説明

ディスク記録媒体処理装置

【課題】ディスクの記録面を保護しつつ、径の異なるディスクの搬送をより簡単にかつ柔軟に行うようにし、かつより一層コンパクトに形成することのできるディスク記録媒体処理装置を提供する。
【解決手段】装置本体2のディスク挿入取出口6とトラバースユニット4のセンタリング位置との間でディスク7を搬送する第1および第2ディスクガイドアーム11,12およディスク保持アーム44によるディスク7の搬送制御、ディスク7のトラバースユニットに対するセンタリング制御、トラバースユニット4のターンテーブル115に対するディスク7のクランプ制御およびアンクランプ制御、シャッタ7によるディスク挿入取出口6の開閉制御、および第3スイッチ110のオン、オフ制御の複数の制御が1つのスライダカム部材制御部材81で行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、音響機器、映像機器、情報機器、通信機器、計測機器等において用いられ、CDやDVD等のディスクに対して記録、再生等の処理を行うディスク記録媒体処理装置の技術分野に関し、特に、ディスクの外周縁を挟持して搬送し、かつコンパクトに形成できるディスク記録媒体処理装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
例えば、音響機器においては、多数の曲が記録されているCDを用いたディスク記録再生装置が、従来から種々多数開発されている。従来のこのようなディスク記録再生装置の1例として、ディスク挿入取出口を有する装置本体と、装置本体内に配設されディスクに対して記録、消去および再生の少なくとも1つを行うトラバースユニットと、ディスク挿入取出口に一部が挿入されたディスクを装置本体内に搬送するとともに、装置本体内にあるディスクをディスク挿入取出口から一部を装置本体の外部に排出させるディスク搬送手段とを備え、ディスク搬送手段が、少なくとも、装置本体に回動可能に設けられるとともに、先端にモータによって回転駆動されかつディスクの外周縁を挟持する駆動ローラを有する第1ディスク搬送アームと、装置本体に回動可能に設けられるとともに、先端にディスクの外周縁を挟持する従動ローラを有する第2ディスク搬送アームとを備え、駆動ローラと従動ローラとによりディスクの外周縁を挟持しながら第1および第2ディスク搬送アームが回動することで、ディスクを搬送するディスク記録媒体処理装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この特許文献1に開示のディスク記録および/または再生装置によれば、一対の駆動ローラと従動ローラとがディスクの外周縁のみに接触するので、ディスクの記録面を傷付けることなく、ディスクを搬送することができる。
【特許文献1】特開2002−334507号公報(例えば、段落番号[0155]ないし[169]、図27および図28等)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述の特許文献1に開示のディスク記録媒体処理装置では、ディスク挿入取出口へ一部が挿入されたディスクを挟持して装置本体内のストア位置に搬送するとともに、ストア位置にあるディスクを挟持してディスク挿入取出口からディスクの一部を排出させるものだけであるため、ストア位置とトラバースユニットとの間でディスクを搬送するための別の搬送手段が必要となるばかりでなく、トラバースユニットに対するディスクのセンタリングを行うための別の手段が必要となる。このため、その分、構成が複雑でかつ部品点数が多くなり、装置をコンパクトに形成することが難しい。
【0005】
また、ディスクをディスク挿入取出口とストア位置との間の搬送およびストア位置とトラバースユニットとの間の搬送、およびトラバースユニットに対するディスクのセンタリングの制御を必要とするため、ディスクの搬送制御が面倒になる。
更に、ディスクの外周縁を駆動ローラと従動ローラとで挟持しているため、ディスクを挟持することができるが、ともに回転する2つのローラでディスクを挟持することになるので、ディスクを安定した姿勢で挟持することがより一層望まれる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ディスクの記録面を保護しつつ、径の異なるディスクの搬送制御をより簡単にかつ柔軟に行うようにし、かつより一層コンパクトに形成することのできるディスク記録媒体処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するために、請求項1の発明は、ディスク挿入取出口を有する装置本体と、前記装置本体内に配設されディスクに対して記録、消去および再生の少なくとも1つを行うトラバースユニットと、前記ディスク挿入取出口に一部が挿入された前記ディスクを前記装置本体内に搬送するとともに、前記装置本体内にある前記ディスクの一部を前記ディスク挿入取出口から外部に排出させるディスク搬送手段と、前記ディスク搬送手段を制御する制御手段と少なくとも備えるディスク記録媒体処理装置において、前記制御手段が、前記ディスク搬送手段による前記ディスクの搬送制御、前記ディスクの前記トラバースユニットに対するセンタリング制御、前記トラバースユニットのターンテーブルに対する前記ディスクのクランプ制御およびアンクランプ制御の複数の制御を行う1つの制御部材を備えていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項2の発明は、前記ディスク挿入取出口を開閉するシャッタが前記装置本体に設けられており、前記制御部材が前記シャッタの開閉制御も行うことを特徴としている。
更に、請求項3の発明は、前記制御手段が、前記制御部材の制御開始するトリガを前記ディスクの直径に応じて設定するトリガ設定手段を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
このように構成された本発明のディスク記録媒体処理装置によれば、1つの制御部材で、ディスクの直径に関わらず、ディスクの搬送制御、ディスクのセンタリング制御、ターンテーブルに対するディスクのクランプ制御およびアンクランプ制御、シャッタの開閉制御等の複数の制御を行うようにしているので、これらの制御を個別に行うための制御部材を不要にでき、部品点数を削減できるとともに、これらの制御を容易にして制御性を向上でき、しかも装置本体にこれらの個別の制御部材の設置スペースを不要にできるので、装置をより一層コンパクトにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明に係るディスク記録媒体処理(記録再生)装置の実施の形態の一例を概略的に示し、(a)はその斜視図、(b)はディスク挿入取出口を示す図、(c)はディスク挿入取出口の変形例を示す図であり、また、図2はこの例のディスク記録媒体処理装置のディスク挿入取出口の部分を示し、(a)はディスク挿入取出口が開かれた状態を示す斜視図、(b)はディスク挿入取出口が閉じられた状態を示す斜視図である。
【0011】
図1(a)に示すように、この例のディスク記録媒体処理装置1は、大きく分けて、矩形状の装置本体2の一端側に設けられたディスク出入れ部3と、装置本体2内でのこのディスク出入れ部3に隣接して設けられ、記録、消去および再生の少なくとも1つを行うトラバースユニット4との間でディスクをクランプするクランパーを支持するクランパー支持部5とからなっている。図1(b)および図2(a)に拡大して示すように、このディスク記録媒体処理装置1のディスク出入れ部3において、装置本体2の一端面にスロット状のディスク挿入取出口6が設けられている。そして、ディスク7がこのディスク挿入取出口6を通して装置本体2内に挿入されるとともに、装置本体2内に挿入されたディスク7がディスク挿入取出口6を通して取り出すようになっている。
【0012】
図1(b)に示すように、ディスク挿入取出口6のディスク挿入方向から見た形状はきわめて緩やかな傾斜からなる4辺の傾斜面6a,6b,6c,6dからなるほぼ菱形形状に形成されている。その場合、菱形形状の図1(b)において左右両端は上下の傾斜面6a,6c;6b,6dがそれぞれ直接交差しなく、上下辺6e,6fが設けられている。これらの傾斜面6a,6b,6c,6dにより、ディスク7の記録面が傾斜面6a,6b,6c,6dに当接しないようにしている。
【0013】
また、ディスク挿入取出口6の下側の傾斜面6dの右端側には、この傾斜面6dの傾斜より大きな傾斜の傾斜面6gおよびこの傾斜面6gに連続する図1(b)において水平面6hを有するディスク保持部材6iが設けられている。このディスク保持部材6iは弾性材から形成されている。そして、上側の傾斜面6bと下側の水平面6hの間にディスク7の外周縁が挟持されることで、ディスク7を保持するディスク保持部6jが形成されている。その場合、ディスク7の外周縁がディスク保持部6jによって保持されるときは、ディスク保持部材6iが若干弾性変形することでディスク7が弾性的に確実に保持されるようになっている。しかも、ディスク7の外周縁に沿う面が水平面6hと面接触することで、ディスク7がディスク保持部6jに安定して保持されるが、水平面6hと面接触するディスク7の面は非記録部7b(図18に図示)であるので、ディスク7の面が水平面6hと面接触しても、ディスク7への情報の記録および情報が記録されたディスク7の再生が影響されることはない。
【0014】
なお、ディスク保持部材6iは、上側の傾斜面6bの右端側あるいは上下の傾斜面6b,6dの両方の右端側に設けることもできる。その場合、上側の傾斜面6bに設けられるディスク保持部材6iは下側の傾斜面6dに設けられるディスク保持部材6iと上下線対称に設けられる。また、図1(c)に示すようにディスク保持部材6iは水平面6hを省略して傾斜面6gのみ設けることもできる。この場合には、ディスク7の外周縁が両傾斜面6b,6gの間に挟持されるようになる。更に、ディスク保持部材6iは傾斜面6gを省略して水平面6hのみ設けることもできる。この場合には、ディスク7の外周縁を上側の傾斜面6bと水平面6hとの間に確実に誘導するために、傾斜面6bの傾斜をある程度大きくすることが望まれる。しかし、ディスク7の外周縁を上側の傾斜面6bと水平面6hとの間に確実に誘導しかつ安定して保持するためには、図1(b)に示すようにディスク保持部材6iに傾斜面6bと水平面6hとを設けることが望ましい。
【0015】
装置本体2の両側端面には、ディスク挿入取出口6を開閉するシャッタ8が回動可能に設けられている。シャッタ8は開制御スプリング9(図16に図示)でディスク挿入取出口6を開く方向に(つまり、図2(a)において反時計回りに)常時付勢されている。そして、ディスク記録媒体処理装置の非使用時(つまり、ディスク非挿入時)には、シャッタ8は、図2(a)にディスク挿入取出口6を開いた状態に保持されている。このシャッタ8によるディスク挿入取出口6の開閉制御については後述する。
【0016】
図2(a)に示すように、ディスク挿入取出口6より若干内側の装置本体2には、ディスク挿入取出口6から挿入されるディスク7を検知するディスクセンサ10が設けられている。このディスクセンサ10としては、例えば光を発光する発光器とこの発光器からの光を受光する受光器とからなり、発光器からの光が挿入されたディスク7によって遮られて受光器によって検知されないことによりディスク7を検知する公知の光センサを用いることができる。なお、ディスクセンサ10としては、光センサの他、ディスク7の挿入取り出し動作に支障を来さないものであれば、どのようなセンサをも用いることができる。この例では、ディスクセンサ10として光センサを用いて説明する。このように公知の光センサ10は公知のものを用いることができるので、その具体的な構成については説明を省略する。
【0017】
図3は、装置本体の上板を外して非作動状態のディスク記録媒体処理装置を部分的に示す平面図(上面図)である。
図3に示すように、ディスク出入れ部3の装置本体2には、ディスク搬送手段としてのディスク搬送アームを構成する一対の第1および第2ディスクガイドアーム11,12がそれぞれ回動可能に設けられている。図4(a)に示すように、第1ディスクガイドアーム11には、一端側に装置本体2に突設された回転軸13が貫通する支持孔14が穿設されており、この支持孔14が回転軸13に嵌合されることで、第1ディスクガイドアーム11が装置本体2に回転可能に支持されている。
【0018】
図4(b)に示すように、第1ディスクガイドアーム11の支持孔14形成部分は円弧状に形成されており、この円弧状部分15の外周面には、カム16が形成されている。このカム16は、図4(b)において反時計回りに向かうにしたがって上昇するように傾斜したカム面16aを有している。後述するようにカム16はディスク径判別手段を構成している。
【0019】
また、図4(c)に示すように、第1ディスクガイドアーム11の円弧状部分15には、筒状の回転軸17が支持孔14と同心に突設されている。この回転軸17の先端部には、ギヤ18が一体にかつ全周にわたって設けられている。更に、図4(c)に示すように第1ディスクガイドアーム11には、2つのピン19,20がそれぞれ突設されている。
【0020】
図4(a)に示すように、第1ディスクガイドアーム11の一側の面には、ディスク駆動ローラ21が支持孔14側と反対側の他端側(つまり、第1ディスクガイドアーム11の先端側)に位置して回動可能に支持されている。このディスク駆動ローラ21は、図4(a)においてディスク7の外周上縁をガイドするガイド面を有しかつ樹脂から截頭逆円錐台形状に形成されたディスクガイド部21aと、このディスクガイド部21aに一体回転可能に固定され、一対の円錐面からなる挟持面21c,21dを有しかつディスク7の外周上下縁を挟持する挟持溝を有したゴム等の弾性体からなるディスク挟持部21bとからなっている。挟持溝を構成する一対の挟持面21c,21dは、いずれも周方向に連続した曲面とされている。そして、ディスク駆動ローラ21はディスク挟持部21bの挟持溝における一対の挟持面21c,21dにディスク7の外周上下縁を挟持しかつ回動することで、ディスク7の引込動作および排出動作を行う。
【0021】
このように、凸面21c1,21d1と凹面21c2,21d2とを設けることで、ディスク7は断続的に一対の凸面21c1,21d1に挟持されるとともに、凸面21c1,21d1のエッジ部に断続的に一対の凸面21c1,21d1に挟持されるようになり、ディスク駆動ローラ21から挟持したディスク7により大きな駆動力を伝達させることができ、ディスク7の引込および排出をより確実に行うことができる。
【0022】
更に、図4(c)に示すように、第1ディスクガイドアーム11において、ディスク駆動ローラ21が設けられる一面側と反対側の他面側には、ギヤ列22が設けられている。このギヤ列22は、第1ギヤ23、第2ギヤ24、第3ギヤ25、第4ギヤ26、および第5ギヤ27からなっている。第2ギヤ24は第1ギヤ23より小径のギヤに形成されているとともに第1ギヤ23と同軸に一体に形成されている。これらの第1および第2ギヤ23,22は、第1ディスクガイドアーム11の回転軸17のまわりに一体回転可能に設けられている。その場合、支持孔14および筒状の回転軸17がともに装置本体2の回転軸13に回転可能に嵌合されるようになっている。
【0023】
また、第3ギヤ25が第2ギヤ24に噛合して回転可能に第1ディスクガイドアーム11に支持され、更に、第4ギヤ26が第3ギヤ25に噛合して回転可能に第1ディスクガイドアーム11に支持され、更に、第5ギヤ27が第4ギヤ26に噛合して回転可能に第1ディスクガイドアーム11に支持されている。第5ギヤ27は、ディスク駆動ローラ21と同軸でかつ一体回転可能に設けられている。そして、これらの第1および第2ギヤ23,24、第3ギヤ25、第4ギヤ26、および第5ギヤ27は、これらの順に支持孔14側からディスク駆動ローラ21に向かって第1ディスクガイドアーム11の長手方向に沿って直線状またはほぼ直線状に配置されている。この第1ディスクガイドアーム11は、図示しないスプリングにより図3において反時計回りに、つまりディスク駆動ローラ21が後述する第2ディスクガイドアーム12のディスクガイド部33に接近する方向に常時付勢されている。第1ないし第5ギヤ23,24,25,26,27は、必ずしも直線状またはほぼ直線状に配置されていなくてもよく、第1ディスクガイドアーム11の範囲内で長手方向に沿っていさえすれば、直線からある程度ずれて配置することもできる。
【0024】
図5(a)に示すように、第2ディスクガイドアーム12には、一端側に装置本体2に突設された回転軸28(図3に図示)が貫通する支持孔29aを有するボス部29が設けられており、このボス部29が回転軸28に嵌合されることで、第2ディスクガイドアーム12が装置本体2に回転可能に支持されている。また、このボス部29には筒状のギヤ30がボス部29と同心にかつ一体に設けられている。
【0025】
第2ディスクガイドアーム12の図5(a)において下面には、図5(b)に示すようにスイッチ作動子31が形成されている。このスイッチ作動子31は、支持孔29aと同心円の円弧状に形成されている。また、同じく第2ディスクガイドアーム12の下面には、ピン32が突設されている。
【0026】
更に、図5(a)に示すように、第2ディスクガイドアーム12の他端側には、ディスクガイド部33が第2ディスクガイドアーム12に対して相対回動不能に設けられている。ディスクガイド部33は、先端側の円弧状の第1ガイド保持部34と、この第1ガイド保持部34から接線方向でかつボス部29側にディスク挿入方向およびディスク排出方向と平行に延設された直線状の第2ガイド保持部35とからなっている。第1ガイド保持部34は図5(a)においてディスク7の外周上縁をガイドするガイド面を有しかつ樹脂から截頭逆円錐台形状の一部に形成されたディスクガイド部34aと、このディスクガイド部34aに一体的に固定され、ディスク7の外周上下縁を挟持しかつガイドする円弧状の挟持溝を有する、ゴム等の弾性体からなるディスク挟持部34bとからなっている。また、直線状ガイド保持部35は図5(a)においてディスク7の外周上縁をガイドするガイド面を有しかつ樹脂から傾斜面に形成されたディスクガイド部35aと、このディスクガイド部35aに一体的に固定され、ディスク7の外周上下縁を挟持しかつガイドする直線状の挟持溝を有する、ゴム等の弾性体からなるディスク挟持部35bとからなっている。なお、第1ガイド保持部34は必ずしも円弧状に形成することはなく、第2ガイド保持部35に対してディスク排出方向に広がるよう傾斜する直線状に形成することもできる。
【0027】
そして、第1ガイド保持部34の円弧状の挟持溝および直線状ガイド保持部35の直線状の挟持溝によりディスク7の外周上下縁が挟持されかつこれらの溝に沿ってガイドされるようになっている。なお、第1ガイド保持部34の円弧状の挟持溝および直線状ガイド保持部35の直線状の挟持溝においても、前述のディスク駆動ローラ21における凸面21c1,21d1と凹面21c2,21d2と同様の凸面および凹面を設けるようにすることもできる。
【0028】
この第2ディスクガイドアーム12は、スプリング36(後述の図18に図示)の付勢力が第2ディスクガイドアーム12の図5(b)に示すスプリング支持部12aに加えられることより図3において時計回りに、つまりディスクガイド部33が第1ディスクガイドアーム11のディスク駆動ローラ21に接近する方向に常時付勢されている。その場合、第1ディスクガイドアーム11の付勢力が第2ディスクガイドアーム12の付勢力より大きく設定されている(第1ディスクガイドアーム11の付勢力が第2ディスクガイドアーム12の付勢力の3倍程度が望ましい)。
【0029】
図6は、装置本体2の下板を外した状態のディスク記録媒体処理装置の下面図である。
図6に示すように、ディスク出入れ部3の装置本体2には、駆動モータ37が設けられているとともに、ウォーム38がこの駆動モータ37の回転軸37aと平行にかつ所定間隔を置いて回転可能に設けられている。そして、駆動モータ37の回転軸37aに駆動側プーリ39が設けられているとともに、ウォーム38に従動側プーリ40が設けられている。これらの駆動側プーリ39と従動側プーリ40との間に無端ベルト41が掛け渡されており、この無端ベルト41により、回転が駆動側プーリ39から従動側プーリ40に減速されて伝達されるようになっている。
【0030】
更に、ウォーム38には、装置本体2に回転可能に支持されたウォームホイール42が噛合されていて、ウォーム38の回転がこのウォーム38と直交する方向の回転軸回りのウォームホイール42の回転にかつ減速されて変換される。このウォームホイール42の回転は、装置本体2に回転可能に支持された中間ギヤ43を介して、ディスク駆動ローラ21に設けられたギヤ列22の第1ギヤ23に伝達されるようになっている。したがって、駆動モータ37の回転駆動力が、無端ベルト41、ウォーム38、ウォームホイール42、中間ギヤ43、第1ギヤ23、第2ギヤ24、第3ギヤ25、第4ギヤ26、および第5ギヤ27を介してディスク駆動ローラ21に減速されて伝達される。
【0031】
図3に示すように装置本体2には、ディスク搬送手段としてのディスク搬送アームを構成するディスク保持アーム44が回動可能に支持されている。図7(a)に示すように、このディスク保持アーム44は、大きく分けてアーム部材である保持アーム本体45とこの保持アーム本体45に軸46で相対回転可能に連結されたアーム部材である保持補助アーム47とからなっている。その場合、保持アーム本体45に突設されたピン48と、保持補助アーム47に軸46を中心とする円の円弧状に穿設されかつこのピン48が嵌合する規制孔49とにより、保持アーム本体45と保持補助アーム47との相対回転は所定量に規制されている。
【0032】
保持アーム本体45の保持補助アーム47連結側と反対側の端部には、支持孔50aを有する筒状の軸50が一体に突設されている。図3に示すように、装置本体2に立設された支持軸51(図3に図示)にこの筒状の軸50の支持孔50aが嵌合されることで、保持アーム本体45が装置本体2に回動可能に支持される。また、軸50には第1押圧部52と第2押圧部53とがそれぞれ軸50と一体に回動可能に設けられている。その場合、第1押圧部52は第2押圧部53より低くかつ軸50を中心に反時計回りで先行するように設けられている。更に軸50には、制御アーム54が保持アーム本体45と反対側に延びるようにして一体に設けられている。この制御アーム54の先端部には、2つのピン55a,55bが突設されている。
【0033】
保持補助アーム47の両端には、それぞれディスク保持ローラ56,57が設けられている。これらのディスク保持ローラ56,57はディスク7の外周端部を挟持するようになっている。各ディスク保持ローラ56,57は、それぞれ保持補助アーム47の両端部に一体に固定されたローラ支持部材58,59に回動可能に支持されている。そして、これらのディスク保持ローラ56,57は、小径ディスクである直径8cm(以下、単に8cmともいう)のディスク7の中心がトラバースユニット4のターンテーブルの中心に対応する図3に示す位置にセンタリングされたとき(以後、この位置をセンタリング位置ともいう)、ともに8cmのディスク7の外周縁を挟持するように円弧の線上に配置されている。
【0034】
更に、ローラ支持部材59にはピン60が突設されている。一方、保持アーム本体45には、切換制御レバー61がこの保持アーム本体45に突設された回転軸62によりこの保持アーム本体45と相対回動可能に支持されている。切換制御レバー61の保持補助アーム47側の端部は溝63が設けられており、この溝63にローラ支持部材59のピン60が嵌合されている。また、切換制御レバー61の溝63と反対側の端部はL字状に曲げられており、その折曲部は非押圧部61aとされている。
【0035】
そして、切換制御レバー61は、通常時(つまり、ディスク7が挿入されないディスク記録媒体処理装置1の非作動時)には、図7(b)に実線で示すように図示しないスプリングで時計回りに付勢されている。これにより、保持アーム本体45のピン48が保持補助アーム47の規制孔49の一端に当接して、保持アーム本体45と保持補助アーム47とは若干折れ曲がった状態に保持されるようになっている。また、切換制御レバー61は、保持補助アーム47が通常時の状態から保持アーム本体45に対して反時計回りにスプリングの付勢力に抗して所定量相対回動して保持アーム本体45のピン48が保持補助アーム47の規制孔49の他端に当接することで、図7(b)に二点鎖線で示すように保持アーム本体45と保持補助アーム47とはほぼ1つの円弧状に延びた状態に設定されるようになっている。
【0036】
ディスク保持アーム44は、図示しないスプリングにより図3において時計回りに常時付勢されている。そして、ディスク保持アーム44は、非作動時には、図3に示すように制御部材であり非作動位置にあるスライダカム部材81(後述)のストッパ81fに当接することにより保持補助アーム47がほぼトラバースユニット4のターンテーブルの中心に対応する位置になるように、図3に示す非作動位置に保持されている。ディスク保持アーム44のこの非作動位置では、保持補助アーム47の先端側のディスク保持ローラ56が他端側のディスク保持ローラ57よりディスク挿入取出口6側(図3において右側)に位置している。
【0037】
図3に示すように、装置本体2には、ディスク保持アーム44の回転軸51の近傍に、トリガー設定手段であるトリガーレバー64が回動可能に設けられている。図8に示すように、このトリガーレバー64は、平板菱形形状の本体65と、この本体65の一角に図8において下方に突設された回転軸66と、本体65の他の一角に同じく下方に突設され、かつディスク保持アーム44の第1および第2押圧部52,53に当接可能な被押圧軸67と、本体65の更に他の一角に同じく下方に突設された押圧軸68と、本体65に設けられ、かつ第1ディスクガイドアーム11のカム16のカム面16aに当接可能なカム当接部69と、本体65に上方に突設されたスプリング支持軸70とからなっている。
【0038】
そして、装置本体2に突設された図示しない円筒状の支持軸に回転軸66が嵌合されることで、トリガーレバー64が装置本体2に回動可能に支持される。また、図9に示すように、スプリング支持軸70にコイルスプリング71が嵌合支持され、このコイルスプリング71は本体65と装置本体2の上板との間に縮設されてトリガーレバー64を図9において下方に常時付勢している。
【0039】
更に図9に示すように、装置本体2には、スライダリセット72がトリガーレバー64に隣接して設けられている。このスライダリセット72は装置本体2の側板に設けられた図示しない突条のガイドレールにガイドされて装置本体2の長手方向つまり図3において左右方向に直進移動可能とされている。
【0040】
図10に示すように、スライダリセット72は一端側が二股であるh字状に形成されており、装置本体2の側板に設けられた突条のガイドレールに嵌合される一対のガイド部73,74と、他端側に設けられ、かつトリガーレバー64の押圧軸68が当接可能な被押圧部75と、二股の一方の端部に形成されたラックギヤ76とを有している。スライダリセット72の図10において下面には、図11に示すようにカム溝77aを有するカム77が形成されている。カム溝77aは、図11において上方に直線状に延びる第1カム溝部77bと、この第1カム溝部77bの上端から左上方に直線状に傾斜する第2カム溝部77cと、この第2カム溝部77cの上端から左方に直線状に延びる第3カム溝部77dとからなっている。
【0041】
一方、図11に示すように中間ギヤ43には、この中間ギヤ43より小径の小径中間ギヤ78が中間ギヤ43と同心でかつ一体回転に設けられている。また、装置本体2には、この小径中間ギヤ78に常時噛合する中間ギヤ79が回転可能に設けられている。更に、中間ギヤ79には、この中間ギヤ79より小径のスライダリセット駆動ギヤ80が中間ギヤ79と同心でかつ一体回転に設けられている。このスライダリセット駆動ギヤ80に、スライダリセット72のラックギヤ76が噛合可能となっている。
【0042】
図3に示すように装置本体2には、更にスライダカム部材81が装置本体2の長手方向と直交する方向つまり図3において上下方向に直進移動可能に設けられている。図11および図12(a),(b)に示すように、このスライダカム部材81には、スライダリセット72側の端部に押圧部82が設けられている。また、この押圧部82より内側においてスライダカム部材81の長手方向と直交する方向にかつディスク挿入取出口6方向に延びるアーム83に、ピン84が押圧部82と反対側に突出するように設けられている。
【0043】
更に、スライダカム部材81にはカム面85aを有するカム85が設けられており、第1ディスクガイドアーム11のピン20がこのカム面85aに当接して第1ディスクガイドアーム11を制御することで、大径である直径12cm(以下、単に12cmともいう)のディスク7をガタをなくして補助的にかつより正確にセンタリングの位置決めするようになっている。更に、スライダカム部材81にはカム面86aを有するカム86が設けられており、第1ディスクガイドアーム11のピン20がこのカム面86aに当接して第1ディスクガイドアーム11を制御するようになっている。更に、これらのカム85,86より内側のスライダカム部材81にはラックギヤ87がディスク挿入取出口6方向に向いて設けられている。
【0044】
一方、スライダカム部材81のスライダリセット72側と反対側の端部寄りには、カム面88を有するカム89が設けられており、このカム面88は、緩やかな傾斜面の第1カム面88aと、この第1カム面88aに連続しかつほぼ水平方向(スライダカム部材81の長手方向)の第2カム面88bとからなっている。
【0045】
そして、第2ディスクガイドアーム12が大径の12cmのディスク7を挟持したとき、第2ディスクガイドアーム12のピン32が最初第1カム面88aに当接してこの第1カム面88aで第2ディスクガイドアーム12の回動が制御され、続いて、ピン32が第2カム面88bに当接してこの第2カム面88bで第2ディスクガイドアーム12の回動が制御される。
【0046】
また、カム89にはカム面90が設けられており、このカム面90は、緩やかな傾斜面の第1カム面90aと、この第1カム面90aに連続しかつ第1カム面90aより急な傾斜面の第2カム面90bと、この第2カム面90bに連続しかつ第2カム面90bと逆方向に同程度に傾斜した傾斜面の第3カム面90cとからなっている。
【0047】
そして、第2ディスクガイドアーム12のピン32が最初第1カム面90aに当接してこの第1カム面90aで第2ディスクガイドアーム12の回動が制御され、続いて、ピン32が第2カム面90bに当接してこの第2カム面90bで第2ディスクガイドアーム12の回動が制御される。更に、第2ディスクガイドアーム12が小径の8cmのディスク7を挟持してトラバースユニット4に対するセンタリングした後、ピン32が第3カム面90cに当接してこの第3カム面90bで第2ディスクガイドアーム12の回動が制御されることで、第2ディスクガイドアーム12を同様に反時計回りに回動させて第2ディスクガイドアーム12のディスクガイド部33を8cmのディスク7の外周縁から離すようになっている。
【0048】
更に、スライダカム部材81のスライダリセット72側と反対側の端部には、傾斜したカム面91aを有する、シャッタ開閉制御用のカム91が設けられている。このカム面91aは、図12(a)においてスライダカム部材81のスライダリセット72側と反対側端から内側に行くにしたがって下方に進む、換言すれば図12(b)において上昇する傾斜面となっている。
【0049】
更に、図12(b)および(c)に示すように、スライダカム部材81には、アーム83、カム85,86、ラックギヤ87、およびカム89が設けられる面と直角に折り曲げられ形成された立ち壁92には、一対のカム孔93,94が形成されている。これらの両カム孔93,94は、ともに図12(b)および(c)において下部水平方向孔93a,94a、これらの下部水平方向孔93a,94aに連続する傾斜孔93b,94b、およびこれらの傾斜孔93b,94bに連続する上部水平方向孔93c,94cからなっている。その場合、傾斜孔93b,94bは、いずれも図12(c)において下部水平方向孔93a,94aの右端から上部水平方向孔93c,94cの左端に向かって左方に傾斜するように形成されている。また、傾斜孔93bの幅が傾斜孔94bの幅より若干大きく設定されており、これにより、トラバースユニットの上下動の際、トラバースユニットの動きがロックされるのを防止している。
【0050】
スライダカム部材81は図示しないスプリングによりスライダリセット72側(図3において下方側)の非作動位置の方へ常時付勢されている。そして、ディスク記録媒体処理装置1の非作動時には、図11に示すようにスライダリセット72のカム溝77aに当接するスライダカム部材81のピン84により、スライダリセット72が図11において上方に押圧される。これにより、スライダリセット72がトリガーレバー64の押圧軸68を図11において上方に押圧するので、トリガーレバー64は図3において反時計回りに付勢され、トリガーレバー64における本体65の被押圧軸67が設けられる角部が図3に示すように装置本体2の側板に当接して、トリガーレバー64はそれ以上の反時計回りの回転が阻止される。こうして、ディスク記録媒体処理装置1の非作動時には、トリガーレバー64、スライダリセット72、およびスライダカム部材81が図3および図11に示す非作動位置に保持されている。
なお、スプリングによりスライダカム部材81を非作動位置の方へ付勢するのに代えて、図示しないが、スプリングによりスライダリセット72を図3において左方側の非作動位置の方へ常時付勢するようにすることもできる。
【0051】
また、このトリガーレバー64は、第1ディスクガイドアーム11が図3に示す非作動位置にあるときは、図9において上下方向において下方位置の非作動位置にある。このように、トリガーレバー64が上下方向にも回転方向にも非作動位置にあるとき、かつ、ディスク保持アーム44が図3に示す非作動位置にあるときは、このディスク保持アーム44の第1押圧部52とトリガーレバー64の被押圧軸67との間には、回転方向に所定の間隙αが設定される。この間隙αは、小径の8cmのディスク7が挿入されてディスク保持アーム44が所定量回動したとき、第1押圧部52と被押圧軸67とが当接するようになっている。更に、トリガーレバー64およびディスク保持アーム44がこのように非作動位置にあるときは、第2押圧部53と被押圧軸67との間にも、回転方向に所定の間隙βが設定される。この間隙βは間隙αより大きく、大径の12cmのディスク7が挿入されてディスク保持アーム44が小径の8cmのディスク7の場合より大きい所定量回動したとき、第2押圧部53と上昇したトリガーレバー64の被押圧軸67とが当接するようになっている。
【0052】
このように、間隙α,βが小径の8cmのディスク7と大径の12cmのディスク7とで異ならせることで、スライダカム部材81の移動開始するトリガ(つまり、タイミング)をこれらの大小径のディスク7に対してそれぞれ設定し、スライダカム部材81の移動開始後のスライダカム部材81によるディスク7のセンタリングの制御を大小径のディスク7に対して同じになるようにしている。これにより、ディスク保持アーム44の回動量と、1つのトリガーレバー64と、1つのスライダカム部材81とにより、大小異なる径のディスク7に対してセンタリングが可能となる。
【0053】
また、図11に示すようにこのスライダカム部材81の非作動位置では、ディスク保持アーム44のピン55aとスライダカム部材81の押圧部82とが離間している。更に、スライダカム部材81のピン84はスライダリセット72のカム溝77aの第1カム溝部77bの下端に当接して位置している。
【0054】
更に図13に示すように、中間ギヤ43に常時噛合するギヤ96が装置本体2に回動可能に設けられているとともに、このギヤ96より小径のスライダカム部材駆動ギヤ97がギヤ96と同心でかつ一体回動可能に設けられている。このスライダカム部材駆動ギヤ97にスライダカム部材81のラックギヤ87が噛合可能となっている。なお、図13では、ラックギヤ87がスライダカム部材駆動ギヤ97に噛合した状態が示されているが、これはスライダカム部材81が作動した状態を示すものであって、スライダカム部材81の非作動位置では、ラックギヤ87はスライダカム部材駆動ギヤ97に噛合しなく、図13においてスライダカム部材駆動ギヤ97より左側に位置している。
【0055】
更に、図14に示すようにアーム同期手段であるアーム同期部材98が長手方向と直交する方向に移動可能に設けられている。このアーム同期部材98の両端部には、それぞれラックギヤ99,100が設けられている。一方のラックギヤ99は第1ディスクガイドアーム11のギヤ18に常時噛合されているとともに、他方のラックギヤ100は装置本体2に回動可能に支持されたギヤ101に常時噛合されている。また、このギヤ101は第2ディスクガイドアーム12のギヤ30に常時噛合されている。したがって、このアーム同期部材98により。第1および第2ディスクガイドアーム11,12は互いにシンクロして互いに逆方向に回動するようになっている。その場合、ディスク記録媒体処理装置1の非作動時、第1ディスクガイドアーム11の下方に突設されたピン19(図4(c)に図示)がスライダカム部材81のストッパ81b(図12(b)に図示)に当接することで、第1ディスクガイドアーム11が図3に示す非作動位置に保持されるとともに、アーム同期部材98により第2ディスクガイドアーム12が同じく図3に示す非作動位置に保持される。このアーム同期部材98は、図12(a)に示すスライダカム部材81のアーム83が形成された底壁103に隣接する溝104に相対摺動可能に支持されている。
【0056】
更に、図3に示すように装置本体2の回転軸28には、小径の8cmのディスク7のセンタリングを補助的に行う補助レバー105が回動可能に支持されており、この補助レバー105は図示しないスプリングで図3において反時計回りに常時付勢されている。補助レバー105の先端には、ピン106が突設されており、このピン106は小径の8cmのディスク7の外周縁に当接可能となっている。そして、ディスク記録媒体処理装置1の非作動時には、補助レバー105は、その一側縁105aが非作動位置にあるスライダカム部材81のストッパ81cに当接することで非作動位置に保持される。なお、補助レバー105のピン106と反対側の端部にガイドピンを設けるとともに、装置本体2にこのガイドピンをガイドするガイド溝を設け、これらのガイドピンとガイド溝とで、補助レバー105を非作動位置に保持させるようにすることもできる。
【0057】
また、図18に示すように小径の8cmのディスク7がセンタリング位置に設定されたときは、補助レバー105は、一側縁105aとほぼ直交する他の側縁105bがスライダカム部材81のストッパ81dに当接することでセンタリング設定位置に安定して保持される。
【0058】
一方、後述する図18に示すように装置本体2には、補助レバー105の逃げ部107が形成されている。そして、大径の12cmのディスク7の場合、スライダカム部材81が大きく移動して、そのストッパ81cが補助レバー105のアーム部105cを押圧することで、補助レバー105がこの逃げ部107に逃げる(収容される)ようになっている。このように補助レバー105の逃げ部107の位置では、ピン106は大径の12cmのディスク7の外周縁から離間するようになる。
【0059】
図3および図15に示すように、装置本体2には、3つの第1ないし第3スイッチ108,109,110が設けられている。第1スイッチ108は小径の8cmのディスク7を検知するスイッチであり、また第2スイッチ109は大径の12cmのディスク7を検知するスイッチであり、更に第3スイッチ110は各ディスク7のトラバースユニットへのクランプを検知するスイッチである。その場合、第1および第2スイッチ108,109は、いずれもそれらの操作子108a,109aを第2ディスクガイドアーム12のスイッチ作動子31が押圧することでオンするようになっているとともに、第3スイッチ110はその操作子110aをスライダカム部材81のスイッチ作動部81eが押圧することでオンするようになっている。
【0060】
図2に示すように、シャッタ8はその両端のアーム部8a,8bが装置本体2に回動可能に支持されている。図16に示すように、アーム部8aには開閉軸111が突設されている。また、装置本体2には開閉制御部材112が回動可能に設けられているとともに、この開閉制御部材112は開制御スプリング9によって図16において時計回りに常時付勢されている。開閉制御部材112は2本のアーム113,114を有しており、一方のアーム113はシャッタ8の開閉軸111に、開閉制御部材112が回動したときシャッタ8が逆方向に回動するように係合されている。また、他方のアーム114はスライダカム部材カム81におけるカム91のカム面91aに当接可能となっている。なお、図16は開閉制御部材112がカム91によって反時計回りに回動し、シャッタ8がディスク挿入取出口6を閉じた状態を示しているが、ディスク記録媒体処理装置1の非作動時は、開閉制御部材112がカム91に当接していなく、開制御スプリング9によって時計回りに回動した位置で、シャッタ8は図2(a)に示すようにディスク挿入取出口6を開いた状態に設定される。
【0061】
図17(a)および(b)に示すように、トラバースユニット4はトラバースユニット支持部材115に支持されている。このトラバースユニット支持部材115は、その一端側が装置本体2に回転軸116により回動可能に支持されている。このトラバースユニット支持部材115の他端側のトラバースユニット4には、ターンテーブル117が設けられている。
【0062】
トラバースユニット支持部材115の図17(a)および(b)において左側の他端には、一対の突出軸118,119(図17には不図示、図12(c)に図示)が設けられており、図12(c)に示すようにこれらの突出軸118,119がそれぞれカム孔93,94に嵌合されている。その場合、図17(a)に示すディスク記録媒体処理装置1の非作動時は、図12(c)に示すように突出軸118,119がそれぞれカム孔93,94の下部水平方向孔93a,94aの左端に位置されている。この状態では、図17(a)に示すようにトラバースユニット4は反時計回りに回動して、他端側が装置本体2に設けた図示しないストッパにより所定量下降した下降位置に設定される。
【0063】
次に、このように構成されたこの例のディスク記録媒体処理装置1の作動を説明する。
ディスク7が挿入されないディスク記録媒体処理装置1の非作動時には、第1および第2ディスクガイドアーム11,12、ディスク保持アーム44、トリガーレバー64、スライダリセット72,およびスライダカム部材81等のすべてのディスク記録媒体処理装置1の構成部材はそれぞれ図3および図9に示す非作動位置にある。このとき、ディスク保持アーム44は、保持アーム本体45と保持補助アーム47が図7(b)に実線で示す若干折れ曲がった状態となっている。また、シャッタ8はディスク挿入取出口6を図2(a)に示す開いた状態に設定している。更に、トラバースユニット4は図17(a)に示す下降位置となっている。更に、ディスク記録媒体処理装置1の主電源が投入されている。
【0064】
ディスク記録媒体処理装置1のこの非作動状態で、ユーザーが、まず小径の8cmのディスク7の一部が図3において右方からディスク挿入取出口6を通して装置本体2内に挿入される。すると、ディスクセンサ10がこのディスク7を検知するので、ディスク記録媒体処理装置1の制御装置(不図示)により駆動モータ37が回転駆動される。駆動モータ37の回転駆動により、無端ベルト41,ウォーム38、ウォームホイール42、中間ギヤ43、第1ないし第4ギヤ23,24,25,26,27を介して第1ディスクガイドアーム11のディスク駆動ローラ21が図3において反時計回りに、つまりディスク7をセンタリング位置の方へ引き込む方向に回転する。
【0065】
一部がディスク挿入取出口6に挿入されたディスク7の外周縁がディスク駆動ローラ21およびディスクガイド部33に当接し、これらのディスク駆動ローラ21およびディスクガイド部33の間に挟持される。すると、ディスク駆動ローラ21の回転およびディスクガイド部33との摩擦で、ディスク7はディスクガイド部33との当接部を支点に回動しかつディスクガイド部33溝に沿って転動しながらセンタリング位置の方へ引き込まれる。このとき、第1ディスクガイドアーム11の付勢力が第2ディスクガイドアーム12の付勢力より大きく設定されているので、挿入された小径の8cmのディスク7は第2ディスクガイドアーム12のディスクガイド部33に押し付けられた付勢状態で挟持される。また、このディスク7の付勢でディスク7の外周縁がディスク挿入取出口6の第2ディスクガイドアーム12側のディスク保持部6jの傾斜面6bと水平面6hに挟持されて保持される。このディスク7の外周縁の保持により、ディスク7の挿入姿勢は挿入方向に沿う面に維持されるので、ディスク7は安定した姿勢でディスク挿入取出口6から装置本体2内に挿入される。
【0066】
また、ディスク駆動ローラ21とディスクガイド部33との間の間隔がディスク7の直径より小さいので、ディスク7により第1および第2ディスクガイドアーム11,12が互いに開く方向(第1ディスクガイドアーム11は図3において時計回り、また、第2ディスクガイドアーム12は図3において反時計回り)に回動する。このとき、アーム同期部材98により第1および第2ディスクガイドアーム11,12は互いにシンクロして回動する。こうして、一対のアーム11,12はディスク7を挟んで安定した状態で引き込むようになる。
【0067】
ディスク7が所定量引き込まれると、ディスク7の外周縁が、まずディスク保持アーム44の一方のディスク保持ローラ56に当接し、このディスク保持ローラ56を図3において左方に押圧する。すると、ディスク保持アーム44が図3において反時計回りに回動する。ディスク保持アーム44が所定量回動すると、ディスク保持アーム44の第1押圧部52が同方向に回動してトリガーレバー64の被押圧軸67に当接して、この被押圧軸67を押圧する。すると、トリガーレバー64が図3において反時計回りに回動し、押圧軸68がスライダリセット72を図3において右方へ押圧するので、スライダリセット72が右方へ直進移動する。このスライダリセット72の右動により、スライダリセット72のカム溝77aの第1カム溝部77bがスライダカム部材81のピン84に対して直線的に相対移動する。したがって、この時点では、ピン84が第1カム溝部77bによって押圧制御されなく、スライダカム部材81は非作動位置の停止状態に保持されている。
【0068】
スライダリセット72が図3において更に右方へ移動すると、スライダリセット72のラックギヤ76がスライダリセット駆動ギヤ80に噛合する。このとき、スライダリセット駆動ギヤ80が駆動モータ37の回転駆動で回転しているので、スライダリセット72は駆動モータ37の回転駆動力で右動するようになる。また、ラックギヤ76がスライダリセット駆動ギヤ80に噛合した時点では、ピン84が第1カム溝部77bと第2カム溝部77cとの境界部に位置している。
【0069】
駆動モータ37の回転駆動力によるスライダリセット72の右動で、スライダカム部材81のピン84が第2カム溝部77cによってスライダリセット72の移動方向と直交する方向、つまり図3において装置本体2の長手方向と直交する上方向に押圧されるようになるので、スライダカム部材81が同方向に移動を開始する。
【0070】
また、スライダカム部材81が更に上方へ移動すると、スライダカム部材81のラックギヤ87がスライダカム部材駆動ギヤ97に噛合する。このとき、スライダカム部材駆動ギヤ97が駆動モータ37の回転駆動で回転しているので、スライダカム部材81は駆動モータ37の回転駆動で上方へ移動するようになる。また、この時点では、ピン84が第3カム溝部77cに位置するとともに、スライダリセット72のラックギヤ76がスライダリセット駆動ギヤ80が外れて、スライダリセット72はその位置に保持される。
【0071】
スライダカム部材81の上方移動で、補助レバー105がストッパ81cを介して図3において上方に押圧されるので時計回りに回動開始する。また、スライダカム部材81の上方移動で、スライダカム部材81のストッパ81bが第1ディスクガイドアーム11のピン19に当接しない位置となる。更に、第2ディスクガイドアーム12の反時計回りの回動でピン32がカム面90に進入可能な位置となる。更に、第2ディスクガイドアーム12が時計回りに所定量回動することで、スイッチ作動子31が第1スイッチ108の操作子108aを押し、第1スイッチ108がオンする。
【0072】
8cmのディスク7の最大径の部分が、ディスク駆動ローラ21とディスクガイド部33との間を通過すると、第1および第2ディスクガイドアーム11,12が逆の閉じる方向、つまり第1ディスクガイドアーム11が反時計回りにまた第2ディスクガイドアーム12が時計回りに回動するようになる。第2ディスクガイドアーム12の時計回りの回動およびスライダカム部材8の上方移動でピン32がカム面90に進入する。
【0073】
この間、ディスク7のディスク7の外周縁は駆動ローラ21とディスクガイド部33とに当接して、第1および第2ディスクガイドアーム11,12はディスク7を挟持している。第1および第2ディスクガイドアーム11,12が閉じる方向に回動開始した時点では、第2ディスクガイドアーム12が反時計回りに大きく回動していないので、スイッチ作動子31は第2スイッチ109の操作子109aを押すことはなく、第2スイッチ109はオンしない。第2ディスクガイドアーム12が時計回りに所定量回動すると、スイッチ作動子31が第1スイッチ108の操作子108aから離れるので、第1スイッチ108がオフする。
【0074】
また、ディスク7がセンタリング位置の方へ進入することで、ディスク7の外周面が補助レバー105のピン106に当接し、補助レバー105はディスク7によって反時計回りに回動する。
【0075】
8cmのディスク7がセンタリング位置に接近してくると、スライダカム部材81が最大移動限位置に近づく。すると、スライダカム部材81のカム面91aが開閉制御部材112のアーム114に当接し、開閉制御部材112がシャッタ8がディスク挿入取出口6を閉じる方向に回動する。また、トラバースユニット支持部材115の一対の突出軸118,119がそれぞれカム孔93,94の下部水平方向孔93a,94aから傾斜孔93b,94bに移行し、更に、トラバースユニット支持部材115が回転軸116を中心に図17(a)において時計回りに回動する。これにより、トラバースユニット4は次第に上方へ回動して、図17(b)に示す上動位置にきわめて接近する。
【0076】
ディスク保持アーム44の更なる反時計回りの回動で保持補助アーム47が保持アーム本体45に対して相対回動することで、ディスク7の外周縁がディスク駆動ローラ21、ディスクガイド部33、およびディスク保持ローラ56,57で挟持されるのを保持されながら、8cmのディスク7がセンタリング位置にセンタリングされる。8cmのディスク7が図3に示すセンタリング位置になると、図18に示すように補助レバー105のピン106がディスク7の外周面に当接する。こうして、8cmのディスク7が図3に示すセンタリング位置に設定されたとき、ディスク7は、ディスク駆動ローラ21、ディスクガイド部33、2つのディスク保持ローラ56,57によってその外周縁を4個所で挟持されるとともに、ピン106によってディスク7の外周面を支持される。これにより、8cmのディスク7は、X−Y−Zの3次元方向に安定して保持される。なお、このとき、補助レバー105は、その側縁105bがスライダカム部材81のストッパ81dに当接していてセンタリング設定位置に安定して保持される。
【0077】
スライダカム部材81が更に移動すると、トラバースユニット支持部材115の一対の突出軸118,119がそれぞれカム孔93,94の上部水平方向孔93c,94cに移行し、更に、トラバースユニット支持部材115が更に時計回りに回動し、トラバースユニット4が図17(b)に示す上動位置となり、8cmのディスク7がクランパー支持部材5のクランパーとターンテーブル117との間にクランプされる。このように8cmのディスク7がクランプされたとき、スライダカム部材81のスイッチ作動部81eが第3スイッチ110の操作子110aを押圧するので、第3スイッチ110がオンする。これにより、制御装置は駆動モータ37を停止し、スライダカム部材81も停止する。
【0078】
また、ディスク7のセンタリング後からクランプまでの間のスライダカム部材81の移動で、補助レバー105がストッパ81cで時計回りに回動してピン106がディスク7の外周面から離れるとともに、第2ディスクガイドアーム12のピン32がスライダカム部材81の第3カム面90cで制御されることで、第2ディスクガイドアーム12が図18において反時計回りに若干回動し、ディスクガイド部33がディスク7の外周縁から離れる。また、第2ディスクガイドアーム12の反時計回りの回動で、同期部材98を介して第1ディスクガイドアーム11が時計回りに回動し、ディスク駆動ローラ21がディスク7の外周縁から離れる。更に、スライダカム部材81の押圧部82がディスク保持アーム44のピン55aに当接してこのピン55aを押圧するので、ディスク保持アーム44が図18において反時計回りに若干回動し、2つのディスク保持ローラ56,57がともにディスク7の外周縁から離れる。こうして、トラバースユニット4のターンテーブル117にクランプされた8cmのディスク7は回転自由となり、8cmのディスク7に対する記録あるいは再生が可能となる。更に、カム面91aにより、シャッタ8は図2(b)に示すようにディスク挿入取出口6を閉じる。
【0079】
8cmのディスク7に対する記録あるいは再生が終了して、このディスク7をディスク記録媒体処理装置1から取り出す場合は、装置本体2に設けられた図示しないエジェクトボタンが押される。これにより、制御装置は駆動モータ37を前述と逆方向に回転駆動する。すると、ディスク駆動ローラ21がディスク7を排出する方向に回転するとともに、スライダカム部材81が前述と逆方向に図18において下方に直進移動する。すると、スライダカム部材81の第3カム面90cによって、第1および第2ディスクガイドアーム11,12が閉じる方向に回動し、ディスク駆動ローラ21およびディスクガイド部33がディスク7の外周縁に当接してディスク7を挟持する。また、スライダカム部材81の押圧部82がディスク保持アーム44のピン55aから離れるので、ディスク保持アーム44に作用する非作動位置へのスプリングによる付勢力、およびスライダカム部材81の押圧部81gがディスク保持アーム44のピン55bに当接してこのピン55bを押圧する押圧力で、ディスク保持アーム44が図18において時計回りに回動し、2つのディスク保持ローラ56,57がともにディスク7の外周縁に当接してディスク7を挟持する。更に、スライダカム部材81のストッパ81cが補助レバー105から離れるので、補助レバー105が作用されている付勢力で図18において反時計回りに回動し、ピン106がディスク7の外周面に当接してディスク7を支持する。こうして、8cmのディスク7が安定して保持される。
【0080】
続いて、スライダカム部材81の移動により、トラバースユニット支持部材115の一対の突出軸118,119がそれぞれカム孔93,94の傾斜孔93b,94bに移行し、トラバースユニット支持部材115が回転軸116を中心に図17(b)において反時計回りに回動する。これにより、トラバースユニット4は次第に下方へ回動して、ディスク7のクランプが解除される(つまり、ディスク7がアンクランプされる)。また、スライダカム部材81の移動により、カム面91aが遠ざかるので、シャッタ8が作用されている付勢力でディスク挿入取出口6を開く方向に回動する。
【0081】
スライダカム部材81の更なる移動により、第1および第2ディスクガイドアーム11,12が開く方向に回動するとともに、ディスク保持アーム44が更に時計回りに回動するので、ディスク7は、ディスク駆動ローラ21、ディスクガイド部33、ディスク保持ローラ56,57に挟持されながら図18において右方へ移動する。このとき、ディスク駆動ローラ21が前述と逆方向に回転しているので、ディスク7は、このディスク駆動ローラ21の回転駆動力によっても右方へ移動される。
【0082】
スライダカム部材81が図3において更に下方に移動すると、そのピン84が第2カム溝部77c内に位置するとともに、ピン84が第2カム溝部77を介してスライダリセット72を図11において上方に押圧して移動させる。これにより、スライダリセット72のラックギヤ76がスライダリセット駆動ギヤ80に噛合する。またこの時点では、スライダカム部材81のラックギヤ87がスライダカム部材駆動ギヤ97から外れる。しかし、駆動モータ3の逆回転で、スライダリセット駆動ギヤ80が前述と逆方向に回転するので、このスライダリセット駆動ギヤ80に噛合するラックギヤ76を介して、スライダリセット72が図18において左方へ移動するとともにトリガーレバー64が反時計回りに回動する。
【0083】
第2ディスクガイドアーム12が更に開く方向(つまり、反時計回り)に回動すると、スイッチ作動子31が第1スイッチ108をオンする。
ディスク7の最大径部分がディスク駆動ローラ21とディスクガイド部33との間を通過すると、第2ディスクガイドアーム12が閉じる方向(つまり、反時計回り)に回動する。第2ディスクガイドアーム12が閉じる方向に所定量回動すると、スイッチ作動子31が第1スイッチ108から離れ、第1スイッチ108がオフとなる。制御装置は第1スイッチ108のオン、オフにより、駆動モータ37を停止する。これにより、ディスク7の右方(つまり、取り出し方向)への移動が停止するが、このときにはディスク7の一部、つまりディスク7の中心部7a(図18に図示)の半分以上がディスク挿入取出口6から外に出ている。その場合、ディスク7の外周端部の非記録部7b(図18に図示)が直線状ガイド保持部35の直線状の挟持溝で挟持されているので、ディスク7は安定して保持されている。しかも、前述のディスク7の挿入の場合と同様に、第1および第2ディスクガイドアーム11,12の付勢力の相違で、ディスク7の外周縁がディスク挿入取出口6の第2ディスクガイドアーム12側のディスク保持部6jの傾斜面6bと水平面6hとに挟持されて保持される。このディスク7の外周縁の保持により、ディスク7の排出姿勢は排出方向に沿う面に維持されるので、一部がディスク挿入取出口6から排出されたディスク7は更に一層安定した姿勢で保持される。そして、ディスク7のこの状態でユーザーは非記録部であるディスク7の非記録部である中心部7aを手で把持してディスク7を装置本体2から引き出す。こうして、8cmのディスク7がディスク記録媒体処理装置1から取り出される。
【0084】
8cmのディスク7が取り出されると、シャッタ8、第1および第2ディスクガイドアーム11,12、ディスク保持アーム44、トリガーレバー64、スライダリセット72,およびスライダカム部材81等のすべてのディスク記録媒体処理装置1の構成部材は、それぞれそれらに作用する付勢力で図3および図9に示す非作動位置に設定される。
【0085】
次に、大径の12cmのディスク7の装置本体2に対する挿入、取出について説明する。8cmのディスク7の挿入、取出の場合と大部分は同じであるので、8cmのディスク7の挿入、取出の場合と異なる部分についてのみ説明する。
【0086】
12cmのディスク7が図3において右方からディスク挿入取出口6を通して装置本体2内に挿入されると、駆動モータ37が回転駆動してディスク駆動ローラ21が回転するので、12cmのディスク7が引き込まれる。これにより、第1および2ディスクガイドアーム11,12が開く方向に回動するが、12cmのディスク7の径が8cmのディスク7の径より大きいので、第1および2ディスクガイドアーム11,12は8cmのディスク7の場合に比べて開く方向に大きく回動する。すると、第1ディスクガイドアーム11のカム16のカム面16aがトリガーレバー64のカム当接部69に当接し、トリガーレバー64をコイルスプリング71のばね力に抗して図9において上方に押し上げる。これにより、被押圧軸67も上昇するので、被押圧軸67はディスク保持アーム44の第1押圧部52の当接しなく、かつ第2押圧部53に当接可能な位置に設定される。したがって、12cmのディスク7の場合は、ディスク保持アーム44が8cmのディスク7の場合に比べて大きく回動して、第2押圧部53が被押圧軸67に当接して、トリガーレバー64が回動開始する。すなわち、12cmのディスク7では、ディスク保持アーム44が大きく回動してから、スライダカム部材81が作動開始(移動開始)するトリガが設定される。このように、スライダカム部材81を作動開始させるディスク保持アーム44の回動量を変えることで、12cmのディスク7の場合にも、スライダカム部材81の作動開始後のセンタリング制御を8cmのディスク7の場合と同じ一定にすることが可能となる。
【0087】
また、第2ディスクガイドアーム12が開く方向に大きく回動することで、第2ディスクガイドアーム12のスイッチ作動子31が第1スイッチ108をオンするとともに、第2スイッチ109もオンする。第1および第2ディスクガイドアーム11,12の回動制御は、8cmのディスク7の場合と異なり、第2ディスクガイドアーム12のピン32が2つのカム面88a,88bによって制御されることで行われる。
【0088】
更に、図3において、ディスク記録媒体処理装置1内に挿入された12cmのディスク7の外周縁がディスク保持アーム44のディスク保持ローラ56に当接して、8cmのディスク7の場合と同様にディスク保持アーム44を反時計回りに回動させる。ディスク保持アーム44の回動量が大きくなると、前述の8cmのディスクの場合と同様にディスク保持ローラ57も12cmのディスク7の外周縁に当接し、ディスク7の外周縁がディスク駆動ローラ21、ディスクガイド部33、およびディスク保持ローラ56,57で挟持され、12cmのディスク7が保持される。そして、図19に示すようにディスク保持アーム44の更なる反時計回りの回動で保持補助アーム47が保持アーム本体45に対して相対回動することで、ディスク7の外周縁がディスク駆動ローラ21、ディスクガイド部33、およびディスク保持ローラ56,57で挟持されるのを維持しながら、12cmのディスク7がセンタリング位置にセンタリングされる。
【0089】
前述の8cmの場合と同様に、12cmのディスク7のセンタリング後からクランプされるまでのスライダカム部材81の更なる移動で、ディスク保持アーム44が更に反時計回りに回動すると、図20に示すように切換制御レバー61の非押圧部61aが装置本体2の側壁に当接し、切換制御レバー61が反時計回りに回動せしめられ、保持補助アーム47が保持アーム本体45に対して相対回動し図7(b)に二点鎖線で示す状態となる。これにより、ディスク保持アーム44が大きく回動しても、ディスク保持アーム44の回動スペースがコンパクトになる。そして、12cmのディスク7がトラバースユニット4のターンテーブル117にクランプされた状態では、図20に示すように前述の8cmのディスク7の場合と同様に、ディスク駆動ローラ21、ディスクガイド部33、ディスク保持ローラ56,57、およびピン106は12cmのディスク7から離されて、12cmのディスク7は回転自由となる。
【0090】
なお、補助レバー105は必ずしも設ける必要はなく、8cmのディスク7をディスク駆動ローラ21、ディスクガイド部33、2つのディスク保持ローラ56,57によってその外周縁を4個所で安定して挟持することができるようにすれば、省略することができる。
【0091】
このように構成されたこの例のディスク記録媒体処理装置1によれば、一対の第1および第2ディスクガイドアーム11,12でディスク7の外周縁を挟持して、ディスク挿入取出口6とトラバースユニット4のターンテーブル117との間でディスク7を搬送しているので、ディスク7の記録面を損傷やゴミ等の異物の付着から防護しつつ、ディスク7の搬送構造を簡単にでき、装置をコンパクトに形成することができる。
【0092】
また、第1ディスクガイドアーム11にディスク7の搬送を行うディスク駆動ローラ21を設けるとともに、このディスク駆動ローラ21を回転駆動するための動力伝達用のギヤ列22を第1ディスクガイドアーム11に配設しているので、第1ディスクガイドアーム11が回動しても駆動モータ37の回転駆動力をディスク駆動ローラ21に確実に伝達することができ、しかも、第1ディスクガイドアーム11を有効利用することでギヤ列22の配置スペースを装置本体2に設けなくても済ませることができる。これにより、装置をより一層コンパクトに形成することができる。
【0093】
更に、第1ディスクガイドアーム11にディスク7の外周縁を挟持するディスク駆動ローラ21を設けるとともに、第2ディスクガイドアーム12にディスク7の外周縁を挟持する弾性摩擦材からなるディスクガイド部33を設けているので、第2ディスクガイドアーム12にローラを設けなくても済むようになる。これにより、第2ディスクガイドアーム12側のディスクの挟持構造が簡単にできる。しかも、ディスクガイド部33に直線状の挟持面35a,35bを設けているので、ディスク7の取出し時にディスク7を安定して保持することができ、ディスク7の取出しが容易となる。
【0094】
更に、第1および第2ディスクガイドアーム11,12の回動をアーム同期部材98でシンクロさせているので、ディスク挿入取出口6からトラーバスユニット4のセンタリング位置までのディスク7の搬送およびトラーバスユニット4のセンタリング位置からディスク挿入取出口6までのディスク7の搬送を装置本体2内でディスク7を偏倚させることなく、ディスク7の搬送制御をより正確にかつより簡単に行うことができる。
【0095】
更に、第1ディスクガイドアーム11に、ディスク7の直径を判別してディスク7の搬送を直径に応じて制御するためのカム16を設けているので、ディスク7の直径を判別するための他の手段を別に向ける必要がなく、部品点数を削減できるとともに、装置本体2にその設置スペースを設けなくて済み、装置を更にコンパクトにすることができる。
【0096】
更に、ディスク保持アーム44を保持アーム本体45と保持補助アーム47とから折曲可能な構造としているので、1つのディスク保持アーム44で大小径の12cm、8cmの各ディスク7を確実に挟持できるようにしながら、しかも、ディスク保持アーム44の回転半径を抑制することができ、装置を更にコンパクトにすることができる。そのうえ、保持補助アーム47で小径の8cmのディスク7を少なくとも2個所で挟持することができるので、小径のディスクであっても確実に挟持することが可能となる。更に、ディスク保持アーム44による大小径の12cm、8cmの各ディスク7のセンタリングをより確実にかつより簡単に行うことができる。
【0097】
更に、ディスク保持アーム44の回動量に応じて、大小径の12cm、8cmの各ディスク7の搬送開始のトリガを設定しているので、ディスク7の径が異なっても簡単にかつ柔軟に対応してディスク7の搬送制御を一定にかつより簡単に行うことができる。
【0098】
更に、スライダカム部材81の1つの制御部材で、ディスク7の直径に関わらず、ディスク7の搬送制御、ディスク7のセンタリング制御、ターンテーブル117に対するディスク7のクランプ制御およびアンクランプ制御、シャッタ8の開閉制御、および第3スイッチ110のオン、オフ制御等の複数の制御を行うようにしているので、これらの制御を個別に行うための制御部材を不要にでき、部品点数を削減できるとともに、これらの制御を容易にして制御性を向上でき、しかも装置本体2にこれらの個別の制御部材の設置スペースを不要にできるので、装置をより一層コンパクトにできる。
【0099】
更に、トラバースユニット4をトラバースユニット支持部材115に支持させるとともに、トラバースユニット支持部材115を単に回動させるだけで、ディスク7をトラバースユニット4にクランプすることができるので、この例のディスク記録媒体処理装置1を用いても、トラバースユニット4を設計変更する必要はなく、従来既存のトラバースユニット4をそのまま使用することができる。これにより、ディスク記録媒体処理装置1を簡単にかつ安価に製造することができる。
【0100】
更に、ディスク7を、少なくともディスク駆動ローラ21、ディスクガイド部33、およびディスク保持ローラ56で挟持しているので、ディスク記録媒体処理装置1の設置姿勢を水平、鉛直および傾斜のいずれにも自由に設定することができる。
【0101】
なお、前述の図4(a)に示す例では、ディスク挟持部21bの一対の挟持面21c,21dがいずれも周方向に連続した曲面とされているが、図21に示すように、ディスク挟持部21bの一対の挟持面21c,21dは、いずれも凸面21c1,21d1と凹面21c2,21d2とを周方向に交互に繰り返して断続的な円錐曲面とすることもできる。その場合、図21に示す例では、凸面21c1,21d1が挟持面21c,21dの境界部の底面21eを介して軸方向に連続しかつ凹面21c2,21d2が同じく底面21eを介して軸方向に連続して設けられる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明のディスク記録媒体処理装置は、例えば、音響機器、映像機器、情報機器、通信機器、計測機器等において用いられ、CDやDVD等のディスクに対して記録、再生等の処理を行うディスク記録媒体処理装置に好適に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明に係るディスク記録媒体処理(記録再生)装置の実施の形態の一例を概略的に示し、(a)はその斜視図、(b)はディスク挿入取出口を示す図、(c)はディスク挿入取出口の変形例を示す図である。
【図2】この例のディスク記録媒体処理装置のディスク挿入取出口の部分を示し、(a)はディスク挿入取出口が開かれた状態を示す斜視図、(b)はディスク挿入取出口が閉じられた状態を示す斜視図である。
【図3】装置本体の上板を外して非作動状態のディスク記録媒体処理装置を部分的に示す平面図(上面図)である。
【図4】第1ディスクガイドアームを示し(a)は斜め上方から見た斜視図、(b)は(a)におけるIVB方向から見た斜視図、(c)は(a)におけるIVC方向から見た斜視図である。
【図5】第2ディスクガイドアームを示し(a)は斜め上方から見た斜視図、(b)は(a)におけるVB方向から見た斜視図である。
【図6】この例のディスク記録媒体処理装置の駆動モータ等の駆動部を示す平面図(上面図)である。
【図7】ディスク保持アームを示し、(a)は斜視図、(b)は作動説明図である。
【図8】トリガーレバーを示す斜視図である。
【図9】トリガーレバーの設置部分を部分的に示す斜視図である。
【図10】スライダリセットを示す斜視図である。
【図11】スライダリセットの設置部分を部分的に示す下面図である。
【図12】スライダカム部材を示し、(a)はディスク挿入取出口側から見た斜視図、(b)は(a)におけるXIIB方向から見た斜視図、(c)は(b)におけるXIIC方向から見た斜視図である。
【図13】スライダカム部材とスライダカム部材駆動ギヤとの関係を説明する図である。
【図14】第1ディスクガイドアームと第2ディスクガイドアームとの同期を説明する部分下面図である。
【図15】3つのスイッチを示す部分平面図である。
【図16】シャッタの開閉機構を部分的に示す部分斜視図である。
【図17】トラバースユニットを示し、(a)は下動位置にある状態を示す図、(b)は上動位置にある状態を示す図である。
【図18】小径の8cmのディスクをセンタリングした状態を示す平面図である。
【図19】大径の12cmのディスクをセンタリングした状態を示す平面図である。
【図20】センタリングした大径の12cmのディスクの挟持を解放した状態を示す平面図である。
【図21】ディスク駆動ローラの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
1…ディスク記録媒体処理装置、2…装置本体、3…ディスク出入れ部、4…トラバースユニット、5…クランパー支持部、6…ディスク挿入取出口、6h…水平面、6j…ディスク保持部、7…ディスク、8…シャッタ、10…ディスクセンサ、11…第1ディスクガイドアーム、12…第2ディスクガイドアーム、16…カム、16a…カム面、21…ディスク駆動ローラ、22…ギヤ列、23…第1ギヤ、24…第2ギヤ、25…第3ギヤ、26…第4ギヤ、27…第5ギヤ、30…ギヤ、31…スイッチ作動子、33…ディスクガイド部、37…駆動モータ、44…ディスク保持アーム、45…保持アーム本体、47…保持補助アーム、52…第1押圧部、53…第2押圧部、56,57…ディスク保持ローラ、64…トリガーレバー、67…被押圧軸、68…押圧軸、69…カム当接部、72…スライダリセット、75…被押圧部、76…ラックギヤ、77…カム、77a…カム溝、77b…第1カム溝部、77c…第2カム溝部、77d…第3カム溝部、80…スライダリセット駆動ギヤ、81…スライダカム部材、81e…スイッチ作動部、87…ラックギヤ、88…カム面、89…カム、90…カム面、93,94…カム孔、97…スライダカム部材駆動ギヤ、98…アーム同期部材、99,100…ラックギヤ、108…第1スイッチ、109…第2スイッチ、110…第3スイッチ、115…トラバースユニット支持部材、117…ターンテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク挿入取出口を有する装置本体と、前記装置本体内に配設されディスクに対して記録、消去および再生の少なくとも1つを行うトラバースユニットと、前記ディスク挿入取出口に一部が挿入された前記ディスクを前記装置本体内に搬送するとともに、前記装置本体内にある前記ディスクの一部を前記ディスク挿入取出口から外部に排出させるディスク搬送手段と、前記ディスク搬送手段を制御する制御手段と少なくとも備えるディスク記録媒体処理装置において、
前記制御手段は、前記ディスク搬送手段による前記ディスクの搬送制御、前記ディスクの前記トラバースユニットに対するセンタリング制御、前記トラバースユニットのターンテーブルに対する前記ディスクのクランプ制御およびアンクランプ制御の複数の制御を行う1つの制御部材を備えていることを特徴とするディスク記録媒体処理装置。
【請求項2】
前記ディスク挿入取出口を開閉するシャッタが前記装置本体に設けられており、前記制御部材は前記シャッタの開閉制御も行うことを特徴とする請求項1記載のディスク記録媒体処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記制御部材の制御開始するトリガを前記ディスクの直径に応じて設定するトリガ設定手段を備えていることを特徴とする請求項1または2ディスク記録媒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−236435(P2006−236435A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47022(P2005−47022)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(595178014)東英工業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】