説明

デジタルTV用受信制御装置及び受信制御方法

【課題】 デジタル放送の受信端末において、無料又は有料のスクランブル放送を受信するためには契約情報の入力、例えば、B−CASカードのようなICカードの挿入が必要であるが、スクランブル放送を行う事業体と契約を結ぶ所望のカードが1枚しかない場合においても、カードの差し替えを行わずに、所望の契約が結ばれている他のデジタル放送受信端末を用いての視聴を可能にする。
【解決手段】 デジタル放送受信端末のICカードを制御するICカード制御装置1に、
通信機能を持たせることにより、他のデジタル放送受信端末のICカード制御装置2との通信を行い、ICカード3の共有を可能とすることで、1枚の契約カードを用いて、複数のデジタル放送受信端末における視聴を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ARIB対応放送のような、契約によりサービスを受けることができるデジタル放送の受信機において、契約情報を入力することによりスクランブル解除を行うデジタルTV用受信制御装置及び受信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、例えば、ARIB対応デジタル放送のようなデジタル放送を受信し、視聴する際には、有料放送又は無料放送に関わらず、株式会社B−CASが発行するICカードを受信機に用いることが必要となる。そして、このICカードは、デジタル放送受信端末1台につき必ず1枚必要となる。この従来のデジタル放送受信端末の構成を図6に示す。
【0003】
図6は、従来のICカード制御装置を有するデジタル放送受信端末について、ICカードが挿入されている場合と挿入されていない場合との2つの状態を示している。ここで、36及び37は、それぞれデジタル放送受信端末であり、デジタル放送受信端末36は、ICカード制御装置30の制御により視聴制御され、デジタル放送受信端末37は、ICカード制御装置31の制御により視聴制御される。また、34及び35は、ICカードスロットであり、視聴制限を解除するための契約情報が記録されたICカード33が挿入されたとき、視聴可能とする解除信号を出力し、この解除信号を受けたICカード制御装置30及び31は、デジタル放送受信端末36及び37を視聴可能な状態に制御する。図6において、ICカードスロット34には、視聴制限を解除するための契約情報が記録されたICカード33が挿入され、デジタル放送受信端末36が視聴可能となっている状態を示しており、一方、ICカードスロット35には、視聴制限を解除するためのICカード33がICカードスロット35に挿入されていないためICカード制御装置31に解除を許可する解除信号が入力されず、デジタル放送受信端末37が視聴不可能な状態であること示している。
【0004】
また、PPV(Pay Per View)番組は、同一時間帯に異なるコンテンツを録画することが出来る。PPV番組は、その都度課金されるので、同一時間帯に異なるコンテンツを複数購入して録画することは、放送事業体にとってもユーザーの購入機会が増えることことになり望ましいことである。
【0005】
上記のような、契約情報を記録したICカードを用いた視聴制御による受信機の技術は、例えば、特許文献1に記載がある。
【特許文献1】特開2003−319362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記図6に示したような従来の受信装置においては、ARIB対応デジタル放送のように、コンテンツをコピーする際に、コピーした記録媒体のダビングが出来ないようにコピーワンス信号が付加されるシステムが採用される場合、このコピーワンス信号が付加された一度のみの録画を行うには、もし、ユーザーが複数の受信機を有している場合は、ユーザーが、複数の受信機に対応した記録媒体の中から適当なものを選定しておかなければならない。この場合、ユーザーは、記録を行おうとする記録媒体を有するシステムの受信機にICカードを差し替えなければならず、ICカードの抜き差しといった面倒な操作を強いられる。
【0007】
また、近年では、TVを一家で複数所有する家庭が大半を占めると考えられ、現行の受信機毎に対応したICカードを必要とするシステムにおいて、各々のTVで受信をする際、上記のように面倒なICカードの抜き差しをしなくても済むようにするためには、一家で同一放送事業体との同一契約を各受信機に対して複数結ぶ必要が生じ、非経済的である。
【0008】
更に、PPV番組の異なる複数のコンテンツを同一時間帯に録画するには、同時録画機能を有するような高級機を用いなければならない。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、1つの受信契約があり、この契約情報の入力(例えば、ICカードを抜き差しして他の受信機に用いる等)を行えば視聴可能となる受信機も他に有する場合、この他に有する受信機に対しては、面倒な契約情報の入力を新たに行わずして、しかも契約の範囲を逸脱しない視聴サービスを受けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明では、デジタルTV用受信機の構成要素であって、契約情報に基づき視聴制限を解除するために解除手段から出力される解除信号を受けることにより視聴制御を行う受信制御装置に機器間の通信を行う通信機能を持たせる。そして、他のデジタルTV用受信機が有する受信制御装置との通信により、他のデジタルTV用受信機に入力された契約情報から得られた視聴制限を解除する解除信号を入手し、直接に契約情報を入力しない自己のデジタルTV用受信機において受信可能とする。
【0011】
すなわち、請求項1記載の発明のデジタルTV用受信制御装置は、未契約のデジタルTV放送の受信信号に対して視聴制限を施し、外部から入力する契約情報から前記契約に基づく前記視聴制限を解除する解除情報を抽出し出力する解除手段を有し、前記解除手段から得られる前記解除情報に基づいてCPUが前記受信信号の処理を行うデジタルTV用受信制御装置において、前記自己のデジタルTV用受信制御装置の前記解除手段が出力する第1の前記解除情報、及び前記第1の解除情報に基づいて自己の前記CPUから得られる第1の前記解除情報の使用状況を、前記自己のデジタルTV用受信制御装置から他のデジタルTV用受信制御装置へ送信する送信手段と、前記他のデジタルTV用受信制御装置の前記解除手段が出力する第2の前記解除情報、及び前記第2の解除情報に基づいて前記他のデジタルTV用受信制御装置の前記CPUから得られる第2の前記解除情報の使用状況を、前記他のデジタルTV用受信制御装置から受信する受信手段と、前記第1の解除情報の使用状況、及び前記送信手段及び前記受信手段を備えた前記他のデジタルTV用受信制御装置との間で行う通信により得られる前記第2の解除情報の使用状況を記憶する状態記憶手段とを備え、前記自己及び他のデジタルTV用受信制御装置のそれぞれの前記状態記憶手段に記憶された前記第1及び第2の解除情報の使用状況に応じて、通信により、前記他のデジタルTV用受信制御装置が有する前記第2の解除情報を受信することを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のデジタルTV用受信制御装置において、前記解除手段は、ICカードを媒体として入力される前記契約情報から前記解除情報を抽出し出力するICカード情報読み取り手段であり、前記第1及び第2の解除情報の使用状況は、前記自己及び他のデジタルTV用受信制御装置のそれぞれに対応する第1及び第2の前記ICカードの使用状況であり、前記送信手段が送信する前記第1の解除情報及び前記第1のICカードの使用状況の送信データを暗号化するための暗号化手段と、前記受信手段が受信する前記第2の解除情報及び前記第2のICカードの使用状況の受信データを複合化するための復号化手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のデジタルTV用受信制御装置において、前記通信時に、前記状態記憶手段に記憶された前記第1及び第2の解除情報の使用状況に応じて、前記第1及び第2の解除情報の通信に制限を加えることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明のデジタルTV用受信制御方法は、未契約のデジタルTV放送の受信信号に対して視聴制限を施し、外部から入力する契約情報から前記契約に基づく前記視聴制限を解除する解除情報を抽出し出力する解除装置から前記解除信号を受けてCPUが前記受信信号の処理を行うデジタルTV用受信制御方法において、前記自己のデジタルTV用受信制御装置の前記解除装置が出力する第1の前記解除情報、及び前記第1の解除情報に基づいて自己の前記CPUから得られる第1の前記解除情報の使用状況を、前記自己のデジタルTV用受信制御装置から他のデジタルTV用受信制御装置へ送信、又は、前記他のデジタルTV用受信制御装置の前記解除装置が出力する第2の前記解除情報、及び前記第2の解除情報を前記他のデジタルTV受信制御装置の前記CPUから得られる第2の前記解除情報の使用状況を、前記他のデジタルTV用受信制御装置から受信する送受信ステップと、前記他のデジタルTV用受信制御装置に対して前記送受信による通信を行う際に、前記第1の解除情報の使用状況及び前記第2の解除情報の使用状況を記憶する状態記憶ステップと、前記状態記憶ステップで記憶された前記第1及び第2の解除情報の使用状況に応じて、前記解除情報の通信に制限を加えることにより視聴制御を行う視聴制御ステップとを含むことを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のデジタルTV用受信制御方法において、前記解除装置は、ICカードを媒体として入力される前記契約情報から前記解除情報を抽出し出力するものであり、前記解除情報の使用状況は、第1及び第2の前記ICカードの使用状況であることを特徴とする。
【0016】
以上により、請求項1〜5記載の発明では、デジタルTV用受信制御装置が他のデジタルTV用受信制御装置と通信することにより、契約内容に基づく視聴制限の許可を行う解除情報や、CPUから得られる情報であり、それぞれの受信機が現在視聴している状況を示す解除情報の使用状況を送受信することができるので、自己の受信機に対して直接解除情報を含む契約情報の入力がなくとも、受信機器間の通信により、所望の契約情報の入力されている他の受信機から解除情報を受けることができ、また、前記所望の契約内容に応じて解除情報の通信を制御できるので、その送信元の受信機が有する前記所望の契約情報に応じた、契約の範囲内の視聴又は録画を行うことができる。
【0017】
従って、契約情報の入力がICカードを媒体として行われる場合、ICカードの持つ契約内容等の情報を他の受信機が受信機間の通信により受け取ることができるので、ICカードを抜き差しせずに他の受信機を用いて視聴又は録画を行うことが可能となり、面倒な操作や非経済的な重複契約を回避できる。更に、同時録画が許される放送に対しては、単一機器に同時複数録画機能を持たせたような高級機を用いずとも、通信により他の受信機の録画機能を流用することができて経済的である。
【発明の効果】
【0018】
以上に説明したように、請求項1〜5記載の発明によれば、例えば、ICカードの有する契約情報を複数の受信機間で共有することができるので、使用者にICカードを意識させない柔軟な運用の実現が可能であり、また、制限解除の情報と共に視聴の状況を示す情報及び視聴の契約範囲を示す契約情報をも通信するので、例えば、1つのFLAT契約に対して複数で視聴するといった行為の禁止を実現することができる。
【0019】
また、機器間の通信により、複数同時録画が可能な高級機を用いずとも、PPV番組での同一時間帯における異なるコンテンツを複数の受信機を流用して購入することができ、コンテンツ利用の自由度を高めることを可能にすると共に、ユーザーのPPV購入の機会を増やすことにより、事業者の収益性の向上を実現することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施の形態)
以下、本発明における第1の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明のデジタルTV用ICカード制御装置(デジタルTV用受信制御装置)の周辺構成を示した概略図である。1はデジタルTV用ICカード制御装置(以下、ICカード制御装置という。)であって、未契約のデジタルTV放送の受信に対して視聴制限を施し、この制限を解除する情報を含む契約情報が入力されると視聴制限が解除するよう受信信号の処理を行うCPUを制御する。2は他の個体のICカード制御装置であり、1と2とは互いに同一構造の他個体である。3はB−CASカードと呼称されるICカードであり、スクランブル放送を視聴するために契約情報から得られる鍵の情報(解除情報)が記録されている。本実施の形態において、前記ICカード制御装置1及び2は、ICカード3に記録された上記契約情報に基づき、受信信号の処理を行うCPUを制御する。4はICカード3を挿入するためのICカードスロット(解除手段、ICカード情報読み取り手段)であり、ICカード3の持つ鍵の情報(第1の解除情報)を読み出し、この読み出した鍵情報に基づいて、視聴制限の解除を許可する解除信号を上記ICカード制御装置1へ出力する。5は他の個体のICカードスロットでありICカードスロット4と他のICカードスロット5とは同一構造の他個体である。また、ICカードスロット5の出力する解除信号は、ICカード制御装置2に入力される。6は前記ICカード制御装置1及びICカードスロット4を内蔵し、ICカード制御装置1による制御を受けるデジタル放送受信端末である。7はICカード制御装置2とICカードスロット5とを内蔵し、ICカード制御装置2による制御を受ける、他の個体のデジタル放送受信端末である。
【0021】
ここで、図1はICカード制御装置1と2とが通信を行っている状態を示している。図1に示すように、ICカード制御装置1及び2は、他の個体のICカード制御装置と通信を行うことが可能である。
【0022】
図2は図1に示したICカード制御装置1の構造図である。8はICカード制御装置1に内蔵された通信部(送信手段及び受信手段)であり、同一構成の他のデジタル放送受信端末の有するICカード制御装置に内蔵された通信部と送受信を行う。9はメモリ部(状態記憶手段)であり、ICカード3の使用状況を示すステータス情報をICカード制御装置1に保存する。このステータス情報は、他のデジタル放送受信端末におけるICカード制御装置からの問い合わせ時に、前記通信部8を介して他のデジタル放送受信端末へ送信される。更に、メモリ部9は、他のデジタル放送受信端末のステータス情報を前記通信部8を介して受信し、保存する。10は前記通信部8を通じて外部と通信する際に通信信号を暗号化/復号化するための暗復号化部である。11はICカードスロット4に挿入されたICカード3との通信を行うICカードI/F部である。12はデジタル放送受信端末6の全体を制御するCPUとの通信を行うCPU I/F部である。13はICカード制御部であって、ICカード制御装置1において、CPU I/F部12を介してCPUとの通信を行い、ICカードI/F部11から得られるICカード3の情報に基づき、受信信号の処理を行うCPUを制御する。
【0023】
従来のICカード制御装置は、上記のような通信部8、メモリ部9、暗復号化部11は備えず、上記ICカードI/F部11、CPU I/F部12、及びICカード制御部13に相当する構成のみである。
【0024】
図3は、図2に示したICカード制御装置を有する2つのデジタル放送受信端末24及び25を示しており、両者は同一構造である。そして、26及び27は、デジタル放送受信端末24及び25がそれぞれ有しているICカード制御装置である。14はICカードの制御部であり、16は通信部であり、18はメモリ部であり、また、20は暗復号化部である。前記制御部14、通信部16、メモリ部18、暗復号化部20はそれぞれデジタル放送受信端末24に内蔵されたICカード制御装置26に含まれる。15はICカードの制御部であり、17は通信部であり、19はメモリ部であり、また、21は暗復号化部である。前記制御部15、通信部17、メモリ部19、暗復号化部21はそれぞれ前記デジタル放送受信端末25に内蔵されたICカード制御装置27に含まれる。本実施の形態では、22は、視聴した分の料金を支払うPayPerView(以下、PPV)方式の契約がなされているICカードであり、デジタル放送受信端末24のICカードI/F部28に、その契約情報が入力される。また、23は、定額料金で指定サービスが受信できる方式であるFLAT契約がなされているICカードであり、デジタル放送受信端末25のICカードI/F部29に、その契約情報が入力される。尚、ここでは、ICカードに基づく情報がICカードI/F部28及び29に入力される状態を示しているが、図1のICカードスロット4又は5は省略して示している。
【0025】
以上のように構成された本発明の実施の形態において、デジタルTV用ICカード制御装置の動作を図4及び図5を用いて説明する。図4は、図3のデジタル放送受信端末24の構成におけるアルゴリズム例であり、また、図5は図3のデジタル放送受信端末25の構成におけるアルゴリズム例である。
【0026】
図4に示すように、デジタル放送受信端末24がFLAT番組を視聴する場合、先ず、FLAT契約に基づく視聴制限を解除するためのICカードが自機のICカードスロット(解除手段又はICカード情報読み取り手段)に存在するか否かを判定する(S101)。本実施の形態では、図3に示すように自己のICカード22が存在するので、このICカード22が保持しICカードスロットから得られる契約内容(ICカードの有する契約情報)がFLAT契約であるか否かをICカード22に対して問い合わせ、FLAT番組の視聴の可否を確認する(S102)。そして、自機についてそのレスポンスを判定し、ここでは、ICカード22がPPV契約なので、このPPV契約に対する鍵の情報(第1の解除情報)しか有していないため視聴不可と判断し(S103)、更に、他の個体、すなわち、本実施の形態では、デジタル放送受信端末25の他のICカード23を使用することが可能かどうかを確認するために、デジタル放送受信端末24のICカード制御装置(自己のデジタルTV用受信制御装置)26は、デジタル放送受信端末25のICカード制御装置(他のデジタルTV用受信制御装置)27との暗号化通信を確立させる(S105)。具体的には、先ず、ICカード制御装置27への送信信号の暗号化のために暗復号化部(暗号化手段)20において暗号化処理を行い(S105a)、自機の通信部(送信手段)16を用いて通信先の通信部(受信手段)17へ暗号化通信確立のための所定の信号を送信し(S105b)、そして、通信先において、ICカード制御装置27が受信信号を暗復号化部(復号化手段)21において復号化することにより暗号化通信が確立する(S105c)。暗号化通信の確立後、ICカード23へ視聴の可否を問い合わせ(S106)、他のICカード23の契約情報に対するレスポンス判定を行う(S107)。本実施の形態では他のICカード23はFLAT契約の情報を有しているので、他の受信機により使用中でなければ視聴可であるため、他の受信機による使用状況を知るためのステップに移行する。
【0027】
次に、前記の問い合わせのステップ(送受信ステップ)S106にて受信した、メモリ部(状態記憶部)18に記録されているICカード23の契約情報を確認する(S109)。この場合、ICカード23に対しては、FLAT契約がなされているので、他機であるデジタル放送受信端末25が有する他のICカード23の契約情報に含まれる鍵の情報(第2の解除情報)を用いれば自機のデジタル放送受信端末24により視聴することができるが、FLAT契約では一台のTVでしか視聴できないように制限されているので、視聴中に突然他の受信機によりFLAT契約に基づく視聴の権利を奪われないように排他処理する必要がある。デジタル放送受信端末24が他のデジタル放送受信端末25に挿入されているICカード23を利用してFLAT契約の放送を視聴できるかどうかは、ICカード23のFLAT契約の利用状況に依存するため、このICカード23の有する鍵の情報(第2の解除情報)を利用し、排他的に状態を保持するようにメモリ部(状態記憶部)19の自カード23に対するステータス情報へFLAT契約の利用状況を、すなわち、デジタル放送受信端末25の有するICカード23の使用状況に対して、(デジタル放送受信端末25から見て他の)デジタル放送受信端末24が使用していることを示す「他TV使用中」(第2の解除情報の使用状況)を書き込む(状態記憶ステップ)(S110)。また、自己のメモリ部18の他カード23に対するステータス情報へFLAT契約の利用状況を、すなわち、自己のデジタル放送受信端末24が他のデジタル放送受信端末25の有するICカード23の使用状況に対して、自機が上記暗号化通信を通じて使用していることを示す「自TV使用中」(第2の解除情報の使用状況)を書き込む(状態記憶ステップ)(S111)。このような処理により、デジタル放送受信端末24もデジタル放送受信端末25も、それぞれがメモリ部18及び19に記憶するICカード使用状況に基づいて、どのカードのFLAT契約を現在どの受信機が利用しているかを他機について前記レスポンス判定を行うステップ(S107)にて判別し、契約内容に沿わない場合は、他のデジタル放送受信端末から得られる鍵の情報の通信を制御することにより、ここで排他(視聴制御ステップ)できる。
【0028】
以上のように本実施の形態によれば、複数のデジタル放送受信端末のうち、放送事業体とのFLAT契約がされているカードを例え1枚しか所有していなくとも、その契約の範囲内で、すなわち、複数が同時に視聴しないように制御すれば、FLAT契約のICカードが挿入されていないデジタル放送受信端末においても視聴可能となる。
【0029】
(第2の実施の形態)
次に、本発明における第2の実施の形態について、図5を用いて説明する。図5に示すように、デジタル放送受信端末25がPPV番組を視聴する場合、先ず、PPV契約に基づく視聴制限を解除するためのICカードが自機(本実施の形態では、デジタル放送受信端末25)のICカードスロット(解除手段又はICカード情報読み取り手段)に存在するか否かを判定する(S201)。本実施の形態では、図3に示すように自己のICカード23が存在するので、このICカード23が保持しICカードスロットから得られる契約内容がPPV契約であるか否かをICカード23に対して問い合わせ、PPV番組の視聴の可否を確認する(S202)。そして、自機についてそのレスポンスを判定し、ここでは、自己のICカード23がFLAT契約なので、このFLAT契約に対する鍵の情報(本実施の形態における第1の解除情報)しか有しておらず、PPV番組を視聴できないと判断し(S203)、更に、他の個体、すなわち、本実施の形態では、デジタル放送受信端末24のICカード22を使用することが可能かどうかを確認するために、デジタル放送受信端末25のICカード制御装置(自己のデジタルTV用受信制御装置)27は、デジタル放送受信端末24のICカード制御装置26(他のデジタルTV用受信制御装置)との暗号化通信を確立させる(S205)。具体的には、先ず、ICカード制御装置26への暗号化通信を確立するための所定の送信信号の暗号化のために暗復号化部(暗号化手段)21において暗号化処理を行い(S205a)、自機の通信部(送信手段)17を用いて通信先の通信部(受信手段)16へ送信し(S205b)、通信先において、ICカード制御装置26が暗号化通信確立のための所定の受信信号を暗復号化部(復号化手段)20において復号化することにより暗号化通信が確立する(S205c)。暗号化通信が確立後、ICカード22へ視聴の可否を問い合わせ(S206)、他機の有するICカードについてのレスポンス判定を行い(S207)、視聴可を得る(視聴制御ステップ)。
【0030】
次に、前記の問い合わせのステップ(送受信ステップ)S206にて受信した、メモリ部19に記録されている他のICカード22の契約情報を確認する(S209)。この場合、ICカード22に対しては、PPV契約がなされているので、他機であるデジタル放送受信端末24が有する他のICカード22の契約情報に含まれる鍵の情報(第2の解除情報)を用いれば自機のデジタル放送受信端末25により視聴を開始できる(S204)。
【0031】
ここではICカード制御装置26及び27間の通信について、通信媒体を指定していないが、電波や光による無線、有線の通信媒体が考えられる。
【0032】
尚、本実施の形態ではICカード制御装置内のハードウェアで処理を行うことを想定しているが、外部の装置、またはソフトウェアで行うことも考えられる。
【0033】
以上のように本実施の形態によれば、複数のデジタル放送受信端末のうち、放送事業体との特定の契約がされているカードが例え1枚であっても、その契約の範囲内で複数のデジタル放送受信端末がPPV番組のコンテンツを同時に視聴可能とすることが出来る。また、同一時間帯のPPV番組の購入が可能になることにより、ユーザー利便性だけでなく、事業者利益にもつながる。
【0034】
尚、本実施の形態では、契約情報等を有する記録媒体としてICカードを用いる例を示したが、これに限らず、他の記録媒体を用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明にかかるデジタルTV用受信制御装置及び受信制御方法は、使用者にICカード等の契約情報が記録された記録媒体を意識させない柔軟な運用の実現や、1つのFLAT契約に対して複数で視聴するといった行為の禁止を実現することができ、また、PPV番組での同一時間帯における異なるコンテンツを購入することができるようにユーザーの自由度を高めることを可能にすると共に、ユーザーのPPV購入の機会を増やすことにより、事業者の収益性の向上を実現することが可能であり、ICカード等を用いて契約情報を入力することによりスクランブル解除を行うデジタルTV用受信制御装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のICカード制御装置による通信を示した概略図である。
【図2】本発明のICカード制御装置の構造図である。
【図3】本発明のICカード制御装置の動作例説明図である。
【図4】本発明のICカード制御装置間の通信動作において、PPV契約に対応のICカード制御装置の動作アルゴリズム例を示すフロー図である。
【図5】本発明のICカード制御装置間の通信動作において、FLAT契約に対応のICカード制御装置の動作アルゴリズム例を示すフロー図である。
【図6】従来のICカード制御装置及びデジタル放送受信端末の概略図である。
【符号の説明】
【0037】
1、2、26、27
、30、31 ICカード制御装置
(自己又は他のデジタルTV用受信制御手段)
3、22、23、33 ICカード(B−CASカード)
4、5 ICカードスロット
6、7 デジタル放送受信端末
8、16、17 通信部(送信手段及び受信手段)
9、18、19 メモリ部(状態記憶手段)
10、20、21 暗復号化部(暗号化手段及び復号化手段)
11、12、28、29 ICカードI/F部
13、14、15 ICカード制御部
24、25 デジタル放送受信端末
S103、S203 自機レスポンス判定ステップ
S106、S206 ICカード情報問合わせステップ(送受信ステップ)
S107、S207 他機レスポンス判定ステップ(視聴制御ステップ)
S110、S111
、S210、S211 ICカード使用状況書き込みステップ
(状態記憶ステップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未契約のデジタルTV放送の受信信号に対して視聴制限を施し、外部から入力する契約情報から前記契約に基づく前記視聴制限を解除する解除情報を抽出し出力する解除手段を有し、前記解除手段から得られる前記解除情報に基づいてCPUが前記受信信号の処理を行うデジタルTV用受信制御装置において、
前記自己のデジタルTV用受信制御装置の前記解除手段が出力する第1の前記解除情報、及び前記第1の解除情報に基づいて自己の前記CPUから得られる第1の前記解除情報の使用状況を、前記自己のデジタルTV用受信制御装置から他のデジタルTV用受信制御装置へ送信する送信手段と、
前記他のデジタルTV用受信制御装置の前記解除手段が出力する第2の前記解除情報、及び前記第2の解除情報に基づいて前記他のデジタルTV用受信制御装置の前記CPUから得られる第2の前記解除情報の使用状況を、前記他のデジタルTV用受信制御装置から受信する受信手段と、
前記第1の解除情報の使用状況、及び前記送信手段及び前記受信手段を備えた前記他のデジタルTV用受信制御装置との間で行う通信により得られる前記第2の解除情報の使用状況を記憶する状態記憶手段とを備え、
前記自己及び他のデジタルTV用受信制御装置のそれぞれの前記状態記憶手段に記憶された前記第1及び第2の解除情報の使用状況に応じて、通信により、前記他のデジタルTV用受信制御装置が有する前記第2の解除情報を受信する
ことを特徴とするデジタルTV用受信制御装置。
【請求項2】
請求項1記載のデジタルTV用受信制御装置において、
前記解除手段は、ICカードを媒体として入力される前記契約情報から前記解除情報を抽出し出力するICカード情報読み取り手段であり、
前記第1及び第2の解除情報の使用状況は、前記自己及び他のデジタルTV用受信制御装置のそれぞれに対応する第1及び第2の前記ICカードの使用状況であり、
前記送信手段が送信する前記第1の解除情報及び前記第1のICカードの使用状況の送信データを暗号化するための暗号化手段と、
前記受信手段が受信する前記第2の解除情報及び前記第2のICカードの使用状況の受信データを複合化するための復号化手段とを備える
ことを特徴とするデジタルTV用受信制御装置。
【請求項3】
請求項1記載のデジタルTV用受信制御装置において、
前記通信時に、前記状態記憶手段に記憶された前記第1及び第2の解除情報の使用状況に応じて、前記第1及び第2の解除情報の通信に制限を加える
ことを特徴とするデジタルTV用受信制御装置。
【請求項4】
未契約のデジタルTV放送の受信信号に対して視聴制限を施し、外部から入力する契約情報から前記契約に基づく前記視聴制限を解除する解除情報を抽出し出力する解除装置から前記解除信号を受けてCPUが前記受信信号の処理を行うデジタルTV用受信制御方法において、
前記自己のデジタルTV用受信制御装置の前記解除装置が出力する第1の前記解除情報、及び前記第1の解除情報に基づいて自己の前記CPUから得られる第1の前記解除情報の使用状況を、前記自己のデジタルTV用受信制御装置から他のデジタルTV用受信制御装置へ送信、又は、前記他のデジタルTV用受信制御装置の前記解除装置が出力する第2の前記解除情報、及び前記第2の解除情報を前記他のデジタルTV受信制御装置の前記CPUから得られる第2の前記解除情報の使用状況を、前記他のデジタルTV用受信制御装置から受信する送受信ステップと、
前記他のデジタルTV用受信制御装置に対して前記送受信による通信を行う際に、前記第1の解除情報の使用状況及び前記第2の解除情報の使用状況を記憶する状態記憶ステップと、
前記状態記憶ステップで記憶された前記第1及び第2の解除情報の使用状況に応じて、前記解除情報の通信に制限を加えることにより視聴制御を行う視聴制御ステップとを含む
ことを特徴とするデジタルTV用受信制御装方法。
【請求項5】
請求項4記載のデジタルTV用受信制御方法において、
前記解除装置は、ICカードを媒体として入力される前記契約情報から前記解除情報を抽出し出力するものであり、
前記解除情報の使用状況は、第1及び第2の前記ICカードの使用状況である
ことを特徴とするデジタルTV用受信制御方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−148481(P2006−148481A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334934(P2004−334934)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】