説明

テレビジョン

【課題】より適切に視聴者の人数に応じた音声出力を行うことが可能なテレビジョンの提供を課題とする。
【解決手段】音声出力手段13に、指向性スピーカ137,138と、音声出力の指向性が広くされた第二スピーカ147,148と、視聴者方向検出手段4と、指向性スピーカ137,138の音声出力方向を変えるための駆動手段5と、スピーカ切替手段132とを設ける。指向性スピーカ137,138を使用する条件が成立している場合、音声出力に使用するスピーカをスピーカ切替手段132により指向性スピーカ137,138に切り替え、指向性スピーカ137,138の音声出力方向を駆動手段5により視聴者方向検出手段4で検出される視聴者V1の方向へ向ける。指向性スピーカ137,138を使用する条件が成立していない場合、音声出力に使用するスピーカをスピーカ切替手段132により第二スピーカ147,148に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示手段と音声出力手段を備えるテレビジョンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の視聴者に対してそれぞれ任意の視聴位置で視聴させることを課題とした映像表示装置が開示されている。この映像表示装置は、ディスプレイ部において2種類のテレビ映像を同時に表示し、その各テレビ映像に対応付けて2種類のテレビ音声を、左右一対の左画面用高指向性スピーカと、左右一対の右画面用高指向性スピーカとからそれぞれ出力する。そして、左右一対の左画面用高指向性スピーカをそれぞれ首振り動作させる駆動部、及び、左右一対の右画面用高指向性スピーカをそれぞれ首振り動作させる駆動部、の駆動動作により、変更後の音声出力範囲が2つの視聴位置において互いに重ならないように、各高指向性スピーカの向きを変える。
【0003】
特許文献2には、複数番組の映像及び音声を同時に出力するシステムにおける音声再生装置が開示されている。この音声再生装置は、複数のスピーカを備え、各番組に対する出力音声がそれぞれ異なる方向の指向性を持つように各番組の音声信号に対して指向性制御を行うことにより、各スピーカに対する音声信号を生成する。
【0004】
特許文献3には、テレビジョン受像機本体に対して鉛直軸線回りに回転自在に取付けられた左右一対のスピーカを備えるテレビジョン受像機が開示されている。このテレビジョン受像機は、受信音声信号がステレオモードであるかモノラルモードであるかの第一の判別を行い、受信音声信号の周波数成分を判別する第二の判別を行い、第一の判別及び第二の判別に基づいて左右のスピーカを予め定めた回転位置に位置変更させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−109241号公報
【特許文献2】特開平11−27604号公報
【特許文献3】特開平5−145870号公報
【特許文献4】特開2000−4500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2に記載の技術は、スピーカの指向性が高いため、複数の視聴者に同じ番組を視聴させるのに適していない。
特許文献3に記載のテレビジョン受像機は、単にモードがステレオモードであるかモノラルモードであるかを判別して左右のスピーカの向きを変えているだけであり、特定の視聴者のみにヘッドホン無しで番組を視聴させることができない。
【0007】
なお、特許文献4記載の技術は、テレビジョンでないため、技術分野が異なる。また、パラメトリックスピーカは指向性が非常に高いため、複数の視聴者に同じ番組を視聴させるのに適していない。
【0008】
以上を鑑み、本発明は、より適切に視聴者の人数に応じた音声出力を行うことが可能なテレビジョンの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、映像を表示する表示手段と、音声を出力する音声出力手段と、を備えるテレビジョンにおいて、
前記音声出力手段は、
指向性を有する音声を出力する指向性スピーカと、
該指向性スピーカよりも音声出力の指向性が広くされた第二スピーカと、
テレビジョンの視聴者の方向を検出するための視聴者方向検出手段と、
前記指向性スピーカの音声出力方向を変えるための駆動手段と、
音声出力に使用するスピーカを前記指向性スピーカにするか前記第二スピーカにするかを切り替えるためのスピーカ切替手段とを備え、
前記指向性スピーカを使用する条件が成立している場合、音声出力に使用するスピーカを前記スピーカ切替手段により前記指向性スピーカに切り替え、前記指向性スピーカの音声出力方向を前記駆動手段により前記視聴者方向検出手段で検出される視聴者の方向へ向け、
前記指向性スピーカを使用する条件が成立していない場合、音声出力に使用するスピーカを前記スピーカ切替手段により前記第二スピーカに切り替えることを特徴とする。
【0010】
前記指向性スピーカを使用する条件が成立している場合、音声出力に使用するスピーカが前記スピーカ切替手段により前記指向性スピーカに切り替えられ、前記指向性スピーカの音声出力方向が前記駆動手段により前記視聴者方向検出手段で検出される視聴者の方向へ向けられる。従って、特定の視聴者のみにヘッドホン無しで番組を視聴させることができる。一方、前記指向性スピーカを使用する条件が成立していない場合、音声出力に使用するスピーカが前記スピーカ切替手段により前記第二スピーカに切り替えられる。従って、複数の視聴者に同じ番組を視聴させることができる。
以上より、テレビジョンにおいて、より適切に視聴者の人数に応じた音声出力を行うことができる。
【0011】
また、本発明は、映像を表示する表示手段と、音声を出力する音声出力手段と、を備えるテレビジョンにおいて、
前記音声出力手段は、
左右にそれぞれスピーカを備えるとともに、
テレビジョンの視聴者の数を検出するための視聴者数検出手段を備え、
該視聴者数検出手段で検出された視聴者の数が1人である場合、前記スピーカからステレオの音声を出力し、
前記視聴者数検出手段で検出された視聴者の数が複数である場合、前記スピーカからモノラルの音声を出力することを特徴とする。
【0012】
視聴者が1人である場合、スピーカからステレオの音声が出力される。従って、視聴者は、高品質の音声で視聴することができる。一方、視聴者が複数存在する場合、スピーカからモノラルの音声が出力される。従って、複数の視聴者が場所によらず違和感を覚えない音声で視聴することができる。
以上より、テレビジョンにおいて、より適切に視聴者の人数に応じた音声出力を行うことができる。
【0013】
上述した発明は、テレビジョンの制御方法及び制御プログラム、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な媒体、等に適用可能である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1、請求項6に係る発明によれば、より適切に視聴者の人数に応じた音声出力を行うことが可能なテレビジョンを提供することができる。
請求項2、請求項3、請求項5、請求項7に係る発明では、より適切に視聴者の人数に応じた音声出力を行う好適な構成を提供することができる。
請求項4に係る発明では、特定の視聴者のみにヘッドホン無しで番組を視聴させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るテレビジョン1の構成を模式的に例示する正面図である。
【図2】テレビジョン1の構成を模式的に例示する側面図である。
【図3】テレビジョン1の回路構成を例示するブロック図である。
【図4】テレビジョン1が行う首振り制御処理を例示するフローチャートである。
【図5】(a)は視聴者V1が1人の場合に指向性スピーカによる音声出力の指向性の範囲に入ると判断する様子を模式的に例示する図、(b)は視聴者V1が複数の場合に指向性スピーカによる音声出力の指向性の範囲に入ると判断する様子を模式的に例示する図、(c)は視聴者V1が複数の場合に指向性スピーカによる音声出力の指向性の範囲に入らないと判断する様子を模式的に例示する図である。
【図6】赤外線焦電型センサー42を用いたテレビジョン1の構成を模式的に例示する正面図である。
【図7】(a)赤外線センサーS1,S2を用いた場合のセンサー出力強度を模式的に例示する図、(b)は赤外線センサーS1,S2を用いた場合のパラメトリックスピーカユニット133の向きを模式的に例示する図である。
【図8】(a)赤外線センサーS1,S2を用いた場合のセンサー出力強度を模式的に例示する図、(b)は赤外線センサーS1,S2を用いた場合のパラメトリックスピーカユニット133の向きを模式的に例示する図である。
【図9】変形例に係る首振り制御処理を示すフローチャートである。
【図10】変形例に係る首振り制御処理を示すフローチャートである。
【図11】変形例に係る首振り制御処理を示すフローチャートである。
【図12】変形例に係る首振り制御処理を示すフローチャートである。
【図13】変形例に係る首振り制御処理を示すフローチャートである。
【図14】変形例に係る首振り制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(1)テレビジョンの概略:
図1〜3に例示するテレビジョン(TV)1は、テレビジョン本体2とリモコン(リモートコントロール装置)8とを備える薄型表示装置とされている。むろん、本発明を適用可能なテレビジョンは、液晶テレビジョンの他、プラズマテレビジョンといった薄型表示装置、受像管表示装置、記録再生装置が一体化されたテレビジョン、等のディスプレイでもよい。前記記録再生装置には、ハードディスク記録再生装置、BD(Blue-ray Disc)記録再生装置、DVD(Digital Versatile Disk)記録再生装置、ビデオデッキ、等が含まれる。
リモコン8は、リモコン側送受信装置88、複数の操作ボタン(操作入力手段)81、等を備え、キャビネット11の外部において持ち運び可能とされている。
【0017】
本体2は、キャビネット11、表示手段12、音声出力手段13、本体側送受信装置28、不揮発性メモリ118、等を備え、床FL1に接するスタンド3に支持される。キャビネット11は、樹脂等で略箱形に形成され、前面11aに開口11bを有している。表示手段12は、図3に示す各部126〜128を備え、表示面22から映像を表示する。図3に示す各部4,5,131,133,143は、マイコン(マイクロコンピュータ)110とともに音声を出力する音声出力手段13を構成する。マイコン110は、映像表示及び音声出力を制御する。本体側送受信装置28は、リモコン側送受信装置88との間で赤外線信号(無線信号)SI1を送受信可能である。不揮発性メモリ118は、例えば不揮発性半導体メモリで構成される。不揮発性メモリ118は、ハードディスクといった磁気ディスク等でもよい。本体の各部は、キャビネット11に収容されている。
【0018】
本体2は、テレビジョン放送信号受信用のアンテナ122から受信した信号に基づいて映像及び音声を出力する。
チューナ回路121は、例えば、マイコン110の制御により、PLL(Phase Lock Loop)シンセサイザ方式の選局方式で選局し、アンテナ122から受信したテレビジョン放送信号を高周波増幅し、増幅後の信号をヘテロダイン検波によって中間周波信号に変換する。
【0019】
中間周波増幅回路123は、チューナ回路121から上記中間周波信号を入力し、該中間周波信号を増幅して映像検波回路124へ出力する。
映像検波回路124は、中間周波増幅回路123から入力される中間周波信号から復号映像信号及び音声信号を取り出す。復号映像信号には、輝度信号や搬送色信号や同期信号が含まれる。
【0020】
AGC(Automatic Gain Control)回路125は、映像検波回路124から同期信号を入力し、該同期信号の大きさ強さに応じたRF−AGC(Radio Frequency Automatic Gain Control)電圧およびIF−AGC(Intermediate Frequency Automatic Gain Control)電圧を生成する。
映像信号処理回路126は、複合映像信号をさらに増幅し、Y/C分離回路126aでY/C分離を行い、輝度信号(Y)をマトリクス回路126cに対して出力し、搬送色信号(C)を色復調回路126bに対して出力し、同期分離によって得られる同期信号をマイコン110に対して出力する。色復調回路126bは、Y/C分離回路126aから入力される搬送色信号(C)をR−Yの色差信号及びB−Yの色差信号に復調し、マトリクス回路126cに対して出力する。マトリクス回路126cは、入力される輝度信号(Y)、R−Y色差信号及びB−Y色差信号に基づいてマトリクス変換処理を行い、RGB(Red-Green-Blue)信号を生成する。
【0021】
液晶ドライバ回路127は、画素数変換回路、画質調整回路、出力処理回路、フレームメモリ、を有し、マイコン110からのOSD(On-Screen Display)信号をRGB信号に重畳し、該重畳したRGB信号に基づいて液晶モジュール128を駆動して映像を液晶パネル(画面)128aに表示させる。
液晶モジュール128は、液晶パネル128a、液晶パネル128aを背面から照射するバックライト128b、入力される電源電圧から所定の高電圧を生成してバックライト128bに供給するインバータ128c、を備えている。液晶モジュール128は、バックライト128bを点灯させながら液晶パネル128aに映像を表示させる。
【0022】
デジタルシグナルプロセッサ(DSP)131は、音声出力に使用するスピーカをパラメトリックスピーカ(指向性スピーカ)137,138にするか第二スピーカ147,148にするかを切り替えるための切替回路(スピーカ切替手段)132を備えている。パラメトリックスピーカ137,138は、それぞれ駆動手段5に駆動されるパラメトリックスピーカユニット133,133に収容されている。各パラメトリックスピーカユニット133,133は、それぞれ左右方向に首を振るパン動作、及び、上下方向に首を振るチルト動作が可能である。第二スピーカ147,148は、それぞれ第二スピーカユニット143,143に収容されている。
【0023】
パラメトリックスピーカ137,138が選択されている場合、DSP131は、入力される音声信号を左パラメトリックスピーカ137へ出力する左音声信号と右パラメトリックスピーカ138へ出力する右音声信号とに分離する。左パラメトリックスピーカ137を収容したパラメトリックスピーカユニット133は、左音声信号に超音波の変調をかけ、変調後の信号を増幅し、超指向性を有する音声を出力する。右パラメトリックスピーカ138を収容したパラメトリックスピーカユニット133は、右音声信号に超音波の変調をかけ、変調後の信号を増幅し、超指向性を有する音声を出力する。空気の非線形特性により、両パラメトリックスピーカ137,138からの超音波が可聴音となる。パラメトリックスピーカ137,138には、特開2000−4500号公報に記載のパラメトリックスピーカ等を用いることができる。
【0024】
一方、第二スピーカ147,148が選択されている場合、DSP131は、入力される音声信号を左スピーカ147へ出力する左音声信号と右スピーカ148へ出力する右音声信号とに分離する。左スピーカ147を収容した第二スピーカユニット143は、左音声信号を増幅し、パラメトリックスピーカ137,138よりも音声出力の指向性が広くされた音声を出力する。右スピーカ148を収容した第二スピーカユニット143は、右音声信号を増幅し、パラメトリックスピーカ137,138よりも音声出力の指向性が広くされた音声を出力する。
【0025】
マイコン110は、内部のバスに接続されたCPU(Central Processing Unit)111、半導体メモリ112,113、時計回路114、OSD(On-Screen Display)回路115、I/O(入出力)回路、等を備えている。CPU111は、RAM(Random Access Memory)113をワークエリアとして利用しながらROM(Read Only Memory)112に書き込まれたテレビジョン用の制御プログラムを実行し、TV1全体の動作を制御する。時計回路114は、現在時刻を計時し、一定時間毎に割込信号を生成してCPU111へ出力可能である。OSD回路115は、OSD画面の被重畳信号を生成して映像信号処理回路126へ出力する。
【0026】
ROM112には、コンピュータをTV1として機能させる複数のプログラムが書き込まれている。これらのプログラムには、音声出力プログラム等が含まれる。音声出力プログラムを実行するマイコン110は、視聴者方向検出手段4、駆動手段5、DSP131、スピーカユニット133,143とともに、音声出力手段を構成する。
【0027】
次に、TV1の各機能の概略を説明する。
音声出力手段13は、指向性スピーカ(137,138)、第二スピーカ147,148、視聴者方向検出手段4、駆動手段5、切替回路(スピーカ切替手段)132、を備える。
視聴者方向検出手段4は、テレビジョン1の視聴者V1の方向を検出する。
駆動手段5は、指向性スピーカ(137,138)の音声出力方向を変える。
切替回路132は、音声出力に使用するスピーカを指向性(137,138)にするか第二スピーカ147,148にするかを切り替える。
【0028】
音声出力手段13は、指向性スピーカ(137,138)を使用する条件が成立している場合、音声出力に使用するスピーカを切替回路132により指向性スピーカ(137,138)に切り替え、指向性スピーカ(137,138)の音声出力方向を駆動手段5により視聴者方向検出手段4で検出される視聴者V1の方向へ向ける。
一方、音声出力手段13は、指向性スピーカ(137,138)を使用する条件が成立していない場合、音声出力に使用するスピーカを切替回路132により第二スピーカ147,148に切り替える。
【0029】
指向性スピーカ(137,138)を使用する条件が成立している場合、音声出力に指向性スピーカ(137,138)が使用され、指向性スピーカ(137,138)の音声出力方向が視聴者方向検出手段4で検出される視聴者V1の方向へ向けられる。従って、特定の視聴者V1のみにヘッドホン無しで番組を視聴させることができる。一方、指向性スピーカ(137,138)を使用する条件が成立していない場合、音声出力に指向性の比較的広い第二スピーカ147,148が使用される。従って、複数の視聴者V1に同じ番組を視聴させることができる。
以上より、テレビジョン1において、より適切に視聴者V1の人数に応じた音声出力を行うことができる。
【0030】
ここで、視聴者方向検出手段4には、図1に例示するデジタルカメラ41、図6に例示する赤外線焦電型センサー42、リモコンの受光部(本体側送受信装置)、等が含まれる。
駆動手段5による指向性スピーカ(137,138)の音声出力方向を変える動作には、パン動作とチルト動作の組み合わせ、パン動作のみ、チルト動作のみ、等が含まれる。
指向性スピーカは、指向性を有する音声を出力するスピーカであればよく、パラメトリックスピーカ以外のスピーカでもよい。
第二スピーカは、指向性スピーカよりも音声出力の指向性が広くされたスピーカであればよく、指向性を有するスピーカでもよい。
【0031】
前記音声出力手段13は、
前記指向性スピーカ(137,138)による音声出力の指向性の範囲に前記視聴者方向検出手段4で検出される全ての視聴者V1が入るか否かを判断し、
全ての視聴者V1が入ると判断した場合、前記指向性スピーカ(137,138)を使用する条件が成立しているとして、音声出力に使用するスピーカを前記スピーカ切替手段(132)により前記指向性スピーカ(137,138)に切り替え、前記指向性スピーカ(137,138)の音声出力方向を前記駆動手段5により前記視聴者方向検出手段4で検出される視聴者V1の方向へ向け、
全ての視聴者V1が入ると判断しなかった場合、前記指向性スピーカ(137,138)を使用する条件が成立していないとして、音声出力に使用するスピーカを前記スピーカ切替手段(132)により前記第二スピーカ147,148に切り替えてもよい。すると、より適切に視聴者V1の人数に応じた音声出力を行うことができる。
【0032】
ここで、指向性スピーカによる音声出力の指向性の範囲は、指向性スピーカに定められた音声出力の指向性の定格範囲±θd°、指向性スピーカを用いた試験により設定された範囲±θe°、等とすることができる。
【0033】
図5(a)〜(c)は、音声出力の指向性の範囲に入るか否かの判断を説明するための例を示している。ここで、方向C1は視聴者方向検出手段4で検出される視聴者V1の中心方向であり、境界C2,C2は方向C1を中心とする指向性の範囲±θの境界である。θは、中心方向C1に対する角度であり、0°<θ<90°とする。
図5(a)に示すように、視聴者V1が1人の場合、視聴者V1の方向C1は音声出力の指向性±θの範囲内に入る。この場合、±θの範囲内に全ての視聴者V1が入ることとなり、指向性スピーカが選択されて該指向性スピーカの音声出力方向が視聴者の方向C1に向けられる。
【0034】
図5(b)に示すように、視聴者V1が複数であっても、視聴者V1の中心方向C1から指向性±θの範囲内に全視聴者V1が入る場合、指向性スピーカが選択されて該指向性スピーカの音声出力方向が視聴者の中心方向C1に向けられる。
図5(c)に示すように、複数の視聴者V1の少なくとも一部が視聴者V1の中心方向C1から指向性±θの範囲の外となる場合、第二スピーカが選択される。
【0035】
前記音声出力手段13は、
前記指向性スピーカ(137,138を)使用する所定の時間帯であるか否かを判断し、
所定の時間帯であると判断した場合、前記指向性スピーカ(137,138)を使用する条件が成立しているとして、音声出力に使用するスピーカを前記スピーカ切替手段(132)により前記指向性スピーカ(137,138)に切り替え、前記指向性スピーカ(137,138)の音声出力方向を前記駆動手段5により前記視聴者方向検出手段4で検出される視聴者V1の方向へ向け、
所定の時間帯でないと判断した場合、前記指向性スピーカ(137,138)を使用する条件が成立していないとして、音声出力に使用するスピーカを前記スピーカ切替手段(132)により前記第二スピーカ147,148に切り替えてもよい。すると、より適切に視聴者V1の人数に応じた音声出力を行うことができる。
【0036】
前記視聴者方向検出手段4は、デジタルカメラ41とされ、
前記音声出力手段13は、
個人認証するための顔データD1を記録した認証用顔データ記録部(不揮発性メモリ118)を備え、
前記デジタルカメラ41に撮像させて撮像画像を取得し、該取得した撮像画像から視聴者V1の顔を認識し、該認識した顔と前記認証用顔データ記録部(118)に記録された顔データD1とを対比して個人認証を許可するか否かを判断し、
個人認証を許可すると判断した場合、前記指向性スピーカ(137,138)を使用する条件が成立しているとして、音声出力に使用するスピーカを前記スピーカ切替手段(132)により前記指向性スピーカ(137,138)に切り替え、前記指向性スピーカ(137,138)の音声出力方向を前記駆動手段5により前記視聴者方向検出手段4で検出される視聴者V1の方向へ向け、
個人認証を許可しないと判断した場合、前記指向性スピーカ(137,138)を使用する条件が成立していないとして、音声出力に使用するスピーカを前記スピーカ切替手段(132)により前記第二スピーカ147,148に切り替えてもよい。すると、特定の視聴者V1のみにヘッドホン無しで番組を視聴させることができる。
【0037】
前記音声出力手段13は、
左右にそれぞれ前記指向性スピーカ(137,138)を備えるとともに、左右にそれぞれ前記第二スピーカ147,148を備え、
前記視聴者方向検出手段4で方向を検出される視聴者V1の数を求め、
該求めた視聴者V1の数が1人である場合、前記指向性スピーカ(137,138)と前記第二スピーカ147,148のうち音声出力に使用しているスピーカからステレオの音声を出力し、
前記求めた視聴者V1の数が複数である場合、前記指向性スピーカ(137,138)と前記第二スピーカ147,148のうち音声出力に使用しているスピーカからモノラルの音声を出力してもよい。すると、より適切に視聴者V1の人数に応じた音声出力を行うことができる。
【0038】
また、本発明は、映像を表示する表示手段12と、音声を出力する音声出力手段13と、を備えるテレビジョン1において、
前記音声出力手段13は、
左右にそれぞれスピーカを備えるとともに、
テレビジョン1の視聴者V1の数を検出するための視聴者数検出手段6を備え、
該視聴者数検出手段6で検出された視聴者V1の数が1人である場合、前記スピーカからステレオの音声を出力し、
前記視聴者数検出手段6で検出された視聴者V1の数が複数である場合、前記スピーカからモノラルの音声を出力する側面を有する。
【0039】
視聴者V1が1人である場合、スピーカからステレオの音声が出力される。従って、視聴者V1は、高品質の音声で視聴することができる。一方、視聴者V1が複数存在する場合、スピーカからモノラルの音声が出力される。従って、複数の視聴者V1が場所によらず違和感を覚えない音声で視聴することができる。
以上より、テレビジョン1において、より適切に視聴者V1の人数に応じた音声出力を行うことができる。
【0040】
上述した視聴者方向検出手段4を実現するため、図3に例示するように、マイコン110に視聴者方向検出手段4が接続されている。図1の例では、視聴者方向検出手段4としてデジタルカメラ41がキャビネット前面11aに取り付けられている。
【0041】
上述した駆動手段5を実現するため、図3に例示するように、マイコン110に駆動手段5が接続されている。図2の下段は、パラメトリックスピーカユニット133及びその周辺の様子を例示している。図2の例では、本体2にパン機構51が組み込まれ、このパン機構51によりパン動作するチルト機構53が本体2に組み込まれている。ここで、パン機構51は、本体2に対してチルト機構53を水平面内で回動させる。これにより、パラメトリックスピーカユニット133は、本体2に対して左右方向に首振り動作する。チルト機構53は、パン機構51に対してパラメトリックスピーカユニット133を鉛直面内で回動させる。これにより、パラメトリックスピーカユニット133は、本体2に対して上下方向に首振り動作する。パン機構51には、チルト機構53を回転駆動するためのステッピングモータ(サーボモータ)である左右首振り用モータ52が接続されている。チルト機構53には、パラメトリックスピーカユニット133を回転駆動するためのステッピングモータ(サーボモータ)である上下首振り用モータ54が接続されている。
【0042】
上述した視聴者数検出手段6を実現するため、図3に例示するように、視聴者方向検出手段4と共用の視聴者数検出手段6がマイコン110に接続されている。むろん、視聴者方向検出手段4と視聴者数検出手段6とは別に設けられてもよい。図1の例では、視聴者数検出手段6としてデジタルカメラ41がキャビネット前面11aに取り付けられている。
【0043】
上述した音声出力手段13を実現するため、マイコン110は、図4に例示する首振り制御処理を行う。以下、TV1の動作、作用、及び、効果を説明する。
【0044】
(2)テレビジョンの動作、作用、及び、効果:
図4に例示する首振り制御処理は、例えば、リモコンの操作ボタン81に操作入力が行われたときに開始し、マルチタスクにより他の処理と並列して行われる。図9〜14に示す変形例も、同じである。
【0045】
首振り制御処理を開始すると、マイコン110は、視聴者方向検出手段4により視聴者V1の方向C1を検出する(ステップS102。以下、「ステップ」の記載を省略)。例えば、デジタルカメラ41に撮像させて撮像画像を取得し、該取得した撮像画像から視聴者V1の顔を認識し、該認識した顔に基づいて視聴者V1の方向C1を求める。撮像画像から複数の顔が認識された場合、例えば、各認識した顔に基づいて各視聴者V1の方向を求め、これらの方向を平均して複数の視聴者V1の中心方向C1を求める。表示面22を見ていない顔は、除外されてもよい。
S104では、パラメトリックスピーカ137,138による音声出力の指向性の範囲±θに視聴者方向検出手段4で検出される全ての視聴者V1が入るか否かを判断する。この判断は、パラメトリックスピーカ137,138を使用する条件が成立しているか否かの判断である。
【0046】
S104で指向性の範囲±θに全ての視聴者V1が入ると判断された場合、マイコン110は、パラメトリックスピーカ137,138を使用する条件が成立しているとして、音声出力に使用するスピーカを切替回路132によりパラメトリックスピーカ137,138に切り替える(S106)。その後、マイコン110は、パラメトリックスピーカ137,138の音声出力方向を駆動手段5により視聴者方向検出手段4で検出される視聴者V1の方向へ向け(S108)、首振り制御処理を終了させる。例えば、検出された視聴者V1の方向が水平方向に−10.0°(右側が+の方向)、鉛直方向に+5.0°(上側が+の方向)であれば、各パラメトリックスピーカユニット133,133を本体2に対して−10.0°となるようにパン動作させ、+5.0°となるようにチルト動作させる指令をモータ52,54に出す。その結果、パラメトリックスピーカユニット133,133の向きは、水平方向に−10.0°、鉛直方向に+5.0°となる。
以上により、周囲への音漏れが抑制され、特定の視聴者V1のみにヘッドホン無しで番組を視聴させることができる。
【0047】
一方、S104で指向性の範囲±θに全ての視聴者V1が入りきらないと判断された場合、マイコン110は、パラメトリックスピーカ137,138を使用する条件が成立していないとして、音声出力に使用するスピーカを切替回路132により指向性の広い第二スピーカ147,148に切り替え(S110)、首振り制御処理を終了させる。これにより、全視聴者V1に対して指向性の範囲の外とならないようにされ、複数の視聴者V1に同じ番組を視聴させることができる。
以上説明したように、本テレビジョン1によると、より適切に視聴者V1の人数に応じた音声出力を行うことができる。
【0048】
(3)変形例:
上述した処理の各ステップの順番は、適宜、変更可能である。例えば、S106の処理の前にS108の処理を行ってもよい。
【0049】
図6に例示するように、視聴者方向検出手段4として複数の赤外線焦電型センサー42を用いてもよい。本変形例のTV1は、キャビネット11の前面11aの四隅にそれぞれ赤外線焦電型センサー42が取り付けられている。すなわち、赤外線焦電型センサー42は、本体2に対して表示面22の周囲の異なる位置に設けられている。
【0050】
図7は、赤外線センサーS1,S2を用いる場合にパラメトリックスピーカユニット133を視聴者V1に方向に向ける原理を説明するための図である。パラメトリックスピーカユニット133を首振り動作させる前、図7(a)の例では、視聴者V1が同図の右側となる赤外線センサーS2よりも同図の左側となる赤外線センサーS1に近いので、赤外線センサーS1の出力強度(例えば電圧E1)が赤外線センサーS2の出力強度(例えば電圧E2)よりも高いことが示されている。この場合、図7(b)に例示するように、パラメトリックスピーカユニット133を出力強度の高い方向、すなわち、左回りにパン動作させると、音声出力方向を視聴者V1の方向C1へ向けることができる。ここで、パン動作の角度θpを出力強度の比E2/E1の関数θp(E2/E1)として用意しておくと、検出された出力強度E1,E2を用いてパン動作の角度θp(E2/E1)を求め、パラメトリックスピーカユニット133をパン動作させることができる。角度θp(E2/E1)は、視聴者V1の方向C1となる。
むろん、高さの異なる複数の赤外線センサーの出力強度を用いてチルト動作の角度θtを求め、パラメトリックスピーカユニット133をチルト動作させてもよい。
【0051】
視聴者V1が複数存在しても、複数の赤外線センサーS1,S2の出力強度のうち、出力強度の高い方向へパラメトリックスピーカユニット133を回動させることによって、音声出力方向を視聴者V1の中心方向C1へ向けることができる。
図8は、視聴者V1が複数存在する場合にパラメトリックスピーカユニット133を視聴者V1の中心方向C1に向ける原理を説明するための図である。パラメトリックスピーカユニット133を首振り動作させる前、図8(a)の例では、複数の視聴者V1が全体として同図の右側となる赤外線センサーS2よりも同図の左側となる赤外線センサーS1に近いので、赤外線センサーS1の出力強度が赤外線センサーS2の出力強度よりも高いことが示されている。この場合、図8(b)に例示するように、パラメトリックスピーカユニット133を左回りにパン動作させると、音声出力方向を視聴者V1の中心方向C1へ向けることができる。ここでも、検出された出力強度E1,E2を用いてパン動作の角度θp(E2/E1)を求めると、この角度θp(E2/E1)となるようにパラメトリックスピーカユニット133をパン動作させることができる。角度θp(E2/E1)は、視聴者V1の中心方向C1となる。
むろん、高さの異なる複数の赤外線センサーの出力強度を用いてチルト動作の角度θtを求め、パラメトリックスピーカユニット133をチルト動作させてもよい。
【0052】
なお、TV1に設ける赤外線センサーの数を増やせば、パラメトリックスピーカユニット133の向きの精度を上げることができる。
【0053】
図9は、変形例に係る首振り制御処理をフローチャートにより示している。
首振り制御処理を開始すると、マイコン110は、時計回路114で計時されている現在時刻がパラメトリックスピーカ137,138を使用する所定の時間帯であるか否かを判断する(S202)。この時間帯は、午後6時から午前6時までと決められた夜間の時間帯でもよいし、リモコンの操作ボタン81から受け付けた時間帯でもよい。S202の判断は、指向性スピーカを使用する条件が成立しているか否かの判断である。
【0054】
S202でパラメトリックスピーカ使用時間帯であると判断された場合、マイコン110は、パラメトリックスピーカを使用する条件が成立しているとして、視聴者方向検出手段4により視聴者V1の方向C1を検出する(S204)。S206では、音声出力に使用するスピーカを切替回路132によりパラメトリックスピーカ137,138に切り替える。その後、マイコン110は、パラメトリックスピーカ137,138の音声出力方向を駆動手段5により視聴者方向検出手段4で検出される視聴者V1の方向へ向け(S208)、首振り制御処理を終了させる。これにより、夜間等のパラメトリックスピーカ使用時間帯に周囲への音漏れが抑制され、特定の視聴者V1のみにヘッドホン無しで番組を視聴させることができる。
【0055】
一方、S202でパラメトリックスピーカ使用時間帯でないと判断された場合、マイコン110は、パラメトリックスピーカを使用する条件が成立していないとして、音声出力に使用するスピーカを切替回路132により指向性の広い第二スピーカ147,148に切り替え(S210)、首振り制御処理を終了させる。これにより、周囲への音漏れに対する留意が比較的少なくてすむ昼間等のパラメトリックスピーカ使用時間帯外に、指向性の広い比較的自然な音声で視聴者V1に番組を視聴させることができる。
以上説明したように、本変形例によっても、より適切に視聴者V1の人数に応じた音声出力を行うことができる。
【0056】
また、図10に示すように、パラメトリックスピーカ使用時間帯、かつ、音声出力の指向性の範囲±θに全ての視聴者V1が入る場合にパラメトリックスピーカを使用してもよい。本首振り制御処理は、図9で示した処理のS204とS206の間に図4のS104が挿入されている。この場合、第二スピーカ147,148が使用されるのは、パラメトリックスピーカ使用時間帯外、又は、指向性の範囲±θに全ての視聴者V1が入りきらない場合となる。
一方、パラメトリックスピーカ使用時間帯、又は、音声出力の指向性の範囲±θに全ての視聴者V1が入る場合にパラメトリックスピーカを使用してもよい。この場合、図9で示した処理のS204とS206の間に図4のS104を挿入し、条件成立時に処理をS204に進めるようにすればよい。
【0057】
ところで、視聴者方向検出手段4にデジタルカメラ41を用いる場合、デジタルカメラ41の撮像画像から視聴者V1の個人認証を許可するか否かを判断し、許可すると判断した場合に指向性スピーカを使用してもよい。この場合、テレビジョン1は、図3に示す不揮発性メモリ(認証用顔データ記録部)118等に個人認証するための顔データD1を記録しておくものとする。テレビジョン1は、例えば、個人認証用の顔撮影を行うための所定の操作入力がリモコン8に行われたときに表示面22を見る所定の位置にいる視聴者V1の顔をデジタルカメラ41で撮像して撮像画像から顔を認識し、認識結果に基づいて撮像画像から顔データD1を抽出して不揮発性メモリ118に記録すればよい。顔認識は、撮像画像から顔の形状の肌色領域を抽出する等、公知の方法で行うことができる。
図11は、別の変形例に係る首振り制御処理をフローチャートにより示している。
【0058】
首振り制御処理を開始すると、マイコン110は、デジタルカメラ41に撮像させて撮像画像を取得する(S302)。S304では、S302で取得した撮像画像から視聴者V1の顔を認識し、該認識した顔と不揮発性メモリ118に記録された顔データD1とを対比する処理を行う。S306では、対比結果に基づいて個人認証を許可するか否かを判断する。例えば、撮像画像から認識した顔の面積を顔データD1の顔の面積に一致させ、面積を一致させた顔の肌色領域の画素と顔データD1の肌色領域の画素とが一致する割合を求め、この割合が所定の割合以上であれば個人認証を許可し、前記所定の割合未満であれば個人認証を許可しないようにすればよい。
【0059】
S306で個人認証許可と判断された場合、マイコン110は、パラメトリックスピーカを使用する条件が成立しているとして、視聴者方向検出手段4により視聴者V1の方向C1を検出する(S308)。S310では、音声出力に使用するスピーカを切替回路132によりパラメトリックスピーカ137,138に切り替える。その後、マイコン110は、パラメトリックスピーカ137,138の音声出力方向を駆動手段5により視聴者方向検出手段4で検出される視聴者V1の方向へ向け(S312)、首振り制御処理を終了させる。これにより、特定の視聴者V1のみにヘッドホン無しで番組を視聴させることができる。
【0060】
一方、S306で個人認証を許可しない判断された場合、マイコン110は、パラメトリックスピーカを使用する条件が成立していないとして、音声出力に使用するスピーカを切替回路132により指向性の広い第二スピーカ147,148に切り替え(S314)、首振り制御処理を終了させる。これにより、表示面22を見る全ての視聴者V1に対して、指向性の広い比較的自然な音声で番組を視聴させることができる。
以上説明したように、本変形例によると、特定の視聴者V1のみにヘッドホン無しで番組を視聴させることができる。
【0061】
また、図12に示すように、パラメトリックスピーカ使用時間帯、かつ、音声出力の指向性の範囲±θに全ての視聴者V1が入る場合、かつ、個人認証を許可する場合にパラメトリックスピーカを使用してもよい。本首振り制御処理は、図11で示した処理のS302の前に図10のS202〜S204及び図4のS104が挿入されている。むろん、S104の判断処理を省略してもよいし、S202〜S204の処理を省略してもよい。
一方、パラメトリックスピーカ使用時間帯、又は、音声出力の指向性の範囲±θに全ての視聴者V1が入る場合、又は、個人認証を許可する場合にパラメトリックスピーカを使用してもよい。この場合においても、指向性の範囲±θに全ての視聴者V1が入るか否かの判断処理を省略してもよいし、パラメトリックスピーカ使用時間帯であるか否かの判断処理を省略してもよい。
【0062】
ところで、左右にそれぞれパラメトリックスピーカ137,138を備えるとともに、左右にそれぞれ第二スピーカ147,148を備える場合、視聴者V1の数が1人であればスピーカ137,138,147,148からステレオの音声を出力し、視聴者V1の数が複数であればスピーカ137,138,147,148からモノラルの音声を出力してもよい。この場合、テレビジョン1は、図1,2に例示するデジタルカメラ41(視聴者方向検出手段4)がテレビジョン1の視聴者V1の数を検出するための視聴者数検出手段6とされる。
図13は、別の変形例に係る首振り制御処理をフローチャートにより示している。
【0063】
首振り制御処理を開始すると、マイコン110は、デジタルカメラ41に撮像させて撮像画像を取得する(S402)。S404では、S402で取得した撮像画像から視聴者V1の顔を認識し、該認識した顔に基づいて視聴者方向検出手段4で方向を検出される視聴者V1の数を求める。S406では、パラメトリックスピーカ137,138を使用する条件が成立しているか否かを判断する。この判断は、上述したように、音声出力の指向性の範囲±θに全ての視聴者V1が入るか否かの判断、パラメトリックスピーカ使用時間帯であるか否かの判断、個人認証を許可するか否かの判断、等とすることができる。
【0064】
パラメトリックスピーカ137,138を使用する条件が成立していると判断された場合、マイコン110は、視聴者方向検出手段4により視聴者V1の方向C1を検出する(S408)。S410では、音声出力に使用するスピーカを切替回路132によりパラメトリックスピーカ137,138に切り替える。その後、マイコン110は、パラメトリックスピーカ137,138の音声出力方向を駆動手段5により視聴者方向検出手段4で検出される視聴者V1の方向へ向ける(S412)。
ここで、マイコン110は、S404で取得した視聴者V1の数に応じて処理を分岐させる(S414)。求められた視聴者V1の数が1人である場合、マイコン110は、音声出力に使用しているパラメトリックスピーカ137,138からステレオの音声を出力させ(S416)、首振り制御処理を終了させる。求められた視聴者V1の数が複数である場合、音声出力に使用しているパラメトリックスピーカ137,138からモノラルの音声を出力させ(S418)、首振り制御処理を終了させる。
【0065】
パラメトリックスピーカ137,138を使用する条件が成立していないと判断された場合、マイコン110は、音声出力に使用するスピーカを切替回路132により指向性の広い第二スピーカ147,148に切り替える(S420)。
ここで、マイコン110は、S404で取得した視聴者V1の数に応じて処理を分岐させる(S422)。求められた視聴者V1の数が1人である場合、マイコン110は、音声出力に使用している第二スピーカ147,148からステレオの音声を出力させ(S424)、首振り制御処理を終了させる。求められた視聴者V1の数が複数である場合、音声出力に使用している第二スピーカ147,148からモノラルの音声を出力させ(S426)、首振り制御処理を終了させる。
【0066】
視聴者V1が1人である場合、スピーカ137,138,147,148からステレオの音声が出力される。従って、視聴者V1は、高品質の音声で視聴することができる。一方、視聴者V1が複数存在する場合、スピーカ137,138,147,148からモノラルの音声が出力される。従って、複数の視聴者V1が場所によらず違和感を覚えない音声で視聴することができる。
以上より、本変形例によると、より適切に視聴者V1の人数に応じた音声出力を行うことができる。
【0067】
ところで、第二スピーカ147,148が無くパラメトリックスピーカ137,138しかないテレビジョンや、パラメトリックスピーカ137,138が無く第二スピーカ147,148しかないテレビジョンであっても、視聴者数に応じてステレオ音声とモノラル音声とを切り替えてもよい。
図14は、別の変形例に係る首振り制御処理をフローチャートにより示している。図14に示す処理は、パラメトリックスピーカ137,138しか用いないことを前提として、図13で示したS402〜S404、S408,S412〜S418の処理が行われる。むろん、第二スピーカ147,148しか用いないことを前提とすれば、図13で示したS402〜S404、S422〜S426の処理を行えばよい。
【0068】
すなわち、視聴者V1が1人である場合、スピーカからステレオの音声が出力されるので、視聴者V1は高品質の音声で視聴することができる。一方、視聴者V1が複数存在する場合、スピーカからモノラルの音声が出力されるので、複数の視聴者V1が場所によらず違和感を覚えない音声で視聴することができる。
以上より、本変形例によっても、より適切に視聴者V1の人数に応じた音声出力を行うことができる。
【0069】
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、より適切に視聴者の人数に応じた音声出力を行うことが可能なテレビジョンを提供することができる。
【0070】
なお、従属請求項に係る構成要件を有しておらず独立請求項(実施形態に記載した側面を含む)に係る構成要件のみからなる装置、システム、方法及びプログラムでも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
【0071】
また、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0072】
1…テレビジョン、2…本体、3…スタンド、
4…視聴者方向検出手段、5…駆動手段、6…視聴者数検出手段、
8…リモコン(リモートコントロール装置)、
11…キャビネット、11a…前面、11b…開口、
12…表示手段、13…音声出力手段、
22…表示面、
28…本体側送受信装置、
41…デジタルカメラ、42…赤外線焦電型センサー、
51…パン機構、52…左右首振り用モータ、
53…チルト機構、54…上下首振り用モータ、
81…操作ボタン(操作入力手段)、88…リモコン側送受信装置、
110…マイコン(マイクロコンピュータ)、
118…不揮発性メモリ(認証用顔データ記録部)、
132…切替回路(スピーカ切替手段)、
133…パラメトリックスピーカユニット、
137,138…パラメトリックスピーカ(指向性スピーカ)、
143…第二スピーカユニット、
147,148…第二スピーカ、
D1…顔データ、
S1,S2…赤外線センサー、SI1…赤外線信号、
V1…視聴者。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する表示手段と、音声を出力する音声出力手段と、を備えるテレビジョンにおいて、
前記音声出力手段は、
指向性を有する音声を出力する指向性スピーカと、
該指向性スピーカよりも音声出力の指向性が広くされた第二スピーカと、
テレビジョンの視聴者の方向を検出するための視聴者方向検出手段と、
前記指向性スピーカの音声出力方向を変えるための駆動手段と、
音声出力に使用するスピーカを前記指向性スピーカにするか前記第二スピーカにするかを切り替えるためのスピーカ切替手段とを備え、
前記指向性スピーカを使用する条件が成立している場合、音声出力に使用するスピーカを前記スピーカ切替手段により前記指向性スピーカに切り替え、前記指向性スピーカの音声出力方向を前記駆動手段により前記視聴者方向検出手段で検出される視聴者の方向へ向け、
前記指向性スピーカを使用する条件が成立していない場合、音声出力に使用するスピーカを前記スピーカ切替手段により前記第二スピーカに切り替えることを特徴とするテレビジョン。
【請求項2】
前記音声出力手段は、
前記指向性スピーカによる音声出力の指向性の範囲に前記視聴者方向検出手段で検出される全ての視聴者が入るか否かを判断し、
全ての視聴者が入ると判断した場合、前記指向性スピーカを使用する条件が成立しているとして、音声出力に使用するスピーカを前記スピーカ切替手段により前記指向性スピーカに切り替え、前記指向性スピーカの音声出力方向を前記駆動手段により前記視聴者方向検出手段で検出される視聴者の方向へ向け、
全ての視聴者が入ると判断しなかった場合、前記指向性スピーカを使用する条件が成立していないとして、音声出力に使用するスピーカを前記スピーカ切替手段により前記第二スピーカに切り替えることを特徴とする請求項1に記載のテレビジョン。
【請求項3】
前記音声出力手段は、
前記指向性スピーカを使用する所定の時間帯であるか否かを判断し、
所定の時間帯であると判断した場合、前記指向性スピーカを使用する条件が成立しているとして、音声出力に使用するスピーカを前記スピーカ切替手段により前記指向性スピーカに切り替え、前記指向性スピーカの音声出力方向を前記駆動手段により前記視聴者方向検出手段で検出される視聴者の方向へ向け、
所定の時間帯でないと判断した場合、前記指向性スピーカを使用する条件が成立していないとして、音声出力に使用するスピーカを前記スピーカ切替手段により前記第二スピーカに切り替えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のテレビジョン。
【請求項4】
前記視聴者方向検出手段は、デジタルカメラとされ、
前記音声出力手段は、
個人認証するための顔データを記録した認証用顔データ記録部を備え、
前記デジタルカメラに撮像させて撮像画像を取得し、該取得した撮像画像から視聴者の顔を認識し、該認識した顔と前記認証用顔データ記録部に記録された顔データとを対比して個人認証を許可するか否かを判断し、
個人認証を許可すると判断した場合、前記指向性スピーカを使用する条件が成立しているとして、音声出力に使用するスピーカを前記スピーカ切替手段により前記指向性スピーカに切り替え、前記指向性スピーカの音声出力方向を前記駆動手段により前記視聴者方向検出手段で検出される視聴者の方向へ向け、
個人認証を許可しないと判断した場合、前記指向性スピーカを使用する条件が成立していないとして、音声出力に使用するスピーカを前記スピーカ切替手段により前記第二スピーカに切り替えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のテレビジョン。
【請求項5】
前記音声出力手段は、
左右にそれぞれ前記指向性スピーカを備えるとともに、左右にそれぞれ前記第二スピーカを備え、
前記視聴者方向検出手段で方向を検出される視聴者の数を求め、
該求めた視聴者の数が1人である場合、前記指向性スピーカと前記第二スピーカのうち音声出力に使用しているスピーカからステレオの音声を出力し、
前記求めた視聴者の数が複数である場合、前記指向性スピーカと前記第二スピーカのうち音声出力に使用しているスピーカからモノラルの音声を出力することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のテレビジョン。
【請求項6】
映像を表示する表示手段と、音声を出力する音声出力手段と、を備えるテレビジョンにおいて、
前記音声出力手段は、
左右にそれぞれスピーカを備えるとともに、
テレビジョンの視聴者の数を検出するための視聴者数検出手段を備え、
該視聴者数検出手段で検出された視聴者の数が1人である場合、前記スピーカからステレオの音声を出力し、
前記視聴者数検出手段で検出された視聴者の数が複数である場合、前記スピーカからモノラルの音声を出力することを特徴とするテレビジョン。
【請求項7】
映像を表示する表示手段(12)と、音声を出力する音声出力手段(13)と、を備えるテレビジョン(1)において、
前記音声出力手段(13)は、
パラメトリックスピーカ(137,138)と、
該パラメトリックスピーカ(137,138)よりも音声出力の指向性が広くされた第二スピーカ(147,148)と、
テレビジョン(1)の視聴者(V1)の方向を検出するための視聴者方向検出手段(4)と、
前記パラメトリックスピーカ(137,138)の音声出力方向を変えるための駆動手段(5)と、
音声出力に使用するスピーカを前記パラメトリックスピーカ(137,138)にするか前記第二スピーカ(147,148)にするかを切り替えるためのスピーカ切替手段(132)とを備え、
前記パラメトリックスピーカ(137,138)による音声出力の指向性の範囲に前記視聴者方向検出手段(4)で検出される全ての視聴者(V1)が入るか否かを判断し、
全ての視聴者(V1)が入ると判断した場合、音声出力に使用するスピーカを前記スピーカ切替手段(132)により前記パラメトリックスピーカ(137,138)に切り替え、前記パラメトリックスピーカ(137,138)の音声出力方向を前記駆動手段5により前記視聴者方向検出手段(4)で検出される視聴者(V1)の方向へ向け、
全ての視聴者(V1)が入ると判断しなかった場合、音声出力に使用するスピーカを前記スピーカ切替手段(132)により前記第二スピーカ(147,148)に切り替えることを特徴とするテレビジョン(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−44471(P2012−44471A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184302(P2010−184302)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】