説明

テレビドアホン装置

【課題】簡素かつ安価な回路構成を用いて照明灯の光量を時間の経過とともに可変させることにより、照明灯の駆動時における輝度バラツキを抑えてカメラにて撮像される映像の視認性を高める。
【解決手段】子機1a、1bの光量制御部を構成する可視光照明灯駆動回路108a、108b及び子機制御回路111a、111bにより、カメラ101a、101bにて撮像される映像の明るさを確保するために点灯される照明灯102a、102bを構成する可視光LED120aの点滅の周期をPFM駆動して点滅の周期を時間の経過に伴い変化させる、又は照明灯を構成する可視光LED120bの点消灯の周期をPWM駆動して点消灯の周期を時間の経過に伴い変化させることで、当該照明灯の光量を増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子機のカメラにて撮像された映像を親機のモニタに出画するテレビドアホン装置に係り、特に、カメラにて撮像される映像の明るさを確保するために点灯される照明灯の光量を、時間の経過とともに変化させることができるテレビドアホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、夜間時等においてカメラにて撮像される映像の明るさを確保するために照明灯を点灯させるにあたり、来訪者等の人物の目に対する過度な刺激を抑えるため、照明灯の光量を時間の経過とともに増加させる種々の手段が開示されている(例えば、特許文献1、2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3586071号公報
【特許文献2】特許第4143971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景技術に記載した特許文献1のカラーテレビドアホン装置及び特許文献2のテレビインターホンシステムによれば、それぞれ、コンデンサが有する充電特性を利用して照明LED/照明光源の光量の時間的な変化を制御しているため、部品点数の増加やコンデンサ容量の公差によって、その変化が変動していた。
【0005】
また、特許文献2のテレビインターホンシステムによれば、マイクロプロセッサに内蔵されたテーブル値を用いた制御手段が適用されているため、照明光源の光量の時間的な変化の変動は回避される一方、デジタル値であるテーブル値を実制御に使用するにあたり、アナログ値に変換するためのD/Aコンバータが必要となり、回路規模が大きくなりコストも増大することがあった。
【0006】
本発明は、これらの難点を解消するためになされたもので、簡素かつ安価な回路構成を用いて照明灯の点滅の周期又は点消灯の周期を時間の経過とともにデジタル制御し、当該照明灯の光量を増加させることができるテレビドアホン装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるテレビドアホン装置は、カメラを有する子機と、子機のカメラにて撮像された映像を出画するためのモニタを有する親機とを備えるテレビドアホン装置である。子機には、カメラにて撮像される映像の明るさを確保するために点灯される照明灯と、照明灯の点滅の周期をPFM駆動して点滅の周期を時間の経過に伴い変化することで当該照明灯の光量を増加させるための光量制御部とを備えている。
【0008】
また、本発明の第2の態様であるテレビドアホン装置は、カメラを有する子機と、子機のカメラにて撮像された映像を出画するためのモニタを有する親機とを備えるテレビドアホン装置である。子機には、カメラにて撮像される映像の明るさを確保するために点灯される照明灯と、照明灯の点消灯の周期をPWM駆動して点消灯の周期を時間の経過に伴い変化することで当該照明灯の光量を増加させるための光量制御部とを備えている。
【0009】
また、本発明の第3の態様であるテレビドアホン装置は、本発明の第1の態様又は第2の態様において、照明灯は、可視光の発光体と、可視光の発光体が発光していないときに点灯する赤外光の発光体とを有するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のテレビドアホン装置によれば、子機のカメラにて撮像される映像の明るさを確保するために点灯される照明灯の点滅の周期又は点消灯の周期を、簡素かつ安価な回路構成を用いて時間の経過とともにデジタル制御することにより、当該照明灯の光量を増加させることができるため、来訪者等の人物の目に対する過度な刺激を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の第1、第2の実施例によるテレビドアホン装置の全体構成を示すシステム説明図である。
【図2】図2は、本発明の第1、第2の実施例によるテレビドアホン装置の具体的な構成を示す回路ブロック図である。
【図3】図3(A)、(B)はそれぞれ、本発明の第1、第2の実施例によるテレビドアホン装置において照明灯の駆動制御のために適用されるパルス波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のテレビドアホン装置を適用した実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1、第2の実施例によるテレビドアホン装置の全体構成図である。このテレビドアホン装置には、玄関、エントランス等の屋外に設置される子機(以下、第1、第2の子機という。)1a、1bと、住戸内に設置され子機・親機ラインLを経由して第1、第2の子機1a、1bに接続される親機2とで構成されている。
【0014】
同図に示す第1、第2の子機1a、1bには、子機操作部100a、100b、カメラ101a、101b、照明灯102a、102b、子機マイク103a、103b及び子機スピーカ104a、104bが備えられている。
【0015】
この第1、第2の子機1a、1bにおいて、子機操作部100a、100bは、玄関、エントランス等の住戸外に居る来訪者が住戸内に在室中の居住者を呼出すために操作するものであり、例えば、呼出ボタンにて構成されている。また、カメラ101a、101bは、被写体である例えば、呼出操作を行った来訪者の映像や住戸外における当該子機の周囲近傍の映像(監視映像を含む。)を撮像するためのものであり、例えば、CCD、CMOS等の撮像素子にて構成されている。また、照明灯102a、102bは、カメラ101a、101bにて撮像される映像の明るさを確保するために点灯されるものであり、白色光のような可視光の発光体を構成する図2に示す可視光LED120a、120bと、可視光の発光体が発光していないときに点灯する赤外光の発光体を構成する図2に示す赤外光LED121a、121bとを有している。さらに、子機マイク103a、103b及び子機スピーカ104a、104bは、来訪者が居住者との間で通話を成立させるための音声(送話音声、受話音声)を入出力するものである。
【0016】
また、同図に示す親機2には、親機操作部200、モニタ201、親機マイク202及び親機スピーカ203が備えられている。
【0017】
この親機2において、親機操作部200は、居住者が来訪者からの呼出しに応答して親機マイク202及び親機スピーカ203の使用による通話を開始する応答操作又は当該通話を終了するための終話操作や、居住者が第1、第2の子機1a、1bの照明灯102a、102bの駆動を開始させるための操作等を行うものであり、例えば、通話ボタン、照明ボタンやタッチパネルにて構成されている。また、モニタ201は、第1、第2の子機1a、1bのカメラ101a、101bにて撮像された映像を出画するためのものであり、例えば、LCD、有機ELディスプレイ等の表示・出画媒体にて構成され、このモニタ201は、来訪者による第1、第2の子機1a、1bからの呼出しを報知するための呼出報知機能も有している。さらに、親機マイク202及び親機スピーカ203は、居住者が来訪者の間で通話を成立させるための音声(送話音声、受話音声)を入出力するものであり、この親機スピーカ203は、来訪者による第1、第2の子機1a、1bからの呼出しを報知するための呼出報知機能も有している。
【0018】
次に、本発明の第1、第2の実施例に適用される第1、第2の子機1a、1b及び親機2の具体的な構成について、図2のブロック図を参照して説明する。
【0019】
図2に示す第1、第2の子機1a、1bには、前述の子機操作部100a、100b、カメラ101a、101b、照明灯102a、102b、子機マイク103a、103b及び子機スピーカ104a、104bと、子機映像処理回路105a、105b、子機音声処理回路106a、106b、照度検出回路107a、107b、可視光照明灯駆動回路108a、108b、赤外光照明灯駆動回路109a、109b、子機電源回路110a、110b、子機制御回路111a、111b及び子機I/F112a、112bとが備えられている。
【0020】
この第1、第2の子機1a、1bにおいて、子機映像処理回路105a、105bは、カメラ101a、101bにて撮像された映像(映像信号)について所定の信号処理を行うものであり、例えば、FM変調や増幅を行うことができる。また、子機音声処理回路106a、106bは、子機マイク103a、103b及び子機スピーカ104a、104bにて入出力される音声(音声信号)について所定の信号処理を行うものであり、例えば、音声(音声信号)の4線/2線変換や2線/4線変換を行うことができる。また、照度検出回路107a、107bは、前述の被写体又はカメラ101a、101bにて撮像される映像の明るさを検出するためのものであり、ここでは、カメラ101a、101bに内蔵される撮像素子で兼用されている。また、子機電源回路110a、110bは、親機2の後述する親機電源回路206から供給されてくる(子機用の)待受電源又は動作電源を受電し、当該子機の構成各部/回路に電源供給するためのものである。また、子機制御回路111a、111bは、当該子機の構成各部/回路を制御するためのものである。さらに、子機I/F112a、112bは、子機映像処理回路105a、105bから子機・親機ラインLへの映像(映像信号)の信号伝送路、子機音声処理回路106a、106b及び子機・親機ラインL間における音声(音声信号)の信号伝送路(通話路)、子機・親機ラインLを経由して親機2から供給されてくる(子機用の)待受電源又は動作電源の子機電源回路110a、110bへの電源供給路、子機制御回路111a、111b及び子機・親機ラインL間における制御用の信号伝送路をそれぞれ形成するためのものである。
【0021】
また、本発明の第1の実施例に適用される第1の子機1aの可視光照明灯駆動回路108aは、照明灯102aを構成する可視光LED120aの点滅の周期をPFM(Pulse Frequency Modulation)駆動して当該点滅の周期を時間の経過に伴い変化することで照明灯102aの光量を増加させるために、子機制御回路111aにより制御されるものであって、トランジスタ(スイッチングトランジスタ)180a、抵抗(電流制限抵抗)181aが備えられている。このトランジスタ180aのベースは子機制御回路110a(の制御出力側)に、コレクタは抵抗181aを経由して可視光LED120a(のカソード)に、エミッタは基準電位点にそれぞれ接続されている。
【0022】
また、本発明の第1の実施例に適用される第1の子機1aの赤外光照明灯駆動回路109aは、照明灯102aを構成する赤外光LED121aを点灯させるために、子機制御回路111aにより制御されるものであって、トランジスタ(スイッチングトランジスタ)190a、抵抗(電流制限抵抗)191aが備えられている。このトランジスタ190aのベースは子機制御回路111a(の制御出力側)に、コレクタは抵抗191aを経由して赤外光LED121a(のカソード)に、エミッタは基準電位点にそれぞれ接続されている。
【0023】
また、本発明の第2の実施例に適用される第2の子機1bの可視光照明灯駆動回路108bは、照明灯102bを構成する可視光LED120bの点消灯の周期をPWM(Pulse Width Modulation)駆動して当該点消灯の周期を時間の経過に伴い変化することで照明灯102bの光量を増加させるために、子機制御回路111bにより制御されるものであって、トランジスタ(スイッチングトランジスタ)180b、抵抗(電流制限抵抗)181bが備えられている。このトランジスタ180bのベースは子機制御回路111b(の制御出力側)に、コレクタは抵抗181bを経由して可視光LED120b(のカソード)に、エミッタは基準電位点にそれぞれ接続されている。
【0024】
さらに、本発明の第2の実施例に適用される第2の子機1bの赤外光照明灯駆動回路109bは、照明灯102bを構成する赤外光LED121bを点灯させるために、子機制御回路111bにより制御されるものであって、トランジスタ(スイッチングトランジスタ)190b、抵抗(電流制限抵抗)191bが備えられている。このトランジスタ190bのベースは子機制御回路111b(の制御出力側)に、コレクタは抵抗191bを経由して赤外光LED121b(のカソード)に、エミッタは基準電位点にそれぞれ接続されている。
【0025】
次に、図2に示す親機2には、前述の親機操作部200、モニタ201、親機マイク202及び親機スピーカ203と、親機映像処理回路204、親機音声処理回路205、親機電源回路206、親機制御回路207及び親機I/F208とが備えられている。
【0026】
この親機2において、親機映像処理回路204は、子機・親機ラインL間を経由して第1、第2の子機1a、1bから伝送されてくる映像(映像信号)について所定の信号処理を行うものであり、例えば、FM復調や増幅を行うことができる。また、親機音声処理回路205は、親機マイク202及び親機スピーカ203にて入出力される音声(音声信号)について所定の信号処理を行うものであり、例えば、音声(音声信号)の4線/2線変換や2線/4線変換を行うことができる。また、親機電源回路206は、図示しない商用電源を整流・平滑して得られる直流電源をもとに(親機用の)待受電源又は動作電源を生成して当該親機の構成各部/回路に電源供給するとともに、(子機用の)待受電源又は動作電源を生成するためのものである。また、親機制御回路207は、当該親機の構成各部/回路を制御するためのものである。さらに、親機I/F208は、子機・親機ラインLから親機映像処理回路204への映像(映像信号)の信号伝送路、親機音声処理回路205及び子機・親機ラインL間における音声(音声信号)の信号伝送路(通話路)、親機電源回路206から子機・親機ラインLへの(子機用の)待受電源又は動作電源の電源供給路、親機制御回路207及び子機・親機ラインL間における制御用の信号伝送路をそれぞれ形成するためのものである。
【0027】
このように構成された本発明の第1、第2の実施例によるテレビドアホン装置において、以下、具体的な動作について、図1、図2及び図3(A)、(B)のパルス波形図をそれぞれ参照して説明する。
【0028】
最初に、本発明の第1の実施例によるテレビドアホン装置の具体的な動作を説明するにあたり、当該装置が待受状態であるとき、図2に示す親機2の親機電源回路206は、待受電源を生成して当該親機の構成各部/回路に電源供給している。また、親機電源回路206は、同様に生成した子機用の待受電源を、親機I/F208、子機・親機ラインL、第1の子機1aの子機I/F112aを経由して子機電源回路110aに供給することにより、この子機電源回路110aから当該子機の構成各部/回路に待受電源が電源供給されることになる。
【0029】
前述の待受状態である例えば、夜間時等において、来訪者が居住者を呼出すにあたり、図1、図2に示す第1の子機1aの子機操作部100aを使用して所定の呼出操作を行うと、この操作を検出した子機制御回路111aにて呼出信号が生成される。また、子機制御回路111aにて生成された呼出信号は、子機I/F112a、子機・親機ラインL、親機2の親機I/F208を経由して親機制御回路207に伝送される。
【0030】
親機2の親機制御回路207は、子機・親機ラインLを経由して第1の子機1aから伝送されてきた呼出信号をもとに来訪者からの呼出しがあることを検出し、その旨の呼出報知について例えば、親機スピーカ203からの呼出音や音声メッセージ等の出力、モニタ201への文字メッセージや絵データ等の表示を利用して行うことができる。また、親機制御回路207は、親機電源回路206を制御して前述の待受電源よりも高い電圧レベルの動作電源を当該親機の構成各部/回路に電源供給するとともに、同様に電圧レベルが制御された子機用の動作電源を生成し、親機I/F208、子機・親機ラインL、第1の子機1aの子機I/F112aを経由して子機電源回路110aに供給することにより、この子機電源回路110aから当該子機の構成各部/回路に動作電源が電源供給されることになる。
【0031】
次に、前述のような動作電源が電源供給されると、第1の子機1aの子機制御回路111aの制御によってカメラ101aが能動となり、被写体である呼出操作を行った来訪者の映像(当該子機の周囲近傍の映像を含む。)の撮像が開始される。この映像は、子機映像処理回路105a、子機I/F112a、子機・親機ラインL、親機2の親機I/F208、親機映像処理回路204を経由してモニタ201に伝送されることにより、被写体である呼出操作を行った来訪者(当該子機の周囲近傍の映像を含む。)の映像のモニタ201への出画動作が開始されることになる。
【0032】
また、前述のように第1の子機1aのカメラ101aが能動となると、このカメラ101aに内蔵された撮像素子として兼用されている照度検出回路107aにて被写体又は映像(映像信号)の明るさが検出され、その検出データが所定の閾値レベル未満であり、例えば、夜間時等の暗いレベルであると子機制御回路111aが判断すると、この子機制御回路111aは、照明灯102aを構成する可視光LED120aの点滅の周期を図3(A)に示す周期でPFM駆動させ点滅の周期を時間の経過に伴い変化するように可視光照明灯駆動回路108aのトランジスタ180aへの出力パルスを制御する。具体的には、実効的な光量が少ない早い点滅パターンの周期f1をもとに微分処理を行い一定幅のパルスを算出した後、一定時間t内にその数が増減するパルスの積分処理を行うことで直流成分を導き出すことにより、点滅の周期が実効的な光量が大きい遅い点滅パターンの周期f2に移行されるように制御(デジタル制御)することによって、時間の経過に伴い照明灯102aの光量が増加されるため、来訪者等の人物の目に対する過度な刺激を抑えることができる。一方、照度検出回路107aの検出データが所定の閾値レベル以上であり、前述の来訪者による呼出時である夜間時とは異なる例えば、昼間時等の明るいレベルであると子機制御回路111aが判断した場合には、可視光照明灯駆動回路108aは何ら動作せず、ゆえに照明灯102aを構成する可視光LED120aは消灯のまま保持される。
【0033】
なお、第1の子機1aの照明灯102aを構成する可視光LED120aが消灯しているとき、子機制御回路111aは、照明灯102aを構成する赤外光LED121aを点灯させるように赤外光照明灯駆動回路109aのトランジスタ190aへの出力パルスを制御することができる。この制御により、照明灯102aを構成する赤外光LED121aが点灯するため、来訪者等の人物の目に対する刺激はない状態で、前述の明るさは確保されることになる。
【0034】
さらに、前述のような呼出報知をもとに来訪者による第1の子機1aからの呼出しがあり、明るさが確保された来訪者の映像(映像信号)を確認した居住者が親機2の親機操作部200を使用して所定の応答操作を行うと、この操作を検出した親機制御回路208及び子機制御回路110aの制御により、親機マイク202から親機音声処理回路205、親機I/F208、子機・親機ラインL、子機I/F112a、子機音声処理回路106aを経由して子機スピーカ104aへの信号伝送路と、子機マイク103aから子機音声処理回路106a、子機I/F112a、子機・親機ラインL、親機I/F208、親機音声処理回路205、親機スピーカ203への信号伝送路とがそれぞれ形成され、形成された信号伝送路を経由して音声信号を送受信することにより、特に、居住者にとっては、明るさが確保された視認性の高い来訪者の映像を確認しつつ、この来訪者との間の通話を成立させることができる。
【0035】
次に、本発明の第2の実施例によるテレビドアホン装置の具体的な動作を説明するにあたり、当該装置が待受状態であり、例えば、夜間時等において、来訪者が居住者を呼出すにあたり第2の子機1bの子機操作部100bを使用して所定の呼出操作を行った際の親機2の親機制御回路207の制御による呼出報知までの動作、親機制御回路207の制御による動作電源の供給動作については、本発明の第1の実施例の該当動作と同様であるため、その説明は省略するものとする。
【0036】
第1の実施例と同様な動作電源が電源供給されると、第2の子機1bの子機制御回路111bの制御によってカメラ101bが能動となり、被写体である呼出操作を行った来訪者の映像(当該子機の周囲近傍の映像を含む。)の撮像が開始される。この映像は、子機映像処理回路105b、子機I/F112b、子機・親機ラインL、親機2の親機I/F208、親機映像処理回路204を経由してモニタ201に伝送されることにより、被写体である呼出操作を行った来訪者(当該子機の周囲近傍の映像を含む。)の映像のモニタ201への出画動作が開始されることになる。
【0037】
また、前述のように第2の子機1bのカメラ101bが能動となると、このカメラ101bに内蔵された撮像素子として兼用されている照度検出回路107bにて被写体又は映像(映像信号)の明るさが検出され、その検出データが所定の閾値レベル未満であり、例えば、夜間時等の暗いレベルであると子機制御回路111bが判断すると、この子機制御回路111bは、照明灯102bを構成する可視光LED120bの点消灯の周期を図3(B)に示す周期でPWM駆動させ点消灯の周期を時間の経過に伴い変化するように可視光照明灯駆動回路108bのトランジスタ180bへの出力パルスを制御する。具体的には、点消灯の周期を時間で表す消灯時間t2と比較して短い点灯時間t1の関係「t2>t1、但し、t1+t2=一定」から、消灯時間t2と比較して長い点灯時間t1の関係「t2<t1、但し、t1+t2=一定」の関係に移行されるようにデジタル制御することにより、時間の経過に伴い照明灯102bの光量が増加されるため、来訪者等の人物の目に対する過度な刺激を抑えることができる。一方、照度検出回路107bの検出データが所定の閾値レベル以上であり、前述の来訪者による呼出時である夜間時とは異なる例えば、昼間時等の明るいレベルであると子機制御回路111bが判断した場合には、可視光照明灯駆動回路108bは何ら動作せず、ゆえに照明灯102bを構成する可視光LED120bは消灯のまま保持される。
【0038】
なお、第2の子機1bの照明灯102bを構成する可視光LED120bが消灯しているとき、子機制御回路111bは、照明灯102bを構成する赤外光LED121bを点灯させるように赤外光照明灯駆動回路109bのトランジスタ190bへの出力パルスを制御することができる。この制御により、照明灯102bを構成する赤外光LED121bが点灯するため、来訪者等の人物の目に対する刺激はない状態で、前述の明るさは確保されることになる。
【0039】
さらに、前述のような呼出報知をもとに来訪者による第2の子機1bからの呼出しがあり、明るさが確保された来訪者の映像(映像信号)を確認した居住者が親機2の親機操作部200を使用して所定の応答操作を行うと、この操作を検出した親機制御回路208及び子機制御回路111bの制御により、親機マイク202から親機音声処理回路205、親機I/F208、子機・親機ラインL、子機I/F112b、子機音声処理回路106bを経由して子機スピーカ104bへの信号伝送路と、子機マイク103bから子機音声処理回路106b、子機I/F112b、子機・親機ラインL、親機I/F208、親機音声処理回路205、親機スピーカ203への信号伝送路とがそれぞれ形成され、形成された信号伝送路を経由して音声信号を送受信することにより、特に、居住者にとっては、明るさが確保された視認性の高い来訪者の映像を確認しつつ、この来訪者との間の通話を成立させることができる。
【0040】
本発明のテレビドアホン装置においては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成の当該装置であっても採用できるということはいうまでもないことである。
【0041】
具体的に本発明の実施例においては、第1、第2の子機1a、1bのカメラ101a、101bにて映像を撮像するタイミングとして、来訪者が子機操作部100a、100bを使用して呼出操作を行った呼出時を適用したが、このタイミングに限定されるものではない。例えば、居住者が住戸外の様子を親機2のモニタ201を使用して監視するにあたり、親機操作部200を使用して所定の監視操作を行い、カメラ101a、101bにて監視映像を撮像する場合であっても同様な効果を奏することができる。
【0042】
また、本発明の実施例においては、第1、第2の子機1a、1bに設けられる照度検出回路107a、107bを、カメラ101a、101bに内蔵された撮像素子として兼用させたが、この態様に限定されるものではない。例えば、カメラ101a、101bから独立して設けられる照度センサ等を適用した場合であっても同様な効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0043】
1a、1b……第1、第2の子機
101a、101b……カメラ
108a、108b……可視光照明灯駆動回路(光量制御部)
111a、111b……子機制御回路(光量制御部)
2……親機
201……モニタ
f1、f2……(照明灯の)点滅の周期
t1、t2……(照明灯の)点消灯の周期

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ(101a)を有する子機(1a)と、前記子機のカメラにて撮像された映像を出画するためのモニタ(201)を有する親機(2)とを備えるテレビドアホン装置であって、
前記子機には、前記カメラにて撮像される映像の明るさを確保するために点灯される照明灯(102a)と、前記照明灯の点滅の周期(f1、f2)をPFM駆動して前記点滅の周期を時間の経過に伴い変化することで当該照明灯の光量を増加させるための光量制御部(108a、110a)とを備えることを特徴とするテレビドアホン装置。
【請求項2】
カメラ(101b)を有する子機(1b)と、前記子機のカメラにて撮像された映像を出画するためのモニタ(201)を有する親機(2)とを備えるテレビドアホン装置であって、
前記子機には、前記カメラにて撮像される映像の明るさを確保するために点灯される照明灯(102b)と、前記照明灯の点消灯の周期(t1、t2)をPWM駆動して前記点消灯の周期を時間の経過に伴い変化することで当該照明灯の光量を増加させるための光量制御部(108b、110b)とを備えることを特徴とするテレビドアホン装置。
【請求項3】
前記照明灯は、可視光の発光体と、前記可視光の発光体が発光していないときに点灯する赤外光の発光体とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のテレビドアホン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−175610(P2012−175610A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38103(P2011−38103)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】