説明

デジタルカメラ

【課題】本発明は、たとえば小さな揺れで少しずつ撮像方向を変更された場合においても、正確に、撮像方向変更の有無を検出することができるデジタルカメラを提供する。
【解決手段】デジタルカメラ100では、角速度センサー部40がデジタルカメラ100の揺れを検出したときに、揺れ判断部30は、デジタル画像Dを構成する全ブロックBを対象に、輝度情報処理部20で取得された輝度情報の変化を検出する(輝度変化検出処理)。そして、揺れ判断部30は、輝度変化検出処理の結果が予め設定されている所定の条件を満たすときに、撮像部10の撮像方向が変化したと判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタルカメラに係る発明であり、特に、監視用途に使用されるデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建築物内外の不審者を撮像する目的で監視カメラが設置されている。しかし、不審者が監視カメラに気づけば、自身の撮像を避けるために、当該不審者は監視カメラの撮像方向を変更することもある。このように、撮像方向が変更されると、監視能力が発揮できなくなる。そこで、当該撮像方向の変更を検出する監視カメラが提案されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に係る技術では、高角速度の場合は角速度の大きさのみにより、中角速度の場合は角速度大きさと継続時間とにより監視カメラの撮像方向変更を検出している。また、低角速度の場合は角速度大きさと継続時間とにより撮像方向変更の検出と、簡易な画像処理を利用して変換された監視領域画像変化情報に基づいた画像変化の検出とを組み合わせて監視カメラの撮像方向変更を検出している。
【0004】
ここで、特許文献1では、撮像部で撮像されたデジタル画像の一部分のブロックのみが、画像変化の有無判断の対象とされている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−111064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、たとえば、監視カメラに角速度センサー部が配設されており、当該角速度センサー部の検出結果が一定の値以上のときに、撮像方向の変更を検知する技術も考え得る。しかし、当該技術の場合には、小さな揺れで、少しずつ撮像方向を変更された場合には、当該撮像方向の変更を検知することができない。
【0007】
また、上記特許文献1に係る技術では、小さい揺れの検知と、デジタル画像の一部分のみの画像変化とに基づいて、撮像方向変更の有無を検出している。したがって、当該特許文献1に係る技術では、デジタル画像の一部分のみの画像変化に基づいて撮像方向変更の有無を検出しているので、監視カメラの設置位置や撮像方向によっては、正確に撮像方向の変更の有無を判断できないという問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、たとえば小さな揺れで少しずつ撮像方向を変更された場合においても、正確に、撮像方向変更の有無を検出することができるデジタルカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載のデジタルカメラは、監視領域を撮像するデジタルカメラであって、被写体を撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像されたデジタル画像から輝度情報を取得する輝度情報処理部と、前記デジタル画像の全体を、複数のブロックに分割するブロック分割部と、前記撮像部の撮像方向が変化したことを判断する揺れ判断部と、前記デジタルカメラ自身の揺れを検知する角速度センサー部とを備えており、前記角速度センサー部が前記デジタルカメラの揺れを検出したときには、前記揺れ判断部は、前記デジタル画像を構成する全ブロックを対象に、前記輝度情報処理部で取得された前記輝度情報の変化を検出する輝度変化検出処理を実施し、前記輝度変化検出処理の結果が予め設定されている所定の条件を満たすときに、前記撮像部の撮像方向が変化したと判断する。
【0010】
また、請求項2に記載のデジタルカメラは、請求項1に記載のデジタルカメラに記載のデジタルカメラであって、前記角速度センサー部によって検知された前記デジタルカメラの揺れの絶対値量の、第一の所定の期間における合計値である揺れ合計値が、予め設定されている第一の揺れ閾値以上であるときに、前記揺れ判断部は、前記輝度変化検出処理を実施し、前記輝度変化検出処理の結果が予め設定されている前記所定の条件を満たすときに、前記撮像部の撮像方向が第一の態様で変化したと判断する。
【0011】
また、請求項3に記載のデジタルカメラは、請求項2に記載のデジタルカメラであって、前記角速度センサー部によって検知された前記デジタルカメラの揺れの絶対値量が、予め設定されている第二の揺れ閾値以上であるときに、前記揺れ判断部は、前記撮像部の撮像方向が前記第一の態様より速い第二の態様で変化したと判断する。
【0012】
また、請求項4に記載のデジタルカメラは、請求項2に記載のデジタルカメラであって、前記揺れ判断部は、複数の前記デジタル画像から得られる参照デジタル画像を構成する全ブロックにおいて取得される参照輝度情報と、一の前記デジタル画像を構成する全ブロックにおいて取得される対象輝度情報とを比較し、前記比較結果が前記所定の条件を満たすときに、前記撮像部の撮像方向が前記第一の態様で変化したと判断する。
【0013】
また、請求項5に記載のデジタルカメラは、請求項4に記載のデジタルカメラであって、前記揺れ判断部は、(A)一の前記デジタル画像を構成する第一のブロックが有する第一の代表輝度値と、前記参照デジタル画像を構成しており、前記第一のブロックと同じブロック位置に存する第二のブロックが有する第二の代表輝度値との差分を、前記一のデジタル画像を構成する全ブロック毎に求め、(B)前記差分が予め設定されている所定値以上であると判断される、前記一のデジタル画像を構成する前記ブロックの数を求め、(C)前記(B)において求めた前記ブロックの数が、予め設定されている所定数以上であるときに、前記撮像部の撮像方向が前記第一の態様で変化したと判断する。
【0014】
また、請求項6に記載のデジタルカメラは、請求項4に記載のデジタルカメラであって、前記揺れ判断部は、(A)一の前記デジタル画像を構成する第一のブロックにおけるエッジ画素の比率である第一のエッジ比率と、前記参照デジタル画像を構成しており、前記第一のブロックと同じブロック位置に存する第二のブロックにおける、エッジ画素の比率である第二のエッジ比率との差分を、前記一のデジタル画像を構成する全ブロック毎に求め、(B)前記差分が予め設定されている所定値以上であると判断される、前記一のデジタル画像を構成する前記ブロックの数を求め、(C)前記(B)において求めた前記ブロックの数が、予め設定されている所定数以上であるときに、前記撮像部の撮像方向が前記第一の態様で変化したと判断する。
【0015】
また、請求項7に記載のデジタルカメラは、請求項5または請求項6に記載のデジタルカメラであって、前記参照デジタル画像は、前記撮像部で撮像された、複数の前記デジタル画像の平均デジタル画像である。
【0016】
また、請求項8に記載のデジタルカメラは、請求項5または請求項6に記載のデジタルカメラであって、前記デジタル画像の輝度の調整に関する輝度調整モードを自動的に切り替えるモード切替処理部を、さらに備えており、前記(C)の判断時より、予め設定された第二の所定の期間だけ前の間に、前記モード切替処理部により前記輝度調整モードの切替が行われた場合には、前記揺れ判断部は、前記撮像部の撮像方向が前記第一の態様で変化したと判断しない。
【0017】
また、請求項9に記載のデジタルカメラは、請求項5に記載のデジタルカメラであって、前記第一の代表輝度値は、前記第一のブロックを構成する各画素の輝度値の平均値である。
【0018】
また、請求項10に記載のデジタルカメラは、請求項5に記載のデジタルカメラであって、前記第一の代表輝度値は、前記第一のブロックの中心に位置する画素の輝度値である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1に記載のデジタルカメラは、被写体を撮像する撮像部と、撮像部で撮像されたデジタル画像から輝度情報を取得する輝度情報処理部と、デジタル画像の全体を、複数のブロックに分割するブロック分割部と、撮像部の撮像方向が変化したことを判断する揺れ判断部と、デジタルカメラ自身の揺れを検知する角速度センサー部とを備えている。そして、角速度センサー部がデジタルカメラの揺れを検出したときには、揺れ判断部は、デジタル画像を構成する全ブロックを対象に、輝度情報処理部で取得された輝度情報の変化を検出する輝度変化検出処理を実施し、輝度変化検出処理の結果が予め設定されている所定の条件を満たすときに、撮像部の撮像方向が変化したと判断する。
【0020】
このように、角速度センサー部がデジタルカメラの揺れを検出したときに、揺れ判断部は、輝度変化検出処理を実施し、撮像部の撮像方向が変化の有無を判断している。これにより、風等によりデジタルカメラが振動しているのか、撮像部の撮像方向がたとえば徐々に変更されているのかを判断することができる。
【0021】
また、揺れ判断部は、デジタル画像を構成する全ブロックを対象に、輝度情報処理部で取得された輝度情報の変化を検出する輝度変化検出処理を実施している。したがって、デジタルカメラの設置位置や撮像方向に依存せず、正確に撮像方向の変更の有無を判断できる。
【0022】
また、請求項2に記載のデジタルカメラは、角速度センサー部によって検知されたデジタルカメラの揺れの絶対値量の、第一の所定の期間における合計値である揺れ合計値が、予め設定されている第一の揺れ閾値以上であるときに、揺れ判断部は、輝度変化検出処理を実施し、輝度変化検出処理の結果が予め設定されている所定の条件を満たすときに、撮像部の撮像方向が第一の態様で変化したと判断する。
【0023】
したがって、角速度センサー部が微振動を検出する場合において、当該微振動が撮像部の撮像方向の変更によるものなのか、大型車両の通過の微振動等により単にデジタルカメラが撮像方向を維持して振動しているだけなのかを、判断できる。
【0024】
また、請求項3に記載のデジタルカメラは、角速度センサー部によって検知されたデジタルカメラの揺れの絶対値量が、予め設定されている第二の揺れ閾値以上であるときに、揺れ判断部は、撮像部の撮像方向が第一の態様より速い第二の態様で変化したと判断する。
【0025】
したがって、撮像部の撮像方向の突然な(急激な)変化の場合には、デジタルカメラはより迅速に、撮像方向の変化を検知できる。
【0026】
また、請求項4に記載のデジタルカメラでは、揺れ判断部は、複数のデジタル画像から得られる参照デジタル画像を構成する全ブロックにおいて取得される参照輝度情報と、一のデジタル画像を構成する全ブロックにおいて取得される対象輝度情報とを比較し、比較結果が所定の条件を満たすときに、撮像部の撮像方向が第一の態様で変化したと判断する。
【0027】
したがって、一のデジタル画像を構成する全ブロックにおける輝度情報の変化を、簡単な相対評価により、検出できる。
【0028】
また、請求項5に記載のデジタルカメラでは、揺れ判断部は、(A)一のデジタル画像を構成する第一のブロックが有する第一の代表輝度値と、参照デジタル画像を構成しており、第一のブロックと同じブロック位置に存する第二のブロックが有する第二の代表輝度値との差分を、一のデジタル画像を構成する全ブロック毎に求め、(B)差分が予め設定されている所定値以上であると判断される、一のデジタル画像を構成するブロックの数を求め、(C)(B)において求めたブロックの数が、予め設定されている所定数以上であるときに、撮像部の撮像方向が第一の態様で変化したと判断する。
【0029】
揺れ判断部は、デジタル画像を構成する全ブロックを対象に、輝度情報処理部で取得された輝度情報の変化を検出する輝度変化検出処理を実施している。したがって、デジタルカメラの設置位置や撮像方向に依存せず、正確に撮像方向の変更の有無を判断できる。また、デジタルカメラの揺れが撮像部の撮像方向の変更によるものなのか、大型車両の通過の微振動等により単にデジタルカメラが撮像方向を維持して振動しているだけなのかを、正確に判断できる。
【0030】
また、請求項6に記載のデジタルカメラでは、揺れ判断部は、(A)一のデジタル画像を構成する第一のブロックにおけるエッジ画素の比率である第一のエッジ比率と、参照デジタル画像を構成しており、第一のブロックと同じブロック位置に存する第二のブロックにおける、エッジ画素の比率である第二のエッジ比率との差分を、一のデジタル画像を構成する全ブロック毎に求め、(B)差分が予め設定されている所定値以上であると判断される、一のデジタル画像を構成するブロックの数を求め、(C)(B)において求めたブロックの数が、予め設定されている所定数以上であるときに、撮像部の撮像方向が第一の態様で変化したと判断する。
【0031】
したがって、撮像部で撮像される静止物のエッジ画素の変化を正確に検出できる。したがって、デジタルカメラの揺れが撮像部の撮像方向の変更によるものなのか、大型車両等により単にデジタルカメラが撮像方向を維持して振動しているだけなのかを、正確に判断できる。
【0032】
また、請求項7に記載のデジタルカメラでは、参照デジタル画像は、撮像部で撮像された、複数のデジタル画像の平均デジタル画像である。
【0033】
したがって、撮像部の前における突発的な変動を無視した画像を、参照デジタル画像とすることができる。よって、より正確に、輝度変化検出処理を実施することが可能となる。
【0034】
また、請求項8に記載のデジタルカメラは、デジタル画像の輝度の調整に関する輝度調整モードを自動的に切り替えるモード切替処理部を、さらに備えており、(C)の判断時より、予め設定された第二の所定の期間だけ前の間に、モード切替処理部により輝度調整モードの切替が行われた場合には、揺れ判断部は、撮像部の撮像方向が前記第一の態様で変化したと判断しない。
【0035】
したがって、単に輝度調整モードが切り替わりデジタル画像の全ブロックにおいて輝度変化した場合において、撮像方向が変化していないのにもかかわらず、揺れ判断部が撮像部の撮像方向を変化したと誤判断することを防止できる。
【0036】
また、請求項9に記載のデジタルカメラは、第一の代表輝度値は、第一のブロックを構成する各画素の輝度値の平均値である。
【0037】
したがって、第一のブロックの平均的な輝度値を用いた輝度変化検出処理ができる。つまり、より高精度な撮像方向変化検出が可能となる。
【0038】
また、請求項10に記載のデジタルカメラは、第一の代表輝度値は、第一のブロックの中心に位置する画素の輝度値である。
【0039】
したがって、第一のブロックの代表輝度値を簡単に求めることができる。つまり、より簡易な回路構成およびより高速に輝度変化検出処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0041】
<実施の形態1>
図1は、本発明に係るデジタルカメラ100の構成を示す図である。
【0042】
図1に示すように、デジタルカメラ100は、撮像部10、輝度情報処理部20、揺れ判断部30、および角速度センサー部40を有している。
【0043】
デジタルカメラ100は、監視目的で使用され、たとえば天井や壁等に設置される。そして、当該設置状態において、撮像部10の方向は監視領域に向けられ、監視領域を撮像する。本発明に係るデジタルカメラ100は、撮像部10による監視領域に存する被写体の撮像、および当該撮像部10の撮像方向の変更の検出が可能である。
【0044】
なお、デジタルカメラ100は、他の外部装置と通信ネットワークを介して接続されている。そして、撮像部10で撮像されたデジタル画像および撮像方向変更通知などは、当該通信ネットワークを介して、デジタルカメラ100から他の外部装置(図示せず)へと送信される。外部装置では、受信したデジタル画像を記憶し、また受信した撮像方向変更通知を受けて、警告等の表示等がなされる。
【0045】
撮像部10は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などであり、監視領域に存する被写体(移動物、不審者等)を撮像する。撮像部10で撮像されたデジタル画像は、専用LSI(Large Scale Integration)である輝度情報処理部20へと伝送される。
【0046】
輝度情報処理部20は、デジタル画像から輝度情報を抜き出すことができる。つまり、輝度情報処理部20において、デジタル画像から輝度情報が取得される。当該デジタル画像の輝度情報は、CPU(Central Processing Unit)である揺れ判断部30へと伝送される。
【0047】
角速度センサー部40は、第一の方向および当該第一の方向に垂直な第二の方向における、デジタルカメラ100自身の揺れを検知する。
【0048】
揺れ判断部30は、デジタルカメラ100(または撮像部10)の撮像方向が変化したことを判断する。図1の構成では、輝度情報処理部20と揺れ判断部30とは、別ブロック(別個独立の回路)で構成されている。しかし、輝度情報処理部20と揺れ判断部30とは、同一の回路構成であっても良い。
【0049】
また、本発明では、デジタル画像の全体を、複数のブロックに分割するブロック分割部としての機能を、揺れ判断部30が備えている。本明細書では、図2に示すように、デジタル画像D1全体を、8×8の略長方形のブロックBで分割される場合に言及する。しかし、当該ブロック分割部としての機能を、輝度情報処理部20が備えていても良い。また、輝度情報処理部20と揺れ判断部30とは別ブロック(別個独立の回路)で、当該ブロック分割部を構成しても良い。
【0050】
角速度センサー部40がデジタルカメラ100の揺れを検出したとする。このとき、揺れ判断部30は、輝度情報処理部20で取得されたデジタル画像D1を構成する全ブロックBを対象に、輝度情報の変化を検出する輝度変化検出処理を実施する。そして、揺れ判断部30は、当該輝度変化検出処理の結果が予め設定されている所定の条件を満たすときに、撮像部10の撮像方向が変化したと判断する。具体的な撮像方向変化の判断動作は、後述する。
【0051】
次に、本実施の形態に係るデジタルカメラ100の動作について説明する。
【0052】
角速度センサー部40によって検知されたデジタルカメラ100の揺れの絶対値量の、第一の所定の期間における合計値である揺れ合計値が、予め設定されている第一の揺れ閾値TH1以上であるとする。このとき、揺れ判断部30は、輝度変化検出処理を実施する。そして、揺れ判断部30は、輝度変化検出処理の結果が予め設定されている所定の条件を満たすときに、撮像部10の撮像方向が第一の態様で変化した(小さな揺れで少しずつ変化した)と判断する。
【0053】
図3は、デジタルカメラ100がほとんど揺れていない場合における、角速度センサー部40の検出結果を示す図である。
【0054】
デジタルカメラ100が小さく揺れている場合には、角速度センサー部40は、図4に示す検出結果を示す。揺れ判断部30は、図4に示す角速度センサー部40からの信号を受けて、検出した揺れの絶対値量の第一の所定の期間(たとえば、n秒間)における加算結果である揺れ合計値を求める。つまり、揺れ判断部30は、揺れ合計値=Σ|ωi|、を計算する。ここで、|ωi|は、時刻iにおける角速度の大きさである。Σは、n秒間の間にサンプリングされた各wi毎の和を取ることを示す。当該求めた揺れ合計値と時間との関係を図5に示す。
【0055】
図5に示す揺れ合計値において、デジタルカメラ100(揺れ判断部30)において予め設定されている第一の揺れ閾値TH1を超えたとき、揺れ判断部30は、弱振動があることを判断(検出)する(図5)。当該弱振動を検出したとき、揺れ判断部30は、後述する輝度変化検出処理を実施する。
【0056】
まず、撮像部10で撮像されたデジタル画像(160×120画素)から、輝度情報処理部20は、輝度情報を取得する。次に、揺れ判断部30は、図2に示すように、デジタル画像D1の全体を複数(8×8)のブロックBで分割する。そして、揺れ判断部30は、各ブロックB毎に、輝度値(第一の代表輝度値と把握できる)を求める(図6参照)。ここで、各ブロックBは、複数の画素により構成されている。当該各ブロックB毎に求められる輝度値(第一の代表輝度値)は、当該ブロックBを構成する各画素の輝度値の平均値であっても、また当該ブロックBの中心に位置する画素の輝度値であっても良い。図6の例では、輝度値(第一の代表輝度値)は、ブロックBを構成する各画素の輝度値の平均値である。
【0057】
図6に示す全ブロックBに対して上記輝度値(第一の代表輝度値)を求めた後、次に、揺れ判断部30は、撮像部10で撮像された、複数のデジタル画像から、参照デジタル画像を作成する。
【0058】
たとえば、揺れ判断部30は、数ms間隔で、たとえば10秒間のデジタル画像D1、D2,D3・・・Diを用意する(図7)。したがって、各デジタル画像間の間隔は、数ms程度である。つまり、第二のデジタル画像D2は、第一のデジタル画像D1を撮像してから数ms後に撮像されたデジタル画像である。また、第iのデジタル画像Diは、第i−1のデジタル画像Di−1を撮像してから数ms後に撮像されたデジタル画像である。
【0059】
ここで、デジタルカメラ100内のバッファ(図示せず)には、過去に撮像された多数のデジタル画像が格納されている。当該多数のデジタル画像の内には、全体の輝度値が最大であるデジタル画像および全体の輝度値が最小であるデジタル画像存在する。上記選択されたデジタル画像D1〜Diの中に、当該全体の輝度値が最大であるデジタル画像および全体の輝度値が最小であるデジタル画像が存する場合には、これらのデジタル画像を除去して、後述する参照デジタル画像の作成を行う。
【0060】
なお、各デジタル画像D2〜Diについては、揺れ判断部30は、デジタル画像D1と同様に、各ブロック毎に、第一の代表輝度値を求めている。
【0061】
次に、揺れ判断部30は、たとえば、各デジタル画像D1〜Diにおいて、右上端に存するブロックBcに着目する。そして、各デジタル画像D1〜Diの当該ブロックBcの上記輝度値(第一の代表輝度値)を加算する。当該加算後の輝度値をYaとする。
【0062】
たとえば、デジタル画像D1〜Diの枚数がN枚であるとする。この場合、次に揺れ判断部30は、Ya÷N、を計算する(図8)。当該除算後の値は、各デジタル画像D1〜Diにおける、右上端に存するブロックBcの輝度値の平均値である(第二の代表輝度値と把握できる)。
【0063】
上記では、各デジタル画像D1〜Diにおける右上端に存するブロックBcに対して、上記加算処理および除算処理を実施したが、当該加算処理および除算処理は、各デジタル画像D1〜Diにおける全てのブロックBに対して実施する。ここで、当該加算処理および除算処理は、各デジタル画像D1〜Diの同じブロック位置に存するブロックB同士間において実施される。
【0064】
全てのブロックBに対して上記加算処理および除算処理を実施した後に得られるデジタル画像が、参照デジタル画像RDである(図8)。上記から分かるように、当該参照デジタル画像RDは、撮像部10で撮像された複数のデジタル画像D1〜Diの平均デジタル画像である。したがって、当該参照デジタル画像RDを構成する各ブロックBRにおいて、当該ブロックBRの輝度値(第二の代表輝度値)は、当該ブロックBRと同じブロック位置に存する各デジタル画像D1〜Diのブロックの輝度値の平均値である。
【0065】
次に、揺れ判断部30は、参照デジタル画RDを構成する全ブロックBRにおいて取得される参照輝度情報と、一の最新のデジタル画像を構成する全ブロックBにおいて取得される対象輝度情報とを比較する。そして、当該比較結果が所定の条件を満たすときに、揺れ判断部30は、撮像部10の撮像方向が第一の態様で変化(小さな揺れで少しずつ変化)したと判断する。
【0066】
具体的に、揺れ判断部30は、一の最新のデジタル画像DNを構成するブロック(第一のブロックと把握できる)BNが有する上記第一の代表輝度値(対象輝度情報)と、参照デジタル画像RDを構成するブロック(第二のブロックと把握できる)BRが有する上記第二の代表輝度値(参照輝度情報)との差分を、求める。
【0067】
ここで、一の最新のデジタル画像DNと参照デジタル画像RDとにおいて、当該差分の処理は、同じブロック位置に存するブロック間において実施される。また、当該差分の処理は、一の最新のデジタル画像DNを構成する全ブロックBN毎に求められる(図9)。全ブロックBNに対して上記差分の処理を行った結果得られるデジタル画像を、輝度差分デジタル画像DDと称する(図9)。
【0068】
図9に示す輝度差分デジタル画像DDを構成する各ブロックBdが有する輝度値は、対応する位置に存する、上記第一のブロックBNの第一の代表輝度値と、上記第二のブロックBRの第二の代表輝度値との差分値である。
【0069】
次に、揺れ判断部30は、輝度差分デジタル画像DDを構成する全ブロックBdから、各ブロックBdが有する輝度値(上記差分値=da)が所定値(=THd)以上である(da≧THd)、ブロックBdを検出する。ここで、当該所定値THdは、揺れ判断部30内に予め設定されている。当該検出の結果、揺れ判断部30は、輝度差分デジタル画像DDを構成する各ブロックBdの内、da≧THdの関係を満たすブロックBd数を求める。ここで、当該da≧THdの関係を満たすブロックBdの数が、8×8個中、ns個であったとする。
【0070】
次に、揺れ判断部30は、上記で求めたブロックBdの数ns個と、所定数THnとを比較する。ここで、当該所定数THnは、揺れ判断部30内に予め設定されている。当該比較の結果、上記で求めたブロックBdの数ns個が所定数THn以上であるとき(ns≧THn)、揺れ判断部30は、撮像部10の撮像方向が上記第一の態様で変化(小さな揺れで少しずつ変化)したと判断する。
【0071】
角速度センサー部40で小さな揺れを検知したとき、揺れ判断部30は、上記のようにデジタル画像全体の輝度値の変化に基づいて、撮像部10の撮像方向が上記第一の態様で変化したか否かを判断している。
【0072】
たとえば、角速度センサー部40で小さな揺れを検知中において、図10に示すように、撮像部10で撮像されるデジタル画像が、デジタル画像Doからデジタル画像Dpに変わったとする。当該デジタル画像Do,Dpの変化があると、撮像部10で撮像される画像(背景)が変化するので、デジタル画像全体における輝度変化が生じているブロックの数が多数となる。上記から分かるように、このとき、揺れ判断部30は、撮像部10の撮像方向が変化したと判断する。
【0073】
ところが、角速度センサー部40で小さな揺れを検知中において、撮像部10で撮像されるデジタル画像の景色が変化しないとする。このとき、当然前後のデジタル画像において、輝度変化が生じているブロックは無いか少数である。これは、たとえば、風や大型車両等の走行により、撮像部10の撮像方向は維持されている状態で、デジタルカメラ100が単に小刻みに振動したことを意味する。このとき、揺れ判断部30は、撮像部10の撮像方向が変化していないと判断する。
【0074】
なお、揺れ判断部30は、撮像部10の撮像方向が当該第一の態様で変化したことを、ネットワークを通じて外部装置(図示せず)へと通知する。
【0075】
デジタルカメラ100が、輝度調整モードを切り替えるモード切替処理部(図示せず)を備えているとする。ここで、モード切替処理部は、撮像領域の照度が暗く変化したとき、または明るく変化したときに、撮像されるデジタル画像全体の輝度調整のために、ゲイン調整等により、撮像モードを自動的に変更することができる。
【0076】
上記揺れ判断部30による撮像部10の撮像方向有無判断処理の間(具体的に、撮像方向の判断時から、予め定められた所定の期間だけ前までの間)に、当該モード切替処理部が働き、輝度調整モードの切替が自動的に実施されたとする。この場合には、撮像方向が変化しなくても、デジタル画像全体において輝度値が変化する。したがって、当該場合における、揺れ判断部30による撮像方向変化有りの判断を防止するために、揺れ判断部30は、撮像方向の判断時から上記所定の期間だけ前までの間に輝度調整モードの切替が実施されたときには、撮像部10の撮像方向が上記第一の態様で変化したと判断しない。
【0077】
以上のように、本実施の形態に係るデジタルカメラ100では、角速度センサー部40がデジタルカメラ100の揺れを検出したとき、揺れ判断部30は、デジタル画像を構成する全ブロックを対象に、輝度情報処理部20で取得された輝度情報の変化を検出する輝度変化検出処理を実施する。そして、揺れ判断部30は、輝度変化検出処理の結果が予め設定されている所定の条件を満たすときに、撮像部10の撮像方向が変化したと判断する。
【0078】
このように、角速度センサー部40がデジタルカメラ100の揺れを検出したときに、揺れ判断部30は、輝度変化検出処理を実施し、撮像部10の撮像方向が変化の有無を判断している。これにより、風等によりデジタルカメラ100が振動しているのか、撮像部10の撮像方向がたとえば徐々に変更されているのかを判断することができる。
【0079】
また、揺れ判断部30は、デジタル画像DNを構成する全ブロックBNを対象に、輝度情報処理部20で取得された輝度情報の変化を検出する輝度変化検出処理を実施している。したがって、デジタルカメラ100の設置位置や撮像方向に依存せず、正確に撮像方向の変更の有無を判断できる。
【0080】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ100は、揺れ合計値=Σ|ωi|、を計算する。そして、当該揺れ合計値が第一の揺れ閾値TH1以上であるときに、揺れ判断部30は、輝度変化検出処理を実施する。そして、揺れ判断部30は、輝度変化検出処理の結果が予め設定されている所定の条件を満たすときに、撮像部10の撮像方向が第一の態様で変化したと判断する。
【0081】
したがって、角速度センサー部40が微振動を検出する場合において、当該微振動が撮像部10の撮像方向の変更によるものなのか、大型車両の通過の微振動等により単にデジタルカメラ100が撮像方向を維持して振動しているだけなのかを、判断できる。
【0082】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ100では、揺れ判断部30は、参照デジタル画像RDを構成する全ブロックBRにおいて取得される参照輝度情報と、一のデジタル画像DNを構成する全ブロックBNにおいて取得される対象輝度情報とを比較し、比較結果が所定の条件を満たすときに、撮像部10の撮像方向が第一の態様で変化したと判断する。
【0083】
したがって、一のデジタル画像DNを構成する全ブロックBNにおける輝度情報の変化を、簡単な相対評価により、検出できる。
【0084】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ100では、揺れ判断部30は、一のデジタル画像DNを構成する第一のブロックBNが有する第一の代表輝度値と、参照デジタル画像RDを構成する第二のブロックBRが有する第二の代表輝度値との差分を、全ブロックBN毎に求めている。そして、輝度差分デジタル画像DDを構成する全ブロックBdから、上記差分値da≧所定値THd、を満たすブロックBdの数nsを検出する。そして、ブロックBdの数ns個が所定数THn以上であるとき、揺れ判断部30は、撮像部10の撮像方向が上記第一の態様で変化(小さな揺れで少しずつ変化)したと判断する。
【0085】
したがって、デジタルカメラ100の設置位置や撮像方向に依存せず、正確に撮像方向の変更の有無を判断できる。また、デジタルカメラ100の揺れが撮像部10の撮像方向の変更によるものなのか、大型車両の通過の微振動等により単にデジタルカメラ100が撮像方向を維持して振動しているだけなのかを、正確に判断できる。
【0086】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ100では、参照デジタル画像RDは、撮像部10で撮像された、複数のデジタル画像D1〜Diの平均デジタル画像である。
【0087】
したがって、撮像部10の前における突発的な変動を無視した画像を、参照デジタル画像RDとすることができる。よって、より正確に、輝度変化検出処理を実施することが可能となる。
【0088】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ100では、撮像方向の有無判断時より、第二の所定の期間だけ前の間に、輝度調整モードの切替が自動的に行われた場合には、揺れ判断部30は、撮像部10の撮像方向が第一の態様で変化したと判断しない。
【0089】
したがって、単に輝度調整モードが切り替わりデジタル画像全体の輝度値が変化した場合において、撮像方向が変化していないのにもかかわらず、揺れ判断部30が撮像部10の撮像方向を変化したと誤判断することを防止できる。
【0090】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ100では、第一の代表輝度値は、第一のブロックBNを構成する各画素の輝度値の平均値である。
【0091】
したがって、第一のブロックBNの平均的な輝度値を用いた輝度変化検出処理ができる。つまり、より高精度な撮像方向変化検出が可能となる。
【0092】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ100では、第一の代表輝度値は、第一のブロックBNの中心に位置する画素の輝度値である。
【0093】
したがって、第一のブロックBNの代表輝度値を簡単に求めることができる。つまり、より簡易な回路構成およびより高速に輝度変化検出処理を行うことができる。
【0094】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ100では、輝度情報処理部20と揺れ判断部30とは、同一回路である。したがって、デジタルカメラ100全体の縮小化を図ることができる。
【0095】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ100では、輝度情報処理部20と揺れ判断部30とは、別回路構成である。したがって、輝度変化検出処理および撮像方向変化検出処理の高速化を図ることができる。
【0096】
<実施の形態2>
本実施の形態に係るデジタルカメラの構成は、実施の形態1に係るデジタルカメラ100の構成と同じである。しかしながら、実施の形態1と本実施の形態とでは、揺れ判断部30における、輝度変化検出処理の動作、および撮像部10の撮像方向が変化したと判断する手法が異なる。
【0097】
本実施の形態に係るデジタルカメラ100では、揺れ判断部30は、第一のエッジ比率と第二のエッジ比率との差分を求める。ここで、第一のエッジ比率とは、一のデジタル画像を構成する第一のブロックにおける、エッジ画素の比率である。また、第二のエッジ比率とは、参照デジタル画像を構成する第二のブロックにおける、エッジ画素の比率である。なお、上記第一のエッジ比率と第二のエッジ比率との差分は、第一のブロックと同じブロック位置に存する第二のブロックとの間で実施される。また、第一のエッジ比率と第二のエッジ比率との差分は、上記一のデジタル画像を構成する全ブロック毎に求められる。
【0098】
次に、揺れ判断部30は、上記差分が予め設定されている所定値以上であると判断される、上記一のデジタル画像を構成するブロックの数を求める。その後、揺れ判断部30は、当該求めた前記ブロックの数が、予め設定されている所定数以上であるときに、撮像部10の撮像方向が第一の態様で変化したと判断する。
【0099】
本実施の形態に係るデジタルカメラ100の具体的な動作を、一例に基づいて説明する。
【0100】
実施の形態1と同様に、角速度センサー部40によって検知されたデジタルカメラ100の揺れの絶対値量の、第一の所定の期間における合計値である揺れ合計値=Σ|ωi|が、予め設定されている第一の揺れ閾値TH1以上であるとする。このとき、揺れ判断部30は、輝度変化検出処理を実施する。そして、揺れ判断部30は、輝度変化検出処理の結果が予め設定されている所定の条件を満たすときに、撮像部10の撮像方向が第一の態様で変化した(小さな揺れで少しずつ変化した)と判断する。
【0101】
まず、撮像部10で撮像されたデジタル画像(160×120画素)から、輝度情報処理部20は、輝度情報を取得する。次に、揺れ判断部30は、デジタル画像D1の全体を複数(たとえば、8×8)のブロックBで分割する(図11)。ここで、各ブロックBは、複数の画素により構成されている。そして、揺れ判断部30は、各ブロックB毎に、エッジ画素数を求める。ここで、エッジ画素とは、隣接する画素間における輝度値の差が所定量以上の画素のことであり、デジタル画像D1における被写体の輪郭部等がエッジ画素となる。
【0102】
本実施の形態では、揺れ判断部30は、4つのケースに分けて、各ケース毎に、デジタル画像D1のエッジ画素数を求める(図12)。ここで、第一のケースとは、たとえば隣接する画素間における輝度値の差が100以上のケースである。また、第二のケースとは、たとえば隣接する画素間における輝度値の差が70以上のケースである。また、第三のケースとは、たとえば隣接する画素間における輝度値の差が50以上のケースである。また、第四のケースとは、たとえば隣接する画素間における輝度値の差が30以上のケースである。
【0103】
ここで、上記第一のケースから第四のケースにおける輝度値の差(100以上、70以上、50以上、30以上)の値は、一例であり、適宜選択される。
【0104】
デジタル画像D1の右上端のブロックBにおいて、第一のケースでのエッジ画素数が「5」であったとする(図12の上段)。つまり、当該右上端のブロックBを構成する画素の内、隣接する画素間における輝度値の差が100以上である画素が数が、5であったとする。
【0105】
また、デジタル画像D1の右上端のブロックBにおいて、第二のケースでのエッジ画素数が「20」であったとする(図12の二段目)。つまり、当該右上端のブロックBを構成する画素の内、隣接する画素間における輝度値の差が70以上である画素が数が、20であったとする。
【0106】
また、デジタル画像D1の右上端のブロックBにおいて、第三のケースでのエッジ画素数が「30」であったとする(図12の三段目)。つまり、当該右上端のブロックBを構成する画素の内、隣接する画素間における輝度値の差が50以上である画素が数が、30であったとする。
【0107】
さらに、デジタル画像D1の右上端のブロックBにおいて、第四のケースでのエッジ画素数が「45」であったとする(図12の下段)。つまり、当該右上端のブロックBを構成する画素の内、隣接する画素間における輝度値の差が30以上である画素が数が、45であったとする。
【0108】
次に、揺れ判断部30は、上記各ケース毎に、デジタル画像D1の右上端のブロックBにおけるエッジ比率(第一のエッジ比率と把握できる)を求める(図12)。
【0109】
各ケースのエッジ画素の総数が、5+20+30+45=100である。したがって、第一のケースでの、デジタル画像D1を構成する右上端のブロックBにおけるエッジ比率は、5/100で5%である(図12の上段)。また、第二のケースでの、デジタル画像D1を構成する右上端のブロックBにおけるエッジ比率は、20/100で20%である(図12の二段目)。また、第三のケースでの、デジタル画像D1を構成する右上端のブロックBにおけるエッジ比率は、30/100で30%である(図12の三段目)。さらに、第四のケースでの、デジタル画像D1を構成する右上端のブロックBにおけるエッジ比率は、45/100で45%である(図12の下段)。
【0110】
デジタル画像D1を構成する全ブロックBに対して、上記エッジ画素数およびエッジ比率を求めた後、次に、揺れ判断部30は、撮像部10で撮像された、複数のデジタル画像から、参照デジタル画像を作成する。
【0111】
たとえば、揺れ判断部30は、数ms間隔で、たとえば10秒間のデジタル画像D1、D2,D3・・・Diを用意する(図13)。したがって、各デジタル画像間の間隔は、数ms程度である。つまり、第二のデジタル画像D2は、第一のデジタル画像D1を撮像してから数ms後に撮像されたデジタル画像である。また、第iのデジタル画像Diは、第i−1のデジタル画像Di−1を撮像してから数ms後に撮像されたデジタル画像である。
【0112】
なお、各デジタル画像D2〜Diについては、揺れ判断部30は、デジタル画像D1と同様に、各ブロック毎に、エッジ画素数および第一のエッジ比率を求めている。
【0113】
次に、揺れ判断部30は、第一のケースから第四のケースまでの各々のケースについて、同じブロック位置に存するブロック間において、エッジ画素数の加算処理を行う。
【0114】
揺れ判断部30は、第一のケースに着目して、各デジタル画像D1〜Diにおいて、同じブロック位置に存するブロック間のエッジ画素数を加算する。当該エッジ画素数の加算処理は、デジタル画像D1〜Diを構成する全てのブロックB毎に実施される。さらに、揺れ判断部30は、同様の加算処理を第二のケース、第三のケース、および第四のケースにおいても実施する(図13)。
【0115】
次に、揺れ判断部30は、第一のケースから第四のケースまでの各々のケースについて、同じブロック位置に存するブロック間において求めた上記加算結果から、平均のエッジ画素数を求める。
【0116】
揺れ判断部30は、第一のケースに着目して、各デジタル画像D1〜Diにおいて、同じブロック位置に存するブロック間における、上記エッジ画素数の平均値を求める。当該エッジ画素数の平均値算出は、デジタル画像を構成する全てのブロック毎に実施される。さらに、揺れ判断部30は、同様のエッジ画素数の平均値算出を第二のケース、第三のケース、および第四のケースにおいても実施する(図14)。
【0117】
たとえば、第一のケースの各デジタル画像D1〜Diにおいて、右上端に存するブロックBに着目する。そして、各デジタル画像D1〜Diの当該右上端ブロックB間において、上記エッジ画素数を加算する。当該加算後のエッジ画素数の総和Pcとする(図13)。
【0118】
たとえば、デジタル画像D1〜Diの枚数がN枚であるとする。この場合、次に揺れ判断部30は、Pc÷N、を計算する(図14)。当該除算後の値は、第一のケースの各デジタル画像D1〜Diにおける、右上端に存するブロックBのエッジ画素数の平均値である。
【0119】
揺れ判断部30は、上記例示した加算処理および除算処理を、第一のケースの各デジタル画像D1〜Diにおける全てのブロックBに対して実施する。ここで、当該加算処理および除算処理は、各デジタル画像D1〜Diの同じブロック位置に存するブロックB同士間において実施される。
【0120】
第一のケースにおいて上記処理が終了した後、揺れ判断部30は、上記加算処理および除算処理を、第二乃至四のケースの各デジタル画像D1〜Diにおける全てのブロックBに対して実施する。
【0121】
第一のケースに対して上記加算処理および除算処理を実施した後に得られるデジタル画像が、参照デジタル画像RD1である(図14)。また、第二のケースに対して上記加算処理および除算処理を実施した後に得られるデジタル画像が、参照デジタル画像RD2である(図14)。また、第三のケースに対して上記加算処理および除算処理を実施した後に得られるデジタル画像が、参照デジタル画像RD3である(図14)。さらに、第四のケースに対して上記加算処理および除算処理を実施した後に得られるデジタル画像が、参照デジタル画像RD4である(図14)。
【0122】
上記から分かるように、当該参照デジタル画像RD1〜RD4は、各ケースにおける、撮像部10で撮像された複数のデジタル画像D1〜Diの平均デジタル画像である。したがって、たとえば、参照デジタル画像RD2を構成する各ブロックBR2において、当該ブロックBR2のエッジ画素数は、当該ブロックBR2と同じブロック位置に存する各デジタル画像D1〜Diのブロックのエッジ画素数の平均値である。
【0123】
次に、揺れ判断部30は、参照デジタル画像RD1〜RD4毎に、全ブロックBに対して、エッジ比率(第二のエッジ比率と把握できる)を求める(図15)。
【0124】
ここで、参照デジタル画像RD1の右上端のブロックBR1において、エッジ画素数が「6」であったとする(図15の上段)。また、参照デジタル画像RD2の右上端のブロックBR2において、エッジ画素数が「23」であったとする(図15の二段目)。また、参照デジタル画像RD3の右上端のブロックBR3において、エッジ画素数が「27」であったとする(図15の三段目)。さらに、参照デジタル画像RD1の右上端のブロックBR4において、エッジ画素数が「44」であったとする(図15の下段)。
【0125】
この場合には、同じ右上端のブロックBR1〜BR4に着目すると、エッジ画素の総数が、6+23+37+44=100である。したがって、揺れ判断部30は、上記参照デジタル画像毎に、右上端のブロックBR1〜BR4におけるエッジ比率(第二のエッジ比率と把握できる)を次のように求める(図15)。
【0126】
参照デジタル画像RD1では、右上端のブロックBR1におけるエッジ比率は、6/100で6%である(図15の上段)。また、参照デジタル画像RD2では、右上端のブロックBR2におけるエッジ比率は、23/100で23%である(図15の二段目)。また、参照デジタル画像RD3では、右上端のブロックBR3におけるエッジ比率は、27/100で27%である(図15の三段目)。さらに、参照デジタル画像RD4では、右上端のブロックBR4におけるエッジ比率は、44/100で44%である(図15の下段)。
【0127】
揺れ判断部30は、上記第二のエッジ比率を求める処理を、各参照デジタル画像RD1〜RD4を構成する全ブロックBR1〜BR4に対して実施する。
【0128】
次に、揺れ判断部30は、参照デジタル画RD1〜RD4を構成する全ブロックBR1〜BR4において取得される参照輝度情報と、一の最新のデジタル画像を構成する全ブロックBにおいて取得される対象輝度情報とを比較する。そして、当該比較結果が所定の条件を満たすときに、揺れ判断部30は、撮像部10の撮像方向が第一の態様で変化(小さな揺れで少しづつ変化)したと判断する。具体的には、次の通りである。
【0129】
まず、揺れ判断部30は、図12を用いて説明した内容で、一の最新のデジタル画像DNの全ブロック(第一のブロックと把握できる)に対して、第一のケースにおけるエッジ画素数およびエッジ比率(第一のエッジ比率であり、対象輝度情報と把握できる)を求める。
【0130】
同様に、揺れ判断部30は、一の最新のデジタル画像DNの全ブロック(第一のブロックと把握できる)に対して、第二のケースにおけるエッジ画素数およびエッジ比率(第一のエッジ比率であり、対象輝度情報と把握できる)を求める。
【0131】
同様に、揺れ判断部30は、一の最新のデジタル画像DN全ブロック(第一のブロックと把握できる)に対して、第三のケースにおけるエッジ画素数およびエッジ比率(第一のエッジ比率であり、対象輝度情報と把握できる)を求める。
【0132】
同様に、揺れ判断部30は、一の最新のデジタル画像DNの全ブロック(第一のブロックと把握できる)に対して、第四のケースにおけるエッジ画素数およびエッジ比率(第一のエッジ比率であり、対象輝度情報と把握できる)を求める。
【0133】
次に、揺れ判断部30は、上記第一のエッジ比率(対象輝度情報)と、参照デジタル画像RD1〜RD4を構成するブロック(第二のブロックと把握できる)BR1〜BR4が有する上記第二のエッジ比率(参照輝度情報)との差分を、求める(図16)。
【0134】
なお、図16のデジタル画像DNが有する各エッジ画素数やエッジ比率は、図12に示すデジタル画像D1のものと同一である。しかし、撮像される事象がことなるので、これらの値は、デジタル画像毎に異なり得る。
【0135】
ここで、図16に示す差分処理は、第一のケースのデジタル画像DNと、第一のケースにおける複数のデジタル画像D1〜Diにより作成された参照デジタル画像RD1との間で実施される。同様に、当該差分処理は、第二のケースのデジタル画像DNと、第二のケースにおける複数のデジタル画像D1〜Diにより作成された参照デジタル画像RD2との間で実施される。同様に、当該差分処理は、第三のケースのデジタル画像DNと、第三のケースにおける複数のデジタル画像D1〜Diにより作成された参照デジタル画像RD3との間で実施される。同様に、当該差分処理は、第四のケースのデジタル画像DNと、第四のケースにおける複数のデジタル画像D1〜Diにより作成された参照デジタル画像RD4との間で実施される。
【0136】
また、各ケースにおけるデジタル画像DNと参照デジタル画像RD1〜RD4とにおいて、当該差分処理は、同じブロック位置に存するブロック間において実施される。また、当該差分処理は、一の最新のデジタル画像DNを構成する全ブロック毎に求められる(図16)。全ブロックに対して上記差分処理を行った結果得られるデジタル画像を、エッジ比率差分デジタル画像DD1〜DD4と称する(図17)。
【0137】
ここで、エッジ比率差分デジタル画像DD1は、第一のケースにおけるデジタル画像DNと参照デジタル画像RD1との差分処理により得られる。エッジ比率差分デジタル画像DD2は、第二のケースにおけるデジタル画像DNと参照デジタル画像RD2との差分処理により得られる。エッジ比率差分デジタル画像DD3は、第三のケースにおけるデジタル画像DNと参照デジタル画像RD3との差分処理により得られる。エッジ比率差分デジタル画像DD4は、第四のケースにおけるデジタル画像DNと参照デジタル画像RD4との差分処理により得られる。
【0138】
図17に示すエッジ比率差分デジタル画像DD1〜DD4を構成する各ブロックBd1〜Bd4が有するエッジ比率に関する値は、対応する位置に存する、上記第一のブロックBN1〜BN4の第一のエッジ比率と、上記第二のブロックBR1〜BR4の第二のエッジ比率との差分値である。
【0139】
次に、揺れ判断部30は、各エッジ比率差分デジタル画像DD1〜DD4毎に、エッジ比率差分デジタル画像DD1〜DD4を構成する全ブロックBd1〜Bd4から、各ブロックBd1〜Bd4が有するエッジ比率の差分値dcが所定値THd以上である(dc≧THd)、ブロックBd1〜Bd4を検出する。
【0140】
具体的に、揺れ判断部30は、エッジ比率差分デジタル画像DD1を構成する全ブロックBd1において、差分値dc≧所定値THdとなる、ブロックBd1の数を求める。また、揺れ判断部30は、エッジ比率差分デジタル画像DD2を構成する全ブロックBd2において、差分値dc≧所定値THdとなる、ブロックBd2の数を求める。また、揺れ判断部30は、エッジ比率差分デジタル画像DD3を構成する全ブロックBd3において、差分値dc≧所定値THdとなる、ブロックBd3の数を求める。また、揺れ判断部30は、エッジ比率差分デジタル画像DD4を構成する全ブロックBd4において、差分値dc≧所定値THdとなる、ブロックBd4の数を求める。
【0141】
ここで、当該所定値THdは、揺れ判断部30内に予め設定されている。また、上記揺れ判断部30の処理の結果、エッジ比率差分デジタル画像DD1において、dc≧THdの関係を満たすブロックBd1の数が、8×8個中、ns1個であったとする。また、エッジ比率差分デジタル画像DD2において、dc≧THdの関係を満たすブロックBd2の数が、8×8個中、ns2個であったとする。また、エッジ比率差分デジタル画像DD3において、dc≧THdの関係を満たすブロックBd3の数が、8×8個中、ns3個であったとする。また、エッジ比率差分デジタル画像DD4において、dc≧THdの関係を満たすブロックBd4の数が、8×8個中、ns4個であったとする。
【0142】
次に、揺れ判断部30は、上記で求めたブロックBd1〜Bd4の数ns1〜ns4個と、所定数THnとを比較する。ここで、当該所定数THnは、揺れ判断部30内に予め設定されている。
【0143】
当該比較の結果、揺れ判断部30は、撮像部10の撮像方向が上記第一の態様で変化(小さな揺れで少しずつ変化)したと判断する。
【0144】
ここで、ns1≧THn、ns2≧THn、ns3≧THn、ns3≧THnの全ての関係を満たすときに、揺れ判断部30は、撮像方向が変化したと判断しても良い。また、前記不等号関係の何れかの関係が成立する場合に、揺れ判断部30は、撮像方向が変化したと判断しても良い。たとえば、少なくともns1≧THnの関係と、その他のns2≧THn、ns3≧THnおよびns3≧THnの内の何れかの1の関係が成立する場合に、揺れ判断部30は、撮像方向が変化したと判断しても良い。
【0145】
角速度センサー部40で小さな揺れを検知したとき、揺れ判断部30は、上記のようにデジタル画像全体におけるエッジ輝度比率の変化に基づいて、撮像部10の撮像方向が上記第一の態様で変化したか否かを判断している。
【0146】
たとえば、角速度センサー部40で小さな揺れを検知中において、撮像部10の撮像方向が変化したとする。当該撮像方向の変化があると、撮像部10で撮像されるデジタル画像における被写体の境界(輪郭等)位置が変化するので、デジタル画像全体におけるエッジ比率変化が生じているブロックの数が多数となる。このとき、揺れ判断部30は、撮像部10の撮像方向が変化したと判断する。
【0147】
ところが、角速度センサー部40で小さな揺れを検知中において、撮像部10で撮像方向が変化しないとする。このとき、当然揺れ検知前後のデジタル画像において、エッジ比率変化が生じているブロックは無いか少数である。これは、たとえば、風や大型車両等の走行により、撮像部10の撮像方向は維持されている状態で、デジタルカメラ100が単に小刻みに振動したことを意味する。このとき、揺れ判断部30は、撮像部10の撮像方向が変化していないと判断する。
【0148】
なお、揺れ判断部30は、撮像部10の撮像方向が当該第一の態様で変化したことを、ネットワークを通じて外部装置(図示せず)へと通知する。
【0149】
デジタルカメラ100が、実施の形態1で説明したように、輝度調整モードを切り替えるモード切替処理部(図示せず)を備えているとする。上記揺れ判断部30による撮像部10の撮像方向有無判断処理の間(具体的に、撮像方向の判断時から、予め定められた所定の期間だけ前までの間)に、当該モード切替処理部が働き、輝度調整モードの切替が実施されたとする。この場合には、撮像方向が変化しなくても、デジタル画像全体においてエッジ比率に変化が生じる可能性がある。
【0150】
したがって、当該場合における、揺れ判断部30による撮像方向変化ありの判断を防止するために、揺れ判断部30は、撮像方向の判断時から上記所定の期間だけ前までの間に輝度調整モードの切替が自動的に実施されたときには、撮像部10の撮像方向が上記第一の態様で変化したと判断しない。
【0151】
なお、上記では、第一のケースから第四のケースについて本実施の形態を適用する場合に言及した。しかし、当該ケース分けは、これに限る必要は無く、デジタルカメラ100の使用環境に応じて、適宜変更される。また、上記のように複数のケースを設けるのでなく、単一のケース(たとえば上記第一のケース:上記輝度値の差(100以上)の値は、一例であり、適宜選択される)のみ設ける場合であっても良い。この場合には、ns1≧THnの関係を満たすときに、揺れ判断部30は、撮像方向が変化したと判断する。
【0152】
以上のように、本実施の形態に係るデジタルカメラ100では、上記動作を行うので、実施の形態1と同様に、風等によりデジタルカメラ100が振動しているのか、撮像部10の撮像方向がたとえば徐々に変更されているのかを判断することができる。
【0153】
また、揺れ判断部30は、デジタル画像DNを構成する全ブロックBを対象に、輝度情報処理部20で取得された輝度情報の変化を検出する輝度変化検出処理を実施している。したがって、デジタルカメラ100の設置位置や撮像方向に依存せず、正確に撮像方向の変更の有無を判断できる。
【0154】
また、本実施の形態においても、揺れ合計値=Σ|ωi|、を計算する。そして、当該揺れ合計値が第一の揺れ閾値TH1以上であるときに、揺れ判断部30は、輝度変化検出処理を実施し、輝度変化検出処理の結果が予め設定されている所定の条件を満たすときに、撮像部10の撮像方向が第一の態様で変化したと判断する。
【0155】
したがって、角速度センサー部40が微振動を検出する場合において、当該微振動が撮像部10の撮像方向の変更によるものなのか、大型車両の通過の微振動等により単にデジタルカメラ100が撮像方向を維持して振動しているだけなのかを、判断できる。
【0156】
また、本実施の形態においても、揺れ判断部30は、参照デジタル画像RD1〜RD4を構成する全ブロックBR1〜BR4において取得される参照輝度情報と、一のデジタル画像DNを構成する全ブロックBNにおいて取得される対象輝度情報とを比較し、比較結果が所定の条件を満たすときに、撮像部10の撮像方向が第一の態様で変化したと判断する。
【0157】
したがって、一のデジタル画像DNを構成する全ブロックBNにおける輝度情報の変化を、簡単な相対評価により、検出できる。
【0158】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ100では、揺れ判断部30は、一のデジタル画像DNを構成する第一のブロックの第一のエッジ比率と、参照デジタル画像RD1〜RD4を構成している第二のブロックBR1〜BR4の第二のエッジ比率との差分を、一のデジタル画像DNを構成する全ブロック毎に求める。そして、差分dcが予め設定されている所定値THd以上であると判断される、一のデジタル画像DNを構成するブロックの数ns1〜ns4を求める。そして、求めたブロックの数ns1〜ns4の少なくとも何れかが、予め設定されている所定数THn以上であるときに、撮像部10の撮像方向が第一の態様で変化したと判断する。
【0159】
したがって、撮像部10で撮像される静止物のエッジ画素の変化を正確に検出できる。したがって、デジタルカメラ100の揺れが撮像部10の撮像方向の変更によるものなのか、大型車両の通過の微振動等により単にデジタルカメラ100が撮像方向を維持して振動しているだけなのかを、正確に判断できる。
【0160】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ100では、参照デジタル画像RD1〜RD4は、撮像部10で撮像された、複数のデジタル画像D1〜Diの平均デジタル画像である。
【0161】
したがって、撮像部10の前における突発的な変動を無視した画像を、参照デジタル画像RD1〜RD4とすることができる。よって、より正確に、輝度変化検出処理を実施することが可能となる。
【0162】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ100では、撮像方向の有無判断時より、第二の所定の期間だけ前の間に、輝度調整モードの切替が自動的に行われた場合には、揺れ判断部30は、撮像部10の撮像方向が第一の態様で変化したと判断しない。
【0163】
したがって、単に輝度調整モードが切り替わり輝度変化した場合において、撮像方向が変化していないのにもかかわらず、揺れ判断部30が撮像部10の撮像方向を変化したと誤判断することを防止できる。
【0164】
また、本実施の形態に係るデジタルカメラ100においても、実施の形態1と同様に、輝度情報処理部20と揺れ判断部30とは、同一回路であっても別回路であっても良い。なお、各回路構成による効果は、実施の形態1で述べたとおりである。
【0165】
なお、上記各実施の形態において、角速度センサー部40が、急激な揺れを感知したとする。具体的に、第二の揺れ閾値THsがデジタルカメラ100に格納されており、角速度センサー部40が当該第二の揺れ閾値THsより大きな揺れの大きさ(絶対値)を感知したとする。
【0166】
この場合には、揺れ判断部30は、各実施の形態で述べたデジタル画像における輝度情報の変化を検出せずに、撮像部10の撮像方向が第二の態様で変化したと判断する。ここで、第二の態様での変化とは、撮像部10の撮像方向が急激(第一の態様よりも速く)に変化したときをいう。なお、第二の揺れ閾値THsは、設置される環境等に応じて選択される。
【0167】
角速度センサー部40が大きな角速度(より速い角速度)を検知する場合には、撮像部10の撮像方向が変化した可能性が非常に高い。したがって、撮像部10(デジタルカメラ100)に対して急激な揺れが生じたときには、揺れ判断部30は、直ぐに、撮像部10の撮像方向が変化したと判断する。これにより、撮像部10の撮像方向の突然な(急激な)変化の場合には、デジタルカメラ100はより迅速に、撮像方向の変化を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明に係るデジタルカメラ100の構成を示す図である。
【図2】デジタル画像全体が複数のブロックで分割されている様子示す図である。
【図3】角速度センサーの検知例を示す図である。
【図4】角速度センサーの検知例を示す図である。
【図5】角速度センサー部によって検知された揺れの絶対値量の、第一の所定の期間における揺れ合計値の一例を示す図である。
【図6】実施の形態1に係るデジタルカメラの動作を説明するための図である。
【図7】実施の形態1に係るデジタルカメラの動作を説明するための図である。
【図8】実施の形態1に係るデジタルカメラの動作を説明するための図である。
【図9】実施の形態1に係るデジタルカメラの動作を説明するための図である。
【図10】撮像部の撮像方向が変化した様子を示す図である。
【図11】実施の形態2に係るデジタルカメラの動作を説明するための図である。
【図12】実施の形態2に係るデジタルカメラの動作を説明するための図である。
【図13】実施の形態2に係るデジタルカメラの動作を説明するための図である。
【図14】実施の形態2に係るデジタルカメラの動作を説明するための図である。
【図15】実施の形態2に係るデジタルカメラの動作を説明するための図である。
【図16】実施の形態2に係るデジタルカメラの動作を説明するための図である。
【図17】実施の形態2に係るデジタルカメラの動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0169】
10 撮像部
20 輝度情報処理部
30 揺れ判断部
40 角速度センサー部
100 デジタルカメラ
D1〜DN デジタル画像
RD,RD1〜RD4 参照デジタル画像
DD 輝度差分デジタル画像
DD1〜DD4 エッジ比率差分デジタル画像
B,BR,BN,Bd,BR1〜BR4 ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域を撮像するデジタルカメラであって、
被写体を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像されたデジタル画像から輝度情報を取得する輝度情報処理部と、
前記デジタル画像の全体を、複数のブロックに分割するブロック分割部と、
前記撮像部の撮像方向が変化したことを判断する揺れ判断部と、
前記デジタルカメラ自身の揺れを検知する角速度センサー部とを、
備えており、
前記角速度センサー部が前記デジタルカメラの揺れを検出したときには、前記揺れ判断部は、
前記デジタル画像を構成する全ブロックを対象に、前記輝度情報処理部で取得された前記輝度情報の変化を検出する輝度変化検出処理を実施し、
前記輝度変化検出処理の結果が予め設定されている所定の条件を満たすときに、前記撮像部の撮像方向が変化したと判断する、
ことを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
前記角速度センサー部によって検知された前記デジタルカメラの揺れの絶対値量の、第一の所定の期間における合計値である揺れ合計値が、予め設定されている第一の揺れ閾値以上であるときに、前記揺れ判断部は、
前記輝度変化検出処理を実施し、
前記輝度変化検出処理の結果が予め設定されている前記所定の条件を満たすときに、前記撮像部の撮像方向が第一の態様で変化したと判断する、
ことを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項3】
前記角速度センサー部によって検知された前記デジタルカメラの揺れの絶対値量が、予め設定されている第二の揺れ閾値以上であるときに、前記揺れ判断部は、
前記撮像部の撮像方向が前記第一の態様より速い第二の態様で変化したと判断する、
ことを特徴とする請求項2に記載のデジタルカメラ。
【請求項4】
前記揺れ判断部は、
複数の前記デジタル画像から得られる参照デジタル画像を構成する全ブロックにおいて取得される参照輝度情報と、一の前記デジタル画像を構成する全ブロックにおいて取得される対象輝度情報とを比較し、前記比較結果が前記所定の条件を満たすときに、前記撮像部の撮像方向が前記第一の態様で変化したと判断する、
ことを特徴とする請求項2に記載のデジタルカメラ。
【請求項5】
前記揺れ判断部は、
(A)一の前記デジタル画像を構成する第一のブロックが有する第一の代表輝度値と、前記参照デジタル画像を構成しており、前記第一のブロックと同じブロック位置に存する第二のブロックが有する第二の代表輝度値との差分を、前記一のデジタル画像を構成する全ブロック毎に求め、
(B)前記差分が予め設定されている所定値以上であると判断される、前記一のデジタル画像を構成する前記ブロックの数を求め、
(C)前記(B)において求めた前記ブロックの数が、予め設定されている所定数以上であるときに、前記撮像部の撮像方向が前記第一の態様で変化したと判断する、
ことを特徴とする請求項4に記載のデジタルカメラ。
【請求項6】
前記揺れ判断部は、
(A)一の前記デジタル画像を構成する第一のブロックにおけるエッジ画素の比率である第一のエッジ比率と、前記参照デジタル画像を構成しており、前記第一のブロックと同じブロック位置に存する第二のブロックにおける、エッジ画素の比率である第二のエッジ比率との差分を、前記一のデジタル画像を構成する全ブロック毎に求め、
(B)前記差分が予め設定されている所定値以上であると判断される、前記一のデジタル画像を構成する前記ブロックの数を求め、
(C)前記(B)において求めた前記ブロックの数が、予め設定されている所定数以上であるときに、前記撮像部の撮像方向が前記第一の態様で変化したと判断する、
ことを特徴とする請求項4に記載のデジタルカメラ。
【請求項7】
前記参照デジタル画像は、
前記撮像部で撮像された、複数の前記デジタル画像の平均デジタル画像である、
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のデジタルカメラ。
【請求項8】
前記デジタル画像の輝度の調整に関する輝度調整モードを自動的に切り替えるモード切替処理部を、さらに備えており、
前記(C)の判断時より、予め設定された第二の所定の期間だけ前の間に、前記モード切替処理部により前記輝度調整モードの切替が行われた場合には、前記揺れ判断部は、
前記撮像部の撮像方向が前記第一の態様で変化したと判断しない、
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のデジタルカメラ。
【請求項9】
前記第一の代表輝度値は、
前記第一のブロックを構成する各画素の輝度値の平均値である、
ことを特徴とする請求項5に記載のデジタルカメラ。
【請求項10】
前記第一の代表輝度値は、
前記第一のブロックの中心に位置する画素の輝度値である、
ことを特徴とする請求項5に記載のデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−239569(P2009−239569A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82499(P2008−82499)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】