説明

ディスク処理装置、制御方法及びプログラム

【課題】 小径ディスク64が偏倚状態のまま格納されることを防止する。
【解決手段】 第1の時点とは、ディスクを格納方向へ駆動開始した時点、第2の時点とは、第1及び第2の検出スイッチ69,70が共にオフになった時点、第3の時点とは、第2の検出スイッチ70がオフからオンへ切替わる時点とする。時点検出手段74,75,76はそれぞれ第1、第2及び第3の時点を検出する。第1の判定手段77は、第1の時点において、第1及び第2の検出スイッチ69,70がそれぞれオン、オフであるか否かの第1の判定を実施する。第2の判定手段78は、第2の時点が検出された時、第2の時点より前に第3の時点が検出されているか否かの第2の判定を実施する。駆動制御手段79は、第1及び第2の判定がそれぞれ正及び否であるならば、ディスク駆動装置62による格納方向へのディスクの駆動を途中停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大小2種のディスクを格納及び排出するディスク処理装置、制御方法及びプログラムに係り、詳しくはディスクの不正常の格納に対処するディスク処理装置、制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、CD(コンパクトディスク)プレーヤのような大小2種のディスクを案内する装置を開示している。該案内装置は、中央レバーと、その両端にそれぞれ回動自在に結合する左右のレバーとを装備し、ディスクは、格納方向へ搬送中、左右のレバーの端部のガイドピンに当接して、奥へ案内されるようになっている。そして、小径ディスクが左右方向へ偏倚して挿入されるときには、左右一方のレバーのガイドピンに先に当接して、該一方のレバーのみを揺動させ、その後、該一方のレバーは、中央レバーの係止により一旦、揺動不能になり、これにより、小径ディスクは、奥への進行を抑制されるとともに、左右方向中央の方へ寄せられて、他方のレバーのガイドピンに当接する。これに伴い、中央レバーが係止を解除され、左右一方のレバーが揺動可能状態に復帰して、小径ディスクは左右両方のレバーのガイドピンのガイドにより正常のチャッキング位置の方へロードされるようになっている(特許文献1の第9図及び第10図)。
【0003】
一方、8cmCD及び12cmCD共用の従来の車載用CD再生装置(以下、「公知装置」という。)において、8cmCDをイジェクトする場合、ディスク挿入口からのディスクの脱落を回避するために、ディスク挿入口近辺に左右方向へ離隔して2個のスイッチを配設し、2個のスイッチのオン、オフに基づき8cmCDのイジェクト作動を停止するようにしている。すなわち、12cmCDのイジェクト中、両スイッチが共にオンになり、その後、一方のスイッチがオフになるや、イジェクト作動が停止し、8cmCDは、イジェクト方向後端部分をディスク挿入口に残して、停止した状態になる。
【特許文献1】特公平8−14916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公知装置において、ユーザが、イジェクト終了位置の8cmCDを抜き取らずに、放置し、その後、前面パネルを閉じる指示操作を行なうことがある。その場合、該公知装置は、前面パネルの閉止に先立ち、抜き取られなかった8cmCDを再ロードすることになる。しかしながら、抜き取られなかった8cmCDが、例えばユーザの手が当たった等の事情により、イジェクト終了時の正常位置から左右方向へ大きく偏倚した位置になり、もしその位置から8cmCDが再ロードされると、8cmCDが正常なチャッキング位置へ搬送できないという不具合が起きることがある。抜き取られなかった8cmCDが、再ロードの開始前に、左右方向へ偏倚する場合として、(a)オフ側のスイッチの方へずれる場合と、(b)オン側のスイッチの方へずれる場合とがある。公知装置に対し、(a)の場合には、オフ側のスイッチがオフからオンへ変化するので、これを検知して、再ロードを事前に取止めることができる。しかし、(b)の場合には、スイッチのスイッチ状態には変化がなく、8cmCDが正常な位置から大きく偏倚していることをスイッチのスイッチ状態が事前に検知できない。
【0005】
特許文献1は、単に、小径ディスクをロードする場合に、該小径ディスクが偏倚位置にあれば、正常位置へ戻す機構を開示するのみで、(b)の場合に対処する解決手段を開示していない。また、特許文献1の装置は、レバー等の複雑な機械機構を装備する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、小径ディスクが偏倚してディスク挿入口に挿入されている場合の該小径ディスクの格納についての不具合に適切に対処するディスク処理装置、制御方法及びプログラムを提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、複雑な機械機構を装備することを省略して、前述の不具合に対処するディスク処理装置、制御方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のディスク処理装置は、大径及び小径の2種のディスクを格納位置とディスク挿入口より部分的に突出させた排出位置との間で駆動するディスク駆動装置と、小径ディスクの径より小さい間隔でディスク挿入口の幅方向へ相互に離間して配設され、それぞれの配設近傍位置においてディスクの通過中及び非通過中ではそれぞれ第1及び第2のスイッチ状態となる第1及び第2の検出スイッチと、を装備している。
【0009】
第1の時点とは、ディスクを格納方向へ駆動開始した時点とする。第2の時点とは、第1の時点以降で、第1及び第2の検出スイッチが共に第2のスイッチ状態となった時点とする。第3の時点とは、第1及び第2の検出スイッチの他方が第2のスイッチ状態から第1のスイッチ状態へ切替わった時点とする。
【0010】
本発明では、第1の時点で、第1及び第2の検出スイッチの一方及び他方がそれぞれ第1及び第2のスイッチ状態にあるか(以下、適宜、「特定スイッチ状態」と言う。)を調べる。特定スイッチ状態とは、例えば、格納位置から排出位置へ搬送した小径ディスクが、ディスク挿入口から抜き取られずに、ディスク挿入口に残っている状態に対応する。
【0011】
小径ディスクが、ディスク挿入口の幅方向へ正常位置(その幅方向位置で格納しても、不都合が生じない、ディスク挿入口幅方向の位置)にある状態において、格納作動が開始されたときには、小径ディスクは、その格納過程において第2の検出スイッチを通過し、該第2の検出スイッチは第2のスイッチ状態から第1のスイッチ状態へ切替わる。これに対し、小径ディスクが、ディスク挿入口において偏倚位置(その幅方向位置で格納すると、正常な格納場所への搬送ができない等の不具合が生じる、ディスク挿入口幅方向の位置)にある状態において、格納作動が開始されときには、第2の検出スイッチは第1のスイッチ状態へ切替わらないまま、小径ディスクは、やがて、第1及び第2の検出スイッチを通過して、それら第1及び第2の検出スイッチは共に第2のスイッチ状態となる。本発明では、第1の時点から第2の時点までの間に、第3の時点が存在するか否かを第2の時点で調べる。第1の時点で特定スイッチ状態が生じており、かつ第1の時点から第2の時点までの間に、第3の時点が存在しないならば、格納方向へのディスクの駆動を途中停止させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、特定スイッチ状態からディスクの格納が開始されるディスク格納作動において、第1の時点から第2の時点までの間に、第3の時点が存在しないならば、格納方向へのディスクの駆動を途中停止させる。これにより、小径ディスクがディスク挿入口の幅方向へ偏倚状態になったまま、格納されることによる問題を解消することができる。
【0013】
本発明は、複雑な機械機構を省略して、ソフトウェアによる実現が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1はCD再生装置10を上方から見た概略平面図である。説明の便宜上、CD再生装置10のディスク挿入口13側及び反ディスク挿入口13側(=奥側)をそれぞれ前側及び後ろ側と呼ぶことにし、また、CD再生装置10をその前側から見て左右をそれぞれCD再生装置10の左右と呼ぶことにする。CD再生装置10は、12cmCD15及び8cmCD16共用の再生装置であり、ハウジング11内へ12cmCD15及び8cmCD16を格納及び排出自在になっている。ディスク挿入口13は、ハウジング11の前端面に穿設され、図示してない前面パネルは、ハウジング11の前面を開閉自在にハウジング11の前端部に結合している。前面パネルは、ディスク挿入口13のロード及びイジェクトの場合には、ユーザ操作に従い、ハウジング11の前面の開放位置に切替えられる。
【0015】
No.1スイッチ21、No.2スイッチ22、No.3スイッチ23、No.4スイッチ24及びNo.5スイッチ25は、ディスク挿入口13の近傍においてハウジング11の内面上壁に左側から右側へその順番に取付けられている。No.1スイッチ21、No.2スイッチ22、No.3スイッチ23及びNo.5スイッチ25は、横一列の配列で同一高さに取付けられており、No.4スイッチ24のみは、それらより少し後方かつ下方の位置に配設される。以下、説明の便宜上、No.1スイッチ21、No.2スイッチ22、No.3スイッチ23及びNo.5スイッチ25を適宜、「前列のスイッチ」という。No.1スイッチ21及びNo.5スイッチ25は、ディスク挿入口13の左右両端付近に位置する。左側スライダ28及び右側スライダ29は、前列スイッチの前面側を左右方向へ移動自在にディスク挿入口13の内面に取付けられるとともに、図示していない付勢部材(例えば、ばね)により左右中心の方へ付勢されている。
【0016】
左側スライダ28及び右側スライダ29は、それらの前後方向取付け位置におけるディスクの通過に伴い、付勢部材の付勢力に抗してディスクの側面により左右方向へ外側へ押出される。左側スライダ28は、左右方向へ移動しながら、その突起41(図2等)を介してNo.1スイッチ21及びNo.2スイッチ22の操作部を押し込み又は押し込み解除することにより、No.1スイッチ21及びNo.2スイッチ22のオン、オフを切替える。右側スライダ29は、左右方向へ移動しながら、その突起42(図2等)を介してNo.3スイッチ23及びNo.5スイッチ25の操作部を押し込み又は押し込み解除することにより、No.3スイッチ23及びNo.5スイッチ25のオン、オフを切替える。No.4スイッチ24は、ディスクが載置されるターンテーブルが上昇して、ディスクが上側のクランプと下側のターンテーブルとの間でチャッキング状態になると、オンになる。
【0017】
左限界ポイント30は、左側スライダ28のの左方最大移動位置を示し、No.1ポイント31は、No.1スイッチ21のオン、オフが切替わる、左側スライダ28の突起41(図2等)の位置を示し、No.2ポイント32は、No.2スイッチ22のオン、オフが切替わる、突起41の位置を示している。右限界ポイント36は、右側スライダ29の右方最大移動位置を示し、No.5ポイント35は、No.5スイッチ25のオン、オフが切替わる、右側スライダ29の突起42(図2等)の位置を示し、No.3ポイント33は、No.3スイッチ23のオン、オフが切替わる、突起42の位置を示している。突起41,42がポイント31,32,33,35より内側及び外側にあるとき、No.1スイッチ21、No.2スイッチ22、No.3スイッチ23及びNo.5スイッチ25はそれぞれオン及びオフにある。
【0018】
ゴムローラ38は、前後方向へNo.4スイッチ24より少し後方位置にあり、12cmCD15及び8cmCD16の搬送中は、それらディスクの下面に押し当てられて、正逆転することにより、ディスクをロード方向及びイジェクト方向へ駆動する。ゴムローラ38は、左右両端部において所定のアーム(図示せず)に支持され、該左右の支持アームは、ディスクが、チャッキング位置に対応する前後方向位置になると、ゴムローラ38を下降させ、ターンテーブルへのディスクの落下に対するゴムローラ38の干渉を回避させる。光ピックアップ18は、案内棒19によりディスクのほぼ径方向へ案内自在に、ディスクより下方に配設され、チャッキング中のディスクに対してその下面にデータ読取り用の光スポットを照射する。
【0019】
図2はユーザがディスクをディスク挿入口13に先端部を部分的に挿入したのに伴いCD再生装置10が該ディスクをロードするときのディスクと前列の各スイッチのオン、オフとの関係についての説明図である。図2並びに後述の図3及び図4において、ハッチング有りのスイッチはオンであり、ハッチング無しのスイッチはオフであることを示している。図2において、Lはディスクのロード方向を示している。
【0020】
図2の(a)及び(b)はそれぞれ12cmCD15及び8cmCD16について説明している。12cmCD15のロードでは、前列の全部のスイッチがオンになる。8cmCD16のロードでは、中央側のNo.2スイッチ22及びNo.3スイッチ23のみがオンとなり、両側のNo.1スイッチ21及びNo.5スイッチ25はオフに維持される。ディスクを、再ロードするのではなく。初めてロードする場合には、ディスク挿入口13への12cmCD15及び8cmCD16の挿入前の状態では、前列スイッチの全部がオフになっている。ロード過程において、ディスクが前列スイッチの位置を完全に通過すると、前列スイッチの全部が再びオフになる。
【0021】
図3はイジェクト終了時のディスクと前列の各スイッチのオン、オフとの関係についての説明図である。(a)及び(b)はそれぞれ12cmCD15及び8cmCD16について説明している。図3において、Eはディスクのイジェクト方向を示している。
【0022】
12cmCD15のイジェクト過程では、前列の全部のスイッチがオンになった状態から、両側のNo.1スイッチ21及びNo.5スイッチ25がオフへ切替わると、イジェクト方向へのゴムローラ38による12cmCD15の駆動を中止する。これにより、12cmCD15は、ディスク挿入口13から外へ落下することなく、ハウジング11内に部分的に残った状態で、イジェクト作動が終了する。
【0023】
8cmCD16のイジェクト過程では、No.2スイッチ22及びNo.3スイッチ23のみがオンになった状態から、No.2スイッチ22及びNo.3スイッチ23の一方のみがオフへ切替わると、イジェクト方向へのゴムローラ38による8cmCD16の搬送を中止する。該CD再生装置10では、No.2スイッチ22及びNo.3スイッチ23は、それらを左右両端とする中心が、ディスク挿入口13の左右中心に一致せず、ディスク挿入口13の左右中心より左へ少し偏倚した位置となるように、取付け位置を設定されている。したがって、8cmCD16が左右方向ほぼ中央位置でディスク挿入口13からイジェクトされて来ると、CD再生装置10の左右中心から離れた方のNo.2スイッチ22が先にオンからオフに切替わって、8cmCD16のイジェクトが終了する。
【0024】
図4は8cmCD16が図3(b)の正規イジェクト位置から何かの事情により右へ動かされた場合に、8cmCD16の再ロード過程におけるNo.2スイッチ22及びNo.3スイッチ23のオン、オフの変化を示している。8cmCD16の再ロードは、ディスク挿入口13へイジェクトされた来た8cmCD16に対して、ユーザが該8cmCD16をディスク挿入口13から抜かずに、ユーザが8cmCD16の再ロードの指示操作を行なったときや、ユーザがCD再生装置10の前面パネルを閉じる指示操作を行なったときに生じる。さらに、その再ロードが生じる前に、ユーザの手違いやいたずら等により、8cmCD16が、図3(b)の状態から図4(a)のSのように、No.3スイッチ23の方へ、すなわちこのまま再ロードが行なわれては、8cmCD16の偏倚のために、8cmCD16が不都合な場所へ搬送されてしまう偏倚位置へ動かされてしまうことがある。この場合、8cmCD16が、No.2スイッチ22の方へ寄った偏倚位置へ動かされた場合には、No.2スイッチ22及びNo.3スイッチ23がそれぞれオフ及びオンの状態からそれぞれオン及びオフの状態へ切替わるので、CD再生装置10は、8cmCD16が偏倚位置になったことを検出して、再ロードを事前に中止できる。しかし、図4(a)のSのような変位の場合には、No.2スイッチ22及びNo.3スイッチ23のオン、オフ状態は、図3(b)のときと同一であるので、8cmCD16が図4(a)になったことをCD再生装置10は前列スイッチのスイッチ状態から検出できない。したがって、CD再生装置10は、8cmCD16の再ロードを開始し、8cmCD16は、(a)から(b)を経て(c)の状態になる。(c)では、No.3スイッチ23はオンからオフへ切替わっている。
【0025】
図5はCD再生装置10におけるロード制御方法49のフローチャートである。説明の便宜上、No.1スイッチ21、No.2スイッチ22、No.3スイッチ23及びNo.5スイッチ25をそれぞれSW1、SW2、SW3及びSW5と呼ぶことにする。該ロード制御方法49は、ゴムローラ38の駆動用モータのイジェクト方向回転開始に伴い、実行開始される。該ロード制御方法49は、また、8cmCD16の再ロードに特化したものとなっている。
【0026】
S50では、SW3がオンであるか否かを判定し、判定結果が正であれは(図3(b)又は図4(a)の状況に対応する。)、S51へ進み、否であれば、S57の公知の通常ロードを実行する。S51では、SW1、2、3、5の全部がオフになったか否かを判定し、判定が正になるまで、該判定を継続する。S51の判定が正であれば、S52へ進む。
【0027】
S52では、S51の判定が正となった時より前に、SW2のオン期間があったか否かを判定し、該判定結果が正であれは、S54へ進み、否であれば(図4(a)→(b)→(c)の過程に対応する。)、S53へ進む。S53では、ディスクのロードを途中停止する。S54では、ロードを途中停止することなく、継続する。
【0028】
図6はディスク処理装置60の機能ブック図である。前述のCD再生装置10はディスク処理装置60の一例である。ディスク処理装置60は、スイッチ状態監視手段73、第1の時点検出手段74、第2の時点検出手段75、第3の時点検出手段76、第1の判定手段77、第2の判定手段78及び駆動制御手段79を有している。ディスク駆動装置62は、大径及び小径の2種のディスク63,64を格納位置とディスク挿入口66より部分的に突出させた排出位置との間で駆動する。第1及び第2の検出スイッチ69,70は、小径ディスク64の径より小さい間隔でディスク挿入口66の幅方向へ相互に離間して配設され、それぞれの配設近傍位置においてディスクの通過中及び非通過中ではそれぞれ第1及び第2のスイッチ状態となる。
【0029】
スイッチ状態監視手段73は、第1及び第2の検出スイッチ69,70のスイッチ状態を監視する。ディスクを格納方向へ駆動開始した時点を第1の時点と呼ぶことにする。第1の時点検出手段74は、第1の時点を検出する。第1の時点以降で、第1及び第2の検出スイッチ69,70が共に第2のスイッチ状態になった時点を第2の時点と呼ぶことにする。第2の時点検出手段75は、スイッチ状態監視手段73の監視に基づき第2の時点を検出する。第1の時点以降で、第1及び第2の検出スイッチ69,70の他方が第2のスイッチ状態から第1のスイッチ状態へ切替わる時点かあれば、その時点を第3の時点と呼ぶことにする。第3の時点検出手段76は、スイッチ状態監視手段73の監視に基づき第3の時点を検出する。第1の判定手段77は、第1の時点において、第1及び第2の検出スイッチ69,70の一方及び他方がそれぞれ第1及び第2のスイッチ状態にある状態か否かの第1の判定を実施する。第2の判定手段78は、第2の時点が検出された時、第2の時点より前に第3の時点が検出されているか否かの第2の判定を実施する。駆動制御手段79は、第1及び第2の判定がそれぞれ正及び否であるならば、ディスク駆動装置62による格納方向へのディスクの駆動を途中停止させる。
【0030】
大径ディスク63及び小径ディスク64は、例えば、前述の12cmCD15及び8cmCD16である。ディスクは、CDに限定せず、DVDや他の媒体であってもよいとする。ディスク駆動装置62は例えば前述のゴムローラ38である。第1及び第2のスイッチ状態とは例えばオン、オフにそれぞれ対応する。第1及び第2の検出スイッチ69,70の一方及び他方は、例えば前述のNo.3スイッチ23及びNo.2スイッチ22である。第1及び第2の時点は例えば図4(a)及び(c)に対応する。第3の時点は例えば図2(b)に対応する。格納及び排出とはロード及びイジェクトと同一の意味である。ディスクの格納方向への第1及び第2の検出スイッチ69,70の位置は、例えば、ディスク挿入口66より下流であり、かつ小径ディスク64がディスク挿入口66よりディスクがディスク処理装置60の中へ完全に入る前に、第1及び第2の検出スイッチ69,70が共に第2のスイッチ状態になる位置に設定される。。
【0031】
格納過程において、小径ディスク64がその駆動方向に対して直角方向へ正常な位置にあれば、第1及び第2の検出スイッチ69,70の他方が第2のスイッチ状態から第1のスイッチ状態へ切替わる時点、すなわち第3の時点を経て第2の時点が出現する。しかし、格納過程において、小径ディスク64が正常位置から外れて偏倚位置にあれば、第3の時点を経ることかなく、第2の時点が出現する。
【0032】
こうして、第3の時点が存在しなければ、小径ディスク64は、ディスク挿入口66の幅方向位置は、不都合のないものと判断され、格納を継続する。これに対し、第3の時点が存在しなければ、図4(a)のように、小径ディスク64が第1の検出スイッチ69側へ偏倚した状態であって、このまま格納作動を継続すれば、問題が生じると判断され、格納方向へ小径ディスク64の搬送が中止される。これにより、小径ディスク64の格納に対し、問題となる偏倚格納を防止することができる。
【0033】
ディスク処理装置60についてさらに具体的に説明する。
【0034】
駆動制御手段79は、小径ディスク64が正常な格納位置から正常な排出位置へ駆動される過程では、第1及び第2の検出スイッチ69,70が共に第1のスイッチ状態である状態を経て、第1及び第2の検出スイッチ69,70の一方及び他方がそれぞれ第1及び第2のスイッチ状態にある状態(以下、適宜、「特定スイッチ状態」と言う。)となると、小径ディスク64の排出駆動を停止させる。排出駆動停止状態(図3(b)は個の一例である。)では、小径ディスク64は、それがもし再格納開始されても、ディスク挿入口66の幅方向へ適正位置にあって、再格納において不都合は生じない。しかしながら、小径ディスク64が、特定スイッチ状態状態が維持されたまま、ユーザの手違いやいたずら等により第1の検出スイッチ69側へ偏倚して、この偏倚位置で小径ディスク64が格納方向へ搬送されると、不都合な格納が起こり得る。
【0035】
ディスク駆動装置62は、小径ディスク64を排出方向へ駆動する場合、小径ディスク64をディスク挿入口66の幅方向へ正常な排出位置の方へ戻す駆動構造を有しており、駆動制御手段79は、ディスク駆動装置62による格納方向への小径ディスク64の途中停止制御後、ディスク駆動装置62に対し、小径ディスク64を排出方向へ駆動するように、制御を行なう。例えば、ディスク駆動装置62が、図6に示されるように、ディスク挿入口66の両端側に太く、ディスク挿入口66の中心側に細いテーパ形状を有している場合には、小径ディスク64は、ディスク挿入口66の幅方向中心から幅方向端側へ偏倚していても、徐々にディスク挿入口66の幅方向中心へ寄せるような力をディスク駆動装置62から受けて、排出終了時には、ディスク挿入口66の幅方向中央の位置へ移動される。
【0036】
なお、ディスク駆動装置62による小径ディスク64の幅方向中央への移動機能が弱い場合には、1回の排出作動では、小径ディスク64の排出終了位置が、正常な位置まで完全に戻らないときがある。このような場合には、小径ディスク64の再排出と再格納とを複数回、繰り返し、これにより、小径ディスク64を最終的に正常な排出終了位置へ戻すようにする。小径ディスク64が正常な排出終了位置になったか否かは、小径ディスク64の排出過程において、第1及び第2の検出スイッチ69,70が共に第1のスイッチ状態ある状態を経て、特定スイッチ状態が生じたか否かにより判別できる。
【0037】
図7はディスク駆動装置用制御方法85のフローチャートである。第1〜第3の時点の定義は、ディスク処理装置60のときと同一である。S86の判定結果が正であることは、第1の時点を検出したことを意味する。S90の判定結果が正であることは、第2の時点を検出したことを意味する。S88の判定が正となって、S89において、第3の時点が所定のメモリに記憶されたことは、第2の時点より前に第3の時点が検出されたことを意味する。S87の判定が正であることは、第1の時点において、特定スイッチ状態であることを意味する。S91では、メモリの内容に基づき、第2の時点が検出された時、第2の時点より前に第3の時点が検出されているか否かを判定している。こうして、第1及び第2の判定がそれぞれ正及び否であるならば、S93が実行されて、ディスク駆動装置62による格納方向へのディスクの駆動を継続し、それ以外の判定であれば、S92が実行されて、ディスク駆動装置62による格納方向へのディスクの駆動を途中停止させる。
【0038】
本発明が適用されるプログラムはディスク処理装置60の各手段としてコンピュータを機能させる。あるいは、本発明が適用されるプログラムはディスク駆動装置用制御方法85の各ステップをコンピュータに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】CD再生装置を上方から見た概略平面図である。
【図2】ユーザがディスクをディスク挿入口に先端部を部分的に挿入したのに伴いCD再生装置が該ディスクをロードするときのディスクと前列の各スイッチのオン、オフとの関係についての説明図である。
【図3】イジェクト終了時のディスクと前列の各スイッチのオン、オフとの関係についての説明図である。
【図4】8cmCDが正規イジェクト位置から何かの事情により右へ動かされた場合に、8cmCDの再ロード過程におけるNo.2スイッチ及びNo.3スイッチのオン、オフの変化を示す図である。
【図5】CD再生装置におけるロード制御方法のフローチャートである。
【図6】ディスク処理装置の機能ブック図である。
【図7】ディスク駆動装置用制御方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
60:ディスク処理装置、62:ディスク駆動装置、63:大径ディスク、64:小径ディスク、66:ディスク挿入口、69:第1の検出スイッチ、70:第2の検出スイッチ、73:スイッチ状態監視手段、74:第1の時点検出手段、75:第2の時点検出手段、76:第3の時点検出手段、77:第1の判定手段、78:第2の判定手段、79:駆動制御手段、85:ディスク駆動装置用制御方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大径及び小径の2種のディスクを格納位置とディスク挿入口より部分的に突出させた排出位置との間で駆動するディスク駆動装置と、
小径ディスクの径より小さい間隔で前記ディスク挿入口の幅方向へ相互に離間して配設され、それぞれの配設近傍位置においてディスクの通過中及び非通過中ではそれぞれ第1及び第2のスイッチ状態となる第1及び第2の検出スイッチと、
を装備するディスク処理装置において、
前記第1及び第2の検出スイッチのスイッチ状態を監視する状態監視手段、
ディスクを格納方向へ駆動開始した時点を第1の時点と呼ぶことにし、前記第1の時点を検出する第1の時点検出手段、
前記第1の時点以降で、前記第1及び第2の検出スイッチが共に第2のスイッチ状態になった時点を第2の時点と呼ぶことにし、前記状態監視手段の監視に基づき前記第2の時点を検出する第2の時点検出手段、
前記第1の時点以降で、前記第1及び第2の検出スイッチの他方が第2のスイッチ状態から第1のスイッチ状態へ切替わる時点かあれば、その時点を第3の時点と呼ぶことにし、前記状態監視手段の監視に基づき前記第3の時点を検出する第3の時点検出手段、
前記第1の時点において、第1及び第2の検出スイッチの一方及び他方がそれぞれ第1及び第2のスイッチ状態にある状態か否かの第1の判定を実施する第1の判定手段、
前記第2の時点が検出された時、前記第2の時点より前に前記第3の時点が検出されているか否かの第2の判定を実施する第2の判定手段、及び
前記第1及び第2の判定がそれぞれ正及び否であるならば、前記ディスク駆動装置による格納方向へのディスクの駆動を途中停止させる駆動制御手段、
を有していることを特徴とするディスク処理装置。
【請求項2】
前記駆動制御手段は、前記ディスク駆動装置により小径ディスクを正常な格納位置から正常な排出位置へ駆動する過程において、第1及び第2の検出スイッチが共に第1のスイッチ状態である状態を経て、第1及び第2の検出スイッチの一方及び他方がそれぞれ第1及び第2のスイッチ状態にある状態となると、前記ディスク駆動装置による前記小径ディスクの排出駆動を停止させることを特徴とする請求項1記載のディスク処理装置。
【請求項3】
前記ディスク駆動装置は、小径ディスクを排出方向へ駆動する場合、前記小径ディスクを前記ディスク挿入口の幅方向へ正常な排出位置の方へ戻す駆動構造を有しており、
前記駆動制御手段は、前記ディスク駆動装置による格納方向への前記小径ディスクの途中停止制御後、前記ディスク駆動装置に対し、前記小径ディスクを排出方向へ駆動するように、制御を行なうことを特徴とする請求項2記載のディスク処理装置。
【請求項4】
大径及び小径の2種のディスクを格納位置とディスク挿入口より部分的に突出させた排出位置との間で駆動するディスク駆動装置と、
小径ディスクの径より小さい間隔で前記ディスク挿入口の幅方向へ相互に離間して配設され、それぞれの配設近傍位置においてディスクの通過中及び非通過中ではそれぞれ第1及び第2のスイッチ状態となる第1及び第2の検出スイッチと、
を装備しているディスク処理装置の制御方法において、
ディスクを格納方向へ駆動開始した時点を第1の時点と呼ぶことにし、前記第1の時点を検出する第1の時点検出ステップ、
前記第1の時点以降で、前記第1及び第2の検出スイッチが共に第2のスイッチ状態になった時点を第2の時点と呼ぶことにし、第2の時点を検出する第2の時点検出ステップ、
前記第1の時点以降で、前記第1及び第2の検出スイッチの他方が第2のスイッチ状態から第1のスイッチ状態へ切替わる時点かあれば、その時点を第3の時点と呼ぶことにし、前記第3の時点を検出する第3の時点検出ステップ、
前記第1の時点において、第1及び第2の検出スイッチの一方及び他方がそれぞれ第1及び第2のスイッチ状態にある状態か否かの第1の判定を実施する第1の判定ステップ、
前記第2の時点が検出された時、前記第2の時点より前に前記第3の時点が検出されているか否かの第2の判定を実施する第2の判定ステップ、及び
前記第1及び第2の判定がそれぞれ正及び否であるならば、前記ディスク駆動装置による格納方向へのディスクの駆動を途中停止させる駆動制御ステップ、
を有していることを特徴とするディスク処理装置の制御方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載のディスク処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−179045(P2006−179045A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−368577(P2004−368577)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】