説明

デジタルカメラ

【課題】 操作部材等の煩わしい操作を行わず、背面液晶の有効画面領域全体を用いて、画像と撮影情報の両方を瞬時に確認することができ、常に視認性が高い環境下での撮影が実現できるようにする。
【解決手段】 撮影者は、背面液晶画面において、ある視野角においては、スルー画像若しくは撮影画像を確認でき、それとは異なるもう1つの視野角において撮影情報を確認することが出来る構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラの外部液晶表示に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタルカメラの外部表示部材として、高解像度、小型、省電力という観点よりTFT液晶部材が用いられている。デジタルカメラにおいてはカメラのレイアウト上、背面にこのTFT液晶を配置し、用途としては、スルー画像像、撮影画像等の画像の確認がある。一方で、シャッター速度、絞り値、画質設定、ホワイトバランス等といった撮影に必要な情報の確認にも用いられている。
【0003】
以上の様に大きくは、画像を表示する用途と、撮影情報を表示する用途の2つが存在するが、現在では、各々を視認性をよくする為表示領域の最大の大きさで表示を行う為に各々を排他的に表示させている。
【0004】
若しくは、特許文献1の様に、1画面を2つに分割し、片方の画面にスルー画像、撮影画像等の画像を表示し、もう片方の画面に画像以外の情報を表示する技術も存在する。
【特許文献1】特開2002-158903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記、従来例のデジタルカメラにおいては、背面液晶部材により、スルー画像、撮影画像等の画像と、シャッター速度、絞り値等の撮影情報を確認したい場合には、各々を排他的に表示させるか、若しくは、1画面内を2つに分割して、画像と撮影情報を各々表示させることが可能である。
【0006】
しかしながら、前者の場合には、画像と撮影情報の両方を見たい場合においては、排他的に表示させる為に、使用者が切り替える為の操作が必要になることと、又、画面を切り替える上でのタイムラグが生じ、画像と撮影情報の同時確認においては、煩わしさが伴う。
【0007】
又、後者の場合には、画像と撮影情報の両方を見たい場合においては、1画面内に画像と撮影情報の同時に表示をおこなっている為、前者の様な煩わしさはなくなるが、ただし、1画面を2つに分割するため、画像、撮影情報が小さくなってしまうことにより視認性が低下してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為の一つの方法として、
異なる視野角において、異なる画像を同時に表示動作させることが可能なディスプレイを備えたデジタルカメラにおいて、第1の視野角においてスルー画像若しくは撮影画像を表示し、同時に第2の視野角において撮影情報を表示することにより、使用者は、有効画面領域全体において、視野角を切り替える動作のみで、スルー画像、若しくは撮影画像と、同時に撮影情報の2つを視認性が高い状態で確認することが可能になる。特にスルー画像撮影(背面液晶をファインダーとする撮影)の場合には、画像表示と撮影情報の表示に関しては、撮影者が顔から離して撮影することを想定した場合には、両要素共、視認性を高める必要性があるが、視野角を切り替えるといった簡易な動作において、全画面を用いての確認である為、視認性を十分得ることが可能である。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、撮影者は、背面液晶画面において、ある視野角においては、スルー画像若しくは撮影画像を確認でき、それとは異なるもう1つの視野角において撮影情報を確認することが出来る。つまり、操作部材等の煩わしい操作を行わず、背面液晶に対する視野角を切り替える行為のみで、背面液晶の有効画面領域全体を用いて、画像と撮影情報の両方を瞬時に確認することができ、常に視認性が高い環境下での撮影が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【0011】
以下に一眼レフデジタルカメラを例にして、実施例を述べる。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明の第1の実施形態における基本ブロック図である。19はカメラ本体であり、20は被写体像をカメラ本体内の撮像素子11に結像させる為の撮影レンズである。1のMPUはカメラ本体全体を制御する為のマイクロプロセッサーであり、2〜7迄の主にカメラ系の動作制御と撮影レンズ20を制御するレンズ用CPUとの通信制御と、9〜15迄の主にデジタル系を制御するDSP9との通信制御を行っている。9〜15迄の主にカメラ系より説明をする。1のMPUは、被写体のピントを合わせる為のAFセンサ4の制御、又、そのAFセンサ4より得られた像より、ピントを合わせる為の演算とその演算結果に基づき撮影レンズ20のフォーカス駆動機構17を駆動させる為、レンズMPU16への通信、又、被写体の露出を合わせる為のAEセンサ3の制御とAEセンサ3より得られた情報に基づき、設定されたISOに応じて、シャッター速度と絞り値の組み合わせを決めるプログラム制御、又、レリーズ釦、電子ダイアル等ユーザーインターフェイスとなるSW操作系5からの情報を受け取る手段、又、ここでは記載していないが、撮影レンズ20より取り込んだ被写体像をファインダー系と撮像系へ分離する為のメインミラーを駆動させる為のミラー駆動機構6の制御、又、AEセンサ3により得られた情報によりカメラ内のプログラムに応じ決められたシャッター速度に応じて、先幕、後幕を有するフォーカルプレーンシャッターを制御するシャッター制御機構7の制御、又、AEセンサ3、AFセンサ4の補正情報、カメラの禁止電圧情報等、電池が抜かれた状態においても記憶が必要となる情報をEEPROM2に記憶させ又必要時に読み出す制御を行っている。又、MPU1は上記動作をおこなう為のコードを記録する為のフラッシュROMを内蔵している。
【0013】
次に、撮影レンズ20の動作について説明する。撮影レンズ20は主にMPU1により演算されたピント情報をMPU1から通信によりMPU16に受信し、その結果にもとづき、フォーカス調整用レンズを駆動させるフォーカス駆動機構17をMPU16において制御しピントを合わせる。又、MPU1により演算された絞り値をMPU1から通信によりMPU16に受信し、その結果にもとづき、絞り羽根を制御させる絞り駆動機構18をMPU16により制御し、所定の露出となるように制御をおこなう。
【0014】
次に、8〜15のデジタル部について説明をする。
【0015】
11は被写体光を光電変換することによりアナログの電気信号として取り出す撮像素子である。12はA/D変換器であり、11より得られたアナログの電気信号をデジタルデータへ変換するものである。又、13のTG(タイミングジェネレーター)は、撮像素子11の撮像駆動制御を行うとともに、撮像素子11より出力するアナログ信号と同期し12のA/D変換器によりA/D変換するような同期クロックをA/D変換器12へ送信している。又、13のTGは、12のA/D変換からのデジタルデータをDSP8においてデータラッチをおこなうタイミングクロック信号をDSP8に送信し、A/D変換器12からDSP8へデジタルデータの転送を行う制御をおこなっている。9は、データを一次的に記憶する事が可能なRAMであり、撮像素子より取り込んだ無加工データ、或いは、DSP8により現像、圧縮をおこなった加工画像データを一次的に記憶したり、DSP8が動作する為に必要なワークデータの一次記憶、又、液晶パネル15へ表示する為のデータを記憶する(VRAM)。10のフラッシュメモリはDSP9により加工された画像データを永久的に記録することが可能な記録メディアであり、これは本体より取り外し可能なものである。次に、15はデュアル液晶パネルであり、画像や撮影情報を表示する表示媒体であるが、異なる2つの視野角に対して、おのおの独立して画像を表示することが可能な表示媒体である。つまり、視野角に応じて、2つの異なる画像を表示することが可能な表示部材である。ここではこの表示パネルの詳細については省略する。次に14は液晶コントローラであり、RAM9のVRAMと呼ばれる特定領域のデータをRGB変換してデュアル液晶パネルにアナログ信号として供給し、デュアル液晶パネルに表示をおこなう為のドライバーである。DSP8は以上述べてきた8〜15のデジタル系デバイスの制御を行うとともに、MPU1とシリアル通信I/Fで接続され、カメラ系と相互制御をおこなうマイコンであると共に、AD変換器12より得られた画像データに対して、現像、圧縮等のデジタル変化処理をおこなっている。又、上記述べた制御におけるコードを記憶するフラッシュROMを内蔵している。
【0016】
次に、図2、図3を用いて、デュアル表示を行う場合のRAM領域の使用について説明する。図2は図1で説明したRAM9のメモリ空間についてである。RAM9は大きく、制御コードを実行する為に必要なワーク領域30、AD変換器12からの画像データや、その画像データを圧縮変換した画像データを格納する画像格納領域31、デュアル液晶パネルに表示するデータを格納するVRAM領域32の3つに分かれる。VRAM領域32は、その中である視野角Aにて視認されるデュアル液晶パネル15の画素配列に表示をおこなう33のデータ格納領域Aと、ある視野角Bにて視認されるデュアル液晶パネル15の画素配列に表示をおこなう34のデータ格納領域Bが存在する。
【0017】
図3では、実際のイメージをあらわしたものである。ここでは、40は42の視野角Aにおいて、スルー画像表示を行った場合であり、41は視野角Bにおいて撮影情報を表示した場合の例である。
【0018】
最後に図4のフローチャートに基づきスルー画像を表示しながら撮影を行う動作例について説明を行う。
【0019】
#100により撮影者は、電池投入或いは、カメラ本体のMain電源をONさせるMainSWをOnさせることにより、カメラの起動を行う。ここではMPU1がリセット解除動作、若しくはwakeUP動作を行うという動作である。次に#101においては、前回、設定していたカメラ撮影モード、又それによるシャッター速度、絞り値、ISO、ホワイトバランス等の撮影条件データをEEPROM2、若しくはDSP8内のフラッシュROMより読み出し、#102において、各設定を行うと共に、RAM9の領域B34に書き込み、液晶コントローラ14を介してデュアル液晶パネル15の視野角Bに対して視認できる様に撮影情報の表示を行う。次に#103においては撮影者が今回の撮影におけるシャッター速度、絞り値、ISO、ホワイトバランス等の撮影条件の設定を行う。又、この設定により、#102と同様に各設定を行うと共にRAM9の領域B34に書き込み表示パネル15に表示を行う。
【0020】
次に#104では、撮影者が撮影準備の為の操作SW(5に含まれる)を操作し能動状態にすることで、まず、MPU1は、AEセンサ3を用いた測光動作を行う。その後、ミラー駆動機構6を動作させ、ここでは、詳細な説明は省くが、撮影レンズ20からの被写体像を撮像素子11に結像させ且つAFサンサへ結像させる様な光学系となる様にミラーを配置し、その後、MPU1は、AFセンサ4、フォーカス駆動機構17、レンズMPU16を用いてオートフォーカス駆動を行う制御を行うと共に、DSP8においては、撮像素子11からAD変換器12を介してリアルタイムに画像を読み取り、表示用のサイズに加工した上でRAM9の領域A 33に対して随時書き込み、液晶コントローラ14を介してデュアル液晶パネル15の視野角Aに対して視認できる様に表示を行う。(#105)次に#106では撮影者が撮影の為の操作SW(5に含まれる)を操作し能動状態にすることで、ミラー駆動機構6を動作させ、ここでは、詳細な説明は省くが、撮影レンズ20からの被写体像を撮像素子11にのみ結像させるような状態にし、MPU1は、AEセンサ3により得られた測光データとあらかじめカメラ内に組み込まれているシャッター速度と絞り値のプログラム線図により、シャッター速度と絞り値を決定し、MPU16を介して18の絞り駆動機構を制御すると共に、7のシャッター制御機構の制御を行う。又、DSP8においてはMPU1より得られる撮像のタイミング信号をもとに7のシャッター制御機構によりシャッターが開いている間、撮像素子11が蓄積をおこなう様にTG13を制御させ撮像を行う。#106により得られた撮像画像は、表示領域33にリサイズした状態で書き込み、液晶コントローラ14を介してデュアル液晶パネル15に表示される。次に#108では撮像した画像をデュアル液晶パネル15に表示させる時間であり、この時間内は撮像画像をデュアル液晶パネル15に表示させる。その後、#105と同様な動作をおこない、スルー画像や撮像画像をデュアル液晶パネル15に表示させる。次にこの撮影条件において、撮影する場合は#105の動作につながる。(#110)又、撮影条件を変える、若しくは、撮影を終了する場合は、#111 VRAM領域32の内容をクリアし、MPU1、DSP8は終了動作、若しくはスリープ動作処理を行う。#111の動作を行うまでRAM領域B 34は、#103で設定された撮影条件の情報が書き込まれ、デュアル液晶パネルの視野角Bにはこの内容が表示しつづける。以上の様な動作により、デュアル液晶パネルの視野角Aには、スルー画像、または撮影画像が表示され、同時に視野角Bにおいては、常に撮影情報が表示され、視野角を変えることで同時に両内容を容易に確認することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態における全体構成図
【図2】本発明の実施形態におけるRAM領域図
【図3】本発明の実施形態におけるイメージ図
【図4】本発明の実施形態におけるフローチャート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの異なる視野角において、互いに異なる画像を同時に表示動作させることが可能なディスプレイを備えたデジタルカメラにおいて、第1の視野角においてスルー画像若しくは撮影画像を表示し、同時に第2の視野角において撮影情報を表示することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、撮影情報とは、シャッター速度、絞り値、画質設定、ホワイトバランスの撮影に必要なパラメータ情報であることを特徴とするデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−89329(P2009−89329A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259959(P2007−259959)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】