説明

ディスク装置

【課題】ディスク装置内部の所定位置に搬送されたディスクの挟持動作と、ディスクの外周縁に当接する部材の退避動作をスライダーの摺動動作に直接連動する構造を実現する。
【解決手段】ディスクの挿入にあわせて摺動するスライダー16に、クランパーを上方位置へ移動するように支持部材を揺動可能とする第1のカム部16aと、挿入口より挿入された前記ディスクからローラーが離間する方向へ揺動部材を揺動可能とする第2のカム部16dと、第1のディスク検知部材および第2のディスク検知部材を互いに離間する方向へ摺動可能とする第3のカム部16eと、支持レバーの長孔に遊嵌する連結突起16bと、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、CD、DVD、或いはブルーレイディスク等と称される円盤形状を成した記憶媒体たるディスクを直接挿抜可能とする挿入口を備えたディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスク装置とは、記憶媒体たるディスクを内部に装填し、前記ディスクに記録されている情報を読出し再生する、或いは、前記ディスクに対し情報を書込み記録する機能を備えた装置全般の総称である。具体的にディスク装置を備えた機器について詳述すれば、音声情報が記録されたCD(Compact Disc)の再生を可能とするCD PLAYERや、音声情報及び映像情報が記録されたDVD(Digital Versatile Disc)の再生を可能とするDVD PLAYER、また、前記CDやDVDに対する再生機能と記録機能とを兼ね備えたCD RECORDERやDVD RECORDERなどがある。さらに、近年では記録情報の大容量化を図った記憶媒体としてブルーレイディスク(Blu−ray Disc)があり、このブルーレイディスクに対応したディスク装置および前記ディスク装置を備えた機器もある。
【0003】
上記ディスク装置には、大別してディスクを装置外部と装置内部の所定位置との間で搬送する手段(以下、単に搬送手段と称す)と、装置内部の所定位置において前記ディスクの再生および/または記録する手段(以下、単に記録/再生手段と称す)とを備えている。
【0004】
搬送手段の一例を述べれば、ディスク装置の内外において移動可能とするトレイを備え、装置外部においてディスクの交換を可能とするディスク交換位置に搬送する前記トレイ上にディスクを載置して前記ディスクを装置内部の所定位置へと搬送する手段や、ディスク装置に挿入口を設け、前記挿入口の内面側にはローラーを備えて、前記ローラーの回転駆動力により前記挿入口から挿入したディスクを搬送する手段などがある。
【0005】
また、記録/再生手段としては、装置内部の所定位置においてディスクを回転させるターンテーブルと、回転するディスクにレーザー光を照射して前記ディスクに予め記録されている情報を読出し再生する、或いは前記ディスクに対して情報を書込み記録することが可能な光ピックアップユニットと、を主要部品として備えたトラバースユニットを組み付け、前記ターンテーブルの対向位置には前記ターンテーブルと共にディスクを挟持するクランパーを設け、前記ターンテーブルと前記クランパーによってディスクを挟持した状態で回転させ、前記光ピックアップユニットにより前記ディスクに記録された情報の再生、或いは前記ディスクに対する情報の記録を行う手段が一般的である。
【0006】
ところで、ディスクの挿抜を直接可能とする挿入口を備えたディスク装置の場合、特に搬送手段の構造が複雑となり易い。すなわち、前記挿入口より挿入されたディスクをディスク装置内部の所定位置に搬送し、前記所定位置に到達したディスクへ記録/再生手段によって記録または再生を行う際に前記ディスクを回転させる必要がある。例えば、搬送手段によって前記ディスクを前記ディスク装置内部の所定位置に搬送した後、前記ディスクに対する記録または再生を行うために前記ディスクより前記搬送手段を退避させることを考慮しなければならない。
【0007】
特許文献1には、挿入口より挿入されたディスクを搬送手段によってディスク装置内部の所定位置に搬送した後、前記ディスクより前記搬送手段を退避させる内容が記載されている。具体的には、挿入口より挿入されたディスクを検知する第1のディスク検知部材および第2のディスク検知部材と、前記第1のディスク検知部材と連結する検知レバーと、ディスク装置の後方で挿入されたディスクが当接する支持部材と、前記支持部材と連結する支持レバーと、ピックアップユニットおよびターンテーブルを備えたトラバースユニットと、前記トラバースユニットを傾動する横スライダーと、前記検知レバー、支持レバー、横スライダーと連結し、モーターの駆動力によって摺動するスライダーを備えたディスク装置としている。
【0008】
前記スライダーがモーターの駆動力によって摺動することで、横スライダーが摺動してディスク装置の所定位置に搬送されたディスクをターンテーブルとクランパーによって挟持するためにトラバースユニットが傾動し、また、前記ディスク装置の所定位置に到達したディスクの外周縁より第1のディスク検知部材、第2のディスク検知部材、および支持部材が離間するために検知レバーおよび支持レバーが揺動する。
【0009】
【特許文献1】特開2010−80019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の構造によれば、スライダーの摺動動作にあわせて、ディスク装置内部の所定位置における挿入ディスクの挟持動作と、挿入された前記ディスクの外周縁に当接する第1のディスク検知部材、第2のディスク検知部材、および支持部材の退避動作を実現するために仲介部品となる検知レバー、支持レバー、および横スライダーが必要となり、各部品を配置する箇所が必要となることから、ディスク装置の小型化および薄型化が困難となる。
【0011】
また、スライダーの摺動動作に応じて第1のディスク検知部材、第2のディスク検知部材、支持部材、およびトラバースユニットを間接的に可動させる構造としているため、仲介部品の使用によるディスク装置の組み立て作業が困難となる。
【0012】
さらに、挿入口よりディスクが挿入されていない状態において、スライダーがモーターの駆動力によって不用意に摺動するのを防止するための手段が必要となり、例えばバネ等を用いてスライダーが不用意に摺動しないよう付勢する手段が考えられるが、この場合、ディスク装置においてバネの設置スペースが必要になることに加え、モーターの駆動力によって摺動するスライダーへのバネの付勢力による動作負荷が懸念される。
【0013】
本発明は上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ディスク装置の所定位置における挿入ディスクの挟持動作と、それに伴う前記ディスクの外周縁に当接する部材の退避動作がスライダーの摺動動作に直接連動する構造を実現し、小型化および薄型化が可能なディスク装置を提供することにある。
【0014】
また、スライダーの摺動動作に直接連動して挿入ディスクの挟持動作と、前記挿入ディスクの外周縁に当接する部材の退避動作を実現することで、仲介部品を削減し、ディスク装置の組み立て作業が容易なディスク装置を提供することにある。
【0015】
さらに、挿入口よりディスクが挿入されていない状態において、バネ等の付勢する部品を用いず、スライダーが不用意に摺動するのを防止できる構造を実現することで、スライダーに対する動作負荷を軽減することが可能なディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に係るディスク装置は、フレームと、前記フレームに形成されてディスクを挿抜する挿入口と、前記挿入口より挿入されたディスクの外周縁に当接し、前記ディスクの外周縁に沿って移動する第1の当接ピンおよび第2の当接ピンと、前記第1の当接ピンと第1のラックギアを形成して前記フレームに対し摺動可能に取付けられた第1のディスク検知部材と、前記第2の当接ピンと第2のラックギアを形成して前記フレームに対し前記第1のディスク検知部材と対向する方向へ摺動可能に取付けられた第2のディスク検知部材と、前記第1のラックギアおよび前記第2のラックギアと噛合するピニオンギアと、前記第1のディスク検知部材および前記第2のディスク検知部材を互いに近接する方向へ付勢する第1の付勢手段と、モーターの駆動力によって回転し、ディスクを搬送するローラーと、前記ローラーを挿入されたディスクに対して接離可能とする揺動部材と、挿入された前記ディスクに対して前記ローラーが当接するよう前記揺動部材を付勢する第2の付勢手段と、前記フレームに対して揺動可能に取着されたクランパーを有する支持部材と、前記支持部材を下方位置へ付勢する第3の付勢手段と、前記挿入されたディスクに押圧されて揺動する支持レバーと、前記支持レバーに連動して前記フレームに対し摺動可能に取着されたスライダーと、を備えたディスク装置であって、前記支持レバーには長孔を形成し、前記スライダーには、前記第3の付勢手段による付勢力に抗して前記クランパーを上方位置へ移動するように前記支持部材を揺動可能とする第1のカム部と、前記第2の付勢手段による付勢力に抗して前記挿入口より挿入されたディスクから前記ローラーが離間する方向へ前記揺動部材を揺動可能とする第2のカム部と、前記第1の付勢手段による付勢力に抗して前記第1のディスク検知部材および前記第2のディスク検知部材を互いに離間する方向へ摺動可能とする第3のカム部と、前記長孔に遊嵌して前記挿入されたディスクの外周縁から前記支持レバーを離間する方向へ揺動可能とする連結突起と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項1の構成によれば、スライダーの摺動動作よって、クランパーを有する支持部材と、ローラーが取付けられた揺動部材と、第1のディスク検知部材および第2のディスク検知部材と、支持レバーを直接連動する構造としたことから、従来必要とされていた仲介部品を削減でき、ディスク装置の小型化および薄型化が可能となる。また、前記仲介部品の削減に伴い、ディスク装置の組み立て作業が容易となる。
【0018】
請求項2に係るディスク装置は、請求項1に記載のディスク装置であって、前記スライダーには突片を設け、前記第1のディスク検知部材または前記第2のディスク検知部材には挿入口よりディスクが挿入されていない状態で前記突片に当接する突起部を形成したことを特徴とする。
【0019】
請求項2の構成によれば、挿入口よりディスクが挿入されていない状態において、スライダーに設けられた突片と第1のディスク検知部材または第2のディスク検知部材に形成された突起部が当接するため、従来必要とされていたバネ等の付勢する部品を用いずに前記スライダーの不用意な摺動を防止でき、前記スライダーに対する動作負荷を軽減することが可能となる。
【0020】
請求項3に係るディスク装置は、請求項1または請求項2の何れかに記載のディスク装置であって、前記揺動部材には前記スライダーに備えた第2のカム部に沿って移動する突出部を形成し、前記スライダーには挿入口よりディスクが挿入されていない状態で前記突出部が係止する係止部を設け、前記揺動部材には前記スライダーに備えた第2のカム部に沿って移動する突出部を形成し、前記スライダーには挿入口よりディスクが挿入されていない状態で前記突出部が係止する係止部を設け、前記第2の付勢手段は前記揺動部材の突出部近傍に設けたことを特徴とする。
【0021】
請求項3の構成によれば、挿入口よりディスクが挿入されていない状態において、スライダーに形成された係止部と揺動部材に設けられた突出部が係止するため、従来必要とされていたバネ等の付勢する部品を用いずに前記スライダーの不用意な摺動を防止でき、前記スライダーに対する動作負荷を軽減することが可能となる。また、前記揺動部材を付勢する第2の付勢手段をスライダーに形成された第2のカム部に沿って移動する突出部近傍に設けることで、前記ローラーを接離する揺動部材の捩れを抑えることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のような本発明の構成によれば、スライダーの摺動動作に連動して以下の動作を直接行うことが可能となる。
(1)スライダーに形成された第1のカム部によって、クランパーを支持する支持部材を前記スライダーの摺動動作により直接揺動し、ディスク装置内部の所定位置に到達したディスクを前記クランパーとターンテーブルによって挟持する。
(2)スライダーに形成された第2のカム部によって、ローラーが取付けられた揺動部材を前記スライダーの摺動動作により直接揺動し、ディスク装置内部の所定位置に到達したディスクから前記ローラーを離間することができる。
(3)スライダーに形成された第3のカム部によって、第1のディスク検知部材とピニオンギアを介して連結された第2のディスク検知部材を前記スライダーの摺動動作により直接摺動し、ディスク装置内部の所定位置に到達したディスクから前記第1のディスク検知部材に形成された第1の当接ピンと前記第2のディスク検知部材に形成された第2の当接ピンを離間することができる。
(4)スライダーに形成された連結突起が支持レバーの長孔に遊嵌していることによって、前記支持レバーを前記スライダーの摺動動作により直接揺動し、ディスク装置の所定位置に到達したディスクから前記支持レバーを離間することができる。
すなわち、スライダーの摺動動作に連動して上記各動作が直接行えることで、従来必要とされていた仲介部品を削減でき、ディスク装置の小型化および薄型化が可能となる。
【0023】
また、挿入口よりディスクが挿入されていない状態において、スライダーに設けられた突片と第1のディスク検知部材または第2のディスク検知部材に形成された突起部が当接する構造、および/または、スライダーに設けられた突片と第1のディスク検知部材または第2のディスク検知部材に形成された突起部が当接する構造とすることで、従来必要とされていたバネ等の付勢する部品を用いずに前記スライダーの不用意な摺動を防止でき、前記スライダーに対する動作負荷を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例におけるディスク装置の斜視図。
【図2】本発明の実施例におけるディスク装置の平面図。
【図3】本発明の実施例におけるディスク検知部材およびピニオンギアを示す斜視図。
【図4】本発明の実施例におけるディスク装置の挿入口からディスクの外周縁が第1の当接部にのみ当接するよう挿入した場合を示す部分概略透視図。
【図5】図4の状態から欠歯によって第1のディスク検知部材および第2のディスク検知部材の摺動動作が規制された状態を示すディスク装置の部分概略透視図。
【図6】本発明の実施例におけるディスク装置の挿入口からディスクの外周縁が第2の当接部にのみ当接するよう挿入した場合を示す部分概略透視図。
【図7】図6の状態から欠歯によって第1のディスク検知部材および第2のディスク検知部材の摺動動作が規制された状態を示すディスク装置の部分概略透視図。
【図8】本発明の実施例におけるディスク装置の挿入口からディスクの外周縁が第1の当接部および第2の当接部に当接するよう挿入した場合を示す部分概略透視図。
【図9】図8の状態から第1のディスク検知部材および第2のディスク検知部材が互いに離間した状態を示す部分概略透視図。
【図10】本発明の実施例におけるローラーの動力伝達機構を示す斜視図。
【図11】本発明の実施例における揺動部材を示す天面側斜視図。
【図12】本発明の実施例における揺動部材を示す底面側斜視図。
【図13】本発明の実施例におけるディスク装置の底面側斜視図。
【図14】本発明の実施例におけるクランパーの構造を示す分解斜視図。
【図15】本発明の実施例におけるフレーム単体の正面側斜視図。
【図16】本発明の実施例におけるクランパーが上方位置にある状態を示す前記クランパー近傍の側面側概略部分拡大図。
【図17】図16の状態であって、クランパー、支持部材、スライダーの関係を示す斜視図。
【図18】本発明の実施例におけるクランパーが下方位置にある状態を示す前記クランパー近傍の側面側概略部分拡大図。
【図19】図18の状態であって、クランパー、支持部材、スライダーの関係を示す斜視図。
【図20】本発明の実施例におけるスライダー単体の天面側斜視図。
【図21】本発明の実施例におけるスライダー単体の底面側斜視図。
【図22】本発明の実施例におけるディスク挿入前の状態を示すディスク装置の概略透視平面図。
【図23】本発明の実施例におけるディスクを挿入して支持レバーが揺動した状態を示すディスク装置の概略透視平面図。
【図24】本発明の実施例におけるスライダーが摺動してディスクの挿入が完了した状態を示すディスク装置の概略透視平面図。
【図25】本発明の実施例におけるディスク装置の分解斜視図。
【図26】本発明の実施例におけるトラバースユニットを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態としての実施例を図1〜図26を用いて以下に説明する。尚、本発明はその主旨に反しない範囲で、実施例において説明した構成以外のものに対しても容易に適用可能である。
【0026】
図1は本発明の実施例におけるディスク装置の斜視図である。同図の符号1はディスク装置、2はディスク、3はディスク装置1の外観を構成するフレーム、4はディスク2の挿抜を直接可能とするフレーム3に形成された挿入口である。同図で示すように、ディスク装置1のフレーム3に形成された挿入口4よりユーザーによってディスク2が挿入されたならば、後述するローラーの回転力によって前記ディスク2はディスク装置1内部の所定位置に搬送される。そして、ディスク装置1内部の所定位置に到達したディスク2に対して情報の読み込み或いは情報の書き込みが可能となり、前記ディスク2の再生または記録ができる。
【0027】
図2は本発明の実施例におけるディスク装置の平面図、図3は本発明の実施例におけるディスク検知部材およびピニオンギアを示す斜視図である。同図で示すように、挿入口4の近傍におけるフレーム3の上部には、互いに近接または離間する方向へ摺動可能とする第1のディスク検知部材5と第2のディスク検知部材6を備えている。前記第1のディスク検知部材5には第1のラックギア5aを形成し、前記第2のディスク検知部材6には第2のラックギア6aを形成し、前記第1のラックギア5aと前記第2のラックギア6aにそれぞれ噛合するピニオンギア7を備えた構造としている。そして、前記第1のディスク検知部材5および前記第2のディスク検知部材6は第1の付勢手段たるコイルスプリング8によって互いに近接する方向へ常時付勢されている。
【0028】
また、前記第1のディスク検知部材5および前記第2のディスク検知部材6にはそれぞれ挿入口4から挿入されたディスク2の外周縁に当接する第1の当接ピン5cおよび第2の当接ピン6cが一体に形成されている。挿入口4よりユーザーによって挿入されたディスク2は、最初に前記第1の当接ピン5cおよび前記第2の当接ピン6cに当接する。そして、前記第1の当接ピン5cが一体に形成された第1のディスク検知部材5と前記第2の当接ピン6cが一体に形成された第2のディスク検知部材6は、ディスク2を挿入方向へ押圧するユーザーの押圧力により、前記コイルスプリング8の付勢力に抗して互いが離間する方向へと摺動する。
【0029】
ところで、前記第1のディスク検知部材5に形成された第1のラックギア5aには、欠歯5bが設けられ、前記第2のディスク検知部材6に形成された第1のラックギア6aには欠歯6bが設けられている。これは、ユーザーによって挿入されたディスク2の押圧力によって第1のディスク検知部材5または第2のディスク検知部材6の何れか一方のみが摺動するのを防止するために設けられており、換言すれば、挿入されたディスク2を挿入口4の略中央位置より挿入するための手段としている。
【0030】
ここで、挿入口4に対するディスク2の挿入について図4〜図9を用いてさらに詳述する。
【0031】
図4は本発明の実施例におけるディスク装置の挿入口からディスクの外周縁が第1の当接部にのみ当接するよう挿入した場合を示す部分概略透視図である。同図で示すように、挿入口4よりユーザーによってディスク2が前記挿入口4の図示左側から偏って挿入されたならば、前記ディスク2の外周縁が第1のディスク検知部材5に形成された第1の当接ピン5cに当接し、前記第1のディスク検知部材5は前記ディスク2の押圧力によって矢印Aの方向へ摺動する。そして、前記第1のディスク検知部材5の摺動に伴って、第1のラックギア5aに噛合するピニオンギア7が矢印Bの方向へと回転し、前記第1のラックギア5aと同じく前記ピニオンギア7に噛合する第2のラックギア6aが形成された第2のディスク検知部材6は矢印Cの方向へ摺動する。
【0032】
図5は図4の状態から欠歯によって第1のディスク検知部材および第2のディスク検知部材の摺動動作が規制された状態を示すディスク装置の部分概略透視図である。ピニオンギア7の歯が第1のラックギア5aに形成された欠歯5bにさしかかったところで、第2のラックギア6aの歯先に前記ピニオンギア7の別の歯先が当たり、前記ピニオンギア7の回転を強制的に停止させている。これは、ディスク2の挿入によって第1のディスク検知部材5のみが摺動するために生じるものであり、第2のディスク検知部材6に形成された第2のラックギア6aとピニオンギア7の噛合するタイミングが欠歯6bによってズレるためである。その結果、ユーザーによって挿入されたディスク2の外周縁が当接し、前記ディスク2の押圧力によって摺動する第1のディスク検知部材5、および前記ピニオンギア7を介して摺動する第2のディスク検知部材6は図5で示す状態より摺動することができなくなる。
【0033】
図6は本発明の実施例におけるディスク装置の挿入口からディスクの外周縁が第2の当接部にのみ当接するよう挿入した場合を示す部分概略透視図である。同図で示すように、挿入口4よりユーザーによってディスク2が前記挿入口4の図示右側から偏って挿入されたならば、前記ディスク2の外周縁が第2のディスク検知部材6に形成された第2の当接ピン6cに当接し、前記第2のディスク検知部材6は前記ディスク2の押圧力によって矢印Cの方向へ摺動する。そして、前記第2のディスク検知部材6の摺動に伴って、第2のラックギア6aに噛合するピニオンギア7が矢印Bの方向へと回転し、前記第2のラックギア6aと同じく前記ピニオンギア7に噛合する第1のラックギア5bが形成された第1のディスク検知部材5は矢印Aの方向へ摺動する。
【0034】
図7は図6の状態から欠歯によって第1のディスク検知部材および第2のディスク検知部材の摺動動作が規制された状態を示すディスク装置の部分概略透視図である。前記挿入口4の図示左側から偏って前記ディスク2を挿入した場合と同じく、ピニオンギア7の歯が第2のラックギア6aに形成された欠歯6bにさしかかったところで、第1のラックギア5aの歯先に前記ピニオンギア7の別の歯先が当たり、前記ピニオンギア7の回転を強制的に停止させている。これは、ディスク2の挿入によって第2のディスク検知部材6のみが摺動するために生じるものであり、第1のディスク検知部材5に形成された第1のラックギア5aとピニオンギア7の噛合するタイミングが欠歯5bによってズレるためである。その結果、ユーザーによって挿入されたディスク2の外周縁が当接し、前記ディスク2の押圧力によって摺動する第2のディスク検知部材6、および前記ピニオンギア7を介して摺動する第1のディスク検知部材5は図7で示す状態より摺動することができなくなる。
【0035】
図8は本発明の実施例におけるディスク装置の挿入口からディスクの外周縁が第1の当接部および第2の当接部に当接するよう挿入した場合を示す部分概略透視図である。同図で示すように、挿入口4よりユーザーによってディスク2が前記挿入口4の略中央より挿入されたならば、前記ディスク2の外周縁が第1のディスク検知部材5に形成された第1の当接ピン5cと第2のディスク検知部材6に形成された第2の当接ピン6cにそれぞれ当接し、前記第1のディスク検知部材5は前記ディスク2の押圧力によって矢印Aの方向へ摺動し、前記第2のディスク検知部材6は前記ディスク2の押圧力によって矢印Cの方向へ摺動する。
【0036】
図9は図8の状態から第1のディスク検知部材および第2のディスク検知部材が互いに離間した状態を示す部分概略透視図である。ピニオンギア7の歯が第1のラックギア5aに形成された欠歯5cおよび第2のラックギア6aに形成された欠歯6cにさしかかったところで、前記ピニオンギア7は前記第1のラックギア5aおよび前記第2のラックギア6aと噛合しないことから一時的に回転を停止するが、前記欠歯5cと前記欠歯6cを過ぎた位置まで前記第1のディスク検知部材5および前記第2のディスク検知部材6が互いに離間する方向へ摺動することで、前記第1のラックギア5aと前記第2のラックギア6aは前記ピニオンギア7と再度噛合して回転する。すなわち、挿入されたディスク2の外周縁に第1の当接ピン5cと第2の当接ピン6cが当接して前記第1のディスク検知部材5と前記第2のディスク検知部材6がほぼ同時に摺動することによって、欠歯5cまたは欠歯6cによる前記第1のディスク検知部材5または前記第2のディスク検知部材6の摺動規制を解除することができる。その結果、前記ディスク2を挿入する際に生じる押圧力によって、前記第1のラックギア5aが形成された第1のディスク検知部材5および前記第2のラックギア6aが形成された第2のディスク検知部材6は互いに離間する方向へ摺動する。
【0037】
前記欠歯5cまたは前記欠歯6cによる前記第1のディスク検知部材5または前記第2のディスク検知部材6の摺動規制は、換言すれば、前記挿入口4に対する前記ディスク2の挿入位置の制限となる。すなわち、ディスク装置1の挿入口4より挿入されたディスク2をできるだけ前記挿入口4の略中央位置より挿入することを目的としている。本実施例のようなディスク装置1に使用できるディスクとして大別すると、直径が120mmの大径ディスクと直径が80mmの小径ディスクがある。そして、挿入口4は、一般的に大径ディスクが挿入可能な大きさとしている。本実施例では、大径ディスクまたは小径ディスクの何れかが挿入された場合であっても、前記挿入口4の略中央より挿入を可能としている。なお、図4〜図9で示すディスク2は大径ディスクであり、小径ディスクを挿入する場合であっても同様の効果を奏することを言及し、詳細については割愛する。
【0038】
つぎに、挿入口4から挿入されたディスクの搬送手段について説明する。図2で示すように、フレーム3の上部には、前記第1のディスク検知部材5が摺動することによってスイッチのON/OFFが行われる第1のスイッチ9と第2のスイッチ10が併設されたスイッチ基板11が取り付けられている。前記第1のスイッチ9および前記第2のスイッチ10は、後述するローラーを回転させるモーターの駆動または停止を制御するためのものである。
【0039】
具体的には、ディスク装置1の挿入口4からディスク2が挿入されたことによって摺動する第1のディスク検知部材5が前記第1のスイッチ9を押圧することでモーターが駆動し、前記ローラーはモーターの動力によってディスク2をディスク装置1内部の所定位置へ搬送するために回転する。そして、前記ディスク2が前記ディスク装置1内部の所定位置に到達した時点で再び前記第1のスイッチ9が押圧され、前記モーターは停止し、前記ディスク2を前記ディスク装置1内部の所定位置へ搬送するために回転していたローラーも停止する。
【0040】
一方、前記第2のスイッチ10は、前記ディスク装置1内部の所定位置から挿入口4へディスク2を搬送するために回転するローラーの動力源たるモーターを停止するために設けられている。すなわち、前記第1のディスク検知部材5が前記第2のスイッチ10を押圧した状態から前記押圧状態が解除可能な位置まで摺動することによって、前記モーターは停止し、前記ディスク2を前記挿入口4へ搬送するために回転していたローラーも停止する。なお、本実施例で述べる「搬送」とは、ディスク装置1の挿入口4から前記ディスク装置1内部の所定位置へディスク2を搬入すること、或いは、前記ディスク装置1内部の所定位置から前記ディスク装置1の挿入口4へディスクを搬出することを総じて称し、以下、説明を続ける。
【0041】
つぎに、挿入口4より挿入されたディスク2を搬送するローラーの動力伝達機構について説明する。図10は本発明の実施例におけるローラーの動力伝達機構を示す斜視図である。本実施例では、ディスク装置1の後方側にモーター21を配置し、前記モーター21の先端にはプーリー22を取着している。そして、前記モーター21と間隔をあけてプーリーとギアを一体に形成したプーリーギア24を配置し、前記プーリー21と前記プーリーギア24にベルト23を掛け、前記モーター21の動力によって前記プーリーギア24を回転させる構造としている。
【0042】
一方、挿入口4の内面側であって、前記第1の当接ピン5cおよび前記第2の当接ピン6cよりも後方側には、挿入されたディスク2の下面側より当接するローラー17が設けられている。前記ローラー17は、軸(以下、揺動部材回転軸と称す)18a,18aを支点に揺動可能とする揺動部材18の端部において回転可能に取付けられている。そして、前記揺動部材18は第2の付勢手段によって前記ローラー17が前記挿入口4より挿入されたディスク2に当接する方向へ常時付勢されており、詳細については後述する。また、前記ローラー17は、両端部から略中央に向かってその径が小さくなる形状としている。これは、前記挿入口4より挿入されたディスク2の外周縁近傍に当接させ、前記ディスクの面に前記ローラー17が当接することによる損傷や汚れの付着などを防ぐために行っている。
【0043】
ところで、前記ローラー17の一方端部にはギア(以下、ローラーギアと称す)20が取着されている。これは、前記モーター21の動力を前記ローラー17に伝達するために設けられており、前記プーリーギア24と前記ローラーギア20の間には、前記モーター21の回転速度をディスク2の搬送に適した速度に変換するための、また、後述するスライダーを摺動させる動力を伝達するための、複数のギアによって構成されたギア機構25が配置されている。
【0044】
前述の構成により、ディスク装置1の挿入口4より挿入するディスク2は、モーター21の動力によって回転するローラー17によって装置内部の所定位置へと搬送される。なお、前記ローラー17の回転は以下の手順によって行われる。
(1)ディスク装置1の挿入口4よりディスク2を挿入する。
(2)第1の当接ピン5cおよび第2の当接ピン6cがディスク2の外周に当接し、第1のディスク検知部材5および第2のディスク検知部材6が互いに離間する方向へ摺動する。
(3)前記ディスク2の挿入に伴って摺動する前記第1のディスク検知部材5がスイッチ基板11に配設された第1のスイッチ9を押圧し、前記第1のスイッチ9はOFFからONになる。
(4)前記第1のスイッチ9がOFFからONになることでモーター21が回転駆動する。
(5)前記モーター21の回転動力がプーリー22,ベルト23,プーリーギア24,ギア機構25,ローラーギア20を介してローラー17に伝達され、前記ローラー17はディスク2をディスク装置1内部へ搬送するために回転する。
【0045】
つぎに、ローラー17が取付けられた揺動部材について詳述する。図11は本発明の実施例における揺動部材を示す天面側斜視図、図12は同底面側斜視図、図13は本発明の実施例におけるディスク装置の底面側斜視図である。同図で示すように、揺動部材18には、後方側にローラー17を回転可能に取付け、前方側に遮蔽部18bを一体に形成している。また、前記揺動部材18の両端部には揺動部材回転軸18a,18aが形成されており、前記揺動部材18の底面側には第2の付勢手段たるコイルスプリング19の一端を係止する係止部(以下、揺動部材側係止部と称す)18cが形成されている。前記揺動部材側係止部18cは前記揺動部材回転軸18a,18aよりも前方側に形成されており、前記コイルスプリング19の他端はフレーム3に形成された係止部(以下、フレーム側係止部と称す)3aに係止している。すなわち、前記揺動部材18は前記コイルスプリング19の付勢力によって前記揺動部材回転軸18a,18aを支点に前記遮蔽部18bが下降し、前記ローラー17が上昇した状態となっている。
【0046】
前述の状態をコイルスプリング19の付勢力によって維持することで、挿入口4より挿入されたディスク2の下面側外周縁に前記ローラー17を当接することができる。なお、前記遮蔽部18bはディスク装置1内部の所定位置にディスク2が挿入された後で別のディスクの挿入を防止するために設けたものである。具体的に述べれば、揺動部材18の一方端部には、揺動部材回転軸18aとは別に突出部18dが形成されており、後述するスライダーによって前記突出部18dを押圧することで、前記揺動部材18は前記揺動部材回転軸18a,18aを支点にコイルスプリング19の付勢力に抗して前記遮蔽部18bが上昇するように揺動する。そして、前記遮蔽部18bが上昇することで別のディスクの挿入を防止することが可能となる。
【0047】
なお、前記コイルスプリング19は、前記揺動部材18の前記突出部18d近傍に設けるのが望ましい。これは、前記コイルスプリング19の付勢力に抗して強制的に揺動する前記揺動部材18の捩れを抑えるためである。後述するスライダーによって前記突出部18dを押圧することで前記揺動部材回転軸18a,18aを支点に揺動する前記揺動部材18は、前記コイルスプリング19によって常時付勢力が掛かるため、例えば、前記突出部18dが形成されていない前記揺動部材18の他方端部側に前記コイルスプリング19を設ける構造とするならば、前記揺動部材18は捩れて揺動動作に不具合が生じたり、或いは、前記揺動部材18に取付けられたローラー17によるディスク2の搬送にも影響を与えることが考えられる。
【0048】
ところで、本実施例のディスク装置1は、挿入口4から大径ディスクまたは小径ディスクの何れにおいても挿入を可能としているが、前記ディスク装置1内部の所定位置へ到達する前に小径ディスクは強制的に前記挿入口4側へ搬送され、実際には大径ディスクのみ再生または記録を可能としている。すなわち、本発明の実施例では、ディスク装置1の挿入口4から挿入された大径ディスク2または小径ディスク2aの外径に沿って摺動する第1のディスク検知部材5および第2のディスク検知部材6を設け、前記第1のディスク検知部材5が摺動することによってONまたはOFFとなる第1のスイッチ9および第2のスイッチ10を前記第1のディスク検知部材5の摺動軌道上に並設し、前記第1のスイッチ9および前記第2のスイッチ10のONまたはOFFの状態を検知して前記挿入口4より挿入されたディスクの判別を行うとともに、前記挿入されたディスクが小径ディスクであるならば、ディスク装置1内部の所定位置へ搬送する前にローラー17を逆回転させて強制的に挿入口4側へ搬送するよう制御している。
【0049】
つぎに、ディスク装置1内部の所定位置に到達したディスク2を上方より押圧するクランパーの構造および動作について図14〜図19を用いて説明する。図14は本発明の実施例におけるクランパーの構造を示す分解斜視図、図15は本発明の実施例におけるフレーム単体の正面側斜視図、図16は本発明の実施例におけるクランパーが上方位置にある状態を示す前記クランパー近傍の側面側概略部分拡大図、図17は図16の状態であって、クランパー、支持部材、スライダーの関係を示す斜視図、図18は本発明の実施例におけるクランパーが下方位置にある状態を示す前記クランパー近傍の側面側概略部分拡大図、図19は図18の状態であって、クランパー、支持部材、スライダーの関係を示す斜視図である。
【0050】
クランパー12は、ディスク装置1の後方側において揺動可能とする支持部材13に取付けられている。詳述すれば、クランパー12は、挿入されたディスクに直接当接するクランパー本体12aと、前記クランパー本体12aの収納部分に収納された磁石12bと、前記クランパー本体12aに前記磁石12bを収納した状態で前記クランパー本体12aの上部より取付けるプレート部材12cによって構成されている。そして、前記支持部材13には、前記クランパーを回転可能に支持するクランパー取付部分13aが形成されており、前記クランパー取付部分13aを介して前記クランパー本体12aに前記プレート部材12cを取付けている。
【0051】
また、前記支持部材13には、フレーム3に対して揺動可能とする枢支孔13c,13cが形成されており、前記フレーム3の後方には、前記支持部材13の前記枢支孔13c,13cが遊嵌する枢支突起3b,3bが形成されている。すなわち、支持部材13のクランパー取付部分13aにおいて回転可能に取付けられたクランパー12を有する支持部材13は、フレーム3に形成された枢支突起3b,3bに遊嵌する枢支孔13c,13cを支点として上下方向へ揺動可能としている。
【0052】
そして、前記フレーム3には、前記枢支突起3b,3bが形成された位置よりも高い位置にフレーム上部3cが形成されている。前記フレーム上部3cには、前述した第1のディスク検知部材5と、第2のディスク検知部材6と、ピニオンギア7と、第1のスイッチ9および第2のスイッチ10が配設されたスイッチ基板11が取付けられる構造としている。
【0053】
また、前記フレーム上部3cには、前記クランパー12の一部が露出する円形状孔3dが形成されており、前記フレーム3の後方には、前記支持部材13の一部が挿通可能な開口部3eが形成されている。すなわち、フレーム3の枢支突起3b,3bに遊嵌する枢支孔13c,13cを支点に揺動可能とする支持部材13は、クランパー12を取付けたクランパー取付部分13aを開口部3eより前記フレーム3の内部に挿通し、前記フレーム3内部において前記クランパー12を揺動可能な構造としている。
【0054】
そして、前記クランパー12を前記フレーム上部3c側となる上方位置へ揺動するならば、前記クランパー12のプレート部材12cは前記フレーム3の円形状孔3d内に挿通し、前記クランパー本体12aの一部が前記フレーム上部3cと当接して、前記クランパー12は前記フレーム上部3cに対し略平行となる。詳述すれば、前記支持部材13のクランパー取付部分13aには、絞り加工によって凸部13d,13dが形成されており、前記クランパー12が上昇する方向へ前記支持部材13を揺動することで、前記クランパー12を構成するクランパー本体12aの前方側が前記フレーム上部3cに当接し、前記クランパー12は前記クランパー取付部分13a上で前記凸部13d,13dを支点に回動して、前記フレーム上部3cに対し略平行となる。
【0055】
これは、挿入口4より挿入されたディスク2が搬送途中で前記クランパー12と接触するのを防止するためである。例えば、クランパー取付部分13aに凸部13d,13dが形成されなかった場合、前記クランパー12が上昇する方向へ前記支持部材13を揺動しても前記クランパー12は前記フレーム上部3cに対して傾いたままとなり、挿入口4より挿入されたディスク2と前記クランパー12が接触する危険性が生じる。また、ディスク2とクランパー12の接触を防ぐために前記クランパー12をさらに上昇させるよう構造を変更するならば、前記フレーム3のフレーム上部3cをさらに高い位置へ変更する必要があり、ディスク装置1の大型化を招く虞がある。本発明の実施例によれば、上方位置にあるクランパー12をフレーム上部3cと略平行とし、ディスク装置1の高さを必要最小限として挿入口4より挿入されたディスク2との接触を確実に防止できる。
【0056】
なお、前記支持部材13は第3の付勢手段となるコイルスプリング26(図10参照)によって、クランパー12が下方位置へ揺動する方向、すなわち、挿入されたディスク2の上面側をディスク装置1内部の所定位置において前記クランパー12によって押圧する方向に常時付勢力が働いている。そして、後述するスライダーにより、ディスク装置1内部にディスク2が挿入されていないときには、前記コイルスプリング26の付勢力に抗して前記クランパー12が上方位置にあるよう前記支持部材13を強制的に揺動させた構造としている。
【0057】
また、前記支持部材13には円弧状長孔13bが形成されている。そして、前記円弧状長孔13bに挿通する第3の当接ピン14aが形成された支持レバー14がフレーム上部3cに揺動可能に取り付けられている。詳述すれば、前記フレーム上部3cには、前記支持レバー14を取付けるための支持レバー回転軸15が一体に形成されており、前記支持レバー14は前記支持レバー回転軸15を支点に揺動可能としている。挿入口4から挿入されたディスク2は、モーター21の駆動力によって回転するローラー17によってディスク装置1内部の所定位置へ搬送されるが、前記ディスク装置1の後方において前記ディスク2の外周縁が第3の当接ピン14aに当接し、前記第3の当接ピン14aは搬送される前記ディスク2に押圧されて、前記支持レバー14は支持レバー回転軸15を支点に揺動する。
【0058】
さらに、前記フレーム上部3cには、ディスク装置1の前後方向へ摺動可能とするスライダー16が取付けられている。そして、前記支持レバー14と前記スライダー16は連結されており、ディスク2の搬送に伴って揺動する前記支持レバー14の揺動動作に連動して前記スライダー16が摺動する構造としている。また、前記スライダー16は、後方側に高位置と低位置を傾斜部によって連結した第1のカム部16aを形成しており、支持部材13には、前記第1のカム部16aに当接する当接部13eが形成されている。すなわち、ディスク装置1内部にディスク2が挿入されていないときには、スライダー16に形成された第1のカム部16aの高位置に支持部材13の当接部13eが当接しているため、コイルスプリング26の付勢力に抗して前記支持部材13はクランパー12が上方位置にある状態(図17参照)となっているが、前記ディスク2がディスク装置1内部の所定位置に到達すれば、前記スライダー16は摺動し、前記当接部13eは前記第1のカム部に沿って前記高位置から低位置へ移動するため、前記支持部材13は前記コイルスプリング26の付勢力によってフレーム3に形成された枢支突起3b,3bに遊嵌する枢支孔13c,13cを支点として揺動し、前記クランパー12が下方位置にある状態(図19参照)となる。
【0059】
つぎに、スライダーの具体的な形状および機能について図20〜図24を用いて説明する。図20は本発明の実施例におけるスライダー単体の天面側斜視図、図21は本発明の実施例におけるスライダー単体の底面側斜視図、図22は本発明の実施例におけるディスク挿入前の状態を示すディスク装置の概略透視平面図、図23は本発明の実施例におけるディスクを挿入して支持レバーが揺動した状態を示すディスク装置の概略透視平面図、図24は本発明の実施例におけるスライダーが摺動してディスクの挿入が完了した状態を示すディスク装置の概略透視平面図である。
【0060】
本発明の実施例におけるスライダー16は、フレーム3の上面と側面にかかる形状を成している。そして、前記スライダー16には、前記支持レバー14と連結するための連結突起16bが形成されている。一方、前記支持レバー14には前記スライダー16の連結突起16bが遊嵌する長孔14bが形成されている。すなわち、前記スライダー16の連結突起16bが前記支持レバー14の長孔14bに遊嵌することで連結しており、支持レバー回転軸15を支点とする前記支持レバー14の揺動動作に連動して前記スライダー16は僅かに摺動する構造となっている。
【0061】
また、前記スライダー16には、底面側にラックギア(以下、第3のラックギアと称す)16cが形成されている。これは、モーター21の動力によって回転するギア機構25と噛合するために形成されており、ディスク2の挿入前の状態では、前記第3のラックギア16cと前記ギア機構25は噛合しておらず、挿入口4より挿入されたディスク2の外周縁が第3の当接ピン14aを押圧して前記支持レバー回転軸15を支点に支持レバー14が揺動する動作に連動して前記スライダー16が僅かに摺動することで、前記第3のラックギア16cと前記ギア機構25は噛合する構造となっている。そして、前記第3のラックギア16cと前記ギア機構25が噛合するならば、前記スライダー16は前記モーター21の駆動力によってディスク装置1の前方側へ摺動する。
【0062】
また、前記スライダー16の側面前方側には、挿入されたディスク2の下面側外周縁にローラー17を当接するための揺動部材18を前記ローラー17が前記ディスク2から離間する方向へ強制的に揺動させるための第2のカム部16dが形成されている。これは、前記揺動部材18の一方端部に形成された突出部18dが前記スライダー16の摺動動作に伴って前記第2のカム部16dに当接するとともに、前記第2のカム部16dに沿って前記突出部18dが移動することで、前記揺動部材18は前記揺動部材回転軸18a,18aを支点に第2の付勢手段たるコイルスプリング19の付勢力に抗して、前記遮蔽部18bが前記挿入口4を閉塞するように上昇し、前記ローラー17が前記ディスク2より離間するように下降する方向へ揺動する構造となっている。
【0063】
すなわち、ディスク2がディスク装置1内部の所定位置において再生または記録が可能な状態となったならば、挿入口4から別のディスクが挿入されるのを防止するために、前記スライダー16によって前記揺動部材18を強制的に揺動させ、前記遮蔽部18bを用いて前記挿入口4を内面側より閉塞し、あわせて、再生または記録を行う前記ディスク2から前記ローラー17を離間させている。
【0064】
また、前記スライダー16の平面前方側には第3のカム部16eが形成されている。これは、第1のディスク検知部材5を強制的に摺動させるために設けられており、前記スライダー16がディスク装置1の前方側へ摺動する動作が完了する直前で前記第1のディスク検知部材5を僅かに摺動させ、前記第1のディスク検知部材5によってスイッチ基板11に配設された第1のスイッチ9を押圧することでモーター21の駆動を停止する構造としている。そして、挿入口4より挿入されたディスク2を搬送する場合において、前述の動作により前記モーター21を停止させたときが、ディスク装置1内部の所定位置に前記ディスク2が到達し、前記ディスク2の再生または記録が可能な状態となったことをあらわしている。
【0065】
なお、前記第1のディスク検知部材5の強制的な摺動動作は、前記第1のスイッチ9を押圧して前記モーター21を停止させる機能とあわせて、ディスク装置1内部の所定位置に到達した前記ディスク2の外周縁より第1の当接ピン5cおよび第2の当接ピン6cを離間させる機能を有している。すなわち、前記スライダー16に形成された第3のカム部eによって僅かに摺動する第1のディスク検知部材5はピニオンギア7を介して第2のディスク検知部材6と連結されているため、前記第1のディスク検知部材5の摺動動作にあわせて前記第2のディスク検知部材6も摺動し、前記第1のディスク検知部材5と一体に形成された第1の当接ピン5cと前記第2のディスク検知部材6と一体に形成された第2の当接ピン6cは、ディスク2の外周縁より離間する。
【0066】
また、前記支持レバー14の長孔14bには前記スライダー16に形成された連結突起16bが遊嵌して互いに連結された状態にあり、前述した前記スライダー16の僅かな摺動動作の他にディスク装置1内部の所定位置に搬送されたディスク2より前記支持レバー14を離間する動作にも関係している。すなわち、第3のラックギア16cとギア機構25が噛合してモーター21の駆動力によって摺動する前記スライダー16の連結突起16bが前記支持レバー14の長孔14bに沿って移動し、前記連結突起16bが前記長孔14bの端部を押圧することで前記支持レバー14は支持レバー回転軸15を支点に揺動し、前記支持レバー14に形成された第3の当接ピン14aは前記ディスク装置1内部の所定位置に到達したディスク2の外周縁より離間する。
【0067】
また、前記第3のカム部16eの前方側には突片16fが形成されている。そして、前記第1のディスク検知部材5のスライダー16側端部には突起部5dが形成されている。前記突片16fおよび前記突起部5dは、ディスク装置1にディスク2を挿入する前において、スライダー16に形成された第3のラックギア16cとギア機構25が噛合するのを防止するために、前記第1のディスク検知部材5に形成された突起部5dに前記スライダー16に形成された突片16fを当接させて、前記スライダー16の不用意な摺動を抑えている。なお、前述の「不用意な摺動」とは、例えば、ディスク装置1を内蔵する電子機器の外部から過剰な衝撃を加えられた場合などを示す。
【0068】
つぎに、ディスク装置1内部の所定位置においてディスク2の再生または記録を行うトラバースユニットについて図25および図26を用いて説明する。図25は本発明の実施例におけるディスク装置の分解斜視図、図26は本発明の実施例におけるトラバースユニットを示す斜視図である。
【0069】
本実施例で示すトラバースユニット27は、ディスク2を回転可能とするターンテーブル29と、ディスク装置1内部の所定位置において前記ターンテーブル29によって回転する前記ディスク2にレーザー光を照射し、前記ディスク2に予め記録された情報を読み込み再生する、および/または、前記ディスク2に情報を書き込み記録する、ことが可能なピックアップユニット30と、を主要部品としてベース部材28に取付け構成している。そして、前記トラバースユニット27は、ディスク装置1のフレーム3にネジを用いて締結されており、前記ディスク装置1内部の所定位置に挿入されたディスク2は、揺動する支持部材13に取付けられたクランパー12によって押下げられ、前記クランパー12と前記ターンテーブル29によって前記ディスク2を挟持する構造としている。なお、ディスク装置1内部の所定位置より前記ディスク2を挿入口4側へ搬送するときには、前記スライダー16が摺動して揺動部材18の強制的な揺動状態が解除され、前記揺動部材18はコイルスプリング19の付勢力によってローラー17がディスク2の下面側外周縁に当接するよう揺動部材回転軸18a,18aを支点に揺動するとともに、前記ディスク2を前記ターンテーブル29から離間するように持ち上げる力が発生する。また、前記スライダー16の摺動動作によって、前記ディスク2を上方側より押圧していたクランパー12は、コイルスプリング26の付勢力に抗してフレーム3に形成された枢支突起3b,3bに遊嵌する枢支孔13c,13cを支点に揺動する支持部材13の揺動動作に伴って上方位置へ移動する。
【0070】
以上、本発明の一実施例について詳述したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 ディスク装置
2 ディスク(大径ディスク)
3 フレーム
3a フレーム側係止部
3b 枢支突起
3c フレーム上部
3d 円形状孔
3e 開口部
4 挿入口
5 第1のディスク検知部材
5a 第1のラックギア
5b 欠歯
5c 第1の当接ピン
5d 突起部
6 第2のディスク検知部材
6a 第2のラックギア
6b 欠歯
6c 第2の当接ピン
7 ピニオンギア
8 コイルスプリング(第1の付勢手段)
9 第1のスイッチ
10 第2のスイッチ
11 スイッチ基板
12 クランパー
12a クランパー本体
12b 磁石
12c プレート部材
13 支持部材
13a クランパー取付部分
13b 円弧状長孔
13c 枢支孔
13d 凸部
13e 当接部
14 支持レバー
14a 第3の当接ピン
14b 長孔
15 支持レバー回転軸
16 スライダー
16a 第1のカム部
16b 連結突起
16c 第3のラックギア
16d 第2のカム部
16e 第3のカム部
16f 突片
16g 係止部
17 ローラー
18 揺動部材
18a 揺動部材回転軸
18b 遮蔽部
18c 揺動部材係止部
18d 突出部
19 コイルスプリング(第2の付勢手段)
20 ローラーギア
21 モーター
22 プーリー
23 ベルト
24 プーリーギア
25 ギア機構
26 コイルスプリング(第3の付勢手段)
27 トラバースユニット
28 ベース部材
29 ターンテーブル
30 ピックアップユニット



【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、前記フレームに形成されてディスクの挿抜を可能とする挿入口と、前記挿入口より挿入されたディスクの外周縁に当接し、前記ディスクの外周縁に沿って移動する第1の当接ピンおよび第2の当接ピンと、前記第1の当接ピンと第1のラックギアを形成して前記フレームに対し摺動可能に取付けられた第1のディスク検知部材と、前記第2の当接ピンと第2のラックギアを形成して前記フレームに対し前記第1のディスク検知部材と対向する方向へ摺動可能に取付けられた第2のディスク検知部材と、前記第1のラックギアおよび前記第2のラックギアと噛合するピニオンギアと、前記第1のディスク検知部材および前記第2のディスク検知部材を互いに近接する方向へ付勢する第1の付勢手段と、モーターの駆動力によって回転し、ディスクを搬送するローラーと、前記ローラーを挿入されたディスクに対して接離可能とする揺動部材と、挿入された前記ディスクに対して前記ローラーが当接するよう前記揺動部材を付勢する第2の付勢手段と、前記フレームに対して揺動可能に取着されたクランパーを有する支持部材と、前記支持部材を下方位置へ付勢する第3の付勢手段と、前記挿入されたディスクに押圧されて揺動する支持レバーと、前記支持レバーに連動して前記フレームに対し摺動可能に取着されたスライダーと、を備えたディスク装置であって、前記支持レバーには長孔を形成し、前記スライダーには、前記第3の付勢手段による付勢力に抗して前記クランパーを上方位置へ移動するように前記支持部材を揺動可能とする第1のカム部と、前記第2の付勢手段による付勢力に抗して前記挿入口より挿入されたディスクから前記ローラーが離間する方向へ前記揺動部材を揺動可能とする第2のカム部と、前記第1の付勢手段による付勢力に抗して前記第1のディスク検知部材および前記第2のディスク検知部材を互いに離間する方向へ摺動可能とする第3のカム部と、前記長孔に遊嵌して前記挿入されたディスクの外周縁から前記支持レバーを離間する方向へ揺動可能とする連結突起と、を備えたことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記スライダーには突片を設け、前記第1のディスク検知部材または前記第2のディスク検知部材には挿入口よりディスクが挿入されていない状態で前記突片に当接する突起部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記揺動部材には前記スライダーに備えた第2のカム部に沿って移動する突出部を形成し、前記スライダーには挿入口よりディスクが挿入されていない状態で前記突出部が係止する係止部を設け、前記第2の付勢手段は前記揺動部材の突出部近傍に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載のディスク装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−195024(P2012−195024A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56550(P2011−56550)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(390001959)オリオン電機株式会社 (427)
【Fターム(参考)】