説明

ディスク装置

【課題】 単一のスレッドモータで、ヘッドの移動、搬送ローラへの動力伝達を確実に切換えることができる「ディスク装置」を提供する。
【解決手段】 スレッドモータMの動力でピニオン歯車41が駆動されてラック部材36が内周方向(Si)へ移動すると、リミットスイッチSW1がONになる。さらにラック部材36に設けられた伝達凸部36cによって伝達部材68が反時計方向へ回動させられて、切換え部材65が時計方向へ回動させられる。この切換え部材65に設けられた遊星歯車63が中継部材72とうまく噛み合わないときには、スレッドモータMを逆転し、光ヘッド31を外周方向へ移動させて、ラック部材36とピニオン歯車41とを空転させ、その後にラック部材36を内周方向へ移動させてモード切換えが確実にできるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD、DVDなどの光ディスク、または光磁気ディスク、あるいは磁気ディスクをクランプして回転駆動するディスク装置に係り、特にヘッドを移動させるスレッドモータの動力により、ディスクの搬送動作が行われるディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用のディスク装置などでは、挿入待機モードにおいて筐体内にディスクが挿入されると、このディスクが搬送ローラで搬送されて、ディスクの中心が回転駆動部(ターンテーブル)にクランプされる。このディスクに対する再生や記録を行うディスク駆動モードでは、前記回転駆動部でディスクが回転駆動され、さらにスレッドモータによってヘッドがディスクの記録面に沿って移動させられて、ディスクに記録されたデータが前記ヘッドで読み取られ、または前記ヘッドによって前記ディスクにデータが記録される。
【0003】
この種のディスク装置は、搬送ローラなどを動作させてディスクを前記回転駆動部に移送するためのモータと、ヘッドをディスクの記録面に沿って移動させるスレッドモータとを別々に設けることが必要である。そのため、複数のモータを搭載することになり、製品単価が高くなるとともに装置の重量も大きくなる。
【0004】
そこで、以下の特許文献1に記載のように、ヘッドを移動させるスレッドモータを使用して搬送ローラを駆動するものが考えられている。
【0005】
以下の特許文献1に記載のものは、ディスク駆動モードではスレッドモータによって光ヘッドが移動させられる。ディスクの駆動が完了すると、光ヘッドがディスクの内周側へ移動させられ、その移動力によってアイドラロックプレートが押され、これによりスレッドモータによるヘッドの移動力が解除されるとともに、スレッドモータの動力がディスク搬送ローラに伝達されるようになる。
【特許文献1】特開平11−195262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来例では、スレッドモータがディスクの内周側へ移動するときの移動力を利用してスレッドモータの動力を搬送ローラに伝達できるように構成することにより、モータの数を少なくできる。
【0007】
前記従来例では、ヘッドをディスクの内周側へ移動させてアイドラプレートを動作させることで、歯車どうしの噛み合いを切換えて、前記スレッドモータの動力を搬送ローラに伝達させているが、歯車どうしの噛み合いを切換えるときに、歯車の回転位相によっては歯車の歯どうしが当たって歯車がうまく噛み合わないことが有り得る。このような現象が生じると、スレッドモータでヘッドをディスクの内周側へ移動させ、前記アイドラプレートを移動させた後に、所定時間経過しても、搬送ローラが始動しないという現象が生じる。
【0008】
また、前記従来例と異なる構成として、ヘッドと共に移動するラック部材と、このラック部材に噛み合うピニオン歯車が設けられ、スレッドモータによって前記ピニオン歯車を駆動するものが考えられる。このような構造において、ヘッドと共にラック部材がディスクの内周に移動するときの移動力を利用して、スレッドモータの動力伝達経路を搬送ローラへ伝えるように構成した場合にも、同様に、搬送ローラへ動力が伝達されるように切換えるときに、歯車の歯と歯が当たって、搬送ローラへの動力の伝達経路が形成されない場合が生じる。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、ヘッドおよびラック部材を一方向へ移動させてスレッドモータの動力を搬送ローラへの動力伝達経路に切換える際に、歯車の噛み合いを確実に実現できるディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ディスク(D)を回転駆動する回転駆動部(22)と、ディスク(D)の記録面に対向して往復移動可能に支持されたヘッド(31)と、前記ヘッド(31)と共に移動するラック部材(36)と、前記ラック部材(36)と噛み合うピニオン歯車(41)と、ディスク(D)に対して前記回転駆動部(22)へ装填する移動力または前記回転駆動部(22)から排出させる移動力を与えるディスク搬送手段(28)とを有するディスク装置において、
スレッドモータ(M)の動力を、前記ピニオン歯車(41)を介して前記ラック部材(36)に与える第1の伝達経路と、前記ディスク搬送手段(28)への動力伝達経路に与える第2の伝達経路とに切換える切換え部材(65)と、
前記第1の伝達経路に切換えられている状態で、前記スレッドモータ(M)の動力で前記ヘッド(31)が第1の方向へ移動するときの移動力によって、前記切換え部材(65)を前記第2の伝達経路に切換える伝達部材(68)と、
前記第1の伝達経路に切換えられている状態で、前記スレッドモータ(M)の動力で前記ヘッド(31)が第2の方向へ移動するときに、その移動力によって、前記スレッドモータ(M)から前記ラック部材(36)への動力の伝達を空転させる空転手段と、が設けられており、
前記ヘッド(31)が前記第1の方向へ移動したことを検知部材(SW1)が検出した後に、前記第2の伝達経路に切換えられなかったときに、前記スレッドモータ(M)によって前記ヘッド(31)を前記第2の方向へ移動させて、前記空転手段を動作させるように制御されることを特徴とするものである。
【0011】
前記ディスク装置では、ヘッドを第1の方向へ移動させてディスク搬送手段への動力伝達経路が正常に形成されなかったときに、ヘッドを第2の方向へ移動させ、さらにヘッドを第1の方向へ移動させることで、ディスク搬送手段への動力伝達経路を確実に形成することができる。
【0012】
また、本発明は、前記切換え部材(65)が前記第2の伝達経路に切換えられたことを検知する第2の検知部材(SW2)が設けられ、前記検知部材(SW1)による検出の後に所定時間内に前記第2の検知部材(SW2)が動作しないときに、前記ヘッド(31)が前記第2の方向へ移動させられるものである。
【0013】
本発明は、前記空転手段を動作させることにより、前記ラック部材(36)の移動位置と、前記切換え部材(65)に設けられた歯車(63)との回転位相を変更し、その後に前記ラック部材(36)が前記第1の方向へ移動する際に、前記歯車(63)を前記第2の伝達経路に確実に噛み合せるようにできる。
【0014】
前記手段では、ヘッドを第2の方向へ移動させることで、その後にヘッドが第1の方向へ移動したときに、歯車が確実に噛み合ってディスク搬送手段へ動力を伝達できるようになる。
【0015】
例えば、本発明は、前記空転手段は、前記ラック部材(36)と前記ピニオン歯車(41)との噛み合いを解除するものである。
【0016】
さらに詳しくは、前記ラック部材(36)のラック歯(37)と、前記ピニオン歯車(41)の歯の少なくとも一方は、ラック部材(36)の移動方向に直交する直交線に対して傾斜して形成され、且つ前記ラック部材(36)は、前記移動方向に延びる移動線を支点として回動自在とされており、前記ラック部材(36)に前記第2の方向への移動力が作用したときに、前記ラック部材(36)と前記ピニオン歯車(41)との噛み合いが外れるものである。
【0017】
また、本発明は、前記ヘッド(31)と前記ラック部材(36)との間に、前記ラック部材(36)を前記第2の方向へ付勢する付勢部材(38)が設けられており、
前記ヘッド(31)が前記第1の方向へ移動したときに、前記切換え部材(65)によって、前記ラック部材(36)が前記ピニオン歯車(41)と外れる位置へ移動させられるものとして構成できる。
【0018】
また本発明は、前記スレッドモータ(M)で駆動される太陽歯車(46)とこの太陽歯車(46)に噛み合う遊星歯車(63)と、前記遊星歯車(63)が噛み合う中継部材(72)とが設けられ、前記遊星歯車(63)が前記中継部材(72)に噛み合ったときの前記遊星歯車(63)の回転力によって、前記切換え部材(65)が前記第1の伝達経路と前記第2の伝達経路とに切換えられるものにおいて有用である。
【0019】
前記手段では、前記空転手段によってラック部材とピニオン歯車との噛み合い位相を変化させることにより、前記遊星歯車と前記中継部材との噛み合い不良が発生するのを防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、スレッドモータでラック部材とヘッドを移動させて、スレッドモータの動力をディスク搬送手段への伝達経路に切換えるものにおいて、前記伝達経路を確実に形成できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1ないし図12は、本発明の第1の実施の形態のディスク装置を示すものである。図1は駆動ユニットの分解斜視図、図2ないし図5は前記駆動ユニットが外部ケース1Aに納められた状態を示すものであり、図2と図4は側面図、図3と図5は縦断面図である。図6ないし図9は、前記駆動ユニットに設けられたモード切換装置を動作別に示すものであり、図1に示す下部シャーシ11をVI矢視方向から見た底面図である。図10ないし図12は、前記底面図の部分拡大図である。図13は、ヘッドとラック部材がディスクの外周側に移動した状態を示す部分底面図、図14は図13のa−b−c−d線での断面図、図15は制御回路のブロック図、図16は制御動作のフローチャートである。
【0022】
図2に示すように、このディスク装置1は車載用であり、その外部ケース1Aは、上部筐体2と下部筐体3とが箱状に組み立てられて形成されている。外部ケース1AはY2側が前端面であり、この前端面にディスクDを挿入し且つ排出する挿入排出口9が開口している。
【0023】
この外部ケース1A内に駆動ユニット10が収納されている。図1に示すように駆動ユニット10は、下部シャーシ11と上部シャーシ12とが組み合わされたものである。
【0024】
図1と図3に示すように、下部シャーシ11には、ターンテーブル22が設けられている。下部シャーシ11の下面にはスピンドルモータ26が固定され、その駆動軸26aが下部シャーシ11の上方に突出し、前記ターンテーブル22は前記駆動軸26aに固定されている。前記ターンテーブル22と前記スピンドルモータ26とで、回転駆動部が構成されている。
【0025】
図1と図3に示すように、上部シャーシ12にはクランパ23が設けられている。このクランパ23はクランプアーム24の先部に回転自在に支持されている。クランプアーム24は、Y1側の基端部が上部シャーシ12に回動自在に支持されており、付勢ばね25により前記クランプアーム23は時計方向へ、すなわちクランパ23が下降する向きに常に付勢されている。
【0026】
図1に示すように、前記下部シャーシ11には、Y1側の左右両側部に支持ピン4,4が固定されており、図2に示すように上部筐体2に固定されたダンパー5に前記支持ピン4,4が弾性支持されている。上部シャーシ12のY2側にも支持ピン6が固定されており、この支持ピン6は、図2に示すように上部筐体2に固定されたダンパー7に弾性支持されている。
【0027】
前記ダンパー5,7はゴムなどの可撓性の袋の内部にオイルなどの流体が封入されているものである。ディスクを駆動するときは、駆動ユニット10が前記ダンパー5,7により弾性支持されて、車体振動などの外部振動が与えられても、駆動中のディスクなどに振動が直接に伝わることがなく、再生音の音飛びなどが発生するのを防止できるようになっている。
【0028】
図1に示すように、前記下部シャーシ11のY2側の両側部には、連結軸13,13が固定されており、この連結軸13,13は、上部シャーシ12の両側部に形成された連結穴14,14に回動自在に挿入されている。その結果、図2ないし図5に示すように、上部シャーシ12に対して下部シャーシ11が、前記連結軸13,13を支点として回動できるようになっている。
【0029】
前記連結軸13,13は、下部シャーシ11の前方(Y2)に設けられているため、下部シャーシ11は、その前端部を支点として後端部が上下に動くような回動動作が可能である。
【0030】
図1に示すように、下部シャーシ11のX2側の側部には、切換えスライダー15がY1−Y2方向へ直線的に摺動自在に支持されており、この切換えスライダー15に、切換え軸16が固定されている。前記上部シャーシ12の両側部には、後方(Y1方向)へ向かうにしたがって下方へ向けて傾斜する傾斜穴17が形成されて、前記切換え軸16は前記傾斜穴17内に摺動自在に挿入されている。
【0031】
図1に示すように、上部シャーシ12の左右両側部には、ロック部材18,18が設けられている。このロック部材18,18には、支持穴18a,18aが形成されており、上部シャーシ12の左右両側面に設けられた支持軸19,19に前記支持穴18a,18aが挿通されて、上部シャーシ12の側面において、ロック部材18,18が回動自在に支持されている。
【0032】
図1と図2に示すように、前記ロック部材18,18には長穴18b,18bが形成されている。また前記下部シャーシ11の左右両側部では、前記支持軸13,13よりもやや後方にロック軸21,21が固定されており、このロック軸21,21が前記長穴18b,18bに挿通されている。
【0033】
図2と図3は、ディスクを排出した後のディスクの挿入待機モードを示している。このモードでは、下部シャーシ11に設けられた切換えスライダー15がY1方向の終端に移動している。このとき、切換えスライダー15に設けられた前記切換え軸16が、上部シャーシ12の側板に形成された前記傾斜穴17の内部を後端まで移動しており、下部シャーシ11は、前記連結軸14を支点として後方部分が上部シャーシ12から下方へ離れるように傾斜している。
【0034】
前記下部シャーシ11は後方部分が下がるように傾斜するため、図2に示すように、下部シャーシ11に設けられたロック軸21によって、ロック部材18が反時計方向へ回動させられる。その結果、ロック部材18の前端18cが上部筐体2の下面に圧接され、ロック部材18の後端18dが下部筐体3の上面に圧接されて、駆動ユニット10は、上部筐体2と下部筐体3に対してロックされた状態となる。
【0035】
この挿入待機モードでは、図3に示すように、下部シャーシ11に設けられたターンテーブル22がクランパ23から離れるように下降して、ターンテーブル22とクランパ23との間に十分な隙間が形成される。
【0036】
ディスクDの挿入が検知されると、後に説明するモード切換装置30によって、下部シャーシ11に設けられた切換えスライダー15がY2方向へ移動させられる。このとき、図4に示すように、切換えスライダー15に設けられた前記切換え軸16が、上部シャーシ12に形成された傾斜穴17内を前端へ向けて移動する。よって、図5に示すように、下部シャーシ11が連結軸13を支点として時計方向へ回動し、下部シャーシ11に設けられたターンテーブル22と上部シャーシ12に設けられたクランパ23とで、ディスクDの中心穴Daの周辺がクランプされる。
【0037】
また、図4に示すように、下部シャーシ11に設けられたロック軸21が上昇するために、ロック部材18が、支持軸19を支点として時計方向へ回動させられ、ロック部材18の前端18cが上部筐体2から離れ、ロック部材18の後端18dが下部筐体3から離れる。よって駆動ユニット10は、ロックが解除され、外部ケース1A内でダンパー5と7で弾性的に支持された状態となる。
【0038】
図2に示すように、上部シャーシ12の前方にローラアーム27が設けられている。このローラアーム27はその前端部が支持軸27aによって上部シャーシ12に回動自在に支持されている。ローラアーム27の後端部分には、ディスク搬送手段を構成する搬送ローラ28のローラ軸28aが回動自在に支持されている。前記ロック部材18の前端には制御穴18eが形成されており、前記ローラ軸28aはこの制御穴18e内に挿入されて支持されている。
【0039】
図2と図3に示す挿入待機モードでは、ロック部材18が反時計方向へ回動しているため、前記制御穴18eによってローラ軸28aが持上げられている。この状態で、ディスクDが外部ケース1Aの挿入排出口9からY1方向へ挿入されると、前記搬送ローラ28とこれに対向する摺動部材(図示せず)とで前記ディスクDが挟持され、ディスクDがY1方向へ搬送される。あるいは記録や再生駆動が完了したディスクが、前記搬送ローラ28の搬送力により前記挿入排出口9から排出される。
【0040】
一方、図4と図5に示すディスク駆動モードでは、ロック部材18が時計方向へ回動させられているため、ロック部材18に形成された制御穴18eによってローラ軸28aが下降させられ、搬送ローラ28が、ターンテーブル22にクランプされているディスクDから離される。
【0041】
図4に示すように、前記上部シャーシ12のY2側の端部には、第2の検知部材となるモード検知スイッチSW2が設けられている。図4に示すように、前記ローラアーム27が反時計方向へ回動したときに、前記ローラアーム27の前端部27bによって前記モード検知スイッチSW2がONに切換えられる。すなわち、図15に示す制御部では、前記モード検知スイッチSW2がONになったことを検知することにより、ディスクDのクランプが完了してディスク駆動モードが設定されたことを認識することができる。
【0042】
図6ないし図9は、前記駆動ユニット10の下部シャーシ11を下側から見た底面図であり、下部シャーシ11を図1の状態から左右に反転させて下面を上向きにし、上方から見た図に相当している。よって、図6ないし図9では、図示右側がX2方向、図示左側がX1方向であり、挿入排出口9が位置しているY2方向は図示下側に向けられている。
【0043】
図6ないし図9では、下部シャーシ11の図示右側の側面に前記連結軸13と前記ロック軸21が突出している。また、下部シャーシ11の下面のX2側の側部では、前記切換えスライダー15がY1−Y2方向へ直線的に摺動できるように支持されている。この切換えスライダー15に前記切換え軸16が固定されており、切換え軸16は前記切換えスライダー15と共にY1−Y2方向へ移動する。切換えスライダー15のY1側の端部には支持部15aが設けられ、下部シャーシ11の下面にも支持部11aが設けられており、両支持部15aと支持部11aとの間に反転ばね29が掛けられている。
【0044】
図6の挿入待機モードでは、切換えスライダー15がY1方向へ移動しており、反転ばね29の付勢力が切換えスライダー15に対してY1方向へ作用し、切換えスライダー15はY1方向へ移動した第1の位置で安定している。図9に示すディスク駆動モードでは、切換えスライダー15がY2方向へ移動している。このとき、反転ばね29により付勢方向がY2方向へ切換えられ、切換えスライダー15はY2方向へ移動した第2の位置で安定させられる。
【0045】
前記下部シャーシ11の下面には、前記切換えスライダー15の移動を制御するモード切換装置30が設けられている。このモード切換装置30は、スレッドモータMからの動力を、光ヘッド31を移動させるスレッド動力伝達経路(第1の伝達経路)と、前記切換えスライダー15を移動させて搬送ローラ28への動力伝達経路(第2の伝達経路)とヘ切換えるためのものである。
【0046】
図6ないし図9には各種歯車が設けられている。図6ないし図9では、各種歯車のうち、噛み合いについての説明が必要なものは、歯の形状の詳細を図示しているが、特に説明を要しない歯車は、ピッチ円のみを描いてその詳細な構造の図示を省略している。
【0047】
図1に示すように、下部シャーシ11には、窓11bが開口している。下部シャーシ11の下面には光ヘッド31が設けられ、この光ヘッド31が、前記窓11bから下部シャーシ11の上面に向けて露出している。光ヘッド31の上面には、対物レンズ31aが設けられている。また光ヘッド31の内部には、前記対物レンズ31aにレーザー光を与える発光素子、およびディスクDからの反射戻り光を受光する受光素子、およびその他の光学素子が内蔵されている。
【0048】
前記下部シャーシ11の下面では、X方向とY方向の双方に傾斜して延びる、ガイド軸32とガイド部33とが互いに並行に配置されている。図6に示すように、前記光ヘッド31の一方の側部には、軸受部34aと34bが移動方向に間隔を開けて形成されており、前記軸受部34aと34bがガイド軸32に摺動自在に外挿されている。光ヘッド31の他方の側部には二股の摺動部35が形成されており、この摺動部35が、前記ガイド部33を挟むようにして摺動自在に嵌合している。よって、光ヘッド31は、前記ガイド軸32とガイド部33に案内されて、ディスクDの内周方向Siと外周方向Soに向けて移動可能とされている。この実施の形態では、内周方向Siが第1の方向であり、外周方向Soが第2の方向である。
【0049】
前記光ヘッド31には、ラック部材36が一緒に移動できるように設けられている。ラック部材36は、その長手方向の所定の範囲にラック歯37が形成されている。ラック部材36には、光ヘッド31の移動方向に間隔を開けて軸受部36a,36bが形成されている。一方の軸受部36aは、前記光ヘッド31の軸受部34aと軸受部34bとの間に位置して前記ガイド軸32に摺動自在に外挿されている。
【0050】
光ヘッド31の前記軸受部34bと、ラック部材36の軸受部36aとの間には、圧縮スプリング38が設けられ、この圧縮スプリング38は、ガイド軸32に外挿されている。前記圧縮スプリング38は、自由長から圧縮された状態で、軸受部36aと軸受部34bとの間に介装されており、その反発力によって、軸受部36aおよびラック部材36全体が外周方向(第2の方向)Soへ付勢されている。図6では、光ヘッド31に対してラック部材36が内周方向(第1の方向)Siへ引かれているため、軸受部36aが軸受部34aから離されているが、光ヘッド31とラック部材36を互いに引き離す力が作用していないときには、図9に示すように、前記圧縮スプリング38の弾性力により軸受部36aが軸受部34aに密着させられ、光ヘッド31とラック部材36とが、一体となってSo−Si方向へ移動できるようになっている。
【0051】
さらに、前記ラック部材36に設けられた軸受部36a,36bは、前記ガイド軸32に対して摺動自在で且つ回動自在に外挿されている。したがって、ラック部材36は、光ヘッド31とラック部材36の移動方向に延びる移動線、すなわちガイド軸32の軸中心線周りに回動自在に支持されている。前記圧縮スプリング48は、トーションスプリングとしても機能しており、図14に示すように、前記圧縮スプリング48の一方の腕36aは、前記ラック部材36に掛けられ、他方の腕36bは前記光ヘッド31に掛けられている。よって、前記ラック部材36は、図14において時計方向(α1方向)へ付勢されている。
【0052】
ラック部材36の側方では、下部シャーシ11の下面に軸43が固定されており、この軸43に、ピニオン歯車41と伝達歯車42とが一体となって回転するように支持されている。図6ないし図8では、前記ラック歯37がピニオン歯車41から離れているが、ラック部材36が外周方向Soへ移動するときには、図9および図13に示すようにラック歯37とピニオン歯車41とが噛み合うことができるようになっている。
【0053】
図14には、前記ピニオン歯車41の歯先41aと歯元41bが示されている。前記歯先41aと歯元41bは、軸43の軸先部から下部シャーシ11に向うにしたがって徐々に時計方向へ向くように傾斜して形成されている。図14では、ラック部材36の移動方向に直交する直交線に対して前記歯先41aと歯元41bの傾斜角度をθで示している。あるいは、歯先41aと歯元41bは、下部シャーシ11に向うにしたがって時計方向へ向くようにスパイラル状に形成されている。
【0054】
図14に示すように、前記圧縮コイルスプリング47のトーションスプリングとしての機能によって、ラック部材36のラック歯37は、ピニオン歯車41の傾斜している前記歯先41aと歯元41bに弾圧されている。そのため、ピニオン歯車41と前記ラック歯37との間のバックラッシュの発生が抑制されている。
【0055】
さらに、前記ラック歯37と前記ピニオン歯車41との間で空転手段が構成されている。図13に示すように、ピニオン歯車41が時計方向へ回転して、ラック部材36に外周方向Soへの移動力が与えられ光ヘッド31が、下部シャーシ11のストッパ部11dに当たった状態で、さらにピニオン歯車41を時計方向へ回転させると、図14に示すように、角度θだけ傾斜している前記歯先41aと歯元41bに案内されて、ラック部材36がα2方向へ回動させられて、ラック歯37が前記歯先41aと歯元41bとから外れて、ピニオン歯車41が時計方向へ空転できるようになっている。
【0056】
なお、この空転手段は、ラック部材36のラック歯37を、その移動方向の直交線に対して傾斜させることによっても構成することができる。
【0057】
図6ないし図9および図13に示すように、下部シャーシ11の下面には、第1の検知部材であるリミットスイッチSW1が設けられている。図6,図7,図8に示すように、光ヘッド31が内周方向Siの移動終端位置に至ると、前記光ヘッド31によって前記リミットスイッチSW1がONに切換えられる。また、図9と図13に示すように、前記光ヘッド31が、前記移動終端位置から外周方向Soへ向けて移動すると、前記光ヘッド31が前記リミットスイッチSW1から離れて、リミットスイッチSW1はOFFに切換えられる。
【0058】
前記伝達歯車42の側方では、下部シャーシ11の下面に軸44が固定されており、この軸44に、駆動歯車45と太陽歯車46とが一体となって回転できるように支持されている。前記太陽歯車46は前記伝達歯車42と噛み合っており、駆動歯車45は、下部シャーシ11に固定されたスレッドモータMの出力軸に設けられたウォーム歯車47と噛み合っている。
【0059】
この実施の形態では、ウォーム歯車47から、駆動歯車45、太陽歯車46、伝達歯車42、ピニオン歯車41およびラック歯37に至る経路がスレッド動力伝達経路(第1の伝達経路)となっている。
【0060】
図6に示すように、前記切換えスライダー15には噛合せ部材51が重ねられている。この噛合せ部材51は、切換えスライダー15に対して相対的にY方向へ少しだけ動くことができるように組み合わされている。噛合せ部材51のX1側に向く側面には、Y方向へ延びるラック歯52が形成されている。一方、図9に少しだけ現れているように、前記切換えスライダー15にもY方向に延びるラック歯53が形成されている。前記ラック歯52とラック歯53は同じモジュールで形成されており、図6の状態では、切換えスライダー15に形成されたラック歯53と噛合せ部材51に形成されたラック歯52とが重なっている。
【0061】
前記噛合せ部材51にはY方向へ延びる矩形状の切欠き部51aが形成されており、この切欠き部51a内に圧縮スプリング54が納められている。この圧縮スプリング54は圧縮された状態で設置されており、この圧縮スプリング54によって、切換えスライダー15上にて、噛合せ部材51が常にY1方向へ付勢されている。図6の状態では、噛合せ部材51に外力が作用しておらず、噛合せ部材51は切換えスライダー15上でY1方向へ移動した状態で組み合わされている。図6の状態から、噛合せ部材51をY2方向へ移動させると、圧縮スプリング54の弾性力に対抗して、切換えスライダー15上で噛合せ部材51がY2方向へわずかな距離だけ動くことができるようになっている。
【0062】
下部シャーシ11の下面のX2側には、軸56が固定されており、この軸56に、ピニオン歯車57と伝達歯車58とが一体となって回転できるように支持されている。図6では、ピニオン歯車57とラック歯52,53とが離れているが、図7ないし図9に示すように、切換えスライダー15と噛合せ部材51とがY2方向へ移動すると、前記ピニオン歯車57が、前記噛合せ部材51に設けられたラック歯52と、切換えスライダー15に設けられたラック歯53(図9参照)の双方に噛み合うことができる。
【0063】
前記伝達歯車58の側方では、下部シャーシ11に軸59が固定されており、この軸59に、中間歯車61と中間歯車62が一体となって回転できるように支持されている。一方の中間歯車62は前記伝達歯車58と常に噛み合っている。
【0064】
前記太陽歯車46には遊星歯車63が噛み合っている。図6ないし図8では、前記遊星歯車63が前記中間歯車61に噛み合っている。この状態のときに、ウォーム歯車47から、駆動歯車45、太陽歯車46、遊星歯車63、中間歯車61、中間歯車62、伝達歯車58、ピニオン歯車57およびラック歯52,53に至る切換え動力伝達経路が形成されている。
【0065】
前記モード切換装置30では、前記軸44に扇形状の切換え部材65が回動自在に支持されており、この切換え部材65に軸64が固定され、この軸64に前記遊星歯車63が回転自在に支持されている。この切換え部材65は、前記軸64を中心とした所定半径の円弧に沿う円周部65aと、この円周部65aの端部から半径方向に延びる係止部65bとを有している。
【0066】
図6および図10ないし図12に示すように、ラック部材36の移動経路と前記切換え部材65との間には軸67が固定されており、この軸67に伝達部材68が回動自在に支持されている。この伝達部材68の一端には伝達凹部68aが形成されている。前記ラック部材36には伝達凸部36cが一体に形成されており、ラック部材36が内周方向(第1の方向)Siへ移動する過程で、前記伝達凸部36cが前記伝達凹部68aに嵌合できるようになっている。
【0067】
図10ないし図12に示すように、前記切換え部材65には、カム部71が形成されている。このカム部71はカム溝またはカム穴であり、前記伝達部材68の他端に固定されている伝達軸69は前記カム部71に摺動自在に挿入されている。図12に示すように、このカム部71には、切換え部71aと保持部71bとが連続して形成されている。切換え部71aは軸44を中心とする半径方向に延びている。前記保持部71bは円弧形状である。図12は、伝達部材68が時計方向へ回動し、切換え部材65が反時計方向へ回動した状態を示しているが、この図12に示す状態で、前記保持部71bの中心線は、軸67の中心に対して一定の半径Rの円弧軌跡に沿って形成されている。
【0068】
図6に示すように、前記切換え部材65の円周部65aの外側では、下部シャーシ11に固定された中継部材72が設けられている。この中継部材72には、遊星歯車63の歯と噛み合う歯が、遊星歯車63の移動経路に向けて2個形成されている。図8から図9および図10から図12に示されているように、遊星歯車63が移動する途中で、遊星歯車63の歯が前記中継部材72の歯と噛み合うことができる。
【0069】
前記切換え部材65と前記切換えスライダー15との中間では、下部シャーシ11に軸73が固定されており、この軸73に拘束部材74が回動自在に支持されている。拘束部材74の左端には、フック74aが一体に形成されており、右端には当接部74bが形成されている。またこの拘束部材74は付勢部材75によって常に時計方向へ付勢されている。
【0070】
前記切換えスライダー15のX1側の側辺には、その移動方向であるY方向へ直線的に延びる規制部15bが形成されており、この規制部15bのY1側の端部には、前記規制部15bからX2方向へ窪む規制解除部15cが形成されている。図6に示す挿入待機モードでは、拘束部材74の当接部74bが前記規制部15bに当接して拘束部材74の時計方向への回動が規制されている。このとき、拘束部材74のフック74aが、切換え部材65の係止部65bに係合し、切換え部材65の反時計方向の回動が拘束されている。
【0071】
図8と図9に示すように、前記切換えスライダー15がY2方向へ移動して、規制部15bが前記当接部74bから外れると、拘束部材74が付勢部材75の付勢力によって時計方向へ回動する。そして、フック74aが係止部65bから外れて切換え部材65の拘束が解除される。
【0072】
図1および図6に示すように、下部シャーシ11のX2側の側板のY2側の先部には、伝達歯車81が回転自在に設けられている。前記搬送ローラ28の端部にはローラ歯車28cが設けられており、図2に示すように搬送ローラ28が持上げられた挿入待機モードでは、前記ローラ歯車28cと伝達歯車81とが噛み合って、前記伝達歯車81の回転力で、搬送ローラ28を正逆両方向へ回転駆動できるようになる。
【0073】
図6に示すように、下部シャーシ11では、前記伝達歯車81およびこれと一体のかさ歯歯車82が回転自在に支持されている。前記下部シャーシ11には、軸83により回転自在に支持されたかさ歯歯車84が設けられて、前記かさ歯歯車82とかさ歯歯車84とが常に噛み合っている。下部シャーシ11には軸85が固定されて、この軸85に中継歯車86が回転自在に支持されている。前記かさ歯歯車84には平歯車が一体に形成されており、この平歯車と前記中継歯車86とが常に噛み合っている。
【0074】
前記伝達歯車58と前記中継歯車86との間には切換え歯車87が設けられている。図6に示す挿入待機モードでは、前記切換え歯車87が、前記伝達歯車58と中継歯車86の双方に噛み合っている。このとき、伝達歯車58から、切換え歯車87、中継歯車86、かさ歯歯車84、かさ歯歯車82、伝達歯車81およびローラ歯車28cの経路で、ローラ駆動力伝達経路(第2の伝達経路)が形成される。
【0075】
前記伝達歯車58を支持している軸56には、切換えアーム88が回動自在に支持されている。この切換えアーム88の一端に固定された軸89に前記切換え歯車87が回転自在に支持されており、前記切換え歯車87は伝達歯車58の回りを遊星移動できるようになっている。切換えアーム88の他端は、前記切換えスライダー15と重なる位置まで延びており、この他端に切換えピン91が固定されている。
【0076】
図6に示すように、前記切換えスライダー15には切換えカム部92が形成されている。この切換えカム部92はカム溝またはカム穴であり、前記切換えピン91はこの切換えカム部92に摺動自在に挿入されている。
【0077】
前記切換えカム部92は、Y2側の端部に斜めに延びる噛合せ部92aが形成され、それよりもY1側には、切換えスライダー15の移動方向に沿って直線的に延びる切り離し部92bが形成されている。
【0078】
図6に示す挿入待機モードでは、切換えスライダー15がY1方向へ移動しているため、前記噛み合わせ部92aにより切換えアーム88が反時計方向へ回動させられて、切換え歯車87が伝達歯車58と中継歯車86の双方に噛み合わされている。図8と図9に示すように、切換えスライダー15がY2方向へ移動すると、前記切り離し部92bによって切換えアーム88が時計方向へ回動させられ、前記切換え歯車87が、中継歯車86から離されて、伝達歯車58からローラ歯車28cへ伝達されるローラ駆動力伝達経路が遮断される。
【0079】
図1に示すように、前記上部シャーシ12には、検知部材94が設けられている。図6では前記検知部材94が破線で示されているが、この検知部材94は、上部シャーシ12の下面に固定された軸95を支点として回動自在に支持されている。前記検知部材94の一端には、検知ピン96が固定されている。この検知ピン96は、挿入排出口9から挿入されるディスクDの搬入経路に位置しており、図7に示すように、搬送ローラ28で搬送されるディスクDの中心穴Daがターンテーブル22に一致する位置に至ると、ディスクDのY1側の縁部で前記検知ピン96が押されるようになっている。
【0080】
前記検知部材94の他端には、トリガーピン97が固定されている。図6に示すように、このトリガーピン97は、下部シャーシ11に形成された円弧長穴11c内を通過して下部シャーシ11の下面に延びており、トリガーピン97は、前記噛合せ部材51のY1側の端面を押圧することができる位置に対向している。
【0081】
図15に示すように、このディスク装置1には、CPUやメモリなどを備えた制御部101が設けられている。この制御部101によってモータドライバ102が制御されて、モータドライバー102によって前記スレッドモータMが駆動される。また、前記第1の検知部材であるリミットスイッチSW1の切換え信号と、第2の検知部材であるモード検知スイッチSW2の切換え信号は前記制御部101に与えられる。
【0082】
次に、前記第1の実施の形態のディスク装置1の動作を説明する。
(挿入待機モード)
図6に示すように、切換えスライダー15がY1方向の終端へ移動した第1の位置にあるときが挿入待機モードである。
【0083】
図6では、反転ばね29により切換えスライダー15がY1方向へ付勢されてその位置で安定しており、切換えスライダー15に形成されたラック歯53と、噛合せ部材51に形成されたラック歯52は、共にピニオン歯車57から離れている。
【0084】
拘束部材74は、当接部74bが切換えスライダー15に形成された規制部15bに当接して、反時計方向へ回動させられ、その位置で拘束部材74は時計方向へ回動しないように規制されている。また拘束部材74のフック74aが切換え部材65の係止部65bに係止されて、切換え部材65が反時計方向へ回動しないように拘束されている。
【0085】
図6に示す挿入待機モードでは、前記のように切換え部材65が時計方向へ回動した伝達位置にて前記フック74aで保持されており、遊星歯車63は中間歯車61と噛み合った状態で保持されている。また、伝達部材68は、切換え部材65の時計方向への回動動作よって反時計方向へ回動させられているため、伝達部材68の回動力によりラック部材36が内周方向(第1の方向)Si方向へ引かれ、圧縮スプリング38が収縮して、ラック部材36の軸受部36aが光ヘッド31の軸受部34aから離されている。よって、ラック部材36のラック歯37は、ピニオン歯車41の歯から離れている。
【0086】
図6に示す挿入待機モードでは、軸56を中心として回動自在に設けられている切換えアーム88の切換えピン91が、切換えスライダー15に設けられた切換えカム部92の噛み合わせ部92aに入り込んでおり、切換えアーム88が反時計方向へ回動させられている。よって、切換えアーム88に支持されている切換え歯車87は、伝達歯車58と中継歯車86の双方に噛み合っている。
【0087】
このように、挿入待機モードでは、ピニオン歯車41とラック歯37とが噛み合っておらず、またピニオン歯車57とラック歯52,53とが噛み合っていない。よって、スレッドモータMの動力の伝達経路としては、ウォーム歯車47、駆動歯車45、太陽歯車46、遊星歯車63、中間歯車61,62、伝達歯車58、切換え歯車87、中継歯車86、かさ歯歯車84、かさ歯歯車82、伝達歯車81へ伝達されるローラ駆動伝達経路(第2の伝達経路)に切換えられている。
【0088】
挿入待機モードでは、切換えスライダー15と切換え軸16がY1方向へ移動しているため、図2と図3に示すように、下部シャーシ11は連結軸13を支点として後方部分が下がるように回動させられて、ターンテーブル22がクランパ23から離れている。また図2に示すように、ロック部材18が、下部シャーシ11に設けられたロック軸21によって反時計方向へ回動させられて、ロック部材18の前端18cが上部筐体2に当たり、後端18dが下部筐体3に当たって、駆動ユニット10が外部ケース1A内で動かないようにロックされた状態である。
【0089】
また、ロック部材18の制御穴18eによって搬送ローラ28が持上げられ、搬送ローラ28がディスクDに動力を伝達できる位置に設定されているとともに、図6に示すように、搬送ローラ28の端部に設けられたローラ歯車28cが前記伝達歯車81に噛み合っている。このとき、図2に示すように、ローラアーム27の前端部27bがモード検知スイッチSW2から離れており、第2の検知部材である前記モード検知スイッチSW2はOFFである。
【0090】
よって、挿入待機モードにおいてスレッドモータMが駆動されると、ラック部材36と切換えスライダー15とが共に動くことなく、駆動ユニット10と外部ケース1Aとの関係が図2と図3の状態に維持されたまま、搬送ローラ28のみが回転駆動される。この状態で、スレッドモータMを一方向へ駆動すると、搬送ローラ28がディスクを導入する方向へ駆動され、挿入排出口9から挿入されたディスクDがY1方向へ搬送される。スレッドモータMを他方向へ駆動すると、搬送ローラ28がディスクを排出する方向へ駆動され、ターンテーブル22でのクランプが解除されたディスクDが搬送ローラ28の回転力によって、挿入排出口9へ向けて排出される。
【0091】
(挿入待機モードからディスク駆動モードへの切換え)
図2と図3および図6に示す前記挿入待機モードで、挿入排出口9からディスクが挿入され、これが図示しない挿入検知手段で検知されると、前記スレッドモータMが駆動される。このときの太陽歯車46の回転方向は反時計方向であり、遊星歯車63の回転方向は時計方向、ピニオン歯車57の回転方向も時計方向である。また、搬送ローラ28の回転方向はディスクDをY1方向へ搬入する方向であり、図3において反時計方向である。
【0092】
図6に示すように、ディスクDがY1方向へ搬入され、ディスクDの中心穴Daがターンテーブル22に一致するよりもややY2側の位置に至ると、ディスクDの挿入側前方の縁部が検知ピン96に当たる。さらにディスクDがY1方向へ搬送され、前記中心穴Daがターンテーブル22にほぼ一致すると、ディスクDの縁部で検知ピン96がY1方向へ押され、図7に示すように、検知部材94が時計方向へ回動させられる。
【0093】
図7に示すように、検知部材94が時計方向へ回動させられると、検知部材94に設けられたトリガーピン97によって、噛合せ部材51が圧縮スプリング54の付勢力に対抗してY2方向へ押し出され、噛合せ部材51に形成されたラック歯52がピニオン歯車57と噛み合う。前記のように、この時点でピニオン歯車57が時計方向へ回転しているため、この回転力で噛合せ部材51がY2方向へ引かれ、これに追従して切換えスライダー15もY2方向へ引かれて、切換えスライダー15に設けられたラック歯53が前記ラック歯52と共にピニオン歯車57に噛み合う。
【0094】
その後は、ピニオン歯車57の回転力により切換えスライダー15がY2方向へ移動させられる。この移動の開始直後に、切換えアーム88に設けられた切換えピン91が、切換えカム部92の噛合せ部92aから外れて切り離し部92bに導かれる。よって、切換えアーム88が時計方向へ回動させられ、図8に示すように、切換えアーム88に支持されている切換え歯車87が中継歯車86から離される。よって、ディスクDの中心穴Daがターンテーブル22に一致した直後に、スレッドモータMから搬送ローラ28へのローラ駆動伝達経路(第2の伝達経路)が断たれ、搬送ローラ28の回転が停止する。
【0095】
搬送ローラ28の回転が停止した後に、切換えスライダー15がさらにY2方向へ移動すると、図8に示すように、切換えスライダー15のX1側の側辺である規制部15bが、拘束部材74の当接部74bから外れ、切換えスライダー15の規制解除部15cが前記当接部74bに対向する。規制部15bからの規制が解除された拘束部材74は、付勢部材75の付勢力により時計方向へ回動させられ、フック74aが切換え部材65の係止部65bから離れる。
【0096】
図8の状態では、遊星歯車63は時計方向へ回転し、中間歯車61には切換えスライダー15を駆動しようとする負荷が作用している。よって切換え部材65の拘束が解除されると、時計方向へ回動している遊星歯車63の歯が中間歯車61の歯から勢いよく離れ、図11に示すように、遊星歯車63の歯が中継部材72の歯に噛み合う。さらに時計方向へ回転している遊星歯車63は中継部材72と噛み合った状態で中継部材72を転動して乗り越え、図9に示すように、切換え部材65が反時計方向へ大きく回動して遮断位置に至る。
【0097】
この間、切換え部材65に設けられたカム部71の切換え部71aによって、伝達部材68が時計方向へ回動させられ、伝達部材68の伝達凹部68aに保持されている伝達凸部36cが外周方向Soへ押され、且つ圧縮スプリング38の弾性力でラック部材36が前記外周方向Soへ移動させられて、ラック部材36のラック歯37がピニオン歯車41に噛み合う。このとき遊星歯車63が時計方向へ回転しているとともに、ピニオン歯車41も時計方向へ回転しているため、ピニオン歯車41によってラック36が外周方向Soへ引かれ、ラック部材36に設けられた伝達凸部36cが、伝達部材68の伝達凹部68aから抜け出る。
【0098】
伝達凸部36cが伝達凹部68から抜け出た時点で、図9と図12に示すように、伝達部材68に設けられた伝達軸69が、切換え部材65のカム部71の保持部71b内に入り込む。図12に示す状態で、前記保持部71bは、伝達部材68を支持する軸67の中心から一定の半径Rの円弧軌跡に沿うように設定される。よって、図9と図12の状態で、伝達部材68と切換え部材65は不用意に動くことなく安定する。
【0099】
前記のように切換えスライダー15がY2方向へ移動して図9に示す第2の位置まで移動すると、ディスク駆動モードが設定される。このディスク駆動モードでは、反転ばね29の付勢力により、切換えスライダー15はY2方向へ付勢され、切換えスライダー15はその位置で安定する。
【0100】
(ディスク駆動モード)
図9に示すように、ディスク駆動モードでは、圧縮スプリング38の拡張弾性力により、ラック部材36の軸受部36aが光ヘッド31の軸受部34aに密着させられ、この状態で、光ヘッド31とラック部材36とが一体となって、ガイド軸32とガイド部33に沿って移動可能となる。
【0101】
ディスク駆動モードでは、図9と図12に示すように、切換え部材65が反時計方向へ回動し、遊星歯車63が中間歯車61から外れており、中間歯車61への動力伝達経路が遮断されている。
【0102】
この状態でスレッドモータMが正逆いずれかの向きに駆動されると、ウォーム歯車47の回転動力が、駆動歯車45、太陽歯車46を経て伝達歯車42に伝達されてピニオン歯車41が駆動される。ディスク駆動モードでは、スレッドモータMの回転により、ピニオン歯車41が時計方向へ駆動されれば、光ヘッド31が外周方向Soへ向けて移動し、ピニオン歯車41が反時計方向へ駆動されれば、光ヘッド31が内周方向Siに向けて駆動される。
【0103】
ディスク駆動モードでは、図9に示すように切換えスライダー15およびこれに設けられた切換え軸16がY2方向へ移動しているため、図4と図5に示すように、下部シャーシ11が連結軸13を支点として時計方向へ回動させられており、ディスクDの中心穴Daがターンテーブル22とクランパ23とで挟持されている。また、図4に示すようにロック部材18が時計方向へ回動し、ロック部材18が上部筐体2と下部筐体3から離れ、駆動ユニット10はダンパー5と7で弾性支持されている。
【0104】
さらに、図4と図5に示すディスク駆動モードでは、ロック部材18に形成された制御穴18eによって、ローラアーム27が支持軸27aを支点として反時計方向へ回動させられて、搬送ローラ28がディスクDから下側へ離されている。そして、ローラアーム27の前端部27bによって前記モード検知スイッチSW2がONに切換えられている。
【0105】
このディスク駆動モードで、スピンドルモータ26によってディスクDが回転駆動され、前記モータMの動力により、光ヘッド31がSi−So方向へ駆動されて、ディスクDに記録されている信号の読み取り、あるいはディスクDへの信号の書き込みが行われる。
【0106】
(挿入待機モードへの切換えおよびディスク排出動作)
図9に示す前記駆動モードから図6に示す挿入待機モードへの切換えてディスクを排出するときには、前記ディスク駆動モードからスレッドモータMを駆動して光ヘッド31を内周方向Siに向けて移動させる。光ヘッド31と共にラック部材36が内周方向Siに向けて移動すると、ラック部材36に設けられた伝達凸部36cが伝達部材68の伝達凹部68aに嵌合し、ラック部材36の移動力により伝達部材68が反時計方向へ回動させられる。
【0107】
伝達部材68が反時計方向へ回動すると、伝達軸69がカム部71の切換え部71aに入り込み、ラック部材36の移動力が伝達部材68を介して切換え部材65に作用し、切換え部材65が時計方向へ向けて回動させられる。このとき、太陽歯車46の回転方向は時計方向であり、遊星歯車63の回転方向は反時計方向である。よって、切換え部材65が時計方向へ少し回動すると、遊星歯車63の歯が中継部材72の歯と噛み合い、遊星歯車63は自らの回転力により中継歯車72を乗り越えて時計回り方向へ遊星移動し、さらに中間歯車61に噛み合う。
【0108】
このように遊星歯車63の反時計方向への回転力によって、切換え部材65が時計方向へ回動させられる間に、切換え部材65の回動力が、カム部71を介して伝達部材68に伝達され、伝達部材68は伝達凹部68a内に伝達凸部36cを保持した状態でさらに反時計方向へ回動する。よって、光ヘッド31が内周方向Siの移動終端に停止し、前記リミットスイッチSW1がONに切換えられた後に、前記遊星歯車63の回転動力によってラック部材36がさらに内周方向Siへ引き込まれる。このとき、図6に示すように、ラック部材36の軸受部材36aが光ヘッド31の軸受部材34aから離れ、圧縮スプリング38が圧縮され、ラック部材36のラック歯37がピニオン歯車41から完全に離れる。
【0109】
このようにして、切換え部材65が時計方向へ回動し、遊星歯車63が中間歯車61に噛み合うと、遊星歯車63の動力は、中間歯車62、伝達歯車58、およびピニオン歯車57を経て、ラック歯52,53に伝達される。このときのピニオン歯車57の回転方向は反時計方向であるため、ピニオン歯車57の回動力によって、切換えスライダー15がY1方向へ移動させられる。そして、図6に示す挿入待機モードに復帰する。
【0110】
図6の挿入待機モードに設定されると、前述のように、ディスクDのクランプが解除され、且つスレッドモータMから搬送ローラ28へのローラ駆動伝達経路(第2の伝達経路)が形成されるため、スレッドモータMによって前記搬送ローラ28を図2において時計方向へ駆動することにより、ディスクが挿入排出口9から搬出される。
【0111】
(リトライ動作)
前述のように、駆動モードから挿入待機モードへ切換える際には、ピニオン歯車41を反時計方向へ駆動し、このピニオン歯車41と噛み合っているラック部材36を内周方向(第2の方向)Siへ移動させて、図12に示すように伝達凸部36cを伝達凹部68aに嵌合させ、ラック部材36の移動力により伝達部材68を反時計方向へ回動させる。このときラック部材36の内周方向Siへの移動力が、伝達部材68を介して切換え部材65に作用し、切換え部材65が時計方向へ回動して遊星歯車63の歯が中継部材72に噛み合う。その後は、図11に示すように、遊星歯車63は自らの回転力によって中継部材72を乗り越え、この遊星歯車63が中継部材72を乗り越える力で、切換え部材65が時計方向へ回動させられ、さらに伝達部材68が反時計方向へ回動させられて、この伝達部材68によってラック部材36が内周方向Siに引き込まれ、この時点で図6に示すように、ラック部材36のラック歯37とピニオン歯車41とが離れ、遊星歯車63が中間歯車61に噛み合うようになる。
【0112】
しかし、図12に示す状態から切換え部材65が時計方向へ回動するときに、遊星歯車63の歯の頂部が、中継部材72の歯の頂部と当たって、遊星歯車63と中継部材72とがうまく噛み合うことができず、切換え部材65がそれ以上時計方向へ回動できずに機構がロックされることが有り得る。
【0113】
ただし、切換え部材65が図12の状態から時計方向へ回動し、遊星歯車63が中継部材72に噛み合う時点では、遊星歯車63と太陽歯車46とが噛み合っており、駆動歯車45と伝達歯車42とが噛み合っており、さらにピニオン歯車41とラック部材36のラック歯37とが噛み合っている。すなわち、ラック部材36のラック歯37の移動位置と、遊星歯車63のそれぞれの歯の回動位置とではその位相が1対1で関連している。前記のような機構ロック状態となったときには、スレッドモータMを逆転させて、ピニオン歯車41を少しだけ時計方向へ回動させ、さらに反時計方向へ回動させるリトライ動作が行われる。ただし、この間、ラック歯37から遊星歯車63まで噛み合いが継続されているため、前記リトライ動作を行っても、遊星歯車63の歯と中継部材72の歯との対向関係は変化しない。そのため、リトライ後も遊星歯車63の歯の頂部と、中継部材72の歯の頂部が再び当たって、機構のロック状態を解消できないことが有り得る。
【0114】
そこで、前記実施の形態では、前記制御部101の制御の基に、図16のフローチャートで示すようなリトライ動作が行われる。
【0115】
図16では各ステップを「ST」で表している。図9に示す駆動モードのときにST1に示すディスク排出指令が与えられると、ST2において、制御部10ではスレッドモータMを始動し、挿入待機モードへの切換え動作を開始する。前述のようにこのときのスレッドモータMの回転方向はピニオン歯車41を反時計方向へ駆動する向きであり、ラック部材36と光ヘッド31が内周方向(第1の方向)Siへ向けて移動させられる。
【0116】
光ヘッド31が内周方向へ移動すると、ST3においてリミットスイッチ(第1の検知部材)SW1がONに切換えられる。このとき、ST4では、タイマーを用いた時間計測を開始するとともに、スレッドモータMの駆動電圧を、駆動モードにおいて光ヘッド31を駆動するときの電圧(例えば3.5V)から、機構モードの切換えのための前記電圧、すなわち前記駆動モードのときよりも大きい電圧(例えば5〜6V)に切換える。なお、ST1のディスク排出指令が与えられたときに、スレッドモータMの駆動電圧をディスク駆動モード時よりも大きい電圧に切り替えて、光ヘッド31を高速で内周方向へ移動させてモード切換動作を行ってもよい。
【0117】
ST5では、時間計測を開始してから所定時間後に第2の検知部材であるモード検知スイッチSW2がOFFになるか否か監視する。前述のように、リミットスイッチSW1がONになった後に、さらにピニオン歯車41が回転して、光ヘッド31が停止したままラック部材36がさらに内周方向(第1の方向)Siへ移動すると、図11に示すように、伝達部材68が反時計方向へ回動し、切換え部材65が時計方向へ回動する。そして、遊星歯車63が中継部材72に噛み合うことができれば、その後に、切換えスライダー15がY2方向へ移動し、図4,図5の状態からローラアーム27が反時計方向へ回動し始める。ローラアーム27が回動し始めると、ローラアーム27の前端部27bが第2の検知部材であるモード検知スイッチSW2から離れ、モード検知スイッチSW2はOFFに切りえられる。
【0118】
このように、ST5において時間計測後の所定時間内にモード検知スイッチSW2がOFFに切換わったことが検知されたときには、スレッドモータMの動力がローラ駆動伝達経路(第2の伝達経路)に切換えられたものと認識する。よって、ST6においてディスクのクランプが解除され、ディスクが所定位置まで排出されたことが図示しない検知部材で検知された時点でスレッドモータMを停止する(ST7)。
【0119】
一方、前記ST5において、時間計測開始から所定時間を経過したときに、前記モード検知スイッチSW2がOFFに切換らないとき、制御部101では、モード切換動作が正常に行われなかったと判断し、ST8のリトライ動作に移行する。このリトライ動作は行う回数が予め数回に設定されており、ST9ではリトライ指令が所定回数を越えて出されたか否か判断する。
【0120】
リトライ指令が所定回数を越えないときには、ST10に移行してリトライ動作を行う。ST10のリトライ動作は、スレッドモータMを少しだけ反転しピニオン歯車41を時計方向へ回動させ、ラック部材36を一旦外周方向Soへ移動させる。このときのラック部材36の移動距離は、光ヘッド31が図13に示すストッパ11dに当たらない程度であり、例えば10mm程度である。よって、このリトライ動作では、ラック部材36のラック歯37と遊星歯車63の歯との位相は1対1で関連したままである。その後にスレッドモータMの回転方向を基に戻して、ラック部材36を再び内周方向Siへ移動させ、ST2以降のフローに戻る。
【0121】
前記ST9において、リトライ指令が所定回数を越えたと判断したときには、遊星歯車63の歯の頂部と中継部材72の歯の頂部とが当たって、モード切換動作が出来ない状態である可能性が高い。そこで、このときにはST11に移行してこれまでと違う第2のリトライ動作を行う。
【0122】
第2のリトライ動作ではST12において、スレッドモータMを逆転させ、ピニオン歯車41を時計方向へ所定時間回転させ、ラック部材36と光ヘッド31を外周方向(第2の方向)Soへ移動させる。このときには、図13に示すように、光ヘッド31がストッパ11dに当たって停止した後にもスレッドモータMを駆動し続ける。このとき図14に示す空転手段が動作する。すなわち、ピニオン歯車41の傾斜している歯先41aと歯基41bにより、ラック部材36がα2方向へ回動させられ、ラック歯37がピニオン歯車41から外れて、ピニオン歯車41が空転する。
【0123】
これにより、ラック歯37とピニオン歯車41の歯との噛み合い位置が変更になる。よって、その後にST2に移行してモード切換動作を再始動させると、ラック歯37の移動位置と、遊星歯車63の歯との位相が変化しているため、遊星歯車63が中継部材72と噛み合う確率を高くでき、モード切換えを完結できるようになる。
【0124】
なお、本発明では、前記空転手段を、ウォーム歯車47からラック部材36に至る経路のいずれかに設ければよく、また空転手段をワンウエイクラッチで構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の第1の実施の形態のディスク装置の駆動ユニットを示す分解斜視図、
【図2】挿入待機モードを示すディスク装置の側面図、
【図3】挿入待機モードを示すディスク装置の縦断面図、
【図4】ディスク駆動モードを示すディスク装置の側面図、
【図5】ディスク駆動モードを示すディスク装置の断面図、
【図6】ディスク駆動ユニットの下部シャーシの底面図であり、挿入待機モードを示す、
【図7】ディスク駆動ユニットの下部シャーシの底面図であり、ディスクの挿入完了を検知した状態を示す、
【図8】ディスク駆動ユニットの下部シャーシの底面図であり、挿入待機モードから駆動モードへの切換え動作を示す、
【図9】ディスク駆動ユニットの下部シャーシの底面図であり、駆動モードを示す、
【図10】図6の一部拡大図、
【図11】挿入待機モードからディスク駆動モードへ移行する途中を示す一部拡大図、
【図12】図9の一部拡大図、
【図13】光ヘッドとラック部材が外周方向へ移動した状態を示す部分底面図、
【図14】図13のa−b−c−d線での断面図、
【図15】ディスク装置の制御回路ブロック図、
【図16】ディスク装置の動作フローチャート、
【符号の説明】
【0126】
1 ディスク装置
2 上部筐体
3 下部筐体
5,7 ダンパー
10 駆動ユニット
11 下部シャーシ
12 上部シャーシ
15 切換えスライダー
15b 規制部
18 ロック部材
21 ロック軸
22 ターンテーブル
23 クランパ
28 搬送ローラ
30 モード切換装置
31 光ヘッド
32 ガイド軸
33 ガイド部
34a,34b 軸受部
35 摺動部
36 ラック部材
36a,36b 軸受部
36c 伝達凸部
37 ラック歯
38 圧縮スプリング
41 ピニオン歯車
46 太陽歯車
51 噛合せ部材
52,53 ラック歯
54 圧縮スプリング
57 ピニオン歯車
63 遊星歯車
65 切換え部材
68 伝達部材
68a 伝達凹部
69 伝達軸
71 カム部
72 中継部材
74 拘束部材
74a フック
74b 当接部
87 切換え歯車
88 切換えアーム
101 制御部
SW1 リミットスイッチ(第1の検知部材)
SW2 モード検知スイッチ(第2の検知部材)
Si 内周方向(第1の方向)
So 外周方向(第2の方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク(D)を回転駆動する回転駆動部(22)と、ディスク(D)の記録面に対向して往復移動可能に支持されたヘッド(31)と、前記ヘッド(31)と共に移動するラック部材(36)と、前記ラック部材(36)と噛み合うピニオン歯車(41)と、ディスク(D)に対して前記回転駆動部(22)へ装填する移動力または前記回転駆動部(22)から排出させる移動力を与えるディスク搬送手段(28)とを有するディスク装置において、
スレッドモータ(M)の動力を、前記ピニオン歯車(41)を介して前記ラック部材(36)に与える第1の伝達経路と、前記ディスク搬送手段(28)への動力伝達経路に与える第2の伝達経路とに切換える切換え部材(65)と、
前記第1の伝達経路に切換えられている状態で、前記スレッドモータ(M)の動力で前記ヘッド(31)が第1の方向へ移動するときの移動力によって、前記切換え部材(65)を前記第2の伝達経路に切換える伝達部材(68)と、
前記第1の伝達経路に切換えられている状態で、前記スレッドモータ(M)の動力で前記ヘッド(31)が第2の方向へ移動するときに、その移動力によって、前記スレッドモータ(M)から前記ラック部材(36)への動力の伝達を空転させる空転手段と、が設けられており、
前記ヘッド(31)が前記第1の方向へ移動したことを検知部材(SW1)が検出した後に、前記第2の伝達経路に切換えられなかったときに、前記スレッドモータ(M)によって前記ヘッド(31)を前記第2の方向へ移動させて、前記空転手段を動作させるように制御されることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記切換え部材(65)が前記第2の伝達経路に切換えられたことを検知する第2の検知部材(SW2)が設けられ、前記検知部材(SW1)による検出の後に所定時間内に前記第2の検知部材(SW2)が動作しないときに、前記ヘッド(31)が前記第2の方向へ移動させられる請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記空転手段を動作させることにより、前記ラック部材(36)の移動位置と、前記切換え部材(65)に設けられた歯車(63)との回転位相を変更し、その後に前記ラック部材(36)が前記第1の方向へ移動する際に、前記歯車(63)を前記第2の伝達経路に確実に噛み合せる請求項1または2記載のディスク装置。
【請求項4】
前記空転手段は、前記ラック部材(36)と前記ピニオン歯車(41)との噛み合いを解除するものである請求項1ないし3のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項5】
前記ラック部材(36)のラック歯(37)と、前記ピニオン歯車(41)の歯の少なくとも一方は、ラック部材(36)の移動方向に直交する直交線に対して傾斜して形成され、且つ前記ラック部材(36)は、前記移動方向に延びる移動線を支点として回動自在とされており、前記ラック部材(36)に前記第2の方向への移動力が作用したときに、前記ラック部材(36)と前記ピニオン歯車(41)との噛み合いが外れる請求項4記載のディスク装置。
【請求項6】
前記ヘッド(31)と前記ラック部材(36)との間に、前記ラック部材(36)を前記第2の方向へ付勢する付勢部材(38)が設けられており、
前記ヘッド(31)が前記第1の方向へ移動したときに、前記切換え部材(65)によって、前記ラック部材(36)が前記ピニオン歯車(41)と外れる位置へ移動させられる請求項1ないし5のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項7】
前記スレッドモータ(M)で駆動される太陽歯車(46)とこの太陽歯車(46)に噛み合う遊星歯車(63)と、前記遊星歯車(63)が噛み合う中継部材(72)とが設けられ、前記遊星歯車(63)が前記中継部材(72)に噛み合ったときの前記遊星歯車(63)の回転力によって、前記切換え部材(65)が前記第1の伝達経路と前記第2の伝達経路とに切換えられる請求項1ないし6のいずれかに記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−18915(P2006−18915A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195155(P2004−195155)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】