説明

ディスク搬送機構およびこのディスク搬送機構を用いたディスク再生装置

【課題】小径ディスクの挿入を確実に防止可能であり、小径ディスクを判別するためだけの機構を省略可能なディスク機構およびディスク再生装置を提供すること。
【解決手段】大径ディスクのみの搬入を許容するディスク搬送機構11であって、ディスクの外周縁部に当接する第1当接部35を備える第1スライダと、ディスクの外周縁部に当接する第2当接部45を備える第2スライダ40と、第1スライダまたは第2スライダ40のいずれかに設けられる規制突起と、ディスクガイドを備え、ボス部材532を備えるガイドアーム50と、を具備し、当接部35,45との間の間隔は、小径ディスクの搬入の先端がディスクガイドに当接しても、当接部35,45の両方には同時に当接しない程度に設定され、規制突起は小径ディスクの搬入に際してボス部材532の回動を妨げる部位に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク搬送機構およびこのディスク搬送機構を用いたディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク再生装置の中には、12cmの大径のディスク(以下、大径ディスクとする。)のみに対応し、8cmの小径のディスク(以下、小径ディスクとする。)には未対応のタイプが存在する。そのようなタイプのディスク再生装置では、小径ディスクが内部に挿入されることによる不具合(例えば、小径ディスクを良好に搬送できずに取り出せなくなる、無理やり取り出そうとする際に、内部機器や小径ディスクの損傷を招く等)を防ぐことが望まれている。
【0003】
ここで、特許文献1および特許文献2には、上述の問題解決を解決するために、小径ディスクが挿入できない方式が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−149688号公報
【特許文献2】特開2005−18846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の特許文献1および特許文献2によれば、小径ディスクであることを判別するために、専用の機構が必要となっている。そのため、ディスク再生装置の内部機構が複雑になると共に、専用の機構を設ける分だけコストがかかる、という問題がある。このようにコストがかさむと、大径ディスクのみに対応している専用機でありながら、大径ディスク/小径ディスクの両方に対応しているディスク再生装置と同等のコストがかかる、という問題がある。
【0006】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、小径ディスクの挿入を確実に防止できると共に、小径ディスクを判別するためだけの機構を省略することが可能なディスク搬送機構およびこのディスク搬送機構を用いたディスク再生装置を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、大径ディスクと小径ディスクの2種類のディスクの中から、大径ディスクのみの搬入を許容するディスク搬送機構であって、ディスクの搬入と交差する幅方向にスライド可能に設けられると共に、ディスクの外周縁部に当接する第1当接部を備える第1スライダと、幅方向にスライド可能に設けられると共に、ディスクの外周縁部に当接する第2当接部を備える第2スライダと、第1スライダまたは第2スライダのいずれかに設けられている規制突起と、ディスクの搬入の先端側が係止されて当該ディスクの搬入をガイドするディスクガイドを備えると共に、支持軸を支点として回動し、かつボス部材が設けられているガイドアームと、を具備し、第1当接部と第2当接部との間の間隔は、小径ディスクの搬入の先端がディスクガイドに当接しても、当該小径ディスクの外周縁部は第1当接部と第2当接部の両方には同時に当接しない程度に設定されていると共に、ディスクガイドへの小径ディスクの衝突に伴ってガイドアームが回動させられる場合に、規制突起はボス部材の支持軸を支点とする回動を妨げる部位に設けられているものである。
【0008】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、第1スライダには、第1ラックギヤ部が設けられていると共に、第2スライダにも第2ラックギヤ部が設けられていて、第1ラックギヤ部および第2ラックギヤ部は、共にピニオンギヤに噛み合いしていると共に、その噛み合いは当該ピニオンギヤの回転中心を挟んで反対側の部位で為されており、第1スライダまたは第2スライダのうち少なくとも一方には、付勢手段によって第1スライダと第2スライダとを互いに近接させる向きの付勢力が与えられているものである。
【0009】
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、第1当接部は、第1スライダに回動自在に取り付けられている駆動ローラであると共に、第2当接部は、第2スライダに回転しない状態で取り付けられている従動ローラとしたものである。
【0010】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、第1スライダには、第1レバーが回動軸を支点として回動自在に取り付けられていると共に、この回動軸には駆動ローラが回動自在に軸支されていて、第1レバーのうち駆動ローラが軸支されている部位よりも大径ディスクの搬入方向における手前側の部位には、駆動ローラよりも先に大径ディスクの外周縁部に当接する第1当接ピンが設けられていて、第2スライダには、第2レバーが回動軸を支点として回動自在に取り付けられていると共に、この回動軸には従動ローラが非回転となる状態で取り付けられていて、第2レバーのうち従動ローラが軸支されている部位よりも大径ディスクの搬入方向における手前側の部位には、従動ローラよりも先に大径ディスクの外周縁部に当接する第2当接ピンが設けられているものである。
【0011】
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、駆動ローラと従動ローラのそれぞれは、弾性手段によって第1当接ピンと第2当接ピンの間の間隔を狭める向きの付勢力が与えられるものである。
【0012】
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、ガイドアームは、先端にディスクガイドが設けられていると共に大径ディスクの外周側に退避可能な円弧状に設けられている円弧アーム部と、円弧アームに対して支持軸の円周方向において異なる向きに突出していると共に、突出の先端側にボス部材が設けられているサブアーム部と、を具備するものである。
【0013】
また、他の発明は、上述の各発明に係るディスク搬送機構を具備すると共に、一端側を支点として回動可能なアーム体と、このアーム体のうち他端側に回転自在に支持されると共に、大径ディスクを載置するターンテーブルと、アーム体のうちターンテーブルの近傍の他端側の縁部から突出する摺動ピンと、を備えるディスク再生部と、摺動ピンが摺動することにより、ディスク再生部を回動させてターンテーブルの高さ位置を変動させるためのカム部と、ボス部材に衝突する壁部とを備え、ボス部材と壁部との衝突によって円弧状に回動させられるカム部材と、カム部材に駆動力を与える駆動手段と、を具備するものである。
【0014】
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、カム部材の外周縁部には、弧状ギヤ部が設けられていて、この弧状ギヤ部は駆動手段が具備するギヤと接離可能に設けられていて、ボス部材が壁部に衝突した後のカム部材の回動により、弧状ギヤ部はギヤと噛み合って、カム部材を回動させる駆動力が付与されるものである。
【0015】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、サブアーム部には当接壁が設けられていると共に、カム部材には当接壁と係合するガイド壁が設けられていて、カム部材が大径ディスクの搬入に伴って回動させられると、当接壁とガイド壁とは係合させられると共に、この係合により、ディスクガイドが大径ディスクの外周縁部から離れる向きにガイドアームが回動させられるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、小径ディスクの挿入を確実に防止できると共に、小径ディスクを判別するためだけの機構を省略することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態に係るディスク搬送機構11、およびこのディスク搬送機構11を用いたディスク再生装置10について、図1から図10に基づいて説明する。図1、図7および図8は、本発明のディスク再生装置10の内部構成をそれぞれ示す平面図である。このディスク再生装置10は、CD(Compact Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)等といったディスク12(図6他参照)のうち、直径が12cmの大径ディスク12を再生するものである。しかしながら、ディスク12は、CD、DVDには限られず、CD−R、DVD−R、DVD−RW等の他の円盤形状を有する記録媒体でも良い。
【0018】
また、以下の説明においては、ディスク12のうち、直径が12cmの大径のディスクを大径ディスク12aとし、直径8cmの小径のディスクを小径ディスク12bとして説明する。しかしながら、両者を区別する必要がない場合には、単にディスク12として説明する。
【0019】
また、以下の説明では、上側(上方側)とは、大径ディスク12aが水平状態となる向きにディスク再生装置10を配置したときに、後述するターンテーブル91に対して大径ディスク12aが載置される側を指す。また、下側(下方側)とは、同じく、大径ディスク12aに対してターンテーブル91が位置する側を指す。さらに、奥側とは、大径ディスク12aがディスク再生装置10の内部に搬入される際の該大径ディスク12aの進行方向側を指し、手前側とは、大径ディスク12aが搬出される側を指す。
【0020】
ディスク再生装置10は、図1他に示すように、上シャーシ20を具備している。上シャーシ20は、下シャーシ25に例えばネジ等を介して取付固定されている。また、上シャーシ20は、本実施の形態では、後述するカム部材60よりも上方側に位置するように設けられている。この上シャーシ20には、ガイド溝21が設けられている。ガイド溝21には、後述するカム部材60の突起体65が挿入される。そのため、ガイド溝21は、図1に示すように、ターンテーブル91よりも手前側の部位に、当該ターンテーブル91の回転中心を中心とする円弧状に設けられている。なお、ガイド溝21は、所定の角度範囲(図1においては略60度程度)だけ設けられている。大径ディスク12aの非挿入状態においては、突起体65はガイド溝21の左側端部に位置するように設けられている。
【0021】
また、上シャーシ20の下面側には、案内突起22a,22bが設けられている。案内突起22a,22bは、後述するカム部材60の案内溝64a,64bに挿入される部分であり、大径ディスク12aの非挿入状態において、案内溝64a,64bの奥側に位置するように設けられている。また、案内突起22a,22bが案内溝64a,64bに挿入されると共に、突起体65がガイド溝21に挿入されている状態においては、カム部材60の弧状ギヤ部63は、ターンテーブル91の中心から所定の径の円弧上に存在する状態となる。
【0022】
また、下シャーシ25は、上シャーシ20よりも下方側に設けられている。この下シャーシ25には、複数のガイド溝26a〜26eが設けられている。これらガイド溝26a〜26eは、ディスク再生装置10の幅方向に沿って設けられていて、第1スライダ30および第2スライダ40のスライドを良好に案内可能に設けられている。なお、これらのガイド溝26a〜26eは、ガイドピン313,322,412,422が設けられる部位に対応して、設けられている。
【0023】
下シャーシ25には、ディスク挿入口27が設けられていて、大径ディスク12aは、このディスク挿入口27からディスク再生装置10の内部に挿入可能となっている。なお、下シャーシ25に対して、上シャーシ20がダンパ/バネ等を介して支持される構成を採用しても良い。この場合には、不図示の切替機構により、上シャーシ20の下シャーシ25に対する、フローティング状態/固定状態の切り替えが可能となる。
【0024】
上シャーシ20のうち、手前側(ディスク挿入口27側の近傍)には、第1スライダ30と、第2スライダ40とが設けられている。これらのうち、第1スライダ30は、図1において第2スライダ40よりも奥側に位置すると共に、第2スライダ40よりも右側に位置している。また、第1スライダ30は、第2スライダ40よりも、右側に向かってスライドする部材である。この第1スライダ30には、図2に示すように、長片部31と、ローラ搭載部32とを具備している。また、長片部31とローラ搭載部32との間には、上下方向に延伸する段差部33が設けられている。
【0025】
これらのうち、長片部31は、ディスク再生装置10の幅方向(大径ディスク12aの進行方向および高さ方向と直交する方向)に向かい延伸するように設けられている。長片部31は、段差部33の分だけ、ローラ搭載部32よりも高い位置に設けられている。この長片部31のうち、手前側の側縁には、所定寸法分だけ、ラックギヤ部311が設けられている。ラックギヤ部311は、後述するピニオンギヤ80と噛み合って、当該第1スライダ30に幅方向に向かう駆動力を与える。また、図1、図2に示すように、長片部31のうち、その下面側であってラックギヤ部311の右側縁部よりも右側寄りの部位には、ボス部312が設けられている。ボス部312は、下方側に向かって所定の長さ寸法だけ突出している。このボス部312は、後述するカム部材60の係合壁68と当接する部分であり、この当接により大径ディスク12aの再生時に、当該第1スライダ30が右側に押し広げられた状態を維持可能となっている。
【0026】
また、長片部31の下面のうち、図1、図2において左側の端部には、ガイドピン313が設けられている。このガイドピン313は、下面から下方に向かって突出形成されていて、ガイド溝26aに入り込む状態に設けられている。かかるガイドピン313がガイド溝26aに入り込むと共に、後述するガイドピン322がガイド溝26bに入り込むことにより、第1スライダ30のスライドが案内される状態となっている。
【0027】
また、ローラ搭載部32は、長片部31と略直交する向き(図1では、大径ディスク12aの搬送方向)に向かって延伸している。また、図1では、ローラ搭載部32は、手前側に突出して設けられているが、手前側に向かう長さ寸法は、長片部31よりも短く設けられている。また、ローラ搭載部32には、引っ張りバネ34の一端側を取り付けるためのバネ係止部321が設けられている。引っ張りバネ34は、付勢手段に対応すると共に、その他端側が下シャーシ25に取り付けられていて、第1スライダ30に対して、図1において左側に向かう付勢力を常時与えている。
【0028】
このローラ搭載部32にも、ガイドピン322が設けられている。ガイドピン322は、図2に示すように、ローラ搭載部32の下面側のうち、手前側かつ右側の部位から下方に向かって突出形成されている。そして、このガイドピン322も、ガイド溝26bに入り込む状態に設けられている。これらガイドピン322のガイド溝26bへの入り込みにより、第1スライダ30のスライドが良好に案内可能となっている。
【0029】
このローラ搭載部32には、第1レバー35が取り付けられている。第1レバー35は、ローラ搭載部32に対して、回動軸35aを支点として回動自在に設けられている。この第1レバー35は、回動軸35aから手前側および奥側に向かって徐々に幅寸法が狭くなる状態で延伸するプレート部351を有している。そして、このプレート部351のうち、手前側の部位には、第1当接ピンに対応する当接ピン352が設けられている。当接ピン352は、大径ディスク12aが当接する部分であり、上方に向かって突出して設けられている。
【0030】
また、プレート部351のうち、奥側の部位には、摺動ボス353が設けられている。摺動ボス353は、プレート部351から下方に向かって突出するように設けられている。ここで、ローラ搭載部32のうち、摺動ボス353が設けられている部位に対応する位置には、回り止め溝323が設けられている。回り止め溝323は、摺動ボス353が入り込む部分である。かかる入り込みにより、第1レバー35の回動範囲が規制されている。また、摺動ボス353には、捻りコイルバネ36(弾性手段に対応)の一端側が係止されている。ここで、ローラ搭載部32のうち、手前側かつディスク再生装置10の中央寄りの部位には、バネ係止部324が設けられていて、捻りコイルバネ36の他端側が係止されている。かかる捻りコイルバネ36により、第1レバー35には、図1において時計回りの付勢力が与えられ、大径ディスク12aの非接触状態では当接ピン352が中央側に位置している。
【0031】
なお、上述の捻りコイルバネ36の付勢力は、大径ディスク12aの挿入を妨げない程度に設定されている。
【0032】
また、回動軸35aには、第1当接部に対応する駆動ローラ37が軸支されている。この駆動ローラ37は、第1レバー35とは別体的に回転自在に設けられている。なお、駆動ローラ37の下方には、当該駆動ローラ37と同軸となるように、ギヤ38aが設けられていて、このギヤ38aは、従動ギヤ38bと噛み合っている。従動ギヤ38bには、モータ101(図6参照)からの駆動力が、ギヤ等から構成される駆動力伝達手段により伝達される。そのため、モータ101の駆動力により、駆動ローラ37が回転駆動させられるように設けられている。
【0033】
また、ローラ搭載部32のうち、奥側かつ右側の部位には、規制突起325が設けられている。この規制突起325は、後述するボス部材532と当接することで、後述するガイドアーム50の回動を阻害する。
【0034】
また、第2スライダ40は、図1において第1スライダ30よりも手前側に位置すると共に、第1スライダ30よりも左側に位置している。また、第2スライダ40は、第1スライダ30よりも、左側に向かってスライドする部材である。図3等に示すように、この第2スライダ40にも、長片部41と、ローラ搭載部42とが設けられていて、長片部41とローラ搭載部42との間には、上下方向に延伸する段差部43が設けられている。また、長片部41のうち、奥側の側縁には、上述のラックギヤ部311と同様のラックギヤ部411が設けられていて、長片部41の下面側であってラックギヤ部411の右側端部よりもやや手前側の部位には、上述のガイドピン313と同様のガイドピン412が設けられている。このガイドピン412は、上述したガイド溝26cに入り込む。
【0035】
また、第2スライダ40のローラ搭載部42も、上述のローラ搭載部32と類似する構成を有している。ただし、ローラ搭載部42は、ディスク再生装置10の奥側に向かって突出するように設けられている。なお、第2スライダ40においては、ローラ搭載部42に引っ張りバネ34の端部は取り付けられていない。その代わり、第1スライダ30が引っ張りバネ34の付勢力を受けた場合、ピニオンギヤ80の回転を介して、当該付勢力が伝達される構成となっている。
【0036】
また、ローラ搭載部42のうち、奥側の部位には、所定の長さ寸法を有するスイッチ当接壁421が設けられている。スイッチ当接壁421は、後述する第1検出スイッチ70、または第1検出スイッチ70と同時に第2検出スイッチ71を押し込む部分である。なお、スイッチ当接壁421は、第1検出スイッチ70と第2検出スイッチ71とを同時に押し込むための長さ寸法を有するように構成されている。そのため、スイッチ当接壁421は、ローラ搭載部42の他の部位よりも、右側に向かって突出するように設けられている。
【0037】
また、ローラ搭載部42にも、ガイドピン422が設けられている。なお、第2スライダ40においては、上述のガイドピン412を含めて3つのガイドピン412,422が設けられていて、残りの2つがローラ搭載部42に設けられている。具体的には、ローラ搭載部42のうち手前側かつ左側の部位にガイドピン422aが、奥側かつ左側の部位にガイドピン422bが設けられている。これらガイドピン422a,422bは、ガイド溝26d,26eにそれぞれ入り込むように設けられている。
【0038】
また、ローラ搭載部42には、第1レバー35と類似する第2レバー45が取り付けられている。第2レバー45も、回動軸45aを支点として回動自在に設けられている点で第1レバー45と同一であり、上述したのと同様のプレート部451、当接ピン452(第2当接ピンに対応)、摺動ボス453を有している。また、ローラ搭載部42には、上述したのと同様の回り止め溝423、バネ係止部424が設けられていて、上述したのと同様の捻りコイルバネ46(弾性手段に対応)も設けられている。なお、捻りコイルバネ46により、第2レバー45には、図1において反時計回りの付勢力が与えられている。
【0039】
また、回動軸45aには、第2当接部に対応する従動ローラ47が取り付けられている。ここで、本実施の形態では、従動ローラ47は、自在に回転できないように、固定的に設けられている。なお、従動ローラ47は、ローラ搭載部42に対して非回転となるように設けられているが、第2レバー45に対して非回転となる(第2レバー45と同様に回動する)状態としても良い。
【0040】
次に、ガイドアーム50について説明する。図1に示すように、ガイドアーム50は、支持軸51aを介して、下シャーシ25に回転自在に取り付けられている。このガイドアーム50は、基本的には、大径ディスク12aの搬送中に、当該大径ディスク12aの先端側に当接して、大径ディスク12aの軌道を維持するための部材である。このガイドアーム50は、図4に示すように、軸支部51と、円弧アーム部52と、サブアーム部53と、を有している。
【0041】
これらのうち、軸支部51は、本実施の形態では、サブアーム部53と一体的に設けられている。この軸支部51は、支持軸51a(図1参照)が挿入される挿通孔511を有する、略筒状体に設けられている。また、円弧アーム部52は、図1、図8等に示すように、大径ディスク12aの外周側に倣う略円弧状に設けられている。円弧アーム部52は、図8に示すように、大径ディスク12aの外周側に退避した際に、当該大径ディスク12aの外周側と所定の間隔を有するように設けられていて、大径ディスク12aの直径よりもやや大きな外径を有する円弧状に設けられている。また、この円弧アーム部52は、本実施の形態では、略90度の角度範囲に亘る円弧状に設けられている。
【0042】
また、円弧アーム部52のうち、軸支部51から離間する先端側の部位は、やや下方に位置するように折れ曲がっていて、その折れ曲がった部位には、ディスクガイド521が設けられている。ディスクガイド521は、大径ディスク12aが挿入される際に、当該大径ディスク12aの外周縁部に当接して、大径ディスク12aのディスク再生装置10内における高さ位置を定めるものである。なお、ディスクガイド521は、上方側が大径であると共に大径ディスク12aの外周縁部が当接する部位が小径となるような円筒形状を呈している。しかしながら、ディスクガイド521は、大径ディスク12aとの当接時に、高さ方向に滑らない程度の摩擦力を有する部材から形成されていても良い。
【0043】
また、サブアーム部53は、円弧アーム部52よりも下方に位置するように設けられている。このサブアーム部53は、図1における状態(大径ディスク12aの非挿入状態;このとき、ディスクガイド521が長片部31と当接して位置決めされている。)においては、軸支部51から手前側に突出するように設けられている。しかも、サブアーム部53は、図1の状態においては、ローラ搭載部32と干渉する部位まで延伸している。
【0044】
このサブアーム部53のうち、軸支部51寄りの部位には、下面側から爪状に突出する爪部531が設けられていて、引き戻しバネ54の一端側が掛け止めされている。また、引き戻しバネ54の他端側は、下シャーシ25のバネ係止部28に掛け止めされている。かかる引き戻しバネ54の存在により、ガイドアーム50には、反時計回りの付勢力が与えられている。
【0045】
また、サブアーム部53のうち、手前側かつ左側の隅部には、ボス部材532が設けられている。ボス部材532は、サブアーム部53の下面側から下方側に突出している。このボス部材532は、上述した規制突起325、および後述する壁部62と衝突するが、ローラ搭載部32の上面とは衝突しない程度の突出寸法に設けられている。ここで、大径ディスク12aの非挿入状態においては、ボス部材532は、支持軸51aを中心とする回動によって規制突起325と衝突するように、設置部位が設けられている。すなわち、第1スライダ30が、引き戻しバネ54の付勢力によって初期位置に位置している状態においては、ボス部材532が回動すると、規制突起325と衝突するように設けられている。それにより、ガイドアーム50の回動は阻害される。
【0046】
また、サブアーム部53のうち、手前側かつ右側の隅部には、当接壁533が設けられている。この当接壁533も、ボス部材532と同様に、サブアーム部53の下面から下方側に突出している。この当接壁533は、後述するカム部材60のガイド壁67に衝突して、ガイドアーム50の退避状態を実現するための部位である。そのため、当接壁533は、カム部材60の上面とは接触しない程度の突出長さを有している。
【0047】
次にカム部材60について説明する。図1、図5等に示すように、カム部材60は、その平面形状が略三日月状のプレート部61に、種々の凹凸部分が設けられている部材である。かかるカム部材60のうち、プレート部61の奥側寄りの部位には、壁部62が設けられている。この壁部62は、本実施の形態では、略L字に設けられていて、上述したボス部材532と当接する部位である。そして、この当接によって、カム部材60は反時計回りに回動させられる。
【0048】
また、図5に示すように、カム部材60の外周縁部には、弧状ギヤ部63が設けられている。弧状ギヤ部63は、カム部材60の奥側から所定の寸法だけ設けられている。また、弧状ギヤ部63は、不図示のギヤと接離可能に設けられている。ここで、大径ディスク12aの非挿入状態においては、カム部材60は、時計回り側の端部に位置しているが、上述したボス部材532が壁部62と衝突して、カム部材60が反時計回りに所定だけ回動させられると、弧状ギヤ部63と不図示のギヤとが噛み合う。ここで、ギヤには、モータ101(図6参照)により、カム部材60を反時計回りに回動させるための駆動力が伝達される。そのため、かかる噛み合い後、カム部材60は、モータ101(不図示のギヤを含めて駆動手段に対応)の駆動力により反時計回りに回動させられる。
【0049】
また、プレート部61のうち、奥側の部位から反時計回りに所定長さだけ、第1案内溝64aが設けられている。第1案内溝64aは、プレート部61を弧状に打ち抜いた溝状の部分であり、弧状ギヤ部63に近接して設けられている。この第1案内溝64aには、上述した案内突起22aが挿入される。また、この第1案内溝64aと所定の間隔を空けて、第2案内溝64bが設けられている。なお、第2案内溝64bには、上述した案内突起22bが挿入され、当該第2案内溝64bの延伸の端部は、プレート部61の時計回りの端部に近接しているが、それ以外の構成は、上述の第1案内溝64aと略同一であるため、その説明は省略する。
【0050】
また、プレート部61のうち、第2案内溝64bよりも径方向の中央寄りの部位には、突起体65が設けられている。突起体65は、上述したガイド溝21に挿入される部分である。なお、カム部材60は、案内突起22a,22bが案内溝64a,64bを摺動すると共に、突起体65がガイド溝21を摺動することにより、ターンテーブル91の回転中心を中心とする回動が実現される。
【0051】
また、プレート部61のうち、最も中央寄りの部位(内周縁部)には、隆起部66が設けられている。この隆起部66には、カム部661が設けられている。カム部661は、ディスク再生部90のうち、ターンテーブル91の下方側から延出する摺動ピン92が入り込む凹形状の部分である。ここで、カム部661の凹形状は、内径側から外径側に向かうように設けられている。このカム部661は、下壁部661aと上壁部661bとを有している。下壁部661aと上壁部661bとは、共に、時計回りに向かうにつれて、高さ位置が高くなるように設けられている。しかしながら、下壁部661aのうち、最も高さ位置が高い部位においては、上壁部661bが存在せずに開放する状態に設けられている。
【0052】
このカム部661に摺動ピン92が入り込んでいる状態で、カム部材60が反時計回りに回動させられると、摺動ピン92は、下壁部661aによって持ち上げられていく。それにより、ディスク再生部90は、上昇させられ、規定の再生位置まで持ち上げられる状態となる。
【0053】
また、プレート部61には、ガイド壁67が設けられている。ガイド壁67は、上述した当接壁533と当接する部分である。このガイド壁67は、プレート部61のうち、第1案内溝64aと第2案内溝64bに隣接する内径側の部位に設けられている。しかも、ガイド壁67は、第1案内溝64aの時計回りの後端部分から、第2案内溝64bの時計回りの前端部分に差し掛かるように設けられている。このガイド壁67は、時計回りの中途部分から、内径側に向かって所定だけ突出する(以下、この部位を内径突出部671とする。)ように設けられている。この突出長さは、ディスクガイド521の退避に対応している。すなわち、ガイド壁67のうち、時計回りの中途部分までは、ディスクガイド521が大径ディスク12aの外周縁部に接触している状態となっている。しかしながら、内径突出部671に当接壁533が接触すると、当該内径突出部671が内径側に突出している分だけ、ガイドアーム50は、ディスク再生装置10の奥側に押し込まれる。それにより、ディスクガイド521が大径ディスク12aの外周縁部から所定だけ離間する、退避状態が実現される。
【0054】
また、カム部材60のうち、時計回りの最も後端側の部位には、係合壁68が設けられている。係合壁68は、上述した第1スライダ30のボス部312と当接する部分である。すなわち、カム部材60がモータ101の駆動力により、反時計回りに回動させられ、所定の停止部位に差し掛かると、係合壁68は、ボス部312と衝突する部位に差し掛かる。一方、第1スライダ30は、大径ディスク12aの挿入時に右側に移動させられるものの、引っ張りバネ34の付勢力により、左側に引き戻されようとする。その引き戻しの付勢力により、ボス部312が係合壁68に衝突するが、引っ張りバネ34の付勢力は、カム部材60を時計回りに回せるだけのものではない。そのため、ボス部312と係合壁68との間の当接により、第1スライダ30が右側に押し広げられた状態を維持可能となっている。
【0055】
また、下シャーシ25には、第1検出スイッチ70および第2検出スイッチ71が取り付けられている。これら第1検出スイッチ70および第2検出スイッチ71は、上述のスイッチ当接壁421の摺動によって押し込まれるスイッチである。ここで、第1検出スイッチ70が押し込まれると、駆動ローラ37を駆動させるためのモータ101が駆動させられ、カム部材60を反時計回りに回動させる。また、第2検出スイッチ71が押し込まれると、大径ディスク12aの排出が完了したと判断される。
【0056】
また、下シャーシ25のうち、第1スライダ30のラックギヤ部311と第2スライダ40のラックギヤ部411の間の部位には、ピニオンギヤ80が回転自在に取り付けられている。このピニオンギヤ80には、ラックギヤ部311,411が共に噛み合っている。そのため、第1スライダ30と第2スライダ40とは、左右均等となる速度で、幅方向に逆向きに移動可能となっている。
【0057】
また、ディスク再生装置10には、ディスク再生部90が設けられている。ディスク再生部90は、下シャーシ25に対して、一端側(図1において奥側かつ左側)を支点として回動可能に設けられている。また、ディスク再生部90は、その他端側がディスク再生装置10の中央部まで延伸するように設けられている。そして、この他端側には、ターンテーブル91が回転自在に取り付けられている。なお、ディスク再生部90は、不図示の光ピックアップユニット、スピンドルモータ等を具備していて、これら光ピックアップユニット、スピンドルモータ等をも含めて一体的に回動可能となっている。
【0058】
また、ディスク再生部90の他端側の縁部は、カム部材60と対向するように設けられている。そしてこの他端側の縁部からは、摺動ピン92が突出している。摺動ピン92は、上述したカム部661に入り込む部分である。そのため、この摺動ピン92は、図1等に示すように、ディスク再生部90の一端側から他端側に向かって延伸するように設けられている。
【0059】
なお、以下の説明では、ディスク再生部90のうち、摺動ピン92が取り付けられている部位を、必要に応じてアーム体93と称呼する。
【0060】
また、本実施の形態では、図6に示すように、制御部100が設けられている。制御部100は、ディスク再生装置10の全体の作動を司る部分である。なお、この制御部100には、第1検出スイッチ70および第2検出スイッチ71からの検出信号が入力されると共に、当該制御部100からモータ101に向けて、不図示のモータドライバ等を介して制御指令が出力される。
【0061】
以上のような構成を有するディスク再生装置10の動作について、以下に説明する。図7に示すように、大径ディスク12aをユーザが把持し、当該大径ディスク12aをディスク挿入口27から挿入させると、当該大径ディスク12aの外周縁部は、当接ピン352,452に接触する。さらに、ユーザが大径ディスク12aをディスク再生装置10の内部に押し込むと、第1レバー35と第2レバー45とは、回動軸35a,45aを支点として回動させられる。このとき、第1レバー35と第2レバー45とには、それぞれ捻りコイルバネ36,46によって付勢力が及ぼされる。しかしながら、この捻りコイルバネ36,46の付勢力は、大径ディスク12aの挿入を妨げるものではないため、第1レバー35と第2レバー45とは、回動軸35a,45aを支点として、当接ピン352,452が互いに離間する向きに回動させられる。
【0062】
ここで、第1レバー35は、摺動ボス353が回り止め溝323の左側端部に衝突するまで回動させられると共に、第2レバー45は、摺動ボス453が回り止め溝423の右側端部に衝突するまで回動させられる。その状態で、さらにユーザが大径ディスク12aをディスク再生装置10の内部に押し込むと、第1スライダ30と第2スライダ40とは、互いに離間する向きに移動させられる。
【0063】
また、第2スライダ40が左側に向かってスライドさせられると、スイッチ当接壁421は、第1検出スイッチ70を押し込む状態となる。すると、検出信号が制御部100に送信されるが、この制御部100は、かかる検出信号に基づいて、モータ101を駆動させる。このモータ101の駆動により、駆動ローラ37は、回転駆動を開始する。
【0064】
また、スイッチ当接壁421が第1検出スイッチ70を押し込んだ直後に、大径ディスク12aの挿入の先端側は、当初の当接ピン352,452のみに接触している状態から、駆動ローラ37および従動ローラ47にも接触する状態となる。ここで、引っ張りバネ34の付勢力により、大径ディスク12aには、駆動ローラ37と従動ローラ47の両方に対して圧着する。その状態で、駆動ローラ37が時計回りに回転すると、大径ディスク12aは、その駆動ローラ37の回転に伴って、ディスク再生装置10の奥側に搬送されていく。
【0065】
また、大径ディスク12aの外周縁部が駆動ローラ37と従動ローラ47の両方に接触するのとほとんど同時に、当該大径ディスク12aの搬送の先端部分は、ディスクガイド521に接触する。この状態で、大径ディスク12aがディスク再生装置10の内部に搬送されていくと、搬送の進行によって、ガイドアーム50が、時計回りに回動させられる。この状態で暫く大径ディスク12aが進行して、大径ディスク12aがターンテーブル91の搭載位置の付近に到達すると、ボス部材532が壁部62と衝突する。そして、壁部62を介して、カム部材60は反時計回りに回動させられる。すると、弧状ギヤ部63が不図示のギヤと噛み合う。
【0066】
ここで、弧状ギヤ部63が不図示のギヤと噛み合うのに先立って、当該不図示のギヤは、モータにより回転駆動させられている。具体的には、大径ディスク12aが搬送される場合、駆動ローラ37と従動ローラ47の間は、大径ディスク12aの直径と略等しくなる分だけ押し広げられる。それにより、スイッチ当接壁421は、第1検出スイッチ70を押し込む。それにより、前述のようにモータ101が駆動させられていて、弧状ギヤ部63が不図示のギヤと噛み合うと、カム部材60に対して反時計回りに回動させる駆動力を与える。
【0067】
カム部材60が回動させられると、摺動ピン92は、カム部661内を摺動する。その摺動により、摺動ピン92は、下壁部661aにより持ち上げられる。それにより、ターンテーブル91は、上方に持ち上げられる。そして、図8に示すように、ターンテーブル91が規定の位置まで持ち上げられると、不図示のクランパにより、大径ディスク12aは押さえ付けられ、大径ディスク12aがターンテーブル91に載置される状態となる。
【0068】
また、カム部材60の回動が終了する前に、当接壁533は、内径突出部671と接触する。それにより、ガイドアーム50は、奥側に退避させられ、大径ディスク12aの外周縁部に対する接触状態が解除される。なお、カム部材60の回動の終端では、当該カム部材60は不図示の検出手段を押し込む。それにより、モータ101の駆動は停止させられ、大径ディスク12aの搬入動作が終了する。また、カム部材60の回動の終端では、係合壁68がボス部312と当接する。それにより、第1スライダ30と第2スライダ40の押し広げ状態が維持可能となる。
【0069】
続いて、小径ディスク12bを挿入する場合について、説明する。図9に示すように、小径ディスク12bをディスク挿入口27から挿入すると、当該小径ディスク12bは、駆動ローラ37と従動ローラ47の初期位置における間隔、当接ピン352と当接ピン452の間の間隔を容易に通過する。すなわち、小径ディスク12bが挿入されても、第1スライダ30と第2スライダ40とは、押し広げられない。その状態で、さらに小径ディスク12bを押し込むと、当該小径ディスク12bの挿入の先端部分は、ディスクガイド521に接触する。そして、小径ディスク12bは、ユーザの押し込み動作により、さらにディスク再生装置10の内部に向かって進行しよう、とする。このとき、ガイドアーム50は、当該押し込み動作に伴って、時計回りに回動しようとする。
【0070】
しかしながら、図10に示すように、ガイドアーム50が回動しようとすると、ボス部材532が規制突起325と衝突する。しかも、この衝突では、ボス部材532は、第1スライダ30を左向きかつ奥向きに移動させるための力を、当該第1スライダ30に作用させる。そのため、ガイドアーム50は、上述の衝突により、これ以上回動不能となる。それによって、小径ディスク12bのそれ以上の搬入が不可能となる。
【0071】
なお、ユーザが小径ディスク12bの挿入に関する力を緩めると、引き戻しバネ54の作用により、小径ディスク12bには、手前側に排出される力が付与される。
【0072】
このような構成のディスク再生装置10によれば、第1スライダ30には規制突起325が設けられていて、ガイドアーム50にはボス部材532が設けられている。そして、小径ディスク12bが搬入される際、小径ディスク12bは当接ピン352,452や駆動ローラ37、従動ローラ47に付勢力を及ぼさないまま挿入され、小径ディスク12bがディスクガイド521に衝突して、ガイドアーム50を回動させよう、とする。
【0073】
しかしながら、上述したように、ボス部材532が規制突起325に衝突することにより、ガイドアーム50の回動は阻害される。そのため、小径ディスク12bは、それ以上ディスク再生装置10の内部に搬入できなくなる。すなわち、小径ディスク12bの搬入を確実に防止することができ、小径ディスク12bが取り出せなくなったり、無理やり小径ディスク12bを取り出そうとして、ディスク再生装置10の内部機器や小径ディスク12bの損傷を招くのを確実に防止可能となる。
【0074】
しかも、本実施の形態では、小径ディスク12bの搬入を、非常に簡易な構成によって実現させている。すなわち、大径ディスク12aの搬入をガイドするガイドアーム50を利用してボス部材532を設けると共に、ディスク12の搬入を検出する第1スライダ30、第2スライダ40を利用して規制突起325を設けている。そのため、ディスク12が小径ディスク12bであることを判別するためだけに専用の機構を設けずに済み、その分だけコストが掛かるのを抑えることが可能となる。それにより、大径ディスク12aのみに対応している専用機でありながら、大径ディスク12a/小径ディスク12bの両方に対応しているディスク再生装置と同等のコストがかかる、という問題が生じるのを防止可能となる。
【0075】
なお、ボス部材532は、カム部材60の壁部62に衝突させて、カム部材60の弧状ギヤ部63の噛み合いのための部分であり、かかるボス部材532を利用して、小径ディスク12bの搬入を防止している。このため、非常に簡易な構成で、小径ディスク12bの誤挿入を確実に防止可能としている。
【0076】
さらに、第1スライダ30には引っ張りバネ34が連結されていて、第1スライダ30と第2スライダ40とが互いに閉じる向き(幅方向の中央側に向かう向き)にスライドさせられる。このため、大径ディスク12aの搬入時には、第1スライダ30と第2スライダ40とを、引っ張りバネ34の付勢力に抗する状態で、互いに離間させることが可能となる。それにより、大径ディスク12aの搬入時には、規制突起325をボス部材532が回動する軌跡から退避させることが可能となり、大径ディスク12aの搬入の支障となることがない。また、引っ張りバネ34の付勢力により、大径ディスク12aには、駆動ローラ37および従動ローラ47に圧着させるだけの力が与えられるため、駆動ローラ37の駆動により、大径ディスク12aを良好に搬入させることが可能となる。
【0077】
また、当接ピン352は第1レバー35に設けられると共に、当接ピン452は第2レバー45に設けられていて、大径ディスク12aの搬入に際しては、駆動ローラ37および従動ローラ47よりも先に、大径ディスク12aが当接ピン352,452に接触する。そのため、大径ディスク12aの搬入の最初のときに、当該大径ディスク12aが駆動ローラ37、従動ローラ47には接触しなくなり、当該接触のときには駆動ローラ37を駆動させることが可能となる。
【0078】
また、第1レバー35と第2レバー45のそれぞれには、捻りコイルバネ36,46によって、互いに近接する向きの付勢力が与えられている。このため、大径ディスク12aを搬入する場合、捻りコイルバネ36,46の付勢力に抗しながら、当該大径ディスク12aを搬入する状態となる。本実施の形態では、大径ディスク12aの搬入に際しては、特に、捻りコイルバネ36,46が、共に捻られてから、第1スライダ30および第2スライダ40がスライドさせられ、モータ101が駆動される。そのため、実際には大径ディスク12aの搬入の誤検出を防ぐことが可能となる。
【0079】
さらに、ガイドアーム50には、円弧アーム部52の他に、ボス部材532が設けられているサブアーム部53を具備する。そのため、円弧アーム部52を大径ディスク12aの外周側に良好に退避させることが可能となると共に、ボス部材532を大径ディスク12aの搬入の支障にならない部位に設けることが可能となる。
【0080】
また、本実施の形態では、カム部661を備えるカム部材60が設けられている。そのため、摺動ピン92がカム部661を摺動すれば、ディスク再生部90を持ち上げることが可能となり、大径ディスク12aの搬入とターンテーブル91の持ち上げを連動させることが可能となる。
【0081】
また、壁部62がボス部材532で押し込まれた後には、モータ101によりカム部材60が回動させられる。特に、カム部材60が回動させられた後には、ガイド壁67と当接壁533とが係合し、ディスクガイド521が大径ディスク12aの外周側に退避させることが可能となると共に、係合壁68とボス部312との係合により、第1スライダ30および第2スライダ40が互いに離間する開放状態を維持可能となる。
【0082】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0083】
上述の実施の形態においては、ボス部材532は、第1スライダ30に設けられている規制突起325と衝突するように設けられている。しかしながら、第2スライダ40側に規制突起325に対応する部材を設け、かかる部材とボス部材532との係合により、小径ディスク12bの挿入を阻害するように構成しても良い。
【0084】
また、上述の実施の形態では、第1スライダ30側に駆動ローラ37が設けられると共に、第2スライダ40側に従動ローラ47が設けられている。しかしながら、第1スライダ30側に従動ローラを設け、第2スライダ40側に駆動ローラを設けるように構成しても良い。
【0085】
さらに、第1レバー35には当接ピン352が設けられていると共に、第2レバー45には当接ピン452が設けられているが、これら当接ピン352,452を省略する構成を採用しても良い。
【0086】
また、カム部材60は、ターンテーブル91を持ち上げる機能、第1スライダ30と第2スライダ40とが開いている状態を維持する機能、およびガイドアーム50を退避させる機能のうち少なくとも1つを備えれば良いが、カム部材60の代わりの部材を用いて、これらの機能を奏させるように構成しても良い。
【0087】
また、上述のディスク搬送機構11は、ディスク再生装置10以外の装置に適用しても良い。ディスク再生装置10以外の装置としては、ディスク12を保持/蓄えるためのストッカ等がある。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明のディスク搬送機構およびこのディスク搬送機構を用いたディスク再生装置は、音響機器及び映像再生機器、カーナビゲーション等の情報再生機器の分野において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施の形態に係るディスク再生装置の内部構成を示す平面図である。
【図2】第1スライダの構成を示す斜視図である。
【図3】第2スライダの構成を示す斜視図である。
【図4】ガイドアームの構成を示す斜視図である。
【図5】カム部材の構成を示す斜視図である。
【図6】図1のディスク再生装置における制御系統を示すブロック図である。
【図7】図1のディスク再生装置において、大径ディスクの挿入開始により、第1レバーおよび第2レバーが回動させられた状態を示す平面図である。
【図8】図1のディスク再生装置において、大径ディスクがターンテーブルに載置させられた状態を示す平面図である。
【図9】図1のディスク再生装置において、小径ディスクの挿入開始状態を示す平面図である。
【図10】図1のディスク再生装置において、小径ディスクが挿入させられると共に、ボス部材と規制突起とが係合している状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0090】
10…ディスク再生装置
11…ディスク搬送機構
12a…大径ディスク
12b…小径ディスク
30…第1スライダ
312…ボス部
325…規制突起
34…引っ張りバネ(付勢手段に対応)
35…第1レバー
352…当接ピン(第1当接ピンに対応)
36,46…捻りコイルバネ(弾性手段に対応)
37…駆動ローラ
40…第2スライダ
45…第1レバー
452…当接ピン(第1当接ピンに対応)
46…捻りコイルバネ
47…従動ローラ
50…ガイドアーム
521…ディスクガイド
532…ボス部材
533…当接壁
60…カム部材
62…壁部
66…カム部
67…ガイド壁
68…係合壁
70…第1検出スイッチ
71…第2検出スイッチ
80…ピニオンギヤ
90…ディスク再生部
91…ターンテーブル
92…摺動ピン
100…制御部
101…モータ(駆動手段に対応)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大径ディスクと小径ディスクの2種類のディスクの中から、大径ディスクのみの搬入を許容するディスク搬送機構であって、
上記ディスクの搬入と交差する幅方向にスライド可能に設けられると共に、上記ディスクの外周縁部に当接する第1当接部を備える第1スライダと、
上記幅方向にスライド可能に設けられると共に、上記ディスクの外周縁部に当接する第2当接部を備える第2スライダと、
上記第1スライダまたは上記第2スライダのいずれかに設けられている規制突起と、
上記ディスクの搬入の先端側が係止されて当該ディスクの搬入をガイドするディスクガイドを備えると共に、支持軸を支点として回動し、かつボス部材が設けられているガイドアームと、
を具備し、
上記第1当接部と上記第2当接部との間の間隔は、上記小径ディスクの搬入の先端が上記ディスクガイドに当接しても、当該小径ディスクの外周縁部は上記第1当接部と上記第2当接部の両方には同時に当接しない程度に設定されていると共に、
上記ディスクガイドへの上記小径ディスクの衝突に伴って上記ガイドアームが回動させられる場合に、上記規制突起は上記ボス部材の上記支持軸を支点とする回動を妨げる部位に設けられている、
ことを特徴とするディスク搬送機構。
【請求項2】
前記第1スライダには、第1ラックギヤ部が設けられていると共に、前記第2スライダにも第2ラックギヤ部が設けられていて、
前記第1ラックギヤ部および前記第2ラックギヤ部は、共にピニオンギヤに噛み合いしていると共に、その噛み合いは当該ピニオンギヤの回転中心を挟んで反対側の部位で為されており、
前記第1スライダまたは前記第2スライダのうち少なくとも一方には、付勢手段によって前記第1スライダと前記第2スライダとを互いに近接させる向きの付勢力が与えられている、
ことを特徴とする請求項1記載のディスク搬送機構。
【請求項3】
前記第1当接部は、前記第1スライダに回動自在に取り付けられている駆動ローラであると共に、前記第2当接部は、前記第2スライダに回転しない状態で取り付けられている従動ローラであることを特徴とする請求項1または2記載のディスク搬送機構。
【請求項4】
前記第1スライダには、第1レバーが回動軸を支点として回動自在に取り付けられていると共に、この回動軸には前記駆動ローラが回動自在に軸支されていて、
上記第1レバーのうち前記駆動ローラが軸支されている部位よりも前記大径ディスクの搬入方向における手前側の部位には、前記駆動ローラよりも先に前記大径ディスクの外周縁部に当接する第1当接ピンが設けられていて、
前記第2スライダには、第2レバーが回動軸を支点として回動自在に取り付けられていると共に、この回動軸には前記従動ローラが非回転となる状態で取り付けられていて、
上記第2レバーのうち前記従動ローラが軸支されている部位よりも前記大径ディスクの搬入方向における手前側の部位には、前記従動ローラよりも先に前記大径ディスクの外周縁部に当接する第2当接ピンが設けられている、
ことを特徴とする請求項3記載のディスク搬送機構。
【請求項5】
前記駆動ローラと前記従動ローラのそれぞれは、弾性手段によって前記第1当接ピンと前記第2当接ピンの間の間隔を狭める向きの付勢力が与えられていることを特徴とする請求項4記載のディスク搬送機構。
【請求項6】
前記ガイドアームは、
先端に前記ディスクガイドが設けられていると共に前記大径ディスクの外周側に退避可能な円弧状に設けられている円弧アーム部と、
前記円弧アームに対して前記支持軸の円周方向において異なる向きに突出していると共に、突出の先端側に前記ボス部材が設けられているサブアーム部と、
を具備することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のディスク搬送機構。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のディスク搬送機構を具備すると共に、
一端側を支点として回動可能なアーム体と、このアーム体のうち他端側に回転自在に支持されると共に、前記大径ディスクを載置するターンテーブルと、上記アーム体のうち上記ターンテーブルの近傍の他端側の縁部から突出する摺動ピンと、を備えるディスク再生部と、
上記摺動ピンが摺動することにより、上記ディスク再生部を回動させて上記ターンテーブルの高さ位置を変動させるためのカム部と、前記ボス部材に衝突する壁部とを備え、前記ボス部材と前記壁部との衝突によって円弧状に回動させられるカム部材と、
前記カム部材に駆動力を与える駆動手段と、
を具備することを特徴とするディスク再生装置。
【請求項8】
前記カム部材の外周縁部には、弧状ギヤ部が設けられていて、この弧状ギヤ部は前記駆動手段が具備するギヤと接離可能に設けられていて、
前記ボス部材が前記壁部に衝突した後の前記カム部材の回動により、上記弧状ギヤ部は上記ギヤと噛み合って、前記カム部材を回動させる駆動力が付与される、
ことを特徴とする請求項7記載のディスク再生装置。
【請求項9】
前記サブアーム部には当接壁が設けられていると共に、前記カム部材には上記当接壁と係合するガイド壁が設けられていて、
前記カム部材が前記大径ディスクの搬入に伴って回動させられると、上記当接壁と上記ガイド壁とは係合させられると共に、
この係合により、前記ディスクガイドが前記大径ディスクの外周縁部から離れる向きに前記ガイドアームが回動させられる、
ことを特徴とする請求項7または8記載のディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−20956(P2009−20956A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182813(P2007−182813)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】