説明

ディスク装置およびその装置におけるディスク2枚同時挿入防止方法

【課題】 ディスクの2枚同時挿入を精度良く防止する「ディスク装置」を提供する。
【解決手段】 ディスク装置は、ディスクの半径方向(X方向)に移動可能であり、かつディスクの外周縁をガイドする案内部材11と、案内部材11に対向して配置され、案内部材11との間でディスクを挟持するとき、案内部材11に沿ってディスクを搬送させる搬送手段20と、挿入口15からディスクが挿入されたことを検知する挿入検知スイッチ14、29と、挿入検知スイッチ14、29の検知結果に応答して案内部材11と搬送手段20をディスクの半径方向に移動させ、案内部材11と搬送手段20との挟持間隔Wxを可変する移動制御手段61とを有する。案内部材11には、ディスクの外周縁と当接する溝11a、11b、11cが形成されるとともに、挿入口側の溝内に当該溝の高さを制限するリブ100、102が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(コンパクトディスク)やDVD(ディジタル・バーサタイル・ディスク)などのディスクの再生や記録を可能とするディスク装置に関し、特に、ディスク装置におけるディスク2枚挿入防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用のチェンジャ型ディスク装置では、挿入口から挿入されたディスクをディスク搬送機構によって内部へローディングし、複数枚のディスクをその厚み方向に並べて保持可能なストック部を備えている。ストック部内の選択されたディスクを搬送機構によってプレイ位置へ搬送し、そこでディスクを回転駆動し、光ピックアップによりディスクの再生または記録を行っている。また、挿入口から挿入されたディスクをプレイ位置へ搬送し、そこでディスクの再生または記録し、その後に、ストック部内にストックすることも可能である。
【0003】
特許文献1は、チェンジャ型ディスク装置に関し、案内部材と搬送手段とでディスクを挟持してディスクを搬送する際に、ディスクを検知スイッチで検知することができなくなったとき、案内部材と搬送手段での挟持動作を繰り返し、さらに挟持状態でディスクを回転させて検知スイッチの動作状態を確認するものである。これにより、ディスクを挟持した状態を検知できる確率を改善するものである。
【0004】
特許文献2は、駆動ユニット内にクランプされたディスクを挿入口から排出させ、またはストック部内のディスクホルダに収容させる際に、一連の動作の途中でエラーが生じたときに、それ以前に動作を確認できるステップへ戻してから動作を再開させ、これによりエラーを解消できる確率高くするものである。
【0005】
図7は、特許文献2に開示されるディスク装置の内部構造を下方から示す斜視図、図8はその平面図、図9は図8のIII−III線断面図、図10はディスク装置の内部構造を示す側面図である。筐体10の一側面には、ディスクを筐体内に挿入し、または筐体内のディスクを外部へ排出するためのスリット状の挿入口15が形成されている。筐体10の内部には、ディスクの挿入・排出方向Y1−Y2に延在する案内部材11と、これに対向する搬送手段20とが設けられている。案内部材11は、第2の移動部材7を介してディスクの半径方向(X1−X2)に移動可能であり、搬送手段20は第1の移動部材6を介してディスクの半径方向(X1−X2)に移動可能である。第1、第2の移動部材6、7は、設定モータMにより半径方向(X1−X2)に移動可能であり、それによって案内部材11と搬送手段20との間隔Wxが調整される。
【0006】
案内部材11の内側の側面には、V字型溝11aが形成されている。V字型溝11aは、搬送手段20との間でディスクを挟持するとき、ディスクの外周縁と接触される。搬送手段20は、複数の搬送ローラ21、22、23、24を含み、それらは伝達ギヤ25、26、27によって接続されている。これにより、搬送ローラ21、22、23、24は、すべて同一方向に回転される。案内部材11と搬送手段20とによってディスクを挟持するとき、搬送ローラを時計方向に回転させると、ディスクがV字型溝11aに接触しながらそこを回転して転がり、筐体10内のクランプ位置またはストック部3へ搬送される。
【0007】
案内部材11の挿入口近傍には、検知アーム12が設けられている。検知アーム12は、軸13を中心に時計回りおよび反時計回りに回転可能に支持され、且つ図示しない付勢部材により反時計回り方向に付勢されている。また、検知アーム12には、案内部材11の排出側の端部に位置する検知片12aが形成され、案内部材11のガイド溝11a内にガイドされて移動するディスクDの外周縁によって検知片12aがX2方向へ押されると、検知アーム12が時計回り方向に回動する。検知アーム12の他端には、押圧片12bが形成され、押圧片12bが挿入検知スイッチ14のアクチュエータに対向している。検知アーム12が時計回り方向に回動させられると、押圧片12bによって挿入検知スイッチ14がON状態に切り換えられる。
【0008】
検知アーム12が反時計回り方向に回動し、検知片12aが案内部材11のガイド溝11aのY2側端部を覆っている状態のときには、押圧片12bが挿入検知スイッチ14のアクチュエータから離れ、挿入検知スイッチ14がOFF状態に切り換えられる。
【0009】
第1の移動部材6には、支持軸を支点として、一定の角度範囲で回動可能な回動アーム28が設けられ、第1の搬送ローラ21はこの回動アーム28の先部に支持されている。回動アーム28は、引張りコイルスプリングなどの付勢部材によって常に時計回り方向に付勢され、移動部材6上には、回動アーム28が反時計方向へ所定角度回動したときにON状態となる挿入検知スイッチ29が設けられている。
【0010】
挿入口15からディスクDが挿入されると、挿入検知スイッチ14または29のいずれかがON状態となり、その後、案内部材11と搬送手段20によってディスクDが再生位置またはストック部3へ搬送されるようになっている。
【0011】
【特許文献1】特開2003−208746
【特許文献2】特開2003−217220
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来のディスク装置には次のような課題がある。図11(a)に示すように、案内部材11の側面にはV字溝11aが形成される。V字溝11aにつながる上面11bと底面11cの高さ方向の寸法Hは、ディスクDの厚さdよりも幾分大きい。ディスクDがV字型溝内に挿入されたとき、その外周縁がV字溝11a内の接触位置Pで接触し、この接触抵抗によりディスクDのスリップが防止され、ディスクが回転されながら搬送される。
【0013】
いま、ここに2枚のディスクを挿入すると、図11(b)に示すように、V字溝11aからは外れるが、V字溝から延在する上面11bおよび底面11cの間に挿入されてしまう。このとき、ディスクDの外周縁はV字溝11aから外れることで接触抵抗が低下し、搬送力が弱まり、積極的に2枚のディスクが内部に引き込まれることはない。しかし、ユーザーが強制的に2枚のディスクを内部へ押し込めば、ディスクDは上面11bおよび底面11cの間を摺動し、内部へと入ってしまう。2枚のディスクが同時に筐体内部に挿入されてしまうと、ディスクの脱落などによりディスクを搬送させることができない、いわゆるメカニカルスタックが発生し、その結果、内部からディスクを取り出すことができなくなったり、ディスク装置の故障を引き起こす原因ともなっていた。
【0014】
一方、2枚のディスクの同時挿入を防ぐ手段として、挿入口の高さ方向の寸法を2枚分のディスクの厚さよりも小さくすることも可能であるが、デザイン面の制約や、排出時にディスクがぶつかってしまいディスクを容易に排出し得ないなどの障害があり、実用化には至っていない。また、図11(b)のように、2枚のディスクが同時に挿入された場合の接触位置をP1とすると、1枚のディスクが挿入されたときの接触位置Pとの差分Sは、S=P−P1であり、その大きさは2mm程度である。言い換えれば、ディスクが2枚同時に挿入されたときの案内部材11と搬送手段20との間の距離の変化分は約2mmであり、これを精度よく検知することは困難であった。
【0015】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決し、2枚のディスクの同時挿入を精度良く防止し、かつ、ディスク装置の故障を低減可能なディスク装置およびディスク装置における挿入異常防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るディスク装置は、挿入口から挿入されたディスクを内部へ導入し、また内部のディスクを挿入口から排出させる機構を備え、さらに、ディスクの半径方向に移動可能であり、かつディスクの外周縁をガイドするガイド手段と、ガイド手段に対向して配置され、ガイド手段との間でディスクを挟持するとき、ガイド手段に沿ってディスクを搬送させる搬送手段と、挿入口からディスクが挿入されたことを検知する挿入検知手段と、挿入検知手段の検知結果に応答してガイド手段と搬送手段の間隔を可変する制御手段とを有し、前記ガイド手段にはディスクの外周縁と当接するための溝が形成されるとともに、挿入口近傍の溝内において当該溝の高さ方向の寸法を制限する突出部が形成されている。
【0017】
さらに、本発明に係るディスクの挿入異常防止方法は、ディスクの半径方向に移動可能であり、かつディスクの外周縁をガイドする溝を備えたガイド手段と、ガイド手段に対向して配置され、ガイド手段との間でディスクを挟持するとき、ガイド手段に沿ってディスクを搬送させる搬送手段と、挿入口からディスクが挿入されたことを検知する挿入検知手段と、挿入検知手段の検知結果に応答してガイド手段と搬送手段の間隔を可変する移動制御手段とを備えるディスク装置において、挿入口近傍の溝内において、溝の高さ方向の寸法を制限する突出部を形成し、2枚のディスクが挿入口から挿入されたとき、突出部により一方のディスクが溝内に挿入するのを防止するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るディスク装置によれば、ガイド手段にディスクの外周縁と当接する溝を形成し、かつ、挿入口近傍の溝内に当該溝の高さ方向の寸法を制限する突出部を形成したことにより、複数枚のディスクを同時に挿入しようとした場合、それらの溝内への挿入を防止することができる。さらに、強制的に複数枚のディスクの挿入を行おうとしても、ディスクが突出部に当接することでガイド手段がディスク半径方向に必要以上に広がるため、ディスクの挿入異常、すなわち複数枚のディスクの同時挿入を容易に検知することができる。そして、挿入異常が生じたときには、ディスクを強制的に排出させることで、ディスク装置内のメカニカルにスタックや故障を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係るディスク装置は、好ましくは、複数のディスクををストック可能な車載用ディスク装置において実施される。以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0020】
ディスク装置1の基本的な構造は、図7ないし図10に示したディスク装置と同様であり、同一構成については同一参照番号を付してある。本実施例のディスク装置1は、直径が8cmのディスク(小径ディスク)と、直径12cmのディスク(大径ディスク)のそれぞれのCD(コンパクトディスク)またはDVD(ディジタル・バーサタイル・ディスク)などの各種ディスクの再生や記録が可能である。直径が12cmの大径ディスクは、ディスク装置のストック部3にストックすることが可能であり、ストックされた任意のディスクを選択し、再生や記録を行うことが可能である。
【0021】
本実施例では、2枚のディスクの同時挿入を防止する手段がディスク装置に設けられている。図1は、本実施例に係るディスク装置の主要な内部構成を上方から模式的に示した平面図、図2は図1の案内部材をA−A線で切断したときの断面図である。
【0022】
図1において、筐体10の正面には、表示パネルやスイッチ類が取り付けられたノーズ部(図示省略)が設けられている。このノーズ部には、幅方向に延びるスリット状の挿入口15が形成されている。挿入口15の幅は、少なくとも大径ディスクの径よりも大きく、また挿入口15の高さは、2枚のディスクが挿入できる程度である。
【0023】
挿入口15から挿入されたディスクの挟持・搬送を行うために、筐体10の内部には案内部材11と搬送手段20とが設けられている。案内部材11と搬送手段20とは、ディスクの半径方向、すなわちX1−X2方向に移動することが可能であり、また、これらの移動は、第1、第2の移動部材6、7を介して設定モータMによって行うことも可能である。
【0024】
案内部材11には、図2(a)に示すように、その軸方向に沿ってV字型溝11aが形成されている。V字型溝11aは、上面11bおよび底面11cと連結され、上面11bおよび底面11cが案内部材11の内側の側面11dに接続される。上面11bと底面11cとの高さ方向の寸法Hは、2枚のディスクが同時に挿入し得る大きさであるが、本実施例では、上面11bと底面11cにそれぞれリブ100、102が設けられている。
【0025】
リブ100、102は、それぞれ高さh1、h2を有し、それぞれが対向する位置に配置されている。本実施例では、リブ100、102は、円筒形状であり(図1の破線)、高さは、h1=h2の関係にある。リブ100、102の間隔をL、ディスクDの厚さをdとしたとき、L=H−h1−h2であり、d<L<2dとなるように高さh1、h2を調整する。これにより、2枚のディスクが挿入口15から同時に挿入されたとしても、図2(b)に示すように、リブの間隔Lが2枚のディスクの厚さ2dよりも小さいため、一方のディスクD1は上面11bと底面11cで規定される溝内に挿入可能であるが、他方のディスクD2は、側面11dまたはリブ102に当接し、溝内に侵入することが防止される。
【0026】
上記実施例では、リブ100、102の形状を円筒形状としているが、リブの形状は特に制限されるものではない。また、リブ100、102は、案内部材11と一体成形により上面11bおよび底面11cに形成されてもよい。さらに、リブ100、102の高さh1、h2は、2枚のディスクの同時挿入を抑制することができれば、異なる高さであってもよい。また、リブ100、102は、図3(a)に示すように、互いに異なる形状であっても良いし、リブ100とリブ102は、図3(b)に示すように、互いにオフセットするように位置に配置されていても良い。さらに、リブ100、102は、案内部材11の側面11dと同一面にある必要はなく、側面11dより内側に位置していてもよい。
【0027】
次に、ディスク装置の第2の実施例について説明する。第1の実施例に係るディスク装置は、ディスクの2枚同時挿入を機械的な構造により防止するものであるが、第2の実施例に係るディスク装置は、この機械的な防止構造に加えて、電気的な制御による同時挿入防止方法を含んでいる。すなわち、第1の実施例による機械的な構造による防止対策を行った場合であっても、ディスクを内部に押し込むような強制的な力が加えられると、設定モータMの静止力に抗して案内部材11および搬送手段20が大径ディスクの径(12cm)よりも開き、ディスクが奥部に入り込んでしまうおそれがある。第2の実施例では、このような強制的にディスクが挿入された場合に、2枚のディスクの同時挿入を検知し、ディスクを強制的に排出させる制御を含んでいる。
【0028】
図4は、その制御シーケンスを実行するための構成を示すブロック図である。上記したように案内部材11のディスク挿入口近傍には、軸13を中心に回動可能な検知アーム12が取り付けられ、ディスクが挿入されたとき、検知アーム12が時計方向に回転し、挿入検知スイッチ14がON状態になる。また、搬送手段20の搬送ローラ21は、回動可能な回動アーム28の先端に取り付けられ、大径ディスクが挿入されたとき、回動アーム28が反時計方向に回転し、挿入検知スイッチ29がON状態になる。また、案内部材11には、ディスクがプレイ位置に搬送されたことを検知する第1、第2の検知スイッチ31、32が設けられている。さらに、案内部材11のX方向の位置を検知するためにリニアポジションセンサ104が設けられている。これらのスイッチ14、29、31、32およびセンサ104の出力は主制御装置61に供給される。
【0029】
主制御装置61は、モータドライバ63の駆動を制御し、設定モータMを介して案内部材11と搬送手段20のX方向の開閉距離を可変し、駆動回路63を介して搬送手段20の搬送ローラ21、22、23、24の駆動を制御する。さらに、主制御装置61は、ディスク挿入のタイムアウトを管理したり、ディスクの同時挿入を判定するためにタイマー108による時間情報を用いる。主記憶装置61の動作は、メモリ62に記憶されたプログラムに従い行われる。
【0030】
次に、ディスクの同時挿入防止のための動作を図5のフローチャートを参照して説明する。ディスク装置1の再生位置にディスクがないと判明しているとき、ユーザーからディスク挿入の要求を待受ける。なお、以下の説明において、案内部材11と搬送手段20がディスクを挟持するときのX方向の間隔Wxを、便宜上、挟持間隔Dxという。
【0031】
ユーザーによりノーズ部の操作キーが操作されると、主制御装置61は、ディスク挿入の準備状態の設定を行う(ステップS101)。すなわち、キー操作に応答してドアスイッチがオンし、図示しない機構により挿入口15のドアが開き、ディスクの挿入が可能となる。また、主制御装置61は、挟持間隔Dxを、大径ディスクを挟持するときよりも広い間隔に設定し、これにより、検知アーム12および回動アーム28を最大に閉じた状態にする。さらに主制御装置61は、駆動回路106を介して搬送ローラ21〜24がディスクを内部にローディングする方向に回転を開始させ、かつ、挿入ガイドタイマーのカウントを開始させる。こうしてディスク挿入の準備状態が整う。
【0032】
次に、主制御装置61は、案内部材11と搬送手段20に取り付けられた挿入検知スイッチ14、29の状態をチェックする(ステップS102)。主制御装置61は、挿入検知スイッチ14、29のいずれか一方がON状態になったとき、ディスクの挿入があったと判定し、挟持間隔Dxを小径ディスクを挟持することが可能な8cm位置に移動させる(ステップS103)。主制御装置61は、リニアポジションセンサ106の検出出力に基づき設定モータMを駆動し、挟持位置Dxを8cm位置にする。
【0033】
挟持間隔Dxを8cmに設定した後、ディスクが押し込まれ、主制御装置61は再び挿入検知スイッチ14、29の状態を検知する(ステップS104)。挿入検知スイッチ14、29の双方がON状態である場合、主制御装置61はさらに、挟持間隔Dxが8cmと12cmの中間位置より開いているか否かを判定する(ステップS105)。中間位置より開いていると判定したとき、主制御装置61は、大径ディスクが挿入されたと即座に判定し、挟持間隔Dxを大径ディスクを挟持可能な12cm位置へ移動する(ステップS106)。中間位置よりも開いていないとき、主制御装置61は、一定時間毎に挟持間隔を12cm位置に開かせる(ステップS107)。
【0034】
挿入検知スイッチ14、29のいずれかがON状態である場合(ステップS104)、主制御装置61は、挟持間隔Dxが8cm位置よりも開いているか否かを判定する(ステップS108)。8cm位置よりも開いていないとき、挟持間隔Dxは8cm位置へ移動もしくは8cmの位置を保ち(ステップS109)、8cm位置よりも開いているときは、一定時間毎に8cm位置に閉じる(ステップS110)。
【0035】
挿入検知スイッチ14、29の双方がOFF状態であるとき、主制御装置61は、ドアスイッチがオフになっているか否かを判定する(ステップS111)。ドアスイッチがオフである場合、主制御装置61は、ステップS101のときと同じように、ディスクの挿入準備状態を整える(ステップS112)。
【0036】
これ以降の動作は図6のフローチャートに示されており、本実施例による新規な制御シーケンスは一点鎖線で囲まれている。
【0037】
主制御装置61は、挿入異常検出タイマのカウントを開始する(ステップS113)。次に、挟持間隔Dxが12cm以上であるか否かが検知される(ステップS114)。挟持間隔Dxが12cm以上でなければ、ディスクの挿入異常はないと判定し、挿入異常検出タイマのカウントを初期化する(ステップS115)。挿入されたディスクは、搬送ローラ21、22、23、24によって内部にロードされ、第1、第2の検知スイッチ31、32のいずれかがON状態であるとき(ステップS116)、ディスクがプレイ位置に到達したと判定し、ディスクのチャッキング処理が行われる(ステップS117)。チャックング後、ディスクが回転駆動され、ディスクの再生または記録が行われる。
【0038】
一方、挟持間隔Dxが12cm以上であると検知されたとき(ステップS114)、主制御装置61は挿入異常検出タイマが一定時間(例えば、1秒)を経過しているか否かを判定する(ステップS118)。一定時間を経過しても、挟持間隔Dxが12cmに戻らない場合には、主制御装置61は、ディスクの2枚同時挿入があったと判定する(ステップS119)。
【0039】
単一の大径ディスクが挿入されたとき、その外周縁は案内部材11のV字溝11aに当接した位置Pにあり(図11(a)参照)、挟持間隔Dxは、12cm位置にほぼ等しい。従来の案内部材11の構造では、図11(b)に示すように2枚のディスクが同時挿入されたときの挟持間隔Dxは12cmよりも広がり、その差分Sは、S=P1−P(約2mm)程度でしかない。案内部材11および搬送手段20の位置決め精度や、ディスクDの半径方向の外形寸法精度を考慮すると、差分Sを精度良く検知することは困難である。これに対し、本実施例では、案内部材11の溝内にリブ100、102を設け、一方のディスクは溝内に挿入されるが、他方のディスクは溝内に挿入されずにリブ100または102に当接する(図2(b)を参照)。このときの当接位置をP2とすると、差分SはS=P2−Pとなり、言い換えれば、単一の大径ディスクが挿入されたときの挟持間隔Dx(12cm位置)のときより、その変化分が大きくなる。差分Sの大きさは、溝内のリブの取り付け位置、リブの形状によって適宜選択することが可能である。本実施例では、差分Sを約8mmと大きくすることで、主制御装置61は、ディスクの同時挿入の検出を精度よく行うことができるようしている。
【0040】
主制御装置41は、ディスクの2枚同時挿入と判定すると、ディスク挿入エラー処理として、駆動回路106を介して搬送ローラ21、22、23、24を逆回転させ(ステップS120)、同時挿入されたディスクを強制的に排出させる(ステップS121)。これにより、ディスク装置の内部のおいて、同時挿入されたディスクの機械的なスタックを防止し、故障を未然に防ぐことができる。
【0041】
また、上記ステップ112においてディスク挿入準備とされた場合、およびステップS102において挿入検知スイッチ14、29のいずれもON状態でない場合、主制御装置61は、挿入ガイドタイマーのカウント値が一定時間を経過したか否かを判定し(ステップS122)、一定時間を越えているときには、一定時間内にディスクの挿入が行われなかったとして挿入ガードタイムアウト処理を行う(ステップS123)。
【0042】
このように第2の実施例によれば、機械的な防止策に加えて電気的な制御によりディスクの2枚同時挿入を検出し、これを排除するようにしたので、ディスク挿入異常による故障を低減し、信頼性の高いディスク装置を提供することができる。
【0043】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0044】
上記第1、第2の実施例では、車載用のディスクチェンジャーを例示したが、勿論、これに限定されるものではない。ディスクのストック機能を有しないディスク装置であってもよいし、必ずしも車載用の装置である必要もない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係るディスク装置は、CDやDVD等のディスクを挿入するような電子機器において利用することができる。また、ディスク装置と他のマルチメディア機能を結合した装置であってもよく、ナビゲーションシステム、オーディオ・ビデオ(AV)システムなどにおいて利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施例に係るディスク装置の内部構成を示す模式的な平面図である。
【図2】図1の案内部材のA−A線断面図である。
【図3】リブの変形例を説明する断面図である。
【図4】第2の実施例に係るディスク装置のディスク同時挿入防止の制御シーケンスを実行するためのブロック図である。
【図5】第2の実施例に係るディスクの2枚同時挿入防止のための動作フローチャートである。
【図6】第2の実施例に係るディスクの2枚同時挿入防止のための動作フローチャートである。
【図7】従来のディスク装置の内部構造を下方から示す斜視図である。
【図8】図7のディスク装置の平面図である。
【図9】図8のIII−III線断面図である。
【図10】ディスク装置の内部構造を示す側面図である。
【図11】従来のディスク装置におけるディスクの2枚同時挿入を説明する図である。
【符号の説明】
【0047】
1:ディスク装置 11:案内部材
11a:V字型ガイド 11b:上面
11c:底面 11d:側面
12:検知アーム 28:回動アーム
14、29:挿入検知スイッチ 20:搬送手段
21、22、23、24:搬送ローラ 31、32:検知スイッチ
61:主制御装置 63:モータドライバ
100、102:リブ 104:リニアポジションセンサ
106:駆動回路 108:タイマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入口から挿入されたディスクを内部へ導入し、また内部のディスクを挿入口から排出させる機構を備えたディスク装置であって、
ディスクの半径方向に移動可能であり、かつディスクの外周縁をガイドするガイド手段と、
ガイド手段に対向して配置され、ガイド手段との間でディスクを挟持するとき、ガイド手段に沿ってディスクを搬送させる搬送手段と、
挿入口からディスクが挿入されたことを検知する挿入検知手段と、
挿入検知手段の検知結果に応答してガイド手段と搬送手段のディスク半径方向の間隔を可変する制御手段とを有し、
前記ガイド手段には、ディスクの外周縁と当接するための溝が形成されるとともに、挿入口近傍の溝内において、当該溝の高さ方向の寸法を制限する突出部が形成されている、ディスク装置。
【請求項2】
前記溝は、V字型の溝と、該V字型溝から延在する上面および底面を有し、前記突出部は、少なくとも上面および底面のいずれか一方の面に形成される、請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記突出部は、前記上面および底面のそれぞれ対向する位置に形成される、請求項2に記載のディスク装置。
【請求項4】
前記突出部により制限された溝の高さ方向の寸法は、ディスクが2枚重ねられたときの厚さよりも小さい、請求項1ないし3いずれか1つに記載のディスク装置。
【請求項5】
ディスク装置はさらに、前記ガイド手段と前記搬送手段との間隔を算出する間隔算出手段と、
間隔算出手段により算出された間隔が一定値よりも大きいとき、ディスク挿入異常と判定する挿入異常判定手段と、
ディスク挿入異常と判定されたとき、ディスクが挿入口へ向けて排出されるように搬送手段を制御する排出制御手段と、
を有する請求項1ないし4いずれか1つに記載のディスク装置。
【請求項6】
ディスク装置はさらに、挿入検知手段の検知結果に基づき挿入されるディスクの径を判別する径判別手段を含み、前記挿入異常判定手段は、前記径判別手段により判別される最大ディスクを挟持するときの間隔よりも一定値だけ大きいとき挿入異常と判定する、請求項5に記載のディスク装置。
【請求項7】
前記一定値は、ディスク外周縁がV字型溝内において当接したときのガイド手段と搬送手段の間隔と、ディスク外周縁が突出部に当接したときのガイド手段と搬送手段の間隔との差分である、請求項6に記載のディスク装置。
【請求項8】
前記一定値は、ガイド手段に形成される前記突出部の位置に応じて選択される、請求項7に記載のディスク装置。
【請求項9】
挿入異常判定手段は、一定期間経過後に間隔が一定値よりも大きいとき、ディスクの挿入異常と判定する、請求項5ないし8いずれか1つに記載のディスク装置。
【請求項10】
挿入異常判定手段は、ディスクの2枚同時挿入による異常であると判定する、請求項5ないし9いずれか1つに記載のディスク装置。
【請求項11】
ディスクの半径方向に移動可能であり、かつディスクの外周縁をガイドする溝を備えたガイド手段と、ガイド手段に対向して配置され、ガイド手段との間でディスクを挟持するとき、ガイド手段に沿ってディスクを搬送させる搬送手段と、挿入口からディスクが挿入されたことを検知する挿入検知手段と、挿入検知手段の検知結果に応答してガイド手段と搬送手段をディスク半径方向の間隔を可変する制御手段とを備えたディスク装置におけるディスクの挿入異常防止方法であって、
挿入口近傍の溝内において、溝の高さ方向の寸法を制限する突出部を形成し、
2枚のディスクが挿入口から挿入されたとき、突出部により一方のディスクが溝内に挿入するのを防止する、挿入異常防止方法。
【請求項12】
挿入異常防止方法はさらに、ガイド手段と搬送手段との間隔を算出するステップと、
算出された間隔が一定値よりも大きいとき、挿入異常と判定するステップとを有する、請求項11に記載の挿入異常防止方法。
【請求項13】
挿入異常防止方法はさらに、挿入検知手段の検知結果に基づき挿入されたディスクの径を判別するステップを有し、挿入異常を判定するステップは、径判別ステップにおいて判別される最大ディスクを挟持するときの間隔よりも一定値だけ大きいとき挿入異常と判定する、請求項12に記載の挿入異常防止方法。
【請求項14】
挿入異常の判定ステップは、算出された間隔が一定時間経過しても一定値より大きい場合に、挿入異常と判定する、請求項12または13に記載の挿入異常防止方法。
【請求項15】
挿入異常防止方法はさらに、挿入異常と判別したとき、搬送手段を制御してディスクを挿入口へ排出させるステップを含む、請求項11ないし14いずれか1つに記載の挿入異常防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−12252(P2006−12252A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185568(P2004−185568)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】