説明

ディスプレイユニット及びその製造方法

【課題】コントラストを向上させることができると共に視認性にも優れたディスプレイユニット及び、その製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のディスプレイユニットは、発光素子および前記発光素子を覆う透光性部材を有する複数の光源と、前記光源が配列された回路基板と、を有するディスプレイユニットであって、隣接した前記光源の間には、前記発光素子の側面側にある前記透光性部材の表面を覆う光吸収部材を有し、前記光吸収部材は、さらに前記発光素子の上面側にある前記透光性部材の表面を被膜しており、前記透光性部材の表面に対して略垂直方向における前記光吸収部材の厚さは、前記発光素子の側面側よりも上面側の方が薄いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイユニット及びその製造方法に係り、特に、発光素子を用いたディスプレイユニット及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光素子を用いたディスプレイユニットは、その利用分野の拡大、或いはより高い表示品位が要求されることに伴い、屋外、屋内を問わずコントラストなどの視認性を向上させることが求められている。このため様々な開発がなされてきた。
例えば、黒色エポキシ樹脂などの光吸収部材からなるパッケージに、透光性部材に封止された発光素子が搭載されてなる発光ダイオードが開示されている(例えば、特許文献1参照)。そのディスプレイユニットは、前記発光ダイオードが実装基板に複数配列され、配列された各発光ダイオードの間には黒色ウレタン樹脂などの耐候性部材が充填されている。以上の構成により、特許文献1に係るディスプレイユニットは、外光による擬似点灯を低減して点灯時および消灯時のコントラストを向上させることができる。
【0003】
【特許文献1】特開2002−223005号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のディスプレイユニットは、パッケージだけでは無く、発光素子などを封止している透光性部材の表面でも外光を反射してしまい、ディスプレイユニットの表示面がギラついて見える等の問題を有していた。このため、従来のディスプレイユニットでは、コントラストを向上させるのが不十分であると共に、ディスプレイユニットとしての視認性も大幅に低下させていた。
【0005】
そこで、本発明は、前記した問題に鑑み創案されたものであり、コントラストをさらに向上させることができると共に視認性にも優れたディスプレイユニット及び、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、前記課題は次の手段により解決される。
【0007】
本発明のディスプレイユニットは、発光素子および前記発光素子を覆う透光性部材を有する複数の光源と、前記光源が配列された回路基板と、を有するディスプレイユニットであって、隣接した前記光源の間には、前記発光素子の側面側にある前記透光性部材の表面を覆う光吸収部材を有し、前記光吸収部材は、さらに前記発光素子の上面側にある前記透光性部材の表面を被膜しており、前記透光性部材の表面に対して略垂直方向における前記光吸収部材の厚さは、前記発光素子の側面側よりも上面側の方が薄いことを特徴とする。これにより、コントラストを向上することができると共に視認性に優れたディスプレイユニットとすることができる。
【0008】
また、隣接した前記光源の間にある前記光吸収部材は、前記透光性部材の高さよりも低く設けられているのが好ましい。これにより、各光源の配光を妨げる事無くコントラストを改善することができ、ディスプレイユニットとしての視認性を向上させることができる。
また、隣接した前記光源の間にある前記光吸収部材の表面は、凹曲面を有しているのが好ましい。これにより、各光源からの光を暈すことができるため、ディスプレイユニットとしての視認性を向上させることができる。さらに、光吸収部材にて吸収しきれなかった外光を拡散させることができるため、ギラつきの発生を抑制してコントラストを向上させることができる。
また、隣接した前記光源の間にある前記光吸収部材は、前記発光素子の上面以上の高さを有している。これにより、隣接する光源からの光によって、点灯していない光源までもが点灯しているように見える事(擬似点灯)を防止することができる。
また、前記光吸収部材は、さらに前記回路基板の側面を覆っていることが好ましい。これにより、ディスプレイユニットを複数並べて配置した際に生じる隙間によって、発生する目地の見え方を改善する事ができる。
また、前記光吸収部材の表面は、凹凸を有しているのが好ましい。これにより、光吸収部材の表面に照射される外光を拡散させることができるので、コントラストをさらに向上させることができる。
【0009】
また、本発明のディスプレイユニットは、発光素子および前記発光素子を覆う透光性部材を有する複数の光源と、前記光源が配列された回路基板と、を有するディスプレイユニットであって、隣接した前記光源の間には、前記発光素子の真横に位置する前記透光性部材の表面を少なくとも覆う光吸収部材を有し、前記光吸収部材は、さらに前記発光素子の直上に位置する前記透光性部材の表面を被膜しており、前記透光性部材の表面に対して略垂直方向における前記光吸収部材の厚さは、前記発光素子の真横よりも直上の方が薄いことを特徴とするディスプレイユニット。これにより、コントラストを向上することができると共に視認性に優れたディスプレイユニットとすることができる。
【0010】
本発明のディスプレイユニットの製造方法は、発光素子および前記発光素子を覆う透光性部材を有する複数の光源と、前記光源が配列された回路基板と、を有するディスプレイユニットであって、隣接した光源の間には、前記発光素子の側面側にある前記透光性部材の表面を覆う光吸収部材を有し、前記光吸収部材は、さらに前記発光素子の上面側にある前記透光性部材の表面を被膜しており、前記透光性部材の表面に対して略垂直方向における前記光吸収部材の厚さは、前記発光素子の側面側よりも上面側の方が薄く設けられ、隣接した前記光源の間にある前記光吸収部材は、前記透光性部材の高さよりも低く設けられていることを特徴とするディスプレイユニットの製造方法であって、隣接する前記光源の間に充填された前記光吸収部材を、前記発光素子の上面側にある前記透光性部材の表面まで這い上がらせて被膜する工程を有することを特徴とする。これにより、各光源の間に隙間無く光吸収部材を配置することができると共に、発光素子の上面側に設けられる光吸収部材を容易に薄膜化することができる。
【0011】
また、本発明のディスプレイユニットの製造方法は、発光素子および前記発光素子を覆う透光性部材を有する複数の光源と、前記光源が配列された回路基板と、を有するディスプレイユニットであって、隣接した光源の間には、前記発光素子の側面側にある前記透光性部材の表面を覆う光吸収部材を有し、前記光吸収部材は、さらに前記発光素子の上面側にある前記透光性部材の表面を被膜しており、前記透光性部材の表面に対して略垂直方向における前記光吸収部材の厚さは、前記発光素子の側面側よりも上面側の方が薄く設けられ、隣接した前記光源の間にある前記光吸収部材は、前記透光性部材の高さよりも低く設けられていることを特徴とするディスプレイユニットの製造方法であって、前記光源を液体状の光吸収部材で覆う工程と、隣接する前記光源の間にある前記光吸収部材を、前記透光性部材の高さよりも低くなるように硬化することによって、前記発光素子の上面側にある前記透光性部材の表面を被膜する工程と、を有することを特徴とする。これにより、各光源の間に隙間無く光吸収部材を配置することができると共に、発光素子の上面側に設けられる光吸収部材を容易に薄膜化することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コントラストを向上させることができると共に視認性にも優れたディスプレイユニット及び、その製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係るディスプレイユニットにおける最良の実施形態(以下「実施形態」という)について詳細に説明する。
【0014】
また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
また、本発明において、発光素子10の上面とは、発光素子10を実装する際の載置面とは逆側の面であり、発光素子10の上面側とは上面方向(向き)を示すものである。また、発光素子10の側面とは、発光素子10の上面と載置面との間にある面であり、発光素子10の側面側とは側面方向(向き)を示すものである。
【0015】
<第一の実施形態>
図1は、第一の実施形態に係るディプレイユニットを模式的に示す概略図(斜視図)である。ただし、図1は、光源30の配置を示すために、光吸収部材50から回路基板40の表面を部分的に露出させた状態を示している。
図2は、第一の実施形態に係るディスプレイユニットを模式的に示す図1のA−A' 線における概略断面図である。なお、図2における(A)乃至(C)は、それぞれ透光性部材20の断面形状が異なる第一の実施形態に係る変形例を示している。
【0016】
第一の実施形態に係るディスプレイユニットは、発光素子10および発光素子10を覆う透光性部材20を有する複数の光源30と、複数の光源30が配列された回路基板40と、を有している。特に、隣接した各光源の間には透光性部材20を介して発光素子10の側面側を覆う光吸収部材50を有しており、光吸収部材50はさらに発光素子10の上面側にある透光性部材20の表面を被膜している。このとき、透光性部材20の表面に対して略垂直方向における光吸収部材50の厚さは、発光素子10の側面側よりも上面側の方が薄くなるように設けられている。
【0017】
本実施形態において、光源30は、外部と接続可能な回路パターン(図示しない)が設けられた実装基板12を有し、実装基板12の上面に複数の発光素子10が実装されている。発光素子10は、ワイヤ(図示しない)により実装基板12の回路パターンと電気的に接続されている。さらに実装基板12の上面には、発光素子10およびワイヤ(図示しない)を覆うようにして透光性部材20が設けられている。このような光源を用いることによって、光源の実装領域を小さくすることができるため、ディスプレイユニットとして高精細化を実現することができる。このとき、実装された各光源の間隔は、3mm以下とするのが好ましい。
光源30が実装される回路基板40は、ディスプレイユニットの表示面となる主面側に複数の光源30を駆動させるための配線パターン41が形成されている。回路基板40の主面側に載置された複数の光源30は、マトリックス状に配列されると共に、回路基板40の配線パターン41と電気的に接続されている。さらに、回路基板40の主面と対向する面には、主面側から導出された回路基板40の配線と電気的に接続された駆動ICやインターフェイス等の制御部材16が実装されている。
【0018】
さらに、回路基板40の主面側には、実装された複数の光源30を覆うようにして光吸収部材50が設けられている。具体的には、光吸収部材50は、実装された複数の光源30の間を埋めるようにして設けられると共に、発光素子10の側面側に位置する透光性部材20の表面を覆っている。このとき、隣接した光源30の間にある光吸収部材50は、発光素子10の上面以上の高さを有している。さらに、各光源の間に設けられた光吸収部材50は、連続して発光素子10の上面側に位置する透光性部材20の表面を被膜している。つまり、透光性部材20の表面に対して略垂直方向における光吸収部材50の厚さは、発光素子10の側面側よりも上面側の方が薄くなるように設けられている。このとき、発光素子10の上面側に位置する光吸収部材50の膜厚は、外光100の反射を抑制可能な10μm以上であることが好ましく、発光素子10からの光の一部が外部に放出可能な100μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、発光素子10からの光取り出し効率を向上させることが可能な10μm以上50μm以下である。また、発光素子10の側面側に位置する光吸収部材50の膜厚は、隣接する光源間を隙間無く埋めるのが好ましく、ディスプレイユニットを高精細化する際には端面膜圧を想定ピッチの半分以下(例えば、3mmピッチのユニットであれば1.5mm以下)とするのが好ましい。
【0019】
これにより、発光素子10の上面方向に出射された光は、その一部が光吸収部材50の薄膜部(発光素子10の上面側に位置する光吸収部材50)を介して、ディスプレイユニットの表示面側に放出される。このため、ディスプレイユニットとして文字や図柄などを表示することができる。具体的には、発光素子10からの光が、透光性部材20内に一度取り出される。さらに、取り出された発光素子10の光は、透光性部材20の表面から回路基板40に対して垂直方向に出射される(第1の光10a)と共に、斜め方向にも出射される(第2の光10b)。このため、光吸収部材50によって各光源30の配光が極端に狭まるのを抑制することもでき、ディスプレイユニットとして視認性が低下してしまうのを抑制することができる。また、光吸収部材50の薄膜部は、透光性部材20の表面に照射された外光100を吸収および拡散する。このため、透光性部材20の表面で外光100が反射されることによって、ディスプレイユニットの表示面がギラつくのを防止することができる。
一方、発光素子の側面方向に出射された光は、各光源30の間に設けられた光吸収部材50によって吸収される。このため、隣接する光源30からの光によって、点灯していない光源30までもが擬似的に点灯してしまうのを防止することができる。
【0020】
また、回路基板40の主面側に設けられた光吸収部材50は、さらに連続して回路基板40の側面側を覆うこともできる。これにより、ディスプレイユニットを複数並べて配置した際に生じる隙間によって、発生する目地の見え方を改善する事ができる。
【0021】
以上説明したように、第一の実施形態に係るディスプレイユニットは、コントラストを向上することができると共に、視認性に優れたディスプレイユニットとすることができる。
【0022】
以下、本発明に係る実施形態の各構成について詳述する。
【0023】
(回路基板)
回路基板は、ディスプレイユニットの土台であって、各部材を直接又は間接的に接続するための部材をいう。
本実施形態において、回路基板の主面側には、複数の光源を駆動させるための配線が形成されている。さらに、回路基板の配線は、回路基板の主面と対向する面に導出されており、駆動ICやインターフェイス等の制御部材と接続されている。このような回路基板に用いられるものとしては、セラミック基板や、ガラスエポキシ基板、アルミコア基板などが挙げられる。
【0024】
(光源)
光源は、ディスプレイユニットにおける各ドットを構成するものであり、回路基板に配列されるものである。このような光源には、セラミックや樹脂などで形成されたパッケージに発光素子を載置した表面実装型(SMD)の他、リードフレームに載置された発光素子をガラスや樹脂などでモールドして形成した砲弾型(ランプタイプ)等を利用することができる。
また、回路基板の表面に直接載置した発光素子を透光性部材で覆うことによって光源を構成することもできる良い。これにより、光源の実装領域をさらに小さくすることができるため、ディスプレイユニットとして高精細化を実現することができる。
【0025】
本実施形態における光源は、実装基板(パッケージ)に発光素子が載置され、かつ発光素子の周囲を透光性部材が覆う表面実装型が用いられている。これにより、光源が後述する光吸収部材に覆われたとしても、各光源の配光が極端に狭まるのを抑制することができる。また、実装基板の表面には、ワイヤなどにより発光素子と電気的に接続することが可能な回路パターンが形成されている。このような実装基板に用いられるものとしては、例えば、セラミック基板や、ガラスエポキシ基板、アルミコア基板などが挙げられる。
ただし、本発明における光源は、本実施形態のように発光素子をフェイスアップ実装するだけでは無く、フェイスダウン実装を用いても良い。特に、フェイスダウン実装を用いた場合は、発光素子の電極と回路パターンとを導電性のダイボンド部材(例えば、半田バンプ、金バンプ等)で接着するため、ワイヤを用いること無く電気的に導通をとることができる。これにより、光源自体を小型化することができるため、ディスプレイユニットをさらに高精細化することができる。
【0026】
(発光素子)
光源に用いられる発光素子としては、発光ダイオード(LED)や半導体レーザ素子(LD)等が挙げられる。これらの発光素子は、入力に対する出力のリニアリティが良く、効率に優れ、長寿命で安定して使用できる等の利点が得られる。発光素子は、一つの光源に複数用いても良く、RGBの発光素子を近接配置することによりフルカラー表示が可能なディスプレイユニットとすることができる。また、発光素子の種類は、特に限定されないが、例えば、緑色及び青色には窒化ガリウム系化合物半導体、そして赤色にはガリウム・アルミニウム・砒素系やアルミニウム・インジウム・ガリウム・リン系の半導体を用いることが好ましい。
【0027】
(透光性部材)
透光性部材は、発光素子などを外部環境から保護すると共に、発光効率及び配光性を改善するためのものである。例えば、後述する光吸収部材によって光源の配光が極端に狭まるのを抑制することができる。
本実施形態において、透光性部材の断面形状は、任意な光源からの光を得るために適宜変更することができ、例えば、略四角形状、略台形状および略半円形状などが挙げられる。特に、略台形状や略半円形状などのように、周辺部から中央部付近にかけて滑らかな斜面又は曲面を有する形状を用いても良い。これにより、回路基板に対して垂直方向における光吸収部材の厚さを、必然的に透光性部材の中央部に向かって徐々に薄くすることができる。このため、光源からの光を徐々に暈すことができ、ディスプレイユニットに表示される文字や図柄などを点状ではなく面状に表示できるため、さらに視認し易くすることができる。
また、透光性部材は、光吸収部材との界面に溝や段差、凹凸などが形成されていても良い。これにより、光吸収部材が透光性部材から剥離するのを抑制することができるため、光学特性の異常を防止することができる。
【0028】
このような透光性部材に用いられる材料は、発光素子からの光を効率良く透過することができれば良く、例えば、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、シリコーン樹脂、変性エポキシ樹脂、変性シリコーン樹脂、ポリアミドなどの耐候性に優れた透明樹脂やガラスなどが好適に用いられる。高密度に発光素子を配置させる場合は、熱衝撃による各部材間の接合破壊を抑制するために、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂やそれらを組み合わせたものなどを使用することがより好ましい。
さらに、透光性部材には、蛍光体を含有させることもできる。これにより、発光素子からの光を波長変換し、波長変換された光と発光素子からの光との混色光を出力することができる。例えば、青色LEDとYAG蛍光体(Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体)などの黄色蛍光体とを組み合わせることにより、白色光を得ることができる。他には、青色LEDと、β型サイアロン系蛍光体やシリケート系蛍光体(例えば、SrSiO:Eu)などの緑色蛍光体と、窒化物系蛍光体(例えば、CaAlSiN:Eu)などの赤色蛍光体とを組み合わせることによっても、白色光を得ることができる。また、所望外の波長をカットする目的で有機や無機の着色染料や着色顔料を含有させても良い。この他にも、色度や輝度などのムラを抑制するために、タン酸バリウムや酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素などの光拡散部材を含有させても良い。
【0029】
(光吸収部材)
光吸収部材は、ディスプレイユニットの表示面において、外光が反射されるのを軽減するための部材であると共に、各種回路を外部環境から保護するための部材である。このため、光吸収部材は、ディスプレイユニットの表示面全体を覆うと共に、発光素子の上面側において発光素子からの光を外部に放出可能に薄膜化されている。
さらに、光吸収部材は、ディスプレイユニットの側面側にある回路基板側面まで覆うのが好ましい。このとき、回路基板側面を覆う光吸収部材は、弾力性を有し、かつ、その厚さが回路基板に配列された光源間の距離の半分であるのが好ましい。これにより、ディスプレイユニットを複数並べた際に生じる応力を和らげることができる。さらに、ディスプレイユニット間に生じる隙間を埋めることもできるため、発生する目地の見え方を改善する事ができる。
【0030】
このような光吸収部材としては、カーボンブラックや黒色染料などを樹脂に混入させた黒色樹脂が好ましい。樹脂としては、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などを用いることができる。これにより、光源が高密度に実装されたとしても、光吸収部材を隙間無く光源間に充填することができるので、コントラストが低下するのを抑制することができる。また、光吸収部材は、透光性部材と同じ材質を用いるのが好ましい。これにより、光吸収部材が透光性部材との界面で剥離するのを抑制することができる。
【0031】
また、光吸収部材の表面には、外光の反射を抑制する艶消し処理を行うのが好ましい。艶消し処理としては、特に限定されないが、サンドブラストなどの方法が挙げられる。この他には、光拡散部材などのフィラーを光吸収部材に含有させて硬化させたり、高温高湿下で光吸収部材を硬化させたりすることによっても、光吸収部材の表面にμmオーダーレベルで凹凸を形成することができる。
【0032】
<第二の実施形態>
図3は、第二の実施形態に係るディスプレイユニットを模式的に示す概略断面図である。
図4及び図5は、それぞれ第二の実施形態に係るディスプレイユニットにおける光吸収部材50の変形例を模式的に示す概略断面図である。
なお、図3乃至5における各(A)乃至(C)は、第一の実施形態と同様に、透光性部材20の断面形状を異ならせた際の第二の実施形態に係る変形例を示している。
【0033】
また、第二の実施形態に係るディスプレイユニットは、光吸収部材の表面状態以外は、第一の実施形態と実質的に同様の構造を有している。なお、同じ構造については説明を省略する部分もある(以下の実施形態および実施例でも同様とする)。
【0034】
図3に示すように、第二の実施形態に係るディスプレイユニットは、発光素子10および発光素子10を覆う透光性部材20を有する複数の光源30と、複数の光源30が配列された回路基板40と、を有している。隣接した各光源の間には透光性部材20を介して発光素子10の側面側を覆う光吸収部材50を有しており、光吸収部材50はさらに発光素子10の上面側にある透光性部材20の表面を被膜している。このとき、透光性部材20の表面に対して略垂直方向における光吸収部材50の厚さは、発光素子10の側面側よりも上面側の方が薄くなるように設けられている。
これに加え、本実施形態に係るディスプレイユニットでは、隣接した光源30の間にある光吸収部材50が、透光性部材20の高さよりも低くなるように設けられている。このため、透光性部材20の表面から出射される光としては、回路基板40に対して垂直方向に出射される第1の光10aの他に、斜め方向に出射される第2の光10bをさらに容易に得ることができる。これにより、各光源の配光をさらに広げることができるため、ディスプレイユニットとしての視認性を向上させることができる。
【0035】
さらに、図4に示すように、隣接した光源30の間にある光吸収部材50の表面は、凹曲面を有しているのが好ましく、滑らかに連続して発光素子10の上面側にある透光性部材20の表面を被膜している。このため、透光性部材20の表面に対して略垂直方向における光吸収部材50の厚さを、発光素子10の側面側から上面側に向けて徐々に薄くすることができる。これにより、光源30からの光を徐々に暈すことができるため、ディスプレイユニットとしての視認性をさらに向上させることができる。また、光吸収部材50が吸収しきれなかった外光100を凹曲面で拡散させることもできるため、ギラつきの発生をさらに抑制してコントラストを向上させることができる。
また、図5に示すように、各光源の間に配置される光吸収部材50と、発光素子10の上面側にある透光性部材20表面を被覆する光吸収部材50と、を実質的に分離して形成することもできる。これにより、第2の光10bが光吸収部材50で必要以上に吸収されるのを防止することができるため、光取り出し効率が低下するのを抑制することができる。
【0036】
以上説明したように、第二の実施形態に係るディスプレイユニットは、第一の実施形態よりも、さらにコントラストおよび視認性に優れたディスプレイユニットとすることができる。
【0037】
(製造方法)
本実施形態に係るディスプレイユニットの製造方法を以下に説明するが、これに限定されない。
まず、光源30等が実装された面を上にして、回路基板40を枠体内(図示しない)に設置する。枠体は、回路基板40が設けられる底面およびその底面を囲む側面とから構成される凹部を有している。
続けて、各光源30の間から露出された回路基板40の上面全体に、光吸収部材50を充填する。さらに、隣接する光源30の間に充填された光吸収部材50を、発光素子10の上面側にある透光性部材20の表面まで這い上がらせることによって被膜させる。これにより、発光素子10の上面側に位置する光吸収部材50を容易に薄膜化して設けることができる。このとき、回路基板40の側面と枠体の側面との隙間にも同時に光吸収部材50を充填しても良い。これにより、光吸収部材50が回路基板40の側面を覆うように設けることができる。
最後に、光吸収部材50を硬化させて、回路基板40を枠体から取り出す。
【0038】
また、上記の這い上がりによる方法の他にも、以下の方法を用いても良い。
まず、光源30を覆うように液体状の光吸収部材50を充填する。次に、光吸収部材50を揮発させながら硬化させる。これにより、隣接する光源30の間にある光吸収部材50が、透光性部材20の高さよりも低くなるように硬化される。これに伴い、発光素子10の上面側にある透光性部材20の表面が、光吸収部材50によって被膜された状態で硬化される。
この他には、枠体の側面において、透光性部材50の高さとほぼ同じか、それよりも低い位置に光吸収部材50を排出させるための穴が形成された枠体を用いる。これにより、光源30を覆うように液体状の光吸収部材50を枠体内に充填した後、自動的に光吸収部材50が枠体側面の排出穴から排出される。このため、隣接する光源30の間にある光吸収部材50が、透光性部材20の高さよりも低くなるように設けられる。これに伴い、発光素子10の上面側にある透光性部材20の表面もまた、光吸収部材50によって被膜することができる。
【実施例1】
【0039】
<実施例1>
実施例1として、第二の実施形態に係るディスプレイユニットを用いて説明する。
【0040】
実施例1は、発光素子10、実装基板12、ワイヤ(図示しない)および透光性部材20から少なくとも構成される複数の光源30と、さらに、回路基板40と、光吸収部材50と、を備えている。
また、発光素子10としてRGB色の各発光ダイオード(LED)、実装基板12および回路基板40としてガラスエポキシ基板、ワイヤ(図示しない)として金(Au)、透光性部材20としてシリコーン樹脂、光吸収部材として黒色シリコーン樹脂を用いる。
また、本実施例において、発光素子10の直上とは、発光素子10の側面を回路基板に対して垂直方向に伸ばした際に、発光素子10の側面によって囲まれる部分をいう。さらに、発光素子10の真横とは、発光素子10の上面および載置面を回路基板に対して水平方向に伸ばした際に、発光素子10の上面および載置面の間にある部分をいう。
【0041】
実施例1における光源30は、外部と接続可能な回路パターンが形成された実装基板12に、RGB色の発光素子10がそれぞれ一つずつ載置されている。各発光素子10は、回路パターンとワイヤ(図示しない)により電気的に接続されている。さらに、実装基板12上面には、各発光素子10およびワイヤ(図示しない)を覆うように透光性部材20が設けられている。透光性部材20の断面形状は、角部に丸みを有した略長方形状であり、後述する光吸収部材50が透光性部材20を被覆し易くすることができる。
さらに、光源30は、回路基板40に実装されている。回路基板40の表面には、光源30と電気的に接続された配線パターン41が形成されている。回路基板40の配線パターン41は、光源が実装された面と逆側の面に導出されており、配線制御部材16と電気的に接続さている。
【0042】
また、光源30が実装された回路基板40の表面には、光吸収部材50が設けられている。光吸収部材50は、各光源における透光性部材20の周囲を覆っている。このとき、隣接した光源30の間に設けられた光吸収部材50は、透光性部材20の高さよりも低くなるように設けられている。具体的には、隣接した光源30の間に設けられた光吸収部材50が、発光素子10の真横に位置する透光性部材20の表面を少なくとも覆っている。さらに、各光源間に設けられた光吸収部材50は、発光素子10の直上に位置する透光性部材20の表面をも被膜している。このとき、透光性部材20の表面に対して略垂直方向における光吸収部材50の厚さは、発光素子10の真横よりも直上の方が薄くなるように設けられている。つまり、発光素子10の上面側にある透光性部材20の表面において、光吸収部材50が発光素子10からの光の一部を透過可能に薄膜化された部分を有することになる。このとき、薄膜化された光吸収部材50の厚さは、約100μmである。また、光吸収部材50は、さらに回路基板40の側面を覆っており、複数のディスプレイユニットを並べた際に生じる隙間を埋めることができる。
以上により、実施例1に係るディスプレイユニットは、第二の実施形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0043】
以下、本実施例に係るディスプレイユニットの製造方法について詳述するが、これに限定されない。
【0044】
(1)
まず、複数の制御部材16を回路基板40に配置し、リフロー炉を通すことによって制御部材16と回路基板40とをハンダ付けする。このとき、回路基板40の表面には、配線パターン41が形成されており、その配線パターン41と複数の制御部材16とがハンダによって電気的に接続される。さらに回路基板40の配線パターン41は、制御部材16が配置された面と逆側の面にも導出されており、制御部材16と同様にして複数の光源30を回路基板40にマトリックス状に配列して実装する。
(2)
次に、光源30等が実装された面を上にして、回路基板40を枠体内(図示しない)に設置する。枠体は、回路基板40が設けられる底面およびその底面を囲む側面とから構成される凹部を有している。このとき、枠体の底面の大きさは、回路基板40とほぼ同一かそれよりも少し大きいものを用いる。
(3)
続けて、各光源30の間から露出された回路基板40の上面全体に、光吸収部材50を充填する。さらに、隣接する光源30の間に充填された光吸収部材50を、膜厚が約100μmとなるように、発光素子10の上面側にある透光性部材20の表面まで這い上がらせて被膜させる。これにより、発光素子10の上面側に位置する光吸収部材50を容易に薄膜化して設けることができる。
このとき、回路基板40の側面と枠体の側面との隙間にも同時に光吸収部材50を充填する。これにより、光吸収部材50が回路基板40の側面を覆うように設けられる。
(4)
最後に、光吸収部材50を硬化させて、回路基板40を枠体から取り出す。
【0045】
以上の工程により、光源30が高密度に実装されたとしても、光吸収部材50を隙間無く光源30の間に充填することができる。したがって、コントラストが向上されると共に、視認性に優れた本実施例に係るディスプレイユニットを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のディスプレイユニットは、野外ディスプレイ、スタジアム等に利用されるリボンサインディスプレイ、道路や駅などに利用される情報板ディスプレイ等の種々のディスプレイユニットに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第一の実施形態に係るディスプレイユニットを模式的に示す概略図である。
【図2】第一の実施形態に係るディスプレイユニットを模式的に示す図1のA−A'線における概略断面図である。
【図3】第二の実施形態に係るディスプレイユニットを模式的に示す概略断面図である。
【図4】第二の実施形態に係るディスプレイユニットにおける光吸収部材の変形例を模式的に示す概略断面図である。
【図5】第二の実施形態に係るディスプレイユニットにおける光吸収部材の変形例を模式的に示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10 発光素子
10a、10b 発光素子からの光
12 実装基板
16 制御部材
20 透光性部材
30 光源
40 回路基板
41 配線パターン
50 光吸収部材
100 外光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子および前記発光素子を覆う透光性部材を有する複数の光源と、前記光源が配列された回路基板と、を有するディスプレイユニットであって、
隣接した前記光源の間には、前記発光素子の側面側にある前記透光性部材の表面を覆う光吸収部材を有し、
前記光吸収部材は、さらに前記発光素子の上面側にある前記透光性部材の表面を被膜しており、
前記透光性部材の表面に対して略垂直方向における前記光吸収部材の厚さは、前記発光素子の側面側よりも上面側の方が薄いことを特徴とするディスプレイユニット。
【請求項2】
隣接した前記光源の間にある前記光吸収部材は、前記透光性部材の高さよりも低く設けられていることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイユニット。
【請求項3】
隣接した前記光源の間にある前記光吸収部材の表面は、凹曲面を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のディスプレイユニット。
【請求項4】
隣接した前記光源の間にある前記光吸収部材は、前記発光素子の上面以上の高さを有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のディスプレイユニット。
【請求項5】
前記光吸収部材は、さらに前記回路基板の側面を覆っていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のディプレイユニット。
【請求項6】
前記光吸収部材の表面は、凹凸を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載のディプレイユニット。
【請求項7】
発光素子および前記発光素子を覆う透光性部材を有する複数の光源と、前記光源が配列された回路基板と、を有するディスプレイユニットであって、
隣接した前記光源の間には、前記発光素子の真横に位置する前記透光性部材の表面を少なくとも覆う光吸収部材を有し、
前記光吸収部材は、さらに前記発光素子の直上に位置する前記透光性部材の表面を被膜しており、
前記透光性部材の表面に対して略垂直方向における前記光吸収部材の厚さは、前記発光素子の真横よりも直上の方が薄いことを特徴とするディスプレイユニット。
【請求項8】
発光素子および前記発光素子を覆う透光性部材を有する複数の光源と、前記光源が配列された回路基板と、を有するディスプレイユニットであって、隣接した光源の間には、前記発光素子の側面側にある前記透光性部材の表面を覆う光吸収部材を有し、前記光吸収部材は、さらに前記発光素子の上面側にある前記透光性部材の表面を被膜しており、前記透光性部材の表面に対して略垂直方向における前記光吸収部材の厚さは、前記発光素子の側面側よりも上面側の方が薄く設けられ、隣接した前記光源の間にある前記光吸収部材は、前記透光性部材の高さよりも低く設けられていることを特徴とするディスプレイユニットの製造方法であって、
隣接する前記光源の間に充填された前記光吸収部材を、前記発光素子の上面側にある前記透光性部材の表面まで這い上がらせて被膜する工程を有することを特徴とするディスプレイユニットの製造方法。
【請求項9】
発光素子および前記発光素子を覆う透光性部材を有する複数の光源と、前記光源が配列された回路基板と、を有するディスプレイユニットであって、隣接した光源の間には、前記発光素子の側面側にある前記透光性部材の表面を覆う光吸収部材を有し、前記光吸収部材は、さらに前記発光素子の上面側にある前記透光性部材の表面を被膜しており、前記透光性部材の表面に対して略垂直方向における前記光吸収部材の厚さは、前記発光素子の側面側よりも上面側の方が薄く設けられ、隣接した前記光源の間にある前記光吸収部材は、前記透光性部材の高さよりも低く設けられていることを特徴とするディスプレイユニットの製造方法であって、
前記光源を液体状の前記光吸収部材で覆う工程と、
隣接する前記光源の間にある前記光吸収部材を、前記透光性部材の高さよりも低くなるように硬化することによって、前記発光素子の上面側にある前記透光性部材の表面を被膜する工程と、を有することを特徴とするディスプレイユニットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−258455(P2009−258455A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108391(P2008−108391)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】