説明

ディスク装置及びその制御方法

【課題】簡素な構成で、ラベル等の外表に異常が生じたディスクであっても確実に排出することができるディスク装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】ディスクDを挿入及び排出するためのディスク挿入口、ディスクを再生するドライブユニット40、ドライブユニット40による再生可能な再生位置とドライブユニット40から離れてディスク挿入口から排出可能な排出位置との間でディスクDを搬送するローディングローラ21を備える。ドライブユニット40は、ディスクDを回転させるターンテーブルを有する。ラベルの剥がれ若しくは浮きを有するディスクDが排出できない場合に、ローディングモータM1に対して再生位置へのディスクDの搬送を指示し、剥がれ若しくは浮きがディスク挿入口と反対側若しくは離隔した位置に来るように、スピンドルモータM2に対してディスクDの回転を指示する制御装置100を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に収容されたディスクを再生するディスク装置に係り、特に、ラベルの剥がれや浮き等の異常があるディスクの排出に改良を施したディスク装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車載用のディスク装置においては、あらかじめ複数のディスクを装置内に収納しておき、その中から所望のディスクを自動的に再生するタイプのものが広く普及している。このようなディスク装置は、ディスク再生の度にディスクを一枚づつ挿入・排出する操作を行う必要がない点で、操作性に優れている。
【0003】
特に、小型化を図ったディスク装置として、積層されたディスクホルダにディスクを収納し、このディスクホルダを昇降させて分割することにより生じたスペースに、ドライブユニットを挿入することによって、ディスクを引き出すことなく再生できるようにしたものが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−355666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、最近では、市販のディスクや個人で作成したディスクなどに、内容表示や装飾のためのラベルが貼り付けられているものが存在する。このようなディスクは、貼り付けられたラベルに剥がれ又は浮きが発生している可能性がある。ラベルの剥がれや浮きが存在するディスクを挿入した場合、ローディングには支障がなくても、ディスクの排出(イジェクト)動作時に、装置の内部の機構に引っ掛かり、排出できなくなることがある。
【0005】
これに対処するため、従来から、ディスク排出に失敗した場合に、ディスクをドライブユニットによる再生状態として、再生時の回転(正回転)を行うことによってディスクの位置をずらして、再度イジェクト動作をさせるという手法があった。しかし、このような単純な正回転の繰り返しでは、結局、機構的に不利な位置になるに過ぎず、必ずしもディスク排出に繋がらない可能性が高い。
【0006】
一方、ディスク装置に、ディスクのラベルの剥がれや浮きを押える部材や機構を追加することも考えられる。しかし、かかる部材や機構の追加は、部品点数と組み立て工数の増大となり、製造コストがかかるとともに、装置内に余分なスペースが必要となり、装置が複雑化、大型化する。
【0007】
本発明は、以上のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、簡素な構成で、ラベル等の外表に異常が生じたディスクであっても確実に排出することができるディスク装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ディスクを挿入及び排出するための挿排部と、ディスクを再生する再生部と、前記再生部による再生可能な再生位置と前記再生部から離れて前記挿排部から排出可能な排出位置との間でディスクを搬送する搬送部と、を備えたディスク装置において、前記再生部は、ディスクを回転させる回転部を有し、外表に異常部を有するディスクが排出できない場合に、前記搬送部に対して前記再生位置へのディスクの搬送を指示し、前記異常部が前記挿排部と反対側若しくは離隔した位置に来るように、前記回転部に対してディスクの回転を指示する制御装置と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項7記載の発明は、ディスクを挿入及び排出するための挿排部と、ディスクを再生する再生部と、前記再生部による再生可能な再生位置と前記再生部から離れて前記挿排部から排出可能な排出位置との間でディスクを搬送する搬送部と、を備えたディスク装置を、コンピュータ若しくは電子回路により制御するディスク装置の制御方法において、前記再生部は、ディスクを回転させるスピンドルモータを有し、前記搬送部は、駆動源となるローディングモータを有し、前記コンピュータ若しくは電子回路は、判定部と、搬送指示部と、回転指示部とを有し、前記判定部は、前記ローディングモータの動作に基づいて、ディスクの排出の可否を判定し、前記搬送指示部は、前記判定部がディスクの排出ができないと判定した場合に、前記再生位置へディスクが搬送されるように、前記ローディングモータに対して動作を指示し、前記回転指示部は、前記再生位置に搬送されたディスクが、排出不可の原因となった外表の異常部が、前記挿排部と反対側若しくは離隔した位置に来るように、前記スピンドルモータに動作を指示し、前記搬送指示部は、ディスクが排出されるように、前記ローディングモータに対して動作を指示することを特徴とする。
【0010】
以上のような請求項1記載の発明では、ディスクに異常部があることによって排出できない場合に、その異常部が、ディスクの挿排部から遠ざかる位置に移動するので、異常のない側からディスクを排出させることができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のディスク装置において、前記異常部は、前記ディスクに貼付されたラベルの剥がれ若しくは浮きであることを特徴とする。
以上のような請求項2記載の発明では、ラベルの剥がれ若しくは浮きのない部分から排出させることができるので、ラベルが内部の機構に引っ掛かって故障することが回避される。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載のディスク装置において、前記異常部が前記挿排部と反対側若しくは離隔した位置に来てディスクが停止するように、前記異常部が当接する当接部を有することを特徴とする。
以上のような請求項3記載の発明では、制御装置が厳密な回転制御をしなくとも、当接部によってディスクの回転が適切な位置で停止する。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスク装置において、前記当接部は、前記再生部の一部であることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスク装置において、前記回転部は、前記ディスクが載置されするターンテーブルを有し、前記再生部は、前記ターンテーブルに対してディスクを着脱するディスククランプ手段を有し、前記当接部は、前記ディスククランプ手段の一部であることを特徴とする。
以上のような請求項4、5記載の発明では、特別な部材や機構を追加することなく、ディスクの回転を適切な位置で停止させることができる。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1記載のディスク装置において、前記異常部が前記挿排部と反対側若しくは離隔した位置に来たことを検出する検出手段を有することを特徴とする。
以上のような請求項6記載の発明では、異常部の位置を検出手段により検出することにより、所望の位置で確実に停止させることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、簡素な構成で、ラベル等の外表に異常が生じたディスクであっても確実に排出することが可能なディスク装置及びその制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下には、本発明を適用した車載用のディスク装置の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。なお、また、以下の図面においては、下方がディスク装置の正面側(前方)、上方が背面側(後方)である。
【0017】
[概略構成]
本実施形態は、基本的には、図1に示すように、上記の特許文献1で示したディスク装置に適用されるものである。すなわち、本実施形態は、複数のホルダプレートを昇降可能に積層したディスクホルダ(図示せず)に対して、ディスクDを挿排する装置であり、(1)〜(4)の構成を備えている。
【0018】
(1)正面側のディスク挿入口(挿排部、図示せず)からディスクホルダへのディスクの搬入の際に、ディスクDの左縁が当接することによりディスクDの移動をガイドするディスクガイド10
(2)ディスクホルダに対するディスクの挿排を行うローディングローラ21を備えたローディングブロック20(搬送部)
(3)ディスクDの縁に接離する方向に移動可能に設けられたディスクストッパ30,31
(4)ディスクホルダ間に振込み可能に設けられ、ターンテーブル41等のディスクDの再生に必要な部材を備えたドライブユニット40(再生部)
【0019】
[ディスクガイド]
ディスクガイド10は、本体内を昇降可能に設けられたドライブシャーシユニット(図示せず)の左部に設けられており、ディスクDの左縁に接離して、ディスクDを把持若しくは解放する保持部11が設けられている。そして、ディスクガイド10は、その前端における軸12を中心に回動可能に構成されている。さらに、ディスクガイド10には、後述するローディングブロック20のピン22が挿通されたカム穴13が形成されている。
【0020】
[ローディングブロック]
ローディングローラ21を備えたローディングブロック20は、前後にスライド移動可能に設けられている。そして、ローディングローラ21は、図示しないローディングモータM1(図2参照)によって回転可能に設けられている。回転するローディングローラ21は、上方のローディングプレート23の下面との間でディスクDを挟持して、ディスクDを搬送することができる。
【0021】
また、ローディングブロック20には、ディスクホルダからディスクDが引き出される際に、ディスクDの縁に当接してディスクDを左方に付勢する付勢ガイド24が設けられている。この付勢ガイド24は、水平方向に回動可能に設けられ、図示しないスプリングによって、図中反時計方向に付勢されている。
【0022】
さらに、ローディングブロック20は、その左側後方に水平方向のプレートを有し、このプレートの後端に、上述のピン22が設けられている。このピン22 は、ローディングブロック20が前方( ディスクD から退避する方向) にあるときには、カム穴13の前端にあり、ディスクガイド10は、その保持部11がディスクD から離れる位置にある。また、ピン22は、ローディングブロック20が後方(ディスクD を挟持する方向) にあるときには、カム穴13の後端にあり、ディスクガイド10は回動して、その保持部11がディスクDの左縁を把持する位置にある。
【0023】
[ディスクストッパ]
ディスクストッパ30,31は、ディスクホルダに収納されたディスクDのうち、再生するディスクDをローディングローラ21との間で把持してホルダプレートを退避させた後、再生時に解放する手段である。このディスクストッパ30,31は、ディスクDの縁に接離する把持部30a,31aを有している。なお、ディスクストッパ30,31、ローディングブロック20、ディスクガイド10を、ディスクDに接離する方向に駆動するための機構等については、種々の態様が可能であり、説明を省略する。
【0024】
[ドライブユニット]
ドライブユニット40は、ドライブシャーシユニットに回動可能に設けられたドライブベース(図示せず)上に設けられ、ドライブベースの回動に従ってディスクホルダ間に振込み可能に設けられている。
【0025】
ドライブユニット40は、ディスクDが載置されるターンテーブル41、ターンテーブル上にディスクを押さえるクランパリング43を備えたクランパアーム42(ディスククランプ手段)等、ディスクDの再生に必要な部材が配設されている。例えば、ターンテーブル41を回転させるスピンドルモータM2(図2参照)、ディスクDの信号を読み取るピックアップユニット、ピックアップユニットを移動させるスレッドモータ、ギア機構及び送りねじ等が配設されている。
【0026】
なお、ドライブユニット40の振込みのためにホルダプレートを昇降させる機構、ドライブシャーシユニットとともにドライブユニット40を昇降させる機構、ドライブベースを回動させる機構、クランパアーム42を開閉させる機構等についても、種々の態様が可能であり、説明を省略する。
【0027】
[制御装置]
上記の各構成部は、所定のプログラムで動作するコンピュータ若しくは電子回路による制御装置によって、装置内の各部に配置されたスイッチやセンサ等の検出手段の検出結果に基づいて、各構成部を駆動するモータの作動を制御することによって行われる。
【0028】
特に、図2に示すように、本実施形態の制御装置100は、一般的な手段の他に、判定部101、搬送指示部102、回転指示部103を有している。判定部101は、ローディングモータM1の停止等によってディスクDが排出できないことを検出する手段である。
【0029】
搬送指示部102は、判定部101によりディスクDが排出できないことが検出された場合に、ディスクDを引き込むようにローディングモータM1へ回転を指示し、ディスクDの逆回転後、ディスクDを排出するようにローディングモータM1へ回転を指示する手段である。回転指示部103は、ターンテーブル41へ装着されたディスクDが、再生時とは逆に回転するように、スピンドルモータM2へ回転を指示する手段である。
【0030】
[作用]
以上のような本実施形態の作用を、以下に説明する。
[ディスク再生動作]
まず、ディスクDの再生動作を、図3及び4の構成図を参照して説明する。すなわち、ディスク挿入口からのディスクDの挿入がセンサによって検知されると、ローディングモータM1が正方向(ディスク挿入方向)に回転することにより、ディスクDが装置内に引き込まれて、各ホルダプレートの上部に収納しておくことができる。
【0031】
そして、ディスク再生時には、ホルダプレートに収納されたディスクDのうち、所望のディスクDの高さに、ドライブユニット40が移動する。また、図3に示すように、ローディングブロック20が後方に移動することにより、ディスクDに接するディスクガイド10の保持部11、ディスクストッパ30,31の把持部30a,31a、ローディングローラ21及びローディングプレート23によって、ディスクDが保持される。
【0032】
この状態で、該ディスクDの上下のホルダプレートを分割退避させる。このようにホルダプレートが退避することによって生じたスペースに、ドライブユニット40を振り込ませる。そして、クランパアーム42のクランパリング43によって、ドライブユニット40のターンテーブル41にディスクDがクランプされる。また、図4に示すように、ローディングブロック20が前方に移動することにより、ディスクガイド10、ディスクストッパ30,31、ローディングローラ21がディスクDから離れる。その後、ピックアップユニットによってディスクDの情報が読み取られる。
【0033】
[ディスク排出動作]
次に、ディスクDの排出動作を、図5〜7の構成図、図8のフローチャートを参照して説明する。すなわち、ディスクDを排出する際には、図5に示すように、ディスクガイド10、ディスクストッパ30,31、ローディングローラ21によってディスクDを保持した状態で、ローディングモータM1により回転するローディングローラ21によって、ディスクDを排出位置へ移動させる(ステップ801)。
【0034】
ディスクDが正常であれば、ディスクDは、そのままディスク挿入口から排出される(ステップ802)。一定量のディスクDの排出により、ディスクイジェクトは完了し、ローディングモータM1は停止する(ステップ803)。
【0035】
一方、図5に示すように、ディスクDに貼付したラベルに剥がれ若しくは浮き(図中、網掛け部分)がある等、何等かの原因により、ディスクDを排出できない場合がある(ステップ802)。このとき、制御装置100の検出部101は、ローディングモータM1の停止等の負荷変動によって、ディスクDが排出できないことを検出し、搬送指示部102が、ローディングモータM1が正回転するように指示を出力する。これにより、ディスクDが装置内に再度引き込まれる(ステップ804)。
【0036】
さらに、搬送指示部102は、ローディングモータM1の逆回転を指示することにより、ディスクDを排出位置へ移動させる。再度の引き込みにより原因が解消していれば、ディスクDは、そのままディスク挿入口から排出される(ステップ805)。一定量のディスクDの排出により、ディスクイジェクトは完了し、ローディングモータM1は停止する(ステップ803)。
【0037】
しかし、ラベルの剥がれ若しくは浮きが大きい場合には、再度の引き込み後であっても、ローディングブロック20に引っかかり、ディスクDを排出できない場合がある(ステップ805)。このとき、検出部101が、ローディングモータM1の停止等の負荷変動によって、ディスクDが排出できないことを検出し、搬送指示部102が、ローディングモータM1が正回転するように指示を出力する。これにより、ディスクDが装置内に再々度引き込まれる(ステップ806)。
【0038】
この場合、上記のように、ディスクDは、ディスクガイド10、ディスクストッパ30,31及びローディングローラ21によって保持されており、分割されたディスクホルダ間に、ドライブユニット40を振り込ませ、ドライブユニット40のターンテーブル41とクランパアーム42のクランパリング43とによって、ディスクDをクランプする(ステップ807)。
【0039】
そして、図6に示すように、ディスクDをディスクガイド10、ディスクストッパ30,31及びローディングローラ21から解放した後、回転指示部103がスピンドルモータM2へ回転指示を出力すると、ディスクDが再生時とは逆に回転する(ステップ808)。このときの駆動電圧の印加は、ディスクDの惰性での回転も考慮して、ごく短時間でよい。
【0040】
逆回転したディスクDは、ラベルの剥がれ若しくは浮き部分が、ディスク挿入口に対して離れた位置(後方位置)において、ドライブユニット40のクランパアーム42に当接することにより、停止する(ステップ809)。これにより、ラベルの剥がれ若しくは浮きの部分は、ディスク挿入口とは反対側に来るので、ラベルの剥がれや浮きのない側がディスク挿入口側となる。
【0041】
このように、剥がれ若しくは浮き部分が後方に移動した状態で、図7に示すように、ディスクガイド10、ディスクストッパ30,31、ローディングローラ21によってディスクDを保持する(ステップ810)。そして、搬送指示部102が、ローディングモータM1の逆回転を指示することによって、ディスクDを排出位置へ移動させる(ステップ811)。
【0042】
ディスクDは、剥がれや浮きのない正常な部分から、ディスク挿入口へと排出される(ステップ812)。一定量のディスクDの排出により、ディスクイジェクトは完了し、ローディングモータM1は停止する(ステップ803)。このように、一定量のディスクDが排出されれば、ユーザは手で引っ張り出すことができる。剥がれや浮きが多数存在する等、上記の手順によってもディスクDの引っかかりを解消できず、ディスクDを排出できない場合には(ステップ812)、装置を停止する(ステップ813)。
【0043】
[効果]
以上のような本実施形態によれば、ディスクDのラベルに剥がれや浮き等の異常部があることによって排出できない場合に、ディスクDを引き込んで再生時とは逆回転させることにより、その異常部をディスク挿入口から遠ざかる位置に移動させて、異常のない側からディスクDを排出させることができる。これにより、ラベルが内部の機構に引っ掛かる等、ディスク排出時の故障を回避して、信頼性の高い装置を構成できる。
【0044】
また、逆回転させたディスクDは、異常部がクランパアーム42に当接することにより、後方位置で自動的に停止する。したがって、厳密な回転制御が不要になるとともに、特別な部材や機構を追加する必要もないので、余分なコストがかからず、装置が大型化することもない。
【0045】
[他の実施形態]
本発明は、上記のような実施形態に限定されるものではない。ディスク装置の具体的な構成は、自由である。例えば、ディスクガイドやディスクストッパは、必ずしも必須の構成ではない。また、搬送部は、ディスクを移動させることができるものであればよく、ローディングローラによるものには限定されない。再生部についても、振込み式のものである必要はない。
【0046】
ラベルの剥がれや浮き部分に当接してディスクを停止させるのは、クランパアームには限定されず、再生部の一部であってもよいし、別途ストッパを設けてもよい。ラベルの剥がれや浮き部分を検出するセンサを配設し、このセンサにより剥がれや浮きを検出した時点(若しくはその時点から所定量回転した時点)で、ディスクを停止させるようにしてもよい。センサは、物理的な接触を検出するものでも、光学式の非接触のものでもよい。
【0047】
また、上記の実施形態では、ディスクを再度引き込んだ後に、さらにイジェクトを試行して、これができない場合にディスクの再々引き込み、回転へと移行していた。しかし、このような再引き込み動作を省略して、最初にイジェクトできなかった場合に、ディスクの引き込み、回転へと移行してもよい。ディスクの引き込み、ディスクの回転、ディスクのイジェクトを、複数回繰り返してもよい。
【0048】
ディスクを引き込んだ後の回転方向についても、ディスクを停止させる部材やセンサの位置に応じて異なるため、必ずしも逆方向である必要はない。たとえば、図9に示すように、ドライブユニットが、上記の実施形態と反対側から振り込まれる場合には、正回転させることにより、異常部が後方に達することになる。
【0049】
ラベルの剥がれ又は浮き等の異常部を定位させる位置についても、ディスク挿入口と反対側が理想であるが、ディスク挿入口から露出したディスクが引き出し可能となる程度にまでイジェクト可能であれば、ディスク挿入口からある程度離れた位置でもよい。例えば、異常部がディスクDの半径よりも後方にあれば、イジェクトに問題はない(但し、これには限定されない)。
【0050】
ディスクの外表の異常についても、典型的にはラベルの剥がれ又は浮きであるが、ディスクのイジェクトを阻害するような種々の異常も含まれる。例えば、ディスクに、ユーザの意図しないシール、ゴミ、その他の付着物が付着することにより、ディスクが排出できなくなった場合にも、適用可能である。
【0051】
また、本発明は、CDやDVD等を扱うディスク装置に適しているが、これに限定されるものではなく、平板状の記録媒体に広く適用可能である。さらに、本発明は、車載用のディスク装置に適しているが、これに限定されるものではなく、据置型、ポータブル型等、種々のディスク装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明のディスク装置の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1の実施形態における制御装置を示すブロック図である。
【図3】図1の実施形態のディスク挿入時を示す平面図である。
【図4】図1の実施形態のディスク再生時を示す平面図である。
【図5】図1の実施形態のディスク排出ができない状態を示す平面図である。
【図6】図1の実施形態のディスク回転時を示す平面図である。
【図7】図1の実施形態のディスク排出時を示す平面図である。
【図8】図1の実施形態のディスク排出処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の他の実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0053】
10…ディスクガイド
11…保持部
12…軸
13…カム穴
20…ローディングブロック
21…ローディングローラ
22…ピン
23…ローディングプレート
24…付勢ガイド
30,31…ディスクストッパ
30a,31a…把持部
40…ドライブユニット
41…ターンテーブル
42…クランパアーム
43…クランパリング
100…制御装置
101…検出部
102…搬送指示部
103…回転指示部
D…ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを挿入及び排出するための挿排部と、ディスクを再生する再生部と、前記再生部による再生可能な再生位置と前記再生部から離れて前記挿排部から排出可能な排出位置との間でディスクを搬送する搬送部と、を備えたディスク装置において、
前記再生部は、ディスクを回転させる回転部を有し、
外表に異常部を有するディスクが排出できない場合に、前記搬送部に対して前記再生位置へのディスクの搬送を指示し、前記異常部が前記挿排部と反対側若しくは離隔した位置に来るように、前記回転部に対してディスクの回転を指示する制御装置と、
を有することを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記異常部は、前記ディスクに貼付されたラベルの剥がれ若しくは浮きであることを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記異常部が前記挿排部と反対側若しくは離隔した位置に来てディスクが停止するように、前記異常部が当接する当接部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のディスク装置。
【請求項4】
前記当接部は、前記再生部の一部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスク装置。
【請求項5】
前記回転部は、前記ディスクが載置されするターンテーブルを有し、
前記再生部は、前記ターンテーブルに対してディスクを着脱するディスククランプ手段を有し、
前記当接部は、前記ディスククランプ手段の一部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスク装置。
【請求項6】
前記異常部が前記挿排部と反対側若しくは離隔した位置に来たことを検出する検出手段を有することを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項7】
ディスクを挿入及び排出するための挿排部と、ディスクを再生する再生部と、前記再生部による再生可能な再生位置と前記再生部から離れて前記挿排部から排出可能な排出位置との間でディスクを搬送する搬送部と、を備えたディスク装置を、コンピュータ若しくは電子回路により制御するディスク装置の制御方法において、
前記再生部は、ディスクを回転させるスピンドルモータを有し、
前記搬送部は、駆動源となるローディングモータを有し、
前記コンピュータ若しくは電子回路は、判定部と、搬送指示部と、回転指示部とを有し、
前記判定部は、前記ローディングモータの動作に基づいて、ディスクの排出の可否を判定し、
前記搬送指示部は、前記判定部がディスクの排出ができないと判定した場合に、前記再生位置へディスクが搬送されるように、前記ローディングモータに対して動作を指示し、
前記回転指示部は、前記再生位置に搬送されたディスクが、排出不可の原因となった外表の異常部が、前記挿排部と反対側若しくは離隔した位置に来るように、前記スピンドルモータに動作を指示し、
前記搬送指示部は、ディスクが排出されるように、前記ローディングモータに対して動作を指示することを特徴とするディスク装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−243290(P2008−243290A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82208(P2007−82208)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】