テレビ電話装置、通信システムおよび通信方法
【課題】 他のテレビ電話装置で通話内容の悪用防止措置がとられていることを確認するためのテレビ電話装置、通信システムおよび通信方法を提供する。
【解決手段】 端末5は、他の端末と通信を開始するとき、他の端末の履歴情報を機器情報公開WEBサーバ50から受信することができるので、端末5は、通信情報を他の端末に送信する前に、過去に不所望に使用されている場合は、履歴情報に基づいて認識できるので、他の端末に送信する情報を適宜選択することができ、これによって操作者は送信する通信情報が、他の端末によって不所望に用いられることを防止することができる。
【解決手段】 端末5は、他の端末と通信を開始するとき、他の端末の履歴情報を機器情報公開WEBサーバ50から受信することができるので、端末5は、通信情報を他の端末に送信する前に、過去に不所望に使用されている場合は、履歴情報に基づいて認識できるので、他の端末に送信する情報を適宜選択することができ、これによって操作者は送信する通信情報が、他の端末によって不所望に用いられることを防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ電話装置と他のテレビ電話装置とを含む通信システムおよびそれらの通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術のテレビ電話装置では、撮像手段によって通話者の画像を撮像し、互いに通信相手の画像を視認して、通話することができる点に特徴を有する(たとえば特許文献1参照)。しかしながら通話者の状況によっては、通話相手に自身の画像を視認されたくない場合がある。このような問題を解決するために、第1の従来の技術のテレビ電話機では、撮像した画像を加工して、不鮮明な画像にし、その不鮮明な画像を通話相手に送信するように構成される(たとえば特許文献2参照)。
【0003】
また第2の従来の技術のテレビ電話機では、プライバシーを侵されることなく、通話相手に自分の様子を知らせることができるテレビ電話機が開示されている。このテレビ電話機では、撮像した画像のサイズを所望の大きさに変更して、サイズを変更した画像を通話相手に送信するように構成される。したがって撮像した画像を小さく加工することによって、通話相手は画像の細部の視認が困難になる。これによってプライバシーを保護し、通話相手に自分の画像を送信することができる(たとえば特許文献3参照)。
【0004】
またテレビ電話装置を用いて通話している場合、通話相手を表示している表示手段が第3者によってのぞかれると、通話相手のプライバシーが侵害されるおそれがある。このような問題を解決するために、第3の従来の技術の表示装置は、面光源と、2つの偏光板と、この偏光板に挟持されるツイストネマチック型液晶セルを含んで構成される。このように構成することによって、面光源から放射状に出射される光が、2つの偏光板とツイストネマチック型液晶セルを通過することによって、直線状の光に変換される。したがって表示装置によって表示される画像は、ある特定の方向からしか視認することができない。したがって表示装置に表示される画像が、第3者から不所望に除かれることを防止することができる(たとえば特許文献4参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−165949号公報
【特許文献2】特開2001−169257号公報
【特許文献3】特開2003−143566号公報
【特許文献4】特開平5−108023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したような従来の技術のテレビ電話装置では、通信相手に送信する画像情報および音声情報が通話経路上で暗号化されていても、相手側端末では暗号化されたデータが復号されて再生されることになる。したがって相手側端末がなんら対策も施されていない場合、通話内容が簡単に記録され、第3者に不所望に公開されるおそれがある。
【0007】
また相手側端末に第3者がなんらかの仕掛けをし、通話相手が知らないうちに通話内容が記録されて、悪用されるおそれがある。このような場合、通話者が注意していても通話相手側の過失および不注意によって、自分も被害をこうむるおそれがある。
【0008】
このような被害を軽減するために、前述したように通話情報を不鮮明化し、自分自身の情報の一部を隠蔽して相手に送信する防護技術が開示されているが、このような防護技術
を用いて通話中に常に防護機能を働かせていると、自分の画像と音声とを相手に送信するというテレビ電話本来の利便性を著しく損ない、また必要なときだけこのような防護機能を働かせるということも考えられるが、どのような場合に防護機能を働かせればよいか、通話者が判断する基準がない。
【0009】
したがって本発明の目的は、他のテレビ電話装置で通話内容の悪用防止措置がとられていることを確認するためのテレビ電話装置、通信システムおよび通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、他のテレビ電話装置と少なくとも画像情報および音声情報を含む通信情報を通信可能なテレビ電話装置と、他のテレビ電話装置に関する情報を管理する管理装置とを含む通信システムであって、
前記管理装置は、
他のテレビ電話装置を識別する識別情報と、他のテレビ電話装置の過去の使用状況に関する履歴情報とを関連付けて記憶する管理記憶手段と、
前記管理記憶手段に記憶される履歴情報をテレビ電話装置に送信する管理通信手段と、
テレビ電話装置から識別情報が与えられると、前記管理記憶手段に前記識別情報に関連付けされている履歴情報を、テレビ電話装置に送信するように管理通信手段を制御する管理制御手段とを含み、
前記テレビ電話装置は、
他のテレビ電話装置および前記管理装置と通信する通信手段であって、他のテレビ電話装置と通信を開始するとき、他のテレビ電話装置から送信された識別情報を前記管理装置に送信する通信手段を含むことを特徴とする通信システムである。
【0011】
また本発明は、前記テレビ電話装置は、
他のテレビ電話装置と通信を開始するとき、前記管理装置に送信した識別情報に対して、管理装置から与えられる履歴情報に基づいて、他のテレビ電話装置に送信する通信情報を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択される通信情報を、他のテレビ電話装置に送信するように通信手段を制御する制御手段とをさらに含むことを特徴とする。
【0012】
さらに本発明は、前記履歴情報は、他の電話装置の改変に関する情報、および他の電話装置の不正使用に関する情報のうち少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする。
【0013】
さらに本発明は、前記テレビ電話装置であって、
前記選択手段は、他のテレビ電話装置に送信される画像情報または音声情報を加工する加工部を含み、
選択手段は、他のテレビ電話装置に送信する通信情報として、前記加工部によって加工される情報を選択することを特徴とするテレビ電話装置である。
【0014】
さらに本発明は、前記通信情報は、他のテレビ電話装置の動作を指令する指令情報を含むことを特徴とする。
【0015】
さらに本発明は、テレビ電話装置と他のテレビ電話装置との通信方法であって、
他のテレビ電話装置を識別する識別情報と、他のテレビ電話装置の過去の使用状況に関する履歴情報とを関連付けて管理装置が記憶する工程と、
前記テレビ電話装置と前記他のテレビ電話装置とが通信を開始するとき、他のテレビ電話装置からテレビ電話装置が識別情報を受信する工程と、
前記テレビ電話装置が受信した識別情報を前記管理装置に送信する工程と、
前記管理装置が受信した識別情報に関連付けられる履歴情報を、前記テレビ電話装置に送信する工程と、
前記テレビ電話装置が前記管理装置から送信される履歴情報を受信する工程とを含むことを特徴とする通信方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、テレビ電話装置は、通信手段によって、他のテレビ電話装置と通信を開始するとき、他のテレビ電話装置から送信された識別情報を管理装置に送信する。管理装置は、管理制御手段によって、テレビ電話装置から識別情報が与えられると、管理記憶手段に識別情報に関連付けされている履歴情報をテレビ電話装置に送信するように管理通信手段を制御する。したがってテレビ電話装置は、他のテレビ電話装置と通信を開始するとき、他のテレビ電話装置の履歴情報を管理装置から受信することができる。これによってテレビ電話装置は、通信情報を他のテレビ電話装置に送信する前に、他のテレビ電話装置の過去の使用状況を取得することができる。したがって操作者は、他のテレビ電話装置が過去に不所望に使用されている場合は、履歴情報に基づいて認識できるので、他のテレビ電話装置に送信する情報を適宜選択することができる。これによって操作者は送信する通信情報が、他のテレビ電話装置によって不所望に用いられることを防止することができる。
【0017】
また本発明によれば、他のテレビ電話装置から送信される履歴情報に基づいて、他のテレビ電話装置に送信する通信情報を選択するように構成される。したがって他のテレビ電話装置が、過去に不所望に使用されている場合は、履歴情報に基づいて認識できるので、履歴情報に基づいて送信する通信情報を制限することができる。これによって操作者は送信する通信情報が、他のテレビ電話装置によって不所望に用いられることを、いわば自動的に防止することができる。したがってテレビ電話装置の利便性を向上することができる。
【0018】
また本発明によれば、履歴情報は、他の電話装置の改変に関する情報、および他の電話装置の不正使用に関する情報のうち少なくともいずれか1つを含む。したがって操作者は、履歴情報が他の電話装置の改変に関する情報である場合、他の電話装置が不正に改変されているかどうかを認識することができる。また操作者は、履歴情報が他の電話装置の不正使用に関する情報である場合、他の電話装置が不正に使用されたことがあるか否かを認識することができる。操作者は、このような履歴情報を認識することによって、他の電話装置に送信する通信情報が、他のテレビ電話装置によって不所望に用いられることを確実に防止することができる。
【0019】
さらに本発明によれば、選択手段は、通信情報として、加工部によって加工される情報を選択するので、他のテレビ電話装置は加工された情報が送信される。これによって操作者は送信する通信情報が、他のテレビ電話装置によって不所望に用いられることを容易に防止することができる。
【0020】
さらに本発明によれば、通信情報は、他のテレビ電話装置の動作を指令する指令情報を含むので、操作者は他のテレビ電話装置の動作を指令することができる。これによって他のテレビ電話装置を、いわば遠隔操作することができるので、操作者が送信する通信情報が、他のテレビ電話装置によって不所望に用いられることを遠隔操作によって確実に防止することができる。
【0021】
さらに本発明によれば、テレビ電話装置と前記他のテレビ電話装置とが通信を開始するとき、他のテレビ電話装置からテレビ電話装置が識別情報を受信し、テレビ電話装置が受信した識別情報を前記管理装置に送信する。管理装置は、受信した識別情報に関連付けられる履歴情報を前記テレビ電話装置に送信し、テレビ電話装置が管理装置から送信される履歴情報を受信する。これによってテレビ電話装置は、他のテレビ電話装置と通信を開始するとき、他のテレビ電話装置の履歴情報を管理装置から受信することができる。これによってテレビ電話装置は、通信情報を他のテレビ電話装置に送信する前に、他のテレビ電話装置の過去の使用状況に関する履歴情報を取得することができる。したがって操作者は、他のテレビ電話装置が過去に不所望に使用されている場合は、履歴情報に基づいて認識できるので、他のテレビ電話装置に送信する情報を適宜選択することができる。これによって操作者は送信する通信情報が、他のテレビ電話装置によって不所望に用いられることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の
部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。各フローチャートの開始条件は、記載した開始条件だけに必ずしも限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の実施の一形態の通信システム1を簡略化して示すブロック図である。通信システム1は、機器情報公開WEBサーバ50と、テレビ電話端末5とを含んで構成される。図1では、機器情報公開WEBサーバ50の電気的構成と、テレビ電話端末5の電気的構成と、テレビ電話端末5および機器情報公開WEBサーバ50を含む通信ネットワークとを簡略化して示す。テレビ電話端末(以下、「端末」ということがある)5は、テレビ電話機能を有する他の通信装置、たとえば他の端末と少なくとも画像情報および音声情報を含む通信情報を通信可能に構成される。機器情報公開WEBサーバ50は、端末5に関する情報を管理する管理装置である。機器情報公開WEBサーバ50は、たとえば個々の端末に与えられる固有IDに基づいて過去の悪用履歴などの履歴情報を管理し、公開する。端末5と機器情報公開WEBサーバ50とは、通信可能に構成される。テレビ電話端末5は、図1に示すように、たとえばIPネットワーク上で構成されたインターネットテレビ電話システムに用いられるテレビ電話端末5によって実現される。したがって各テレビ電話端末5は、回線終端装置6を介してインターネットに接続される。また機器情報公開WEBサーバ50は、インターネットに接続されるサーバとして実現される。したがって本実施の形態では、端末5と機器情報公開WEBサーバ50とは、インターネットを介して接続される。またインターネットには、各種のサーバが目的に応じて接続され、本実施の形態ではセッション開始プロトコル(Session Initiation Protocol:略称SIP)サーバ7が接続される。
【0024】
機器情報公開WEBサーバ50は、サーバ記憶部51、サーバ通信部52およびサーバ制御部53を含んで構成される。サーバ記憶部51は、複数の端末に関する情報を記憶する管理記憶手段であって、各端末の過去の使用状況に関する履歴情報、端末を識別するための識別情報とを関連付けて記憶する。またサーバ記憶部51は、機器情報公開WEBサーバ50の全体を制御するための各種の制御プログラムが記憶される。サーバ記憶部51は、たとえばフラッシュメモリおよびハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:略称HDD)などの不揮発性の記憶装置によって実現される。サーバ通信部52は、管理通信手段であって、他の装置と各種情報、たとえば識別情報および履歴情報をネットワークを介して通信し、ネットワークに接続するための物理的なインターフェイス装置である。サーバ通信部52は、たとえばEatherネットに接続するネットワークコントローラ、および無線LANに接続する無線LANコントローラなどによって実現される。
【0025】
サーバ制御部53は、サーバ記憶部51に記憶される制御プログラムを実行することで、各部を制御する。またサーバ制御部53は、管理制御手段としの機能を有し、端末から識別情報が与えられると、サーバ記憶部51に与えられる識別情報に関連付けされている履歴情報を、端末に送信するようにサーバ通信部52を制御する。
【0026】
端末5は、機器情報公開WEBサーバ50から受信した相手端末の履歴情報に基づいて、通話内容の悪用防止機能に対する安全性について予め定められた基準に従って判定を行い、相手端末が安全である判断した場合は、通話を継続するように構成される。端末5が通話内容の悪用に対して安全であると判定を行う基準となる履歴情報としては、例えば次のような情報が考えられる。
(1)端末5が過去に改変されたことがあるか否か。
(2)端末5が過去に不正使用されたことがあるか否か。
(3)端末5が過去に盗難されたことがあるか否か。
(4)端末5が過去に不正アクセスされたことがあるか否か。
(5)端末5が過去に不所望な機器に接続されたことがあるか否か。または端末5が過去に不所望なサイトにアクセスしたことがあるか否か。
【0027】
端末5間でテレビ電話通信を行う際には、通話に先立ってこれらの履歴情報を確認した上で通話を開始することができる。これらの履歴情報は、過去に前述のような行為、たとえば改変が検出された場合、検出された情報が機器情報公開WEBサーバ50に自動的に送信されるように構成される。したがって端末5が過去に改変され、再び改変される前の端末5に復元された場合であっても、機器情報公開WEBサーバ50には過去に改変された端末5として履歴情報が記憶される。また端末5が過去に盗難に関する情報は、たとえば被害者から盗難届けがあるなどに基づいて、履歴情報に記録される。
【0028】
回線終端装置6は、各テレビ電話端末5をネットワークに接続するための装置である。SIPサーバ7は、端末5がSIPによって呼制御を行う際に使用されるインターネット上のサーバである。SIPサーバ7は、各端末5の情報が予め定める登録されており、ネットワーク上の接続相手端末5を特定するなどのために使用される。テレビ電話端末5は、入力部8、出力部9、操作部10、ネットワークコントローラ12、タンパーセンサ13、記憶部14およびメイン中央処理装置(Central Processing Unit:略称CPU)15を含んで構成される。
【0029】
入力部8は、画像を撮像する撮像手段、周囲の音声を取得する音声取得手段、および各手段が取得した情報をエンコードするエンコーダ16を含む。入力部8は、バス17を介してメインCPU15など各部に電気的に接続され、入力される情報をメインCPU15に与える。撮像手段は、たとえばカメラ18および補助カメラ19によって実現される。カメラ18は、通話者の映像を撮像する。補助カメラ19は、たとえば端末5の周辺を撮像する。補助カメラ19は、端末5の周辺に不審な人物がいないか、不審な機器設置状況にないかを接続相手側端末ユーザが確認するための映像を撮像することができる。したがって補助カメラ19は、端末5本体を中心に広角に周囲を撮像可能であり、たとえば360度全周囲を一度に撮影できるパノラマカメラモジュールなどによって実現される。音声取得手段は、たとえばマイク20によって実現される。マイク20は、通話者の発する音声を取得する。
【0030】
エンコーダ16は、入力された画像および音声を圧縮符号化し、画像音声ストリームへと変換するプロセッサである。本実施例では画像入力および音声入力を直接処理しストリームを生成する高機能な単一プロセッサを使用した構成を考えるが、実際にはこの圧縮符号化処理をメインCPU15によってソフトウェアで行ったり、画像音声ストリームを生成するためのパケット化処理のみメインCPU15によってソフトウェアで行ってもよい。
【0031】
出力部9は、音声を出力する音声出力手段、画像を出力する画像出力手段、および各部から与えられる情報をデコードするデコーダ21を含む。出力部9は、バス17を介してメインCPU15など各部に電気的に接続され、記憶部14に記憶される情報などを出力する。デコーダ21は、相手端末5から受信した、圧縮符号化された画像音声ストリームを復号化し、画像および音声をそれぞれ画像出力信号および音声出力手段に出力するプロセッサである。本実施例では画像出力および音声出力を直接出力装置に出力し、なおかつ通話画像に加え端末操作のためのグラフィカル・ユーザー・インターフェース(
Graphical User Interface:略称GUI)を表示するフレームバッファを備えてこれを重畳表示できるような高機能な単一プロセッサを使用した構成を考えるが、実際にはこれらの機能を別々のプロセッサで構成したり、メインCPU15でソフトウェア処理を行っても良い。
【0032】
画像出力手段は、内蔵ディスプレイ22、画像外部出力端子23、および外部ディスプレイ24によって実現される。内蔵ディスプレイ22は、相手端末からの画像を表示したり、ユーザが操作を行うためのGUIを表示する。画像外部出力端子23は、デコーダ21からの画像出力信号を外部の機器に出力するための出力端子である。画像外部出力端子23は、たとえばデコーダ21から暗号化されたデジタル画像信号が出力される場合のデジタル信号出力端子、およびデコーダ21からアナログ画像信号が出力される場合のアナログ信号出力端子によって実現される。外部ディスプレイ24は、画像外部出力端子23にケーブル等で接続可能であり、与えられる画像信号に基づいて画像を表示する。
【0033】
音声出力手段は、内蔵スピーカ25、音声外部出力端子26、および外部スピーカ27によって実現される。内蔵スピーカ25は、相手端末からの音声を出力する。音声外部出力端子26は、デコーダ21からの音声出力信号を外部の機器に出力するための出力端子である。音声外部出力端子26は、たとえばデコーダ21から暗号化されたデジタル音声信号が出力される場合のデジタル信号出力端子、およびデコーダ21からアナログ音声信号が出力される場合のアナログ信号出力端子によって実現される。外部スピーカ27は、音声外部出力端子26にケーブル等で接続可能であり、与えられる音声信号に基づいて音声を出力する。
【0034】
操作部10は、ユーザが操作することによって、各部の動作を指令する情報が入力可能であり、入力される操作情報がバス17を介してメインCPU15に与えられる。操作部10は、操作ボタン28およびリモコン受光部29を含む。操作ボタン28は、たとえばユーザが押下することによって、相手端末の電話番号のダイアル、GUI画面に表示される操作カーソルを移動、および決定などすることができる。リモコン受光部29は、本体操作を操作ボタン28を用いずに、端末5に付属するリモコン装置(図示せず)で操作する場合の、リモコンからの赤外線を受信する。リモコン受光部29は、受光した赤外線に基づく操作情報をメインCPU15に与える。
【0035】
ネットワークコントローラ12は、通信手段であって、他の端末と各種情報、たとえば電子証明書、音声情報および画像情報を含む通信情報をネットワークを介して通信し、ネットワークに接続するための物理的なインターフェイス装置である。ネットワークコントローラ12は、たとえばEatherネットに接続するネットワークコントローラ、および無線LANに接続する無線LANコントローラなどによって実現される。タンパーセンサ13は、筐体の分解などを検知し、機器を不正に改変したことを検出するためのセンサである。タンパーセンサ13は、検出した情報をバス17を介してメインCPU15に与える。
【0036】
記憶部14は、各種の情報を記憶する記憶手段であって、プログラム格納用メモリ30、ワークメモリ31および設定情報記憶用不揮発性メモリ32を含む。プログラム格納用
メモリ30は、バス17を介して各部と接続され、メインCPU15で実行するプログラムなどが格納される。プログラム格納用メモリ30は、たとえばフラッシュメモリおよびハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:略称HDD)などの不揮発性の記憶装置に
よって実現される。プログラム格納用メモリ30は、設定プログラム33、通話接続手順処理プログラム33、機器制御プログラム35、画像音声加工処理プログラム36およびテレビ電話アプリケーションプログラム37を記憶する。
【0037】
設定プログラム33は、ユーザ毎の個別の設定情報や、通話相手の接続情報を設定するためのデータベースプログラムである。設定プログラム33によって設定された情報は、設定情報記憶用不揮発性メモリ32に書き込まれ、記憶される。通話接続手順処理プログラム33は、発呼および着呼などの呼制御を行うためのプログラムである。インターネットテレビ電話システムでは、たとえばSIPなどのプロトコルに従って通信処理を行うことによって呼制御を行う。
【0038】
機器制御プログラム35は、メインCPU15に接続された各機器を制御する。機器制御プログラム35は、たとえば操作ボタン28ならびにリモコン受光部29からの操作情報に基づいて、エンコーダ16ならびにデコーダ21の制御、ネットワークコントローラ12の制御、ディスプレイへのOSD画面出力およびタンパーセンサ13の検知などを行う。また機器制御プログラム35は、通話相手に送出する機器情報を収集および生成する。通話相手に送出する機器情報は、端末5の機器構成を予め設定情報記憶用不揮発性メモリ32に書き込んでおき、それを相手端末との通信接続時に読み出して利用しても良いが、バス17を通じて接続されている機器を通話の都度収集し、その情報を相手端末に送出してもよい。この際、バス17を通じてI/Oから読み出す機器情報は、機器情報をデー
タとしてそのまま流すのではなく、読み出すメインCPU15と読み出される機器間でデータが暗号化されているのがよい。このように構成することで、部品レベルで機器の改変が行われて端末5が悪用されるのを防ぐことができる。機器情報の収集と相手端末5への送出は通話開始時だけではなく、通話中にもリアルタイムに検出し、通話中に機器構成が変化した場合にはその時点で相手端末5に機器構成が変更された旨、および新しい機器構成を通知するようにすると、通話が開始された後に悪意を持った機器構成の変更を行われた場合にも対応でき、利便性が高い。
【0039】
画像音声加工処理プログラム36は、加工部としての機能を有し、相手端末5に送信する画像情報および音声情報を加工して、不鮮明化したり、画像に相手の個人情報を重畳したりして相手側端末5で通話内容の悪用を行いにくくするためのプログラムである。このような処理は、必ずしもソフトウェアで行う必要はなく、たとえば同等の処理を行うプロセッサを装置に備えても良い。
【0040】
テレビ電話アプリケーションプログラム37は、前述の各プログラムを統合し全体としてテレビ電話端末5として動作させるとともに、発信時に電話帳アプリケーション、および端末5の設定時に設定アプリケーションなどの補助アプリケーションを実行し、ユーザ操作に応じて画面の切り替えやGUIの表示を行うプログラムである。
【0041】
ワークメモリ31は、各プログラムを実行する際にワークエリアとして使用されたり、エンコードおよびデコードを行ったデータを一時的にバッファリングしたりするための一時メモリである。設定情報記憶用不揮発性メモリ32は、端末5の識別情報、ユーザ個別の設定情報、および接続相手の接続情報などを記憶する不揮発性メモリである。端末5の識別情報5は、たとえば端末5の機種名、品番、型番、端末5毎に与えられる固有端末識別IDおよび端末5の履歴情報を公開されるインターネットのアドレスである。
【0042】
メインCPU15は、プログラム格納用メモリ30に格納されたプログラムを実行する
ことで、接続された各部を制御する。またメインCPU15は、選択手段としての機能を有し、他の端末と通信を開始するとき、他の端末から送信される識別情報を機器情報公開WEBサーバ50に送信するようにネットワークコントローラ12を制御する。メインCPU15は、機器情報公開WEBサーバ50に送信した識別情報に対して、機器情報公開WEBサーバ50から送信される履歴情報に基づいて、他の端末に送信する通信情報を選択する。ここで通信情報の選択とは、通信情報に含まれるたとえば画像情報および音声情報の送信の有無、または一部を選択したり、加工した情報を選択することを意味している。またメインCPU15は、制御手段としての機能を有し、選択される通信情報を、他の端末に送信するようにネットワークコントローラ12を制御する。
【0043】
次に、テレビ電話端末5の動作および情報公開WEBサーバ1の動作についてフローチャートを用いて説明する。端末5の動作は、メインCPU15によって行われる。また機器情報公開WEBサーバ50の動作は、サーバ制御部53によって行われる。図2(a)は、第1のテレビ電話端末5のメインCPU15による呼制御処理を示すフローチャートである。図2(b)は、第2のテレビ電話端末5のメインCPU15による呼制御処理を示すフローチャートである。図2(c)は、機器情報公開WEBサーバ50のサーバ制御部53による情報公開処理を示すフローチャートである。本フローチャートにおいて、第1のテレビ電話端末5(以下、「端末A」ということがある)は、悪用防止機能が搭載されているテレビ電話端末5とし、第2のテレビ電話端末5(以下、「端末B」ということがある)は、通信相手の悪用防止機能を確認するテレビ電話端末5とする。本フローでは、悪用防止機能が搭載されている側の端末Aと相手の悪用防止機能を確認する側の端末Bとで区別して説明するが、実際には1つの端末5が両方の機能を備えていても構わない。
【0044】
ステップa1およびステップb1にて本フローが開始される。ステップa1およびステップb1は、呼制御処理を行うステップである。本実施例では呼制御のプロトコルとしてSIPが用いられる。端末Aまたは端末Bのいずれか一方が発信側となり、いずれか他方が着信側となる。発信側のテレビ電話端末5は、着信側に対してプログラム格納用メモリ30に格納された通話接続手順処理プログラム33に従って発呼処理を行う。SIPサーバ7を介して接続を受けた着信側の端末5はプログラム格納用メモリ30に格納された通話接続手順処理プログラム33に従って着呼処理を行い、端末5間の接続が確立される。接続が確立されると、それぞれステップa2およびステップb2に移る。
【0045】
ステップa2は、端末Aが不正に改変されていないか確認を行うステップである。ステップa2では、端末Aは、タンパーセンサ13によって検出される情報に基づいて、端末Aの筐体が過去に分解されたことを機器制御プログラム35で電気的に検知し、ステップa3に移る。このステップa2によって、端末Aの使用者が端末5を不正に改造し、偽の情報を端末Bに送信をすることを防止することができる。
【0046】
ステップa3では、端末Aは自端末Aについて通話の悪用防止に関して通話相手に参考になる情報を端末Bに送信し、ステップa8に移る。ステップa2では、端末Aは、端末Aの識別情報、たとえば型番、品番、端末5毎に与えられる固有端末識別IDおよび履歴情報が掲載されるインターネットのアドレスなどを端末Bに送信する。ステップb2では、端末Aから送信された識別情報を受信し、ステップb3に移る。
【0047】
ステップb3では、端末Aから受信した識別情報を機器情報公開WEBサーバ50に送信し、ステップb4に移る。ステップc1では、情報公開WEBサーバ1は、端末Bから与えられる識別情報を受信し、ステップc2に移る。ステップc2では、受信した識別情報に関連付けてサーバ記憶部51に記憶される履歴情報を選択し、ステップc3に移る。ステップc3では、選択される履歴情報を端末Bに送信し、本フローを終了する。ステップb4では、機器情報公開WEBサーバ50から履歴情報を受信し、ステップb5に移る
。ステップb5では、機器情報公開WEBサーバ50から受信した相手端末Aの履歴情報を、端末Bの内蔵ディスプレイ22に表示し、ステップb6に移る。端末Aから与えられる識別情報が、たとえば固有端末識別IDである場合、端末Bでは、その固有端末識別IDに基づいて、機器情報公開WEBサーバ50にアクセスし、履歴情報を受信して閲覧することができる。図3は、ステップb5にて表示される画像の一例を示す図である。図3に示すように、端末Aから与えられる固有端末識別IDに基づいて機器情報公開WEBサーバ50にアクセスして得られた端末Aの履歴情報が表示される。図3では、履歴情報の一例として、端末Aが過去に通話映像の漏洩があった場合に表示される画像である。図3に示すように、端末Aの端末IDと、端末Aの通話映像の漏洩があった日付が表示される。端末Bのユーザはこの表示内容を見て、相手端末Aとの通話が安全であるかどうかを判断する。
【0048】
ステップb5にて、表示される端末Aの履歴情報には様々なものが考えられるが、たとえば次のような情報がある。
(a)端末Aの過去の改変に関する情報
(b)端末Aの過去の不正使用に関する情報
(c)端末Aの過去の盗難に関する情報
(d)端末Aの過去の不正アクセスに関する情報
(e)端末Aの過去の不所望な機器への接続に関する情報
(f)端末Aの過去の不所望なサイトへのアクセス履歴に関する情報
(g)端末Aの固有端末識別IDに関する情報
【0049】
これらの情報のうち、(a)の端末Aの過去の改変に関する情報は、端末Aが過去に改変された場合、どのように改変されたかは端末Bの操作者は不明であるので、端末Bから送信される通信情報がどのように処理される可能性があるのか認識することができる。したがって通話内容が悪用されないことに対する安全性について不安が発生するため重要な情報である。
【0050】
(b)の端末Aの過去の不正使用に関する情報は、端末Aが過去に不正に使用されていた場合、現在も端末Aが不正に使用されるおそれがあるので、端末Bから送信される通信情報が悪用されないことに対する安全性について不安が発生するため重要な情報である。
【0051】
(c)の端末Aの過去の盗難に関する情報は、端末Aが過去に盗難されていると、現在の端末Aの使用者が盗難者であるおそれがあるので、端末Bから送信される通信情報が悪用されないことに対する安全性について不安が発生するため重要な情報である。
【0052】
(d)の端末Aの過去の不正アクセスに関する情報は、端末Aが過去に不正アクセスされた端末Aであると、端末Aがその操作者の意志にかかわらず不所望な機能を有しているおそれがある。したがって端末Bから送信される通信情報が悪用されないことに対する安全性について不安が発生するため重要な情報である。
【0053】
(e)の端末Aの過去の不所望な機器への接続に関する情報は、端末Aが過去に不所望な機器、たとえば端末Aのソフトウェアを書き換える機器に接続された端末Aであると、端末Aがその操作者の意志にかかわらず不所望な機能を有しているおそれがある。したがって端末Bから送信される通信情報が悪用されないことに対する安全性について不安が発生するため重要な情報である。
【0054】
(f)の端末Aの過去の不所望なサイトへのアクセス履歴に関する情報は、端末Aが過去に不所望なサイト、たとえば端末Aのソフトウェアを改悪するサイトに接続された端末Aであると、端末Aがその操作者の意志にかかわらず不所望な機能を有しているおそれがある。したがって端末Bから送信される通信情報が悪用されないことに対する安全性について不安が発生するため重要な情報である。
【0055】
(g)の端末Aの固有端末識別IDに関する情報は、過去に悪用された端末のIDが一般に公開されていれば、図3に示すように、その端末IDの端末Aと通話を行う話者はあらかじめ注意をして通話を行うことができる。したがって履歴情報は、悪用された端末IDであり、いわゆる端末のブラックリストである。したがって過去に悪用が発生した端末のIDがインターネット上のサーバで公開されていれば端末はサーバで相手端末IDの照会を行い、操作者に警告を促すことができる。また端末Bを用いてWEBサイトの情報を閲覧するので、端末Aの通話者によって履歴情報を不正に改変することが困難であり、情報の信頼性を高めることができる。したがってこの情報は重要である。
【0056】
再び図2を参照して、ステップb6では、ステップb5にて表示される情報に基づいて、端末Bのユーザに接続をこのまま続行するか否かの判断を促す。図4は、ステップb6にて表示する画像の一例を示す図である。ステップb5にて表示される相手端末Aの情報を、端末Bの内蔵ディスプレイ22に表示しているので、ステップb6では、端末Bのユーザに接続をこのまま続行するか否かの判断を促し、続行する場合、ステップb7に移り、接続を中断する場合、本フローを終了する。端末Bのユーザが端末Aの履歴情報(図3参照)の内容で相手端末Aに不審を持てば、「いいえ」を選択することでこの段階で接続処理を中断し、相手端末Aと通話を行わないで本フローを終了する。また「はい」をユーザが選択すると、ステップb7に移る。「いいえ」を選択して接続を中断する場合、端末Aの内蔵ディスプレイ22に接続が端末Bから拒否されたことを示す画像を表示することができる。図5は、接続が中断された場合に、端末Aで表示される画像の一例を示す図である。
【0057】
ステップb7では、端末Bが端末Aの内蔵ディスプレイ22の視野角を制御する指令を送信し、ステップb8に移る。したがってステップb7では、通信情報には、端末Aの動作を指令する指令情報が含まれ、視野角を制御する指令情報が送信される。図6は、ステップb7にて表示される視野角制御の操作画像の一例を示す図である。端末Bのユーザは、図6に示す操作画像に基づいて、操作して視野角を指定する情報を端末Bに入力し、入力された情報が端末Aに送信される。端末Bは、ユーザがステップb5にて受信した端末Aの情報から内蔵ディスプレイ22が視野角制御機能を備えていると判明したときに、内蔵ディスプレイ22の視野角を端末B側で指定可能である。ステップa4では、視野角を指定する情報を受信すると、受信した情報に応じて、内蔵ディスプレイ22の視野角を設定し、ステップa5に移る。端末Aでの視野角設定は、端末Aのプログラム格納用メモリ30に格納された機器制御プログラム35によって内蔵ディスプレイ22を制御することによって行われる。また外部ディスプレイ24の視野角が指定可能であれば、内蔵ディスプレイ22と同様に視野角が端末Bによって指定するように制御される。
【0058】
ステップb8は、端末Bにおいて、端末Aから受信した相手端末Aの情報と、予め定める条件とを照合し、条件に合致した場合、端末Bから端末Aに送信する画像情報および音声情報に対してそれぞれしかるべき防護措置となる加工処理を行ってから送信を行うよう自動的にモード設定を行うステップである。たとえば画像外部出力端子23を持つ端末5と通話する際には通話画像に対して画像の不鮮明化するように通話前に予めユーザが設定しておき、相手端末5から着信したとき、あるいは相手端末5に発信した際に相手端末5がこれに合致すると判明した場合、画像送信時で自動的に画像の不鮮明化処理を行って送信を行うようモード設定する。ステップb8にて、加工処理のモード設定がされるとステップb9に移る。ステップa5およびステップb9では、画像および音声通話の接続を確立し、本フローを終了する。
【0059】
このように端末Bが端末Aと通信を開始するとき、機器情報公開WEBサーバ50から送信される履歴情報に基づいて、端末Aに送信する通信情報がステップb8にて選択される。メインCPU15は、ステップb8にて選択される通信情報を、端末Aに送信するようにネットワークコントローラ12を制御する。
【0060】
図7は、モード設定の画像の一例を示す図である。前述のステップb8にて、たとえば通話悪用防止機能の無い端末と通話する場合、こちらからの通話画像および音声が悪用され得る状況にあるとして、図7に示すように、画面の不鮮明化、音声の不鮮明化および相手情報の重畳の有無が個別に設定して悪用が防止される。またたとえば、録画可能な画像出力端子がある端末の場合など、個別の場合についても、前述の防護措置に関して、個別に設定可能に構成される。したがって相手端末が画像外部出力端子23を備えていると判明したとき、相手側で通話画像が録画されてしまう可能性があるとしてユーザがそれに応じた防護措置を選択して予め設定することができる。
【0061】
このような防護措置がなされた後、前述のようにステップa5およびステップb9にて、通話が開始されるので、端末Bが端末Aに送信する通話画像および音声は、ステップb8で自動的に設定された防護措置のためのモードに基づいて、加工処理がなされて送信される。あるいは自動設定されたモードに係わらず、端末Bの操作ボタン28およびリモコンボタンの操作でユーザが手動で任意のタイミングで加工処理の適用のオンまたはオフを切り替えられるようにしてもよい。
【0062】
このような通話画像および音声の防護措置としては、たとえば
(i) 通話画像の不鮮明化
(ii) 通話音声の不鮮明化
(iii)通話画像への任意情報の重畳
が挙げられる。
【0063】
これらの防護措置のうち、(i)通話画像の不鮮明化として、たとえば画像に対して一定サイズのブロック単位でモザイク処理を行う画像フィルターを通し、この不鮮明な画像を相手端末に送信することで話者のプライバシーを保護する。図8は、不鮮明化などの加工をしていない通常の通話画像の一例を示す図である。図8に示すように、以下、通話画像を示す図では、理解を容易にするため、通話者または受信者の画像を簡略化して線図で示す。図9は、図8の通話画像に対して、モザイク処理を施した通話画像の一例を示す図である。図8に示すように、ステップa5およびステップb9にて、端末Aと端末Bとの間で通話が確立すると、なんら防護措置を施す必要が無い場合、端末Bが撮像した画像が
そのまま端末Aに送られて、端末Aの内蔵ディスプレイ22に端末Bの話者の画像が表示される。
【0064】
ステップa5およびステップb9にて、防護措置を施す必要がある場合、端末Aと端末Bとの間で通話が確立すると、図9に示すように、端末B側でプログラム格納用メモリ30に格納された画像音声防護処理プログラム36によって通話画像の不鮮明化処理が行われた画像が端末Aに送信され、それが端末Aの内蔵ディスプレイ22に表示される。このように送信する画像にモザイク処理を施して不鮮明化した画像であれば、たとえば通話内容が相手に悪用されるおそれがあっても、自分の人相などの情報が特定できない状態で相手に送信されるので、不所望に自分の画像が第3者に漏洩することを防ぐことができる。
【0065】
(ii)通話音声の不鮮明化として、音声の周波数成分を加工する音声フィルターを通し、話者の元の音声を特定できないようにして相手端末に送信することで話者のプライバシーを保護する。加工した音声であれば、たとえば通話内容が相手に悪用されるおそれがあっても、自分の音声が誰の音声なのか特定できない情報で相手に送信されるので、不所望に自分の音声が第3者に漏洩することを防ぐことができる。
【0066】
(iii)通話画像への任意情報の重畳として、通話画像中に通話相手の身元情報を重畳して送信することが通話の悪用防止に有効である。図10は、通話画像に通話の受信者の情報を重畳した画像の一例を示す図である。図10に示すように、端末Bからの画像が端末Aに送られる際に、端末B側でプログラム格納用メモリ30に格納された画像音声防護処理プログラム36によって通話相手の身元情報が通話画像に重畳する処理が行われ、その画像が端末Aに送信されて端末Aの内蔵ディスプレイ22に表示される。
【0067】
図11は、通話画像に通話の受信者の画像を重畳した画像の一例を示す図である。図11に示すように、重畳する任意情報が、相手からの通話画像である。図10に示すような身元情報は、通話相手の身元情報が予め判明しているときのみ有効であるが、相手からの通話画像を利用すれば、相手の顔を身元情報の代わりとして悪用の抑止力とすることができる。重畳するのは通話時の相手のリアルタイムの画像でもよいし、顔が鮮明に映っている瞬間を静止画像として手動でキャプチャして、その画像を重畳してもよい。
【0068】
図12は、通話画像に通話の受信者の現在位置を示す地図を重畳した画像の一例を示す図である。図12に示すように、重畳する任意情報は、通話相手の端末の位置情報である。このような位置情報は、汎地球測位システム(Global Positioning System:略称GP
S)などの位置特定機能が相手端末に搭載されている場合に実現することができる。このような位置情報を重畳して送信しても画像悪用の抑止力として効果的である。この場合、相手に位置情報を詐称されないために、位置情報を公開鍵暗号方式による認証および機器の改変検出を合わせて行う必要があるのは他の情報と同様である。
【0069】
このような任意情報を重畳することによって、たとえば通話内容が録画され、第3者に流出および公開された場合であっても、同時に通話相手の身元情報も公開されてしまうことになるので、このことが通話相手にとって通話内容を悪用することの抑止力になる。相手端末5からの情報に応じてこれらの防護措置を予め設定しておき、接続時に相手端末5の情報を確認してこれらを自動的に適用するようにすればよい。
【0070】
また前述のように身元情報を相手の内蔵ディスプレイ22に表示させる場合、表示させる内容を、端末Bのユーザが操作ボタン28およびリモコンボタンなどの文字入力装置で入力することができるように構成することが好ましい。図13は、相手に表示させる情報の設定をしている画像の一例を示す図である。図13に示すように、相手側ディスプレイに表示させる内容は、端末Bを用いて入力可能である。図14は、プログラム格納用メモ
リ30に格納されたテレビ電話アプリケーションプログラム37の電話帳を示す画像の一例を示す図である。図14に示すように、端末Bのユーザは、発信時にユーザが予め登録した電話帳データから1つを選択して簡単に発信することができるが、このときに登録されている詳細情報を相手側ディスプレイに表示する内容としてもよい。これによって端末Aとの通話が確立したときに、電話帳アプリケーションの登録データから抽出された情報が端末Aの内蔵ディスプレイ22に表示される。
【0071】
図15は、相手側ディスプレイに表示する内容を設定する画面の一例を示す図である。図15に示すように、相手側ディスプレイに表示する内容は、電話帳の情報とは別に、ユーザがいくつかの候補を予め自由に登録しておいて、通話確立の時点でどれを表示できるか選択できるようにしてもよい。
【0072】
また前述のステップb5にて、相手端末Aに補助カメラ19が装備されていると判明したときに、端末Bの画面には相手端末Aのメインのカメラ18で撮影された画像とともに、補助カメラ19で撮影された画像も同時に表示するとよい。図16は、補助カメラ19が搭載されている場合に表示される画像の一例を示す図である。図16に示すように、補助カメラ19は広角で撮影できるカメラ、できれば端末5の周囲360°を同時に撮影できるパノラマカメラが好適であり、ユーザはこの補助カメラ19からの画像を確認することで相手端末5の周囲を視認することができる。これによって相手端末5の周囲に不審な人物がいたり不審な機器が設置されていたりすれば通話を中断したり、通話画像および音声に前述の防護措置を手動で施して通話を継続することができる。
【0073】
また端末Bの話者から送信された音声が端末Aのスピーカから出力された際にこれを端末A側のマイク20で拾い、音量を計測してその情報を端末Bに送信し、端末Bのディスプレイ画面にレベル表示(図16参照)するように構成してもよい。これによって端末Bの話者は相手端末Aで自分の音声がどの程度の大きさで出力されているのか分かり、周囲に通話を聞き取られていないか確認するために都合が良い。この際、相手話者の音声の音量も相手端末A側のマイク20で計測して同様に端末Bに音量情報を送信して端末Bの画面に表示すると、相手話者の声の大きさと自分の音声が相手端末Aで再生されている音量とが比較でき、相手端末Aでの出力音量を直感的に把握できて都合が良い。これによって周囲に知られたくない内容を通話するときに、自分の発する声の音量の直感的に判断することができる。
【0074】
また前述のステップb2にて、端末Aから識別情報が送信されない場合、端末Bでは端末Aの履歴情報を取得することができないので、識別情報が送信されない端末Aからの通信を自動的に拒否するように構成してもよい。これによって端末5は、履歴情報が不明な端末と通信することを自動的に拒否することができる。したがって端末5の安全性を確保することができる。
【0075】
また通話中に端末Aの機器構成が変化した場合には、機器構成が変化した旨と新しい機器構成を端末Bに通知するように構成してもよい。これらの処理は、前述のステップa2およびステップb2〜ステップb9と同様の処理によって実現することができる。このように通話が確立してからも機器構成の変化を検出することによって、通話開始後の悪意のある改変を検知することができる。
【0076】
またステップa2にて自端末5の物理的な改変を検出すると、検出した情報を端末Bに送信するように制御されるが、これに限ることはなく、改変を定期的に検出し、改変を検出した後に呼制御処理が開始されると、改変された端末は通話相手端末に対して識別情報を送信しないように制御してもよい。これによって改変された端末は、通話相手の端末に識別情報が記録されていない端末と同様に、取り扱われるので、通話相手端末5から通信
を自動的に拒否させることができる。これによって通話相手端末5の安全性を確保することができる。
【0077】
以上説明したように本実施の形態の通信システム1では、端末5は、他の端末と通信を開始するとき、他の端末から送信される識別情報を機器情報公開WEBサーバ50に送信する。機器情報公開WEBサーバ50は、サーバ制御部53によって、端末5から識別情報が与えられると、サーバ記憶部51に記憶される識別情報に関連付けされている履歴情報を、端末5に送信するようにサーバ通信部52を制御する。したがって端末5は、他の端末と通信を開始するとき、他の端末の履歴情報を、機器情報公開WEBサーバ50から受信することができる。これによって端末5は、通信情報を他の端末に送信する前に、他の端末が備える機能を取得することができる。したがって操作者は、他の端末が、過去に不所望に使用されている場合は、履歴情報に基づいて認識できるので、他の端末に送信する情報を適宜選択することができる。これによって操作者は送信する通信情報が、他の端末によって不所望に用いられることを防止することができる。
【0078】
また本実施の形態では、機器情報公開WEBサーバ50から送信される履歴情報に基づいて、他の端末に送信する通信情報を選択するように構成される。したがって他の端末が、過去に不所望に使用されている場合は、履歴情報に基づいて認識できるので、履歴情報に基づいて送信する通信情報を制限することができる。これによって操作者は送信する通信情報が、他の端末によって不所望に用いられることを防止することができる。
【0079】
さらに本実施の形態では、端末5は、他の端末の動作を指令、たとえば視野角を制御および音量を制御する指令情報を送信可能であるので、操作者は他の端末の動作を指令することができる。これによって他の端末を、いわば遠隔操作することができるので、操作者が送信する通信情報が、他の端末によって不所望に用いられること遠隔操作によって確実に防止することができる。
【0080】
前述の実施の形態では、本発明のテレビ電話装置は、テレビ電話端末5によって実現されているが、これに限ることはなく、音声情報および画像情報を含む通信情報を送信可能な装置であればよく、たとえばテレビ通話機能を搭載した情報処理端末、テレビ電話機能付を搭載した携帯電話、テレビ電話機能を搭載した携帯端末、画像を家庭用テレビ画面に映し出すテレビ電話セットトップボックス、および公衆テレビ電話サービスによって実現してもよい。
【0081】
また前述の実施の形態では、本発明の管理装置は、機器情報公開WEBサーバ50によって実現されているが、これに限ることはなく、テレビ電話装置と通信可能であり、識別情報と履歴情報とを関連付けて記憶し、テレビ電話装置の要求に応じて、識別情報に関連付けられる履歴情報をテレビ電話装置に送信可能な構成であればよい。
【0082】
また前述の実施の形態の通信システム1を構成する端末5は、本発明の一例であって、これに限定されるものではない。図17は、他の形態の通信システム1aを簡略化して示すブロック図である。図17では、他の形態のテレビ電話端末5Bの電気的構成を示すブロック図と、テレビ電話端末5Bを含む通信ネットワークを簡略化して示すブロック図を示す。本実施の形態の端末5Bは、前述の実施の形態を構成する端末5から補助カメラ19、画像外部出力端子23および音声外部出力端子26を除く残余の構成によって実現される。したがって本実施の形態の端末5Bでは、外部に画像および音声を出力する機能がない。このような構成であっても、前述の実施の形態と同様の作用および効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】通信システム1を簡略化して示すブロック図である。
【図2】機器情報公開WEBサーバ50、第1および第2のテレビ電話端末5の動作を示すフローチャートである。
【図3】ステップb5にて表示される画像の一例を示す図である。
【図4】ステップb6にて表示する画像の一例を示す図である。
【図5】接続が中断された場合に、端末Aで表示される画像の一例を示す図である。
【図6】ステップb7にて表示される視野角制御の操作画像の一例を示す図である。
【図7】モード設定の画像の一例を示す図である。
【図8】不鮮明化などの加工をしていない通常の通話画像の一例を示す図である。
【図9】モザイク処理を施した通話画像の一例を示す図である。
【図10】通話画像に通話の受信者の情報を重畳した画像の一例を示す図である。
【図11】通話画像に通話の受信者の画像を重畳した画像の一例を示す図である。
【図12】通話画像に通話の受信者の現在位置を示す地図を重畳した画像の一例を示す図である。
【図13】相手に表示させる情報の設定をしている画像の一例を示す図である。
【図14】プログラム格納用メモリ30に格納されたテレビ電話アプリケーションプログラム37の電話帳を示す画像の一例を示す図である。
【図15】相手側ディスプレイに表示する内容を設定する画面の一例を示す図である。
【図16】補助カメラ19が搭載されている場合に表示される画像の一例を示す図である。
【図17】他の形態の通信システム1aを簡略化して示すブロック図である。
【符号の説明】
【0084】
1 通信システム
4 テレビ電話端末メーカ
5 テレビ電話端末
8 入力部
9 出力部
14 記憶部
15 CPU
50 機器情報公開WEBサーバ
51 サーバ記憶部
52 サーバ通信部
53 サーバ制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ電話装置と他のテレビ電話装置とを含む通信システムおよびそれらの通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術のテレビ電話装置では、撮像手段によって通話者の画像を撮像し、互いに通信相手の画像を視認して、通話することができる点に特徴を有する(たとえば特許文献1参照)。しかしながら通話者の状況によっては、通話相手に自身の画像を視認されたくない場合がある。このような問題を解決するために、第1の従来の技術のテレビ電話機では、撮像した画像を加工して、不鮮明な画像にし、その不鮮明な画像を通話相手に送信するように構成される(たとえば特許文献2参照)。
【0003】
また第2の従来の技術のテレビ電話機では、プライバシーを侵されることなく、通話相手に自分の様子を知らせることができるテレビ電話機が開示されている。このテレビ電話機では、撮像した画像のサイズを所望の大きさに変更して、サイズを変更した画像を通話相手に送信するように構成される。したがって撮像した画像を小さく加工することによって、通話相手は画像の細部の視認が困難になる。これによってプライバシーを保護し、通話相手に自分の画像を送信することができる(たとえば特許文献3参照)。
【0004】
またテレビ電話装置を用いて通話している場合、通話相手を表示している表示手段が第3者によってのぞかれると、通話相手のプライバシーが侵害されるおそれがある。このような問題を解決するために、第3の従来の技術の表示装置は、面光源と、2つの偏光板と、この偏光板に挟持されるツイストネマチック型液晶セルを含んで構成される。このように構成することによって、面光源から放射状に出射される光が、2つの偏光板とツイストネマチック型液晶セルを通過することによって、直線状の光に変換される。したがって表示装置によって表示される画像は、ある特定の方向からしか視認することができない。したがって表示装置に表示される画像が、第3者から不所望に除かれることを防止することができる(たとえば特許文献4参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−165949号公報
【特許文献2】特開2001−169257号公報
【特許文献3】特開2003−143566号公報
【特許文献4】特開平5−108023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したような従来の技術のテレビ電話装置では、通信相手に送信する画像情報および音声情報が通話経路上で暗号化されていても、相手側端末では暗号化されたデータが復号されて再生されることになる。したがって相手側端末がなんら対策も施されていない場合、通話内容が簡単に記録され、第3者に不所望に公開されるおそれがある。
【0007】
また相手側端末に第3者がなんらかの仕掛けをし、通話相手が知らないうちに通話内容が記録されて、悪用されるおそれがある。このような場合、通話者が注意していても通話相手側の過失および不注意によって、自分も被害をこうむるおそれがある。
【0008】
このような被害を軽減するために、前述したように通話情報を不鮮明化し、自分自身の情報の一部を隠蔽して相手に送信する防護技術が開示されているが、このような防護技術
を用いて通話中に常に防護機能を働かせていると、自分の画像と音声とを相手に送信するというテレビ電話本来の利便性を著しく損ない、また必要なときだけこのような防護機能を働かせるということも考えられるが、どのような場合に防護機能を働かせればよいか、通話者が判断する基準がない。
【0009】
したがって本発明の目的は、他のテレビ電話装置で通話内容の悪用防止措置がとられていることを確認するためのテレビ電話装置、通信システムおよび通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、他のテレビ電話装置と少なくとも画像情報および音声情報を含む通信情報を通信可能なテレビ電話装置と、他のテレビ電話装置に関する情報を管理する管理装置とを含む通信システムであって、
前記管理装置は、
他のテレビ電話装置を識別する識別情報と、他のテレビ電話装置の過去の使用状況に関する履歴情報とを関連付けて記憶する管理記憶手段と、
前記管理記憶手段に記憶される履歴情報をテレビ電話装置に送信する管理通信手段と、
テレビ電話装置から識別情報が与えられると、前記管理記憶手段に前記識別情報に関連付けされている履歴情報を、テレビ電話装置に送信するように管理通信手段を制御する管理制御手段とを含み、
前記テレビ電話装置は、
他のテレビ電話装置および前記管理装置と通信する通信手段であって、他のテレビ電話装置と通信を開始するとき、他のテレビ電話装置から送信された識別情報を前記管理装置に送信する通信手段を含むことを特徴とする通信システムである。
【0011】
また本発明は、前記テレビ電話装置は、
他のテレビ電話装置と通信を開始するとき、前記管理装置に送信した識別情報に対して、管理装置から与えられる履歴情報に基づいて、他のテレビ電話装置に送信する通信情報を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択される通信情報を、他のテレビ電話装置に送信するように通信手段を制御する制御手段とをさらに含むことを特徴とする。
【0012】
さらに本発明は、前記履歴情報は、他の電話装置の改変に関する情報、および他の電話装置の不正使用に関する情報のうち少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする。
【0013】
さらに本発明は、前記テレビ電話装置であって、
前記選択手段は、他のテレビ電話装置に送信される画像情報または音声情報を加工する加工部を含み、
選択手段は、他のテレビ電話装置に送信する通信情報として、前記加工部によって加工される情報を選択することを特徴とするテレビ電話装置である。
【0014】
さらに本発明は、前記通信情報は、他のテレビ電話装置の動作を指令する指令情報を含むことを特徴とする。
【0015】
さらに本発明は、テレビ電話装置と他のテレビ電話装置との通信方法であって、
他のテレビ電話装置を識別する識別情報と、他のテレビ電話装置の過去の使用状況に関する履歴情報とを関連付けて管理装置が記憶する工程と、
前記テレビ電話装置と前記他のテレビ電話装置とが通信を開始するとき、他のテレビ電話装置からテレビ電話装置が識別情報を受信する工程と、
前記テレビ電話装置が受信した識別情報を前記管理装置に送信する工程と、
前記管理装置が受信した識別情報に関連付けられる履歴情報を、前記テレビ電話装置に送信する工程と、
前記テレビ電話装置が前記管理装置から送信される履歴情報を受信する工程とを含むことを特徴とする通信方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、テレビ電話装置は、通信手段によって、他のテレビ電話装置と通信を開始するとき、他のテレビ電話装置から送信された識別情報を管理装置に送信する。管理装置は、管理制御手段によって、テレビ電話装置から識別情報が与えられると、管理記憶手段に識別情報に関連付けされている履歴情報をテレビ電話装置に送信するように管理通信手段を制御する。したがってテレビ電話装置は、他のテレビ電話装置と通信を開始するとき、他のテレビ電話装置の履歴情報を管理装置から受信することができる。これによってテレビ電話装置は、通信情報を他のテレビ電話装置に送信する前に、他のテレビ電話装置の過去の使用状況を取得することができる。したがって操作者は、他のテレビ電話装置が過去に不所望に使用されている場合は、履歴情報に基づいて認識できるので、他のテレビ電話装置に送信する情報を適宜選択することができる。これによって操作者は送信する通信情報が、他のテレビ電話装置によって不所望に用いられることを防止することができる。
【0017】
また本発明によれば、他のテレビ電話装置から送信される履歴情報に基づいて、他のテレビ電話装置に送信する通信情報を選択するように構成される。したがって他のテレビ電話装置が、過去に不所望に使用されている場合は、履歴情報に基づいて認識できるので、履歴情報に基づいて送信する通信情報を制限することができる。これによって操作者は送信する通信情報が、他のテレビ電話装置によって不所望に用いられることを、いわば自動的に防止することができる。したがってテレビ電話装置の利便性を向上することができる。
【0018】
また本発明によれば、履歴情報は、他の電話装置の改変に関する情報、および他の電話装置の不正使用に関する情報のうち少なくともいずれか1つを含む。したがって操作者は、履歴情報が他の電話装置の改変に関する情報である場合、他の電話装置が不正に改変されているかどうかを認識することができる。また操作者は、履歴情報が他の電話装置の不正使用に関する情報である場合、他の電話装置が不正に使用されたことがあるか否かを認識することができる。操作者は、このような履歴情報を認識することによって、他の電話装置に送信する通信情報が、他のテレビ電話装置によって不所望に用いられることを確実に防止することができる。
【0019】
さらに本発明によれば、選択手段は、通信情報として、加工部によって加工される情報を選択するので、他のテレビ電話装置は加工された情報が送信される。これによって操作者は送信する通信情報が、他のテレビ電話装置によって不所望に用いられることを容易に防止することができる。
【0020】
さらに本発明によれば、通信情報は、他のテレビ電話装置の動作を指令する指令情報を含むので、操作者は他のテレビ電話装置の動作を指令することができる。これによって他のテレビ電話装置を、いわば遠隔操作することができるので、操作者が送信する通信情報が、他のテレビ電話装置によって不所望に用いられることを遠隔操作によって確実に防止することができる。
【0021】
さらに本発明によれば、テレビ電話装置と前記他のテレビ電話装置とが通信を開始するとき、他のテレビ電話装置からテレビ電話装置が識別情報を受信し、テレビ電話装置が受信した識別情報を前記管理装置に送信する。管理装置は、受信した識別情報に関連付けられる履歴情報を前記テレビ電話装置に送信し、テレビ電話装置が管理装置から送信される履歴情報を受信する。これによってテレビ電話装置は、他のテレビ電話装置と通信を開始するとき、他のテレビ電話装置の履歴情報を管理装置から受信することができる。これによってテレビ電話装置は、通信情報を他のテレビ電話装置に送信する前に、他のテレビ電話装置の過去の使用状況に関する履歴情報を取得することができる。したがって操作者は、他のテレビ電話装置が過去に不所望に使用されている場合は、履歴情報に基づいて認識できるので、他のテレビ電話装置に送信する情報を適宜選択することができる。これによって操作者は送信する通信情報が、他のテレビ電話装置によって不所望に用いられることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の
部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。各フローチャートの開始条件は、記載した開始条件だけに必ずしも限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の実施の一形態の通信システム1を簡略化して示すブロック図である。通信システム1は、機器情報公開WEBサーバ50と、テレビ電話端末5とを含んで構成される。図1では、機器情報公開WEBサーバ50の電気的構成と、テレビ電話端末5の電気的構成と、テレビ電話端末5および機器情報公開WEBサーバ50を含む通信ネットワークとを簡略化して示す。テレビ電話端末(以下、「端末」ということがある)5は、テレビ電話機能を有する他の通信装置、たとえば他の端末と少なくとも画像情報および音声情報を含む通信情報を通信可能に構成される。機器情報公開WEBサーバ50は、端末5に関する情報を管理する管理装置である。機器情報公開WEBサーバ50は、たとえば個々の端末に与えられる固有IDに基づいて過去の悪用履歴などの履歴情報を管理し、公開する。端末5と機器情報公開WEBサーバ50とは、通信可能に構成される。テレビ電話端末5は、図1に示すように、たとえばIPネットワーク上で構成されたインターネットテレビ電話システムに用いられるテレビ電話端末5によって実現される。したがって各テレビ電話端末5は、回線終端装置6を介してインターネットに接続される。また機器情報公開WEBサーバ50は、インターネットに接続されるサーバとして実現される。したがって本実施の形態では、端末5と機器情報公開WEBサーバ50とは、インターネットを介して接続される。またインターネットには、各種のサーバが目的に応じて接続され、本実施の形態ではセッション開始プロトコル(Session Initiation Protocol:略称SIP)サーバ7が接続される。
【0024】
機器情報公開WEBサーバ50は、サーバ記憶部51、サーバ通信部52およびサーバ制御部53を含んで構成される。サーバ記憶部51は、複数の端末に関する情報を記憶する管理記憶手段であって、各端末の過去の使用状況に関する履歴情報、端末を識別するための識別情報とを関連付けて記憶する。またサーバ記憶部51は、機器情報公開WEBサーバ50の全体を制御するための各種の制御プログラムが記憶される。サーバ記憶部51は、たとえばフラッシュメモリおよびハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:略称HDD)などの不揮発性の記憶装置によって実現される。サーバ通信部52は、管理通信手段であって、他の装置と各種情報、たとえば識別情報および履歴情報をネットワークを介して通信し、ネットワークに接続するための物理的なインターフェイス装置である。サーバ通信部52は、たとえばEatherネットに接続するネットワークコントローラ、および無線LANに接続する無線LANコントローラなどによって実現される。
【0025】
サーバ制御部53は、サーバ記憶部51に記憶される制御プログラムを実行することで、各部を制御する。またサーバ制御部53は、管理制御手段としの機能を有し、端末から識別情報が与えられると、サーバ記憶部51に与えられる識別情報に関連付けされている履歴情報を、端末に送信するようにサーバ通信部52を制御する。
【0026】
端末5は、機器情報公開WEBサーバ50から受信した相手端末の履歴情報に基づいて、通話内容の悪用防止機能に対する安全性について予め定められた基準に従って判定を行い、相手端末が安全である判断した場合は、通話を継続するように構成される。端末5が通話内容の悪用に対して安全であると判定を行う基準となる履歴情報としては、例えば次のような情報が考えられる。
(1)端末5が過去に改変されたことがあるか否か。
(2)端末5が過去に不正使用されたことがあるか否か。
(3)端末5が過去に盗難されたことがあるか否か。
(4)端末5が過去に不正アクセスされたことがあるか否か。
(5)端末5が過去に不所望な機器に接続されたことがあるか否か。または端末5が過去に不所望なサイトにアクセスしたことがあるか否か。
【0027】
端末5間でテレビ電話通信を行う際には、通話に先立ってこれらの履歴情報を確認した上で通話を開始することができる。これらの履歴情報は、過去に前述のような行為、たとえば改変が検出された場合、検出された情報が機器情報公開WEBサーバ50に自動的に送信されるように構成される。したがって端末5が過去に改変され、再び改変される前の端末5に復元された場合であっても、機器情報公開WEBサーバ50には過去に改変された端末5として履歴情報が記憶される。また端末5が過去に盗難に関する情報は、たとえば被害者から盗難届けがあるなどに基づいて、履歴情報に記録される。
【0028】
回線終端装置6は、各テレビ電話端末5をネットワークに接続するための装置である。SIPサーバ7は、端末5がSIPによって呼制御を行う際に使用されるインターネット上のサーバである。SIPサーバ7は、各端末5の情報が予め定める登録されており、ネットワーク上の接続相手端末5を特定するなどのために使用される。テレビ電話端末5は、入力部8、出力部9、操作部10、ネットワークコントローラ12、タンパーセンサ13、記憶部14およびメイン中央処理装置(Central Processing Unit:略称CPU)15を含んで構成される。
【0029】
入力部8は、画像を撮像する撮像手段、周囲の音声を取得する音声取得手段、および各手段が取得した情報をエンコードするエンコーダ16を含む。入力部8は、バス17を介してメインCPU15など各部に電気的に接続され、入力される情報をメインCPU15に与える。撮像手段は、たとえばカメラ18および補助カメラ19によって実現される。カメラ18は、通話者の映像を撮像する。補助カメラ19は、たとえば端末5の周辺を撮像する。補助カメラ19は、端末5の周辺に不審な人物がいないか、不審な機器設置状況にないかを接続相手側端末ユーザが確認するための映像を撮像することができる。したがって補助カメラ19は、端末5本体を中心に広角に周囲を撮像可能であり、たとえば360度全周囲を一度に撮影できるパノラマカメラモジュールなどによって実現される。音声取得手段は、たとえばマイク20によって実現される。マイク20は、通話者の発する音声を取得する。
【0030】
エンコーダ16は、入力された画像および音声を圧縮符号化し、画像音声ストリームへと変換するプロセッサである。本実施例では画像入力および音声入力を直接処理しストリームを生成する高機能な単一プロセッサを使用した構成を考えるが、実際にはこの圧縮符号化処理をメインCPU15によってソフトウェアで行ったり、画像音声ストリームを生成するためのパケット化処理のみメインCPU15によってソフトウェアで行ってもよい。
【0031】
出力部9は、音声を出力する音声出力手段、画像を出力する画像出力手段、および各部から与えられる情報をデコードするデコーダ21を含む。出力部9は、バス17を介してメインCPU15など各部に電気的に接続され、記憶部14に記憶される情報などを出力する。デコーダ21は、相手端末5から受信した、圧縮符号化された画像音声ストリームを復号化し、画像および音声をそれぞれ画像出力信号および音声出力手段に出力するプロセッサである。本実施例では画像出力および音声出力を直接出力装置に出力し、なおかつ通話画像に加え端末操作のためのグラフィカル・ユーザー・インターフェース(
Graphical User Interface:略称GUI)を表示するフレームバッファを備えてこれを重畳表示できるような高機能な単一プロセッサを使用した構成を考えるが、実際にはこれらの機能を別々のプロセッサで構成したり、メインCPU15でソフトウェア処理を行っても良い。
【0032】
画像出力手段は、内蔵ディスプレイ22、画像外部出力端子23、および外部ディスプレイ24によって実現される。内蔵ディスプレイ22は、相手端末からの画像を表示したり、ユーザが操作を行うためのGUIを表示する。画像外部出力端子23は、デコーダ21からの画像出力信号を外部の機器に出力するための出力端子である。画像外部出力端子23は、たとえばデコーダ21から暗号化されたデジタル画像信号が出力される場合のデジタル信号出力端子、およびデコーダ21からアナログ画像信号が出力される場合のアナログ信号出力端子によって実現される。外部ディスプレイ24は、画像外部出力端子23にケーブル等で接続可能であり、与えられる画像信号に基づいて画像を表示する。
【0033】
音声出力手段は、内蔵スピーカ25、音声外部出力端子26、および外部スピーカ27によって実現される。内蔵スピーカ25は、相手端末からの音声を出力する。音声外部出力端子26は、デコーダ21からの音声出力信号を外部の機器に出力するための出力端子である。音声外部出力端子26は、たとえばデコーダ21から暗号化されたデジタル音声信号が出力される場合のデジタル信号出力端子、およびデコーダ21からアナログ音声信号が出力される場合のアナログ信号出力端子によって実現される。外部スピーカ27は、音声外部出力端子26にケーブル等で接続可能であり、与えられる音声信号に基づいて音声を出力する。
【0034】
操作部10は、ユーザが操作することによって、各部の動作を指令する情報が入力可能であり、入力される操作情報がバス17を介してメインCPU15に与えられる。操作部10は、操作ボタン28およびリモコン受光部29を含む。操作ボタン28は、たとえばユーザが押下することによって、相手端末の電話番号のダイアル、GUI画面に表示される操作カーソルを移動、および決定などすることができる。リモコン受光部29は、本体操作を操作ボタン28を用いずに、端末5に付属するリモコン装置(図示せず)で操作する場合の、リモコンからの赤外線を受信する。リモコン受光部29は、受光した赤外線に基づく操作情報をメインCPU15に与える。
【0035】
ネットワークコントローラ12は、通信手段であって、他の端末と各種情報、たとえば電子証明書、音声情報および画像情報を含む通信情報をネットワークを介して通信し、ネットワークに接続するための物理的なインターフェイス装置である。ネットワークコントローラ12は、たとえばEatherネットに接続するネットワークコントローラ、および無線LANに接続する無線LANコントローラなどによって実現される。タンパーセンサ13は、筐体の分解などを検知し、機器を不正に改変したことを検出するためのセンサである。タンパーセンサ13は、検出した情報をバス17を介してメインCPU15に与える。
【0036】
記憶部14は、各種の情報を記憶する記憶手段であって、プログラム格納用メモリ30、ワークメモリ31および設定情報記憶用不揮発性メモリ32を含む。プログラム格納用
メモリ30は、バス17を介して各部と接続され、メインCPU15で実行するプログラムなどが格納される。プログラム格納用メモリ30は、たとえばフラッシュメモリおよびハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:略称HDD)などの不揮発性の記憶装置に
よって実現される。プログラム格納用メモリ30は、設定プログラム33、通話接続手順処理プログラム33、機器制御プログラム35、画像音声加工処理プログラム36およびテレビ電話アプリケーションプログラム37を記憶する。
【0037】
設定プログラム33は、ユーザ毎の個別の設定情報や、通話相手の接続情報を設定するためのデータベースプログラムである。設定プログラム33によって設定された情報は、設定情報記憶用不揮発性メモリ32に書き込まれ、記憶される。通話接続手順処理プログラム33は、発呼および着呼などの呼制御を行うためのプログラムである。インターネットテレビ電話システムでは、たとえばSIPなどのプロトコルに従って通信処理を行うことによって呼制御を行う。
【0038】
機器制御プログラム35は、メインCPU15に接続された各機器を制御する。機器制御プログラム35は、たとえば操作ボタン28ならびにリモコン受光部29からの操作情報に基づいて、エンコーダ16ならびにデコーダ21の制御、ネットワークコントローラ12の制御、ディスプレイへのOSD画面出力およびタンパーセンサ13の検知などを行う。また機器制御プログラム35は、通話相手に送出する機器情報を収集および生成する。通話相手に送出する機器情報は、端末5の機器構成を予め設定情報記憶用不揮発性メモリ32に書き込んでおき、それを相手端末との通信接続時に読み出して利用しても良いが、バス17を通じて接続されている機器を通話の都度収集し、その情報を相手端末に送出してもよい。この際、バス17を通じてI/Oから読み出す機器情報は、機器情報をデー
タとしてそのまま流すのではなく、読み出すメインCPU15と読み出される機器間でデータが暗号化されているのがよい。このように構成することで、部品レベルで機器の改変が行われて端末5が悪用されるのを防ぐことができる。機器情報の収集と相手端末5への送出は通話開始時だけではなく、通話中にもリアルタイムに検出し、通話中に機器構成が変化した場合にはその時点で相手端末5に機器構成が変更された旨、および新しい機器構成を通知するようにすると、通話が開始された後に悪意を持った機器構成の変更を行われた場合にも対応でき、利便性が高い。
【0039】
画像音声加工処理プログラム36は、加工部としての機能を有し、相手端末5に送信する画像情報および音声情報を加工して、不鮮明化したり、画像に相手の個人情報を重畳したりして相手側端末5で通話内容の悪用を行いにくくするためのプログラムである。このような処理は、必ずしもソフトウェアで行う必要はなく、たとえば同等の処理を行うプロセッサを装置に備えても良い。
【0040】
テレビ電話アプリケーションプログラム37は、前述の各プログラムを統合し全体としてテレビ電話端末5として動作させるとともに、発信時に電話帳アプリケーション、および端末5の設定時に設定アプリケーションなどの補助アプリケーションを実行し、ユーザ操作に応じて画面の切り替えやGUIの表示を行うプログラムである。
【0041】
ワークメモリ31は、各プログラムを実行する際にワークエリアとして使用されたり、エンコードおよびデコードを行ったデータを一時的にバッファリングしたりするための一時メモリである。設定情報記憶用不揮発性メモリ32は、端末5の識別情報、ユーザ個別の設定情報、および接続相手の接続情報などを記憶する不揮発性メモリである。端末5の識別情報5は、たとえば端末5の機種名、品番、型番、端末5毎に与えられる固有端末識別IDおよび端末5の履歴情報を公開されるインターネットのアドレスである。
【0042】
メインCPU15は、プログラム格納用メモリ30に格納されたプログラムを実行する
ことで、接続された各部を制御する。またメインCPU15は、選択手段としての機能を有し、他の端末と通信を開始するとき、他の端末から送信される識別情報を機器情報公開WEBサーバ50に送信するようにネットワークコントローラ12を制御する。メインCPU15は、機器情報公開WEBサーバ50に送信した識別情報に対して、機器情報公開WEBサーバ50から送信される履歴情報に基づいて、他の端末に送信する通信情報を選択する。ここで通信情報の選択とは、通信情報に含まれるたとえば画像情報および音声情報の送信の有無、または一部を選択したり、加工した情報を選択することを意味している。またメインCPU15は、制御手段としての機能を有し、選択される通信情報を、他の端末に送信するようにネットワークコントローラ12を制御する。
【0043】
次に、テレビ電話端末5の動作および情報公開WEBサーバ1の動作についてフローチャートを用いて説明する。端末5の動作は、メインCPU15によって行われる。また機器情報公開WEBサーバ50の動作は、サーバ制御部53によって行われる。図2(a)は、第1のテレビ電話端末5のメインCPU15による呼制御処理を示すフローチャートである。図2(b)は、第2のテレビ電話端末5のメインCPU15による呼制御処理を示すフローチャートである。図2(c)は、機器情報公開WEBサーバ50のサーバ制御部53による情報公開処理を示すフローチャートである。本フローチャートにおいて、第1のテレビ電話端末5(以下、「端末A」ということがある)は、悪用防止機能が搭載されているテレビ電話端末5とし、第2のテレビ電話端末5(以下、「端末B」ということがある)は、通信相手の悪用防止機能を確認するテレビ電話端末5とする。本フローでは、悪用防止機能が搭載されている側の端末Aと相手の悪用防止機能を確認する側の端末Bとで区別して説明するが、実際には1つの端末5が両方の機能を備えていても構わない。
【0044】
ステップa1およびステップb1にて本フローが開始される。ステップa1およびステップb1は、呼制御処理を行うステップである。本実施例では呼制御のプロトコルとしてSIPが用いられる。端末Aまたは端末Bのいずれか一方が発信側となり、いずれか他方が着信側となる。発信側のテレビ電話端末5は、着信側に対してプログラム格納用メモリ30に格納された通話接続手順処理プログラム33に従って発呼処理を行う。SIPサーバ7を介して接続を受けた着信側の端末5はプログラム格納用メモリ30に格納された通話接続手順処理プログラム33に従って着呼処理を行い、端末5間の接続が確立される。接続が確立されると、それぞれステップa2およびステップb2に移る。
【0045】
ステップa2は、端末Aが不正に改変されていないか確認を行うステップである。ステップa2では、端末Aは、タンパーセンサ13によって検出される情報に基づいて、端末Aの筐体が過去に分解されたことを機器制御プログラム35で電気的に検知し、ステップa3に移る。このステップa2によって、端末Aの使用者が端末5を不正に改造し、偽の情報を端末Bに送信をすることを防止することができる。
【0046】
ステップa3では、端末Aは自端末Aについて通話の悪用防止に関して通話相手に参考になる情報を端末Bに送信し、ステップa8に移る。ステップa2では、端末Aは、端末Aの識別情報、たとえば型番、品番、端末5毎に与えられる固有端末識別IDおよび履歴情報が掲載されるインターネットのアドレスなどを端末Bに送信する。ステップb2では、端末Aから送信された識別情報を受信し、ステップb3に移る。
【0047】
ステップb3では、端末Aから受信した識別情報を機器情報公開WEBサーバ50に送信し、ステップb4に移る。ステップc1では、情報公開WEBサーバ1は、端末Bから与えられる識別情報を受信し、ステップc2に移る。ステップc2では、受信した識別情報に関連付けてサーバ記憶部51に記憶される履歴情報を選択し、ステップc3に移る。ステップc3では、選択される履歴情報を端末Bに送信し、本フローを終了する。ステップb4では、機器情報公開WEBサーバ50から履歴情報を受信し、ステップb5に移る
。ステップb5では、機器情報公開WEBサーバ50から受信した相手端末Aの履歴情報を、端末Bの内蔵ディスプレイ22に表示し、ステップb6に移る。端末Aから与えられる識別情報が、たとえば固有端末識別IDである場合、端末Bでは、その固有端末識別IDに基づいて、機器情報公開WEBサーバ50にアクセスし、履歴情報を受信して閲覧することができる。図3は、ステップb5にて表示される画像の一例を示す図である。図3に示すように、端末Aから与えられる固有端末識別IDに基づいて機器情報公開WEBサーバ50にアクセスして得られた端末Aの履歴情報が表示される。図3では、履歴情報の一例として、端末Aが過去に通話映像の漏洩があった場合に表示される画像である。図3に示すように、端末Aの端末IDと、端末Aの通話映像の漏洩があった日付が表示される。端末Bのユーザはこの表示内容を見て、相手端末Aとの通話が安全であるかどうかを判断する。
【0048】
ステップb5にて、表示される端末Aの履歴情報には様々なものが考えられるが、たとえば次のような情報がある。
(a)端末Aの過去の改変に関する情報
(b)端末Aの過去の不正使用に関する情報
(c)端末Aの過去の盗難に関する情報
(d)端末Aの過去の不正アクセスに関する情報
(e)端末Aの過去の不所望な機器への接続に関する情報
(f)端末Aの過去の不所望なサイトへのアクセス履歴に関する情報
(g)端末Aの固有端末識別IDに関する情報
【0049】
これらの情報のうち、(a)の端末Aの過去の改変に関する情報は、端末Aが過去に改変された場合、どのように改変されたかは端末Bの操作者は不明であるので、端末Bから送信される通信情報がどのように処理される可能性があるのか認識することができる。したがって通話内容が悪用されないことに対する安全性について不安が発生するため重要な情報である。
【0050】
(b)の端末Aの過去の不正使用に関する情報は、端末Aが過去に不正に使用されていた場合、現在も端末Aが不正に使用されるおそれがあるので、端末Bから送信される通信情報が悪用されないことに対する安全性について不安が発生するため重要な情報である。
【0051】
(c)の端末Aの過去の盗難に関する情報は、端末Aが過去に盗難されていると、現在の端末Aの使用者が盗難者であるおそれがあるので、端末Bから送信される通信情報が悪用されないことに対する安全性について不安が発生するため重要な情報である。
【0052】
(d)の端末Aの過去の不正アクセスに関する情報は、端末Aが過去に不正アクセスされた端末Aであると、端末Aがその操作者の意志にかかわらず不所望な機能を有しているおそれがある。したがって端末Bから送信される通信情報が悪用されないことに対する安全性について不安が発生するため重要な情報である。
【0053】
(e)の端末Aの過去の不所望な機器への接続に関する情報は、端末Aが過去に不所望な機器、たとえば端末Aのソフトウェアを書き換える機器に接続された端末Aであると、端末Aがその操作者の意志にかかわらず不所望な機能を有しているおそれがある。したがって端末Bから送信される通信情報が悪用されないことに対する安全性について不安が発生するため重要な情報である。
【0054】
(f)の端末Aの過去の不所望なサイトへのアクセス履歴に関する情報は、端末Aが過去に不所望なサイト、たとえば端末Aのソフトウェアを改悪するサイトに接続された端末Aであると、端末Aがその操作者の意志にかかわらず不所望な機能を有しているおそれがある。したがって端末Bから送信される通信情報が悪用されないことに対する安全性について不安が発生するため重要な情報である。
【0055】
(g)の端末Aの固有端末識別IDに関する情報は、過去に悪用された端末のIDが一般に公開されていれば、図3に示すように、その端末IDの端末Aと通話を行う話者はあらかじめ注意をして通話を行うことができる。したがって履歴情報は、悪用された端末IDであり、いわゆる端末のブラックリストである。したがって過去に悪用が発生した端末のIDがインターネット上のサーバで公開されていれば端末はサーバで相手端末IDの照会を行い、操作者に警告を促すことができる。また端末Bを用いてWEBサイトの情報を閲覧するので、端末Aの通話者によって履歴情報を不正に改変することが困難であり、情報の信頼性を高めることができる。したがってこの情報は重要である。
【0056】
再び図2を参照して、ステップb6では、ステップb5にて表示される情報に基づいて、端末Bのユーザに接続をこのまま続行するか否かの判断を促す。図4は、ステップb6にて表示する画像の一例を示す図である。ステップb5にて表示される相手端末Aの情報を、端末Bの内蔵ディスプレイ22に表示しているので、ステップb6では、端末Bのユーザに接続をこのまま続行するか否かの判断を促し、続行する場合、ステップb7に移り、接続を中断する場合、本フローを終了する。端末Bのユーザが端末Aの履歴情報(図3参照)の内容で相手端末Aに不審を持てば、「いいえ」を選択することでこの段階で接続処理を中断し、相手端末Aと通話を行わないで本フローを終了する。また「はい」をユーザが選択すると、ステップb7に移る。「いいえ」を選択して接続を中断する場合、端末Aの内蔵ディスプレイ22に接続が端末Bから拒否されたことを示す画像を表示することができる。図5は、接続が中断された場合に、端末Aで表示される画像の一例を示す図である。
【0057】
ステップb7では、端末Bが端末Aの内蔵ディスプレイ22の視野角を制御する指令を送信し、ステップb8に移る。したがってステップb7では、通信情報には、端末Aの動作を指令する指令情報が含まれ、視野角を制御する指令情報が送信される。図6は、ステップb7にて表示される視野角制御の操作画像の一例を示す図である。端末Bのユーザは、図6に示す操作画像に基づいて、操作して視野角を指定する情報を端末Bに入力し、入力された情報が端末Aに送信される。端末Bは、ユーザがステップb5にて受信した端末Aの情報から内蔵ディスプレイ22が視野角制御機能を備えていると判明したときに、内蔵ディスプレイ22の視野角を端末B側で指定可能である。ステップa4では、視野角を指定する情報を受信すると、受信した情報に応じて、内蔵ディスプレイ22の視野角を設定し、ステップa5に移る。端末Aでの視野角設定は、端末Aのプログラム格納用メモリ30に格納された機器制御プログラム35によって内蔵ディスプレイ22を制御することによって行われる。また外部ディスプレイ24の視野角が指定可能であれば、内蔵ディスプレイ22と同様に視野角が端末Bによって指定するように制御される。
【0058】
ステップb8は、端末Bにおいて、端末Aから受信した相手端末Aの情報と、予め定める条件とを照合し、条件に合致した場合、端末Bから端末Aに送信する画像情報および音声情報に対してそれぞれしかるべき防護措置となる加工処理を行ってから送信を行うよう自動的にモード設定を行うステップである。たとえば画像外部出力端子23を持つ端末5と通話する際には通話画像に対して画像の不鮮明化するように通話前に予めユーザが設定しておき、相手端末5から着信したとき、あるいは相手端末5に発信した際に相手端末5がこれに合致すると判明した場合、画像送信時で自動的に画像の不鮮明化処理を行って送信を行うようモード設定する。ステップb8にて、加工処理のモード設定がされるとステップb9に移る。ステップa5およびステップb9では、画像および音声通話の接続を確立し、本フローを終了する。
【0059】
このように端末Bが端末Aと通信を開始するとき、機器情報公開WEBサーバ50から送信される履歴情報に基づいて、端末Aに送信する通信情報がステップb8にて選択される。メインCPU15は、ステップb8にて選択される通信情報を、端末Aに送信するようにネットワークコントローラ12を制御する。
【0060】
図7は、モード設定の画像の一例を示す図である。前述のステップb8にて、たとえば通話悪用防止機能の無い端末と通話する場合、こちらからの通話画像および音声が悪用され得る状況にあるとして、図7に示すように、画面の不鮮明化、音声の不鮮明化および相手情報の重畳の有無が個別に設定して悪用が防止される。またたとえば、録画可能な画像出力端子がある端末の場合など、個別の場合についても、前述の防護措置に関して、個別に設定可能に構成される。したがって相手端末が画像外部出力端子23を備えていると判明したとき、相手側で通話画像が録画されてしまう可能性があるとしてユーザがそれに応じた防護措置を選択して予め設定することができる。
【0061】
このような防護措置がなされた後、前述のようにステップa5およびステップb9にて、通話が開始されるので、端末Bが端末Aに送信する通話画像および音声は、ステップb8で自動的に設定された防護措置のためのモードに基づいて、加工処理がなされて送信される。あるいは自動設定されたモードに係わらず、端末Bの操作ボタン28およびリモコンボタンの操作でユーザが手動で任意のタイミングで加工処理の適用のオンまたはオフを切り替えられるようにしてもよい。
【0062】
このような通話画像および音声の防護措置としては、たとえば
(i) 通話画像の不鮮明化
(ii) 通話音声の不鮮明化
(iii)通話画像への任意情報の重畳
が挙げられる。
【0063】
これらの防護措置のうち、(i)通話画像の不鮮明化として、たとえば画像に対して一定サイズのブロック単位でモザイク処理を行う画像フィルターを通し、この不鮮明な画像を相手端末に送信することで話者のプライバシーを保護する。図8は、不鮮明化などの加工をしていない通常の通話画像の一例を示す図である。図8に示すように、以下、通話画像を示す図では、理解を容易にするため、通話者または受信者の画像を簡略化して線図で示す。図9は、図8の通話画像に対して、モザイク処理を施した通話画像の一例を示す図である。図8に示すように、ステップa5およびステップb9にて、端末Aと端末Bとの間で通話が確立すると、なんら防護措置を施す必要が無い場合、端末Bが撮像した画像が
そのまま端末Aに送られて、端末Aの内蔵ディスプレイ22に端末Bの話者の画像が表示される。
【0064】
ステップa5およびステップb9にて、防護措置を施す必要がある場合、端末Aと端末Bとの間で通話が確立すると、図9に示すように、端末B側でプログラム格納用メモリ30に格納された画像音声防護処理プログラム36によって通話画像の不鮮明化処理が行われた画像が端末Aに送信され、それが端末Aの内蔵ディスプレイ22に表示される。このように送信する画像にモザイク処理を施して不鮮明化した画像であれば、たとえば通話内容が相手に悪用されるおそれがあっても、自分の人相などの情報が特定できない状態で相手に送信されるので、不所望に自分の画像が第3者に漏洩することを防ぐことができる。
【0065】
(ii)通話音声の不鮮明化として、音声の周波数成分を加工する音声フィルターを通し、話者の元の音声を特定できないようにして相手端末に送信することで話者のプライバシーを保護する。加工した音声であれば、たとえば通話内容が相手に悪用されるおそれがあっても、自分の音声が誰の音声なのか特定できない情報で相手に送信されるので、不所望に自分の音声が第3者に漏洩することを防ぐことができる。
【0066】
(iii)通話画像への任意情報の重畳として、通話画像中に通話相手の身元情報を重畳して送信することが通話の悪用防止に有効である。図10は、通話画像に通話の受信者の情報を重畳した画像の一例を示す図である。図10に示すように、端末Bからの画像が端末Aに送られる際に、端末B側でプログラム格納用メモリ30に格納された画像音声防護処理プログラム36によって通話相手の身元情報が通話画像に重畳する処理が行われ、その画像が端末Aに送信されて端末Aの内蔵ディスプレイ22に表示される。
【0067】
図11は、通話画像に通話の受信者の画像を重畳した画像の一例を示す図である。図11に示すように、重畳する任意情報が、相手からの通話画像である。図10に示すような身元情報は、通話相手の身元情報が予め判明しているときのみ有効であるが、相手からの通話画像を利用すれば、相手の顔を身元情報の代わりとして悪用の抑止力とすることができる。重畳するのは通話時の相手のリアルタイムの画像でもよいし、顔が鮮明に映っている瞬間を静止画像として手動でキャプチャして、その画像を重畳してもよい。
【0068】
図12は、通話画像に通話の受信者の現在位置を示す地図を重畳した画像の一例を示す図である。図12に示すように、重畳する任意情報は、通話相手の端末の位置情報である。このような位置情報は、汎地球測位システム(Global Positioning System:略称GP
S)などの位置特定機能が相手端末に搭載されている場合に実現することができる。このような位置情報を重畳して送信しても画像悪用の抑止力として効果的である。この場合、相手に位置情報を詐称されないために、位置情報を公開鍵暗号方式による認証および機器の改変検出を合わせて行う必要があるのは他の情報と同様である。
【0069】
このような任意情報を重畳することによって、たとえば通話内容が録画され、第3者に流出および公開された場合であっても、同時に通話相手の身元情報も公開されてしまうことになるので、このことが通話相手にとって通話内容を悪用することの抑止力になる。相手端末5からの情報に応じてこれらの防護措置を予め設定しておき、接続時に相手端末5の情報を確認してこれらを自動的に適用するようにすればよい。
【0070】
また前述のように身元情報を相手の内蔵ディスプレイ22に表示させる場合、表示させる内容を、端末Bのユーザが操作ボタン28およびリモコンボタンなどの文字入力装置で入力することができるように構成することが好ましい。図13は、相手に表示させる情報の設定をしている画像の一例を示す図である。図13に示すように、相手側ディスプレイに表示させる内容は、端末Bを用いて入力可能である。図14は、プログラム格納用メモ
リ30に格納されたテレビ電話アプリケーションプログラム37の電話帳を示す画像の一例を示す図である。図14に示すように、端末Bのユーザは、発信時にユーザが予め登録した電話帳データから1つを選択して簡単に発信することができるが、このときに登録されている詳細情報を相手側ディスプレイに表示する内容としてもよい。これによって端末Aとの通話が確立したときに、電話帳アプリケーションの登録データから抽出された情報が端末Aの内蔵ディスプレイ22に表示される。
【0071】
図15は、相手側ディスプレイに表示する内容を設定する画面の一例を示す図である。図15に示すように、相手側ディスプレイに表示する内容は、電話帳の情報とは別に、ユーザがいくつかの候補を予め自由に登録しておいて、通話確立の時点でどれを表示できるか選択できるようにしてもよい。
【0072】
また前述のステップb5にて、相手端末Aに補助カメラ19が装備されていると判明したときに、端末Bの画面には相手端末Aのメインのカメラ18で撮影された画像とともに、補助カメラ19で撮影された画像も同時に表示するとよい。図16は、補助カメラ19が搭載されている場合に表示される画像の一例を示す図である。図16に示すように、補助カメラ19は広角で撮影できるカメラ、できれば端末5の周囲360°を同時に撮影できるパノラマカメラが好適であり、ユーザはこの補助カメラ19からの画像を確認することで相手端末5の周囲を視認することができる。これによって相手端末5の周囲に不審な人物がいたり不審な機器が設置されていたりすれば通話を中断したり、通話画像および音声に前述の防護措置を手動で施して通話を継続することができる。
【0073】
また端末Bの話者から送信された音声が端末Aのスピーカから出力された際にこれを端末A側のマイク20で拾い、音量を計測してその情報を端末Bに送信し、端末Bのディスプレイ画面にレベル表示(図16参照)するように構成してもよい。これによって端末Bの話者は相手端末Aで自分の音声がどの程度の大きさで出力されているのか分かり、周囲に通話を聞き取られていないか確認するために都合が良い。この際、相手話者の音声の音量も相手端末A側のマイク20で計測して同様に端末Bに音量情報を送信して端末Bの画面に表示すると、相手話者の声の大きさと自分の音声が相手端末Aで再生されている音量とが比較でき、相手端末Aでの出力音量を直感的に把握できて都合が良い。これによって周囲に知られたくない内容を通話するときに、自分の発する声の音量の直感的に判断することができる。
【0074】
また前述のステップb2にて、端末Aから識別情報が送信されない場合、端末Bでは端末Aの履歴情報を取得することができないので、識別情報が送信されない端末Aからの通信を自動的に拒否するように構成してもよい。これによって端末5は、履歴情報が不明な端末と通信することを自動的に拒否することができる。したがって端末5の安全性を確保することができる。
【0075】
また通話中に端末Aの機器構成が変化した場合には、機器構成が変化した旨と新しい機器構成を端末Bに通知するように構成してもよい。これらの処理は、前述のステップa2およびステップb2〜ステップb9と同様の処理によって実現することができる。このように通話が確立してからも機器構成の変化を検出することによって、通話開始後の悪意のある改変を検知することができる。
【0076】
またステップa2にて自端末5の物理的な改変を検出すると、検出した情報を端末Bに送信するように制御されるが、これに限ることはなく、改変を定期的に検出し、改変を検出した後に呼制御処理が開始されると、改変された端末は通話相手端末に対して識別情報を送信しないように制御してもよい。これによって改変された端末は、通話相手の端末に識別情報が記録されていない端末と同様に、取り扱われるので、通話相手端末5から通信
を自動的に拒否させることができる。これによって通話相手端末5の安全性を確保することができる。
【0077】
以上説明したように本実施の形態の通信システム1では、端末5は、他の端末と通信を開始するとき、他の端末から送信される識別情報を機器情報公開WEBサーバ50に送信する。機器情報公開WEBサーバ50は、サーバ制御部53によって、端末5から識別情報が与えられると、サーバ記憶部51に記憶される識別情報に関連付けされている履歴情報を、端末5に送信するようにサーバ通信部52を制御する。したがって端末5は、他の端末と通信を開始するとき、他の端末の履歴情報を、機器情報公開WEBサーバ50から受信することができる。これによって端末5は、通信情報を他の端末に送信する前に、他の端末が備える機能を取得することができる。したがって操作者は、他の端末が、過去に不所望に使用されている場合は、履歴情報に基づいて認識できるので、他の端末に送信する情報を適宜選択することができる。これによって操作者は送信する通信情報が、他の端末によって不所望に用いられることを防止することができる。
【0078】
また本実施の形態では、機器情報公開WEBサーバ50から送信される履歴情報に基づいて、他の端末に送信する通信情報を選択するように構成される。したがって他の端末が、過去に不所望に使用されている場合は、履歴情報に基づいて認識できるので、履歴情報に基づいて送信する通信情報を制限することができる。これによって操作者は送信する通信情報が、他の端末によって不所望に用いられることを防止することができる。
【0079】
さらに本実施の形態では、端末5は、他の端末の動作を指令、たとえば視野角を制御および音量を制御する指令情報を送信可能であるので、操作者は他の端末の動作を指令することができる。これによって他の端末を、いわば遠隔操作することができるので、操作者が送信する通信情報が、他の端末によって不所望に用いられること遠隔操作によって確実に防止することができる。
【0080】
前述の実施の形態では、本発明のテレビ電話装置は、テレビ電話端末5によって実現されているが、これに限ることはなく、音声情報および画像情報を含む通信情報を送信可能な装置であればよく、たとえばテレビ通話機能を搭載した情報処理端末、テレビ電話機能付を搭載した携帯電話、テレビ電話機能を搭載した携帯端末、画像を家庭用テレビ画面に映し出すテレビ電話セットトップボックス、および公衆テレビ電話サービスによって実現してもよい。
【0081】
また前述の実施の形態では、本発明の管理装置は、機器情報公開WEBサーバ50によって実現されているが、これに限ることはなく、テレビ電話装置と通信可能であり、識別情報と履歴情報とを関連付けて記憶し、テレビ電話装置の要求に応じて、識別情報に関連付けられる履歴情報をテレビ電話装置に送信可能な構成であればよい。
【0082】
また前述の実施の形態の通信システム1を構成する端末5は、本発明の一例であって、これに限定されるものではない。図17は、他の形態の通信システム1aを簡略化して示すブロック図である。図17では、他の形態のテレビ電話端末5Bの電気的構成を示すブロック図と、テレビ電話端末5Bを含む通信ネットワークを簡略化して示すブロック図を示す。本実施の形態の端末5Bは、前述の実施の形態を構成する端末5から補助カメラ19、画像外部出力端子23および音声外部出力端子26を除く残余の構成によって実現される。したがって本実施の形態の端末5Bでは、外部に画像および音声を出力する機能がない。このような構成であっても、前述の実施の形態と同様の作用および効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】通信システム1を簡略化して示すブロック図である。
【図2】機器情報公開WEBサーバ50、第1および第2のテレビ電話端末5の動作を示すフローチャートである。
【図3】ステップb5にて表示される画像の一例を示す図である。
【図4】ステップb6にて表示する画像の一例を示す図である。
【図5】接続が中断された場合に、端末Aで表示される画像の一例を示す図である。
【図6】ステップb7にて表示される視野角制御の操作画像の一例を示す図である。
【図7】モード設定の画像の一例を示す図である。
【図8】不鮮明化などの加工をしていない通常の通話画像の一例を示す図である。
【図9】モザイク処理を施した通話画像の一例を示す図である。
【図10】通話画像に通話の受信者の情報を重畳した画像の一例を示す図である。
【図11】通話画像に通話の受信者の画像を重畳した画像の一例を示す図である。
【図12】通話画像に通話の受信者の現在位置を示す地図を重畳した画像の一例を示す図である。
【図13】相手に表示させる情報の設定をしている画像の一例を示す図である。
【図14】プログラム格納用メモリ30に格納されたテレビ電話アプリケーションプログラム37の電話帳を示す画像の一例を示す図である。
【図15】相手側ディスプレイに表示する内容を設定する画面の一例を示す図である。
【図16】補助カメラ19が搭載されている場合に表示される画像の一例を示す図である。
【図17】他の形態の通信システム1aを簡略化して示すブロック図である。
【符号の説明】
【0084】
1 通信システム
4 テレビ電話端末メーカ
5 テレビ電話端末
8 入力部
9 出力部
14 記憶部
15 CPU
50 機器情報公開WEBサーバ
51 サーバ記憶部
52 サーバ通信部
53 サーバ制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他のテレビ電話装置と少なくとも画像情報および音声情報を含む通信情報を通信可能なテレビ電話装置と、他のテレビ電話装置に関する情報を管理する管理装置とを含む通信システムであって、
前記管理装置は、
他のテレビ電話装置を識別する識別情報と、他のテレビ電話装置の過去の使用状況に関する履歴情報とを関連付けて記憶する管理記憶手段と、
前記管理記憶手段に記憶される履歴情報をテレビ電話装置に送信する管理通信手段と、
テレビ電話装置から識別情報が与えられると、前記管理記憶手段に前記識別情報に関連付けされている履歴情報を、テレビ電話装置に送信するように管理通信手段を制御する管理制御手段とを含み、
前記テレビ電話装置は、
他のテレビ電話装置および前記管理装置と通信する通信手段であって、他のテレビ電話装置と通信を開始するとき、他のテレビ電話装置から送信された識別情報を前記管理装置に送信する通信手段を含むことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記テレビ電話装置は、
他のテレビ電話装置と通信を開始するとき、前記管理装置に送信した識別情報に対して、管理装置から与えられる履歴情報に基づいて、他のテレビ電話装置に送信する通信情報を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択される通信情報を、他のテレビ電話装置に送信するように通信手段を制御する制御手段とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記履歴情報は、他の電話装置の改変に関する情報、および他の電話装置の不正使用に関する情報のうち少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のテレビ電話装置であって、
前記選択手段は、他のテレビ電話装置に送信される画像情報または音声情報を加工する加工部を含み、
選択手段は、他のテレビ電話装置に送信する通信情報として、前記加工部によって加工される情報を選択することを特徴とするテレビ電話装置。
【請求項5】
前記通信情報は、他のテレビ電話装置の動作を指令する指令情報を含むことを特徴とする請求項4に記載のテレビ電話装置。
【請求項6】
テレビ電話装置と他のテレビ電話装置との通信方法であって、
他のテレビ電話装置を識別する識別情報と、他のテレビ電話装置の過去の使用状況に関する履歴情報とを関連付けて管理装置が記憶する工程と、
前記テレビ電話装置と前記他のテレビ電話装置とが通信を開始するとき、他のテレビ電話装置からテレビ電話装置が識別情報を受信する工程と、
前記テレビ電話装置が受信した識別情報を前記管理装置に送信する工程と、
前記管理装置が受信した識別情報に関連付けられる履歴情報を、前記テレビ電話装置に送信する工程と、
前記テレビ電話装置が前記管理装置から送信される履歴情報を受信する工程とを含むことを特徴とする通信方法。
【請求項1】
他のテレビ電話装置と少なくとも画像情報および音声情報を含む通信情報を通信可能なテレビ電話装置と、他のテレビ電話装置に関する情報を管理する管理装置とを含む通信システムであって、
前記管理装置は、
他のテレビ電話装置を識別する識別情報と、他のテレビ電話装置の過去の使用状況に関する履歴情報とを関連付けて記憶する管理記憶手段と、
前記管理記憶手段に記憶される履歴情報をテレビ電話装置に送信する管理通信手段と、
テレビ電話装置から識別情報が与えられると、前記管理記憶手段に前記識別情報に関連付けされている履歴情報を、テレビ電話装置に送信するように管理通信手段を制御する管理制御手段とを含み、
前記テレビ電話装置は、
他のテレビ電話装置および前記管理装置と通信する通信手段であって、他のテレビ電話装置と通信を開始するとき、他のテレビ電話装置から送信された識別情報を前記管理装置に送信する通信手段を含むことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記テレビ電話装置は、
他のテレビ電話装置と通信を開始するとき、前記管理装置に送信した識別情報に対して、管理装置から与えられる履歴情報に基づいて、他のテレビ電話装置に送信する通信情報を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択される通信情報を、他のテレビ電話装置に送信するように通信手段を制御する制御手段とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記履歴情報は、他の電話装置の改変に関する情報、および他の電話装置の不正使用に関する情報のうち少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のテレビ電話装置であって、
前記選択手段は、他のテレビ電話装置に送信される画像情報または音声情報を加工する加工部を含み、
選択手段は、他のテレビ電話装置に送信する通信情報として、前記加工部によって加工される情報を選択することを特徴とするテレビ電話装置。
【請求項5】
前記通信情報は、他のテレビ電話装置の動作を指令する指令情報を含むことを特徴とする請求項4に記載のテレビ電話装置。
【請求項6】
テレビ電話装置と他のテレビ電話装置との通信方法であって、
他のテレビ電話装置を識別する識別情報と、他のテレビ電話装置の過去の使用状況に関する履歴情報とを関連付けて管理装置が記憶する工程と、
前記テレビ電話装置と前記他のテレビ電話装置とが通信を開始するとき、他のテレビ電話装置からテレビ電話装置が識別情報を受信する工程と、
前記テレビ電話装置が受信した識別情報を前記管理装置に送信する工程と、
前記管理装置が受信した識別情報に関連付けられる履歴情報を、前記テレビ電話装置に送信する工程と、
前記テレビ電話装置が前記管理装置から送信される履歴情報を受信する工程とを含むことを特徴とする通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−124921(P2008−124921A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308235(P2006−308235)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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