説明

テルミサルタンとヒドロクロロチアジドを含む併用療法

アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、又はアンギオテンシンII受容体アンタゴニストと低用量のヒドロクロロチアジドによる治療では十分に血圧が低下しない患者の高血圧を治療するための、約80mgのテルミサルタンと約25mgのヒドロクロロチアジド、又は約160mgのテルミサルタンと約50mgのヒドロクロロチアジドを含む、医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、活性成分として約80mgのアンギオテンシンII受容体アンタゴニスト(ARB)テルミサルタンと、約25mgの利尿薬ヒドロクロロチアジド(HCTZ)とを含む医薬組成物及び約160mgのテルミサルタンと約50mgのヒドロクロロチアジドを含み、かつ半分に分割できる医薬組成物に関する。本組成物は、アンギオテンシンII受容体アンタゴニストによるか、又はアンギオテンシンII受容体アンタゴニストと低用量のヒドロクロロチアジドの医薬組成物による治療では、レニンの低い血漿レベルのため、十分に血圧が低下しない患者の高血圧を治療するために使用される。
【0002】
〔発明の背景〕
白色乃至わずかに黄色がかった固体であるテルミサルタンは、EP-A-502314で開示されているように、高血圧及び他の医療適応症の治療のために開発されたアンギオテンシンII受容体アンタゴニストである。これは、化学的に4'-[(1,4'-ジメチル-2'-プロピル[2,6'-ビ-1Hベンゾイミダゾール]-1'-イル)メチル]-[1,1'-ビフェニル]-2-カルボン酸又は4'-[2-n-プロピル-4-メチル-6-(1-メチルベンゾイミダゾール-2-イル)-ベンゾイミダゾール-1-イルメチル]-ビフェニル-2-カルボン酸と表される非ペプチド分子である。その実験式は、C33H30N4O2で、その分子量は514.63であり、その構造式は以下のとおりである。
【0003】
【化1】

【0004】
テルミサルタンは、遊離酸の形態で製造かつ供給される。テルミサルタンは、pH1〜7という胃腸管の生理学的pH範囲の水系では非常に低い溶解度を特徴とする。WO 00/43370で開示されているように、結晶性テルミサルタンは、異なる融点をもつ2つの多形型で存在する。熱と湿気の影響下では、より低い融点の多形体Bが、より高い融点の多形体Aに不可逆的に変換する。
分子量297.74の白色で無臭の結晶性粉末ヒドロクロロチアジド(HCTZ)は、浮腫及び高血圧の治療で使用される利尿薬である。ヒドロクロロチアジドは、化学的に6-クロロ-3,4-ジヒドロ-2H-1,2,4-ベンゾチアジアジン-7-スルホンアミド-1,1-ジオキシドと表される。その実験式はC7H8ClN3O4S2で、その構造式は以下のとおりである。





【0005】
【化2】

【0006】
〔発明の目的〕
高血圧と心臓血管に関する罹患率及び死亡率との間には顕著な関係、すなわち高血圧の場合、心筋梗塞、心不全、脳卒中、又は腎臓疾患の高いリスクが存在する。年齢が40〜70歳の個体において、収縮期血圧で20mmHg又は拡張期血圧で10mmHg増加すると、心臓血管疾患のリスクが二倍になる。従って、140/90mmHg未満の目標血圧が推奨され、糖尿病又は慢性腎臓疾患のような合併症(co-morbidities)を伴う患者の場合は、130/80mmHg未満というさらに低い目標が推奨される。
【0007】
多くの患者は、この目標を達成するために2種以上の抗高血圧薬を必要とする。可能な併用相手の一方はチアジド-利尿薬であり、この薬剤は塩と水の排出を促進しうる。アンギオテンシン-II-受容体アンタゴニスト(ARB)とHCTZの併用では、相乗的なBP-低下効果が報告されており、さらにARB治療をしてもさらに副作用をもたらすことはほとんどない。入手可能な併用製品は、ARBを低用量のHCTZ又は高用量のHCTZと併用する。ここで、低用量は15mg未満、好ましくは1.25mg未満のHCTZを意味し、高用量は15mgより多く、好ましくは25mgより多いHCTZを意味する。不運なことに、亜群の高血圧患者は、ARB又はARBと低用量の利尿薬の併用療法による治療ではあまり十分に応答しない。すなわち、特に合併症を伴う患者に対する最近の指針で示唆されているように、すべての患者で目標の血圧レベルが達成されるわけでないことを意味する。病気に冒された患者では、低い血漿レニンレベル(PRA)が観察されることが多い。レニンは、体のナトリウム-カリウムバランス、液量、及び血圧の制御を助けるため腎臓によって放出される酵素である。日常実験室アッセイでレニンを測定することは困難なので、PRA試験では実際にレニン自体は測定されない。最も一般的に用いられるレニンアッセイでは、ラジオイムノアッセイと呼ばれる手順によって、その試験が実際に単位時間当たりのアンギオテンシンI生成の割合を測定し、血漿レニン濃度(PRC)が最大のレニン作用を測定する。PRAとPRCは両方とも測定が難しい。レニン自体が不安定であるのみならず、患者の体位及び一日のうちの時間が結果に影響する。また、サンプルは正確に収集し;冷却注射器及び収集チューブに引き入れ、氷上に置き、実行する実験室に即座に送らなければならない。すべての手順に従ったとしても、結果は有意に変わりうる。
【0008】
本発明は、一日用量80mgのテルミサルタンを、12.5mgではなく、25mgのヒドロクロロチアジドと併用して投与すると、テルミサルタン又は別のARB、例えばカンデサルタンシレキセチル、エプロサルタン、イルベルサルタン、ロサルタン、オルメサルタン(olmesartan)、プラトサルタン(pratosartan)、リピサルタン(ripisartan)、テルミサルタン、バルサルタン(valsartan)若しくはゾラサルタン(zolasartan)又はそれら(テルミサルタンを含む)の組合せと低用量の利尿薬HCTZで治療した患者に比し、応答者の割合が予想外に非常に増えるという驚きべき知見に基づいている。従って、本発明の目的は、ARB又はARBと低用量の利尿薬HCTZではその血圧が十分制御されなかった患者のさらなる治療選択肢を提供することである。前記選択肢は、80mgのテルミサルタンと25mgのヒドロクロロチアジドを含む医薬組成物、又は約160mgのテルミサルタンと約50mgのヒドロクロロチアジドを含み、かつ半分に分割できる医薬組成物の製造を含む。
【0009】
〔定義〕
本明細書では、用語“実質的に非晶質”は、X線粉末回折測定で決定した場合、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の比率で非晶質成分を含む製品を指す。
用語“溶解性錠剤マトリックス”は、生理的水性媒体中で容易に溶解するという即時放出(高速溶解)特性を有する医薬錠剤ベース製剤を指す。
用語“崩壊性錠剤マトリックス”は、生理的水性媒体中で容易に崩壊するという即時放出特性を有する医薬錠剤ベース製剤を指す。
【0010】
〔発明の説明〕
本発明は、活性成分として約80mgのアンギオテンシンII受容体アンタゴニストテルミサルタンと約25mgの利尿薬ヒドロクロロチアジドを含む、高血圧の治療法で使用できる医薬組成物、並びに活性成分として約160mgのテルミサルタンと約50mgのヒドロクロロチアジドを含み、かつ半分に分割できる高血圧治療用の別の医薬組成物を含む。
活性成分テルミサルタンは、一般的にその遊離酸形態で供給されるが、ナトリウム塩などの医薬的に許容しうる塩も使用しうる。その後の加工時に通常テルミサルタンは溶解して実質的に非晶質の形態に変換するので、その最初の結晶形と粒径は、該医薬製剤の物理的及び生物薬剤的な特性にとってあまり重要でないことが多い。しかし、さらなる加工の際に湿潤及び溶解を容易にするため、出発原料由来の集塊を例えば篩い分けによって除去することが好ましい。
【0011】
利尿薬は、通常、微結晶性粉末、任意的に微粉砕、ペグ粉砕又はミクロ化形態として用いられる。例えば乾燥分散系におけるレーザー光散乱法で決定した場合(Sympatec Helos/Rodos, 焦点距離100mm)、ヒドロクロロチアジドの粒度分布は、好ましくは以下のとおりである。
d10:≦20μm、好ましくは2〜10μm
d50:5〜50μm、好ましくは10〜30μm
d90:20〜100μm、好ましくは40〜80μm
【0012】
上記医薬組成物の好ましい態様は錠剤又はカプセル剤である。特に好ましくは即時放出(高速溶解)特性を有する溶解性錠剤マトリックス中にテルミサルタンを含んでなる第1錠剤層と、崩壊性錠剤マトリックス中に活性成分HCTZを含んでなる別個の第2錠剤層とから成る二層錠剤である。溶解性錠剤マトリックスは中性又は塩基性でよいが、塩基性錠剤マトリックスが好ましい。
【0013】
便宜上、本発明の組成物は、実質的に非晶質の形態のテルミサルタンを含み、当業者に周知のいずれの適切な方法によっても、例えば水溶液の凍結乾燥、流動床での担体粒子のコーティング、及び糖ペレット若しくは他の担体上の溶媒沈着によって製造される。しかし、好ましくは、実質的に非晶質のテルミサルタンは、WO03/059327に記載されている噴霧-乾燥法で調製される。
さらに、本発明の組成物は、好ましくは不活性成分として水酸化ナトリウム、メグルミン、ポビドン、ソルビトール、ステアリン酸マグネシウム、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、トウモロコシデンプン及びナトリウムデンプングリコレートを含む。
テルミサルタン錠剤層の溶解性マトリックスは、塩基性薬剤、水溶性希釈剤を含み、かつ任意に他の賦形剤及びアジュバントを含んでよい。
【0014】
好適な塩基性薬剤の具体例は、アルカリ金属の水酸化物、例えばNaOH及びKOH;塩基性アミノ酸、例えばアルギニン及びリジン;並びにメグルミン(N-メチル-D-グルカミン)であり、NaOH及びメグルミンが好ましい。
好適な水溶性希釈剤の具体例は、炭水化物、例えばグルコース等の単糖類;スクロース、無水ラクトース及びラクトース一水和物等のオリゴ糖類;及びソルビトール、マンニトール、エリスロール及びキシリトール等の糖アルコール類である。ソルビトールが好ましい希釈剤である。
他の賦形剤及び/又はアジュバントは、例えば、結合剤、担体、充填剤、潤沢剤、流れ調整剤、結晶化遅延剤、可溶化剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤及び乳化剤であり、具体例は、第2錠剤層と共に後述する。テルミサルタン錠剤層組成物用の賦形剤及び/又はアジュバントは、好ましくは非酸性の高速溶解性錠剤マトリックスが得られるようなものから選択される。
【0015】
このような第1錠剤層組成物は、一般的に3〜50wt.%、好ましくは5〜35wt.%の活性成分;0.25〜20wt.%、好ましくは0.40〜15wt.%の塩基性薬剤;及び30〜95wt.%、好ましくは60〜80wt.%の水溶性希釈剤(充填剤)を含む。
他の(任意の)成分は、例えば、指定量の以下の賦形剤及び/又はアジュバントの1種以上から選択される。
10〜30wt.%、好ましくは15〜25wt.%の結合剤、担体及び充填剤(これにより水溶性希釈剤を置き換える);
0.1〜5wt.%、好ましくは0.5〜3wt.%の潤沢剤;
0.1〜5wt.%、好ましくは0.3〜2wt.%の流れ調整剤;
1〜10wt.%、好ましくは2〜8wt.%の結晶化遅延剤;
1〜10wt.%、好ましくは2〜8wt.%の可溶化剤;
0.05〜1.5wt.%、好ましくは0.1〜0.8wt.%の着色剤;
0.5〜10wt.%、好ましくは2〜8wt.%のpH調整剤;
0.01〜5wt.%、好ましくは0.05〜1wt.%の界面活性剤及び乳化剤。
【0016】
このようなテルミサルタン錠剤層は、テルミサルタンと塩基性薬剤を含む水溶液を噴霧-乾燥させて噴霧-乾燥顆粒を製造し、前記噴霧-乾燥顆粒を水溶性希釈時と混合してプレミックスを製造し、前記プレミックスを潤沢剤と混合して最終ブレンドを製造し、かつ前記最終ブレンドを圧縮して第1錠剤層を形成することによって製造される。
【0017】
高速崩壊性錠剤マトリックス中にHCTZを含んでなる別個の第2錠剤層は、好ましくは1種以上の充填剤、結合剤若しくはポリマー、崩壊剤、潤沢剤を含み、かつ任意に他の賦形剤及びアジュバントを含んでよい。
好ましい充填剤は、α化デンプン、微結晶性セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、セルロース、マンニトール、エリスリトール、ラクトース、サッカロース、リン酸水素カルシウム、ソルビトール、及びキシリトールから成る群より選択される。特に好ましくはα化デンプン、微結晶性セルロース、マンニトール及びラクトース 一水和物である。特に好ましくは無水ラクトース、噴霧-乾燥ラクトース及びラクトース一水和物である。
【0018】
好ましい崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム塩(セルロースカルボキシメチルエーテルナトリウム塩、架橋型)、ナトリウムデンプングリコレート、架橋型ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、トウモロコシデンプン及び低置換ヒドロキシプロピルセルロースから成る群より選択される。特に好ましくはナトリウムデンプングリコレート及びクロスカルメロースナトリウム塩である。
【0019】
好ましい結合剤は、ポリビニルピロリドン(ポビドン(Povidone))、ビニルピロリドンと他のビニル誘導体のコポリマー(コポビドン(Copovidone))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピル-セルロース及び低置換ヒドロキシプロピル-セルロースから成る群より選択される。特に好ましくはヒドロキシプロピル-メチルセルロース及びコポビドンである。
好ましい潤沢剤は、ナトリウムステアリルフマレート及びステアリン酸マグネシウムである。
【0020】
他の賦形剤及びアジュバントを使用する場合、好ましくは以下のものから選択される。
−希釈剤及び担体、例えばセルロース粉末、微結晶性セルロース、セルロース誘導体(例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシ-プロピルメチルセルロース)、二塩基性リン酸カルシウム、トウモロコシデンプン、α化デンプン、ポリビニルピロリドン(Povidone)等;
−潤沢剤、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムステアリルフマレート、グリセロールトリベヘネート等;
−流れ調整剤、例えばコロイドシリカ、タルク等;
−結晶化遅延剤、例えばPovidone等;
−可溶化剤、例えばPluronic、Povidone等;
−着色剤、例えばIron Oxide Red又はYellow、二酸化チタン、タルク等の染料及び顔料が挙げられる;
−pH調整剤、例えばクエン酸、酒石酸、フマル酸、クエン酸ナトリウム、二塩基性リン酸カルシウム、二塩基性リン酸ナトリウム等;
−界面活性剤及び乳化剤、例えばPluronic、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリエトキシル化及び水素化ヒマシ油など;
−抗酸化剤;
及びこれら賦形剤及び/又はアジュバントの2種以上の混合物。
異なった色を用いて層を差別化することができる。
【0021】
HCTZを含んでなる個別の第2錠剤層は、一般的に1.5〜35wt.%、好ましくは2〜15wt.%の活性成分;25〜75wt.%、好ましくは35〜65wt.%の充填剤;10〜40wt.%、好ましくは15〜35wt.%の結合剤;0.5〜5wt.%、好ましくは1〜4wt.%の湿潤顆粒化結合剤;及び1〜10wt.%、好ましくは2〜8wt.%の崩壊剤を含む。他の賦形剤及びアジュバントは、一般的に第1錠剤組成物と同量で用いられる。
【0022】
本発明の二層錠剤を製造するため、二層錠剤プレス、例えば二層打錠態様の高速回転プレスにて常法で第1及び第2の錠剤層組成物を圧縮することができる。しかし、第1錠剤層に対して過剰な圧縮力を用いないように注意すべきである。好ましくは、第1錠剤層の圧縮時に加える圧縮力と、第1及び第2の両錠剤層の圧縮時に加える圧縮力の比は、1:10〜1:2の範囲内である。例えば、4〜8kNの中程度の力で第1錠剤層を圧縮しうるが、第1プラス第2層の主圧縮は、10〜20kNの力で行う。
【0023】
二層錠剤圧縮の際に、分子間の距離引力(分子間力)と粒子間の機械的連動によって、2層間の十分な結合形成が達成される。
得られた錠剤は、迅速かつ非常にpH依存様式で活性成分を放出し、60分未満で放出が完了し、主フラクションの放出は15分未満で起こる。多層錠剤の溶解/崩壊キネティクスは様々な仕方で制御される。例えば、層が同時に溶解/崩壊しうる。好ましくは、HCTZを含む錠剤層がまず崩壊し、引き続きテルミサルタンを含む層が溶解する。
本発明によれば、少なくとも70%、典型的には少なくとも90%の活性成分が30分後に溶ける。
【0024】
本発明の二層錠剤はわずかに吸湿性なので、好ましくは防湿包装材料、例えばアルミニウムホイルブリスターパック、又はポリプロピレンチューブ及びHDPEボトル等を用いて包装する。好ましくは包装は乾燥剤を含む。
【0025】
本発明の二層錠剤の好ましい製造方法は以下の工程を含む。
(i) a)テルミサルタンと、少なくとも1種の塩基性薬剤と、任意的な可溶化剤及び/又は結晶化遅延剤との水溶液を調製し;
b)前記水溶液を噴霧-乾燥させて噴霧-乾燥顆粒を得;
c)前記噴霧-乾燥顆粒を水溶性希釈剤と混合してプレミックスを得;
d)前記プレミックスを潤沢剤と混合して第1層用の最終ブレンドを得;
e)任意的に、工程a)〜d)のいずれかで他の賦形剤及び/又はアジュバントを添加することによって、第1錠剤層組成物を供給する工程;
(ii)HCTZを含んでなる第2錠剤層組成物を供給する工程;
(iii)前記第1及び第2の両錠剤層組成物を圧縮して個々の錠剤層を形成する工程;及び
(v)前記個々の錠剤層を圧縮して二層錠剤を形成する工程。
【0026】
第1錠剤層組成物を供給するため、水酸化ナトリウム及びメグルミン等の1種以上の塩基性薬剤の助けを借りて純水に活性成分を溶かすことによって、テルミサルタンのアルカリ性水溶液を調製する。この出発水溶液の乾燥物質含量は、一般的に10〜40wt.%、好ましくは20〜30wt.%である。
次に、この水溶液を室温、好ましくは例えば50〜100℃の高温にて、並流(co-current)又は逆流噴霧-乾燥器内で、例えば1〜4バールの噴霧圧力にて噴霧-乾燥させる。一般的に言って、噴霧-乾燥条件は、好ましくは残存湿度が5wt.%以下、好ましくは3.5wt.%以下の噴霧-乾燥顆粒が得られるような方法で選択される。その目的のために、噴霧-乾燥器の出口空気温度は、好ましくは約80〜90℃の値に維持され、それに従って噴霧圧力、噴霧速度、入口空気温度などの他のプロセスパラメーターが調整される。
【0027】
得られた噴霧-乾燥顆粒は、好ましくは以下の粒度分布を有する微粉末である。
d10:≦20μm、好ましくは≦10μm
d50:≦80μm、好ましくは20〜55μm
d90:≦350μm、好ましくは50〜150μm
噴霧乾燥後、噴霧-乾燥顆粒に含まれる活性成分テルミサルタン及び賦形剤は、実質的に非晶質であり、結晶化度は検出されない。物理的観点から、この噴霧-乾燥顆粒は、50℃超え、好ましくは80℃を超えのガラス転移温度Tgを有する凝固溶液又はガラスである。
【0028】
100質量部の活性成分テルミサルタンに対して、噴霧-乾燥顆粒は、好ましくは5〜200質量部の塩基性薬剤、及び任意に可溶化剤及び/又は結晶化遅延剤を含む。
水溶性の希釈剤は、第1錠剤層組成物の質量に対して、通常30〜95wt.%、好ましくは60〜80wt.%の量で使用される。
潤沢剤は、第1錠剤層組成物の質量に対して、通常0.1〜5wt.%、好ましくは0.3〜2wt.%の量でプレミックスに添加される。
【0029】
混合は二段階で行われる。すなわち、第1混合工程では、例えば、高せん断ミキサー又はフリー-ホールブレンダーを用いて噴霧-乾燥顆粒と希釈剤を混合し、第2混合工程では、好ましくはこの場合もやはり高せん断下でそのプレミックスと潤沢剤をブレンドする。しかし、本発明の方法は、これら混合手順に限定されず、一般的に、工程c)、d)、並びにその後の工程f)及びg)でも、例えば中間に仕切りのあるコンテナミキサーのような代替混合手順を用いてもよい。
【0030】
HCTZを含んでなる第2錠剤層組成物を供給するため、乾式混合、例えば高強度ミキサー又はフリー-フォールブレンダーを用いて構成成分を調製することができる。或いは、かつ好ましくは、湿式顆粒化法を用いて第2錠剤層組成物を調製する。この方法では、湿式顆粒化結合剤の水溶液をプレミックスに添加し、引き続き、得られた湿潤顆粒を例えば流動床乾燥器又は乾燥チャンバー内で乾燥させる。この乾燥混合物を篩ってから、例えば回転ミキサーを用いて潤沢剤を加えて混合する。
【0031】
上記第1及び第2錠剤層組成物を、適切な錠剤プレス、例えば二層打錠態様の回転プレスを用いて、目的の錠剤重量と適切な大きさ及び破砕強さの二層錠剤に圧縮することができる。任意に、潤滑性を改良するため、錠剤製造中にダイとパンチ用の適切な外部潤滑剤噴霧システムを使用することができる。錠剤層間のいかなるクロス-コンタミネーション(HCTZの分解をもたらすだろう)も回避するため、錠剤化中、錠剤化チャンバー内のダイテーブルの強力な吸引によって、いかなる顆粒残留物も慎重に除去しなければならない。
【0032】
高血圧の治療に加え、本発明の組成物を用いて、脳卒中、心筋梗塞、一過性脳虚血発作、うっ血性心不全、心臓血管疾患、インスリン抵抗性、耐糖能障害、プレ糖尿病、2型糖尿病、代謝症候群(症候群X)、肥満症、高トリグリセリド血症、C-反応性タンパク質の高血清濃度、リポタンパク質の高血清濃度、ホモシステインの高血清濃度、低密度リポタンパク質(LDL)-コレステロールの高血清濃度、リポタンパク質関連ホスホリパーゼ(A2)の高血清濃度、高密度リポ脂質(HDL)-コレステロールの低血清密度、HDL(2b)-コレステロールの低血清濃度、アジポネクチンの低血清濃度、認知低下及び認知症から成る群より選択される状態を治療又は予防することもできる。
本発明をさらに説明するため、以下に非限定例を示す。
【0033】
〔実施例〕
実施例1:80mgのテルミサルタン+25mgのHCTZを用いた驚くべき応答者の割合
抗高血圧薬物の用量を高く設定することの重要な目標は、治療に対して十分に応答する患者の数を増やすことである。テルミサルタンの現在の臨床データベースを解析すると、特にテルミサルタン80mg/HCTZ 25mgで治療したときの応答者の割合をテルミサルタン80mg/HCTZ 12.5mgで治療したときの応答者と比較すると、驚いたことに、応答者の割合が改良されることが明白になった。応答者は、DBPが90mmHg未満であるか又は少なくとも10mmHg低減したものとして定義される。SBPに関しては、十分な応答は、SBPが140未満であるか又は少なくとも10mmHg低減したものとして定義される。テルミサルタン80mg/HCTZ 25mgをテルミサルタン80mg/HCTZ 12.5mgと比較して上記定義に当てはめると、制御調査中の患者の6.6%、及び追跡調査の患者の15.4%で拡張期(DBP)応答率が上昇した。収縮期(SBP)応答率は、制御調査及び追跡調査の両患者で7.8%向上した。
下表は、プロジェクトデータベースから得た、テルミサルタン80/HCTZ 12.5mgと比較した、テルミサルタン80mg/HCTZ 25mgの詳細な血圧応答データを示す。
【0034】
【表1】


【0035】
【表2】

【0036】
テルミサルタン80mg/HCTZ 25mgをテルミサルタン80mg/HCTZ 12.5mgと比較し、SBP<140又は少なくとも20mmHgの低減という収縮期血圧のさらに最近の応答基準に当てはめると、応答者が制御調査の患者では5.7%(61.5%から67.2%に)上昇し、追跡調査の患者では9.4%(56.2%から65.6%に)上昇する。
テルミサルタンの臨床データベース由来の現存の証拠の解析は、テルミサルタン80mg/HCTZ 25mgの組合せ用量が、血圧低減、特に応答者の割合の点で高い臨床効果を一貫して与えることを示唆している。HCTZの用量増加による応答者の割合の予測される増加にもかかわらず、テルミサルタン80mgとHCTZ 25mgの併用で観察される効果の程度は、予測した効果をはるかに超える。
【0037】
実施例2:80mgのテルミサルタンと25mgのHCTZを含んでなる総重量680mgの二層錠剤の組成物
【0038】
【表3】


【0039】
【表4】

【0040】
実施例3:別個の臨床試験における80mgのテルミサルタン+25mgのHCTZを用いた驚くべき高い応答者の割合の確認
入手可能なテルミサルタンの臨床データベースを解析すると分かる80mgのテルミサルタン+25mgのHCTZを用いた驚くべき高い応答者の割合を確認するため、段階1及び段階2の高血圧の患者で、80mgのテルミサルタン+25mgのヒドロクロロチアジドの組合せの安全性と効率を、現在入手可能な160mgのバルサルタン+25mgのヒドロクロロチアジドの組合せの安全性と効率と比較するために実際に設計した臨床試験について、対応する応答者の割合を決定した(確認調査)。この調査は、総持続時間12週間までの無作為化二重盲検二重ダミープラセボ対照強制用量設定試験だった(8週間の積極的治療)。対象集団は男性と女性の高血圧の患者を含み、年齢は少なくとも18歳だった。
【0041】
この調査の主目的は、MICARDIS(登録商標)HCT(テルミサルタン80mg/ヒドロクロロチアジド25mg)が、DBP及びSBPの低減においてプラセボより優れ、DBPの低減においてDIOVAN(登録商標)HCT(バルサルタン160mg/ヒドロクロロチアジド25mg)と少なくと同様の効果があり、着席トラフ袖口血圧(seated trough cuff blood pressure)で測定した場合、段階1及び段階2の患者のDBPとSBPを低減するのにDIOVAN(登録商標)HCTよりおそらく優れていることを示すことだった。
一次エンドポイントは、8週間の治療期間の最後(来診6)におけるクリニック内の平均着席トラフ袖口拡張期血圧(DBP)及び収縮期血圧(SBP)についてのベースライン(来診2)からの変化だった(すなわち、MICARDIS(登録商標)80mg又はDIOVAN(登録商標)160mgによる2週間の治療後、それぞれ6週間の治療MICARDIS(登録商標)HCT 80/25mg又はDIOVAN(登録商標)HCT 160/25mg、又は全8週間のプラセボ)。
血圧の測定はトラフ(すなわち、該調査薬物の最も最近の摂取後23〜26時間以内)で行った。
【0042】
8週間の治療期間の最後におけるクリニック内のトラフ袖口血圧で測定した場合のこの調査の二次効率エンドポイント:
1.)以下のように定義される平均着席トラフ袖口測定に基づき、治療に応答している患者の割合:
DBP対照:平均着席DBP<トラフで90mmHg
DBP応答:平均着席DBP<トラフで90mmHg及び/又はベースラインからの変化≧10mmHg
SBP応答:平均着席SBP<トラフで140mmHg及び/又はベースラインからの変化≧10mmHg
正常BP:平均着席SBP<トラフで130mmHg及び平均着席DBP<トラフで85mmHg
高正常:平均着席SBP≧トラフで130及び<140mmHg及び平均DBP≧トラフで85及び<90mmHg
【0043】
2.)調査の最後に収縮期BP≧180mmHg及び/又は拡張期BP≧120mmHgとして定義される、非制御HTNの患者の割合。
有害事象の精査と、身体検査、実験室パラメーター、生命兆候(平均SBP、平均DBP)及び脈拍数についてのベースラインからの変化の測定とを通じて安全について評価した。調査中いつでも、平均クリニック内SBP≧180mmHg及び/又はDBP≧120mmHgの患者は、安全性の理由のため調査を中止した。5分間座位で静かに休んだ後2分間あけて3回連続のクリニック内血圧測定から平均値を計算した。
【0044】
患者算入基準は以下のとおりだった。
1.書面によるインフォームド・コンセントを提供する能力。
2.18歳以上の年齢。
3.患者にとって受け入れがたい危険なしで現在の抗高血圧療法を停止する能力(研究者の決定権)。
4.来診2(ベースライン)で着席袖口DBP≧95mmHg。
【0045】
患者排除基準は以下のとおりだった。
1.閉経期前(最後の月経≦ランイン(run-in)期間の開始前1年)で、以下の女性:
a.外科的に不妊でない;及び/又は
b.育児又は妊娠している。
c.妊娠の可能性があり、かつ許容しうる避妊手段を実施していないか、調査の間じゅうこの方法を続けることを計画せず、かつ3カ月を超える調査の参加中に定期的妊娠試験に従うことに同意していない。許容しうる避妊法としては、経口、移植型又は注射用避妊薬が挙げられる。
2.二次高血圧であることが分かっているか又は疑われる。
3.調査中いつでも平均着席SBP>180mmHg又は平均着席DBP>120mmHg。
4.以下の実験室パラメーターで定義されるとおりの肝臓及び/又は腎臓機能障害:
a.SGPT(ALT)又はSGOT(AST)>正常範囲の上限の2倍、又は
b.血清クレアチニン>3.0mg/dL又はクレアチニンクリアランス<0.6ml/秒。
5.両側性腎動脈狭窄、単腎の腎動脈狭窄、腎臓移植後又は1つしか腎臓がない。
6.臨床的に関係のある低カリウム血症又は高カリウム血症。
7.調整されていないボリューム枯渇。
8.調整されていないナトリウム枯渇。
9.原発性アルドステロン症。
10.遺伝性果糖不耐症。
11.胆管閉塞障害、胆汁うっ滞性又は中度から重度のh肝機能不全。
12.ACEインヒビター又はアンギオテンシンII受容体アンタゴニストによる治療中に血管性浮腫の特性を示す症状を以前に経験したことがある患者。
13.ランイン期間の開始前6カ月以内の薬物又はアルコール依存症の経歴。
14.プロトコルで許容される薬物を除き、血圧に影響を与えることが分かっているいずれかの薬物の慢性投与。
15.ランイン期間の開始の1カ月以内のいずれかの治験薬療法。
16.本製剤調査薬(テルミサルタン、バルサルタン又はヒドロクロロチアジド)のいずれかの成分に過敏性であることが分かっている。
17.プラセボインラン期間に対する禁忌(例えば過去6カ月以内の脳卒中、ランイン期間の開始前過去3カ月以内のMI、心臓手術、PTCA又は狭心症)。
18.主調査者の意見で、該プロトコルの安全の完全さ及びテルミサルタン、バルサルタン又はヒドロクロロチアジドの安全投与を与えないいずれかの他の臨床状態。
19.夜間勤務労働者。
20.調査者によって決定される、臨床的に有意な心室性頻拍、心房細動、心房粗動又は他の臨床的に関係のある心不整脈。
21.NYHA機能クラスCHF III-IV。
22.肥大型閉塞性心筋症、大動脈狭窄、大動脈弁又は僧帽弁の血行力学的に関係のある狭窄。
23.HbA1C≧10%で定義されるように、少なくとも過去3ヶ月間、不安定かつ制御されていない糖尿病の患者。
24.リチウム又はコレスチラミン若しくはコレスチポール(colestipol)樹脂(ヒドロクロロチアジドと相互作用する可能性のある薬物)の併用。
25.処方薬物又はプロトコル手順を遵守しない経歴。
【0046】
この調査のデータの解析は、80mgのテルミサルタン+25mgのHCTZ(T80/H25)の応答者の割合が臨床テルミサルタンデータベースの解析後よりずっと高いことを明かにする。さらに、この応答者の割合は、160mgのバルサルタン+25mgのHCTZ(Val160/H25)より高いが、その差は、統計的に有意とは解釈できない。
80mgのテルミサルタン+25mgのHCTZ(T80/H25)と160mgのバルサルタン+25mgのHCTZ(Val160/H25)の詳細な応答者割合の値を下表に示す。
【0047】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分として約80mgのアンギオテンシンII受容体アンタゴニストテルミサルタンと、約25mgの利尿薬ヒドロクロロチアジドとを含む、高血圧の治療用医薬組成物。
【請求項2】
活性成分として約160mgのアンギオテンシンII受容体アンタゴニストテルミサルタンと、約50mgの利尿薬ヒドロクロロチアジドとを含む、高血圧の治療用医薬組成物であって、半分に分割できる前記組成物。
【請求項3】
前記医薬組成物が錠剤又はカプセル剤である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記医薬組成物が、即時放出特性を有する溶解性錠剤マトリックス中の前記成分テルミサルタンを含有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記利尿薬ヒドロクロロチアジドが、崩壊性医薬マトリックス中の別個の層を形成している、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
テルミサルタン又はその塩が実質的に非晶質形態である、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
不活性成分として、水酸化ナトリウム、メグルミン、ポビドン、ソルビトール、ステアリン酸マグネシウム、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、トウモロコシデンプン及びナトリウムデンプングリコレートを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
前記溶解性錠剤マトリックスが、塩基性薬剤、水溶性希釈剤を含み、かつ任意に他の賦形剤及びアジュバントを含んでよい、請求項4に記載の組成物。
【請求項9】
前記塩基性薬剤が、アルカリ金属の水酸化物、塩基性アミノ酸及びメグルミンから選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記水溶性希釈剤が、グルコース等の単糖類;スクロース及びラクトース等のオリゴ糖類;及びソルビトール、マンニトール、エリスロール及びキシリトール等の糖アルコール類から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記他の賦形剤及びアジュバントが、結合剤、担体、充填剤、潤沢剤、流れ調整剤、結晶化遅延剤、可溶化剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤及び乳化剤から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記錠剤マトリックスが、テルミサルタンと塩基性薬剤を含む水溶液を噴霧-乾燥させて噴霧-乾燥顆粒を製造し、前記噴霧-乾燥顆粒を水溶性希釈剤と混合してプレミックスを製造し、前記プレミックスを潤沢剤と混合して最終ブレンドを製造し、かつ前記最終ブレンドを圧縮して第1錠剤層を形成することによって製造される、請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
前記崩壊性錠剤マトリックスが、充填剤、結合剤、崩壊剤を含み、かつ任意に他の賦形剤及びアジュバントを含んでよい、請求項5に記載の組成物。
【請求項14】
前記他の賦形剤及びアジュバントが、担体、希釈剤、潤沢剤、流れ調整剤、可溶化剤、抗酸化剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤及び乳化剤から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記医薬組成物が、アルミニウムホイルブリスターパック又はポリプロピレンチューブ及びHDPEボトル等の防湿包装材料で包装されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
25mgの利尿薬ヒドロクロロチアジドと80mgのアンギオテンシンII受容体アンタゴニストテルミサルタンとを併用する医薬組成物の投与を含む、患者の高血圧の治療方法。
【請求項17】
患者の血圧が、アンギオテンシンII受容体アンタゴニストによる治療又は前記アンギオテンシンII受容体アンタゴニストと低用量のHCTZの併用では十分に制御されない場合の請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記患者が、低い血漿レニン活性又は血漿レニン濃度を有する場合の請求項17に記載の方法。
【請求項19】
さらに、脳卒中、心筋梗塞、一過性脳虚血発作、うっ血性心不全、心臓血管疾患、インスリン抵抗性、耐糖能障害、プレ糖尿病、2型糖尿病、代謝症候群(症候群X)、肥満症、高トリグリセリド血症、C-反応性タンパク質の高血清濃度、リポタンパク質の高血清濃度、ホモシステインの高血清濃度、低密度リポタンパク質(LDL)-コレステロールの高血清濃度、リポタンパク質関連ホスホリパーゼ(A2)の高血清濃度、高密度リポ脂質(HDL)-コレステロールの低血清密度、HDL(2b)-コレステロールの低血清濃度、アジポネクチンの低血清濃度、認知低下及び認知症から成る群より選択される状態を治療又は予防する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
血圧がアンギオテンシンII受容体アンタゴニストによる治療又は前記アンギオテンシンII受容体アンタゴニストと低用量の利尿薬HCTZの併用では十分に制御されない患者の高血圧を治療するための、アンギオテンシンII受容体アンタゴニストテルミサルタンと利尿薬ヒドロクロロチアジドとを含む医薬単位剤形であって、前記テルミサルタンとヒドロクロロチアジドの質量比が、約80mgのテルミサルタンと約25mgのヒドロクロロチアジドの一日用量で前記患者を治療するのを可能にする、前記医薬単位剤形の製造方法。
【請求項21】
前記剤形が、約80mgのテルミサルタンと約25mgのヒドロクロロチアジドを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記剤形が、約40mgのテルミサルタンと約12.5mgのヒドロクロロチアジドを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記剤形が、約160mgのテルミサルタンと約50mgのヒドロクロロチアジドを含み、かつ半分に分割できる、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
請求項1又は2に記載の医薬組成物の製造のための、テルミサルタンとHCTZの使用。

【公表番号】特表2008−524136(P2008−524136A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545905(P2007−545905)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013224
【国際公開番号】WO2006/063737
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】