説明

デジタル放送信号伝送システムとその送信処理装置

【課題】 複数種のデジタル放送の再送信について、伝送系統を1系統化してシステムコストを抑え、安定した品質で放送信号を伝送する。
【解決手段】 送信処理装置5にて、12GHz帯のデジタル放送信号について、2.6GHz以下の帯域の他のデジタル放送信号と混合する際に、中間周波数まで落とすことなく、直接、未使用周波数帯域である2.6GHz以上の帯域に変換して混合し、同軸ケーブルでは伝送困難となった信号を電気信号から光信号に変換し、光ファイバによる光伝送路16を通じて伝送した後、受信処理装置17にて、光信号を受信して電気信号に変換し、送信側で周波数変換された放送信号を元の帯域に戻すことで、伝送周波数帯による減衰量格差の問題を解消する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上デジタル放送、複数のデジタル衛星放送等の各種デジタル放送を夫々のアンテナで個別に受信し、その受信信号をまとめて再送信するデジタル放送信号伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、BS(Broadcast Satellite)放送・110度CS(Communication Satellite)放送及びCS放送におけるデジタル衛星放送に加え、地上デジタル放送が開始された。このような複数の放送信号を受信して複数の端末に再送信する伝送システムにあっては、衛星放送の信号をアンテナ出力部に装備されるコンバータによって同軸ケーブルなどの伝送に適した中間周波数に変換するが、互いに中間周波数が重複するため、同じ伝送線路で伝送することができず、別個に敷設された同軸ケーブルにより伝送するようにしている。
【0003】
例えば、地上デジタル放送と、BS放送・110度CS放送と、CS放送のJCSAT−4Aサービス及びJCSAT−3サービスとを受信し、それぞれ複数の端末に伝送するためには、BS放送・110度CS放送の放送信号の中間周波数と、CS放送JCSAT−4Aサービスの信号の中間周波数と、CS放送JCSAT−3サービスの信号の中間周波数が重複する。このため、地上デジタル放送+BS放送+110度CS放送の伝送系統1、CS放送JCSAT−4Aサービスの伝送系統2、CS放送JCSAT−3サービスの伝送系統3と、3系統の同軸システムの構成で伝送される。
【0004】
尚、CS放送におけるJCSAT−4Aサービスの水平(H)・垂直(V)偏波をJCSAT−3サービスの水平(H)・垂直(V)偏波の中間周波数と重複しないように周波数変換し、CS放送を1系統で伝送することにより、2系統の同軸システムの構成で伝送する方法もある。
【0005】
また、伝送線路として一般的に同軸ケーブルを使用されるが、同軸ケーブルの特性は伝送周波数が高くなればなるほど伝送損失が増加することが知られている。JIS規格では、1800MHzにおける同軸ケーブルの減衰量を規定しているが、現存する110度CS放送の右旋円偏波やCSスカイパーフェクTV放送の周波数帯域である2072MHzまでは規定されていない。このため、上記のような高周波放送信号を伝送するには、伝送損失を補償するために、伝送区間に増幅器を多段に設置する必要がある。
【0006】
さらに、将来予定されている110度CS放送の左旋円偏波の中間周波数は、2126MHz〜2602MHzとさらに高い周波数帯域を使用される見込みである。
一方、周波数が高い衛星放送の中間周波数を光ファイバで伝送し、周波数の低い地上波放送の周波数を同軸ケーブルで伝送した後、合成して出力する方法もある(特許文献1参照)。しかし、この方法では光ファイバによる伝送系と同軸ケーブルによる伝送系と異なる2系統の伝送構成になるため、経済的な不利益が大きくなると共に、設計や運用管理が複雑になるおそれがある。
【0007】
【特許文献1】特開平7−107328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上述べたように、従来のデジタル放送伝送システムでは、同軸ケーブルによる3系統または2系統の伝送構成や、光ファイバと同軸ケーブルを組み合わせた2系統の伝送構成では、伝送形態が複雑となり、増幅器の多段接続における伝送品質劣化の問題、コスト面の問題、スペースの問題、増幅器の電源取得の問題、故障時対応や機器調整など保守運用の問題など多くの問題発生につながる。
【0009】
また、従来の放送IFで想定されていない2.6GHz超の帯域信号を伝送する場合、同軸ケーブルでは伝送損失が非常に多く、長距離および多分配伝送が困難であるという問題発生につながる。例えば、S−7C−FBの同軸ケーブルで信号を伝送する場合、1GHz帯信号と5GHz帯信号では1メートル当たりの伝送信号減衰量が3倍程度異なる。
【0010】
また、放送信号にはアナログ変調信号とデジタル変調信号と2種類に分類することができるが、アナログ変調信号は、デジタル変調信号と比較して10dB程度良好な品質が要求されるため、1キャリア当たりに配分する変調度が多くなり、電気/光変換部、増幅部に高い線形性を要求することとなる。このようにアナログ変調信号を伝送する場合、構成部へ高い直線性を要求しなければならず、構成品選定が困難となるという問題発生につながる。
【0011】
本発明は上記の事情を鑑みてなされたもので、地上デジタル放送及び複数の衛星放送といった複数種のデジタル放送の再送信について、伝送系統を1系統化し、システムコストを抑え、また増幅器などの多段接続をなくし、安定した品質で放送信号を伝送することのできるデジタル放送信号伝送システムとその送信処理装置及び受信処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るデジタル放送信号伝送システムは、以下のように構成される。
(1)12GHz帯の1または複数のデジタル放送信号を2.6GHz以上の未使用帯域に直接変換する帯域変換手段と、前記帯域変換されたデジタル放送信号を2.6GHz以下の周波数帯域で伝送される他のデジタル放送信号と混合する混合手段と、前記混合されたデジタル放送信号を光信号に変換する電気/光変換手段と、前記光信号を伝送する光伝送手段と、前記光伝送手段によって伝送される光信号を受信して電気信号に変換する光/電気変換手段と、前記受信された光信号から前記混合手段で混合されたデジタル放送信号をそれぞれ分離する分離手段と、前記分離されたデジタル放送信号をそれぞれ対応する放送受信機器の入力周波数帯に変換する周波数変換手段とを具備して構成される。
【0013】
(2)(1)の構成において、特に、前記12GHz帯の1または複数のデジタル放送信号は、JCSAT−3通信衛星放送の12.25GHz〜12.73GHz帯の垂直偏波信号及び12.27GHz〜12.75GHz帯の水平偏波信号、JCSAT−4A通信衛星放送信号の12.25GHz〜12.73GHz帯の垂直偏波信号及び12.27GHz〜12.75GHz帯の水平偏波信号の少なくともいずれかであり、前記2.6GHz以下の周波数帯域で伝送される他のデジタル放送信号は、地上デジタル放送の470MHz〜770MHz帯の放送信号、BS(Broadcast Satellite)放送の1032MHz〜1489MHz帯の放送信号、110度CS(Communication Satellite)放送の1595MHz〜2602MHz帯に変換された右旋・左旋放送信号の少なくともいずれかであることを特徴とする。
【0014】
(3)(1)の構成において、また、前記光伝送手段は、前記光信号を複数系統に分配する光分配手段を備えることを特徴とする。
本発明に係るデジタル放送信号伝送システムの送信処理装置は、以下のように構成される。
(4)12GHz帯の1または複数のデジタル放送信号を2.6GHz以上の未使用帯域に直接変換する帯域変換手段と、前記帯域変換されたデジタル放送信号を2.6GHz以下の周波数帯域で伝送される他のデジタル放送信号と混合する混合手段と、前記混合されたデジタル放送信号を光信号に変換して光伝送路に送出する電気/光変換手段とを具備して構成される。
【0015】
(5)(4)の構成において、前記12GHz帯の1または複数のデジタル放送信号は、JCSAT−3通信衛星放送の12.25GHz〜12.73GHz帯の垂直偏波信号及び12.27GHz〜12.75GHz帯の水平偏波信号、JCSAT−4A通信衛星放送信号の12.25GHz〜12.73GHz帯の垂直偏波信号及び12.27GHz〜12.75GHz帯の水平偏波信号の少なくともいずれかであり、前記2.6GHz以下の周波数帯域で伝送される他のデジタル放送信号は、地上デジタル放送の470MHz〜770MHz帯の放送信号、BS(Broadcast Satellite)放送の1032MHz〜1489MHz帯の放送信号、110度CS(Communication Satellite)放送の1595MHz〜2602MHz帯に変換された右旋・左旋放送信号の少なくともいずれかであることを特徴とする。
【0016】
すなわち、従来では、12GHz帯のデジタル放送信号を受信した場合、伝送線路に使用される同軸ケーブルの特性に合わせて1GHz〜2GHzあたりに帯域を変換しているが、他のデジタル放送信号も合わせて伝送しようとすると、その信号も同様の周波数帯域に変換されているため、そのまま混合することはできない。そこで、本発明は、伝送線路に光ファイバによる光伝送路を用いることを前提に、12GHz帯のデジタル放送信号については2.6GHz以上の未使用帯域に帯域変換し、2.6GHz以下の他のデジタル放送信号と混合できるようにしている。
【0017】
例えば、従来のJCSAT−3通信衛星放送の12.25GHz〜12.73GHz帯の垂直偏波信号及び12.27GHz〜12.75GHz帯の水平偏波信号、JCSAT−4A通信衛星放送信号の12.25GHz〜12.73GHz帯の垂直偏波信号及び12.27GHz〜12.75GHz帯の水平偏波信号を受信するための受信アンテナには、LNB(Low Noise Block Converter)が装着されており、12GHz帯の衛星ダウンリンク信号を伝送線路として用いられる同軸ケーブルの特性に合わせ1GHz〜2GHzあたりに周波数変換している。しかしながら、伝送線路に光ファイバケーブルによる光伝送路を用いればこの限りでなく、さらに高い周波数に変換し、伝送周波数の幅を広げることができる。
【0018】
そこで、本発明では、JCSAT−3通信衛星放送の垂直偏波信号及び水平偏波信号、JCSAT−4A通信衛星放送信号の垂直偏波信号及び水平偏波信号をLNBで直接2.6GHz以上の帯域に変換するようにし、他のデジタル放送信号の帯域と重ならないようにして混合し、光信号に変換して伝送するようにしている。このように、送信処理において混合後すぐに電気/光変換して光伝送手段で伝送するという特徴をもつことで、伝送周波数帯による減衰量格差があるという問題を解消する。また、伝送すべき信号をデジタルに限定するという特徴を有することで、電気/光変換時のチャネル当たりの変調度、全変調度を抑制し、広帯域のデジタル放送信号光伝送をより安易に可能としている。
【発明の効果】
【0019】
以上、本発明によれば、地上デジタル放送及び複数の衛星放送といった複数種のデジタル放送の再送信について、伝送系統を1系統化し、システムコストを抑え、また増幅器などの多段接続をなくし、安定した品質で放送信号を伝送することのできるデジタル放送信号伝送システムとその送信処理装置及び受信処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明に係るデジタル放送伝送システムの構成を示すもので、アンテナ系としては、BS・110度CSデジタル衛星放送受信用パラボラアンテナ(以下、第1衛星デジタルアンテナ)1、地上デジタルTV放送受信用アンテナ(以下、地上デジタルアンテナ)3、CSデジタル衛星放送受信用パラボラアンテナ(以下、第2衛星デジタルアンテナ)6a,6bが用意される。以下、図2に示す、各デジタル放送信号の周波数帯と再送信のための伝送周波数帯との関係を参照しながら、システム構成を説明する。
【0021】
第1衛星デジタルアンテナ1の出力部には周波数コンバータ(LNB:Low Noise Block Converter)2が装着されている。この周波数コンバータ2は、アンテナ1で受けたBS放送の11.71GHz〜12.17GHz帯の信号Bを規定の中間周波数帯1032MHz〜1489MHzに変換し、110度CS放送の12.27GHz〜12.75GHz帯の右旋円偏波信号及び12.25〜12.73GHz帯の左旋円偏波信号Cをそれぞれ規定の中間周波数帯1595MHz〜2071MHz、2126MHz〜2602MHzに変換するためのもので、その出力は地上デジタルアンテナ3で受けた地上デジタル放送信号Aと共にブースター4に送られて混合及び増幅される。以下、この信号を放送信号Gとする。この放送信号は送信処理装置5に送られる。
【0022】
送信処理装置5は、第2衛星デジタルアンテナ6a,6bで受信されたJCSAT−3、JCSAT−4Aの信号をそれぞれ分波部7a,7bに入力して、12.25GHz〜12.73GHz帯の垂直偏波信号(V)と12.27GHz〜12.75GHz帯の水平偏波信号(H)に分離する。分波部7aから出力されるJCSAT−3(V),JCSAT−3(H)はそれぞれ周波数変換部8a,8bで2.6GHz以上の互いに重ならない帯域に周波数変換される。以下、周波数変換後のJCSAT−3(V),JCSAT−3(H)をそれぞれ放送信号D1,D2とする。同様に、分波部7bから出力されるJCSAT−4A(V),JCSAT−4A(H)はそれぞれ周波数変換部8c,8dで2.6GHz以上でかつ放送信号D1,D2以上の、互いに重ならない帯域に周波数変換される。以下、周波数変換後のJCSAT−4A(V),JCSAT−4A(H)をそれぞれ放送信号E1,E2とする。
【0023】
上記放送信号D1,D2は混合部9aで混合されて放送信号D3となり、上記放送信号E1,E2は混合部9bで混合されて放送信号E3となり、両者は混合部10でさらに混合され、増幅部11で増幅されて放送信号Fとなる。
また、上記送信処理装置5は、入力端子12から放送信号Gを取り込み、混合部13で放送信号Fと混合して放送信号Hを生成する。この放送信号Hは電気−光変換部(E/O)14で光信号に変換され、光出力端子15から光ファイバによる光伝送路16に送出される。
【0024】
一方、受信処理装置17は、上記光伝送路16によって光伝送される光信号を光入力端子18から取り込み、光−電気変換部(O/E)19で宅内出力に適した電気信号に変換して放送信号Hを復元する。この放送信号Hは分割部20によって2.6GHz以下の帯域の放送信号Gと2.6GHz以上の帯域の放送信号Fの2系統に分割される。
【0025】
放送信号Gは増幅器23aで増幅されて出力端子24aから分波器25へ出力される。この分波器25は、地上デジタル放送信号とBS・110度CSデジタル放送信号とを分波するもので、共に地上デジタル・BS・110度CSチューナ26に入力され、これによって、地上デジタル放送、BSデジタル放送、110度CS放送それぞれのデジタル放送信号を任意に選局して、テレビジョン受像器(TV)27で視聴可能となる。
【0026】
一方、上記分割部20にて分割された2.6GHz以上の帯域の放送信号Fは分割部21でさらに放送信号D3と放送信号E3に分割される。これらの放送信号D3,E3はそれぞれ周波数変換部22a,22bによって規定の周波数に変換されて放送信号D4,E4となり、増幅部23b,23cで増幅されて、出力端子24b,24cから衛星切替装置28に出力される。衛星切替装置28は、JCSAT−3(V),JCSAT−3(H),JCSAT−4A(V),JCSAT−4A(H)のうち、契約等によって決められた放送信号を選択的するもので、選択された放送信号はCSチューナ29に入力され、これによって任意のチャンネルを選局して、テレビジョン受像器27で視聴可能となる。
【0027】
上記構成において、以下、図2を参照して、その処理動作を説明する。
まず、本システムの送信処理装置5には、図2に示すように、470MHz〜770MHz帯の地上デジタル放送信号(放送信号A)、LNB2によって周波数変換された1032MHz〜1489MHz帯のBS(Broadcast Satellite)放送信号(但し、1336MHz〜1489MHzは拡張領域)(放送信号B)、1595MHz〜2602MHz帯の110度CS(Communication Satellite)右旋(1595MHz〜2071MHz)・左旋(2126MHz〜2602MHz)放送信号(放送信号C)が入力される。ここで、JCSAT−3通信衛星放送信号(放送信号D)及びJCSAT−4A通信衛星放送信号(放送信号E)を入力した際に、同軸ケーブル伝送に適した2.6GHz以下の周波数帯に変換してしまうと、地上デジタル放送、BS・110度CSデジタル放送の信号と重複してしまうため、混合して1系統(同じ伝送線路)での伝送が不可能となる。
【0028】
そこで、本発明では、放送信号D,Eをそれぞれ中間周波数帯に変換することなく、直接、未使用周波数帯域である2.6GHz以上の高周波数帯域に、互いに重複しないように周波数変換して、他の放送信号と混合する。これにより、同軸ケーブルでは伝送困難となった信号となるが、ここでは電気信号から光信号に変換して、光ファイバ16による光伝送で行うため、伝送周波数帯による減衰量格差があるという問題は解消されている。また、伝送すべき信号をデジタルに限定することで、電気/光変換時のチャネル当たりの変調度、全変調度を抑制し、広帯域のデジタル放送信号光伝送をより安易に可能となっている。
【0029】
以上のように、本実施形態のデジタル放送信号伝送システムは、1系統の伝送構成により全てのデジタル放送を伝送できるため、伝送媒体の少数化、装置構成の少数化によるコスト低減が図られる。また、広周波数帯域に渡る信号を光伝送手段で伝送するため、低損失かつ外部からの電気ノイズを受けない信頼性の高い伝送が行える。
【0030】
(実施例)
図3は、図1に示したデジタル放送信号伝送システムを集合住宅に適用した場合の構成を示す図である。尚、図3において、図1と同一部分には同一符号を付して示す。
図3において特徴とする点は、光ファイバ16の途中に光増幅器31及び光スプリッタ32を介在させ、送信処理装置5から送出される光信号を増幅して複数系統に分岐し、例えば各戸に伝送するようにした点にある。また、ここでは、各戸において、受信処理装置17から出力された各放送信号は同軸ケーブル33a,33b,33cを介して、宅内配線設備である分配器34a,34b,34cなどを経て、テレビ端子35a,35b,35cから出力され、各々の系統にあるチューナ25、衛星切替装置28に入力される。
【0031】
上記構成による放送信号伝送システムでは、中間に光増幅器31、光スプリッタ32を備えることにより、複数の受信処理装置への信号伝送が容易に行える。また、宅内側ではセットトップボックスなどの専用装置を必要とせず、通常のテレビジョン受像機と同様に扱うことができる。
【0032】
さらに、集合住宅であって超高速ブロードバンド回線(FTTH)がすでに敷設されている場合には、同伝送媒体を共用することにより、例えば集合住宅の棟内における情報通信インフラのトータルコストを低減することができる。
図4に上記実施例の場合の光伝送時の周波数帯域区分を示す。このように、互いに重ならない周波数帯域に配置された結果、同軸ケーブルでは既に不可能な帯域となっているが、本実施例では光ファイバによる光伝送を採用するため、広帯域伝送を低損失で実現可能となる。
【0033】
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係るデジタル放送信号伝送システムの一実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】図1のシステムで受信可能とするデジタル放送信号の種類とそれぞれの帯域を説明するための図。
【図3】図1のデジタル放送信号伝送システムを集合住宅に適用した場合の実施例の構成を示すブロック図。
【図4】図3に示すシステムで生成される光信号上の放送信号それぞれの周波数区分を示す図。
【符号の説明】
【0035】
1…BS・110度CSデジタル衛星放送受信用パラボラアンテナ(第1衛星デジタルアンテナ)、
2…周波数コンバータ、
3…地上デジタルTV放送受信用アンテナ(地上デジタルアンテナ)、
4…ブースター、
5…送信処理装置、
6a,6b…CSデジタル衛星放送受信用パラボラアンテナ(第2衛星デジタルアンテナ)、
7a,7b…分波部、
8a,8b,8c,8d…周波数変換部、
9a,9b,10,13…混合部、
11…増幅部、
12…入力端子、
14…電気−光変換部(E/O)、
15…光出力端子、
16…光伝送路、
17…受信処理装置、
18…光入力端子、
19…光−電気変換部(O/E)、
20,21…分割部、
22a,22b…周波数変換部、
23a,23b,23c…増幅部、
24a,24b,24c…出力端子、
25…分波器、
26…地上デジタル・BS・110度CSチューナ、
27…テレビジョン受像器(TV)、
28…衛星切替装置、
29…CSチューナ、
31…光増幅器、
32…光スプリッタ、
33a,33b,33c…同軸ケーブル、
34a,34b,34c…分配器、
35a,35b,35c…テレビ端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
12GHz帯の1または複数のデジタル放送信号を2.6GHz以上の未使用帯域に直接変換する帯域変換手段と、
前記帯域変換されたデジタル放送信号を2.6GHz以下の周波数帯域で伝送される他のデジタル放送信号と混合する混合手段と、
前記混合されたデジタル放送信号を光信号に変換する電気/光変換手段と、
前記光信号を伝送する光伝送手段と、
前記光伝送手段によって伝送される光信号を受信して電気信号に変換する光/電気変換手段と、
前記受信された光信号から前記混合手段で混合されたデジタル放送信号をそれぞれ分離する分離手段と、
前記分離されたデジタル放送信号をそれぞれ対応する放送受信機器の入力周波数帯に変換する周波数変換手段と
を具備することを特徴とするデジタル放送信号伝送システム。
【請求項2】
前記12GHz帯の1または複数のデジタル放送信号は、JCSAT−3通信衛星放送の12.25GHz〜12.73GHz帯の垂直偏波信号及び12.27GHz〜12.75GHz帯の水平偏波信号、JCSAT−4A通信衛星放送信号の12.25GHz〜12.73GHz帯の垂直偏波信号及び12.27GHz〜12.75GHz帯の水平偏波信号の少なくともいずれかであり、前記2.6GHz以下の周波数帯域で伝送される他のデジタル放送信号は、地上デジタル放送の470MHz〜770MHz帯の放送信号、BS(Broadcast Satellite)放送の1032MHz〜1489MHz帯の放送信号、110度CS(Communication Satellite)放送の1595MHz〜2602MHz帯に変換された右旋・左旋放送信号の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1記載のデジタル放送信号伝送システム。
【請求項3】
前記光伝送手段は、前記光信号を複数系統に分配する光分配手段を備えることを特徴とする請求項1記載のデジタル放送信号伝送システム。
【請求項4】
12GHz帯の1または複数のデジタル放送信号を2.6GHz以上の未使用帯域に直接変換する帯域変換手段と、
前記帯域変換されたデジタル放送信号を2.6GHz以下の周波数帯域で伝送される他のデジタル放送信号と混合する混合手段と、
前記混合されたデジタル放送信号を光信号に変換して光伝送路に送出する電気/光変換手段と
を具備することを特徴とするデジタル放送信号伝送システムの送信処理装置。
【請求項5】
前記12GHz帯の1または複数のデジタル放送信号は、JCSAT−3通信衛星放送の12.25GHz〜12.73GHz帯の垂直偏波信号及び12.27GHz〜12.75GHz帯の水平偏波信号、JCSAT−4A通信衛星放送信号の12.25GHz〜12.73GHz帯の垂直偏波信号及び12.27GHz〜12.75GHz帯の水平偏波信号の少なくともいずれかであり、前記2.6GHz以下の周波数帯域で伝送される他のデジタル放送信号は、地上デジタル放送の470MHz〜770MHz帯の放送信号、BS(Broadcast Satellite)放送の1032MHz〜1489MHz帯の放送信号、110度CS(Communication Satellite)放送の1595MHz〜2602MHz帯に変換された右旋・左旋放送信号の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項4記載のデジタル放送信号伝送システムの送信処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−295497(P2006−295497A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−112551(P2005−112551)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】