説明

ディスクトレイ装置及び該ディスクトレイ装置を備えた記録再生装置

【課題】ベアディスク、開放タイプ及び密閉タイプのカートリッジのいずれも併用可能で、且つ、密閉タイプのカートリッジを装填する場合であっても、ベアディスク及び開放タイプのカートリッジ内ディスクをクランプするクランパー及びその駆動機構の存在によってローディングが阻害されることのないディスクトレイ装置を提供する。
【解決手段】クランパー機構は、チャッキングを行うためのクランパー32と、当該ディスクトレイ装置の筐体側に固定された回動支点を中心として回動可能で、且つクランパー32をトレイ10におけるディスク搭載面に対して垂直方向に変位可能に保持する保持部材31と、保持部材31を回動させるための駆動部材30とを有し、トレイ10によるターンテーブル2の位置への光ディスク21の搬入に伴って駆動部材30が駆動されることで、駆動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクトレイ装置及び該ディスクトレイ装置を備える記録再生装置に関し、より詳細には、ディスク型記録媒体である光ディスクを搬送して、光ディスクへの情報の書き込みや情報の読み出しを行うようにしたディスクトレイ装置と、そのディスクトレイ装置を備えた記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CDやDVDなどの光を用いて情報記録/再生を行う光ディスクが普及している。また、大容量光ディスクとして波長400nm帯の青色光源を用いたBD(blu-ray disk:登録商標 以下「BD」とも称す)や、HD DVD(High Definition Digital Versatile Disc)が市場に登場し、今後普及すると考えられている。このような光ディスクに情報を書き込んだり、情報を読み出したりする装置として、ディスクトレイ装置が供されている。ディスクトレイ装置は、光ディスクをセットするトレイを有し、そのトレイがローディングされて所定位置に光ディスクを搬送することで、光ピックアップによる光ディスクへの情報の書き込みや情報の読み出しを実行可能とする。
【0003】
上述のようなディスクトレイ装置において、トレイが装置内部から前方に引き出された位置で光ディスクがトレイ上にセットされる。そしてトレイが装置内部へローディングされると、その所定位置で光ディスクがチャッキングされる。このチャッキングに際しては、光ディスクを保持して回転させるターンテーブルの中央に形成された凸部が、光ディスク中央の孔部に挿入され、同時に光ディスク上面側からクランパーが接近し、このクランパーによって光ディスクがターンテーブル上にチャッキングされる。光ディスクを取り出すときには、上記のクランパーとターンテーブルを光ディスクから離脱させて、トレイを前方に引き出す。
【0004】
図14及び図15は、上記のような従来のディスクトレイ装置のクランプ動作の一例を説明するための図で、図14は、上記チャッキング位置で光ディスクがターンテーブル上でチャッキングされているときの状態を示す図、図15は、図14のチャッキング状態を解除して光りディスクを取り出すとき(もしくは、引き出されたトレイをチャッキング位置にセットするとき)の状態を示す図である。
【0005】
図14及び図15において、1はベースシャーシ、2は光ディスクを保持して回転させるターンテーブル、3はターンテーブルの回転を制御するスピンドルモータ、6はスピンドルモータ3が設置されるトラバースシャーシ、10は光ディスクを搬送するためのトレイ、14はトレイの移動に応じてクランパーを変位させるためのトレイカム部、50は光ディスクを収容するカートリッジ、51は光ディスク、70はクランパー及びクランパーレバーを搭載したクランパープレート、71はクランパーを動作させるためのクランパーレバー、72は光ディスクをクランプするクランパー、73はクランパーレバーがクランパープレートに対して回動可能に支持されるクランパーレバー支持軸、74はクランパーレバーを付勢する付勢スプリングである。
【0006】
クランパーレバー71は、クランパーレバー支持軸73にて回動可能に設置され、その回動動作に伴ってクランパーレバー71の先端近傍に設けられたクランパー72が揺動変位する。また、トラバースシャーシ6もトレイ10の進退動作に応じて揺動し、トラバースシャーシ6の上に設置されたスピンドルモータ3と、スピンドルモータ3に設置されたターンテーブル2とが一体的に動作する。
【0007】
トレイ10にはトレイカム部14が設けられていて、図14の状態では、クランパーレバー71のトレイ奥側端部がトレイカム部14に当接して、クランパーレバー71が回動し、付勢スプリング74の付勢力に抗した形でクランパー72が押し下げられる。また図14の位置では、トラバースシャーシ6が上方に変位して、光ディスク51中央の孔部にターンテーブル2の凸部が挿入される。そして、この状態で、ターンテーブル2の凸部とクランパー72との間で光ディスク51がチャッキングされる。クランパー72は、回転可能に設けられているため、スピンドルモータ3の駆動によるターンテーブル2の回転に伴って光ディスク51が高速回転する際にも、クランパー72がその回転を阻害することはない。
【0008】
図15の状態では、トレイ10のトレイカム部14がクランパーレバー71の端部から離れ、クランパーレバー71は、付勢スプリング74の付勢力により回動し、クランパー72が光ディスク51から離脱して上方へ変位する。また、トレイ10の移動に従って、トラバースシャーシ6が下方に揺動変位し、光ディスク51の搬送を妨げないようにしている。
【0009】
また、本例では、上面と下面(背面)に開口を有する開放タイプのカートリッジ(ベアバックカートリッジ)に収容されたBD用光ディスクを使用した例を示しているが、現在のBDのカートリッジは、その多くがクランパー内蔵タイプで、背面(記録層側)に開閉可能なシャッターが構成されているか、もしくは前面が閉口し、背面にシャッターが設けられている。このカートリッジは、クランパー72と同機能をもつチャッキングプレートを具備した密閉タイプのカートリッジであり、シールドカートリッジとも呼ばれる。そして、このシールドカートリッジに収容されたBD用光ディスクを使用する場合には、クランパー72でチャッキングする代わりにそのチャッキングプレートでチャッキングされる。
【0010】
上記のようなディスクトレイ装置に使用する光ディスクの多くは、カートリッジに収容されていないベアディスクとして流通されている。また、DVD−RAMやBDは、カートリッジに収容されたカートリッジディスクとして流通している。例えば、DVD−RAMのカートリッジには、前面と背面側に開口が設けられ、記録再生装置へのアクセスや光ディスクのクランプを上記開口によって実行できるようにしたものがある。また、BDでは、現在カートリッジに収容されたカートリッジディスクが供されているが、近い将来には、ベアタイプのBDが市場に登場することが予想されている。このように、例えば、BDや一部のDVD等でカートリッジタイプとベアタイプが共存するとき、これら光ディスクメディアに対応するディスクトレイ装置では、いずれのタイプのディスクも使用可能であることが要求される。
【0011】
上記のような要求に対して、カートリッジディスクとベアディスクの両方を搬送可能な搬送機構において、カートリッジディスクを搬送するときにクランパーが当たらない位置までクランパーを上方に逃がし、その後にクランパーのホルダー部材を回動させてクランパーをディスク媒体に押しつけるようにして、搬送機構の薄型を図った構成が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平10−312628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のように、特許文献1をはじめとする従来技術では、シールドカートリッジに収容されたBD用光ディスクが装填される場合でも、ベアバックカートリッジ及びベアディスクに対応するためのクランパーをディスク搭載面に対して上側に変位させることで、シールドカートリッジの装填を可能としている。
【0013】
しかしながら、シールドカートリッジに収容されたBD用光ディスクが装填される場合には、ベアバックカートリッジ及びベアディスクに対応するためのそのクランパーが、トレイによる駆動部とクランパーを保持する保持部とが一体でシーソー型となっているクランパー駆動機構によって駆動されているので、チャッキングを行うときにシールドカートリッジの頭頂部(チャッキングプレートが格納された位置のカートリッジ筐体上面)にクランパーを押しつけることになり、カートリッジのローディングを阻害してしまう。
【0014】
また、特許文献1に記載のごとく、上記クランパー駆動機構においてトレイに設けられた突起部の形状によってチャッキング後のクランパー駆動アングルの位置を決めることは、関連する部品が狭い空間で多く積み重ねられており、その位置を制御することが困難となる。
【0015】
さらに、シールドカートリッジの頭頂部にユーザの固有ラベルを貼り付けられていた場合には、シールドカートリッジが装置内に装填されたときに、クランパー駆動機構によってクランパーがラベルに擦り付けられる事態が生じ得る。このような事態は、上記の位置制御の困難さによってより生じ易くなる。
【0016】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、ベアディスク、開放タイプのカートリッジ、及び密閉タイプのカートリッジのいずれも併用可能で、且つ、密閉タイプのカートリッジを装填する場合であっても、ベアディスク及び開放タイプのカートリッジ内のディスクをクランプするクランパー及びその駆動機構の存在によってローディングが阻害されることのないディスクトレイ装置、及び該装置を備えた記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1の技術手段は、裸の光ディスク或いはカートリッジに収容された光ディスクを、ターンテーブル上にチャッキングするためのクランパー機構と、前記カートリッジまたは裸の光ディスクを、その排出位置から前記ターンテーブルの位置までの間で搬送するトレイと、前記クランパー機構と協働して前記チャッキングを行うために、前記チャッキング時に前記ターンテーブルを前記トレイ側に移動させ、前記チャッキングを解除する時に前記ターンテーブルを前記トレイから離反する方向に移動させる移動機構とを備えたディスクトレイ装置であって、前記クランパー機構は、前記チャッキングを行うためのクランパーと、当該ディスクトレイ装置の筐体側に固定された回動支点を中心として回動可能で、且つ前記クランパーを前記トレイにおけるディスク搭載面に対して垂直方向に変位可能に保持する保持部材と、該保持部材を回動させるための駆動部材とを有し、前記トレイによる前記ターンテーブルの位置への光ディスクの搬入に伴って前記駆動部材が駆動されることで、駆動されることを特徴としたものである。
【0018】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記トレイは、前記ターンテーブルの位置への光ディスクの搬入に伴って前記駆動部材に当接させる突起部を有し、前記クランパー機構は、前記突起部と前記駆動部材との当接によって該駆動部材を回動させることで、前記保持部材を回動させて前記クランパーを前記ディスク搭載面に対して近接する機構であり、且つ、前記クランパーと同機能をもつチャッキングプレートを具備した密閉タイプのカートリッジが前記トレイで搬送された場合には、前記カートリッジの上面に前記クランパーが当接するまで、前記駆動部材の回動に伴って前記保持部材が回動するように前記駆動部材及び保持部材が連動して駆動し、前記カートリッジの上面に前記クランパーが当接した時点で、前記駆動部材の回動に伴う前記保持部材の回動を停止するように前記駆動部材及び保持部材が分離して駆動し、他方、前記裸の光ディスク或いは前記密閉タイプのカートリッジ以外のカートリッジが前記トレイで搬送された場合には、前記裸の光ディスク或いは前記カートリッジ内の光ディスクを前記クランパーによって前記ターンテーブル上でチャッキングするまで、前記駆動部材の回動に伴って前記保持部材が回動するように前記駆動部材及び保持部材が連動して駆動する機構であることを特徴としたものである。
【0019】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記クランパー機構は、前記密閉タイプのカートリッジが前記トレイで搬入され、前記駆動部材の回動に連動した前記保持部材の回動により前記クランパーが前記カートリッジの上面で押圧される前に、前記保持部材の動きを阻止するための阻止部材を有し、該阻止部材は、一方で前記保持部材に当接し、他方で前記カートリッジにおけるラベル貼り付け部以外に当接することで、前記保持部材の回動を停止させることを特徴としたものである。
【0020】
第4の技術手段は、第3の技術手段において、前記阻止部材は、前記カートリッジと当接する部分にローラを有することを特徴としたものである。
【0021】
第5の技術手段は、第1ないし第4のいずれか1の技術手段において、前記クランパー機構は、前記トレイのディスク搭載面に対して前記筐体側に、前記保持部材を回動可能に保持する回動支点を有するクランパープレートを有し、前記保持部材の一部を前記クランパープレートに当接させることで、前記駆動部材の回動に伴う前記保持部材の回動を制限して停止させる機構であることを特徴としたものである。
【0022】
第6の技術手段は、第1ないし第5のいずれか1の技術手段において、前記保持部材は、前記回動支点を中心として回動する際、前記クランパーの姿勢が前記光ディスクに対して常時変わらないように前記クランパーの一部を保持する姿勢保持部材を有することを特徴としたものである。
【0023】
第7の技術手段は、記録再生装置において、第1ないし第6のいずれか1の技術手段におけるディスクトレイ装置を備え、該ディスクトレイ装置により搬送される光ディスクに対する情報の記録と、光ディスクに記録された情報の再生を行うことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ディスクトレイ装置、並びにそのディスクトレイ装置を備えた記録再生装置において、ベアディスク、開放タイプのカートリッジ、及び密閉タイプのカートリッジのいずれも併用可能で、且つ、密閉タイプのカートリッジを装填する場合であっても、ベアディスク及び開放タイプのカートリッジ内のディスクをクランプするクランパー及びその駆動機構の存在によってそのカートリッジのローディングが阻害されることが無くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明のディスクトレイ装置の実施形態を添付された図面を参照しながら具体的に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同様の機能を有する部分には同じ符号を付けその繰り返しの説明は省略する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係るディスクトレイ装置の一部構成例を示す斜視概略図、図2は、図1のディスクトレイ装置においてシールドカートリッジをトレイに装着してローディングしたときの状態を示す図である。
【0027】
図1及び図2において、1はベースシャーシ、2はブルーレイディスク(BD)等の光ディスクを保持して回転させるターンテーブル、3はターンテーブルの回転を制御するスピンドルモータ、4は光ディスクの記録再生層に光スポットを形成して、データの書き込み及び読み出しを行う光ピックアップ、5はブルーレイディスクのカートリッジを開閉させるためのシャッター開閉機構、10は光ディスクを搬送するためのトレイ、11は光ディスクを押さえるための第1の押さえレバー、12は同じく光ディスクを押さえるための第2の押さえレバー、13は縦置き時にベアディスクを保持するためのディスクホルダー、14はトレイの移動に応じてクランパーを変位させるためのトレイカム部(突起部)、20はBDのシールドカートリッジ、22はシールドカートリッジ20の上面にある傾斜部、23はシールドカートリッジ20の上面にあるラベル貼付部である。
【0028】
本発明に係るディスクトレイ装置は、次のクランパー機構、トレイ、並びに移動機構を備え、光ディスクを装填するための装置であり、光ディスク装置ともいえる。クランパー機構は、ベアディスク或いはカートリッジに収容された光ディスクを、スピンドルモータ3のターンテーブル2上にチャッキングするための機構である。ここで、ベアバックカートリッジやベアディスクではなく、シールドカートリッジが装填された場合には、クランパー機構は、そのシールドカートリッジの内部に具備されたチャッキングプレートを利用してチャッキングする。なお、クランパー機構についての図示並びに詳細な説明は後述する。
【0029】
ここで、ベアディスクは、筐体を有さず同様に別途チャッキングのためのクランパー(クランパー32)を必要とする裸の光ディスクである。また、ベアバックカートリッジは、収容された光ディスク(裸の光ディスク)の非記録面側が解放され、別途チャッキングのためのクランパー(クランパー32)を必要とするカートリッジであり、前面が開口され背面(記録面側)がシャッター機構により開閉可能なタイプである。一方、シールドカートリッジは、その内部にクランパーとしてのチャッキングプレートを具備し、光ディスク(裸の光ディスク)を収容している密閉タイプのカートリッジである。
【0030】
トレイ10は、ベアディスク或いはカートリッジを、その排出位置(ベアディスク或いはカートリッジを排出可能な排出位置)からターンテーブル2の位置(チャッキングを行うチャッキング位置)までの間で搬送するトレイである。そして、移動機構は、クランパー機構と協働してチャッキングを行うための機構であり、チャッキング時にターンテーブル2をトレイ10側(図1では紙面上方向)に移動させ、一方でチャッキングを解除する時にはターンテーブル2をトレイ10から離反する方向(図1では紙面下方向)に移動させる機構である。そして、このディスクトレイ装置は、移動機構とクランパー機構とが協働してチャッキング位置でチャッキングを行い、そのチャッキング位置で光ディスクに対する情報の書き込み及び/または情報の読み出しを光ピックアップ4によって行う。
【0031】
上述のごとき構成により、トレイ10がベースシャーシ1の内部にローディングされた状態(図1で示す状態)から、ベースシャーシ1上に設けられているトレイ搬送機構が動作することで、矢印A方向にトレイ10が引き出されて、ユーザがシールドカートリッジ20やベアバックカートリッジ、さらにはベアディスクをセットすることができる。そして、再びトレイ搬送機構を動作させると、トレイ10と共に光ディスクがベースシャーシ1の内部にローディングされる。このとき、背面(記録面側)がシャッター機構を有するカートリッジの場合は、シャッター開閉機構5によって、トレイ10の移動に応じたシャッターの開動作が行われる。シールドカートリッジ20を装着したときには、図2で示すような状態になる。このような状態からシールドカートリッジ20等のディスクを排出するときは、再度トレイ10を矢印A方向に引き出す。このとき、背面がシャッター機構を有するカートリッジの場合は、シャッター開閉機構5によって、トレイ10の移動に応じたシャッターの閉動作が行われる。
【0032】
実際には、図1及び図2のベースシャーシ1に対して、後述するクランパープレートが取り付けられ、クランパープレートに設けられたクランパーが動作することにより、ローディングされた光ディスクをターンテーブルとの間でクランプ(チャッキング)する。このチャッキングは本発明の主となる動作であり、図3ないし図12及びその説明において、クランパープレート及びクランパーを含むクランパー機構の図示と共に詳細な説明を行う。そして、この状態で、光ピックアップ4による光ディスクへのデータの書き込みや光ディスクからのデータの読み込みを行うことができる。すなわち、トレイ10は、光ディスクを排出可能な排出位置と、光ディスクのチャッキングを行うチャッキング位置との間で光ディスクを搬送するものといえる。
【0033】
なお、第1の押さえレバー11及びディスクホルダー13は、縦置き時にベアディスクを保持するための部材である。すなわち、ベアディスクがトレイ10にセットされた状態でローディングされ、ターンテーブル2上にチャッキングされると、ベアディスクを保持していたディスクホルダー13と第1の押さえレバー11とがベアディスクから離間して、ベアディスクの高速回転を阻害しないように構成されている。ここでは、縦置きのベアディスクを支持する第1の押さえレバー11とディスクホルダー13のうち、第1の押さえレバー11がチャッキング時にベアディスクから離れる方向に変位し、これによって、第1の押さえレバー11とディスクホルダー13とが、チャッキングされたベアディスクから離間するようになっている。このように、ここで例示するディスクトレイ装置は、カートリッジタイプのディスク及びベアディスクにも対応可能になっているだけでなく、ディスクトレイ装置が横置きされる場合だけでなく縦置きされる場合にも対応可能となっている。
【0034】
以下、本発明に係るチャッキング(クランピングともいう)に関し、例を挙げて詳細に説明する。
図3は、図1において一部構成例として示したディスクトレイ装置におけるクランプ機構の一例を示す上面図、図4は、図3のクランプ機構を詳細に説明するための斜視図である。
【0035】
図3及び図4において、30はクランパー駆動部材、30aはクランパー駆動部材30における傾斜部、30bはクランパー駆動部材30におけるアーム部、30cはクランパー駆動部材30における付勢力伝達部材、31はクランパー保持部材、31aはクランパー保持部材31におけるクランパー保持部、31bはクランパー保持部材31における回動制限部材、31cはクランパー保持部材31における付勢力被伝達部材、32はクランパー、32aはクランパー32における被保持リング、32bはクランパー32内の磁石、32cはクランパー32におけるディスク押えリング、33はクランパー姿勢保持部材、33aはクランパー姿勢保持部材33におけるクランパー姿勢保持アーム、33bはクランパー姿勢保持部材33におけるクランパー姿勢保持アーム33aの支持軸、33cはクランパー姿勢保持部材33におけるクランパー姿勢保持アーム33aの回動軸、34は付勢部材、35は付勢部材、36は阻止部材、36aは阻止部材36における回転ローラ、36cは阻止部材36における阻止レバー支持軸である。
【0036】
さらに、図3及び図4において、40はクランパープレート、41a,41c,41d,41eは係止孔、41bは係止突起、42はクランパー駆動部材30をクランパープレートに固定するための固定部材、43はカートリッジ押えアームの設置部、44はカートリッジ押えアーム、44aはカートリッジ押えアーム44における回転ローラ、44bはカートリッジ押えアーム44における付勢部材、44cはカートリッジ押えアーム44の支持軸である。
【0037】
本実施形態に係るクランパー機構は、チャッキングを行うためのクランパー32と、クランパー保持部材31と、クランパー保持部材31を回動させるためのクランパー駆動部材30とを有する。ここで、クランパー保持部材31は、ディスクトレイ装置の筐体1側(ディスク搭載面に対して上方向)に固定された回動支点(2つの支点でも軸でもよい)を中心として回動可能で、且つクランパー32をトレイ10におけるディスク搭載面に対して垂直方向(上下方向)に変位可能に保持する部材である。そして、このクランパー機構は、トレイ10によるターンテーブル2の位置への光ディスクの搬入に伴ってクランパー駆動部材30が駆動されることで、駆動される。
【0038】
より具体的な例を説明すると、トレイ10に、ターンテーブル2の位置への光ディスク(カートリッジである場合も当然含む)の搬入に伴い、クランパー駆動部材30に当接させる突起部(トレイカム部14)を設けておけばよい。そして、このトレイカム部14によって駆動されるクランパー機構は、トレイカム部14とクランパー駆動部材30との当接によって、クランパー駆動部材30をトレイカム部14のカム形状に沿って動かせて回動させることで、クランパー保持部材31を回動させて、クランパー32をディスク搭載面に対して近接する機構である。
【0039】
そして、このクランパー機構においては、シールドカートリッジ20がトレイ10で搬送された場合に、シールドカートリッジ20の上面にクランパー32が当接するまで(最初から僅かに当接していてもよい)、クランパー駆動部材30の回動に伴ってクランパー保持部材31が回動するように、クランパー駆動部材30及びクランパー保持部材31が連動して駆動し、シールドカートリッジ20の上面にクランパー32が当接した時点で、クランパー駆動部材30の回動に伴うクランパー保持部材31の回動を停止するように、クランパー駆動部材30及びクランパー保持部材31が分離して駆動する。
【0040】
一方、ベアディスク、或いはシールドカートリッジ20以外のカートリッジ(ベアバックカートリッジ)が、トレイ10で搬送された場合に、クランパー機構では、ベアディスク或いはカートリッジ内の光ディスクをクランパー32によってターンテーブル2上でチャッキングするまで、クランパー駆動部材30の回動に伴ってクランパー保持部材31が回動するように、クランパー駆動部材30及びクランパー保持部材31が連動して駆動する。
【0041】
ここで、クランパー機構を構成する各部位について、図4に基づく例で説明する。クランパー機構は、クランパープレート40を、トレイ10のディスク搭載面に対して筐体側(ベースシャーシ1側)に有する。クランパープレート40は、付勢部材35の一方の両端を係止する係止孔41aと、クランパー姿勢保持部材33(クランパー姿勢保持アーム33aの支持軸33b)を係止する係止突起41bと、クランパー駆動部材30及びクランパー保持部材31を係止する係止孔41cと、阻止レバー36a(阻止レバー支持軸36c)を係止する係止孔41dと、付勢部材35の途中(他方の両端)を係止する係止孔41eと、クランパー駆動部材30をクランパープレート40に固定するための固定部材42と、カートリッジ押えアーム44の設置部43とを、それぞれ適所に備える。
【0042】
カートリッジ押えアーム44は、阻止部材36と同様の部材で構成されることが好ましく、回転ローラ44aをそのカートリッジ側の当接部として備え、カートリッジ押えアーム44の支持軸44cを設置部43に挿入することで、四隅に対応する位置に4箇所に設置されている。さらに、カートリッジ押えアーム44には、トレイ10側に付勢力を与えるための付勢部材44bが設けられ、カートリッジ押えアーム44の本体における支持軸44cとは反対側がクランパープレート40の一部に当接するように設置されている。
【0043】
クランパー32は、クランパー保持部材31におけるクランパー保持部(保持リング)31aによって保持される被保持リング32aと、シールドカートリッジ20以外のメディアに対し光ディスクをターンテーブル2とで挟持するためのディスク押えリング32cと、被保持リング32aとディスク押えリング32cとの間に設けられ、シールドカートリッジ20以外のメディアをチャッキングする時にターンテーブル2におけるテーパ部の金属と磁力で引っ付けるための磁石32bとで構成される。
【0044】
クランパー保持部材31は、クランパー保持部材31におけるクランパー保持部(保持リング)31aに加え、回動制限部材31b及び付勢力被伝達部材31cを備え、その本体がクランパー保持部材31をクランパープレート40における回動支点41cによって回動可能に保持されている。なお、クランパー保持部材31は、その本体と保持リング31aとでアングルを形成するため、クランパー駆動アングルともいえる。
【0045】
付勢力被伝達部材31cは、クランパー駆動部材30における付勢力伝達部材30cによって、クランパー駆動部材30から与えられるディスク搭載面からクランパー32を離す方向の付勢力を伝達するための部材である。回動制限部材31bは、クランパー駆動部材30の回動に伴うクランパー保持部材31の回動を制限して停止させるための部材であり、クランパープレート40に当接させる突起等でなる。従って、このクランパー機構においては、クランパー保持部材31の一部(回動制限部材31b)をクランパープレート40に当接させることで、クランパー駆動部材30の回動に伴うクランパー保持部材31の回動を制限して停止させる。この制限位置は、ベアバックカートリッジ及びベアディスクがターンテーブル2とによってチャッキング可能な位置にクランパー32が変位する位置である。従来、トレイに設けられた駆動部(トレイカム部14に相当)によってチャッキング後のクランパー駆動レバーの位置を決めており、関わる部品が多く積み重ねられていることから狭い空間での位置制御が困難となっていた。これに対し、本実施形態では、クランパー保持部材31の一部を、固定されているクランパープレート40に当接させるような機構及び前述の分離・複動(連動)機構によって、トレイ10に設けられたトレイカム部14の位置精度の影響を受けるクランパー駆動部材30の回動と分離して動くクランパー保持部材31の位置を制御することで済み、チャッキング後のクランパー保持部材31の位置精度を向上させることが可能となる。
【0046】
また、クランパー保持部材31は、回動支点を中心として回動する際、クランパー32の姿勢が装着された光ディスクに対して常時変わらないようにクランパー32の一部(片側等)を保持するクランパー姿勢保持部材33を有する。このクランパー姿勢保持部材33は、クランパー姿勢保持アーム(クランパー補助アーム)33a、その支持軸33b、及び、その中央部分に設けられるクランパー保持部材31に係止するための回動軸33cで構成される。従来、クランパーを上部に保持したとき、薄型化を図ることによってクリアランスが無くなっていたことから、クランパーを十分に持ち上げられない現象が生じ得たが、クランパー姿勢保持部材33によって、クランパー32の片側を持ち上げ、クランパー32を光ディスクに対して約平行に保つことにより、薄型化によってもクリアランスを確保することができる。なお、このクランパー姿勢保持部材33については、本出願人による特願2003−156387号明細書に詳細に記載されている。
【0047】
クランパー駆動部材30は、本体となるアーム部30bと、そのトレイカム部14側の先端付近に設けられた傾斜部30aと、付勢力被伝達部材31cによってクランパー駆動部材30からの付勢力を伝達するための付勢力伝達部材30cとを有する。また、ここで例示したクランパー駆動部材30は、傾斜部30aによって二箇所の角が付けられたレバーであり、クランパー駆動アングル或いはクランパーレバーともいえる。
【0048】
付勢部材34は、その中間部分でクランパー駆動部材30のアーム部30bに係止され、その一端が付勢部材35に係止され、その他端がクランパー保持部材31に係止された複動バネ部材であり、クランパー駆動部材30に対しクランパー保持部材31がディスク搭載面方向に付勢力を与えるように取り付けられている。一方、付勢部材35は、凹形状に形成され、クランパー駆動部材30を付勢するバネ部材であり、その中央部分(凹部)がクランパー駆動部材30に取り付けられ、その両端がクランパープレート40における係止孔41aに係止され、さらにその凹部を除いた中央部分が係止孔41eで係止されている。ここで、付勢部材35は、クランパー駆動部材30をシールドカートリッジ20或いはベアバックカートリッジやベアディスクから離す方向に付勢力を与えるように取り付けられている。
【0049】
また、クランパー機構は、シールドカートリッジ20がトレイ10で搬入され、クランパー駆動部材30の回動に連動したクランパー保持部材31の回動によりクランパー32がシールドカートリッジ20の上面に当接する前に(回動によって上面に押圧される前に)、クランパー保持部材31の動きを阻止するための阻止部材を有する。そして、この阻止部材は、その一方でクランパー保持部材31に当接することで、クランパー保持部材31の回動を停止させる。また、この阻止部材は、他方で、シールドカートリッジ20においてラベル貼付部23以外に当接し、押圧時にもラベル貼付部23以外で押圧される。この阻止部材の例として、阻止部材36を図示している。従来、シールドカートリッジが装置内に装填されたとき、シールドカートリッジ上面(頭頂部)にユーザの固有ラベルを貼り付けられていた場合、そのラベルにクランパー駆動機構により、クランパーがラベルに擦りつけられる可能性が生じていたが、この阻止部材36によって、クランパー駆動部材30の回動に連動してクランパー保持部材31が回動し、クランパー32がシールドカートリッジ20の上面に当接する前に、クランパー保持部材31の動きを阻止してクランパー保持部材31の回動を止めることにより、ラベルにクランパー32が擦ることを防ぐことが可能となる。
【0050】
阻止部材(阻止レバー)36は、回転ローラ36a、及び阻止レバー本体を係止孔41dで回動可能に支持するための支持軸36cで構成され、その本体がクランパー保持部材33に当接可能となっている。回転ローラ36aは、シールドカートリッジ20と当接する部分に設けられ、シールドカートリッジ20と当接後の摺動負荷の軽減を行うためのローラである。回転ローラ36aの代わりに、低摩擦の部材を用いてもよい。従来、シールドカートリッジの頭頂部にユーザの固有ラベルを貼り付けられていた場合には、シールドカートリッジが装置内に装填されたときに、クランパー駆動機構によってクランパーがラベルに擦り付けられる事態が生じ得たが、この回転ローラ36aによって、このような事態を事前に防ぐことができる。
【0051】
以下、図3及び図4で例示したクランパー機構を駆動させる動作に関し、まずシールドカートリッジ20が装填される場合について、図5ないし図9を参照して説明する。なお、シールドカートリッジ20をイジェクトする場合は、基本的に以下の説明の順番を逆にした動作となる。
【0052】
図5ないし図9は、シールドカートリッジが装填された場合の、図3及び図4のクランパ機構を駆動する動作を説明するための図で、図5は、トレイカム部がクランパー駆動部材に当接する前の状態を示す側面図、図6は、トレイカム部がクランパー駆動部材に当接した状態を示す側面図、図7は、トレイカム部によるクランパー駆動部材への当接によってクランパー駆動部材が回動しているが、阻止レバーがクランパー保持部材に当接することで、クランパー保持部材の回動が停止した状態を示す側面図、図8は、シールドカートリッジがチャッキングされた状態を示す側面図、図9は、図8の拡大図である。
【0053】
ディスクトレイ装置に、シールドカートリッジ20が装填された場合には、まずトレイ10がローディング動作により矢印B方向へ挿入される。そして、トレイカム部14がクランパー駆動部材30(傾斜部30a)に当接する前の段階(当接する直前の状態を図5で図示)では、クランパー機構においてはトラバースシャーシ6がシールドカートリッジ20側に回動するだけである。このとき、阻止レバー36は、回転ローラ36bがシールドカートリッジ20の上面を転がっている状態にあり、阻止レバー36の上部はクランパー保持部材31に接していない。
【0054】
図5の状態からさらにシールドカートリッジ20が挿入され、トレイカム部14がクランパー駆動部材30に当接した直後(図6を参照)であっても、図5の状態と略同じであるが、トレイカム部14によってクランパー駆動部材30が駆動されて、クランパー保持部材31と共に僅かに回動し、クランパー32の位置が僅かにシールドカートリッジ20寄りに下がる。また、この状態では、トラバースシャーシ6も図5の状態に比べて僅かにシールドカートリッジ20側に回動している。また、クランパー保持部材31の回動時には、クランパー姿勢保持アーム33の存在によりクランパー32がシールドカートリッジ20に対して平行に保たれる。
【0055】
図6の状態からさらにシールドカートリッジ20が挿入されると、トレイカム部14がクランパー駆動部材30に当接してクランパー駆動部材30が回動しているが、回転ローラ36bが傾斜部22を所定位置まで乗り上げて阻止レバー36自体が支持軸36cを中心にトレイ10と離れる方向(上方向)に回動することで、阻止レバー36の上部がクランパー保持部材31の下面に当接する(図7を参照)。なお、回転ローラ36bが傾斜部22を乗り上げ切った状態でこの当接がなされるような設計でもよい。いずれの場合でも、このような当接によって、クランパー駆動部材30が回動しているにも拘わらず、クランパー保持部材31の回動が停止する。また、この状態では、トラバースシャーシ6も図6の状態に比べてシールドカートリッジ20側に回動している。なお、傾斜部30aの傾き等のクランパー駆動部材の先端の形状やトレイカム部14の形状、阻止レバー36及びクランパー保持部材31の形状やそれらの位置関係、さらにはシールドカートリッジ20の傾斜部22の傾きなどによって、阻止レバー36がクランパー保持部材31に当接するタイミングは異なるが、これらの設計は、トレイ10の挿入具合によってクランパー駆動部材30が回動してもクランパー保持部材31の回動を阻止部材36(但し、その先端がラベル貼付部23に接しないようにする)により制止できればよい。
【0056】
図7の状態からさらにシールドカートリッジ20が挿入され、ローディング動作が完了してシールドカートリッジ20のチャッキングが完了すると、図7の状態と同様に、クランパー駆動部材30が回動しているにも拘わらず、クランパー保持部材31の回動が停止した状態となる(図8及び図9を参照)。また、この状態では、トラバースシャーシ6も図7の状態に比べてシールドカートリッジ20側に回動することで、ターンテーブル2とシールドカートリッジ20内のチャッキン部プレートとによって光ディスク21がチャッキングされる。
【0057】
以上、クランパープレート40上に回動支点を有する従来技術のごときシーソー型のクランパー機構を採用している場合、シールドカートリッジ以外のメディアの装填時には、クランパー32を上下に駆動して光ディスクをターンテーブル2上にチャッキングすれば問題ない。しかし、このような単純なシーソー型のクランパー機構を採用している場合には、シールドカートリッジが装填されたときに、本発明の構成例でいうところの、トレイ10によって駆動されるクランパー駆動部材30とクランパーを保持するクランパー保持部材31とが一体で形成されてそれがシーソーのように駆動することになるので、シールドカートリッジ20におけるチャッキングプレートが格納された頭頂部(ラベル貼付部23に相当)にクランパー32を押しつけることになり、シールドカートリッジ20のローディングを阻害してしまう。さらに、ラベル貼付部23に記載された文字等やラベルを傷つけることになる。
【0058】
これに対し、本発明では、上述のごとく、トレイによって駆動されるクランパー駆動部材30とクランパー32を保持するクランパー保持部材31とを、クランパー32が上下駆動方向に装填されたディスク(ベアディスクまたはベアバック/シールドカートリッジ)に応じた所定範囲で回動可能なように、連結、分離する。このような構成により、トレイによりクランパー駆動部材30が駆動され、クランパー保持部材31を動かしてクランパー32がシールドカートリッジ20の頭頂部(ラベル貼付部23に相当)に当接した時点で、クランパー保持部材31とクランパー駆動部材30とが分離しているので、クランパー駆動部材30を動かす荷重でシールドカートリッジ20を押さえつけることがなく、シールドカートリッジ20(そのラベル貼付部23)への荷重を軽減することができる。従って、シールドカートリッジ20のローディングを阻害してしまうことも、さらにはラベル貼付部23に記載された文字等やラベルを傷つけることも防止することができる。
【0059】
次に、ベアバックカートリッジを本発明に係るディスクトレイ装置に装填する際の動作(図3及び図4で例示したクランパー機構を駆動させる動作)について、図10ないし図12を参照して補足的に説明する。なお、ベアバックカートリッジをイジェクトする場合は、基本的に以下の説明の順番を逆にした動作となる。また、ベアディスクに対するチャッキング動作についても、チャッキング前にベアバックカートリッジのシャッターを開ける必要が無いだけで、開放タイプのカートリッジと同様であり、クランパー駆動部材30(並びにそれと連動するクランパー保持部材31)とトラバースシャーシ6の動作によって、クランパー32によって光ディスクのチャッキングを行うことができる。
【0060】
図10ないし図12は、ベアバックカートリッジが装填された場合の、図3及び図4のクランパ機構を駆動する動作を説明するための図で、図10は、トレイカム部がクランパー駆動部材に当接する前の状態を示す側面図、図11は、トレイカム部がクランパー駆動部材に当接した状態を示す側面図、図12は、ベアバックカートリッジがチャッキングされた状態を示す側面図である。
【0061】
ディスクトレイ装置に、ベアバックカートリッジ50が装填された場合には、まずトレイ10がローディング動作により矢印B方向へ挿入される。そして、トレイカム部14がクランパー駆動部材30(傾斜部30a)に当接する前の段階(当接する直前の状態を図10で図示)では、クランパー機構においてはトラバースシャーシ6がベアバックカートリッジ50側に回動するだけである。このときに限らずチャッキング完了まで(図示のようにベアバックカートリッジ50の先端(紙面左端)以外である設計も可能)、阻止レバー36はベアバックカートリッジ50に接しないので回動せず、従って阻止レバー36の上部はクランパー保持部材31に接しない。
【0062】
図10の状態からさらにベアバックカートリッジ50が挿入され、トレイカム部14がクランパー駆動部材30に当接した状態(図11を参照)では、トレイカム部14によってクランパー駆動部材30が駆動されて、クランパー保持部材31と共に回動し、クランパー32の位置がベアバックカートリッジ50寄りに下がる。また、この状態では、トラバースシャーシ6も図10の状態に比べて僅かにベアバックカートリッジ50側に回動している。また、クランパー保持部材31の回動時には、クランパー姿勢保持アーム33の存在によりクランパー32がベアバックカートリッジ50に対して平行に保たれる。
【0063】
図11の状態からさらにベアバックカートリッジ50が挿入され、ローディング動作が完了してベアバックカートリッジ50のチャッキングが完了すると、その完了によりクランパー駆動部材30及びクランパー保持部材31の回動が停止した状態となる(図12を参照)。また、この状態では、トラバースシャーシ6も図11の状態に比べてベアバックカートリッジ50側に回動することで、ベアバックカートリッジ50に収容された光ディスク51が、クランパー32及びターンテーブル2によってチャッキングされる。
【0064】
以上、本発明に係るディスクトレイ装置に関して説明したが、上述のごときディスクトレイ装置を使用して、記録再生装置を提供することができ、次にその記録再生装置について説明する。
【0065】
図13は、本発明に係る記録再生装置の構成例を説明するための図である。記録再生装置60は、複数の記録媒体を適宜使い分けることができるように構成されている。例えば、図7の例では、記録再生装置60には、BD記録再生装置61、DVD記録再生装置62、HDD記録再生装置63が備えられ、これら複数の記録媒体が選択的に使用可能となっている。また、記録再生装置60にチューナ部を設けることで、例えば、テレビ放送されたコンテンツ等を記録媒体に記録することができる。また、複数の記録媒体間におけるデータのダビングやムーブなどの処理も実行できる。
【0066】
記録再生装置60には、ディスクタイプの記録媒体をセットするためのディスクトレイ装置が設けられ、例えば、図13の例では、DVD用のディスクトレイ装置と、BD用のディスクトレイ装置が個々に設けられ、ユーザはそれぞれのディスクトレイ装置を利用して、該当する各記録媒体を記録再生装置内に搬送させることができるようになっている。これらディスクトレイ装置に上記の実施形態のごとくのディスクトレイ装置を適用することにより、カートリッジディスクとベアディクの両方のタイプの光ディスクの縦置きに対応することができ、ベアディスクのトレイの設置、搬送、及びチャッキングの動作を支障なく信頼性をもって実行することができる記録再生装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施形態に係るディスクトレイ装置の一部構成例を示す斜視概略図である。
【図2】図1のディスクトレイ装置においてシールドカートリッジをトレイに装着してローディングしたときの状態を示す図である。
【図3】図1において一部構成例として示したディスクトレイ装置におけるクランプ機構の一例を示す上面図である。
【図4】図3のクランプ機構を詳細に説明するための斜視図である。
【図5】シールドカートリッジが装填された場合の、図3及び図4のクランパ機構を駆動する動作を説明するための図である。
【図6】シールドカートリッジが装填された場合の、図3及び図4のクランパ機構を駆動する動作を説明するための図である。
【図7】シールドカートリッジが装填された場合の、図3及び図4のクランパ機構を駆動する動作を説明するための図である。
【図8】シールドカートリッジが装填された場合の、図3及び図4のクランパ機構を駆動する動作を説明するための図である。
【図9】シールドカートリッジが装填された場合の、図3及び図4のクランパ機構を駆動する動作を説明するための図である。
【図10】ベアバックカートリッジが装填された場合の、図3及び図4のクランパ機構を駆動する動作を説明するための図である。
【図11】ベアバックカートリッジが装填された場合の、図3及び図4のクランパ機構を駆動する動作を説明するための図である。
【図12】ベアバックカートリッジが装填された場合の、図3及び図4のクランパ機構を駆動する動作を説明するための図である。
【図13】本発明に係る記録再生装置の構成例を説明するための図である。
【図14】従来技術による、チャッキング位置で光ディスクがターンテーブル上でチャッキングされているときの状態を示す図である。
【図15】図14のチャッキング状態を解除して光ディスクを取り出すとき(もしくは、引き出されたトレイをチャッキング位置にセットするとき)の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1…ベースシャーシ、2…ターンテーブル、3…スピンドルモータ、4…光ピックアップ、5…シャッター開閉機構、6…トラバースシャーシ、7…カートリッジステイ、10…トレイ、11…第1の押さえレバー、12…第2の押さえレバー、13…ディスクホルダー、14…トレイカム部、20…シールドカートリッジ、21,51…光ディスク、22…傾斜部、23…ラベル貼付部、30…クランパー駆動部材、31…クランパー保持部材、32…クランパー、36…阻止部材(阻止レバー)、40…クランパープレート、50…ベアバックカートリッジ、60…記録再生装置、61…BD記録再生装置、62…DVD記録再生装置、63…HDD記録再生装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裸の光ディスク或いはカートリッジに収容された光ディスクを、ターンテーブル上にチャッキングするためのクランパー機構と、前記カートリッジまたは裸の光ディスクを、その排出位置から前記ターンテーブルの位置までの間で搬送するトレイと、前記クランパー機構と協働して前記チャッキングを行うために、前記チャッキング時に前記ターンテーブルを前記トレイ側に移動させ、前記チャッキングを解除する時に前記ターンテーブルを前記トレイから離反する方向に移動させる移動機構とを備えたディスクトレイ装置であって、
前記クランパー機構は、前記チャッキングを行うためのクランパーと、当該ディスクトレイ装置の筐体側に固定された回動支点を中心として回動可能で、且つ前記クランパーを前記トレイにおけるディスク搭載面に対して垂直方向に変位可能に保持する保持部材と、該保持部材を回動させるための駆動部材とを有し、前記トレイによる前記ターンテーブルの位置への光ディスクの搬入に伴って前記駆動部材が駆動されることで、駆動されることを特徴とするディスクトレイ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディスクトレイ装置において、前記トレイは、前記ターンテーブルの位置への光ディスクの搬入に伴って前記駆動部材に当接させる突起部を有し、
前記クランパー機構は、前記突起部と前記駆動部材との当接によって該駆動部材を回動させることで、前記保持部材を回動させて前記クランパーを前記ディスク搭載面に対して近接する機構であり、且つ、前記クランパーと同機能をもつチャッキングプレートを具備した密閉タイプのカートリッジが前記トレイで搬送された場合には、前記カートリッジの上面に前記クランパーが当接するまで、前記駆動部材の回動に伴って前記保持部材が回動するように前記駆動部材及び保持部材が連動して駆動し、前記カートリッジの上面に前記クランパーが当接した時点で、前記駆動部材の回動に伴う前記保持部材の回動を停止するように前記駆動部材及び保持部材が分離して駆動し、他方、前記裸の光ディスク或いは前記密閉タイプのカートリッジ以外のカートリッジが前記トレイで搬送された場合には、前記裸の光ディスク或いは前記カートリッジ内の光ディスクを前記クランパーによって前記ターンテーブル上でチャッキングするまで、前記駆動部材の回動に伴って前記保持部材が回動するように前記駆動部材及び保持部材が連動して駆動する機構であることを特徴とするディスクトレイ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のディスクトレイ装置において、前記クランパー機構は、前記密閉タイプのカートリッジが前記トレイで搬入され、前記駆動部材の回動に連動した前記保持部材の回動により前記クランパーが前記カートリッジの上面で押圧される前に、前記保持部材の動きを阻止するための阻止部材を有し、該阻止部材は、一方で前記保持部材に当接し、他方で前記カートリッジにおけるラベル貼り付け部以外に当接することで、前記保持部材の回動を停止させることを特徴とするディスクトレイ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のディスクトレイ装置において、前記阻止部材は、前記カートリッジと当接する部分にローラを有することを特徴とするディスクトレイ装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1に記載のディスクトレイ装置において、前記クランパー機構は、前記トレイのディスク搭載面に対して前記筐体側に、前記保持部材を回動可能に保持する回動支点を有するクランパープレートを有し、前記保持部材の一部を前記クランパープレートに当接させることで、前記駆動部材の回動に伴う前記保持部材の回動を制限して停止させる機構であることを特徴とするディスクトレイ装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1に記載のディスクトレイ装置において、前記保持部材は、前記回動支点を中心として回動する際、前記クランパーの姿勢が前記光ディスクに対して常時変わらないように前記クランパーの一部を保持する姿勢保持部材を有することを特徴とするディスクトレイ装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1に記載のディスクトレイ装置を備え、該ディスクトレイ装置により搬送される光ディスクに対する情報の記録と、該光ディスクに記録された情報の再生を行うことを特徴とする記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−164404(P2006−164404A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−354794(P2004−354794)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】