説明

デジタルカメラ

【課題】撮影レンズの前面に設けられるレンズバリアを有効に使用することでカメラ本体の厚みを薄くする。
【解決手段】レンズバリア12にメディアスロット40と、該メディアスロット40と接続される回路基板41とを設け、レンズバリア12の底面12cにメディアスロット40の装填口42を設ける。カメラ本体11の前面であって、その下端部に、カメラ本体11の前面から突出するリブ28を、カメラ本体の図中左端部から右端部に向けて延設する。レンズバリア12が閉じ位置にある場合にはメディアスロットの装填口を露呈させ、レンズバリア12を閉じ位置から開き位置に移動させると、メディアスロット40の装填口41がリブ28によって被覆される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズバリアを移動させることによって、カメラ本体の前面に配置された撮像レンズが被覆、或いは露呈されるデジタルカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、普及しているカメラの中には、撮影レンズから取り込まれた被写体光を、例えばCCDイメージセンサ等の撮像素子によって取り込むカメラ、所謂デジタルカメラがある。このデジタルカメラは、上述した撮像レンズや撮像素子の他に、カメラ本体の背面側の設けられるLCDパネル、及びこれらを制御する制御基板等から構成されている。また、デジタルカメラは、メモリーカードを装填するためのメモリースロットを備えており、メモリースロットにメモリーカードが装填された状態では、撮像することで得られた画像データをメモリーカードに書き込んだり、メモリーカードに書き込まれた画像データを読み出してLCDパネルに表示する、或いは画像データを削除する等の処理を行うことができるようになっている。
【0003】
このようなデジタルカメラの中には、撮影レンズを保護するレンズバリアやレンズカバーを備えたものが提供されている。このようなレンズバリアやレンズカバーは、カメラ本体に対して、撮影レンズを被覆する位置と撮影レンズを露呈する位置との間でスライドするもの(例えば特許文献1など)や、カメラ本体の前面を覆う位置と、カメラ本体の前面から退避する位置との間で回動するもの(例えば特許文献2等)が提案されている。
【特許文献1】特開平10−333222号公報
【特許文献2】特開平8−313990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなデジタルカメラの場合、撮像時に得られた画像データを記憶するメディアカードなどの記憶媒体を装着するメディアスロットが設けられているのがほとんどである。このようなメディアスロットの装着口は、回動式のカバーによって被覆されていることが多い。また、このようなデジタルカメラの場合、部品点数を減らすために、デジタルカメラのバッテリを収納する収納空間とカメラ本体の厚み方向に積層した状態で配置し、メディアスロットの装着口を遮蔽するカバーを、バッテリをカメラ本体に保持するカバーとして兼用しているものが多い。しかしながら、最近ではデジタルカメラが小型化、或いは薄型化される傾向にあり、バッテリ収納空間とメディアスロットとを積層した場合には、カメラ本体の薄型化には限界がある。
【0005】
本発明は、撮影レンズの前面に設けられるレンズバリアを有効に使用することでカメラ本体の厚みを薄くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のデジタルカメラは、撮像レンズが配置されたカメラ本体と、前記撮像レンズを被覆する位置と撮像レンズを露呈する位置との間で移動可能となるように前記カメラ本体に組み付けられるレンズバリアと、を備えたデジタルカメラにおいて、前記レンズバリアは、少なくとも撮像することで得られた画像データを記録する記録媒体を保持する記憶媒体保持部を備え、前記レンズバリアが前記撮像レンズを露呈する位置に移動したときに、前記記憶媒体保持部に保持された記憶媒体の着脱が防止されることを特徴とする。なお、記憶媒体保持部としては、メディアカードが装填されるメディアスロットが挙げられる。
【0007】
また、前記レンズバリアは、前記記憶媒体を前記記憶媒体保持部に抜き差しする装填口を備え、前記レンズバリアが前記撮像レンズを露呈する位置に移動したときに、前記装填口がカメラ本体によって被覆されることを特徴とする。
【0008】
また、前記カメラ本体は、該カメラ本体を制御する本体側回路基板を備え、前記レンズバリアは、前記本体側回路基板と電気的に接続され、前記記憶媒体保持部に保持された記憶媒体に記憶された画像データの読み出し、或いは該記憶媒体への画像データの書き込みを行うバリア側回路基板と、該バリア側回路基板に設けられ、前記レンズバリアが前記撮像レンズを被覆する位置にあるか否かを検知する位置検知手段を備えていることを特徴する。
【0009】
また、前記カメラ本体は、該カメラ本体を制御する本体側回路基板を備え、前記レンズバリアは、前記記憶媒体保持部に保持された記憶媒体に記憶された画像データの読み出し、或いは該記憶媒体への画像データの書き込みを行うバリア側回路基板を備え、前記レンズバリアが撮像レンズを露呈する位置に移動したときに、前記本体側回路基板と、バリア側回路基板とが電気的に接続されることを特徴とする。
【0010】
また、前記本体側回路基板及び前記バリア側回路基板は、それぞれ無線通信手段を有し、前記レンズバリアが前記撮像レンズを露呈する位置へと移動したときに、それぞれの基板に設けられた無線通信手段によってデータの送受信が行われることを特徴とする。
【0011】
また、前記レンズバリアは、その背面にバリア側回路基板による熱を放熱する放熱孔を備えた略箱形状から構成され、前記カメラ本体は、前記レンズバリアが前記撮像レンズを被覆する位置にある場合に、前記放熱孔を遮蔽するカバーを備えていることを特徴とする。
【0012】
また、前記レンズバリアが前記撮像レンズを被覆する位置から移動したときに、前記レンズバリアの移動量を検出する移動量検出手段を備えていることを特徴とする。
【0013】
また、前記レンズバリアは外部接続コネクタを備えており、前記外部接続コネクタに、前記記憶媒体保持部に挿入される記憶媒体とは異なる種類の記憶媒体が接続可能であることを特徴とする。
【0014】
また、前記レンズバリアは、回転自在に組み付けられたクリーニング部材と、前記レンズバリアが前記撮像レンズを被覆する位置にある場合に、前記クリーニング部材を回転させる駆動装置と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、前記バリア側回路基板は、複数の回路素子を備えており、前記レンズバリアが前記撮像レンズを被覆する位置にある場合に、前記複数の回路素子のうち発熱量の多い回路素子が前記撮影レンズの前面近傍に位置するように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のデジタルカメラは、撮像レンズが配置されたカメラ本体と、前記撮像レンズを被覆する位置と撮像レンズを露呈する位置との間で移動可能となるように前記カメラ本体に組み付けられるレンズバリアと、を備えたデジタルカメラにおいて、前記レンズバリアは、少なくとも撮像することで得られた画像データを記録する記録媒体を保持する記憶媒体保持部を備え、前記レンズバリアが前記撮像レンズを露呈する位置に移動したときに、前記記憶媒体保持部に保持された記憶媒体の着脱が防止されるから、記憶媒体保持部をカメラ本体ではなく、スペースに余裕があるレンズバリアに設けることで、カメラ本体の厚みの薄型化に寄与することができる。
【0017】
また、前記レンズバリアは、前記記憶媒体を前記記憶媒体保持部に抜き差しする装填口を備え、前記レンズバリアが前記撮像レンズを露呈する位置に移動したときに、前記装填口がカメラ本体によって被覆されるから、従来では、カメラ本体に、記憶媒体保持部の装填口を遮蔽し、装填される記憶媒体の脱落を防止するカバーを設ける必要があったが、このような構成にすることで、レンズバリアに専用のカバーを設ける必要がなくなる。また、上述したカバーの開閉状態を検知する検知手段を設ける必要があったが、上述した構成とすることで、検知手段を設ける必要がない。これら理由によりデジタルカメラの部品点数を削減することができる。
【0018】
また、前記カメラ本体は、該カメラ本体を制御する本体側回路基板を備え、前記レンズバリアは、前記本体側回路基板と電気的に接続され、前記記憶媒体保持部に保持された記憶媒体に記憶された画像データの読み出し、或いは該記憶媒体への画像データの書き込みを行うバリア側回路基板と、該バリア側回路基板に設けられ、前記レンズバリアが前記撮像レンズを被覆する位置にあるか否かを検知する位置検知手段を備えているから、レンズバリアの位置によって主電源のオンオフの切替を行うことができる。
【0019】
また、前記カメラ本体は、該カメラ本体を制御する本体側回路基板を備え、前記レンズバリアは、前記記憶媒体保持部に保持された記憶媒体に記憶された画像データの読み出し、或いは該記憶媒体への画像データの書き込みを行うバリア側回路基板を備え、前記レンズバリアが撮像レンズを露呈する位置に移動したときに、前記本体側回路基板と、バリア側回路基板とが電気的に接続されるから、レンズバリアの開閉を検知する位置検知センサを新たに設ける必要はない。
【0020】
また、前記本体側回路基板及び前記バリア側回路基板は、それぞれ無線通信手段を有し、前記レンズバリアが前記撮像レンズを露呈する位置へと移動したときに、それぞれの基板に設けられた無線通信手段によってデータの送受信が行われるから、本体側回路基板、及びバリア側回路基板を電気的に接続する接続端子の数を減らすことができる。
【0021】
また、前記レンズバリアは、その背面にバリア側回路基板による熱を放熱する放熱穴を備えた略箱形状から構成され、前記カメラ本体は、前記レンズバリアが前記撮像レンズを被覆する位置にある場合に、前記放熱穴を遮蔽するカバーを備えているから、レンズバリアを、撮影レンズを露呈する位置まで移動させたときに放熱穴が開放され、バリア側回路基板の放熱性を向上させることができる。また、レンズバリアを、撮影レンズを遮蔽する位置に移動させたときには、放熱穴が遮蔽されることになるので、塵やゴミなどの異物の混入を防止することができる。
【0022】
また、前記レンズバリアが前記撮像レンズを被覆する位置から移動したときに、前記レンズバリアの移動量を検出する移動量検出手段を備えているから、移動量検出手段によって検出された移動量に応じて、例えばズーム倍率を変更することが可能となるので、カメラ本体の背面等に設けられたズーム倍率変更ボタン等を配置する必要が無くなる。
【0023】
また、前記レンズバリアは外部接続コネクタを備えており、前記外部接続コネクタに、前記記憶媒体保持部に挿入される記憶媒体とは異なる種類の記憶媒体が接続可能であるから、複数の記憶媒体をレンズバリアに装填することができる。
【0024】
また、前記レンズバリアは、回転自在に組み付けられたクリーニング部材と、前記レンズバリアが前記撮像レンズを被覆する位置にある場合に、前記クリーニング部材を回転させる駆動装置と、を備えたから、レンズバリアを、撮影レンズを露呈する位置から被覆する位置まで移動させる、つまりデジタルカメラの使用をやめたときに撮影レンズに付着した塵やゴミ等の汚れをすることができる。
【0025】
また、前記バリア側回路基板は、複数の回路素子を備えており、前記レンズバリアが前記撮像レンズを被覆する位置にある場合に、前記複数の回路素子のうち発熱量の多い回路素子が前記撮影レンズの前面近傍に位置するように配置されているから、撮影レンズを回路素子の発熱によって暖めることができるので、レンズに水滴が付着する、所謂結露を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明のデジタルカメラの前面の外観構成について、図2は、その後面の外観構成を示す斜視図である。デジタルカメラ10は、横長のカメラ本体11の前面11aにレンズバリア12を備えた構成からなる。このデジタルカメラ11の前面11aであって、その上端縁部には、撮影レンズ15及びストロボ発光部16(図6参照)が設けられている。また、このデジタルカメラ11の上面11bには、レリーズボタン17が設けられている。
【0027】
カメラ本体11の背面11cには、LCD(液晶ディスプレイ)20や操作部21が設けられている。LCD20は、CCDなどの撮像素子(図示せず)によって取り込まれた被写体画像を表示する、所謂電子ビューファインダとして使用される他、後述するメディアカード45などに記憶された画像データを用いた画像表示や、設定変更を行う場合に設定メニューなどの表示などが行われる。操作部21は、ズーム操作ボタン22や、メニューボタン23、十字キー24などから構成され、撮像時や、設定時などに操作される。
【0028】
このカメラ本体11の前面11aであって、その長手方向の両端部と、幅方向の下端部にはリブ26〜28が形成されている。これらリブ26〜28のうち、リブ26はレンズバリア12が撮像レンズ15を被覆する位置(以下、閉じ位置)にある場合に、レンズバリア12の一側面12aが当接され、リブ27は、レンズバリア12が撮像レンズ15を露呈する位置(開き位置)にある場合に、レンズバリア12の一側面12bが当接される。また、リブ28は、レンズバリア12の下面12cと対峙するように設けられている。このリブ28は、リブ27から、カメラ本体11の長手方向に向けて延設されている。このリブ28の一端とリブ26との間には、空間30が設けられている。この空間30は、後述するメディアカードをレンズバリア12に設けられたメディアスロット40に装填する、或いは取り外す際にメディアカード45を挿通させるための空間となる。
【0029】
レンズバリア12は、カメラ本体11の前面11aに組み付けられている。このレンズバリア12は、閉じ位置(図3参照)と開き位置(図1参照)との間でスライド自在となるように組み付けられている。このレンズバリア12の上端部には、レンズバリア12のスライド方向に延びる開口35が設けられている。この開口35は、レンズバリア12が開き位置にある場合に、カメラ本体11に設けられたストロボ発光部16の前面に位置し、ストロボ発光部16を外部に露呈する。
【0030】
図4及び図5に示すように、レンズバリア12は、メディアスロット(記憶媒体保持部)40及びメディアスロット40と接続される回路基板41とを備えている。このレンズバリア12の下面12cには、メディアスロット40にメディアカード(記憶媒体)45を抜き差しするための装填口42が設けられている。この装填口42はレンズバリア12が閉じ位置にある場合に、カメラ本体11に設けられたリブ26とリブ28との間の空間30によって外部に露呈される。そして、レンズバリア12が閉じ位置から開き位置に移動したときには、装填口42は、リブ28によって被覆される。これにより、レンズバリア12が閉じ位置にある場合には、メディアカード45の抜き差しが可能となる。
【0031】
上述したように、回路基板41は、メディアスロット40と電気的に接続される。この回路基板41には、メディアスロット40に装填されたメディアカード45に画像データへの書き込みや、メディアカード45に書き込まれている画像データの読み出しを行うメディアコントローラ46を備えている。また、回路基板41には、レンズバリア12の開き位置を検知する位置検知スイッチ47が設けられている。この位置検知スイッチ47は、レンズバリア12が閉じ位置にある場合にオフとなり、閉じ位置から開き位置にスライドされるとオンとなる。なお、位置検知スイッチ47がオンとなることで、デジタルカメラ10に給電が行われ、デジタルカメラ10において、被写体像の撮像、或いは画像データの表示などを行うことが可能となる。これにより、位置検知スイッチ47は、電源スイッチとして機能する。なお、位置検知スイッチ47としては、レンズバリアが開き位置、或いは閉じ位置のいずれかにあるかを検知できるものであればよい。
【0032】
図6に示すように、カメラ本体11には、LCD20、ストロボ発光部16等の駆動制御を行う制御回路基板50が内蔵されている。カメラ本体11の前面11aには、制御回路基板50に組み付けられた接続端子51,52が挿通される開口53,54が設けられている。これら接続端子51,52は、レンズバリア12の背面12dに設けられた開口56,57にそれぞれ挿通され、レンズバリア12に設けられる回路基板41の回路パターンに当接される。これにより、カメラ本体11に設けられた制御回路基板50と、レンズバリア12の回路基板41とが電気的に接続される。
【0033】
このように、レンズバリア12に、メディアスロット40と、該メディアスロット40と接続される回路基板41とを設けることで、カメラ本体11に組み込まれる構成部品の点数を減らすことができるので、カメラ本体11の厚みを薄型化することができる。また、レンズバリア12に設けられる回路基板40に電源スイッチとして機能する位置検知スイッチ60を設けることで、カメラ本体11に電源ボタン(或いは電源スイッチ)を設ける必要が無くなる。さらに、位置検知スイッチ47をレンズバリア12に内蔵される回路基板41に直接組み付けることで、ハーネスなどを介して組み付ける必要が無くなる。
【0034】
本実施形態では、カメラ本体11に設けられる制御回路基板50と、レンズバリア12に内蔵される回路基板41とを、制御回路基板41に設けられた接続端子51,52によって接続し、レンズバリア12に設けられた位置検知スイッチ47がオンとなるときに、制御回路基板50と、回路基板41とに給電が行われるようにしているが、これに限定する必要はなく、例えば、レンズバリア12が閉じ位置から開き位置へとスライドしたときに、レンズバリア12に設けられた回路基板40をカメラ本体11に設けられた制御回路基板50に電気的に接続するようにしてもよい。この場合、レンズバリア12が開き位置にスライドした場合に、カメラ本体11から突出する接続端子をレンズバリア12に設けられる回路基板40の回路パターンに当接させる。これによれば、位置検知スイッチを設ける必要が無くなるので、部品点数を減らすことができる。
【0035】
また、これら場合、カメラ本体に設けられる制御回路基板と、レンズバリアに設けられる回路基板との間のデータの送受信を赤外線通信で行うようにしても良い。なお、以下では、本実施形態と同一の機能を有する箇所については、本実施形態と同一の符号を付して説明する。例えば、図7に示すように、カメラ本体11に設けられる制御回路基板50に赤外線を送受信できる送受信部65を設け、カメラ本体11の前面11aに設けられた開口66から露呈させる。また、レンズバリア12を背面が開口された略箱形状のバリア本体68と、バリア本体68の背面を覆う蓋部材69とから構成し、赤外線を送受信できる送受信部70を設けた回路基板41をバリア本体68の内部に収納する。また、蓋部材69に開口71を設け、この開口71から送受信部70を露呈させる。例えばレンズバリア12が閉じ位置から開き位置に移動した場合に、制御回路基板50に設けられた送受信部65と、レンズバリア12に設けられた回路基板41の送受信部70とを対面させることで、一方の送信部から送信された、赤外線に光変換されたデータを他方の受信部で受信することで、データの送受信を行う。また、赤外線通信の他に、無線通信を行うことも可能である。この場合、無線に使用する電波を他の機器が使用していない周波数を用いる必要がある。なお、符号75は、レンズ鏡胴である。
【0036】
また、本実施形態に加えて、放熱用の開口を設けることも可能である。図8,9に示すように、レンズバリア12をバリア本体68の背面を覆う蓋部材69に放熱用の開口(放熱孔)80を、カメラ本体11にレンズバリア12が閉じ位置にある場合に、レンズバリア12に設けられた放熱用の開口80を遮蔽するカバー部81を設ける。図9に示すように、レンズバリア12を閉じ位置から開き位置に移動した場合に、放熱用の開口80と、カバー部81との相対位置が変化し、放熱用の開口80が開放されることになるので、回路基板41に組み込まれた例えばメディアコントローラなどの回路構成素子82の発した熱をレンズバリア12と、カメラ本体11の前面との間の隙間から逃がすことができる。また、図8に示すように、レンズバリア12を閉じ位置へとスライドさせた場合には、放熱用の開口80がカバー部81によって被覆されるので、レンズバリア11の内部に塵やゴミなどの混入を防止することができる。なお、放熱用の開口80は、レンズバリア12の背面に限定される必要はなく、上面或いは下面に設けても良い。
【0037】
また、本実施形態に加えて、レンズバリア12の移動量を検知することも可能である。この場合、図10、11に示すように、カメラ本体11に設けられる制御回路基板50に、スライドボリューム(移動量検出手段)90を設け、このスライドボリューム90のスライド片91をレンズバリア12に係合させる。この場合、図10に示すように、撮像レンズ15が露呈された時に、スライドボリューム90の抵抗値の変化を有効にし、スライドボリュームの抵抗値の変化を利用してズーム倍率を変更する。例えばレンズバリア12を図10中A方向に移動させると、ズーム倍率がワイド(広角)側に変化し、レンズバリア12を図11中B方向に移動させると、ズーム倍率がテレ(望遠)側に変化する。これにより、カメラ本体11の背面に設けられたズーム操作ボタンを設ける必要が無くなり、部品点数を減らすことができる。なお、レンズバリア12の位置変化を検知する方法は、スライドボリューム90に限定する必要はなく、例えばロータリーエンコーダを用いることも可能である。
【0038】
さらに、USB接続型のストレージメディアを接続できるようにしてもよい。この場合、図12に示すように、レンズバリア12にUSBコネクタ部100を設ける。また、カメラ本体11に設けられるリブ26に、USBコネクタ101を有するストレージメディア102を挿通可能な凹部26aを設ける。このような凹部26aをリブ26に設けることで、レンズバリア12が閉じ位置であってもストレージメディア102を接続することが可能となる。これにより、メディアカード45の他に、他の形態のメモリを接続可能とすることで、他のメモリに対する互換性を向上させることができる。
【0039】
また、この他に、レンズバリアが閉じ位置にある場合に、撮像レンズをクリーニングする機構をレンズバリアに設けることも可能である。図13に示すように、レンズバリア12にクリーニング機構110を設け、このクリーニング機構110をクリーニングブラシ111と、クリーニングブラシ111を回転させるモータ112とから構成する。また、レンズバリア12を構成する蓋部材69に開口113を設け、クリーニングブラシ111のブラシ部111aを露呈させる。また、図示は省略するが、レンズバリア12に設けられる回路基板40の回路構成部品にコンデンサを含んで回路基板41の回路を構成する。この回路に該コンデンサに蓄電を行う回路と、コンデンサに蓄電された電気を用いて、モータ111を駆動する回路とを設ける。また、コンデンサに蓄電を行う回路にレンズバリア12が開き位置にある場合にオンとなるスイッチを、モータ112を駆動する回路にレンズバリア12閉じ位置にある場合にオンとなるスイッチをそれぞれ設ける。これにより、レンズバリア12が開き位置にスライドしたときにはコンデンサに電気が蓄電され、また、レンズバリア12が閉じ位置にスライドしたときにはモータ112が駆動することでクリーニングブラシ111が回転し、撮像レンズ15の表面の汚れを落とすことができる。なお、モータ112はコンデンサの蓄電が消費されたときに停止する。なお、符号113はレンズ鏡胴である。
【0040】
また、この他に、図14に示すように、レンズバリア12に設けられる回路基板41に組み付けられる回路素子のうち発熱量の多い回路素子120を、レンズバリア12が閉じ位置にある場合に撮像レンズ15の前面、或いはその近傍となるように配置することも可能である。これによれば、デジタルカメラを使用した後に、回路素子120の余熱を用いて、撮像レンズ15を暖めることが可能となるので、撮像レンズ15の結露を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】レンズバリアが開き位置にある場合のデジタルカメラの前面の外観を示す斜視図である。
【図2】デジタルカメラの背面の外観を示す斜視図である。
【図3】レンズバリアが閉じ位置にある場合のデジタルカメラの前面の外観を示す斜視図である。
【図4】レンズバリアが閉じ位置にある場合のデジタルカメラの下面の構成を示す斜視図である。
【図5】レンズバリアが開き位置にある場合のデジタルカメラの下面の構成を示す斜視図である。
【図6】レンズバリアと、カメラ本体とを分割して示す斜視図である。
【図7】カメラ本体に設けられる制御回路基板と、レンズバリアに設けられる回路基板とのデータを赤外線通信で行う場合であって、レンズバリアが開き位置にある場合を示すデジタルカメラの断面図である。
【図8】レンズバリアに放熱用の開口を設けた場合の実施形態であって、レンズバリアが閉じ位置にある場合のデジタルカメラの断面図である。
【図9】レンズバリアに放熱用の開口を設けた場合の実施形態であって、レンズバリアが開き位置にある場合のデジタルカメラの断面図である。
【図10】レンズバリアをズーム操作ボタンの機能として用いる場合であって、ズーム倍率がテレ(望遠)となる場合のレンズバリアの位置を示すデジタルカメラの外観図である。
【図11】レンズバリアをズーム操作ボタンの機能として用いる場合であって、ズーム倍率がワイド(広角)となる場合のレンズバリアの位置を示すデジタルカメラの外観図である。
【図12】レンズバリアにUSB接続部を設け、USB接続型のストレージメディアを装着可能とした実施形態を示すデジタルカメラの斜視図である。
【図13】レンズバリアに撮像レンズをクリーニングするクリーニング機構を設けた場合の実施形態を示すデジタルカメラの断面図である。
【図14】レンズバリアに設けられる回路基板に実装される回路素子のうち、発熱量の高い回路素子を撮像レンズ近傍に配置した場合の実施形態を示すデジタルカメラの断面図である。
【符号の説明】
【0042】
10 デジタルカメラ
11 カメラ本体
12 レンズバリア
15 撮像レンズ
40 メディアスロット
41 回路基板
45 メディアカード
47 位置検知センサ
50 制御回路基板
65,70 送受信部
68 バリア本体
69 蓋部材
80 開口
81 カバー部
82、120 回路素子
90 スライドボリューム
102 ストレージメディア
110 クリーニング機構
111 クリーニングブラシ
111a ブラシ部
112 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像レンズが配置されたカメラ本体と、前記撮像レンズを被覆する位置と撮像レンズを露呈する位置との間で移動可能となるように前記カメラ本体に組み付けられるレンズバリアと、を備えたデジタルカメラにおいて、
前記レンズバリアは、少なくとも撮像することで得られた画像データを記録する記録媒体を保持する記憶媒体保持部を備え、
前記レンズバリアが前記撮像レンズを露呈する位置に移動したときに、前記記憶媒体保持部に保持された記憶媒体の着脱が防止されることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
前記レンズバリアは、前記記憶媒体を前記記憶媒体保持部に抜き差しする装填口を備え、前記レンズバリアが前記撮像レンズを露呈する位置に移動したときに、前記装填口がカメラ本体によって被覆されることを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラ。
【請求項3】
前記カメラ本体は、該カメラ本体を制御する本体側回路基板を備え、
前記レンズバリアは、前記本体側回路基板と電気的に接続され、前記記憶媒体保持部に保持された記憶媒体に記憶された画像データの読み出し、或いは該記憶媒体への画像データの書き込みを行うバリア側回路基板と、該バリア側回路基板に設けられ、前記レンズバリアが前記撮像レンズを被覆する位置にあるか否かを検知する位置検知手段を備えていることを特徴する請求項1又は2記載のデジタルカメラ。
【請求項4】
前記カメラ本体は、該カメラ本体を制御する本体側回路基板を備え、
前記レンズバリアは、前記記憶媒体保持部に保持された記憶媒体に記憶された画像データの読み出し、或いは該記憶媒体への画像データの書き込みを行うバリア側回路基板を備え、
前記レンズバリアが撮像レンズを露呈する位置に移動したときに、前記本体側回路基板と、バリア側回路基板とが電気的に接続されることを特徴とする請求項1又は2記載のデジタルカメラ。
【請求項5】
前記本体側回路基板及び前記バリア側回路基板は、それぞれ無線通信手段を有し、前記レンズバリアが前記撮像レンズを露呈する位置へと移動したときに、それぞれの基板に設けられた無線通信手段によってデータの送受信が行われることを特徴とする請求項3又は4記載のデジタルカメラ。
【請求項6】
前記レンズバリアは、その背面にバリア側回路基板による熱を放熱する放熱孔を備えた略箱形状から構成され、
前記カメラ本体は、前記レンズバリアが前記撮像レンズを被覆する位置にある場合に、前記放熱孔を遮蔽するカバーを備えていることを特徴とする請求項3〜5いずれか記載のデジタルカメラ。
【請求項7】
前記レンズバリアが前記撮像レンズを被覆する位置から移動したときに、前記レンズバリアの移動量を検出する移動量検出手段を備えていることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載のデジタルカメラ。
【請求項8】
前記レンズバリアは外部接続コネクタを備えており、
前記外部接続コネクタに、前記記憶媒体保持部に挿入される記憶媒体とは異なる種類の記憶媒体が接続可能であることを特徴とする請求項1〜7いずれか記載のデジタルカメラ。
【請求項9】
前記レンズバリアは、回転自在に組み付けられたクリーニング部材と、前記レンズバリアが前記撮像レンズを被覆する位置にある場合に、前記クリーニング部材を回転させる駆動装置と、を備えたことを特徴とする請求項1〜8いずれか記載のデジタルカメラ。
【請求項10】
前記バリア側回路基板は、複数の回路素子を備えており、
前記レンズバリアが前記撮像レンズを被覆する位置にある場合に、前記複数の回路素子のうち発熱量の多い回路素子が前記撮影レンズの前面近傍に位置するように配置されていることを特徴とする請求項1〜8いずれか記載のデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−312062(P2007−312062A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138608(P2006−138608)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】