説明

デジタルカメラ及び画像処理装置

【課題】撮影画像データに基づく画像が、撮影者の意図しない画像となってしまうのを防ぐことが可能なデジタルカメラを提供する。
【解決手段】システム制御部9は、被写体を撮影する撮像部1の撮影準備動作時に被写体を撮影して得られる画像データから顔エリアを検出し、検出した顔エリアの中から、撮像部1の撮影モードに応じた数の顔エリアを選択し、選択した顔エリアを利用して撮像部1の撮影条件を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データから顔エリアの検出を行う機能を有するデジタルカメラ及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のデジタルカメラは、人物モード、風景モード、及び夜景モード等、撮影する被写体や撮影状況に応じて複数の撮影モードが設定可能であり、撮影シーンに応じた撮影モードを設定することで、その撮影モードに応じた撮影条件により、最適な画像を得ることができるようになっている。
【0003】
従来、撮影時に顔検出を行い、その顔検出結果を利用して露出制御等を行うカメラが提案されている(特許文献1参照)。このカメラは、撮影モード毎に顔検出処理のアルゴリズムを変えることで、撮影者の意図した画像を得ることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−330882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記デジタルカメラでは、撮影シーンを決定できても、画面内での被写体の位置や数等は判らないため、撮影したい被写体に最適な露出制御等を行うことはできず、この結果、撮影者の意図した画像を得ることができない。
【0006】
又、記録媒体に記録した画像データに画像処理を施す場合にも、記録媒体に記録した画像データにおける被写体の位置や数等は判らないため、画像処理対象となる被写体に最適な画像処理を行うことができず、撮影者の意図した画像を得ることができない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、撮影画像データに基づく画像が、撮影者の意図しない画像となってしまうのを防ぐことが可能なデジタルカメラ及び画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像処理装置は、記録媒体に記録された画像データに画像処理を施す画像処理装置であって、前記画像データの画像処理条件を決定する画像処理条件決定手段と、前記画像データから顔エリアを検出する顔エリア検出手段と、前記画像データの撮影時の撮影モードを判別する撮影モード判別手段と、前記顔エリア検出手段により検出された顔エリアの中から、前記撮影モード判別手段により判別された撮影モードに応じた数の顔エリアを選択する顔エリア選択手段とを備え、前記画像処理条件決定手段は、前記顔エリア選択手段により選択された顔エリアを利用して前記画像処理条件を決定するものである。
【0009】
この構成により、顔エリア検出手段により検出された顔エリアの中から撮影モードに応じた数の顔エリアを選択し、選択された顔エリアを利用して画像処理条件を決定する。このため、撮影モード及び画像データに基づく画像に含まれる顔の数に応じた画像処理条件で画像処理を行うことが可能となり、最適な画像を提供することが可能になる。
【0010】
又、本発明の画像処理装置は、前記顔エリア選択手段により選択された顔エリアに関する情報を表示部に表示させる表示制御手段を備える。
【0011】
この構成により、顔エリア選択手段によって選択された顔エリアに関する情報を表示させることができるため、画像処理条件の決定内容を確認することが可能となり、画像処理時の利便性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、撮影画像データに基づく画像が、撮影者の意図しない画像となってしまうのを防ぐことが可能なデジタルカメラ及び画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一実施形態を説明するためのデジタルカメラの概略構成を示す図
【図2】本発明の第一実施形態を説明するためのデジタルカメラの動作フローを示す図
【図3】表示部の画面表示例を示す図
【図4】本発明の第二実施形態を説明するためのデジタルカメラの動作フローを示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第一実施形態)
図1は、第一実施形態を説明するためのデジタルカメラの概略構成を示す図である。
図1のデジタルカメラ100は、撮像部1と、アナログ信号処理部2と、A/D変換部3と、駆動部4と、デジタル信号処理部6と、圧縮/伸張処理部7と、表示部8と、システム制御部9と、内部メモリ10と、メディアインタフェース11と、記録メディア12と、操作部13とを備える。デジタル信号処理部6、圧縮/伸張処理部7、表示部8、システム制御部9、内部メモリ10、及びメディアインタフェース11は、システムバス14に接続されている。
【0015】
撮像部1は、撮影レンズ等の光学系、絞り、及びCCDイメージセンサ等の撮像素子によって被写体の撮影を行うものであり、アナログの撮像信号を出力する。撮像部1は、システム制御部9で決定された撮影条件(撮影レンズ位置、絞り値、シャッタ速度等)にしたがって撮影を行う。
【0016】
アナログ信号処理部2は、撮像部1で得られた撮像信号に所定のアナログ信号処理を施す。A/D変換部3は、アナログ信号処理部2で処理後のアナログ信号をデジタル信号に変換する。A/D変換部3の出力は、いわゆるRAW画像データとしてデジタル信号処理部6に送られる。
【0017】
撮影に際しては、駆動部4を介して撮像部1の制御が行われる。撮像素子として利用されるCCDイメージセンサ等の固体撮像素子は入射光に対しアナログ電圧信号を出力する。固体撮像素子は、操作部13の一部であるレリーズボタン(図示せず)の操作によるレリーズスイッチ(図示せず)オンを契機として、所定のタイミングで、駆動部4に含まれるタイミングジェネレータ(図1ではTGと記載)からの駆動信号によって駆動される。駆動部4は、システム制御部9によって所定の駆動信号を出力する。
【0018】
デジタル信号処理部6は、A/D変換部3からのデジタル画像データに対して、操作部13によって設定された動作モードに応じたデジタル信号処理を行う。デジタル信号処理には、ホワイトバランス調整処理やガンマ補正処理等が含まれる。
【0019】
圧縮/伸張処理部7は、デジタル信号処理部6で得られたY/Cデータに対して圧縮処理を施すとともに、記録メディア12から得られた圧縮画像データに対して伸張処理を施す。
【0020】
表示部8は、例えばLCD表示装置を含んで構成され、撮影されてデジタル信号処理を経た画像データに基づく画像を表示する。記録メディア12に記録された圧縮画像データを伸張処理して得た画像データに基づく画像の表示も行う。また、撮影時のスルー画像、デジタルカメラの各種状態、操作に関する情報の表示等も可能である。
【0021】
内部メモリ10は、例えばDRAMであり、デジタル信号処理部6やシステム制御部9のワークメモリとして利用される他、記録メディアに12に記録される画像データを一時的に記憶するバッファメモリや表示部8への表示画像データのバッファメモリとしても利用される。メディアインタフェース11は、メモリカード等の記録メディア12との間のデータの入出力を行うものである。
【0022】
操作部13は、デジタルカメラ使用時の各種操作を行うものであり、レリーズボタンも含まれる。
【0023】
システム制御部9は、所定のプログラムによって動作するプロセッサを主体に構成され、撮影動作を含むデジタルカメラ100全体の制御を行う。
【0024】
システム制御部9は、撮像部1の撮影準備動作時に、撮像部1により被写体を撮影して得られる画像データから顔検出処理を行い、顔らしさの度合いが閾値を越えるエリアを顔エリアとして検出する。顔検出処理は、テンプレートマッチング処理等の公知の技術により行うことができる。
【0025】
撮影準備動作時とは、例えば、レリーズボタンが半押しされて、システム制御部9が撮像部1からの画像信号により撮像部1の撮影条件を決定する時や、使用者により所定の撮影モードが設定された後に表示部8にスルー画像が表示されている間のことを示す。つまり、システム制御部9は、レリーズボタンが半押しされた時点で上記検出を行うか、又は、スルー画像が表示されている間、常に上記検出を行う。
【0026】
システム制御部9は、撮像部1に設定されている撮影モードを判別する。デジタルカメラ100で設定可能な撮影モードは、人物を撮影するのに最適な人物モード、風景を撮影するのに最適な風景モード、夜景を撮影するのに最適な夜景モード、スポーツシーンを撮影するのに最適なスポーツモード、及びデジタルカメラ100に全てを任せる全自動モード等が含まれる。デジタルカメラ100では、これらの撮影モード毎に撮影条件が異なるものとなっている。
【0027】
システム制御部9は、上記検出した顔エリアの中から、上記判別した撮影モードに応じた数の顔エリアを選択する。システム制御部9は、上記選択した顔エリアを利用して撮像部1の撮影条件を決定する。例えば、システム制御部9は、上記選択した顔エリアに重み付けを置いて最適な露出を決定したり、上記選択した顔エリアのうち顔らしさの度合いが最も大きいものを利用して最適な撮影レンズ位置を決定したりする。露出を決定する際は、顔らしさの度合いが大きい順に重み付け度合いを変えて露出を決定しても良い。
【0028】
システム制御部9は、上記選択した顔エリアに関する情報を表示部8に表示させる。顔エリアに関する情報とは、その顔エリアを示す枠や、その顔エリアの顔らしさの度合いの順位を示す情報等である。
【0029】
以下、デジタルカメラ100の動作について説明する。
図2は、第一実施形態を説明するためのデジタルカメラの動作フローを示す図である。
使用者によりいずれかの撮影モードが設定され(S201)、撮影準備動作を開始するためにレリーズボタンが半押しされると(S202)、デジタルカメラ100は、撮像部1で被写体を撮影して得られた画像データから、顔らしさの度合いが閾値を越えるエリアを顔エリアとして検出する(S203)。
【0030】
顔らしさの度合いが閾値を越えるエリアがなく、顔エリアを検出できなかった場合(S203:NO)、デジタルカメラ100は、予め定められた方法で撮影条件を決定し(S217)、レリーズボタンが全押しされると、決定した撮影条件で撮影を行う(S209)。
【0031】
予め定められた方法とは、使用者により設定された方法又は撮影モード毎に定められた方法等であり、例えば、露出を決定するための方法としては、スポット測光や中央重点測光等を用いた方法があげられる。
【0032】
顔らしさの度合いが閾値を越えるエリアがあり、顔エリアを検出できた場合(S203:YES)、デジタルカメラ100は、S201で設定された撮影モードを判別する(S204)。
【0033】
撮影モードが人物モードであった場合(S205:YES)、デジタルカメラ100は、検出した顔エリア全てを選択し(S206)、選択した顔エリアを示すための枠データをシステム制御部9で生成し、生成した枠データと画像データとをデジタル信号処理部6で合成する。そして、合成後の画像データをシステム制御部9が表示部8に出力する。これにより、表示部8には、図3に示すような画面が表示される(S207)。
【0034】
図3に示すように、表示部8には、撮像部1で撮影して得られるスルー画像上に、上記検出された顔エリアを示す枠30が重ねて表示される。尚、図3に示したように、顔エリアを示す枠30と共に、顔エリアの顔らしさの度合いの順位を示す番号31等を表示させても良い。
【0035】
デジタルカメラ100は、図3のような画面を表示させた後、選択した顔エリアを利用して撮像部1の撮影条件を決定し(S208)、レリーズボタンが全押しされると、決定した撮影条件で撮影を行う(S209)。
【0036】
撮影モードが人物モードでなく(S205:NO)、全自動モードであった場合(S210:YES)、デジタルカメラ100は、検出した顔エリアの中から、顔らしさの度合いが大きい上位4つを選択する(S211)。但し、検出した顔エリアの数が4つに満たない場合は、検出した顔エリア全てを選択する。
デジタルカメラ100は、選択した顔エリアを示すための枠データをシステム制御部9で生成し、生成した枠データと画像データとをデジタル信号処理部6で合成する。そして、合成後の画像データをシステム制御部9が表示部8に出力し、S207へと処理を移行する。
【0037】
撮影モードが全自動モードでなく(S210:NO)、夜景モードであった場合(S212:YES)、デジタルカメラ100は、検出した顔エリアの中から、顔らしさの度合いが大きい上位2つを選択する(S213)。但し、検出した顔エリアの数が2つに満たない場合は、検出した顔エリア全てを選択する。
デジタルカメラ100は、選択した顔エリアを示すための枠データをシステム制御部9で生成し、生成した枠データと画像データとをデジタル信号処理部6で合成する。そして、合成後の画像データをシステム制御部9が表示部8に出力し、S207へと処理を移行する。
【0038】
撮影モードが夜景モードでなく(S212:NO)、スポーツモードであった場合(S214:YES)、デジタルカメラ100は、検出した顔エリアの中から顔らしさの度合いが最も大きい1つを選択する(S215)。
デジタルカメラ100は、選択した顔エリアを示すための枠データをシステム制御部9で生成し、生成した枠データと画像データとをデジタル信号処理部6で合成する。そして、合成後の画像データをシステム制御部9が表示部8に出力し、S207へと処理を移行する。
【0039】
撮影モードがスポーツモードでなかった場合(S214:NO)、つまり、風景モードであった場合、デジタルカメラ100は、検出した顔エリアの中から顔エリアを選択せず(S216)、S217へと処理を移行する。
【0040】
以上のようにデジタルカメラ100は、人物モードが設定されている場合、被写体を撮影して得られる画像データから検出した顔エリア全てを利用して撮影条件を決定する。
【0041】
人物モードが設定されている場合には、人物(顔)を重視した撮影を行いたい場合であると考えられる。このため、上記のように、検出した顔エリアを全て利用して撮影条件を決定することで、撮影者の意図に合った最適な画像を得ることができる。
【0042】
又、デジタルカメラ100は、全自動モードが設定されている場合、被写体を撮影して得られる画像データから検出した顔エリアのうち最大4つを利用して撮影条件を決定する。
【0043】
全自動モードが設定されている場合には、人物モード程ではないが、人物に重要性ある場合が多い。このため、人物モードのときのように全ての顔エリアを利用せず、最大4つの顔エリアを利用することで、撮影者の意図に合った最適な画像を得ることができる。
【0044】
又、上記のように、顔エリア全てを選択しないことで、誤検出された顔エリアを選択してしまうのを防ぐことができるため、誤検出による画像への影響を減らすことができる。
【0045】
又、デジタルカメラ100は、夜景モードが設定されている場合、被写体を撮影して得られる画像データから検出した顔エリアのうち最大2つを利用して撮影条件を決定する。
【0046】
夜景モードが設定されている場合には、人物と夜景との重要性に差がそれ程ない場合が多い。このため、全自動モードのときよりも少ない数である最大2つの顔エリアを利用することで、撮影者の意図に合った最適な画像を得ることができる。
【0047】
又、夜景モードが選択された場合には、ノイズが多いことも予想されるため、顔らしさの度合いが大きい上位2つのみを選択することで、誤検出された顔エリアを選択してしまうのを防ぐことができ、誤検出による画像への影響を減らすことができる。
【0048】
又、デジタルカメラ100は、スポーツモードが設定されている場合には、被写体を撮影して得られる画像データから検出した顔エリアのうち1つを利用して撮影条件を決定する。
【0049】
スポーツモードが設定されている場合、夜景モードが選択された場合と同様、人物と背景との重要性に差がそれ程ない場合が多い。このため、全自動モードのときよりも少ない数である1つの顔エリアのみを利用することで、撮影者の意図に合った最適な画像を得ることができる。
【0050】
又、スポーツモードが設定されている場合には、動きのあるものを対象に顔エリアの検出を行うため、顔エリアを誤検出してしまう可能性が高い。そこで、上記のように、顔らしさが最大のもののみを選択することで、誤検出された顔エリアを選択してしまうのを防ぐことができ、誤検出による画像への影響を減らすことができる。
【0051】
又、デジタルカメラ100は、風景モードが設定されている場合には、被写体を撮影して得られる画像データから検出した顔エリアを利用せずに、予め設定された方法で撮影条件を決定する。
【0052】
風景モードが設定されている場合、風景を撮影することが目的であるため、被写体に顔があっても、その顔に関係なく撮影条件を決定することで、撮影者の意図に合った最適な画像を得ることができる。
【0053】
又、デジタルカメラ100は、上記選択した顔エリアに関する情報を表示部8に表示する。このため、使用者は、表示部8に表示される顔エリアの選択結果を確認することができ、どういった部分に重み付けがなされて撮影条件が決定されるのかを知ることができる。したがって、その撮影条件に納得がいかない場合には、マニュアルで撮影条件を変更すること等ができるようになるため、上記表示は、撮影時に有効なアシスト機能となる。
【0054】
尚、本実施形態では、撮影モードの判別を顔エリアを検出した後に行うようにしているが、撮影モードの判別を先に行ってから顔エリアの検出を行い、その後、顔エリアの選択をするようにしても良い。このようにすれば、判別した撮影モードが風景モードであった場合には、顔エリアの検出処理及び顔エリアの選択処理を省略してS217に処理を移行することができ、処理を簡単にすることができる。
【0055】
又、図2のS206、S211、S213、及びS215でデジタルカメラ100が選択する顔エリアの数は上記に示したものに限らず、S206で選択する顔エリアの数が最も多く、S211で選択する顔エリアの数がS206で選択する数よりも少なく、S213及びS215で選択する顔エリアの数がS211で選択する数よりも少なくなっていれば良い。
【0056】
又、本実施形態において、システム制御部9が行う顔検出処理を、デジタル信号処理部6が行うようにしても良い。
【0057】
(第二実施形態)
本実施形態のデジタルカメラ200は、図1に示したデジタルカメラ100のシステム制御部9がシステム制御部20になっただけであるため、その構成の図示を省略する。
【0058】
デジタルカメラ200の記録メディア12には、撮像部1による撮影で得られた画像データと、その画像データの撮影時の撮影モードを判別するための撮影モード判別情報とが互いに対応付けられて記録されている。
【0059】
システム制御部20は、所定のプログラムによって動作するプロセッサを主体に構成され、撮影動作を含むデジタルカメラ200全体の制御を行う。
【0060】
システム制御部20は、記録メディア12に記録された画像データから顔検出処理を行い、顔らしさの度合いが閾値を越えるエリアを顔エリアとして検出する。顔検出処理は、テンプレートマッチング処理等の公知の技術により行うことができる。
【0061】
システム制御部20は、記録メディア12に記録されている撮影モード判別情報を利用して、画像データの撮影時の撮影モードを判別する。
【0062】
システム制御部20は、上記検出した顔エリアの中から、上記判別した撮影モードに応じた数の顔エリアを選択し、デジタル信号処理部6が記録メディア12に記録されている画像データに対して行う画像処理(ホワイトバランス調整、輪郭補正、及び階調補正等)の画像処理条件を、上記選択した顔エリアを利用して決定する。
例えば、システム制御部20は、上記選択した顔エリアに重み付けを置いて、最適な輪郭補正や階調補正等を行うための画像処理条件を決定する。又、顔らしさの度合いが大きい順に重み付け度合いを変えて画像処理条件を決定しても良い。
【0063】
デジタル信号処理部6は、システム制御部20により決定された画像処理条件で画像データに対して画像処理を行う。
【0064】
システム制御部20は、上記選択した顔エリアに関する情報を表示部8に表示させる。顔エリアに関する情報とは、その顔エリアを示す枠や、その顔エリアの顔らしさの度合いの順位を示す情報等である。
【0065】
以下、デジタルカメラ200の動作について説明する。
図4は、本発明の第二実施形態を説明するためのデジタルカメラの動作フローを示す図であり、記録メディア12に記録された画像データに対し、画像処理を行う場合の動作フローを示す図である。
【0066】
使用者により画像処理の指示が行われると、デジタルカメラ200のシステム制御部20は、指定された画像データを記録メディア12から読み出し(S401)、読み出した画像データから、顔らしさの度合いが閾値を越えるエリアを顔エリアとして検出する(S402)。
【0067】
顔らしさの度合いが閾値を越えるエリアがなく、顔エリアを検出できなかった場合(S402:NO)、デジタルカメラ200は、予め定められた方法で画像処理条件を決定し(S416)、決定した画像処理条件で画像処理を行う(S408)。
予め定められた方法とは、使用者により指定された画像処理を行うためにデフォルトで設定された方法であり、例えば、画像全体に均等に重み付けを置いて画像処理条件を決定したり、撮影モードに応じたエリアに重み付けを置いて画像処理条件を決定したりする方法等である。
【0068】
顔らしさの度合いが閾値を越えるエリアがあり、顔エリアを検出できた場合(S402:YES)、デジタルカメラ200は、S401で読み出した画像データに対応付けられた撮影モード判別情報から、その画像データの撮影時の撮影モードを判別する(S403)。
【0069】
撮影モードが人物モードであった場合(S404:YES)、デジタルカメラ200は、検出した顔エリア全てを選択し(S405)、選択した顔エリアを示すための枠データをシステム制御部20で生成し、生成した枠データと画像データとをデジタル信号処理部6で合成する。そして、合成後の画像データをシステム制御部20が表示部8に出力する。これにより、表示部8には、図3に示すような画面が表示される(S406)。
【0070】
デジタルカメラ200は、図3のような画面を表示させた後、選択した顔エリアを利用して画像処理条件を決定し(S407)、決定した画像処理条件で画像処理を行う(S408)。
【0071】
撮影モードが人物モードでなく(S404:NO)、全自動モードであった場合(S409:YES)、デジタルカメラ200は、検出した顔エリアの中から、顔らしさの度合いが大きい上位4つを選択する(S410)。但し、検出した顔エリアの数が4つに満たない場合は、検出した顔エリア全てを選択する。デジタルカメラ200は、選択した顔エリアを示すための枠データをシステム制御部20で生成し、生成した枠データと画像データとをデジタル信号処理部6で合成する。そして、合成後の画像データをシステム制御部20が表示部8に出力し、S406へと処理を移行する。
【0072】
撮影モードが全自動モードでなく(S409:NO)、夜景モードであった場合(S411:YES)、デジタルカメラ200は、検出した顔エリアの中から、顔らしさの度合いが大きい上位2つを選択する(S412)。但し、検出した顔エリアの数が2つに満たない場合は、検出した顔エリア全てを選択する。デジタルカメラ200は、選択した顔エリアを示すための枠データをシステム制御部20で生成し、生成した枠データと画像データとをデジタル信号処理部6で合成する。そして、合成後の画像データをシステム制御部20が表示部8に出力し、S406へと処理を移行する。
【0073】
撮影モードが夜景モードでなく(S411:NO)、スポーツモードであった場合(S413:YES)、デジタルカメラ200は、検出した顔エリアの中から顔らしさの度合いが最も大きい1つを選択する(S414)。デジタルカメラ200は、選択した顔エリアを示すための枠データをシステム制御部20で生成し、生成した枠データと画像データとをデジタル信号処理部6で合成する。そして、合成後の画像データをシステム制御部20が表示部8に出力し、S406へと処理を移行する。
【0074】
撮影モードがスポーツモードでなかった場合(S413:NO)、つまり、風景モードであった場合、デジタルカメラ200は、検出した顔エリアの中から顔エリアを選択せず(S415)、S416へと処理を移行する。
【0075】
以上のようにデジタルカメラ200は、画像データの撮影時の撮影モードが人物モードであった場合、その画像データから検出した顔エリア全てを利用して画像処理条件を決定する。
【0076】
人物モードが設定されていた場合には、人物(顔)を重視して撮影された画像データであると考えられる。このため、上記のように、検出した顔エリアを全て利用して画像処理条件を決定することで、撮影者の意図に合った最適な画像を得ることができる。
【0077】
又、デジタルカメラ200は、画像データの撮影時の撮影モードが全自動モードであった場合、その画像データから検出した顔エリアのうち最大4つを利用して画像処理条件を決定する。
【0078】
全自動モードが設定されていた場合には、人物モード程ではないが、人物に重要性があると考えられる。このため、人物モードのときのように全ての顔エリアを利用せず、最大4つの顔エリアを利用することで、撮影者の意図に合った最適な画像を得ることができる。
【0079】
又、上記のように、顔エリア全てを選択しないことで、誤検出された顔エリアを選択してしまうのを防ぐことができるため、誤検出による画像への影響を減らすことができる。
【0080】
又、デジタルカメラ200は、画像データの撮影時の撮影モードが夜景モードであった場合、その画像データから検出した顔エリアのうち最大2つを利用して画像処理条件を決定する。
【0081】
夜景モードが設定されていた場合には、画像に夜景のみが含まれていることもあれば、人物が含まれていることもあり、人物と夜景との重要性に差がそれ程ない画像データである場合が多い。このため、全自動モードのときよりも少ない数である最大2つの顔エリアを利用することで、撮影者の意図に合った最適な画像を得ることができる。
【0082】
又、夜景モードが設定されていた場合には、画像データにノイズが多いことも予想されるため、顔らしさの度合いが大きい上位2つのみを選択することで、誤検出された顔エリアを選択してしまうのを防ぐことができ、誤検出による画像への影響を減らすことができる。
【0083】
又、デジタルカメラ200は、画像データの撮影時の撮影モードがスポーツモードであった場合、その画像データから検出した顔エリアのうち1つを利用して画像処理条件を決定する。
【0084】
スポーツモードが設定されていた場合、夜景モードが選択されていた場合と同様、人物と背景との重要性に差がそれ程ない画像データである場合が多い。このため、全自動モードのときよりも少ない数である1つの顔エリアのみを利用することで、撮影者の意図に合った最適な画像を得ることができる。
【0085】
又、スポーツモードが設定されていた場合には、動きのある被写体を撮影して得られた画像データに顔エリアの検出を行うことになるため、顔エリアを誤検出してしまう可能性が高い。そこで、上記のように、顔らしさが最大のもののみを選択することで、誤検出された顔エリアを選択してしまうのを防ぐことができ、誤検出による画像への影響を減らすことができる。
【0086】
又、デジタルカメラ200は、画像データの撮影時の撮影モードが風景モードであった場合、その画像データから検出した顔エリアを利用せずに、予め設定された方法で画像処理条件を決定し、決定した画像処理条件で画像処理を行う。
【0087】
風景モードが設定されていた場合、風景を撮影することが目的で撮影された画像データであるため、画像データに基づく画像に顔があっても、その顔に関係なく画像処理条件を決定することで、撮影者の意図に合った最適な画像を得ることができる。
【0088】
又、デジタルカメラ200は、上記選択した顔エリアに関する情報を表示部8に表示する。このため、使用者は、表示部8に表示される顔エリアの選択結果を確認することができ、どういった部分に重み付けがされて画像処理条件が決定されるのかを知ることができる。したがって、その画像処理条件に納得がいかない場合には、マニュアルで画像処理条件を変更すること等ができるようになるため、上記表示は、画像処理時に有効なアシスト機能となる。
【0089】
尚、本実施形態では、撮影モードの判別を顔エリアを検出した後に行うようにしているが、撮影モードの判別を先に行ってから顔エリアの検出を行い、その後、顔エリアの選択をするようにしても良い。このようにすれば、判別した撮影モードが風景モードであった場合には、顔エリアの検出処理及び顔エリアの選択処理を省略してS416に処理を移行することができ、処理を簡単にすることができる。
【0090】
又、図4のS405、S410、S412、及びS414でデジタルカメラ200が選択する顔エリアの数は上記に示したものに限らず、S405で選択する顔エリアの数が最も多く、S410で選択する顔エリアの数がS405で選択する数よりも少なく、S412及びS414で選択する顔エリアの数がS410で選択する数よりも少なくなっていれば良い。
【0091】
又、本実施形態において、システム制御部20が行う顔検出処理を、デジタル信号処理部6が行うようにしても良い。
【0092】
又、本実施形態では、デジタルカメラを例にして説明したが、システム制御部20の実行するプログラムを、コンピュータ上で実行することでも同様の効果が得られる。又、画像処理機能を持つプリンタにおいて、上記プログラムを実行することでも、同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0093】
1 撮像部
2 アナログ信号処理部
3 A/D変換部
4 駆動部
6 デジタル信号処理部
7 圧縮/伸張処理部
8 表示部
9 システム制御部
10 内部メモリ
11 メディアインタフェース
12 記録メディア
13 操作部
14 システムバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録された画像データに画像処理を施す画像処理装置であって、
前記画像データの画像処理条件を決定する画像処理条件決定手段と、
前記画像データから顔エリアを検出する顔エリア検出手段と、
前記画像データの撮影時の撮影モードを判別する撮影モード判別手段と、
前記顔エリア検出手段により検出された顔エリアの中から、前記撮影モード判別手段に
より判別された撮影モードに応じた数の顔エリアを選択する顔エリア選択手段とを備え、
前記画像処理条件決定手段は、前記顔エリア選択手段により選択された顔エリアを利用
して前記画像処理条件を決定するものである画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像処理装置であって、
前記撮影モードが人物モードを含み、
前記顔エリア選択手段は、前記撮影モード判別手段により判別された撮影モードが前記
人物モードである場合、前記選択する顔エリアの数を、前記判別された撮影モードが前記
人物モード以外の撮影モードである場合に選択する顔エリアの数よりも多くするものであ
る画像処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像処理装置であって、
前記顔エリア選択手段は、前記撮影モード判別手段により判別された撮影モードが前記
人物モードである場合、前記顔エリア検出手段により検出された顔エリア全てを選択する
ものである画像処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の画像処理装置であって、
前記撮影モードが、全自動モードと夜景モード又はスポーツモードとを含み、
前記顔エリア選択手段は、前記撮影モード判別手段により判別された撮影モードが前記
全自動モードである場合、前記選択する顔エリアの数を、前記判別された撮影モードが前
記夜景モード又はスポーツモードである場合に選択する顔エリアの数よりも多くするもの
である画像処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか記載の画像処理装置であって、
前記撮影モードが風景モードを含み、
前記撮影モード判別手段により判別された撮影モードが前記風景モードである場合、前
記顔エリア選択手段は、前記選択する顔エリアの数を0とするものであり、この場合、前
記画像処理条件決定手段は、予め定められた方法で前記画像処理条件を決定するものであ
る画像処理装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか記載の画像処理装置であって、
前記撮影モードが風景モードを含み、
前記撮影モード判別手段により判別された撮影モードが前記風景モードである場合、前
記顔エリア検出手段及び前記顔エリア選択手段は動作しないものであり、この場合、前記
画像処理条件決定手段は、予め定められた方法で前記画像処理条件を決定するものである
画像処理装置。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか記載の画像処理装置であって、
前記顔エリア選択手段により選択された顔エリアに関する情報を表示部に表示させる表
示制御手段を備える画像処理装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか記載の画像処理装置を備えるデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−207155(P2009−207155A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86663(P2009−86663)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【分割の表示】特願2003−395643(P2003−395643)の分割
【原出願日】平成15年11月26日(2003.11.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】