説明

デジタル放送受信機、表示端末およびデジタル放送受信システム

【課題】複数のデジタル放送受信機とネットワークを介して接続された表示端末において、デジタル放送受信機で選局されていないチャンネルを表示端末で視聴する。
【解決手段】送受信部30は、ワンセグ放送および12セグメント放送を含むデジタル放送を受信可能に構成されたセットトップボックスSTBからネットワークを介して送信される、ワンセグ放送のトランスポートストリームを受け取る。切換指示部24は、セットトップボックスに対して、ワンセグ放送または12セグメント放送のトランスポートストリームの出力先の切り換えを指示する切換指示信号を送信する。切換指示部24は、複数のセットトップボックスにおいて同一のチャンネルが選局中である場合に、いずれか一つの受信機に対して、同一のチャンネルを選局中の別の受信機に宛ててそのチャンネルの12セグメント放送のトランスポートストリームを送信するように指示する切換指示信号を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上デジタル放送の受信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタル放送では、現在、1チャンネルを13のセグメントに分け、そのうち12セグメントで通常のデジタル放送を、残りの1セグメントでいわゆるワンセグメント放送(以下、ワンセグ放送と呼ぶこともある)として送信している。ワンセグ放送は、主に携帯端末や車載端末向けの簡易動画放送として利用されている。
【0003】
このようなワンセグ放送の利用形態として、例えば特許文献1では、屋内等でもワンセグ放送を高品質で受信できるようにするために、ワンセグメント放送を帯域内に含むOFDMデジタル放送を有線伝送路に送出する送出手段を送出側に備え、有線伝送路で伝送されたワンセグメント放送を携帯受信端末に無線接続する中継装置を受信側に備える、ワンセグメント放送システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−034898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、受信側の中継装置で選局中のチャンネル以外は携帯受信端末で視聴することができない。また、中継装置の電源がオフであれば、携帯受信端末でも当然放送を視聴することができない。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、表示端末およびこの表示端末とネットワークを介して接続された複数のデジタル放送受信機を利用して、表示端末においてユーザが所望するワンセグメント放送のチャンネルを可能な限り視聴可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、デジタル放送の表示端末である。この表示端末は、ワンセグメント放送を含む地上デジタル放送を受信可能に構成されたデジタル放送受信機からネットワークを介して送信される、ワンセグメント放送のトランスポートストリームを受け取るチューナ部と、ワンセグメント放送のトランスポートストリームを復号する復号部と、デジタル放送受信機に対して、ワンセグメント放送またはワンセグメント放送以外の地上デジタル放送のトランスポートストリームの出力先の切り換えを指示する切換指示信号を送信する切換指示部と、ネットワークを介して接続されている複数のデジタル放送受信機における電源のオンオフ状態および選局中のチャンネルの情報を少なくとも含むステータスを取得するステータス取得部と、を備える。切換指示部は、ステータスを参照して、複数のデジタル放送受信機のうち二つ以上のデジタル放送受信機において同一のチャンネルが選局中である場合に、いずれか一つのデジタル放送受信機に対して、同一のチャンネルを選局中の別のデジタル放送受信機に宛ててそのチャンネルのワンセグメント放送以外の地上デジタル放送のトランスポートストリームを送信するように指示する切換指示信号を送信する。
【0008】
この態様によると、一つの受信機で受信されたワンセグメント放送以外の地上デジタル放送(例えば12セグメント放送)のトランスポートストリームを二台の受信機でそれぞれ復号することができるため、トランスポートストリームを受信する側の受信機では、同一のチャンネルを視聴する限り12セグメント放送を受信する必要がなくなる。
【0009】
別のデジタル放送受信機に対して、現在選局中のチャンネルと異なるチャンネルに切り換えるように指示する選局指示信号を送信する選局指示部をさらに備えてもよい。この場合、切換指示部は、別のデジタル放送受信機に対して、切り換え後のチャンネルにおけるワンセグメント放送のトランスポートストリームの出力先を当該表示端末に切り換えるように指示する切換指示信号を送信してもよい。
【0010】
これによると、ワンセグメント放送以外の地上デジタル放送を受信する必要がなくなった受信機において別のチャンネルを選局して、そのワンセグ放送のトランスポートストリームを表示端末に送ることができる。したがって、表示端末において、当初は受信機で選局されていなかったチャンネルのワンセグ放送を視聴することが可能になる。
【0011】
ステータスには、対応するデジタル放送受信機の使用状況を表す情報がさらに含まれており、切換指示部は、使用状況を参照して、いずれのデジタル放送受信機に対して切換指示信号を送信すべきかを決定してもよい。
【0012】
本発明の別の態様は、デジタル放送受信機である。この受信機は、ワンセグメント放送を含む地上デジタル放送のうちの一つのチャンネルに選局し、選局したデジタル放送を受信するチューナ部と、受信したワンセグメント放送またはワンセグメント放送以外の地上デジタル放送の出力先を切り換える出力先切換部と、ワンセグメント放送以外の地上デジタル放送のトランスポートストリームを復号する復号部と、ワンセグメント放送のトランスポートストリームを、ネットワークを介してワンセグメント放送を再生可能な表示端末に向けて送信する送信部と、を備える。選局中のチャンネルと同一のチャンネルを選局している別のデジタル放送受信機がある場合、出力先切換部は、表示端末から与えられる指示に応じて、選局中のチャンネルのワンセグメント放送以外の地上デジタル放送のトランスポートストリームを別のデジタル放送受信機に宛てて送信する。
【0013】
出力先切換部は、別のデジタル放送受信機から送信されたワンセグメント放送以外の地上デジタル放送のトランスポートストリームを復号部に出力し、表示端末から与えられる指示に応じて、チューナ部は、選局中のチャンネルとは異なるチャンネルを選局し、出力先切換部は、切り換え後のチャンネルにおけるワンセグメント放送のトランスポートストリームを表示端末に向けて送信してもよい。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、互いにネットワーク接続された複数のデジタル放送受信機と表示端末とを含むデジタル放送受信システムである。デジタル放送受信機は、ワンセグメント放送を含む地上デジタル放送のうちの一つのチャンネルに選局し、選局したデジタル放送を受信するチューナ部と、受信したワンセグメント放送またはワンセグメント放送以外の地上デジタル放送の出力先を切り換える出力先切換部と、ワンセグメント放送以外の地上デジタル放送のトランスポートストリームを復号する復号部と、ワンセグメント放送のトランスポートストリームを、ネットワークを介してワンセグメント放送を再生可能な表示端末に向けて送信する送信部と、を備える。表示端末は、デジタル放送受信機からネットワークを介して送信される、ワンセグメント放送のトランスポートストリームを受け取る受信部と、ワンセグメント放送のトランスポートストリームを復号するワンセグ復号部と、デジタル放送受信機に対して、ワンセグメント放送またはワンセグメント放送以外の地上デジタル放送のトランスポートストリームの出力先の切り換えを指示する切換指示信号を送信する切換指示部と、各デジタル放送受信機における電源のオンオフ状態および選局中のチャンネルの情報を少なくとも含むステータスを取得するステータス取得部と、を備える。同一のチャンネルを選局している二つ以上のデジタル放送受信機がある場合、表示端末の切換指示部は、いずれか一つのデジタル放送受信機に対して、同一のチャンネルを選局中の別のデジタル放送受信機に宛ててそのチャンネルのワンセグメント放送以外の地上デジタル放送のトランスポートストリームを送信するように指示する切換指示信号を送信し、デジタル放送受信機の出力先切換部は、切換指示信号に応じて、選局中のチャンネルのワンセグメント放送以外の地上デジタル放送のトランスポートストリームを別のデジタル放送受信機に宛てて送信する。
【0015】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、表示端末およびこの表示端末とネットワークを介して接続された複数のデジタル放送受信機を利用して、表示端末においてユーザが所望するワンセグメント放送のチャンネルを可能な限り視聴させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る表示端末とセットトップボックスからなるシステムの概略構成図である。
【図2】ネットワーク接続されている全てのセットトップボックスの電源がオフである場合に、表示端末でワンセグ放送を視聴する例を示す図である。
【図3】ネットワーク接続されている全てのセットトップボックスの電源がオンであり、かつ全てのセットトップボックスで異なるチャンネルが選局されている場合に、表示端末でワンセグ放送を視聴する例を示す図である。
【図4】ネットワーク接続されている全てのセットトップボックスの電源がオンであり、かつ二つ以上のセットトップボックスで同じチャンネルが選局されている場合に、表示端末でワンセグ放送を視聴する例を示す図である。
【図5】表示端末における動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る表示端末10とセットトップボックスSTBからなる地上デジタル放送受信システム100の概略構成図である。表示端末10とセットトップボックスSTBは、LAN(Local Area Network)、インターネット等のネットワーク12を介して接続される。なお、ネットワーク12と表示端末10との間、およびセットトップボックスSTBとネットワーク12との間は、有線接続または無線接続のいずれであってもよい。
【0019】
セットトップボックスSTBは、ワンセグメント放送を帯域内に含むOFDMデジタル放送を受信する。OFDM変調されたデジタル放送には、12セグメント放送とワンセグメント放送(以下「ワンセグ」と呼ぶ)が含まれている。セットトップボックスSTBは、地上デジタル放送対応チューナのみを有するものであってもよいし、録画機能等の別の機能を備えてもよい。いわゆる地上デジタル放送対応テレビまたはレコーダのように、テレビ受像機またはレコーダに内蔵されていてもよい。
【0020】
セットトップボックスSTBは、OFDM復調後のトランスポートストリーム(Transport Stream、以下「TS」と呼ぶ)内の12セグメント放送を、セットトップボックスに接続されたテレビ受像機TVに対して出力するように構成される。さらに、セットトップボックスSTBは、この出力と同時に、外部からの指令に応答して、TS内のワンセグをネットワーク12上に送信することができるように構成されている。
【0021】
表示端末10は、ネットワーク接続機能と、ワンセグを再生するためのディスプレイと、セットトップボックスに対するユーザの指示を入力するためのボタン等の操作部を少なくとも備える電子機器である。表示端末自身は、ワンセグを受信するためのアンテナおよびチューナを備えていない。代わりに、表示端末10は、セットトップボックスSTBで受信されたワンセグをネットワーク経由で取得し、それを表示端末上で再生することができるように構成されている。
【0022】
図1には、セットトップボックスSTBと表示端末10の詳細な構成を示すブロック図も描かれている。この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIなどで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0023】
セットトップボックスSTBは、チューナ部44、OFDM復調部46、出力先切換部48、送受信制御部50、TS復号部52、出力部54、電源制御部56およびステータス作成部58を含む。
【0024】
チューナ部44は、アンテナ40が受信したデジタル放送波のうち、所望の周波数のデジタル放送波へチューニングを行って、このチューニングしたデジタル放送波からOFDM信号を抽出する。
【0025】
なお、チューニングは、後述するように、表示端末10から送られる選局指示信号に応じて、対応するチャンネルの周波数に設定することで行われる。
【0026】
OFDM復調部46は、チューナ部44で抽出されたOFDM信号を復調し、得られたTSを出力先切換部48に送る。
【0027】
出力先切換部48は、OFDM復調部46から送られる12セグメント放送のTSをTS復号部52に送る。また、後述するように、表示端末10から送られる切換指示信号に応じて、OFDM復調部46から送られた12セグメントまたはワンセグのTSを送受信制御部50に渡す。さらに、後述するように、ネットワーク12を介して他のセットトップボックスから送られてきた12セグメント放送のTSを、TS復号部52に送る。
【0028】
TS復号部52は、12セグメント放送のTSを復号し、通常のテレビ受像機で視聴可能な信号に変換して、出力部54に送る。出力部54は、12セグメント放送をテレビ受像機TVに出力する。
【0029】
送受信制御部50は、ネットワーク12を介して表示端末10から送られる各種の指示信号を対応するブロックに送出する。また、他のセットトップボックスから送られて来た12セグメント放送のTSを、出力先切換部48に渡す。
【0030】
電源制御部56は、表示端末10から送られる電源指示信号に応じて、セットトップボックスの主電源をオン/オフする。
【0031】
ステータス作成部58は、セットトップボックスSTBの作動状態に関する情報であるステータスを取得し、図示しないメモリに格納する。ステータスには、ネットワーク上でセットトップボックスを識別するための情報(例えば、IP(Internet Protocol)アドレスまたはMAC(Media Access Control)アドレス)、主電源のオン/オフ、選局中のチャンネルが少なくとも含まれる。セットトップボックスにおけるチャンネルの切り換え頻度、現在選局中のチャンネルの継続選局時間、録画中か否か等の情報がさらに含まれてもよい。
【0032】
なお、主電源がオフであっても、副電源によって、送受信制御部50、電源制御部56およびステータス作成部58は動作しているものとする。
【0033】
表示端末10は、操作部14、制御部20、送受信部30、TS復号部32、出力部34およびディスプレイ36を含む。
【0034】
操作部14は、ユーザによるセットトップボックスの遠隔操作を入力するためのボタン等の手段を備えており、操作内容を信号に変えて制御部20に送る。
【0035】
制御部20は、電源指示部22、切換指示部24、選局指示部26およびステータス取得部28を含む。
【0036】
電源指示部22は、ユーザによる操作に応じて、指定されたセットトップボックスの電源制御部56に対して電源オンを指示する電源指示信号を送信する。
【0037】
切換指示部24は、ユーザによる操作に応じて、指定されたセットトップボックスの出力先切換部48に対してワンセグのTSをネットワーク上に送出するように指示する切換指示信号を送信する。
【0038】
選局指示部26は、ユーザによる操作に応じて、指定されたセットトップボックスのチューナ部44に対して指定のチャンネルに切り換えるように指示する選局指示信号を送信する。選局指示信号には、ネットワーク上で表示端末10を識別するための情報(例えば、IPアドレスまたはMACアドレス)が含まれている。
【0039】
ステータス取得部28は、ユーザによる操作に応じて、ネットワーク12に接続されているセットトップボックスを検索し、各セットトップボックスのステータス作成部58に記録されているステータスを送信するよう指示するステータス取得信号を送信する。
【0040】
送受信部30は、制御部20から発せられる各信号をネットワーク12に送信する。また、ネットワーク12を介してセットトップボックスから送られてきたワンセグのTSをTS復号部32に渡す。
【0041】
TS復号部32は、ワンセグのTSを復号して、出力部34に送る。出力部34は、ワンセグをディスプレイ36上で再生する。また、出力部34は、ステータス取得部28で取得されたステータスの内容をディスプレイ36上に表示する。
【0042】
次に、図2ないし4を参照して、本実施形態に係るセットトップボックスSTBと表示端末10の動作を説明する。
【0043】
図2〜4に共通して、各セットトップボックスSTB1〜3は、それぞれ一台のテレビ受像機TV1〜3に接続されている。各テレビ受像機TV1〜3には、それぞれ別の視聴者が存在している。また、各セットトップボックスSTB1〜3は、ネットワーク12を介して表示端末10と接続されている。ユーザは、表示端末10を使用し、STB1〜3のいずれかによって受信されたワンセグを視聴する。
【0044】
図2は、表示端末10とネットワーク接続されている全てのセットトップボックスSTB1〜3の電源がオフである場合に、表示端末10でワンセグ放送を視聴する例を示す。
【0045】
表示端末10のステータス取得部28が、ネットワークに接続されている全てのセットトップボックスSTB1〜3のステータスを取得し、表示端末10のディスプレイ上に表示する。ユーザがいずれかのセットトップボックスの電源をオンにするようボタン等を操作すると、電源指示部22がそのセットトップボックスの識別情報を含む電源指示信号を送信する。電源指示信号に応じて、指定されたセットトップボックス(図2では、STB3)の電源制御部56は電源をオンにする。
【0046】
ユーザがいずれかのチャンネル(例えば6ch)を選択する操作をすると、選局指示部26がそのチャンネルを指定する選局指示信号を送信するとともに、切換指示部24がワンセグのTSを表示端末10に送信するよう指示する切換指示信号を送信する。セットトップボックスSTB3のチューナ部44は、選局指示信号で指示されたチャンネルに周波数を変える。また、出力先切換部48は、ワンセグのTSをネットワーク12に送出する。これによって、セットトップボックスSTB3で受信されたワンセグを表示端末10で視聴することができる。
【0047】
図3は、表示端末10とネットワーク接続されている全てのセットトップボックスSTB1〜3の電源がオンであり、かつ全てのセットトップボックスで異なるチャンネルが選局されている場合に、表示端末10でワンセグ放送を視聴する例を示す。図3の例では、STB1では8chが、STB2では6chが、STB3では10chが、それぞれ選局されている。対応するテレビ受像機TV1〜3では、各チャンネルの12セグメント放送が再生されている。なお、テレビ受像機の画面内の記号は、画面で再生中の番組を区別するために示されている。
【0048】
表示端末10のステータス取得部28が、ネットワークに接続されている全てのセットトップボックスSTB1〜3のステータスを取得し、表示端末10のディスプレイ上に表示する。ユーザがいずれかのチャンネル(例えば10ch)を選択する操作をすると、切換指示部24は、10chを選局しているセットトップボックスSTB3に対して、ワンセグのTSをネットワークを介して表示端末10に送信するよう指示する切換指示信号を送信する。セットトップボックスSTB3の出力先切換部48は、ワンセグのTSをネットワーク12に送出する。これによって、セットトップボックスSTB3で受信されたワンセグを表示端末10で視聴することができる。
【0049】
図4は、表示端末10とネットワーク接続されている全てのセットトップボックスSTB1〜3の電源がオンであり、かつ二つ以上のセットトップボックスで同じチャンネルが選局されている場合に、表示端末10でワンセグ放送を視聴する例を示す。図4の例では、セットトップボックスSTB1およびSTB2で同一のチャンネル(8ch)が選局されており、セットトップボックスSTB3では異なるチャンネル(10ch)が選局されている。対応するテレビ受像機TV1〜3では、各チャンネルの12セグメント放送が再生されている。
【0050】
表示端末10のステータス取得部28が、ネットワークに接続されている全てのセットトップボックスSTB1〜3のステータスを取得し、表示端末10のディスプレイ上に表示する。ユーザが、同じチャンネルを選択しているSTB1、STB2のうちいずれか一つ(図4ではSTB1)を選択する操作をすると、切換指示部24は、セットトップボックスSTB1に対して、12セグメントのTSをセットトップボックスSTB2に向けて送出するよう指示する切換指示信号を送信する。この切換指示信号には、セットトップボックスSTB2を識別するための情報が含まれている。
【0051】
セットトップボックスSTB1の出力先切換部48は、12セグメントのTSをネットワーク12に送出する。このとき、出力先切換部48は、TS復号部52にも同じTSを渡すことに注意する。したがって、テレビ受像機TV1では、引き続き同じチャンネル(8ch)の12セグメント放送を視聴することができる。
【0052】
セットトップボックスSTB2の送受信制御部50は、ネットワーク12を介して12セグメントのTSを受け取り、出力先切換部48に渡す。出力先切換部48は、12セグメントのTSをTS復号部52に渡す。これにより、セットトップボックスSTB2に接続されたテレビ受像機TV2では、引き続き同じチャンネル(8ch)の12セグメント放送を視聴することができる。上記の処理によって、セットトップボックスSTB2のチューナ部44は、8chのデジタル放送を受信する必要がなくなる。
【0053】
この状態で、ユーザが表示端末10においていずれかのチャンネル(例えば6ch)を選択する操作をすると、選局指示部26がそのチャンネルを指定する選局指示信号をセットトップボックスSTB2に送信するとともに、切換指示部24がワンセグのTSを表示端末10に送信するよう指示する切換指示信号をセットトップボックスSTB2に送信する。セットトップボックスSTB2のチューナ部44は、選局指示信号で指示されたチャンネル(6ch)に周波数を変える。また、出力先切換部48は、ワンセグのTSをネットワーク12に送出する。これによって、セットトップボックスSTB2で受信されたワンセグを表示端末10で視聴することができる。
【0054】
このように、図4の例では、当初はいずれのセットトップボックスでも選局されていなかったチャンネルのワンセグを表示端末で視聴することができる。
【0055】
図4に関する上記の説明では、12セグメントのTSをネットワークに送出するセットトップボックスをユーザが選択することを述べたが、切換指示部24が自動的に決定するようにしてもよい。例えば、ステータス取得部28によって取得されたステータスを参照し、チャンネルの切り換え頻度が最も少ないセットトップボックスを特定し、この特定されたセットトップボックスから12セグメントのTSをネットワークに送出させる切換指示信号を送信してもよい。または、ステータスを参照し、録画中であるセットトップボックスを特定し、この特定されたセットトップボックスから12セグメントのTSをネットワークに送出させる切換指示信号を送信してもよい。このようにするのは、TS送出側のセットトップボックスSTB1でチャンネルが切り換えられると、TS受取側のセットトップボックスSTB2に接続されているテレビ受像機TV2でもチャンネルが変わってしまうため、なるべくチャンネルの切り換えられる可能性の少ないセットトップボックスをTS送出側にすることが好ましいからである。
【0056】
また、図4の例において、ステータスの継続監視によってセットトップボックスSTB1でチャンネルが切り換えられたことを検知したら、直ちに図3の例に戻すようにしてもよい。具体的には、STB1のチャンネルが切り換えられたことを検知すると、表示端末10の切換指示部24は、セットトップボックスSTB1の出力先切換部48に対して、12セグメントのTSの送信先をTS復号部52に戻すよう指示する切換指示信号を送信する。さらに、選局指示部26は、セットトップボックスSTB2のチューナ部44に対して、以前に選局していたチャンネルに戻すよう指示する選局指示信号を送信する。
【0057】
図5は、表示端末10における動作を説明するフローチャートである。
【0058】
表示端末10のステータス取得部28は、ネットワーク12に接続されている全てのセットトップボックスを検索し、それぞれのステータスを取得する(S10)。出力部34は、検索されたセットトップボックスのステータスを表示端末10のディスプレイ上に表示する。
【0059】
電源オフのセットトップボックスが存在する場合(S12のY)、ユーザは、表示されたセットトップボックスの中からいずれか一つを選択し、またそのセットトップボックスで選局するチャンネルを決定する(S20)。これに応じて、表示端末10の電源指示部22および選局指示部26から、選択されたセットトップボックスに対して、電源指示信号および選局指示信号が送信される。その後、セットトップボックスで選局されたチャンネルのTSを送受信部30が受け取り、TS復号部32による復号の後、ディスプレイ36でワンセグを再生する(S28)。
【0060】
S12において、電源オフのセットトップボックスが存在しない場合(S12のN)、さらにステータスを参照して、同じチャンネルを選局しているセットトップボックスが二台以上あるか否かを判定する(S14)。同じチャンネルを選局しているセットトップボックスが存在しない場合、すなわち全てのセットトップボックスで異なるチャンネルを選局している場合(S14のN)、表示端末10は、各セットトップボックスで選局中のチャンネルをディスプレイ上に表示する(S24)。ユーザがいずれかのチャンネルを選択すると、選択したチャンネルを再生中のセットトップボックスに対して、切換指示部24から切換指示信号が送信される(S26)。これに応じて、セットトップボックスの出力先切換部48がワンセグのTSを表示端末10に向けて送出する。その後、のTSを送受信部30が受け取り、TS復号部32による復号の後、ディスプレイ36でワンセグを再生する(S28)。
【0061】
S14において、同じチャンネルを選局している複数のセットトップボックスが存在する場合(S14のY)、表示端末10は、同じチャンネルを選局しているセットトップボックスを特定するための情報をディスプレイ上に表示する(S16)。続いて、いずれかのセットトップボックスを選択する(S18)。この選択は、ユーザが行ってもよいし、切換指示部24が自動で行ってもよい。ユーザが行う場合は、表示されたセットトップボックスの中からいずれか一つを選択し、またそのセットトップボックスで選局するチャンネルを決定する(S20)。自動で行う場合は、切換指示部24は、ステータス取得部28で取得されたステータスに基づきいずれか一つのセットトップボックスを選択した上で、ユーザに所望のチャンネルを選択させる(S22)。これに応じて、表示端末10の切換指示部24および選局指示部26から、上述した切換指示信号および選局指示信号がセットトップボックスに送信される。その後、セットトップボックスで選局されたチャンネルのTSを送受信部30が受け取り、TS復号部32による復号の後、ディスプレイ36でワンセグを再生する(S28)。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、ネットワーク接続されているセットトップボックスに対して、表示端末から各種の指示信号を発することができる。例えば、電源がオフになっているセットトップボックスがある場合は、表示端末からの指令により電源をオンにして、所望のチャンネルを選局させて、そのワンセグを受信することができる。
【0063】
また、全てのセットトップボックスが電源オンであり、異なるチャンネルが選局されている場合には、表示端末でいずれか一つのセットトップボックスを選択することで、そのセットトップボックスで選局中のチャンネルのワンセグを受信することができる。
【0064】
また、ネットワーク接続されているセットトップボックスで同じチャンネルが選局されている場合には、いずれか一つのセットトップボックスで処理された12セグメントのTSを他のセットトップボックスにも配信することで、他のセットトップボックスで異なるチャンネルを表示端末からの指令により選局させることができる。この場合、当初選局されていなかったチャンネルのワンセグを表示端末上で視聴することが可能になる。
【0065】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0066】
実施の形態では、ネットワークを介してワンセグのTSを表示端末に送信することを述べたが、表示端末が12セグメント放送を再生可能なものであれば、12セグメントのTSをネットワークを介して送信し、表示端末がこれを再生するようにしてもよい。
【0067】
実施の形態では、セットトップボックスが12セグメント放送とワンセグメント放送を含む地上デジタル放送を受信することを述べた。しかしながら、将来的に、地上デジタル放送の13セグメントのうち一部(例えば8〜10セグメント)が広帯域放送に、残り(例えば3〜5セグメント)が狭帯域放送に割り当てられることも考えられる。このような場合でも、上述の実施の形態の説明における12セグメント放送の代わりに広帯域放送を、ワンセグメント放送の代わりに狭帯域放送を使用することで、本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 表示端末、 20 制御部、 22 電源指示部、 24 切換指示部、 26 選局指示部、 28 ステータス取得部、 30 送受信部、 32 TS復号部、 36 ディスプレイ、 44 チューナ部、 48 出力先切換部、 50 送受信制御部、 52 TS復号部、 56 電源制御部、 58 ステータス作成部、 STB1〜3 セットトップボックス、 TV1〜3 テレビ受像機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワンセグメント放送を含む地上デジタル放送を受信可能に構成されたデジタル放送受信機からネットワークを介して送信される、ワンセグメント放送のトランスポートストリームを受け取るチューナ部と、
ワンセグメント放送のトランスポートストリームを復号する復号部と、
前記デジタル放送受信機に対して、ワンセグメント放送またはワンセグメント放送以外の地上デジタル放送のトランスポートストリームの出力先の切り換えを指示する切換指示信号を送信する切換指示部と、
ネットワークを介して接続されている複数のデジタル放送受信機における電源のオンオフ状態および選局中のチャンネルの情報を少なくとも含むステータスを取得するステータス取得部と、を備え、
前記切換指示部は、前記ステータスを参照して、前記複数のデジタル放送受信機のうち二つ以上のデジタル放送受信機において同一のチャンネルが選局中である場合に、いずれか一つのデジタル放送受信機に対して、同一のチャンネルを選局中の別のデジタル放送受信機に宛ててそのチャンネルのワンセグメント放送以外の地上デジタル放送のトランスポートストリームを送信するように指示する切換指示信号を送信することを特徴とする表示端末。
【請求項2】
前記別のデジタル放送受信機に対して、現在選局中のチャンネルと異なるチャンネルに切り換えるように指示する選局指示信号を送信する選局指示部をさらに備え、
前記切換指示部は、前記別のデジタル放送受信機に対して、切り換え後のチャンネルにおけるワンセグメント放送のトランスポートストリームの出力先を当該表示端末に切り換えるように指示する切換指示信号を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示端末。
【請求項3】
前記ステータスには、対応するデジタル放送受信機の使用状況を表す情報がさらに含まれており、
前記切り換え指示部は、前記使用状況を参照して、いずれのデジタル放送受信機に対して前記切換指示信号を送信すべきかを決定することを特徴とする請求項2に記載の表示端末。
【請求項4】
ワンセグメント放送を含む地上デジタル放送のうちの一つのチャンネルに選局し、選局したデジタル放送を受信するチューナ部と、
受信したワンセグメント放送またはワンセグメント放送以外の地上デジタル放送の出力先を切り換える出力先切換部と、
ワンセグメント放送以外の地上デジタル放送のトランスポートストリームを復号する復号部と、
ワンセグメント放送のトランスポートストリームを、ネットワークを介してワンセグメント放送を再生可能な表示端末に向けて送信する送信部と、を備え、
選局中のチャンネルと同一のチャンネルを選局している別のデジタル放送受信機がある場合に、前記出力先切換部は、前記表示端末から与えられる指示に応じて、前記選局中のチャンネルのワンセグメント放送以外の地上デジタル放送のトランスポートストリームを前記別のデジタル放送受信機に宛てて送信することを特徴とするデジタル放送受信機。
【請求項5】
前記出力先切換部は、別のデジタル放送受信機から送信されたワンセグメント放送以外の地上デジタル放送のトランスポートストリームを前記復号部に出力し、
前記表示端末から与えられる指示に応じて、前記チューナ部は、選局中のチャンネルとは異なるチャンネルを選局し、
前記出力先切換部は、切り換え後のチャンネルにおけるワンセグメント放送のトランスポートストリームを前記表示端末に向けて送信する
ことを特徴とする請求項4に記載のデジタル放送受信機。
【請求項6】
互いにネットワーク接続された複数のデジタル放送受信機と表示端末とを含むデジタル放送受信システムであって、
前記デジタル放送受信機は、
ワンセグメント放送を含む地上デジタル放送のうちの一つのチャンネルに選局し、選局したデジタル放送を受信するチューナ部と、
受信したワンセグメント放送またはワンセグメント放送以外の地上デジタル放送の出力先を切り換える出力先切換部と、
ワンセグメント放送以外の地上デジタル放送のトランスポートストリームを復号する復号部と、
ワンセグメント放送のトランスポートストリームを、ネットワークを介してワンセグメント放送を再生可能な表示端末に向けて送信する送信部と、を備え、
前記表示端末は、
前記デジタル放送受信機からネットワークを介して送信される、ワンセグメント放送のトランスポートストリームを受け取る受信部と、
ワンセグメント放送のトランスポートストリームを復号するワンセグ復号部と、
前記デジタル放送受信機に対して、ワンセグメント放送またはワンセグメント放送以外の地上デジタル放送のトランスポートストリームの出力先の切り換えを指示する切換指示信号を送信する切換指示部と、
各デジタル放送受信機における電源のオンオフ状態および選局中のチャンネルの情報を少なくとも含むステータスを取得するステータス取得部と、を備え、
同一のチャンネルを選局している二つ以上のデジタル放送受信機がある場合に、前記表示端末の前記切換指示部は、いずれか一つのデジタル放送受信機に対して、同一のチャンネルを選局中の別のデジタル放送受信機に宛ててそのチャンネルのワンセグメント放送以外の地上デジタル放送のトランスポートストリームを送信するように指示する切換指示信号を送信し、前記デジタル放送受信機の前記出力先切換部は、前記切換指示信号に応じて、前記選局中のチャンネルのワンセグメント放送以外の地上デジタル放送のトランスポートストリームを前記別のデジタル放送受信機に宛てて送信することを特徴とするデジタル放送受信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−209725(P2012−209725A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73285(P2011−73285)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】