説明

デッキ材取付構造

【課題】 屋外の広場等に敷設されるデッキに関し、デッキの敷設後において部分的に特定のデッキ材の取り外しが行なえ、また施工が簡単でかつ経済性にも優れたデッキ材取付構造を提供することを課題とする。
【解決手段】 根太材6と、根太材6の上部に固定される台座部42、及びこの台座部の上部に形成される翼部44からなる固定具10と、長尺板材からなり、両側部にはそれぞれ翼部44の介在が可能な収納凹部30が形成され、両側部の下部に突出部36がそれぞれ形成されたデッキ材8とを有し、隣接するデッキ材8間の両収納凹部30により形成された空間部31に固定具10の翼部44を介在させるとともに、この固定具10の台座部42に両側から両デッキ材8の各突出部36を当接させて配置し、両デッキ材8の隙間58から工具を差し込んで固定具10にビス11を螺設し、この固定具10とともにデッキ材8を根太材6の上部に固定した構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外の広場等に敷設されるデッキにおいて、部分的にデッキ材の取り外し及び交換が行なえるデッキ材取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外の広場などにデッキを敷設する場合には、長尺側の両側部にそれぞれ溝を設けた長尺板状のデッキ材を並べて根太材上に架設し、これら根太材の端から順に各デッキ材の側部を固定金具で固定しデッキ全体を仕上げていた。しかし、この取付構造によるデッキでは、中央部付近で特定のデッキ材に破損があった場合、これを交換するときには、根太材の端からそのデッキ材に至るまでの全てのデッキ材を取り外し、そして上記破損したデッキ材を取り外して新しいものと交換するという作業が必要であった。
【0003】
これに対して、部分的に特定のデッキ材のみを取り外すことができるデッキ構造が提案されている。例えば、特許文献1に開示されたウッドデッキの施工方法は、図9(a)(b)に示すように底面70の幅が上面72より短いデッキ部材73を使用し、このデッキ部材73の側面の長手方向に向けられたスリット部に、長手方向と垂直になるように図9(c)に示す固定具74のつば部75を配置し、ビス76で固定具74を固定し、デッキ部材73を根太材78に固定する。
そしてこの状態から、ビスを緩めて固定具74のつば部75を90度回転させると、固定具74のつば部75の短手方向の幅が隣り合うデッキ部材の底面70の幅(W2)より短いため、デッキ部材73を係止固定するものがなく必要なデッキ部材のみを自由に取り外すことができるというものである。
【0004】
また、特許文献2に記載の床材の固定装置は、根太に固定されたデッキ材の内、中間位置に配置した特定のデッキ材を固定する固定具のネジを外せばこのデッキ材を引き上げることができ、デッキ材の配置位置に依らず、特定のデッキ材を効率よく自在に取り外すことができるというものである。
【0005】
また、特許文献3に記載のウッドデッキの施工方法は、根太材の上面に複数のデッキ材をまとめて配置させ、この後、根太材のC形チャンネル部にナット部材を収容した固定具によりデッキ材を固定することができ、このため部分的なデッキ材の破損等があった場合には、該当するデッキ材のみを交換できるというものである。
【0006】
【特許文献1】特開2008−75348
【特許文献2】特開2003−314038
【特許文献3】特開2006−207363
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さて、上記特許文献1のウッドデッキの施工方法は、つば部を90度回転させることで係止解除を行う構造であるから係止状態の安定性、確実性化に欠けるという問題がある。また、特許文献2の床材の固定装置は、デッキ材を板状の固定具で固定する構造であるため、デッキ材同士の間隔等の位置決めがしづらく、また特許文献3の施工方法は、C形チャンネル部を設けた特殊な形状の根太材を用いる必要があり加工性、及び施工性に劣るという問題がある。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、デッキの敷設後において部分的に特定のデッキ材の取り外しが行なえ、また施工が簡単でかつ経済性にも優れたデッキ材取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の技術的課題を解決するため、本発明に係るデッキ材取付構造は、図1に示すように、所定間隔をおいて並列状に配置された根太材6と、上記根太材6の上部に固定される台座部42、及びこの台座部の上部に左右向きに形成される翼部44からなり、上記台座部42を通過して上下に貫通するビス孔49が穿設された固定具10と、上記根太材6間に並置される長尺板材からなり、両側部にはそれぞれ上記固定具の翼部44の介在が可能な収納凹部30が形成され、上記両側部の下部には突出部36がそれぞれ形成されたデッキ材8とを有し、隣接する上記デッキ材8間の両収納凹部30により形成された空間部31に上記固定具10の翼部44を介在させるとともに、この固定具10の台座部42に両側からそれぞれ上記デッキ材8の各突出部36を当接させて配置し、上記両デッキ材8の上部間に形成された隙間58から工具を差し込んで上記固定具10のビス孔49にビス11を螺設し、この固定具10とともに上記デッキ材8を上記根太材6の上部に固定した構成である。
【0010】
本発明に係るデッキ材取付構造は、上記デッキ材8の両側部の下端部にそれぞれ角部を切り欠いた切欠凹部26を形成し、上記固定具10の台座部42の下端部近傍と、上記デッキ材8の切欠凹部26との間に横方向の隙間54を設けて上記固定具とともに上記デッキ材を上記根太材に固定した構成である。
【0011】
本発明に係るデッキ材取付構造は、上記固定具10の翼部44(45)の端部と、上記デッキ材の側部に設けた収納凹部30の側面との間に横方向の隙間56を設けて上記固定具とともに上記デッキ材を上記根太材に固定した構成である。
【0012】
本発明に係るデッキ材取付構造は、上記デッキ材8として、木粉に合成樹脂を原料とした合成木材を使用し、長尺方向に複数の空洞部38,39,40を形成した構成である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るデッキ材取付構造によれば、隣接するデッキ材間の両収納凹部により形成された空間部に固定具の翼部を介在させるとともに、この固定具の台座部に両側からそれぞれデッキ材の各突出部を当接させて配置し、両デッキ材の上部間に形成された隙間から工具を差し込んで固定具のビス孔にビスを螺設し、この固定具とともにデッキ材を根太材の上部に固定した構成としたから、任意の箇所のデッキ材を固定する固定具のビスを緩めるのみで簡単にその特定のデッキを脱着することができ、破損等によるデッキ材の交換作業が簡単かつ迅速に行え、また構造も簡単であり施工性及び経済性にも優れるという効果を奏する。
【0014】
本発明に係るデッキ材取付構造によれば、デッキ材の下端部に切欠凹部26を形成し、固定具の台座部の下端部近傍と、デッキ材の切欠凹部との間に横方向の隙間54を設けてデッキ材を固定した構成としたから、デッキ材を回動させつつ取り外して交換する際に、上記デッキ材8を傾けたときにデッキ材の下端部(切欠凹部26の部位)が根太材の上面部に当たらないため、デッキ材の回動が容易に行え、また上記隙間54によりデッキ材の下端部と台座部の下端部近傍が当たらないため、デッキ材と固定具との係合が容易に解除されて作業が楽に行えるという効果がある。
【0015】
本発明に係るデッキ材取付構造によれば、固定具の翼部45の端部と、デッキ材の収納凹部30の側面との間に横方向の隙間56を設けてデッキ材を固定した構成としたから、特定のデッキ材を取り外す際、上記隙間56により固定具の翼部45の端がデッキ材の収納凹部30の側面に当たらないため、デッキ材と固定具との係合が容易に解除されて作業が楽に行えるという効果がある。
【0016】
本発明に係るデッキ材取付構造によれば、デッキ材として、木粉に合成樹脂を原料とした合成木材を使用し、長尺方向に複数の空洞部を形成した構成としたから、デッキ材の加工が容易に行なえ、耐候性にも優れるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係るデッキ材取付構造の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、上記デッキ材取付構造を示したものである。このデッキ材取付構造は、スラブ面2上に配置される支持脚4、この支持脚に支持される根太材6、根太材6の上部に敷設されるデッキ材8、及びこのデッキ材8を根太材の上部に固定する固定具10を有する。
【0018】
上記支持脚4は、下部近傍に座金12が螺着された鋼製の支持ボルト14、この支持ボルト14の上部に螺着され高さ調整可能な鋼製円板状の受け具16及びこの受け具16の上部に設けられる防振ゴム20等を有する。上記受け具16には、中央の孔部の下部にナット18が固定されており、この受け具16を支持ボルト14に螺合する。この受け具16の上部に、根太材6をフランジ部24の上面からビスにて固定する。上記根太材6は、上面部22、側面部23,23及びフランジ部24,24を有する断面ハット形の鋼製の長尺材である。
【0019】
上記デッキ材8は図2に示すように、根太材6間に架設される長尺板材からなり、長尺側の両側部の下端部にはそれぞれ角部を凹状に切り欠いた切欠凹部26が形成され、また両側部の上端部にはそれぞれ角部を斜面状に削った面取部28が形成されている。
【0020】
また上記デッキ材8の長尺側の両側部の中央部には、各側部の厚さの半分以上にわたって凹状に窪んだ収納凹部30が形成されている。この収納凹部30は、上面部32、側面部33及び下面部34からなり、これらの面は平坦であり各面部同士による隅部は丸みをもっている。
デッキ材8の側部に形成される上記収納凹部30と関連して、この側部の下部には突出部36が、また上部には第二の突出部37がそれぞれ形成されている。
【0021】
また、このデッキ材8には長尺方向に6箇所の空洞部が形成されている。これら空洞部としては、デッキ材8の横断面の中央部の左右に横長矩形状の空洞部38,38が、これらの外側寄りに縦長矩形状の空洞部39,39が、また左右の端部近傍には横長矩形状の空洞部40,40がそれぞれ形成されている。これら空洞部は、デッキ材8の軽量化及び省資源化を図るものである。
【0022】
また、上記デッキ材8の横断面は左右対称な形状としている。このため、デッキ材8は左右の区別がなく、例えば作業現場において必要に応じて適宜左右の側面を逆にして使用することができる。
【0023】
上記デッキ材8は加工性及び耐候性を考慮して人口木材(再生木)を使用しているが、他に天然木材を使用することもできる。上記人口木材は、木粉、顔料にポリエチレン樹脂(又はポリプロピレン樹脂)などの合成樹脂を混ぜて板状に加工したものであり、耐久性に優れ素足歩行にも馴染む材料である。上記天然木材は、マニルカラ、ジャラ、イペ、セランガンバツ等の硬質木材が適しており、屋外での長期使用に耐える。
【0024】
上記固定具10は、アルミニウム合金の押し出し成形品を切断して使用するものであり、他にステンレス材等の金属或いは合成樹脂材が用いられる。この固定具10は図3に示すように、根太材6の上部に固定される台座部42、この台座部42の上部から左右側に横向きに形成される翼部44、この翼部44の一方側(図中左側)の端部から縦向きに屈曲して立設形成される押え翼部46を有している。上記翼部44の他方側(図中右側)は、端部が少し上方に屈曲した片状の翼部45が形成された形状である。また、上記翼部44は、台座部42の中央部から(横向きに)上記翼部45の端部までの長さが、上記押え翼部46の端部までの長さに比べて短く形成されている。また上記翼部44の下面部には、複数の小突起47が形成されている。
【0025】
上記固定具10の台座部42は、中央に立設する基部48、この基部48の下端部の一方側(図中左側)に形成される第一の突片50、他方側(図中右側)形成される第二の突片51からなり、この第二の突片51は上記第一の突片50より突出の程度が短く形成されている。
このため固定具10には、台座部42の第一の突片50、基部48及び翼部44によって保持凹部52が形成され、また台座部42の第二の突片51、基部48及び翼部44(45)との間に保持凹部53が形成された形状である。また、台座部42の中央部には、翼部44を貫いて上下に貫通するビス孔49が所定の間隔をおいて2箇所穿設されている。ここで用いるビス11は、セルフドリリング可能なものであり根太材6に自ら孔を穿設しながら螺入する。
【0026】
ここで、図1に示すデッキ材の取付構造に係るデッキを、屋外の広場、庭等に敷設する場合の取付方法について説明する。先ず、コンクリートなどのスラブ面2の所定位置に、工具を用いて上記支持脚4を立設するための穴をあける。そして上記各穴内に、支持脚4の支持ボルト14を埋設し、座金12をスラブ面2の位置に調節して支持ボルト14を固定する。また、支持脚4のナット18などを操作して受け具16の高さ調整を行なう。
【0027】
上記支持脚4を立設後は、各支持脚4間に根太材6を架設し、支持脚4の受け具16の上部に設けられた防振ゴム20の上部に、上記根太材6のフランジ部24,24を載置する。そして、根太材6のフランジ部24,24をビス11などの止着具を用いて受け具16に固定する。各根太材6は、所定の間隔をおいて互いに平行に配置する。
次に、上記デッキ材8を上記配置した根太材6の上部にこれと直交する方向に配置する。そして、図4に示すように上記固定具10を用いてデッキ材8を根太材6に固定する。
【0028】
図5は、固定具10を用いて、デッキ材8を固定した状態を示したものである。このように固定具10の両側からデッキ材8を押し付け、固定具10の一方側の保持凹部52に、デッキ材8の一方の側部の突出部36を嵌め込む一方、他方側の保持凹部53に他のデッキ材8の側部の突出部36を嵌め込む。これにより、両突出部36が固定具10の基部48に当接するとともに、各保持凹部52,53に両突出部36がそれぞれ保持されてデッキ材8の上下移動が阻止され、また反対側の側部に配置される固定具10とともにデッキ材8の左右移動が阻止される。両デッキ材8同士の収納凹部30,30により形成される空間部31には、固定具10の翼部44を収納する。この固定具10の押え翼部46は、デッキ材8の収納凹部30の側面部33を押えてデッキ材8の移動及び変動を阻止する。
【0029】
また隣接する両デッキ材8間には、上部の第二の突出部37,37同士の間に隙間58が形成され、また下部の突出部36,36同士の間にも同じ幅の隙間59が形成される。上記隙間58,59の幅は、何れも固定具10の基部48の幅(ここでは6mm)に相当する間隔である。このように、固定具10の台座部42の基部48(横幅)により、デッキ材8同士の間に一定幅の隙間58,59を形成することができる。
【0030】
そして、両デッキ材8同士の収納凹部30,30により形成される空間部31及び上記隙間59に、固定具10およびビス11を介在させた状態で、デッキ材8間の上部の隙間58から回転工具(ドライバーなど)を差し込み、ビス11を根太材6の上面部22にねじ込み固定具10を固定する。これにより両デッキ材8は、各突出部36が固定具10の各保持凹部52,53に保持され、かつこの状態で両突出部36,36が固定具10の翼部44により押圧固定される。こうして、デッキ材8は固定具10とともに根太材6に固定される。
【0031】
このとき図5に示すように、デッキ材8の下端部に設けた切欠凹部26に固定具10の第二の突片51が少し嵌入した状態であるが、両者間には隙間54が形成されている。また、固定具10の片状の翼部45の端部とデッキ材8の収納凹部30の側面部33との間にも隙間56が形成されている。
上記デッキ材8を回動して脱着する際、デッキ材8の下端部が上記切欠凹部26により角がとれているため、デッキ材8の下端部が根太材6の上面部22に突き当たることがないため、回動が容易に行なえる。
上記隙間54は、デッキ材8の脱着の際に、デッキ材8と固定具10の当該箇所同士が当たらないようにしてデッキ材8の回動を容易するものである。上記隙間56についても、デッキ材8を回動して外すときに、当該箇所同士が当たらないようにして、デッキ材8の取り外しを容易にする。
【0032】
上記デッキ材8の敷設においては、固定具10へのビス11の螺設はデッキ材8同士の隙間58を利用して行えるため、デッキ材8は根太材6上の任意の箇所から敷設を開始することができる。また、根太材6上に複数のデッキ材8をまとめて並置し、各デッキ材8同士の収納凹部30,30により形成される空間部31に固定具10を介在させておき、各デッキ材8同士を近接(移動不可能な状態に)させた状態で、デッキ材8同士の隙間58から工具を差し込んで次々とビス11を螺設し、固定具10とともにデッキ材8を固定するようにしてもよい。
【0033】
並設した根太材6の特定箇所から順にデッキ材8を敷設する場合、先ず端部に一列に固定具10を取り付けてデッキ材8を保持させ、これと他のデッキ材8間に固定具10及びビス11を介在させ、デッキ材8の突出部36をこの固定具10の一方の保持凹部52(53)に嵌めて保持させる。そして他のデッキ材8をこの固定具10の反対側から押し付けて、その突出部36を固定具10の他方の保持凹部53(52)に嵌めて保持させ、両デッキ材8間の上部の隙間58から回転工具を差し込み、ビス11を固定具10のビス孔49にねじ込み、固定具10とともにデッキ材8を根太材6の上面部22に固定する。なお、ビス11は回転工具の操作時に隙間58から嵌め入れてもよい。
【0034】
同様にして、固定具10を用いて順次デッキ材8を根太材6の上部に固定する。これにより、各デッキ材8は突出部36が固定具10によって保持されかつ押圧固定され、また各デッキ材8間には上記隙間58,59が形成され、また各デッキ材8と固定具10との間には上記隙間54及び隙間56が形成される。
【0035】
デッキ材8の長尺方向に他のデッキ材8を接続する場合は、根太材6の上部に両デッキ材8の端部が位置するように配置する。これにより、これらデッキ材8同士を跨いで上記固定具10を介在させることができ、両デッキ材8の端部を同時に固定することができる。以降も、上記と同様な方法によりデッキ全体の敷設を行なう。
【0036】
さて、上記デッキの使用中に、一部のデッキ材8に破損が生じ或いはコイン等の落下物が発生して、デッキ材8を取り外す必要が生じた場合のデッキ材8の脱着及び交換方法について説明する。
この場合には図6(a)に示すように、脱着予定のデッキ材8と、これと隣接する他のデッキ材8との間の隙間58から回転工具を差し込み、固定具10を螺設されたビス11を緩めて固定具10による固定を解除する。同じデッキ材8の他の箇所の固定具10についても同様にしてビス11を緩める。
【0037】
そして、図6(b)(c)に示すように、上記ビス11を緩めた部位の両デッキ材8の側部を固定具10とともに共に((1)(2)に示すように)持ち上げてそれぞれのデッキ材8を回動させ、両デッキ材8間の隙間を開いて何れか(又は両方)のデッキ材8を外す。このとき、デッキ材8の下端部が切欠凹部26により角がとれているため、デッキ材8の下端部が根太材6の上面部22に突き当たることがない。
【0038】
またデッキ材8と固定具10との間に隙間54が設けられているため、上記共に持ち上げたデッキ材8と固定具10との端部同士(固定具10の第二の突片51とデッキ材8の下端部の切欠凹部26の近傍)が当たらず、デッキ材8と固定具10との係合が容易に解除され、デッキ材8が楽に回動するので取外しが容易に行なえる。
また、固定具10の翼部45の端部とデッキ材8の収納凹部30の側面部33との間に設けた隙間56により、デッキ材8が回動するときに固定具10の翼部45の端部とデッキ材の側面部33とが当たらないため、この点でもデッキ材8がらくに回動できて取り外しが容易である。
【0039】
次に、図7(a)(b)に示すように、上記デッキ材8を取り外した箇所に新しいデッキ材8を配置し、このデッキ材8と他の(片側部が固定されてない)デッキ材8との間に、固定具10及びビス11を介在させる。そして図7(b)(c)に示すように、両デッキ材8同士が突合する箇所を共に((1)(2)に示すように)少し持ち上げて各デッキ材8を傾斜させた状態とし、一方のデッキ材8の突出部36を固定具10の保持凹部52(53)に嵌めつつ、両デッキ材8を回動させて根太材6の位置まで下げる。
この新しいデッキ材8を取り付ける際にも、上記脱着のときと同様に、切欠凹部26、隙間56,58によりデッキ材8の回動が容易に行える。
【0040】
この状態で、固定具10の一方の保持凹部52には新しいデッキ材8の突出部36が嵌合し、固定具10の他方の保持凹部53には他のデッキ材8の突出部36が嵌合し、各部材同士は互いに密着する。そして、両デッキ材8間の上部の隙間58から回転工具を差し込みビス11を螺設し、新しいデッキ材8を固定する。
【0041】
図5及び図8は、上記デッキにおけるデッキ材8間の空間部31(目地部)に、落下防止板60を配設する場合について示したものである。上記デッキは、デッキ材8間の隙間58,59により、雨水がスラブ面2に排水されるが、これら隙間58,59によりコイン或いはごみ等がスラブ面2に落下するおそれがある。上記落下防止板60は、デッキ材8間の下部側の隙間59を塞いでコイン等の落下を防止する。
【0042】
上記落下防止板60は、長尺板状材であり、横断面の両端部が上方に屈曲形成されている。このため落下防止板60は、雨水の流路としても機能する。また横断面の中央部には長手方向に一定間隔をおいて孔部62が形成されている。
この落下防止板60は、デッキ材8同士の隙間58から上記空間部31に嵌め入れる。そして、図8(a)に示すように、落下防止板60をデッキ材8同士の空間部31内の固定具10の上部に落とし込んだ後、図8(b)のように、先に設置した落下防止板60の近くの所定の位置までスライドさせる。このとき、上記落下防止板60に設けた孔部62は、ここから各固定具10のビス11の頭部が突き出る位置に配置する。また、各落下防止板60間は、雨水等の排水のため少し間隔を開けて配置し、デッキ材8間の隙間59から排水を行なう。
【0043】
したがって、上記実施の形態によれば、任意の箇所のデッキ材につき、このデッキ材を固定する固定具のビスを緩めるのみで簡単にその特定のデッキ材のみを脱着することができるため、破損したデッキ材の交換作業が簡単かつ迅速に行え、また構造も簡単であり施工性及び経済性にも優れ、またデッキ材を取り外す際にデッキ材と固定具との係合が容易に解放されて作業が楽に行えるという効果がある。また、固定具とデッキ材との間に隙間を設けたから、デッキ材を取り外す際にデッキ材と固定具との係合が容易に解除されて作業が楽に行えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態に係るデッキ材取付構造を示す図である。
【図2】実施の形態に係るデッキ材の斜視図である。
【図3】実施の形態に係り、(a)は固定具を示す図であり、(b)はA−A断面を示す図、(c)はB−B断面を示す図である。
【図4】実施の形態に係るデッキ材と固定具との取付状態を示す分解図である。
【図5】実施の形態に係るデッキ材と固定具との取付構造を示す図である。
【図6】実施の形態に係り、一部のデッキ材を脱着する状態を示す図(a)(b)(c)である。
【図7】実施の形態に係り、一部のデッキ材を新しく取り付ける状態を示す図(a)(b)(c)である。
【図8】実施の形態に係り、デッキ同士間に落下防止板を配置する状態を示す図(a)(b)である。
【図9】従来例に係るデッキ構造を示す図(a)(b)(c)である。
【符号の説明】
【0045】
4 支持脚
6 根太材
8 デッキ材
10 固定具
11 ビス
26 切欠凹部
30 収納凹部
31 空間部
36 突出部
38,39,40 空洞部
42 台座部
44,45 翼部
49 ビス孔
54,56,58 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔をおいて並列状に配置された根太材と、
上記根太材の上部に固定される台座部、及びこの台座部の上部に左右向きに形成される翼部からなり、上記台座部を通過して上下に貫通するビス孔が穿設された固定具と、
上記根太材間に並置される長尺板材からなり、両側部にはそれぞれ上記固定具の翼部の介在が可能な収納凹部が形成され、上記両側部の下部には突出部がそれぞれ形成されたデッキ材とを有し、
隣接する上記デッキ材間の両収納凹部により形成された空間部に上記固定具の翼部を介在させるとともに、この固定具の台座部に両側からそれぞれ上記デッキ材の各突出部を当接させて配置し、上記両デッキ材の上部間に形成された隙間から工具を差し込んで上記固定具のビス孔にビスを螺設し、この固定具とともに上記デッキ材を上記根太材の上部に固定したことを特徴とするデッキ材取付構造。
【請求項2】
上記デッキ材の両側部の下端部にそれぞれ角部を切り欠いた切欠凹部を形成し、上記固定具の台座部の下端部近傍と、上記デッキ材の切欠凹部との間に横方向の隙間を設けて上記固定具とともに上記デッキ材を上記根太材に固定したことを特徴とする請求項1記載のデッキ材取付構造。
【請求項3】
上記固定具の翼部の端部と、上記デッキ材の側部に設けた収納凹部の側面との間に横方向の隙間を設けて上記固定具とともに上記デッキ材を上記根太材に固定したことを特徴とする請求項1又は2記載のデッキ材取付構造。
【請求項4】
上記デッキ材として、木粉に合成樹脂を原料とした合成木材を使用し、長尺方向に複数の空洞部を形成したことを特徴とする請求項1、2又は3に記載のデッキ材取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−150779(P2010−150779A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328448(P2008−328448)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000177139)三洋工業株式会社 (46)
【Fターム(参考)】