説明

デジタルX線撮影装置

【課題】 この発明は、パソコンの台数が少なくて、各診療チェアユニットでX線画像等を確認できるデジタルX線撮影装置を提供する。
【解決手段】 この発明のデジタルX線撮影装置は、被検者にX線を照射するX線照射部と、入射するX線に応じたデジタル量の電気信号を出力するX線検出部と、前記X線照射部の照射時間や出力を制御する装置本体制御部と、を備えたデジタルX線撮影装置1と、前記X線検出部から与えられた信号の演算処理を行う演算処理部と、この演算処理理部の演算結果を受けて演算後のX線画像を表示する表示部と、を備えたコンピュータ装置30と、を備え、コンピュータ装置30が前記デジタルX線撮影装置1に着脱自在に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、歯科用のデジタルX線撮影装置に関し、特に、複数の診療チェアを有する歯科医院において、各診療チェアでX線撮影したX線画像をそれぞれ表示することが可能なデジタルX線撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯科診療を行う医院では、歯科医師が複数の患者を診療するために複数の診療チェアユニットが設置されている。近年患者に、診療状況や診療方法等を説明し了解をえるためのインフォームドコンセントが重要視されており、診療チェアユニット毎にチェア用コンピュータ端末が設置され、その表示画面に患者のX線画像やカルテ等を表示して、患者に診療状況、診療方法等を説明するために使用される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来、歯牙及び顎骨の構造を事前に把握する必要がある場合には、患者(以下、被検者という。)をデジタルX線撮影装置が設置されたX線室に案内し、このX線室の外側に取り付けられたデジタルX線撮影装置のX線照射スイッチを操作することで被検者のX線画像を撮影していた。そして、この得られたX線画像の信号は、画像処理用コンピュータのサーバに送信され、画像処理用コンピュータで画像処理して表示されると共に、サーバ内の該当する被検者のカルテに関連付けした状態で記憶される。そして、各治療用チェアユニットまたは診断スペースなどの近傍に配置されたコンピュータ端末から前記サーバの前記被検者カルテにアクセスして、X線画像を見ることで診断を行うという方法がとられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−188084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、従来のデジタルX線撮影装置は、X線撮影装置と接続されたサーバと各診療チェアユニットのパソコン端末とで構成されており、パソコン端末の台数が診療チェアの台数に比例するため、システムの高価格化を招くという難点があった。
【0006】
また、歯科用を主とするデジタル式パノラマX線撮影装置や頭頸部用コーンビームX線CT撮影装置は、現在、X線室の外に表示装置及び入力手段を含むパソコン装置を設置しているため専用のテーブル等を必要とし、小規模の歯科医院ではそのスペースの確保が難しいという問題もあった。
【0007】
また、一方でX線室内にある装置本体にも小型の表示装置を設けている装置も多く、これらは作動時の動作状態等、または装置本体に被検者を位置づけする際の微調整のための動作を含めた表示を行っている。
【0008】
この発明は、上記した従来の問題点を解消するためになされたもので、パソコンの台数が少なくて、各診療チェアユニットでX線画像等を確認できるデジタルX線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のデジタルX線撮影装置は、被検者にX線を照射するX線照射部と、入射するX線量に応じた電気信号を出力するX線検出部と、前記X線照射部の照射時間や出力を制御する装置本体制御部と、を備えたデジタルX線撮影装置と、前記X線検出部から与えられた信号を保持する記憶部と、X線画像を表示する表示部と、を備えたコンピュータ装置と、を備え、前記コンピュータ装置が前記デジタルX線撮影装置に着脱自在に取り付けられる。
【0010】
また、前記記憶部に保持された信号を読み出し演算処理を行う演算処理部を備え、前記表示部は、演算処理部の演算結果を受けて演算後のX線画像を表示するように構成できる。
【0011】
また、前記コンピュータ装置と装置本体制御部とが通信手段で接続され、コンピュータ装置から被検者の撮影条件を装置本体制御部へ送出し、前記装置本体制御部は、受け取った撮影条件に基づきX線照射部の照射時間、出力を制御するように構成できる。
【0012】
また、前記コンピュータ装置と装置本体制御部とが通信手段で接続され、前記X線検出部からのデータを装置本体制御部から前記コンピュータ装置へ送出し、前記コンピュータ装置は、X線検出部から与えられた信号の演算処理を行い、演算後のX線画像を表示するように構成できる。
【0013】
また、前記コンピュータ装置の表示部は、被検者に関する種々の操作データを入力する入力部、操作画面を表示し、その表示に従い操作情報が与えられるように構成できる。
【0014】
また、前記コンピュータ装置は、ネットワークを介して画像サーバに被検者の個人情報と共にX線画像を格納し、ネットワークを介して画像サーバに格納されたX線画像を取り込み、前記表示部でX線画像を表示するように構成できる。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、コンピュータ装置をデジタルX線撮影装置から取り外し、診療チェアユニットのところに持参し、X線画像を表示部に表示させることができるので、コンピュータ端末の数を大幅に削減でき、トータルコストを下げることができると共に、省スペース化が実現でき、小規模の歯科医院へも装置の導入が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置を示す正面図である。
【図2】この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置を示す側面図である。
【図3】この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置を示す上面図である。
【図4】この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置の基本構成を説明するためのブロック図である。
【図5】この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置をネットワークに構成した例を示す模式図である。
【図6】この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置のコンピュータ装置の表示装置に表示される画面の例を示す模式図である。
【図7】この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置のコンピュータ装置の表示装置に表示される画面の例を示す模式図である。
【図8】この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置のコンピュータ装置の表示装置に表示される画面の例を示す模式図である。
【図9】この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置の動作を説明するフロー図である。
【図10】この発明にかかるコンピュータ装置の端末動作を説明するフロー図である。
【図11】この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置の他の実施形態の構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、被検者(患者)の顎顔面を撮影するデジタルX線撮影装置の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるためにその説明は繰返さない。
【0018】
図1〜図3に示すデジタルX線撮影装置は、アーム型X線CT撮影装置を示している。このデジタルX線撮影装置は、頭部固定装置を有するコーンビームX線と、短冊状のパノラマ用X線の両方を使用するFPD/CCD兼用X線パノラマCT撮影装置である。尚、この発明は、兼用装置に限らず、セファロ撮影、歯科用パノラマ断層撮影、断層撮影、CT撮影、デンタル撮影などの歯科用X線撮影装置に適用できる。
【0019】
図1〜図3に示すように、デジタルX線撮影装置1は、FPD(フラットパネル型検出器)型センサがX線検出部14として旋回アーム12の一方側に設けられている。このX線検出部14と対向する位置の旋回アーム12の他方側にX線照射部13が設けられている。この場合、FPD型センサの全面または一部を用いてCT撮影をおこない、また、パノラマ撮影を行う場合には、FPD型センサの左右方向の中央部の縦長の範囲を利用してパノラマ撮影を行う。当然、X線照射部13より照射されるX線照射の範囲はFPD型センサの利用範囲に対応して設定される。
【0020】
尚、FPD型センサの前面に、図1の一点鎖線で示すように、着脱可能な短冊状のCCDセンサ14aを用意し、ホルダ14bにCCDセンサ14aを装着することで、FPD型センサでCT撮影を、短冊状のCCDセンサでパノラマ撮影を行うように構成することも可能である。ホルダ14bは、旋回アーム12に出没自在に取り付けられ、FPD型センサを用いた撮影の際には、CCDセンサ14aをホルダ14bから取り外し、ホルダ14bが旋回アーム12内に収容される。
【0021】
床面に設置するベース20に取り付けられた支柱16に支持フレーム17が支持されている。この支持フレーム17は、昇降機構を介して支柱16に沿って昇降し、被検者の所定の位置にX線照射部13、X線検出部14が設定される。支持フレーム17は、上部に旋回アーム12が回転軸15aを中心として回転及びX/Y軸方向に水平移動するための回転駆動ユニット15が設けられ、下部に頭部支持ユニット18が設けられている。図1に示すように、支持フレーム17、回転駆動ユニット15及び頭部支持ユニット18は正面から見てコ字状に構成されている。
【0022】
頭部支持ユニット18は、被検者の頭部を保持する頭部固定装置11、被検者が握るための一対のハンドル19を備える。頭部支持ユニット18は、先端部に操作部21を備えており、撮影者が操作部21
で支持フレーム17の昇降位置を操作したり、頭部固定装置11のイヤーロッドの開閉、旋回アーム12を原点位置に戻すリセット等の操作を行う。
【0023】
X線照射部13から照射されたX線がX線検出部14で検出され、X線検出部14のセンサからの信号は通信手段を介してコンピュータ装置30に与えられる。このコンピュータ装置30で画像化され、コンピュータ装置30の表示部にX線画像が表示される。
【0024】
デジタルX線撮影装置1には、照射スイッチ41が接続され、医師等の撮影者が照射スイッチ41を押すことにより、設定された照射条件に従って、X線照射部13からX線が照射される。
【0025】
この発明においては、デジタルX線撮影装置1にコンピュータ装置30が着脱可能に取り付けられている。この実施形態においては、スレート型またはタブレット型のコンピュータ装置30がX線検出部14を設けた旋回アーム12のX線検出部14とは反対面(背面)側に取り付けられる。このデジタルX線撮影装置1は、旋回アーム12の背面側にコンピュータ装置30を取り付ける取付部12bが設けられている。デジタルX線撮影装置1は、X線照射部13の駆動制御、回転駆動ユニット15の旋回アーム12の回転駆動制御、X線検出部14の検出制御を行う装置本体制御部1aを内蔵し、この装置本体制御部1aとコンピュータ装置30とが通信手段を用いて接続される。この装置本体制御部1aとコンピュータ装置30とは、有線LAN、無線LAN、USB、RS232C等の通信手段で接続される。このため、デジタルX線撮影装置1とコンピュータ装置30とは、該当する通信手段に対応した通信制御装置がそれぞれ設けられている。
【0026】
コンピュータ装置30をデジタルX線撮影装置1に取り付けた場合には、コンピュータ装置30は、デジタルX線撮影装置1のコントロール用の操作パネルとしての機能を有する。このコンピュータ装置30の表示部35は、液晶タッチパネルで構成され、被検者情報、撮影部位やそれに類するボタン、キーが表示される。例えば、図6に示すように、パノラマ撮影モード時の表示部35に、パノラマ撮影、顎関節撮影、上顎洞撮影、断層撮影、セファロ撮影などの撮影方法を選択するアイコン、撮影部位を示すアイコンやそれに類するボタン、キーが表示される。このコンピュータ装置30の表示部35には、部位やそれに類するボタン、キーが表示され、その表示部をタッチ(押下)することで、操作データが与えられる。
【0027】
この実施形態では、コンピュータ装置30にて種々の操作データを入力し、その操作データが通信手段を介してデジタルX線撮影装置1に与えられ、この与えられた操作データに基づき、X線照射制御回路等により、照射時間、照射出力が制御される。
【0028】
そして、デジタルX線撮影装置1による撮影を行うと、X線照射部13から照射されたX線がX線検出部14で検出され、X線検出部14のセンサからの信号は通信手段を介してコンピュータ装置30に与えられる。コンピュータ装置30は、与えられたセンサの信号を一旦保持し、保持した信号に基づき、画像再構成処理等など必要な処理を行う。そして、表示部35にX線画像を表示する。
【0029】
また、デジタルX線撮影装置1からコンピュータ装置30を取り外すと、X線室の外で用いるX線撮影用のコンピュータ装置や診療用コンピュータ端末として利用される。
【0030】
X線撮影用コンピュータ装置30として用いる場合は、X線室の外部から通信ケーブル等を用いて、デジタルX線撮影装置1と接続し、種々の操作データを入力することができる。この時、図示はしないが、キーボード、マウスなどの外部入力装置と接続できるように構成すれば、キーボード、マウスを用いて操作データを入力することができる。
【0031】
診療用のコンピュータ端末として用いるときには、診療チェアユニットのところにコンピュータ装置30を持参する。コンピュータ装置30を院内ネットワークに接続すると、図7に示すようなデフォルト画面が表示部35に表示される。そして、該当する被検者を選択して、図8に示すようなX線画像を表示部35に表示させる。このように、診療チェアユニットで被検者(患者)に対してのインフォームドコンセントにも活用できる。この結果、コンピュータ端末の数を大幅に削減でき、トータルコストを下げることができると共に、省スペース化が実現でき、小規模の歯科医院へも装置の導入が容易に行える。尚、LANシステムなどを構築し、コンピュータ装置30で画像処理したデータをサーバに格納し、サーバからX線画像を読み出して表示するように構成するとよい。
【0032】
次に、この発明の構成を図4に示すブロック図に従い説明する。図4は、この発明にかかる歯科用デジタルX線撮影装置の基本構成を説明するブロック図である。装置本体制御部1aは、デジタルX線撮影装置1のX線照射部13のX線照射、旋回アーム12の回転を制御するもので、通信手段を介してコンピュータ装置30から送られた撮影部位等に基づく撮影時間、照射出力により、X線照射部13からX線を照射すると共に、旋回アーム12を回転移動させる。
【0033】
この装置本体制御部1aは、全体の動作制御を行うCPUで構成された制御ユニット101、各種信号が与えられる入出力ポート100、各種動作を制御するためのプログラム、データを格納するメモリ105を備える。更に、装置本体制御部1aは、X線照射部13を駆動制御するX線照射制御回路102、通信制御回路104、回転駆動制御回路106が設けられている。各回路は入出力ポート100を介して制御ユニット101に接続され、制御ユニット101との間で信号データの送受が行われる。
【0034】
通信制御回路104は、コンピュータ装置30を旋回アーム12に取付けた時などにRC232C、LANやUSB等の通信ケーブル等と接続され、コンピュータ装置30との間でデータの送受が行われる。この実施形態では、コンピュータ装置30にて種々の操作データを入力し、その操作データが通信ケーブル等を介して通信制御回路104から入出力ポート100に与えられる。そして、入出力ポート100からメモリ105、制御ユニット101に操作データが与えられ、この与えられた操作データに基づき、X線照射制御回路102、回転駆動制御回路106等を制御ユニット101が制御し、照射時間、照射出力、旋回アームの水平移動、回転速度、回転角度が制御される。
【0035】
入出力ポート100には、照射スイッチ41が接続され、ドクター等の撮影者が照射スイッチ41を押すことにより、設定された照射条件に従って、X線照射部13からX線が照射される。
【0036】
着脱自在のコンピュータ装置30は、全体の動作制御を行うCPUで構成された制御ユニット31、各種信号が与えられる入出力ポート32、各種動作を制御するためのプログラム、データを格納するメモリ33を備える。更に、コンピュータ装置30は、装置本体制御部1aと接続するための通信制御回路34が設けられている。各回路は入出力ポート32を介して制御ユニット31に接続され、制御ユニット31と間で信号データの送受が行われる。
【0037】
入出力ポート32には、操作画面や撮影したX線画像を表示する液晶タッチパネル等からなる表示部35が接続されている。この表示部35には、部位やそれに類するボタン、キーが表示され、その表示に従い表示部35をタッチ(押下)することで操作データが入出力ポート32を介して制御ユニット31等へ与えられる。
【0038】
通信制御回路34は、装置本体制御部1aと接続したRC232C、LANやUSB等の通信ケーブル等と接続され、装置本体制御部1aとの間でデータの送受が行われる。
【0039】
この実施形態では、コンピュータ装置30にて種々の操作データを入力し、その操作データが通信制御回路34に接続された通信ケーブル等を介して装置本体制御部1aの通信制御回路104から入出力ポート100に与えられる。そして、入出力ポート100からメモリ105、制御ユニット101に操作データが与えられ、この与えられた操作データに基づき、X線照射制御回路102、回転駆動制御回路106等を制御ユニット101が制御し、照射時間、照射出力、回転速度、回転角度が制御される。
【0040】
このように、この発明のX線デジタル撮影装置は、コンピュータ装置30から撮影部位等の情報を与えて、装置本体制御部1aの撮影条件等を設定する。そして、コンピュータ装置30から撮影部位等の情報を与えるとともに、X線検出部14に撮影待機状態に設定するための待機命令を与える。X線検出部14は、コンピュータ装置30からの待機命令を受けるとX線検出部のセンサを撮影可能な待機状態に設定し、X線照射部13からの露光を受け得る状態となる。
【0041】
医師等の撮影者が照射スイッチ41を押し、X線照射部13からX線を照射する際には、X線検出部14のセンサを撮影可能な待機状態になっており、正確なX線透過画像を得ることができる。
【0042】
また、コンピュータ装置30から撮影部位等の情報を与えるだけで、デジタルX線撮影装置1の装置本体制御部1aの撮影条件等を設定することができる。
【0043】
デジタルX線撮影装置1による撮影を行うと、X線照射部13から照射されたX線がX線検出部14で検出され、X線検出部14のセンサからの信号は通信手段を介してコンピュータ装置30に与えられる。コンピュータ装置30は、与えられたセンサの信号をメモリ33に一旦保持し、保持したデータに基づき、画像再構成処理等など必要な処理を行う。そして、表示部35にX線画像を表示する。
【0044】
次に、この発明の動作につき説明する。コンピュータ装置30は、デジタルX線撮影装置1に取り付け状態又はデジタルX線装置1に通信手段で接続された状態でデジタルX線撮影装置1の撮影条件等の入力装置として用いる場合には、被検者の個人情報に基づいて、撮影部位を特定する動作の状態に入ると、例えば、図6に示すように、表示部35の右下の(FPD)の表示が出ているときは、パノラマ撮影モードで、パノラマ撮影、顎関節撮影、上顎洞撮影、断層撮影、セファロ撮影などの撮影方法を選択するアイコン、撮影部位を示すアイコンやそれに類するボタン、キーを示した模式的なアイコンを表示する。
【0045】
また、表示部35の右下の(FPD)の表示をタッチ(押下)すると表示部35はCT撮影用の表示画面となると同時に表示部35の右下の表示は(CCD)の表示となる。更に、表示部35には、撮影モード、撮影部位、X線照射部13の出力、照射時間、使用するX線検出部14の種類を示す操作状態表示アイコン、大人か子供を区別するアイコン、撮影終了ボタン、撮影したX線画像を表示する表示領域、画像編集アイコン、撮影者の氏名表示欄等がそれぞれ表示される。
【0046】
撮影者は、この表示部35の所定のアイコンをタッチすることで撮像部位を特定する。撮像部位を特定すると、照射時間が自動的に設定され、その時間が操作状態アイコンに表示させる。この照射時間を増減させる場合には、矢印部分をクリックして行う。この図6の例では、管電圧78kV、管電流6mA、撮影時間は8秒が選択されている。
【0047】
そして、照射スイッチ41を押すことにより、撮影部位にX線が照射されてX線像がX線検出部14に撮像され、コンピュータ装置30にその画像データが送られる。そして、表示部35に、例えば、図8に示すようなX線画像が表示される。その画像データを画像処理した後、メモリ33に格納される。
【0048】
次に、この発明の動作につき、図9及び図10の動作フローに従い説明する。まず、コンピュータ装置30は、デジタルX線撮影装置1の装置本体制御部1aが接続されているか否か判断する。コンピュータ装置30は、通信制御回路34からの情報により、デジタルX線撮影装置1の装置本体制御部1aと接続されているか否かを判断する。コンピュータ装置30は、デジタルX線撮影装置1の装置本体制御部1aと接続されていない場合には、診療チェアユニットの位置での表示端末装置等として用いるために、端末動作を行う(ステップS8)。
【0049】
端末動作は、まず、図7に示すデフォルト画面が表示部35に表示される(ステップS21)。そして、デフォルト画面から対応する被検者の画像データの読み出しが指示されると(ステップS22)、サーバ等から画像を読み出し(ステップS23)、コンピュータ装置30の表示部35に読み出した図8に示すようなX線画像を表示する(ステップS24)。この図8に示す例では、4つの画像が表示されている。これら画像の1つを選択すれば、その画像が表示画面全体に表示され、また、回転などのコマンドを入力すると画像を回転させて表示させるなど、種々の表示を用途に応じて表示させる。
【0050】
コンピュータ装置30は、デジタルX線撮影装置1の装置本体制御部1aと接続されている場合には、コンピュータ装置30の表示部35に、撮影条件等や部位等の表示を行う(ステップS2)。表示部35を用いて撮影条件等が特定されると(ステップS3)、制御ユニット31は、コンピュータ装置30から撮影条件等の情報を通信手段を介して、デジタルX線撮影装置1側の装置本体制御部1aに与える(ステップS4)。
【0051】
デジタルX線撮影装置1側の装置本体制御部1aでは、コンピュータ装置30からの送信があったか否か判断する(ステップS11)。コンピュータ装置30からの送信がない場合には、ステップS14に進み、照射スイッチ41が押されたか否か判断する。
【0052】
一方、コンピュータ装置30からの送信があると、送信された撮影情報に基づき、出力、撮影時間等を設定する(ステップS12)。そして、照射準備が整うと、レディボタンが押されるまで待機し(ステップS13)、レディボタンが押されると、照射準備が完了したとして、レディ完了にセットされる(ステップS14)
照射スイッチ41が押されると、レディ完了であるか否か判断され(ステップS16)、レディ完了でない場合には、ステップS11に戻る。
【0053】
一方、レディ完了の場合には、X線照射が行われる(ステップS17)。そして、X線照射により、撮影部位にX線が照射されてX線像がX線検出部14に撮像され、コンピュータ装置30にその画像データが送られる。コンピュータ装置30側では、照射状態であることを表示し(ステップS5)、そして、送られてきた画像データを取得し、一旦メモリ33に保持する(ステップS6)。メモリ33から画像データを読み出し、再構成等の画像処理を行った後、メモリ33に保存画面を格納し(ステップS7)、動作を終了する。
【0054】
上記では、コンピュータ装置30とデジタルX線撮影装置1との関係について説明しているが、この発明は、例えば、図5に示すように、第1チェアユニット121、第2チェアユニット122、第3チェアユニット123と複数の診療チェアを備える。そして、診療チェアユニットのそばにデジタルX線撮影装置1から取り外したコンピュータ装置30を用意し、チェア用コンピュータ端末として用いる。
【0055】
すなわち、図5に示すように、このネットワークシステムは、診療室に、複数のチェアユニット121、122、123を備える。各チェアユニット121…は、歯科診療のための診療椅子、照明装置、うがいスタンド、診療器具等を載置するためのテーブル等を備える。そして、各チェアユニット121…ごとに、院内ネットワーク50と接続される端子部又はアクセスポイントが備えられ、この端子部又はアクセスポイントにコンピュータ装置30を接続し、チェア用コンピュータ装置30として用いる。チェアユニットの端子部に接続されたコンピュータ装置30は、患者の電子カルテやX線画像等を表示画面(モニター)に表示する端末装置として用いられ、コンピュータ装置30を歯科医師が操作して診療状況・診療方法等を患者に説明する。それぞれのチェアユニット121…には、受付係や歯科医師等が識別・管理できるように、例えば1番チェア、2番チェア、3番チェアのようにチェア番号が設定されている。
また、このネットワークシステムは、X線室130に、デジタルX線撮影装置1及び着脱自在のコンピュータ装置30が設置されている。
【0056】
コンピュータ装置30は、撮影条件を設定したり、デジタルX線撮影装置1で撮影したX線画像を患者ごとに管理・整理する。さらに、このネットワークシステムは、ネットワーク接続ストレージなどの記憶装置110を備えており、記憶装置110には、患者ごとの電子カルテやX線画像等が記憶される。なお、記憶装置110は、コンピュータ装置30等に搭載してもよいが、コンピュータ装置30は、スレート型コンピュータ装置を用いているので、受付用コンピュータ装置120などやサーバに保管する方がコンピュータ装置30を小型化できる。
【0057】
このネットワークシステムにおいて、チェア用の端子部…、コンピュータ装置30及び記憶装置110は、院内ネットワーク50に接続されている。そして、この院内ネットワークを介して、各コンピュータ装置30及び記憶装置110は、それぞれの所定の信号及びデータ等を送受信できるようになっている。
【0058】
尚、この図5に示す実施形態は、来訪患者を受付ける受付スペースに、受付用コンピュータ装置120が設置されている。受付用コンピュータ装置120は、主に受付担当者や歯科衛生士等が操作して、来訪した患者の管理・整理等を行う。このコンピュータ装置120の記憶装置と画像を保管する記憶装置110として用いることもできる。また、コンピュータ装置120の記憶装置を記憶装置110のバックアップ用として用いることも可能である。
【0059】
上記した実施形態では、コンピュータ装置30でデジタルX線撮影装置1から送られた画像データの再構成処理などを行っている。図11に示す実施形態は、コンピュータ装置30では、画像データの再構成処理は行わず、デジタルX線撮影装置1から送られた画像データを一旦保持し、保持したデータを院内ネットワーク50に接続された他のコンピュータ装置120aに送り、コンピュータ装置120aで再構成などの画像処理などを行う。画像処理された画像データは、院内ネットワーク50に接続された記憶装置110に格納される。
【0060】
この場合、コンピュータ装置30は、X線検出部14に撮像された画像データを受け取り、一旦メモリ33に保持し、この保持した画像データを院内ネットワーク50に送る。このため、コンピュータ装置30の通信制御回路34aは、装置本体制御部1aから送られてきた画像データを受け取りメモリ33に格納し、格納した画像データをメモリ33から読み出し、院内ネットワーク50を介してコンピュータ装置120aに送る制御を行う。その他の構成は、上記した実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付して説明の重複を避けるために、その説明は割愛する。
【0061】
このように構成することで、画像再構成処理などの演算はコンピュータ装置120aに分担させることができ、コンピュータ装置30を小型化することができる。
【0062】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0063】
1 デジタルX線撮影装置
1a 装置本体制御部
12 旋回アーム
13 X線照射部
14 X線検出部
30 コンピュータ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者にX線を照射するX線照射部と、
入射するX線に応じたデジタル量の電気信号を出力するX線検出部と、
前記X線照射部の照射時間や出力を制御する装置本体制御部と、を備えたデジタルX線撮影装置と、
前記X線検出部から与えられた信号を保持する記憶部と、X線画像を表示する表示部と、を備えたコンピュータ装置と、を備え、
前記コンピュータ装置が前記デジタルX線撮影装置に着脱自在に取り付けられる、デジタルX線撮影装置。
【請求項2】
前記記憶部に保持された信号を読み出し演算処理を行う演算処理部を備え、前記表示部は、演算処理部の演算結果を受けて演算後のX線画像を表示する、請求項1に記載のデジタルX線撮影装置。
【請求項3】
前記コンピュータ装置と装置本体制御部とが通信手段で接続され、コンピュータ装置から撮影条件を装置本体制御部へ送出し、前記装置本体制御部は、受け取った撮影条件に基づきX線照射部の照射時間、出力を制御する、請求項1又は請求項2に記載のデジタルX線撮影装置。
【請求項4】
前記コンピュータ装置と装置本体制御部とが通信手段で接続され、前記X線検出部からのデータを装置本体制御部から前記コンピュータ装置へ送出し、前記コンピュータ装置は、X線検出部から与えられた信号の演算処理を行い、演算後のX線画像を表示する、請求項2に記載のデジタルX線撮影装置。
【請求項5】
前記コンピュータ装置の表示部は、種々の操作データを入力する入力部、操作画面を表示し、その表示に従い操作情報が与えられる、請求項1又は請求項2に記載の歯科用デジタルX線撮影装置。
【請求項6】
前記コンピュータ装置は、ネットワークを介して画像サーバにX線画像を格納する、請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載のデジタルX線撮影装置。
【請求項7】
前記コンピュータ装置は、ネットワークを介して画像サーバに格納されたX線画像を取り込み、前記表示部でX線画像を表示する請求項6に記載のデジタルX線撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−228403(P2012−228403A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99028(P2011−99028)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000117054)朝日レントゲン工業株式会社 (36)
【Fターム(参考)】