説明

テンプレート、テンプレートの製造方法およびパターン形成方法

【課題】ナノインプリントにて有機材料層に離間して転写される凹部の深さを異ならせる。
【解決手段】互いに高さの異なる凸部T1、T2がメサ領域に設けられたテンプレート1をマスク材3に押し当てることにより、互いに深さの異なる凹部H1、H2をマスク材3に形成し、互いに深さの異なる凹部H1、H2が形成されたマスク材3をマスクとして基板2のエッチングを行うことで、開口部K1、K2を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテンプレート、テンプレートの製造方法およびパターン形成方法に関し、特に、ナノインプリント技術に用いられるテンプレート、テンプレートの製造方法およびパターン形成方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
ナノオーダの微細加工を基板上に一括して行える方法として、ナノインプリント技術がある。このナノインプリント技術では、テンプレートに形成された凹凸を基板上に形成された転写することで、パターン形成が行われる。
【0003】
また、例えば、特許文献1、2には、デュアルダマシン構造に適したテンプレートとして2段構造の凹部を形成する方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に開示された方法では、2段構造の凹部が同一箇所に配置されるため、有機材料層に離間して転写される凹部の深さを異ならせることができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2009−523312号公報
【特許文献2】特表2007−521645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ナノインプリントにて有機材料層に離間して転写される凹部の深さを異ならせることが可能なテンプレート、テンプレートの製造方法およびパターン形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、前記第1の凸部と根元の高さが等しくなるようにしてメサ領域に設けられた第1の凸部と、前記メサ領域に前記第1の凸部と離間して設けられ、前記第1の凸部と高さの異なる第2の凸部とを備えることを特徴とするテンプレートを提供する。
【0008】
本発明の一態様によれば、第1の転写面と、前記第1の転写面に対して段差が設けられた第2の転写面と、前記第1の転写面に設けられた第1の凹部と、前記第1の凹部と底の高さが互いに等しくなるようにして前記第2の転写面に設けられた第2の凹部とを備えることを特徴とするテンプレートを提供する。
【0009】
本発明の一態様によれば、互いに深さの異なる凹部がメサ領域に設けられた第1のテンプレートを形成する工程と、前記第1のテンプレートのメサ領域に設けられた凹凸を転写することにより、互いに高さの異なる凸部がメサ領域に設けられた第2のテンプレートを形成する工程とを備えることを特徴とするテンプレートの製造方法を提供する。
【0010】
本発明の一態様によれば、互いに高さの異なる凸部がメサ領域に設けられたテンプレートをマスク材に押し当てることにより、互いに深さの異なる凹部を前記マスク材に形成する工程と、互いに深さの異なる凹部が形成された前記マスク材をマスクとして基板のエッチングを行う工程とを備えることを特徴とするパターン形成方法を提供する。
【0011】
本発明の一態様によれば、互いに高さの異なる凸部がメサ領域に設けられたテンプレートをマスク材に押し当てることにより、互いに深さの異なる凹部を前記マスク材に形成する工程と、互いに深さの異なる凹部が形成された前記マスク材をマスクとして基板にイオン注入を行う工程とを備えることを特徴とするパターン形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、有機材料層に離間して転写される凹部の深さを異ならせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るパターン形成方法を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の第2実施形態に係るパターン形成方法を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の第3実施形態に係るパターン形成方法を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の第4実施形態に係るテンプレートの製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係るパターン形成方法について図面を参照しながら説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るパターン形成方法を示す断面図である。
図1において、テンプレート1のメサ領域には、互いに離間して配置された凸部T1、T2が設けられている。ここで、凸部T1は凸部T2よりも高さが高く、配置密度が小さくなっている。また、凸部T1と凸部T2とは根元Nの高さが等しくなっている。そして、凸部T1の頂上には転写面M1が設けられ、凸部T2の頂上には転写面M2が設けられ、転写面M1、M2間には段差D1が形成されている。なお、メサ領域(メインパターン領域)とは、所望の転写パターンが凹凸形状で形成されている領域を言う。また、同一の被加工基板2に対して複数のパターンを転写する場合、隣接パターンと使用テンプレートとの干渉により、先に転写されたパターンが破損することを回避するために、メサ領域の周辺に周辺領域を設けるようにしてもよい。また、テンプレート1の材料は、マスク材3として紫外線硬化樹脂を用いる場合には、紫外線に対して透過性を有する石英などを用いることができ、マスク材3として熱硬化樹脂を用いる場合には、熱伝導性の良好な金属などを用いることができる。また、転写面M1、M2間の段差D1は、基板2の加工時のローディング効果による開口部K1、K2の深さのバラツキが打ち消されるように設定することが好ましい。
【0016】
一方、基板2上にはマスク材3が形成されている。なお、基板2としては、半導体基板、ガラス基板または樹脂基板などを用いることができる。また、基板2は、ウェハ状であってもよいし、フィルム状であってもよいし、テープ状であってもよい。また、マスク材3としては、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂などの有機材料を用いることができる。
【0017】
そして、マスク材3が柔軟性(例えば、液状または半固形状)を有する状態でテンプレート1をマスク材3に押し当て、テンプレート1の凹凸をマスク材3に転写することにより、互いに深さの異なる凹部H1、H2をマスク材3に形成する。なお、マスク材3が紫外線硬化樹脂の場合、テンプレート1をマスク材3に押し当てた状態でマスク材3に紫外線を照射することにより、マスク材3を硬化させることができる。また、マスク材3が熱硬化樹脂紫の場合、テンプレート1をマスク材3に押し当てた状態でマスク材3を加熱することにより、マスク材3を硬化させることができる。
【0018】
そして、テンプレート1をマスク材3から離し、マスク材3をマスクとして基板2の異方性エッチングEh1を行うことにより、マスク材3の凹部H1、H2を貫通させ、開口部K1、K2を基板2に形成する。
【0019】
ここで、基板2の異方性エッチングを行う場合、疎パターンと密パターンとでは、ローディング効果によりエッチングレートが異なり、密パターンの方が疎パターンよりもエッチングレートが大きくなる。このため、マスク材3に段差D1が形成されない場合、開口部K2の方が開口部K1よりも深さが深くなり、開口部K1、K2の深さが不均一になる。特に、ローカル被覆率が極端に異なると、異方性エッチング時のガス濃度を調整しても、開口部K1、K2の深さの不均一性は解消できない。
【0020】
これに対して、テンプレート1の凸部T1の高さを凸部T2の高さよりも高くすることにより、マスク材3に段差D1を形成することができ、凹部H1の深さを凹部H2の深さよりも深くすることができる。このため、開口部K1上に配置されたマスク材3の厚みを開口部K2上に配置されたマスク材3の厚みよりも薄くすることができ、ローディング効果により開口部K2の方が開口部K1よりも深さ方向に多くエッチングされる分だけマスク材3の厚み分で相殺させることができる。すなわちインプリント後の残膜厚さであるRLT(residual layer thickness)を領域に応じて変化、具体的には疎パターン領域よりも密パターン領域の残膜が少なくなるように調整する。ここで、残膜とはマスク材3に形成された凹部底面に残ったマスク材厚さのことを指す。この結果、基板2の異方性エッチングを行う場合にローディング効果が発生した場合においても、開口部K1、K2の深さを均一化することができる。
【0021】
なお、上述した実施形態では、インプリント技術にて基板2に開口部K1、K2を形成する方法を例にとって説明したが、例えば、インプリント技術にてNANDフラッシュメモリなどに用いられるコントロールゲート電極およびセレクトゲート電極を形成する方法に適用してもよいし、インプリント技術にて配線層を形成する方法に適用してもよいし、インプリント技術にてビアホールを形成する方法に適用してもよい。
【0022】
また、上述した実施形態では、密度の異なる2種類の開口部K1、K2を基板2に形成する方法を例にとって説明したが、密度の異なる3種類以上のパターンを形成する方法に適用してもよい。この場合、密度が最も小さな領域では、テンプレート1の転写面が最も高くなるようにし、密度が2番目に小さな領域では、テンプレート1の転写面が2番目に高くなるようにし、密度が最も大きな領域では、テンプレート1の転写面が最も低くなるようにすればよい。また、テンプレート1の転写面の高さは、ローディング効果によるエッチング量のばらつきに対応して設定することができる。
【0023】
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態に係るパターン形成方法を示す断面図である。
図2において、テンプレート11のメサ領域には、転写面M11、M12が設けられ、転写面M11、M12間には段差D2が設けられている。そして、転写面M11、M12には互いに離間して配置された凹部U11、U12がそれぞれ設けられている。ここで、凹部U11は凹部U12よりも配置密度が小さくなっている。また、凹部U11、U12の底の高さは互いに等しくなっている。なお、転写面M11、M12間の段差D2は、基板12の加工時のローディング効果による開口部K11、K12の深さのバラツキが打ち消されるように設定することが好ましい。一方、基板12上にはマスク材13が形成されている。
【0024】
そして、マスク材13が柔軟性を有する状態でテンプレート11をマスク材13に押し当て、テンプレート11の凹凸をマスク材13に転写することにより、互いに深さの異なる凹部H11、H12をマスク材13に形成する。
【0025】
そして、マスク材13が硬化した状態でテンプレート11をマスク材13から離し、マスク材13をマスクとして基板12の異方性エッチングEh2を行うことにより、マスク材13の凹部H11、H12を貫通させ、開口部K11、K12を基板12に形成する。
【0026】
ここで、転写面M11、M12間に段差D2を設けることにより、凹部H11の深さを凹部H12の深さよりも深くすることができ、ローディング効果が発生した場合においても、開口部K11、K12の深さを均一化することができる。
【0027】
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態に係るパターン形成方法を示す断面図である。
図3において、テンプレート21のメサ領域には、転写面M21、M22が設けられ、転写面M21、M22間には段差D3が設けられている。そして、転写面M21、M22には互いに離間して配置された凹部U21、U22がそれぞれ設けられている。また、凹部U21、U22の底の高さは互いに等しくなっている。なお、転写面M21、M22間の段差D3は、基板22に形成される不純物導入層F21、F22の深さの違いに応じて調整することが好ましい。一方、基板22上にはマスク材23が形成されている。
【0028】
そして、マスク材23が柔軟性を有する状態でテンプレート21をマスク材23に押し当て、テンプレート21の凹凸をマスク材23に転写することにより、互いに深さの異なる凹部H21、H22をマスク材23に形成する。
【0029】
そして、マスク材23が硬化した状態でテンプレート21をマスク材23から離し、マスク材23をマスクとして基板22にイオン注入IPを行うことにより、不純物導入層F21、F22を基板22に形成する。
【0030】
ここで、転写面M21、M22間に段差D3を設けることにより、凹部H21の深さを凹部H22の深さよりも深くすることができ、同一エネルギーのイオン注入IPにて互いに深さの異なる不純物導入層F21、F22を形成することができる。
【0031】
このため、深さの異なる不純物導入層F21、F22を形成するために、イオン注入IPを一回で済ませることができ、不純物導入層F21、F22の深さに応じてイオン注入IPを繰り返し行う必要がなくなることから、製造工程を簡略化することができる。
【0032】
なお、図3の実施形態では、一回のイオン注入IPで深さの異なる不純物導入層F21、F22を形成する方法について説明したが、一回のエッチング工程で深さの異なるトレンチなどを形成する方法に適用するようにしてもよい。
【0033】
(第4実施形態)
図4は、本発明の第4実施形態に係るテンプレートの製造方法を示す断面図である。
図4(a)において、テンプレート31にはメサ領域R1、R2が設けられ、メサ領域R1、R2には転写面M31、M32がそれぞれ設けられている。そして、テンプレート31上に遮蔽層32を形成し、電子ビームリソグラフィにて遮蔽層32をパターニングする。そして、パターニングされた遮蔽層32をマスクとしてテンプレート31の異方性エッチングを行うことにより、互いに深さの等しい凹部U31、U32を転写面M31、M32にそれぞれ形成する。なお、遮蔽層32の材料は、例えば、Crを用いることができる。また、テンプレート31が石英の場合、テンプレート31の異方性エッチングではフッソラジカルをエッチングガスとして用いることができる。
【0034】
次に、図4(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術にてメサ領域R2上にレジスト膜Rを形成する。そして、パターニングされた遮蔽層32およびレジスト膜Rをマスクとしてテンプレート31の異方性エッチングを行うことにより、凹部U31の深さが凹部U32の深さより深くなるようにする。
【0035】
次に、図4(c)に示すように、テンプレート31から遮蔽層32およびレジスト膜Rを除去する。そして、テンプレート51上のマスク材41にテンプレート31を押し当て、テンプレート31の凹凸をマスク材41に転写することにより、図4(d)に示すように、互いに高さの異なる凸部T41、T42をマスク材41に形成する。ここで、凸部T41の頂上には転写面M41が設けられ、凸部T42の頂上には転写面M42が設けられている。
【0036】
次に、図4(e)に示すように、マスク材41をマスクとしてテンプレート51の異方性エッチングを行うことにより、互いに高さの異なる凸部T51、T52をテンプレート51に形成する。ここで、凸部T51の頂上には転写面M51が設けられ、凸部T52の頂上には転写面M52が設けられている。そして、テンプレート51の異方性エッチングは、転写面M52上のマスク材41がなくなり、転写面M51よりも転写面M52の高さが低くなるまで行うことができる。
【0037】
これにより、電子ビームリソグラフィにて作成したテンプレート31から、インプリント技術にてテンプレート51を形成することが可能となり、互いに高さの異なる凸部T51、T52を有するテンプレート51の作製時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0038】
1、11、21、31、51 テンプレート、2、12、22 基板、3、13、23、41 マスク材、N 根元、M1、M2、M11、M12、M21、M22、M31、M32、M41、M42、M51、M52 転写面、T1、T2、T41、T42、T51、T52 凸部、H1、H2、H11、H12、H21、H22、U11、U12、U21、U22、U31、U32 凹部、K1、K2、K11、K12 開口部、F21、F22 不純物導入層、R1、R2 メサ領域、32 遮蔽層、R レジスト膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メサ領域に設けられた第1の凸部と、
前記第1の凸部と根元の高さが等しくなるようにして前記メサ領域に前記第1の凸部と離間して設けられ、前記第1の凸部と高さの異なる第2の凸部とを備えることを特徴とするテンプレート。
【請求項2】
前記第1の凸部は前記第2の凸部よりも配置密度が小さく、前記第1の凸部は前記第2の凸部よりも高さが高いことを特徴とする請求項1に記載のテンプレート。
【請求項3】
第1の転写面と、
前記第1の転写面に対して段差が設けられた第2の転写面と、
前記第1の転写面に設けられた第1の凹部と、
前記第1の凹部と底の高さが互いに等しくなるようにして前記第2の転写面に設けられた第2の凹部とを備えることを特徴とするテンプレート。
【請求項4】
前記第1の凹部は前記第2の凹部よりも配置密度が小さく、前記第1の転写面は前記第2の転写面よりも高さが高いことを特徴とする請求項3に記載のテンプレート。
【請求項5】
互いに深さの異なる凹部がメサ領域に設けられた第1のテンプレートを形成する工程と、
前記第1のテンプレートのメサ領域に設けられた凹凸を転写することにより、互いに高さの異なる凸部がメサ領域に設けられた第2のテンプレートを形成する工程とを備えることを特徴とするテンプレートの製造方法。
【請求項6】
互いに高さの異なる凸部がメサ領域に設けられたテンプレートをマスク材に押し当てることにより、互いに深さの異なる凹部を前記マスク材に形成する工程と、
互いに深さの異なる凹部が形成された前記マスク材をマスクとして基板のエッチングを行う工程とを備えることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項7】
前記エッチングにて前記基板に形成されるパターンによる被覆率に応じて前記凸部の高さが異なることを特徴とする請求項6に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記パターンの密度が小さい領域では大きい領域に比べて、前記凸部の高さが高いことを特徴とする請求項7に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
互いに高さの異なる凸部がメサ領域に設けられたテンプレートをマスク材に押し当てることにより、互いに深さの異なる凹部を前記マスク材に形成する工程と、
互いに深さの異なる凹部が形成された前記マスク材をマスクとして基板にイオン注入を行う工程とを備えることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項10】
前記イオン注入の深さが深い領域では浅い領域に比べて、前記凸部の高さが高いことを特徴とする請求項9に記載のパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−159850(P2011−159850A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21029(P2010−21029)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】