説明

デジタルキーシステム

【課題】保管庫の時間を調整し、使用時刻を明確にし、責任の所在を明らかにすること。
【解決手段】
保管庫51に取り付けられた錠前タイマ64を有するデジタル錠前56と、デジタル錠前56を解錠するために複数の使用者により共通に使用されるキータイマ44と履歴記憶メモリ42とを有しデジタル錠前56を開閉した履歴を履歴メモリ42に記憶するデジタルキー1と、デジタルキー1を集中して保管管理するためのもので、履歴を履歴メモリ42から読み取る履歴読取手段24とキーボックスタイマ26と個人認証手段27を有するデジタルキーボックス10と、を備えるデジタルキーシステムにおいて、デジタルキー1がデジタルキーボックス10に保管管理されたとき、キータイマ44の時刻が、キーボックスタイマ26の時刻に書き換えられることにより、デジタルキー1が持つキータイマ44の時刻を正確にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管庫に取り付けられた錠前タイマを有する錠前と、錠前を解錠するために複数の使用者により共通に使用されるもので、電池と制御部とキータイマとメモリとを有し錠前を開閉した履歴をメモリに記憶するデジタルキーと、デジタルキーを集中して保管管理するためのもので、履歴をメモリから読み取る読取手段とキーボックスタイマと個人認証手段を有するデジタルキーボックスと、を備えるデジタルキーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、本出願人が出願した下記の特許文献1に記載されるデジタルキーボックスがある。
特許文献1に示すデジタルキーボックスは、複数のデジタルキーを集中管理するものである。デジタルキーは、ICタグを備え、ICタグが使用者の使用者識別情報と、保管庫のうち使用者が解錠許可を有している保管庫を特定する扉特定データとを記憶している。 デジタルキーボックスが、装着されたデジタルキーの着脱をロック手段で制限しており、デジタルキーボックスの制御装置が特定の使用者を認証した場合に、デジタルキーを取り出すことができる。デジタルキーを取出した使用者は、保管庫等を使用し、また使用者を認証しデジタルキーボックスにデジタルキーを返却する。
【0003】
使用者がデジタルキーをデジタルキーボックスに返却したとき、デジタルキーボックスのデータ読取手段は、デジタルキーのIDを読み取り、個人認証した特定の個人に対応する正しいデジタルキーが返却されたことを確認し、返却時間を履歴記憶部に記憶する。次にコントローラのICタグデータ読取手段によりデジタルキーのICタグから読み取った使用履歴が、履歴記憶部に記憶される。
したがって、特許文献1に記載されるデジタルキーボックスを使用することにより、デジタルキーについて、取出された日時、返却されて日時、保管庫での使用履歴を記憶することができる。それにより、後で保管庫内の書類等の紛失トラブルが発生した時に、使用履歴をチェックすることで、責任の所在を追及することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−95913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術には、以下の問題があった。
すなわち、デジタルキーは、自らが時計を持っていないため、保管庫を解錠したときの保管庫の有する時計の時刻が使用履歴として登録される。したがって、使用履歴の時刻は保管庫が有する時計が基準の時間となる。
しかし、保管庫の時刻は、修正がなされないため時間が狂うことがある。すなわち、保管庫は、時計を有するが、電池式により時計の時刻が合わされている。そのため、電池式であるため、電池の残量の減少等の理由により時間がずれる場合がある。使用履歴の時刻の基準となる保管庫の時刻が狂うと、例えば、保管庫を解錠した時刻と、デジタルキーをデジタルキーボックスに返す時刻とが逆転してしまう事態も生じる。このような事態が生じると、保管庫が何者かにより開かれ、内部の保管物が逸失したような場合に問題となる。すなわち、保管庫が開かれた時間を調べ、その前後の使用者に確認し、責任の所在を明らかにするときにおいて、時刻が逆転してしまうと、使用者が使用していた事実を認定することができないため、責任を明らかにすることが困難となるからである。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は保管庫の時間を調整し、使用者の保管庫の使用時刻を明確にし、責任の所在を明らかにすることができるデジタルキーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様におけるデジタルキーシステムは、以下の構成を有する。
(1)保管庫に取り付けられた錠前タイマを有する錠前と、前記錠前を解錠するために複数の使用者により共通に使用されるもので、電池と制御部とキータイマとメモリとを有し前記錠前を開閉した履歴を前記メモリに記憶するデジタルキーと、前記デジタルキーを集中して保管管理するためのもので、前記履歴を前記メモリから読み取る読取手段とキーボックスタイマと個人認証手段を有するデジタルキーボックスと、を備えるデジタルキーシステムにおいて、前記デジタルキーが前記デジタルキーボックスに保管管理されたとき、前記キータイマの時刻が、前記キーボックスタイマの時刻に書き換えられること、を特徴とするものである。
(2)(1)に記載するデジタルキーシステムにおいて、前記デジタルキーを前記錠前に挿入したとき、前記錠前タイマの時刻が前記キータイマの時刻に書き換えられること、を特徴とするものである。
(3)(1)又は(2)に記載するデジタルキーシステムにおいて、前記電池は充電式電池であること、前記デジタルキーは前記デジタルキーボックスに保管管理されているとき、前記充電式電池が充電されること、を特徴とするものである。
(4)(3)に記載するデジタルキーシステムにおいて、前記デジタルキーボックスは、前記充電式電池の充電量が多い前記デジタルキーを選別する充電選別機能を有すること、前記デジタルキーボックスは、充電量が多い前記デジタルキーに対して使用許可を出すことができること、を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
上記デジタルキーシステムの作用及び効果について説明する。
(1)保管庫に取り付けられた錠前タイマを有する錠前と、錠前を解錠するために複数の使用者により共通に使用されるもので、電池と制御部とキータイマとメモリとを有し錠前を開閉した履歴をメモリに記憶するデジタルキーと、デジタルキーを集中して保管管理するためのもので、履歴を前記メモリから読み取る読取手段とキーボックスタイマと個人認証手段を有するデジタルキーボックスと、を備えるデジタルキーシステムにおいて、デジタルキーがデジタルキーボックスに保管管理されたとき、キータイマの時刻が、キーボックスタイマの時刻に書き換えられることにより、デジタルキーが持つキータイマの時刻を正確にすることができる。
デジタルキーボックスは、固定された備品であり、常設的にインターネットに接続しているため、従来の電池により時刻を計るデジタルキーボックスの時計と異なりキーボックスタイマの時刻が遅れることがない。他方で、デジタルキーは電池式であるため、キータイマの時刻が遅れることがある。しかし、キータイマの時刻がキーボックスに保管されるたびに常に正確なキーボックスタイマに書き換えられることにより、キータイマの時刻を正確な時刻として保つことができる。それにより、キータイマの時刻が正確になり、デジタルキーの使用した時刻が正確に記憶されるため使用履歴が正確になる。したがって、保管庫が何者かにより開かれ、内部の保管物が逸失したような場合の問題が生じた場合の使用者の責任の所在を追及することができる。
また、デジタルキーが有する錠前が解錠された履歴についてデジタルキーボックスが読み取ることにより、錠前が権限を有さないデジタルキーにより解錠された場合や、錠前が破壊されることにより解錠された場合などのイレギュラーな状態を把握することができる。
(2)デジタルキーを錠前に挿入したとき、錠前タイマの時刻がキータイマの時刻に書き換えられることにより、錠前が持つ錠前タイマの時刻をデジタルキーボックスのキーボックスタイマの正確な時刻にすることができる。
デジタルキーのキータイマは、上記キーボックスタイマにより時刻が正確に保持されている。他方、錠前は電池式であるため、錠前に備えられる錠前タイマの時刻が遅れることがある。錠前タイマの時刻をデジタルキーが挿入されるたびに常に正確なキータイマの時刻に書き換えられることにより、錠前タイマの時刻を正確な時刻として保つことができる。それにより、錠前を解錠した使用履歴を正確になるため、保管庫が何者かにより開かれ、内部の保管物が逸失したような場合の問題が生じた場合の責任の所在を追及することができる。
(3)電池は充電式電池であること、デジタルキーはデジタルキーボックスに保管管理されているとき、充電式電池が充電される。それにより、キータイマの時刻が電池残量の減少により遅れることがない。
したがって、キータイマの時刻が遅れることなく正確な時刻を保つことができるため、デジタルキーの使用履歴が正確になるため、問題が生じた場合の責任の所在を追及することができる。
また、充電式電池であることにより、電池の交換頻度が少なくなる。
(4)デジタルキーボックスは、充電式電池の充電量が多いデジタルキーを選別する充電選別機能を有すること、デジタルキーボックスは、充電量が多いデジタルキーに対して使用許可を出すことができることにより、充電量の多いデジタルキーを常に使用することができる。そのため、キータイマの時刻が遅れることなく正確な時刻を保つことができる。正確な時刻を保つことにより、デジタルキーの使用履歴が正確になるため問題が生じた場合の責任の所在を追及することができる。
また、充電式電池の充電量が多いデジタルキーを選別して使用しているため、充電が満タンになる前の状態で充電式電池を頻繁に使用することがなくなるため、充電式電池の電池寿命が長くなり、電池の交換頻度が少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るデジタルキーボックス10の開閉扉11が開いた状態の正面図である。
【図2】本発明に係るデジタルキーボックス10のコントローラ20の構成のブロック図である。
【図3】本発明に係るデジタルキー1の正面図である。
【図4】本発明に係るデジタルキー1のICタグ7の構成のブロック図である。
【図5】本発明に係る保管庫51の扉54が開いた状態の外観斜視図である。
【図6】本発明に係る保管庫51の扉54が閉じた状態の外観斜視図である。
【図7】本発明に係る保管庫51の制御装置57の構成のブロック図である。
【図8】本発明に係るデジタルキーボックス10の制御プログラムをフローチャートで示す。
【図9】本発明に係る保管庫51の制御プログラムをフローチャートで示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明に係るデジタルキーシステムの一実施の形態について図面を参照して説明する。
デジタルキーシステムは、デジタルキーボックス30、デジタルキー1、及び保管庫50を有する。以下、それぞれについて詳細に説明を行う。
【0011】
<デジタルキーボックスの構成>
デジタルキーボックスの全体構成について説明する。図1にデジタルキーボックス10の開閉扉11が開いた正面図を示す。
デジタルキーボックス10は、保管庫51の扉54を解錠するために使用されるデジタルキー1を集中して保管管理するためのものである。デジタルキーボックス10は、開閉扉11が付設され、通常、開閉扉11は閉じられている。
デジタルキーボックス10の開閉扉11の内側には、10個のデジタルキー1(図3参照)を保持するキー孔ユニット18(18Aから18Jまで)が付設されている。本実施形態においては、10個のデジタルキー1を保持するものであるが、デジタルキーの保管できる数を増やすことができる。
デジタルキーボックスの開閉扉11の右側の表面には、ICカード読取部12、指紋認証装置13、液晶表示部14が付設されている。キー孔ユニット18は、デジタルキー1が装着されるキー孔15、LED13、ネームプレート17を有している。キー孔15には、キー抜け阻止手段であるロック手段31(図2参照)により、通常デジタルキー1を抜くことができない状態となっている。
【0012】
次に、デジタルキーボックス10のコントローラ20について説明する。図2にコントローラ20の構成をブロック図で示す。
コントローラ20は、CPU21、ROM22、有効時間データ設定部23、履歴記憶部24、履歴読取手段25、キーボックスタイマ26、個人認証手段27、充電選別機能36を備えている。ROM22は、制御プログラム28、デジタルキーID記憶部29、アクセス権記憶部30を備えている。
コントローラ20には、各キー孔ユニット18に対応して付設されているデジタルキー1をロックして抜けないようにするロック手段31A〜31J、デジタルキー1が装着されたときに、デジタルキー1に内蔵されたICタグ7に記憶されているデータを読み取るためのICタグデータ読取手段32A〜32J、有効時間データをデジタルキー1に書き込むための有効時間データ書込手段35A〜35J、使用者を識別するための個人ID番号や使用者が解錠許可を有している保管庫の扉を特定する扉特定データなどのデータをデジタルキー1に書き込む保管庫データ書込手段33〜33J、LED34A〜34Jが接続されている。
また、コントローラ20には、液晶表示部14、指紋認証装置13、ICカード読取部12が接続されている。
【0013】
<デジタルキーの構成>
デジタルキーの構成について説明する。図3は、デジタルキー1を示す図である。
デジタルキー1は、ICタグ7を備える。ICタグ7には、第1端子5と第2端子4が接続している。ICタグ7は、絶縁カバー2で覆われている。
第2端子4は、デジタルキーボックス10のキー孔15や保管庫51の錠前56の錠前キー孔561に差し込み可能な形状で、絶縁カバー2から外部へ突き出すように設けられている。第2端子4は、ロック手段31(図2)が係合する凹部4dを備える。
第1端子5は、板状をなし、第2端子4に対して直交するように配置され、絶縁カバー2の外部において第2端子4の両側に露出している。本実施形態においては、2つの端子で情報と電源を配線するが、4つの端子であってもよい。
デジタルキー1は、充電可能な充電式電池8を備える。充電式電池8は、第2端子4がキー孔15に挿入されると充電される。
デジタルキー1には、LED3が視認可能に設けられている。
【0014】
次に、デジタルキー1のICタグ7について説明する。図4にICタグ7の構成をブロック図で示す。
ICタグ7は、データを加工・演算するCPU40、ROM41、履歴記憶メモリ42、履歴読取手段43、キータイマ44を備えている。ROM41は、制御プログラム45、アクセス権記憶部46、使用者記憶部47を備えている。
また、ICタグ7には、充電式電池8が接続されている。
【0015】
<保管庫の構成>
保管庫の構成について説明する。図5は、保管庫51の外観斜視図であって、扉54を開いた状態を示す。図6は、図5に示す保管庫51の外観斜視図であって、扉54を閉じた状態を示す。
図5及び図6に示すように、保管庫51は、2個の収納ボックス52を積み上げて固定したものである。保管庫51は、同一構造の収納ボックス52,52を使用するが、引き出し式など別構造の収納ボックスを使用していても良い。
【0016】
図5に示すように、収納ボックス52は、一方に開口する箱状に形成した本体53を備える。本体53の開口部は、観音開き式の扉54,54によって開閉される。各収納ボックス52は、デジタル錠55が扉54に取り付けられ、デジタル錠55が解錠されているときに開閉が許可される。各収納ボックス52の本体53には、複数の棚58が水平に架設されている。各棚58には第1保管庫用ユニット59や第2保管庫用ユニット60がそれぞれ並べて配置されている。本実施形態においては、棚58に第1保管庫用ユニット59や第2保管庫用ユニット60を設置しているが、設置せずに棚58を通常通りの棚として使用することもできる。
図6に示すように、保管庫51は、収納ボックス52に、デジタルキー1を挿入する保管庫キー孔561を有するデジタル錠前56が取り付けられている。デジタル錠前56と各収納ボックス52のデジタル錠55は、制御装置57に接続されている。
【0017】
次に、保管庫51の制御装置57について説明する。図7に制御装置57の構成をブロック図で示す。
制御装置57は、CPU61、ROM62、履歴記憶部63、及び錠前タイマ64を備えている。ROM62は、制御プログラム65、デジタルキーID記憶部66、アクセス権記憶部67を備えている。
制御装置57には、デジタル錠55、及びデジタル錠前56が接続されている。
デジタル錠前56は、保管庫キー孔561、及びロック手段562を備える。ロック手段562は、保管庫キー孔562にデジタルキー1が挿入された場合に、挿入されたデジタルキー1がアクセス権を有する場合にのみロックを解除し、デジタルキー1を回転可能な状態とする。ロックは電子制御により行われる。
【0018】
<デジタルキーシステムの使用形態>
次に、実施例のデジタルキーシステムの使用形態について説明する。
(デジタルキーボックスからデジタルキーを取出す工程)
図8に、デジタルキーボックス10の制御プログラムをフローチャートで示す。
使用者は、デジタルキーボックス10の所に行き、所持しているICカードをICカード読取部12に読み取らせる(S30;YES)。そして、使用者は指紋認証装置13に指を触れさせ指紋を認証する(S31)。コントローラ20のデジタルキーID記憶部29は、ICカード読取部12が読み取ったICカードと対応する指紋を記憶しており、入力された指紋を照合する(S32)。そして、正しい指紋が入力されたときのみ(S32;YES)、開閉扉11を開放する。本実施例では、指紋認証装置13を用いているが、静脈認証装置、テンキー操作装置等により個人認証を行っても良い。個人認証を行うのは、他人のICカードを使用して不正行為が行われるのを防止するためである。
【0019】
S33の後、2つのルートに分かれて制御される。コントローラ20が、使用者が現在デジタルキー1を借りていないと判断した場合には(S33;NO)、S34へ進む。一方、コントローラ20が、使用者が現在デジタルキー1を借りていると判断した場合には(S33;YES)、S42へ進む。
先に、使用者が現在デジタルキー1を借りていない場合(S33;NO)について説明する。
この場合には、液晶表示部14に、使用者が必要とする保管庫51の番号を入力させる(S34)。この場合に、液晶表示部14の特性を生かして、図示表示等を行い、使用者が容易に保管庫の番号を特定できるようにするとよい。
使用者が保管庫の番号を入力すると(S34)、番号入力が完了したか否か、液晶表示部14に表示を行い確認する(S35)。使用者は、複数の保管庫を解錠したい場合には、全ての保管庫の番号を入力する(S34,S35)。
【0020】
コントローラ20は、入力された保管庫の番号を、保管庫を解錠して保管物にアクセスできるアクセス権を使用者毎に記憶するアクセス権記憶部30に照合し、個人認証に成功した使用者が入力した番号の保管庫全てにアクセス可能であるならば、保管庫データ書込手段33により入力された保管庫の番号を扉特定データとして、デジタルキーボックス10に現在収納されている図4に示すデジタルキー1のICタグ7のアクセス権記憶部46に書き込む(S36)。
デジタルキー1のICタグ13のアクセス権記憶部46に書き込みを行う際には、図4に示す充電式電池8の充電量が多いデジタルキー1を充電選別機能36により選別する(S37)。選別されたデジタルキー1のICタグ7のアクセス権記憶部46に対して、書き込みを行う。充電選別機能36により、充電量が多いデジタルキー1を使用することができるため、キータイマ44の時刻が遅れることなく正確な時刻を保つことができる。そのためデジタルキー1の充電式電池8の電池残量が少ないことによりキータイマ44の時刻が遅れることがないため、デジタルキー1の使用履歴を正確な時刻で記録することができ使用者の責任の所在を追及することができる。
また、充電式電池8の充電量が多いデジタルキー1を選別して使用しているため、充電が満タンになる前の状態で充電式電池8を頻繁に使用することがない。そのため、充電式電池8の電池寿命が長くなり、電池の交換頻度が少なくなる。
【0021】
同時に、ICタグ7に、有効時間データ設定部23が設定した有効時間データと、使用者を識別するための個人のID番号(使用者識別情報の一例)を書き込む(S36)。これにより、共通のデジタルキー1が、当該使用者専用の鍵となる。もし、当該使用者がアクセス権を有しない保管庫の番号が入力されているときは、その旨、液晶表示部14に表示する。
次に、コントローラ20は、開閉扉11を開放すると同時に、データを書き込んだ任意のデジタルキー1が装着されているキー孔ユニット18のロック手段31を解除する(S38)。ロック手段31は、デジタルキー1の凹部4dを利用して、図示しないロック部材をソレノイドで駆動させて係合・解除を行っている。また、解除したキー孔ユニット18のLED34を点灯する(S38)。使用者は、LED34の点灯により、専用鍵となったデジタルキー1を簡単に抜き取ることができる。コントローラ20は、ICタグデータ読取手段32がデジタルキー1を検出しなくなったときに、デジタルキー1がキー孔15から抜き取られたと判断して(S39;YES)、認証した個人、取り出されたデジタルキー1、取り出された時間を履歴記憶部24に記憶する(S40)。その後、開閉扉11を閉じることを液晶表示部14に表示して指示する(S41)。開閉扉11が閉じられたことを確認して(S42;YES)、S30へ戻る。
本デジタルキーボックス10では、デジタルキー1を直接、キー孔15に装着させているので、キー孔ユニット18に付設されたICタグデータ読取手段32により、装着されたデジタルキー1のICタグデータを読み取って、デジタルキー1が正規の鍵であるか否かを確実に管理することができる。
【0022】
(デジタルキーにより保管庫を使用する工程)
図9に、保管庫51の制御プログラムをフローチャートで示す。
取出されたデジタルキー1を保持して、アクセス権を有する保管庫1の所に行く。保管庫1のデジタル錠前56の保管庫キー孔561に、デジタルキー1を挿入する(T41;YES)。デジタルキー1には、保管庫1に対するアクセスする権利であるアクセス権がアクセス権記憶部46に記憶されている。そのため、アクセス権があることをアクセス権記憶部67で照会し、確認をする(T42)。アクセス権が確認されると(T42;YES)、ロック手段562は、ロックを解除し、デジタルキー1を回転可能な状態とする。
【0023】
アクセス権が確認された後に(T42;YES)、デジタルキーボックス10のキーボックスタイマ26の時間、及びデジタルキー1のキータイマ44の時間と、保管庫1の錠前タイマ64の時間を合わせるために、錠前タイマ64の時間を、キータイマ44の時間に書き換える(T43)。
錠前タイマ64の時刻を書き換えることにより、錠前タイマ64の時刻をキーボックスタイマ26の時刻にすることができる。錠前タイマ64の時刻を書き換えることにより、キーボックスタイマ26、キータイマ44、及び錠前タイマ64の時刻が全て統一されるため、保管庫51の錠前56が開けられた時刻を確実に認識することができる。錠前56が開けられた時刻を確実に認識することができることで、錠前56が解錠され、その間に保管庫51内の保管物等が盗難された等の問題があった場合において、その時刻に保管庫1を使用していた使用者を特定することができるため、使用者の責任の所在を追及することができる。
また、従来錠前56は電池式であったため、電池残量が少なくなることにより錠前タイマ64の時刻が遅れることがあった。しかし、本実施形態のように錠前タイマ64の時刻がデジタルキー1に挿入されるたびに常にキーボックスタイマ26と同じ時刻のキータイマ44の時刻に書き換えられることにより、錠前タイマ64の時刻を正確な時刻として保つことができる。
【0024】
デジタルキー1のアクセス権があることが確認でき(T42;YES)、錠前タイマ64の時刻の書き換え後(T43)、デジタルキー1を錠前56の保管庫キー孔561に対して回転させることで、デジタル錠55のロックが解除される(T44)。デジタル錠55を解錠した解錠時間、及びデジタルキー1を使用する使用者のID情報を錠前57の履歴記憶部63に記憶する。デジタル錠55が解錠されることにより(T44)、扉54を開くことができる(T46)。扉54が開いた後に、使用者は、保管庫51に内部に収納された保管物にアクセスすることができる。保管物にアクセスした後に、使用者は扉54を閉める(T47)。使用者は、デジタルキー1を、保管庫キー孔561に対して最初の位置に戻るように回転させることで、デジタル錠55が施錠される(T48)。デジタルキー1が回転され最初の位置に戻り、デジタル錠55が施錠され、ロック手段562が錠前56をロックしたときに、デジタル錠55を施錠した解錠時間、及びデジタルキー1を使用する使用者のID情報を錠前57の履歴記憶部63に記憶する(T49)。
さらに、今回解錠・施錠した履歴以外の過去分の解錠・施錠時間、使用者IDを記憶する(T50)。過去分の履歴を記憶することにより、過去に保管庫が何者かにより開かれ、内部の保管物が逸失したような場合の問題を把握することができる。
その後デジタルキー1を保管庫キー孔561から抜出ことにより(T51;YES)、デジタルキー1により保管庫51を使用する工程は終了する。
【0025】
(デジタルキーボックスへデジタルキーを戻す工程)
次に、図8に示す、デジタルキーボックス10へデジタルキー1を戻す工程(S33;YES)について説明する。
この場合には、コントローラ20は、開閉扉11を開放すると同時に、デジタルキー1が装着されていないキー孔ユニット18のロック手段31を解除状態とする(S43)。
使用者は、デジタルキー1が装着されていない任意のキー孔15に、デジタルキー1を返却する(S44)。デジタルキー1がデジタルキーボックス10に返却されたときに、ICタグデータ読取手段32は、デジタルキー1のデジタルキーIDを読み取り、個人認証した特定の個人が借りていたデジタルキー1が返却されたことを確認し(S45;YES)、返却時間を履歴記憶部24に記憶する(S46)。次に、コントローラ20のICタグデータ読取手段32がデジタルキー1から読み取った使用履歴データが、履歴記憶部24に、個人用デジタルキー1の使用履歴として記憶される(S47)。
【0026】
これにより、履歴記憶部24は、各デジタルキー1について、デジタルキーボックス10から取り出された日時、返却された日時、保管庫での使用履歴を全て記憶する。
後で、保管庫内の保管物の紛失等のトラブルが発生したときに、使用履歴をチェックすることにより、責任の所在を追及することができる。また、全ての過去分の履歴を管理していることを使用者に知らせることにより、使用者がデジタルキーボックス10からデジタルキー1を取り出した後、すばやく保管庫の利用を行うことが期待できるため、デジタルキー1が机の上に長時間置きっぱなしになるような事態を回避することができる。
【0027】
その後、キーボックスタイマ26の時間をキータイマ44の時間に書き換える(S48)。デジタルキー1がデジタルキーボックス10に保管管理されたとき、キータイマ44の時刻が、キーボックスタイマ26の時刻に書き換えられることにより、デジタルキー1が持つキータイマ44の時刻を正確にすることができる。
デジタルキーボックス10は、固定された備品であり、常設的にインターネットに接続しているため、従来の電池により時刻を計るデジタルキーボックスの時計と異なりキーボックスタイマ26の時刻が遅れることがない。他方で、デジタルキー1は電池式であるため、キータイマ44の時刻が遅れることがある。しかし、キータイマ44の時刻がデジタルキーボックス10に保管されるたびに常に正確なキーボックスタイマ26に書き換えられることにより、キータイマ44の時刻を正確な時刻として保つことができる。それにより、キータイマ44の時刻が正確になり、デジタルキー1の使用した時刻が正確に記憶されるため使用履歴が正確になる。したがって、保管庫51が何者かにより開かれ、内部の保管物が逸失したような場合の問題が生じた場合の使用者の責任の所在を追及することができる。
【0028】
その後、返却されたデジタルキー1の充電式電池8を充電する(S49)。デジタルキー1がデジタルキーボックス10に保管管理されているとき、充電式電池8が充電されることにより、キータイマ44の時刻が電池残量の減少により遅れることがない。
したがって、キータイマ44の時刻が遅れることなく正確な時刻を保つことができるため、デジタルキー44の使用履歴が正確になるため、問題が生じた場合の責任の所在を追及することができる。
また、充電式電池であることにより、電池の交換頻度が少なくなる。
充電式電池8を充電開始後、開閉扉11を閉じることを液晶表示部14に表示して指示する(S41)。
開閉扉11が閉じられたことを確認して(S42;YES)、S30へ戻る。
【0029】
以上、本実施形態においては以下の作用効果を有する。
保管庫51に取り付けられた錠前タイマ64を有するデジタル錠前56と、デジタル錠前56を解錠するために複数の使用者により共通に使用されるキータイマ44と履歴記憶メモリ42とを有しデジタル錠前56を開閉した履歴を履歴メモリ42に記憶するデジタルキー1と、デジタルキー1を集中して保管管理するためのもので、履歴を履歴メモリ42から読み取る履歴読取手段24とキーボックスタイマ26と個人認証手段27を有するデジタルキーボックス10と、を備えるデジタルキーシステムにおいて、デジタルキー1がデジタルキーボックス10に保管管理されたとき、キータイマ44の時刻が、キーボックスタイマ26の時刻に書き換えられることにより、デジタルキー1が持つキータイマ44の時刻を正確にすることができる。
デジタルキーボックス10は、固定された備品であり、常設的にインターネットに接続しているため、従来の電池により時刻を計るデジタルキーボックスの時計と異なりキーボックスタイマ26の時刻が遅れることがない。他方で、デジタルキー1は電池式であるため、キータイマ44の時刻が遅れることがある。しかし、キータイマ44の時刻がデジタルキーボックス10に保管されるたびに常に正確なキーボックスタイマ26に書き換えられることにより、キータイマ44の時刻を正確な時刻として保つことができる。それにより、キータイマ44の時刻が正確になり、デジタルキー1の使用した時刻が正確に記憶されるため使用履歴が正確になる。したがって、保管庫51が何者かにより開かれ、内部の保管物が逸失したような場合の問題が生じた場合の使用者の責任の所在を追及することができる。
また、デジタルキー1が有するデジタル錠前56が解錠された履歴についてデジタルキーボックス10が読み取ることにより、デジタル錠前56が権限を有さないデジタルキー1により解錠された場合や、デジタル錠前56が破壊されることにより解錠された場合などのイレギュラーな状態を把握することができる。
【0030】
デジタルキー1をデジタル錠前56に挿入したとき、錠前タイマ64の時刻がキータイマ44の時刻に書き換えられることにより、デジタル錠前56が持つ錠前タイマ64の時刻をデジタルキーボックス10のキーボックスタイマ26の正確な時刻にすることができる。
デジタルキー1のキータイマ44は、上記キーボックスタイマ10により時刻が正確に保持されている。他方、デジタル錠前56は電池式であるため、デジタル錠前56に備えられる錠前タイマ64の時刻が遅れることがある。錠前タイマ64の時刻をデジタルキー1が挿入されるたびに常に正確なキータイマ44の時刻に書き換えられることにより、錠前タイマ64の時刻を正確な時刻として保つことができる。それにより、デジタル錠前56を解錠した使用履歴が正確になるため、保管庫51が何者かにより開かれ、内部の保管物が逸失したような場合の問題が生じた場合の責任の所在を追及することができる。
【0031】
電池は充電式電池8であること、デジタルキー1はデジタルキーボックス10に保管管理されているとき、充電式電池8が充電される。それにより、キータイマ44の時刻が電池残量の減少により遅れることがない。
したがって、キータイマ44の時刻が遅れることなく正確な時刻を保つことができるため、デジタルキー1の使用履歴が正確になるため、問題が生じた場合の責任の所在を追及することができる。
また、充電式電池8であることにより、電池の交換頻度が少なくなる。
【0032】
デジタルキーボックス10は、充電式電池8の充電量が多いデジタルキー1を選別する充電選別機能36を有すること、デジタルキーボックス10は、充電量が多いデジタルキー1に対して使用許可を出すことができることにより、充電量の多いデジタルキー1を常に使用することができる。そのため、キータイマ44の時刻が遅れることなく正確な時刻を保つことができる。正確な時刻を保つことにより、デジタルキー1の使用履歴が正確になるため問題が生じた場合の責任の所在を追及することができる。
また、充電式電池8の充電量が多いデジタルキー1を選別して使用しているため、充電が満タンになる前の状態で充電式電池8を頻繁に使用することがなくなるため、充電式電池8の電池寿命が長くなり、充電式電池8の交換頻度が少なくなる。
【0033】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で色々な応用が可能である。
例えば、本実施形態において、保管庫はオフィスで使用されるものとしたが、保管庫は、トラックで使われる荷台、トラックに積載される保管箱、お金を収納する金銭箱等のように、内部に保管できるものであり、内部の収納物を保護するための施錠が必要なものであれば応用することができる。
また、本実施形態において、錠前は保管庫に設置され常設されたものであるが、南京錠のように持ち運び可能であり、取り換えが可能な錠前であっても応用することができる。すなわち、上記内部の収納物を保護するため、保管庫等を施錠することができるものであれば応用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 デジタルキー
25 履歴読取手段
26 キーボックスタイマ
27 個人認証手段
42 履歴記憶メモリ
44 キータイマ
51 保管庫
57 錠前
64 錠前タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保管庫に取り付けられた錠前タイマを有する錠前と、前記錠前を解錠するために複数の使用者により共通に使用されるもので、電池と制御部とキータイマとメモリとを有し前記錠前を開閉した履歴を前記メモリに記憶するデジタルキーと、前記デジタルキーを集中して保管管理するためのもので、前記履歴を前記メモリから読み取る読取手段とキーボックスタイマと個人認証手段を有するデジタルキーボックスと、を備えるデジタルキーシステムにおいて、
前記デジタルキーが前記デジタルキーボックスに保管管理されたとき、前記キータイマの時刻が、前記キーボックスタイマの時刻に書き換えられること、
を特徴とするデジタルキーシステム。
【請求項2】
請求項1に記載するデジタルキーシステムにおいて、
前記デジタルキーを前記錠前に挿入したとき、前記錠前タイマの時刻が前記キータイマの時刻に書き換えられること、
を特徴とするデジタルキーシステム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載するデジタルキーシステムにおいて、
前記電池は充電式電池であること、
前記デジタルキーは前記デジタルキーボックスに保管管理されているとき、前記充電式電池が充電されること、
を特徴とするデジタルキーシステム。
【請求項4】
請求項3に記載するデジタルキーシステムにおいて、
前記デジタルキーボックスは、前記充電式電池の充電量が多い前記デジタルキーを選別する充電選別機能を有すること、
前記デジタルキーボックスは、充電量が多い前記デジタルキーに対して使用許可を出すことができること、
を特徴とするデジタルキーシステム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−224993(P2012−224993A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91245(P2011−91245)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(391020322)東海理研株式会社 (42)
【Fターム(参考)】