説明

ディスク装着機構及びディスクドライブ装置

【課題】ディスク回転時の騒音の軽減と、構成部品の動きをコンパクトにして装置の小型化を図る。
【解決手段】光ディスク2をターンテーブルとの間でチャッキング可能なチャックプレート170を、ターンテーブルの直径方向及びこれと直交する軸方向に所定範囲内で移動可能に支持すると共に外周縁に第1のギア部180を有するチャックサポート171を設ける。光ディスクの出し入れに連動してスライド動作されるスライドカム94を設ける。第1のギア部に噛合される第2のギア部191を有し且つスライドカムのスライド動作により回動されるチャックレバー190を設ける。光ディスクの出し入れ時にチャックサポートを昇降動作させてチャックプレートによるチャッキング動作及びチャッキング解除動作を可能としたサポート昇降部を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクや光磁気ディスク等のディスク状記録媒体を着脱自在に装着可能なディスク装着機構、及び、そのディスク状記録媒体を用いて情報信号の記録(書き込み)及び/又は再生(読み取り)を行うディスクドライブ装置に係る。特に、ディスク状記録媒体のチャッキング完了時、チャックサポートやスライドカム等に付勢力を付与してガタを抑え、ディスク回転時に発生する振動を抑制するディスク装着機構及びディスクドライブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、多数の情報を記憶しておくための装置として、CDやDVD等の光ディスク(OD)や光磁気ディスク(MO)その他のディスク状記録媒体を使用して情報信号の記録及び/又は再生を行うディスクドライブ装置が提供されている。
【0003】
従来の、この種のディスクドライブ装置としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、ディスク状記録媒体がディスク出入口から出し入れされるスロットイン方式のディスク記録及び/又は再生装置に関するものが記載されている。この特許文献1に記載されたディスク記録及び/又は再生装置は、ディスク出入口が設けられた筐体と、ディスク出入口を覆うように設けられたゲート部材と、ディスク状記録媒体をディスク出入口に通過させて搬送するディスク移動機構と、を備えている。ゲート部材には、ディスク状記録媒体が通過される切り口を有するゲートカバーと、切り口周縁部の抵抗力を変更させる抵抗力変更手段とを設けた、ことを特徴としている。
【0004】
また、従来のディスクドライブ装置の他の例としては、例えば、特許文献2に記載されているようなものもある。特許文献2には、ディスク状記録媒体をディスク装着部に固定するクランプ部材を備えたディスク記録及び/又は再生装置に関するものが記載されている。特許文献2に記載されたディスク記録及び/又は再生装置は、ディスク状記録媒体が着脱可能に装着されるディスク装着部と、ディスク装着部との間でディスク状記録媒体を挟持するクランプ部材と、クランプ部材を移動可能に支持する支持部材とを備えている。ディスク装着部及びクランプ部材の一方にマグネットを設けると共に他方に吸着部材を設け、支持部材に回動部材と回動昇降機構とを設けている。そして、回動昇降機構で回動部材を回動させつつ昇降させることにより、マグネットの磁力で吸着部材を吸引してクランプ部材をディスク装着部に接近させ、又はその磁力に抗してクランプ部材をディスク装着部から離反させる、ことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−334499号公報
【特許文献2】特開2009−211767号公報
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された第1の従来例の場合には、メインシャーシに対して上下方向へ回動可能に支持されたチャッキングアームの自由端にチャッキング部材が支持されている。チャッキングアームには、自由端側に突出する駆動レバーが設けられており、前後方向にスライド動作されるスライドカムで駆動レバーを介してチャッキングアームを上下動させることにより、チャッキング部材をターンテーブルに対して接近・離反させている。そのため、チャッキングアームを上下動させるためのスペースが必要とされており、その動きを確保するために大きなスペースが必要となっていて、装置全体が大型化されているという問題があった。
【0007】
また、上述した特許文献2に記載された第2の従来例の場合には、第1のスライドカム部材に付勢力を付与するための第1のコイルバネと、第2のスライドカム部材に付勢力を付与するための第2のコイルバネとが設けられている。そのため、部品点数が多くて不経済であると共に、組立工数が多くて生産性が悪いばかりでなく、部品数に比例するようにガタが累積されて大きくなっているという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、従来のディスクドライブ装置では、チャッキングアームを上下動させるためのスペースが必要とされており、その動きを確保するために大きなスペースが必要となっていて、装置全体が大型化されている、という点である。また、部品点数が多くて不経済であると共に、組立工数が多くて生産性が悪く、また、部品数に比例するようにガタが累積されて大きなガタが生じている、という点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、チャックサポートと、スライドカムと、チャックレバーと、サポート昇降部と、付勢部材と、を設けたものである。チャックサポートは、ディスク状記録媒体をターンテーブルとの間でチャッキング可能なチャックプレートをターンテーブルの直径方向及びこれと直交する軸方向に所定範囲内で移動可能に支持すると共に、外周縁の一部に第1のギア部を有している。スライドカムは、ディスク状記録媒体の出し入れに連動してスライド動作される。チャックレバーは、第1のギア部に噛合される第2のギア部を有し且つスライドカムのスライド動作により回動される。サポート昇降部は、ディスク状記録媒体の出し入れ時にチャックサポートの回転によりチャックサポートを昇降動作させてチャックプレートによるチャッキング動作及びチャッキング解除動作を可能とした。チャッキング完了時、付勢部材は、チャックサポートにチャッキング方向に作用する付勢力を付与すると共に、スライドカムにチャッキング方向と逆方向に作用する付勢力を付与する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のディスク装着機構及びディスクドライブ装置によれば、付勢部材でチャックサポートとスライドカムとチャックレバーに付勢力を付与し、チャッキング完了時に、チャックサポートとスライドカムとチャックレバーのガタを抑える。これにより、ディスク回転時、チャックサポート、スライドカム、チャックレバー等に発生する振動を抑制し、騒音の軽減を図る。また、構成部品が移動するためのスペースを小さくし、構成部品の動きをコンパクトにして装置全体の小型化を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のディスクドライブ装置の一実施例を示すもので、装置筐体の一部を断面した外観斜視図である。
【図2】図1に示すディスクドライブ装置の装置筐体の上面部を取り除いて主要な構成部品の配置状態を説明する平面図である。
【図3】図2に示す装置筐体の上部ケースとこれに取り付けられた主要な構成部品の配置状態を説明する底面図である。
【図4】図3に示す上部ケースの下面に設けたサポート収納部にチャックサポートを収納した状態を断面して説明する斜視図である。
【図5】図3に示す上部ケースの下面に設けたサポート収納部を示すもので、図5Aはチャックサポートを取り出した状態を説明する斜視図、図5BはZ矢視図である。
【図6】図1に示すディスクドライブ装置に係るディスクチャッキング機構によるディスクのチャッキング前の状態を説明する断面図である。
【図7】図1に示すディスクドライブ装置に係るディスクチャッキング機構によるディスクのチャッキング完了状態を説明する断面図である。
【図8】図3に示す上部ケースの下面に設けたサポート収納部に収納したチャックサポートのギア部と上部ケースの下面に取り付けたチャックレバーのギア部との噛み合い状態を説明する斜視図である。
【図9】図8に示す状態からチャックレバーが中間位置まで回動した状態を説明する斜視図である。
【図10】図8に示す状態からチャックレバーが終端位置まで回動した状態を説明する斜視図である。
【図11】図1に示すディスクドライブ装置の装置筐体の下部ケースとこれに収納された一対のスライドカム及び連動リンク等を表した平面図である。
【図12】図11に示す一対のスライドカムと連動リンクとチャックレバーとチャックサポートとの連結状態を説明するもので、ディスクのチャッキング前の説明図である。
【図13】図11に示す一対のスライドカムと連動リンクとチャックレバーとチャックサポートとの連結状態を説明するもので、ディスクのチャッキング完了時の説明図である。
【図14】図1に示すディスクドライブ装置の装置筐体の下部ケースを表した斜視図である。
【図15】本発明のディスクドライブ装置に係るディスク駆動部組立体と一対のスライドカムの一実施例を示す斜視図である。
【図16】図15に示す第1のスライドカムの側面図である。
【図17】図15に示す第2のスライドカムの側面図である。
【図18】図15に示すディスク駆動部組立体の動作の第1の実施例を説明するもので、図18Aはチャッキング時、図18Bはチャッキング解除時、図18Cは移動後、のそれぞれ説明図である。
【図19】図15に示すディスク駆動部組立体の動作の第2の実施例を説明するもので、図19Aはチャッキング時、図19Bはチャッキング解除時、図19Cは移動後、のそれぞれ説明図である。
【図20】本発明のディスクドライブ装置に係るディスク搬送機構の動作を示すもので、ディスク状記録媒体が挿入される前の状態の説明図である。
【図21】本発明のディスクドライブ装置に係るディスク搬送機構の動作を示すもので、ディスク状記録媒体が挿入される途中の状態の説明図である。
【図22】本発明のディスクドライブ装置に係るディスク搬送機構の動作を示すもので、ディスク状記録媒体が挿入された後の状態の説明図である。
【図23】本発明のディスクドライブ装置に係るディスク搬送機構に係るホルダアーム等を分解した説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
チャックプレートを所定範囲内で移動可能に支持するチャックサポートと、ディスク状記録媒体の出し入れに連動してスライド動作されるスライドカムと、チャックレバーとサポート昇降部と付勢部材とを設ける。チャックレバーはスライドカムによって回動され、サポート昇降部でチャックサポートを昇降動作させてチャッキング動作及びその解除動作を行う。チャッキング完了時、付勢部材は、チャックサポートにチャッキング方向に作用する付勢力を付与し、スライドカムにチャッキング方向と逆方向に作用する付勢力を付与する。これにより、チャッキング完了時におけるチャックサポートと、スライドカムと、チャックレバーのガタを抑え、ディスク回転時に発生する振動を抑制する。
【実施例1】
【0013】
以下に、本発明のディスク装着機構と、そのディスク装着機構を備えたディスクドライブ装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明のディスクドライブ装置の実施の例を示すもので、情報の再生のみならず記録も可能としたディスク記録再生装置に適用可能なディスクドライブ装置の外観斜視図ある。
【0014】
この実施例で示すディスクドライブ装置1は、ディスク状記録媒体として直径12cmの記録及び再生の可能な光ディスク2を用いて情報信号の記録(書き込み)と再生(読み出し)の双方が可能なディスク記録再生装置として構成されている。しかしながら、ディスクドライブ装置としては、再生のみが可能なディスク再生装置であってもよく、また、記録のみが可能なディスク記録装置であってもよいことは勿論である。
【0015】
従って、ディスク状記録媒体としては、何度でも書き込みが可能なCD−RWやDVD−RW、ビデオCD−RW等の光ディスクを用いることができることは勿論である。更に、CDやDVD等の再生専用の光ディスクや、1度の書き込みが可能なCD−RやDVD−R、ビデオCD−R等の光ディスクを適用することもできる。また、ディスク状記録媒体として、光磁気ディスク(MO)その他のディスク状記録媒体を用いることもできる。
【0016】
図1に示すように、ディスクドライブ装置1は、略四角形をなす中空の容器のような装置筐体3を備えている。装置筐体3は、上面及び下面に開口されたメインシャーシをなす下部ケース4と、この下部ケース4の上面を覆う蓋体のような上部ケース5とを有している。この下部ケース4と上部ケース5とで直方体をなす偏平の装置筐体3が構成されている。装置筐体3の内部には、下部ケース4に俯仰動作可能に支持されたディスク駆動部組立体6が収納されている。更に、装置筐体3の内部には、光ディスク2を装置筐体3内のディスク装着部と装置筐体3外のディスク取出部との間に搬送するディスク搬送機構7と、制御装置等が収納されている。制御装置は、ディスク駆動部組立体6とディスク搬送機構7とその他の装置や機構等を動作させる制御を行う。
【0017】
下部ケース4は、図14に示すように、平面形状が四角形をなす枠状の部材からなり、四角形の枠状をなすベース部4aと、正面部4bと、背面部4cと、左右の側面部4d,4eとを有している。ベース部4aの一側に正面部4bが連続され、他側に背面部4cが連続されていて、これらと直交する両側に左右の側面部4d,4eが連続されている。そして、互いに対向するように配置された正面部4bと背面部4cの向き合う方向が、光ディスク2の搬送される前後方向となっている。
【0018】
下部ケース4のベース部4aは、正面部4bの内側に連続する前棚部8aと、背面部4cの内側に連続する後棚部8bと、左側面部4dの内側に連続する左摺動部8cと、右側面部4eの内側に連続する右摺動部8dとを有している。ベース部4aの前棚部8aには、駆動モータ45が収納されるモータ収納部301と、ディスク搬送機構7の動力伝達系をなすギア列302を構成する複数(本実施例では5枚)のギアを回転自在に支持する複数のギア支持軸303a〜303eとが設けられている。モータ収納部301はベース部4aの下面側に開口されており、これに収納された駆動モータ45の回転軸がベース部4aに設けた貫通穴304を貫通して上方へ突出されている。
【0019】
また、下部ケース4の後棚部8bには、連動リンク111を回動自在に支持する回動軸112が設けられている。回動軸112は、所定の幅を持って左右方向に延在された後棚部8bの長手方向中間部に設置されている。この回動軸112に支持された連動リンク11は、一端が左摺動部8cの上方まで延在され、他端が右摺動部8dの上方まで延在されている。左摺動部8cと右摺動部8dは、それぞれが所定の幅を持って前後方向に延在されており、左摺動部8cには第1のスライドカム93が摺動可能に載置され、右摺動部8dには第2のスライドカム94が摺動可能に載置されている。そして、左摺動部8cの内側には、第1のスライドカム93の移動を規制する第1の仕切り壁95aが設けられ、右摺動部8dの内側には、第2のスライドカム94の移動を規制する第2の仕切り壁95bが設けられている。
【0020】
更に、下部ケース4の左右側面部4d,4eの前後2箇所(合計4箇所)には、このディスクドライブ装置1を外部装置に取り付けるための前部ブラケット306及び後部ブラケット307がそれぞれ設けられている。そして、前部ブラケット306及び後部ブラケット307の各上面部には、図示しない取付ねじのねじ軸部が挿通される挿通孔308がそれぞれ設けられている。これら前部ブラケット306及び後部ブラケット307の内側に上部ケース5が配置され、下部ケース4の上に重ね合わされている。
【0021】
図1に示すように、下部ケース4と上部ケース5は、下部ケース4の上に上部ケース5を重ね合わせた状態で、複数の固定ねじ310によりねじ止めされて、装置筐体3が分離可能に一体的に構成されている。この装置筐体3の前面の、下部ケース4と上部ケース5の合わせ部分に、光ディスク2が出し入れされるディスク出入口9が設けられている。ディスク出入口9は、左右方向に延在された横長の長穴として形成されており、横方向の長さは光ディスク2の直径よりもやや大きく(1〜2ミリ程度)形成され、縦方向の長さは光ディスク2の厚さよりも適当に大きく(5〜8ミリ程度)形成されている。
【0022】
このディスク出入口9には、光ディスク2の通過を許容するが、常時は閉じていて塵埃等の通過を阻止する防塵部材311が取り付けられている。この防塵部材311としては、例えば、不織布、プラスチックシート等で形成されたカバー部材を用いることができる。この防塵部材311には、光ディスク2を通過させるために切込み部312を設けるようにする。この切込み部312は、例えば、左右方向に延在された横長の1本の横切込みと、左右方向に適当な間隔をあけて横切込みと直交するように設けられた複数本の縦切込みと、によって構成することができる。
【0023】
この装置筐体3内において、上部ケース5の内面の前側部分には、ディスク搬送機構10が配置されて取り付けられている。このディスク搬送機構10は、図20〜図22に示すような構成を有している。即ち、ディスク搬送機構10は、ベースプレート14と、一対のホルダアーム15A,15Bと、一対の操作レバー16A,16Bと、一対の回動レバー17A,17Bと、第1のばね部材18A,18B及び第2のばね部材19A,19Bとを有している。ベースプレート14は平板状に形成されており、このベースプレート14に、一対のホルダアーム15A,15Bと、一対の操作レバー16A,16Bと、一対の回動レバー17A,17Bとが、それぞれ回動可能に支持されている。そして、第1のばね部材18A,18Bと第2のばね部材19A,19Bとが、操作レバー部材16A,16B及び回動レバー17A,17Bをそれぞれベースプレート14の面方向へ付勢する付勢部材の一具体例を示している。
【0024】
ディスク搬送機構10のベースプレート14は、上部ケース5の前後方向(光ディスク2の搬送方向)と直交する左右方向の長さが当該上部ケース5と略同じ長さに設定されていて、前後方向に適宜な幅を有している。このベースプレート14の左右方向となる長手方向の両側に、扇形とされた扇形部14a,14bが設けられている。各扇形部14a,14bの扇形の中心となる両角部には、一対のホルダアーム15A,15Bをそれぞれ回動自在に支持するための軸受部21a,21bがそれぞれ設けられている。各軸受部21a,21bは、内側半分を切り欠いた半円筒状の筒軸部として形成されており、その内部には、駆動ギアがそれぞれ回転自在に挿入されている。
【0025】
ベースプレート14の扇形部14a,14bには、表裏面間を貫通する略扇形をなす開口部24a,24bが設けられている。各開口部24a,24bには、第1のプーリ22A,22Bをそれぞれ回転自在に支持する一対のホルダアーム15A,15Bの第1のプーリ軸受部25A,25B(図23を参照)がそれぞれ貫通されている。一対のホルダアーム15A,15Bは左右対称の形状及び構成を有しており、その代表例として左側に位置する第1のホルダアーム15Aを図23に示す。
【0026】
図23に示すように、第1のホルダアーム15A(第2のホルダアーム15Bも同様)は、平面形状が略三角形に形成された板状の部材からなり、その一つの角部は丸められている。そして、丸められた角部の中心部に、ベースプレート14に設けた半円筒状の筒軸部が回動自在に嵌合される軸受穴27A(27B)が設けられている。ホルダアーム15A(15B)の一方の側縁には、所定間隔あけて第1のプーリ軸受部25A(25B)と第2のプーリ軸受部26A(26B)が設けられている。ホルダアーム15A(15B)をベースプレート14に組み立てた状態において、第1のプーリ軸受部25A(25B)は開口部24a(24b)に配置され、第2のプーリ軸受部26A(26B)は扇形部14a(14b)の外側に配置される。そして、ホルダアーム15A(15B)の回動動作を許容するため、扇形部14a(14b)の外縁は円弧状に形成されている。
【0027】
第1のプーリ軸受部25A(25B)と第2のプーリ軸受部26A(26B)は、ホルダアーム15A(15B)の一面側へ突出するように形成されている。プーリ軸受部25A(25B)は、突出側の先端に設けた先端側軸受片25aと、これに対向されたアーム側の基端側軸受片25bを有している。そして、先端側軸受片25aと基端側軸受片25bとは脚片によって連結され、所定の間隔を保持するようになされている。同様に、第2のプーリ軸受部26A(26B)は、突出側の先端に設けた先端側軸受片26aと、これに対向されたアーム側の基端側軸受片26bを有している。そして、先端側軸受片26aと基端側軸受片26bとは脚片によって連結され、所定の間隔を保持するようになされている。
【0028】
これら先端側軸受片25a,26a及び基端側軸受片25b,26bには、それぞれ側方に開口された軸受孔が設けられている。これらの軸受孔を用いて、第1のプーリ軸受部25A(25B)の先端側軸受片25aと基端側軸受片25bの間には第1のプーリ軸28が掛け渡されて両端支持されている。また、第2のプーリ軸受部26の先端側軸受片26aと基端側軸受片26bの間には、第2のプーリ軸29が、その両端を軸受孔に係合させることによって掛け渡されて両端支持されている。第1のプーリ軸28には第1のプーリ22A(22B)が回転自在に支持され、第2のプーリ軸29には第2のプーリ23A(23B)が回転自在に支持されている。
【0029】
第1のプーリ22A(22B)及び第2のプーリ23A(23B)は、光ディスク2を半径方向外側から複数個で挟んで搬送するもので、そのための周方向に連続する環状溝が外周面に設けられている。また、第1のプーリ22A(22B)には第1の出力ギア31A(31B)が一体に設けられ、第2のプーリ23A(23B)には第2の出力ギア32A(32B)が一体に設けられている。第1のプーリ22A(22B)と第2のプーリ23A(23B)は同一のものであり、第1の出力ギア31A(31B)と第2の出力ギア32A(32B)も同一のものである。
【0030】
更に、ホルダアーム15A(15B)のプーリ軸受部25A(25B),26A(26B)のある面には、5つの軸部33a〜33eが所定位置に配置されて設けられている。5つの軸部33a〜33eには、5個の中間ギア34a〜34eがそれぞれ回転自在に支持されている。第1の中間ギア34aは、その一部が軸受穴27A(27B)内に突出するように配置されており、組立後には、ディスク搬送機構10の駆動ギアと噛合される。この第1の中間ギア34aには第2の中間ギア34bが噛合されており、その第2の中間ギア34bが第1の出力ギア31A(31B)と噛合されている。第1の出力ギア31A(31B)には第3の中間ギア34cが噛合され、第3の中間ギア34cには第4の中間ギア34dが噛合されている。そして、第4の中間ギア34dには第5の中間ギア34eが噛合され、その第5の中間ギア34eが第2の出力ギア32A(32B)と噛合されている。
【0031】
ホルダアーム15A(15B)がベースプレート14に組み立てられた状態では、そのプーリ軸受部25A,26A(25B,26B)は、ベースプレート14の軸受部21a(21b)のある面側に出力ギア31A,32A(31B,32B)が突出される。この出力ギア31A,32A(31B,32B)と一体に設けたプーリ22A,23A(22B,23B)が、ベースプレート14の反対の面側に突出されている。
【0032】
かくして、ディスク搬送機構10の駆動ギアから第1の中間ギア34aに回転力が伝達されると、その回転力が第2の中間ギア34bを介して第1の出力ギア31A(31B)に伝達される。更に、第1の出力ギア31A(31B)に伝達された回転力は、第3の中間ギア34cから第4の中間ギア34d及び第5の中間ギア34eを介して第2の出力ギア32A(32B)に伝達される。その結果、第1のプーリ22A(22B)と第2のプーリ23A(23B)が共に同じ方向に回転駆動される。
【0033】
また、ホルダアーム15A(15B)のプーリ軸受部25A,26A(25B,26B)のある面には、レバー用軸部35が立設されている。レバー用軸部35は、軸受穴27A(27B)と第1のプーリ軸受部25A(25B)との間に配置されており、略円弧状に形成された押えレバー36の一端が回動可能に支持されている。押えレバー36は、5つの軸部33a〜33e又は5個の中間ギア34a〜34eの少なくとも一方と重なり合うことができる形状とされており、5個の中間ギア34a〜34eのいずれもが軸部33a〜33eから脱落するのを防止している。この押えレバー36は、第3のばね部材37によってプーリ軸受部25A(25B)から離れる方向へ付勢されている。
【0034】
第3のばね部材37のコイル部はレバー用軸部35に装着されており、そのコイル部に連続する一方のバネ片はホルダアーム15A(15B)に係止され、そのコイル部の他方に連続するバネ片が押えレバー36に係止されている。この第3のばね部材37による押えレバー36の回動を、ホルダアーム15A(15B)に設けた係止部38によって制限している。更に、押えレバー36の先端部には、ホルダアーム15A(15B)の開口部24a(24b)を貫通してプーリ軸受部25A,26A(25B,26B)と同方向に突出する操作ピン39が設けられている。操作ピン39は、ホルダアーム15A(15B)が正面側に移動するのを制限するときに使用される。この操作ピン39に対応してベースプレート14には、回動レバー17A(17B)が設けられている。
【0035】
図20〜図22に示すように、回動レバー17A(17B)は、ベースプレート14の開口部24a(24b)内に配置されており、枢軸によって回動自在に支持されている。この回動レバー17A(17B)は前後方向に延在されており、その長手方向の中途部に枢軸が設けられている。この回動レバー17A(17B)は、第2の捩りバネ19A(19B)によって前端側が内側へ付勢され、後端側が開口部24a(24b)の縁から離れる方向へ移動されている。この第2の捩りバネ19A(19B)のコイル部はベースプレート14に係止されている。そして、捩りバネ19A(19B)のコイル部に連続する一方のバネ片が回動レバー17A(17B)の先端部に係止され、そのコイル部の他方に連続するバネ片がベースプレート14に係止されている。
【0036】
また、ベースプレート14の長手方向の中間部には、左右の扇形部14a,14bと同方向に突出する中央支持部14cが設けられている。この中央支持部14cを回動中心とする一対の操作レバー16A,16Bが、ベースプレート14の軸受部21a(21b)のある面側に配置されている。一対の操作レバー16A,16Bは、それぞれ略への字形に形成されたレバー状の部材からなり、第1の操作レバー16Aの長手方向の中途部にはガイドピン41が設けられている。そして、ガイドピン41が摺動可能に係合される長穴42が、第2の操作レバー16Bの長手方向の中途部に設けられている。
【0037】
一対の操作レバー16A,16Bは、それぞれの長手方向の一端が、中央支持部14cに設けた一対の枢軸43A,43Bによって回動自在に支持されている。各枢軸43A,43Bには、第1のばね部材18A,18Bのコイル部が装着されている。この第1のばね部材18A,18Bのコイル部の一方に連続するバネ片が各操作レバー16A,16Bに係止され、そのコイル部の他方に連続するバネ片は、ベースプレート14に設けたバネ受け片にそれぞれ係止されている。この第1のばね部材18A,18Bのバネ力により、一対の操作レバー16A,16Bの各自由端側は、常時前側に付勢されている。
【0038】
一対の操作レバー16A,16Bの自由端側の先端には、一対のホルダアーム15A,15Bを回動させるためのカムピン44A,44Bが設けられている。これらのカムピン44A,44Bは、対応するホルダアーム15A,15Bに設けたカム溝に摺動可能に係合されている。その結果、一対の操作レバー16A,16Bを回動させることにより、一対のホルダアーム15A,15Bが軸受部21a,21bを回動中心として連動して回動するようになっている。
【0039】
図20は、ディスク搬送機構10の初期状態を示すもので、X字状に交差された一対の操作レバー16A,16Bは、第1のばね部材18A,18Bのバネ力によって前側に付勢されている。このとき、一対の操作レバー16A,16Bの自由端側は、ベースプレート14の前端縁と略平行をなすように延在されている。そして、一対の操作レバー16A,16Bの自由端に設けたカムピン44A,44Bの作用により、そのカムピン44A,44Bが係合されているカム溝を有する一対のホルダアーム15A,15Bは、それぞれ最も前側に位置した状態となっている。この際、各ホルダアーム15A,15Bの先端に保持されている第2のプーリ23A,23Bは、ベースプレート14の左右の扇形部14a,14bと中央支持部14cとの間に形成された切欠き部内に入り込んでいる。
【0040】
ディスク搬送機構10を上部ケース5に組み立てると、そのディスク搬送機構10はディスク出入口9の内側に配置される。このとき、ディスク搬送機構10のベースプレート14は、ディスク出入口9を通過する光ディスク2の移動軌跡の上方に配置されている。このベースプレート14の下方の光ディスク2の移動軌跡上には、ベースプレート14の左右両側に配置されている一対のホルダアーム15A,15Bの、第1のプーリ軸受部25A,25Bに支持している左右の第1のプーリ22A,22Bが位置されている。更に、光ディスク2の移動軌跡上には、第2のプーリ軸受部26A,26Bに支持されている左右の第2のプーリ23A,23Bと、左右の押えレバー36,36に設けた操作ピン39,39が位置している。そして、第1のプーリ22A,22Bは第2のプーリ23A,23Bよりも前側に位置しており、その第1のプーリ22A,22Bの内側で奥行き方向の奥側に、より接近した状態の第2のプーリ23A,23Bが位置している。
【0041】
図20〜図22は、ディスク搬送機構10を下方(光ディスク2の移動軌跡の下側)から見た動作状態を説明するものである。即ち、図20は、光ディスク2をディスク出入口9に挿入する前(又は光ディスク2がディスク出入口9から排出された後)の状態を示している。図21は、光ディスク2がディスク出入口9を通過する際(光ディスク2を挿入するか又は排出するとき)の状態を示している。そして、図22は、光ディスク2がディスク出入口9を通過した後(又は光ディスク2をディスク出入口9から排出する前)の状態を示している。
【0042】
図20に示す初期状態から、例えば、光ディスク2をディスク出入口9に挿入すると、その光ディスク2は、第1及び第2のプーリ22A,22B及び23A,23Bのうち、まず、一対の第2のプーリ23A,23Bに当接し、これらを奥側に押し込む。これにより、第1のホルダアーム15Aが、第1の軸受部21aを回動中心として図中反時計方向に回動される。この第1のホルダアーム15Aの回動に連動して、第2の操作レバー16Bが、第1の捩りバネ18Bのバネ力に抗して第2の枢軸43Bを回動中心として図中時計方向に回動される。これと同時に、第2のホルダアーム15Bは、第2の軸受部21bを回動中心として図中時計方向に回動される。この第2のホルダアーム15Bの回動に連動して、第1の操作レバー16Aが、第1のばね部材18Aのバネ力に抗して第1の枢軸43Aを回動中心として図中反時計方向に回動される。このとき、第1の操作レバー16Aのガイドピン41が第2の操作レバー16Bの長穴42内を移動するため、左右の操作レバー16A,16Bを確実且つスムースに回動させることができる。
【0043】
次に、図21に示す中途状態のように、光ディスク2がある程度挿入されると、その光ディスク2は、一対の第1のプーリ22A,22Bに当接し、これらを奥側に押し込む。これにより、一対の第2のプーリ23A,23Bが光ディスク2から離れ、第1のホルダアーム15Aが更に反時計方向に回動され、第2のホルダアーム15Bが更に時計方向に回動される。この第1のホルダアーム15A及び第2のホルダアーム15Bの回動により、第2の操作レバー16Bは第1のばね部材18Bのバネ力に抗して更に時計方向に回動される。更に、第1の操作レバー16Aは、第1のばね部材18Aのバネ力に抗して更に反時計方向に回動される。
【0044】
そして、光ディスク2が更に押し込まれ(或いは引き入れられ)、図22に示すように終端状態に近づくと、再び光ディスク2は、一対の第1のプーリ22A,22Bから離れ、一対の第2のプーリ23A,23Bに当接される。これにより、第1のホルダアーム15Aが更に反時計方向に回動され、第2のホルダアーム15Bが更に時計方向に回動される。その後、図示しないが、光ディスク2がディスク装着部まで搬送されると、一対の第2のプーリ23A,23Bが光ディスク2から離れる。そして、第1のプーリ22A,22Bと第2のプーリ23A,23Bが共に光ディスク2から離れた状態で、一対のホルダアーム15A,15Bがロックされる。
【0045】
この一対のホルダアーム15A,15Bのロック状態において、光ディスク2がディスク装着部に装着される。これにより、ディスク装着部に装着された光ディスク2に対する情報信号の記録(書き込み)及び/又は再生(読み出し)が可能となる。
この際、光ディスク2の搬送状態は、図示しないディスク搬送検出部によって検出される。ディスク搬送検出部としては、例えば、光ディスク2の移動によってオン・オフされるリミットスイッチや位置検出センサ等を用いることができる。このディスク搬送検出部の検出信号に基づいて、例えば、後述するストッパ進退機構の動作が制御され、光ディスク2がディスク取出部とディスク装着部とに選択的に搬送される。
なお、情報信号の記録再生に供された光ディスク2は、上述した動作と逆の動作を経て、ディスク搬送機構10により搬送され、ディスク出入口9から排出される。
【0046】
図11に示すように、光ディスク2を搬送するディスク搬送機構10の動力部は、下部ケース4の前棚部8aに配置されている。このディスク搬送機構10の動力部は、1個の駆動モータ45と、駆動プーリ46及び従動プーリ47と、ゴムベルト48と、5枚(合計9個)のギア49〜53とを有している。駆動モータ45は、その回転軸を上方へ突出させた状態で前棚部8aの下面にねじ止めされており、前棚部8aの上方に突出した回転軸に駆動プーリ46が固定されている。駆動プーリ46は、ゴムベルト48を介して従動プーリ47と動力伝達可能に連結されている。従動プーリ47は、前棚部8aに設けた第1のギア支持軸303aに回転自在に支持されている。
【0047】
従動プーリ47には第1のギア49が一体に設けられていて、その第1のギア49に第2のギア50の大径ギアが噛合されている。第2のギア50は、前棚部8aに設けた第2のギア支持軸303bに回転自在に支持されている。第2のギア50には小径ギアが一体に設けられており、その小径ギアに第3のギア51の大径ギアが噛合されている。第3のギア51は、前棚部8aに設けた第3のギア支持軸303cに回転自在に支持されている。第3のギア51には小径ギアが一体に設けられており、その小径ギアに第4のギア52の大径ギアが噛合されている。
【0048】
第4のギア52は、前棚部8aに設けた第4のギア支持軸303dに回転自在に支持されている。第4のギア52には小径ギアが一体に設けられており、その小径ギアに第5のギア53の大径ギアが噛合されている。第5のギア53は、前棚部8aに設けた第5のギア支持軸303eに回転自在に支持されている。第5のギア53には小径ギアが一体に設けられており、その小径ギアは、第1のスライドカム93のラック部98と噛合可能とされている。
【0049】
かくして、駆動モータ45を駆動すると、その回転軸の回転力が、駆動プーリ46からゴムベルト48を介して従動プーリ47に伝達され、その従動プーリ47と一体をなす第1のギア49から第2のギア50の大径ギアに伝達される。第2のギア50に伝達された回転力は、その小径ギアから第3のギア51の大径ギアに伝達される。第3のギア51に伝達された回転力は、その小径ギアから第4のギア52の大径ギアに伝達される。更に、第4のギア52に伝達された回転力は、その小径ギアから第5のギア52の大径ギアに伝達される。そして、第5のギア52の小径ギアが第1のスライドカム93のラック部98と噛合しているときには、その回転力がラック部98に伝達されて第1のスライドカム93が前側へ摺動される。これに対して、第5のギア52の小径ギアが第1のスライドカム93のラック部98と噛合していないときには、第5のギア52は空回りされる。
【0050】
下部ケース4の中央部に設けた開口部65内にディスク駆動部組立体6が配置されている。下部ケース4の開口部65は、前棚部8aと後棚部8bと左右の摺動部8c,8dとによって囲まれている。この開口部65内においてディスク駆動部組立体6が、後端部を回転中心として前側を上下方向へ俯仰させるように下部ケース4に姿勢変更可能に支持されている。
【0051】
図11には、ディスク駆動部組立体6のドライブホルダ66のみを図示しており、その他の部分の図示は省略しているが、図15に示すような構成のディスク駆動部組立体6を適用することができる。図15に図示したディスク駆動部組立体6並びに第1のスライドカム93及び第2のスライドカム94は、それぞれ概略構成を示すもので、図11等におけるものとその形状を若干異にしているが、その動作及び機能は略同様である。
【0052】
図15において、ディスク駆動部組立体6は、略直方体をなす偏平で枠状のドライブホルダ66と、スピンドルモータ68と、光ピックアップ70と、ピックアップ移動機構71等を備えて構成されている。スピンドルモータ68は、その回転軸に固定されたターンテーブル67を有しており、回転軸を上方へ突出させた状態でドライブホルダ66にねじ止めにより固定されている。ターンテーブル67とスピンドルモータ68とによってディスク回転機構が構成されている。また、ドライブホルダ66には、光ピックアップ70が移動可能に支持されている。そして、光ピックアップ70は、ピックアップ移動機構71によって移動可能とされている。
【0053】
ドライブホルダ66は、略長方形をなす枠状の上面部66aと、この上面部66aの外縁を囲うように設けた側面部66bと、上面部66aに対向させて設けた下面部66cと、を有している。このドライブホルダ66の長手方向一側において幅方向略中央部にスピンドルモータ68が配置されていて、その回転軸を上方へ向けた状態でネジ止めされている。スピンドルモータ68としては、例えば、ステッピングモータやDCモータ等を適用することができる。このスピンドルモータ68の回転軸69の上部に、ディスク装着部であるターンテーブル67が固定されて回転方向に一体とされている。
【0054】
図6及び図7に示すように、ターンテーブル67は、光ディスク2のセンタ穴2aの周縁部が載置される載置部67aと、そのセンタ穴2aに嵌合される嵌合部67bとを有している。ターンテーブル67の載置部67aは、光ディスク2のセンタ穴2aよりも直径をやや大きくした円盤形状をなしており、その中央部に嵌合部67bが上方へ突出するように設けられている。ターンテーブル67の嵌合部67bは、光ディスク2のセンタ穴2aに見合う大きさとされている。この嵌合部67bの内部に、リング状をなすマグネット73とヨーク74が内蔵されている。
【0055】
このターンテーブル67に内蔵されたマグネット73の吸着力により、後述するチャックプレートがターンテーブル67に吸着される。これにより、ターンテーブル67に装着された光ディスク2が、チャックプレートとターンテーブル67とで挟持されて回転方向に一体化される。このターンテーブル67に対して光ピックアップ70が、ピックアップ移動機構71の作動により所定範囲内で接近及び離反可能に構成されている。なお、マグネットは、ターンテーブル67とチャックプレートの一方にのみ設ければよいが、双方にマグネットを内蔵させる構成とすることもできる。ターンテーブル67とチャックプレートの双方にマグネットを設ける場合には、マグネットによる磁力の強度を増大させることができ、これの反作用として、マグネットの小型化を図ることができる。
【0056】
図15に示すように、光ピックアップ70は、例えば、対物レンズ75を有する2軸アクチュエータと、レーザ光を発生する半導体レーザと、光ディスクの情報記録面で反射されて戻るレーザ光を受光する光検出器等によって構成されている。2軸アクチュエータは、対物レンズ75をフォーカス方向(情報記録面と垂直をなす方向)とトラッキング方向(情報記録面と水平をなす方向)とに動かして、対物レンズ75の焦点を情報記録面に合わせるものである。この2軸アクチュエータの駆動力としては専ら電磁力が用いられており、可動部の支持方式の違いとして、板ばね方式、ワイヤ支持方式、ヒンジ方式、軸摺動方式等に分類される。この2軸アクチュエータはスライド部材76に搭載されており、ターンテーブル67に装着された光ディスク2の情報記録面に対して対物レンズ75が対向されるようになっている。
【0057】
スライド部材76は、2軸アクチュエータを収納する空間部と、レーザ光が通過する光路を有する横長のブロック状の部材からなり、その光路上に半導体レーザと光検出器等が配置されて固定されている。このスライド部材76の長手方向の両側部において、その長手方向と直交する方向に2本のガイド軸77A,77Bが貫通されている。2本のガイド軸77A,77Bは互いに平行とされていて、ドライブホルダ66の開口部を長手方向へ跨ぐように掛け渡されている。
【0058】
2本のガイド軸77A,77Bの一端は、スピンドルモータ68を挟むようにその両側に配置され、下面部66cに設けた前軸受片78A,78Bによって支持されている。また、2本のガイド軸77A,77Bの他端は、同じく下面部66bに設けた後軸受片79A,79Bによって支持されている。2本のガイド軸77A,77Bのそれぞれの端部は、下面部66bに固定された板バネ81で付勢されており、これにより、所定位置への位置決めと振動の吸収等がなされている。
【0059】
2本のガイド軸77A,77Bのうち、第1のガイド軸77Aは、スライド部材76の長手方向の一側に設けた第1の軸受部82を摺動可能に貫通している。第1の軸受部82は断面U字形の凹部からなる軸受溝を有しており、その軸受溝内に第1のガイド軸77Aが摺動可能に係合されている。また、第2のガイド軸77Bは、スライド部材76の長手方向の他側に設けた第2の軸受部83を摺動可能に貫通している。第2の軸受部83は、第2のガイド軸77Bの軸方向に所定の間隔をあけて設けた2つの軸受凸部を有し、各軸受凸部には円形の軸受穴が設けられている。この2つの軸受穴に第2のガイド軸77Bが摺動可能に挿通されている。
【0060】
第2のガイド軸77Bの、第1のガイド軸77Aと反対側には、軸心線を第2のガイド軸77Bの軸心線と平行にした送りネジ軸84が配置されている。送りネジ軸84は、送りモータ85の回転軸となっている。送りモータ85としては、例えば、ステッピングモータやDCモータ等を適用することができる。この送りモータ85は、L字状に折り曲げ形成されたモータブラケット86にネジ止めされていて、モータブラケット86が下面部66cに同じくネジ止めされている。そして、送りネジ軸84の先端部は、下面部66cの前軸受片78Bの近傍に設けた軸受片87に回動自在に支持されている。この送りネジ軸84には、スライド部材76に設けた送りナット88が摺動可能に係合されている。
【0061】
2本のガイド軸77A,77Bと送りネジ軸84と送りモータ85等によってピックアップ移動機構71が構成されている。このピックアップ移動機構71は、図示しない制御装置から供給される制御信号に基づいて動作され、その結果、光ピックアップ70が、次のように動作される。送りモータ85の駆動によって送りネジ軸84が回転されると、その回転力が送りナット88からスライド部材76に伝達される。これにより、送りネジ軸84の回転方向に応じて光ピックアップ70が、2本のガイド軸77A,77Bにガイドされて、ターンテーブル67に対して接近し、又はターンテーブル67から離反する方向に移動される。この光ピックアップ70の移動時に、光ディスク2の情報記録面に対する情報信号の記録(書き込み)及び/又は再生(読み出し)が実行される。
【0062】
このような構成を有するディスク駆動部組立体6のドライブホルダ66における側面部66bの左右方向両側には、図15に示すように、側方に突出する2つのカムピン91A,91B及び92A,92Bが設けられている。ドライブホルダ66の左側の側面部66bに位置する一対の第1のカムピン91A,91Bと、同じく右側の側面部66bに位置する一対の第2のカムピン92A,92Bは、同じカムピンを点対称をなす位置に配置することによって形成されている。
【0063】
この実施例では、第1のカムピン91A,91Bのうち、スピンドルモータ68に近い第1の前カムピン91Aの高さ位置に比べて、スピンドルモータ68から遠い第1の後カムピン91Bの高さ位置を高く設定し、前後方向で高さの段差を設けている。これに対して、第2のカムピン92A,92Bでは、スピンドルモータ68に近い第2の前カムピン92Aの高さ位置を高く設定し、スピンドルモータ68から遠い第2の後カムピン92Bの高さ位置を低く設定して、前後方向で高さの段差を設けている。なお、第1の前カムピン91Aの高さと第2の後カムピン92Bの高さは同じであり、第1の後カムピン91Bの高さと第2の前カムピン92Aの高さは同じである。
【0064】
このような構成を有するドライブホルダ66に対応させて、その左側面部には第1のスライドカム部材93を対向させて配置し、その右側面部には第2のスライドカム部材94を対向させて配置している。第1のスライドカム部材93は、下部ケース4の左摺動部8cに前後方向へ摺動可能に収納されている。また、第2のスライドカム部材94は、下部ケース4の右摺動部8dに前後方向へ摺動可能に収納されている。
【0065】
図15に示すように、左摺動部8cと中央の開口部65との間を仕切る第1の仕切り壁95aには、ドライブホルダ66に設けた第1のカムピン91A,91Bが挿通される第1の切欠き部115a,115bを対応する2箇所に設けている。同様に、右摺動部8dと中央の開口部65との間を仕切る第2の仕切り壁95bには、ドライブホルダ66に設けた第2のカムピン92A,92Bが挿通される第2の切欠き部116a,116bを対応する2箇所に設けている。
【0066】
第1のスライドカム93は、図15及び図16に示すような形状及び構成を有している。即ち、第1のスライドカム93は、細長い板状の上面部93aと、この上面部93aの幅方向の一側に連続させて設けた内側面部93bと、上面部93aの幅方向の他側に連続させて設けた外側面部93cとを有する断面形状が略コ字形の棒体からなっている。第1のスライドカム93の上面部93aには、連動リンク111の一端を回動自在に支持する第1の連結支持部96と、後述する作動レバーを回動させる上カム部97とが設けられている。第1の連結支持部96は上面部93aの長手方向の一側である後端部に配置され、上カム部97は長手方向の中間部に配置されている。
【0067】
また、第1のスライドカム93の内側面部93bには、第5のギア53の小径ギアに噛合可能とされたラック部98と、ドライブホルダ66に設けた第1のカムピン91A,91Bと摺動可能に係合される第1のカム部99とが設けられている。図16に示すように、第1のスライドカム93のラック部98は、連結支持部96と反対側の内側面部93bの先端部において、前後方向へ所定の範囲内に設けられている。また、第1のカム部99は、内側面部93bの長手方向の一側であるラック部98に近い前側に配置された第1の前カム部99Aと、連結支持部96に近い後側に配置された第1の後カム部99Bとから構成されている。第1の前カム部99Aには第1の前カムピン91Aが係合され、第1の後カム部99Bには第1の後カムピン91Bが係合されている。
【0068】
第1の前カム部99Aは、下方に開口された挿入口101aと、この挿入口101aの上部から後方へ水平に延在された下水平部101bと、斜面部101cと、上水平部101dとを有している。斜面部101cは、下水平部101bの後部から斜め上方へ延在されており、この斜面部101cの上部から後方へ水平に上水平部101dが延在されている。同様に、第1の後カム部99Bは、下方に開口された挿入口102aと、この挿入口102aの上部から後方へ水平に延在された下水平部102bと、斜面部102cと、上水平部102dとを有している。斜面部102cは、下水平部102bの後部から斜め上方へ延在されており、この斜面部102cの上部から後方へ水平に上水平部102dが延在された上水平部102dとを有している。
【0069】
第1のスライドカム93を水平にした状態において、第1の前カム部99Aの上水平部101dと第1の後カム部99Bの上水平部102dとは、同じ高さ位置となるように設定されている。これに対して、第1の前カム部99Aの下水平部101bは第1の後カム部99Bの下水平部102bよりも低い位置に設定されており、第1の前カムピン91Aと第1の後カムピン91Bとの間に設けた段差と対応するように構成されている。
【0070】
第1のスライドカム93の外側面部93cは、断面形状をL字状とすることによって側方に突出するフランジ部が設けられている。この外側面部93cのフランジ部は、左摺動部8cから第1のスライドカム93が抜け出すのを防止するためのもので、組立後に、下部ケース4に設けた抜止め片が係合されて抜け止めされている。
【0071】
また、第2のスライドカム94は、図15及び図17に示すような形状及び構成を有している。即ち、第2のスライドカム94は、細長い板状の上面部94aと、この上面部94aの幅方向一側に連続させて設けた内側面部94bと、上面部94aの幅方向他側に連続させて設けた外側面部94cとを有する断面形状が略コ字形をなす棒体とされている。第2のスライドカム94の上面部94aには、連動リンクの他端を回動自在に支持する第2の連結支持部104と、後述する駆動レバーを回動させるレバー支持部105と、後述する第1の支持アームを回動させるアーム操作部106とが設けられている。第2の連結支持部104は上面部94aの長手方向の一側である後端部に配置され、アーム操作部106は長手方向の中間部に配置されていて、第2の連結支持部104とアーム操作部106との間にレバー支持部105が配置されている。
【0072】
第2のスライドカム94の内側面部94bには、ドライブホルダ66に設けた第2のカムピン92A,92Bと摺動可能に係合される第2のカム部107が設けられている。図17に示すように、第2のカム部107は、内側面部94bの長手方向の一側であるアーム操作部106側に配置された前側の第2の前カム部107Aと、第2の連結支持部104に近い側に配置された後側の第2の後カム部107Bとから構成されている。第2の前カム部107Aには第2の前カムピン92Aが係合され、第2の後カム部107Bには第2の後カムピン92Bが係合されている。
【0073】
第2の前カム部107Aは、下方に開口された挿入口108aと、この挿入口108aの上部から前方へ水平に延在された下水平部108bと、斜面部108cと、上水平部108dとを有している。斜面部108cは、下水平部108bの前部から斜め上方へ延在されており、この斜面部108cの上部から前方へ水平に上水平部108dが延在されている。同様に、第2の後カム部107Bは、下方に開口された挿入口109aと、この挿入口109aの上部から前方へ水平に延在された下水平部109bと、斜面部109cと、上水平部109dとを有している。斜面部109cは、下水平部109bの前部から斜め上方へ延在されており、この斜面部109cの上部から前方へ水平に上水平部109dが延在されている。
【0074】
第2のスライドカム94を水平にした状態において、第2の前カム部107Aの上水平部108dと第2の後カム部107Bの上水平部109dとは、同じ高さとなるように設定されている。これに対して、第2の前カム部107Aの下水平部108bは第2の後カム部107Bの下水平部109bよりも低い位置に設定されており、第2の前カムピン92Aと第2の後カムピン92Bとの間に設けた段差と対応するように構成されている。なお、第1の前カム部99Aと第2の前カム部107A、及び、第1の後カム部99Bと第2の後カム部107Bは、その内部の構成が逆配置となっている。
【0075】
第1のスライドカム93に設けた第1のカム部99と、第2のスライドカム94に設けた第2のカム部107と、ドライブホルダ66に設けた第1のカムピン91A,91B及び第2のカムピン92A,92Bとによってサポート昇降部が構成されている。このサポート昇降部は、光ディスク2の出し入れ時に、チャックサポート171を昇降動作させてチャックプレート170によるチャッキング動作とそのチャッキング解除動作とを行うものである。
【0076】
なお、第2のスライドカム94の外側面部94cには、断面形状をL字状とすることによって側方に突出するフランジ部が設けられている。この外側面部94cのフランジ部は、右摺動部8dから第2のスライドカム94が抜け出すのを防止するためのもので、組立後に、下部ケース4に設けた抜止め片が係合されて抜け止めされている。
【0077】
図2は、下部ケース4の左摺動部8cに第1のスライドカム93を組み立て、右摺動部8dに第2のスライドカム94を組み立て、両スライドカム93,94を連動リンク111によって連結した状態を示している。第2のスライドカム94にはチャックレバー190が連結されていて、そのチャックレバー190に設けたギア部191がチャックサポート171に設けたギア部180に噛合されている。チャックサポート171は、上部ケース5の内面の略中央部に配置されている。
【0078】
図11に示すように、下部ケース4の左摺動部8cに配置された第1のスライドカム93は、コイルばね117によって常に下部ケース4の背面部4c側に付勢されている。コイルばね117は、その中心線を前後方向へ向けた状態で配置されていて、その一端は第1のスライドカム93に設けたばね受け片320に係止され、その他端は下部ケース4の左側面部4dの内側に設けたばね受けピン321に係止されている。これにより、通常、第1のスライドカム93は左摺動部8cの後方に位置している。
【0079】
このように配置された第1及び第2のスライドカム93,94が、連動リンク111によって連動可能に連結されている。連動リンク111は、略くの字状に形成されたリンク部材からなり、その長手方向の中途部に軸受穴111aが設けられている。連動リンク111の軸受穴111aには、下部ケース4の後棚部8bに設けた回動軸112が回動自在に係合されている。この回動軸112によって連動リンク111が、下部ケース4に対して水平方向へ回動自在に支持されている。
【0080】
連動リンク111の長手方向の一端には第1の連結ピン113Aが設けられ、長手方向の他端には第2の連結ピン113Bが設けられている。連動リンク111の一側は第1のスライドカム93の上方まで延在されており、その第1の連結支持部96に第1の連結ピン113Aが所定の範囲内で移動可能に連結されている。また、連動リンク111の他側は第2のスライドカム94の上方まで延在されており、その第2の連結支持部104に第2の連結ピン113Bが所定の範囲内で移動可能に連結されている。
【0081】
ここで、第1の連結ピン113Aと第2の連結ピン113Bが移動可能とされた「所定の範囲内」とは、連動リンク111の回動量を許容できる大きさ及び形状を有する空間部分をいう。これは、第1のスライドカム93と第2のスライドカム94を前後方向へ所定距離だけ移動させるために必要とされる連動リンク111の回動量を許容できる大きさ及び形状である。この実施例では、第1の連結支持部96は平面から見てL字形とされており、第2の連結支持部104は一字形とされている。これにより、第1の連結ピン113Aは、連動リンク111が水平方向へ旋回することにより、第1の連結支持部96内において前後方向及び左右方向へ所定量だけ移動することができる。また、第2の連結ピン113Bは、同じく水平方向へ旋回することにより、第2の連結支持部104内において左右方向へのみ所定量だけ移動することができる。
【0082】
図1及び図3に示すように、ディスク駆動部組立体6等が収納された下部ケース4の上面を覆う上部ケース5の略中央部には、ターンテーブル67との間で光ディスク2を着脱可能に挟持するチャックプレート170が取り外し可能に取り付けられている。チャックプレート170は、チャックサポート171を介して上部ケース5に対して、装置筐体3の高さ方向に所定の範囲内で移動可能であって、その高さ方向と直交する水平方向にも所定の範囲内で移動可能に支持されている。そのため、上部ケース5の内面の略中央部には、チャックプレート170及びチャックサポート171を回動可能に支持するためのチャック収納部172が設けられている。
【0083】
図5A及び5Bに示すように、チャック収納部172は、上部ケース5の内面に設けた下方に突出するリング状の囲い壁323の内側に設定されている。囲い壁323には、周方向の一部を切り欠くことによって形成された切欠き部324が設けられている。この切欠き部324にはチャックレバー190のギア部191が出し入れされる。更に、囲い壁323には、チャックサポート171の昇降動作を許容すると共にチャック収納部172からの抜け出しを防止するサポート係止部325が、周方向の3箇所に等間隔に配置されて設けられている。
【0084】
サポート係止部325は、囲い壁323の内側へ突出するように形成されている。このサポート係止部325は、囲い壁323の先端側に設けた先端側水平部325aと、囲い壁323の根元側に設けた基部側水平部325bと、この基部側水平部325bと先端側水平部325aとの間を斜めに連続する斜面部325cとを有している。更に、3つの先端側水平部325aには、半径方向内側に突出するロック部325dがそれぞれ設けられている。3つのロック部325dは、周方向に等角度間隔に配置されて所定の長さに設定されている。基部側水平部325bと上部ケース5の内面との間には、チャックサポート171の外フランジ部が通過可能な隙間Sが設定されている。
【0085】
また、チャック収納部172内には、囲い壁323の内側に保持されたチャックサポート171を昇降動作させるための3つのカム凸部187が設けられている。3つのカム凸部187は、同一円周上に等間隔に配置されて設けられている。各カム凸部187には、周方向の一側に傾斜された斜面部187aが設けられており、その反対側は垂直面部とされている。
【0086】
図4、図6及び図7等に示すように、チャックプレート170は、チャック本体175とマグネット176とヨークプレート177とを有している。チャック本体175は、リング状に連続する円形膨出部175aと、この円形膨出部175aの半径方向外側に連続してリング状に展開されたフランジ部175bとを有している。チャック本体175の円形膨出部175aの凹側には、リング状に形成されたマグネット176が収納されている。円形膨出部175aの凹側にはマグネット176を覆い隠すようにヨークプレート177が配置されており、このヨークプレート177をチャック本体175に固定することによってチャックプレート170が一体的に構成されている。
【0087】
図4及び図5等に示すように、チャックサポート171は、チャックプレート170よりも少し大きなリング状の部材からなっている。チャックサポート171は、外周縁の一部に設けたギア部180と、周方向に延在された3つのカム穴331と、チャックプレート170のフランジ部175bを収納できる座ぐり部332と、外周縁の3箇所に設けた外フランジ部333とを有している。3つのカム穴331は、チャック収納部172に設けた3つのカム凸部187に対応して形成されており、互いの曲率半径を同一に設定することにより、3つのカム穴331に3つのカム凸部187がそれぞれ挿入されるように構成されている。
【0088】
チャックサポート171の3つのカム穴331は、周方向に延在された円弧状の貫通溝からなり、3つのカム穴331に挿入されたカム凸部187によってチャックサポート171の回動量が規制されている。チャックサポート171を平面方向に回転すると、各カム穴331の周方向の一側又は他側がカム凸部187に当接するまで回動可能となっている。この場合、カム穴331の周方向の一側がカム凸部187の垂直面部に当接すると、それ以上のチャックサポート171の回動が防止される。その一方、カム穴331の周方向の他側がカム凸部187の斜面部187aに当接すると、その斜面部187aにガイドされて更にチャックサポート171が回動され、カム凸部187の上面に乗り上げる。これにより、チャックサポート171は、その回動動作に連動して、カム凸部187の高さ分だけ昇降動作される。
【0089】
チャックサポート171の座ぐり部332は、3つのカム穴331の内側に設定されており、その内径は、チャックプレート170のフランジ部175bの外径よりも少し大きく形成されている。このチャックサポート171の内側の穴171a内に、チャックプレート170の円形膨出部175aが適当な隙間をあけて貫通される。3つの外フランジ部333は、チャック収納部172に設けた3つのサポート係止部325に対応させて設けられている。即ち、3つの外フランジ部333は、座ぐり部332を設けた端面側において、チャックサポート171の厚さの1/3程度の厚さに設定されている。このように外フランジ部333とサポート係止部325を構成したことにより、上部ケース5の内側にチャックサポート171を回動可能に支持すると共に、その回動動作に連動して所定の高さだけ昇降動作可能としている。
【0090】
チャックサポート171のギア部180は、第1の外フランジ部333Aに隣接するように設けられていて、その歯形は、隣り合う第2の外フランジ部333Bまでの周方向長さの1/2程度にまで形成されている。このギア部180の第1の外フランジ部333A側には、2つの歯形を一体にしたストッパ歯形334が設けられている。更に、チャックサポート171の外周面には、半径方向外側に突出する3つの回転止め凸部335が設けられている。
【0091】
3つの回転止め凸部335は、3つのカム穴331の外側に形成された弾性円弧部336の外周縁にそれぞれ配置されている。弾性円弧部336は、カム穴331の外側を薄肉に形成することによって弾性を持たせており、その弾性円弧部336に回転止め凸部335形成することによって当該回転止め凸部335に適当な強さの弾性を付与している。この3つの回転止め凸部335は、囲い壁323の3つのサポート係止部325と対向する位置に形成されている。即ち、3つの回転止め凸部335は、3つのロック部325dと対向する位置では各ロック部325dに圧接され、これにより適当なばね力(付勢力)を発生させて、チャックサポート171が囲い壁323に弾性的に保持されるようにしている。一方、先端側水平部325aのロック部325d以外の部分では、3つの回転止め凸部335は3つのロック部325dに圧接されることなく、各回転止め凸部335とロック部325dとの間に摩擦力は生じないようにしている。
【0092】
このチャックサポート171のギア部180と噛合するギア部191を有するチャックレバー190は、図1〜図3及び図8〜図10に示すような構成を有している。即ち、チャックレバー190は、平面形状が山形をなすレバー部材からなり、長手方向の一端が扇形に形成されていて、その先端にギア部191が設けられている。チャックレバー190の長手方向の他端には操作ピン192が設けられている。チャックレバー190の長手方向の中間部には軸受穴が設けられており、その軸受穴に枢軸340が回動可能に嵌合されている。
【0093】
枢軸340は、上部ケース5の内面に一体に設けられていて、その枢軸340には付勢部材の一具体例を示す第1の捩りばね341のコイル部が嵌合されている。第1の捩りばね341のコイル部の一側に連続するばね片はチャックレバー190に係止され、そのコイル部の他側に連続するばね片は、チャックレバー190の回動動作を規制するガイド部342に係止されている。この第1の捩りばね341のばね力によりチャックレバー190は、常にカム穴331の一側をカム凸部187の垂直面部に近づける方向へ付勢している。
【0094】
チャックレバー190のギア部191は、チャックサポート171のギア部180に噛合される部分の一側に設けたけ欠歯部191aと、この欠歯部191aと反対側に設けた歯形規制部191bとを有している。歯形規制部191bは、ギア部191の厚みの略半分程度の厚みを有しており、歯形規制部191bの反対側にはギア部191の普通の歯形が形成されている。この歯形規制部191bは、チャックサポート171がチャック収納部172の奥側に位置する状態において、チャックレバー190のギア部191を支持してギア部180との噛み合いを確保する役割りを有する。そして、チャックレバー190がある程度回動して昇降動作が加えられると、その時点から歯形規制部191bによる規制を解除して、その後のギア部191とギア部180との噛み合いを確保する。
【0095】
チャックレバー190のギア部191の欠歯部191aは、チャックサポート171のギア部180のストッパ歯形334と対応する位置に設けられている。チャックレバー190のギア部191は、第1の捩りばね341による自由な付勢状態では、歯形規制部191b側の先端の歯がチャックサポート171のギア部180のストッパ歯形334と反対側の先端の歯に噛合している。そして、第1の捩りばね341のばね力に抗してチャックレバー190が所定量回動すると、ギア部191の欠歯部191aがギア部180のストッパ歯形334に噛合され、これ以上のチャックレバー190の回動が防止される。
【0096】
このような構成を有するチャックレバー190が、ギア部191をチャックサポート171のギア部180に噛合させた状態で、枢軸340によって上部ケース5に回動可能に取り付けられている。このとき、チャックレバー190は、2つのガイド部342によって脱落が防止され、チャックレバー190の回動力をチャックサポート171に確実に伝達できるようになされている。このとき、チャックレバー190のギア部191と反対側に設けた操作ピン192は、図12及び図13に示すように、下部ケース4に支持されている第2のスライドカム94に設けたレバー支持部105に移動可能に係合されている。
【0097】
図6は、光ディスク2のチャッキング前の状態を示しており、上部ケース5に保持されているチャックプレート170の下方にターンテーブル67が対向されている。このターンテーブル67とチャックプレート170との間に光ディスク2が挿入され、そのセンタ穴2aがターンテーブル67の略中央にセットされる。その後、ターンテーブル67が光ディスク2に近づく方向へ移動することにより、ターンテーブル67の嵌合部67bが光ディスク2のセンタ穴2a内に入り込み、そのセンタ穴2aの周縁部が載置部67bに載置される。
【0098】
これと連動するように、チャックレバー190を回動させてチャックサポート171を一方へ回動すると、チャックサポート171が3つのカム凸部187の頂上部分に移動する。これにより、チャックサポート171が最も低い位置に移動し、チャックプレート170がマグネット73等の磁力によって吸引され、チャックプレート170がターンテーブル67に吸着される。その結果、図7に示すように、光ディスク2がチャックプレート170とターンテーブル67によって挟持され、回転方向に一体とされる(チャッキング状態)。この際、チャックサポート171の外周面に設けた3つの回転止め凸部335が上部ケース5の囲い壁323のサポート係止部325の先端側水平部325aに設けたロック部325dに圧接される。この回転止め凸部335の付勢力によってロック部325dとの間に発生する摩擦力により、チャックサポート171が弾性的に支持される。
【0099】
その後、チャックレバー190を逆方向へ回動させてチャックサポート171を他方へ回動すると、チャックサポート171が3つのカム凸部187の頂上部分から各斜面部187aを経て上部ケース5側に移動する。これにより、チャックサポート171がマグネット73等の吸引力に抗して最も高い位置に移動し、そのチャックサポート171の移動力により、チャックプレート170がターンテーブル67から引き剥がされる。その結果、図6に示すような状態となり、光ディスク2の挟持状態が解除されて、光ディスク2の取り出しが可能となる(チャッキング解除状態)。
【0100】
チャックサポート171と、上部ケース5に設けたカム凸部187と、チャックレバー190とによって、チャックサポート171を所定の高さ昇降動作させる回動昇降機構が構成されている。この実施例では、チャックサポート171の水平状態を維持しつつ昇降動作させるための水平バランスが良いことから、カム凸部187とカム穴181を3個づつ等間隔に設けた例について説明した。しかしながら、カム凸部187とカム穴181は4個以上を設ける構成としてもよく、また、2つのカム凸部とカム穴を対称位置に配置する構成とすることもできる。更に、この実施例とは逆に、チャックサポートにカム凸部を設け、これに対応するカム穴又はカム溝を支持部材である上部ケース5に設ける構成とすることもできる。
【0101】
図8〜10は、回動昇降機構の動作を説明する図である。図8は、回動昇降機構の初期状態を示しており、チャックサポート171が上方に持ち上げられた状態を示している。この状態では、3つのカム凸部187は3つのカム穴181内に位置しており、チャックサポート171のギア部180の一側部にチャックレバー190のギア部191の歯形規制部191b側の先端部が噛合されている。このとき、チャックプレート170は、ターンテーブル67から十分に引き離されて、チャックサポート171に移動可能に支持されている。
【0102】
図9は、光ディスク2がある距離を搬送され、光ディスク2の外周縁が操作ピン192に当接して押圧することにより、チャックレバー190が少し回動した状態を示している。このチャックレバー190の回動により、その回動量に応じてチャックサポート171が回動される。その結果、チャックサポート171の3つのカム穴331の一側部が、上部ケース5の3つのカム凸部187の斜面部187aにガイドされて下方に移動し、チャックサポート171が下げられる。更に光ディスク2が搬送されて、所定位置であるディスク装着部まで光ディスク2が搬送されると、図10に示す状態となる。
【0103】
図10は、チャックサポート171が、最も低い位置まで移動した状態を示している。この状態では、図7に示すように、3つのカム凸部187はチャックサポート171の上面に完全に乗り上げる。これにより、チャックサポート171が上部ケース5の囲い壁323に設けたサポート係止部325の3つの先端側水平部325aのロック部325dによって弾性的に支持されてロックされる。
【0104】
また、図2及び図3等に示すように、上部ケース5の内面には、ディスク搬送機構7と協働して光ディスク2を搬送する第1の搬送支持アーム195及び第2の搬送支持アーム196と、作動アーム197が取り付けられている。作動アーム197は、第2の搬送支持アーム196を動作させるもので、2つの搬送支持アーム196,197と作動アーム197はチャックプレート170を取り囲むように配置されている。この実施例では、チャックプレート170の右側方に第1の搬送支持アーム195が配置され、チャックプレート170の左斜め後方に第2の搬送支持アーム196が配置され、チャックプレート170の左側方に作動アーム197が配置されている。そして、チャックプレート170の右斜め後方にチャックレバー190が配置されている。
【0105】
第1の搬送支持アーム195は、一端にディスク受部201を備えており、他端が第1の支持軸202によって上部ケース5に回動自在に支持されている。この第1の搬送支持アーム195は、第2の捩りばね350によってディスク受部201がチャックプレート170に近づく方向へ付勢されている。図2及び図3は、第1の搬送支持アーム195の初期位置を示しており、光ディスク2の挿入状態に応じて逐次的に時計方向に回動される。その後、光ディスク2がディスク装着部まで搬送されると、第1の搬送支持アーム195は、光ディスク2から離れて半径方向外側に移動し、その待機した状態を維持する。
【0106】
第2の搬送支持アーム196は、一端にディスク受部203を備えており、他端が回動板204によって所定の範囲内を回動可能に支持されている。回動板204は、第2の支持軸205によって上部ケース5に回動自在に支持されている。この回動板204の近傍において、作動アーム197の一端が第3の支持軸206によって上部ケース5に回動自在に支持されている。作動アーム197の他端には、搬送される光ディスク2に接触することによって押圧される入力ピン207が設けられている。この作動アーム197の一端には連結部208が設けられており、その連結部208によって回動板204と所定の範囲内で相対的に回動可能に連結されている。
【0107】
回動板204は、第3の捩りばね351によってディスク受部203がチャックプレート170に近づく方向へ付勢されている。また、作動アーム197は、第4の捩りばね352によって入力ピン207がチャックプレート170に近づく方向へ付勢されている。回動板204と作動アーム197には、互いの回動を制限するように係合されるラチェット部が設けられている。このラチェット部は、凸部と受部との組み合わせからなり、凸部が回動板204に設けられ、受部が作動アーム197に設けられている。
【0108】
第2の搬送支持アーム196は、光ディスク2の挿入状態に応じて逐次的に反時計方向に回動される。光ディスク2がディスク装着部まで搬送されるまで第2の搬送支持アーム196のディスク受部203は、光ディスク2の外周縁の一部を支持している。その後の記録・再生時には、第2の搬送支持アーム196は、光ディスク2から離れて半径方向外側に移動し、その待機した状態を維持する。
【0109】
また、作動レバー197は、光ディスク2の挿入状態に応じて逐次的に時計方向に回動され、この作動レバー197の回動によって第2の搬送支持アーム196が回動される。光ディスク2がディスク装着部まで搬送されるまで作動レバー197は光ディスク2の一方の側部を支持し、第2の搬送支持アーム196は光ディスク2の後部を支持する。その後の記録・再生時には、作動レバー197は光ディスク2から側方に離れ、また、第2の搬送支持アーム196は後方に離れ、その待機した状態を維持する。
【0110】
図18A〜18Cは、チャックプレート170に対するターンテーブル67の引き剥がし動作を説明する、第1の実施例を示すものである。この第1の実施例として示す引き剥がし機構は、図18Aに示す状態から、まず、ドライブホルダ66の前側であるターンテーブル67側を引き下げ(角度α)、そのターンテーブル67をチャックプレート170から引き剥がす(図12Bの状態)。次に、ドライブホルダ66のターンテーブル67と反対側である後側を引き下げて、ディスク駆動部組立体6を水平状態(図18Cの状態)に変化させるものである。なお、符号221及び222は、下部ケース4に対してドライブホルダ66を弾性的に支持するためのマウントインシュレータである。
【0111】
図18Aの状態では、光ディスク2は、ディスク搬送機構10と2つの搬送支持アーム195,196によって水平状態(CL)に保持されている。この状態から、第1及び第2のスライドカム93,94を前後方向に移動させてドライブホルダ66の前側を押下げ、ディスク駆動部組立体6の姿勢を前下がりの状態に変化させる。これにより、チャックプレート170は、真上から作用する力ではなく、斜め方向から作用する力を受けて、ターンテーブル67及び光ディスク2から引き剥がされることになる。そのため、ターンテーブル67に内蔵されているマグネット73とチャックプレート170に保持されているヨーク176等とが引き合う吸着力に抗して、ターンテーブル67をチャックプレート170から引き剥がすときの負荷を軽減させることができる。同時に、引き剥がすときの動作音も低減することができる。
【0112】
図19A〜19Cは、チャックプレート170に対するターンテーブル67の引き剥がし動作を説明する、第2の実施例を示すものである。この第2の実施例として示す引き剥がし機構は、図19Aに示す状態から、まず、ドライブホルダ66の前側であるターンテーブル67側を引き下げ(角度α1)、そのターンテーブル67をチャックプレート170から引き剥がす(図13Bの状態)。次に、水平状態(CL)に戻ることなく、更に前側を引き下げる(角度α2)。このとき、ドライブホルダ66の後側は略同じ高さに保持し、前側のみを続けて下げるようにして、ディスク駆動部組立体6を傾斜状態(図13Cの状態)に変化させるものである。
【0113】
図19Aの状態では、光ディスク2は、同じくディスク搬送機構10と2つの搬送支持アーム195,196によって水平状態(CL)に保持されている。この状態から、第1及び第2のスライドカム93,94を前後方向に移動させてドライブホルダ66の前側を押下げ、ディスク駆動部組立体6の姿勢を前下がりの状態に変化させる。これにより、チャックプレート170は、真上から作用する力ではなく、斜め方向から作用する力を受けて、ターンテーブル67及び光ディスク2から引き剥がされることになる。
【0114】
これにより、ターンテーブル67に内蔵されているマグネット73とチャックプレート170に保持されているヨーク176等とが引き合う吸着力に抗して、ターンテーブル67をチャックプレート170から引き剥がすときの負荷を軽減させることができる。しかも、引き剥がすときの動作音も低減することができる。更に、この実施例では、ディスク駆動部組立体6のリア側に符号400で示す空きスペースができる。そのため、この空きスペース400を占有しないことにより、装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0115】
下部ケース4、上部ケース5、チャックサポート171、チャックレバー190の材質としては、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)やPOM(ポリアセタール)等のプラスチックが好適である。しかしながら、その他のエンジニアリングプラスチックを用いることができることは勿論である。
【0116】
上述したような構成を有するディスクドライブ装置1は、例えば、次のようにして組み立てることができる。まず、下部ケース4の開口部65にディスク駆動部組立体6を配置すると共に、左摺動部8cに第1のスライドカム93を組み立て、右摺動部8dに第2のスライドカム94を組み立てる。そして、ディスク駆動部組立体6の第1のカムピン91A,91Bを第1のスライドカム93の第1のカム部99A,99Bに係合させる。これと同時に、又は前後して、ディスク駆動部組立体6の第2のカムピン92A,92Bを第2のスライドカム94の第2のカム部107A,107Bに係合させる。
【0117】
次に、連動リンク111を下部ケース4の回動軸112に嵌合し、一端の連結ピン113Aを第1のスライドカム93の第1の連結支持部96に係合させ、他端の連結ピン113Bを第2のスライドカム94の第2の連結支持部104に係合させる。次いで、下部ケース4の前部にディスク搬送機構10を組み立てる。そして、予め搬送支持アーム195,196やチャックレバー190及び作動アーム197等が組み立てられている上部ケース5を下部ケース4に組み立てる。これにより、ディスクドライブ装置1の組立作業が完了する。
【0118】
このディスクドライブ装置1の動作は、例えば、次のようなものである。図1等に示すように、光ディスク2は、装置筐体3のディスク出入口9から挿入し、このディスク出入口9から排出される。この光ディスク2が、ディスク搬送機構10等によって搬送される筐体3内の所定位置がディスク装着部であり、例えば、ターンテーブル67が該当する。また、ディスク搬送機構10等によって光ディスク2が排出側に搬送され、ディスク出入口9から所定量だけ突出して取り出し可能となった位置がディスク取出部である。
【0119】
光ディスク2を筐体3内に挿入することにより、その挿入動作に連動するようにディスク搬送機構10が動作して光ディスク2をディスク装着部まで搬送する。このとき、光ディスク2が搬送される力によって、まず、第2のスライドカム94が後方に移動し、その移動力が、連動リンク111を介して第1のスライドカム93に伝達され、第1のスライドカム93が前方に移動する。これにより、第2のスライドカム94の後方への移動に伴う第2のカム部107A,107Bの移動と、第1のスライドカム93の前方への移動に伴う第1のカム部99A,99Bの移動とにより、ディスク駆動部組立体6の前方が持ち上げられる。これにより、当初は前下がりの状態で保持されているディスク駆動部組立体6が、その前方が持ち上げられて略水平の状態に変化する。
【0120】
このディスク駆動部組立体6の動作と連動して、第2のスライドカム94が後方へ移動することにより、チャックレバー190が図12において反時計方向に回動され、図13に示す状態に変化する。このチャックレバー190の回動により、そのギア部191に噛合するギア部180を有するチャックサポート171が、チャックレバー190の回動量に応じて回動し、図12に示す状態から図13に示す状態に変化する。これにより、上述した上部ケース5の囲い壁323内に設けたチャック昇降機構の動作を介して、チャックサポート171に保持されているチャックプレート170がターンテーブル67に吸着さ
【0121】
その結果、光ディスク2がターンテーブル67とチャックプレート170とで挟持される。このとき、チャックレバー190の回動動作を介してチャックサポート171が回動されて下端位置に降下することにより、チャックサポート171に支持されているチャックプレート170が徐々に降下される。そのため、マグネット73の磁力によってチャックプレート170が急速に引き付けられるのを防ぐことができ、チャックプレート170が衝撃音を伴って光ディスク2及びターンテーブル67に衝突するのを防止することができる。これにより、チャッキング動作が完了し、光ディスク2に対する情報信号の記録(書き込み)及び/又は再生(読み出し)が可能となる。
【0122】
本発明によれば、チャッキング完了時に、チャックサポート171と第2のスライドカム94とチャックレバー190のガタを抑える付勢力を付与する構成とした。そのため、光ディスク2が回転する際に発生する振動を抑制し、騒音の少ないディスクドライブ装置を提供することができる。即ち、本発明によれば、チャッキング完了時、チャックレバー190に第1の捩りばね341のばね力を付加し、そのギア部191をチャックサポート171のギア部180に付勢するようにした。そのため、チャックレバー190のギア部191を常にチャックサポート171のギア部180に付勢して、その間のガタを無くすようにしたため、そのガタによる振動の発生を防ぐことができる。
【0123】
また、第1の捩りばね341のばね力は、チャックレバー190の操作ピン192を第2のスライドカム94を後方へ付勢するばね力として作用するため、同時に第2のスライドカム94との間のガタを無くすことができる。そのため、第2のスライドカム94のガタによる振動の発生を防ぐことができる。更に、第1の捩りばね341のばね力は、チャックサポート171の動作方向及び第2のスライドカム94の動作方向とそれぞれ逆方向となるように作用するため、上記ガタの発生を効果的に防止し又は抑制することができる。
【0124】
この際、第2のスライドカム94の付勢時には、チャックサポート171に設けた3つの回転止め凸部335が囲い壁323に設けたロック部325dに当接され、弾性円弧部336のばね力によって回転止め凸部335がロック部325dに押圧される。これにより、チャックサポート171がチャック収納部172においてロックされる一方、チャックレバー190のギア部191とチャックサポート171のギア部180との間を離間させることができる。しかも、両ギア部180,191間の隙間は、その歯形のバックラッシュ分であるため、特別な構造を採用したり特別な部品を設ける必要がないから、コストアップを招くことも無い。
【0125】
以上説明したように、本発明によれば、チャッキング完了時にチャックサポートとスライドカムとチャックレバーとに、それぞれのガタを抑える付勢力を与える構成としたため、ディスク回転時に発生する振動を抑制することができる。
【符号の説明】
【0126】
1‥ディスクドライブ装置、 2‥光ディスク(ディスク状記録媒体)、 3‥装置筐体、 4‥下部ケース、 5‥上部ケース、 6‥ディスク駆動部組立体、 9‥ディスク出入口、 10‥ディスク搬送機構、 66‥ドライブホルダ、 67‥ターンテーブル、 68‥スピンドルモータ、 70‥光ピックアップ、 71‥ピックアップ移動機構、 73‥マグネット、 74‥ヨーク、 93‥第1のスライドカム、 94‥第2のスライドカム、 111‥連動リンク、 113A,113B‥連結ピン、 170‥チャックプレート、 171‥チャックサポート、 172‥チャック収納部、 176‥マグネット、 180‥ギア部(第1のギア部)、 187‥カム凸部、 190‥チャックレバー、 191‥ギア部(第2のギア部)、 191a‥欠歯部、 191b‥歯形規制部、 192‥操作ピン、 323‥囲い壁、 325‥サポート係止部、 325d‥ロック部、 334‥ストッパ歯形、 335‥回転止め凸部、 336‥弾性円弧部、 341‥第1の捩りばね(付勢手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク状記録媒体をターンテーブルとの間でチャッキング可能なチャックプレートを前記ターンテーブルの直径方向及びこれと直交する軸方向に所定範囲内で移動可能に支持すると共に外周縁の一部に第1のギア部を有するチャックサポートと、
前記ディスク状記録媒体の出し入れに連動してスライド動作されるスライドカムと、
前記第1のギア部に噛合される第2のギア部を有し且つ前記スライドカムのスライド動作により回動されるチャックレバーと、
前記ディスク状記録媒体の出し入れ時に前記チャックサポートの回転によりチャックサポートを昇降動作させて前記チャックプレートによるチャッキング動作及びチャッキング解除動作を可能としたサポート昇降部と、
チャッキング完了時、前記チャックサポートにチャッキング方向に作用する付勢力を付与する付勢部材と、前記スライドカムにチャッキング方向と逆方向に作用する付勢力を付与する付勢部材と、を設けた
ディスク装着機構。
【請求項2】
前記付勢部材は、前記チャックレバーに対してもチャッキング方向と逆方向に作用する付勢力を付与する
請求項1記載のディスク装着機構。
【請求項3】
前記付勢部材は、前記チャックレバーに回転方向のばね力を付与する捩りばねであり、
前記捩りばねの付勢力で前記スライドカムを付勢するようにした
請求項2記載のディスク装着機構。
【請求項4】
チャッキング完了時、前記第1のギア部と前記第2のギア部との噛合を解除して前記チャックレバーを前記チャックサポートから離間させるようにした
請求項3記載のディスク装着機構。
【請求項5】
前記第1のギア部と前記第2のギア部との間のバックラッシュ分により前記チャックレバーを前記チャックサポートから離間させるようにした
請求項4記載のディスク装着機構。
【請求項6】
ディスク状記録媒体をターンテーブルとの間でチャッキング可能なチャックプレートを前記ターンテーブルの直径方向及びこれと直交する軸方向に所定範囲内で移動可能に支持すると共に外周縁の一部に第1のギア部を有するチャックサポートと、
前記ディスク状記録媒体の出し入れに連動してスライド動作されるスライドカムと、
前記第1のギア部に噛合される第2のギア部を有し且つ前記スライドカムのスライド動作により回動されるチャックレバーと、
前記ディスク状記録媒体の出し入れ時に前記チャックサポートの回転によりチャックサポートを昇降動作させて前記チャックプレートによるチャッキング動作及びチャッキング解除動作を可能としたサポート昇降部と、
チャッキング完了時、前記スライドカムにチャッキング方向と逆方向に作用する付勢力を付与する付勢部材と、を設け、
前記チャックレバーの持つばね力により前記チャックサポートに付勢力を付与する
ディスク装着機構。
【請求項7】
チャッキング完了時、前記スライドカムと前記チャックレバーとの連動を解除して前記チャックレバーを前記スライドカムから離間させるようにした
請求項6記載のディスク装着機構。
【請求項8】
ターンテーブルを回転駆動するディスク回転機構と、
前記ターンテーブルとの間でディスク状記録媒体をチャッキング可能なチャックプレートを有するディスク装着機構と、
前記ターンテーブルと前記チャックプレートとの間でチャッキングされて回転駆動される前記ディスク状記録媒体に対して情報信号の記録及び/又は再生を行うピックアップ装置と、を備え、
前記ディスク装着機構は、
前記ターンテーブルの直径方向及びこれと直交する軸方向に所定範囲内で前記チャックプレートを移動可能に支持すると共に外周縁の一部に第1のギア部を有するチャックサポートと、
前記ディスク状記録媒体の出し入れに連動してスライド動作されるスライドカムと、
前記第1のギア部に噛合される第2のギア部を有し且つ前記スライドカムのスライド動作により回動されるチャックレバーと、
前記ディスク状記録媒体の出し入れ時に前記チャックサポートの回転によりチャックサポートを昇降動作させて前記チャックプレートによるチャッキング動作及びチャッキング解除動作を可能としたサポート昇降部と、
チャッキング完了時、前記チャックサポートにチャッキング方向に作用する付勢力を付与する付勢部材と、前記スライドカムにチャッキング方向と逆方向に作用する付勢力を付与する付勢部材と、を設けた
ディスクドライブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−96321(P2011−96321A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249527(P2009−249527)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】