説明

デジタルカメラ及び撮影システム

【課題】展示品の撮影時に最適な撮影条件を設定することができるデジタルカメラを提供する。
【解決手段】被写体光を撮像して撮像信号を出力する撮像素子32と、撮影の方位を検出する方位検出部38と、位置情報を計測する位置計測部40と、前記位置情報及び前記撮影の方位を外部装置に送信する送信部44と、前記位置情報及び前記撮影の方位により特定される被写体を撮影する撮影条件の情報を前記外部装置から受信する受信部44と、前記撮影条件の情報に基づいて撮影条件の設定を行う撮影条件設定部30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ及び撮影システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、美術館の展示品の撮影においてフラッシュ禁止等の撮影条件に従って自動的に撮影条件を設定するデジタルカメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。このデジタルカメラは、展示品の近傍に設けられ撮影条件が記載された用紙を被写体にしてレリーズボタンが半押しされたとき、文字認識によって撮影条件を認識してその後展示品を被写体としてレリーズボタンが全押しされたとき、認識した撮影条件で撮影を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−64386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のデジタルカメラにおいては、フラッシュ発光禁止やシャッター速度等のデジタルカメラ側の設定を変更するものであり、展示品を撮影する最適な環境を整えることができない場合があるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、展示品の撮影時に最適な撮影条件を設定することができるデジタルカメラ及び撮影システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のデジタルカメラは、被写体光を撮像して撮像信号を出力する撮像素子と、撮影の方位を検出する方位検出部と、位置情報を計測する位置計測部と、前記位置情報及び前記撮影の方位を外部装置に送信する送信部と、前記位置情報及び前記撮影の方位により特定される被写体を撮影する撮影条件の情報を前記外部装置から受信する受信部と、前記撮影条件の情報に基づいて撮影条件の設定を行う撮影条件設定部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の撮影システムは、被写体光を撮像して撮像信号を出力する撮像素子と、撮影の方位を検出する方位検出部と、位置情報を計測する位置計測部と、前記位置情報及び前記撮影の方位を送信するカメラ送信部と、前記位置情報及び前記撮影の方位により特定される被写体を撮影する撮影条件の情報を受信するカメラ受信部と、前記撮影条件の情報に基づいて撮影条件の設定を行う撮影条件設定部とを有するデジタルカメラと、前記被写体の位置情報、前記被写体を照明する照明光の情報及び前記被写体を撮影する撮影条件の情報を格納するデータベースと、前記デジタルカメラから前記位置情報及び前記撮影の方位を受信する装置受信部と、前記装置受信部によって受信した前記位置情報及び前記撮影の方位に基づいて前記データベースの前記位置情報を検索して前記被写体を特定する特定部と、前記データベースを参照して特定された前記被写体を照明する前記照明光の情報に基づいて前記被写体を照明する前記照明光を調節する照明調節部と、前記データベースを参照して特定された前記被写体に関する前記撮影条件の情報を前記デジタルカメラに送信する装置送信部とを有する外部装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、展示品の撮影時に最適な撮影条件を設定することができるデジタルカメラ及び撮影システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態に係る撮影システムのシステム構成図である。
【図2】実施の形態に係るデジタルカメラのシステム構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る撮影システムによる処理を示すフローチャートである。
【図4】展示品にデジタルカメラ4を向けた様子を示す図である。
【図5】展示品が表示されたスルー画像を示す図である。
【図6】位置特定処理を示すフローチャートである。
【図7】解説表示処理を示すフローチャートである。
【図8】展示品の簡単な解説が表示されたスルー画像を示す図である。
【図9】詳細な解説文が表示されたスルー画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係るデジタルカメラ及び撮影システムについて説明する。図1は実施の形態に係る撮影システムのシステム構成図である。図1に示すように撮影システム2は、デジタルカメラ4と、展示品照明装置3とを無線通信等によって通信可能に接続することにより構成されている。デジタルカメラ4の前面には撮影レンズ6、フラッシュ光が射出されるフラッシュ窓8が設けられている。またデジタルカメラ4の上面にはレリーズ指示を行うためのレリーズボタン10、電源をオン/オフする電源スイッチ12が設けられている。
【0011】
展示品照明装置3は、例えば美術館や博物館等の複数の展示品を展示した施設内に設置され、ホストコンピュータ20、通信機器22、照明コントローラ24、照明部26、ファイルサーバ28を備えている。ホストコンピュータ20は、通信機器22を制御することによりデジタルカメラ4との通信処理を行う他、照明コントローラ24を制御して施設内に複数設置された各照明部26の照明光の明るさや色温度の調節処理を行う。
【0012】
照明部26は、照明光の明るさや色温度を変更可能なLED等の光源を備えている。ファイルサーバ28は、施設内の展示品に関する展示品情報と、展示品を照明する照明部26に関する光源情報と、展示品を撮影するときのデジタルカメラ4の撮影条件を記憶したデータベースを有している。
【0013】
展示品情報は、展示品を識別する展示品番号に関連付けられた各展示品の場所を示す展示位置情報や各展示品の画像データ、各展示品に関する解説データ等によって構成される。解説データには、スルー画像上に表示させる展示品の名称や特徴部分を指し示す指示線、当該特徴部分に関する簡単な説明のデータ、及び展示品の詳細な解説文の文字データが含まれる。
【0014】
光源情報は、展示品を照明する照明部26毎の情報であり、各照明部26によって照明される展示品の展示品番号に関連付けられた照明番号と、展示品を撮影する際に最適な照明光の明るさ及び色温度等の照明設定値(最適設定値という。)が含まれる。撮影条件は、光源情報の照明設定値に基づいて定まる展示品を撮影する際の最適なホワイトバランスの調整値や、絞り値やシャッター速度等により定まる露出値から構成されている。
【0015】
図2は実施の形態に係るデジタルカメラのシステム構成を示すブロック図である。図2に示すようにデジタルカメラ4にはCPU30が設けられている。CPU30には、撮像素子32、操作部34、表示部36、電子コンパス38、GPSユニット40、メモリ42が接続され、更に通信ユニット44、メモリーカード46が着脱可能に装着されている。CPU30は、不図示の不揮発性メモリに格納された制御プログラムに従い、デジタルカメラ4の各部を制御してカメラ機能による撮像処理等を実行する他、展示品の撮影時にホストコンピュータ20から取得した撮影条件に基づいてホワイトバランスの調整値や露出値を変更する処理、またホストコンピュータ20との通信によって照明26の明るさや色温度を変更させる処理を実行する。
【0016】
撮像素子32は、CCDまたはCMOS等により構成され撮影レンズ6を介して入射した被写体光を撮像し、撮像信号をCPU30に対して出力する。操作部34は、レリーズボタン10、電源スイッチ12、表示部36にメニュー画面を表示させるメニューボタン、メニュー項目等の選択や様々な設定時に操作される十字キー、メニュー項目等の選択や様々な設定に対する確定操作を行うためのOKボタン等を含んで構成されている。
【0017】
表示部36は、デジタルカメラ4の背面に設けられた液晶モニタであって撮像素子32からの撮像信号に基づくスルー画像、動画像、静止画像等の画像を表示し、さらに各種設定を行う際のメニュー画面や撮影に関する情報等を表示する。電子コンパス38は、地磁気の検出により得られる方位の情報をCPU30に出力する。これによりCPU30は、電子コンパス38から受け取った方位の情報に基づく撮影レンズ6の向き、即ちデジタルカメラ4の撮影の方位を検出する。
【0018】
GPSユニット40は、地球の上空を周回する複数のGPS衛星からの電波を受信し、受信した電波信号に基づいて、GPSユニット40が現在存在している地点に係る緯度、経度、標高、時刻等を含む現在位置情報、即ちデジタルカメラ4の現在位置情報を計測する。なお、この実施の形態ではGPSユニット40が、GPS衛星から送信(発信)される電波信号をダイレクトに受信する構成としているが、これに限らず、GPS衛星から送信される電波信号を施設内に設置された中継器を介して受信する構成であっても良い。
【0019】
通信ユニット44は、デジタルカメラ4に不図示のコネクタを介して装着されている。通信ユニット44は、CPU30の制御に従って展示品照明装置3との間の通信処理を行う。メモリーカード46は、デジタルカメラ4の不図示のカードスロットに装着されている。メモリーカード46には、撮像信号に基づいて作成された動画像や静止画像の画像データが記憶される。
【0020】
次に第1の実施の形態に係る撮影システムを用いた展示品の撮影について説明する。図3は実施の形態に係る撮影システムによる処理を示すフローチャートである。ユーザが博物館内の展示品の撮影を行うためにデジタルカメラ4の電源スイッチをオンにすると、デジタルカメラ4のCPU30は、撮像素子32からの撮像信号に基づくスルー画像を表示部36に表示させる(ステップS1)。
【0021】
図4に示すようにユーザが被写体とする展示品にデジタルカメラ4を向けると、図5に示すようにスルー画像として、被写体となる展示品が表示される。CPU30は、スルー画像の画角が所定時間(例えば、1秒間)変更されないことを確認すると、位置特定処理を実行する(ステップS2)。ここで図6は位置特定処理を示すフローチャートである。CPU30は、GPSユニット40から出力された位置情報を取得してメモリ42に記憶させる(ステップS20)。またCPU30は、電子コンパス38から出力された方位の情報に基づいてデジタルカメラ4の撮影の方位を検出し、その方位情報をメモリ42に記憶させる(ステップS21)。これによって位置特定処理が終了する。
【0022】
CPU30は、位置特定処理が終了すると、メモリ42から位置情報と方位情報とを読み出し、位置情報、方位情報、及び表示部36により表示されているスルー画像の画像データを含む被写体情報を、通信ユニット44を介して展示品照明装置3に送信する(ステップS3)。展示品照明装置3のホストコンピュータ20は、通信機器22を介して被写体情報を受信する(ステップSA1)。ホストコンピュータ20は、受信した被写体情報の位置情報と方位情報、スルー画像に基づいてファイルサーバ28が記憶している展示品情報を検索し、被写体となっている展示品の展示品情報を特定する(ステップSA2)。
【0023】
具体的にはホストコンピュータ20は、先ず位置情報及び方位情報に基づいてファイルサーバ28に格納された展示品情報の位置情報を検索し、デジタルカメラ4の前方にある展示品の展示品情報を特定する。ここで特定した展示品情報が複数存在する場合、ホストコンピュータ20は、受信したスルー画像の画像データと、特定した各展示品情報の画像データとを比較してスルー画像に映っている展示品と同じ展示品の画像データを有する展示品情報を特定する。
【0024】
ホストコンピュータ20は、特定した展示品情報の展示品番号に基づいて、展示品番号に関連付けられた照明番号を含む光源情報、つまり被写体である展示品を照明する照明部26の光源情報をファイルサーバ28から読み出す。ホストコンピュータ20は、読み出した光源情報の照明番号と最適設定値とに基づき、該当する照明番号の照明部26が撮影に最適な明るさ及び色温度になるように、照明コントローラ24を制御して当該照明部26の照明光を調節する(ステップSA3)。即ち、被写体である展示品を照明する照明部26の照明光を、撮影する場合に最適な明るさ及び色温度になるように調節する。
【0025】
またホストコンピュータ20は、特定した展示品情報の解説データと撮影条件をファイルサーバ28から読み出す。そしてホストコンピュータ20は、通信機器22を制御し、解説データと撮影条件をデジタルカメラ4に送信する(ステップSA4)。
【0026】
デジタルカメラ4のCPU30は、ホストコンピュータ20から解説データと撮影条件を受信する(ステップS4)。CPU30は、解説データと撮影条件をメモリ42に記憶させ、受信した撮影条件に基づいてホワイトバランスの調整と露出値の調整を行う(ステップS5)。CPU30は、当該被写体を照明する照明部26の照明光をユーザの好みで変更可能である旨のメッセージと、照明部26における明るさ及び色温度から構成される照明設定値を入力する入力欄、入力欄に入力された照明設定値に合わせて照明光を変更させる変更キー、入力欄への入力を中止するキャンセルキーを配置した照明変更画面を表示部36に表示させる(ステップS6)。
【0027】
照明変更画面においては、入力対象を示すカーソルが表示されており、ユーザが十字キーの左右ボタンを押下すると明るさ及び色温度の各入力欄、変更キー、キャンセルキーの何れかにカーソルが移動する。例えばカーソルが明るさの入力欄に移動した状態でユーザが十字キーの上ボタンを押下した場合、その入力欄に表示されている明るさの照明設定値が増加する。またユーザが下ボタンを押下した場合には、入力欄に表示されている明るさの照明設定値が減少する。色温度の照明設定値についても同様であり、色温度の入力欄にカーソルが移動した状態でユーザが上ボタンが押下すると入力欄に表示された色温度の照明設定値が増加し、下ボタンが押下すると入力欄に表示された色温度の照明設定値が減少する。これにより、ユーザは明るさ及び色温度の照明設定値を増減させる。そしてユーザは左右ボタンを押下してカーソルを、変更キーに移動させた状態で操作部34のOKボタンを押下し、変更キーの入力を行う。
【0028】
CPU30は、ユーザが変更キーを入力したか否かを判別する(ステップS7)。CPU30は変更キーが入力されたと判別したときには(ステップS7、Yes)、入力欄で入力された照明設定値を添付した照明変更通知をホストコンピュータ20に送信する(ステップS8)。
【0029】
ホストコンピュータ20は、デジタルカメラ4からの照明変更通知を受信する(ステップSA5)。ホストコンピュータ20は、照明変更通知の照明設定値に基づいて照明コントローラ24を制御して照明部26の明るさ及び色温度を変更する(ステップSA6)。即ちユーザが入力した照明設定値に基づいて被写体となっている展示品を照明する照明部26の照明光を変更する。
【0030】
CPU30は、照明変更画面を表示させる変更画面表示キーと、解説表示処理に移行する解説処理キーを表示部36に表示し、解説処理キーが入力されたか否かを判別する(ステップS9)。CPU30は、解説処理キーが入力されず、変更画面表示キーが入力されたと判別したときには(ステップS9、No)、ステップS6に戻って照明変更画面を表示部36に表示させる。
【0031】
一方、CPU30は解説処理キーが入力されたと判別したときには(ステップS9、Yes)、ステップS10に進む。またCPU30は、照明変更画面のキャンセルキーが入力されたと判別したとき(ステップS7、No)、ステップS10に進む。CPU30は、ステップS7でキャンセルキーが入力されたと判別した後、あるいはステップS9で解説処理キーが入力されたと判別した後、展示品に関する解説文を表示部36に表示させるための解説表示処理を行う(ステップS10)。
【0032】
ここで図7は解説表示処理を示すフローチャートである。CPU30は、展示品に関する解説を表示するか否かを問うメッセージと、“はい”キー、“いいえ”キーを配置した解説有無画面を表示部36に表示させる(ステップS30)。CPU30は、ユーザにより“はい”キーが入力されたか否かを判別する(ステップS31)。ステップS31において“はい”キーが入力されたと判別した場合(ステップS31、Yes)CPU30は、メモリ42から解説データを読み出す(ステップS32)。
【0033】
CPU30は、読み出した解説データに基づいてスルー画像として表示された展示品に重なるその展示品の各特徴部分を指し示す指示線と、各指示線が示す各特徴部分に関する短い説明及び展示品の名称等の展示品についての簡単な解説を、スルー画像に加えて表示部36に表示させる(ステップS33)。
【0034】
ここで図8は展示品の簡単な解説が表示されたスルー画像を示す図である。図8に示すように展示品が黄金のマスクである場合、スルー画像には展示品の名称として“○○文化の遺跡で発見された黄金のマスク”、展示品の頭部を指し示す指示線とその頭部の短い説明として“ヒスイの装飾”、展示品の目部分を指し示す指示線とその目部分の短い説明として“××アイ”、展示品の顔部分を指し示す指示線とその顔部分の短い説明として“朱で彩色”が表示される。
【0035】
次にCPU30は、スルー画像上に詳細な解説文を更に表示させるか否かを問うメッセージと、解説文を表示させる“詳細表示”キー、解説文を表示しない“キャンセル”キーを表示させて“詳細表示”キーが入力されたか否かを判別する(ステップS34)。CPU30は、“詳細表示”キーが入力されたと判別したときには(ステップS34、Yes)、メモリ42から解説データを読み出し、その解説データの解説文の文字データに基づいて上記の簡単な解説と詳細な解説文とを加えたスルー画像を表示部36に表示させる(ステップS35)。これによって解説表示処理が終了する。
【0036】
ここで図9は詳細な解説文が表示されたスルー画像を示す図である。展示品が図8で示した展示品と同一である場合、詳細な解説文を加えたスルー画像は、図9に示すように詳細な解説文として“11世紀初期の時代のもので、△△年に発掘された□□神殿の墓の埋葬者の顔につけられていた。「××アイ」と呼ばれるつりあがった目が特徴である。ヒスイで豪華に装飾され、顔の部分は朱で赤く彩色されている。”を、図8で示すスルー画像に加えた内容となる。
【0037】
なお、ステップS31で“いいえ”キーが入力されたとき(ステップS31、No)、CPU30は解説データに基づく簡単な解説及び詳細な解説文をスルー画像に加えずに解説表示処理を終了する。またステップS34で“キャンセル”キーが入力されたとき(ステップS34、No)、CPU30は、詳細な解説文を表示させるか否かを問うメッセージや、 “詳細表示”キー、 “キャンセル”キーを消去して、図8に示す簡単な解説が表示されたスルー画像を表示部36に表示させたまま解説表示処理を終了する。
【0038】
CPU30は、簡単な解説や詳細な解説文がスルー画像に表示された状態でメニューボタンが押下されたとき、表示中の簡単な解説又は詳細な解説文が写る静止画像の撮影を行うか否かを設定する設定画面を表示部36に表示させる。このときユーザは、操作部34の十字キーとOKボタンを操作して簡単な解説又は詳細な解説文を含めるか否かを選択入力する。CPU30は、含める旨の入力がなされると、簡単な解説又は詳細な解説文を含めた静止画像を撮影する解説画像撮影モードを設定する。
【0039】
そしてCPU30は、ユーザによるレリーズボタン10の押下に応じて、静止画像の画像データを生成してメモリーカード46に記憶させる撮影処理を行う(ステップS11)。具体的にCPU30は、スルー画像に簡単な解説が表示されている状態で撮影処理を行った場合、展示品の各特徴部分を示す指示線や各特徴部分の短い説明、展示品の名称が写った静止画像の画像データを生成する。
【0040】
またCPU30は、スルー画像に詳細な解説文が表示されている状態で撮影処理を行った場合、展示品の各特徴部分を示す指示線や各特徴部分の短い説明、展示品の名称、展示品の詳細な解説文が写った静止画像の画像データを生成する。なお解説画像撮影モードが設定されずにレリーズボタン10が押下された場合、CPU30は撮像素子32からの撮像信号に基づいて静止画像の画像データを生成する。つまりCPU30は、展示品の各特徴部分を示す指示線、各特徴部分の短い説明、展示品の名称、展示品に関する解説文等を含まない静止画像の画像データを生成する。
【0041】
本実施の形態によれば、デジタルカメラ4による撮影の被写体となっている展示物をホストコンピュータが特定し、その展示物を照明する照明部26の照明光を調節し、撮影条件をデジタルカメラ4に送信する。そのためデジタルカメラ4は撮影に最適な撮影条件を設定することができる。また照明光が調整されることにより、デジタルカメラ4によって撮影された画像は、展示品が鮮明に写った画像となる。
【0042】
また、本実施の形態によれば、ホストコンピュータ20は、デジタルカメラ4から受信した撮影方向と、位置情報、スルー画像によって展示品を正確に特定することができる。そのためホストコンピュータ20が被写体である展示品と異なる展示品を照明する照明部26の照明光を調節してしまうことを防止することができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、通信ユニット44が着脱可能であることから、施設側で通信ユニット44を貸し出してもよい。このようにすれば通信ユニット44を有していないユーザは、通信ユニット44を借りるだけで、照明部26の照明光の調節とデジタルカメラ4のホワイトバランス及び露出値の調整とがなされた環境で展示品を撮影することができ、利便性が向上する。また、解説表示処理に移行するまで、照明変更画面を介して照明部26の明るさ及び色温度を変更可能としている。そのためユーザにとっては所望する明るさ及び色温度になるまで繰り返し照明部26の明るさ及び色温度を変更させることができるので、利便性が向上する。
【0044】
なお、本実施の形態においては、ユーザがデジタルカメラ4を操作して照明部26の明るさ及び色温度の設定値を変更させることを可能とした。しかし複数のデジタルカメラ4から同時期に特定の照明部26の照明光を変更させる照明変更通知が送信され、ホストコンピュータ20が各照明変更通知の内容に応じて照明光をその都度変えてしまうと、各ユーザにとっては各々が所望する照明光に変更できないことが生じる。そのためホストコンピュータ20は1つの照明部26の照明光を変更した場合、例えば所定時間(例えば3分間)、当該照明部26の照明光を変更させないようにする。
【0045】
また、デジタルカメラ4にイヤホンを接続してそのイヤホンから、展示品に関する音声データに基づく音声を出力させてもよい。この場合には予めファイルサーバ28は展示品を解説する音声データを各展示品番号に関連付けて記憶しておく。またデジタルカメラ4はホストコンピュータ20との通信時に音声データを受信し、その音声データの音声をイヤホンによって出力させる。またデジタルカメラ4は、音声データを受信してかつ撮影処理を行ったときにその画像データと音声データとを関連付けてメモリーカードに記憶させるようにしてもよい。
【0046】
また、音声を取得するマイクをデジタルカメラ4に接続し、画像データに関連付ける音声データ、例えば展示品に関する自分自身の声による説明等をマイクによって取得する。そしてその音声データをユーザが指定した画像データに関連付けてメモリーカードに記憶させるようにしてもよい。
【0047】
また、上述の実施の形態においては、撮影システム2によって美術館や博物館内の展示品を照明する照明光を調節したが、これに限らず水族館の水槽や動物園の折の中等を照明する照明部の照明光を調節してもよく、更にライトアップされた建物や噴水の照明光を調節してもよい。このようにすればデジタルカメラ4によって撮影された画像は、水族館及び動物園内の動物や、ライトアップされた建物及び噴水が鮮明に写った画像となる。
【0048】
また、上述の実施の形態においては、解説画像撮影モードが設定されたときに簡単な解説や詳細な解説文を含めた静止画像の撮影処理を行ったが、簡単な解説や詳細な解説文を含めた動画像の撮影処理を行うようにしてもよい。その場合にはスルー画像に簡単な解説や詳細な解説文が表示されている状態で解説画像撮影モードが設定された際に、静止画像又は動画像のどちらで撮影するかを、ユーザに十字キー及びOKボタン等の操作によって選択させるようにすればよい。
【符号の説明】
【0049】
2…撮影システム、3…展示品照明装置、4…デジタルカメラ、20…ホストコンピュータ、22…通信機器、24…照明コントローラ、26…照明部、28…ファイルサーバ、30…CPU、34…操作部、36…表示部、38…電子コンパス、40…GPSユニット、44…通信ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体光を撮像して撮像信号を出力する撮像素子と、
撮影の方位を検出する方位検出部と、
位置情報を計測する位置計測部と、
前記位置情報及び前記撮影の方位を外部装置に送信する送信部と、
前記位置情報及び前記撮影の方位により特定される被写体を撮影する撮影条件の情報を前記外部装置から受信する受信部と、
前記撮影条件の情報に基づいて撮影条件の設定を行う撮影条件設定部と、
を備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
前記撮影条件は、ホワイトバランスの調整値を含むことを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項3】
前記撮影条件は、露出値を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデジタルカメラ。
【請求項4】
前記撮像信号に基づくスルー画像を表示する表示部を備え、
前記送信部は、前記スルー画像の画像データを前記外部装置に送信することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のデジタルカメラ。
【請求項5】
前記受信部は、前記外部装置から被写体に関する文字情報を受信し、
前記文字情報に基づく文字を、前記表示部に表示されている前記スルー画像上に表示させる表示制御部を備えることを特徴とする請求項4に記載のデジタルカメラ。
【請求項6】
前記撮像素子により撮影された前記被写体の画像データと、前記受信部により受信された前記文字情報とを関連付けて記憶する記憶部を備えることを特徴とする請求項5に記載のデジタルカメラ。
【請求項7】
前記受信部は、前記外部装置から被写体に関する音声データを受信し、
音声を出力する音声出力部と、
前記表示部に前記スルー画像を表示させているとき、前記受信部により受信された前記音声データに基づく音声を前記音声出力部により出力させる出力制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか一項に記載のデジタルカメラ。
【請求項8】
前記記憶部は、前記撮像素子により撮影された前記被写体の画像データと、前記受信部により受信された前記音声データとを関連付けて記憶することを特徴とする請求項7に記載のデジタルカメラ。
【請求項9】
前記送信部及び前記受信部を備える通信部が着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか一項に記載のデジタルカメラ。
【請求項10】
被写体光を撮像して撮像信号を出力する撮像素子と、撮影の方位を検出する方位検出部と、位置情報を計測する位置計測部と、前記位置情報及び前記撮影の方位を送信するカメラ送信部と、前記位置情報及び前記撮影の方位により特定される被写体を撮影する撮影条件の情報を受信するカメラ受信部と、前記撮影条件の情報に基づいて撮影条件の設定を行う撮影条件設定部とを有するデジタルカメラと、
前記被写体の位置情報、前記被写体を照明する照明光の情報及び前記被写体を撮影する撮影条件の情報を格納するデータベースと、前記デジタルカメラから前記位置情報及び前記撮影の方位を受信する装置受信部と、前記装置受信部によって受信した前記位置情報及び前記撮影の方位に基づいて前記データベースの前記位置情報を検索して前記被写体を特定する特定部と、前記データベースを参照して前記特定された被写体を照明する前記照明光の情報に基づいて前記特定された被写体を照明する前記照明光を調節する照明調節部と、前記データベースを参照して前記特定された被写体に関する前記撮影条件の情報を前記デジタルカメラに送信する装置送信部とを有する外部装置と、
を備えることを特徴とする撮影システム。
【請求項11】
前記撮影条件は、ホワイトバランスの調整値を含むことを特徴とする請求項10に記載の撮影システム。
【請求項12】
前記撮影条件は、露出値を含むことを特徴とする請求項10または請求項11に記載の撮影システム。
【請求項13】
前記デジタルカメラは、前記撮像素子から出力される撮像信号に基づくスルー画像を表示する表示部を備え、
前記カメラ送信部は、前記スルー画像の画像データを前記外部装置に送信し、
前記外部装置の前記データベースは、前記被写体に関する画像データを格納し、
前記装置受信部は、前記スルー画像の画像データを受信し、
前記特定部は、前記装置受信部によって受信された前記画像データに基づいて前記データベースに格納された画像データを検索して前記被写体を特定することを特徴とする請求項10〜請求項12の何れか一項に記載の撮影システム。
【請求項14】
前記外部装置の前記データベースは、前記被写体に関する文字情報を格納し、
前記装置送信部は、前記特定された被写体に関する文字情報を前記デジタルカメラに送信し、
前記デジタルカメラの前記カメラ受信部は、前記文字情報を受信し、
前記デジタルカメラは、前記文字情報に基づく文字を前記表示部に表示されている前記スルー画像上に表示させる表示制御部を備えることを特徴とする請求項13に記載の撮影システム。
【請求項15】
前記デジタルカメラは、前記撮像素子により撮影された前記被写体の画像データと、前記カメラ受信部により受信された前記文字情報とを関連付けて記憶する記憶部を備えることを特徴とする請求項14に記載の撮影システム。
【請求項16】
前記外部装置の前記データベースは、被写体に関する音声データを格納し、
前記装置送信部は、前記特定された被写体に関する音声データを前記デジタルカメラに送信し、
前記デジタルカメラの前記カメラ受信部は、前記音声データを受信し、
前記デジタルカメラは、前記音声データに基づく音声を前記音声出力部により出力させる出力制御部を備えることを特徴とする請求項10〜請求項15の何れか一項に記載の撮影システム。
【請求項17】
前記デジタルカメラの前記記憶部は、前記撮像素子により撮影された前記被写体の画像データと、前記受信部により受信された前記音声データとを関連付けて記憶することを特徴とする請求項16に記載の撮影システム。
【請求項18】
前記デジタルカメラは、前記カメラ送信部及び前記カメラ受信部を備える通信部が着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項10〜請求項17の何れか一項に記載の撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−209862(P2012−209862A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75505(P2011−75505)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】