説明

ディスク装置

【課題】コンパクト化と振動防止を図りながら長期間にわたり安定したディスクの出し入れが行なえるようにする。
【解決手段】ディスク装着部46及び光ヘッド部43とを有するベース部材91を、弾性部材で作られた複数のダンパ93を介して支持ベース部材95に支持し、前記支持ベース部材95の後端部を回動ヒンジ99を介してシャーシ5に回動自在に支持する。一方、前記ベース部材91の前端部に弾性部材で作られたダンパ93を介して取付部材101を支持し、その取付部材101に、前記シャーシ5に対してスライド可能に設けられたスライド駆動部材121の昇降用カム溝131内に臨む昇降用カムピン103を設け、その昇降用カムピン103を前記スライド駆動部材121のスライド移動時に、姿勢制御手段105,125によって常に昇降方向の略直交する姿勢に保持し、傾斜当りのないスライドを確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ディスク状記録媒体を用いたビデオカメラ等に搭載され、その媒体に対して情報の記録又は再生するためのディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ディスク状記録媒体を用いたビデオカメラ等に搭載され、その媒体に対して情報の記録又は再生するためのディスク装置の概要は、前記のディスク挿入口から挿入されるディスクを左右の引込みアームによって再生又は記録位置となるディスク装着位置へ搬入セットし、セット完了後のディスクは光ヘッド部によって例えば再生が行なわれる。再生完了後のディスクは取り出しアームによって前記ディスク挿入口から搬出される手段となっている。
【0003】
光ヘッド部は上下動可能な再生ユニットシャーシに搭載セットされ、ディスクの挿入時に、下降した待機位置にあって、ディスクの挿入完了後に上昇した作動位置となるよう上下動可能となっている。
【0004】
光ヘッド部が搭載セットされた再生ユニットシャーシは、ダンパー及びばねを介して4点支持され振動防止が図られる一方、振動防止用となる前記した前方のばねが圧縮することで、水平な作動位置から後方のダンパーを支点として前方が下降傾斜した前傾の待機位置まで回動する構造となっている。
【特許文献1】特開2000−48454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再生ユニットシャーシは、振動防止用となる4点支持されたばねと、前方のばねを圧縮又は圧縮解除するための回動部材と、回動部材に設けられたピン状の回動軸を上下動させるカム溝を備えた昇降用カムとを有する手段となっており、部品点数が多く、特に昇降用カムは特殊な構造となっている。
【0006】
このために、装置全体の複雑化を招くと共に組付性、コストの面で望ましくない。
【0007】
この場合、特許文献1にはコンパクト化を図りながら構造がシンプルな従来例が開示されている。
【0008】
その構造の概要は、図14に示すように光ヘッド部1−1等がセットされた再生ユニットシャーシ1−3の前端を支持した回動部材1−5の軸1−7を、スライダ1−9のカム溝1−11内に臨ませる手段となっている。
【0009】
スライダ1−9はその移動(矢印a)により軸1−7を介して前記再生ユニットシャーシ1−3の前端を上下動させる。下降時の再生ユニットシャーシ1−3は図15に示すように前方が下降した前傾姿勢となり、軸1−7はカム溝1−11の端縁と接触し合う傾斜当りとなる。
【0010】
傾斜当りは、軸1−7の一部分に集中荷重が働き、スライダ1−9の移動時に強くこすられる。強くこすられる動作はディスク1−13の出し入れのたびに起こり削りとられた粉がディスク1−13にダメージを与える恐れがあり、信頼性の面で問題を残す。
【0011】
特に、再生ユニットシャーシ1−3に対して独立して作られた回動部材1−5はコンパクト化を図る上で重要な構成要素となる反面、その軸1−7は傾斜当りとなる不具合を招く。
【0012】
傾斜当りしている時の軸1−7は、図16に示すように、軸1−7の傾斜角度θ1と再生ユニットシャーシ1−3の傾斜角度θ2はθ1>θ2の関係によって成立しているため、カム溝1−11に対する傾斜当りによる角度θ1がよりきつくなり、条件がより悪化する問題をかかえる。
【0013】
そこで、本発明にあっては、コンパクト化と振動防止を図りながら傾斜当りのない安定したディスクの出し入れが行なえるディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明にあっては、ディスクが着脱自在にセットされるディスク装着部と光ヘッド部とを有するベース部材を、弾性を有する複数のダンパを介して支持ベース部材で支持し、前記支持ベース部材の一端部を回動ヒンジを介してシャーシに回動自在に支持する一方、前記ベース部材の他端部において、弾性部材で作られたダンパを介して取付部材を支持し、その取付部材は、前記シャーシに対してスライド可能に設けられたスライド駆動部材の昇降用カム溝内に臨む昇降用カムピンを有すると共に前記スライド駆動部材のスライド移動に伴ない姿勢制御手段によって前記昇降用カムピンを常に昇降方向に対して略直交する姿勢に保持された状態で前記支持ベースを、第1の位置と第2の位置との間で回動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ベース部材と昇降用カムピンを有する取付部材との組合せによってコンパクト化が図れると共に複数のダンパによって振動防止が図れる。
【0016】
また、取付部材の昇降用カムピンは昇降方向に対して略直交する姿勢とした向きで昇降用カム溝内をスライド移動することができるため、傾斜当りがなくなり長期間にわたり安定してディスクの出し入れを行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のディスク装置の光ヘッド部は、光ディスク、光磁気ディスク等のディスク状記録媒体に対して情報の記録又は再生を行なう一方、前記姿勢制御手段を、昇降用カム溝が設けられたスライド駆動部材の一般面と、その一般面と対向し略面接触し合うと共に昇降用カムピンが設けられた取付部材のカムピン取付面とで構成し、面状に接触させるという簡単な工夫で昇降用カムピンを常に昇降方向に対して略直交する姿勢に保持する。
【0018】
また、前記取付部材側を、前記スライド駆動部材のいずれか一方へのスライド移動時に、規制手段によってそのスライド方向への動きを阻止して左右方向への挙動をなくし、取付部材を確実に上下方向へガイドする。
【実施例】
【0019】
以下、図1乃至図13の図面を参照しながら本発明の実施の形態について具体的に説明する。
【0020】
図1から図8は本発明にかかる要部の図面を示したものであるが、ディスクを出し入れするディスク挿入口とディスク搬入アーム及び搬送アームとの関係によって成り立っているため、始めに図9から図11に基づき説明する。
【0021】
図10は本発明にかかるディスク装置のディスク挿入口と左右一対のディスク搬入アーム及びディスク搬出アームを示した概要平面図である。
【0022】
ディスク装置1は、例えば、図外のビデオカメラ等に同図左側を上向きとして縦置きに組込まれて使用される。
【0023】
ディスク装置1のディスク挿入口3は、シャーシ5の前面両サイドの内、一方(図面下方左側)がカットされたカット面3aを備えた形状となっていて前面全幅がディスクDSを挿入する挿入幅Lとなっている。これにより、二点鎖線で示す三角コーナ領域Sの占有スペースがなくなり、その分、小型化が図られている。
【0024】
なお、カット面3aは必ずしも直線的にカットしたものでなくてもよく、例えば、点線で示すように円弧状の形状とすることも可能である。
【0025】
前面がディスク挿入口3となるシャーシ5には、その挿入幅L内に後述する光ヘッド部43と、第1、第2のディスク搬入アーム45、47及びディスク搬出アーム65がそれぞれ配置されている。
【0026】
第1、第2のディスク搬入アーム45、47は、ディスク挿入口3から挿入されたディスクDSをディスク装着位置、即ち、ディスク装着部46へ向けて搬入する手段となっている。
【0027】
第1、第2のディスク搬入アーム45,47は、図10に示すように前記シャーシ5の両サイド壁面に沿って左右にそれぞれ配置(図面上下方向)されている。第1、第2のディスク搬入アーム45,47の先端(図面下側)はディスクDSの両端縁を保持するピンタイプのディスク保持部49a,49b、後端(図面上側)は回動軸51a,51bとなっている。カット面3a側となる一方の第1のディスク搬入アーム45の長さd1(ディスク保持部49aから回動軸51aまで)は挿入口のカット面分、第2のディスク搬入アーム47の長さd2より短く設定されている。
【0028】
第1のディスク搬入アーム45は、回動軸51aからさらに内側へ向かって第1延長アーム部45aが、第2のディスク搬入アーム47は、回動軸51bからさらに内側へ向かって第2延長アーム部47aが内側へ向かってそれぞれ一体に延長されている。第1、第2延長アーム部45a,47aの内、一方の第1延長アーム部45aの延長端部は連繋機構を構成するリンクアーム53の一端とアーム軸55を介して回動自在に連結している。リンクアーム53の他端は前記シャーシ5のほぼ中央部位に配置セットされたガイド部材57のガイド溝59にガイドピン61を介してスライド自在に支持されている。第2延長アーム部47aの延長端部は連繋機構を構成するリンクアーム63の一端がアーム軸64を介して回動自在に連結している。リンクアーム63の他端は前記したガイド部材57のガイド溝59に前記第1延長アーム部45aのリンクアーム53と一緒に前記したガイドピン61を介してスライド自在に支持されることで、第1、第2のディスク搬入アーム45,47は各リンクアーム53、63を介して内側及び外側へ向って同時に回動する連動連繋された関係に設定されている。
【0029】
ガイド部材57のガイド溝59はディスク挿入方向となる中心軸線Xに対して所定の角度θを有しており、この角度θは長さの異なる第1、第2のディスク搬入アーム45,47の同期用の角度となっている。
【0030】
具体的には、ガイドピン61がガイド溝59に沿って後方(矢印イ)へスライド移動することで、第1、第2のディスク搬入アーム45,47の各ディスク保持部49a,49bは同時に内側(矢印ロとなる閉じる方向)へ回動可能となる。
【0031】
また、ガイドピン61がガイド溝59に沿って前方(矢印ハ)へスライド移動することで、第1、第2のディスク搬入アーム45,47の各ディスク保持部49a,49bは同時に外側(矢印ロとは逆の開く方向)への回動が可能となっていて、第1、第2のディスク搬入アーム45,47は付勢ばね66により閉じる方向となる内側(矢印ロ)へ向け付勢された付勢力が常に与えられている。
【0032】
ディスク搬出アーム65は、ディスク挿入口3から挿入されたディスクDSを後退しながら前記第1、第2のディスク搬入アーム45,47と一緒にディスク装着部46まで保持する作用と、例えば、再生した後のディスクDSをディスク挿入口3へ搬出する作用とを備え、一本のアームによって構成されている。
【0033】
ディスク搬出アーム65の先端は、ディスク挿入口3から挿入されるディスクDSの挿入端中央部位を保持するピンタイプのディスク保持部67となっている。ディスク搬出アーム67の基端部は前記第2のディスク搬入アーム47の回動軸51bに対して回動自在に支持され、第2のディスク搬入アーム47と同軸構造となっている。
【0034】
したがって、ディスク搬出アーム65は、前記回動軸51bに装着された前記付勢ばね66により反時計方向となるディスク押出完了位置(図10実線)となる前方へ向けて常に付勢されている。
【0035】
これにより、1つの付勢ばね66により第1、第2のディスク搬入アーム45、47及びディスク搬出アーム65は同時に付勢力が与えられると共に、付勢ばね66は1点で済むようになっている。
【0036】
一方、第1のディスク搬入アーム45と連動関係にある第2のディスク搬入アーム47は第1のスライド駆動部材69によって前記した付勢ばね66とは別に強制的な回転動力が与えられる。
【0037】
第1のスライド駆動部材69は、カム溝71と第1ピン73及び第2ピン74とを有し、第1、第2ピン73,74がそれぞれ係合し合う。これによりシャーシ5に設けられた長孔75a,75bの範囲内において第1のスライド駆動部材69のスライド(矢印チ、リ)が可能となっている。
【0038】
第1のスライド駆動部材69のカム溝71内には第2のディスク搬入アーム47に設けられたカムピン77がカム溝71に沿ってスライド自在に係合している。
【0039】
カム溝71は、第1のスライド駆動部材69が前後(矢印チ、リ)にスライド移動した時にカムピン77を介して第2のディスク搬入アーム47を内側(矢印ロ)方向へ回動させるカム突起面71aを有している。
【0040】
カム突起面71aは、カムピン77がそこに乗りあがることで、第2のディスク搬入アーム47を内側へ向け強制的に回動させるのと同時に各リンクアーム63,53を介して第1のディスク搬入アーム45を内側(矢印ロ)へ向け強制的に回動させる作用が得られるようになっている。
【0041】
したがって、ディスクDSの直径方向の中心を通る両端が第1、第2のディスク搬入アーム45、47のディスク保持部49a,49bを越える位置、即ち、死点越えするまで手で挿入することで、付勢ばね66による付勢力とカムピン77及びカム突起面71aによる回動作用とによって強制的なディスクDSの引込み作用が得られるようになる。
【0042】
また、第1のスライド駆動部材69に設けられた第1、第2ピン73、74は、前方に第1ピン73が、後方に第2ピン74がそれぞれ設けられた配置構造となっていて、シャーシ5に設けられた長孔75a,75bとそれぞれ係合し合い、長孔75a,75bの範囲内において第1のスライド駆動部材69の前後動(矢印チ、リ)が可能となっている。
【0043】
第1、第2ピン73、74の内、第1ピン73はピン上端部が後述する伝達アーム133の係合凹部141(図13)と係脱自在に係合可能となっている。
【0044】
第2ピン74は、ピン上端部が前記第1のスライド駆動部材69が後退(矢印チ)した時、即ち、第1、第2のディスク搬入アーム45,47を内側(矢印ロ)へ回動させた時にディスク搬出アーム65のアーム端縁に設けられたカム面65aを押圧し、ディスク搬出アーム65を付勢ばね66に抗して後退(時計方向)させる機能を有する。また、第2ピン74は第1のスライド駆動部材69が前進(矢印リ)した時、ディスク搬出アーム65のカム面65aから離れる押圧解除方向へ移動する規制解除ピンとして作用することで、ディスク搬出アーム65は前記した付勢ばね66の作用でディスクDSをディスク挿入口3まで搬出する反時計方向となる前方へ向かう回動作用が得られる構造となっている。
【0045】
第1のスライド駆動部材69を前後動(矢印チ、リ)させる動力は図9に示すように駆動モータMによって与えられる。即ち、第1のスライド駆動部材69にはラック等のギヤ部83が設けられ、そのギヤ部83は駆動部となる前記駆動モータMからの回転動力を減速して伝達する最終の伝導ギヤ85と噛み合っている。
【0046】
したがって、第1のスライド駆動部材69は駆動モータMの正転又は逆転する回転動力によって前進(矢印リ)、あるいは、後退(矢印チ)のスライド移動が可能となる。
【0047】
なお、駆動モータMの正転又は逆転の制御はいずれの手段を用いてもよい。例えば、ディスクDSの両端を支持する第1、第2のディスク搬入アーム45,47のディスク保持部49a,49bが左右に一杯に開いたことを検知する検知センサ(図示していない)からの信号によって、例えば、第1のスライド駆動部材69を後退(矢印チ)させる正転に作動制御する。または、ディスク挿入口3にディスクDSが挿入されたことを検知する検知スイッチ(図示していない)からの信号によって、例えば、第1のスライド駆動部材69を前進(矢印リ)、即ち、第2ピン74がディスク搬出アーム65のカム面65aから離れるよう逆転に作動制御する等いずれの手段を用いてもよい。
【0048】
図1から図8は本発明にかかる要部を示したものである。
【0049】
光ヘッド部43は、図1に示すように左右のガイドレールとなるシャフト87(一方は図示していない)から延長されたスライドヘッド支持部材(図示していない)を介してディスクDSの半径方向にスライド自在に支持されている。
【0050】
光ヘッド部43とスピンドルモータ89によって回転動力が与えられるディスク装着部46はベース部材91に取付けられている。
【0051】
ベース部材91は、図1に示すようにゴム等の弾性部材で作られた振動防止用の複数のダンパ93を介して支持ベース部材95に支持されている。ダンパ93は、この実施例では左右と前方の3箇所に配置され、図4,図5にも示すように胴部中央部位に設けられた周溝93aと、上面及び下面に設けられた複数の当り突起部93bがリング状に配置された形状となっている。
【0052】
周溝93aには図5に示すようにベース部材91のフランジ突起部91aが嵌合し合うと共にダンパ93の下面と接触し合う支持ベース部材95の支持フランジ95aは取付けピン97によって固定支持されている。
【0053】
支持ベース部材95の後端部(図1、右上)は回動ヒンジ99を介してシャーシ5に回動自在に支持されている(図9)。回動ヒンジ99の反対側で、前記ベース部材91の前端部(図1下側)には昇降用カムピン103を有する取付部材101が設けられている。
【0054】
取付部材101は、図4に示すように前記昇降用カムピン103が設けられた垂直なカムピン取付面105と水平面107とを有し、前方のダンパ93を挟んでベース部材91に支持されている。
【0055】
取付部材101を支持する前方のダンパ93は、前記した左右のダンパ93と同一構造となっており、周溝93aにはベース部材91が嵌合している。ダンパ93の上面には取付部材101の水平面107が接触し取付ピン111により前記ダンパ93を挟んでベース部材91に支持された構造となっている。
【0056】
したがって、取付部材101は前記ダンパ93を支持点として前方(昇降用カムピン103が設けられた側)と後方(図4右側)が上下動するシーソ運動が可能となる。
【0057】
取付部材101のシーソ運動は、この実施例では、取付部材101の後方に設けられたストッパピン113によって上下の動きが大幅に制限されている。
【0058】
即ち、ストッパピン113は、ベース部材91のガイド孔115内に若干の遊びを有して挿入されると共に、上下の動きを制限するストッパ部113aが設けられている。ストッパ部113aは図4矢印の如く下降時にガイド孔115の孔縁に当ることで制限作用が働く構造となっている。
【0059】
一方、取付部材101の支持点となるダンパ93は振動防止用となっているところから、不安定な支持要素となっているが、後半部は前記した通りストッパピン113によって前後、左右の動きが規制されている。前半部は規制手段116によって動きが規制されている。規制手段116は、この実施形態では特に後述する第2のスライド駆動部材121のスライド移動(図1矢印ル)方向への動きを規制する手段となっている。
【0060】
即ち、図3に示すように取付部材101の昇降用カムピン103側となるカムピン取付面105にはストッパ突起片117が設けられ、ストッパ突起片117はシャーシ5から立上がる切り起こしストッパ片119と当接し合う形状となっている。
【0061】
規制手段116となる一方の切り起こしストッパ片119は、後述する第2のスライド駆動部材121のスライド移動時(図2矢印ヌ、ル)の内、矢印ルの時に、そのスライド移動方向へ作用する動きをストッパ突起片117が前記切り起こしストッパ片119と接触し合うことでスライド移動方向への挙動を抑え、取付部材121を上下方向へガイドする機能を有している。
【0062】
この場合、規制手段116は短い移動ストロークで昇降用カムピン103を上昇させるため、強い摺動抵抗が発生する上昇移動側に設ける手段となっているが、昇降用カムピン103を下降させる側にも設ける組合せ手段とすることも可能である。
【0063】
一方、図1,図6に示すように第2のスライド駆動部材121は、水平面123と垂直面125からなるアングル状に形成され、水平面123はその水平面123に設けられた長孔127とその長孔127に係合されたスライドピン129とによって左右(矢印ヌ、ル)にスライド自在にシャーシ5に支持されている。垂直面125は前記昇降用カムピン103が臨む昇降カム溝131を有し、図8に示すように第2のスライド駆動部材121が左方(矢印ヌ)へスライドした時、昇降用カム溝131に臨む昇降用カムピン103(実線)によって光ヘッド部43は上昇した第1の位置となる作動位置(図1)に、右方(矢印ル)へスライドした時、昇降用カム溝131に臨む昇降用カムピン103(鎖線)によって光ヘッド部43は下降した第2の位置となる待機位置とに上下動可能となっている。
【0064】
この時、第2のスライド駆動部材121と取付部材101とは、次のような関係に設定されている。即ち、図6に示すように取付部材101のカムピン取付面105と第2のスライド駆動部材121の垂直方向に一般面125とは略面状に接触し合う状態(若干の隙間があっても可)が確保されることで、姿勢制御手段が構成されているが必ずしも面状接触でなくてもよい。
【0065】
したがって、第2のスライド駆動部材121のスライド移動時(図1矢印ヌ、ル)において、図8の如く取付部材101の上昇時(実線)及び下降時(鎖線)時に、昇降用カムピン103は常に昇降方向に対して略直交する姿勢が保持され、傾斜当りが起きないようになっている。
【0066】
第2のスライド駆動部材121は、前記第1のスライド駆動部材69が前後動(図9、矢印チ、リ)すると伝達アーム133を介して左右(矢印ヌ、ル)方向のスライド運動が与えられるようになっている(図10参照)。
【0067】
伝達アーム133は、基端部から左右一対のアーム部135、137が延長された逆U字状の形状となっていて基端部はアーム軸139によってシャーシ5に回動自在に支持されている。伝達アーム133の一方のアーム部137は係合凹部141(図13)を有し、第1のスライド駆動部材69の第1ピン73と係脱自在に係合可能となっている。他方のアーム部135は第2のスライド駆動部材121に設けられた取付孔内に挿入された連結ピン143を介して回動自在に連結し、連結ピン143はシャーシ5に設けられた円弧溝145に沿ってスライド自在となっている(図13)。
【0068】
アーム部137の係合凹部141と第1のスライド駆動部材69の第1ピン73との係合関係は、第1、第2のディスク搬入アーム45,47の作動中、即ち、ディスクDSの挿入中にあっては係合しておらず光ヘッド部43は下降した待機位置におかれる。そして、ディスクDSの装着セットが完了すると係合し合い、第1のスライド駆動部材69の作動時から所定のタイムラグを有して第2のスライド駆動部材121がスライドし、光ヘッド部43は上昇した作動位置におかれるようになる。
【0069】
この場合、伝達アーム133と第2のスライド駆動部材121を連結する連結ピン143にトグルばね147を作用させることが望ましい。これにより、第2のスライド駆動部材121の右方(矢印ル)への移動完了時の位置決め及び左方(矢印ヌ)への移動完了時の位置決めと、右方から左方へ、左方から右方への移動を助勢する助勢手段としての機能が得られる。
【0070】
このように構成されたディスク装置1によれば、図10に示すようにディスク挿入口3からディスクDSを挿入する。このディスクDSの挿入に対応して第1、第2のディスク搬入アーム45,47は順々に外側へ拡がる。と同時にディスク搬出アーム65も一緒に後退する。さらに、ディスクDSが挿入されディスクDSが第1、第2のディスク搬入アーム45,47のディスク保持部49a,49bに対して死点越えすると、駆動モータMの動力で第1のスライド駆動部材69がスライド(矢印チ)し、第1、第2ディスク搬入アーム45,47を内側へ強制的に回動させる。これにより、図12から図13に示すように、ディスクDSの引込み作用が発生しディスクDSをディスク装着部46に装着セットする。装着セットが完了すると待機位置にある光ヘッド部43は作動位置まで上昇し、例えば、再生が行なわれる。
【0071】
これら一連の動作において、図6に示すように昇降用カムピン103は、昇降用カム溝131に沿って上下動するようになるが、カムピン取付面105と第2のスライド駆動部材121の一般面125とは面状に接触し合う関係によって常に昇降方向に対して略直交する姿勢が保持されるため、傾斜当りがなくなり、長期間にわたって安定した作動状態が得られる。また、コンパクト化を損ねることなく複数ダンパ93によって振動防止が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明にかかる取付部材の昇降用カムピンが第2のスライド駆動部材のカム溝内に臨んだ作動位置の時の概要斜視図。
【図2】カム溝の作動位置に昇降用カムピンが臨んだ要部の拡大概要斜視図。
【図3】第2のスライド駆動部材を取外して切り起こしストッパ片を示した拡大概要斜視図。
【図4】図2のA−A線切断概要説明図。
【図5】図1のB−B線切断概要説明図。
【図6】スライド駆動部材の垂直面に沿って取付部材が上下動する動作説明図。
【図7】ベース部材及び支持ベース部材を裏からみた概要底面斜視図。
【図8】昇降用カム溝に対する昇降用カムピンの動きを示した説明図。
【図9】ディスク装置の概要斜視図。
【図10】ディスク装置の第1、第2のディスク搬入アーム及びディスク搬出アームと第1、第2のスライド駆動部材の連動連繋関係を示した概要平面図。
【図11】第1のスライド駆動部材を駆動するモータを始めとして第1、第2のディスク搬入アーム及びディスク搬出アームとをシャーシに組込んだ状態を示した概要斜視図。
【図12】ディスク挿入途中時の動作説明図。
【図13】ディスク挿入完了時の動作説明図。
【図14】従来例を示した説明図。
【図15】従来例の傾斜当りを示した説明図。
【図16】再生ユニットシャーシの角度と回動部材の関係を示した従来例の説明図。
【符号の説明】
【0073】
3 ディスク挿入口
5 シャーシ
7 開閉扉
43 光ヘッド部
45 第1のディスク搬入アーム
46 ディスク装着部(ディスク装着位置)
47 第2のディスク搬入アーム
53,63 リンクアーム(連繋機構)
65 ディスク搬出アーム
66 付勢ばね
69 第1のスライド駆動部材
91 ベース部材
93 ダンパ
95 支持ベース部材
99 回動ヒンジ
101 取付部材
103 昇降用カムピン
105 カムピン取付面(姿勢制御手段)
117 ストッパ突起片(規制手段)
119 切り起こしストッパ片(規制手段)
121 第2のスライド駆動部材
125 一般面(姿勢制御手段)
131 昇降用カム溝
M 駆動モータ(駆動部)
DS ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクが着脱自在にセットされるディスク装着部と光ヘッド部とを有するベース部材を、弾性を有する複数のダンパを介して支持ベース部材で支持し、前記支持ベース部材の一端部を回動ヒンジを介してシャーシに回動自在に支持する一方、前記ベース部材の他端部において、弾性を有するダンパを介して取付部材を支持し、その取付部材は、前記シャーシに対してスライド可能に設けられたスライド駆動部材の昇降用カム溝内に臨む昇降用カムピンを有すると共に前記スライド駆動部材のスライド移動に伴ない姿勢制御手段によって前記昇降用カムピンを常に昇降方向に対して略直交する姿勢に保持された状態で前記支持ベースを、第1の位置と第2の位置との間で回動させることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記姿勢制御手段は、前記昇降用カム溝が設けられたスライド駆動部材の一般面と、その一般面と対向し略面接触し合うと共に前記昇降用カムピンが設けられた前記取付部材のカムピン取付面と、を有することを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記取付部材側は、前記スライド駆動部材のいずれか一方へのスライド移動時に、規制手段によってそのスライド方向への動きが阻止されることを特徴とする請求項1または請求項2記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−242107(P2007−242107A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60893(P2006−60893)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】