説明

デッドストローク低減弁

【課題】初期デッドストロークを低減し、ペダルフィーリングを改良する。
【解決手段】1次タンクポット42および2次タンクポット44が、流体タンクと1次および2次チャンバのそれぞれとの間で液圧流体を運ぶために、1次導管32、34、36、80および2次導管48、50に接続されている。弁76が、1次ポット42と1次導管との間の連通を選択的に開いたり閉じたりするために2次ピストン20によって作動される。弁76が閉じられたときに、ポペット弁30が閉じられてそれにより1次ポット42とタンクとの間の連通が閉じられる前に初期の加圧流体を発生させて1次導管32、34、36、80用の1次回路の流路まで送ることにより、1次回路のデッドストロークが低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ブレーキシステムに関し、より詳細には、このようなブレーキシステムのための改良型マスターシリンダ構成に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で用いられる車両用液圧ブレーキシステムおよびマスターシリンダの設計は古くてよく知られているものであり、簡単な形では、ばね付勢された可動ピストンによって一方の端部がポートを通過して液圧チャンバ内の流体に圧力をかけるときに閉じられる、液圧チャンバの上方に配置される流体タンクを有する。マスターシリンダは、車両用1つまたは複数のホイールブレーキ・アクチュエータにブレーキ適用流体圧力を与えるために可動ピストンが機械的に作動される(真空により与圧される場合が多い)ときに機能する。比較的単純なマスターシリンダが、米国特許第4,320,624号明細書および第6,658,844号明細書に開示されている。車両用液圧回路を、1つの回路がフロント・ホイールブレーキを作動させるためのものであり別の1つの回路がリヤ・ホイールブレーキを作動させるためのものである2つ以上のほぼ自律型の回路に分割することは珍しいことではない。このような分割を行うための1つの方式は、分離された複数の流体タンクまたは共有される単一の流体タンクを備える、分離されているが同時に作動可能である2つの液圧チャンバを有するタンデム式の単一マスターシリンダを使用する方式である。分離された2つのブレーキ回路用の分離された2つのチャンバを有するマスターシリンダが、米国特許第4,122,596号明細書、第5,513,492号明細書および第5,943,863号明細書を含めた多くの米国特許で示されているように、公知である。
【0003】
米国特許第5,943,863号明細書に開示されているマスターシリンダは、径方向ポート(1次回路用)および軸方向ポート(2次回路用)によってタンクに接続されておりさらに第1および第2の出口ポートを通ってブレーキシステムに接続されている孔を備えるハウジングを有する。孔の中に配置されている第1および第2のピストンは、第1の戻しばねによって分離されて第1のすなわち1次チャンバを画定しており、一方第2のピストンは、第2の戻しばねによって孔の底部から分離されて2次チャンバを画定する。1次チャンバは、第2のピストン内にある軸方向通路を介して径方向ポートに連結されており、一方2次チャンバは、タンクと孔との間で流体を連通させるためにハウジング内の軸方向ポートに直接に連結されている。第1および第2のピストンは、まず孔の中で移動することにより入力に反応し、第1および第2の戻しばねを圧縮し、連結部材またはロッドのヘッドを通常は開かれているポペット弁に係合させこれを閉じさせて、ハウジング内の径方向ポートおよび軸方向ポートに対して軸方向通路を密閉し、それにより孔とタンクとの間での連通を停止させる。タンクのポペット弁を閉じ、マスターシリンダ内の圧力の増加を開始させるためのこの最初の運動は、制動力は発生させず、デッドストロークとして知られている。より正確には、デッドストローク(補償損失(compensation loss)とも呼ばれる)とは、マスターシリンダの高圧力の回路からタンクの低圧力の回路を隔離するために必要となる1次ピストンの移動量のことである。この非生産的なデッドストロークを減少させることが望まれていることは最近のいくつかの特許から認められる。軸方向に配置されるポペット弁以外では、米国特許第6,978,614号(B2)明細書および第7,040,093号明細書が、各ピストンごとにタンク入口ポート上に延びる、軸方向に離隔された一対のシリンダ側壁シールを使用する。各ピストンは側壁開口部を有しており、これらの側壁開口部は、2つのシールの中間に位置されたときに、流体がタンクから個々の圧力チャンバ内へと流れるようにする。
【0004】
米国特許第6,978,614号明細書が、供給チャンバおよび圧力チャンバを画定して、軸方向の1次ピストンおよび軸方向のカップ形状2次ピストンが滑動可能に嵌合されておりさらに少なくとも1つのシール要素が各ピストンに接触するように配置されている孔を有するマスターシリンダを使用することによる、デッドストロークを減らすための一手法を教示している。各ピストンはフロント圧力チャンバの方向に開いている孔を有しており、2次回路ピストンが、環状側壁シールを越えて通過するときにブレーキ圧を発生させるようにフロント圧力チャンバを隔離することを目的として、その周囲部およびその孔に対して開いている弁形成貫通孔を有する。少なくとも1つのピストンに関連付けられたフロント(2次)圧力チャンバは、貫通孔を閉塞してデッドストロークを減らすための、環状側壁シールの後方においてピストンの外側で軸方向に延在している少なくとも1つの管状円筒形要素を有する。この環状要素は、ラジアル弁がシールを通過する前にラジアル弁を密閉することを目的として挿置される。米国特許第7,040,093号明細書は、このような所望の結果を得るために、複数の異なる側壁開口パターンを提案している。
【0005】
デッドストロークを最小化してブレーキ性能を向上させること、および、このような最小化が現行のマスターシリンダの設計に容易に適合されるような形で達成されることが強く望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,320,624号明細書
【特許文献2】米国特許第6,658,844号明細書
【特許文献3】米国特許第4,122,596号明細書
【特許文献4】米国特許第5,513,492号明細書
【特許文献5】米国特許第5,943,863号明細書
【特許文献6】米国特許第6,978,614(B2)号明細書
【特許文献7】米国特許第7,040,093号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、初期作動時におけるデッドストロークの低減を可能にすると同時に、高流量能力およびすべての調節適用におけるペダルフィールの改良を可能にするマスターシリンダ組立体を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
車両用液圧マスターブレーキシリンダ組立体が、概して円筒形の孔を有するマスターシリンダハウジングと、上記孔の中に往復運動可能に配置されて1次および2次ブレーキ液圧チャンバを画定する1次および2次ピストンとを有する。1次および2次タンクポットまたはタンクポートが、流体タンクと1次および2次チャンバとの間で液圧流体を運ぶための1次および2次導管に連結されている。弁が、1次ポートと1次導管との間にある弁座と、密閉状態で選択的に弁座と係合する弁面を有する弁本体と、弁面が弁座とシール接触するように付勢する弾性部材とを含んでいる。この弁は、1次ポートと1次導管との間の連通を選択的に開いたり閉じたりするために、2次ピストンによる作動用の、孔の中へ延在している作動アームを有する。
【0009】
本発明の利点は、1次流路が、ペダルストロークおよびペダルフィールに悪影響を及ぼすことなく、ESP用途のために増大され得ることである。
別の利点は、本発明が、現行のマスターシリンダ設計およびすべての孔径に適合性を有することである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を組み込んだ、休止状態のマスターシリンダの断面図である。
【図2】図1のマスターシリンダの1次タンク導管部分の拡大断面図である。
【図3】従来技術のマスターシリンダの1次タンク導管部分の拡大断面図である。
【図4】ピストンが初期のブレーキ適用位置にある、図1のマスターシリンダの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
対応する参照符号は、複数の図面を通して対応する部品を示している。
ここで、図面、特に図1を参照すると、米国特許第5,943,863号明細書に類似する構造を有するマスターシリンダ12が示されており、本体またはハウジング14が、その中に概して円筒形の孔16を有する。1次ピストン18および2次ピストン20が孔16内に配置されており、それぞれが、1次戻しばね22および2次戻しばね24により、図示されているように右方向に付勢されている。第1のすなわち1次ピストン18は、2次ピストン20および孔16と共に、1次ブレーキ回路用の第1の可変容積すなわち圧力チャンバ26を画定しており、一方第2のすなわち2次ピストン20は、孔16と共に、第2の可変容積すなわち圧力チャンバ28を画定する。チャンバ26は、通常は開いているポペット弁30と、軸方向導管32と、環状チャンバ26の孔の軸線に対して概して直角方向に延在している径方向導管34と、横方向円筒形空洞38、40とを含む流体流路によって、ブレーキシステムの1次回路内で所望の流体レベルを維持するための流体タンク(図示せず)に連結されている1次ポット(pot)またはポート42に連結されている。同様に、チャンバ28は、通常は開いているポペット弁46と、軸方向導管48と、径方向導管50とを含んだ2次流体流路を経由して、2次ポットまたはポート44に連通している。圧力チャンバ26および28はまた、ブレーキ適用を行うための加圧流体を供給するために、ポート52および54を含んだ流体流路により、フロント・ホイールブレーキ・アクチュエータ56、58およびリヤ・ホイールブレーキ・アクチュエータ60、62に連結されている。1次ピストン18は、1次ポンピング・シール64およびリヤ・シール70を保持するための環状溝を有する。同様に、2次ピストン20は、間にある環状チャンバ36を密閉しているポンピング・シール66および圧力シール68のための環状溝を有する。
【0012】
図1と図2とを比較すると、2次流体流路内のポペット弁46は、第2の流体流路を選択的に閉じて第2のチャンバ内の流体圧力を増加させるために、2次ピストン20の動作によって作動可能である。ピストン20が図示されているように左方向に並進するとき、ロッド82が、ばね84の付勢に抗して弁を押し付けて流路が閉じられる。ポペット弁30に加えて、第1のすなわち1次流路は、ばね78によって付勢されて弁座72と密閉状態で係合する弁76を含んでいる。しかし、図1に図示したようにマスターシリンダが休止状態にあるとき、この弁は、2次ピストン20上のリム74により、図1および図2の傾斜した位置すなわち斜めの位置で開いた状態で保持される。弁76は、ブレーキペダルが押し下げられてピストン18および20が共に並進するときの第2のピストン20の左方向への動作によって作動(解放)され、それにより1次流体流路が閉じられて1次チャンバ26内の流体圧力が増加する。他の弁構成も考えられる。
【0013】
図3は、従来技術のマスターシリンダのための1次流体流路を示している。この流路は、環状チャンバ36に繋がっている通路90を備えるポットまたはチャンバ42を有する。この流路は、ブレーキペダルが作動されても、ピストン18の初期移動が、ロッド86が戻しばね88の付勢に逆らってポペット弁30に係合してポペット弁30を閉じるくらい十分な距離になるまでは開いたままである。この初期移動が上で考察したデッドストロークである。図2の構成では、本発明を画定するための図3の従来技術に適合させるのに必要となる比較的単純な修正形態を示している。流体タンクと連通しているポット42が、ハウジングまたは本体14の中に横方向円筒形空洞を有する。1次導管90は、マスターシリンダの円筒形孔16の環状空洞36の中へと開いている単純な横方向円筒形孔である。この通路90は、部分的な穿孔により、ポット42より直径が小さい円筒形部分40を形成することによって拡張される。さらに円筒形の穿孔を行うことにより、直径が最も小さい横方向円筒形空洞を形成する部分38が作られ、これは、円筒形孔16の環状空洞36の中へ開いている。ばね78および弁76は円筒形部分40内に位置される。弁座72は、ポットと導管40との接続部であるポット42の底部に固定されており、デッドストローク低減弁保持装置およびシールとして機能する。弁座72は中央開口部80を有しており、1次ポット42と1次導管部分40および38との間に固定される。弁本体76は、密閉状態で選択的に弁座72と係合する弁面98と、弁面から離れて円筒形孔16の中へ延在する、2次ピストン20上のリブ74との係合を選択的に作用させるための弁棒または作動アーム96とを有する。弾性部材またはばね78(コイルばねなど)は、弁面98と孔38および40の間にあるレッジまたはショルダ39との間で圧縮され、弁面98を弁座72とシール接触するように付勢する。
【0014】
図4は、車両用ブレーキペダルがある程度(一実施形態では、約1.25mm)押し下げられた後の、図1のマスターシリンダ組立体を示している。ポペット弁30はまだ作動されておらず、1次ギャップ94が開いたままである。2次ピストン戻しばね24は1次戻しばね22と比べて与えられる荷重(installed load)が小さいことから、ペダルが踏まれて1次ピストン18が前方にストロークを開始するときに、その荷重は2次ピストン20の方へ伝達される。2次ピストン20が前方へ移動することにより、2次戻しばね24が圧縮される。これにより、2次ポペット弁46がギャップ92を閉じて2次タンクポット44を密閉することで、2次回路の圧力を増加させることができる。
【0015】
2次ピストン20が図示されているように左方向に移動するとき、リブ74が弁アーム96を解放し、弁76が、1次タンクポット42を閉鎖するために弁座72と係合するようにばね78により押圧される。デッドストローク低減弁76によって1次ポットが閉鎖されることにより、1次ばね22が依然として圧縮されたままでかつポペット弁30が依然として開いたままで、1次回路の圧力を増加させることが可能となる。これにより1次回路のデッドストロークが減少する。というのは、1次ポペット弁30が閉じられる前にチャンバ26内の圧力が増加し始めるからである。本発明のデッドストローク低減弁76を使用しない場合、1次ポペット弁30が閉じられるまで1次回路内の圧力は増加しない。ポペット弁30は、いくつかの考えられる故障モードに対応できるように保持される。いったんポペット弁30が閉じられると、環状チャンバ36内の圧力がさらに増加することはない。デッドストローク低減弁76を追加することにより、ギャップ92および94が増大されて、ペダルフィールの性能を悪化させることなく流れを向上させることが可能となる。
【0016】
要約すると、1次ピストン18および2次ピストン20は、最初、同時に並進して2次戻しばね24を圧縮し、それにより2次ポペット弁46が閉じられて2次回路導管が閉鎖され、さらに、アーム96が解放されることにより、弁76が1次導管を閉じる。次いで、1次および2次ブレーキ回路の圧力は両方とも増加し始めることができる。その後、1次ピストンが2次ピストンに対して1次戻しばね22の付勢に逆らってさらに並進することにより1次ポペット弁30が閉じられ、1次回路内の流体圧力が増加する。1次および2次ピストンが継続して並進することにより、1次および2次ブレーキ回路の圧力が増加して車両の動作が停止される。1次ピストンは所望の車両速度に達すると解放され、それにより1次および2次回路内の流体圧力は軽減される。
【符号の説明】
【0017】
12 マスターシリンダ
14 本体またはハウジング
16 孔
18 1次ピストン
20 2次ピストン
22 1次戻しばね
24 2次戻しばね
26、28 圧力チャンバ
30、46 ポペット弁
32、48 軸方向導管
36 環状チャンバ、環状空洞
38、40 横方向円筒形空洞、1次導管部、孔
39 レッジまたはショルダ
42 1次ポットまたはポート、チャンバ
50 径方向導管
52、54 ポート
56、58 フロント・ホイールブレーキ・アクチュエータ
60、62 リヤ・ホイールブレーキ・アクチュエータ
64 1次ポンピング・シール
66 ポンピング・シール
68 圧力シール
70 リヤ・シール
72 弁座
74 リム
76 弁、弁本体、デットストローク低減弁
78、84 ばね
82、86 ロッド
88 戻しばね
90 通路、1次導管
92 ギャップ
94 ギャップ
96 弁作動アーム
98 弁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
概して円筒形の孔(16)を有するマスターシリンダハウジング(14)と、
前記孔の中に往復運動可能に配置されて前記孔と共に1次ブレーキ液圧チャンバ(26)および2次ブレーキ液圧チャンバ(28)を画定する1次ピストン(18)および2次ピストン(20)と、
流体タンクと前記1次および2次チャンバのそれぞれとの間で液圧流体を運ぶための、1次導管(32、34、36、80)および2次導管(48、50)に連結されている1次タンクポット(42)および2次タンクポット(44)と、
前記1次ポットと前記1次導管との間の連通を選択的に開いたり閉じたりするように、前記2次ピストンの移動によって作動される弁(76)と
を有する、車両用液圧マスターブレーキシリンダ組立体(12)。
【請求項2】
前記1次導管が、前記円筒形孔から離れるように前記円筒形孔から概して直角方向に延在している流体通路(38、40)を有しており、前記弁(76)が、前記1次ポットと1次導管との間にある弁座(72)と、密閉状態で選択的に前記弁座と係合する弁面(98)を有する弁本体と、弁作動アーム(96)と、前記弁面を前記弁座とシール接触するように押圧する弾性部材(78)とを有する、請求項1に記載のマスターブレーキシリンダ組立体。
【請求項3】
前記弁作動アーム(96)が、前記2次ピストン(20)との係合を選択的に行うように、前記弁面から離れて前記円筒形孔の中へ延在する、請求項2に記載のマスターブレーキシリンダ組立体。
【請求項4】
前記1次ポット(42)が、前記ハウジング(14)内に横方向円筒形空洞を備えており、前記1次導管が、前記円筒形孔内に開口する直径が最も小さい横方向円筒形空洞(38)により結合される、直径の小さい横方向円筒形空洞(40)の流体通路を有する、請求項1に記載のマスターブレーキシリンダ組立体。
【請求項5】
前記弁(76)が、前記1次ポットと1次導管との間にある弁座(72)と、密閉状態で選択的に前記弁座と係合する弁面(98)を有する弁本体と、前記2次ピストン(20)との係合を選択的に行うように、前記弁面から離れて前記円筒形孔の中に延在している弁作動アーム(96)と、前記弁面を前記弁座(72)とシール接触するように押圧する弾性部材(78)とを有する、請求項4に記載のマスターブレーキシリンダ組立体。
【請求項6】
個別のフロントホイールブレーキアクチュエータ(56、58)およびリヤホイールブレーキアクチュエータ(60、62)を有する車両用ブレーキシステムに使用するためのマスターシリンダ(12)であって、
マスターシリンダハウジング(14)と、
前記ハウジング内の概して円筒形の孔(16)と、
前記孔の中に往復運動可能に配置される第1のピストン(18)と、
前記孔の中に往復運動可能に配置される第2のピストン(20)であって、
前記第1のピストンが、前記第2のピストンおよび前記孔と共に、第1の可変容積チャンバ(26)を画定しており、
前記第2のピストンが、前記孔と共に、第2の可変容積チャンバ(28)を画定しており、
前記第1および第2のチャンバが、流体を受け入れて前記ブレーキシステム内の流体レベルを所望のレベルに維持するように、第1の流体流路(32、34、36、80)および第2の流体流路(48、50)により連結されており、さらに、ブレーキ適用を行うための加圧流体を供給するためにリヤホイールブレーキアクチュエータおよびフロントホイールブレーキアクチュエータにそれぞれ連結されている、第2のピストン(20)と、
前記第2の流体流路を選択的に閉じて前記第2のチャンバ(28)内の流体圧力を増加させるように前記第2のピストン(20)の動作によって作動される、前記第2の流体流路内のポペット弁(46)と、
前記第1の流体流路を選択的に閉じて前記第1の可変容積チャンバ(26)内の流体圧力を増加させるように前記第2のピストン(20)の動作によって作動される、前記第1の流体流路内の弁(76)と
を有する
マスターシリンダ(12)。
【請求項7】
前記第1のピストン(18)および前記第2のピストン(20)を互いから軸方向に離れるように弾性的に押圧するための第1のピストン戻しばね(22)と、前記第2のピストン(20)を前記ポペット弁(46)から軸方向に離れるように弾性的に押圧するための第2のピストン戻しばね(24)とをさらに有するマスターシリンダであって、前記第1のばね(22)の押圧に打ち勝つために必要となる力が、前記第2のばね(24)の押圧に打ち勝つために必要となる力より大きい、請求項6に記載のマスターシリンダ。
【請求項8】
前記第1の流体流路を選択的に開いたり閉じたりするように前記第1のピストン(18)と前記第2のピストン(20)との間の相対的な動作によって作動される、第1の流体流路内のポペット弁(30)をさらに有し、前記第1の流体流路内の前記ポペット弁(30)が閉じられた後は、前記第1の流体流路内の前記ポペット弁(30)は、通常、閉じている、請求項6に記載のマスターシリンダ。
【請求項9】
前記第1の流体流路が、前記ハウジング内に横方向円筒形空洞(42)を有し、前記空洞(42)は、前記円筒形空洞(40)に対して横方向の小さい直径を有しており且つ前記円筒形空洞(38)に対して横方向の、前記円筒形孔内に開口する最も小さい直径により結合されている流体通路に連通している、請求項6に記載のマスターシリンダ。
【請求項10】
前記弁(30)が、前記横方向円筒形空洞と前記流体通路との間の弁座(72)と、前記第1の可変容積チャンバ(26)を密閉するように選択的に前記弁座と係合する弁面(98)を有する弁本体と、前記2次ピストンとの係合を選択的に行うように前記弁面から離れて前記円筒形孔の中に延在している弁作動アーム(96)と、前記弁面を前記弁座とシール接触するように押圧する弾性部材(78)とを有する、請求項6に記載のマスターシリンダ。
【請求項11】
1次戻しばね(22)および2次戻しばね(24)によりブレーキ解放位置の方向に付勢されている1次ピストン(18)および2次ピストン(20)を含んだ1次および2次ブレーキ回路と、流体タンクと前記1次および2次ブレーキ回路のそれぞれとの間で液圧流体を運ぶための1次導管(32、34、36、80)および2次導管(48、50)とを有するタンデム式の車両用マスターブレーキシリンダを作動させる方法であって、
前記2次戻しばねを圧縮して前記1次導管を閉じるように、前記1次および2次ピストンを同時に並進させる工程と、
最初に前記1次回路内の流体圧力を増加させるように、前記1次ピストンを前記2次ピストンに対して前記1次戻しばねの付勢に逆らって並進させる工程と、
1次および2次ブレーキ回路の圧力を増加させて車両の動作を停止させるように、前記1次および2次ピストンの並進を継続させる工程と
を含む方法。
【請求項12】
前記マスターシリンダが、前記1次および2次導管のそれぞれを選択的に開いたり閉じたりするための1次ポペット弁(30)および2次ポペット弁(46)をさらに有し、前記方法が、前記2次ピストンに対して前記1次ピストンを最初に並進させる前記工程の間に前記1次ポペット弁(30)を閉じる工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記マスターシリンダが、前記1次および2次導管のそれぞれを選択的に開いたり閉じたりするための1次および2次ポペット弁をさらに有し、前記方法が、前記1次および2次ピストンを同時に並進させる前記工程の間に前記2次ポペット弁を閉じる工程をさらに含む、請求項11に記載方法。
【請求項14】
前記2次ピストンに対して前記1次ピストンを並進させる前記工程を行う間に前記1次ポペット弁を閉じる工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
所望の車両速度に達したときに前記1次ピストンを解放することにより、前記1次および2次ブレーキ回路内の流体圧力を解放して前記1次および2次導管を再び開く工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−149844(P2010−149844A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−281212(P2009−281212)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】