伴う高フェニルアラニン血症からなる群からも選択される。
【0135】
通常、PKUは、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ酵素の遺伝子又は発現又は活性における欠損を生じ、これが高いフェニルアラニン血中濃度をもたらす。これらの高いレベルは、脳外傷、並びに発作、発疹、低集中力、実行機能の減少、及び脳の白質異常などの他の神経学的及び身体の疾患を生じる。高いフェニルアラニンレベルは、通常、フェニルアラニン摂取を制限する厳しい医学食により制御される。BH4は、経口摂取後の血液Pheレベルを減少させる多数の公表事例及び一連の報告において使用されている(Blauらの文献 2002)。PKU患者は、5年を越えて成功裏に治療され、患者の制限的医学食に対する依存を減らすことができるPheレベルに臨床的に顕著な減少を成し遂げた。BH4欠乏において、BH4の投与は、血液フェニルアラニンレベルを非常に減少させることができ、かつ脳脊髄液の神経伝達物質レベルを改善できる。しかしながら、脳疾患の十分な治療は、BH4の劣ったCNS貫通のために困難である。本明細書に開示されるBH4の類似体をBH4のように同様に使用して、高フェニルアラニン血症を治療することが可能であると考えられる。
【0136】
本発明は、BH4の類似体の投与に基づいて、血管障害の医薬的介入を記載する。安定化された又は他の形態における類似体を使用して、糖尿病の有無における様々な形態の血管疾患を有する対象を含む患者集団を治療することがさらに意図され、該疾患にはこれらに限定されないが、高血圧症、不応性又は非制御性高血圧症、肺動脈高血圧、特発性肺高血圧、新生児の肺高血圧(PPHN)、及び鎌状赤血球症を含む溶血性貧血、冠状動脈疾患、冠状脈管動脈、頸動脈脈管動脈、脳脈管動脈、又は末梢脈管動脈を含む任意の動脈のアテローム性動脈硬化症、脳卒中、脳卒中後血管痙攣、心筋梗塞、虚血-再灌流損傷、うっ血心不全、移植後虚血-再灌流損傷、移植後脈管損傷、血管痙攣、血栓形成、血栓症、凝血、凝固、傷害性内皮、器官及び組織に対する不十分な酸素流、全身血管抵抗の上昇(高血圧)、脈管平滑筋拡散、脈管狭窄症(狭くなる)及び炎症の進行、虚血-再灌流損傷、高血圧症、糖尿病、糖尿病性脈管障害、心血管疾患、末梢血管疾患、間欠跛行、高コレステロール血症に伴う血管疾患、喫煙と関連した血管疾患、又は虚血及び/若しくは脈管炎症から生じている神経組織の状態を含む。
【0137】
従って、これらの状態のいずれかの治療は、本発明の方法に従って意図される。この種のBH4ベースの組成物は、単独で、又は、糖尿病、血管疾患、高血圧症及び高脂血症を含む関連した臨床症状又は基礎疾患の治療のために一般に使用され、本明細書に記載されている周知の治療薬剤を含む任意の他の治療薬剤及び/又は介入と組み合わせて使用できる。
【0138】
本発明の特定の実施態様は、単独で、又はBH4の類似体又はその前駆体若しくは誘導体を含む組成物を対象に投与して脈管の機能不全を治療することに関し、ここで該類似体単独の投与、又は従来の脈管治療法と組み合わせての投与は、該類似体単独の不在下、又は従来の脈管治療と組み合わせた該類似体の不在下での前記濃度と比較して、前記対象の臨床的に関連したエンドポイントを改善するのに効果的である。
【0139】
例示的実施形態において、BH4の類似体又は前駆体又は誘導体は、BH4に反応する患者において平均で約5mmHgの血圧を減少させるのに有効な量で、又はBH4に反応する患者において約5%、10%、15%、20%若しくは30%のまでのNO血清又は尿レベルを増加させるのに有効な量で、又はBH4に反応する患者において平均で約200%までNO血清又は尿レベルを増加させるのに有効な量で投与される。
【0140】
一酸化窒素シンターゼ活性の強化は、本明細書に組み込まれる米国特許第6,410,535号に記載されているように、高いスーパーオキサイドレベル、増加したインスリン感応性、及びインスリン耐性を伴う脈管機能不全の減少の低減に結果としてなることも示唆された。従って、糖尿病(タイプI又はタイプII)、高インスリン血症又はインスリン耐性の治療は、本発明により意図される。インスリン耐性を伴う脈管機能不全を有する疾患には、インスリン耐性によって生じる疾患若しくはインスリン耐性によって悪化する疾患、又は治癒がインスリン耐性によって遅延する疾患、例えば、高血圧症、高脂血症、動脈硬化、冠状動脈血管収縮の狭心症、労作性狭心症、脳血管収縮性の病変、脳血管不全、脳血管痙攣、末梢循環障害、経皮経管冠動脈形成(PTCA)若しくは冠状動脈バイパス移植(CABG)後の冠状動脈動脈再狭窄、肥満、インスリン非依存性糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、冠状動脈動脈硬化性心疾患、又はインスリン耐性と関係している限りにおける同様の疾患を含む。これらの疾患患者に投与される場合、BH4がNOSの機能を活性化させ、NO産生を増加させ、活性酸素種の生産を抑制してこれらの疾患を予防又は治療し、血管内皮細胞の障害を改善することができると考えられる。糖尿病、例えば網膜症又は腎症の下流の合併症を低減することができることも考えられる。
【0141】
nNOSによるNO過剰産生は、脳卒中、片頭痛、アルツハイマー病、並びにモルヒネに対する耐性及び依存性に関連している。BH4誘導体は、これらの状態のいずれかのために投与できる。BH4誘導体を投与できる他の典型的な神経精神医学的障害は、パーキンソン病、アルツハイマー病、精神分裂病、分裂病様障害、分裂情動障害、短期精神病性障害、妄想性障害、共有精神病性障害、一般的な医学的状態に起因する精神病性障害、物質誘導性精神病性障害、他の精神病性障害、遅発性ジスキネジア、マチャド-ジョセフ病、脊髄小脳変性、小脳性運動失調、ジストニア、慢性疲労症候群、急性又は慢性うつ病、慢性ストレス症候群、線維筋痛、片頭痛、注意欠陥多動障害、双極疾患及び自閉症を含む。神経精神医学的障害は、チロシンヒドロキシラーゼ機能の減少又はトリプトファンヒドロキシラーゼ機能の減少と関係していてもよい。本願明細書における神経精神医学的障害は、状況に応じて、パーキンソン病、うつ病及びアルツハイマー病を除外する。
【0142】
BH4誘導体は、本発明の方法に従って、抗鬱剤、トリプトファン、チロシン、セロトニンなどの神経伝達物質前駆体、ロフェプラミン、デシプラミン、レボキセチン、チロシンなどのノルアドレナリン系を活性化させる薬剤、好ましくセロトニンに作用する薬剤、ベンラファキシン、デュロキセチン又はミルナシプランなどのノルアドレナリン及びセロトニン取り込みの複合阻害剤、及びブプロピオンなどのドーパミン及びノルアドレナリン再取り込みの複合阻害剤である薬剤を含む一種以上の他の神経精神医学的活性薬剤と共同投与できる。
【0143】
例示的実施形態において、投与されるBH4又は前駆体又は誘導体の量は、チロシンヒドロキシラーゼ機能又はトリプトファンヒドロキシラーゼ機能を少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40%、50、75又は100%増加させるか、又はBH4応答性患者のL-Dopa又はセロトニンの神経伝達物質レベルを少なくとも5、10、15、20、25、30、40%、50、75又は100%上昇させる。
【0144】
典型的な代謝疾患は、高フェニルアラニン血症、例えば、軽度のフェニルケトン尿症、古典的なフェニルケトン尿症、重度のフェニルケトン尿症、BH4欠乏に伴う非定型又は悪性フェニルケトン尿症、肝臓疾患に伴う高フェニルアラニン血症、及びマラリアに伴う高フェニルアラニン血症を含む。典型的な患者集団は、乳児、児童、ティーンエイジャー、成人、妊娠可能な年齢の女性、及び妊婦を含む。いくつかの実施態様において、個人は、該類似体又は前駆体又は誘導体での処理(プレ処理)がない場合に1000μMを上回る血漿フェニルアラニン濃度を有し、該化合物の投与は、該個人の血漿フェニルアラニン濃度を、約1000μM未満、又は約800μM未満、又は約700μM、又は約600μM、又は約500μM、又は約450μM±15μM未満まで減少させるのに有効な量である。
【実施例】
【0145】
以下の実施例は、本発明を例示するために提供されているが、その範囲を制限することは意図しない。
【0146】
(BH4類似体の合成)
(実施例1−BH4ジドデカノアート)
この実施例は、BH4の類似体の合成を記載する。
【0147】
BH4は、適切な溶媒に溶かされ、イミダゾール存在下でモル過剰のドデカン酸クロライドと反応させる。反応物は終夜室温で撹拌し、結果として生じるジアシルBH4類似体を分離して再結晶化する。
【0148】
(実施例2−酢酸2-アセトキシ-1-(5-アセチル-2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-プロピルエステル)
【化15】
2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩(0.1g、0.32mmol)を、酢酸(3ml)中でスラリー化した。無水酢酸(300uL、3.2mmol)を加え、該混合物を加熱して12時間還流した。反応物を濃縮し、該粗製物質を分取RP-HPLCにより精製し、白色固体(0.096g、82%)として最終産物を得た。
【化16】
【0149】
(実施例3−プロピオン酸1-(2-アミノ-4-オキソ-5-プロピオニル-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-プロピオニルオキシ-プロピルエステル)
【化17】
表題化合物は、実施例2に記載されている方法により、2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩(0.2g、0.64mmol)、無水プロピオン酸(0.83ml、6.4mmol)及びプロピオン酸(6ml)を使用して調製し、白色固体(0.20g、75%)として生成物を得た。
【化18】
【0150】
(実施例4−酪酸1-(2-アミノ-5-ブチリル-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ブチリルオキシ-プロピルエステル)
【化19】
標題化合物は、実施例2に記載されている方法により、2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩(0.2g、0.64mmol)、酪酸無水物(1.05ml、6.4mmol)及び酪酸(6ml)を使用して調製し、白色固体(0.21g、71%)として生成物を得た。
【化20】
【0151】
(実施例5−2-アミノ-4-メチルペンタン酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステル二塩酸塩)
【化21】
a) 2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル)
窒素雰囲気下で、ピリジン(75ml)中2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩(BH4、5g、15.9 mmol)撹拌懸濁液に、ジ-tert-ブチル二炭素酸塩(5.2g、23.8mmol)を加えた。該混合物を、より多くのBH4(5g、15.9mmol)及びジ-tert-ブチル二炭素酸塩(5.2g、23.8mmol)の添加前に撹拌した。4-(ジエチルアミノ)ピリジン(触媒)も加え、該混合物を窒素雰囲気下で12時間室温で撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、該残留物を真空下に24時間おいた。該残留物をメタノール(150ml)に溶かし、30gのMP-炭酸塩(Biotage、3.14mmol/g)を加えた。該混合物を室温で12時間穏やかに撹拌した。該混合物をセライトを通して濾過し、該濾液を真空蒸発させてさらなる精製なしに黄色固体を得た。MS:ESI (positive):342 (M+H)。
【0152】
b) 6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-2-(ジメチルアミノ-メチレンアミノ)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5- カルボン酸tert-ブチルエステル
工程a)の生成物を75mLのDMFに溶かし、及びN,N-ジメチルホルムアミドジエチルアセタール(13mL、76.2mmol)で処理した。混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を高真空下(温度<50℃)で蒸発させた。残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製し(勾配溶出 DCM中0-20%メタノール)、薄黄色固体(2工程にわたり5.7g、45%収率)生成物を得た。
【化22】
【0153】
c) 6-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-メチル-ブチリルオキシ)-1-ヒドロキシ-プロピル]-2-(ジメチルアミノ-メチレンアミノ)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
0℃のジクロロメタン(DCM、40ml)中N-Boc-L-バリン(19.12g、88mmol)の撹拌溶液に、DCM(40ml)中DCC(9.1g、44mmol)の溶液を加えた。結果溶液を1時間撹拌し、その後白色沈殿が形成された。白色固体を濾過し、濾液をピリジン(200 mL)に溶解された工程b)の生成物(4.4 g, 11mmol)の撹拌溶液に添加した。混合物を窒素雰囲気下で室温にて12時間撹拌した。反応混合物はメタノール(20ml)の添加によりクエンチした。溶媒を真空蒸発させ、残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー (勾配溶出 0-6% DCM中メタノール)によって精製し、薄黄色固体として副題生成物を得た(3.1g、47%収率−HPLCによる〜9:1 位置異性体混合物)。
【化23】
【0154】
d)2-アミノ-6-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-メチル-ブチリルオキシ)-1-ヒドロキシ-プロピル]-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
工程c)の生成物(3.1g、5.15mmol)は、アセトニトリル(ACN、130ml)に溶解させ、1N HCl(13ml、13mmol)で処理した。混合物は出発物質が存在しなくなるまで(〜18時間)室温にて撹拌した。反応混合物を、炭酸水素ナトリウム飽和溶液の添加により中和した。溶媒をそれから真空で蒸発させ(温度<40℃)、薄黄色固体を得た。固体をDCM(50ml)においてスラリー化し、フィルターに通した。濾過液を蒸発させ、残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(勾配溶出DCM中0〜20%メタノール)により精製し、副題生成物を得た(1.75g、63%、〜9:1位置異性体混合物)。
【化24】
【0155】
e)2-アミノ-3-メチル酪酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステル二塩酸塩
工程d)の生成物(1.75g、3.24mmol)を、ジオキサン(10ml)に溶解し、4N HCl/ジオキサン(80ml、320mmol)で処理した。反応混合物を窒素雰囲気下において室温にて2時間撹拌した。生成物を濾過により分離し、45℃で窒素除去された真空オーブンにおいて乾燥させ、白色固体として1.34g(100%)の標題化合物を得た。
【化25】
【0156】
f) 2-アミノ-3-メチル-酪酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステル二塩酸塩
方法e)に代わるものとして、工程cの生成物(0.5g、0.8mmol)をジオキサン(5ml)に溶解し、アルゴン雰囲気下において、4N HCl/ジオキサン(20mL、80mmol)で処理した。15時間室温で撹拌した後に、白色固体が形成した。この物質を分離した後、乾燥させ、0.24g(73%)の標題化合物を得た。
【0157】
(実施例6−2-アミノ-3-メチル-ペンタン酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステル)
【化26】
a) 6-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-メチル-ペンタノイルオキシ)-1-ヒドロキシ-プロピル-2-(ジメチルアミノ-メチレンアミノ)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
実施例5、工程b)の生成物を、N-Boc-L-イソロイシン(3.70g、16mmol)を使用した以外は実施例5、工程c)に記載されているのと同じ方法で処理し、薄黄色固体として副題化合物を得た(0.29g、48%)。クロマトグラフィの後得られた生成物はまだ不純物を含んでおり、さらなる精製をせずに次の工程に使用した。MS:ESI (positive):610 (M+H)。
【0158】
b)2-アミノ-6-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-メチル-ペンタノイルオキシ)-1-ヒドロキシ-プロピル]-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
工程a) での生成物(0.29g、0.48mmol)を、該反応からの残留物以外は実施例5、工程d)で記載されている方法によって処理し、分取RP-HPLCにより精製してオフホワイトの固体として副題化合物を得た(0.10g、38%)。
【化27】
【0159】
c)2-アミノ-3-メチルペンタン酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステルジトリフルオロアセタート
工程b)の生成物(0.1g、0.18mmol)を、2mlのDCM中トリフルオロ酢酸(2ml、27mmol)で処理した。混合物を、窒素雰囲気下において室温にて1時間撹拌した。生成物を、20mlのジエチルエーテルの添加によって沈殿させた。生成物を濾過し、窒素除去された真空オーブンにおいて乾燥させ、白色固体として標題化合物を得た(0.10g、100%)。
【化28】
【0160】
(実施例7−2,6-ジアミノ-ヘキサン酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステル三塩酸塩)
【化29】
a) 6-[2-(2,6-ビス-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサノイルオキシ)-1-ヒドロキシ-プロピル-2-(ジメチルアミノ-メチレンアミノ)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
実施例5、工程b)の生成物は、N-Boc-L-リジン-N-Boc(8.26g、23.8mmol)が使われたこと以外は実施例5、工程d) に記載されている方法と同法で処理し、真空での溶媒蒸発の後、粗製物質を酢酸エチルに溶かし、続けて1Nクエン酸(2×)、飽和重炭酸ナトリウム(2×)及び鹹水で洗浄した。有機層は硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空で溶媒蒸発させた。粗生成物を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(勾配溶出DCM中0-8%メタノール)で精製し、淡黄色固体として副題化合物を得た(2.55g、74%)。クロマトグラフィー後に得られた生成物はまだ不純物を含み、更なる精製なく次の工程に使用した。
【化30】
【0161】
b)2-アミノ-6-[2-(2,6-ビス-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサノイルオキシ)-1-ヒドロキシ-プロピル]-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
工程a)の生成物(2.55g、3.52mmol)は、反応からの残留物を除いては実施例5、工程d)に記載されている方法によって処理し、分取RP-HPLCで精製して、オフホワイトの固体として副題化合物を得た(1.30g、55%)。分析HPLCは、8:2の比率で2つの位置異性体の存在を示す。
【化31】
【0162】
c) 2,6-ジアミノ-ヘキサン酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1 -メチル-エチルエステル三塩酸塩
工程b) の生成物(1.30g、1.94mmol)を、実施例5、工程e) に記載されている方法により処理し、白色固体として標題化合物を得た(0.93g、100%)。
【化32】
【0163】
(実施例8−4-アミノ-4-(1-カルボキシ-エチルカルバモイル)-酪酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステル二塩酸塩)
【化33】
a)6-{2-[4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(1-tert-ブトキシカルボニル-エチルカルバモイル)-ブチリルオキシ]-1-ヒドロキシ-プロピル}-2-(ジメチルアミノ-メメチレンアミノ)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
ピリジン(10ml)中、実施例19、工程b)の生成物(0.45g、1.20mmol)の撹拌溶液に、EDC(0.23g、1.20mmol)及びDMAP(0.15g、1.20mmol)を加えた。混合物を窒素雰囲気下で室温にて2時間撹拌した後、実施例4、工程c)の生成物(0.12g、0.30mmol)を添加した。混合物をさらに48時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、分取RP-HPLCにより残留物を精製し、淡黄色半固体として副題化合物を得た(0.12g、55%)。クロマトグラフィーの後に得られた生成物はまだ不純物を含み、更なる精製なく次の工程の用に供した。分析HPLCは、10:1の位置異性体比を示す。MS:ESI (positive):753 (M+H)。
【0164】
b)2-アミノ-6-{2-[4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(1-tert-ブトキシカルボニル-エチルカルバモイル)-ブチリルオキシ]-1-ヒドロキシ-プロピル}-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
工程a)の生成物(0.12g、0.16mmol)は、該反応からの残留物を除いては実施例5、工程d) に記載されている方法によって処理し、分取RP-HPLCにより精製して、オフホワイトの固体として副題化合物を得た(0.048g、44%)。
【化34】
【0165】
c)4-アミノ-4-(1-カルボキシ-エチルカルバモイル)-酪酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステル二塩酸塩
工程b)の生成物(0.048g、0.07mmol)を、1mlのDCM中トリフルオロ酢酸(1ml、27mmol)で処理した。混合物を窒素雰囲気下で2時間、室温にて撹拌した。生成物を20mlのジエチルエーテルの添加によって沈殿させた。生成物を濾過し、窒素除去された真空オーブンで乾燥させ、白色固体として標題化合物を得た(0.051 g、98%)。
【化35】
【0166】
(実施例9−ピロリジン-2-カルボン酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステル二塩酸塩)
【化36】
a)ピロリジン-1 ,2-ジカルボン酸2-{2-[5-tert-ブトキシカルボニル-2-(ジメチルアミノ-メチレンアミノ)-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル]-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチル}エステル1-tert-ブチルエステル
実施例5、工程b)の生成物は、N-Boc-L-プロリン(13.6g、63.1mmol)を使用したことを除き、実施例5、工程c) に記載されているのと同じ方法で処理し、黄褐色固体として副題化合物を得た(5.2g、69%)。MS:ESI(positive):594(M+H)。
【0167】
b)ピロリジン-1,2-ジカルボン酸2-[2-(2-アミノ-5-tert-ブトキシカルボニル-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチル]エステル1-tert-ブチルエステル
生成物a)の生成物(5.2g、8.76mmol)は、該反応からの残留物に先立って該反応物を24時間室温で撹拌したことを除き、実施例5、工程d) に記載されているのと同じ方法で処理し、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(DCM中0-14%メタノールから勾配溶出)により精製した後に分取RP-HPLCによる位置異性体の混合物の分離が続き、薄黄色の固体として副題化合物を得た(1.5g、32%)。MS:ESI (positive):539 (M+H)。他の位置異性体は白色固体(0.6g、13%)として得た。MS:ESI (positive):539 (M+H)。
【0168】
c) ピロリジン-2-カルボン酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステル二塩酸塩
工程b)の生成物は、該反応を24時間撹拌したことを除いては実施例5、工程e)に記載したのと同じ方法によって処理し、薄黄色の固体として表題化合物を得た(1.2g、90%)。
【化37】
【0169】
(実施例10−2-アミノ-3-メチル-酪酸2-(2-アミノ-3-メチル-ブチリルオキシ)-1-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-プロピルエステル三塩酸塩)
【化38】
a)6-[1,2-ビス-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-メチル-ブチリルオキシ)-プロピル]-2-(ジメチルアミノ-メチレンアミノ)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
0℃のジクロロメタン(DCM、20ml)中N-Boc-L-バリン(9.08g、41.8mmol)の撹拌溶液に、DCM(20ml)中DCC(4.3g、20.9gmmol)の溶液を加えた。結果として生じる溶液を1時間撹拌し、その後白色沈殿が形成された。白色固体を濾過し、濾液を、ピリジン(75ml)に溶解した実施例5、工程b)の生成物(1.8g、4.54mmol)の撹拌溶液に添加した。4-(ジメチルアミノ)ピリジン(触媒)を加え、混合物を12時間アルゴン雰囲気下で室温にて撹拌した。反応混合物をメタノール(20ml)の添加によりクエンチし、溶媒を真空蒸発させた。粗製物質を酢酸エチルに溶かし、続けて1Nクエン酸(2×)、飽和重炭酸ナトリウム(2×)及び鹹水によって洗浄した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空蒸発させた。粗生成物を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(勾配溶出DCM中0-5%メタノール)により精製し、黄色の固体として副題化合物を得た(1.6g、45%)。MS:ESI (positive):795 (M+H)。
【0170】
b)2-アミノ-6-[1,2-ビス-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-メチル-ブチリルオキシ)-プロピル]-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
工程a)の生成物(1.6g、2.02mmol)を、アセトニトリル(ACN、50ml)に溶かし、1N HCl(5ml、5mmol)で処理した。出発物質が存在しなくなるまで(〜20時間)、混合物を室温にて撹拌した。反応混合物を、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液の添加により中和した。溶媒を、真空下(温度<40℃)において蒸発させ、黄褐色の固体を得た。固体を、メタノールにおいてスラリー化し、濾過した。濾液を蒸発させ、残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(勾配溶出DCM中0-12%メタノール)により精製し、黄褐色の固体として副題化合物を得た(0.45g、30%)。
【化39】
【0171】
c)2-アミノ-3-メチル酪酸2-(2-アミノ-3-メチル-ブチリルオキシ)-1-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-プロピルエステル二塩酸塩
工程c)の生成物(1.0g、1.35mmol)を、アルゴン雰囲気下でジオキサン(10ml)に溶かし、4N HCl/ジオキサン(20ml、80mmol)で処理した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。生成物を濾過により分離し、窒素除去された真空オーブンにおいて45℃にて乾燥させ、黄褐色の固体として0.78g(100%)の標題化合物を得た。
【化40】
【0172】
(実施例11−2,6-ジアミノ-ヘキサン酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-(2,6-ジアミノ-ヘキサノイルオキシ)-1-メチル-エチルエステル五塩酸塩)
【化41】
a)6-[1,2-ビス-(2,6-ビス-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサノイルオキシ)-プロピル]-2-(ジメチルアミノ-メチレンアミノ)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
実施例5、工程b)の生成物は、N-Boc-L-リジン-N-Boc(28.9g、83.5mmol)を使用したことを除き、実施例10、工程a) に記載されているのと同じ方法で処理し、薄黄色固体として副題化合物を得た(3.2g、33%)。
【化42】
【0173】
b)2-アミノ-6-[1,2-ビス-(2,6-ビス-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサノイルオキシ)-プロピル]-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
工程a)の生成物(3.2g、3.03mmol)は、実施例10、工程b) に記載されている方法によって処理し、黄褐色の固体として副題化合物を得た(1.46g、48%)。
【化43】
【0174】
c)2,6-ジアミノ-ヘキサン酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-(2,6-ジアミノ-ヘキサノイルオキシ)-1-メチル-エチルエステル五塩酸塩
工程b) の生成物(1.46g、1.46mmol)を、実施例10、工程c) に記載されている方法により処理し、黄褐色の固体として標題化合物を得た(0.99g、68%)。
【化44】
【0175】
(実施例12−ピロリジン-2-カルボン酸1-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-(ピロリジン-2-カルボニルオキシ)-プロピルエステル三塩酸塩)
【化45】
a) ピロリジン-1,2-ジカルボン酸2-[2-(2-アミノ-5-tert-ブトキシカルボニル-2-(ジメチルアミノ-メチレンアミノ)-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-1-メチル-2-(1-tert-ブトキシカルボニル-ピロリジン-2-カルボニルオキシ)-エチル]エステル1-tert-ブチルエステル
実施例5、工程b)の生成物は、N-Boc-L-プロリン(12.6g、5.87mmol)を使用したことを除き、実施例10、工程a) に記載されたのと同じ方法で処理し、薄黄色固体として副題化合物を得た(3.0g、60%)。MS:ESI (positive):791 (M+H)。
【0176】
b)ピロリジン-1,2-ジカルボン酸2-[2-(2-アミノ-5-tert-ブトキシカルボニル-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-1-メチル-2-(1-tert-ブトキシカルボニル-ピロリジン-2-カルボニルオキシ)-エチル]エステル1-tert-ブチルエステル
工程a)の生成物(3g、3.79mmol)は、実施例10、工程b) に記載されている方法によって処理し、黄褐色の固体として副題化合物を得た(1.4g、50%)。
【化46】
【0177】
c)ピロリジン-2-カルボン酸1-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-(ピロリジン-2-カルボニルオキシ)-プロピルエステル三塩酸塩
工程b)の生成物(1.4g、mmol)を、実施例10、工程c)に記載された方法で処理し、暗い黄褐色の固体として表題化合物を得た(0.85g、82%)。
【化47】
【0178】
(実施例13−2-アミノ-5-(2-アミノ-3-メチル-ブチリル)-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)- 5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン塩酸塩)
【化48】
a ) {1-[2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボニル]-2-メチル- プロピル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル
0℃のDCM(15ml)中N-Boc-L-バリン(4.56g、21mmol)の撹拌溶液に、DCM(10ml)中DCC(2.17g、10.5mmol)の溶液を加えた。結果として生じる溶液を1時間撹拌し、その後白色沈殿が形成された。白色固体を濾過し、該濾液を、ピリジン(80mL)に溶解した2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩(3.0g、9.55mmol)の撹拌溶液に添加した。混合物は、室温にて1.5時間、窒素雰囲気下で撹拌された。反応混合物はメタノール(20ml)の添加によってクエンチされた。溶媒を真空蒸発させ、残留物を分取RP-HPLCにより精製し、黄褐色の固体として副題生成物を得た(3.2g、76%)。MS:ESI (positive):441 (M+H) 。
【0179】
b) 2-アミノ-5-(2-アミノ-3-メチル-ブチリル)-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン塩酸塩
工程a)の生成物(3.13 g、7.04 mmol)をジオキサン(10ml)に溶かし、4N HCl/ジオキサン(60 ml, 240 mmol)で処理した。反応混合物を窒素雰囲気下で4時間、室温にて撹拌した。生成物を濾過によって分離し、イソプロパノールから再結晶化させ、45℃の真空オーブンで乾燥させ、黄褐色の固体として1.15g(43%)の表題化合物を得た。
【化49】
【0180】
(実施例14−2-アミノ-5-(2-アミノ-3-メチル-ペンタノイル)-6-(1,2-ジヒドロキシプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン塩酸塩)
【化50】
a) {1-[2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボニル]-2-メチル- ブチル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル
副題化合物は、N-Boc-L-イソロイシン(4.86g、21mmol)を使用したことを除き、実施例13、工程a)に記載されている方法により調製した。粗製物質をメタノールに溶かし、分取RP-HPLCにより精製して、黄褐色の固体として副題化合物を得た(3.48g、82%)。MS:ESI (positive):455 (M+H)。
【0181】
b)2-アミノ-5-(2-アミノ-3-メチル-ペンタノイル)-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン塩酸塩
工程a)の生成物は、実施例13、工程b) に記載されている方法によって処理し、薄黄色の固体として標題化合物を得た(1.67g、56%)。
【化51】
【0182】
(実施例15−2-アミノ-5-(2,6-ジアミノ-ヘキサノイル)-6-(1,2-ジヒドロキシプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩)
【化52】
a){6-[2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-イル]-5-tert-ブトキシカルボニルアミノ-6-オキソ-ヘキシル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル
副題化合物は、N-Boc-L-リジン-N-Boc(7.28g、21mmol)を使用したことを除き、実施例13、工程a)に記載されている方法により調製した。粗製物質をメタノールに溶かし、分取RP-HPLCにより精製して、黄褐色の固体として副題化合物を得た(2.16g、40%)。MS:ESI (positive):570 (M+H) 。
【0183】
b)2-アミノ-5-(2,6-ジアミノ-ヘキサノイル)-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン塩酸塩
工程a)の生成物は、再結晶化が必要でなかったこと以外は、実施例13、工程b) に記載されている方法によって処理し、白色固体として標題化合物を得た(1.1g、48%)。
【化53】
【0184】
(実施例16−2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5-(ピロリジン-2-カルボニル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩)
【化54】
a)2-[2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-4-オキソ-4,6,7.8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボニル]-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
副題化合物は、N-Boc-L-プロリン(4.5g、21mmol)を使用したことを除き、実施例13、工程a)に記載されている方法により調製した。粗製物質をメタノールに溶かし、分取RP-HPLCによる精製の前にMP-炭酸塩(Biotage、3.14g/mmol)と撹拌し、白色固体として生成物を得た(2g、48%)。
【化55】
【0185】
b)2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5-(ピロリジン-2-カルボニル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩
工程a)の生成物は、再結晶化が必要でなかったこと以外は、実施例13、工程b) に記載されている方法によって処理し、白色固体として標題化合物を得た(1.63g、69%)。
【化56】
【0186】
(実施例17−2-アミノ-5-ブチリル-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン)
【化57】
2-アミノ-5-ブチリル-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン
標題化合物は、2-アミノ-6-(1,2−ジヒドロキシプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩(0.5g、1.59mmol)、酪酸無水物(0.31ml、1.91mmol)、ピリジン(7.5ml)及び触媒4-(ジメチルアミノ)ピリジンを使用して実施例5に記載されている方法により調製し、黄色の固体として生成物を得た(0.27g、55%)。
【化58】
【0187】
(実施例18−2-{2-アミノ-5-[2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシプロピル)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-イル]-5-オキソ-ペンタノイルアミノ}-プロピオン酸トリフルオロ酢酸塩)
【化59】
a)2-{5-[2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-イル]-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-5-オキソ-ペンタノイルアミノ}-プロピオン酸
DMF中の2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩 (0.55 g, 1.76 mmol)、及び実施例19、工程b)からの生成物(0.66g, 1.76mmol)の撹拌懸濁液に、HOBt水和物(0.24g, 1.76mmol)、EDC (0.51 g, 2.64mmol)、及びDIPEA ( 1.1ml, 6.17 mmol) を加えた。混合物は、アルゴン雰囲気下において室温で16時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、粗残留物をRP-分取HPLCにより精製し、白色固体として副題化合物を分離した(0.145g、14%)。
【化60】
【0188】
b ) 2-{2-アミノ-5-[2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-イル]-5-オキソ-ペンタノイルアミノ}プロピオン酸
工程a)の生成物を1:1のTFA:DCMに溶かし、室温で15時間撹拌した。溶媒を真空で除去し、残留物を少量のエタノールに溶かした。固体が沈殿し始めるまで、酢酸エチルを溶液に加えた。溶液は、14時間冷蔵庫に保存し、濾過して、白色固体として表題化合物を分離した(60mg、56%)。
【化61】
【0189】
(実施例19−4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(1-tert-ブトキシカルボニル-エチルカルバモイル)-酪酸)
【化62】
a) 4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(1-tert-ブトキシカルボニル-エチルカルバモイル)-酪酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル
DMF(50ml)中のBoc-D-Glu(OFm)(2.5g、5.88mmol)及びHOBt水和物(0.79g、5.88mmol)の撹拌溶液に、DIPEA(1.1ml、6.46mmol)、H-Ala-OtBu HCl(1.07g、5.88mmol)及びEDC(1.69g、8.81mmol)を加えた。混合物を、アルゴン雰囲気下で室温にて16時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、粗残留物を酢酸エチルに溶解させ、飽和重炭酸ナトリウム(3x)及び5%の水性酢酸(3x)で連続的に洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空蒸発させた。粗生成物を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(勾配溶出 ヘキサン中0-40%の酢酸エチル)により精製し、白色固体として副題化合物を得た(2.3g、71%)。
【化63】
【0190】
b)4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(1-tert-ブトキシカルボニル-エチルカルバモイル)-酪酸
工程a)の生成物(2.3g、4.16mmol)を、DCM(17ml)に溶かし、TEA(2.9ml、20.8mmol)で処理した。混合物を、16時間室温で撹拌した。混合物をDCMで希釈し、1MのHCl(2×)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空で除去した。粗生成物をエーテルでスラリー化して濾過し、白色固体として標題化合物を分離した(0.72g、46%)。
【化64】
【0191】
(実施例20−2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸ベンジルエステル)
【化65】
2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩(1.63g、5.2mmol)を、窒素雰囲気の下で50mLのピリジンに溶解した。この溶液に、クロロギ酸ベンジル(1.93ml、13.5mmol)を加えた。反応混合物を、真空下で脱ガスし、窒素雰囲気下に配置した。混合物を室温にて、12時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、残留物を分取RP-HPLCにより精製し、白色固体として副題化合物を得た(0.93g、48%収率)。
【化66】
【0192】
(ヒト、ラット及びシミュレーションされた胃液における血漿安定性研究)
本明細書に開示される様々な化合物の安定性を、ヒト及びラットにおいて及びシミュレーションされた胃液において試験した。各化合物を、各時点で残っている化合物の濃度について1時間に渡って試験した。結果を、実施例2、3、4、及び20の化合物について、図3(ヒトの血漿安定性)、4(ラット血漿安定性)及び5(シミュレーションされた胃液安定性)に示す。図3〜5に示されるように、試験される化合物の各々はすべて、様々な条件下で高レベルの安定性を示した。
【0193】
(BH4類似体の代謝研究)
この実施例は代謝安定性のためのアッセイを記載し、BH4類似体対BH4の安定性の比較を可能にする。
【0194】
試験化合物(10uM)は、マウス、ラット及びヒトの肝ミクロソーム(0.5mg/mLのタンパク質濃度)、並びに37℃の1mM NADPHリン酸緩衝液とインキュベートする。実験は3回行う。インキュベーションをミクロソームの添加により開始し、等量のメタノールの添加によってクエンチする。サンプルは、分析のために2〜3の時間点(典型的には時間0、30分、60分に)に採取される。適切な陽性及び陰性対照培養を実行する。試験化合物の消失の定量化又は試験物品の%回転率を、LC-MS/MSを利用して決定する。
【0195】
(BH4類似体の溶解性)
この実施例は溶解性についてのアッセイを記載し、BH4の類似体対BH4の溶解性の比較を可能にする。試験物品をDMSOに溶解し、96穴プレートにおいてリン酸緩衝液pH 7.4(PBS)に連続的に希釈する。希釈された化合物は、1〜1000mg/mLの終濃度範囲を有し、≦1%のDMSOを含む。室温で30分のインキュベーション後、沈殿を、Lab Systems比濁計上の光散乱を検出することで測定する。溶解性は、サンプル濃度の4反復試験区のNU(比濁計ユニット)を、溶媒ブランクウェルのNUと比較することにより決定する。難溶性は、ブランク補正したNUが溶媒ブランクより著しく大きい濃度として定義する。スチューデントT試験により算出される1%の差を顕著であるとみなす。
【0196】
(BH4類似体の透過性)
この実施例は、Caco-2細胞単層を使用する透過性スクリーンを記載し、BH4の類似体対BH4の透過性の比較を可能にする。Caco-2細胞(化合物透過性の調査に適している)の単層培養物を、21〜30日間、24穴又は96穴ポリカーボネート膜インサートで培養する。コンフルエントになるまで、単層を95%の相対湿度で5%のCO2雰囲気において37℃に維持する。単層の成熟性及び膜完全性を、トランス上皮電気抵抗(TEER)、又は蛍光標識化合物ルシファーイエローの見かけの透過性の測定により確認する。
【0197】
一連の試験及び選択マーカー化合物の見かけの透過性を、頂端から基底面方向における10mMの単一の濃度で2回重複で測定する。輸送調査は、頂端区画への試験化合物の添加により開始し、プレートは実験中、培養状態の下で維持する。30及び60分の曝露後の頂端区画及び最終的な基底面区画を回収し、試験化合物含有量についてLC-MS/MSにより解析する。各試験化合物の回復及び見かけの透過性を、これらのデータから算出する。適切な制御は、単層を特徴づけるために含まれる。基底面から頂端側への輸送実験を、ベラパミルなどのP-gp阻害剤の存在及び不在下においても実行する。
【0198】
(BH4類似体の生体利用効率)
この実施例は、BH4の類似体及びBH4で実行される、生体利用効率/薬物動態プロフィールの研究を記載する。薬物動態的研究の目的は、薬剤及び任意の代謝産物の全身的曝露に関する情報を提供することである。このデータは、薬理学的問題又は毒物学的問題を説明するために使用することができ、毒動力学的研究の設計を助けることもできる。薬物動態的パラメータ(例えばAUC、半減期、クリアランス及び分布容量)も測定する。
【0199】
研究の目的は、試験類似体化合物の潜在的経口利用可能性を評価し、統計近似値を介して薬物動態的パラメータを推定し、この種の値を変更のないBH4で得られた値と比較することである。単純な非GLP抽出及びLC-MS/MS分析法を血漿分析のために開発する。試験化合物の式及び構造情報を再調査し、血漿安定性を推定する。試験化合物が血漿において不安定である場合、方法を必要に応じて修飾する。研究は、試験化合物につき、3匹のいずれの性の健康なラットも含む。用量剤形を、水、生理食塩水、Tween、PEG若しくは同様のビヒクル中の試験化合物の溶液又は懸濁液により調製する。各試験化合物について、3匹のラットは1回の経口胃管栄養を介して与えられ、4つの時点(1、2、4、8時間)に血液を回収する。血漿における薬剤濃度を、LC-UV又はLC-MS(/MS)を使用して測定し、血漿濃度-時間曲線を規定する。Cmax、Tmax及び曲線下面積(AUC)などの薬物動態的パラメータを、WinNonlin(Pharsight社)を使用して概算する。
【0200】
マウスがラットの代わりに使用される場合、12匹のマウスが各試験化合物について使用される。サンプルは時点当たり3匹のマウスからとられ、薬物動態は時点当たりの平均血漿濃度データを使用して推定する。
【0201】
インビトロ代謝データを使用して、主要代謝産物の濃度も推定できる。親及び代謝産物についてのこれらのサンプルの研究期間及び分析の間の排泄物を集めることは、排泄の推定値を与える。
【0202】
(BH4プロドラッグの加水分解)
この実施例は、プロドラッグ(例えば、化合物I)の加水分解がインビボで発生することがあり得るかどうか、所望の生成物(BH4を含む)が形成されるかどうか、及び加水分解のキネティクスが合理的かどうか決定するためのアッセイを記載する。
【0203】
試験化合物(例えば、BH4のジエステル)(50uM)を、緩衝液(pH 6.8、20mM NaPhos、150mM NaCl)に溶解し、2mLの総容積に希釈する。エステラーゼ(0.1ユニット、シグマアルドリッチ、カルボキシエステラーゼE.C. 3.1.1.1)を加える。5分の時間点に、50ulの試料を反応溶液から取り出し、等量のクロロホルムで抽出する。12のクロロホルムサンプルを回収した後、各サンプルを、標準アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸勾配を使用する標準C4カラムを有するHPLCに別々に注入する。エステル化のために使用する酸の産生は、エステル化のために使用する酸の純粋な標準曲線との比較により算出し、これは時間の関数としてのエステル化のために使われる酸の算出を可能にする。この線の傾斜が反応速度である。あるいは、水相を、C18カラム上の逆相HPLC方法を使用してアッセイし、遊離BH4を検出する。BH4の酸化傾向が与えられる場合、BH4の状態に関係なくエステル化のために使用する酸の検出が発生するので、これは好ましい選択肢であるかもしれない。
【0204】
スパイクされたBH4のエステル型の形態の、ヒト若しくは動物から得られる血液又は組織サンプルへの加水分解は、該組織から内因性エステラーゼに依存し、商業的に得られたエステラーゼを使用しない。この方法は、インビボで好ましい位置におけるエステル加水分解の可能性を決定するのを助ける。反応生成物の溶媒抽出法とそれに続くHPLC分析が要求される。
【0205】
血清サンプルをヒト又は動物から取得し、該血清を0.5Mのリン酸ナトリウム(pH 6.8)で希釈することにより、pHを合計20uMまで調整する。ジエステル化BH4(50uM)はpH調整血清に溶かし、エステラーゼ(0.1ユニット)を加える。5分の時間点に、50ul試料を反応溶液から取り出し、等量のクロロホルムにより抽出する。クロロホルム相を、BH4分析についてのエステル化分析及び/又は水相のために使用される酸のために回収する。12のサンプルが集められたあと、各サンプルを、ブタン酸分析のためのアセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸勾配を使用する標準C4カラム、又はBH4分析のためのC18カラムを有するHPLCに注入する。エステル化又はBH4のために使用する酸の産生は、純粋な標準と比べることにより算出し、これは時間の関数としてエステル化又はBH4について使用される酸の算出を可能にする。この線の傾斜は反応速度である。
【0206】
(ラットに投与されるBH4類似体の薬物動態)
この実施例は、ラットにおける単一経口投与後の類似体(化合物I)対BH4の薬物動態の比較を可能にする。
【0207】
BH4(10及び100mg/kg)の一回量を、絶食の状態で雄のスプラーグドーリーラット(6週齢)の第一グループに経口投与した。化合物Iの一回量を、絶食の状態で雄のスプラーグドーリーラット(6週齢)の第一グループに経口投与した。
【0208】
投与されたBH4に関して、投与後2時間及び1時間の血漿における最大総ビオプテリン濃度は、それぞれ、108ng/ml(すなわち、内因性のレベルの約3倍)及び1227ng/ml(すなわち、内因性のレベルの約30倍)であった。その後、ビオプテリンは、約1.1時間の除去半減期(t1/2)を有し、10mg/kgの用量について投与後9時間に、及び100mg/kg用量については投与後24時間に、内因性のレベルに戻った。10及び100mg/kgの経口投与の後の生体利用効率(F)は、10mg/kgの静脈内投与の間、内因性のレベルを減算することによって得られた血漿濃度-時間曲線(AUC)下領域に基づき、それぞれ、6.8%及び11.8%であった。血漿における減少したビオプテリン対総ビオプテリンの比(すなわち、還元型比率)は、比較的静的であった(73%〜96%)。
【0209】
BH4の類似体を、同じように試験し、評価する。その増加した生体利用効率のため、AUC及びピーク(Cmax)は、BH4のそれより約50%良好である。生体利用効率は、類似体によって、BH4の生体利用効率より少なくとも15、20若しくは30%又はそれを上回り、500%超までである。
【0210】
(サルに投与されるBH4類似体の薬物動態)
絶食されたカニクイザルは、経口強制飼養(n=3)によってBH4及びBH4類似体を与えられ、該投与される類似体の量は80mgのBH4相当であった。直接投与される場合、BH4又は該類似体の血漿濃度を、25時間に渡って様々な時点にて測定した。結果として生じたPKデータを、図6に示す。PKデータは以下の表にも示し、括弧内の数は標準偏差である。
【表1】
【0211】
(胃腸管におけるBH4類似体の吸収)
胃腸吸収を、盲検交差研究でヒトにおいて評価する。
【0212】
特に明記しない限り、対象には、10時間の断食後に1、5及び10mg/kgの用量でテトラヒドロビオプテリン(BH4)又はBH4の類似体を与える。該研究の供給された脚部において、対象に、BH4又はBH4の類似体を投与する。血液サンプルを、投与0、0.5、1、2、3、4、6、8、12、24、48、72、96、120、144 時間後にヘパリン処理したバイアルに回収する。一回量及び相対的な生体利用効率研究のために、血漿サンプルを、投与0.25、0.75及び1.5時間後にも回収して総ビオプテリンをアッセイし、BH4又はBH4類似体いずれかの胃腸吸収の部位を評価する。
【0213】
対象に1、5及び10mg/kgの経口若しくは静脈用量のBH4又はBH4類似体を与え、それに続く血漿総量ビオプテリン濃度の連続測定により、血漿総量ビオプテリン濃度の増加(ΔCp)-時間曲線(ΔAUC)下面積から、胃腸管からのBH4又はBH4類似体吸収速度を決定する。静注で投与される場合、生体利用効率の同じレベルを成し遂げるために経口で投与されるBH4と比較すると、より低用量のBH4が要求されることが予想される。例えば、1mg/kgのBH4が静脈内投与されたのと同じ生体利用効率のレベルを成し遂げるために、10mg/kgのBH4の経口投与を必要とし得る。BH4の類似体は生体利用効率を強化するのに有用なので、それは、BH4の1mg/kgのIV投与と同じパーセント生体利用効率を達成するのと同じ生体利用効率のレベルを成し遂げるために、2.5mg/kgのみのBH4類似体を必要とし得る。
【0214】
胃腸管からのBH4又はBH4類似体吸収の速度は、以下の式を使用して、BH4又はBH4類似体の投与後における血漿総量ビオプテリン濃度増加(ΔCp)-時間曲線(ΔAUC)下面積から推定される:
【数1】
【0215】
BH4のいくつかの類似体は、活性なBH4を放出するのにより長い持続時間を必要とし得る。それゆえ、血中におけるBH4不在又は放出されたBH4の測定は、治療に利用可能であり得るBH4の総量を正確に反映することができない可能性がある。従って、類似体及びBH4全体の総濃度の測定には、該類似体及びBH4 の生体利用効率を調査し比較する目的のために、血中BH4レベルを正確に又はより精密に測定することが必要である。
【0216】
(BH4の代謝産物の測定)
ビオプテリンアッセイ:血漿、血液及び組織における総ビオプテリン及び酸化ビオプテリンの濃度を、Fukishimaらの文献(Anal. Biochem. 102:176 (1980))の方法に基づいて測定する。ビオプテリンは、2つの形態の還元型ビオプテリン、R-テトラヒドロビオプテリン(BH4)及びキノノイドR-ジヒドロビオプテリン(q-BH2)、並びに2つの形態の酸化型ビオプテリンであるジヒドロビオプテリン(BH2)及びビオプテリン(BP)を含む、4つの異なる形態を有する。もちろんこれら4つの形態は、還元形態のビオプテリンのみが補酵素活性を有する。還元型ビオプテリンは酸性条件下でのヨード化によりBPへと変換され、アルカリ条件下で還元型ビオプテリンはプテリンへと変換される。酸化型ビオプテリンは、酸性及びアルカリ条件下でのヨード化によりBPへと変換される。この性質の利点により、総ビオプテリンの量を酸性条件下でのヨード化時に測定し、酸化型ビオプテリンの量をアルカリ条件下でのヨード化時に測定し、このようにして還元型ビオプテリンの量をその量の差から計算する。補酵素として使用する場合、BH4をq-BH2に変換する。q-BH2はジヒドロプテリンレダクターゼによってBH4へとただちに変換され、又は還元されない場合、BH2又はDHPTに酸化される。インビボにおいてビオプテリンがq-BH2の形態で存在することは困難であるので、還元型ビオプテリンをBH4に置き換えることもある。
【0217】
回収される血漿及び全血試料は、酸性酸化溶液(0.6%のヨウ化カリウム(KI)、0.3%のヨウ素(I2)及び0.6Nトリクロロ酢酸(TCA)を含む0.6N HCl水溶液)、及びアルカリ酸化溶液(0.7N水酸化ナトリウム(NaOH))での酸化にただちに供する。BPの測定はHPLCにより実行し、放射能は液体シンチレーションカウンタを使用して測定する。
【0218】
タンデム型質量分析(LC/MS/MS)と連結された逆相HPLC(RP)を使用するBH4の測定:逆相高性能液体クロマトグラフィ(RP)及びタンデム型質量分析(LC/MS/MS)の組合せ使用は、ヒト血漿においてBH4について選択的であり、5〜1000ng/mLの範囲でBH4について感受性であることを示した。本方法は、回収及び貯蔵の間の酸化に起因する、BH4の約50%の転換に関連する。サンプルは、エチレンジアミン四酢酸(K 2 EDTA)の二カリウム塩で3ヵ月を超える間安定である。前処理工程からの回収は、約75%である。本方法の精度(accuracy)及び精度(precision)は、15%未満の変動係数(CV)%(定量化の下限(LLOQ)の20%)を有することが決定された。
【0219】
HPLC及びタンデム型質量分析の組合せ使用は、(1)その薬剤-BH4についての選択性の増加(HPLCは総ビオプテリンを測定する)、(2)より幅広い定量的範囲、(3)確立された転換定量、(4)広範囲な特徴づけ及び証明されたヒト対象での有用性、並びに(5)異なる種及び基質の新規及び有用な測定、について、BH4試験物品を測定する際にHPLC単独を超える改善を示した。
【0220】
改良方法は、血液(血漿)の以降の工程群を含む。血液、血漿、組織ホモジェネート、又は尿のサンプルを、酸性又はアルカリ性酸化に供する。酸性酸化と共に、(1)サンプルを、塩化カリウム(KCl)、塩酸(HCl)又はTCAで1時間処理する;(2)酸性酸化された試料を、それからヨードメトリーに供する;(3)該サンプルを、イオン交換カラムに通す;(4)BH4、q-BH2(測定された還元型ビオプテリンが主にBH4に基づくように、インビボでBH4にただちに還元する)、BH2及びBPを含む総ビオプテリンを、HPLC及びタンデム型質量分析を使用して測定する。アルカリ性酸化と共に、(1)サンプルを、KI、I2又はNaOHで1時間処理する;(2)アルカリ性酸化されたサンプルを、それからHCl又はTCAとの酸化に供する; (3)ヨードメトリーに供する;(4)該サンプルを、イオン交換カラムに通す;(5)BH2及びBPを含む酸化型ビオプテリンを測定する; (6)異なる種を、HPLC及びタンデム型質量分析を使用して測定する;及び、 (7)還元型ビオプテリン(BH4 + q-BH2)の量を、総ビオプテリンから酸化型を差し引いた差として計算する。
【0221】
ビオプテリン測定の流れ図、及びアッセイ妥当性検証の概要を図1及び2に示す。
【0222】
(最適化されたアッセイ)
電気化学検出(ECD)及び蛍光(FL)検出を使用するHPLC方法は、個々のビオプテリン化合物(BH4、BH2及びB)並びにプロドラッグなどの類似体形態(例えば、Val-BH4、Val-BH2及びVal-B)のそれぞれの測定を可能にするので有利である。
【0223】
異なるビオプテリン(BH4、BH2及びB)及びVal-ビオプテリンの濃度は、初めに分離のための逆相HPLCを、続けてECD及びFL検出を使用することにより測定する。BH4及びVaI-BH4はECDを使用して測定し、そこにおいて、BH4及びVal-BH4が、電極1によりキノノイドジヒドロビオプテリン形態(それぞれ、qBH2又はVal-qBH2)、短寿命ジヒドロビオプテリン中間体に酸化され、その後電極2でBH4又はVal-BH4に再び還元される。検出器はそれから、この還元反応によって発生する電流を使用して、それぞれ、BH4又はVal-BH4の濃度を決定する。BH2、Val-BH2、B及びVal-Bを蛍光検出で測定する。最適可能性の調節孔辺細胞を使用するBH2及びVal-BH2のポストカラム酸化は、BH2及びVal-BH2を、それぞれB及びVal-Bに酸化させる。ポストカラム酸化は、BH2(及び他の種)がビオプテリン(B)に酸化される工程である。これは、BH2が蛍光的に活性ではなく又は容易に測定されず、蛍光を使用して容易に測定されるビオプテリンに変換されなければならないことから望ましい。合計で、本方法は、6種(BH4、BH2、B、Val-BH4、Val-BH2及びVal-B)を測定するために使用することができる。バリンビオプテリン誘導体などのビオプテリン類似体は、好ましくは10%のMeOH含有移動層を使用して測定され、ビオプテリンは好ましくは2%のMeOH含有移動層を使用して測定される。
【0224】
従って、ビオプテリン種の混合物中のビオプテリンを検出する方法は、(a)逆相HPLCによって混合物中のビオプテリン種を分離すること、並びに、BH4及びその類似体の場合、(b1)第1の電極の近傍に存在するBH4及びその類似体をキノノイドジヒドロビオプテリン形態へと酸化させ、それに続き第2の電極に存在する該キノノイド形態をBH4及びその類似体へと再び還元することにより電気化学的検出を実行すること、及び該還元反応によって生成した電流を測定して種の濃度を決定すること;及び/又は(b2)BH2、その類似体、ビオプテリン、又はその類似体の場合、BH2種のビオプテリンへのポストカラム酸化の後の蛍光検出でこのような種を測定すること;を含み得る。
【0225】
実施例5の化合物を、緩衝液において及びこのアッセイを使用する抽出により検出できる。実施例5の化合物を投与したカニクイザルからのこのアッセイを使用するBH4、BH2及びBの予備測定は、生体利用効率の大きな増加を示す(図12を参照されたい)。図12において、約5分でのピークはBH4に特徴的であり、該5分でのピークの高さはサルにBH4を投与した場合に観測された高さよりも数倍高い。ピークの高さ及び面積は濃度を表す。実施例5の化合物での投与2時間後のサルからの実施例5の化合物についてこの検査法を使用する予備測定は、我々が実施例5の化合物を検出できないことを示す。実施例5の化合物がまだ存在する場合、アッセイの更なる最適化が検出を可能にし得るので、検出の不足は、必ずしも決定的であるというわけではないが、この時点で、投与後2時間の血漿における実施例5の化合物の欠乏の確証を示す。
【0226】
(一酸化窒素産生におけるBH4類似体の効果)
培養ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、3mMのN-アセチルセロトニン(NAS)(酵素セピアプテリンレダクターゼの阻害剤)で前処理した。この経路の阻害は、典型的には内因性BH4の減少を結果的に生じ、正常をはるかに下回って内因性eNOS活性を抑制し、eNOS活性の回復を試験するアッセイを提供する。
【0227】
従って、サブコンフルエントなHUVECを24穴プレートに播種し、EGM2培地(完全増殖培地)で一晩培養した。翌朝、新しい培地を細胞(300μL/ウエル)に加え、内因性のBH4レベルを減少させるために3mMのNASを該細胞に加えた。1.5時間のインキュベーション後、50、100若しくは200mMのBH4、又は実施例5、実施例6、実施例7若しくは実施例9の化合物を該細胞に加えた。該細胞を、BH4、又は実施例5、実施例7若しくは実施例9の化合物と5〜22時間反応させた。NOの産生をそれから、硝酸レダクターゼ処理の後のグリース反応による総量(亜硝酸塩+硝酸塩)の変化として測定した。亜硝酸塩+硝酸塩のBH4、又は実施例5、実施例7若しくは実施例9の化合物とのパーセンテージを、図7(5時間後);図8(17時間後);及び図9(22時間後);に示す。実施例6の結果を、図10(5時間後)及び図11(20時間後)に示す。
【0228】
NAS処理細胞に対する実施例5、6、7又は9の化合物の添加は、用量依存的様式でNO産生を増加させた。加えて、実施例5の化合物での細胞の処理はおよそ60%〜80%を産生し、BH4の効果は、該類似体が細胞内部で非エステル化されて活性なBH4を産生することを示唆した。実施例6、7及び9の化合物は、わずかに還元される場合、NAS処理細胞に類似の効果を有した。
【0229】
実施例5の化合物は、所望のインビトロ薬理学的活性(培養内皮細胞の内皮一酸化窒素シンターゼからの亜硝酸塩産生の刺激)を有し、この細胞培養系における遊離BH4によって与えられる反応の約60%〜80%を送達する。傾向は、5時間又は22時間の曝露後類似し;22時間後に類似体及び遊離BH4のもう少しの違いがあった。これらの結果は、内皮細胞が、活性な遊離BH4を産生する際に援助できるエステラーゼを含むことを示唆する。
【0230】
関連した部分において、前述の全ての刊行物は、参照により本願明細書に引用される。いかなる刊行物の引用も、それが開示発明に関連する従来技術を構成するという承認として解釈されるべきではない。
【0231】
上記記載は理解の明確化のみのために与えられ、本発明の範囲内の修飾がそれらの当業者にとって明らかであり得るので、不必要な限定がそこから理解されるべきではない。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
2007年1月12日に出願された米国仮特許出願番号60/884,727の特許法§119(e)の下の利益を請求する。
【0002】
(本発明の背景)
(開示の分野)
本開示は、該して、テトラヒドロビオプテリンの類似体、該類似体を含む組成物、及び該類似体の投与によってテトラヒドロビオプテリンに応答する状態を患っている個人を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の簡単な説明)
テトラヒドロビオプテリン(本明細書において「BH4」とも称される)は、天然に存在する化学化合物であり、かつプテリンファミリーの生物活性アミンである。1つの立体異性体(サプロプテリン)は、以下の式IIで示される:
【化1】
【0004】
天然に存在するにもかかわらず、テトラヒドロビオプテリンも様々な方法により合成されることができ、そのいくつかは、例えば、米国特許第2,601,215;3,505,329;4,540,783;4,550,109;4,587,340;4,595,752;4,649,197;4,665,182;4,701,455;4,713,454;4,937,342;5,037,981;5,198,547;5,350,851;5,401,844;5,698,408;及び5,698,408号において、並びにカナダ特許出願番号第2,420,374号において開示されている。
【0005】
プテリンは、カルボニル酸素及びアミノ基を有するピラジン環並びにピリミジン環を含む二環式化合物である。プテリンは、酵素の触媒作用の補因子として機能する。テトラヒドロビオプテリンは、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)、チロシン3-ヒドロキシラーゼ、トリプトファン5-ヒドロキシラーゼなどの様々な酵素のための補因子として機能し、一酸化窒素シンターゼ(NOS)の全3形態を形成する。テトラヒドロビオプテリンはクリチジア・ファシキュラタ(Crithidia fasciculata)のための成長因子でもあり、造血性細胞の増殖活性を有し、かつ一酸化窒素毒性のための自己保護因子として作用する。テトラヒドロビオプテリンのこれらの並びに他の補因子及び細胞機能に加え、テトラヒドロビオプテリン欠乏に関する障害が、Thonyらの文献(2000)Biochem. J. 347:1-16において開示されている。テトラヒドロビオプテリン欠乏に関する障害も、Blauらの文献、「遺伝性疾患の代謝的及び分子的基盤」1275-776における「テトラヒドロビオプテリン及び関連生体アミン障害」(第8編、McGraw-Hill Publishing社、ニューヨーク、NY、2001)に全般的に記載されている。
【0006】
テトラヒドロビオプテリンは、血液‐脳関門を横断するのと同様に、膜を横断するのが困難である親水性化合物である。血液‐脳関門は、一般に、血液から中枢神経系(CNS)に物質の通過を制御する膜である。それは局所血管とCNSの大半との間に物的障壁として機能し、特定の(及び多くの)化合物がCNSに達するのを防止する。身体の毛細管を定めている壁は、小ギャップによって分断されている内皮細胞から成る。これらのギャップによって、組織内において可溶性化学物質が血流に通り、このようにして該化学物質が身体の全体にわたって運搬されることができ、その後様々な組織に血液が出て行くことができる。脳において、これらの血管内皮細胞はよりきつく包装され、従って、ギャップはさらにより小さい。これらのより小さいギャップは、脂溶性のため細胞膜を横断するもの(例えば、酸素、二酸化炭素、エタノール)及び特定の輸送系により通るもの(例えば、糖、選択されたアミノ酸)を除いて全ての分子の通過を遮断する。多くの薬剤は、治療法を提供するのに有効な量で血液‐脳関門を横断しない。物的障壁をCNSに提供することに加えて、脳の内皮細胞も特定の分子(薬剤)を代謝し、それらがCNSに決して達しないようにさせることができる。
【0007】
テトラヒドロビオプテリンに応答する障害及び状態に有効な治療法を提供するための、身体並びにCNSの両方に対するテトラヒドロビオプテリンのより効率的な送達の必要性が残っている。
【発明の概要】
【0008】
(本発明の要旨)
本明細書に開示するのは、テトラヒドロビオプテリンの類似体、該類似体を含む組成物、及び一つ以上の該類似体の投与により、テトラヒドロビオプテリン治療に応答する状態に苦しむ個人を治療する方法である。
【0009】
本明細書中に開示される化合物は類似体であり、それぞれ、インビボで、テトラヒドロビオプテリン若しくはその誘導体を生成できるテトラヒドロビオプテリン又はテトラヒドロビオプテリン誘導体のプロドラッグであり得る。テトラヒドロビオプテリンは天然に存在する化学物質であり、それは当業者に知られている化学合成によっても得られる。
【0010】
経口投与テトラヒドロビオプテリンが低い生体利用効率を有するということが発見されている。この低い生体利用効率は、通常、胃腸(GI)管からの劣った吸収、GI管及び/又は血流の酸化、吸収前の分解又は代謝、並びに吸収の後の分解又は代謝の少なくとも一つに起因していると考えられている。さらにまた、テトラヒドロビオプテリンが劣った(脂質)溶解性、胃及び血流における潜在的化学的不安定性、及びGI管の壁を透過することができないことを呈すると考えられる。
【0011】
本開示の一態様は、治療上有効量のテトラヒドロビオプテリンの類似体及び/又はプロドラッグをその必要のある個人に投与することによる、個人におけるテトラヒドロビオプテリンの生体利用効率を向上させることを志向し、そこで該類似体がBH4のプロドラッグである場合、内因性の酵素は、それぞれ、インビボで活性なテトラヒドロビオプテリン又はテトラヒドロビオプテリン誘導体を放出できる。この化合物(テトラヒドロビオプテリン)は少なくとも6つの異なる酵素(例えば、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、チロシンヒドロキシラーゼ、トリプトファンヒドロキシラーゼ、内皮一酸化窒素シンターゼ、ニューロン一酸化窒素シンターゼ、及び誘導可能な一酸化窒素シンターゼ)と相互作用するので、プロドラッグアプローチは特に、テトラヒドロビオプテリンの場合に有効である。加えて、テトラヒドロビオプテリンは、2つの他の酵素を必要とするヒドロキシル化反応に参加した後に、再資源化される。従って、特に適切に再利用されない場合、これらの6つの酵素と適切に相互作用せず、かつ2つのさらなる酵素によって再利用されないテトラヒドロビオプテリンの類似体は、補因子としてよく機能することができず、化学量論的に用いられることができない。これらの理由により、天然テトラヒドロビオプテリン化合物を生成する類似体は、より良好な生体利用効率を有するが、テトラヒドロビオプテリンの全ての細胞標的と適切に相互作用できるというわけではない化合物より、はるかに優れている。
【0012】
したがって、本発明の一態様は、テトラヒドロビオプテリンの類似体に関する。
テトラヒドロビオプテリンの類似体は、式I(1つの特定の立体異性体として以下に示される)又はその医薬として許容し得る塩の化合物である:
【化2】
【0013】
BH4の他の7つの可能的立体異性体も意図される。実施態様の1つのクラスにおいて、BH4の類似体は、生物学的条件下でBH4を遊離できるプロドラッグである。
【0014】
式Iの化合物の好ましい実施態様によると、R3、R4、R5、R6及びR7は全てが水素であり、かつR1及びR2は共に-C(Rc)Rd-であって5員環を形成するか、又はR1及びR2は独立に、
水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O) C1-40アルキル、C(O)1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O) C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O) C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、C(O)SRa、又はアミノ酸誘導体であり、但しR1及びR2は両方ともが水素、C(O)H、グルコシル、アミノグルコシル又は同じC(O)C1-10アルキルでないことを条件とする。この実施態様において、より好ましいR1及びR2はアミノ酸誘導体、及びよりさらに好ましくはR基が水素で誘導体化された非アミノ酸から独立に選択される。例えば、R1はアミノ酸誘導体から選択され、かつR2は水素であるか、又はR2はアミノ酸誘導体から選択され、かつR1は水素であり、好ましくは後者である。上述のいずれかにおいて、例えばR1又はR2におけるアミノ酸誘導体は好ましくはバリルアミノ酸部分を含む。
【0015】
式Iの化合物の別の好ましい実施態様によると、R1、R2、R5、R6及びR7は全て水素であり;かつR3及びR4は独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C2-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、又はC(O)SRaであり、但しR3が水素である場合にR4が水素又はリボースでないこと、及びR4が水素である場合にR3が水素、C(O)H、アセタート、ヒドロキシメチル、又はアミノアルキルでないことを条件とする。
【0016】
式Iの化合物のさらに別の好ましい実施態様によると、R1、R2、R3、R4及びR5は全て水素であり;かつR6及びR7は独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、又はC(O)SRaであり、但しR6が水素である場合にR7が水素、メチル、CH2(CH2)4CO2H、又はCH2CH2-アリールでなく、及びR7が水素である場合にR6が水素でないことを条件とする。
【0017】
式Iの化合物のさらに別の好ましい実施態様によると、R1、R2、R3、R4、R6及びR7は全て水素であり;かつR5はC3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、又はC(O)SRaである。
【0018】
式Iの化合物の他の意図されたタイプの実施態様において、R3、R4、R5、R6及びR7は全ての水素であり、かつR1及びR2はそれぞれ独立に水素及びアミノ酸誘導体から選択され、ここでR1及びR2は両方が水素であることができない。そのようなタイプの実施態様において、アミノ酸誘導体は、エステル結合を介する式Iの化合物の一部である。具体的実施態様において、アミノ酸誘導体は単一のアミノ酸である一方、他の実施態様では、アミノ酸誘導体は、アミド結合若しくはエステル結合又はその両方を介して共に共有結合した2、3、4又はそれより多いアミノ酸である。特定の意図された実施態様において、例えば、R1は水素であり、R2はアラニン、バリン、又はグルタミン酸及びアラニンを含むジペプチドを含む。他の具体的実施態様において、R1及びR2は、両方ともバリンを含む。
【0019】
式Iの化合物の他の意図されたタイプの実施態様において、R1、R2、R4、R5、R6及びR7は全ての水素であり、かつR3はアミノ酸誘導体である。そのようなタイプの実施態様において、アミノ酸誘導体は単一のアミノ酸である一方、他の実施態様では、アミノ酸誘導体は、アミド結合若しくはエステル結合又はその両方を介して共に共有結合した2、3、4又はそれより多いアミノ酸である。
【0020】
式Iの化合物の上述の好ましい実施態様のそれぞれにおいて、Ra及びRbは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、ポリエチレングリコール、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールである。
【0021】
また、式Iの化合物の上述の好ましい実施態様のそれぞれにおいて、Rc及びRdは共にオキソであるか、又はRc及びRdは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールである。
【0022】
本発明は、テトラヒドロビオプテリン療法に応答する状態を患っている個人を治療するための組成物を提供することも関する。組成物は、通常、式Iの化合物の上記の好ましい実施態様のいずれか1つ、及び任意に、医薬として許容し得る賦形剤、例えばそのための希釈剤又は担体を含むことができる。
【0023】
本発明の更に別の態様は、上述した組成物のいずれか一つの投与によって、BH4に反応する状態を患っている個人を治療する方法を提供することである。該方法は、式Iの化合物の治療上有効量を個人に投与することを含む。BH4に反応する状態は一般に、BH4又はその誘導体に影響されるものを含む。BH4に反応する状態は、一般的血管機能の障害(異常な脈管コンプライアンス、内皮機能不全及び高血圧症);不応性高血圧症;インスリン感応性/グルコース制御障害;異常な末梢潅流(間欠跛行、減少した末梢潅流、減少した皮膚血流及び不完全な創傷治癒);心臓病(うっ血心不全、うっ血性心不全の有無にかかわらない肺高血圧、運動関連性狭心症、冠状動脈疾患、関連したアテローム性動脈硬化症);眼の疾患(視神経萎縮、糖尿病性網膜疾患);及び、腎疾患(糖尿病性腎疾患、腎不全、減少した糸球体濾過率におけるミクロアルブミン尿症);を含むがこれらに限定されない糖尿病関連の血管合併症を含む。
【0024】
BH4-反応状態は、肺血管疾患、溶血性貧血、脳卒中及び関連した虚血性血管疾患(例えば脳卒中、心臓若しくは冠状動脈疾患、動脈硬化、又は末梢血管疾患)、血栓症、移植に関連した内皮機能不全、及び心臓若しくは冠状動脈疾患からなる群から選択される糖尿病には関連しない血管疾患も含む。一実施態様において、肺血管疾患は、鎌状赤血球貧血及び他のヘモグロビン異常症における肺緊張、特発性肺高血圧、新生児の持続性肺高血圧症(PPHN)を含むが、これに限定されるものではない。さらなる態様において、溶血性貧血は、遺伝性溶血性貧血及び後天性溶血性貧血を含む。遺伝性溶血性貧血は、鎌状赤血球貧血症、サラセミア、G6PD欠乏による又は溶血に関連した溶血性貧血、ピルビン酸キナーゼ欠乏、遺伝性楕円赤血球症、遺伝性球状赤血球症、遺伝口唇状赤血球症、遺伝性卵形赤血球症、発作性夜間ヘモグロビン尿症、及びヘモグロビンSC病を含むが、これに限定されるものではない。後天性溶血性貧血は、細血管障害性溶血性貧血、特発性自己免疫溶血性貧血、化学的若しくは物理的薬剤又は装置(左室補助装置)により生じる非免疫性溶血性貧血、機械の心臓弁及びバイパス装置)、及び第2の免疫溶血性貧血を含むが、これに限定されるものではない。
【0025】
別の実施態様において、脳卒中及び関連した虚血性血管疾患は、脳卒中後脳血管攣縮などの血管痙攣を含むが、これに限定されるものではない。血栓症は、血栓形成、血栓症、凝血(clotting)、及び凝固(coagulation)を含むが、これらに限定されるものではない。さらなる態様において、移植に関連する内皮機能不全は、固体臓器移植及びシクロスポリンA誘導性の内皮機能不全後の脈管機能不全を含むが、これに限定されるものではない。さらに別の実施形態では、心臓又は冠状動脈疾患は、うっ血性心不全、高コレステロール血症と関連する脈管機能不全及び狭心症、並びに喫煙と関連する脈管機能不全及び狭心症を含むが、これらに限定されるものではない、
【0026】
本発明の付加的な特徴は、以下の詳細な説明の再調査からそれらの当業者にとって明らかになることができ、添付の請求の範囲に関連して解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、ビオプテリンの測定のための流れ図を示す。
【0028】
【図2】図2は、体液及び組織のビオプテリンを測定するアッセイの検証からの結果の概要を示す。
【0029】
【図3】図3は、60分間に渡る、ヒト血漿における実施例2、3、4、及び20の化合物の安定性を示す。
【0030】
【図4】図4は、60分間に渡る、ラット血漿における実施例2、3、4、及び20の化合物の安定性を示す。
【0031】
【図5】図5は、60分間に渡ってシミュレーションされた胃液における実施例2、3、4、及び20の化合物の安定性を示す。
【0032】
【図6】図6は、BH4と比較して、絶食されたサルへのさまざまなBH4プロドラッグの経口投与後25時間に渡るBH4血漿レベルを示す。
【0033】
【図7】図7は、BH4並びに様々な濃度の実施例5、7及び9の化合物を用いた5時間の処理後における亜硝酸塩+硝酸塩の増加の割合を示す。
【0034】
【図8】図8は、BH4並びに様々な濃度の実施例5、7及び9の化合物を用いた17時間の処理後における亜硝酸塩+硝酸塩の増加の割合を示す。
【0035】
【図9】図9は、BH4並びに様々な濃度の実施例5、7及び9の化合物を用いた22時間の処理後における亜硝酸塩+硝酸塩の増加の割合を示す。
【0036】
【図10】図10は、BH4並びに様々な濃度の実施例5及び6の化合物を用いた5時間の処理後における亜硝酸塩+硝酸塩の増加の割合を示す(μM濃度で示す)。
【0037】
【図11】図11は、BH4並びに様々な濃度の実施例5及び6の化合物を用いた20時間の処理後における亜硝酸塩+硝酸塩の増加の割合を示す(μM濃度で示す)。
【0038】
【図12】図12は、実施例5の化合物の投与後2時間における、カニクイザルの血漿からのBH4クロマトグラムを示す(2%のMeOH移動層)。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
しばしば血流に入っている薬剤の量が有効な治療に至らないか、又は有意な臨床的利益を達成するためにより多くの用量の化合物の投与を必要とするという点で、経口投与テトラヒドロビオプテリンは劣った生体利用効率を呈する。さらに、血液‐脳関門は通常、小分子を透過し得ると同時に、例えば、テトラヒドロビオプテリンの取り込みに対する自然の障害である。本発明は、経口投与テトラヒドロビオプテリンの劣った生体利用効率、及びテトラヒドロビオプテリンを身体及びCNSの両方にテトラヒドロビオプテリンに応答する状態についての治療法を提供するのに有効な量で提供することの困難に対処する。
【0040】
本発明は、一般に、テトラヒドロビオプテリンの類似体、該類似体を含む医薬組成物、及び該類似体の投与によってテトラヒドロビオプテリンに応答する状態を患っている個人を治療する方法に関し、これらの全ては以下で更に詳細に記載する。
【0041】
BH4は、生体利用効率特性を改善させるのに必要なだけでなく、複数の細胞目標に機能する能力も保持しなければならない類似体を生産することが困難である複数の作用を有する天然物であるので、プロドラッグが特に有用であり得る。類似体の抑制性又は予想外の毒作用の両方を回避することは、胃腸管から血流への流入を成し遂げた後に、天然化合物に変換するプロドラッグによって取り除かれることができる。
【0042】
(用語法)
本明細書で用いられる用語「生体利用効率」とは、投与された薬剤の用量の体循環に入っている割合をいう。薬剤が静注で投与される場合、その生体利用効率は理論的に100%であるだろう。しかしながら、薬剤が他のルート(例えば、経口)を介して投与される場合、その生体利用効率は、例えば吸収及び/又は肝初回通過効果の前にGI管、分解又は代謝における不完全な吸収の結果として典型的には100%未満であろう。
【0043】
本明細書で用いられる用語「アルキル」とは、直鎖及び分岐炭化水素基をいい、その非限定的例は、メチル、エチル、並びに直鎖及び分岐プロピル及びブチル基を含む。用語「アルキル」は、「架橋されたアルキル」、すなわち二環式であるか多環式の炭化水素基、例えば、ノルボルニル、アダマンチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、又はデカハイドロナフチルを含む。アルキル基は、例えば、ヒドロキシ(OH)、ハロ、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、及びアミノで任意に置換できる。本明細書に記載されている全ての好ましいサブセットを含む、式Iに従って本明細書に記載されている類似体において、アルキル基は、1〜40の炭素原子、好ましくは1〜25の炭素原子、好ましくは1〜15の炭素原子、好ましくは1〜12の炭素原子、好ましくは1〜10の炭素原子、好ましくは1〜8の炭素原子、及び好ましくは1〜6の炭素原子から成ることが特に意図される
【0044】
本明細書で用いられる用語「シクロアルキル」とは、環状炭化水素基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル及びシクロペンチルをいう。「ヘテロシクロアルキル」は、環が、酸素、窒素及び硫黄からなる群から独立に選択される1〜3の異種原子を含むことを除き、シクロアルキルと同様に定義される。ヘテロシクロアルキル基の非限定的な例には、ピペルジニル(piperdinyl)、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロフラニルなどを含む。シクロアルキル及びヘテロシクロアルキル基は、例えば、アルキル、アルキレンOH、C(O)NH2、NH2、オキソ(=O)、アリール、ハロアルキル、ハロ及びOHからなる群から独立して選択される1〜3個の基で任意に置換された飽和又は部分不飽和環系であり得る。ヘテロシクロアルキル基は、任意にアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキレンアリール又はアルキレンヘテロアリールで更にN置換できる。
【0045】
本明細書で用いられる用語「アルケニル」は、該基が、少なくとも一つの炭素-炭素二重結合を含むことを除いて「アルキル」と同じく定義される。
【0046】
本明細書で用いられる用語「アルキレン」とは、置換基を有するアルキル基をいう。例えば、用語「アルキレンヘテロシクロアルキル」とは、ヘテロシクロアルキル基により置換されるアルキル基をいう。アルキレン基は、先に任意的アルキル置換基として収載された一つ以上の置換基によって任意に置換される。
【0047】
本明細書で用いられる用語「アルケニレン」は、該基が少なくとも一つの炭素-炭素二重結合を含むことを除き、「アルキレン」と同一に定義される。
【0048】
本明細書で用いられる用語「アリール」とは、単環式又は多環式芳香族基、好ましくは単環又は二環芳香族基、例えばフェニル又はナフチルをいう。特に明記しない限り、アリール基は、非置換であり得るか、又は例えば、ハロ、アルキル、アルケニル、OCF3、NO2、CN、NC、OH、アルコキシ、アミノ、CO2H、CO2アルキル、アリール、及びヘテロアリールから独立に選択される1つ以上及び特に1〜4つの基で置換できる。典型的なアリール基は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、クロロフェニル、メチルフェニル、メトキシフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ニトロフェニル、2,4-メトキシクロロフェニルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0049】
本明細書で用いられる用語「ヘテロアリール」とは、1つ若しくは2つの芳香環を含み、かつ芳香環に少なくとも一つの窒素、酸素若しくは硫黄原子を含んでいる単環式又は二環式の環系をいう。特に明記しない限り、ヘテロアリール基は、非置換であり得るか、又は例えば、ハロ、アルキル、アルケニル、OCF3、NO2、CN、NC、OH、アルコキシ、アミノ、CO2H、CO2アルキル、アリール及びヘテロアリールから選択される1つ以上、特に1〜4つの置換基で置換できる。ヘテロアリール基の例には、チエニル、フリル、ピリジル、オキサゾリル、キノリル、チオフェニル、イソキノリル、インドリル、トリアジニル、トリアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、チアゾリル及びチアジアゾリルを含むが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書で用いられる用語「アミノ酸誘導体」とは、NH2、NHR又はNR2としてのアミン官能基、及びカルボン酸官能基の両方を有する部分をいう。アミノ酸は、α-アミノ酸、β-アミノ酸又はγ-アミノ酸であり得る。特に明記しない限り、本明細書にいうアミノ酸構造は、あらゆる可能的な立体異性体、例えば、D又はL鏡像異性体であり得る。アミノ酸は、グリシン、アラニン、β-アラニン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、リジン、プロリン、セリン、スレオニン又はバリンのL鏡像異性体などの天然存在型アミノ酸であり得る。他のアミノ酸には、グリシン、アラニン、β-アラニン、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、リジン、プロリン、セリン、スレオニン若しくはバリンのD鏡像異性体など、又はオルニチン、置換フェニルアラニン(例えば、4-メトキシフェニルアラニン(4-methoxyphenylaline))、ピリジイルアラニン(pyridiyl alanines)及びその他など他のアミノ酸を使用できる。アミノ酸は、周知の技術に従って合成できるか、又は供給元、例えばSigma-Aldrich(ミルウォーキー、WI)又はChem-lmpex International社(ウッドデール、IL)から購入できる。好ましい実施態様のクラスにおいて、アミノ酸誘導体は、好ましくは、バリン、アラニン、ロイシン、又はイソロイシンである。例えば、あるクラスの実施態様はアミノ酸誘導体を意図し、式中、例えば以下の式Iの化合物に示されるように2つ以上のアミノ酸を有することができ、ここで、R2はγ-D-グルタミン酸-D-アラニン誘導体である:
【化3】
【0051】
本明細書で用いられる用語「ポリエチレングリコール」とは、式RO(CH2CH2)nO-の化学基をいい、式中、Rがアルキル基であり、かつnが1〜1000の整数でありかつ10〜500、20〜300、25〜250又は30〜200であり得る
【0052】
本明細書で用いられる用語「保護基」とは、以下の特徴を呈する化学基をいう:(1)選択的に所望の官能性と反応し、保護が要求される計画された反応に安定である被保護基質を好収率で与える;(2)所望の官能性を産生するために、被保護基質から選択的に着脱可能である;及び、(3)この種の保護反応において生成する他の官能基と互換性を持つ試薬剤によって、好収率で着脱可能である。保護基の例は、Greeneらの文献、「有機合成における保護基」、第2版(John Wiley & Sons, lnc , New York, 1991)に見い出され得る。
【0053】
(テトラヒドロビオプテリンのプロドラッグ)
本発明の一態様は、テトラヒドロビオプテリンのプロドラッグに関する。テトラヒドロビオプテリンのプロドラッグは、式I(以下に示される)の化合物、又は様々な条件下で、代謝又は変換されてテトラヒドロビオプテリンを提供し得るその医薬として許容し得る塩であり得る:
【化4】
【0054】
式Iの好ましい実施態様において、化合物はC-1'及びC-2'位の1つのみにて又はその両方で修飾される。そのような実施態様において、R3、R4、R5、R6及びR7はすべてが水素であり、かつR1及びR2は共に-C(Rc)Rd-であって5員環を形成するか、又はR1及びR2は独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、又はC(O)SRaであり、但しR1及びR2は両方ともが水素、C(O)H、グルコシル、アミノグルコシル、又は同じC(O)C1-10アルキルでないことを条件とする。
【0055】
Ra及びRbは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、ポリエチレングリコール、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールである。
【0056】
Rc及びRdは共にオキソであるか、又はRc及びRdは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールである。
【0057】
BH4のエステル及びジエステルは、本明細書に開示されるように、類似体として意図され、かつプロドラッグであり得る。第一級及び第二級アルコールは、様々な化学試薬剤、例えば、酸クロリド(例えば、塩化アセチル)及び酸無水物などによって容易にエステルに変わる。酸クロリド(例えば、塩化アセチル)は、酸掃去剤(例えば、トリエチルアミン)の存在下でアルコール部分と反応し、対応するエステル及び塩酸を形成できる。同様に、酸無水物(例えば、無水酢酸)は、アルコール部分と反応し、対応するエステル及び酢酸を形成することができる。副産物は、鉱酸(例えば、塩化アセチルについての塩酸)とは対照的に、対応する有機酸(例えば、無水酢酸についての酢酸)であるにつれて、酸無水物との反応は一般により軽度である。例えばHardenらの文献(1989) J. Med. Chem. 32:1738-43を参照されたい。テトラヒドロビオプテリン(ジオール)も、これらの化学試薬剤によって変換できることがと意図される。テトラヒドロビオプテリン上のアミン部分が望ましくなく修正されないように、これらの反応はアミンよりもアルコールに選択的であるべきである。
【0058】
C-1'及びC-2'位の一方又は両方の修飾は、様々な方法で達成できる。例えば、テトラヒドロビオプテリン(また、以下「BH4」とも称される)は、塩基捕捉溶媒、例えばピリジン又はトリエチルアミンに溶解できる。溶解したBH4は、モル過剰の無水物と反応してBH4のモノエステルを形成することができ、該反応が完了まで続き、このようにしてC-1' 位及びC-2'位の両方のヒドロキシルがジエステルプロドラッグに変換する。下で示される反応スキーム(I)は、C-1' 位及びC-2'位の一方又は両方を修飾することに適している合成の代表的な描写である:
【化5】
【0059】
代替的合成は、C-2位、N-3位、N-5位、及びN-8位で潜在的に反応性アミンを保護するために保護基を使用することを含むことができる。
【0060】
開示される類似体として意図されるBH4のエステル及びジエステルはアミノ酸から誘導でき、例えば、BH4の1',2'-ジオールもアミノ酸エステルに変換することができる。アシクロビルのアルコールはL-バリンアミノ酸エステルに変換され、生体利用効率の顕著な増加を生じ、ヒト腸のペプチド輸送されたhPEPT1を介する腸を通る能動輸送に起因する。他のアミノ酸は、同様に働くことができる。副産物は、生物学的に良性である。アミノ酸(AA)誘導体の例は、反応スキーム(IA)、(IA')及び(IB')で概説されるように調製できる。反応スキーム(IA)はBH4のアミノ酸類似体を調製する方法を示し、該アミノ酸はC1'、C2'又は両方の位置にある。反応スキーム(IA')は、4N HCI/ジオキサンを使用する、終末産物へのジ-bocイミンの直接の脱保護を含む代替例の特定の実施例を示す。反応スキーム(IB)はBH4のペプチジル誘導体を調製する方法を示し、C1'、C2'又は両方が、ジペプチド、トリペプチド又はテトラペプチド部分で修飾される。より長いペプチド修飾は、類似の合成方法を使用してなされることもできる。様々に保護されたアミノ酸誘導体は、周知の合成技術を介して、又は商業的供給元、例えばSigma-Aldrich (Milwaukee, WI)又はChem Impex (Wood Dale, IL)を介して入手できる。
【化6】
【化7】
【化8】
【0061】
環式のケタール及びアセタールは、それぞれ、ジオールをケトン及びアルデヒドと反応させることにより形成できる。例えばHardenらの文献(1989) J. Med. Chem. 32:1738-43;Songらの文献(2005) J. Med. Chem. 48:1274-77を参照されたい。環式のケタール及びアセタールは、インビボで加水分解的に又は酵素的に代謝され、ジオールへと戻り得る。R1及びR2が共に-C(Rc)Rd-であって五員環を形成し、BH4のアセタール類似体を形成する修飾は、反応スキーム(II)に記載し、以下に示すように、BH4の1',2'-ジオールを2,2-ジメトキシプロパン及びp-トルエンスルホン酸一水和物(pTSA)と共にアルデヒド(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF))と反応してBH4のアセタール類似体を形成することにより達成することができる:
【化9】
【0062】
R1及びR2が共に-C(Rc)Rd-であって五員環を形成し、BH4のケタール類似体を形成する修飾は、反応スキーム(III)に記載し、以下に記載するように、触媒の存在下で、BH4の1',2'-ジオールをケトンと反応させることによって達成できる:
【化10】
【0063】
(N-5及び/又はN-8位での修飾)
式Iの化合物の別の好ましい実施態様において、該化合物は、N-5位及びN-8位の一方のみ又は両方で修飾される。そのような実施態様において、R1、R2、R5、R6、及びR7は全てが水素であり;R3及びR4は独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C2-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、又はC(O)SRaであり、但し、R3が水素である場合にR4は水素又はリボースではなく、及びR4が水素である場合にR3は水素、C(O)H、アセタート、ヒドロキシメチル、又はアミノアルキルでないことを条件とする。1つのクラスの実施態様において、R3+はアミノ酸誘導体である。
【0064】
N-5位及びN-8位の一方又は両方での修飾は、様々な方法で達成できる。例えば、BH4のアミド(又はジアミド)類似体は、BH4を、反応性ジオール位を保護するモル過剰の適切なアルコール保護基、例えば塩化t-ブチルジメチルシリル(TBDMSCI)とイミダゾール存在下で処理することによって得ることができる。その後、被保護BH4を塩基と反応させた後に酸クロリドと反応させることによって、被保護N-5及び/又はN-8中間体を生成できる。これらの反応の後、該中間体上のジオール位は、該中間体を適切な脱保護剤、例えば、TBDMSCIの場合にはテトラ-n-ブチルフッ化アンモニウム(TBAF)で処理することにより脱保護され、BH4のアミド類似体を生成する。合成は一般的に、以下に示される反応スキーム(IV)に続く:
【化11】
【0065】
別の実施態様において、BH4のカルバモイル(又はジカルバモイル)類似体は、イミダゾール存在下で、BH4をモル過剰のTBDMSCIなどのアルコール保護基で処理し、反応性ジオール位を保護することにより得ることができる。その後、被保護BH4は、塩基と反応させ、それに続きクロロギ酸塩(例えば、ブチリルクロロギ酸塩)と反応させることができる。これらの反応の後、中間体上のジオール位は、例えば、該中間体をTBAFと反応させることによって脱保護化され、BH4のジアミド類似体を生産する。合成は一般的に、以下に示す反応スキーム(V)に続く:
【化12】
【0066】
実施態様のさらに別のクラスにおいて、式Iの化合物は、アミノ酸又はペプチジル部分を有するN-5位で修飾される。この種の誘導体は、以下の反応スキーム(VI)に従って調製できる。
【化13】
【0067】
(C-2位での修飾)
式Iの化合物のさらに別の好ましい実施態様において、化合物はC-2位でのみ修飾される。そのような実施態様において、R1、R2、R3、R4及びR5は全てが水素であり;かつ、R6、及びR7は独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa 、又はC(O)SRaであり、但し、R6が水素である場合にR7は水素、メチル、CH2(CH2)4CO2H、又はCH2CH2-アリールではなく、及びR7が水素である場合にR6は水素ではないことを条件とする。
【0068】
C-2での修飾は、周知の反応、例えばアミンからアミドへの転換、アミンのアルキル化、アミンのアリール化などを使用する、C-2でのNH2基の修飾前におけるBH4のジオール部分の保護基操作を含む、多くの典型的有機化学技術を介して生じることができる。被保護ジオール部をそれから、C-2位でのみ修飾されたBH4の類似体を提供するために任意に脱保護化できる。
【0069】
(N-3位での修飾)
式Iのさらに好ましい別の実施態様において、化合物はN-3位でのみ修飾される。そのような実施態様において、R1、R2、R3、R4、R6及びR7は全てが水素であり;かつ、R5は、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa又はC(O)SRaである。
【0070】
式Iの化合物の先に記載した好ましい実施態様のそれぞれにおいて、Ra及びRbは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、ポリエチレングリコール、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールである。
【0071】
N-3位での修飾は、周知の反応、例えばアミンからアミドへの転換、アミンのアルキル化、アミンのアリール化などを使用する、アミンの修飾前におけるBH4のジオール部分の保護基操作を含む、多くの典型的有機化学技術を介して生じることができる。
【0072】
(BH4のアシル誘導体)
また、トリアシル誘導体を提供するC1'、C2'及びN5でのBH4の修飾も意図される。この種の化合物を、以下の反応スキーム(VII)で概説されるように調製できる。
【化14】
【0073】
(テトラヒドロビオプテリンの類似体を評価する方法)
本明細書に開示されるテトラヒドロビオプテリンの類似体は、様々な方法で評価できる。例えば、これらの類似体は、代謝安定性について評価できる。薬剤物代謝は、肝臓での2つの主要酵素反応を介して達成される。第I相酵素は、滑面小胞体に局在する、シトクロム450(CYP)ファミリーの酵素を含む。第I相反応は、酸化、還元及び/又は加水分解を含み、それらの多くはCYP酵素により媒介され、かつ補因子としてNADPHを必要とする。第II相反応は、原形質及び小胞体に位置し、例えばグルクロン酸、グルタチオン、硫酸及びグルタミンとの抱合を含む。第II相反応は、薬剤を不活化し、及び/又は薬剤分子が身体によってよりよく除去されることを可能にする。薬剤は、第I相又は第II相反応のいずれかにより、又は両方によって、代謝できる。テスト化合物の代謝安定性は、化合物の能力を評価すること、第I相代謝の間における潜在的に毒性であるか薬理的に不活性な代謝物を生成すること、又は不十分な代謝分解のために蓄積することを決定する。肝ミクロソームは、多くの薬剤代謝酵素を含む細胞小器官画分(小胞体)であり、CYPを含む。肝ミクロソームは、試験化合物の代謝経路を評価するためのインビトロモデル系として一般に使用される。代謝安定性の他の態様は、テトラヒドロビオプテリン又は誘導体の酸化に関することができる。テトラヒドロビオプテリンは、温度及び還元電位に関する哺乳類の身体の状態での代謝を介して、又は物理作用を介して発生することがあり得る酸化に感応性である。加えて、類似体は、該類似体を切断することができ、かつ組織並びに血流において見出し得るエステラーゼ及び他の酵素を介するその代謝について試験できる。
【0074】
これらの類似体も、水溶解度並びに脂肪親和性について評価できる。水溶解度は、候補薬剤の生体利用効率及び有用性の重要な決定要素である。比濁分析(光散乱)は、多数のリード化合物の見かけ上の溶解度を迅速に決定するために認められた技術である。脂肪親和性は、膜のモデルとして、オクタノール:水分配係数を使用して決定できる。オクタノール:水分配係数は、コンピュータ算出フラグメント法を使用して推定することもできる。約2の分配係数(log P)のログは、膜浸透のための最適なlog Pを表すと考えられる。例えば、特定のアルコールのバリンエステルを加水分解するビフェニルヒドロキシラーゼ様タンパク質は、ヒトの腸に由来するCaCO-2細胞から同定された。(Amidonらの文献, J. Biol. Chem. 2003, 273, 25348-25356)
【0075】
さらにまた、これらの類似体は、膜透過性について評価できる。CaCO-2細胞は、膜透過性、及びそれゆえ、潜在的経口生体利用効率を評価するために一般に使用される。CaCO-2細胞は典型的には、ヒト結腸癌細胞系に由来し、拡散チャンバに取り付けられるコンフルエントな単層又は多孔性メンブランフィルタにおいて成長する。膜透過性は、受領者区画のテスト化合物の見かけの速度に基づいて測定される。単層の頂端(ドナー)表面は微小絨毛から成り、それ故、腸の刷子縁の特徴を保持する。加えて、細胞は、機能的な輸送タンパク質及び代謝性酵素を発現することもできる(Inuiらの文献, J. Pharmacol. Exp. Ther. 261:195-201 (1992);Luらの文献, Pharm. Res. 11:S-258 (1994);Jorgeらの文献, Pharm. Res. 8:1441〜1443 (1991))。CaCO-2細胞を使用するインビトロ評価は、ヒトの胃腸吸収を予示すると考えられる(Stewartらの文献, Pharm. Res. 12:693-699 (1995))。ヒトの腸由来のCaco-2細胞が、腸の膜全体の通過の間、プロドラッグから親薬剤を放出できる様々なエステラーゼを発現するとも測定された。(Imai et al., Drug Metabolism and Disposition 2005, 33, 1185-1190;Miyazakiらの文献, Antimicrobial Agents and Chemotherapy 2004, 48, 2604-2609)。
【0076】
またさらに、これらの類似体は、腸の透過性について評価できる。経口投与を意図する化合物の腸の透過性の評価は、商業的な薬剤開発の候補を選択することにおいて重要な役割を果たす。吸収可能性の順に一連のリード化合物にランクを付けることは、化合物の選択及び最適化を促進する。一連中の化合物の吸収可能性の調査のために現在認められた方法は、CaCO-2又はMDCK単層培養物を通る見かけの透過性の比較によるものである(Artusson及びBorchardtの文献, Pharm. Res. 1997, 14, 1655- 1657)。これらの吸収モデルは、活性な輸送機構に関与するものを含む、開発において更に開発される化合物に関連するいかなる吸収問題を理解することにも有用である。
【0077】
ラット又はイヌなどの動物モデルを使用して、それらの生体利用効率及びBH4への転換のための類似体を更に評価できる。こうした状況において、経口投与薬剤は静脈内投与にて提供されたものと比較され、かつ両方の経路の薬物動態が薬剤濃度について分析される。肝臓、心臓、脈管系及び脳などの問題となる組織を、テトラヒドロビオプテリンの組織レベルについて分析し、類似体及び天然の形態の両方の投与の後に達成される濃度と比較できる。
【0078】
(式Iの化合物を含む組成物)
本発明の更なる態様は、希釈剤又は担体などの医薬として許容し得る賦形剤と共に本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。本発明の使用に適している化合物及び医薬組成物は、該化合物がその意図された目的を達成するための有効量で投与できるものを含む。化合物の投与は以下で更に詳細に記載した。
【0079】
適切な医薬組成物は、投与及び所望の投与量の経路に応じて、当業者により決定できる。例えば、「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」, 1435-712 (第18版, Mack Publishing Co, Easton, Pennsylvania, 1990)を参照されたい。剤形は、物理状態、安定性、インビボ放出速度、及び投与された薬剤のインビボでのクリアランス速度に影響し得る。投与の経路に応じて、適切な用量は、体重、体表面積又は器官サイズに従って算出できる。適当な処理用量を決定するのに必要な算出の更なる改良は、特に本明細書に開示される投与量情報及びアッセイ、並びに動物又はヒトの臨床試験を通じて入手できる薬物動態的データに照らし、過度の実験なく当業者によって日常的になされる。
【0080】
「医薬として許容し得る」又は「薬理的に許容し得る」という句は、動物若しくはヒトに投与した場合に、有害反応、アレルギー反応、又は他の厄介な反応をもたらさない分子的実体及び組成物をいう。本明細書で用いられる「医薬として許容し得る担体」には、任意の及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質のためのこの種の賦形剤の使用は、当業界において公知である。任意の従来の媒体又は薬剤が該治療組成物と不適合である限りを除き、治療組成物におけるその使用が意図される。補助活性成分も、組成物に組み込むことができる。例示的実施形態において、製剤は、コーンシロップ固形物、高オレイン酸サフラワー油、ヤシ油、ダイズ油、L-ロイシン、三塩基性リン酸カルシウム、L-チロシン、L-プロリン、L-リジン酢酸塩、DATEM(乳化剤)、L-グルタミン、L-バリン、二塩基リン酸カリウム、L-イソロイシン、L-アルギニン、L-アラニン、グリシン、L-アスパラギン一水和物、L-セリン、クエン酸カリウム、L-スレオニン、クエン酸ナトリウム、塩化マグネシウム、L-ヒスチジン、L-メチオニン、アスコルビン酸、炭酸カルシウム、L-グルタミン酸、L-シスチン二塩酸塩、L-トリプトファン、L-アスパラギン酸、塩化コリン、タウリン、m-イノシトール、硫酸第一鉄、アスコルビン酸パルミテート、硫酸亜鉛、L-カルニチン、α-酢酸トコフェロール、塩化ナトリウム、ナイアシンアミド、混合トコフェロール、パントテン酸カルシウム、硫酸第二銅、塩酸チアミンクロライド、ビタミンAパルミチン酸塩、硫酸マンガン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、葉酸、βカロテン、ヨウ化カリウム、フィロキノン、ビオチン、セレン酸ナトリウム、塩化クロム、モリブデン酸ナトリウム、ビタミンD3及びシアノコバラミンを含んでよい。追加のアミノ酸、ミネラル及びビタミンは、成分の各々の推奨された1日用量を提供する量で提供すべきである。
【0081】
本明細書で用いられる「医薬として許容し得る担体」は、任意の及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。医薬剤活性物質のためのこの種の賦形剤の使用は、当業者に公知である。任意の従来の媒体又は薬剤が該治療組成物と不適合である限りを除き、治療組成物におけるその使用が意図される。補助活性成分も、組成物に組み込むことができる。
【0082】
本明細書で用いられる「医薬として許容し得る塩」は、例えば、塩基付加塩及び酸付加塩を含む。
【0083】
医薬として許容し得る塩基付加塩は、アルカリ及びアルカリ土類金属若しくは有機アミンなどの金属又はアミンで形成できる。化合物の医薬として許容し得る塩は、医薬として許容し得るカチオンでも調製できる。適切な医薬として許容し得るカチオンは、当業者に周知で、かつアルカリカチオン、アルカリ土類カチオン、アンモニウムカチオン及び四級アンモニウムカチオンを含む。炭酸塩又は炭酸水素塩も可能である。カチオンとして使用する金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アンモニウム、カルシウム、又は第二鉄などである。適切なアミンの例には、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン及びプロカインを含む。
【0084】
医薬として許容し得る酸付加塩は、無機酸塩又は有機酸塩を含む。適切な酸塩の例は、塩酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、サリチル酸塩、硝酸塩、リン酸塩を含む。他の適切な医薬として許容し得る塩は当業者に周知であり、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、又はマンデル酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸若しくはリン酸を;有機カルボン酸、スルホン酸、スルホ酸又はホスホ酸又はN-置換スルファミン酸、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、エンボニン酸(embonic acid)、ニコチン酸又はイソニコチン酸と共に;及び、天然のタンパク質の合成に関与する20種のαアミノ酸などのアミノ酸、例えばグルタミン酸又はアスパラギン酸、並びに、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2‐ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン1,2-二スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-メチルベンゼンスルホン酸、ナフタレン2-スルホン酸、ナフタレン1,5-二スルホン酸、2-若しくは3-ホスホグリセリン酸、グルコース6-リン酸、N-シクロヘキシルスルファミン酸(シクラマートの形成に伴う)と共に、又はアスコルビン酸などの他の酸性の有機化合物と共に;含む。
【0085】
無機酸又は有機酸との類似体塩が好ましい。代替的な類似体塩形態の非限定的な例には、酢酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、フマル酸及びマンデル酸の類似体塩を含む。しかしながら、さらに好ましくは、本明細書に記載されている組成において使用する類似体は、二塩酸塩として製剤される。
【0086】
本発明の類似体を含む医薬組成物は、従来の様式で、例えば、従来の混合により、溶解、粒状化、糖衣製造、すりつぶし、乳状化、カプセル化、捕捉化、又は凍結乾燥により製造できる。適切な剤形は、選択される投与の経路に依る。本発明の類似体の治療上有効量が経口で投与される場合、組成物は、典型的には固体(例えば、錠剤、カプセル、ピル、粉末又はトローチ)又は液状剤形(例えば、水性懸濁液、溶液、エリキシル又はシロップ)の形態である。
【0087】
錠剤形態で投与される場合、組成物は、機能性固体及び/又は固体担体、例えばゼラチン又はアジュバントをさらに含むことができる。錠剤、カプセル及び粉剤は、本発明の約1〜約95%の類似体、及び好ましくは本発明の約25〜約90%の類似体を含有できる。
【0088】
液体又は懸濁液形態で投与される場合、機能的な液体及び/又は液体担体、例えば動物若しくは植物起源の水、石油又は油を加えることが可能である。組成物の液体形態は、生理的食塩水、糖アルコール溶液、ブドウ糖若しくはその他の糖溶液、又はグリコールを更に含むことができる。糖アルコール溶液が好ましい。液体又は懸濁液形態で投与される場合、組成物は、本発明の類似体の約0.5〜約90重量%及び好ましくは本発明の類似体の約1〜約50%を含むことができる。意図される一実施態様において、液体担体は、非水性又は実質的に非水性である。液体形態での投与のために、組成物は、投与直前の溶解又は懸濁のために急速溶解性製剤として供給できる。
【0089】
本発明の類似体の治療上有効量が、静脈内注射、皮膚注射、又は皮下注射により投与される場合、組成物は、発熱物質を含まない非経口的に受け入れられる水溶液の形態である。pH、等張性、安定性などに十分な考慮を有するこの種の非経口的に受け入れられる溶液の調製は、当業界における技術の範囲内である。静脈内注射、皮膚注射、又は皮下注射のための好ましい組成物は、典型的には、本発明の化合物に加えて、等張性ビヒクルを含む。この種の類似体組成物は、ヒドロキシプロピルセルロースなど界面活性剤と適切に混合された遊離塩基又は薬理的に許容し得る塩の溶液としての投与のために調製できる。分散剤も、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの混合物において、並びに油において調製できる。通常の貯蔵状態及び使用条件下で、これらの調製物は、微生物の成長を防止するために防腐剤を任意に含むことができる。
【0090】
注射可能な類似体組成物は、滅菌水溶液、懸濁液、又は分散剤、及び無菌の注射可能な溶液、懸濁液又は分散剤の即時調製用の無菌の粉末を含むことができる。全ての場合において、形態は、無菌でなければならず、かつ容易に注射できる程度に流動的でなければならない。形態は、製造及び貯蔵条件下で安定でなければならず、かつ防腐剤の任意の包含によって細菌及び菌類などの微生物の汚染作用に抵抗しなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)、適切なそれらの混合物及び植物油を含む溶媒又は分散媒であり得る。意図される一実施態様において、担体は、非水性又は実質的に非水性である。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散剤の場合には類似体の要求される粒度の維持により、及び界面活性剤の使用により維持できる。微生物の作用の防止は、様々な抗細菌剤及び抗菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによりもたらされ得る。多くの場合に、等張剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射可能組成物の長期にわたる吸収は、吸収遅延剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物における使用によってもたらされ得る。
【0091】
無菌の注射可能溶液は、適切な溶媒中の必要量の活性化合物を、先に列挙した様々な他の成分と共に取り込ませ、必要に応じて、その後にフィルタ処理殺菌により調製される。通常、分散剤は、様々な殺菌された活性成分を、基本的な分散媒及び先に列挙したものからの必要な他の成分を含む無菌ビヒクルに組み込むことにより調製される。無菌の注射可能溶液の調製のための無菌粉末の場合、好ましい調製法は、真空乾燥及び凍結乾燥技術であり、これらは活性成分の粉末、及び前もって無菌濾過したその溶液からの任意のさらなる所望の成分を生じる。
【0092】
経口投与のために、適切な組成物は、本発明の類似体を、当業界において公知の担体などの医薬として許容し得る賦形剤と組み合わせることによって容易に調製できる。この種の賦形剤及び担体は、本化合物が、治療すべき患者による経口摂取用に、錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤化されることを可能にする。経口的使用のための医薬製剤は、式Iの化合物を固体の賦形剤に加え、任意に挽いて混合物を生じさせ、適切な助剤を加えた後に顆粒の混合物を処理することにより得ることが可能であり、必要に応じて、錠剤又は糖衣錠コアを得ることができる。適切な賦形剤は、例えば、充填剤及びセルロース調製物を含む。必要に応じて、崩壊剤を加えることが可能である。医薬として許容し得る成分は、様々なタイプの製剤について周知であり、例えば、様々な製剤タイプのための結合剤(例えば、天然又は合成ポリマー)、潤滑剤、界面活性剤、甘味料及び香料、被覆物質、防腐剤、色素、増粘剤、アジュバント、抗微生物剤、抗酸化剤及び担体でもよい。
【0093】
本明細書に記載されている組成物に有用な結合剤の非限定的な例には、トラガカントゴム、アカシア、デンプン、ゼラチン及び生体分解性ポリマー、例えば、ジカルボン酸、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール及び/又は脂肪族ヒドロキシルカルボン酸のホモ又はコポリエステル;ジカルボン酸、アルキレンジアミン及び/又は脂肪族アミノカルボン酸のホモ又はコポリアミド;対応するポリエステル-ポリアミド-コポリマー、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン及びポリカーボネート;を含む。生体分解性ポリマーは、直鎖状、分岐状、又は架橋されていてよい。具体例は、ポリグリコール酸、ポリ乳酸及びポリ-d,l-ラクチド/グリコリドである。ポリマーのための他の実施態様は、水溶性ポリマー、例えば、ポリオキサアルキレン(ポリオキサエチレン、ポリオキサプロピレン及びその混合ポリマー、ポリアクリルアミド及びヒドロキシルアルキル化されたポリアクリルアミド、ポリマレイン酸及びそのエステル又はアミド、ポリアクリル酸及びそのエステル又はアミド、ポリビニルアルコール及びそのエステル又はエーテル、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピロリドン、並びにキトサンのような天然ポリマーである。
【0094】
本明細書に記載されている組成物に有用な賦形剤を錠剤化することの非限定的な例には、リン酸二カルシウムなどのリン酸塩を含む。
【0095】
本明細書に記載されている組成物における使用のための界面活性剤は、アニオン性であり得るか、カチオン性であり得るか、両性であり得るか、又は中性であり得る。本明細書に記載されている組成物に有用な界面活性剤の非限定的な例には、レシチン、リン脂質、オクチル硫酸塩、デシル硫酸塩、ドデシル硫酸塩、テトラデシル硫酸塩、ヘキサデシル硫酸塩及びオクタデシル硫酸塩、オレイン酸ナトリウム又はカプリン酸ナトリウム、1-アシルアミノエタン-2-スルホン酸、例えば、1-オクタノイルアミノエタン-2-スルホン酸、1-デカノイルアミノエタン-2-スルホン酸、1-ドデカノイルアミノエタン-2-スルホン酸、1-テトラデカノイルアミノエタン-2-スルホン酸、1-ヘキサデカノイルアミノエタン-2-スルホン酸、及び1-オクタデカノイルアミノエタン-2-スルホン酸、並びにタウロコール酸及びタウロデオキシコール酸、胆汁酸及びそれらの塩、例えば、コール酸、デオキシコール酸及びグリココール酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム又はラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、硫酸化されたヒマシ油及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、コカミドプロピルベタイン及びラウリルベタイン、脂肪族アルコール、コレステロール、モノ又はジステアリン酸グリセロール、モノ又はジオレイン酸グリセロール及びモノ又はジパルミチン酸グリセロール、並びにステアリン酸ポリオキシエチレンを含む。
【0096】
本明細書に記載されている組成物に有用な甘味料の非限定的な例には、糖アルコール、例えば、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、グリセロール、エリトリトール、アラビトール、イソモルト、マルチトール及びラクチトール、並びにサッカリン、スクラロース及びアスパルテームを含む。糖アルコール、アスパルテーム及びスクラロースが好ましく、糖は好ましくは回避される。本明細書に記載されている組成物における使用のための香料の非限定的な例には、ペパーミント、ウィンターグリーン油、又はチェリー香料及びオレンジ香料などのフルーツ香料を含む。
【0097】
本明細書に記載されている組成物に有用な被覆物質の非限定的な例には、タルク、トウモロコシ澱粉、二酸化ケイ素、ラウリル硫酸ナトリウム、ゼラチン、ワックス、セラック、糖、生体分解性ポリマー及び金属ステアリン酸塩、好ましくはタルク、トウモロコシ澱粉、二酸化ケイ素、ラウリル硫酸ナトリウム、ゼラチン、ワックス、生体分解性ポリマー及び金属ステアリン酸塩を含む。被覆物質は、約0.2重量%から約15重量%まで、好ましくは0.5重量%から約5重量%までの量で組成物に存在してもよい。
【0098】
組成物に使用できる潤滑剤は、天然又は合成油、脂肪、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、水素化された綿実油(Sterotex)、タルク及びワックスを含むがこれらに限定されるものではなく、蜜蝋、カルヌバ(carnuba)ワックス、セチルアルコール、ステアリン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、水素化された植物油、及びステアリルアルコールを含むがこれらに限定されるものではない。潤滑剤は、約0.2重量%〜約20重量%、好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の量で存在してもよい。
【0099】
本明細書に記載されている組成物に有用な防腐剤の非限定的な例には、ソルビン酸、クロロブタノール、チメロサール、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、フェノール、m-クレゾール、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、安息香酸、フェノキシエタノール、メチルパラベン、及びプロピルパラベン並びに上記のいずれかの組合せを含む。
【0100】
本明細書に記載されている組成物に有用なアジュバントの非限定的な例には、アルミニウム水酸化物、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸ベリリウム、シリカ、カオリン、炭素、油中水型乳剤、水中油型乳剤、ムラミルジペプチド、細菌内毒素、脂質X、コリネバクテリウム・パルバム(Corynebacterium parvum)(プロピオノバクテリウム・アクネス(Propionobacterium acnes))、百日咳菌、ポリリボヌクレオチド、アルギン酸ナトリウム、ラノリン、リゾレシチン、ビタミンA、サポニン、リポソーム、レバミゾール、DEAE-デキストラン、ブロックコポリマー又は他の合成アジュバントを含む。この種のアジュバントは、様々な供給源、例えば、Merck Adjuvant 65 (Merck and Company, Inc., Rahway, N.J.)又はフロイント不完全アジュバント及び完全アジュバント(Difco Laboratories, Detroit, Michigan)から商業的に入手可能である。典型的には、Amphigen(水中油)、Alhydrogel(アルミニウム水酸化物)、又はAmphigenとAlhydrogelとの混合物などのアジュバントが使われる。
【0101】
本明細書に記載されている組成物に有用な抗微生物剤の非限定的な例には、トリクロサン、フェノキシイソプロパノール、フェノキシエタノール、PCMX、天然精油及びそれらの主成分、並びにそれらの混合物を含む。
【0102】
本明細書に記載されている組成物に有用な抗酸化剤の非限定的な例には、アスコルビン酸(ビタミンC)、αトコフェロール(ビタミンE)、ビタミンA、セレン、βカロテン、カロテノイド、フラボン、フラボノイド、葉酸塩、フラバノン、イソフラボン、カテキン、アントシアニジン、カルコン及びそれらの組み合わせを含む。
【0103】
また、遅延放出又は徐放性製剤は、GI管において体液と接触する活性化合物の徐放を達成するために、及び血漿中の活性化合物の実質的に一定かつ有効なレベルを提供するために、本明細書に記載されている類似体から調製することができる。例えば、放出は、溶解、拡散、及びイオン交換の一つ以上により制御できる。加えて、遅延放出方法は、GI管内において飽和性であるか又は限定された経路を介して吸収を強化できる。例えば、類似体は、生体分解性ポリマー、水溶性ポリマー又は両方の混合物のポリマーマトリックス、並びに任意に適切な界面活性剤に、この目的のために埋め込むことが可能である。埋め込みは、この文脈において、ポリマーのマトリクスにおける微小粒子の組み込みを意味できる。徐放製剤は、周知の拡散又はエマルジョン被覆物質技術を介して、分散微粒子又は乳状微液滴のカプセル化からも得られる。
【0104】
吸入による投与について、本発明の化合物は、適切な推進体を使用して、加圧パック又は噴霧器からエアゾールスプレープレゼンテーションの形態で都合よく送達される。加圧エアゾールの場合、用量単位は、測られた量を送達するための弁を提供することにより決定できる。吸入器(inhaler)又は吸入器(insufflator)における使用のための例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジは、本化合物及びラクトース又はデンプンなどの適切な粉基剤の粉末混合物を含めて製剤化できる。
【0105】
類似体は、注入によって、例えば、ボーラス注射又は持続性点滴によって、非経口投与のために製剤化できる。注入用製剤は、単位用量形態、例えばアンプル又は複用量容器で、追加的な防腐剤と共に提供できる。組成物は、油性又は水性溶媒における懸濁液、溶液又はエマルジョンなどの形態をとることができ、かつ懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの製剤化剤を含むことができる。
【0106】
非経口投与用医薬製剤は、水溶性形態での類似体の水溶液を含む。加えて、類似体の懸濁液は、適切な油性注入懸濁液として調製できる。適切な親油性溶媒又はビヒクルは、脂肪油又は合成脂肪酸エステルを含む。水性注入懸濁液は、該懸濁液の粘度を上昇させる物質を含むことができる。任意に、懸濁液は、化合物の溶解性を増加させ、かつ高度に濃縮された溶液の調製を可能にする適切な安定剤又は薬剤を含み得る。別法として、本組成物は、使用前における適切なビヒクル、例えば無菌の発熱物質不含水での構成用に粉末形態であり得る。
【0107】
本発明の類似体は、例えば従来の座薬基剤を含有している坐薬又は保持浣腸などの直腸組成物で製剤化することもできる。先に記載されている製剤に加えて、類似体は、時効性製剤としても製剤化できる。そのような長時間作用性製剤は、移植(例えば、皮下又は筋肉内)によって、又は、筋肉注射により投与できる。従って、例えば、化合物は、適切なポリマー性材料若しくは疎水性材料(例えば、許容可能な油中エマルジョンとして)又はイオン交換樹脂で、あるいはやや難溶性の誘導体として、例えばやや難溶性の塩として製剤化できる。
【0108】
特に、本発明の類似体は、デンプン又はラクトースなどの賦形剤を含む錠剤の形態で、又はカプセル又は胚珠(ovule)で、単独で若しくは賦形剤との混合物のいずれかで、又は香料若しくは着色料を含むエリキシル又は懸濁液の形態で、経口投与、頬投与、又は舌下投与できる。そのような液体調製物を懸濁剤などの医薬として許容し得る添加剤と共に調製できる。類似体は、非経口注入、例えば静脈内注入、筋肉内注入、皮下注入又は、冠内注入することもできる。非経口投与について、類似体は、他の物質、例えば塩、又は糖アルコール、例えばマンニトール、若しくはグルコースなどを含み、血液に等張の溶液を作成し得る滅菌水溶液の形態で最も用いられる。
【0109】
獣医学使用について、本発明の類似体又はその無毒性塩は、通常の獣医学実行に従って適切に受け入れられる製剤として投与される。獣医師は、特定の動物に最も好ましい投与計画及び投与経路を容易に決定できる。
【0110】
本発明の特定の態様において、BH4の類似体を単独で若しくは別の薬剤との併用で使用する疾患の治療のため、又は伝統的にそのような疾患の治療のために使用される介入のための全ての必要な成分をキットに梱包できる。具体的には、本発明は、BH4の類似体又はその誘導体、並びに前記薬剤の配達可能形態を調製するためのバッファ及び他の成分、及び/又はこの種の薬剤を送達する装置、及び/又はBH4に基づく薬剤との併用療法において使用される全ての薬剤、及び/又は該薬剤と共に梱包される疾患の治療のための説明書を含む、疾患の治療的介入における使用のためのキットを提供する。説明書は、任意の有形媒体、例えば印刷紙、又はコンピュータ読み取り可能な磁気若しくは光学媒体、又はインターネットを介してアクセス可能なワールドワイドウェブページなどのリモートコンピュータデータソースを参照するための指示書で用意できる。
【0111】
(式Iの化合物を利用する治療方法)
上記のように、本発明の態様は、テトラヒドロビオプテリンの類似体を含む組成物を含む。本発明の更なる態様は、上述した組成物のいずれか一つの投与によって、BH4反応性状態を患っている個人を治療する方法を含む。該方法は、式Iの化合物の治療上有効量を個人に投与することを含む。BH4反応性状態は一般的に、BH4又はその誘導体に感受性の状態を含む。BH4反応性状態は、タイプI糖尿病、タイプII糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病ネフロパシ、血管疾患、溶血性貧血(例えば、溶血関連性)、鎌状赤血球貧血、神経精神医学的障害、BH4欠乏に伴う神経精神医学的障害、チロシンヒドロキシラーゼ機能低下又はトリプトファンヒドロキシラーゼ機能低下に関連した神経精神医学的障害、代謝異常、例えばメタボリックシンドローム、高血圧症、末梢動脈性疾患、間欠跛行、重症虚血肢、心不全、アテローム性動脈硬化症、内皮機能不全、及び高フェニルアラニン血症(hyperphenylalanemia)を含む。これらの状態は、以下に更に詳細に記載されている。
【0112】
「治療上有効量」は、治療される対象の治療若しくは進行の阻止、又は既存の症状を軽減するのに有効な量を意味する。特にここに提供されている詳細な開示に照らし、有効量の測定は十分当業者能力の範囲内である。通常、「治療的に有効な用量」は、所期の効果の達成をもたらす類似体のその量をいう。例えば、好ましい一実施態様において、本明細書に開示したBH4の類似体の治療上有効量は、流量媒介型拡張研究での5分の虚血などの一般的シグナルに応答して、50若しくは100%以上、血管拡張の程度を増加させる。別の好ましい実施態様において、本明細書に開示したBH4の類似体の治療上有効量は、5mmHg若しくは10mmHg、又は患者によっては15mmHg以上、収縮期血圧を減少させる。さらに別の好ましい実施例において、本明細書に開示したBH4の類似体の治療上有効量は、流量媒介型拡張又は他の態様、例えば細胞接着分子の発現、過剰な酸化性種生成又は凝固又は血栓症を促進する傾向によって測定される内皮機能不全を減らす。さらに別の好ましい実施例において、本明細書に開示したBH4の類似体の治療上有効量は、BH4に反応する患者に対し、L-Dopa又はセロトニンの神経伝達物質レベルを少なくとも10%上昇させる。
【0113】
類似体の毒性及び治療有効性は、細胞培養又は実験動物の標準的薬学手順により、例えば、LD50(集団の50%に致死的な用量)及びED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するために測定できる。毒性効果及び治療効果の間の用量比は治療指数であり、これはLD50とED50との間の比として発現される。高い治療指数を呈する化合物が好ましい。得られたデータは、ヒトにおける用量範囲を策定する際に使うことができる。この種の化合物の適用量は、ほとんど又は全く毒性を有しないED50を含む循環濃度の範囲内にある。該用量は、使用される剤形及び利用される投与経路によって、この範囲の中で変更できる。
【0114】
正確な剤形、投与経路及び投与量は、治療されている特定の疾患及び患者の状態を考慮して個々の医師によって選択できる。投与量及び間隔を個別的に調整し、治療効果を維持するのに十分であるBH4類似体、BH4又はそれらの組み合わせの血漿レベルを提供することができる。
【0115】
投与される類似体の量は、対象の年齢、健康、性別及び重量、併用治療の種類(もしあれば)、苦痛の厳しさ、要求される効果の性質、治療の様式及び頻度、並びに処方する医師の判断に基づき、対象によって決まり得る。また、投与頻度は、動脈酸素圧に対する薬剤力学的効果によって決まり得る。しかしながら、最も好ましい投与量は、当業者によく理解され、かつ決定できるように、過度の実験なく、個々の対象に合わせて調整できる。これは、典型的には、標準用量の調整(例えば、患者が低体重を有する場合の用量の減少)を含む。
【0116】
個々のニーズは変化するが、類似体の有効量の最適範囲の決定は、当業者の範囲内である。本明細書中に確認される状態及び障害の治療又は予防治療におけるヒトに対する投与のために、例えば、本発明の類似体の典型的用量は、日当たりの体重キログラム当たりの活性成分(mg/kg)の約0.1ミリグラム〜約40mg/kgであり得、例えば少なくとも0.2mg/kg、少なくとも0.3mg/kg、少なくとも0.4mg/kg、又は少なくとも0.5mg/kg、及び好ましくは30mg/kg以下又は20mg/kg以下、例えば約2.5mg/日(0.5mg/kg×5kg)〜約2000mg/日(20mg/kg×100kg)そうすることができる)であり得る。この種の用量は、単回投与で投与してよく、又はそれを複数回投与に分割してもよい。例示的実施形態において、1日用量は、0.5mg/kg 、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg若しくは20mg/kg、又はそのいかなる分率でもよい。
【0117】
適切な投与量は、関連した用量反応データに関連してフェニルアラニン(Phe)の血中濃度を測定するための確立したアッセイを使用することにより確認できる。最終的な投与計画は主治医により決定され、薬剤の作用を修飾する要因、例えば、薬剤の比活性、損傷の厳しさ及び患者の反応性、年齢、状態、体重、性別及び患者の食事、全ての感染の重篤性、投与時間、並びに他の臨床要因が考慮される。研究が行われるにつれて、適切な投与量レベル並びに特定の疾患及び状態の治療期間に関するさらなる情報が現れる。
【0118】
本発明の医薬組成物及び治療方法がヒト医学及び獣医学の分野に有用であり得ることは理解される。従って、治療される個人(又は対象)は、哺乳類、好ましくはヒト又は他の動物でよい。獣医学目的について、対象は、例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ及びヤギを含む家畜、イヌ及びネコなどの伴侶動物、外来性及び/又は動物園動物、マウスラット、ウサギ、モルモット及びハムスターなどの実験動物;及び、ニワトリ、シチメンチョウカモ及びガチョウなどの家禽を含む。
【0119】
継続的な毎日投与が意図されるが、特定の臨床指標が特定の閾値レベルを上回って改善される場合には、治療法を中止することが望ましい。もちろん、治療法は、臨床的改善指標が悪化する事象において再び開始できる。実際には、医師は、個々の患者に最も適している実際の投与計画を決定し、投与量を特定の患者の年齢、重量及び反応により変更する。上記の用量範囲は、平均的場合の典型であるが、より高いか又は低い投与量が利点の個別的場合があり得、そのような場合も本発明の範囲内である。
【0120】
本発明の類似体は、単独で、又は、該疾患を対象にするか又はその他の症状を対象にする他の治療薬と併せて投与できる。類似体は一般的に、意図された投与経路及び標準的薬剤実務に関して選択される医薬として許容し得る担体との混合物で投与される。本発明に従う使用のための医薬組成物は、このように、調製物への類似体の加工を容易にし、薬学的に使用できる賦形剤及び助剤を含む、一以上の生理的に受け入れられる担体を使用して従来の様式で製剤化できる。
【0121】
(BH4反応性状態)
先に開示したように、BH4反応性状態には、タイプI糖尿病、タイプII糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病ネフロパシ、血管疾患、溶血性貧血、鎌状赤血球貧血、神経精神医学的障害、BH4欠乏に伴う神経精神医学的障害、チロシンヒドロキシラーゼ機能低下又はトリプトファンヒドロキシラーゼ機能低下に伴う神経精神医学的障害、メタボリックシンドロームなどの代謝異常、高血圧症、末梢動脈性疾患、間欠跛行、重症虚血肢、心不全、アテローム性動脈硬化症、内皮機能不全、及び高フェニルアラニン血症を含む。
【0122】
タイプI糖尿病、タイプII糖尿病、糖尿病性網膜症及び糖尿病ネフロパシは、BH4反応性状態の一つである。真正糖尿病及び他の心血管疾患状態は、内皮において血管拡張神経と血管収縮神経とのバランスの変更を生じ、かつ内皮機能不全の一因となる一酸化窒素(NO)生理活性の損失によって特徴づけられる。内皮機能不全は、高血圧症を生じる血管収縮の増加、流量又は他のシグナルに対する不適切な拡張反応、血栓形成及び血小板凝集の増加、セレクチンなどの細胞表面細胞接着因子の増加、凝固因子の増加、並びに活性酸素種(ROS)、例えばスーパーオキサイド分子などの過剰なフリーラジカル産生に起因する加速性アテローム性動脈硬化症(accelerated atherosclerosis)の基礎をなす。NOは脈管ホメオスタシスを維持することにおいて中心的役割を果たすので、NO生理活性の損失は血管疾患発病の一因となり、かつ該疾患の有害転帰の標識である。加えて、適切なテトラヒドロビオプテリンの非存在下における反応酸化性種の産生も、加速性アテローム性動脈硬化症の一因となる。
【0123】
酸化ストレスにさらされた動脈におけるBH4の生合成及び異化の促進は、糖尿病を患っている患者の動脈の中に存在することが公知の内皮機能不全の発病に寄与し得る。加えて、グルコース上昇は、GTPシクロヒドロラーゼと呼ばれているBH4を生じる経路における第1の生合成酵素の抑制に起因して、BH4の細胞レベルの増加を防止し得る。非共役内皮一酸化窒素シンターゼを介する過剰な酸化性種の産生はテトラヒドロビオプテリンの更なる分解を導き、eNOSに対するBH4レベルの有効性の減少にも寄与する。eNOSによる酸化性種の産生はBH4の限定欠失により強化され、これらの酸化性種(例えば、パーオキシナイトライトをもたらすスーパーオキサイド)は更にBH4を破壊し、自律的下方螺旋をもたらす。幸いにも、動物及びヒトにおいて、BH4の実験的補給は、内皮機能に有益な効果を示した。本明細書に開示されるBH4の類似体は、天然のBH4より実質的に低用量であるが類似の有益な効果を示すことができると考えられる。糖尿病又はアテローム性動脈硬化症を有する動物からの血管環、及び哺乳動物における糖尿病患者からの胸動脈環を使用する高濃度BH4補給研究は、BH4が潜在的に、内皮機能不全を潜在的に改善し、酸化ストレスを減らし、かつ血管機能を復元することができるというアイデアを支持する。本明細書に開示されるBH4の類似体は同様に、内皮機能不全を改善することができ、かつ血管機能を復元できると考えられる。心血管及び糖尿病の対象上のBH4における陽性影響のいくつかの例は、以下を含む:BH4投与は、糖尿病又は高コレステロール血症を有する患者の前腕血流におけるNO媒介型効果を増補するが、正常被験者では増補しないようである(Heitzerらの文献、Diabetologia,43(11):1435-8(2000))。急性のBH4は、冠状動脈バイパス移植手術を受けている糖尿病対象において、静脈移植片及び動脈の血管機能を修復する(Guzikらの文献、Circulation 105(14):1656- 1662(2002))。BH4は、対照被験者と比較して、II型糖尿病及び虚血性心疾患患者のインスリン感応性を増加させる(Nystromらの文献、Am J Physiol Endocrinol Metab. 2004 Nov;287(5):E919-25. Epub (2004))。生合成経路のBH4前駆体の補給は、増加したBH4レベルを細胞内的に援助し、インビボでNO合成を改善して、内皮機能を高めることも示した。
【0124】
別のBH4反応性状態は、血管疾患である。好ましくは、血管疾患は、末梢血管疾患、間欠跛行、冠状動脈疾患、高コレステロール血症と関連した血管疾患、喫煙と関連した血管疾患、高血圧症、不応性又は非制御性高血圧症、肺動脈高血圧、特発性肺高血圧、新生児の肺高血圧(PPHN)、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、脳卒中後血管痙攣、心筋梗塞、虚血-再灌流損傷、うっ血性心不全、移植後虚血-再灌流損傷、移植後脈管損傷、血管痙攣、血栓形成、血栓症、凝血及び凝固からなる群から選択される疾患である。
【0125】
通常、血管疾患の治療をホメオスタシスを維持することにあて、補助療法及び特異的療法を提供し、臨床関連したエンドポイントを改善させる。これらの効果は、通常のシグナルに応答しての血管拡張の改善、血管への酸化傷害の減少、並びにアテローム性動脈硬化症又は血管系の閉塞若しくは血栓の傾向のある他の状態の全般的減少及び潜在的逆転を通じて媒介され得る。これらの臨床エンドポイントは、心筋梗塞、狭心症による入院、心血管疾患による死、四肢の損失の原因となる劣った末梢潅流、皮膚潰瘍の発病率の減少を含むことができる。血管機能の改善は5分の虚血に応答しての腕動脈の拡張を評価している流れ媒介型拡張を使用して測定できるか、又は、末梢潅流については、腓腹の痛みを被ることなく歩く能力、又は痛みに至る歩行時間の量を評価する段階的なトレッドミル試験を使用して測定できる。患者は、狭心症の発症、又は心臓潅流若しくは活動の減少の徴候に関する運動試験でも調査され得る。加えて、心エコーを、駆出分画、心拍出量、心臓拡張機能、心臓サイズ、三尖弁逆流速度、及び心臓又は脈管疾患の他の徴候を評価するために行うことができる。冠血管は、アセチルコリンに応答する心臓の潅流を評価するためにアンジオグラフィを介して検討されるであろう。ホメオスタシスは、損傷フリーラジカル(例えば、パーオキシナイトライトに至るスーパーオキシドラジカル)を生成しない低レベルのBH4及び不十分なNO産生を含む、脈管機能不全をもたらす補正要因によって典型的に維持される。補助療法は、典型的には、初期療法の効果を増加させる薬剤又は介入を投与することを含む。特異的療法は、通常の臨床関連したエンドポイントを維持することにあてる。
【0126】
本明細書に開示されるBH4の類似体を使用して、様々な形態の血管疾患を有する対象を含む患者集団を治療することができると考えられ、該疾患にはこれらに限定されないが、糖尿病の存在及び不在における、不応性又は非制御性高血圧症、間欠跛行、冠状動脈機能、心不全、肺動脈高血圧及び溶血性貧血を含み、鎌状赤血球病を含む。本明細書に開示されるBH4のこの種の類似体は、単独で、又は、血管障害の治療のために一般に使用される他の全ての治療薬剤及び/又は介入と組み合わせても投与できる。糖尿病を治療するために使用する薬剤は、PPARγリガンド(チアゾリジンドン、グリタゾン、トログリタゾン、ロシグリタゾン(アバンディア)、ピオグリタゾン)などのインスリン感応性を改善する薬剤、スルホニルウレア(グリキドン、トルブタミド、グリメプリド、クロルプロパミド、グリピジド、グリブリド、アセトヘキサミド)及びメグリチニド(メグリチニド、レパグリニド、ナテグリニド)などのインスリン分泌の刺激因子、並びにメトホルミンなどのグルコースの肝臓生産を減らす薬剤を含むが、これらに限定されるものではない。血管疾患を治療するために使用する薬剤は、高血圧症治療及び他の内皮機能不全関連の障害のために共通に使用されるエンドセリン受容体アンタゴニスト、例えばボセンタン、ダルセンタン、エンラセンタン、テゾセンタン、アトラセンタン、アンブリセンタン シタクスセンタン;平滑筋弛緩物質、例えばPDE5阻害剤(間接作用)及びミノキシジル(直接作用);アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えばカプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、フォシノプリル、ペリンドプリル、キナプリル、トランドラプリル、ベナゼプリル、ラミプリル;アンギオテンシンII受容体遮断薬、例えばイルベサルタン、ロサルタン、バルサルタン、エプロサルタン、オルメサルタン、カンデサルタン、テルミサルタン;β受容体遮断薬、例えばアテノロール、メトプロロール、ナドロール、ビソプロロール、ピンドロール、アセブトロール、ベタキソロール、プロプラノロール;利尿剤、例えばヒドロクロロチアジド、フロセミド、トルセミド、メトラゾン);カルシウムチャネル遮断薬、例えばアムロジピン、フェロジピン、ニソルジピン、ニフェジピン、ベラパミル、ジルチアゼム;α受容体遮断薬ドキサゾシン、テラゾシン、アルフゾシン、タムスロシン;及び、中枢αアゴニスト、例えばクロニジン;を含むが、これらに限定されるものではない。高脂血症を治療するために使用する薬剤は、スタチン(アトバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチンカルシウム、シンバスタチン)及びニコチン酸などのLDLを低減させる薬剤、フィブラートなどのPPARαを刺激する薬剤、ゲムフィブロジル、フェノフィブレート、ベザフィブラート、シプロフィブラート、胆汁酸の再吸着を拘束及び防止して、コレステロールレベルを減らす薬剤、例えば胆汁酸捕捉剤、コレスチラミン及びコレスチポール、並びにコレステロール吸収阻害剤を含むが、これらに限定されるものではない。
【0127】
上記のように、本発明の実施態様は、BH4の類似体を単独で、又は従来の脈管治療と組み合わせて含む組成物を対象に投与することによる血管疾患の治療に関し、ここで、該投与は、BH4類似体単独の不在下、又は従来の脈管治療と組み合わせたBH4の類似体の不在下での濃度と比較して、前記対象の臨床的に関連したエンドポイントを改善するのに効果的である。本発明の一実施態様は、値を正常化するのに有効な量において異常なエンドポイントをもつ個人にBH4の類似体を投与することを含むことができる。好ましい実施態様において、個人は、特異的血管疾患と診断される。本発明は、本明細書中に記載したBH4の類似体を、特異的症状によって特徴づけられる特異的血管疾患、及び/又は正常レベルまでエンドポイントを改善するのに有効な量で特異的血管疾患を診断するために使用する一般の試験で診断される患者に投与することを意図する。
【0128】
また、溶血性貧血及び鎌状赤血球貧血は、BH4反応性状態の一つである。内皮機能不全が溶血性貧血を有する患者に起こることを示すいくつかのデータが存在し、NOの欠如はこの問題の基礎をなす。BH4欠乏は、BH4プールの酸化分解、又はBH4プールレベルを生合成して維持する能力の減少をもたらす内皮への損傷によって引き起こされるようである。動物試験は、NOが鎌状赤血球症に付随する慢性脈管損傷に応答して補償的役割を演ずることを示唆する。循環血漿ヘモグロビン及びスーパーオキサイドの併用効果は、NOの滅失に結果としてなる(Reiterらの文献、Current Opinions in Hematology 10:99-107 (2003))。NOの生体利用効率を増加させるか又は酸化ストレスに反対に作用する新規な治療方法及び鎌状赤血球症に伴う制御されていないフリーラジカル拡散を考慮している。アルギニンのヒドロキシウレアとの同時投与は、NOの生産を増やすことができ、かつ定常状態でSCDを有する患者のアルギニンの使用を改善できる。Morrisらの文献(2003) J. Pediatric Hematology 25:629-34を参照されたい。ヒドロキシウレア及びアルギニンに加えて、他の治療法は、例えばNOレベルを上昇させるNO吸入、NO滅失を減らすアロプリノール、並びにNO反応を増幅するスタチン及びシルデナフィルを考慮している。Mackらの文献, (2005、近刊) Intl. J. Biochem.Cell Biol.を参照されたい。米国特許出願公開第2003/0078231号は、鎌状赤血球貧血を含む、酸化ストレス及び制御されていないフリーラジカル拡散から生じているいくつかの疾患を治療する抗酸化剤特性を有する栄養又は食品補助食品としてのオルト分子スルホ-アデノシルメチオニン誘導体の使用を開示する。米国特許出願公開公報2005/0239807 A1は、鎌状赤血球貧血などの酸化ストレスと関連した疾患を治療するためにNOドナー生理活性(例えばアロプリノール)を提供している群を含む、反応性酸素生成酵素の阻害剤の使用を記載する。
【0129】
鎌状赤血球症において、NOは、接着分子の内皮発現を減少させ、その結果赤血球及び白血球の接着を減少させ、これにより血管閉塞危機の進展を防ぐ。Spaceらの文献(2000) Am. J. Hematology 63:200-04を参照されたい。細胞関連性NADPHオキシダーゼは、スーパーオキサイドの出所であることを示した。Woodらの文献(2005) FASEB J. 19:989-91を参照されたい。鎌状赤血球症に関連したスーパーオキシドラジカルの迅速な生成は、BH4を酸化させることが公知であるOH及びONOOなどの第2の反応性酸素及び窒素代謝物の生産を誘発でき、それによって、BH4の不足を引き起こす。ある研究において、鎌型赤血球トランスジェニック(βs)マウスに対するセピアプテリン(BH4の前駆体)の投与は、血液細胞接着のアテニュエーションを伴った。Woodらの文献(2006) J. Free Radical Biology & Medicine 40:1443-53を参照されたい。本発明と一致するにもかかわらず、著者は、特にセピアプテリンが外来性BH4の抗-及び自己-酸化特性を欠いていることを示し、その使用は本発明において意図される。更に、トランスジェニック鎌型赤血球マウスモデルは、ヒトにおいて観測される、NOS、NO及びBH4のレベルを制御する複雑な恒常性機構を正確に反映することができない。Reiterらの文献(2003) Current Opinion in Hematology 10:99-107を参照されたい。本明細書に開示されるBH4の類似体をBH4と同様に使用して、溶血性貧血及び鎌型赤血球のような状態を治療することが可能であると考えられる。
【0130】
BH4反応性状態は、神経精神医学的障害、BH4欠乏に伴う神経精神医学的障害、及びチロシンヒドロキシラーゼ機能の減少又はトリプトファンヒドロキシラーゼ機能の減少に関連した神経精神医学的障害も含む。好ましくは、該神経精神医学的障害は、パーキンソン病、注意欠陥多動障害、双極疾患、自閉症、うつ病及びジストニアからなる群から選択される障害である。
【0131】
通常、多くの神経精神医学的障害の障害は、神経伝達物質のレベルの減少又は不適切さに関連がある。うつ病において、セロトニンの不適切なレベルがうつ病の根底にあるようであり、それ故、セロトニン再摂取阻害剤の使用は神経終板でのセロトニンレベルを増加させる。BH4はセロトニン生合成のために要求される補因子であり、不十分な状態で、BH4の添加は、PKU患者の血小板のセロトニンレベルを研究しているある研究で観察されるセロトニンの産生を刺激できる。精神分裂症の患者が、低いカテコールアミンレベル及び低いビオプテリンレベルを有し得ることも観測されており、したがって、BH4の添加は、カテコールアミンへの経路におけるチロシンのヒドロキシル化の生合成におけるBH4の役割に起因して、カテコールアミン神経伝達物質の産生を強化できる。加えて、ある調査は、BH4が、神経終板で受容体を結合でき、これが制御神経伝達におけるBH4のためのさらに別の役割であり得る神経伝達物質の放出を変えることを示唆した。BH4は、ADD/ADHD又は児童の活動亢進症候群のための治療法としても提案された。これらの患者において、刺激薬剤の使用は、活性レベルの増加を抑制するのを助け、より良好な濃度を可能にする。BH4は刺激性神経伝達物質の生産又は放出を増加させるか又は改善することができ、そうして活動亢進の抑制を増大させる。本明細書に開示されるBH4の類似体をBH4のように同様に使用して、神経精神医学的障害、BH4欠乏に伴う神経精神医学的障害、及びチロシンヒドロキシラーゼ機能の減少又はトリプトファンヒドロキシラーゼ機能の減少と関連した神経精神医学的障害を治療することができると考えられる。
【0132】
本明細書に開示されるBH4のプロドラッグの治療上有効量は、チロシンヒドロキシラーゼ機能又はトリプトファンヒドロキシラーゼ機能を増加させ得ると考えられる。
【0133】
別のBH4反応性状態は、メタボリックシンドロームである。通常、メタボリックシンドローム患者は、血圧の増加、インスリン耐性、高脂血症、肥満度指数の増加、及びアテローム性動脈硬化の増加を示す。メタボリックシンドロームの正確な根本病因は非常に討議されているが、高脂肪高/炭水化物食物及び行動の減少が肥満につながることは明白である。BH4レベルは、この状態において低くてよく、この症候群の原因及び進行の一部であり得る。インスリン耐性に至っているフラクトース食餌ラットモデルにおいて、BH4レベルは低く、かつBH4の交換はインスリン耐性状態の血管効果を高める。本明細書に開示されるBH4の類似体をBH4のように同様に使用して、メタボリックシンドロームを治療することができると考えられる。
【0134】
また、高フェニルアラニン血症は、BH4反応性状態の一つである。好ましくは、高フェニルアラニン血症は、軽度のフェニルケトン尿症、古典的なフェニルケトン尿症、及び重度のフェニルケトン尿症(PKU)、更に、BH4の生合成又は再資源化の遺伝子の欠損と関連した非定型又は悪性の高フェニルアラニン血症、肝臓疾患に伴う高フェニルアラニン血症、及びマラリアに伴う高フェニルアラニン血症からなる群からも選択される。
【0135】
通常、PKUは、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ酵素の遺伝子又は発現又は活性における欠損を生じ、これが高いフェニルアラニン血中濃度をもたらす。これらの高いレベルは、脳外傷、並びに発作、発疹、低集中力、実行機能の減少、及び脳の白質異常などの他の神経学的及び身体の疾患を生じる。高いフェニルアラニンレベルは、通常、フェニルアラニン摂取を制限する厳しい医学食により制御される。BH4は、経口摂取後の血液Pheレベルを減少させる多数の公表事例及び一連の報告において使用されている(Blauらの文献 2002)。PKU患者は、5年を越えて成功裏に治療され、患者の制限的医学食に対する依存を減らすことができるPheレベルに臨床的に顕著な減少を成し遂げた。BH4欠乏において、BH4の投与は、血液フェニルアラニンレベルを非常に減少させることができ、かつ脳脊髄液の神経伝達物質レベルを改善できる。しかしながら、脳疾患の十分な治療は、BH4の劣ったCNS貫通のために困難である。本明細書に開示されるBH4の類似体をBH4のように同様に使用して、高フェニルアラニン血症を治療することが可能であると考えられる。
【0136】
本発明は、BH4の類似体の投与に基づいて、血管障害の医薬的介入を記載する。安定化された又は他の形態における類似体を使用して、糖尿病の有無における様々な形態の血管疾患を有する対象を含む患者集団を治療することがさらに意図され、該疾患にはこれらに限定されないが、高血圧症、不応性又は非制御性高血圧症、肺動脈高血圧、特発性肺高血圧、新生児の肺高血圧(PPHN)、及び鎌状赤血球症を含む溶血性貧血、冠状動脈疾患、冠状脈管動脈、頸動脈脈管動脈、脳脈管動脈、又は末梢脈管動脈を含む任意の動脈のアテローム性動脈硬化症、脳卒中、脳卒中後血管痙攣、心筋梗塞、虚血-再灌流損傷、うっ血心不全、移植後虚血-再灌流損傷、移植後脈管損傷、血管痙攣、血栓形成、血栓症、凝血、凝固、傷害性内皮、器官及び組織に対する不十分な酸素流、全身血管抵抗の上昇(高血圧)、脈管平滑筋拡散、脈管狭窄症(狭くなる)及び炎症の進行、虚血-再灌流損傷、高血圧症、糖尿病、糖尿病性脈管障害、心血管疾患、末梢血管疾患、間欠跛行、高コレステロール血症に伴う血管疾患、喫煙と関連した血管疾患、又は虚血及び/若しくは脈管炎症から生じている神経組織の状態を含む。
【0137】
従って、これらの状態のいずれかの治療は、本発明の方法に従って意図される。この種のBH4ベースの組成物は、単独で、又は、糖尿病、血管疾患、高血圧症及び高脂血症を含む関連した臨床症状又は基礎疾患の治療のために一般に使用され、本明細書に記載されている周知の治療薬剤を含む任意の他の治療薬剤及び/又は介入と組み合わせて使用できる。
【0138】
本発明の特定の実施態様は、単独で、又はBH4の類似体又はその前駆体若しくは誘導体を含む組成物を対象に投与して脈管の機能不全を治療することに関し、ここで該類似体単独の投与、又は従来の脈管治療法と組み合わせての投与は、該類似体単独の不在下、又は従来の脈管治療と組み合わせた該類似体の不在下での前記濃度と比較して、前記対象の臨床的に関連したエンドポイントを改善するのに効果的である。
【0139】
例示的実施形態において、BH4の類似体又は前駆体又は誘導体は、BH4に反応する患者において平均で約5mmHgの血圧を減少させるのに有効な量で、又はBH4に反応する患者において約5%、10%、15%、20%若しくは30%のまでのNO血清又は尿レベルを増加させるのに有効な量で、又はBH4に反応する患者において平均で約200%までNO血清又は尿レベルを増加させるのに有効な量で投与される。
【0140】
一酸化窒素シンターゼ活性の強化は、本明細書に組み込まれる米国特許第6,410,535号に記載されているように、高いスーパーオキサイドレベル、増加したインスリン感応性、及びインスリン耐性を伴う脈管機能不全の減少の低減に結果としてなることも示唆された。従って、糖尿病(タイプI又はタイプII)、高インスリン血症又はインスリン耐性の治療は、本発明により意図される。インスリン耐性を伴う脈管機能不全を有する疾患には、インスリン耐性によって生じる疾患若しくはインスリン耐性によって悪化する疾患、又は治癒がインスリン耐性によって遅延する疾患、例えば、高血圧症、高脂血症、動脈硬化、冠状動脈血管収縮の狭心症、労作性狭心症、脳血管収縮性の病変、脳血管不全、脳血管痙攣、末梢循環障害、経皮経管冠動脈形成(PTCA)若しくは冠状動脈バイパス移植(CABG)後の冠状動脈動脈再狭窄、肥満、インスリン非依存性糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、冠状動脈動脈硬化性心疾患、又はインスリン耐性と関係している限りにおける同様の疾患を含む。これらの疾患患者に投与される場合、BH4がNOSの機能を活性化させ、NO産生を増加させ、活性酸素種の生産を抑制してこれらの疾患を予防又は治療し、血管内皮細胞の障害を改善することができると考えられる。糖尿病、例えば網膜症又は腎症の下流の合併症を低減することができることも考えられる。
【0141】
nNOSによるNO過剰産生は、脳卒中、片頭痛、アルツハイマー病、並びにモルヒネに対する耐性及び依存性に関連している。BH4誘導体は、これらの状態のいずれかのために投与できる。BH4誘導体を投与できる他の典型的な神経精神医学的障害は、パーキンソン病、アルツハイマー病、精神分裂病、分裂病様障害、分裂情動障害、短期精神病性障害、妄想性障害、共有精神病性障害、一般的な医学的状態に起因する精神病性障害、物質誘導性精神病性障害、他の精神病性障害、遅発性ジスキネジア、マチャド-ジョセフ病、脊髄小脳変性、小脳性運動失調、ジストニア、慢性疲労症候群、急性又は慢性うつ病、慢性ストレス症候群、線維筋痛、片頭痛、注意欠陥多動障害、双極疾患及び自閉症を含む。神経精神医学的障害は、チロシンヒドロキシラーゼ機能の減少又はトリプトファンヒドロキシラーゼ機能の減少と関係していてもよい。本願明細書における神経精神医学的障害は、状況に応じて、パーキンソン病、うつ病及びアルツハイマー病を除外する。
【0142】
BH4誘導体は、本発明の方法に従って、抗鬱剤、トリプトファン、チロシン、セロトニンなどの神経伝達物質前駆体、ロフェプラミン、デシプラミン、レボキセチン、チロシンなどのノルアドレナリン系を活性化させる薬剤、好ましくセロトニンに作用する薬剤、ベンラファキシン、デュロキセチン又はミルナシプランなどのノルアドレナリン及びセロトニン取り込みの複合阻害剤、及びブプロピオンなどのドーパミン及びノルアドレナリン再取り込みの複合阻害剤である薬剤を含む一種以上の他の神経精神医学的活性薬剤と共同投与できる。
【0143】
例示的実施形態において、投与されるBH4又は前駆体又は誘導体の量は、チロシンヒドロキシラーゼ機能又はトリプトファンヒドロキシラーゼ機能を少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40%、50、75又は100%増加させるか、又はBH4応答性患者のL-Dopa又はセロトニンの神経伝達物質レベルを少なくとも5、10、15、20、25、30、40%、50、75又は100%上昇させる。
【0144】
典型的な代謝疾患は、高フェニルアラニン血症、例えば、軽度のフェニルケトン尿症、古典的なフェニルケトン尿症、重度のフェニルケトン尿症、BH4欠乏に伴う非定型又は悪性フェニルケトン尿症、肝臓疾患に伴う高フェニルアラニン血症、及びマラリアに伴う高フェニルアラニン血症を含む。典型的な患者集団は、乳児、児童、ティーンエイジャー、成人、妊娠可能な年齢の女性、及び妊婦を含む。いくつかの実施態様において、個人は、該類似体又は前駆体又は誘導体での処理(プレ処理)がない場合に1000μMを上回る血漿フェニルアラニン濃度を有し、該化合物の投与は、該個人の血漿フェニルアラニン濃度を、約1000μM未満、又は約800μM未満、又は約700μM、又は約600μM、又は約500μM、又は約450μM±15μM未満まで減少させるのに有効な量である。
【実施例】
【0145】
以下の実施例は、本発明を例示するために提供されているが、その範囲を制限することは意図しない。
【0146】
(BH4類似体の合成)
(実施例1−BH4ジドデカノアート)
この実施例は、BH4の類似体の合成を記載する。
【0147】
BH4は、適切な溶媒に溶かされ、イミダゾール存在下でモル過剰のドデカン酸クロライドと反応させる。反応物は終夜室温で撹拌し、結果として生じるジアシルBH4類似体を分離して再結晶化する。
【0148】
(実施例2−酢酸2-アセトキシ-1-(5-アセチル-2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-プロピルエステル)
【化15】
2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩(0.1g、0.32mmol)を、酢酸(3ml)中でスラリー化した。無水酢酸(300uL、3.2mmol)を加え、該混合物を加熱して12時間還流した。反応物を濃縮し、該粗製物質を分取RP-HPLCにより精製し、白色固体(0.096g、82%)として最終産物を得た。
【化16】
【0149】
(実施例3−プロピオン酸1-(2-アミノ-4-オキソ-5-プロピオニル-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-プロピオニルオキシ-プロピルエステル)
【化17】
表題化合物は、実施例2に記載されている方法により、2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩(0.2g、0.64mmol)、無水プロピオン酸(0.83ml、6.4mmol)及びプロピオン酸(6ml)を使用して調製し、白色固体(0.20g、75%)として生成物を得た。
【化18】
【0150】
(実施例4−酪酸1-(2-アミノ-5-ブチリル-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ブチリルオキシ-プロピルエステル)
【化19】
標題化合物は、実施例2に記載されている方法により、2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩(0.2g、0.64mmol)、酪酸無水物(1.05ml、6.4mmol)及び酪酸(6ml)を使用して調製し、白色固体(0.21g、71%)として生成物を得た。
【化20】
【0151】
(実施例5−2-アミノ-4-メチルペンタン酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステル二塩酸塩)
【化21】
a) 2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル)
窒素雰囲気下で、ピリジン(75ml)中2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩(BH4、5g、15.9 mmol)撹拌懸濁液に、ジ-tert-ブチル二炭素酸塩(5.2g、23.8mmol)を加えた。該混合物を、より多くのBH4(5g、15.9mmol)及びジ-tert-ブチル二炭素酸塩(5.2g、23.8mmol)の添加前に撹拌した。4-(ジエチルアミノ)ピリジン(触媒)も加え、該混合物を窒素雰囲気下で12時間室温で撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、該残留物を真空下に24時間おいた。該残留物をメタノール(150ml)に溶かし、30gのMP-炭酸塩(Biotage、3.14mmol/g)を加えた。該混合物を室温で12時間穏やかに撹拌した。該混合物をセライトを通して濾過し、該濾液を真空蒸発させてさらなる精製なしに黄色固体を得た。MS:ESI (positive):342 (M+H)。
【0152】
b) 6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-2-(ジメチルアミノ-メチレンアミノ)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5- カルボン酸tert-ブチルエステル
工程a)の生成物を75mLのDMFに溶かし、及びN,N-ジメチルホルムアミドジエチルアセタール(13mL、76.2mmol)で処理した。混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を高真空下(温度<50℃)で蒸発させた。残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製し(勾配溶出 DCM中0-20%メタノール)、薄黄色固体(2工程にわたり5.7g、45%収率)生成物を得た。
【化22】
【0153】
c) 6-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-メチル-ブチリルオキシ)-1-ヒドロキシ-プロピル]-2-(ジメチルアミノ-メチレンアミノ)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
0℃のジクロロメタン(DCM、40ml)中N-Boc-L-バリン(19.12g、88mmol)の撹拌溶液に、DCM(40ml)中DCC(9.1g、44mmol)の溶液を加えた。結果溶液を1時間撹拌し、その後白色沈殿が形成された。白色固体を濾過し、濾液をピリジン(200 mL)に溶解された工程b)の生成物(4.4 g, 11mmol)の撹拌溶液に添加した。混合物を窒素雰囲気下で室温にて12時間撹拌した。反応混合物はメタノール(20ml)の添加によりクエンチした。溶媒を真空蒸発させ、残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー (勾配溶出 0-6% DCM中メタノール)によって精製し、薄黄色固体として副題生成物を得た(3.1g、47%収率−HPLCによる〜9:1 位置異性体混合物)。
【化23】
【0154】
d)2-アミノ-6-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-メチル-ブチリルオキシ)-1-ヒドロキシ-プロピル]-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
工程c)の生成物(3.1g、5.15mmol)は、アセトニトリル(ACN、130ml)に溶解させ、1N HCl(13ml、13mmol)で処理した。混合物は出発物質が存在しなくなるまで(〜18時間)室温にて撹拌した。反応混合物を、炭酸水素ナトリウム飽和溶液の添加により中和した。溶媒をそれから真空で蒸発させ(温度<40℃)、薄黄色固体を得た。固体をDCM(50ml)においてスラリー化し、フィルターに通した。濾過液を蒸発させ、残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(勾配溶出DCM中0〜20%メタノール)により精製し、副題生成物を得た(1.75g、63%、〜9:1位置異性体混合物)。
【化24】
【0155】
e)2-アミノ-3-メチル酪酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステル二塩酸塩
工程d)の生成物(1.75g、3.24mmol)を、ジオキサン(10ml)に溶解し、4N HCl/ジオキサン(80ml、320mmol)で処理した。反応混合物を窒素雰囲気下において室温にて2時間撹拌した。生成物を濾過により分離し、45℃で窒素除去された真空オーブンにおいて乾燥させ、白色固体として1.34g(100%)の標題化合物を得た。
【化25】
【0156】
f) 2-アミノ-3-メチル-酪酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステル二塩酸塩
方法e)に代わるものとして、工程cの生成物(0.5g、0.8mmol)をジオキサン(5ml)に溶解し、アルゴン雰囲気下において、4N HCl/ジオキサン(20mL、80mmol)で処理した。15時間室温で撹拌した後に、白色固体が形成した。この物質を分離した後、乾燥させ、0.24g(73%)の標題化合物を得た。
【0157】
(実施例6−2-アミノ-3-メチル-ペンタン酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステル)
【化26】
a) 6-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-メチル-ペンタノイルオキシ)-1-ヒドロキシ-プロピル-2-(ジメチルアミノ-メチレンアミノ)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
実施例5、工程b)の生成物を、N-Boc-L-イソロイシン(3.70g、16mmol)を使用した以外は実施例5、工程c)に記載されているのと同じ方法で処理し、薄黄色固体として副題化合物を得た(0.29g、48%)。クロマトグラフィの後得られた生成物はまだ不純物を含んでおり、さらなる精製をせずに次の工程に使用した。MS:ESI (positive):610 (M+H)。
【0158】
b)2-アミノ-6-[2-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-メチル-ペンタノイルオキシ)-1-ヒドロキシ-プロピル]-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
工程a) での生成物(0.29g、0.48mmol)を、該反応からの残留物以外は実施例5、工程d)で記載されている方法によって処理し、分取RP-HPLCにより精製してオフホワイトの固体として副題化合物を得た(0.10g、38%)。
【化27】
【0159】
c)2-アミノ-3-メチルペンタン酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステルジトリフルオロアセタート
工程b)の生成物(0.1g、0.18mmol)を、2mlのDCM中トリフルオロ酢酸(2ml、27mmol)で処理した。混合物を、窒素雰囲気下において室温にて1時間撹拌した。生成物を、20mlのジエチルエーテルの添加によって沈殿させた。生成物を濾過し、窒素除去された真空オーブンにおいて乾燥させ、白色固体として標題化合物を得た(0.10g、100%)。
【化28】
【0160】
(実施例7−2,6-ジアミノ-ヘキサン酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステル三塩酸塩)
【化29】
a) 6-[2-(2,6-ビス-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサノイルオキシ)-1-ヒドロキシ-プロピル-2-(ジメチルアミノ-メチレンアミノ)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
実施例5、工程b)の生成物は、N-Boc-L-リジン-N-Boc(8.26g、23.8mmol)が使われたこと以外は実施例5、工程d) に記載されている方法と同法で処理し、真空での溶媒蒸発の後、粗製物質を酢酸エチルに溶かし、続けて1Nクエン酸(2×)、飽和重炭酸ナトリウム(2×)及び鹹水で洗浄した。有機層は硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空で溶媒蒸発させた。粗生成物を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(勾配溶出DCM中0-8%メタノール)で精製し、淡黄色固体として副題化合物を得た(2.55g、74%)。クロマトグラフィー後に得られた生成物はまだ不純物を含み、更なる精製なく次の工程に使用した。
【化30】
【0161】
b)2-アミノ-6-[2-(2,6-ビス-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサノイルオキシ)-1-ヒドロキシ-プロピル]-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
工程a)の生成物(2.55g、3.52mmol)は、反応からの残留物を除いては実施例5、工程d)に記載されている方法によって処理し、分取RP-HPLCで精製して、オフホワイトの固体として副題化合物を得た(1.30g、55%)。分析HPLCは、8:2の比率で2つの位置異性体の存在を示す。
【化31】
【0162】
c) 2,6-ジアミノ-ヘキサン酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1 -メチル-エチルエステル三塩酸塩
工程b) の生成物(1.30g、1.94mmol)を、実施例5、工程e) に記載されている方法により処理し、白色固体として標題化合物を得た(0.93g、100%)。
【化32】
【0163】
(実施例8−4-アミノ-4-(1-カルボキシ-エチルカルバモイル)-酪酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステル二塩酸塩)
【化33】
a)6-{2-[4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(1-tert-ブトキシカルボニル-エチルカルバモイル)-ブチリルオキシ]-1-ヒドロキシ-プロピル}-2-(ジメチルアミノ-メメチレンアミノ)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
ピリジン(10ml)中、実施例19、工程b)の生成物(0.45g、1.20mmol)の撹拌溶液に、EDC(0.23g、1.20mmol)及びDMAP(0.15g、1.20mmol)を加えた。混合物を窒素雰囲気下で室温にて2時間撹拌した後、実施例4、工程c)の生成物(0.12g、0.30mmol)を添加した。混合物をさらに48時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、分取RP-HPLCにより残留物を精製し、淡黄色半固体として副題化合物を得た(0.12g、55%)。クロマトグラフィーの後に得られた生成物はまだ不純物を含み、更なる精製なく次の工程の用に供した。分析HPLCは、10:1の位置異性体比を示す。MS:ESI (positive):753 (M+H)。
【0164】
b)2-アミノ-6-{2-[4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(1-tert-ブトキシカルボニル-エチルカルバモイル)-ブチリルオキシ]-1-ヒドロキシ-プロピル}-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
工程a)の生成物(0.12g、0.16mmol)は、該反応からの残留物を除いては実施例5、工程d) に記載されている方法によって処理し、分取RP-HPLCにより精製して、オフホワイトの固体として副題化合物を得た(0.048g、44%)。
【化34】
【0165】
c)4-アミノ-4-(1-カルボキシ-エチルカルバモイル)-酪酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステル二塩酸塩
工程b)の生成物(0.048g、0.07mmol)を、1mlのDCM中トリフルオロ酢酸(1ml、27mmol)で処理した。混合物を窒素雰囲気下で2時間、室温にて撹拌した。生成物を20mlのジエチルエーテルの添加によって沈殿させた。生成物を濾過し、窒素除去された真空オーブンで乾燥させ、白色固体として標題化合物を得た(0.051 g、98%)。
【化35】
【0166】
(実施例9−ピロリジン-2-カルボン酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステル二塩酸塩)
【化36】
a)ピロリジン-1 ,2-ジカルボン酸2-{2-[5-tert-ブトキシカルボニル-2-(ジメチルアミノ-メチレンアミノ)-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル]-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチル}エステル1-tert-ブチルエステル
実施例5、工程b)の生成物は、N-Boc-L-プロリン(13.6g、63.1mmol)を使用したことを除き、実施例5、工程c) に記載されているのと同じ方法で処理し、黄褐色固体として副題化合物を得た(5.2g、69%)。MS:ESI(positive):594(M+H)。
【0167】
b)ピロリジン-1,2-ジカルボン酸2-[2-(2-アミノ-5-tert-ブトキシカルボニル-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチル]エステル1-tert-ブチルエステル
生成物a)の生成物(5.2g、8.76mmol)は、該反応からの残留物に先立って該反応物を24時間室温で撹拌したことを除き、実施例5、工程d) に記載されているのと同じ方法で処理し、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(DCM中0-14%メタノールから勾配溶出)により精製した後に分取RP-HPLCによる位置異性体の混合物の分離が続き、薄黄色の固体として副題化合物を得た(1.5g、32%)。MS:ESI (positive):539 (M+H)。他の位置異性体は白色固体(0.6g、13%)として得た。MS:ESI (positive):539 (M+H)。
【0168】
c) ピロリジン-2-カルボン酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-ヒドロキシ-1-メチル-エチルエステル二塩酸塩
工程b)の生成物は、該反応を24時間撹拌したことを除いては実施例5、工程e)に記載したのと同じ方法によって処理し、薄黄色の固体として表題化合物を得た(1.2g、90%)。
【化37】
【0169】
(実施例10−2-アミノ-3-メチル-酪酸2-(2-アミノ-3-メチル-ブチリルオキシ)-1-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-プロピルエステル三塩酸塩)
【化38】
a)6-[1,2-ビス-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-メチル-ブチリルオキシ)-プロピル]-2-(ジメチルアミノ-メチレンアミノ)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
0℃のジクロロメタン(DCM、20ml)中N-Boc-L-バリン(9.08g、41.8mmol)の撹拌溶液に、DCM(20ml)中DCC(4.3g、20.9gmmol)の溶液を加えた。結果として生じる溶液を1時間撹拌し、その後白色沈殿が形成された。白色固体を濾過し、濾液を、ピリジン(75ml)に溶解した実施例5、工程b)の生成物(1.8g、4.54mmol)の撹拌溶液に添加した。4-(ジメチルアミノ)ピリジン(触媒)を加え、混合物を12時間アルゴン雰囲気下で室温にて撹拌した。反応混合物をメタノール(20ml)の添加によりクエンチし、溶媒を真空蒸発させた。粗製物質を酢酸エチルに溶かし、続けて1Nクエン酸(2×)、飽和重炭酸ナトリウム(2×)及び鹹水によって洗浄した。有機層は硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空蒸発させた。粗生成物を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(勾配溶出DCM中0-5%メタノール)により精製し、黄色の固体として副題化合物を得た(1.6g、45%)。MS:ESI (positive):795 (M+H)。
【0170】
b)2-アミノ-6-[1,2-ビス-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-メチル-ブチリルオキシ)-プロピル]-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
工程a)の生成物(1.6g、2.02mmol)を、アセトニトリル(ACN、50ml)に溶かし、1N HCl(5ml、5mmol)で処理した。出発物質が存在しなくなるまで(〜20時間)、混合物を室温にて撹拌した。反応混合物を、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液の添加により中和した。溶媒を、真空下(温度<40℃)において蒸発させ、黄褐色の固体を得た。固体を、メタノールにおいてスラリー化し、濾過した。濾液を蒸発させ、残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(勾配溶出DCM中0-12%メタノール)により精製し、黄褐色の固体として副題化合物を得た(0.45g、30%)。
【化39】
【0171】
c)2-アミノ-3-メチル酪酸2-(2-アミノ-3-メチル-ブチリルオキシ)-1-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-プロピルエステル二塩酸塩
工程c)の生成物(1.0g、1.35mmol)を、アルゴン雰囲気下でジオキサン(10ml)に溶かし、4N HCl/ジオキサン(20ml、80mmol)で処理した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。生成物を濾過により分離し、窒素除去された真空オーブンにおいて45℃にて乾燥させ、黄褐色の固体として0.78g(100%)の標題化合物を得た。
【化40】
【0172】
(実施例11−2,6-ジアミノ-ヘキサン酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-(2,6-ジアミノ-ヘキサノイルオキシ)-1-メチル-エチルエステル五塩酸塩)
【化41】
a)6-[1,2-ビス-(2,6-ビス-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサノイルオキシ)-プロピル]-2-(ジメチルアミノ-メチレンアミノ)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
実施例5、工程b)の生成物は、N-Boc-L-リジン-N-Boc(28.9g、83.5mmol)を使用したことを除き、実施例10、工程a) に記載されているのと同じ方法で処理し、薄黄色固体として副題化合物を得た(3.2g、33%)。
【化42】
【0173】
b)2-アミノ-6-[1,2-ビス-(2,6-ビス-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ヘキサノイルオキシ)-プロピル]-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸tert-ブチルエステル
工程a)の生成物(3.2g、3.03mmol)は、実施例10、工程b) に記載されている方法によって処理し、黄褐色の固体として副題化合物を得た(1.46g、48%)。
【化43】
【0174】
c)2,6-ジアミノ-ヘキサン酸2-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-(2,6-ジアミノ-ヘキサノイルオキシ)-1-メチル-エチルエステル五塩酸塩
工程b) の生成物(1.46g、1.46mmol)を、実施例10、工程c) に記載されている方法により処理し、黄褐色の固体として標題化合物を得た(0.99g、68%)。
【化44】
【0175】
(実施例12−ピロリジン-2-カルボン酸1-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-(ピロリジン-2-カルボニルオキシ)-プロピルエステル三塩酸塩)
【化45】
a) ピロリジン-1,2-ジカルボン酸2-[2-(2-アミノ-5-tert-ブトキシカルボニル-2-(ジメチルアミノ-メチレンアミノ)-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-1-メチル-2-(1-tert-ブトキシカルボニル-ピロリジン-2-カルボニルオキシ)-エチル]エステル1-tert-ブチルエステル
実施例5、工程b)の生成物は、N-Boc-L-プロリン(12.6g、5.87mmol)を使用したことを除き、実施例10、工程a) に記載されたのと同じ方法で処理し、薄黄色固体として副題化合物を得た(3.0g、60%)。MS:ESI (positive):791 (M+H)。
【0176】
b)ピロリジン-1,2-ジカルボン酸2-[2-(2-アミノ-5-tert-ブトキシカルボニル-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-1-メチル-2-(1-tert-ブトキシカルボニル-ピロリジン-2-カルボニルオキシ)-エチル]エステル1-tert-ブチルエステル
工程a)の生成物(3g、3.79mmol)は、実施例10、工程b) に記載されている方法によって処理し、黄褐色の固体として副題化合物を得た(1.4g、50%)。
【化46】
【0177】
c)ピロリジン-2-カルボン酸1-(2-アミノ-4-オキソ-3,4,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-プテリジン-6-イル)-2-(ピロリジン-2-カルボニルオキシ)-プロピルエステル三塩酸塩
工程b)の生成物(1.4g、mmol)を、実施例10、工程c)に記載された方法で処理し、暗い黄褐色の固体として表題化合物を得た(0.85g、82%)。
【化47】
【0178】
(実施例13−2-アミノ-5-(2-アミノ-3-メチル-ブチリル)-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)- 5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン塩酸塩)
【化48】
a ) {1-[2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボニル]-2-メチル- プロピル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル
0℃のDCM(15ml)中N-Boc-L-バリン(4.56g、21mmol)の撹拌溶液に、DCM(10ml)中DCC(2.17g、10.5mmol)の溶液を加えた。結果として生じる溶液を1時間撹拌し、その後白色沈殿が形成された。白色固体を濾過し、該濾液を、ピリジン(80mL)に溶解した2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩(3.0g、9.55mmol)の撹拌溶液に添加した。混合物は、室温にて1.5時間、窒素雰囲気下で撹拌された。反応混合物はメタノール(20ml)の添加によってクエンチされた。溶媒を真空蒸発させ、残留物を分取RP-HPLCにより精製し、黄褐色の固体として副題生成物を得た(3.2g、76%)。MS:ESI (positive):441 (M+H) 。
【0179】
b) 2-アミノ-5-(2-アミノ-3-メチル-ブチリル)-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン塩酸塩
工程a)の生成物(3.13 g、7.04 mmol)をジオキサン(10ml)に溶かし、4N HCl/ジオキサン(60 ml, 240 mmol)で処理した。反応混合物を窒素雰囲気下で4時間、室温にて撹拌した。生成物を濾過によって分離し、イソプロパノールから再結晶化させ、45℃の真空オーブンで乾燥させ、黄褐色の固体として1.15g(43%)の表題化合物を得た。
【化49】
【0180】
(実施例14−2-アミノ-5-(2-アミノ-3-メチル-ペンタノイル)-6-(1,2-ジヒドロキシプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン塩酸塩)
【化50】
a) {1-[2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボニル]-2-メチル- ブチル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル
副題化合物は、N-Boc-L-イソロイシン(4.86g、21mmol)を使用したことを除き、実施例13、工程a)に記載されている方法により調製した。粗製物質をメタノールに溶かし、分取RP-HPLCにより精製して、黄褐色の固体として副題化合物を得た(3.48g、82%)。MS:ESI (positive):455 (M+H)。
【0181】
b)2-アミノ-5-(2-アミノ-3-メチル-ペンタノイル)-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン塩酸塩
工程a)の生成物は、実施例13、工程b) に記載されている方法によって処理し、薄黄色の固体として標題化合物を得た(1.67g、56%)。
【化51】
【0182】
(実施例15−2-アミノ-5-(2,6-ジアミノ-ヘキサノイル)-6-(1,2-ジヒドロキシプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩)
【化52】
a){6-[2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-イル]-5-tert-ブトキシカルボニルアミノ-6-オキソ-ヘキシル}-カルバミン酸tert-ブチルエステル
副題化合物は、N-Boc-L-リジン-N-Boc(7.28g、21mmol)を使用したことを除き、実施例13、工程a)に記載されている方法により調製した。粗製物質をメタノールに溶かし、分取RP-HPLCにより精製して、黄褐色の固体として副題化合物を得た(2.16g、40%)。MS:ESI (positive):570 (M+H) 。
【0183】
b)2-アミノ-5-(2,6-ジアミノ-ヘキサノイル)-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン塩酸塩
工程a)の生成物は、再結晶化が必要でなかったこと以外は、実施例13、工程b) に記載されている方法によって処理し、白色固体として標題化合物を得た(1.1g、48%)。
【化53】
【0184】
(実施例16−2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5-(ピロリジン-2-カルボニル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩)
【化54】
a)2-[2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-4-オキソ-4,6,7.8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボニル]-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル
副題化合物は、N-Boc-L-プロリン(4.5g、21mmol)を使用したことを除き、実施例13、工程a)に記載されている方法により調製した。粗製物質をメタノールに溶かし、分取RP-HPLCによる精製の前にMP-炭酸塩(Biotage、3.14g/mmol)と撹拌し、白色固体として生成物を得た(2g、48%)。
【化55】
【0185】
b)2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5-(ピロリジン-2-カルボニル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩
工程a)の生成物は、再結晶化が必要でなかったこと以外は、実施例13、工程b) に記載されている方法によって処理し、白色固体として標題化合物を得た(1.63g、69%)。
【化56】
【0186】
(実施例17−2-アミノ-5-ブチリル-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン)
【化57】
2-アミノ-5-ブチリル-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン
標題化合物は、2-アミノ-6-(1,2−ジヒドロキシプロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩(0.5g、1.59mmol)、酪酸無水物(0.31ml、1.91mmol)、ピリジン(7.5ml)及び触媒4-(ジメチルアミノ)ピリジンを使用して実施例5に記載されている方法により調製し、黄色の固体として生成物を得た(0.27g、55%)。
【化58】
【0187】
(実施例18−2-{2-アミノ-5-[2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシプロピル)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-イル]-5-オキソ-ペンタノイルアミノ}-プロピオン酸トリフルオロ酢酸塩)
【化59】
a)2-{5-[2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-イル]-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-5-オキソ-ペンタノイルアミノ}-プロピオン酸
DMF中の2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩 (0.55 g, 1.76 mmol)、及び実施例19、工程b)からの生成物(0.66g, 1.76mmol)の撹拌懸濁液に、HOBt水和物(0.24g, 1.76mmol)、EDC (0.51 g, 2.64mmol)、及びDIPEA ( 1.1ml, 6.17 mmol) を加えた。混合物は、アルゴン雰囲気下において室温で16時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、粗残留物をRP-分取HPLCにより精製し、白色固体として副題化合物を分離した(0.145g、14%)。
【化60】
【0188】
b ) 2-{2-アミノ-5-[2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-イル]-5-オキソ-ペンタノイルアミノ}プロピオン酸
工程a)の生成物を1:1のTFA:DCMに溶かし、室温で15時間撹拌した。溶媒を真空で除去し、残留物を少量のエタノールに溶かした。固体が沈殿し始めるまで、酢酸エチルを溶液に加えた。溶液は、14時間冷蔵庫に保存し、濾過して、白色固体として表題化合物を分離した(60mg、56%)。
【化61】
【0189】
(実施例19−4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(1-tert-ブトキシカルボニル-エチルカルバモイル)-酪酸)
【化62】
a) 4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(1-tert-ブトキシカルボニル-エチルカルバモイル)-酪酸9H-フルオレン-9-イルメチルエステル
DMF(50ml)中のBoc-D-Glu(OFm)(2.5g、5.88mmol)及びHOBt水和物(0.79g、5.88mmol)の撹拌溶液に、DIPEA(1.1ml、6.46mmol)、H-Ala-OtBu HCl(1.07g、5.88mmol)及びEDC(1.69g、8.81mmol)を加えた。混合物を、アルゴン雰囲気下で室温にて16時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、粗残留物を酢酸エチルに溶解させ、飽和重炭酸ナトリウム(3x)及び5%の水性酢酸(3x)で連続的に洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空蒸発させた。粗生成物を、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィ(勾配溶出 ヘキサン中0-40%の酢酸エチル)により精製し、白色固体として副題化合物を得た(2.3g、71%)。
【化63】
【0190】
b)4-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-(1-tert-ブトキシカルボニル-エチルカルバモイル)-酪酸
工程a)の生成物(2.3g、4.16mmol)を、DCM(17ml)に溶かし、TEA(2.9ml、20.8mmol)で処理した。混合物を、16時間室温で撹拌した。混合物をDCMで希釈し、1MのHCl(2×)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空で除去した。粗生成物をエーテルでスラリー化して濾過し、白色固体として標題化合物を分離した(0.72g、46%)。
【化64】
【0191】
(実施例20−2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-4-オキソ-4,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-5-カルボン酸ベンジルエステル)
【化65】
2-アミノ-6-(1,2-ジヒドロキシ-プロピル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-4-オン二塩酸塩(1.63g、5.2mmol)を、窒素雰囲気の下で50mLのピリジンに溶解した。この溶液に、クロロギ酸ベンジル(1.93ml、13.5mmol)を加えた。反応混合物を、真空下で脱ガスし、窒素雰囲気下に配置した。混合物を室温にて、12時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、残留物を分取RP-HPLCにより精製し、白色固体として副題化合物を得た(0.93g、48%収率)。
【化66】
【0192】
(ヒト、ラット及びシミュレーションされた胃液における血漿安定性研究)
本明細書に開示される様々な化合物の安定性を、ヒト及びラットにおいて及びシミュレーションされた胃液において試験した。各化合物を、各時点で残っている化合物の濃度について1時間に渡って試験した。結果を、実施例2、3、4、及び20の化合物について、図3(ヒトの血漿安定性)、4(ラット血漿安定性)及び5(シミュレーションされた胃液安定性)に示す。図3〜5に示されるように、試験される化合物の各々はすべて、様々な条件下で高レベルの安定性を示した。
【0193】
(BH4類似体の代謝研究)
この実施例は代謝安定性のためのアッセイを記載し、BH4類似体対BH4の安定性の比較を可能にする。
【0194】
試験化合物(10uM)は、マウス、ラット及びヒトの肝ミクロソーム(0.5mg/mLのタンパク質濃度)、並びに37℃の1mM NADPHリン酸緩衝液とインキュベートする。実験は3回行う。インキュベーションをミクロソームの添加により開始し、等量のメタノールの添加によってクエンチする。サンプルは、分析のために2〜3の時間点(典型的には時間0、30分、60分に)に採取される。適切な陽性及び陰性対照培養を実行する。試験化合物の消失の定量化又は試験物品の%回転率を、LC-MS/MSを利用して決定する。
【0195】
(BH4類似体の溶解性)
この実施例は溶解性についてのアッセイを記載し、BH4の類似体対BH4の溶解性の比較を可能にする。試験物品をDMSOに溶解し、96穴プレートにおいてリン酸緩衝液pH 7.4(PBS)に連続的に希釈する。希釈された化合物は、1〜1000mg/mLの終濃度範囲を有し、≦1%のDMSOを含む。室温で30分のインキュベーション後、沈殿を、Lab Systems比濁計上の光散乱を検出することで測定する。溶解性は、サンプル濃度の4反復試験区のNU(比濁計ユニット)を、溶媒ブランクウェルのNUと比較することにより決定する。難溶性は、ブランク補正したNUが溶媒ブランクより著しく大きい濃度として定義する。スチューデントT試験により算出される1%の差を顕著であるとみなす。
【0196】
(BH4類似体の透過性)
この実施例は、Caco-2細胞単層を使用する透過性スクリーンを記載し、BH4の類似体対BH4の透過性の比較を可能にする。Caco-2細胞(化合物透過性の調査に適している)の単層培養物を、21〜30日間、24穴又は96穴ポリカーボネート膜インサートで培養する。コンフルエントになるまで、単層を95%の相対湿度で5%のCO2雰囲気において37℃に維持する。単層の成熟性及び膜完全性を、トランス上皮電気抵抗(TEER)、又は蛍光標識化合物ルシファーイエローの見かけの透過性の測定により確認する。
【0197】
一連の試験及び選択マーカー化合物の見かけの透過性を、頂端から基底面方向における10mMの単一の濃度で2回重複で測定する。輸送調査は、頂端区画への試験化合物の添加により開始し、プレートは実験中、培養状態の下で維持する。30及び60分の曝露後の頂端区画及び最終的な基底面区画を回収し、試験化合物含有量についてLC-MS/MSにより解析する。各試験化合物の回復及び見かけの透過性を、これらのデータから算出する。適切な制御は、単層を特徴づけるために含まれる。基底面から頂端側への輸送実験を、ベラパミルなどのP-gp阻害剤の存在及び不在下においても実行する。
【0198】
(BH4類似体の生体利用効率)
この実施例は、BH4の類似体及びBH4で実行される、生体利用効率/薬物動態プロフィールの研究を記載する。薬物動態的研究の目的は、薬剤及び任意の代謝産物の全身的曝露に関する情報を提供することである。このデータは、薬理学的問題又は毒物学的問題を説明するために使用することができ、毒動力学的研究の設計を助けることもできる。薬物動態的パラメータ(例えばAUC、半減期、クリアランス及び分布容量)も測定する。
【0199】
研究の目的は、試験類似体化合物の潜在的経口利用可能性を評価し、統計近似値を介して薬物動態的パラメータを推定し、この種の値を変更のないBH4で得られた値と比較することである。単純な非GLP抽出及びLC-MS/MS分析法を血漿分析のために開発する。試験化合物の式及び構造情報を再調査し、血漿安定性を推定する。試験化合物が血漿において不安定である場合、方法を必要に応じて修飾する。研究は、試験化合物につき、3匹のいずれの性の健康なラットも含む。用量剤形を、水、生理食塩水、Tween、PEG若しくは同様のビヒクル中の試験化合物の溶液又は懸濁液により調製する。各試験化合物について、3匹のラットは1回の経口胃管栄養を介して与えられ、4つの時点(1、2、4、8時間)に血液を回収する。血漿における薬剤濃度を、LC-UV又はLC-MS(/MS)を使用して測定し、血漿濃度-時間曲線を規定する。Cmax、Tmax及び曲線下面積(AUC)などの薬物動態的パラメータを、WinNonlin(Pharsight社)を使用して概算する。
【0200】
マウスがラットの代わりに使用される場合、12匹のマウスが各試験化合物について使用される。サンプルは時点当たり3匹のマウスからとられ、薬物動態は時点当たりの平均血漿濃度データを使用して推定する。
【0201】
インビトロ代謝データを使用して、主要代謝産物の濃度も推定できる。親及び代謝産物についてのこれらのサンプルの研究期間及び分析の間の排泄物を集めることは、排泄の推定値を与える。
【0202】
(BH4プロドラッグの加水分解)
この実施例は、プロドラッグ(例えば、化合物I)の加水分解がインビボで発生することがあり得るかどうか、所望の生成物(BH4を含む)が形成されるかどうか、及び加水分解のキネティクスが合理的かどうか決定するためのアッセイを記載する。
【0203】
試験化合物(例えば、BH4のジエステル)(50uM)を、緩衝液(pH 6.8、20mM NaPhos、150mM NaCl)に溶解し、2mLの総容積に希釈する。エステラーゼ(0.1ユニット、シグマアルドリッチ、カルボキシエステラーゼE.C. 3.1.1.1)を加える。5分の時間点に、50ulの試料を反応溶液から取り出し、等量のクロロホルムで抽出する。12のクロロホルムサンプルを回収した後、各サンプルを、標準アセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸勾配を使用する標準C4カラムを有するHPLCに別々に注入する。エステル化のために使用する酸の産生は、エステル化のために使用する酸の純粋な標準曲線との比較により算出し、これは時間の関数としてのエステル化のために使われる酸の算出を可能にする。この線の傾斜が反応速度である。あるいは、水相を、C18カラム上の逆相HPLC方法を使用してアッセイし、遊離BH4を検出する。BH4の酸化傾向が与えられる場合、BH4の状態に関係なくエステル化のために使用する酸の検出が発生するので、これは好ましい選択肢であるかもしれない。
【0204】
スパイクされたBH4のエステル型の形態の、ヒト若しくは動物から得られる血液又は組織サンプルへの加水分解は、該組織から内因性エステラーゼに依存し、商業的に得られたエステラーゼを使用しない。この方法は、インビボで好ましい位置におけるエステル加水分解の可能性を決定するのを助ける。反応生成物の溶媒抽出法とそれに続くHPLC分析が要求される。
【0205】
血清サンプルをヒト又は動物から取得し、該血清を0.5Mのリン酸ナトリウム(pH 6.8)で希釈することにより、pHを合計20uMまで調整する。ジエステル化BH4(50uM)はpH調整血清に溶かし、エステラーゼ(0.1ユニット)を加える。5分の時間点に、50ul試料を反応溶液から取り出し、等量のクロロホルムにより抽出する。クロロホルム相を、BH4分析についてのエステル化分析及び/又は水相のために使用される酸のために回収する。12のサンプルが集められたあと、各サンプルを、ブタン酸分析のためのアセトニトリル/水/トリフルオロ酢酸勾配を使用する標準C4カラム、又はBH4分析のためのC18カラムを有するHPLCに注入する。エステル化又はBH4のために使用する酸の産生は、純粋な標準と比べることにより算出し、これは時間の関数としてエステル化又はBH4について使用される酸の算出を可能にする。この線の傾斜は反応速度である。
【0206】
(ラットに投与されるBH4類似体の薬物動態)
この実施例は、ラットにおける単一経口投与後の類似体(化合物I)対BH4の薬物動態の比較を可能にする。
【0207】
BH4(10及び100mg/kg)の一回量を、絶食の状態で雄のスプラーグドーリーラット(6週齢)の第一グループに経口投与した。化合物Iの一回量を、絶食の状態で雄のスプラーグドーリーラット(6週齢)の第一グループに経口投与した。
【0208】
投与されたBH4に関して、投与後2時間及び1時間の血漿における最大総ビオプテリン濃度は、それぞれ、108ng/ml(すなわち、内因性のレベルの約3倍)及び1227ng/ml(すなわち、内因性のレベルの約30倍)であった。その後、ビオプテリンは、約1.1時間の除去半減期(t1/2)を有し、10mg/kgの用量について投与後9時間に、及び100mg/kg用量については投与後24時間に、内因性のレベルに戻った。10及び100mg/kgの経口投与の後の生体利用効率(F)は、10mg/kgの静脈内投与の間、内因性のレベルを減算することによって得られた血漿濃度-時間曲線(AUC)下領域に基づき、それぞれ、6.8%及び11.8%であった。血漿における減少したビオプテリン対総ビオプテリンの比(すなわち、還元型比率)は、比較的静的であった(73%〜96%)。
【0209】
BH4の類似体を、同じように試験し、評価する。その増加した生体利用効率のため、AUC及びピーク(Cmax)は、BH4のそれより約50%良好である。生体利用効率は、類似体によって、BH4の生体利用効率より少なくとも15、20若しくは30%又はそれを上回り、500%超までである。
【0210】
(サルに投与されるBH4類似体の薬物動態)
絶食されたカニクイザルは、経口強制飼養(n=3)によってBH4及びBH4類似体を与えられ、該投与される類似体の量は80mgのBH4相当であった。直接投与される場合、BH4又は該類似体の血漿濃度を、25時間に渡って様々な時点にて測定した。結果として生じたPKデータを、図6に示す。PKデータは以下の表にも示し、括弧内の数は標準偏差である。
【表1】
【0211】
(胃腸管におけるBH4類似体の吸収)
胃腸吸収を、盲検交差研究でヒトにおいて評価する。
【0212】
特に明記しない限り、対象には、10時間の断食後に1、5及び10mg/kgの用量でテトラヒドロビオプテリン(BH4)又はBH4の類似体を与える。該研究の供給された脚部において、対象に、BH4又はBH4の類似体を投与する。血液サンプルを、投与0、0.5、1、2、3、4、6、8、12、24、48、72、96、120、144 時間後にヘパリン処理したバイアルに回収する。一回量及び相対的な生体利用効率研究のために、血漿サンプルを、投与0.25、0.75及び1.5時間後にも回収して総ビオプテリンをアッセイし、BH4又はBH4類似体いずれかの胃腸吸収の部位を評価する。
【0213】
対象に1、5及び10mg/kgの経口若しくは静脈用量のBH4又はBH4類似体を与え、それに続く血漿総量ビオプテリン濃度の連続測定により、血漿総量ビオプテリン濃度の増加(ΔCp)-時間曲線(ΔAUC)下面積から、胃腸管からのBH4又はBH4類似体吸収速度を決定する。静注で投与される場合、生体利用効率の同じレベルを成し遂げるために経口で投与されるBH4と比較すると、より低用量のBH4が要求されることが予想される。例えば、1mg/kgのBH4が静脈内投与されたのと同じ生体利用効率のレベルを成し遂げるために、10mg/kgのBH4の経口投与を必要とし得る。BH4の類似体は生体利用効率を強化するのに有用なので、それは、BH4の1mg/kgのIV投与と同じパーセント生体利用効率を達成するのと同じ生体利用効率のレベルを成し遂げるために、2.5mg/kgのみのBH4類似体を必要とし得る。
【0214】
胃腸管からのBH4又はBH4類似体吸収の速度は、以下の式を使用して、BH4又はBH4類似体の投与後における血漿総量ビオプテリン濃度増加(ΔCp)-時間曲線(ΔAUC)下面積から推定される:
【数1】
【0215】
BH4のいくつかの類似体は、活性なBH4を放出するのにより長い持続時間を必要とし得る。それゆえ、血中におけるBH4不在又は放出されたBH4の測定は、治療に利用可能であり得るBH4の総量を正確に反映することができない可能性がある。従って、類似体及びBH4全体の総濃度の測定には、該類似体及びBH4 の生体利用効率を調査し比較する目的のために、血中BH4レベルを正確に又はより精密に測定することが必要である。
【0216】
(BH4の代謝産物の測定)
ビオプテリンアッセイ:血漿、血液及び組織における総ビオプテリン及び酸化ビオプテリンの濃度を、Fukishimaらの文献(Anal. Biochem. 102:176 (1980))の方法に基づいて測定する。ビオプテリンは、2つの形態の還元型ビオプテリン、R-テトラヒドロビオプテリン(BH4)及びキノノイドR-ジヒドロビオプテリン(q-BH2)、並びに2つの形態の酸化型ビオプテリンであるジヒドロビオプテリン(BH2)及びビオプテリン(BP)を含む、4つの異なる形態を有する。もちろんこれら4つの形態は、還元形態のビオプテリンのみが補酵素活性を有する。還元型ビオプテリンは酸性条件下でのヨード化によりBPへと変換され、アルカリ条件下で還元型ビオプテリンはプテリンへと変換される。酸化型ビオプテリンは、酸性及びアルカリ条件下でのヨード化によりBPへと変換される。この性質の利点により、総ビオプテリンの量を酸性条件下でのヨード化時に測定し、酸化型ビオプテリンの量をアルカリ条件下でのヨード化時に測定し、このようにして還元型ビオプテリンの量をその量の差から計算する。補酵素として使用する場合、BH4をq-BH2に変換する。q-BH2はジヒドロプテリンレダクターゼによってBH4へとただちに変換され、又は還元されない場合、BH2又はDHPTに酸化される。インビボにおいてビオプテリンがq-BH2の形態で存在することは困難であるので、還元型ビオプテリンをBH4に置き換えることもある。
【0217】
回収される血漿及び全血試料は、酸性酸化溶液(0.6%のヨウ化カリウム(KI)、0.3%のヨウ素(I2)及び0.6Nトリクロロ酢酸(TCA)を含む0.6N HCl水溶液)、及びアルカリ酸化溶液(0.7N水酸化ナトリウム(NaOH))での酸化にただちに供する。BPの測定はHPLCにより実行し、放射能は液体シンチレーションカウンタを使用して測定する。
【0218】
タンデム型質量分析(LC/MS/MS)と連結された逆相HPLC(RP)を使用するBH4の測定:逆相高性能液体クロマトグラフィ(RP)及びタンデム型質量分析(LC/MS/MS)の組合せ使用は、ヒト血漿においてBH4について選択的であり、5〜1000ng/mLの範囲でBH4について感受性であることを示した。本方法は、回収及び貯蔵の間の酸化に起因する、BH4の約50%の転換に関連する。サンプルは、エチレンジアミン四酢酸(K 2 EDTA)の二カリウム塩で3ヵ月を超える間安定である。前処理工程からの回収は、約75%である。本方法の精度(accuracy)及び精度(precision)は、15%未満の変動係数(CV)%(定量化の下限(LLOQ)の20%)を有することが決定された。
【0219】
HPLC及びタンデム型質量分析の組合せ使用は、(1)その薬剤-BH4についての選択性の増加(HPLCは総ビオプテリンを測定する)、(2)より幅広い定量的範囲、(3)確立された転換定量、(4)広範囲な特徴づけ及び証明されたヒト対象での有用性、並びに(5)異なる種及び基質の新規及び有用な測定、について、BH4試験物品を測定する際にHPLC単独を超える改善を示した。
【0220】
改良方法は、血液(血漿)の以降の工程群を含む。血液、血漿、組織ホモジェネート、又は尿のサンプルを、酸性又はアルカリ性酸化に供する。酸性酸化と共に、(1)サンプルを、塩化カリウム(KCl)、塩酸(HCl)又はTCAで1時間処理する;(2)酸性酸化された試料を、それからヨードメトリーに供する;(3)該サンプルを、イオン交換カラムに通す;(4)BH4、q-BH2(測定された還元型ビオプテリンが主にBH4に基づくように、インビボでBH4にただちに還元する)、BH2及びBPを含む総ビオプテリンを、HPLC及びタンデム型質量分析を使用して測定する。アルカリ性酸化と共に、(1)サンプルを、KI、I2又はNaOHで1時間処理する;(2)アルカリ性酸化されたサンプルを、それからHCl又はTCAとの酸化に供する; (3)ヨードメトリーに供する;(4)該サンプルを、イオン交換カラムに通す;(5)BH2及びBPを含む酸化型ビオプテリンを測定する; (6)異なる種を、HPLC及びタンデム型質量分析を使用して測定する;及び、 (7)還元型ビオプテリン(BH4 + q-BH2)の量を、総ビオプテリンから酸化型を差し引いた差として計算する。
【0221】
ビオプテリン測定の流れ図、及びアッセイ妥当性検証の概要を図1及び2に示す。
【0222】
(最適化されたアッセイ)
電気化学検出(ECD)及び蛍光(FL)検出を使用するHPLC方法は、個々のビオプテリン化合物(BH4、BH2及びB)並びにプロドラッグなどの類似体形態(例えば、Val-BH4、Val-BH2及びVal-B)のそれぞれの測定を可能にするので有利である。
【0223】
異なるビオプテリン(BH4、BH2及びB)及びVal-ビオプテリンの濃度は、初めに分離のための逆相HPLCを、続けてECD及びFL検出を使用することにより測定する。BH4及びVaI-BH4はECDを使用して測定し、そこにおいて、BH4及びVal-BH4が、電極1によりキノノイドジヒドロビオプテリン形態(それぞれ、qBH2又はVal-qBH2)、短寿命ジヒドロビオプテリン中間体に酸化され、その後電極2でBH4又はVal-BH4に再び還元される。検出器はそれから、この還元反応によって発生する電流を使用して、それぞれ、BH4又はVal-BH4の濃度を決定する。BH2、Val-BH2、B及びVal-Bを蛍光検出で測定する。最適可能性の調節孔辺細胞を使用するBH2及びVal-BH2のポストカラム酸化は、BH2及びVal-BH2を、それぞれB及びVal-Bに酸化させる。ポストカラム酸化は、BH2(及び他の種)がビオプテリン(B)に酸化される工程である。これは、BH2が蛍光的に活性ではなく又は容易に測定されず、蛍光を使用して容易に測定されるビオプテリンに変換されなければならないことから望ましい。合計で、本方法は、6種(BH4、BH2、B、Val-BH4、Val-BH2及びVal-B)を測定するために使用することができる。バリンビオプテリン誘導体などのビオプテリン類似体は、好ましくは10%のMeOH含有移動層を使用して測定され、ビオプテリンは好ましくは2%のMeOH含有移動層を使用して測定される。
【0224】
従って、ビオプテリン種の混合物中のビオプテリンを検出する方法は、(a)逆相HPLCによって混合物中のビオプテリン種を分離すること、並びに、BH4及びその類似体の場合、(b1)第1の電極の近傍に存在するBH4及びその類似体をキノノイドジヒドロビオプテリン形態へと酸化させ、それに続き第2の電極に存在する該キノノイド形態をBH4及びその類似体へと再び還元することにより電気化学的検出を実行すること、及び該還元反応によって生成した電流を測定して種の濃度を決定すること;及び/又は(b2)BH2、その類似体、ビオプテリン、又はその類似体の場合、BH2種のビオプテリンへのポストカラム酸化の後の蛍光検出でこのような種を測定すること;を含み得る。
【0225】
実施例5の化合物を、緩衝液において及びこのアッセイを使用する抽出により検出できる。実施例5の化合物を投与したカニクイザルからのこのアッセイを使用するBH4、BH2及びBの予備測定は、生体利用効率の大きな増加を示す(図12を参照されたい)。図12において、約5分でのピークはBH4に特徴的であり、該5分でのピークの高さはサルにBH4を投与した場合に観測された高さよりも数倍高い。ピークの高さ及び面積は濃度を表す。実施例5の化合物での投与2時間後のサルからの実施例5の化合物についてこの検査法を使用する予備測定は、我々が実施例5の化合物を検出できないことを示す。実施例5の化合物がまだ存在する場合、アッセイの更なる最適化が検出を可能にし得るので、検出の不足は、必ずしも決定的であるというわけではないが、この時点で、投与後2時間の血漿における実施例5の化合物の欠乏の確証を示す。
【0226】
(一酸化窒素産生におけるBH4類似体の効果)
培養ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を、3mMのN-アセチルセロトニン(NAS)(酵素セピアプテリンレダクターゼの阻害剤)で前処理した。この経路の阻害は、典型的には内因性BH4の減少を結果的に生じ、正常をはるかに下回って内因性eNOS活性を抑制し、eNOS活性の回復を試験するアッセイを提供する。
【0227】
従って、サブコンフルエントなHUVECを24穴プレートに播種し、EGM2培地(完全増殖培地)で一晩培養した。翌朝、新しい培地を細胞(300μL/ウエル)に加え、内因性のBH4レベルを減少させるために3mMのNASを該細胞に加えた。1.5時間のインキュベーション後、50、100若しくは200mMのBH4、又は実施例5、実施例6、実施例7若しくは実施例9の化合物を該細胞に加えた。該細胞を、BH4、又は実施例5、実施例7若しくは実施例9の化合物と5〜22時間反応させた。NOの産生をそれから、硝酸レダクターゼ処理の後のグリース反応による総量(亜硝酸塩+硝酸塩)の変化として測定した。亜硝酸塩+硝酸塩のBH4、又は実施例5、実施例7若しくは実施例9の化合物とのパーセンテージを、図7(5時間後);図8(17時間後);及び図9(22時間後);に示す。実施例6の結果を、図10(5時間後)及び図11(20時間後)に示す。
【0228】
NAS処理細胞に対する実施例5、6、7又は9の化合物の添加は、用量依存的様式でNO産生を増加させた。加えて、実施例5の化合物での細胞の処理はおよそ60%〜80%を産生し、BH4の効果は、該類似体が細胞内部で非エステル化されて活性なBH4を産生することを示唆した。実施例6、7及び9の化合物は、わずかに還元される場合、NAS処理細胞に類似の効果を有した。
【0229】
実施例5の化合物は、所望のインビトロ薬理学的活性(培養内皮細胞の内皮一酸化窒素シンターゼからの亜硝酸塩産生の刺激)を有し、この細胞培養系における遊離BH4によって与えられる反応の約60%〜80%を送達する。傾向は、5時間又は22時間の曝露後類似し;22時間後に類似体及び遊離BH4のもう少しの違いがあった。これらの結果は、内皮細胞が、活性な遊離BH4を産生する際に援助できるエステラーゼを含むことを示唆する。
【0230】
関連した部分において、前述の全ての刊行物は、参照により本願明細書に引用される。いかなる刊行物の引用も、それが開示発明に関連する従来技術を構成するという承認として解釈されるべきではない。
【0231】
上記記載は理解の明確化のみのために与えられ、本発明の範囲内の修飾がそれらの当業者にとって明らかであり得るので、不必要な限定がそこから理解されるべきではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】
又はその医薬として許容し得る塩
(式中、R3、R4、R5、R6、及びR7は全て水素であり;かつ、
R1及びR2は共にare -C(Rc)Rd-であって5員環を形成し、又はR1及びR2 は独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C3-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C 2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、C(O)SRa、又はアミノ酸誘導体であり、但しR1及びR2は両方ともが水素、C(O)H、グルコシル、アミノグルコシル、ベンジルオキシ、又は同じC(O)C1-10アルキルではないことを条件とし;
Ra及びRbは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2 -40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、ポリエチレングリコール、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールであり;かつ、
Rc及びRdは共にオキソであるか、又はRc及びRdは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロアルキル,C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1- 40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールである。)。
【請求項2】
R1及びR2が、アミノ酸誘導体又は水素から独立に選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1がアミノ酸誘導体から選択され、かつR2が水素である、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
R2がアミノ酸誘導体から選択され、かつR1が水素である、請求項2記載の化合物。
【請求項5】
R1又はR2がバリルアミノ酸部分を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
式Iの化合物:
【化2】
又はその医薬として許容し得る塩
(式中、R1、R2、R5、R6、及びR7は全て水素であり;かつ、
R3及びR4は独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C2-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(0)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、C(O)SRa、又はアミノ酸誘導体であり、但し、R3が水素である場合にR4は水素又はリボースでなく、かつ、R4が水素である場合にR3が水素、C(O)H、アセタート、ヒドロキシメチル、又はアミノアルキルではないことを条件とし、かつ、
Ra及びRbは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、ポリエチレングリコール、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールである。)。
【請求項7】
式Iの化合物:
【化3】
又はその医薬として許容し得る塩
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は全てが水素であり;かつ、
R6、及びR7は独立に、水素、C5-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、又はC(O)SRaであり、但し、R6が水素である場合にR7がメチル、CH2(CH2)4CO2H、又はCH2CH2-アリールではなく、及び、R7が水素である場合にR6が水素でないことを条件とし、かつ、
Ra及びRbは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、ポリエチレングリコール、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールである。)。
【請求項8】
式Iの化合物:
【化4】
又はその医薬として許容し得る塩
(式中、R1、R2、R3、R4、R6、及びR7は全て水素であり;かつ、
R5はC3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C 2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、又はC(O)SRaであり、かつ、
Ra及びRbは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、ポリエチレングリコール、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールである。)。
【請求項9】
【化5】
からなる群から選択される式を有する化合物又はその医薬として許容し得る塩。
【請求項10】
(a)請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物;及び
(b)任意にそのための医薬として許容し得る希釈剤又は担体;
を含む組成物。
【請求項11】
BH4反応性状態に苦しむ個人を治療する方法であって、該個人に、請求項1〜10のいずれか1項記載の治療上有効量の化合物又は組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項12】
前記治療上有効量が血管拡張を増加させる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記治療上有効量が、NO血清又は尿レベルを上昇させる、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記治療上有効量が、BH4-応答性患者において平均で少なくとも約5mmHgまでで血圧を減少させる、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記治療上有効量が、前記個人の血管拡張を増加させる、請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記BH4反応性状態が、高血圧症、末梢動脈性疾患、間欠跛行、重症虚血肢、心不全、アテローム性動脈硬化症、内皮機能不全、血管疾患、タイプI糖尿病に伴う内皮機能不全、タイプII糖尿病、糖尿病性網膜症、メタボリックシンドローム及び糖尿病ネフロパシからなる群から選択される状態である、請求項11記載の方法。
【請求項17】
前記BH4反応性状態が血管疾患である、請求項11記載の方法。
【請求項18】
前記血管疾患が、末梢血管疾患、間欠跛行、冠状動脈疾患、高コレステロール血症に伴う血管疾患、喫煙に伴う血管疾患、高血圧症、不応性又は非制御性高血圧症、肺動脈高血圧、特発性肺高血圧、新生児の肺高血圧(PPHN)、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、脳卒中後血管痙攣、心筋梗塞、虚血-再灌流損傷、うっ血性心不全、移植後虚血-再灌流損傷、移植後脈管損傷、血管痙攣、血栓形成、血栓症、凝血及び凝固からなる群から選択される疾患である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記BH4反応性状態が、溶血又は鎌状赤血球貧血に関連した溶血性貧血である、請求項11記載の方法。
【請求項20】
前記BH4反応性状態が、神経精神医学的障害である、請求項11記載の方法。
【請求項21】
前記神経精神医学的障害が、パーキンソン病、注意欠陥多動障害、双極疾患、自閉症、うつ病及びジストニアからなる群から選択される障害である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記BH4反応性状態が、BH4欠乏に伴う神経精神医学的障害である、請求項11記載の方法。
【請求項23】
前記BH4反応性状態が、チロシンヒドロキシラーゼ機能の減少又はトリプトファンヒドロキシラーゼ機能の減少に関連した神経精神医学的障害である、請求項11記載の方法。
【請求項24】
前記治療上有効量が、チロシンヒドロキシラーゼ機能又はトリプトファンヒドロキシラーゼ機能を増加させる、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記治療上有効量が、BH4反応性患者におけるL-Dopa又はセロトニンの神経伝達物質レベルを増加させる、請求項11記載の方法。
【請求項26】
前記BH4反応性状態が、高血圧症、高脂血症、肥満度指数の増加、インスリン耐性又はそれらの組み合わせに関連したメタボリックシンドロームである、請求項11記載の方法。
【請求項27】
前記BH4反応性状態が高フェニルアラニン血症である、請求項11記載の方法。
【請求項28】
前記高フェニルアラニン血症が、軽度のフェニルケトン尿症、古典的なフェニルケトン尿症、重度のフェニルケトン尿症、非定型又は悪性フェニルケトン尿症、BH4欠乏に伴う高フェニルアラニン血症、肝臓疾患に伴う高フェニルアラニン血症、及びマラリアに伴う高フェニルアラニン血症からなる群から選択される、請求項11記載の方法。
【請求項29】
前記化合物を経口投与することをさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項30】
前記化合物の約0.1mg/kg〜約50mg/kgの1日用量を経口投与することを更に含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
毎日単回投与で前記化合物を経口投与することを更に含む、請求項29記載の方法。
【請求項32】
毎日複数回投与で前記化合物を経口投与することを更に含む、請求項29記載の方法。
【請求項33】
前記個人が、前記化合物の投与なしで、1000μMを超える血漿フェニルアラニン濃度を有する、請求項11記載の方法。
【請求項34】
前記化合物の投与が、前記個人における血漿フェニルアラニン濃度を600μM未満まで減少させる、請求項33記載の方法。
【請求項35】
ビオプテリン種の混合物中のビオプテリンを検出する方法であって、逆相HPLCによって該混合物中のビオプテリンを分離すること、並びにBH4及びその類似体の場合、第1の電極の近傍に存在するBH4及びその類似体をキノノイドジヒドロビオプテリン形態に酸化させることによって電気化学的検出を実行すること、これに続き第2の電極に存在する該キノノイド形態をBH4及びその類似体に再び還元すること、並びに該還元反応によって生じた電流を測定して該種の濃度を決定すること、並びに/又はBH2、その類似体、ビオプテリン、若しくはその類似体の場合、当該種をBH2種のビオプテリンへのポストカラム酸化後の蛍光検出で測定することを含む、前記方法。
【請求項36】
ビオプテリン類似体が10% MeOH含有移動層を使用して測定される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記ビオプテリンが、2% MeOHにおいて2% MeOH含有移動層を使用して測定される、請求項35又は36記載の方法。
【請求項38】
本明細書に開示されるビオプテリンの検出及び/又は測定方法。
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】
又はその医薬として許容し得る塩
(式中、R3、R4、R5、R6、及びR7は全て水素であり;かつ、
R1及びR2は共にare -C(Rc)Rd-であって5員環を形成し、又はR1及びR2 は独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C3-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C 2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、C(O)SRa、又はアミノ酸誘導体であり、但しR1及びR2は両方ともが水素、C(O)H、グルコシル、アミノグルコシル、ベンジルオキシ、又は同じC(O)C1-10アルキルではないことを条件とし;
Ra及びRbは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2 -40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、ポリエチレングリコール、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールであり;かつ、
Rc及びRdは共にオキソであるか、又はRc及びRdは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロアルキル,C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1- 40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールである。)。
【請求項2】
R1及びR2が、アミノ酸誘導体又は水素から独立に選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1がアミノ酸誘導体から選択され、かつR2が水素である、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
R2がアミノ酸誘導体から選択され、かつR1が水素である、請求項2記載の化合物。
【請求項5】
R1又はR2がバリルアミノ酸部分を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
式Iの化合物:
【化2】
又はその医薬として許容し得る塩
(式中、R1、R2、R5、R6、及びR7は全て水素であり;かつ、
R3及びR4は独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C2-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(0)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、C(O)SRa、又はアミノ酸誘導体であり、但し、R3が水素である場合にR4は水素又はリボースでなく、かつ、R4が水素である場合にR3が水素、C(O)H、アセタート、ヒドロキシメチル、又はアミノアルキルではないことを条件とし、かつ、
Ra及びRbは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、ポリエチレングリコール、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールである。)。
【請求項7】
式Iの化合物:
【化3】
又はその医薬として許容し得る塩
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は全てが水素であり;かつ、
R6、及びR7は独立に、水素、C5-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、又はC(O)SRaであり、但し、R6が水素である場合にR7がメチル、CH2(CH2)4CO2H、又はCH2CH2-アリールではなく、及び、R7が水素である場合にR6が水素でないことを条件とし、かつ、
Ra及びRbは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、ポリエチレングリコール、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールである。)。
【請求項8】
式Iの化合物:
【化4】
又はその医薬として許容し得る塩
(式中、R1、R2、R3、R4、R6、及びR7は全て水素であり;かつ、
R5はC3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C 2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンアリール、C(O)C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)NRaRb、C(O)ORa、又はC(O)SRaであり、かつ、
Ra及びRbは独立に、水素、C3-8シクロアルキル、C1-40アルキル、C1-40置換アルキル、C3-8ヘテロシクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキレンアリール、アルキレンヘテロアリール、C3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニル、C2-40置換アルケニル、C3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、C2-40アルケニレンアリール、C2-40アルケニレンヘテロアリール、C(O)H、C(O)C3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキル、C(O)C1-40置換アルキル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8シクロアルキル、C(O)C1-40アルキレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)アリール、C(O)ヘテロアリール、C(O)アルキレンアリール、C(O)アルキレンヘテロアリール、C(O)C3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニル、C(O)C2-40置換アルケニル、C(O)C3-8ヘテロシクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8シクロアルケニル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルキル、C(O)C2-40アルケニレンC3-8ヘテロシクロアルケニル、ポリエチレングリコール、C(O)C2-40アルケニレンアリール、又はC(O)C2-40アルケニレンヘテロアリールである。)。
【請求項9】
【化5】
からなる群から選択される式を有する化合物又はその医薬として許容し得る塩。
【請求項10】
(a)請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物;及び
(b)任意にそのための医薬として許容し得る希釈剤又は担体;
を含む組成物。
【請求項11】
BH4反応性状態に苦しむ個人を治療する方法であって、該個人に、請求項1〜10のいずれか1項記載の治療上有効量の化合物又は組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項12】
前記治療上有効量が血管拡張を増加させる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記治療上有効量が、NO血清又は尿レベルを上昇させる、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記治療上有効量が、BH4-応答性患者において平均で少なくとも約5mmHgまでで血圧を減少させる、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記治療上有効量が、前記個人の血管拡張を増加させる、請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記BH4反応性状態が、高血圧症、末梢動脈性疾患、間欠跛行、重症虚血肢、心不全、アテローム性動脈硬化症、内皮機能不全、血管疾患、タイプI糖尿病に伴う内皮機能不全、タイプII糖尿病、糖尿病性網膜症、メタボリックシンドローム及び糖尿病ネフロパシからなる群から選択される状態である、請求項11記載の方法。
【請求項17】
前記BH4反応性状態が血管疾患である、請求項11記載の方法。
【請求項18】
前記血管疾患が、末梢血管疾患、間欠跛行、冠状動脈疾患、高コレステロール血症に伴う血管疾患、喫煙に伴う血管疾患、高血圧症、不応性又は非制御性高血圧症、肺動脈高血圧、特発性肺高血圧、新生児の肺高血圧(PPHN)、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、脳卒中後血管痙攣、心筋梗塞、虚血-再灌流損傷、うっ血性心不全、移植後虚血-再灌流損傷、移植後脈管損傷、血管痙攣、血栓形成、血栓症、凝血及び凝固からなる群から選択される疾患である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記BH4反応性状態が、溶血又は鎌状赤血球貧血に関連した溶血性貧血である、請求項11記載の方法。
【請求項20】
前記BH4反応性状態が、神経精神医学的障害である、請求項11記載の方法。
【請求項21】
前記神経精神医学的障害が、パーキンソン病、注意欠陥多動障害、双極疾患、自閉症、うつ病及びジストニアからなる群から選択される障害である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記BH4反応性状態が、BH4欠乏に伴う神経精神医学的障害である、請求項11記載の方法。
【請求項23】
前記BH4反応性状態が、チロシンヒドロキシラーゼ機能の減少又はトリプトファンヒドロキシラーゼ機能の減少に関連した神経精神医学的障害である、請求項11記載の方法。
【請求項24】
前記治療上有効量が、チロシンヒドロキシラーゼ機能又はトリプトファンヒドロキシラーゼ機能を増加させる、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記治療上有効量が、BH4反応性患者におけるL-Dopa又はセロトニンの神経伝達物質レベルを増加させる、請求項11記載の方法。
【請求項26】
前記BH4反応性状態が、高血圧症、高脂血症、肥満度指数の増加、インスリン耐性又はそれらの組み合わせに関連したメタボリックシンドロームである、請求項11記載の方法。
【請求項27】
前記BH4反応性状態が高フェニルアラニン血症である、請求項11記載の方法。
【請求項28】
前記高フェニルアラニン血症が、軽度のフェニルケトン尿症、古典的なフェニルケトン尿症、重度のフェニルケトン尿症、非定型又は悪性フェニルケトン尿症、BH4欠乏に伴う高フェニルアラニン血症、肝臓疾患に伴う高フェニルアラニン血症、及びマラリアに伴う高フェニルアラニン血症からなる群から選択される、請求項11記載の方法。
【請求項29】
前記化合物を経口投与することをさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項30】
前記化合物の約0.1mg/kg〜約50mg/kgの1日用量を経口投与することを更に含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
毎日単回投与で前記化合物を経口投与することを更に含む、請求項29記載の方法。
【請求項32】
毎日複数回投与で前記化合物を経口投与することを更に含む、請求項29記載の方法。
【請求項33】
前記個人が、前記化合物の投与なしで、1000μMを超える血漿フェニルアラニン濃度を有する、請求項11記載の方法。
【請求項34】
前記化合物の投与が、前記個人における血漿フェニルアラニン濃度を600μM未満まで減少させる、請求項33記載の方法。
【請求項35】
ビオプテリン種の混合物中のビオプテリンを検出する方法であって、逆相HPLCによって該混合物中のビオプテリンを分離すること、並びにBH4及びその類似体の場合、第1の電極の近傍に存在するBH4及びその類似体をキノノイドジヒドロビオプテリン形態に酸化させることによって電気化学的検出を実行すること、これに続き第2の電極に存在する該キノノイド形態をBH4及びその類似体に再び還元すること、並びに該還元反応によって生じた電流を測定して該種の濃度を決定すること、並びに/又はBH2、その類似体、ビオプテリン、若しくはその類似体の場合、当該種をBH2種のビオプテリンへのポストカラム酸化後の蛍光検出で測定することを含む、前記方法。
【請求項36】
ビオプテリン類似体が10% MeOH含有移動層を使用して測定される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記ビオプテリンが、2% MeOHにおいて2% MeOH含有移動層を使用して測定される、請求項35又は36記載の方法。
【請求項38】
本明細書に開示されるビオプテリンの検出及び/又は測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−515747(P2010−515747A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545660(P2009−545660)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/050637
【国際公開番号】WO2008/089008
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(509193898)ビオマリン プハルマセウトイカル インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/050637
【国際公開番号】WO2008/089008
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(509193898)ビオマリン プハルマセウトイカル インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】
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